JP2008308523A - 組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ビニル系重合体(A)を塩基性化合物(B)で中和して得られる水溶性樹脂溶液(I)と、非水溶性樹脂分散液(II)とを含有する組成物であって、前記ビニル系重合体(A)の構成単位として、カルボキシル基含有ビニル系単量体単位(a)と、エポキシ基含有ビニル系単量体単位(b)とを含み、かつ、前記カルボキシル基含有ビニル系単量体単位(a)のカルボキシ基と、前記エポキシ基含有ビニル系単量体単位(b)のエポキシ基のモル当量比が、カルボキシル基/エポキシ基=1/30〜30/1であることを特徴とする組成物。
【選択図】なし
Description
また、特許文献2には、特定の単量体単位からなる水分散体と、特定の単量体単位からなる水溶性樹脂を含有する水性樹脂組成物が開示されている。
また、特許文献2では、水性樹脂組成物に含まれる水溶性樹脂を多量(該水溶性樹脂を構成する単量体の合計と同量)の親水性有機溶剤を用いて製造することにより、水性樹脂組成物の水溶液化を図っており、環境に対する負荷を十分に低減できなかった。また、該水溶性樹脂は、上塗材及び下地との密着性を改良するものであり、得られる塗膜の耐水性や耐溶剤性の改良に寄与するものではなかった。さらに、該水溶性樹脂のガラス転移温度(Tg)は−20〜−15℃と低く、塗膜の硬度は必ずしも満足できるものではなかった。
また、前記ビニル系重合体(A)は、下記式(1)を用いて算出したガラス転移温度(Tg)が0〜150℃であることが好ましい。
1/Tg=Σ(wi/Tgi)・・・(1)
式(1)中、wiは重合体を構成する単量体iの質量分率を表し、Tgiは単量体iのホモポリマーのガラス転移温度を表す。
さらに、前記ビニル系重合体(A)が、懸濁重合法により製造されることが好ましい。
本発明の組成物は、ビニル系重合体(A)を塩基性化合物(B)で中和して得られる水溶性樹脂溶液(I)と、非水溶性樹脂分散液(II)とを含有する。
<ビニル系重合体(A)>
本発明に用いられるビニル系重合体(A)は、構成単位として、カルボキシル基含有ビニル系単量体単位(a)(以下、「単量体(a)」という場合がある。)と、エポキシ基含有ビニル系単量体単位(b)(以下、「単量体(b)」という場合がある。)とを含む。
単量体(a)としては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロフタル酸、5−メチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルシュウ酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルシュウ酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ソルビン酸等のカルボキシル基を含有するビニル系単量体;無水イタコン酸、無水マレイン酸等のカルボン酸無水基含有ビニル系単量体;イタコン酸モノメチル等のジカルボン酸のモノエステル等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、他のビニル系単量体との共重合性が良好であるという点から、(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
尚、「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」をそれぞれ意味する。
尚、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート及び/又はメタクリレート」を、「(メタ)アクリロニトリル」は「アクリロニトリル及び/又はメタクリロニトリル」を、「(メタ)アクリルアミド」は「アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド」を、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」をそれぞれ意味する。
尚、得られるビニル系重合体(A)のガラス転移温度(Tg)が低く、粉体としての取り扱いが困難な場合などには、懸濁重合後の懸濁液に、後述する塩基性化合物(B)を添加して、直接、水溶性樹脂溶液(I)を製造することもできる。
尚、懸濁重合時の分散安定性を向上させる目的で、無機電解質を併用してもよい。無機電解質としては、特に制限されないが、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マンガンなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
1/Tg=Σ(wi/Tgi)・・・(1)
式(1)中、wiは重合体を構成する単量体iの質量分率を表し、Tgiは単量体iのホモポリマーのガラス転移温度を表し、式(1)中のTg及びTgiは、絶対温度(K)で表した値である。また、Tgiは、「POLYMER HANDBOOK、FOURTH EDITION、VI/193〜VI/253」に記載されている値である。
さらに、ビニル系重合体(A)の酸価は、特に制限されないが、15〜250mgKOH/gが好ましく、20〜200mgKOH/gが好ましい。ビニル系重合体(A)の酸価が15mgKOH/g以上であれば、後述する塩基性化合物(B)の添加により、ビニル系重合体(A)の水溶解性が向上すると共に、塗膜の密着性、硬度、耐溶剤性が向上する傾向にある。一方、ビニル系重合体(A)の酸価が250mgKOH/g以下であれば、水溶性樹脂溶液(I)とした際に粘度を低下させたり、高固形分化し易くなったりする傾向にある。
塩基性化合物(B)は、上述したビニル系重合体(A)を中和するものである。
塩基性化合物(B)としては、特に制限されないが、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジブチルアミン、アミルアミン、1−アミノオクタン、2−ジメチルアミノエタノール、エチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、2−プロピルアミノエタノール、エトキシプロピルアミン、アミノベンジルアルコール、モルホリン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、塗膜の外観、初期光沢、耐水性が向上する傾向にあるアンモニアやアミン系化合物が好ましい。
本発明に用いられる水溶性樹脂溶液(I)は、上述したビニル系重合体(A)を塩基性化合物(B)で中和することにより得られるものであり、具体的には、ビニル系重合体(A)と塩基性化合物(B)を混合することにより製造される。
ビニル系重合体(A)と塩基性化合物(B)の混合方法としては、特に制限されないが、例えば、ビニル系重合体(A)を、水を含有する溶媒(S)中に分散した後、塩基性化合物(B)を添加する方法や、塩基性化合物(B)及び水を含有する溶媒(S)中にビニル系重合体(A)を添加する方法などが挙げられる。
尚、本発明において「中和する」とは、ビニル系重合体(A)中のカルボキシル基の一部または全てが、塩基性化合物(B)と中和反応して、カルボン酸塩になることを指すものである。即ち、塩基性化合物(B)の使用量は、ビニル系重合体(A)のカルボキシル基に対して、必ずしも当量である必要はなく、上述した範囲内であればよい。
親水性有機溶剤としては、特に制限されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノアセテート、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等のエチレングリコール誘導体;プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルプロピオネート、1−ブトキシエトキシプロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のプロピレングリコール誘導体;テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
水/親水性有機溶剤の質量比が70/30以上であれば、親水性有機溶剤による溶剤臭を低減したり、引火を抑制したりする傾向にある。一方、水/親水性有機溶剤の質量比が99.5/0.5以下であれば、塩基性化合物(B)の添加によりビニル系重合体(A)が水溶化する際に、粘度上昇を緩和する傾向にある。
また、水溶性樹脂溶液(I)の形態としては、特に制限されないが、例えば、透明な水溶液、半透明なコロイダルディスパージョン、乳白色のエマルションなどが挙げられる。中でも、後述する非水溶性樹脂分散液(II)の造膜性を促進し、塗膜の外観、初期光沢、耐水性が向上する傾向にある水溶液が好ましい。
本発明に用いられる非水溶性樹脂分散液(II)は、乳化剤により下記に示す重合体(C)が水性媒体中に分散された分散体である。
重合体(C)としては、特に制限されないが、例えば、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、セルロース樹脂、ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、塗膜の外観や初期光沢が向上する傾向にあるアクリル樹脂、ビニル樹脂が好ましい。
さらに、重合体(C)のTgは、特に制限されないが、−20〜100℃が好ましく、0〜80℃がより好ましい。重合体(C)のTgが−20℃以上であれば、塗膜の硬度、耐水性、耐溶剤性が向上する傾向にある。一方、重合体(C)のTgが100℃以下であれば、塗膜の造膜性、密着性、外観、初期光沢が向上する傾向にある。
非水溶性樹脂分散液(II)の製造方法としては、特に制限されないが、例えば、乳化重合法などの公知の重合方法や、樹脂を有機溶剤に溶解させた樹脂溶液を乳化剤等の界面活性剤を含む水性媒体中に高剪断力をかけて分散させる方法などが挙げられる。中でも、有機溶剤の使用量が少ない乳化重合法が好ましい。
尚、上記の各原料の添加(仕込み)方法としては、特に制限されないが、例えば、反応系内に一括して仕込む方法、一部を仕込んだ後、残りを連続または分割して仕込む方法、全量を連続して仕込む方法などが挙げられる。特に、一部を仕込んだ後、残りを連続または分割して仕込むと、得られる重合体(C)はコアシェル構造となり、より造膜性に優れるものとなる。
重合開始剤の配合量は、特に制限されないが、単量体混合物(C)100質量部に対して、0.05〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましい。重合開始剤の配合が0.05質量部以上であれば、比較的短時間で重合が進行し、非水溶性樹脂分散液(II)の生産性が向上する傾向にある。一方、重合開始剤の配合量が10質量部以下であれば、重合発熱が緩和され、重合温度の制御が容易となる傾向にある。
連鎖移動剤の配合量は、特に制限されないが、単量体混合物(C)100質量部に対して、0.05〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましい。連鎖移動剤の配合量が0.05質量部以上であれば、塗膜の外観や初期光沢が向上する傾向にある。一方、連鎖移動剤の配合量が10質量部以下であれば、未反応の単量体や連鎖移動剤の残存量が減少し、塗膜の硬度や耐溶剤性が向上する傾向にある。
本発明の組成物は、上述した水溶性樹脂溶液(I)と非水溶性樹脂分散液(II)とを混合することによって得られる。
混合方法としては、特に制限されないが、例えば、非水溶性樹脂分散液(II)に水溶性樹脂溶液(I)を添加する方法、水溶性樹脂溶液(I)の存在下で非水溶性樹脂分散液(II)を製造する方法、ビニル系重合体(A)を非水溶性樹脂分散液(II)に分散した後、塩基性化合物(B)を添加する方法、塩基性化合物(B)を含有する非水溶性樹脂分散液(II)にビニル系重合体(A)を添加する方法などが挙げられる。
尚、本発明の組成物は、カルボキシル基含有ビニル系重合体単位(a)とエポキシ基含有ビニル系重合体単位(b)を含むビニル系重合体(A)を含有するため、加熱すると両基が反応して硬化する。そのため、室温で水溶性樹脂溶液(I)と非水溶性樹脂分散液(II)とを混合するのが好ましい。
尚、水溶性樹脂溶液(I)と非水溶性樹脂分散液(II)の質量比は、実質上、ビニル系重合体(A)と重合体(C)の質量比である。
また、本発明の組成物を塗料、インク、粘接着剤などの水性バインダーとして用いた場合、硬度が高く、耐水性、耐溶剤性に優れた塗膜を形成できる。
ここで、物性測定及び評価方法を以下に示す。
Tgは、上記式(1)より算出した。
ビニル系重合体(A)を0.4質量%溶解したTHF溶液を調製した。該THF溶液を100μL採取し、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製、「HLC−8120」)を用いて、40℃にて測定を行った。カラムは、東ソー(株)製の「TSKgel G5000HXL」と「GMHXL−L」を直列に連結したものを用いた。検量線は、F288/F80/F40/F10/F4/F1/A5000/A1000/A500(東ソー(株)製、標準ポリスチレン)及びスチレンモノマーを用いて作成した。検量線より、標準ポリスチレン換算にてMw(質量平均分子量)、Mn(数平均分子量)、Mw/Mn(質量平均分子量/数平均分子量)を算出した。
固形分約1gのビニル系重合体(A)を精秤し、溶剤50g(イソプロパノール/アセトン/水=50/25/25質量%)を加えて溶解させた。これにフェノールフタレインの変色点を基準にして0.2規定の水酸化カリウム(KOH)−エタノール溶液を滴定し、固形分1gを中和するのに必要なKOHのmg数(酸価)を下記式(2)より算出した。
酸価(mgKOH/g)=A×0.2×f×56.1/試料固形分質量(g)・・・(2)
ただし、Aを滴定量(ml)、fを0.2規定の水酸化カリウム溶液の力価とする。
25℃に保持した水溶性樹脂溶液(I)の粘度を、B型粘度計(TOKIMEC製、「R100型粘度計(RBタイプ)」)を用いて測定した。
試験板の塗膜表面を目視観察し、下記基準にて判定した。
○:艶むら、はじき、割れ、レベリングに異常がない。
×:艶むら、はじき、割れ、レベリングに異常がある。
水研中塗ダル鋼板と塗膜との密着性をJIS K 5600−5−6:1999に準じたクロスカット法により測定した。
尚、表3に示す数値は、剥離せずに残った面積を%表示したものであり、100%に近づくほど、密着性が良好であることを意味する。
塗膜の鉛筆硬度をJIS K 5600−5−4:1999に準じた手かき法により測定した。
尚、2B以上を合格とし、3B以下を不合格とする。
入射角60°及び20°における塗膜の鏡面光沢度(G0)を光沢計(日本電色工業(株)製、「VG−2000」)を用いて測定した。
尚、60°の鏡面光沢度は、80.0以上を合格、80.0未満を不合格とした。また、20°の鏡面光沢度は、70.0以上を合格、70.0未満を不合格とした。
光沢保持率の測定;
塗膜の耐水試験として、試験板を脱イオン水に浸漬して、50℃の恒温水槽中で8週間保持した。その後、前記(8)の初期光沢の評価と同様にして、入射角60°及び20°における塗膜の鏡面光沢度(G1)を測定し、下記式(3)より光沢保持率を算出した。
尚、60°の鏡面光沢度の光沢保持率は、95.0%以上を合格、95.0%未満を不合格とした。また、20°の鏡面光沢度の光沢保持率は、75.0%以上を合格、75.0%未満を不合格とした。
光沢保持率(%)=(G1/G0)×100・・・(3)
塗膜の色数を分光式色差計(日本電色工業(株)製、「SE−2000」)を用いて測定した。初期の色数(L0、a0、b0)及び耐水試験後の色数(L1、a1、b1)を測定し、下記式(4)より色差(△E)を算出した。
尚、△Eは、0.8以下を合格、0.8を超える場合を不合格とした。
色差(△E)={(L1−L0)2+(a1−a0)2+(b1−b0)2}1/2・・(4)
試験板を25℃のキシレン中に1分間浸漬し、塗膜の状態を目視観察し、下記基準にて判定した。
○:異常なし。
△:ごく僅かに光沢が低下した。
×:塗膜が白化あるいは溶解した。
撹拌機、冷却管、温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水900部、メタクリル酸2−スルホエチルナトリウム60部、メタクリル酸カリウム10部、メチルメタクリレート12部を加えて撹拌し、重合装置内を窒素置換しながら、50℃(重合温度)に昇温し、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩0.08部を添加して60℃に昇温した。重合開始剤の添加と同時に、滴下ポンプを使用して、メチルメタクリレートを0.24部/分の速度で75分間連続的に滴下した。60℃で6時間保持した後、室温に冷却して、透明な重合体水溶液である分散剤1を得た。この分散剤1の固形分は10%、粘度は950mPa・sであった。
撹拌機、冷却管、温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水170部、硫酸ナトリウム0.1部、分散剤1(固形分10%)0.2部を加えて撹拌し、均一な水溶液とした。次に、表1に示す組成の単量体の混合物(単量体(a)としてメタクリル酸8部、単量体(b)としてメタクリル酸グリシジル1.65部、単量体(c)としてメチルメタクリレート52.35部、n−ブチルメタクリレート28部、n−ブチルアクリレート10部)と、重合開始剤としてラウロイルパーオキサイド1.5部、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン1.9部を加え、水性懸濁液とした。次に、重合装置内を窒素置換し、70℃に昇温して約1時間反応させ、さらに、90℃に昇温して0.5時間保持した後、40℃に冷却して、ビニル系重合体(A−1)を含む水性懸濁液を得た。この水性懸濁液を目開き45μmのナイロン製濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄し、脱水し、40℃で16時間乾燥して、ビニル系重合体(A−1)を得た。このビニル系重合体(A−1)のTgは60℃、Mwは25,600、Mw/Mnは2.12、酸価は51.6mgKOH/gであった。結果を表1に示す。
撹拌機、冷却管、温度計を備えた装置中に、ビニル系重合体(A−1)100部と脱イオン水273.7部を加え、室温にて撹拌した後、イソプロパノール(IPA)15部と、塩基性化合物(B)として14質量%アンモニア水11.3部を加え、1時間撹拌を継続して、水溶性樹脂溶液(I−1)を得た。この水溶性樹脂溶液(I−1)は透明であり、固形分は25質量%、粘度は114mPa・sであった。結果を表2に示す。
尚、水溶性樹脂溶液(I−1)の透明性は目視にて判断した。
単量体、連鎖移動剤、重合開始剤の配合量(部)を表1に示すように変更した以外は、ビニル系重合体(A−1)と同様にして、ビニル系重合体(A−2)〜(A−4)、(A−7)を製造した。ビニル系重合体(A−2)〜(A−4)、(A−7)の特性を表1に示す。
表2に示すビニル系重合体(A)を用い、表2に示す固形分となるように調整した以外は、水溶性樹脂溶液(I−1)と同様にして、水溶性樹脂溶液(I−2)〜(I−4)、(I−7)を製造した。水溶性樹脂溶液(I−2)〜(I−4)、(I−7)の特性を表2に示す。
脱イオン水の量を250部にし、単量体、連鎖移動剤、重合開始剤の配合量(部)を表1に示すように変更した以外は、ビニル系重合体(A−1)と同様にして、ビニル系重合体(A−5)、(A−6)を各々含む水性懸濁液を調製した。このビニル系重合体(A−5)、(A−6)の特性を表1に示す。ただし、特性を測定する際には、ビニル系重合体(A−1)と同様の操作を行い、乾燥させた状態のビニル系重合体(A−5)、(A−6)を製造して、各特性を測定した。
次いで、得られたビニル系重合体(A−5)、(A−6)を各々含む各水性懸濁液に、脱イオン水75.5部を加え、室温にて撹拌した後、イソプロパノール(IPA)17.7部と、塩基性化合物(B)として14質量%アンモニア水11.3部を加え、1時間撹拌を継続して、水溶性樹脂溶液(I−5)、(I−6)を得た。水溶性樹脂溶液(I−5)、(I−6)の特性を表2に示す。
MAA:メタクリル酸、
GMA:メタクリル酸グリシジル、
MMA:メチルメタクリレート、
BMA:n−ブチルメタクリレート、
BA:n−ブチルアクリレート、
LPO:ラウロイルパーオキサイド、
n−DM:n−ドデシルメルカプタン。
撹拌機、冷却管、温度計、滴下ポンプ、窒素導入管を備えた重合装置中に、脱イオン水50部、乳化剤((株)ADEKA製、「SR−1025」)2部、メチルメタクリレート2部、n−ブチルメタクリレート6部、t−ブチルメタクリレート2部を加えて撹拌した後、重合装置内を窒素置換した。次に、80℃まで昇温し、過硫酸ナトリウム0.05部を加えて15分間反応させた。次に、脱イオン水18部、乳化剤2部、メチルメタクリレート6部、n−ブチルメタクリレート18部、t−ブチルメタクリレート6部、過硫酸ナトリウム0.05部からなる乳化液1を45分かけて滴下して加え、1時間保持した。次に、脱イオン水36部、乳化剤4部、メチルメタクリレート14部、2−エチルヘキシルアクリレート40部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4部、メタクリル酸2部、過硫酸ナトリウム0.1部からなる乳化液2を1.5時間かけて滴下して加え、30分保持した後、脱イオン水18.2部を加え、室温に冷却して、ビニル系重合体(C−1)を含む非水溶性樹脂分散液(II−1)を得た。この非水溶性樹脂分散液(II−1)の固形分は45質量%、平均粒子径は120nm、粘度は600mPa・sであった。
尚、この非水溶性樹脂分散液(II−1)は、Tg49℃のコアとTg−20℃のシェルを有し、コアとシェルの質量比(コア/シェル)が40/60である二層構造エマルションであり、造膜性に優れたものであった。
水溶性樹脂溶液(I−1)20部(樹脂固形分換算5部)、非水溶性樹脂分散液(II−1)211.1部(樹脂固形分換算95部)、硬化触媒としてテトラn−ブチルアンモニウムブロミド(TBAB)0.025部を混合し、組成物を得た。
得られた組成物を塗料として使用し、水研中塗ダル鋼板(日本ルートサービス(株)製、標準試験板)にバーコーターNo.14で塗布し、室温で0.5時間保持した後、90℃で10分間加熱乾燥して、試験板を作製した。この試験板の塗膜を上記の試験により評価した。
得られた結果を表3に示す。
水溶性樹脂溶液(I)を表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして組成物の製造及び試験板の作製を行い、塗膜を評価した。結果を表3に示す。
水溶性樹脂溶液を用いず、非水溶性樹脂分散液(II−1)222.2部(樹脂固形分換算100部)と、硬化触媒としてテトラn−ブチルアンモニウムブロミド(TBAB)0.025部を混合した以外は、実施例1と同様にして組成物の製造及び試験板の作製を行い、塗膜を評価した。結果を表3に示す。
これに対し、水溶性樹脂溶液(I)を含まない比較例1では、塗膜の硬度、耐水性、耐溶剤性が実施例に比べて劣っていた。
比較例2では、水溶性樹脂溶液(I−7)を含有することで、比較例1に比べて塗膜硬度が向上した。しかし、水溶性樹脂溶液(I−7)は、エポキシ基含有ビニル系単量体単位(b)を含まないビニル系重合体(A−7)を用いたため、耐水性、耐溶剤性は改善できなかった。特に、耐溶剤性については、水溶性樹脂溶液を含まない比較例1と比較しても劣っていた。
また、本発明の組成物を用いた塗料、インク、粘接着剤は、硬度が高く、耐水性、耐溶剤性に優れた塗膜を形成できる。
さらに、本発明の組成物は塗料、インク、粘接着剤の用途以外にも、例えば、レジスト材料、焼成材料などの各種分野において幅広く使用することが可能であり、工業上極めて有益なものである。
Claims (3)
- ビニル系重合体(A)を塩基性化合物(B)で中和して得られる水溶性樹脂溶液(I)と、非水溶性樹脂分散液(II)とを含有する組成物であって、
前記ビニル系重合体(A)の構成単位として、カルボキシル基含有ビニル系単量体単位(a)と、エポキシ基含有ビニル系単量体単位(b)とを含み、かつ、前記カルボキシル基含有ビニル系単量体単位(a)のカルボキシ基と、前記エポキシ基含有ビニル系単量体単位(b)のエポキシ基のモル当量比が、カルボキシル基/エポキシ基=1/30〜30/1であることを特徴とする組成物。 - 前記ビニル系重合体(A)は、下記式(1)を用いて算出したガラス転移温度(Tg)が0〜150℃であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
1/Tg=Σ(wi/Tgi)・・・(1)
式(1)中、wiは重合体を構成する単量体iの質量分率を表し、Tgiは単量体iのホモポリマーのガラス転移温度を表す。 - 前記ビニル系重合体(A)が、懸濁重合法により製造されることを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
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- 2007-06-12 JP JP2007155477A patent/JP2008308523A/ja active Pending
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