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JP2023021896A - 基板ブレイク装置および基板ブレイク方法 - Google Patents

基板ブレイク装置および基板ブレイク方法 Download PDF

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JP2023021896A JP2021205955A JP2021205955A JP2023021896A JP 2023021896 A JP2023021896 A JP 2023021896A JP 2021205955 A JP2021205955 A JP 2021205955A JP 2021205955 A JP2021205955 A JP 2021205955A JP 2023021896 A JP2023021896 A JP 2023021896A
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Abstract

【課題】 分断端面に欠けが生じるおそれがなく、熱応力を利用したブレイクを採用するものでありながら、熱媒体を吹き付けることなくスクライブラインに効率的に熱応力を与えてブレイクする基板ブレイク装置を提供する。【解決手段】 スクライブラインSが加工された基板Wを載置する基板支持体1と、基板WのスクライブラインSに接触させるブレイクバー4とからなり、ブレイクバー4と基板Wとの接触面は、第一温度T1に設定された複数の温熱領域Hと第一温度より低い第二温度T2に設定された複数の冷熱領域Lとが交互に隣接するように並べて配置され、温熱領域Hおよび冷熱領域LをスクライブラインSに沿って同時に面接触させるようにして熱応力を与えてブレイクする。【選択図】 図2

Description

本発明は、予めスクライブライン(切溝)を形成したガラス基板を、そのスクライブラインに沿って分断するためのブレイク装置並びにブレイク方法に関する。本発明は、例えばテレビ、携帯端末、ゲーム機器等で採用されているフラットパネルディスプレイ(FPD)等に使用されるガラス基板等の加工に適用される。
従来から、ガラス基板表面に対し、スクライビングホイールによるメカニカルスクライブ、又は、レーザスクライブによってスクライブラインを形成し(スクライブ工程)、次工程(ブレイク工程)でこのスクライブラインに沿ってブレイクするようにして基板を分断加工することがなされている。このブレイク工程では、下向き先細り形状で長尺のブレイクバーを基板のスクライブラインに沿って押しつけ、基板をV字形に撓ませて分断する手法(例えば特許文献1参照)や、スクライブラインにスチームなどの加熱媒体を吹き付けて熱応力を生じさせることにより、スクライブラインの亀裂を基板厚み方向に浸透させて基板を分断する手法(特許文献2参照)などが知られている。
特開2016-120725号公報 WO2004/067243号公報
しかしながら、特許文献1に記載されるようなナイフ状のブレイクバーの押しつけによるブレイク手法では、基板上面を押圧することによってV字形に撓ませたときに、押圧荷重のかけ方によっては隣接する分断端面の上端縁部分同士が互いに押し合うように干渉して欠けが生じることがあり、これが起点となって基板表面にひび割れ等が発生したり、端面強度が劣化したりする問題が生じるおそれがあった。また、ブレイク対象となるスクライブラインは、基本的にブレイクバーと同様に直線形状であり、ブレイクバーは直線状のスクライブラインに正確に位置合わせしてブレイクする必要があった。
これに対し、特許文献2に記載される熱応力を利用したブレイク手法では、基板と非接触でブレイクを行うものであるため、撓みによって生じる分断端面同士の押し合いによる欠けが発生するおそれがない点で優れているが、スクライブラインから空間的に離れたノズルからスクライブラインに向けてスチーム等の熱媒体を吹きつけて熱伝達するものであるから、熱の利用効率が悪くて不経済であると共に、吹き付けによって雰囲気気体を舞い上げることになり雰囲気気体にダストが含まれていると製品の歩留まりに悪影響を及ぼすおそれがあった。また、熱源を含む加熱機構の組付け構成が複雑で大型化するといった問題点もあった。
そこで本発明は上記課題に鑑み、分断端面に欠けが生じるおそれがなく、熱応力を利用したブレイクを採用するものでありながら、熱媒体を吹き付けることなくスクライブラインに効率的に熱応力を与えてブレイクすることが可能であり、しかもコンパクトな構成にすることができる基板ブレイク装置および基板ブレイク方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明では次のような技術的手段を講じた。すなわち、本発明のブレイク装置は、スクライブラインが形成された基板を、そのスクライブラインに沿ってブレイクする基板ブレイク装置であって、前記基板を載置する基板支持体と、前記基板の前記スクライブラインに接触させるブレイクバーとからなり、前記ブレイクバーの前記基板との接触面は、第一温度に設定された複数の温熱領域と第一温度より低い第二温度に設定された複数の冷熱領域とが交互に隣接するように並べて配置され、前記温熱領域および前記冷熱領域を前記スクライブラインに沿って同時に面接触させてブレイクするようにしている。
本発明によれば、ブレイクする際に、基板のスクライブラインに向けてブレイクバーを接触させる。ブレイクバーの基板への接触面は、第一温度T1の温熱領域と第二温度T2の冷熱領域(ただしT1>T2)とが交互に並べて配置された構造であるため、スクライブラインに沿って温熱領域と冷熱領域とが交互に接触するようになり、熱伝導によって基板上のスクライブラインに高温(T1)の加熱領域とそれより低温(T2)の冷却領域とが交互に形成される。その結果、加熱領域には圧縮応力が発生し、冷却領域には引張応力が発生するようになって、応力が反転する境界部分にスクライブラインを引き裂こうとする強い分離力が生じることになり、この分離力によって基板はブレイクされる。
本発明によれば、基板を分断する際にブレイクバーを基板に接触させるが、基板とブレイクバーの温熱領域、冷熱領域との間で熱伝導が生じるように面接触させるだけでよい。したがって基板を撓ませるような押圧力でブレイクバーを押し付ける必要がないので、ブレイクされた分断面に欠け等の欠陥が発生していない高品質の端面を得ることができる。また、基板に熱伝導により熱応力を与えているので、スチーム等の吹き付けによるブレイクで生じるようなダストの舞い上がりの問題も発生しない。
さらに、本発明によれば、スクライブライン付近の基板面にブレイクバーを面接触させればよいので、スクライブラインの形状は直線に限られる必要はなく、曲線が含まれるようなスクライブラインであっても高品質の端面を維持しつつブレイクすることができる。
上記発明において、前記ブレイクバーの前記各温熱領域および前記各冷熱領域はそれぞれが方形の平面をなし、前記基板に対して帯状に面接触するように形成されるようにしてもよい。
これによれば、直線状のスクライブラインをブレイクする際に、隣接する方形の温熱領域と方形の冷熱領域との境界をスクライブラインに対し直交させて接触させることにより、境界部分に発生する分離力(スクライブラインを引き裂く力)がスクライブラインと直交する方向に加わるようにして分離力を有効に働かせることができる。
上記発明において、前記温熱領域の温熱源が電熱ヒータであり、前記冷熱領域の冷熱源がペルチェ素子であってもよい。
温熱源として電熱ヒータ、冷熱源としてペルチェ素子を用いることにより、温熱領域や冷熱領域の大きさを自由でコンパクトに設計することができ、温熱領域の設定温度および冷熱領域の設定温度を容易に調整したりすることもできる。
上記発明において、下面に前記温熱領域を形成する温熱面が設けられるとともにその温熱源を備えた加熱用熱伝素子と、下面に前記冷熱領域を形成する冷熱面が設けられるとともにその冷熱源を備えた冷却用熱伝素子が形成され、前記加熱用熱伝素子と前記冷却用熱伝素子とを複数交互に並べて前記ブレイクバーの枠体に組み込むことにより前記ブレイクバーを形成するようにしてもよい。
これにより熱伝素子の数を増減することにより、異なる長さのブレイクバーを容易に組成することができる。
上記発明において、前記冷却用熱源素子を前記ブレイクバーの枠体に対して昇降可能に保持する上下移動機構が設けられ、前記ブレイクバーが基板から離れて浮上した待機時に、前記冷熱用熱伝素子の冷熱面が前記加熱用熱伝素子の温熱面より低い位置になるように形成されるようにしてもよい。
これにより、ブレイクバーが待機位置の時は、冷熱用熱伝素子の冷熱面が加熱用熱伝素子の温熱面から離れているので、冷却用熱伝素子が加熱用熱伝素子からの輻射熱や伝熱による熱影響を受けにくくすることができる。
上記発明において、前記加熱用熱源素子を前記ブレイクバーの枠体に対して前記上下移動機構よりも小さい上下範囲で昇降可能に保持する上下調整機構が設けられ、前記加熱用熱伝素子の各温熱面が基板に接触した時に温熱面どうしが面一な姿勢に調整されるようにしてもよい。
これにより、各温熱面を常に一線上に並べた姿勢で基板に面接触させることができて均等に伝熱させることができる。
上記発明において、前記冷却用熱伝素子並びに加熱用熱伝素子は、前記ブレイクバーの枠体に連なる部分にピン部材並びにガイド穴を介して上下移動可能に吊り下げて形成してもよい。
これにより、シリンダーなどの特別な昇降部材を用いることなく、極めて簡単な構成で昇降機構を形成することができる。
また、別の観点からなされた本発明のブレイク方法は、スクライブラインが形成された基板を、そのスクライブラインに沿ってブレイクする基板ブレイク方法であって、第一温度に設定された温熱領域と、第一温度より低い第二温度に設定された冷熱領域とが交互に隣接するように並べて配列されたブレイクバーを用意し、前記基板のスクライブラインに沿って、前記ブレイクバーの温熱領域と冷熱領域とを同時に面接触させることにより前記スクライブラインに沿ってブレイクするようにしている。
更に、別の観点からなされた本発明のブレイク方法は、前記冷熱領域を前記ブレイクバーの枠体に上下移動可能に保持させて先ず前記冷熱領域を前記基板に面接触させ、次いで前記冷熱領域と前記温熱領域とを同時に面接触させることによりブレイクするようにしている。
本発明の一実施例であるブレイク装置の斜視図。 上記ブレイク装置におけるブレイクバーの内部を示す斜視図。 ブレイクバーに組み込まれる伝熱ユニット(加熱用熱伝素子と冷熱用熱伝素子)の斜視図。 ブレイクバーにおける温熱領域および冷熱領域と、基板に形成される加熱領域および冷却領域との対応関係を示す説明図。 伝熱ユニットの別態様を示す斜視図。 本発明におけるブレイクバーの他の実施例を示す正面図。 図6で示したブレイクバーにおける冷却用熱伝素子並びに加熱用熱伝素子の取り付け状態を示す斜視図。 図6で示したブレイクバーの一部拡大正面図。
以下、本発明の詳細について図を参照しつつ説明する。
図1は本発明の一実施例である基板ブレイク装置の斜視図である。基板ブレイク装置Aは、分断すべき基板Wを載置する水平な基板支持体1を備えている。本実施例ではこの基板支持体1はコンベアで構成され、基板Wを水平姿勢で載置して図1のY方向に移動するように形成されている。
さらに、上記基板支持体1を跨ぐように門形の枠2が設けられ、この枠2のビーム(横枠)3にX方向に延びる長尺のブレイクバー4が保持されている。ブレイクバー4はエアシリンダ等の昇降駆動機構5によって駆動される昇降軸6を介して基板支持体1に向かって昇降できるようになっている。尚、図示は省略するが、ブレイクバー4はロボットアームの先端に取り付けてロボットアームの動作によりにより昇降するように形成することもできる。
また、ブレイクバー4は、図2、図3に示すように、その下面に温熱面7aを有する加熱用熱伝素子7、および、冷熱面8aを有する冷却用熱伝素子8が隣接して直線状に配置されている。本実施例では、図3に示すように、1つの冷却用熱伝素子8の左右に加熱用熱伝素子7を備えた伝熱ユニット9を形成して、この伝熱ユニット9を複数、例えば図2のように10個のユニットを並べてブレイクバー4の枠体4aに組み込んでいる。
この場合、図4(a)に示すように、隣り合う2つの伝熱ユニット9の片側の加熱用熱伝素子7、7が協働して一つの温熱領域Hを形成するとともに、各伝熱ユニット9の冷却用熱伝素子8が1つの冷熱領域Lを形成することにより、温熱領域Hと冷熱領域Lとが交互に直線状に並べて配置されるようにしている。なお、伝熱ユニット9に代えて、図5に示すように、冷却用熱伝素子8’と加熱用熱伝素子7’を1個ずつ並べて形成した伝熱ユニット9’とすることも可能である。
加熱用熱伝素子7並びに冷却用熱伝素子8の下面(温熱面7a、冷熱面8a)は、方形の平面で形成され、ブレイクバー4が下降したときに基板Wに対して面接触するように形成されている。これにより熱伝導現象によって伝熱することができ、熱損失の少ない状態で効率よく基板Wを加熱・冷却することができる。
ブレイクバー4のそれぞれの冷却用熱伝素子8にはペルチェ素子が用いられ、ペルチェ効果による冷却作用によって冷熱面8aが所望の温度に冷却される。なおペルチェ素子の上部(素子裏面の放熱側)にはペルチェ素子で発生する熱を逃がすための空冷用のエア供給路および放熱用空間(フィン)が設けてある。実施例では、図2に示すように、エア供給用入口10から引き入れた圧空を共通のダクト11並びに分岐パイプ12を介して各伝熱ユニット9に導入させ冷却用熱伝素子8(ペルチェ素子)を空冷するようにしている。
また、ブレイクバー4の加熱用熱伝素子7は、内部に電熱ヒータ線(図示せず)が巻かれていて電源に接続されている。
ここで加熱用熱伝素子7の設定温度T1および冷却用熱伝素子8の設定温度T2について説明する。本発明では、ブレイク対象のガラス基板のスクライブラインに沿ってブレイクバーを接触させ、温熱領域Hと冷熱領域Lとの境界に逆向きの熱応力(圧縮応力と引張応力)を発生させて強い分離力を生じさせることから、加熱用熱伝素子7と冷却用熱伝素子8との設定温度に大きな温度差を与えれば、より強い分離力を発生させることができる。
しかしながら、液晶パネル等の基板では基板に設けられた他の材料(回路、接着剤等)によって加熱可能な温度が制限されており、許容温度以下にする必要がある。また、冷却についても結露しない範囲で冷却するのが望ましい。
したがって、加工対象の基板に許容されている温度範囲内で、設定温度T1、T2を設定する。例えば、冷却用熱伝素子8の設定温度T2を確実に露点温度以上となる20°Cとし、加熱用熱伝素子7の設定温度T1をそれより十分に高温となる110~60°Cの範囲で設定するようにしている。
次に、上記のブレイク装置Aによる基板Wの分断動作について説明する。
まず、予め基板Wの表面に浅い溝状のスクライブラインSを加工する。スクライブラインはスクライビングホイールを基板表面に押し付けながら転動させるメカニカルスクライブにより加工することができるが、これに代えてレーザスクライブで形成することもできる。
次いで、スクライブラインSを形成した基板Wをテーブル1に載置する。この際、分断されるスクライブラインSが長尺のブレイクバー4と平行でその直下位置になるようにする。
次いで、ブレイクバー4を下降させ、下面の加熱用熱伝素子7の温熱面7a(温熱領域H)並びに冷却用熱伝素子8の冷熱面8a(冷熱領域L)を基板表面に面接触させ、接触した基板上の領域を加熱並びに冷却する。接触させる時間は基板の厚みによって異なるが、一般的なガラス基板の場合は2秒程度で十分である。ブレイクバー4には複数の加熱用熱伝素子7と冷却用熱伝素子8により温熱領域Hと冷熱領域Lとが交互に隣接して配置されているので、基板Wには、図4(b)に示すように、温熱領域Hに対応して複数の加熱領域と、冷熱領域Lに対応して冷却領域とがスクライブラインSに沿って交互に隣接して形成される。
これにより、基板Wの加熱領域では熱膨張によりスクライブラインSに圧縮応力が発生し、冷却領域では熱収縮により引張応力が発生する。この圧縮応力と引張応力とが互いに隣接する複数の境界部分では、強い分離力(スクライブラインを引き裂く力)が同時に生じることにより、スクライブラインSの亀裂が基板厚み方向に浸透し、その結果、スクライブラインSに沿って基板Wが完全分断される。
このようにして一本のスクライブラインを分断した後、ブレイクバー4を上昇させて次のスクライブラインがブレイクバー4の直下になるように基板支持体1(コンベア)を移動させることにより、上記と同様の手段でスクライブラインに沿って基板Wを順次分断する。
尚、上記実施例では、基板WのX方向に沿ったスクライブラインの分断について説明したが、Y方向のスクライブラインに沿って分断する場合は、基板支持体1を更に延長させて、その下流側の上方にY方向に姿勢を向けたブレイクバー4を配置し、上記同様の手段によりY方向のスクライブラインを分断することができる。また、ロボットアームでブレイクバー4を昇降させる場合は、ロボットアームに保持させたブレイクバーの向きを変えることでX方向並びにY方向のスクライブラインを分断することができる。
以上、説明したように本発明にかかるブレイク装置では、複数の加熱用熱伝素子7および冷却用熱伝素子8がブレイクバー4に組み込んで形成されているので、従来のナイフ状のブレイクバーと似た外観でコンパクトに構成することができる。加えて、加熱用熱伝素子7および冷却用熱伝素子8は、基板Wに接触して熱伝導現象により熱を伝えるので、熱損失の少ない状態で効率よく熱応力を基板内部に生じさせることができる。また、上記実施例で示したように、冷却用熱伝素子8と加熱用熱伝素子7とを備えた伝熱ユニット9を形成して、このユニットを複数組み合わせてブレイクバー4が構成されているので、伝熱ユニット9の数を増減することにより、異なる長さのブレイクバーを容易に組成することができる。
上記実施例では、ブレイクバー4を一度だけ基板に接触させるだけで、基板Wを分断するようにしているが、以下で説明するように、位置をずらしてもう一度接触させるようにしてもよい。即ち、ブレイクバー4をスクライブラインSに沿ったX方向に移動できるように構成しておいて、一回目の接触が終了した後、前回の接触で加熱した加熱領域に冷却用熱伝素子8の冷熱面8aが、冷却領域に加熱用熱伝素子7の温熱面7aが相対するように、ブレイクバー4をスクライブライン方向に沿って移動させてもう一度ブレイクバーを降下接触させる。これにより、熱膨張による圧縮応力と熱収縮による引張応力の両方を同じ領域内で生じさせることができ、より効果的に基板を分断することができる。ただし、この場合加熱領域(および対応する温熱領域)の幅L1と冷却領域(および対応する冷熱領域)の幅L2とは同じ寸法にしておく必要がある。
(ブレイクバーの第二の実施例)
図6~図8は本発明におけるブレイクバー4の変形実施例を示すものである。この変形実施例では、冷却用熱伝素子8と加熱用熱伝素子7が個別に形成され、交互に配置されている。冷却用熱伝素子8と加熱用熱伝素子7との間は、それぞれ所定の間隔L3をあけて伝熱による熱影響や輻射熱による影響を緩和して熱エネルギーの損失を減らすようにしている。具体的には後述するが、冷熱面8aと温熱面7aとが面一の姿勢のときに、冷熱面8aと温熱面7aの直接接触による温度勾配の低下が起こらないよう0.5mm以上の間隔を設けるようにしている。
また、本変形実施例では、ブレイクバー4が基板Wから離れて浮上したフロート状態(待機位置)の時は、図6(a)に示すように、冷熱用熱伝素子8の冷熱面8aが加熱用熱伝素子7の温熱面7aよりも段差状に低い位置となるように移動できるように形成されている。そして、ブレイクバー4が下降した時は、図6(b)に示すように、冷却用熱伝素子8の冷熱面8aが基板W上面に先行接触し、次いで加熱用熱伝素子7の温熱面7aが冷熱面8aと面一の姿勢となって両者が同時に基板Wに接触するように形成されている。
具体的には図7に示すように、ブレイクバー4の枠体4aに横桟13を介して連結固定された前後一対の垂直な支持板14が設けられ、冷却用熱伝素子8がこの支持板14に対して上下に相対移動可能に吊り下げるようにして保持されて冷却用熱電素子8の上下移動機構としてある。
詳しくは、上記支持板14にガイド穴15が設けられ、冷却用熱伝素子8に取り付けたピン部材16がこのガイド穴15に沿って上下方向にのみ摺動できるように嵌め込まれている。これにより、ブレイクバー4がフロート状態(待機位置)の時は、冷却用熱伝素子8の自重でピン部材16がガイド穴15の下辺に接するまで下動した状態になり、冷熱用熱伝素子8の冷熱面8aが加熱用熱伝素子7の温熱面7aよりも低い位置となる。
一方、ブレイクバー4が下降して加熱用熱電素子7の温熱面7aが基板Wに接触した状態の時は、ピン部材16がガイド穴15の上辺に近づくまで上動した状態になり、冷熱用熱伝素子8の冷熱面8aと加熱用熱伝素子7の温熱面7aとがともに基板Wに接触した面一の状態となる。
なお、図2の実施例と同様、本変形実施例でも冷却用熱伝素子8の内部に組み込まれる空冷用のエア吐出ノズルや管路が設けてあるが、ここでは説明の便宜上、図示を省略している。
また、加熱用熱伝素子7は連結ブラケット17を介してブレイクバー4に吊り下げられている。詳しくは、連結ブラケット17にガイド穴18を有する前後一対の垂直な取付板19が設けられており、このガイド穴18の両端部位で隣り合う冷却用熱伝素子8の支持板14に設けたビス孔20にピン部材21を螺入することで、ピン部材21により加熱用熱伝素子7が吊り下げられた状態で保持されている(図7、図8参照)。この際、ピン部材21がガイド穴18に沿って上下方向にのみ相対的に少し移動できるようにして加熱用熱伝素子7の上下調整機構としてある。その移動量は、上述した冷却用熱伝素子8の上下移動量に比べるとわずかであり、温熱面7aが基板Wに接触したときに、取付・組立の際の機械的誤差によって各温熱面7aが水平線上に並ぶ平坦性に崩れが発生している場合の平坦崩れを打ち消す調整ができる程度(例えば1mm程度)としてある。この上下調整機構により、各温熱面7aを常に面一の姿勢で基板に面接触させることができるようになり、均等に伝熱させることができる。
次に動作について説明する。上記構成のブレイクバー4が上昇した待機位置(フロート状態)から下動すると、自重で下がっている冷却用熱伝素子8の冷熱面8aが先に基板Wに接触して基板Wの冷却領域(図4(b)参照)を冷却する。次いで加熱用熱伝素子7が下降して温熱面7aが加熱領域に接触し、温熱面7aによる加熱領域の加熱と冷熱面8aによる冷却領域の冷却が同時に行われる。このときブレイクバー4を下動させる速度を調整したり、冷熱面8aが接触後に下動を一次停止する制御を行うことにより、冷熱面8aが基板Wに接触してから温熱面7aが接触するまでの時間を調整することができるので、基板Wの熱伝導率や厚さに応じて好適な冷却時間で接触部分を冷却しておくことができる。
その結果、冷熱面8aによる冷却領域の冷却を確実に行うことができて先に述べた冷却領域での熱収縮による引張応力および加熱領域での熱膨張による圧縮応力とにより、境界部分にスクライブラインSを引き裂こうとする強い分離力が発生し、スクライブラインSに沿って基板Wを精度よく完全分断することができる。
また、本変形実施例では、ブレイクバー4が基板Wから離れたフロート状態(待機位置)の時は、冷熱用熱伝素子8の冷熱面8aが加熱用熱伝素子7の温熱面7aよりも段差状に低い位置となるように離れさせてあるので、冷却用熱伝素子8は加熱用熱伝素子7からの輻射熱や伝熱により熱影響を受けにくくすることができ、待機中の冷熱用熱電素子8の冷却効率を高めることができるとともに、冷熱用熱電素子8と加熱用熱電素子7との間での熱エネルギーの損失を減らして省エネを図ることができる。
以上、本発明の代表的な実施例について説明したが、本発明は必ずしも上記の実施形態に特定されるものではなく、その目的を達成し、請求の範囲を逸脱しない範囲内で適宜修正、変更することが可能である。
本発明は、スクライブラインが形成されたガラス基板を、そのスクライブラインに沿って分断するブレイク装置並びにブレイク方法に利用することができる。
A ブレイク装置
S スクライブライン
W 基板
H 温熱領域
L 冷熱領域
1 基板支持体
4 ブレイクバー
4a ブレイクバーの枠体
7 加熱用熱伝素子
8 冷却用熱伝素子
14 支持板
15、18 ガイド穴
16、21 ピン部材
17 連結ブラケット

Claims (9)

  1. スクライブラインが形成された基板を、そのスクライブラインに沿ってブレイクする基板ブレイク装置であって、
    前記基板を載置する基板支持体と、
    前記基板の前記スクライブラインに接触させるブレイクバーとからなり、
    前記ブレイクバーの前記基板との接触面は、第一温度に設定された複数の温熱領域と第一温度より低い第二温度に設定された複数の冷熱領域とが交互に隣接するように並べて配置され、
    前記温熱領域および前記冷熱領域を前記スクライブラインに沿って同時に面接触させてブレイクする基板ブレイク装置。
  2. 前記ブレイクバーの前記各温熱領域および前記各冷熱領域はそれぞれが方形平面をなし、前記基板に対して帯状に面接触するように形成されている請求項1に記載の基板ブレイク装置。
  3. 前記温熱領域の温熱源が電熱ヒータであり、前記冷熱領域の冷熱源がペルチェ素子である請求項1または請求項2のいずれかに記載の基板ブレイク装置。
  4. 下面に前記温熱領域を形成する温熱面が設けられるとともにその温熱源を備えた加熱用熱伝素子と、下面に前記冷熱領域を形成する冷熱面が設けられるとともにその冷熱源を備えた冷却用熱伝素子が形成され、前記加熱用熱伝素子と前記冷却用熱伝素子とを複数交互に並べて前記ブレイクバーの枠体に組み込むことにより前記ブレイクバーを形成するようにした請求項1~請求項3のいずれかに記載の基板ブレイク装置。
  5. 前記冷却用熱源素子を前記ブレイクバーの枠体に対して昇降可能に保持する上下移動機構が設けられ、前記ブレイクバーが基板から離れて浮上した待機時に、前記冷熱用熱伝素子の冷熱面が前記加熱用熱伝素子の温熱面より低い位置になるように形成されている請求項4に記載の基板ブレイク装置。
  6. 前記加熱用熱源素子を前記ブレイクバーの枠体に対して前記上下移動機構よりも小さい上下範囲で昇降可能に保持する上下調整機構が設けられ、前記加熱用熱伝素子の各温熱面が基板に接触した時に温熱面どうしが面一な姿勢に調整される請求項5に記載の基板ブレイク装置。
  7. 前記冷却用熱伝素子の上下移動機構、並びに、前記加熱用熱伝素子の上下調整機構は、前記ブレイクバーの枠体に連なる部分にピン部材並びにガイド穴を介して上下移動可能に吊り下げて形成されている請求項6に記載の基板ブレイク装置。
  8. スクライブラインが形成された基板を、そのスクライブラインに沿ってブレイクする基板ブレイク方法であって、
    第一温度に設定された温熱領域と、第一温度より低い第二温度に設定された冷熱領域とが交互に隣接するように並べて配置されたブレイクバーを用意し、
    前記基板のスクライブラインに沿って、前記ブレイクバーの温熱領域と冷熱領域とを同時に面接触させることによりブレイクする基板ブレイク方法。
  9. 前記冷熱領域を前記ブレイクバーの枠体に上下移動可能に保持させて先ず前記冷熱領域を前記基板に面接触させ、次いで前記冷熱領域と前記温熱領域とを同時に面接触させることによりブレイクする請求項8に記載の基板ブレイク方法。
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