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JP2023006485A - ボイラシステムの洗浄方法およびボイラシステム - Google Patents

ボイラシステムの洗浄方法およびボイラシステム Download PDF

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JP2023006485A
JP2023006485A JP2021109108A JP2021109108A JP2023006485A JP 2023006485 A JP2023006485 A JP 2023006485A JP 2021109108 A JP2021109108 A JP 2021109108A JP 2021109108 A JP2021109108 A JP 2021109108A JP 2023006485 A JP2023006485 A JP 2023006485A
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友宏 井上
Tomohiro Inoue
貴行 和田
Takayuki Wada
恭輔 野口
Kyosuke Noguchi
徹哉 澤津橋
Tetsuya Sawatsubashi
瑞希 大塚
Mizuki Otsuka
良典 野口
Yoshinori Noguchi
博史 赤嶺
Hiroshi Akamine
和貴 小原
Kazuki Obara
聡佳 萩原
Akiyoshi Hagiwara
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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  • Control Of Steam Boilers And Waste-Gas Boilers (AREA)

Abstract

Figure 2023006485000001
【課題】本開示は、起動時間を短縮でき、使用する補給水量および排水量を抑えてパウダースケールを除去するボイラシステムの洗浄方法およびボイラシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】本開示は、ボイラ2と復水器5とが接続された主系統を備えたボイラシステム1の洗浄方法であって、ボイラ出口におけるボイラ水の温度と、ボイラへの給水流量との関係に基づき、ウォーターハンマーが生じない給水条件を予め取得し、ボイラを停止した後、ボイラ出口におけるボイラ水の温度を測定し、ボイラ水を主系統内に循環させて強制冷却するとともに、測定したボイラ水の温度に応じて、給水条件を満たす範囲で、ボイラへの給水流量を増加させ、増加後の流量で、ボイラ水を主系統内に所定時間循環させる。
【選択図】図4

Description

本開示は、ボイラシステムの洗浄方法およびボイラシステムに関するものである。
防食処理として酸素処理が適用されるボイラプラントでは、ボイラの伝熱管内面にヘマタイトスケールが付着および堆積する現象が認められる。ヘマタイト(Fe)スケールは、ポーラスな構造であるため、パウダースケールと呼ばれている。パウダースケールの付着および堆積は、伝熱管の熱伝達を阻害して伝熱管メタルの温度上昇の要因となり得る。
伝熱管内面に付着および堆積したパウダースケールを除去する方法として、化学薬品を用いた洗浄方法(特許文献1)および水洗による洗浄方法がある。
化学薬品を用いた洗浄方法は、十分にパウダースケールを除去できる。しかしながら、化学薬品を用いた洗浄は、洗浄作業期間に加え、化学薬品および洗浄設備の準備や撤去に、工費および工期がかかる。
水洗による洗浄は、従来、プラント起動時に実施されている。例えば、ボイラプラントは、ボイラ本体の補修または定期点検のために停止される。運転が停止されたプラントは、定期点検後、水張りブロー、水圧試験を経て、水・蒸気系統のクリーンアップ操作の後に、起動される。水洗では、水張りブローおよびクリーンアップ時に、プラント系統内の水に含まれるパウダースケールが規定値以下になるまで、プラント系統内への給水と系外への排水をくり返している。
水張りブローは、水圧試験の前に実施される工程である。水張りブローの対象範囲は節炭器、炉壁管(蒸発管)、過熱器および再熱器である。
クリーンアップは、ボイラ起動前に復水・給水系統、給水加熱器および復水脱塩装置を洗浄し、パウダースケールなどの不純物を除去する工程である。
特開2016-160457号公報
プラント起動時の水張りブローおよびクリーンアップでは、パウダースケールを十分に除去することは難しい。
プラント起動時にスケールが多い場合、水張りブローおよびクリーンアップ時の補給水の使用量および排水量が増加するとともに、クリーンアップに時間を要する。
ボイラから排出されたスケールは、復水脱塩装置を通ってから系外へ排出される。復水脱塩装置にはイオン交換樹脂が含まれている。スケールがイオン交換樹脂に付着すると負荷が増加して差圧上昇を招き、クリーンアップ時の樹脂再生に必要な時間が増える。
水張りブローの回数を増やすことでスケールの排出を促進できる。しかしながら、回数を増やすと所要時間、補給水の使用量および排水量も増加する。
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、起動時間を短縮でき、使用する補給水量および排水量を抑えてパウダースケールを除去するボイラシステムの洗浄方法およびボイラシステムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本開示のボイラシステムの洗浄方法およびボイラシステムは以下の手段を採用する。
本開示は、ボイラと復水器とが接続された主系統を備えたボイラシステムの洗浄方法であって、ボイラ出口におけるボイラ水の温度と、ボイラへの給水流量との関係に基づき、ウォーターハンマーが生じない給水条件を予め取得し、前記ボイラを停止した後、前記ボイラ出口におけるボイラ水の温度を測定し、前記ボイラ水を前記主系統内に循環させて強制冷却するとともに、測定した前記ボイラ水の温度に応じて、前記給水条件を満たす範囲で、前記ボイラへの給水流量を増加させ、増加後の流量で、前記ボイラ水を前記主系統内に所定時間循環させるボイラシステムの洗浄方法を提供する。
本開示は、ボイラおよび復水器が接続された主系統と、前記主系統に設けられ、前記ボイラへの給水流量を調節する流量調節部と、前記ボイラの出口に接続された温度計測器と、前記温度計測器および前記流量調節部に電気的に接続され、前記温度計測器の計測結果に基づき、前記流量調節部での給水流量を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、ボイラ出口におけるボイラ水の温度と、ボイラへの給水流量との関係に基づくウォーターハンマーが生じない給水条件が格納された格納部と、前記温度計測器の計測結果を受信する受信部と、受信した前記計測結果を、前記格納部に格納された前記給水条件に照らし合わせて、前記給水条件を満たす給水流量を決定する流量決定部と、決定した前記給水流量の情報を前記流量調節部に送信して、前記流量調節部における給水流量の調節を制御する送信部と、を有するボイラシステムを提供する。
本開示に係るボイラシステムの洗浄方法およびボイラシステムによれば、再起動時の起動時間を短縮できる。
本開示に係るボイラシステムの洗浄方法およびボイラシステムによれば、使用する補給水量および排水量を抑えてパウダースケールを除去できる。
防食対象表面に形成された保護被膜について説明する図である。 第1実施形態に係るボイラシステムの概略構成図である。 制御部の概略構成図である。 第1実施形態における強制冷却時のボイラ水の温度降下および給水流量変化のイメージ図である。 予備試験の結果を例示する図である。 ボイラシステムの停止から再起動までの手順を示す図である。 第2実施形態における強制冷却時のボイラ水の温度降下および給水流量変化のイメージ図である。 第3実施形態に係るボイラシステムの概略構成図である。
以下に、本開示に係るボイラシステムの洗浄方法およびボイラシステムの一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではない。実施形態が複数ある場合、本開示は、各実施形態を組み合わせて構成するものも含む。以降の説明で、上や上方とは鉛直方向上側を示し、下や下方とは鉛直方向下側を示すものであり、鉛直方向は厳密ではなく誤差を含み得る。
本開示に係るボイラシステムは、汽力発電プラント等に適用され得る。汽力発電プラントは、高い温度と高い圧力の蒸気を発生させるボイラと、ボイラで発生した蒸気によって回転駆動される蒸気タービンと、蒸気タービンが回転する力を利用して発電を行う発電機と、を備えている(図示省略)。
ボイラシステムは、蒸気を生成するための給水と接液する機器類の防食のための措置が講じられる。本実施形態では、防食措置として酸素処理が適用される場合について説明する。防食対象表面は、例えばボイラ内に多数配設される伝熱管および伝熱管ヘッダ等の内面である。伝熱管などの防食対象は金属からなる部材である。
酸素処理は、給水に高純度の水質を必要とする。そのため、酸素処理を適用したボイラシステムは、一般的に復水脱塩装置を備えている。
酸素処理では、アンモニアでpHを調整した給水に微量の酸素を注入して、防食対象表面にマグネタイト(Fe)の保護被膜を形成する。図1に、保護被膜が形成された防食対象表面の断面図を示す。酸素処理された防食対象Mの表面には、防食対象Mが自己酸化して生成された緻密な保護被膜(マグネタイトスケール)Sと、ポーラス状のパウダースケール(ヘマタイトスケール)Pが形成されている。
ボイラの伝熱管に付着・堆積した異物は、管圧損の増加や伝熱阻害の原因となるため、定期的に洗浄して系外へ排出する必要がある。酸素処理適用のボイラシステムでは、運転により、保護被膜の上に、さらに、パウダースケールPが付着・堆積する。ヘマタイトのパウダースケールPは、熱抵抗が非常に大きく、プラントの性能への影響が大きいため、定期的に洗浄して系外へ排出する必要がある。
〔第1実施形態〕
(ボイラシステム)
まず、本実施形態に係るボイラシステムについて説明する。図2に、ボイラシステムの概略構成図を示す。
ボイラシステム1は、ボイラ(蒸発管)2、汽水分離器3、汽水分離器ドレンタンク4、復水器5、復水脱塩装置6、低圧給水加熱器7A、脱気器8、高圧給水加熱器7B、節炭器9、温度計測器10および流量計測器11を備えている。
ボイラシステム1の各構成は配管によって接続され、配管内を蒸気、復水C(C~C)および給水F(F、F、F)等の流体を流通させながら循環させるよう配置されている。
本実施形態では、ボイラ2、汽水分離器3、汽水分離器ドレンタンク4、復水器5、復水脱塩装置6、低圧給水加熱器7A、脱気器8、高圧給水加熱器7Bおよび節炭器9を順次つないだ回路を主系統と称す。
本実施形態では、節炭器9からボイラ2までの間をボイラ入口と称す。
本実施形態では、ボイラ2から汽水分離器3までの間をボイラ出口と称す。ボイラ出口は、強制冷却中に循環されるボイラ水の温度が最も高くなる箇所である。ボイラ出口は、炉壁管の系統構成に従って、汽水分離器入口または火炉後壁出口などと呼ばれてもよい。
ボイラ2は、燃料を燃焼させて生じた熱と、ボイラ2の炉壁等を構成する蒸発管(不図示)の内部を流れる給水Fとの間で熱交換させて、該給水Fを蒸発させる。それにより、蒸発管内に蒸気Bが生成される。燃料は、石炭、バイオマス燃料、石油コークス、石油残渣、重質油、天然ガス、副生ガスまたはそれらの組み合わせであってよい。
生成された蒸気Bは、ボイラ出口配管21を介して汽水分離器3へ供給される。汽水分離器3は、蒸気B中の水(ドレン)Dを分離する。ドレンを分離された蒸気は、汽水分離器3から排出され、発電機を駆動する蒸気タービン(図示省略)へ導かれる。
ボイラ出口配管21には温度計測器10が接続されている。温度計測器10は、ボイラ出口配管21内を流れる流体の温度を計測できる。
汽水分離器3で分離された水Dは、第1ドレン配管22を介して、汽水分離器ドレンタンク4へ導かれる。汽水分離器ドレンタンク4は、汽水分離器3から排出された水Dを貯留する。
汽水分離器ドレンタンク4には、ボイラ循環配管23の上流端が接続されている。ボイラ循環配管23の下流端は、第2給水配管24の途中位置に接続されている。ボイラ循環配管23には、ボイラ循環ポンプ(BCP)25およびボイラ再循環流量調節(BR)弁26が設けられている。汽水分離器ドレンタンク4から排出された水Dは、ボイラ循環配管23を介して、第2給水配管24に導かれる。第2給水配管24に導かれた水Dは、給水として、節炭器9へ供給され得る。ボイラ循環ポンプ25は設置されない場合もある。また、ボイラ再循環流量調節弁26の替わりに、ボイラ循環ポンプ25の回転数を調整して吐出流量を変化させてもよい。
ボイラ循環配管23の途中位置からは、第2ドレン配管27が分岐している。第2ドレン配管27は、ボイラ循環配管23のボイラ循環ポンプ25よりも上流側から分岐している。第2ドレン配管27の下流端は、復水器5へ接続されている。第2ドレン配管27は、汽水分離器ドレンタンク4から排出された水Dを復水器5へ導く。第2ドレン配管27には、汽水分離器ドレン調節(WDC)弁28が設けられている。
復水器5では、蒸気タービンで仕事をした後の蒸気が冷却水(例えば、海水)によって冷却されて凝縮される。凝縮により生成された水および第2ドレン配管27から導かれた水Dが復水Cとして復水器5から排出される。
復水器5には、第1復水配管29の上流端が接続されている。第1復水配管29の下流端には、復水脱塩装置6が接続されている。第1復水配管29には、復水ポンプ(CP)30が設けられている。復水器5から排出された復水Cは、第1復水配管29を介して復水脱塩装置6に導かれる。
復水脱塩装置6では、復水Cがイオン交換樹脂などの樹脂層を通過する。これにより、復水Cから不純物が除去されて復水Cとなる。不純物は、ナトリウムイオンなどである。ナトリウムイオンは、ボイラシステム1の主系統において、スケールの発生や腐食の要因となり得る。
復水脱塩装置6には、第2復水配管31の上流端が接続されている。第2復水配管31の下流端には、低圧給水加熱器7Aが接続されている。第2復水配管31には、復水ブースタポンプ(CBP)32が設けられている。復水脱塩装置6から排出された復水Cは、第2復水配管31を介して低圧給水加熱器7Aに導かれる。
低圧給水加熱器7Aには、蒸気タービンから蒸気を抽気する低圧抽気配管(図示省略)が接続されている。低圧給水加熱器7Aは、蒸気タービンから抽気された蒸気によって、復水Cを加熱する。
低圧給水加熱器7Aには、第3復水配管33の上流端が接続されている。第3復水配管33の下流端には、脱気器8が接続されている。低圧給水加熱器7Aから排出された復水Cは、第3復水配管33を介して脱気器8に導かれる。
脱気器8は、復水Cを加熱脱気する。脱気器8には、第1給水配管34の上流端が接続されている。第1給水配管34の下流端は高圧給水加熱器7Bに接続されている。第1給水配管34には、ボイラ給水ポンプ(BFP)35および給水流量調節弁36が設けられている。脱気器8で加熱脱気された復水Cは、給水Fとして、第1給水配管34を介して高圧給水加熱器7Bへ導かれる。給水流量調節弁36の替わりに、ボイラ給水ポンプ35の回転数を調整して吐出流量を変化させてもよい。
高圧給水加熱器7Bは、高圧蒸気タービン(不図示)から抽気された蒸気によって、給水Fを加熱して給水Fにする。高圧給水加熱器7Bには、第2給水配管24の上流端が接続されている。第2給水配管24の下流端には、節炭器9が接続されている。高圧給水加熱器7Bから排出された給水Fは、第2給水配管24を介して節炭器9へ導かれる。
第2給水配管24には、流量計測器11が設けられている。流量計測器11は、第2給水配管24内を流れる給水Fの流量を計測できる。
節炭器9では、ボイラ2における燃料の燃焼ガスとの熱交換により給水Fを加熱して給水Fにする。節炭器9には、第3給水配管37の上流端が接続されている。第3給水配管37の下流端はボイラ2に接続されている。節炭器9で加熱された給水Fは、第3給水配管37を介してボイラ2の蒸発管内へ導かれる。
ボイラシステム1は、制御部12を備えてもよい。
制御部12は、温度計測器10、流量計測器11、ボイラ循環ポンプ25、ボイラ再循環流量調節弁26、汽水分離器ドレン調節弁28、復水ポンプ30、復水ブースタポンプ32、ボイラ給水ポンプ35および給水流量調節弁36に電気的に接続されている。流量計測器11、ボイラ再循環流量調節弁26、汽水分離器ドレン調節弁28および給水流量調節弁36は、流量調節部として機能する。制御部12は、温度計測器10の計測結果に基づき、流量調節部での給水流量を制御する。
制御部12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、およびコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線または無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
図3に、制御部12の概略を示す。制御部12は、格納部12-1、受信部12-2、流量決定部12-3および送信部12-4を有する。
格納部12-1には、ボイラ出口におけるボイラ水の温度と、ボイラ入口での給水流量との関係に基づくウォーターハンマーが生じない給水条件が格納されている。
受信部12-2は、温度計測器10の計測結果を受信する。
流量決定部12-3は、受信した計測結果を、格納部12-1に格納された給水条件に照らし合わせて、ウォーターハンマーが生じない給水条件を満たす給水流量を決定する。
送信部12-4は、決定した給水流量の情報を流量調節部に送信して、流量調節部における給水流量の調節を制御する。具体的には、流量調節部は、流量計測器11および給水流量調節弁36で構成され、流量計測器11で計測される流量が、決定した給水流量となるよう、給水流量調節弁36の開度が調節される。流量調節部は、流量計測器11で計測される流量が、決定した給水流量となるよう、ボイラ再循環流量調節弁26、汽水分離器ドレン調節弁28の開度を調節できる。
制御部12は、温度計測器10、流量計測器11、給水流量調節弁36以外の各弁の開閉や、各ポンプの発停等を制御できるようにしてもよい。
酸素処理のためのアンモニアおよび酸素は、酸素注入部(図示省略)からボイラシステム1の系統内に注入される。アンモニアおよび酸素は、例えば、復水脱塩装置6と低圧給水加熱器7Aとの間の第2復水配管31に注入され得る。
(ボイラシステムの洗浄方法)
次に、本実施形態に係るボイラシステムの洗浄方法について説明する。
ボイラシステム1の洗浄方法は、ボイラ停止後に、ボイラ水を主系統内に循環させてボイラ2を強制冷却する工程を含む。
強制冷却は、ボイラ2における燃料の燃焼を停止した状態で、復水ポンプ30、復水ブースタポンプ32およびボイラ給水ポンプ35の運転を継続することで実施され得る。強制冷却では、ボイラ再循環流量調節弁26を閉じ、汽水分離器ドレン調節弁28および給水流量調節弁36を開ける。給水流量調節弁36の開度を調節することで、ボイラ2に供給される給水Fの流量を制御できる。
ボイラ給水ポンプ35により送られた給水Fは、節炭器9を介してボイラ2の蒸発管内に入り、ボイラ2の蒸発管の保有熱を受け取ることで、ボイラ2の蒸発管を冷却する。ボイラ2から排出されたボイラ水は、汽水分離器3、汽水分離器ドレンタンク4、復水器5、復水脱塩装置6、低圧給水加熱器7A、脱気器8および高圧給水加熱器7Bを通り、給水として再度、節炭器9へと送られる。強制冷却時、低圧給水加熱器7A、脱気器8および高圧給水加熱器7Bでの加熱は行われない。ボイラ水は、主系統を流れている間に放熱し、冷却される。主系統内の水を循環させることで、ボイラ2の蒸発管の温度は徐々に低下する。
図4は、強制冷却時のボイラ出口におけるボイラ水の温度降下および給水流量変化のイメージ図である。同図において、横軸が時間、上のグラフの縦軸は給水の流量、下のグラフの縦軸はボイラ出口におけるボイラ水の温度(℃)である。同図において、実施例1(破線)は本実施形態の強制冷却、比較例1(実線)は従来法に基づく強制冷却に関する。従来法に基づく強制冷却では、強制冷却中に給水流量は増加させない。
本実施形態に係るボイラシステム1の洗浄方法では、ボイラ2停止後に、ボイラ水を主系統内に循環させてボイラ2を強制冷却するとともに、ウォーターハンマーが生じない給水条件を満たす範囲でボイラ2への給水流量を徐々に増加させる(図4の(1)参照)。給水流量が所定の流量に到達後、その給水流量を維持し、所定時間循環を継続させる(図4の(2)参照)。
所定時間は、ボイラ水が、主系統内を少なくとも1周、好ましくは2周する時間である。ボイラ水が主系統内を少なくとも1周する時間は、主系統内の保有水量/循環流量から算出できる。
所定時間の循環が終了した後、増加開始時の初期値まで給水流量を下げる(図4の(3)参照)。その後、給水流量を維持して循環を継続し、少なくとも強制冷却完了の温度に到達するまで冷却する(図4の(4)参照)。その後、給水流量を下げ、循環を停止する。強制冷却完了の温度は、例えば、100℃である。
給水流量の増加は、ウォーターハンマーが生じない給水条件を満たす範囲で実施される。増加後の所定の流量は、上記給水条件を満たしつつ、できるだけ高い値に設定されるとよい。これにより、強制冷却時間を増加することなく、パウダースケールの排出を促進することができる。
ウォーターハンマーが生じない給水条件は、予備試験等で予め取得しておく。
例えば、予備試験では、ボイラ水を主系統に循環させ、ボイラ出口におけるボイラ水温度およびボイラ2への給水流量を計測し、ウォーターハンマーの発生有無を確認する。
図5に、予備試験の結果を例示する。給水流量はQ1>Q2>Q3の順に小さくなる。ボイラ水温度はT1>T2>T3の順に低くなる。図5によれば、最も高い給水流量Q1では、最も低いT3までボイラ水温度が下がっていてもウォーターハンマーが発生する。図5によれば、ボイラ水温度がT1,T2では、給水流量をQ3まで下げてもウォーターハンマーが発生する。図5によれば、ボイラ水温度がT3以下、かつ、給水流量がQ2以下であれば、ウォーターハンマーは発生しない。
上記予備試験では、ボイラ出口におけるボイラ水温度と、ボイラ2への給水流量との関係に基づく、ウォーターハンマーが生じない給水条件を取得できる。
上記予備試験の結果によれば、ボイラ出口におけるボイラ水の温度がT3まで下がっていれば、給水流量を最大でQ2まで増加させられる。
ボイラ2停止後に、ボイラ出口のボイラ水温度を測定し、測定値に応じて、給水条件を満たす範囲で給水流量を増加させることで、ウォーターハンマーを発生させない上限に近い、高い流量で給水することが可能となる。
給水流量の増加幅は、ボイラ水の降温レートが220℃/hr以下となるよう設定するとよい。これにより、急激な温度差に起因する熱応力の繰り返しによるボイラの寿命低減を抑制できると共に、流量増加に起因したウォーターハンマーの発生をより確実に抑制できる。
従来法においても、通常、強制冷却開始時の給水流量は、ウォーターハンマーが生じない範囲内で設定されている。本実施形態においては、ボイラ出口におけるボイラ水温度がT3より高い場合、強制冷却開始時の給水流量は、実際に適用されるボイラシステムで従来設定されていた強制冷却時の給水流量を採用し、その後、ボイラ水温度がT3になったタイミングで、給水流量の増加を開始する。
強制冷却開始時におけるボイラ出口のボイラ水温度がT3であり、かつ、従来設定されていた給水流量がQ3よりも小さい場合は、強制冷却開始時の給水流量をQ2以下の範囲で増加してもよい。
ボイラ水の循環では、循環流量を変動させて、パウダースケールの排出を促進してもよい。
図6にボイラシステム1の停止から再起動までの手順を示す。同図において「BEFORE」は従来の手順、「AFTER」は上記実施形態に係る洗浄方法を含む手順である。
「BEFORE」および「AFTER」の手順は、ともに、ボイラ停止、強制冷却、水抜き、定期点検(定検)、水張りブロー、水圧試験(水圧)、ボイラコールドクリーンアップ(BCCU)、およびボイラホットクリーンアップ(BHCU)、ボイラ起動(発生する蒸気の圧力・流量を規定値まで上昇させる運転)を含む。
従来の手順は、強制冷却時に給水流量を増加させる操作を含まない。従来の手順では、定期点検後の水張りブロー、ボイラコールドクリーンアップ、およびボイラホットクリーンアップ時にパウダースケールの除去が実施される。
上記実施形態に係る洗浄方法を含む手順では、従来、定期点検後の水張りブローおよび起動時のクリーンアップ時に実施されていたパウダースケール除去の工程を、ボイラ停止後の強制冷却時に実施する。パウダースケール除去は、強制冷却の際に、ボイラ2への給水流量を増加させることにより達成され得る。本実施形態に係るボイラシステムの洗浄方法によれば、定期点検後の水張りブローおよび起動時のクリーンアップの時間を短縮できる。
上記実施形態において、給水流量の増加幅は、ウォーターハンマーが生じない給水条件の範囲で、ボイラ出口のボイラ水温度に応じて設定される。そのため、ウォーターハンマーが生じない限界付近まで給水流量を増加させてもよい。
従来の手順は、強制冷却を含む。しかしながら、ボイラ水の温度に応じて給水流量を増加させる工程を含まない従来法における強制冷却では、十分にパウダースケールを除去するのは難しい。
〔第2実施形態〕
本実施形態は、主系統にボイラ水を循環させる前に、再循環系統にボイラ水を循環させ、該再循環系統からボイラへ給水する工程を含む点が第1実施形態と異なる。
再循環系統は、ボイラ2、汽水分離器3、汽水分離器ドレンタンク4、および節炭器9を順次つないだ回路である。再循環系統には、復水器5,復水脱塩装置6、低圧給水加熱器7A、脱気器8および高圧給水加熱器7Bは含まれない。
再循環系統を循環するボイラ水は、復水器5および復水脱塩装置6等を経由しないで、直接、ボイラ2に循環される。
本実施形態では、まず、ボイラ2を停止した後、復水ポンプ30および復水ブースタポンプ32、ボイラ給水ポンプ35の稼働を停止し、ボイラ循環ポンプ(BCP)25を稼働する。ボイラ再循環流量調節弁26を開け、給水流量調節弁36および汽水分離器ドレン調節弁28を閉じ、汽水分離器3のドレンDをボイラ2に供給する。
再循環系統からの給水は、ボイラ出口のボイラ水温度を測定し、測定値がボイラ2への給水を可能とする所定温度に到達したことを確認した後、ボイラ再循環流量調節(BR)弁26を開き、ボイラ循環ポンプ(BCP)25を稼働させて徐々に給水流量を増加させる。ボイラ再循環流量調節弁26の開度を調節することで、再循環系統からの給水流量を制御できる。ボイラ循環ポンプ25により送られた給水は、節炭器9を介してボイラ2の蒸発管内に入る。
主系統からの給水は、ボイラ水を再循環系統に循環させている間に、給水流量調節弁36および汽水分離器ドレン調節弁28を開け、復水ポンプ30および復水ブースタポンプ32、ボイラ給水ポンプ35を起動させて徐々に給水流量を増加させる。給水流量調節弁36の開度を調節することで、主系統からの給水流量を制御できる。
強制冷却の初期において、再循環系統を循環するボイラ水は、主系統を循環するボイラ水よりも温度が高い。よって、再循環系統を循環する水を用いることで、強制冷却の初期段階で、ウォーターハンマーを発生させることなく、従来よりも給水流量を上げられる。
図7は、本実施形態に係る強制冷却時のボイラ出口におけるボイラ水の温度降下および給水流量変化のイメージ図である。同図において、横軸が時間、上のグラフの縦軸は給水の流量、下のグラフの縦軸はボイラ出口におけるボイラ水の温度(℃)である。同図において、実施例2(破線、一点鎖線、二点鎖線)は本実施形態の強制冷却、比較例2(実線)は従来法に基づく強制冷却に関する。従来法に基づく強制冷却では、強制冷却中に給水流量は増加させない。
本実施形態に係るボイラシステムの洗浄方法では、ボイラ2停止後、ボイラ出口のボイラ水温度を測定し、測定値が所定温度に到達したことを確認する。その後、ボイラ水を再循環系統内に循環させ、ウォーターハンマーが生じない給水条件を満たす範囲で再循環系統からの給水流量を増加させる(図7の(1)参照)。ウォーターハンマーが生じない給水条件は予備試験等で予め取得しておく。
給水流量の増加幅は、ボイラ水の降温レートが220℃/hr以下となるよう設定するとよい。これにより、急激な温度差に起因する熱応力の繰り返しによるボイラの寿命低減を抑制できると共に、流量増加に起因したウォーターハンマーの発生をより確実に抑制できる。
ボイラ出口におけるボイラ水温度が所定値に達した後、第1実施形態と同様に、主系統からの給水を開始し、徐々に給水流量を増加させる(図7の(2)参照)。ボイラ出口におけるボイラ水の温度を測定し、該測定値に応じて給水流量を増加させることで、従来設定されていた給水流量よりも高い値に設定できる。
このとき、再循環系統からの給水は、主系統からの給水開始時での流量を維持した状態で継続させる。これにより、ボイラ2内を通過する水の全流量も増加する。継続時間は、冷却完了温度に達するまでに要する時間から逆算して設定されるとよい。図7では、主系統からの給水流量を従来値まで下げたタイミングで、再循環系統からの給水流量を下げ始め、最終的には再循環系統内における循環を停止する。
主系統からの給水流量が所定の流量に到達後、その給水流量を維持し、所定時間循環を継続させる(図7の(3)参照)。
所定時間は、ボイラ水が、主系統内を少なくとも1周、好ましくは2周する時間である。ボイラ水が主系統内を少なくとも1周する時間は、主系統内の保有水量/循環流量から算出できる。
所定時間の循環が終了した後、主系統からの給水流量を、従来値まで下げる(図7の(4)参照)。従来値とは、そのボイラシステムで従来設定されていた給水流量である。
その後、主系統からの給水は、従来値の給水流量を維持した状態で継続し、強制冷却完了温度に到達するまで冷却する(図7の(5)および(6)参照)。強制冷却完了温度に到達した後、主系統からの給水流量を下げ、最終的には主系統内における循環を停止する。
再循環系統を循環するボイラ水は、主系統を循環するボイラ水よりも相対的に温度が高い。上記実施形態によれば、再循環系統から給水することにより、強制冷却の初期段階で従来よりも給水流量を高く設定できる。その結果、ウォーターハンマーの発生を回避しつつ、パウダースケールの除去効率も高くできる。
再循環系統から給水している間、ボイラ2は徐々に冷却されている。ボイラ出口のボイラ水温度が所定温度に到達した後、主系統からの給水を開始することで、さらに給水流量が増加してパウダースケールの除去効率が高まる、また、相対的に温度の低い主系統からの給水流量が増えると、ボイラ2の冷却効率も上げられる。
再循環系統を用いた循環の時間は、強制冷却完了温度に達するまでの時間を考慮して適宜設定できる。そのため強制冷却時間を過剰に延長させずに、パウダースケールの除去効率を高めることができる。
〔第3実施形態〕
本実施形態は、ボイラ2の入口と節炭器9との間で、ボイラ2に供給される水に気体を注入する工程を含む点が第1実施形態および第2実施形態と異なる。
図8に本実施形態に係るボイラシステムの概略構成図を示す。ボイラシステム100は、節炭器9とボイラ2とをつなぐ第3給水配管37に接続された気体注入部101を備えている。他の構成は、第1実施形態と同様である。
気体注入部101は、節炭器9からボイラ2に供給される給水Fに対して気体を注入する。気体の注入方法は、特に限定されないが、一例として、圧入式やエジェクタ式が挙げられる。
注入する気体は、ボイラシステム100を構成する部材(配管および蒸発管等)の腐食が生じにくいガスであればよい。注入する気体は、例えば、不活性ガスであってよい。不活性ガスは、窒素ガスおよび炭酸ガスなどである。不活性ガスを用いた場合、強制冷却時における配管および蒸発管等の腐食を抑制できる。
気体の注入量は、パウダースケールが付着している蒸発管の内面に水膜が形成され、洗浄効果が低下しないように、給水流量、蒸発管のサイズおよび形状等に応じて設定される。気体の注入量は、気体混合後の給水で気体が20体積%以下となるように設定するとよい。
気体を注入しなかった場合と比較し、10体積%の窒素ガスを注入した場合は約4倍、20体積%の窒素ガスを注入した場合は7倍以上、パウダースケール除去率を上昇させられることが試験により確認されている。
気体を注入することで、給水の流体力が上がる。これにより、パウダースケールを剥離除去させやすくなる。
〈付記〉
以上説明した実施形態に記載のボイラシステムの洗浄方法およびボイラシステムは、例えば以下のように把握される。
本開示は、ボイラ(2)と復水器(5)とが接続された主系統を備えたボイラシステムの洗浄方法であって、ボイラ出口におけるボイラ水の温度と、ボイラへの給水流量との関係に基づき、ウォーターハンマーが生じない給水条件を予め取得し、前記ボイラを停止した後、前記ボイラ出口におけるボイラ水の温度を測定し、前記ボイラ水を前記主系統内に循環させて強制冷却するとともに、測定した前記ボイラ水の温度に応じて、前記給水条件を満たす範囲で、前記ボイラへの給水流量を増加させ、増加後の流量で、前記ボイラ水を前記主系統内に所定時間循環させるボイラシステムの洗浄方法を提供する。
ボイラへの給水流量を増加させることで、伝熱管内面に付着・堆積した異物の除去が促進される。特に、酸素処理が適用されたボイラの伝熱管に発生するパウダースケールは、比較的密着力の小さい、1μm程度の粒子であり、液流によって容易に除去できる。ボイラへの給水流量を増加させることで、パウダースケールの除去が促進される。
通常、パウダースケールの下には、硬質スケールがある。硬質スケールは、母材が自己酸化して生成された、緻密で熱伝導率の高いスケール(マグネタイトスケール)である。硬質スケールは、加熱されると成長する性質を有する。パウダースケールは、硬質スケールよりも熱伝導率が小さい。熱伝導率が小さいパウダースケールがわずかでも硬質スケールに付着すると、母材温度が上昇し、硬質スケールを成長させる。このため、パウダースケールを除去することで、硬質スケールの成長を鈍化させられる。これにより、化学薬品を用いた洗浄のインターバルを延伸できる。
ボイラ出口におけるボイラ水の温度を測定し、この測定結果に応じて給水流量を変化させる。ボイラ停止直後のボイラ内は高温である。一方、ボイラへ供給される給水の温度はボイラ内の温度よりも低い。ボイラ出口のボイラ水とボイラ入口の給水との温度差が大きい状態で給水流量を増加させると、ウォーターハンマーが発生するリスクが高い。ボイラ出口におけるボイラ水の温度が下がれば、温度差が小さくなり、ウォーターハンマーが発生しない給水流量の上限も上がる。上記開示では、測定によりボイラ出口のボイラ水温度を把握し、ボイラ水温度に応じて主給水の流量を上げることで、従来法では想定していなかった値まで給水流量を増加させることができる。給水流量を増加させ、ボイラ水として所定時間循環させることで、パウダースケールの除去を促進させるとともに、ボイラの強制冷却を促進させることもできる。
ボイラ停止後の強制冷却とともに、パウダースケールの除去を行うことで、ボイラシステムを再起動する際に、クリーンアップ時間を短縮できる。
復水脱塩装置を備えたボイラシステムでは、通常、ボイラ停止後、再起動されるまでの間に、復水脱塩装置の樹脂を再生する操作が行われる。強制冷却は、再生操作の前の工程である。上記開示によれば、ボイラ停止後の強制冷却時にパウダースケールを除去するため、仮に、ボイラから排出されたパウダースケールが主系統内での循環にともなって復水脱塩装置の樹脂に付着したとしても、後の再生操作で除去できる。よって、起動時のクリーンアップが長引く懸念はない。
ボイラシステムの停止作業として、ボイラ停止後の強制冷却は従来から実施されている。上記開示では、強制冷却の際のボイラ水の循環を利用してパウダースケールを除去するため、従来よりもクリーンアップ時の補給水量および排水量を低減できる。
上記開示の一態様において、前記ボイラシステムは、前記ボイラ出口から排出されたボイラ水を、前記復水器を経由させないで、直接、前記ボイラに循環させる再循環系統を備え、前記ボイラ水を前記再循環系統内に循環させるとともに、測定した前記ボイラ水の温度に応じて、前記給水条件を満たす範囲で、前記ボイラへの給水流量を増加させた後、前記主系統への循環を開始してもよい。
再循環系統では、ボイラ出口から排出されたボイラ水が、復水器等を経由せずに、直接ボイラ入口に戻る。このため、再循環系統を通ってボイラへ供給される給水は、主系統から供給される給水よりも温度が高い。相対的に温度の高い給水を先にボイラ内に供給することで、ウォーターハンマーの発生を回避しつつ、早い段階で給水流量を増加させることが可能となる。これにより、強制冷却の初期段階からパウダースケールの除去を促進させられる。
上記開示の一態様では、再循環系統を通った給水をボイラ内に供給するが、その後、相対的に温度の低い主系統を通った給水をボイラに供給する。それにより、相対的に温度の高い水を用いることによる冷却効率の低下を最小限にとどめたボイラの強制冷却が可能となる。
上記開示の一態様において、前記再循環系統からの給水を継続しつつ、前記主系統からも給水することが好ましい。
再循環系統からの給水を継続することで、ボイラ内を通過する流体の流量は、主系統からの給水流量よりも大きくなる。これにより、流体力が向上し、パウダースケールの除去効率が向上する。
上記開示の一態様において、前記ボイラシステムは、前記ボイラの入口側に接続された節炭器(9)を有し、前記ボイラ水の循環において、前記節炭器と前記ボイラの入口との間で給水に気体を注入してもよい。
前記節炭器と前記ボイラの入口との間で給水に注入された気体は、給水とともにボイラ内へ供給される。これにより、気液二相状態のガス混合水がボイラ内を流れる。ガス混合水が流通する際に、ガス層の前側(流通方向における前側)において、圧力上昇が発生する。このため、ガス層の前側において、パウダースケールの剥離効果を促進することができる。ガス層の後ろ側では、圧力が低下する。このため、ガス層の後ろ側において、剥離したパウダースケールを巻き込むことができるので、パウダースケールの除去効果を促進することができる。したがって、水のみを流通させる場合と比較して、パウダースケールの除去効率を向上させることができる。よって、パウダースケールの除去率を向上させることができる。
上記開示の一態様では、前記ボイラ水の循環において、循環流量を変動させることができる。
循環流量を変動させることで、流体力が変動し、パウダースケールの排出を促すことができる。
上記開示の一態様において、前記所定時間は、前記ボイラ水が主系統内を少なくとも1周する時間であってよい。
ボイラ水が主系統内を1周する時間は、主系統内の保有水量/循環流量の式から算出できる。主給水の流量を増加させると、循環流量も増加する。所定流量まで増加させた後、ボイラ水が主系統内を最低1回、好ましくは2回循環させることで、冷却効率およびパウダースケールの除去効率の高い状態で、ボイラの強制冷却およびパウダースケールの除去を実施できる。これにより、流量を増加させなかった場合と比較して、冷却およびパウダースケール除去に要する時間を短縮できる。
上記開示の一態様では、前記強制冷却において、前記ボイラ水の降温レートは、220℃/hr以下であってよい。
ボイラ水の降温レートが220℃/hr以下となるよう冷却することで、急激な温度差に起因する熱応力の繰り返しによるボイラの寿命低減を抑制できると共に、流量増加に起因したウォーターハンマーの発生をより確実に抑制できる。
本開示は、ボイラおよび復水器が接続された主系統と、前記主系統に設けられ、前記ボイラへの給水流量を調節する流量調節部(11,36,26,28)と、前記ボイラの出口に接続された温度計測器(10)と、前記温度計測器および前記流量調節部に電気的に接続され、前記温度計測器の計測結果に基づき、前記流量調節部での給水流量を制御する制御部(12)と、を備え、前記制御部は、ボイラ出口におけるボイラ水の温度と、ボイラへの給水流量との関係に基づくウォーターハンマーが生じない給水条件が格納された格納部(12-1)と、前記温度計測器の計測結果を受信する受信部(12-2)と、受信した前記計測結果を、前記格納部に格納された前記給水条件に照らし合わせて、前記給水条件を満たす給水流量を決定する流量決定部(12-3)と、決定した前記給水流量の情報を前記流量調節部に送信して、前記流量調節部における給水流量の調節を制御する送信部(12-4)と、を有するボイラシステムを提供する。
上記開示の一態様において、ボイラシステム(101)の前記主系統は、節炭器を含み、前記節炭器と前記ボイラの入口との間に接続され、前記ボイラへの給水に気体を注入する気体注入部(101)を備えてもよい。
1,100 ボイラシステム
2 ボイラ
3 汽水分離器
4 汽水分離器ドレンタンク
5 復水器
6 復水脱塩装置
7A 低圧給水加熱器
7B 高圧給水加熱器
8 脱気器
9 節炭器
10 温度計測器
11 流量計測器
12 制御部
12-1 格納部
12-2 受信部
12-3 流量決定部
12-4 送信部
21 ボイラ出口配管
22 第1ドレン配管
23 ボイラ循環配管
24 第2給水配管
25 ボイラ循環ポンプ(BCP)
26 ボイラ再循環流量調節(BR)弁
27 第2ドレン配管
28 汽水分離器ドレン調節(WDC)弁
29 第1復水配管
30 復水ポンプ(CP)
31 第2復水配管
32 復水ブースタポンプ(CBP)
33 第3復水配管
34 第1給水配管
35 ボイラ給水ポンプ(BFP)
36 給水流量調節弁
37 第3給水配管
101 気体注入部

Claims (9)

  1. ボイラと復水器とが接続された主系統を備えたボイラシステムの洗浄方法であって、
    ボイラ出口におけるボイラ水の温度と、前記ボイラへの給水流量との関係に基づき、ウォーターハンマーが生じない給水条件を予め取得し、
    前記ボイラを停止した後、前記ボイラ出口における前記ボイラ水の温度を測定し、
    前記ボイラ水を前記主系統内に循環させて強制冷却するとともに、測定した前記ボイラ水の温度に応じて、前記給水条件を満たす範囲で、前記ボイラへの給水流量を増加させ、
    増加後の流量で、前記ボイラ水を前記主系統内に所定時間循環させるボイラシステムの洗浄方法。
  2. 前記ボイラシステムは、前記ボイラ出口から排出された前記ボイラ水を、前記復水器を経由させないで、直接、前記ボイラに循環させる再循環系統を備え、
    前記ボイラ水を前記再循環系統内に循環させるとともに、測定した前記ボイラ水の温度に応じて、前記給水条件を満たす範囲で、前記ボイラへの給水流量を増加させた後、前記主系統への循環を開始する請求項1に記載のボイラシステムの洗浄方法。
  3. 前記再循環系統からの給水を継続しつつ、前記主系統からも給水する請求項2に記載のボイラシステムの洗浄方法。
  4. 前記ボイラシステムは、前記ボイラの入口側に接続された節炭器を有し、
    前記ボイラ水の循環において、前記節炭器と前記ボイラの入口との間で給水に気体を注入する請求項1~3のいずれかに記載のボイラシステムの洗浄方法。
  5. 前記ボイラ水の循環において、循環流量を変動させる請求項1~4のいずれかに記載のボイラシステムの洗浄方法。
  6. 前記所定時間は、前記ボイラ水が前記主系統内を少なくとも1周する時間である請求項1~5のいずれかに記載のボイラシステムの洗浄方法。
  7. 前記強制冷却において、前記ボイラ水の降温レートは、220℃/hr以下である請求項1~6のいずれかに記載のボイラシステムの洗浄方法。
  8. ボイラおよび復水器が接続された主系統と、
    前記主系統に設けられ、前記ボイラへの給水流量を調節する流量調節部と、
    前記ボイラの出口に接続された温度計測器と、
    前記温度計測器および前記流量調節部に電気的に接続され、前記温度計測器の計測結果に基づき、前記流量調節部での給水流量を制御する制御部と、
    を備え、前記制御部は、
    ボイラ出口におけるボイラ水の温度と、前記ボイラへの給水流量との関係に基づくウォーターハンマーが生じない給水条件が格納された格納部と、
    前記温度計測器の計測結果を受信する受信部と、
    受信した前記計測結果を、前記格納部に格納された前記給水条件に照らし合わせて、前記給水条件を満たす給水流量を決定する流量決定部と、
    決定した前記給水流量の情報を前記流量調節部に送信して、前記流量調節部における給水流量の調節を制御する送信部と、
    を有するボイラシステム。
  9. 前記主系統は、節炭器を含み、
    前記節炭器と前記ボイラの入口との間に接続され、前記ボイラへの給水に気体を注入する気体注入部を備える請求項8に記載のボイラシステム。
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CN116293635A (zh) * 2023-03-30 2023-06-23 浙江合泰热电有限公司 一种结合酸洗和烘炉方法

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