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JP2023055946A - 空気調和機 - Google Patents

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JP2023055946A
JP2023055946A JP2023018579A JP2023018579A JP2023055946A JP 2023055946 A JP2023055946 A JP 2023055946A JP 2023018579 A JP2023018579 A JP 2023018579A JP 2023018579 A JP2023018579 A JP 2023018579A JP 2023055946 A JP2023055946 A JP 2023055946A
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元輝 高木
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Daikin Industries Ltd
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Abstract

【課題】ある室内機での洗浄運転の要求と、別の室内機での暖房運転の要求とが同時にあったとき、ユーザの暖房運転に対する要求を満たす。【解決手段】B室の室内機での暖房運転が要求されたときに、A室の室内機が冷房運転を実行中であれば(S12:YES)、A室の室内機での冷房運転を継続し、B室の室内機での暖房運転を実行しない(S13)。A室の室内機が洗浄運転を実行中であれば(S14:YES)、A室の室内機での洗浄運転を中断し、B室の室内機での暖房運転を開始する(S15)。【選択図】図5

Description

本開示は、空気調和機に関する。
空気中の水分を室内熱交換器の表面に結露又は着霜させ、その水分で室内熱交換器を洗浄処理する空気調和機が知られている。また、特許文献1には、1台の室外機と複数台の室内機とを有するマルチ型空気調和機において、所定の条件が成立すると、複数の室内熱交換器での洗浄処理を行う時間帯の少なくとも一部を重ねるようにすることが開示されている。
特許第6786019号公報
特許文献1には、複数の室内熱交換器で洗浄処理(洗浄運転)中である場合に、その中の一台の室内機に空調運転の指令があれば、複数の室内熱交換器での洗浄運転を中止し、指令を受けた室内機の空調運転を実行することが開示されている。しかし、特許文献1には、ある室内機での洗浄運転と、別の室内機での暖房運転とを同時に実行させる要求があったときの制御について何ら開示されていない。このような場合、室内熱交換器を蒸発器として機能させる洗浄運転と、室内熱交換器を凝縮器として機能させる暖房運転とを同時に実行できないため、洗浄運転を実行すると、ユーザの暖房運転に対する要求を満たすことができない。
本開示の目的は、ある室内機での洗浄運転の要求と、別の室内機での暖房運転の要求とが同時にあったとき、ユーザの暖房運転に対する要求を満たすことができる空気調和機を提供することである。
本開示に係る空調室内機は、室外機、室内熱交換器を含む第1室内機、及び、室内熱交換器を含む第2室内機が冷媒配管を介して接続された冷媒回路と、制御部とを備えた空気調和機であって、前記制御部は、前記室内熱交換器を蒸発器として機能させて前記室内熱交換器を洗浄することを含む洗浄運転、及び、前記室内熱交換器を凝縮器として機能させる暖房運転を実行可能であり、前記第1室内機での前記洗浄運転の要求と前記第2室内機での前記暖房運転の要求とが同時にあったとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を実行せずに前記第2室内機での前記暖房運転を実行する。
本開示によると、第2室内機での暖房運転を実行することにより、ユーザの空調運転への要望を満たすことができる。
本開示において、「前記第1室内機での前記洗浄運転の要求と前記第2室内機での前記暖房運転の要求とが同時にあったとき」は、第1室内機での洗浄運転が先に要求された場合、第2室内機での暖房運転が先に要求された場合、及び、第1室内機での洗浄運転と第2室内機での暖房運転とが同時に要求された場合をすべて含むものとする。
本開示の空気調和機において、前記制御部は、前記室内熱交換器を蒸発器として機能させる冷房運転を実行可能であり、前記第1室内機での前記冷房運転の要求と前記第2室内機での前記暖房運転の要求とが同時にあったとき、前記第2室内機での前記暖房運転を実行せずに前記第1室内機での前記冷房運転を実行可能であってよい。
本開示の空気調和機において、前記制御部は、空調運転として、前記暖房運転と、前記室内熱交換器を蒸発器として機能させる冷房運転とを実行可能であり、前記制御部は、前記空調運転の要求及び前記洗浄運転の要求を運転要求としたとき、前記第1室内機での前記空調運転又は前記洗浄運転の要求と前記第2室内機での前記空調運転又は前記洗浄運転の要求とが同時にあったとき、前記第1室内機での前記運転要求及び前記第2室内機での前記運転要求のうちで先に行われた前記運転要求に係る運転を優先して実行する第1モード、及び、後に行われた前記運転要求に係る運転を優先して実行する第2モードでの動作が可能であってよい。
このとき、前記制御部は、前記第1モードで動作している場合において、前記第1室内機での前記洗浄運転中に前記第2室内機での前記暖房運転が要求されたとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を中断して前記第2室内機での前記暖房運転を実行してよい。
また、前記制御部は、前記第1モードで動作している場合において、前記第2室内機での前記暖房運転中に前記第1室内機での前記洗浄運転が要求されたとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を実行せずに前記第2室内機での前記暖房運転を継続してよい。
また、前記制御部は、前記第2モードで動作している場合において、前記第2室内機での前記暖房運転中に前記第1室内機での前記洗浄運転中が要求されたとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を実行せずに前記第2室内機での前記暖房運転を継続してよい。
また、前記制御部は、前記第2モードで動作している場合において、前記第1室内機での前記洗浄運転中に前記第2室内機での前記暖房運転が要求されたとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を中断して前記第2室内機での前記暖房運転を実行してよい。
本開示の空気調和機において、前記制御部は、空調運転として、前記室内熱交換器を凝縮器として機能させる暖房運転と、前記室内熱交換器を蒸発器として機能させる冷房運転とを実行可能であり、前記制御部は、前記空調運転の要求及び前記洗浄運転の要求を運転要求としたとき、前記第1室内機での前記空調運転又は前記洗浄運転の要求と前記第2室内機での前記空調運転又は前記洗浄運転の要求とが同時にあったとき、前記第1室内機での前記運転要求に係る運転を優先して実行する第3モード、及び、前記第2室内機での前記運転要求に係る運転を優先して実行する第4モードでの動作が可能であってよい。
このとき、前記制御部は、前記第3モードで動作している場合において、前記第1室内機での前記洗浄運転中に前記第2室内機での前記暖房運転が要求されたとき、前記第1室内機での洗浄運転を中断して前記第2室内機での暖房運転を実行し、前記第2室内機での前記暖房運転中に前記第1室内機での前記洗浄運転中が要求されたとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を実行せずに前記第2室内機での暖房運転を継続してよい。
また、前記制御部は、前記第4モードで動作している場合において、前記第1室内機での前記洗浄運転中に前記第2室内機での前記暖房運転が要求されたとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を中断して前記第2室内機での前記暖房運転を実行し、前記第2室内機での前記暖房運転中に前記第1室内機での前記洗浄運転中が要求されたとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を実行せずに前記第2室内機での前記暖房運転を継続してよい。
本開示の空気調和機において、前記制御部は、空調運転として、前記暖房運転と、前記室内熱交換器を蒸発器として機能させる冷房運転とを実行可能であり、前記制御部は、前記空調運転の要求及び前記洗浄運転の要求を運転要求としたとき、前記第1室内機での前記空調運転又は前記洗浄運転の要求と前記第2室内機での前記空調運転又は前記洗浄運転の要求とが同時にあったとき、前記第1室内機での前記運転要求及び前記第2室内機での前記運転要求のうちで先に行われた前記運転要求に係る運転を優先して実行する第1モード、後に行われた前記運転要求に係る運転を優先して実行する第2モード、前記第1室内機での前記運転要求に係る運転を優先して実行する第3モード、及び、前記第2室内機での前記運転要求に係る運転を優先して実行する第4モードでの動作が可能であってよい。
このとき、前記制御部は、前記第1モード且つ前記第4モードで動作している場合において、前記第1室内機での前記洗浄運転中に前記第2室内機での前記暖房運転が要求されたとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を中断して前記第2室内機での前記暖房運転を実行し、前記第2室内機での前記暖房運転中に前記第1室内機での前記洗浄運転が要求されたとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を実行せずに前記第2室内機での前記暖房運転を継続してよい。
また、前記制御部は、前記第2モード且つ前記第3モードで動作している場合において、前記第1室内機での前記洗浄運転中に前記第2室内機での前記暖房運転が要求されたとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を中断して前記第2室内機での前記暖房運転を実行し、前記第2室内機での前記暖房運転中に前記第1室内機での前記洗浄運転が要求されたとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を実行せずに前記第2室内機での前記暖房運転を継続してよい。
また、前記制御部は、前記第1モード且つ前記第3モードで動作している場合において、前記第1室内機での前記洗浄運転中に前記第2室内機での前記暖房運転が要求されたとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を中断して前記第2室内機での前記暖房運転を実行し、前記第2室内機での前記暖房運転中に前記第1室内機での前記洗浄運転が要求されたとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を実行せずに前記第2室内機での前記暖房運転を継続してよい。
また、前記制御部は、前記第2モード且つ前記第4モードで動作している場合において、前記第1室内機での前記洗浄運転中に前記第2室内機での前記暖房運転が要求されたとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を中断して前記第2室内機での暖房運転を実行し、前記第2室内機での前記暖房運転中に前記第1室内機での前記洗浄運転が要求されたとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を実行せずに前記第2室内機での前記暖房運転を継続してよい。
本開示の一実施形態に係るマルチ型空気調和機の構成図である。 図1に示す室内機の斜め下方から見た外観図である。 図1に示すマルチ型空気調和機のブロック図である。 洗浄運転のフローチャートである。 図1に示すマルチ型空気調和機において、暖房運転の要求があったときの動作を説明するフローチャートである。 図1に示すマルチ型空気調和機において、洗浄運転の要求があったときの動作を説明するフローチャートである。
(全体構造)
以下、本開示の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1には、本開示の一実施形態に係るマルチ型空気調和機1の構成図が示されている。マルチ型空気調和機1は、図1に示すように、室外機10と、3つの室内機20A、20B、20Cとが、冷媒が通過する冷媒配管を介して接続された冷媒回路3を含んでいる。室内機20Aは、室内熱交換器24A及び室内ファン25Aを有している。室内機20Bは、室内熱交換器24B及び室内ファン25Bを有している。室内機20Cは、室内熱交換器24C及び室内ファン25Cを有している。なお、本実施形態では、室内機を3台としているが、室内機の台数は2台以上の任意の数とすることができる。また、以下の説明において、室内機20Aが設置された部屋をA室、20Bが設置された部屋をB室、20Cが設置された部屋をC室と称することとする。
室外機10は、圧縮機11と、四路切換弁12と、室外熱交換器13と、室外ファン15と、アキュムレータ16と、3つの電動膨脹弁EVA、EVB、EVCとを含んでいる。四路切換弁12の4つのポートの1つが圧縮機11の吐出側に接続され、別の1つが室外熱交換器13の一端に接続され、さらに別の1つがアキュムレータ16の一端に接続され、さらに別の1つが3つの冷媒配管接続部18A、18B、18Cを介して3つの室内熱交換器24A、24B、24Cの一端に接続されている。室外熱交換器13の他端は、3つの電動膨脹弁EVA、EVB、EVCの一端に接続されている。3つの電動膨脹弁EVA、EVB、EVCの他端は、それぞれ、3つの冷媒配管接続部17A、17B、17Cを介して、3つの室内熱交換器24A、24B、24Cの他端に接続されている。アキュムレータ16の他端は、圧縮機11の吸入側に接続されている。室内熱交換器24A、24B、24Cの近傍には、室内ファン25A、25B、25Cがそれぞれ配置されている。室内ファン25Aは、室内ファンモータ26A(図3参照)によって駆動される。室内ファン25B、25Cも、それぞれ図示しない室内ファンモータによって駆動される。
冷媒回路3においては、圧縮機11と、四路切換弁12と、室外熱交換器13と、電動膨脹弁EVA、EVB、EVCと、室内熱交換器24A、24B、24Cと、アキュムレータ16とが、冷媒配管によって接続されている。この冷媒回路3には、冷媒として例えば微燃性のR32が用いられている。
圧縮機11の吐出側には、吐出管温度センサ31が配置されている。また、室外熱交換器13には室外熱交換器温度を検出する室外熱交換器温度センサ32が配置されていると共に、室外熱交換器13の近傍には室外温度を検出する室外温度センサ33が配置されている。
室内熱交換器24Aには、室内熱交換器温度を検出する室内熱交換器温度センサ45Aが配置され、室内熱交換器24Aの近傍には、室内温度を検出する室内温度センサ46A及び室内湿度を検出する室内湿度センサ47Aが配置されている。室内熱交換器24Bには、室内熱交換器温度を検出する室内熱交換器温度センサ45Bが配置され、室内熱交換器24Bの近傍には、室内温度を検出する室内温度センサ46B及び室内湿度を検出する室内湿度センサ47Bが配置されている。また、室内熱交換器24Cには、室内熱交換器温度を検出する室内熱交換器温度センサ45Cが配置され、室内熱交換器24Cの近傍には、室内温度を検出する室内温度センサ46C及び室内湿度を検出する室内湿度センサ47Cが配置されている。
図2は、室内機20Aを斜め下方から見た斜視図である。室内機20Aは、天井カセットタイプ(天井埋め込み型)の室内機である。なお、本実施形態において、3つの室内機20A、20B、20Cはすべて天井カセットタイプの室内機であるが、一部又は全部が壁掛型や床置き型の室内機であってもよい。
室内機20Aは、図2に示すように、ケーシング本体101と、ケーシング本体101の下側に取り付けられた矩形状のパネル102と、パネル102に着脱可能に取り付けられたグリル103とを含んでいる。なお、図2では図示省略しているが、パネル102の表面には、発光ダイオード(LED)を有しており、光や文字、図形などによってユーザへの報知を行う表示部28A(図3参照)が設けられている。
パネル102の長手方向の一方に、パネル102の短辺に沿って吹出口110が設けられている。また、パネル102には、フラップ120が取り付けられている。フラップ120は、フラップ駆動モータ27A(図3参照)によって駆動されることで所定角度範囲内でパネル102に対して回転可能であり、これによって吹出口110を開閉できる。図3は、フラップ120により吹出口110が閉じられた状態を示す。
ケーシング本体101の側壁からは、ドレンソケット107が突出している。ドレンソケット107には外部からドレンホース(図示せず)が接続される。さらに、ケーシング本体101の側壁からは、配管接続部105、106が突出している。配管接続部105、106には、外部から冷媒配管(図示せず)が接続される。ケーシング本体101からは、吊り金具111~113が側方に突出している。また、ケーシング本体101の近傍には、電装品部108が配置されている。
(制御系統)
次に、マルチ型空気調和機1の制御系統について説明する。図3は、本実施形態に係る空気調和機1のブロック図である。なお、本実施形態において3台の室内機20A、20B、20Cは同じ構造を有しているため、ここでは室内機20Aを中心に説明することとする。また、図3において室内機20B、20Cの図示を簡略化している。
室外機10は、演算装置と記憶装置とを含むマイクロコンピュータ及び入出力回路などからなる室外制御部51を含んでいる。室内機20A、20B、20Cは、それぞれ、演算装置と記憶装置とを含むマイクロコンピュータ及び入出力回路などからなる室内制御部52A、52B、52Cを含んでいる。室外制御部51と室内制御部52Aとは通信線LAによって接続され、室外制御部51と室内制御部52Bとは通信線LBによって接続され、室外制御部51と室内制御部52Cとは通信線LCによって接続されている。室外制御部51と3つの室内制御部52A、52B、52Cとが通信線LA、LB、LCを介して通信を行うことによって、室外制御部51及び室内制御部52A、52B、52Cがマルチ型空気調和機1の制御部50として動作する。
室外制御部51には、吐出管温度センサ31、室外熱交換器温度センサ32、及び、室外温度センサ33からの温度検出信号が供給される。また、室外制御部51は、圧縮機11、四路切換弁12、室外ファンモータ14、及び、電動膨脹弁EVA、EVB、EVCなどを制御する。
室内制御部52Aには、室内熱交換器温度センサ45A、室内温度センサ46A及び室内湿度センサ47Aからの検出信号が供給される。また、室内制御部52Aは、室内ファンモータ26A、フラップ駆動モータ27A、表示部28A及び通信ユニット29Aなどを制御する。通信ユニット29Aは、ユーザによる操作可能な図示しないリモートコントローラ(以下、「リモコン」と言う)との間で無線通信を行う。制御部50は、リモコンからの指令を受けて空気調和機1の動作を制御する。リモコンは液晶表示ユニット又は発光ダイオード(LED)を有しており、光や文字、図形などによってユーザへの報知を行うことができる。
本実施形態に係るマルチ型空気調和機1において、制御部50は、各室内機において、冷房運転及び暖房運転を含む空調運転、室内ファン25A、25B、25Cを回転させる送風運転のほか、後述する洗浄運転を実行できる。
本実施形態に係るマルチ型空気調和機1において、室内機20Aで冷房運転を行う場合、室外制御部51は、四路切換弁12を図1に示す点線の位置に切り換えて、圧縮機11の運転を開始する。このとき、室外制御部51は、電動膨脹弁EVAを所定の開度に開く一方で、電動膨脹弁EVB、EVCは閉じた状態とする。そして、圧縮機11から吐出した高温高圧のガス冷媒は、室外制御部51が室外ファン15を回転させることで、凝縮器として機能する室外熱交換器13において室外空気との熱交換により凝縮して液冷媒となる。次に、室外熱交換器13からの液冷媒は、電動膨脹弁EVAで減圧された後、室内熱交換器24Aに到達する。室内制御部52Aが室内ファン25Aを運転することで、減圧された液冷媒は、蒸発器として機能する室内熱交換器24Aにおいて室内空気との熱交換により蒸発してガス冷媒となり、圧縮機11の吸入側に戻る。また、室内制御部52Aがフラップ120を吹出口110が開く位置に移動させることにより、室内熱交換器24Aによって冷やされた空気が吹出口110から排出される。
一方、室内機20Aで暖房運転を行う場合、室外制御部51は、四路切換弁2を図1に示す実線の位置に切り換えて、圧縮機11の運転を開始する。このとき、室外制御部51は、すべての電動膨脹弁EVA、EVB、EVCをそれぞれ所定の開度に開く。したがって、室内機20Aで暖房運転を行うと、それ以外の室内機20B、20Cにも高温冷媒が流れ込む。これは暖房運転を実行しない室内機20B、20C及びその前後の冷媒配管内に冷媒が滞留しないようにするためである。そして、圧縮機11から吐出した高温高圧のガス冷媒は、室内制御部52Aが室内ファン25Aを運転することで、凝縮器として機能する室内熱交換器24Aで室内空気との熱交換により凝縮して液冷媒となる。次に、室内熱交換器24A、24B、24Cからの冷媒は、電動膨脹弁EVA、EVB、EVCで減圧された後、室外熱交換器13に到達する。室外制御部51が室外ファン15を回転させることで、減圧された冷媒は、蒸発器として機能する室外熱交換器13において室外空気との熱交換により蒸発してガス冷媒となり、圧縮機11の吸入側に戻る。また、室内制御部52Aがフラップ120を吹出口110が開く位置に移動させることにより、室内熱交換器24Aによって暖められた空気が吹出口110から排出される。
制御部50による室外機10及び室内機20A、20B、20Cの制御内容は、リモコンからの指令によって変更される。ユーザは、リモコンを操作することで、暖房運転と冷房運転の選択、運転開始、運転停止、室内温度及び風量の設定、洗浄運転の開始と停止をマルチ型空気調和機1に対して要求できる。
(洗浄運転)
次に、本実施形態においてマルチ型空気調和機1が実行する洗浄運転の詳細について、図4をさらに参照しつつ説明する。なお、以下の説明は、すべての室内機が運転を停止した状態で1台の室内機20Aに対して洗浄運転が要求され、洗浄運転が終了するまで他の室内機20B、20Cに対して空調運転が要求されないことを前提としている。
まず、室内機20Aのリモコンが操作されて、室内機20Aに対して洗浄運転が要求されると、ステップS1において、制御部50は、洗浄運転の蒸発器フェーズを実行する。詳細には、四路切換弁12を図1に示す点線の位置に切り換えて圧縮機11の運転を開始する。また、制御部50は、室内ファンモータ26Aを駆動して室内ファン25Aを所定回転数で回転させ、フラップ駆動モータ27Aを駆動してフラップ120を吹出口110が開く位置に移動させる。このとき、制御部50は、電動膨脹弁EVAを所定の開度に開く一方で、電動膨脹弁EVB、EVCは閉じた状態とする。これによって、冷房運転時と同様に、室内熱交換器24Aが蒸発器として機能し、洗浄運転の蒸発器フェーズが開始する。室内熱交換器24Aの温度が0℃よりも高く露点温度以下になると、室内熱交換器24Aの表面に空気中の水分が結露し始める。この結露水によって室内熱交換器24Aの表面に付着した汚れを洗浄できる。なお、このとき室内熱交換器24Aの温度が氷点以下となるようにして、室内熱交換器24Aの表面に空気中の水分を着霜させてもよい。本実施形態において、蒸発器フェーズの長さは、所定時間としている。蒸発器フェーズの長さは、制御部50が環境条件(A室の室内温度と湿度、室外温度)から計算して求めた、洗浄に必要な量の水分が室内熱交換器24A上に結露するまでの時間であってもよい。蒸発器フェーズが終わると、制御部50は、圧縮機11の運転を停止させる。
次に、ステップS2において、制御部50は、洗浄運転の送風フェーズを実行する。詳細には、ステップS1から引き続いて、室内ファンモータ26Aを駆動して室内ファン25Aを回転させる。そして、フラップ120の位置をステップS1時と同じ位置に維持する。送風フェーズでは、圧縮機11が停止しているため、室内熱交換器24Aの温度が蒸発器フェーズにおける室内熱交換器24Aの温度よりも上昇している。そして、通常、室内熱交換器24Aの温度は露点温度を超える。室内ファン25Aを回転させることによって、室内熱交換器24A上に結露した水分の蒸発を促進できる。本実施形態において、室内ファン25Aの回転数及び送風時間(送風フェーズの長さ)は、一定値に固定されている。なお、送風フェーズでは、室内熱交換器24Aの温度が蒸発器フェーズにおける室内熱交換器24Aの温度よりも上昇していれば、圧縮機11を停止させなくてもよい。
ステップS3において、制御部50は、洗浄運転の凝縮器フェーズを実行する。詳細には、四路切換弁12を図1に示す実線の位置に切り換えて圧縮機11の運転を開始する。また、制御部50は、ステップS2から引き続いて、室内ファンモータ26Aを駆動して室内ファン25Aを所定回転数で回転させ、そして、フラップ120の位置をステップS1時と同じ位置に維持する。このとき、制御部50は、すべての電動膨脹弁EVA、EVB、EVCをそれぞれ所定の開度に開く。これによって、暖房運転時と同様に、室内熱交換器24Aが凝縮器として機能し、洗浄運転の凝縮器フェーズが開始する。凝縮器フェーズにおいては、室内熱交換器24Aの温度が送風フェーズにおける室内熱交換器24Aの温度よりも上昇している。そのため、室内熱交換器24Aの表面に残っている水分の蒸発をより一層促進できる。凝縮器フェーズの長さは、所定時間であってよい。凝縮器フェーズが終わると、制御部50は、圧縮機11及び室内ファン25Aを停止させ、フラップ駆動モータ27Aを駆動してフラップ120を吹出口110が閉じる位置に移動させる。なお、凝縮器フェーズは、例えばステップS2の送風フェーズを十分に長くした場合には省略できる。
(運転モード)
ここで、本実施形態に係るマルチ型空気調和機1において、2台以上の室内機に対して運転を実行させるような要求が同時にあった場合に、いずれを優先させるかについてのユーザが設定可能な運転モードについて説明する。「2台以上の室内機に対して運転を実行させるような要求が同時にあった場合」は、いずれかの室内機での運転が先に要求された場合と、2台以上の室内機での運転が同時に要求された場合との両方を含んでいる。なお、以下の説明において、空調運転の要求及び洗浄運転の要求を運転要求と称する。
マルチ型空気調和機1は、いずれの室内機を優先して運転するかに関して、以下に説明する第1から第5までの5つの運転モードを有している。第1モードは、いずれかの室内機20A、20B、20Cでの空調運転又は洗浄運転の要求と、別の室内機20A、20B、20Cでの空調運転又は洗浄運転の要求とが同時にあった場合、先に行われた要求に係る運転を優先して実行するモードであり、第2モードは、後に行われた要求に係る運転を優先して実行するモードである。ユーザは、リモコン又は図示しない集中操作盤などを操作して、第1モードと第2モードのいずれか一方だけを選択できる。例えば、前後する運転要求の一方が暖房運転を、他方が冷房運転を要求するものである場合は、第1モードにおいて後に行われた要求に係る運転を実行することはできない。しかし、前後する運転要求がいずれも冷房運転を要求するものである場合は、第1モードにおいて後に行われた要求に係る冷房運転を実行できる。
第3モードは、室内機20Aでの空調運転又は洗浄運転の要求と、別の室内機20B、20Cでの空調運転又は洗浄運転の要求とが同時にあった場合、室内機20Aでの運転を優先して実行するモードである。同様に、第4モードは、室内機20Bでの運転を優先して実行するモードであり、第5モードは、室内機20Cでの運転を優先して実行するモードである。ユーザは、リモコン又は図示しない集中操作盤などを操作して、第3モードと第4モードと第5モードのいずれか1つだけを選択できる。なお、例えば、第3モードにおいて、室内機20Aでの暖房運転の要求と、室内機20Bでの冷房運転の要求とがあった場合は、室内機20Aでの暖房運転を実行できるが、室内機20Bでの冷房運転を実行することはできない。しかし、第3モードにおいて、室内機20Aでの暖房運転の要求と、室内機20Bでの暖房運転の要求とがあった場合は、いずれの室内機での暖房運転も実行できる。
本実施形態のマルチ型空気調和機1が例えば第3モードで動作している場合に、先に運転要求された室内機20Bと、後から運転要求された室内機20Cとは、先に運転要求された室内機20Bが優先されるものとする。なお、このような場合、後から運転要求された室内機20Cを優先させてもよい。
本実施形態に係るマルチ型空気調和機1は、第1~第5モードのうちの1つのモードで動作可能であり、さらに第1モード及び第2モードから選択された1つのモードと、第3~第5モードから選択された1つのモードとの2つのモードでも動作できる。そして、もし第1モード及び第2モードから選択された1つのモードと、第3~第5モードから選択された1つのモードとの2つのモードとが衝突する場合、本実施形態においては第3~第5モードが優先される。例えば第1モード且つ第3モードで動作している場合において、先に室内機20Bの冷房運転が要求がされてから室内機20Aの暖房運転が要求された場合、第1モードに対して優先される第3モードの規則通り、室内機20Bの冷房運転を中断して室内機20Aの暖房運転を実行する。なお、このような場合、第1~第2モードを優先させてもよい。
(暖房運転要求時の動作)
次に、本実施形態に係るマルチ型空気調和機1において、B室に設置された室内機20Bでの暖房運転が要求されたときの動作について、図5のフローチャートをさらに参照して説明する。以下の各ステップは制御部50によって実行される。なお、以下の説明では、マルチ型空気調和機1が、第1モード且つ第3モードで動作しているとする。
室内機20Bでの暖房運転が要求されると、ステップS11において、制御部50は、A室及びC室に設置された室内機20A、20Cの少なくともいずれかが空調運転中又は洗浄運転中であるかを判断する。ステップS11において、制御部50は、室内機20Bでの暖房運転と、室内機20A、20Cの少なくともいずれかでの空調運転又は洗浄運転とが、同時に要求されたかについても判断する。ここでの「同時」は、同じ時刻に行われた場合だけではなく、室内機20A、20Cが空調運転又は洗浄運転の運転開始前の準備状態になっている場合も含む。なお、暖房運転が要求された時点で、室内機20Bは洗浄運転又は冷房運転を実行していてもよいし、いずれの運転も実行していなくてもよい。以下の説明においては、暖房運転が要求された時点で、室内機20Bはいずれの運転も実行していない休止状態であったと仮定している。
この条件に該当する場合(S11:YES)、制御部50は、ステップS12において、室内機20A、20Cの少なくともいずれかが冷房運転中であるかを判断する。ステップS12において、制御部50は、室内機20Bでの暖房運転と、室内機20A、20Cの少なくともいずれかでの冷房運転とが、同時に要求されたかについても判断する。ここでの「同時」は、同じ時刻に行われた場合だけではなく、室内機20A、20Cが冷房運転の運転開始前の準備状態になっている場合も含む。
この条件に該当する場合(S12:YES)、ステップS13に進む。以下では、室内機20Cは休止状態で運転されておらず、室内機20Aだけが運転中であると仮定して説明する。上述したように、マルチ型空気調和機1において第1モード、つまり先に要求された運転を優先させる「先押し優先モード」が有効である。また、第3モードにおいて優先される室内機20Aが冷房運転を実行している。したがって、制御部50は、第1モード及び第3モードの規則通り、室内機20Aでの冷房運転を継続する。もし、室内機20Bでの暖房運転と、室内機20Aでの冷房運転とが同時に要求されたのであれば、第3モードの規則通り、ステップS13において、制御部50は、室内機20Aでの冷房運転を開始する。マルチ型空気調和機1は、室内機20Aでの冷房運転を実行しつつ次の指示を待機する状態(以下において「冷房運転状態」と称する)を維持する又は冷房運転状態となる。この場合、室内機20Bでの暖房運転を実行できないので、制御部50は、ステップS13において、B室の室内機20Bの表示部又はリモコンにより、「他室とのモードバッティングにより暖房運転できない」旨の表示によるユーザへの報知を行う。
ステップS12の条件に該当しない場合(S12:NO)、ステップS14に進む。制御部50は、ステップS14において、室内機20A、20Cの少なくともいずれかが洗浄運転の蒸発器フェーズ若しくは送風フェーズの実行中又は送風運転中であるかを判断する。ステップS14において、制御部50は、室内機20Bでの暖房運転と、室内機20A、20Cの少なくともいずれかでの冷房運転以外の運転とが、同時に要求されたかについても判断する。ここでの「同時」は、同じ時刻に行われた場合だけではなく、室内機20A、20Cが冷房運転以外の運転開始前の準備状態になっている場合も含む。
この条件に該当する場合(S14:YES)、制御部50は、ステップS15において、第1モード及び第3モードの規則に反し、室内機20Aの運転を中断し、室内機20Bの暖房運転を開始する。もし室内機20Bでの暖房運転と、室内機20Aでの洗浄運転又は送風運転とが同時に要求されたのであれば、第3モードの規則に反して、室内機20Aの運転を実行せず、室内機20Bの暖房運転を開始する。詳細には、四路切換弁2を図1に示す実線の位置に切り換え、すべての電動膨脹弁EVA、EVB、EVCをそれぞれ所定の開度に開く。これによって、室外機10からの冷媒が、3つの室内機20A、20B、20Cの室内熱交換器24A、24B、24Cを流れる。また、圧縮機11の回転数、室外ファン15の回転数、室内ファン25Bの回転数を室内機20Bでの暖房負荷に合わせた値に調整し、室内機20Bのフラップ120を吹出口110が開く位置に移動させる。さらに、室内ファン25Aを停止させ、室内機20Aのフラップ120を吹出口110が閉じる位置に移動させる。これによって、マルチ型空気調和機1は、室内機20Bでの暖房運転を実行しつつ次の指示を待機する状態(以下において「暖房運転状態」と称する)となる。さらに、制御部50は、ステップS15において、A室の室内機20Aの表示部又はリモコンにより、「他室とのモードバッティングにより運転を中止する」旨の表示によるユーザへの報知を行う。なお、ステップS14において室内機20Aが送風フェーズの実行中及び送風運転中であるかを判断しているのは、上述のように室内機20Bの暖房運転の開始に伴って電動膨脹弁EVAが所定の開度に開くので、もし室内ファン25Aの回転を継続させると室内機20Aから暖気が排出されることになり、それを防止するためである。
ステップS14の条件に該当しない場合(S14:NO)、ステップS16に進む。このとき、室内機20Aは、洗浄運転の凝縮器フェーズの実行中又は暖房運転中である。制御部50は、ステップS16において、第1モード及び第3モードの規則通り、室内機20Aでの凝縮器フェーズ又は暖房運転をそのまま継続しつつ、室内機20Bでの暖房運転を開始する。詳細には、室内機20Bのフラップ120を吹出口110が開く位置に移動させる。また、必要であれば、圧縮機11の回転数及び電動膨脹弁EVBの開度を調整する。もし室内機20Bでの暖房運転と、室内機20Aでの暖房運転とが同時に要求されたのであれば、第3モードの規則通り、室内機20A及び室内機20Bでの暖房運転を開始する。
次に、ステップS17において、制御部50は、室内機20Aで洗浄運転の凝縮器フェーズが実行されているかを判断する。この条件に該当する場合(S17:YES)、ステップS18に進む。ステップS18において、制御部50は、室内機20Aにおける凝縮器フェーズの開始から所定時間が経過したときに、当該凝縮器フェーズを終了させる。詳細には、室内ファン25Aを停止させ、フラップ駆動モータ27Aを駆動してフラップ120を吹出口110が閉じる位置に移動させ、マルチ型空気調和機1を暖房運転状態とする。ステップS17の条件に該当しない場合は(S17:NO)、ステップS18の処理をせずに、マルチ型空気調和機1を暖房運転状態に移行させる。
ステップS11の条件に該当しない場合(S11:NO)、室内機20A、20Cはいずれも運転していない。制御部50は、ステップS19において、室内機20Bの暖房運転を開始する。詳細には、四路切換弁2を図1に示す実線の位置に切り換えて、圧縮機11の運転を開始し、電動膨脹弁EVA、EVB、EVCをそれぞれ所定の開度に開く。さらに、室内機20Bのフラップ120を吹出口110が開く位置に移動させる。これにより、マルチ型空気調和機1は暖房運転状態へと移行する。
以上の説明は、マルチ型空気調和機1が第1モード且つ第3モードで動作している場合に、室内機20Bでの暖房運転が要求されたときの動作であるが、以下において、マルチ型空気調和機1が第1モード且つ第3モードとは異なるモードで動作している場合について説明する。
本実施形態のマルチ型空気調和機1が第1モード、第3モード、第5モード、第2モード且つ第3モード、又は、第1モード且つ第5モードで動作している場合、室内機20Bでの暖房運転が要求されたときの動作は、図5で説明したのと同じである。これらの場合、ステップS13においては、第1モード又は第3モードの規則通りに動作が決定される。ステップS15においては、第1モード又は第3モードの規則に反して、いずれの場合も室内機20Bでの暖房運転が開始される。
一方、本実施形態のマルチ型空気調和機1が第2モード、第4モード、第1モード且つ第4モード、第2モード且つ第4モード、又は、第2モード且つ第5モードで動作している場合、室内機20Bでの暖房運転が要求されたときの動作は、ステップS13以外は図5で説明したのと同じである。これらの場合、ステップS13においては、第2モード又は第4モードの規則通りに動作が決定され、室内機20Aの運転を中断し、室内機20Bの暖房運転を開始する。ステップS15においては、第2モード又は第4モードの規則通り、いずれの場合も室内機20Bでの暖房運転が開始される。
(洗浄運転要求時の動作)
次に、本実施形態に係るマルチ型空気調和機1において、A室に設置された室内機20Aでの洗浄運転が要求されたときの動作について、図6のフローチャートをさらに参照して説明する。以下の各ステップは制御部50によって実行される。なお、以下の説明では、マルチ型空気調和機1が、第1モード且つ第3モードで動作しているとする。
室内機20Aでの洗浄運転が要求されると、ステップS31において、制御部50は、B室及びC室に設置された室内機20B、20Cの少なくともいずれかが空調運転中又は洗浄運転中であるかを判断する。ステップS31において、制御部50は、室内機20Aでの洗浄運転と、室内機20B、20Cの少なくともいずれかでの空調運転又は洗浄運転とが、同時に要求されたかについても判断する。ここでの「同時」は、同じ時刻に行われた場合だけではなく、室内機20B、20Cが空調運転又は洗浄運転の運転開始前の準備状態になっている場合も含む。なお、洗浄運転が要求された時点で、室内機20Aは空調運転を実行していてもよいし、いずれの運転も実行していなくてもよい。以下の説明においては、洗浄運転が要求された時点で、室内機20Aはいずれの運転も実行していない休止状態であったと仮定している。
この条件に該当する場合(S31:YES)、ステップS32に進む。制御部50は、ステップS32において、室内機20B、20Cの少なくともいずれかが暖房運転中又は洗浄運転の凝縮器フェーズの実行中であるかを判断する。ステップS32において、制御部50は、室内機20Aでの洗浄運転と、室内機20B、20Cの少なくともいずれかでの暖房運転とが、同時に要求されたかについても判断する。ここでの「同時」は、同じ時刻に行われた場合だけではなく、室内機20B、20Cが暖房運転の運転開始前の準備状態になっている場合も含む。
この条件に該当する場合(S32:YES)、ステップS33に進む。以下では、室内機20Cは休止状態で運転されておらず、室内機20Bだけが暖房運転中又は凝縮器フェーズの実行中であると仮定して説明する。制御部50は、ステップS33において、第1モードに対して優先される第3モードの規則に反し、室内機20Bでの暖房運転又は凝縮器フェーズを継続する。もし室内機20Aでの洗浄運転と、室内機20Bでの暖房運転とが同時に要求された場合も、第3モードの規則に反し、室内機20Bでの暖房運転を開始する。この場合、室内機20Aでの洗浄運転の蒸発器フェーズを実行できないので、制御部50は、ステップS33において、A室の室内機20Aの表示部又はリモコンにより、「他室とのモードバッティングにより洗浄運転できない」旨の表示によるユーザへの報知を行う。
次に、ステップS34において、制御部50は、室内機20Bで洗浄運転の凝縮器フェーズが実行されているかを判断する。この条件に該当する場合(S34:YES)、ステップS35に進む。ステップS35において、制御部50は、室内機20Bにおける凝縮器フェーズの開始から所定時間が経過したときに、当該凝縮器フェーズを終了させる。詳細には、圧縮機11及び室内ファン25Bを停止させ、フラップ駆動モータを駆動してフラップ120を吹出口110が閉じる位置に移動させ、マルチ型空気調和機1をリモコンからの要求を受付可能な休止状態とする。ステップS34の条件に該当しない場合は(S34:NO)、ステップS35の処理をせずに、マルチ型空気調和機1は暖房運転状態に維持される。
ステップS32の条件に該当しない場合(S32:NO)、ステップS36に進む。このとき、室内機20Bは、冷房運転、送風運転、又は、洗浄運転の蒸発器フェーズ若しくは送風フェーズの実行中である。制御部50は、ステップS36において、第1モードに対して優先される第3モードの規則に反し、室内機20Bでの冷房運転、送風運転、又は、洗浄運転の蒸発器フェーズ若しくは送風フェーズをそのまま継続する。もし室内機20Aでの洗浄運転と、室内機20Bでの運転とが同時に要求された場合も、第3モードの規則に反し、室内機20Bでの運転を開始する。この場合、室内機20Bの運転が室内機20Aでの洗浄運転の凝縮器フェーズと衝突することになるため、室内機20Aでの洗浄運転は実行できない。制御部50は、ステップS36において、A室の室内機20Aの表示部又はリモコンにより、「他室とのモードバッティングにより洗浄運転できない」旨の表示によるユーザへの報知を行う。
ステップS31の条件に該当しない場合(S31:NO)、室内機20B、20Cはいずれも運転していない。制御部50は、ステップS37において、室内機20Aの洗浄運転を開始する。詳細には、四路切換弁2を図1に示す点線の位置に切り換えて、圧縮機11の運転を開始し、電動膨脹弁EVAを所定の開度に開く。さらに、室内機20Aのフラップ120を吹出口110が開く位置に移動させる。この後、マルチ型空気調和機1は図4で説明した洗浄運転の送風フェーズ(S2)、凝縮器フェーズ(S3)へと順次移行する。そして、凝縮器フェーズが終了すると、マルチ型空気調和機1は休止状態となるが、ここでは詳細を省略する。
以上の説明は、マルチ型空気調和機1が第1モード且つ第3モードで動作している場合に、室内機20Aでの洗浄運転が要求されたときの動作であるが、以下において、マルチ型空気調和機1が第1モード且つ第3モードとは異なるモードで動作している場合について説明する。
本実施形態のマルチ型空気調和機1が第2モード、第3モード、第2モード且つ第3モード、又は、第2モード且つ第5モードで動作している場合、室内機20Aでの洗浄運転が要求されたときの動作は、図6で説明したのと同じである。これらの場合、ステップS33及びステップS36においては、第2モード又は第3モードの規則に反するように動作が決定される。
一方、本実施形態のマルチ型空気調和機1が第1モード、第4モード、第5モード、第1モード且つ第4モード、第1モード且つ第5モード、又は、第2モード且つ第4モードで動作している場合、室内機20Aでの洗浄運転が要求されたときの動作も、図6で説明したのと同じである。これらの場合、ステップS33及びステップS36においては、第1モード又は第4モードの規則通りに動作が決定される。
(実施形態の効果)
上述のように、本実施形態では、室内機20Aでの洗浄運転の要求と室内機20Bでの暖房運転の要求とが同時にあったとき、室内機20Aでの洗浄運転を実行せずに室内機20Bでの暖房運転を実行する。そのため、ある室内機での洗浄運転の要求と、別の室内機での暖房運転の要求とが同時にあったとき、ユーザの暖房運転に対する要求を満たすことができる。
また、本実施形態では、マルチ型空気調和機1が第1モード、第1モード且つ第3モード等で動作している場合に、室内機20Aでの冷房運転の要求と室内機20Bでの暖房運転の要求とが同時にあったとき、室内機20Bでの暖房運転を実行せずに室内機20Aでの冷房運転を実行する(S13)。このように、冷房運転と暖房運転とが衝突する場合には、動作モードに従った動作を行うことにより、ユーザの意図に従った運転が可能である。
また、本実施形態では、マルチ型空気調和機1がいずれのモードで動作している場合であっても、室内機20Aでの洗浄運転の要求と室内機20Bでの暖房運転の要求とが同時にあったとき、室内機20Aでの洗浄運転を実行せずに室内機20Bでの暖房運転を実行する。したがって、動作モードに関わらず、ユーザの暖房運転に対する要求を満たすことができる。
(変形例)
上述した暖房運転要求時の動作において、ステップS14を、室内機20A、20Cの少なくともいずれかが洗浄運転中又は送風運転中であるかを判断するように変更してもよい。この場合、ステップS15において、A室の室内機20Aが洗浄運転の凝縮器フェーズ中であったときも、これが中断される。そして、ステップS17及びステップS18の判断が省略される。
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
3 冷媒回路
10 室外機
11 圧縮機
12 四路切換弁
13 室外熱交換器
16 アキュムレータ
17A、17B、17C 冷媒配管接続部
18A、18B、18C 冷媒配管接続部
20A、20B、20C 室内機
24A、24B、24C 室内熱交換器
25A、25B、25C 室内ファン
31 吐出管温度センサ
32 室外熱交換器温度センサ
33 室外温度センサ
45A、45B、45C 室内熱交換器温度センサ
46A、46B、46C 室内温度センサ
EVA、EVB、EVC 電動膨脹弁

Claims (15)

  1. 室外機、室内熱交換器を含む第1室内機、及び、室内熱交換器を含む第2室内機が冷媒配管を介して接続された冷媒回路と、制御部とを備えた空気調和機であって、
    前記制御部は、
    前記室内熱交換器を蒸発器として機能させて前記室内熱交換器を洗浄することを含む洗浄運転、及び、前記室内熱交換器を凝縮器として機能させる暖房運転を実行可能であり、
    前記第1室内機での前記洗浄運転の要求と前記第2室内機での前記暖房運転の要求とが同時にあったとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を実行せずに前記第2室内機での前記暖房運転を実行する空気調和機。
  2. 前記制御部は、前記室内熱交換器を蒸発器として機能させる冷房運転を実行可能であり、
    前記第1室内機での前記冷房運転の要求と前記第2室内機での前記暖房運転の要求とが同時にあったとき、前記第2室内機での前記暖房運転を実行せずに前記第1室内機での前記冷房運転を実行可能である請求項1に記載の空気調和機。
  3. 前記制御部は、空調運転として、前記暖房運転と、前記室内熱交換器を蒸発器として機能させる冷房運転とを実行可能であり、
    前記制御部は、前記空調運転の要求及び前記洗浄運転の要求を運転要求としたとき、前記第1室内機での前記空調運転又は前記洗浄運転の要求と前記第2室内機での前記空調運転又は前記洗浄運転の要求とが同時にあったとき、前記第1室内機での前記運転要求及び前記第2室内機での前記運転要求のうちで先に行われた前記運転要求に係る運転を優先して実行する第1モード、及び、後に行われた前記運転要求に係る運転を優先して実行する第2モードでの動作が可能である請求項1又は2に記載の空気調和機。
  4. 前記制御部は、前記第1モードで動作している場合において、前記第1室内機での前記洗浄運転中に前記第2室内機での前記暖房運転が要求されたとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を中断して前記第2室内機での前記暖房運転を実行する請求項3に記載の空気調和機。
  5. 前記制御部は、前記第1モードで動作している場合において、前記第2室内機での前記暖房運転中に前記第1室内機での前記洗浄運転が要求されたとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を実行せずに前記第2室内機での前記暖房運転を継続する請求項3に記載の空気調和機。
  6. 前記制御部は、前記第2モードで動作している場合において、前記第2室内機での前記暖房運転中に前記第1室内機での前記洗浄運転中が要求されたとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を実行せずに前記第2室内機での前記暖房運転を継続する請求項3に記載の空気調和機。
  7. 前記制御部は、前記第2モードで動作している場合において、前記第1室内機での前記洗浄運転中に前記第2室内機での前記暖房運転が要求されたとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を中断して前記第2室内機での前記暖房運転を実行する請求項3に記載の空気調和機。
  8. 前記制御部は、空調運転として、前記室内熱交換器を凝縮器として機能させる暖房運転と、前記室内熱交換器を蒸発器として機能させる冷房運転とを実行可能であり、
    前記制御部は、前記空調運転の要求及び前記洗浄運転の要求を運転要求としたとき、前記第1室内機での前記空調運転又は前記洗浄運転の要求と前記第2室内機での前記空調運転又は前記洗浄運転の要求とが同時にあったとき、前記第1室内機での前記運転要求に係る運転を優先して実行する第3モード、及び、前記第2室内機での前記運転要求に係る運転を優先して実行する第4モードでの動作が可能である請求項1又は2に記載の空気調和機。
  9. 前記制御部は、前記第3モードで動作している場合において、前記第1室内機での前記洗浄運転中に前記第2室内機での前記暖房運転が要求されたとき、前記第1室内機での洗浄運転を中断して前記第2室内機での暖房運転を実行し、前記第2室内機での前記暖房運転中に前記第1室内機での前記洗浄運転中が要求されたとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を実行せずに前記第2室内機での暖房運転を継続する請求項8に記載の空気調和機。
  10. 前記制御部は、前記第4モードで動作している場合において、前記第1室内機での前記洗浄運転中に前記第2室内機での前記暖房運転が要求されたとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を中断して前記第2室内機での前記暖房運転を実行し、前記第2室内機での前記暖房運転中に前記第1室内機での前記洗浄運転中が要求されたとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を実行せずに前記第2室内機での前記暖房運転を継続する請求項8に記載の空気調和機。
  11. 前記制御部は、空調運転として、前記暖房運転と、前記室内熱交換器を蒸発器として機能させる冷房運転とを実行可能であり、
    前記制御部は、前記空調運転の要求及び前記洗浄運転の要求を運転要求としたとき、前記第1室内機での前記空調運転又は前記洗浄運転の要求と前記第2室内機での前記空調運転又は前記洗浄運転の要求とが同時にあったとき、前記第1室内機での前記運転要求及び前記第2室内機での前記運転要求のうちで先に行われた前記運転要求に係る運転を優先して実行する第1モード、後に行われた前記運転要求に係る運転を優先して実行する第2モード、前記第1室内機での前記運転要求に係る運転を優先して実行する第3モード、及び、前記第2室内機での前記運転要求に係る運転を優先して実行する第4モードでの動作が可能である請求項1又は2に記載の空気調和機。
  12. 前記制御部は、前記第1モード且つ前記第4モードで動作している場合において、前記第1室内機での前記洗浄運転中に前記第2室内機での前記暖房運転が要求されたとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を中断して前記第2室内機での前記暖房運転を実行し、前記第2室内機での前記暖房運転中に前記第1室内機での前記洗浄運転が要求されたとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を実行せずに前記第2室内機での前記暖房運転を継続する請求項11に記載の空気調和機。
  13. 前記制御部は、前記第2モード且つ前記第3モードで動作している場合において、前記第1室内機での前記洗浄運転中に前記第2室内機での前記暖房運転が要求されたとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を中断して前記第2室内機での前記暖房運転を実行し、前記第2室内機での前記暖房運転中に前記第1室内機での前記洗浄運転が要求されたとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を実行せずに前記第2室内機での前記暖房運転を継続する請求項11に記載の空気調和機。
  14. 前記制御部は、前記第1モード且つ前記第3モードで動作している場合において、前記第1室内機での前記洗浄運転中に前記第2室内機での前記暖房運転が要求されたとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を中断して前記第2室内機での前記暖房運転を実行し、前記第2室内機での前記暖房運転中に前記第1室内機での前記洗浄運転が要求されたとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を実行せずに前記第2室内機での前記暖房運転を継続する請求項11に記載の空気調和機。
  15. 前記制御部は、前記第2モード且つ前記第4モードで動作している場合において、前記第1室内機での前記洗浄運転中に前記第2室内機での前記暖房運転が要求されたとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を中断して前記第2室内機での暖房運転を実行し、前記第2室内機での前記暖房運転中に前記第1室内機での前記洗浄運転が要求されたとき、前記第1室内機での前記洗浄運転を実行せずに前記第2室内機での前記暖房運転を継続する請求項11に記載の空気調和機。
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