JP2023050146A - スクロールコンプレッサの環状シール部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐久性やシール機能の低下を損なうことなく、安定した低トルク性を発揮できるコンプレッサの環状シール部材を提供する。
【解決手段】環状シール部材16は、スクロールコンプレッサにおける環状シール部材16であって、リング側面の摺動面に、リング外径およびリング内径の少なくともいずれか一方に開口した潤滑溝が複数設けられており、潤滑溝において摺動面との境界部には傾斜面が設けられており、潤滑溝の面積はリング側面の全体の面積に対して5%~75%であり、潤滑溝は略すり鉢状であり、環状シール部材16は、潤滑溝として、リング外径に開口した外径側潤滑溝とリング内径に開口した内径側潤滑溝とを有する。
【選択図】図1
【解決手段】環状シール部材16は、スクロールコンプレッサにおける環状シール部材16であって、リング側面の摺動面に、リング外径およびリング内径の少なくともいずれか一方に開口した潤滑溝が複数設けられており、潤滑溝において摺動面との境界部には傾斜面が設けられており、潤滑溝の面積はリング側面の全体の面積に対して5%~75%であり、潤滑溝は略すり鉢状であり、環状シール部材16は、潤滑溝として、リング外径に開口した外径側潤滑溝とリング内径に開口した内径側潤滑溝とを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、スクロールコンプレッサを構成する可動スクロール体の底板部などに装着される環状シール部材に関する。
スクロールコンプレッサは、固定スクロール体と、該固定スクロール体に対し旋回運動される可動スクロール体とからなるスクロール型の圧縮機構部を備える。固定スクロール体と可動スクロール体はそれぞれ、底板部と該底板部の表面に立設する渦巻壁とを有しており、それぞれ渦巻壁において互いに噛み合わされて、それらの間に圧縮室が形成されている。この圧縮室が固定スクロール体の軸線の周りを公転する可動スクロール体の作用により渦巻中心側に移動して冷媒などの圧縮が行なわれる。
可動スクロール体の底板部の背面側には環状シール部材が設けられている。このようなスクロールコンプレッサにおいて、冷媒などが圧縮されると、その圧縮反力によって可動スクロール体にスラスト荷重が発生する。このスラスト荷重に起因して、可動スクロール体の背面側に設けられた環状シール部材とそれと摺動する主軸受部材との間で摩擦力が大きくなり、環状シール部材の摩耗などが発生するおそれがある。
このような環状シール部材の摩擦摩耗の対策として、オイルなどの潤滑剤を使用して摩擦摩耗の低減を図る方法が知られている(特許文献1参照)。
また、別の方法として、可動スクロール体から主軸受部材へ一方的にかかるスラスト荷重を低減させる目的として、吐出圧領域と背圧室とを圧力導入孔を介して接続する方法が知られている。さらにこの方法において、環状シール部材の側面に、径方向に連通した溝を設けることで、背圧室と吸入圧領域を連通させることも知られている(特許文献2参照)。しかし、この特許文献2は、背圧室および吸入圧領域の雰囲気が一様ではない場合において、背圧室で意図する背圧を設定しやすくするという技術である。
さらに、別の方法として、上記の環状シール部材とは別の部材として、可動スクロール体の底板部側から主軸受部材側へのスラスト力を受けるスラスト受け部材を介装することで、荷重を低減する手段も知られている(特許文献3参照)。
環状シール部材の摩擦摩耗の対策として、例えば潤滑剤などを使用することで、摩擦摩耗の低減が図れるものの、この方法では摺動面を常に良い潤滑状態とする必要がある。そのため、局所的に潤滑剤切れが発生した場合などはトルクが安定しないことから、コンプレッサ自体の安定した性能を維持させることに懸念がある。一方、環状シール部材とは別の部材として、スラスト受け部材を介装する場合は、その分、部品点数が多くなり、ユニット全体のコストアップに繋がるおそれがある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、耐久性やシール機能の低下を損なうことなく、安定した低トルク性を発揮できるコンプレッサの環状シール部材を提供することを目的とする。
本発明のスクロールコンプレッサの環状シール部材は、リング側面の摺動面に、リング外径およびリング内径の少なくともいずれか一方に開口した潤滑溝が複数設けられており、上記潤滑溝において上記摺動面との境界部には傾斜面が設けられていることを特徴とする。なお、上記スクロールコンプレッサは、例えば、底板部とその表面に立設する渦巻壁を有する固定スクロール体と、底板部とその表面に立設する渦巻壁を有する可動スクロール体と、シャフトと、該シャフトを回転可能に支持する主軸受と、該主軸受を固定する主軸受部材とを備え、上記シャフトの回転により、上記可動スクロール体を上記固定スクロール体の軸線の周りで公転させて流体を圧縮室にて圧縮するとともに、上記流体が上記可動スクロール体の背面側の背圧室に供給されるスクロールコンプレッサであり、上記環状シール部材は、例えば、上記可動スクロール体の上記底板部の背面と、上記主軸受部材の上記可動スクロール体に向く端面のいずれか一方の面に形成された少なくとも1個の環状溝に装着され、上記背圧室をシールする環状シール部材である。また、上記摺動面とは、上記環状シール部材のリング側面において少なくとも公転摺動する摺動面である。
上記潤滑溝の面積は上記リング側面の全体の面積に対して5%~75%であることを特徴とする。
上記潤滑溝は略すり鉢状であることを特徴とする。
上記環状シール部材は、上記潤滑溝として、リング外径に開口した外径側潤滑溝とリング内径に開口した内径側潤滑溝とを有することを特徴とする。さらに、上記外径側潤滑溝および上記内径側潤滑溝はそれぞれ、リング周方向で離間して複数個設けられ、上記リング側面から見て上記外径側潤滑溝と上記内径側潤滑溝とがリング周方向に交互に設けられていることを特徴とする。
上記傾斜面は上記摺動面に対する角度が0.1°~15°であることを特徴とする。
上記環状シール部材は合成樹脂製であり、該合成樹脂がポリフェニレンサルファイド(以下、PPSと記す)樹脂またはポリエーテルエーテルケトン(以下、PEEKと記す)樹脂であることを特徴とする。
上記傾斜面において、上記摺動面に接続される周縁部には、上記摺動面に対する勾配が該周縁部以外の部分の上記摺動面に対する勾配よりも大きい、急勾配の面が形成されていることを特徴とする。
本発明のスクロールコンプレッサの環状シール部材は、リング側面の摺動面に、リング外径およびリング内径の少なくともいずれか一方に開口した潤滑溝が複数設けられており、当該潤滑溝において摺動面との境界部には傾斜面が設けられているので、摺動面積を小さくすることができ、摺動面積が小さくなることで、摩擦係数の面圧依存性により、摺動トルクが低下する。さらに、潤滑溝において摺動面との境界部には傾斜面が設けられているので、潤滑溝に流入した流体により、くさび作用(動圧効果)が発生しやすくなり、一層の低トルク化に繋がる。これにより、低摩擦性と耐摩耗性が向上し、スラスト受け部材を用いなくても、耐久性やシール機能の低下を損なうことなく、安定した低トルク性を発揮できる。さらに、傾斜面の周縁部に、摺動面に対する勾配が他の部分よりも大きい、急勾配の面が形成されている形態では、摺動面が摩耗した場合でも潤滑溝の開口面積の減少が小さくなるので、トルクの変化が生じにくい。
潤滑溝の面積はリング側面の全体の面積に対して5%~75%であるので、トルク低減効果を確保しつつ、摩耗の促進を抑えられる。
潤滑溝の形状は、略すり鉢状であるので、旋回運動によってくさび作用発生部が常に変化する用途では、溝深さがリング径方向に対して一定である溝に比べて、潤滑溝に流体を導入しやすくなり、くさび作用がより発生しやすくなる。なお、略すり鉢状とは、すり鉢状の一部分を有するという意味であり、すり鉢状とは、円錐状の凹み、円錐台状の凹み、球欠状の凹みなどを意味する。
また、外径側および内径側の両方に、かつ、リング周方向に交互に複数個の潤滑溝を設けることで、旋回運動する摺動面の全域において潤滑効果を得ることができる。
また、傾斜面は摺動面に対する傾斜角度が0.1°~15°であるので、流入した流体によるくさび作用を効果的に発生させることができる。
本発明の環状シール部材を備えるスクロール型コンプレッサの一例を図1に基づいて説明する。図1はスクロール型コンプレッサの一部断面図である。このスクロール型コンプレッサは、炭酸ガスなどの冷媒、ポリアルキレングリコール油(PAG油)などの冷凍機油、またはこれらの混合物など(以下、まとめて冷媒等と称す)の流体を圧縮する圧縮機である。
図1において、コンプレッサ1は、ハウジング2の内部に圧縮機構部とモータ機構部とを有し、吸入口(図示省略)および吐出口(図示省略)によって外部と接続されている。圧縮機構部は、吸入口より吸入した冷媒等を圧縮して吐出口より吐出する部分であり、固定スクロール体3と可動スクロール体4とから構成されている。固定スクロール体3は、底板部3aと、この底板部3aから垂直に立設した渦巻壁3bとを備え、中心に開口部3cが設けられている。また、可動スクロール体4は、底板部4aと、この底板部4aから垂直に立設した渦巻壁4bとを備える。固定スクロール体3および可動スクロール体4は偏心状態にかみ合わされて配置され、各スクロール体の渦巻壁3b、4bの間に圧縮室5が形成されている。
なお、図示は省略するが、各スクロール体の渦巻壁3b、4bの軸方向端面には渦巻き状のシール部材(チップシール)が装着されている。これにより、圧縮室内の冷媒等の漏洩を防止する。
モータ機構部は、可動スクロール体4に旋回駆動力を与える部分であり、ステータ6aとロータ6bとから構成されている。ステータ6aは、ハウジング2の内側に固定されており、ロータ6bはシャフト7に結合している。ステータ6aおよびロータ6bは電動機を構成し、ステータ6aへの通電によりロータ6bおよびシャフト7が一体回転する。シャフト7は主軸受9および副軸受10を介して回転可能に支持されている。シャフト7の一端側には偏心軸7aが一体に形成され、これにバランスウェイト8が支持されている。シャフト7およびバランスウェイト8によって回転部材が構成されている。
可動スクロール体4の底板部4aの背面側の略中央にはボス部4cが垂直に突出するように設けられ、このボス部4c内に旋回軸受11が圧入されている。旋回軸受11に偏心軸7aが支持されており、可動スクロール体4は、旋回軸受11により旋回運動する機構となっている。
主軸受9は、主軸受部材12の中央側に形成された軸受支持部に固定されている。主軸受部材12は、ハウジング内に固定されており、主軸受部材12には固定スクロール体3がボルトなどによって結合されている。また、主軸受9の側方であって、シャフト7の外周面と主軸受部材12との間にはシャフトシール13が装着されている。このシャフトシール13によって、モータ室14と背圧室15aとの連通が遮断されている。
ここで、主軸受部材12と、可動スクロール体4の底板部4aの背面との間には環状シール部材16が設けられている。図1では、可動スクロール体4の底板部4aの背面に形成された環状溝4dに、環状シール部材16が装着されている。この構造では、環状シール部材16は、主軸受部材12の可動スクロール体に向く端面に対して公転摺動する。背圧室15aは、環状シール部材16とシャフトシール13とによってシールされ、これらシール部と、主軸受部材12と、可動スクロール体4の底板部4aとの間で密封空間を形成している。
コンプレッサ1が運転を開始すると、ロータ6bの回転により可動スクロール体4が旋回運動を始める。吸入口より圧縮機構部に入った冷媒等は、旋回する渦巻壁の外周から中心に移動しながら圧縮され、固定スクロール体3の開口部3cより外部に吐出される。一方、背圧室15aには、圧縮機構部内から加圧された流体が、可動スクロール体4の底板部4aに設けられた圧力導入孔(図示省略)を通して供給されるようになっている。背圧室15aに加圧流体を導入することにより、圧縮反力によって可動スクロール体4に作用するスラスト荷重(可動スクロール体4を主軸受部材側に押し付けようとする力)を低減するように、または、可動スクロール体4を固定スクロール体側に押し付けるように、背圧室内の圧力が可動スクロール体4に作用することになる。
環状シール部材16は、内側の背圧室15aと外側の空間15bとを仕切っている。空間15bは、吸入圧に近い圧力値を有しているのに対して、背圧室15aには圧縮された冷媒等が導入されることから、空間15bよりも背圧室15aの方が高圧となる。その結果、環状シール部材16の一方のリング側面が主軸受部材12の端面に公転しながら摺動接触する。環状シール部材16は主に樹脂製であるのに対して、主軸受部材12は金属製(鉄製やアルミダイカスト製)であり、摺動接触によって環状シール部材16の摩耗などが懸念される。特に、流体の圧縮圧力が大きくなるほど、可動スクロール体4に作用するスラスト荷重も大きくなり、環状シール部材16が摩耗しやすくなる。
本発明では、環状シール部材16のリング側面に潤滑溝を設けることで、摺動面積を低下させ、ひいては低トルク化を図っている。また、くさび作用により更なる低トルク化を図ることができる。
以下には、本発明の環状シール部材について説明する。
本発明の環状シール部材の一例を図2に基づいて説明する。図2は環状シール部材の斜視図を示す。コンプレッサの吐出量を確保する観点から、環状シール部材16の外径寸法φは例えば50mm以上であり、好ましい範囲としては50mm~100mm程度である。
図2に示すように、環状シール部材16は、断面略矩形の環状体であり、全周にわたって繋がった形状であり、合い口を有していない。ただし、合い口を備えていてもよく、この場合、リークの少ない複合ステップカットとすることが望まれる。図2において、環状シール部材16には、リング側面17に、リング外径またはリング内径の少なくともいずれか一方に開口した潤滑溝が複数設けられている。具体的には、リング側面17の外径側端部に、リング外周面16aに開口した外径側潤滑溝18が複数設けられているとともに、リング側面17の内径側端部に、リング内周面16bに開口した内径側潤滑溝19が複数設けられている。なお、外径側潤滑溝18および内径側潤滑溝19は、リング外周面16aとリング内周面16bを貫通していない。
図2において、リング外周面16aと両側のリング側面17(外径側潤滑溝18を含む)との角部や、リング内周面16bと両側のリング側面17(内径側潤滑溝19を含む)との角部は、直線状、曲線状の面取りが設けられていてもよい。また、環状シール部材を射出成形で製造する場合、リング内周面16bと両側のリング側面17との角部に金型からの突出し部分となる段部16cを設けてもよい。
環状シール部材16は、一方のリング側面が主軸受部材の可動スクロール体に向く端面と摺動する側の面となり、このリング側面17に主軸受部材の端面との非接触部となる略すり鉢状の潤滑溝(外径側潤滑溝18および内径側潤滑溝19)が形成されている。これら潤滑溝において摺動面との境界部(角部)には、後述の図4などに示すように傾斜面が設けられている。傾斜面を設けることで、冷媒等が主軸受部材の端面と摺動する部分に適度に流出することで、低トルク化が図れる。また、上記潤滑溝は動圧溝としても機能することができる。すなわち、冷媒等が当該潤滑溝に流入し、公転運動によって潤滑溝が相手摺動面と相対移動することで冷媒等によるくさび作用が発生し、一層の低トルク化が図れ、低摩擦性と耐摩耗性を向上させることができる。また、図2の環状シール部材では、傾斜面において、摺動面に接続される周縁部に、急勾配の面が形成されているので、摺動面が摩耗した場合でも凹部の開口面積の減少が小さく、トルクの変化が生じにくい。なお、本発明において、上記傾斜面には上記急勾配の面が形成されていなくてもよく、傾きが一様の傾斜面であってもよい(例えば、図4(c)参照)。また、図2の構成では、潤滑溝はリング径方向に非連通の凹部であることから、冷媒等の低オイルリーク性にも繋がる。
図2において、潤滑溝は少なくとも公転摺動する摺動面側のリング側面に形成すればよいが、組み付け方向の依存性がなく、重量バランスにも優れることから、反摺動面側を含めた両側のリング側面に対称に形成することが好ましい。
また、図2に示すように、外径側潤滑溝18および内径側潤滑溝19はそれぞれ、リング周方向で等間隔に離間して複数個設けられている。この場合、リング側面17から見て外径側潤滑溝18と内径側潤滑溝19とがリング周方向に沿って交互に設けられることが好ましい。隣り合う潤滑溝同士の間のリング側面は主軸受部材に対して摺動する部分となり、摺動面の一部を構成する。潤滑溝の面積(複数個の場合は合計の面積、以下同じ)は特に限定されないが、リング側面に対する潤滑溝の面積が小さくなりすぎるとトルク低減効果が小さくなり、大きくなりすぎると過剰面圧となり摩耗が促進されるおそれがある。このような観点から、潤滑溝の面積はリング側面の全体の面積に対して5%~75%であることが好ましく、20%~60%であることがより好ましい。なお、リング側面の全体の面積とは、環状シール部材の公転摺動する摺動面側(片側)のリング側面を正面から見た平面視における面積(潤滑溝の面積も含む)であり、潤滑溝の面積は同平面視における面積である。ただし、面取り部や段部16cは潤滑溝およびリング側面の面積に含まれない。
潤滑溝のそれぞれのリング周方向の長さは、個数に応じて、リング円周長さの約0.5%~5%とすることが好ましい。潤滑溝のリング径方向の長さは、摺動面の径方向厚みの10%~80%とすることが好ましい。また、摺動特性が安定することから、潤滑溝は全て同サイズとし、略等間隔で離間して複数個(図2では内径側潤滑溝12個、外径側潤滑溝12個で、潤滑溝として計24個)設けることが好ましい。なお、潤滑溝の数は、内径側と外径側で同じ数でなくてもよく、例えば、内径側潤滑溝を外径側潤滑溝よりも多くしてもよい。
図3および図4を用いて、略すり鉢状の潤滑溝について説明する。図3(a)は図2におけるA部の拡大図であり、図3(b)は図2におけるB部の拡大図である。図3に示すように、外径側潤滑溝18および内径側潤滑溝19の平面形状は、円弧状とされている。これら潤滑溝18、19は、リング周方向に沿ってリングの幅方向側(軸方向側)に凹んだ略円錐状の凹部である。具体的には、外径側潤滑溝18は、リング外径の中心点と同芯で摺動面のリング外径と同じまたは大径の円周上に中心軸を有する略円錐状の凹部である。外径側潤滑溝18のリング周方向の略中央部の外径端部に位置する最深部から、リング周方向の両側に、かつ、リング内径側に向けて放射状に溝深さが浅くなっている。また、内径側潤滑溝19は、リング内径の中心点と同芯で摺動面のリング内径と同じまたは小径の円周上に中心軸を有する略円錐状の凹部である。内径側潤滑溝19のリング周方向の略中央部の内径端部に位置する最深部から、リング周方向の両側に、かつ、リング外径側に向けて放射状に溝深さが浅くなっている。
図4では、内径側潤滑溝について更に説明する。なお、以下では潤滑溝として、内径側潤滑溝を用いて説明するが、外径側潤滑溝についても同様の形状などを採用できる。図4(a)は潤滑溝をリング内径側から見た図であり、図4(b)はそのB-B線に沿って切断した切断面を表している。なお、後述の図4(c)、図4(d)および図7(c)も同様の切断面を表している。
図4(a)において、内径側潤滑溝19は、略円錐状の中心軸をリング内径側の摺動面内径端に有する場合であり、図3のように略円錐状の中心軸がリング内径よりも小径の円周上には無い凹部である。略円錐状の中心軸を摺動面のリング内径と同じ円周上に有する場合、内径側潤滑溝19を内径側から水平に見たときの底面は、当該円錐の外周面に対応した面で形成され、中心軸に向かって略直線状の傾斜面19aで形成されている。内径側潤滑溝19の摺動面からの深さは、内径側潤滑溝19のリング周方向の中央部に最深部19bがあり、最深部19bから径方向の放射状に向けて浅くなる。また、トルクの変化が生じにくいという点で、図4(b)に示すように、傾斜面19aの一部である周縁部に、急勾配の面19cが形成されることが好ましい。すなわち、傾斜面19aにおいて、摺動面に接続される周縁部における摺動面に対する勾配を、該周縁部以外の部分の摺動面に対する勾配よりも急勾配に立ち上がらせることで、円弧状溝の周縁部に急勾配の面19cを形成する。この構成により、急勾配を形成しない場合(図4(c))と比較して、摺動面が摩耗した場合でも潤滑溝の開口面積の変化(減少)が小さく、トルクの変化が生じにくくなる。なお、急勾配に形成された周縁部は、例えば図4(d)に示すように、R状にすることもできる。R状に形成することで、密封流体である作動油等が、より摺動面に流出しやすくなり、更に低トルクとなる。
図4(a)に示すように、内径側潤滑溝19は、最深部19bを中心に対称形状になっている。内径側潤滑溝19が略円錐状の中心軸をリング内径側の摺動面内径端に有する場合、内径側潤滑溝19の内径縁は直線状に形成されている。また、図4(b)の軸方向断面において、内径側潤滑溝19の底面(傾斜面19a、急勾配の面19c)は直線状に形成されている。なお、図3における内径側潤滑溝19が略円錐状の中心軸をリング内径よりも小径位置に有する場合、内径側潤滑溝19をリング内径側から見たときの内径縁は直線状に見えることはなく、図7(b)に近い形状に見える。
傾斜面19aの摺動面に対する傾斜角度θ(図4(a)、図4(b)参照)は特に限定されないが、0.1°~15°の範囲であることが好ましく、1°~10°の範囲であることがより好ましい。これにより、主軸受部材の端面と摺動する部分に適度に冷媒等が流出しやすくなり、また、流入してきた流体によるくさび作用を効果的に発揮しやすくなる。傾斜角度θが0.1°未満であると流入した流体が摺動面に向かって流れにくくなり、また傾斜角度θが15°を超えると内径側潤滑溝19の最深部19bが深くなり、該内径側潤滑溝19の容積が増加し、圧力が分散することで、くさび作用が薄れるおそれがある。なお、急勾配の面が形成されていない形態においても、傾斜面の摺動面に対する傾斜角度θは特に限定されないが、0.1°~15°の範囲であることが好ましく、1°~10°の範囲であることがより好ましい。この場合、傾斜面は、その傾斜角度θで摺動面に接続される。
また、図4(b)に示す急勾配の面19cが形成されている形態において、急勾配の面19cの傾斜角度θcは特に限定されないが、45°~85°の範囲であることが好ましく、55°~65°の範囲であることがより好ましい。これにより、摺動面が摩耗した場合でも潤滑溝の開口面積の減少が小さく、トルクの変化が生じにくい。傾斜角度θcが45°未満であると摺動面が摩耗した場合の摺動面積の増加が大きくなり、動摩擦係数の面圧依存性によるトルク低減効果が薄れるおそれがある。また、傾斜角度θcが85°を超えると、傾斜面19aに流入してきた流体が急勾配の面19cに衝突することで、摺動面に向けて流出しようとするくさび作用が小さくなるおそれがある。
なお、本発明における潤滑溝において、摺動面との境界部は傾斜面で構成されていればよく、図4に示すように、潤滑溝が傾斜面(急勾配の面も含む)だけで構成されていてもよく、図5に示すように、潤滑溝が傾斜面と摺動面と平行な底面で構成されていてもよい。また、傾斜面は、図4に示すように直線状でもよく、図7(b)に示すように曲線状(R状)でもよい。例えば、図4(b)に示す内径側潤滑溝19の傾斜面19aは、リング側面に対して直角の断面から見た形状が直線であるため、流体が安定して流入することで動圧効果も安定し、更なる低トルク化を図ることができる。一方で、R状に形成することで、冷媒等が摺動面により流出しやすくなり、更なる低トルク化を図りやすくなる。
内径側潤滑溝19の最深部19bの摺動面からの深さは、リング総幅の45%以下とすることが好ましく、30%以下とすることが更に好ましい。なお、ここでの「深さ」は、潤滑溝をリングの両側面に形成する場合には、各側面の凹部の深さを合計したものであり、この場合の片面の凹部の深さはリング総幅の22.5%以下、好ましくは15%以下である。リング総幅の45%をこえる場合、環状シール部材が強度不足になり変形や破損するおそれがある。なお、潤滑溝の形成は公転摺動する側だけでよいが、組み込み時の方向性を無くすために両側面に形成してもよい。ただし、両側面に形成する場合は、リング強度が片面形成よりも低下するため、潤滑溝の深さや大きさを片面形成よりも小さくする必要があり、潤滑効果としては不利となる。
略すり鉢状の潤滑溝は、図3および図4の形態に限定されるものではない。例えば、図5に示すように、内径側潤滑溝20を略円錐台状の凹部として、内径側潤滑溝20の最深部20bを摺動面に対して平行な平面で形成してもよい。この場合も、最深部20bから、リング周方向の両側に、かつ、リング外径側に向けて放射状に溝深さが浅くなっており、傾斜面20aの周縁部には他の部分よりも急勾配の面20cが形成されている。またこの場合、最深部20bを曲面で形成してもよい。
図6に示すように、環状シール部材16は、可動スクロール体の底板部4aの背面に設けられた環状溝4dに装着される。図中左側が背圧室15a側であり、図中右側が空間15b側である。図中の矢印が冷媒等からの圧力が加わる方向である。このシール構造により、背圧室15aと空間15bとを仕切っている。そして、可動スクロール体の旋回運動に伴って、環状シール部材16が連れ回りして、リング側面17で主軸受部材12の端面に公転摺動しながら摺動接触する。この際、連れ回りによって生じる冷媒等の流れによって、内径側潤滑溝19に冷媒等が導入されることで動圧が発生する。この動圧によって、主軸受部材12から離れる方向の力が環状シール部材16の摺動面に作用するため、主軸受部材12に対する環状シール部材16の摺動抵抗が更に低減される。
なお、環状溝は、可動スクロール体の底板部4a側ではなく、主軸受部材側に設けられてもよい。その場合、該環状溝に装着された環状シール部材はその環状溝内に固定される。その環状シール部材のリング側面は、旋回運動する可動スクロール体の底板部の背面に対して摺動接触する。このリング側面には、上述したような潤滑溝が設けられる。
冷媒等は用途に応じた種類が適宜用いられる。また、冷媒等の温度は、例えば-20℃~140℃程度である。可動スクロール体の旋回運動における回転数として5000~8000rpm程度を主に想定している。
本発明において、リング側面に設けられる潤滑溝は、可動スクロール体の旋回運動によって生じる流体の流れにより主軸受部材の端面と摺動する部分に適度に流体を流出させる溝であればよく、種々の形状を採用できる。例えば、図7(a)~(c)に示すように、略すり鉢状の内径側潤滑溝21の底面が曲面状の傾斜面21aで形成されてもよい(略球欠状)。この場合も、傾斜面21aの周縁部には他の部分よりも急勾配の面21cが形成されていることが好ましい。また、図8に示すように、内径側潤滑溝22の平面形状が、略三角形状で形成されてもよい。図8では、急勾配の面が形成されていない形態を示している。なお、潤滑溝は、環状シール部材のリング側面の内外径を連通していない溝(非連通溝)である。非連通溝では、途中で流体の流れが絞られるため、動圧が発生しやすい。
リング側面の内径側端部および外径側端部の少なくとも一部に非連通の潤滑溝を形成する例としては、例えば上述した図の例が挙げられる。なお、上述した潤滑溝を、摺動面となるリング側面の内径側端部のみに形成してもよく、外径側端部のみに形成してもよい。この場合、リング側面の外径側端部のみの形成よりも内径側端部のみの形成の方が流体による潤滑効果が高くなるため望ましい。
本発明の環状シール部材の材質は特に限定されないが、合成樹脂の成形体とすることが好ましい。使用できる合成樹脂としては、例えば、熱硬化性ポリイミド樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリエーテルケトンケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、PEEK樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記す)樹脂等のフッ素樹脂、PPS樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。なお、これらの樹脂は単独で使用しても、2種類以上混合したポリマーアロイとしてもよい。
また、環状シール部材は、合成樹脂を射出成形してなる射出成形体にすることが好ましい。このため、合成樹脂としては、射出成形が可能である熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。その中でも特に、摩擦摩耗特性、曲げ弾性率、耐熱性、摺動性などに優れることから、PEEK樹脂またはPPS樹脂を用いることが好ましい。これらの樹脂は高い弾性率を有し、シールする冷媒等の温度が高くなる場合でも使用でき、また、ソルベントクラックの心配もない。
また、必要に応じて上記合成樹脂に、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などの繊維状補強材、球状シリカや球状炭素などの球状充填材、マイカやタルクなどの鱗状補強材、チタン酸カリウムウィスカなどの微小繊維補強材を配合できる。また、PTFE樹脂、グラファイト、二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムなどの摺動補強材、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料も配合できる。これらは単独で配合することも、組み合せて配合することもできる。特に、PEEK樹脂またはPPS樹脂に、繊維状補強材である炭素繊維と、固体潤滑剤であるPTFE樹脂とを含むものが、本発明の環状シール部材に要求される特性を得やすいので好ましい。炭素繊維を配合することで、曲げ弾性率等の機械的強度の向上が図れ、PTFE樹脂の配合により摺動特性の向上が図れる。
合成樹脂製とする場合には、以上の諸原材料を溶融混練して成形用ペレットとし、これを用いて公知の射出成形法等により所定形状に成形する。射出成形により製造する場合、そのゲート位置は特に限定されないが、シール性の確保の観点および後加工が不要になることからリング内周面に設けることが好ましい。さらに、ゲート位置は、周方向に等間隔に配置した多点ゲート(例えば3点~6点)として、ゲート位置と潤滑溝の位置とがリング径方向において重ならないことがより好ましい。この場合、環状シール部材は、リング径方向において、潤滑溝と重ならない位置の内周面にゲート痕を有することが好ましい。
実施例および比較例
PPS樹脂を主材料とし、PTFE樹脂および炭素繊維を配合した樹脂組成物(NTN社製:ベアリーAS5302)を用い、外径寸法φ21mm、内径寸法φ17mm、径方向長さ2mm、軸方向長さ1.6mmの環状の試験片を射出成形により製造した。実施例1は環状試験片の一方の側面に図9のとおりリング径方向に対して放射状の潤滑溝23、24を各4個形成し、実施例2は環状試験片の一方の側面に図10のとおり潤滑溝23、24を各7個形成した。潤滑溝23、24が形成された面が摺動面である。比較例1、2は潤滑溝の形成は無い。
全ての潤滑溝23、24の最深部の溝深さは、0.1mmであり、傾斜面の摺動面に対する傾斜角度は約3°であり、潤滑溝23、24の面積はリング側面の全体の面積に対して、実施例1では28%であり、実施例2では49%であった。
PPS樹脂を主材料とし、PTFE樹脂および炭素繊維を配合した樹脂組成物(NTN社製:ベアリーAS5302)を用い、外径寸法φ21mm、内径寸法φ17mm、径方向長さ2mm、軸方向長さ1.6mmの環状の試験片を射出成形により製造した。実施例1は環状試験片の一方の側面に図9のとおりリング径方向に対して放射状の潤滑溝23、24を各4個形成し、実施例2は環状試験片の一方の側面に図10のとおり潤滑溝23、24を各7個形成した。潤滑溝23、24が形成された面が摺動面である。比較例1、2は潤滑溝の形成は無い。
全ての潤滑溝23、24の最深部の溝深さは、0.1mmであり、傾斜面の摺動面に対する傾斜角度は約3°であり、潤滑溝23、24の面積はリング側面の全体の面積に対して、実施例1では28%であり、実施例2では49%であった。
スラスト試験機の概略図を図11に示す。負荷軸31の先端に試験片33を取り付け、回転軸35に取り付けられた相手材34(ADC12、外径寸法φ33mm、厚さ10mm、試験片との摺動面は平面研磨によりRa0.8μm程度とした)に、所定の荷重Fで押し付け、オイル32中で下記の条件にてスラスト試験を行った。各荷重Fは実施例1、実施例2および比較例1が12kgfであり、比較例2が36kgfである。各試験において、試験終了直前の動摩擦係数を測定した。面圧と動摩擦係数の関係を図12に示す。
<試験条件>
速度 :2m/sec
雰囲気温度:室温
潤滑 :油中(PAG油、出光ダフニーハーメチックオイルPS)
試験時間 :30min
試験数 :n=1
速度 :2m/sec
雰囲気温度:室温
潤滑 :油中(PAG油、出光ダフニーハーメチックオイルPS)
試験時間 :30min
試験数 :n=1
図12に示すように、摺動面に潤滑溝が形成された実施例1および実施例2は、潤滑溝の無い比較例1よりも動摩擦係数が小さかった。また、荷重を3倍にした比較例2は比較例1よりも動摩擦係数が小さかった。これは樹脂摺動材の面圧依存性によるものと思われる。また、比較例2よりも面圧の小さい実施例2の動摩擦係数が比較例2よりも小さかったことから、潤滑溝による潤滑効果が良好に機能したものと思われる。
本発明の環状シール部材は、耐久性やシール機能の低下を損なうことなく、安定した低トルク性を発揮できるので、スクロールコンプレッサの環状シール部材として広く利用できる。また、スラスト受け部材を除くことが可能となる。
1 コンプレッサ
2 ハウジング
3 固定スクロール体
3a 底板部
3b 渦巻壁
3c 開口部
4 可動スクロール体
4a 底板部
4b 渦巻壁
5 圧縮室
6a ステータ
6b ロータ
7 シャフト
8 バランスウェイト
9 主軸受
10 副軸受
11 旋回軸受
12 主軸受部材
13 シャフトシール
14 モータ室
15a 背圧室
15b 空間
16 環状シール部材
17 リング側面
18 外径側潤滑溝(潤滑溝)
18c 急勾配の面
19 内径側潤滑溝(潤滑溝)
19a 傾斜面
19b 最深部
19c 急勾配の面
20 内径側潤滑溝(潤滑溝)
20a 傾斜面
20b 最深部
20c 急勾配の面
21 内径側潤滑溝(潤滑溝)
21a 傾斜面
21c 急勾配の面
22 内径側潤滑溝(潤滑溝)
23、24 潤滑溝
31 負荷軸
32 オイル
33 試験片
34 相手材
35 回転軸
2 ハウジング
3 固定スクロール体
3a 底板部
3b 渦巻壁
3c 開口部
4 可動スクロール体
4a 底板部
4b 渦巻壁
5 圧縮室
6a ステータ
6b ロータ
7 シャフト
8 バランスウェイト
9 主軸受
10 副軸受
11 旋回軸受
12 主軸受部材
13 シャフトシール
14 モータ室
15a 背圧室
15b 空間
16 環状シール部材
17 リング側面
18 外径側潤滑溝(潤滑溝)
18c 急勾配の面
19 内径側潤滑溝(潤滑溝)
19a 傾斜面
19b 最深部
19c 急勾配の面
20 内径側潤滑溝(潤滑溝)
20a 傾斜面
20b 最深部
20c 急勾配の面
21 内径側潤滑溝(潤滑溝)
21a 傾斜面
21c 急勾配の面
22 内径側潤滑溝(潤滑溝)
23、24 潤滑溝
31 負荷軸
32 オイル
33 試験片
34 相手材
35 回転軸
Claims (8)
- スクロールコンプレッサにおける環状シール部材であって、
前記環状シール部材は、リング側面の摺動面に、リング外径およびリング内径の少なくともいずれか一方に開口した潤滑溝が複数設けられており、前記潤滑溝において前記摺動面との境界部には傾斜面が設けられていることを特徴とする環状シール部材。 - 前記潤滑溝の面積は前記リング側面の全体の面積に対して5%~75%であることを特徴とする請求項1記載の環状シール部材。
- 前記潤滑溝は略すり鉢状であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の環状シール部材。
- 前記環状シール部材は、前記潤滑溝として、リング外径に開口した外径側潤滑溝とリング内径に開口した内径側潤滑溝とを有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の環状シール部材。
- 前記外径側潤滑溝および前記内径側潤滑溝はそれぞれ、リング周方向で離間して複数個設けられ、前記リング側面から見て前記外径側潤滑溝と前記内径側潤滑溝とがリング周方向に交互に設けられていることを特徴とする請求項4記載の環状シール部材。
- 前記傾斜面は前記摺動面に対する角度が0.1°~15°であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の環状シール部材。
- 前記環状シール部材は合成樹脂製であり、該合成樹脂がポリフェニレンサルファイド樹脂またはポリエーテルエーテルケトン樹脂であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の環状シール部材。
- 前記傾斜面において、前記摺動面に接続される周縁部には、前記摺動面に対する勾配が該周縁部以外の部分の前記摺動面に対する勾配よりも大きい、急勾配の面が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の環状シール部材。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021160193 | 2021-09-29 | ||
JP2021160193 | 2021-09-29 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023050146A true JP2023050146A (ja) | 2023-04-10 |
Family
ID=85802113
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022149620A Pending JP2023050146A (ja) | 2021-09-29 | 2022-09-20 | スクロールコンプレッサの環状シール部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2023050146A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11915123B2 (en) | 2019-11-14 | 2024-02-27 | International Business Machines Corporation | Fusing multimodal data using recurrent neural networks |
-
2022
- 2022-09-20 JP JP2022149620A patent/JP2023050146A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11915123B2 (en) | 2019-11-14 | 2024-02-27 | International Business Machines Corporation | Fusing multimodal data using recurrent neural networks |
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