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JP2022513546A - 単一表面プライマーを使用したペアエンドシーケンシングのための方法および組成物 - Google Patents

単一表面プライマーを使用したペアエンドシーケンシングのための方法および組成物 Download PDF

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JP2022513546A JP2020572480A JP2020572480A JP2022513546A JP 2022513546 A JP2022513546 A JP 2022513546A JP 2020572480 A JP2020572480 A JP 2020572480A JP 2020572480 A JP2020572480 A JP 2020572480A JP 2022513546 A JP2022513546 A JP 2022513546A
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Abstract

本開示は、標的核酸のペアエンドシーケンシングのための組成物および方法に関し、より具体的には、1種類の表面プライマーを有する増幅部位を使用して標的核酸の2つの別個の領域からヌクレオチド配列情報を取得することに関する。

Description

本開示は、とりわけ、標的核酸のペアエンドシーケンシング、より具体的には、単一の表面プライマーの集団を有する増幅部位を使用して標的核酸の2つの別個の領域からヌクレオチド配列情報を取得することに関する。
次世代シーケンシング(NGS)技術は、単一の標的核酸から生成されたアンプリコンのモノクローン集団の高度に並列化されたシーケンシングに依存している。NGS法は、シーケンシング速度およびデータ出力を大幅に向上させ、その結果、現在のシーケンシングプラットフォームでの膨大なサンプルスループットをもたらした。鋳型の配列決定にかかる時間をさらに短縮することは非常に望ましいが、有用なシグナルノイズ比、強度、およびフィルタを通過するクラスタの割合の増加(これらの全てがデータ出力およびデータ品質の向上に貢献する)を維持する必要がある。
クラスタ生成は、ライブラリの調製において非常に有用であることが証明されている。それには通常、ライブラリのメンバーが各末端に存在するユニバーサル配列を含むライブラリの作製が含まれる。ライブラリはフローセルに装填され、ライブラリの個々のメンバーは、ユニバーサル配列に相補的な表面結合オリゴの芝に捕捉される。各メンバーは次いで、ブリッジ増幅により別個のクローンクラスタに増幅される。
クラスタ内の鋳型の配列決定には、「ペアエンド」または「ペアワイズ」シーケンシングの技法が挙げられることが多い(米国特許第8,017,335号明細書)。ペアエンドシーケンシングは、単一鋳型の2つの箇所から2つの配列の「読取り」を決定することを可能にする多段階プロセスである。ペアエンドアプローチの利点は、単一鋳型からの各々の塩基の2つのストレッチを配列決定することから得られる情報が、ランダムに2つの独立した鋳型の各々から同じ数の塩基を配列決定することから得られる情報よりも大幅に多いことである。配列情報の組み立てに適切なソフトウェアツールを使用すると、「ペアエンド」配列は完全にランダムなものではなく単一鋳型上で発生するものであるとわかっているため、ゲノム内で連結しているか対になっているかという知識を利用することが可能になる。この情報は、全ゲノム配列をコンセンサス配列に組み立てるのに大いに役立つことが示されている。
本明細書では、アレイの増幅部位に存在する標的核酸のシーケンシングに必要な時間を大幅に短縮する、標的核酸のペアエンドシーケンシングのための方法が提供される。標準的な方法では、通常、2つの表面プライマーの集団を含む増幅部位を使用し、1つの鎖の配列を決定して、その後いくつかの工程を踏むことでペアエンドシーケンシングで一般的に使用されるターンアラウンドを達成することが含まれる。対照的に、本明細書で提供される方法は、ターンアラウンドを必要としない。代わりに、1つの表面プライマーを含む増幅部位が使用され、両鎖から配列データを得るための工程数が削減される。この方法では、標準的な方法に匹敵する一定の割合のフィルタを通過するクラスタと、より長い挿入物が使用される際に標準的な方法よりも高い一定の割合のフィルタを通過するクラスタを提供する。
本方法は、配列決定用の標的核酸の2つの領域(本明細書では第1領域および第2領域と称される)を配列決定することを可能にする。配列決定用の第1領域および第2領域は、標的核酸の相補鎖上にあり、これらの領域は、本明細書ではそれぞれ第1鋳型および第2鋳型と称される。配列決定用の2つの領域は、互いに相補的であってもなくてもよい。標的核酸の2つの領域を配列決定する標準的な方法はペアエンドターンを含むことが多く、例えば、2つの異なる表面プライマー(本明細書では捕捉核酸とも称される)を含む増幅部位を使用し、1つの鋳型を形成した後に続けて2つ目の鋳型を形成する。本明細書で詳細に記載されるように、ペアエンドターンは使用されない。代わりに、方法には、単一の表面プライマーで占められた増幅部位を使用するという利点が含まれる。
本明細書で提供されるのは、標的核酸の第1領域および第2領域のペアワイズシーケンシング方法であって、ここで第1領域および第2領域は標的核酸の相補鎖にあるものとする。一実施形態では、本方法には、複数の増幅部位を含むアレイを用意する工程が含まれる。増幅部位は、複数の捕捉核酸と、複数のクローン一本鎖アンプリコンとを含む。各一本鎖アンプリコンはその5’末端で捕捉核酸に付着しており、捕捉核酸は切断部位を含んでいる。本方法はまた、第1シーケンシングプライマーを各一本鎖アンプリコンに存在するユニバーサル配列にハイブリダイズさせて、第1配列決定反応を実施する工程を含む。第1配列決定反応は、一本鎖アンプリコンを第1鋳型として使用し、第1シーケンシングプライマーにヌクレオチドを順次付加することを含む。配列決定反応は、第1領域の配列を同定し、第1領域の相補鎖を生成する。相補鎖は伸長され、第1シーケンシングプライマーと、配列決定反応中に組み込まれたヌクレオチドと、相補鎖の伸長中に組み込まれたヌクレオチドとを含む二本鎖アンプリコンを形成する。
本方法は、一本鎖アンプリコンに付着している捕捉核酸を切断する工程も含む。この切断は、一本鎖アンプリコンを、短縮した捕捉核酸と、捕捉核酸に5’末端で付着していない非付着第1鋳型とに変える。相補鎖を第2鋳型として使用し、相補鎖にハイブリダイズした第2シーケンシングプライマーにヌクレオチドを順次付加して第2配列決定反応を実施し、第2領域の配列を決定する。
本明細書には、組成物も提供される。一実施形態では、組成物は、増幅部位のアレイを含む。増幅部位は、複数のクローン二本鎖アンプリコンを含む。各二本鎖アンプリコンは、5’末端で増幅部位の表面に付着している第1鎖と、増幅部位の表面に付着しておらず、かつ第1鎖のヌクレオチドに相補的でハイブリダイズしているヌクレオチドを有する第2鎖とを含む。第1鎖は骨格内に切断部を含み、第1鎖の骨格内の切断部は、両側を第2鎖の相補的ヌクレオチドによって挟まれている。
(定義)
本明細書で使用される用語は、別段の定めがない限り、関連技術における通常の意味で理解されるものとする。本明細書で使用されるいくつかの用語およびそれらの意味を、以下に示す。
本明細書において使用するとき、「アンプリコン」という用語は、核酸に関して使用するとき、核酸をコピーした産物であって、核酸のヌクレオチド配列の少なくとも一部と同一または相補的であるヌクレオチド配列を有する産物を意味する。アンプリコンは、核酸、例えば標的核酸またはそのアンプリコンを鋳型として使用する様々な増幅方法のいずれかによって生成することができ、例えば、ポリメラーゼ伸長、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ローリングサークル増幅(RCA)、ライゲーション伸長、またはライゲーション連鎖反応が挙げられる。アンプリコンは、特定のヌクレオチド配列の単一コピー(例えば、ポリメラーゼ伸長産物)またはヌクレオチド配列の複数コピー(例えば、RCAのコンカテマー産物)を有する核酸分子であり得る。標的核酸の最初のアンプリコンは、通常、相補的コピーである。後続のアンプリコンは、最初のアンプリコンの生成後に、標的核酸から、または最初のアンプリコンから作製されるコピーである。後続のアンプリコンは、標的核酸に実質的に相補的であるか、または標的核酸と実質的に同一である配列を有することができる。
本明細書において使用するとき、「増幅部位」という用語は、1つまたは複数のアンプリコンが生成され得るアレイ内またはアレイ上の部位を指す。増幅部位はさらに、その部位で生成された少なくとも1つのアンプリコンを含有する、保持する、または付着するように構成され得る。
本明細書において使用するとき、「アレイ」という用語は、相対的な配置に応じて互いに区別することができる部位の集団を指す。アレイの異なる部位にある異なる分子は、アレイ内での部位の配置に応じて互いに区別することができる。アレイの個々の部位は、特定のタイプの1つまたは複数の分子を含むことができる。例えば、部位は、特定の配列を有する単一の標的核酸分子を含むことができ、または部位は、同じ配列(および/またはそれらの相補的配列)を有するいくつかの核酸分子を含むことができる。アレイの部位は、同じ基板上にありながらフィーチャを異にする場合がある。例示的なフィーチャには、基板内のウェル、基板内もしくは基板上のビーズ(もしくは他の粒子)、基板からの突起、基板上の隆起、または基板内のチャネルなどが挙げられるが、これらに限定されない。アレイの部位は、各々が異なる分子を持つ別々の基板であり得る。別々の基板に付着した異なる分子は、基板が連結している表面上でのそれら基板の配置、または液体もしくはゲル中での基板の配置に応じて識別することができる。別々の基板が表面上に配置されている例示的なアレイには、ウェル内にビーズを有するものが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において使用するとき、「収容可能量」という用語は、部位および核酸材料に関して使用するとき、標的核酸由来のアンプリコンなどの核酸材料がその部位を占めることができる最大量を意味する。例えば、この用語は、特定の条件で部位を占めることができる核酸分子の総数を指すことができる。他の尺度も同様に使用することができ、例えば、核酸材料の総質量、または特定の条件で部位を占めることができる特定のヌクレオチド配列の総コピー数が挙げられる。典型的には、標的核酸に対する部位の収容可能量は、標的核酸のアンプリコンに対するその部位の収容可能量と実質的に同等となる。
本明細書において使用するとき、用語「捕捉剤」は、標的分子(例えば、標的核酸)に付着、保持、または結合することができる材料、化学物質、分子、またはそれらの部位を指す。例示的な捕捉剤には、修飾標的核酸の少なくとも一部(例えば、ユニバーサル捕捉結合配列)に相補的である捕捉核酸、修飾標的核酸(もしくはそれに付着した連結部位)に結合することができる受容体-リガンド結合対のメンバー(例えば、アビジン、ストレプトアビジン、ビオチン、レクチン、炭水化物、核酸結合タンパク質、エピトープ、抗体など)、または修飾標的核酸(もしくはそれに付着した連結部位)と共有結合を形成することができる化学試薬が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、捕捉剤は核酸である。核酸捕捉剤は、増幅プライマーまたはシーケンシングプライマーとして使用することもできる。
「P5」および「P7」という用語は、核酸捕捉剤を指すときに使用され得る。「P5’」(P5プライム)および「P7’」(P7プライム)という用語は、それぞれP5およびP7の相補体を指す。任意の適切な核酸捕捉剤を、本明細書に提示される方法で使用することができ、P5およびP7の使用は、例示的な実施形態にすぎないことが理解されよう。フローセル上でのP5およびP7などの核酸捕捉剤の使用は、国際公開第2007/010251号、国際公開第2006/064199号、国際公開第2005/065814号、国際公開第2015/106941号、国際公開第1998/044151、および国際公開第2000/018957号の開示によって例示されるように、当該技術分野で知られている。当業者であれば、核酸捕捉剤が増幅プライマーまたはシーケンシングプライマーとしても機能し得ることを認識するであろう。例えば、任意の適切な核酸捕捉剤は、固定化されていても溶液中であっても、フォワード増幅プライマーとして機能することができ、配列(例えば、ユニバーサル捕捉結合配列)へのハイブリダイゼーションおよび配列増幅のための本明細書に提示の方法において有用であり得る。同様に、任意の適切な核酸捕捉剤は、固定化されていても溶液中であっても、リバース増幅プライマーとして機能することができ、配列(例えば、ユニバーサル捕捉結合配列)へのハイブリダイゼーションおよび配列増幅のための本明細書に提示の方法において有用であり得る。さらに、本明細書に記載されているように、核酸捕捉剤は、シーケンシングプライマーとしても機能することができる。例えば、任意の適切な核酸捕捉剤またはその一部は、固定化されていても溶液中であっても、シーケンシングプライマーとして機能することができ、配列(例えば、ユニバーサル捕捉結合配列)へのハイブリダイゼーションおよびプライマーの3'に位置するヌクレオチドの配列決定のための本明細書に提示の方法において有用であり得る。入手可能な一般知識および本開示の教示を考慮すると、当業者であれば、本明細書に提示されるような標的核酸の捕捉および増幅に適した配列を設計して使用する方法を理解するであろう。
本明細書において使用するとき、「ユニバーサル配列」という用語は、2つ以上の標的核酸に共通する配列領域を指すが、この分子は互いに異なる配列領域も有する。分子群の異なるメンバーに存在するユニバーサル配列は、ユニバーサル捕捉結合配列などのユニバーサル配列の一部に相補的な捕捉核酸の集団を使用して、複数の異なる核酸の捕捉を可能にすることができる。ユニバーサル捕捉結合配列の非限定的な例としては、P5プライマーおよびP7プライマーと同一または相補的配列が挙げられる。同様に、分子群の異なるメンバーに存在するユニバーサル配列は、ユニバーサルプライマー結合部位などのユニバーサル配列の一部に相補的なユニバーサルプライマーの集団を使用して、複数の異なる核酸の複製または増幅を可能にすることができる。本明細書に記載されているように、標的核酸分子は、例えば、その異なる標的配列の一端または両端にユニバーサルアダプタ(本明細書ではアダプタとも呼ばれる)を付着させるように、修飾され得る。
本明細書において使用するとき、用語「アダプタ(adapter)」およびその誘導体、例えば、ユニバーサルアダプタは、一般に、標的核酸にライゲーションされ得る任意の直鎖オリゴヌクレオチドを指す。いくつかの実施形態では、アダプタは、サンプル中に存在する任意の標的配列の3’末端または5’末端に対して、実質的に非相補的である。いくつかの実施形態では、適切なアダプタの長さは、約10~100ヌクレオチド、約12~60ヌクレオチド、および約15~50ヌクレオチドの範囲である。一般に、アダプタは、ヌクレオチドおよび/または核酸の任意の組み合わせを含むことができる。いくつかの態様では、アダプタは、1つまたは複数の位置に1つまたは複数の切断可能な基を含むことができる。別の態様では、アダプタは、プライマーの少なくとも一部、例えば捕捉核酸と実質的に同一であるか、または実質的に相補的である配列を含むことができる。いくつかの実施形態では、アダプタは、下流のエラー修復、識別、または配列決定を支援するために、インデックスまたはタグとも呼ばれるバーコードを含むことができる。用語「アダプタ(adaptor)」および「アダプタ(adapter)」は、交換可能に使用される。
本明細書において定義するとき、「サンプル」およびその誘導体は、その最も広い意味で使用され、標的核酸を含むと推測される任意の標本、培養物などを含む。いくつかの実施形態では、サンプルは、DNA、RNA、PNA、LNA、キメラまたはハイブリッド形態の核酸を含む。サンプルには、1つまたは複数の核酸を含む任意の生物学、臨床、外科、農業、大気または水生ベースの標本を含めることができる。この用語には、ゲノムDNA、新鮮凍結またはホルマリン固定パラフィン包埋核酸標本などの任意の単離された核酸サンプルも含まれる。また、サンプルは、単一個体からのものであってもよく、遺伝的に関連するメンバーからの核酸サンプル群であってもよく、遺伝的に関連しないメンバーからの核酸サンプルであってもよく、腫瘍サンプルおよび正常組織サンプルなどの単一個体からの核酸サンプル(マッチした)であってもよく、または母体被験体から得られた母体DNAおよび胎児DNAなどの2つの異なる形態の遺伝物質を含有する単一供給源からのサンプルであってもよく、または植物DNAもしくは動物DNAを含有するサンプル中のコンタミ細菌DNAの存在もあり得るということが想定される。いくつかの実施形態では、核酸材料の供給源には、例えば、新生児スクリーニングに典型的に使用されるような、新生児から得られた核酸を含めることができる。
本明細書において使用するとき、用語「クローン」および「モノクローン」は交換可能に使用され、特定のヌクレオチド配列に関して均一である核酸の集団を指す。均一な配列は、典型的には少なくとも10ヌクレオチド長であるが、例えば、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも250、少なくとも500、または少なくとも1000ヌクレオチド長など、さらに長いものであってもよい。クローン集団は、単一の標的核酸に由来することができる。典型的には、クローン集団の全ての核酸は、同一のヌクレオチド配列を有することになる。少数の突然変異(例えば、増幅人工産物に起因する)が、クローン性から逸脱することなくクローン集団内で起こり得ることが理解されよう。少数の異なる標的核酸(例えば、増幅されなかった標的核酸または限定的に増幅された標的核酸に起因する)が、クローン性から逸脱することなくクローン集団内で起こり得ることも理解されよう。
本明細書において使用するとき、「異なる(different)」という用語は、核酸に関して使用するとき、核酸が互いに同一ではないヌクレオチド配列を有することを意味する。2つ以上の核酸は、それらの全長にわたって異なるヌクレオチド配列を有し得る。あるいは、2つ以上の核酸は、それらの長さのかなりの部分にわたって異なるヌクレオチド配列を有し得る。例えば、2つ以上の核酸は、互いに異なる標的ヌクレオチド配列部分を有する一方で、互いに同一であるユニバーサル配列領域も有し得る。本明細書において使用するとき、「異なる」という用語は、増幅部位に関して使用するとき、増幅部位が同じアレイ上の明らかに別の位置に存在することを意味する。
本明細書において使用するとき、「流体アクセス」という用語は、流体中の分子および流体と接触している部位に関して使用するとき、分子が流体中または流体を通って移動し、部位に接触したり、部位に入る能力を指す。この用語は、分子が部位から離れたり、部位から出て溶液に入る能力を指すこともできる。流体アクセスは、分子が部位に入ること、部位に接触すること、部位から離れることおよび/または部位から出ることを妨げる障壁がないときに生じることができる。しかしながら、流体アクセスは、アクセスが完全に妨げられない限り、拡散が遅延され、減少され、または変化しても存在すると理解される。
本明細書において使用するとき、「二本鎖」という用語は、核酸分子に関して使用するとき、核酸分子中の実質的に全てのヌクレオチドが相補的ヌクレオチドに水素結合していることを意味する。部分的に二本鎖の核酸では、そのヌクレオチドの少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%が、相補的ヌクレオチドに水素結合することができる。
本明細書において使用するとき、「各々(each)」という用語は、品々の集合に関して使用するとき、集合中の個々の品を指すことを意図しているが、文脈上明らかに他の定めがない限り、必ずしも集合中のあらゆる品を指すものではない。
本明細書において使用するとき、「格子間領域」という用語は、基板内または表面上の領域であって、基板または表面の他の領域を隔てる領域を指す。例えば、格子間領域は、アレイのあるフィーチャを、アレイの別のフィーチャから隔てることができる。互いに隔てられた2つの領域は、互いに接触しておらず、不連続なものであり得る。別の例では、格子間領域は、フィーチャの第1部分を、フィーチャの第2部分から隔てることができる。格子間領域によってもたらされた隔たりは、部分的または完全な隔たりであり得る。格子間領域は、典型的には、表面上のフィーチャの表面材料とは異なる表面材料を有する。例えば、アレイのフィーチャが有する捕捉剤の量または濃度は、格子間領域に存在するその量または濃度を超えている可能性がある。いくつかの実施形態では、捕捉剤は、格子間領域には存在しない場合がある。
本明細書において使用するとき、用語「ポリメラーゼ」は、当該技術分野でのその使用と一致することが意図されており、例えば、核酸分子の相補的複製を、その核酸を鋳型鎖として使用して生成する酵素が含まれる。典型的には、DNAポリメラーゼは、鋳型鎖に結合し、次いで核酸の成長鎖の3’末端の遊離ヒドロキシル基にヌクレオチドを順次付加しながら鋳型鎖を下降する。DNAポリメラーゼは、典型的にはDNA鋳型から相補的DNA分子を合成し、RNAポリメラーゼは、典型的にはDNA鋳型からRNA分子を合成する(転写)。ポリメラーゼは、プライマーと呼ばれる短いRNAまたはDNA鎖を使用して、鎖の成長を開始することができる。本明細書に詳細に記載されているように、ポリメラーゼを増幅の間に使用してクローンクラスタを生成することができ、配列決定反応の間に使用して核酸の配列を決定することができ、これらの各態様において異なるポリメラーゼを使用することができる。いくつかのポリメラーゼは、鎖に塩基を付加している部位の上流で、鎖を置換させることができる。そのようなポリメラーゼは鎖置換性であると言われ、これは、ポリメラーゼによって読み取られる鋳型鎖から相補鎖を剥がす活性を有することを意味する。鎖置換活性を有する例示的なポリメラーゼには、Bsu(枯草菌)、Bst(バチルス・ステアロサーモフィルス)ポリメラーゼのラージフラグメント、エキソクレノウポリメラーゼ、またはシーケンシンググレードT7エキソポリメラーゼが含まれるが、これらに限定されない。いくつかのポリメラーゼは、それらの前にある鎖を分解し、それを効率的に後ろの成長鎖に置き換える(5’エキソヌクレアーゼ活性)。いくつかのポリメラーゼは、それらの後ろにある鎖を分解する活性(3’エキソヌクレアーゼ活性)を有する。いくつかの有用なポリメラーゼは、突然変異または別の方法により改変され、3’および/または5’エキソヌクレアーゼ活性が低下しているか除去されている。
本明細書において使用するとき、「核酸」という用語は、当該技術分野でのその使用と一致することが意図されており、天然に存在する核酸およびそれらの機能的アナログを含む。特に有用な機能的アナログは、配列特異的な様式で核酸にハイブリダイズすることができるか、または特定のヌクレオチド配列の複製用の鋳型として使用することができる。天然に存在する核酸は、一般に、ホスホジエステル結合を含有する骨格を有する。アナログ構造は、当該技術分野で知られている様々なものが含まれる代替の骨格連結を有することができる。天然に存在する核酸は、一般に、デオキシリボース糖(例えば、デオキシリボ核酸(DNA)中に見られる)またはリボース糖(例えば、リボ核酸(RNA)中に見られる)を有する。核酸は、当該技術分野で知られているこれらの糖部位の様々なアナログを含有することができる。核酸は、天然塩基または非天然塩基を含むことができる。これに関して、天然デオキシリボ核酸は、アデニン、チミン、シトシンまたはグアニンから選択される1つまたは複数の塩基を有することができ、リボ核酸は、ウラシル、アデニン、シトシンまたはグアニンから選択される1つまたは複数の塩基を有することができる。核酸に含めることができる有用な非天然塩基は、当該技術分野で知られている。「標的」という用語は、核酸に関して使用するとき、本明細書に記載の方法または組成物の文脈における核酸の意味的識別子として意図されており、他に明示的に示されるもののほか、核酸の構造または機能を必ずしも限定するものではない。各末端にユニバーサル配列を有する標的核酸、例えば各末端にユニバーサルアダプタを有する標的核酸は、修飾標的核酸と呼ばれ得る。
本明細書において使用するとき、「輸送(transport)」という用語は、流体を通る分子の移動を指す。この用語には、分子の濃度勾配に沿った移動(例えば、受動拡散)などの受動輸送が含まれ得る。この用語は、分子がその濃度勾配に沿ってまたはその濃度勾配に逆らって移動することができるような能動輸送も含まれ得る。したがって、輸送には、エネルギーを加えて、1つまたは複数の分子を所望の方向に、または増幅部位などの所望の場所に移動させることが含まれ得る。
本明細書において使用するとき、「速度(rate)」という用語は、輸送、増幅、捕捉、または他の化学的プロセスに関して使用するとき、化学反応速度論および生化学反応速度論におけるその意味と一致することが意図されている。最大速度(例えば、飽和時)、定常状態前の速度(例えば、平衡前)、反応速度定数、または当該技術分野で知られている他の尺度に関して、2つのプロセスの速度を比較することができる。特定の実施形態では、特定のプロセスの速度を、そのプロセスの完了までの合計時間に関して決定することができる。例えば、増幅速度は、増幅が完了するまでにかかる時間に関して決定することができる。しかしながら、特定のプロセスの速度では、そのプロセスの完了までの合計時間に関して決定される必要はない。
用語「および/または」は、列挙された要素のうちの1つもしくは全て、または列挙された要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
「好ましい」および「好ましくは」という用語は、特定の状況下で、特定の利益をもたらす可能性のある本発明の実施形態を指す。しかしながら、他の実施形態も、同じまたは他の状況下で好ましい場合がある。さらに、1つまたは複数の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用でないことを意味するものではなく、他の実施形態を本発明の範囲から除外することを意図するものではない。
「含む(comprises)」という用語およびその変形は、これらの用語が本明細書および特許請求の範囲に現れる場合、限定的な意味を持たない。
本明細書において、実施形態が「挙げられる(include)」、「含む(includes)」、または「含んでいる(including)」などの語を用いて記載されている場合は常に、「からなる(consisting of)」および/または「本質的にからなる(consisting essentially of)」という用語で記載される別の類似の実施形態も提供されることが理解されよう。
別段の記載がない限り、「a」、「an」、「the」、および「少なくとも1つ」は交換可能に使用され、1つまたは複数を意味する。
核酸のエキソヌクレアーゼ媒介分解などの事象の発生に「適している」条件、すなわち「適切な」条件とは、そのような事象の発生を妨げない条件である。したがって、これらの条件は、事象を可能にし、増やし、促進し、および/または助長する。
本明細書において使用するとき、組成物、物品、もしくは核酸の文脈において「提供する」とは、組成物、物品、もしくは核酸を作製すること、組成物、物品、もしくは核酸を購入すること、または別の方法で化合物、組成物、物品、核酸を入手することを意味する。
また、本明細書において、端点による数値範囲の列挙は、その範囲内に包含される全ての数値を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
本明細書全体を通して、「一実施形態」、「実施形態」、「特定の実施形態」、または「いくつかの実施形態」などへの参照は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構成、組成物、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。したがって、本明細書中の様々な箇所でのそのような言い回しの出現は、必ずしも本開示の同じ実施形態を参照しているわけではない。さらに、特定の特徴、構成、組成物、または特性は、1つまたは複数の実施形態において、任意の適切な方法で組み合わせられる場合がある。
本明細書の説明において、特定の実施形態は、明確にするために、単独で記載され得る。特定の実施形態の特徴が別の実施形態の特徴と互換性がないことが明記されていない限り、特定の実施形態は、1つまたは複数の実施形態に関連して本明細書に記載されている互換性のある特徴の組み合わせを含むことができる。
個別の工程を含む本明細書に開示された任意の方法では、工程は、任意の実行可能な順序で実施され得る。また、適宜、2つ以上の工程の任意の組み合わせが同時に実施され得る。
本発明の上記概要は、本発明の開示の各実施形態または全ての実施を説明することを意図したものではない。以下の説明は、例示的な実施形態をより具体的に実証するものである。本出願全体にわたっていくつかの箇所で、実施例のリストを通じてガイダンスが提供され、それら実施例は様々な組み合わせで使用され得る。どの場合も、列挙されたリストは代表的なグループとしてのみ機能し、排他的なリストとして解釈されるべきではない。
本開示の例示的な実施形態の以下の詳細な説明は、以下の図面と併せて読むと最もよく理解されるであろう。
本明細書に提示される開示の様々な態様に従ってシーケンシング用の標的核酸を調製する実施形態の概略図である。簡単にするために、1つのアンプリコンのみが示されている。 本明細書に提示される開示の様々な態様に従ってシーケンシング用の標的核酸を調製する実施形態の概略図である。簡単にするために、1つのアンプリコンのみが示されている。 本明細書に提示される開示の様々な態様に従ってシーケンシング用の標的核酸を調製する実施形態の概略図である。簡単にするために、1つのアンプリコンのみが示されている。 本明細書に提示される開示の様々な態様に従ってシーケンシング用の標的核酸を調製する実施形態の概略図である。簡単にするために、1つのアンプリコンのみが示されている。 本明細書に提示される開示の様々な態様に従ってシーケンシング用の標的核酸を調製する実施形態の概略図である。簡単にするために、1つのアンプリコンのみが示されている。 本明細書に提示される開示の様々な態様に従ってシーケンシング用の標的核酸を調製する実施形態の概略図である。簡単にするために、1つのアンプリコンのみが示されている。 本明細書に提示される開示の様々な態様に従ってシーケンシング用の標的核酸を調製する実施形態の概略図である。簡単にするために、1つのアンプリコンのみが示されている。 「フローセルチャート」と表示されたパネルは、左から右にレーン1~8のフローセルを示している;「サイクルごとのデータ」と表示されたパネルは、実行中の品質指標の進行状況を示している;「レーンごとのデータ」と表示されたパネルは、レーンごとの品質指標を示している;「Qスコア分布」と表示されたパネルは、品質スコアごとの読取り数を示している;「Qスコアヒートマップ」と表示されたパネルは、サイクルごとのQスコアを示している。単一プライマー増幅部位の読取り1(R1)のシーケンシングの結果を示す図である。左パネルは、増幅部位の表面に付着したプライマー(単数または複数)と、フローセルの各レーンでのシーケンシングに使用したR1プライマーとを示している。「グラフト」とは、増幅部位の表面に付着している表面プライマー(単数または複数)(本明細書では捕捉核酸とも呼ばれる)を指す。T6-P5/P7は、P5およびP7の両方の表面プライマーが付着しているレーンを指し、T10-P7のみは、P7表面プライマーが付着したレーンを指す。「R1ハイブリダイゼーション」は、使用したR1シーケンシングプライマーを指す。SBS3+Tは標準的なR1プライマーであり、Bio-P5-SBS3+Tはデュアルビオチンが付加されたプライマーである。 「フローセルチャート」と表示されたパネルは、左から右にレーン1~8のフローセルを示している;「サイクルごとのデータ」と表示されたパネルは、実行中の品質指標の進行状況を示している;「レーンごとのデータ」と表示されたパネルは、レーンごとの品質指標を示している;「Qスコア分布」と表示されたパネルは、品質スコアごとの読取り数を示している;「Qスコアヒートマップ」と表示されたパネルは、サイクルごとのQスコアを示している。実施例2のフローセルを読取り2(R2)シーケンシングのために処理した結果を示す図である。左パネルは、増幅部位の表面に付着したプライマー(単数または複数)と、フローセルの各レーンでのシーケンシングに使用したR1プライマーを示しており、図2と同じである。左パネルは、フローセルの各レーンの追加処理も示している。「伸長/ニッキング」は、Bst増幅ミックスおよびFpGでの処理による1本鎖の切断を指す;「キナーゼ」はキナーゼでの処理を指す;「脱ハイブリダイゼーション?」は、付着していない鎖を除去したかどうか、およびどのように除去したかを指す;「”R2”ハイブリダイゼーション(40)」は、使用したR2プライマーを示す。 図3で提示された結果のレーン5(図4A)およびレーン6(図4B)のサイクルごとのデータを示す図である。 「フローセルチャート」と表示されたパネルは、左から右にレーン1~8のフローセルを示している;「サイクルごとのデータ」と表示されたパネルは、実行中の品質指標の進行状況を示している;「レーンごとのデータ」と表示されたパネルは、レーンごとの品質指標を示している;「Qスコア分布」と表示されたパネルは、品質スコアごとの読取り数を示している;「Qスコアヒートマップ」と表示されたパネルは、サイクルごとのQスコアを示している。実施例3のフローセルを脱ハイブリダイゼーション後にR2でシーケンシングするために処理した結果を示す図である。左パネルは、図2および3に記載のようなレーンと、二本鎖アンプリコンを変性させるためのNaOHでの追加処理と、追加の配列決定反応に使用したR2プライマーとを示す。
模式図は、必ずしも縮尺どおりではない。図中で使用されている同様の番号は、同様の構成要素、工程などを指す。しかしながら、番号を使用して所与の図の構成要素を参照することは、同じ番号でラベル付けされた別の図の構成要素を限定することを意図していないことが理解されよう。さらに、異なる番号を使用して構成要素を参照することは、その異なる番号の構成要素が、他の番号の構成要素と同一または類似のものではあり得ないことを示すことを意図していない。
(詳細な説明)
本明細書では、核酸のシーケンシングに関連する方法および組成物を提示する。本開示は、標的核酸の第1領域および第2領域をペアワイズシーケンシングするための方法を提供し、ここでは第1領域および第2領域が相補鎖にあるものとする。一実施形態では、本方法は、複数の増幅部位を含むアレイを用意する工程を含む。各増幅部位は、増幅部位に5’末端で付着している複数の捕捉核酸を含む。捕捉核酸は、切断部位を含む。各増幅部位は、複数のクローン一本鎖アンプリコンも含み、各一本鎖アンプリコンは、その5’末端で捕捉核酸に付着しており、一本鎖アンプリコンの3’末端は増幅部位の表面に付着していない。1つの捕捉核酸の集団が存在する。例えば、図1Aでは、増幅部位10は、捕捉核酸12に付着している複数の一本鎖アンプリコン11のうちの1つのメンバーで示されている。また、図1Aでは、捕捉核酸12上にXでマークされた切断部位が示されている。
本方法は、シーケンシングプライマーを一本鎖アンプリコンにハイブリダイズさせる工程をさらに含む。例えば、図1Bにおいて、シーケンシングプライマー13を一本鎖アンプリコン11にアニーリングしている。シーケンシングプライマーの3’末端にヌクレオチドを順次付加することにより、第1配列決定反応が行われる。シーケンシングプライマーはDNAポリメラーゼによって使用されて合成が開始され、一本鎖アンプリコンは第1鋳型として機能する。配列決定反応の結果により、第1領域の配列が決定され、第1領域の相補鎖が生成される。例えば、図1Cにおいて、一本鎖アンプリコン11にアニーリングしたシーケンシングプライマー13は、配列決定反応中に伸長され、結果として生じる第1領域の相補鎖14に組み込まれ、部分的に二本鎖の構造15を生じる。
相補鎖はさらに伸長され、一本鎖アンプリコンの大部分に相補的な二本鎖アンプリコンを形成し、第1シーケンシングプライマーと、配列決定反応中に組み込まれたヌクレオチドと、相補鎖の伸長中に組み込まれたヌクレオチドとを含む。例えば、図1Dにおいて、伸長した相補鎖16は、第1シーケンシングプライマーのヌクレオチドと、配列決定反応中に組み込まれたヌクレオチドと、伸長中に組み込まれたヌクレオチドとを含む。
本方法は、一本鎖アンプリコンに付着している捕捉核酸を切断する工程をさらに含む。例えば、図1Eに示すように、切断部位Xは切断され、もはやアレイに付着していない切断された鎖11’と短縮した捕捉核酸12’とを残す。
一実施形態では、本方法は、図1Eに図示される構造を変性条件にさらして、アレイに付着していない切断された鎖の部分(図1Dの11’)を除去する工程を含むこともできる。これにより、伸長した相補鎖16は、その長さの大部分にわたって一本鎖である。第2シーケンシングプライマー(図1Fの17)を伸長した相補鎖16にアニーリングさせ、伸長した相補鎖16を第2鋳型として使用する第2配列決定反応に使用することができる。
別の実施形態では、短縮した捕捉核酸12’は、配列決定反応を開始するためのプライマーとして使用することができる。短縮した捕捉核酸12’がシーケンシングプライマーとして使用される場合、アレイに付着していない切断された鎖(図1Eの11’)の除去は任意選択である。鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼを使用すると、短縮した捕捉核酸から配列決定を開始し、切断された鎖を合成中に置換することができる。いくつかの実施形態では、短縮した捕捉核酸の3’末端を修飾して3’-OHで終結させることが必要な場合がある。例えば、図1Gにおいて、鎖置換DNAポリメラーゼでの短縮した捕捉核酸12’の伸長18により、切断された鎖11’が置換される。
(アレイ)
本明細書に記載の方法で使用される増幅部位のアレイは、1つまたは複数の基板として存在することができる。アレイに使用することができる基板材料の例示的なタイプには、ガラス、修飾ガラス、機能化ガラス、無機ガラス、ミクロスフェア(例えば、不活性粒子および/または磁性粒子)、プラスチック、多糖類、ナイロン、ニトロセルロース、セラミック、樹脂、シリカ、シリカベースの材料、炭素、金属、光ファイバーまたは光ファイバー束、ポリマー、およびマルチウェル(例えば、マイクロタイター)プレートが挙げられる。例示的なプラスチックとしては、アクリル、ポリスチレン、スチレンと他の材料とのコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、およびTeflon(商標)が挙げられる。例示的なシリカベースの材料には、シリコンおよび様々な形態の変性シリコンが挙げられる。
特定の実施形態では、基板は、ウェル、チューブ、チャネル、キュベット、ペトリ皿、ボトルなどの容器内または容器の一部であり得る。特に有用な容器は、例えば、米国特許第8,241,573号明細書またはBentley et al., Nature 456:53-59 (2008)に記載されているようなフローセルである。例示的なフローセルは、Illumina社(カリフォルニア州サンディエゴ)から市販されているものである。別の特に有用な容器は、マルチウェルプレートまたはマイクロタイタープレートのウェルである。
いくつかの実施形態では、アレイの増幅部位を、表面上のフィーチャとして構成することができる。フィーチャは、任意の様々な所望の形態で存在することができる。例えば、部位は、ウェル、くぼみ、チャネル、隆起、盛り上がった領域、ペグ、ポストなどであり得る。一実施形態では、増幅部位は、ビーズを含有することができる。しかしながら、特定の実施形態では、部位は、ビーズまたは粒子を含有している必要はない。例示的な部位には、454 LifeSciences(Rocheの子会社、バーゼル、スイス)またはIon Torrent(Life Technologiesの子会社、カールスバッド、カリフォルニア州、米国)が販売する商用シーケンシングプラットフォームに使用される基板に存在するウェルが挙げられる。ウェルを有する他の基板には、例えば、エッチングされた光ファイバーおよび米国特許第6,266,459号明細書;米国特許第6,355,431号明細書;米国特許第6,770,441号明細書;米国特許第6,859,570号明細書;米国特許第6,210,891号明細書;米国特許第6,258,568号明細書;米国特許第6,274,320号明細書;米国特許第8,262,900号明細書;米国特許第7,948,015号明細書;米国特許出願公開第2010/0137143号明細書;米国特許第8,349,167号明細書、または国際公開第00/63437号に記載されている他の基板が挙げられる。いくつかの例では、基板は、ウェル内にビーズを使用する用途について、これらの参考文献に例示されている。ウェル含有基板は、ビーズの有無にかかわらず、本開示の方法または組成物で使用することができる。いくつかの実施形態では、基板のウェルは、米国特許第9,512,422号明細書に記載されているように、ゲル材料(ビーズの有無を問わない)を含むことができる。
アレイの増幅部位は、ガラス、プラスチック、または本明細書で例示される他の材料などの非金属表面上の金属フィーチャであり得る。金属層は、湿式プラズマエッチング、乾式プラズマエッチング、原子層堆積、イオンビームエッチング、化学気相成長、真空スパッタリングなどの当該技術分野で知られている方法を用いて表面上に堆積させることができる。例えば、FlexAL(登録商標)、OpAL(登録商標)、Ionfab300Plus(登録商標)、またはOptofab3000(登録商標)システム(Oxford Instruments、英国)が挙げられる、任意の様々な市販の装置を適宜使用することができる。金属層は、Thornton, Ann. Rev. Mater. Sci. 7:239-60 (1977)に記載されているように、電子ビーム蒸着またはスパッタリングによって堆積させることもできる。本明細書で例示されるような金属層堆積技法は、フォトリソグラフィ技法と組み合わせて、表面上に金属領域またはパッチを形成することができる。金属層堆積技法とフォトリソグラフィ技法を組み合わせる例示的な方法は、米国特許第8,778,848号明細書および米国特許第8,895,249号明細書に記載されている。
フィーチャのアレイは、スポットまたはパッチの格子として表示することができる。フィーチャは、繰り返しパターンまたは不規則な非繰り返しパターンに配置することができる。特に有用なパターンは、六角形パターン、直線パターン、格子パターン、鏡映対称性を有するパターン、回転対称性を有するパターンなどである。非対称パターンも有用である。ピッチは、異なる組の最近傍フィーチャ間で同じであってもよく、またはピッチは、異なる組の最近傍フィーチャ間でばらつきがあってもよい。特定の実施形態では、アレイのフィーチャは、各々、約100nm、250nm、500nm、1μm、2.5μm、5μm、10μm、100μm、または500μmよりも大きい面積を有することができる。代替的に、または追加的に、アレイのフィーチャは、各々、約1mm、500μm、100μm、25μm、10μm、5μm、1μm、500nm、または100nmよりも小さい面積を有することができる。実際、領域は、上記で例示されたものから選択される上限と下限との間の範囲にあるサイズを有することができる。
表面上にフィーチャのアレイを含む実施形態では、フィーチャは、格子間領域によって隔てられており、不連続なものであり得る。アレイを高密度、中密度、または低密度とすることができるように、フィーチャのサイズおよび/または領域間の間隔を変えることができる。高密度アレイは、約15μm未満で隔てられた領域を有することを特徴とする。中密度アレイは、約15~約30μmで隔てられた領域を有する一方で、低密度アレイは、30μmよりも大きく隔てられた領域を有する。本開示で有用なアレイは、100μm未満、50μm未満、10μm未満、5μm未満、1μm未満、または0.5μm未満で隔てられた領域を有し得る。
特定の実施形態では、アレイは、ビーズまたは他の粒子の集合物を含むことができる。粒子は、溶液中に懸濁させることも、基板の表面上に配置することもできる。溶液中のビーズアレイの例は、Luminex(オースティン、テキサス州、米国)によって商品化されたものである。表面上にビーズが配置されているアレイの例には、BeadChipアレイ(Illumina社、サンディエゴ、カリフォルニア州、米国)などの、ビーズがウェル内に配置されているもの、または454 LifeSciences(Rocheの子会社、バーゼル、スイス)もしくはIon Torrent(Life Technologiesの子会社、カールズバッド、カリフォルニア州、米国)のシーケンシングプラットフォームで使用される基板が挙げられる。表面上にビーズが配置されている他のアレイは、米国特許第6,266,459号明細書;米国特許第6,355,431号明細書;米国特許第6,770,441号明細書;米国特許第6,859,570号明細書;米国特許第6,210,891号明細書;米国特許第6,258,568号明細書;米国特許第6,274,320号明細書;米国特許出願公開第2009/0026082 A1号明細書;米国特許出願公開第2009/0127589 A1号明細書;米国特許出願公開第2010/0137143 A1号明細書;米国特許出願公開第2010/0282617 A1号明細書;または国際公開第00/63437号に記載されている。上記参考文献のいくつかは、ビーズをアレイ基板内にまたはアレイ基板上に装填する前に、標的核酸をビーズに付着させる方法を記載している。しかしながら、増幅プライマーを含むようにビーズを作製することができ、次いで、そのビーズを使用してアレイに装填することができ、それにより、本明細書に記載の方法で使用するための増幅部位が形成されることが理解されよう。本明細書で先に述べたように、基板は、ビーズなしで使用することができる。例えば、増幅プライマーは、ウェルに直接、またはウェル内のゲル材料に付着させることができる。したがって、参考文献は、本明細書に記載の方法および組成物で使用するために変更することができる材料、組成物または装置を例示するものである。
アレイの増幅部位は、標的核酸に結合することができる複数の捕捉剤を含むことができる。一実施形態では、捕捉剤は、捕捉核酸を含む。捕捉核酸のヌクレオチド配列は、標的核酸のユニバーサル配列に相補的である。いくつかの実施形態では、捕捉核酸は、標的核酸の増幅のためのプライマーとして機能することもできる。いくつかの実施形態では、捕捉核酸の1つの集団は、P5プライマーまたはその相補体を含む。いくつかの実施形態では、増幅部位は、複数の第2捕捉核酸も含み、この第2捕捉核酸は、P7プライマーまたはその相補体を含むことができる。いくつかの実施形態では、捕捉核酸は、切断部位を含むことができる。捕捉核酸における切断部位は、本明細書においてより詳細に記載される。
特定の実施形態では、捕捉核酸などの捕捉剤を増幅部位に付着させることができる。例えば、捕捉剤は、アレイのフィーチャの表面に付着させることができる。付着は、ビーズ、粒子またはゲルなどの中間構造を介して行うことができる。ゲルを介したアレイへの捕捉核酸の付着の例は、米国特許第8,895,249号明細書に記載されており、Illumina社(サンディエゴ、カリフォルニア州、米国)から市販されているか、または国際公開第2008/093098号に記載されているフローセルによってさらに例示される。本明細書に記載の方法および装置において使用することができる例示的なゲルには、アガロースなどのコロイド構造を有するもの;ゼラチンなどのポリマーメッシュ構造を有するもの;またはポリアクリルアミド、SFA(例えば、米国特許第2011/0059865 A1号明細書を参照)またはPAZAM(例えば、米国特許第9,012,022号明細書を参照)などの架橋ポリマー構造を有するものが挙げられるが、これらに限定されない。ビーズを介した付着は、本明細書に先に記載した説明および引用参考文献に例示されるように達成することができる。
いくつかの実施形態では、アレイ基板の表面上のフィーチャは、表面の格子間領域によって隔てられており、不連続なものである。アレイのフィーチャと比べて、捕捉剤の量または濃度が実質的に低い格子間領域が有利である。捕捉剤を欠く格子間領域は、特に有利である。例えば、格子間領域における捕捉剤が比較的少量であること、または捕捉剤がないことは、標的核酸、およびその後に生成されるクラスタを、所望のフィーチャへ有利に局在化する。特定の実施形態では、フィーチャは、表面の凹状フィーチャ(例えば、ウェル)であり得、フィーチャは、ゲル材料を含み得る。ゲル含有フィーチャは、ゲルが実質的に存在しない表面の格子間領域か、ゲルが存在する場合にはゲルが核酸の局在化を支持することが実質的にできない表面の格子間領域によって、互いに隔てられ得る。ウェルなどのゲル含有フィーチャを有する基板の製造および使用のための方法および組成物は、米国特許第9,512,422号明細書に記載されている。
(標的核酸)
本明細書に記載の方法で使用されるアレイは、二本鎖修飾標的核酸を含む。「標的核酸」、「標的フラグメント」、「標的核酸フラグメント」、「標的分子」および「標的核酸分子」という用語は交換可能に使用され、そのヌクレオチド配列の同定が望まれる核酸分子を指す。標的核酸は、本質的に既知または未知の配列の任意の核酸であってよい。それは、例えば、ゲノムDNAまたはcDNAのフラグメントであり得る。シーケンシングは、標的分子の全体または一部の配列を決定する結果となり得る。標的は、ランダムにフラグメント化された一次核酸サンプルから得ることができる。一実施形態では、各標的フラグメントの末端に、ユニバーサル増幅配列、例えばユニバーサルアダプタに存在する配列を配置することによって、標的を増幅に適した鋳型に加工することができる。各末端にユニバーサルアダプタを有する標的核酸は、「修飾標的核酸」と呼ばれ得る。ユニバーサルアダプタについては、本明細書で詳述している。
一次核酸サンプルは、サンプルからの二本鎖DNA(dsDNA)形態(例えば、ゲノムDNAフラグメント、PCRおよび増幅産物など)に由来するものでもよく、またはサンプルからのDNAまたはRNAとしての一本鎖形態に由来し、dsDNA形態に変換されたものであってもよい。例として、当該技術分野でよく知られている標準的な技法を用いて、mRNA分子を、本明細書に記載の方法での使用に適した二本鎖cDNAにコピーしてもよい。一次核酸サンプルからのポリヌクレオチド分子の正確な配列は、概して本開示にとって重要ではなく、既知のものであっても未知のものであってもよい。
一実施形態では、一次核酸サンプルからの一次ポリヌクレオチド分子は、DNA分子である。より具体的には、一次ポリヌクレオチド分子は、生物の遺伝的相補体全体を表し、イントロン配列およびエクソン配列の両方、ならびにプロモーター配列およびエンハンサー配列などの非コード調節配列を含むゲノムDNA分子である。一実施形態では、ポリヌクレオチド配列またはゲノムDNAの特定のサブセット、例えば、特定の染色体を使用することができる。さらにより具体的には、一次ポリヌクレオチド分子の配列は知られていない。さらにより具体的には、一次ポリヌクレオチド分子は、ヒトゲノムDNA分子である。DNA標的フラグメントを、任意のランダムフラグメント化処理の前または後、ユニバーサルアダプタ配列のライゲーションの前または後に、化学的または酵素的に処理してもよい。
核酸サンプルには、ゲノムDNA(gDNA)などの高分子量物質を含めることができる。サンプルには、ホルマリン固定パラフィン包埋されたDNAサンプルまたはアーカイブされたDNAサンプルから得られた核酸分子などの低分子量物質を含めることができる。別の実施形態では、低分子量物質には、酵素的または機械的にフラグメント化されたDNAが含まれる。サンプルには、無細胞循環DNAを含めることができる。いくつかの実施形態では、サンプルには、生検、腫瘍、スクレイピング、スワブ、血液、粘液、尿、血漿、精液、毛髪、レーザキャプチャマイクロダイセクション、外科的切除、および他の臨床または実験室で得られたサンプルから得られた核酸分子を含めることができる。いくつかの実施形態では、サンプルは、疫学的、農業的、法医学的または病原性サンプルであり得る。いくつかの実施形態では、サンプルには、ヒトまたは哺乳動物源などの動物から得られた核酸分子を含めることができる。別の実施形態では、サンプルには、植物、細菌、ウイルス、または真菌などの非哺乳動物源から得られた核酸分子を含めることができる。いくつかの実施形態では、核酸分子の供給源は、アーカイブされているか絶滅したサンプルまたは種であってもよい。
さらに、本明細書に開示の方法および組成物は、品質が低い核酸分子を有する核酸サンプル、例えば、法医学サンプルからの分解されたおよび/またはフラグメント化されたゲノムDNAを増幅するのに有用である場合がある。一実施形態では、法医学サンプルには、犯罪現場から、行方不明者DNAデータベースから、法医学調査に関連する研究所から、または法執行機関、1つもしくは複数の軍隊、もしくは任意のそのような要員によって得られた法医学サンプルから得られた核酸を含めることができる。核酸サンプルは、精製サンプルであっても、例えば、唾液、血液、もしくは他の体液を含浸させ得る口腔スワブ、紙、布、または他の基材から得られたクルードDNA含有溶解液であってもよい。このように、いくつかの実施形態では、核酸サンプルには、少量の、またはフラグメント化されたゲノムDNAなどのDNAの一部を含めてもよい。いくつかの実施形態では、標的配列は、血液、痰、血漿、精液、尿、および血清を含むがこれらに限定されない1つまたは複数の体液中に存在し得る。いくつかの実施形態では、標的配列を、毛髪、皮膚、組織サンプル、剖検、または被害者の遺体から得ることができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の標的配列を含む核酸を、死後の動物またはヒトから得ることができる。いくつかの実施形態では、標的配列には、微生物、植物または昆虫DNAなどの非ヒトDNAから得られた核酸を含めることができる。いくつかの実施形態では、標的配列または増幅された標的配列は、人物同定の目的に向けられる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法を、法医学サンプルの特徴の同定に使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、1つもしくは複数の標的特異的プライマーまたは既知のプライマー設計基準を使用して設計された1つもしくは複数の標的特異的プライマーを使用するヒト同定方法に使用することができる。一実施形態では、少なくとも1つの標的配列を含む法医学サンプルまたはヒト同定サンプルは、既知のプライマー設計基準を使用した任意の1つまたは複数の標的特異的プライマーを使用して増幅することができる。
生体サンプルの供給源の追加の非限定的な例には、患者から得られるサンプルと同様に、全生物を含めることができる。生体サンプルは、任意の生体液または組織から得ることができ、液体流体および組織、固体組織、ならびに乾燥、凍結、および固定形態などの保存形態を含む様々な形態であり得る。サンプルは、任意の生体組織、細胞、または流体であり得る。そのようなサンプルには、痰、血液、血清、血漿、血球(例えば、白血球)、腹水、尿、唾液、涙、痰、膣液(排出物)、医療処置中に得られた洗浄液(例えば、生検、内視鏡検査、もしくは手術中に得られた骨盤またはその他の洗浄液)、組織、乳頭吸引液、コア針または細針生検サンプル、細胞含有体液、浮遊核酸、腹膜液、および胸水、またはそれらから得られた細胞が含まれるが、これらに限定されない。生体サンプルはまた、組織学的目的のために採取された凍結切片もしくは固定切片などの組織の切片、または顕微解剖した細胞もしくはそれらの細胞外部分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、サンプルは、例えば、全血サンプルなどの血液サンプルであり得る。別の例では、サンプルは、未処理の乾燥血液スポットサンプルである。さらに別の例では、サンプルは、ホルマリン固定パラフィン包埋サンプルである。さらに別の例では、サンプルは唾液サンプルである。さらに別の例では、サンプルは乾燥唾液スポットサンプルである。
標的核酸を得ることができる例示的な生体サンプルには、例えば、真核生物、例えば、げっ歯動物、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、アンガレート、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ、ネコ、イヌ、霊長類、ヒトもしくは非ヒト霊長類などの哺乳動物;シロイヌナズナ、トウモロコシ、モロコシ、オートムギ、コムギ、イネ、キャノーラ、もしくはダイズなどの植物;コナミドリムシなどの藻類;シノラブディティス・エレガンスなどの線虫;キイロショウジョウバエ、蚊、ミバエ、ミツバチもしくはクモなどの昆虫;ゼブラフィッシュなどの魚;爬虫類;カエルもしくはアフリカツメガエルなどの両生類;キイロタマホコリカビ;ニューモシスチス・カリニ、トラフグ、サッカロマイセス・セレビシエもしくはシゾサッカロミセス・ポンベなどの酵母などの真菌;または熱帯熱マラリア原虫からのものを含めることができる。標的核酸は、細菌、大腸菌、ブドウ球菌もしくは肺炎マイコプラズマなどの原核生物;古細菌;C型肝炎ウイルスもしくはヒト免疫不全ウイルスなどのウイルス;またはウイロイドにも由来し得る。標的核酸は、均質な培養物もしくは生物集団か、または代替的に、例えば共同体もしくは生態系内のいくつかの異なる生物群に由来し得る。
ランダムフラグメント化とは、酵素的、化学的、または機械的な方法により、一次核酸サンプルからポリヌクレオチド分子を無秩序にフラグメント化することを指す。そのようなフラグメント化方法は、当該技術分野で知られており、標準的な方法を使用する(Sambrook and Russell, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, third edition)。一実施形態では、フラグメント化は、しばしばタグメンテーションと呼ばれるプロセスを用いて達成され得る。タグメンテーションは、トランスポゾン複合体を使用し、単一工程のフラグメント化およびライゲーションに統合して、ユニバーサルアダプタを付加する(Gundersonら、国際公開第2016/130704号)。明確にするために、大きな核酸片の小さなフラグメントを、そのような小さなフラグメントの特異的PCR増幅を介して生成することは、大きな核酸配列片が無傷のままである(すなわち、PCR増幅によってフラグメント化されていない)ため、大きい核酸片をフラグメント化することとは同等ではない。さらに、ランダムフラグメント化は、切断を含むおよび/または切断の周囲のヌクレオチドの配列同一性または位置に関係なくフラグメントを生成するように設計されている。特に、ランダムフラグメント化は、噴霧化または超音波化などの機械的手段によるものであり、長さ約50塩基対~長さ約1500塩基対、特に長さ約50~700塩基対、特に長さ約50~400塩基対のフラグメントを生成する。中でも特に、長さ約50~約150塩基対の小さなフラグメントを生成するために、この方法が使用される。
機械的手段(例えば、噴霧化、超音波化、およびハイドロシェア)によるポリヌクレオチド分子のフラグメント化は、平滑末端ならびに3’-および5’-突出末端が不均一に混在したフラグメントをもたらす。したがって、例えば、クローニングベクターの平滑部位への挿入に最適な末端を生成するために、当該技術分野で知られている方法またはキット(Lucigen DNA terminator End Repair Kit)を用いてフラグメント末端を修復することが望ましい。特定の実施形態では、核酸の集団のフラグメント末端は平滑末端である。より具体的には、フラグメント末端は平滑末端であり、リン酸化されている。リン酸部位は、例えば、ポリヌクレオチドキナーゼを用いた酵素処理を介して導入することができる。
標的核酸の集団は、本明細書に記載の方法または組成物の特定の用途に望ましいまたは適切な平均鎖長を有することができる。例えば、平均鎖長は、約100,000ヌクレオチド、約50,000ヌクレオチド、約10,000ヌクレオチド、約5,000ヌクレオチド、約1,000ヌクレオチド、約500ヌクレオチド、約100ヌクレオチド、または約50ヌクレオチド未満であり得る。代替的または追加的に、平均鎖長は、約10ヌクレオチド、約50ヌクレオチド、約100ヌクレオチド、約500ヌクレオチド、約1,000ヌクレオチド、約5,000ヌクレオチド、約10,000ヌクレオチド、約50,000ヌクレオチド、または約100,000ヌクレオチド超であり得る。標的核酸の集団の平均鎖長は、本明細書に記載の最大値と最小値との間の範囲にあり得る。増幅部位で生成された(または本明細書で別の方法で作製もしくは使用される)アンプリコンは、上記で例示したものから選択される上限値と下限値との間の範囲にある平均鎖長を有し得ることが理解されよう。
いくつかの例では、標的核酸の集団は、そのメンバーの長さを最大にする条件下で生成することができるか、別の方法でそうなるように構成することができる。例えば、本明細書に記載の方法の1つまたは複数の工程で使用されるか、特定の組成物中に存在するメンバーの最大長は、100,000ヌクレオチド未満、50,000ヌクレオチド未満、10,000ヌクレオチド未満、5,000ヌクレオチド未満、1,000ヌクレオチド未満、500ヌクレオチド未満、100ヌクレオチド未満、または50ヌクレオチド未満であり得る。代替的または追加的に、標的核酸の集団は、そのメンバーの長さを最小にする条件下で生成することができるか、別の方法でそうなるように構成することができる。例えば、本明細書に記載の方法の1つまたは複数の工程で使用されるか、特定の組成物中に存在するメンバーの最小長は、10ヌクレオチド超、50ヌクレオチド超、100ヌクレオチド超、500ヌクレオチド超、1,000ヌクレオチド超、5,000ヌクレオチド超、10,000ヌクレオチド超、50,000ヌクレオチド超、または100,000ヌクレオチド超であり得る。集団内の標的核酸の最大鎖長および最小鎖長は、上記の最大値と最小値との間の範囲にあり得る。増幅部位で生成された(または本明細書で別の方法で作製もしくは使用される)アンプリコンは、上記で例示した上限値と下限値との間の範囲の最大鎖長および/または最小鎖長を有し得ることが理解されよう。
特定の実施形態では、例えば、デオキサアデノシン(A)などの単一のデオキシヌクレオチドを、PCR産物などのDNA分子の3’末端に付加する非鋳型依存性末端トランスフェラーゼ活性を有するTaqポリメラーゼまたはクレノウエキソマイナスポリメラーゼなどの特定のタイプのDNAポリメラーゼの活性により、標的フラグメント配列を単一の突出ヌクレオチドで調製する。そのような酵素を使用して、二本鎖標的フラグメントの各鎖の平滑末端の3’末端に、単一のヌクレオチド「A」を付加することができる。したがって、「A」を、Taqまたはクレノウエキソマイナスポリメラーゼとの反応によって、二本鎖標的フラグメントの各末端修復鎖の3’末端に付加することができ、一方、ユニバーサルアダプタポリヌクレオチド構築物は、ユニバーサルアダプタの二本鎖核酸の各領域の3’末端に存在して互換性のある「T」突出を有するT構築物であり得る。この末端修飾はまた、各末端にユニバーサルアダプタを有する標的核酸の形成に偏りがあるような、ベクターおよび標的の両方の自己ライゲーションを防止する。
いくつかの例では、そのような供給源に由来する標的核酸を、本明細書の方法または組成物で使用する前に増幅することができる。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ローリングサークル増幅(RCA)、多重置換増幅(MDA)、またはランダムプライム増幅(RPA)を含むがこれらに限定されない様々な既知の増幅技法のいずれかを使用することができる。本明細書に記載の方法または組成物で使用する前の標的核酸の増幅は、任意選択であることが理解されよう。そのため、本明細書に記載の方法および組成物のいくつかの実施形態では、標的核酸を使用前に増幅することはない。標的核酸は、任意選択で、合成ライブラリに由来し得る。合成核酸は、天然DNAまたはRNA組成物を有し得、またはそれらのアナログであり得る。
(ユニバーサルアダプタ)
本明細書に記載の方法または組成物で使用する標的核酸は、各末端に付着したユニバーサルアダプタを含む。各末端にユニバーサルアダプタを有する標的核酸は、「修飾標的核酸」と呼ばれ得る。本明細書に記載の方法で使用する標的核酸の各末端にユニバーサルアダプタを付着させる方法は、当業者に知られている。付着は、ライゲーションを用いた標準的なライブラリ調製技法(米国特許出願公開第2018/0305753号明細書)を介して、またはトランスポザーゼ複合体を用いたタグメンテーション(Gundersonら、国際公開第2016/130704号)を介して行うことができる。
一実施形態では、サンプル、例えばフラグメント化されたサンプルからの二本鎖標的核酸は、最初に同一のユニバーサルアダプタ分子(「ミスマッチアダプタ」、その一般的特徴は以下に定義され、Gormleyら、米国特許第7,741,463号明細書、およびBignellら、米国特許第8,053,192号明細書にさらに記載されている)を、二本鎖標的核酸の5’末端および3’末端にライゲーションすることによって処理される。一実施形態では、ユニバーサルアダプタは、後続する配列決定のために標的核酸をアレイ上に固定化するのに必要なユニバーサル捕捉結合配列を含む。別の実施形態では、PCR工程を使用して、固定化および配列決定の前に、標的核酸の各末端に存在するユニバーサルアダプタをさらに修飾する。例えば、最初のプライマー伸長反応は、ユニバーサルプライマー結合部位を用いて行われ、そこで個々の標的核酸の両鎖に相補的な伸長産物が形成され、ユニバーサル捕捉結合配列を付加する。得られたプライマー伸長産物、および任意選択で増幅されたそのコピーは、固定化され、その後配列決定され得る修飾標的核酸のライブラリを集合的に提供する。「ライブラリ」という用語は、それらの3’末端および5’末端に既知の共通配列を含む標的核酸群を指し、3’および5’修飾ライブラリと呼ばれることもある。
本開示の方法で使用されるユニバーサルアダプタは、「ミスマッチ」アダプタと呼ばれるが、それは、本明細書で詳細に説明するように、アダプタが配列ミスマッチの領域を含むため、すなわち、完全に相補的なポリヌクレオチド鎖をアニーリングすることによってそれらが形成されるわけではないためである。
本明細書で使用するためのミスマッチアダプタは、2本の部分的に相補的なポリヌクレオチド鎖をアニーリングすることによって形成され、2本の鎖がアニーリングされたときに、少なくとも1つの二本鎖領域(二本鎖核酸の領域とも呼ばれる)と、少なくとも1つの一致しない一本鎖領域(一本鎖非相補的核酸鎖の領域とも呼ばれる)とを提供する。
ユニバーサルアダプタの二本鎖領域は短い二本鎖領域であり、典型的には、2つの部分的に相補的なポリヌクレオチド鎖をアニーリングすることによって形成された、5個以上の連続する塩基対を含む。この用語は、2本の鎖がアニーリングされる核酸の二本鎖領域を指し、特定の構造的コンフォメーションを意味するものではない。
二本鎖領域が機能を失うことなく可能な限り短いことは、一般的に有利である。この文脈において、「機能」とは、当業者にはよく知られているであろう酵素触媒による核酸ライゲーション反応の標準的な反応条件(例えば、酵素に適したライゲーション緩衝液中での、4℃~25℃の範囲の温度でのインキュベーション)の下で、ユニバーサルアダプタを標的分子にライゲーションしている間、ユニバーサルアダプタを形成する2本の鎖が部分的にアニーリングされたままであるような、安定した二本鎖を形成する二本鎖領域の能力を指す。二本鎖領域が、プライマー伸長反応またはPCR反応のアニーリング工程で通常使用される条件下で安定であることは、必ずしも必要ではない。
ユニバーサルアダプタの二本鎖領域は、典型的には、ライゲーションで使用される全てのユニバーサルアダプタにおいて同一である。ユニバーサルアダプタは、各標的分子の両端にライゲーションされるため、修飾標的核酸は、ユニバーサルアダプタの二本鎖領域に由来する相補的配列によって挟まれることになる。修飾標的核酸構築物中の二本鎖領域、ひいてはそれに由来する相補的配列が長ければ長いほど、プライマー伸長および/またはPCRで使用されるアニーリング条件の下で、修飾標的核酸構築物が、内部自己相補的なこれらの領域において、折り返してそれ自身と塩基対を形成し得る可能性が高くなる。したがって、この影響を低減するために、二本鎖領域の長さが20以下、15以下、または10以下の塩基対であることが一般的に好ましい。標準的なワトソン-クリック塩基対よりも強い塩基対合を示す非天然ヌクレオチドを含めることにより、二本鎖領域の安定性が向上し、したがってその長さが潜在的に短くなる可能性がある。
一実施形態では、ユニバーサルアダプタの2本の鎖は、二本鎖領域において100%相補的である。二本鎖領域内で1つまたは複数のヌクレオチドミスマッチが許容され得ることは、その2本の鎖が標準的なライゲーション条件下で安定な二本鎖を形成することができる場合に限ることが理解されよう。
本明細書で使用するユニバーサルアダプタは、一般に、アダプタの「ライゲーション可能な」末端、例えば、ライゲーション反応において二本鎖標的核酸に接合される末端を形成する二本鎖領域を含むことになる。ユニバーサルアダプタのライゲーション可能な末端は平滑であってもよく、または他の実施形態では、ライゲーションを助長/促進するために、1つまたは複数のヌクレオチドの短い5’または3’突出が存在してもよい。ユニバーサルアダプタのライゲーション可能な末端の5’末端ヌクレオチドは、典型的には、標的ポリヌクレオチドの3’ヒドロキシル基へのホスホジエステル結合を可能にするようにリン酸化される。
「不適合領域」という用語は、ユニバーサルアダプタの領域、すなわち一本鎖非相補的核酸鎖の領域を指し、その領域では、ユニバーサルアダプタを形成する2本のポリヌクレオチド鎖の配列は、プライマー伸長またはPCR反応の標準的なアニーリング条件下で、その2本の鎖が互いに完全にはアニーリングすることができない程度の非相補性を示す。不適合領域(単数または複数)は、増幅反応におけるアニーリング条件下でその2本の鎖が一本鎖形態に戻る場合に限って、酵素触媒ライゲーション反応の標準的な反応条件下である程度のアニーリングを示す可能性がある。
「不適合領域」は、二本鎖領域(単数または複数)を形成する同じ2本のポリヌクレオチド鎖の異なる部分によって提供されることが理解されたい。アダプタ構築物におけるミスマッチは、一方の鎖が他方の鎖よりも長く、その鎖の一方に一本鎖領域が存在するような形態をとることができるか、または2本の鎖がハイブリダイズせず、したがって両方の鎖に一本鎖領域を形成するように選択された配列の形態をとることができる。ミスマッチは「バブル」の形態をとることもあり、そのバブルでは、ユニバーサルアダプタ構築物(単数または複数)の両端は互いにハイブリダイズして二本鎖を形成することができるが、中央領域はそうできない。不適合領域を形成する鎖(単数または複数)の部分は、同じ2本の鎖の他の部分がアニーリングして1つまたは複数の二本鎖領域を形成する条件下ではアニーリングしない。誤解を避けるために、後に標的配列へのライゲーションを受けるポリヌクレオチド二本鎖の3’末端の一本鎖突出または一塩基突出は、本開示の文脈では「不適合領域」を構成しないことを理解されたい。
不適合領域の長さの下限は、典型的には、機能によって、例えば、i)プライマー伸長、PCRおよび/もしくは配列決定用のプライマーの結合(例えば、ユニバーサルプライマー結合部位へのプライマーの結合)、またはii)修飾標的核酸を表面に固定化するための、捕捉核酸へのユニバーサル捕捉結合配列の結合に適した配列を提供する必要性によって決定されることになる。理論的には、不適合領域の長さに上限はないが、一般的には、例えば、ライゲーション工程に続く修飾標的核酸構築物からの未結合ユニバーサルアダプタの分離を容易にするために、ユニバーサルアダプタの全長を最小にすることが有利であることを除く。したがって、不適合領域は、50未満、または40未満、または30未満、または25未満の連続するヌクレオチド長であることが一般的に好ましい。
一本鎖非相補的核酸鎖の領域は、3’末端に少なくとも1つのユニバーサル捕捉結合配列を含む。ユニバーサルアダプタの3’末端は、アレイの増幅部位に存在する捕捉核酸にハイブリダイズするユニバーサル捕捉結合配列を含む。任意選択で、ユニバーサルアダプタの5’末端は、標的核酸の各末端に付着した第2ユニバーサル捕捉結合配列を含み、そこで第2ユニバーサル捕捉結合配列は、アレイの増幅部位に存在する異なる捕捉核酸にハイブリダイズする。
一本鎖非相補的核酸鎖の領域は、典型的には、少なくとも1つのユニバーサルプライマー結合部位も含む。ユニバーサルプライマー結合部位は、ユニバーサルアダプタにライゲーションされた標的核酸の増幅および/または配列決定に使用することができるユニバーサル配列である。
一本鎖非相補的核酸鎖の領域は、少なくとも1つのインデックスを含むこともできる。インデックスは、アレイ上の特定の標的核酸の供給源に特徴的なマーカーとして使用することができる(米国特許第8,053,192号明細書)。一般に、インデックスは、ライブラリ調製工程の一部として標的核酸に付加されるユニバーサルアダプタの一部であるヌクレオチドの合成配列である。したがって、インデックスは、特定のサンプルの標的分子の各々に付着する核酸配列であり、その存在は、標的分子が単離されたサンプルまたは供給源を示すか、または識別するために使用される。一実施形態では、デュアルインデックスシステムを使用することができる。デュアルインデックスシステムでは、標的核酸に付着したユニバーサルアダプタは、2つの異なるインデックス配列を含む(米国特許出願公開第2018/0305750号明細書、米国特許出願公開第2018/0305751号明細書、米国特許出願公開第2018/0305752号明細書、および米国特許出願公開第2018/0305753号明細書)。
好ましくは、インデックスは、最大20ヌクレオチド長、より好ましくは1~10ヌクレオチド長、最も好ましくは4~6ヌクレオチド長であってもよい。4ヌクレオチドインデックスは、同じアレイ上で256サンプルを多重化する可能性を与え、6塩基インデックスは、同じアレイ上で4096サンプルを処理することを可能にする。
一実施形態では、ユニバーサル捕捉結合配列は、二本鎖標的フラグメントにライゲーションしているときはユニバーサルアダプタの一部であり、別の実施形態では、ユニバーサルプライマー伸長結合部位は、ユニバーサルアダプタが二本鎖標的フラグメントにライゲーションした後に、ユニバーサルアダプタに付加される。付加は、PCRなどの増幅ベースの方法を含む常法を用いて達成することができる。
ユニバーサルアダプタの正確なヌクレオチド配列は、概して本開示にとって重要ではなく、所望の配列要素が最終的に複数の異なる修飾標的核酸の共通配列に含まれるように使用者が選択することができ、例えば、ユニバーサル捕捉結合配列ならびにユニバーサル増幅プライマーおよび/またはシーケンシングプライマーの特定のセットに対する結合部位を提供する。追加の配列要素は、例えば、ライブラリ内の標的核酸の配列決定、インデックスの配列決定、またはライブラリ内の標的核酸の増幅に由来する産物の配列決定に、例えば固体支持体上で最終的に使用されるシーケンシングプライマー用の結合部位を提供するために含まれてもよい。
ユニバーサルアダプタの正確なヌクレオチド配列は、概して本開示に限定されないが、不適合領域における個々の鎖の配列は、標準的なアニーリング条件下で自己アニーリング、ヘアピン構造の形成などを引き起こし得る内部自己相補性をいずれの個々の鎖も示さないようなものでなければならない。不適合領域における鎖の自己アニーリングは、この鎖への増幅プライマーの特異的結合を妨げるか、減少させる可能性があるため、回避する必要がある。
ミスマッチアダプタは、好ましくは2本のDNA鎖から形成されるが、混在するホスホジエステルおよび非ホスホジエステル骨格連結によって連結された天然および非天然ヌクレオチドの混在(例えば、1つまたは複数のリボヌクレオチド)を含んでもよい。
(ユニバーサルアダプタのライゲーションおよび増幅)
ライゲーション方法は当該技術分野で知られており、標準的な方法を使用する。そのような方法は、DNAリガーゼなどのリガーゼ酵素を使用して、この場合はユニバーサルアダプタおよび二本鎖標的核酸の2本のポリヌクレオチド鎖の末端の接合を、共有結合が形成されるように達成または触媒する。ユニバーサルアダプタは、標的フラグメント上に存在する3’-OHへのライゲーションを容易にするために、5’-リン酸部位を含んでいてもよい。二本鎖標的核酸は、剪断工程から残った、または酵素処理工程を用いて付加された5’-リン酸部位を含み、末端修復され、任意選択で突出した塩基または複数の塩基によって伸長され、ライゲーションに適した3’-OHを与える。この文脈において、接合とは、前は共有結合していなかったポリヌクレオチド鎖の共有結合を意味する。本開示の特定の態様では、そのような接合は、2つのポリヌクレオチド鎖間のホスホジエステル連結の形成によって起こるが、他の共有結合手段(例えば、非ホスホジエステル骨格連結)が使用されてもよい。
本明細書で議論されるように、一実施形態では、ライゲーションで使用されるユニバーサルアダプタは完全であり、ユニバーサル捕捉結合配列ならびに他のユニバーサル配列、例えばユニバーサルプライマー結合部位およびインデックス配列を含む。結果として得られる複数の修飾標的核酸を使用して、シーケンシング用に固定されたサンプルを調製することができる。
また、本明細書で議論するように、一実施形態では、ライゲーションに使用されるユニバーサルアダプタは、ユニバーサルプライマー結合部位およびインデックス配列を含み、ユニバーサル捕捉結合配列を含まない。結果として得られる複数の修飾標的核酸をさらに修飾し、ユニバーサル捕捉結合配列などの特定の配列を含めることができる。ユニバーサル捕捉結合配列などの特定の配列を、二本鎖標的フラグメントにライゲーションするユニバーサルプライマーに付加する方法には、PCRなどの増幅ベースの方法が挙げられ、それらは当該技術分野で知られており、例えば、Bignellら(米国特許第8,053,192号明細書)およびGundersonら(国際公開第2016/130704号)に記載されている。
ユニバーサルアダプタが修飾されているそれらの実施形態では、増幅反応が調製される。増幅反応の内容は当業者に知られており、増幅反応に必要な適切な基質(例えば、dNTP)、酵素(例えば、DNAポリメラーゼ)、および緩衝成分を含む。一般に、増幅反応は、増幅反応の各サイクルのプライマーアニーリング工程で遭遇する条件下で、増幅されるポリヌクレオチド配列の一部、例えば修飾標的核酸に特異的にアニーリングすることが可能な、少なくとも2本の増幅プライマー(しばしば「フォワード」および「リバース」プライマー(プライマーオリゴヌクレオチド)と称される)を必要とする。プライマーが、最初の増幅サイクルで修飾標的核酸にアニーリングしないヌクレオチド配列を含む場合、この配列は増幅産物にコピーされ得ることが理解されよう。例えば、ユニバーサル捕捉結合配列、例えば修飾標的核酸にアニーリングしない配列を有するプライマーの使用では、そのユニバーサル捕捉結合配列は、結果として得られるアンプリコンに組み込まれることになる。
増幅プライマーは、通常、一本鎖ポリヌクレオチド構造である。それらはまた、天然および非天然の塩基の混在、ならびに天然および非天然の骨格連結を含み得るが、それは、非天然修飾が、プライマーとしての機能(増幅反応の条件の間に鋳型ポリヌクレオチド鎖にアニーリングし、鋳型鎖に相補的な新しいポリヌクレオチド鎖の合成の開始点として機能する能力として定義される)を妨げない場合に限る。プライマーは、エキソヌクレアーゼ耐性を高めるためのホスホロチオエートなどの非ヌクレオチド化学修飾をさらに含み得るが、ここでも、それは修飾がプライマーの機能を妨げない場合に限る。
(クラスタを生成するための増幅)
増幅部位を含むアレイであって、その各増幅部位がアンプリコンのクローン集団(クラスタとも呼ばれる)を含むアレイは、当業者に知られている方法を用いて作製することができる。一実施形態では、等温増幅法が使用され、部位に播種した、一本鎖または二本鎖のいずれかの、個々の標的核酸から二本鎖アンプリコンのクローン集団を生成することを含む。いくつかの実施形態では、増幅反応は、それぞれの増幅部位の収容可能量を満たすのに十分な数のアンプリコンが生成されるまで進行する。このようにして既に播種された部位を収容可能量まで満たすと、後続の標的核酸がその部位へ着地することが阻止され、それによってその部位にアンプリコンのクローン集団が生成される。したがって、いくつかの実施形態では、アンプリコンが生成されて増幅部位の収容可能量を満たす速度が、個々の標的核酸が個々の増幅部位に輸送される速度を上回ることが望ましい。
いくつかの実施形態では、増幅方法には、固相増幅が挙げられるが、これに限定されない。本明細書で使用される「固相増幅」という用語は、増幅産物の全部または一部が形成される際に固体支持体上に固定化されるように、固体支持体上で、または固体支持体と関連して実施される任意のポリヌクレオチド増幅反応を指す。特に、この用語は、フォワード増幅プライマーおよびリバース増幅プライマーの一方または両方が固体支持体上に固定化されることを除いて、標準溶液相増幅に類似した反応である固相ポリメラーゼ連鎖反応(固相PCR)および固相等温増幅を包含する。固相増幅には、一方のプライマーがアレイの表面に固定され、他方が自由溶液中にあるアレイ;一方のプライマーがビーズに固定され、他方が自由溶液中にあるエマルジョン;および一方のプライマーが表面に固定され、他方が自由溶液中にある固相ゲルマトリックス中のコロニー形成などのシステムが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、両方のプライマーが表面に付着しているブリッジ増幅に頼る方法(例えば、国際公開第2000/018957号、米国特許第7,972,820号明細書;米国特許第7,790,418号明細書およびAdessi et al., Nucleic Acids Research (2000): 28(20): E87を参照)が使用される。いくつかの実施形態では、結合平衡除外に頼る方法が使用され、ここでは、リコンビナーゼ促進性増幅および等温条件がライブラリを増幅する(米国特許第9,309,502号明細書、米国特許第8,895,249号明細書、米国特許第8,071,308号明細書)。増幅反応は、熱的または等温的に行うことができる。
いくつかの実施形態では、第2標的核酸がその部位で増幅を開始する前に増幅部位が収容可能量まで満たされていなくても、見かけのクローン性を達成することができる。いくつかの条件下では、第1標的核酸の増幅は、その部位に輸送される第2標的核酸からのコピーの生成を効果的に打ち負かすか、圧倒するのに十分な数のコピーが作られる時点まで進行し得る。例えば、直径が500nmよりも小さい円形フィーチャ上でブリッジ増幅プロセスを使用する実施形態では、第1標的核酸の指数関数的増幅の14サイクル後では、同じ部位での第2標的核酸からのコンタミネーションは、Illuminaシーケンシングプラットフォームでの合成による配列決定分析に悪影響を与えるには不十分な数のコンタミアンプリコンを生成することが判明している。
アレイ内の増幅部位は、全ての実施形態において完全にクローン性である必要はない。むしろ、いくつかの用途では、個々の増幅部位は、主に第1標的核酸からのアンプリコンで占められてよく、また、低レベルの第2標的核酸からのコンタミアンプリコンを含んでもよい。アレイは、コンタミネーションレベルがアレイのその後の使用に許容できない影響を及ぼさない限り、低レベルのコンタミアンプリコンを含む1つまたは複数の増幅部位を有することができる。例えば、アレイを検出用途で使用する場合、許容可能なコンタミネーションレベルは、検出技法のシグナルノイズまたは分解能に対して、許容できない形では影響を与えることがないレベルであろう。したがって、見かけのクローン性は、概して、本明細書に記載の方法によって作られたアレイの特定の使用または用途に関係することになる。特定の用途のために個々の増幅部位で許容され得るコンタミネーションの例示的なレベルには、多くても0.1%、0.5%、1%、5%、10%、または25%のコンタミアンプリコンが含まれるが、これらに限定されるものではない。アレイは、これらの例示的なレベルのコンタミアンプリコンを有する1つまたは複数の増幅部位を含むことができる。例えば、アレイ内の増幅部位の最大5%、10%、25%、50%、75%、さらには100%に、いくつかのコンタミアンプリコンが含まれている可能性がある。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法で有用なアレイを作る方法は、増幅が起こっているときに標的核酸が増幅部位に(例えば拡散を介して)輸送される条件下で実施することができる。したがって、いくつかの増幅方法は、後続アンプリコンの形成に対して比較的遅い輸送速度および比較的遅い第1アンプリコン生成の両方を利用することができる。例えば、本明細書に記載の増幅反応は、(i)第1アンプリコンの生成、および(ii)アレイの他の部位での後続アンプリコンの生成と同時に、標的核酸が溶液から増幅部位に輸送されるように実施することができる。特定の実施形態では、増幅部位で後続アンプリコンが生成される平均速度は、標的核酸が溶液から増幅部位に輸送される平均速度を上回ることができる。いくつかの例では、個々の増幅部位において、それぞれの増幅部位の収容可能量を満たすのに十分な数のアンプリコンを単一の標的核酸から生成することができる。アンプリコンが生成されて各増幅部位の収容可能量を満たす速度は、例えば、個々の標的核酸が溶液から増幅部位に輸送される速度を上回ることができる。
増幅部位で標的核酸を増幅するための組成物は、本明細書では「増幅試薬」と呼ばれ、典型的には、増幅部位で標的核酸のコピーを迅速に作ることができる。本開示の方法で使用される増幅試薬は、通常、ポリメラーゼおよびヌクレオチド三リン酸(NTP)を含む。当該技術分野で知られている種々のポリメラーゼのいずれも使用することができるが、いくつかの実施形態では、エキソヌクレアーゼ陰性であるポリメラーゼを使用することが好ましい場合がある。本開示の実施形態における使用に適した核酸ポリメラーゼの例としては、DNAポリメラーゼ(クレノウフラグメント、T4 DNAポリメラーゼ、Bst(バチルス・ステアロサーモフィルス)ポリメラーゼなど)、熱安定性DNAポリメラーゼ(Taq、Vent、Deep Vent、Pfu、Tfl、および9°N DNAポリメラーゼなど)、ならびにそれらの遺伝子改変誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない(例えば、米国特許第9,677,057号明細書、米国仮出願第62/753,558号明細書、および米国仮出願第62/775,662号明細書を参照)。いくつかの実施形態では、増幅試薬には、リコンビナーゼ、アクセサリータンパク質、およびリコンビナーゼ促進性増幅のための一本鎖DNA結合(SSB)タンパク質も含めることができる(例えば、米国特許第8,071,308号明細書を参照)。
NTPは、DNAコピーが作られる実施形態では、デオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)であり得る。典型的には、4つの天然種、dATP、dTTP、dGTPおよびdCTPが、DNA増幅試薬中に存在することになる;しかしながら、必要に応じて、アナログを使用することができる。NTPは、RNAコピーが作られる実施形態では、リボヌクレオチド三リン酸(rNTP)であり得る。典型的には、4つの天然種、rATP、rUTP、rGTPおよびrCTPが、RNA増幅試薬中に存在することになる;しかしながら、必要に応じて、アナログを使用することができる。NTPは、蛍光基または放射性基で修飾することができる。核酸の検出可能性および/または機能的多様性を高めるために、多種多様な合成的に修飾された核酸が化学的および生物学的方法向けに開発されてきた。これらの官能基化/修飾された分子(例えば、ヌクレオチドアナログ)は、天然の重合酵素と完全に適合性があり、天然の対応物の塩基対合および複製特性を維持することができる。
いくつかの実施形態では、可逆的にブロックされたヌクレオチド三リン酸(rbNTP)と呼ばれる4つの修飾ヌクレオチド三リン酸型が使用される(例えば、米国特許第9,453,258号明細書を参照)。rbNTPは、3’リボース位置に、アルコキシおよびアジドの両方の官能基を含む3’ターミネーターを有しており、これはホスフィン試薬による切断によって除去可能であり、可逆的にブロックされ、かつさらなる伸長のために再び機能する(すなわち、完全機能性つまりff)ヌクレオチドを生成する。完全機能性ヌクレオチドであるffNTPは、Illumina社(カリフォルニア州サンディエゴ)から市販されており、rbNTPの例示的なものである。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のrbNTPは、リンカーを介して付着している蛍光ラベルを含む。リンカーは、1つまたは複数の切断基を含んでもよく、または切断基を含まなくてもよい。例えば、1つまたは複数のrbNTPをフルオロフォアに付着させるリンカーは、例えば同じ炭素上にアジドおよび/またはアルコキシ基を含んでもよく、その結果リンカーは、各組み込みサイクル後に先述したようなホスフィン試薬を用いて切断され得、それによってさらなる配列伸長のために蛍光部位を放出する。
結果として、増幅溶液の他の成分がポリメラーゼの選択に追加され、それらは、各ポリメラーゼの活性を支持するのに有効であると当該技術分野で知られている化合物に本質的に相当する。ジメチルスルホキシド(DMSO)、ウシ血清アルブミン(BSA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ベタイン、Triton X-100、変性剤(例えば、ホルムアミド)、またはMgClなどの化合物の濃度は、最適な増幅のために重要であることが先行技術でよく知られており、したがって、操作者は、そのような濃度を、以下に示す実施例および一般に利用可能な知識に基づいて、本開示の方法向けに容易に調整することができる。
増幅反応が起こる速度は、増幅反応の活性成分の1種もしくは複数種の濃度または量、例えば、ポリメラーゼ、ヌクレオチド三リン酸、もしくはプライマーの量または濃度を増加させることによって速めることができる。いくつかの例では、量または濃度を増加させる(または別のやり方で本明細書に記載の方法において操作する)増幅反応の1種もしくは複数種の活性成分は、増幅反応の非核酸成分である。
増幅速度は、温度を調整することによっても、本明細書に記載の方法で増加させることができる。例えば、1つもしくは複数の増幅部位における増幅速度は、変性または他の有害事象のために反応速度が下がる最高温度まで増幅部位(単数または複数)の温度を上げることによって、速めることができる。最適または所望の温度は、使用中の増幅成分の既知の特性から、または所与の増幅反応混合物について経験的に決定することができる。そのような調整は、プライマーの融解温度(Tm)の先験的予測に基づいて、または経験的に行うことができる。特定の実施形態では、増幅反応の温度は、少なくとも35℃~70℃以下である。例えば、増幅反応は、少なくとも35℃~48℃以下の温度であり得る。表面に固定された核酸の配列を決定する他の方法とは対照的に、本開示に従って配列決定された核酸は、表面に固定された核酸とのハイブリダイゼーションによって表面に固定される。したがって、より低い温度が好ましいことが多い。
増幅に続いて、増幅部位に存在する二本鎖アンプリコンを変性条件にさらすことにより、一本鎖アンプリコンに変えることができる。変性条件としては、ホルムアミド、熱、またはアルカリが挙げられるが、これらに限定されない。
(シーケンシングのための固定化サンプルの調製)
増幅の結果は、増幅部位におけるクローン増幅産物である一本鎖アンプリコンの集団である。一本鎖アンプリコンは、増幅部位の表面上に5’末端で固定化されている(例えば、一本鎖アンプリコン11が5’末端で増幅部位10に付着している捕捉核酸12に付着している図1Aを参照)。増幅部位内のアンプリコンはクローン性であり、単一の標的核酸の増幅に由来するか、または本明細書に記載されているような許容可能なレベルの1つもしくは複数の他のアンプリコンを含む。
アンプリコンのシーケンシングは、一本鎖アンプリコンに第1シーケンシングプライマーをハイブリダイズさせることにより開始される。シーケンシングの方法は、本明細書に詳細に記載されている。一実施形態では、第1シーケンシングプライマーは、アンプリコンの3’領域に存在するユニバーサル配列に相補的である。シーケンシングは、一本鎖アンプリコンを鋳型として使用して、ヌクレオチド、一実施形態では所定の数のヌクレオチドを第1シーケンシングプライマーに順次付加することによって実施される。いくつかの実施形態では、配列決定反応は、鋳型の末端まで進行することができる。他の実施形態では、配列決定反応が完了した後、新たに合成されたヌクレオチド配列は、一本鎖アンプリコンの残りの部分に沿って固定化された捕捉核酸の末端まで伸長され、相補鎖を生成し、一本鎖アンプリコンを二本鎖構造に変える。例えば、図1Cに示すように、一本鎖アンプリコン11にアニーリングしたシーケンシングプライマー13は、配列決定反応中に伸長され、結果として生じる相補鎖14に組み込まれる。図1Dは、完全に伸長した相補鎖16を示す。相補鎖は、増幅部位に付着していない。
一実施形態では、第1シーケンシングプライマーの5’末端をブロックすることができ、これは、プライマーの5’末端を修飾してエキソヌクレアーゼの作用を阻止することを意味する。5’末端のブロッキングは、任意の適切な方法で達成することができる。
新たに合成された相補鎖のシーケンシングを容易にするために、表面に付着し、かつ元の一本鎖アンプリコンにも付着している捕捉核酸(例えば、図1Aでは、それぞれ11および12)を切断して、元の一本鎖アンプリコンを二本鎖構造から任意選択で除去することができるようにする。この切断は、捕捉核酸と相補鎖との間に存在する二本鎖領域において行われ、捕捉核酸のみでの切断をもたらす。特定の鎖の任意選択の除去を可能にするためのヌクレオチド配列の切断を、本明細書では「直線化」と呼ぶ。直線化に適切な方法の例は、本明細書に記載されており、国際公開第2007/010251号、米国特許第8,431,348号明細書、および米国特許第8,017,335号明細書に記載されている。
切断部位は捕捉核酸に存在し、通常、元の一本鎖アンプリコンのかなりの割合が増幅部位の表面から遊離し(もはや固定化されず)、除去工程後に消失しやすくなる位置にある。例えば、図1Eに示すように、一本鎖アンプリコン11は切断部位Xで切断され、切断された鎖11’および短縮した捕捉核酸12’を残す。相補鎖16の3’末端のヌクレオチドは、短縮した捕捉核酸12’の塩基にハイブリダイズし、相補鎖16を増幅部位10と結合したままにする。当業者であれば、切断部位が、通常、相補鎖の3’末端のヌクレオチドとハイブリダイズするに足る十分なヌクレオチドを有する短縮した捕捉核酸をもたらす位置にあることも理解するであろう。切断により、相補鎖が第2シーケンシングプライマーのハイブリダイゼーションに利用可能になり、ペアエンドシーケンシング、すなわち、単一のポリヌクレオチド鋳型上の2つの箇所からの2つの配列の「読取り」の決定を可能にする方法がもたらされる。有利なことに、本明細書に記載の方法で可能なペアエンドシーケンシングは、ペアエンドターンに必要な工程、例えば、2つの異なる捕捉核酸を含む増幅部位の使用、および2つの異なる捕捉核酸を用いた適切な一本鎖鋳型の形成を必要としない。
短縮した捕捉核酸と相補鎖のヌクレオチドとの間のハイブリダイゼーションを阻害しない条件であれば、任意の適切な酵素的、化学的または光化学的切断反応を使用して、部位Xでの切断を行うことができる。切断は、例えば、以下によって達成することができる:ニッキング酵素消化、この場合、切断部位は、捕獲核酸の切断を指示する酵素にとって適切な制限酵素部位である;RNアーゼ消化またはデオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドとの間の結合の化学的切断、この場合、切断部位は、1つまたは複数のリボヌクレオチドを含むことができる;還元剤(例えば、TCEP)でのジスルフィド連結の化学的還元、この場合、切断部位には適切なジスルフィド連結が含まれている必要がある;過ヨウ素酸塩でのジオール連結の化学的切断、この場合、切断部位にはジオール連結が含まれている必要がある;ならびに脱塩基部位の生成およびその後の加水分解。
本開示の方法で使用するのに適した切断技法には、化学的切断、脱塩基部位の切断、リボヌクレオチドの切断、光化学的切断、ヘミメチル化DNAの切断、PCRストッパー、ペプチドリンカーの切断、およびニッキングエンドヌクレアーゼによる酵素消化が含まれるが、これらに限定されない。当業者は、本明細書に記載のいくつかの条件、例えば熱またはアルカリの使用が、短縮した捕捉核酸からの相補鎖の変性のおそれを考慮すると望ましくない可能性があることを認識するであろう。
(化学的切断)
用語「化学的切断」は、元の一本鎖アンプリコンの切断を促進/達成するために、非核酸および非酵素的化学試薬を使用する任意の方法を包含する。必要に応じて、一本鎖アンプリコンは、化学的切断反応を可能にするために、1つまたは複数の非ヌクレオチド化学部位および/または非天然ヌクレオチドおよび/または非天然骨格連結を含むことができる。一実施形態では、捕捉核酸は、過ヨウ素酸塩(例えば、過ヨウ素酸ナトリウム)での処理による切断を可能にするジオール連結を含む。複数のジオールが切断部位に含まれ得ることが理解されよう。
捕獲核酸への組み込みに適したホスホロアミダイト化学に基づくジオールリンカーユニットは、Fidelity systems社(ゲイサーズバーグ、 メリーランド州、米国)から市販されている。自動化学DNA合成の標準的な方法を用いて、1つまたは複数のジオールユニットを捕獲核酸に組み込むことができる。したがって、1つまたは複数のジオールリンカーを含む捕獲核酸は、化学合成によって好都合に調製することができる。
ジオールリンカーは「切断剤」での処理により切断され、これはジオールの切断を促進する任意の物質であり得る。好ましい切断剤は、例えば、水性過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO)などの過ヨウ素酸塩である。切断剤(例えば、過ヨウ素酸塩)での処理によりジオールを切断した後、切断生成物を「キャッピング剤」で処理し、切断反応で発生する反応性種を中和することができる。この目的に適切なキャッピング剤には、エタノールアミンなどのアミンが含まれる。有利には、反応性種が形成されるとすぐにキャッピングされるように、キャッピング剤(例えば、エタノールアミン)を切断剤(例えば、過ヨウ素酸塩)との混合物中に含めることができる。
別の実施形態では、捕捉核酸には、化学的還元剤、例えばトリス(2-カルボキシエチル)リン酸塩酸塩(TCEP)での切断を可能にするジスルフィド基を含めることができる。
(脱塩基部位の切断)
「脱塩基部位」は、核酸中の塩基成分が除去された位置と定義される。脱塩基部位は、生理的条件下でのヌクレオシド残基の加水分解によりDNA中で自然に発生することができるが、人工的な条件下で化学的に形成することも、酵素の作用によって形成することもできる。一旦形成されると、脱塩基部位は(例えば、エンドヌクレアーゼまたは他の一本鎖切断酵素での処理、熱またはアルカリへのばく露によって)切断され得、核酸の部位特異的切断の手段を提供する。当業者は、熱またはアルカリの使用が、短縮した捕捉核酸からの相補鎖の変性のおそれを考慮すると望ましくない可能性があることを認識するであろう。
一実施形態では、脱塩基部位を捕捉核酸の所定の位置に生成し、次いで、所定の切断部位にデオキシウリジン(U)を最初に組み込むことによって切断することができる。次いで、酵素ウラシルDNAグリコシラーゼ(UDG)を用いてウラシル塩基を除去し、脱塩基部位を生成することができる。次いで、脱塩基部位を含む鎖を、エンドヌクレアーゼ(例えば、EndoIVエンドヌクレアーゼ、APリアーゼ、FPGグリコシラーゼ/APリアーゼ、EndoVIIIグリコシラーゼ/APリアーゼ)、熱またはアルカリで処理することにより、脱塩基部位で切断することができる。
脱塩基部位は、デオキシウリジン以外の非天然/修飾デオキシリボヌクレオチドでも生成され得、エンドヌクレアーゼ、熱またはアルカリでの処理により、類似した形で切断され得る。例えば、8-オキソグアニンは、FPGグリコシラーゼへのばく露により脱塩基部位に変えることができる。デオキシイノシンは、AlkAグリコシラーゼへのばく露により脱塩基部位に変えることができる。生成された脱塩基部位は、次いで、通常は適切なエンドヌクレアーゼ(例えば、EndoIV、APリアーゼ)での処理によって切断され得る。非天然/修飾ヌクレオチドは、アレイの作製および標的核酸の増幅での使用のために捕獲核酸に組み込まれるため、非天然/修飾ヌクレオチドは、増幅反応に使用されるポリメラーゼによってコピーされ得る必要がある。
一実施形態では、切断される分子は、適切なグリコシラーゼおよび1種または複数種の適切なエンドヌクレアーゼを含有する混合物にばく曝され得る。そのような混合物では、グリコシラーゼおよびエンドヌクレアーゼは、通常、少なくとも約2:1の活性比で存在する。特定の実施形態では、New England Biolabsから入手可能なUSER試薬(NEB#M5505S)を使用して捕捉核酸中のウラシル塩基での単一ヌクレオチドギャップを生成する。エンドヌクレアーゼ酵素で処理すると、切断部位に3’-リン酸部位が生じ、これはアルカリホスファターゼなどの適切なホスファターゼで除去することができる。例えば、図1Eに示すように、切断部位XがUSER試薬を用いて生成された場合、短縮した捕捉核酸12’は3’-リン酸基で終結する。
この方法の利点には、切断された鎖上の遊離3’リン酸基を遊離させる選択肢が含まれ、これは、ホスファターゼ処理後、相補鎖の領域を配列決定するための開始点を提供することができる(例えば、図1Gの鎖16の領域を、短縮した捕捉核酸12’をシーケンシングプライマーとして使用して配列決定する)。切断反応は、DNAに天然には存在しない残基、例えばデオキシウリジンを必要とするが、その他の点では配列関係に依存しないため、非天然塩基が1つだけ含まれていれば、グリコシラーゼ媒介切断が二本鎖中の他の望ましくない位置で発生する可能性はない。ウラシルに対するUDGの作用によって生成された固定化アンプリコンの二本鎖区分の脱塩基部位の切断によって得られる別の利点は、切断によって形成された遊離3’ヒドロキシル基で開始される合成による配列決定で取り込まれる最初の塩基が常にTであるということである。その結果、このようにして切断されて配列決定鋳型を生成するアレイの異なる増幅部位にある全てのクローンクラスタについて、アレイ全体に渡って普遍的に取り込まれる最初の塩基はTになる。これにより、配列決定実行の開始に当たり、配列に依存しない個々のクラスタ強度のアッセイを提供することができる。
(リボヌクレオチドの切断)
本来ならデオキシリボヌクレオチドから構成される核酸(追加の非ヌクレオチド化学部位、非天然塩基、または非天然骨格連結の有無にかかわらず)への1つまたは複数のリボヌクレオチドの組み込みにより、デオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドとの間のホスホジエステル結合を選択的に切断することができる化学剤を使用するか、またはリボヌクレアーゼ(RNアーゼ)を使用して切断するための部位を提供することができる。したがって、そのような化学的切断剤またはRNアーゼを使用して1つまたは複数の連続したリボヌクレオチドを含む部位で捕捉核酸を切断することによって、シーケンシング鋳型を製造することができる。一実施形態では、切断される鎖は単一のリボヌクレオチドを含有し、化学的切断のため部位を提供する。
デオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドとの間のホスホジエステル結合を選択的に切断することができる適切な化学的切断剤には、金属イオン、例えば希土類金属イオン(特にLa3+、特にTm3+、Yb3+、もしくはLu3+、(Chen et al. Biotechniques. 2002, 32: 518-520; Komiyama et al. Chem. Commun. 1999, 1443-1451))、Fe(3)もしくはCu(3)、または高いpHへのばく露、例えば水酸化ナトリウムなどの塩基での処理が含まれる。「デオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドとの間のホスホジエステル結合の選択的切断」とは、化学的切断剤が同じ条件下で2つのデオキシリボヌクレオチドの間のホスホジエステル結合を切断することができないことを意味する。
リボヌクレオチド(単数または複数)の塩基組成は概して重要ではないが、化学的(または酵素的)切断を最適化するために選択することができる。例として、金属イオン、特に希土類金属イオンへのばく露によって切断が行われる場合、rUMPまたはrCMPが一般的に好ましい。
リボヌクレオチドとデオキシリボヌクレオチドとの間の、または2つのリボヌクレオチドの間のホスホジエステル結合は、RNアーゼによっても切断され得る。適切な基質特異性の任意のエンドサイトーシスリボヌクレアーゼを、この目的のために使用することができる。リボヌクレアーゼによる切断のためには、2~10まで、または5~10までの連続したリボヌクレオチドなど、2つ以上の連続したリボヌクレオチドを含むことが好ましい。リボヌクレオチドの正確な配列は、特定のRNアーゼが特定の残基の後の切断に特異性を有することを除いて、概して重要ではない。適切なRNアーゼには、例えば、C残基およびU残基の後に切断するRNアーゼAが含まれる。したがって、RNアーゼAで切断する場合、切断部位には、CまたはUである少なくとも1つのリボヌクレオチドが含まれている必要がある。
1つまたは複数のリボヌクレオチドを組み込んだ捕獲核酸は、適切なリボヌクレオチド前駆体を用いるオリゴヌクレオチド化学合成の標準的な技法を用いて容易に合成することができる。
(光化学的切断)
「光化学的切断」という用語は、捕獲核酸の切断を達成するために光エネルギーを使用する任意の方法を包含する。光化学的切断のための部位は、捕獲核酸中の非ヌクレオチド化学的スペーサーユニットによって提供され得る。適切な光化学的に切断可能なスペーサーには、米国バージニア州スターリングのGlenResearchから供給される、以下の構造を有するPCスペーサーホスホロアミダイト(4-(4,4’-ジメトキシトリチルオキシ)ブチルアミドメチル)-1-(2-ニトロフェニル)エチル]-2--シアノエチル-(N,N-ジイソプロピル)-ホスホロアミダイト)(カタログ番号10-4913-XX)が挙げられる:
Figure 2022513546000001
このスペーサーユニットは、UV光源にばく露することにより切断することができる。
このスペーサーユニットは、オリゴヌクレオチドの化学合成の標準的な技法を用いて、固体表面への付着を可能にするチオリン酸基と共にポリヌクレオチドの5’末端に付着させることができる。
(ヘミメチル化DNAの切断)
捕捉核酸の部位特異的切断は、1つまたは複数のメチル化ヌクレオチドを捕捉核酸に組み込み、次いでメチル化ヌクレオチド(単数または複数)を含む認識配列に特異的なエンドヌクレアーゼ酵素で切断することによっても達成することができる。
捕捉核酸中のメチル化ヌクレオチド(単数または複数)は、2本の鎖のアニーリングがヘミメチル化二本鎖構造を生成するように、相補鎖上の非メチル化デオキシリボヌクレオチドの反対側に位置することになる。ヘミメチル化二本鎖構造は、その後、適切なエンドヌクレアーゼの作用によって切断され得る。
1つまたはメチル化されたヌクレオチドを組み込んだ捕捉核酸は、適切にメチル化ヌクレオチド前駆体を用いて、自動DNA合成の標準的な技法を用いて調製され得る。
(ニッキングエンドヌクレアーゼによる酵素消化)
ニッキングエンドヌクレアーゼでの二本鎖核酸の一本鎖の切断は、分子生物学の分野で常用されている技法である。ニッキングエンドヌクレアーゼは、二本鎖核酸の一本鎖を選択的に切断つまり「ニッキング」する酵素であり、分子生物学の分野ではよく知られている。捕捉核酸上に存在する切断部位に適切な認識配列を含めることができるという条件で、基本的には任意のニッキングエンドヌクレアーゼを使用することができる。
捕捉核酸の切断に続いて、相補鎖の配列が決定される。一実施形態では、この配列決定反応は、第2シーケンシングプライマーを相補鎖にハイブリダイズさせることによって開始される。第2シーケンシングプライマーは、アンプリコンの3’領域に存在するユニバーサル配列に相補的であり得る。通常、相補鎖にハイブリダイズしている切断された鎖は、第2シーケンシングプライマーがハイブリダイズする前に除去される。切断された鎖は、任意の適切な方法で除去することができる。
一実施形態では、切断された鎖は、エキソヌクレアーゼの使用などによって、酵素的に除去することができる。一実施形態では、エキソヌクレアーゼは、5’-3’DNAエキソヌクレアーゼである。任意選択で、5’-3’DNAエキソヌクレアーゼは、二本鎖DNAに対してバイアスを有する。dsDNAに対してバイアスを有する5’→3’エキソヌクレアーゼの例としては、T7エキソヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼIII(New England Biolabs)が挙げられるが、これらに限定されない。任意選択で、5’→3’DNAエキソヌクレアーゼは、5’末端に5’リン酸を有する二本鎖DNAに対してバイアスを有する。5’末端に5’リン酸を有するdsDNAに対してバイアスを有する5’→3’エキソヌクレアーゼの例としては、ラムダエキソヌクレアーゼ(New England Biolabs)が挙げられるが、これに限定されない。当業者であれば、変性を利用して切断された鎖を除去することができることを認識するであろうが、短縮した捕捉核酸と相補鎖との間のハイブリダイゼーションは、相補鎖のシーケンシングを可能にするために維持される必要があるため、条件を慎重に考慮する必要があるであろう。
別の実施形態では、相補鎖の配列を決定するための配列決定反応は、短縮した捕捉核酸の3’末端を第2シーケンシングプライマーとして用いることにより開始される。シーケンシングは、相補鎖を鋳型として使用して、所定の数のヌクレオチドなどのヌクレオチドを第2シーケンシングプライマーに順次付加することによって実施される。本開示のこの態様では、切断された鎖の除去は任意選択である。一実施形態では、相補鎖の配列は、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼを用いて決定することができる。別の実施形態では、切断された鎖は、本明細書に記載されているように除去することができ、置換活性のないDNAポリメラーゼを使用することができる。
(配列決定の方法)
本開示のアレイは、例えば、本明細書に記載の方法によって作製され、増幅部位で増幅された標的核酸を含み、任意の様々な用途に使用することができる。特に有用な用途は、核酸配列決定である。一例として、合成による配列決定(SBS)がある。SBSでは、核酸鋳型(例えば、標的核酸またはそのアンプリコン)に沿った核酸プライマーの伸長をモニターし、鋳型中のヌクレオチドの配列を決定する。根底にある化学プロセスは、重合であり得る(例えば、ポリメラーゼ酵素によって触媒されるように)。特定のポリメラーゼベースのSBSの実施形態では、蛍光標識されたヌクレオチドは、プライマーに付加されたヌクレオチドの順序および種類の検出を利用して鋳型の配列を決定することができるような鋳型依存的方法でプライマーに付加される(それによってプライマーを伸長させる)。本明細書に記載のアレイの異なる部位にある複数の異なる鋳型を、異なる鋳型に対して発生する事象がアレイ内のそれらの位置によって区別され得る条件下において、SBS技法にかけることができる。
フローセルは、本開示の方法によって製造されるアレイであって、試薬の送達をサイクルで繰り返すことを伴うSBSまたは他の検出技法にかけられるアレイを収容するための便利なフォーマットを提供する。例えば、第1SBSサイクルを開始するために、1種または複数種の標識ヌクレオチド、DNAポリメラーゼなどを、核酸鋳型のアレイを収容するフローセルに流し込む/通すことができる。プライマー伸長により標識ヌクレオチドが取り込まれたアレイの部位を検出することができる。任意選択で、ヌクレオチドは、一旦ヌクレオチドがプライマーに付加するとそれ以上のプライマー伸長を終結させる可逆的終結特性をさらに備えることができる。例えば、可逆的ターミネーター部位を有するヌクレオチドアナログをプライマーに付加させ、デブロッキング剤が送達されてその部位を除去するまで後続の伸長が生じないようにすることができる。したがって、可逆的ターミネーターを使用する実施形態では、デブロッキング試薬をフローセルに送達することができる(検出が起こる前または後に)。様々な送達工程の間に洗浄を行うことができる。次いで、このサイクルをn回繰り返して、プライマーをnヌクレオチド分だけ伸長させ、それによって長さnの配列を検出することができる。本開示の方法によって製造されたアレイでの使用に容易に適合させることができる例示的なSBS手順、流体システムおよび検出プラットフォームは、例えば、Bentley et al., Nature 456:53-59 (2008)、国際公開第04/018497号;米国特許第7,057,026号明細書;国際公開第91/06678号;国際公開第07/123,744号;米国特許第7,329,492号明細書;米国特許第7,211,414号明細書;米国特許第7,315,019号明細書;米国特許第7,405,281号明細書、および米国特許第8,343,746号明細書に記載されている。
パイロシーケンシングなどのサイクル反応を利用する他の配列決定手順を使用することができる。パイロシーケンシングでは、特定のヌクレオチドが新生核酸鎖に取り込まれる際の無機ピロリン酸(PPi)の放出を検出する(Ronaghi, et al., Analytical Biochemistry 242(1), 84-9 (1996); Ronaghi, Genome Res. 11(1), 3-11 (2001); Ronaghi et al. Science 281(5375), 363 (1998);米国特許第6,210,891号明細書;米国特許第6,258,568号明細書および米国特許第6,274,320号明細書)。パイロシーケンシングでは、放出されたPPiは、ATPスルホリラーゼによってアデノシン三リン酸(ATP)に直ちに変換されることで検出することができ、生成されたATPのレベルは、ルシフェラーゼによって生成された光子を介して検出することができる。このように、発光検出システムを介して配列決定反応をモニターすることができる。蛍光ベースの検出システムに使用される励起放射線源は、パイロシーケンス手順には必要ではない。パイロシーケンシングの本開示のアレイへの適用に使用することができる有用な流体システム、検出器、および手順は、例えば、WIPO公開特許出願2012/058096号、米国特許出願公開第2005/0191698 A1号明細書;米国特許第7,595,883号明細書、および米国特許第7,244,559号明細書に記載されている。
ライゲーションによる配列決定反応も有用であり、例えば、Shendure et al. Science 309:1728-1732 (2005);米国特許第5,599,675号明細書;および米国特許第5,750,341号明細書に記載されている。いくつかの実施形態は、例えば、Bains et al., Journal of Theoretical Biology 135(3), 303-7 (1988); Drmanac et al., Nature Biotechnology 16, 54-58 (1998); Fodor et al., Science 251(4995), 767-773 (1995);および国際公開第1989/10977号に記載のような、ハイブリダイゼーションによる配列決定手順を含むことができる。ライゲーションによる配列決定およびハイブリダイゼーションによる配列決定手順の両方において、アレイの部位に存在する鋳型核酸(例えば、標的核酸またはそのアンプリコン)を、オリゴヌクレオチドの送達および検出の反復サイクルにかける。本明細書に記載されているか、または本明細書に引用されている参考文献に記載のようなSBS法の流体システムは、ライゲーションによる配列決定手順またはハイブリダイゼーションによる配列決定手順用の試薬の送達に容易に適合させることができる。典型的には、オリゴヌクレオチドは蛍光標識されており、SBS手順に関して本明細書または引用文献に記載されているものと同様の蛍光検出器を使用して検出することができる。
いくつかの実施形態では、DNAポリメラーゼ活性のリアルタイムモニタリングを伴う方法を使用することができる。例えば、ヌクレオチドの取り込みは、フルオロフォア含有ポリメラーゼとγ-リン酸標識ヌクレオチドとの間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)相互作用を通じて、またはゼロモード導波路(ZMW)で検出することができる。FRETベースの配列決定用の技法および試薬は、例えば、Levene et al. Science 299, 682-686 (2003); Lundquist et al. Opt. Lett. 33, 1026-1028 (2008); Korlach et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 105, 1176-1181 (2008)に記載されている。
いくつかのSBSの実施形態は、ヌクレオチドが伸長産物に取り込まれる際に放出されるプロトンの検出を含む。例えば、放出されたプロトンの検出に基づく配列決定は、Ion Torrent(ギルフォード、コネチカット州、Life Technologiesの子会社)から市販されている電気検出器および関連技法を使用することができ、または米国特許出願公開第2009/0026082 A1号明細書;米国特許出願公開第2009/0127589 A1号明細書;米国特許出願公開第2010/0137143 A1号明細書;もしくは米国特許出願公開第2010/0282617 A1号明細書に記載されている配列決定方法およびシステムを使用することができる。本明細書に記載の排除増幅を使用して標的核酸を増幅する方法は、プロトンを検出するために使用される基板に容易に適用することができる。より具体的には、本明細書に記載の方法を使用して、プロトンを検出するために使用されるアレイの部位でアンプリコンのクローン集団を生成することができる。
例えば、本明細書に記載の方法によって作製された本開示のアレイの有用な用途は、遺伝子発現解析である。遺伝子発現は、デジタルRNAシーケンシングと呼ばれるものなどのRNAシーケンシング技法を用いて検出または定量化することができる。RNAシーケンシング技法は、上述のものなどの当該技術分野で知られている配列決定方法論を用いて実施することができる。遺伝子発現は、アレイへの直接ハイブリダイゼーションにより実施されるハイブリダイゼーション技法を使用して、またはその産物がアレイ上で検出されるマルチプレックスアッセイを使用して、検出もしくは定量化することもできる。例えば、本明細書に記載の方法によって作製された本開示のアレイを使用して、1つもしくは複数の個体からのゲノムDNAサンプルの遺伝子型を決定することもできる。本開示のアレイ上で実施することができるアレイベースの発現およびジェノタイピング分析のための例示的な方法は、米国特許第7,582,420号明細書;米国特許第6,890,741号明細書;米国特許第6,913,884号明細書もしくは米国特許第6,355,431号明細書または米国特許出願公開第2005/0053980 A1号明細書;米国特許出願公開第2009/0186349 A1号明細書もしくは米国特許出願公開第2005/0181440 A1号明細書に記載されている。
本明細書に記載の方法で作製されたアレイの別の有用な用途は、単細胞シーケンシングである。インデックス作成法と組み合わせて、単細胞シーケンシングをクロマチンアクセシビリティ解析で使用して数千の単細胞における活性調節エレメントのプロファイルを作成することができ、単細胞全ゲノムライブラリを作製することができる。本開示のアレイで実施することができる単細胞シーケンシングの例は、米国特許出願公開第2018/0023119 A1号明細書、米国仮特許出願第62/673,023号明細書および米国仮特許出願第62/680,259号明細書に記載されている。
本明細書に記載の方法は、任意の様々な核酸ライブラリからアレイを迅速的かつ効率的に作製する。したがって、本開示は、本明細書に記載の方法の1つまたは複数を使用してアレイを作製することが可能な統合システムであって、さらに、上記に例示されるものなどの当該技術分野で知られている技法を使用してアレイ上の核酸を検出することが可能な統合システムを提供する。したがって、本開示の統合システムは、ポンプ、バルブ、リザーバ、流体ラインなどの増幅部位のアレイに、増幅試薬を送達することが可能な流体構成要素を含むことができる。特に有用な流体構成要素は、フローセルである。フローセルは、本開示のアレイを作製するため、およびアレイを検出するために、統合システムにおいて構成および/または使用することができる。例示的なフローセルは、例えば、米国特許出願公開第2010/0111768 A1号明細書および米国特許第8,951,781号明細書に記載されている。フローセルについて例示されているように、統合システムの流体構成要素の1種または複数種を、増幅方法および検出方法に使用することができる。例として核酸配列決定の実施形態を取り上げると、統合システムの流体構成要素の1種または複数種を、本明細書に記載の増幅方法に、および上記に例示されるものなどの配列決定方法におけるシーケンシング試薬の送達に使用することができる。あるいは、統合システムは、増幅方法を実施し、検出方法を実施するための別個の流体システムを含むことができる。核酸のアレイを作製することができ、さらに核酸の配列を決定することができる統合シーケンシングシステムの例としては、Illumina社(サンディエゴ、カリフォルニア州)のMiSeq(商標)、HiSeq(商標)、NextSeq(商標)、MiniSeq(商標)、NovaSeq(商標)およびiSeq(商標)シーケンシングプラットフォーム、ならびに米国特許第8,951,781号明細書に記載されているデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。そのようなデバイスは、本明細書に記載のガイダンスに従って、排除増幅を使用してアレイを作るように変更することができる。
本明細書に記載の方法を実施することができるシステムは、検出デバイスと統合されている必要はない。むしろ、独立型システムまたは他のデバイスと統合されたシステムも可能である。そのような実施形態では、統合システムの文脈で上記に例示したものと同様の流体構成要素を使用することができる。
本明細書に記載の方法を実行することが可能なシステムは、検出能力と統合されているか否かにかかわらず、本明細書に記載の方法、技法、またはプロセスの1つまたは複数の工程を実行するための命令セットを遂行することが可能なシステムコントローラを含むことができる。例えば、命令は、排除増幅条件下でアレイを作製するための工程の実行を指示することができる。任意選択で、命令は、本明細書に前述した方法を使用して核酸を検出するための工程の実行をさらに指示することができる。有用なシステムコントローラは、任意のプロセッサベースまたはマイクロプロセッサベースのシステムを含むことができ、マイクロコントローラ、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、論理回路、および本明細書に記載の機能を実行することができる任意の他の回路またはプロセッサを使用するシステムが含まれる。システムコントローラの命令セットは、ソフトウェアプログラムの形式であってもよい。本明細書において使用するとき、用語「ソフトウェア」および「ファームウェア」は交換可能であり、コンピュータによって実行されるためにメモリに格納された任意のコンピュータプログラムを含み、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、および不揮発性RAM(NVRAM)メモリが含まれる。ソフトウェアは、システムソフトウェアまたはアプリケーションソフトウェアなど、様々な形式のものであってもよい。さらに、ソフトウェアは、別個のプログラムの集合体の形式であってもよいし、より大きなプログラム内のプログラムモジュールまたはプログラムモジュールの一部の形式であってもよい。また、ソフトウェアは、オブジェクト指向プログラミングの形式でモジュール化されたプログラミングを含んでいてもよい。
例えば、本明細書に記載の方法によって作製された本開示のアレイを、検出方法に使用する必要はないことが理解されよう。むしろ、アレイは、核酸ライブラリを保存するために使用することができる。したがって、アレイは、その中にある核酸を保存する状態で保管することができる。例えば、アレイは、乾燥状態、凍結状態(例えば、液体窒素中)、または核酸を保護する溶液中に保管することができる。代替的に、または追加的に、アレイは、核酸ライブラリを複製するために使用することができる。例えば、アレイを使用して、アレイ上の1つまたは複数の部位から複製アンプリコンを作製することができる。
(組成物)
本明細書に記載の方法の実施中または実施後に、異なる組成物が生じる可能性がある。一実施形態では、組成物は、複数のクローン二本鎖アンプリコンを含む増幅部位のアレイを含む。各二本鎖アンプリコンは、5’末端で増幅部位の表面に付着している第1鎖を含み、骨格内の切断部も含む。各二本鎖アンプリコンは、増幅部位の表面に付着していない第2鎖、および第1鎖のヌクレオチドに相補的でハイブリダイズしているヌクレオチドも含む(例えば、図1Eを参照)。第1鎖の骨格内の切断部は、両側を第2鎖の相補的ヌクレオチドによって挟まれている(例えば、11’および12’が第1鎖を構成し、16が第2鎖である図1Eを参照)。二本鎖アンプリコンは、部分的に二本鎖であってもよく、例えば、いくつかの実施形態では、第1鎖の3’末端のヌクレオチドは、第2鎖のヌクレオチドにハイブリダイズしていない。
(例示的な実施形態)
(実施形態1)
標的核酸の第1領域および第2領域のペアワイズシーケンシング方法であって、前記第1領域および第2領域が、前記標的核酸の相補鎖にあり、以下の工程を含む、方法:
(a)複数の増幅部位を含むアレイを用意する工程であって、
前記増幅部位が、(i)複数の捕捉核酸と、(ii)複数のクローン一本鎖アンプリコンとを含み、
各一本鎖アンプリコンがその5’末端で捕捉核酸に付着しており、
前記捕捉核酸が切断部位を含んでいる、工程;
(b)第1シーケンシングプライマーを、各一本鎖アンプリコンに存在するユニバーサル配列にハイブリダイズさせる工程;
(c)前記一本鎖アンプリコンを第1鋳型として使用し、前記第1シーケンシングプライマーにヌクレオチドを順次付加して第1配列決定反応を実施して第1領域の配列を決定し、前記第1領域の相補鎖を生成する工程;
(d)前記第1領域の相補鎖を伸長させ、前記第1シーケンシングプライマーと、前記配列決定反応中に組み込まれたヌクレオチドと、前記伸長中に組み込まれたヌクレオチドとを含む二本鎖アンプリコンを形成する工程;
(e)前記一本鎖アンプリコンに付着している捕捉核酸を切断する工程であって、
前記切断が、前記一本鎖アンプリコンを、(i)短縮した捕捉核酸と、(ii)前記捕捉核酸に5’末端で付着していない非付着第1鋳型とに変える、工程;
(f)前記相補鎖を第2鋳型として使用し、前記相補鎖にハイブリダイズした第2シーケンシングプライマーにヌクレオチドを順次付加して第2配列決定反応を実施して第2領域の配列を決定する工程。
(実施形態2)
前記切断部位が、酵素的、化学的、または光化学的な切断を可能にする、実施形態1に記載の方法。
(実施形態3)
前記切断部位が、ニッキングエンドヌクレアーゼによる切断のための部位である、実施形態2または3に記載の方法。
(実施形態4)
前記切断工程が、前記切断部位に脱塩基部位を作り出すための少なくとも1つの酵素を含む組成物を前記アレイに接触させることを含み、
切断が前記切断部位で起こる、実施形態1~3のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態5)
前記捕捉核酸が、ウラシル塩基または8-オキソグアニン塩基を含む、実施形態1~4のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態6)
前記切断部位に脱塩基部位を作り出すための少なくとも1つの酵素が、ウラシルDNAグリコシラーゼと、DNAグリコシラーゼリアーゼエンドヌクレアーゼVIIIまたはFpGグリコシラーゼから選択されるエンドヌクレアーゼとを含む、実施形態1~5のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態7)
前記第1シーケンシングプライマーが、溶液中にある、実施形態1~6のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態8)
前記第1シーケンシングプライマーの5’末端が、ブロックされている、実施形態1~7のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態9)
前記第2シーケンシングプライマーが、前記切断部位の3’末端を含む、実施形態1~8のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態10)
前記酵素での切断工程により、3’-リン酸で終結した前記切断部位の3’末端を得る、実施形態1~9のいずれか一項に記載の方法であって、前記アレイをホスファターゼと接触させて3’-OHで終結した前記切断部位を得る工程をさらに含む、方法。
(実施形態11)
前記第2配列決定反応が、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼの使用を含む、実施形態1~10のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態12)
前記第2シーケンシングプライマーが、溶液中にある、実施形態1~11のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態13)
前記第2配列決定反応が、前記切断された二本鎖アンプリコンを、非付着第1鋳型を除去する条件にさらす工程と、前記第2シーケンシングプライマーを前記相補鎖に存在するユニバーサル配列にハイブリダイズさせる工程を含む、実施形態1~12のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態14)
前記非付着第1鋳型を除去する工程が、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を含むエキソヌクレアーゼと前記アレイを接触させることを含む、実施形態1~13のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態15)
前記エキソヌクレアーゼが、T7エキソヌクレアーゼである、実施形態1~14のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態16)
前記アレイ上の増幅部位の少なくとも95%が、異なる単一標的核酸の増幅に由来するクローン一本鎖アンプリコンを含む、実施形態1~15のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態17)
前記第1配列決定反応が、前記一本鎖アンプリコンの領域の配列を決定し、前記第2配列決定反応が前記相補鎖の領域の配列を決定し、前記一本鎖アンプリコンの領域が、前記相補鎖の領域に相補的である、実施形態1~16のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態18)
前記第1配列決定反応が、前記一本鎖アンプリコンの領域の配列を決定し、前記第2配列決定反応が、前記相補鎖の領域の配列を決定し、前記一本鎖アンプリコンの領域が、前記相補鎖の領域に相補的ではない、実施形態1~17のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態19)
(d)または(f)の間に組み込まれた前記ヌクレオチドが、完全機能性ヌクレオチドを含む、実施形態1~18のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態20)
前記第1配列決定反応が、前記第1シーケンシングプライマーに所定の数のヌクレオチドを順次付加することを含む、実施形態1~19のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態21)
前記第2配列決定反応が、前記第2シーケンシングプライマーに所定の数のヌクレオチドを順次付加することを含む、実施形態1~20のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態22)
前記捕捉核酸、前記第1シーケンシングプライマー、または前記第2シーケンシングプライマーが、少なくとも1つの非ヌクレオチド化学部位、非天然ヌクレオチド、または非天然骨格連結を含む、実施形態1~21のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態23)
前記一本鎖アンプリコンが、2つのインデックスを含む、実施形態1~22のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態24)
前記インデックスを配列決定する工程をさらに含む、実施形態1~23のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態25)
第1インデックスが、(c)の後に配列決定される、実施形態1~24のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態26)
第2インデックスが、(f)の後に配列決定される、実施形態1~25のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態27)
前記アレイが以下の工程を含む方法によって作製される、実施形態1~26のいずれか一項に記載の方法:
(a)(i)増幅部位のアレイと、
(ii)複数の異なる標的核酸およびプライマーを含む溶液
を含む増幅試薬を用意する工程であって、
前記増幅部位の各々が、前記溶液中の異なる標的核酸に存在するユニバーサル配列にハイブリダイズすることができる前記複数の捕捉核酸を含み、
前記溶液中の異なる標的核酸の数が、前記アレイの増幅部位の数を上回るものであり、
前記異なる標的核酸が、前記複数の増幅部位へ流体アクセスでき、
前記増幅部位の各々が、前記複数の異なる標的核酸のうちのいくつかの核酸を収容することが可能な容量を持つものである、工程;ならびに
(b)前記増幅試薬を反応させて、前記溶液からの個々の標的核酸由来の二本鎖アンプリコンのクローン集団を各々が含む複数の増幅部位を作製する工程であって、
前記二本鎖アンプリコンが、その5’末端で捕捉核酸に付着している第1鎖と、前記増幅部位に付着していない第2鎖とを含み、
前記反応が、同時に
(i)前記異なる標的核酸を平均輸送速度で前記増幅部位に輸送することと、
(ii)前記増幅部位にある標的核酸を、前記平均輸送速度を上回る平均増幅速度で増幅させることを含む、工程。
(実施形態28)
前記二本鎖アンプリコンを、前記増幅部位に付着していない第2鎖を除去する条件にさらす工程をさらに含む、実施形態1~27のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態29)
前記第2鎖を除去する条件が変性剤を含む、実施形態1~28のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態30)
前記変性剤がホルムアミドを含む、実施形態1~29のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態31)
前記溶液が分子クラウディング剤を含む、実施形態1~30のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態32)
前記プライマーが、各一本鎖アンプリコンに存在するユニバーサル配列にハイブリダイズする、実施形態1~31のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態33)
増幅部位のアレイを含む組成物であって、
増幅部位が、複数のクローン二本鎖アンプリコンを含み、
各二本鎖アンプリコンが、5’末端で前記増幅部位の表面に付着しており、かつその骨格内に切断部を含む第1鎖と、前記増幅部位の表面に付着しておらず、かつ前記第1鎖のヌクレオチドに相補的でハイブリダイズしているヌクレオチドを含む第2鎖とを含み、
前記第1鎖の骨格内の切断部が、両側を前記第2鎖の相補的ヌクレオチドによって挟まれている、組成物。
(実施形態34)
前記アレイ上の増幅部位の少なくとも95%が、クローン一本鎖アンプリコンを含む、実施形態33に記載の組成物。
(実施形態35)
前記骨格内の切断部が、第1鎖内の切断部を含み、少なくとも1つの欠失したホスホジエステル結合を含む、実施形態33または34に記載の組成物。
(実施形態36)
前記第1鎖が、非天然骨格連結を含む、実施形態33~35のいずれか一項に記載の組成物。
(実施形態37)
前記骨格内の切断部が、第1鎖内の切断部を含み、少なくとも1つの欠失した非天然骨格連結を含む、実施形態33~36のいずれか一項に記載の組成物。
(実施形態38)
前記骨格内の切断部が、少なくとも1つの脱塩基部位を含む、実施形態33~37のいずれか一項に記載の組成物。
(実施形態39)
前記第2鎖が、前記第1鎖の全ヌクレオチドよりも少ないヌクレオチドに相補的である、実施形態33~38のいずれか一項に記載の組成物。
(実施形態40)
前記第2鎖の5’末端が、5’ブロックを含む、実施形態33~39のいずれか一項に記載の組成物。
(実施形態41)
前記骨格内の切断部が、付着している5’末端から5~50ヌクレオチドに位置している、実施形態33~40のいずれか一項に記載の組成物。
(実施形態42)
前記第1鎖が、前記切断部の5’に位置しており、前記第2鎖にハイブリダイズしている少なくとも5つのヌクレオチドを含む、実施形態33~41のいずれか一項に記載の組成物。
(実施形態43)
本明細書に記載の1つまたは複数の特徴を含む化合物、組成物、または方法。
本開示は、以下の実施例によって例示される。特定の実施例、材料、量、および手順は、本明細書に記載の本開示の範囲および趣旨に従って広く解釈されることが理解されよう。
(例1)
(一般的なアッセイ方法および条件)
特に断りのない限り、ここでは、本明細書に記載の実施例で使用する一般的なアッセイ条件を記載する。
実験は、v2.5 HiSeqXフローセル(ILMN)をcBot(ILMN)で使用して行った。実験中、様々な酵素ミックスをフローセルにポンプで送り込み、37℃で15分間インキュベートした。T7エクソヌクレアーゼ、USER酵素、およびFpG(PLM2v2)はNew England Biolabsから供給された。シーケンシングは、HiSeq(商標)Xシステム(Illumina社、サンディエゴ、カリフォルニア州)で、製造業者の指示に従って実行した。
P7プライマーには、FpGグリコシラーゼによって切断可能な8-オキソグアニン切断部位が含まれていた。P5プライマーには、USER酵素によって切断可能なウラシル切断部位が含まれていた。
(読取り1)
HiSeqX(商標)フローセルのレーンの増幅部位を、標準的な方法を用いて、単一プライマーP7、またはP5およびP7の両方のプライマーでコーティングした。全てのレーンに300pMの一本鎖DNAを添加して増幅部位を播種し、増幅した。増幅部位に両方のプライマーを付着させたレーンでは、EPXミックス(Illumina、サンディエゴ、カリフォルニア州)を用いた30分間の排除増幅により、増幅を行った。単一プライマーが増幅部位に付着しているレーンでは、溶液中の第2プライマーであるP5を補充したEPXミックスを用いた30分間の排除増幅により、増幅を行った。溶液中のP5プライマーは、単一表面プライマーのレーンでの増幅に必要であった。増幅に続いて、いくつかのレーンをUSER試薬で直線化した。読取り1(R1)プライマーを各レーンに添加した。後の工程でT7エキソヌクレアーゼにさらすとR1プライマーの5’末端が消化されることが予想されたため、プライマーの5’末端をブロックした。一方のR1プライマーは、標準的なR1シーケンシングプライマーであるSBS3+Tであり、他方のR1プライマーは、2つのビオチンを含むように修飾されたSBS3+Tプライマーであった(bio-P5-SBS3+T)。標準的な1x36サイクルのHiSeqXシーケンシング実行を使用した。
(読取り2)
単一プライマークラスタからの読取り1の後、フローセルをcBotでの読取り2のために処理した後、シーケンシングを行った。いくつかのレーンでは、R1プライマーからの伸長により合成した鎖を、AMXミックス(Bst増幅ミックス、(Illumina、サンディエゴ、CA))を用いてさらに伸長させた。伸長に続いて、P7プライマーを切断部位で切断し、切断部位の3’側に位置する結果として得られた鎖をT7エキソヌクレアーゼで除去した。各レーンに読取り2(R2)プライマーを添加し、標準的な1×36サイクルのHiSeqXシーケンシング実行を使用した。1つのレーンでは、T7エキソヌクレアーゼをT4キナーゼに置き換え、切断部位の3’側の3’リン酸を3’OHに変換し、R2プライマーを添加せずにシーケンシング実行を行った。全てのシーケンシング実行を低温(45℃)で行いシーケンシング中の鎖の脱ハイブリダイゼーションを抑え、妥当な強度、PFおよび品質指標が示された。
(2回目の読取り2)
ワークフロー中に発生する仮説的構造をさらに評価するために、フローセルを読取り2(R2)の後にシーケンサーから取り出し、NaOHにさらしてクラスタを変性させた。R1またはR2プライマーを再びレーンに加え、同じ条件で別のシーケンシング実行を行った。
(例2)
(単一プライマークラスタは、第1読取りで有用な配列データを提供する)
レーン4(SBS3+Tプライマー)、5(bio-P5-SBS3+Tプライマー)、6(SBS3+Tプライマー)および8(bio-P5-SBS3+Tプライマー)の単一表面プライマークラスタは有用な配列データをもたらし、単一プライマークラスタが第1読取りプライマーで有用な配列データを提供したことが示された(図2)。単一表面プライマークラスタ(レーン1~3)は、デュアルプライマークラスタの結果よりも高い強度を示したが、PFは低くなった。高い強度は、有効な表面プライマー密度が高いことに起因する可能性が高く、低いPFは、この新しいプロセス用に最適化されていないDNA濃度を使用したことに起因する可能性が高い。データは、異なるプライマーが同じように作用したことも示している。レーン7は、cBotにおけるポンプでの送り込みに失敗したため、流動性の障害である。
(例3)
(単一プライマークラスタは、第2読取りプライマーの存在下および非存在下で、第2読取りで有用な配列データを提供する)
図3は、R2を用いたシーケンシングの結果を示す。単一プライマー増幅部位を備えたレーン、およびT7エキソヌクレアーゼによる鎖除去を含むプロセスは、有用な配列データをもたらした(レーン4および5、ならびに図4A)。これは、単一表面プライマークラスタからのR2情報についての最初の証拠である。R2プライマーを含まないレーン6も、切断部位からの配列決定についてのいくつかの証拠を示した。
2回目のシーケンシング実行では、回復したレーンが、レーン1(対照レーン、R1プライマーと再ハイブリダイズした)およびレーン5(NaOH変性されておらず、R1プライマーが添加されていないため、まだ読取り2のサイクル37+にある)だけであったことが示された。表面のP7プライマーへのハイブリダイゼーションによってのみ所定の位置に保持されていた鎖が変性によって除去されたため、他の全てのレーンはブランクであった。
レーン6も、ニックからの配列決定についてのいくつかの証拠を示し、このレーンでは、クラスタをAMXで伸長させ、FpGで切断し、ニックの3’リン酸をT4キナーゼ工程を介して3’OHに変換していた。このレーンからのPFは、本発明者らのクラスタの単一鋳型領域を経る配列のために~0であるが、サイクル記録による強度は、~サイクル20まで予想される配列を示している(図4B)。
(例4)
(ハイブリダイゼーションによる付着が予測されるレーンの変性およびその後のR2シーケンシングでは、シグナルは得られない)
予想される配列データが得られたかどうかを評価するための対照として、読取り2の後にフローセルをシーケンサーから外し、R2プライマーのハイブリダイゼーションの前にNaOHを用いてクラスタを変性させ、「再ハイブリダイゼーション」した。図5は、再ハイブリダイゼーション後に回復したレーンが、レーン1(対照レーン、R1プライマーと再ハイブリダイズした)およびレーン5(NaOH変性またはハイブリダイズしていないため、まだ読取り2のサイクル37+にある)だけであったことを示している。表面のP7オリゴへのハイブリダイゼーションによってのみ所定の位置に保持されていた鎖を脱ハイブリダイズしたため、他の全てのレーンはブランクであった。
本明細書に引用した全ての特許、特許出願、および刊行物、ならびに電子的に利用可能な資料(例えば、GenBankおよびRefSeqにおけるヌクレオチド配列提出物、ならびにSwissProt、PIR、PRF、PDBにおけるアミノ酸配列提出物、ならびにGenBankおよびRefSeqにおけるアノテーションされたコード領域からの翻訳が含まれる)の完全な開示は、その全体が参照により組み込まれるものとする。刊行物中において参照されている補足資料(補足表、補足図、補足資料および方法、ならびに/または補足実験データなど)も同様に、その全体が参照により組み込まれるものとする。本出願の開示と、参照により本明細書に組み込まれる文書の開示(単数または複数)との間に矛盾が存在する場合には、本出願の開示が優先されるものとする。前述の発明を実施するための形態および実施例は、理解を明確にするためだけに与えられたものである。そこから不必要な制限は理解されない。本開示は、示され記載されている正確な詳細に限定されるものではなく、当業者にとって明らかな変更は、特許請求の範囲によって定義される本開示の内に含まれることになる。
別段の記載がない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量、分子量などを表す全ての数値は、全ての場合において「約」という用語で修飾されているものと理解されたい。したがって、別段の指示がない限り、本明細書および特許請求の範囲に記載されている数値パラメータは、本開示による取得が試みられる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、均等論を特許請求の範囲に限定しようとするものではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数を踏まえて、通常の四捨五入法を適用して解釈されるべきである。
本開示の広い範囲を記載する数値範囲およびパラメータは近似値であるものの、特定の実施例に示した数値は、可能な限り正確に報告されたものである。しかしながら、全ての数値は、それぞれの試験測定で見られる標準偏差から必然的に生じる範囲を本質的に含有する。
全ての見出しは、読者の便宜のためのものであり、特段の記載がない限り、見出しに続く文章の意味を制限するために使用されるべきではない。

Claims (48)

  1. 標的核酸の第1領域および第2領域のペアワイズシーケンシング方法であって、前記第1領域および第2領域が、前記標的核酸の相補鎖にあり、以下の工程を含む、方法:
    (a)複数の増幅部位を含むアレイを用意する工程であって、
    前記増幅部位が、(i)複数の捕捉核酸と、(ii)複数のクローン一本鎖アンプリコンとを含み、
    各一本鎖アンプリコンがその5’末端で捕捉核酸に付着しており、
    前記捕捉核酸が切断部位を含んでいる、工程;
    (b)第1シーケンシングプライマーを、各一本鎖アンプリコンに存在するユニバーサル配列にハイブリダイズさせる工程;
    (c)前記一本鎖アンプリコンを第1鋳型として使用し、前記第1シーケンシングプライマーにヌクレオチドを順次付加して第1配列決定反応を実施して第1領域の配列を決定し、前記第1領域の相補鎖を生成する工程;
    (d)前記第1領域の相補鎖を伸長させ、前記第1シーケンシングプライマーと、前記配列決定反応中に組み込まれたヌクレオチドと、前記伸長中に組み込まれたヌクレオチドとを含む二本鎖アンプリコンを形成する工程であって、前記第1領域の相補鎖が前記増幅部位の表面に付着していない、工程;
    (e)前記一本鎖アンプリコンに付着している捕捉核酸を切断する工程であって、
    前記切断が、前記一本鎖アンプリコンを、(i)短縮した捕捉核酸と、(ii)前記捕捉核酸に5’末端で付着していない非付着第1鋳型とに変える、工程;
    (f)前記相補鎖を第2鋳型として使用し、前記相補鎖にハイブリダイズした第2シーケンシングプライマーにヌクレオチドを順次付加して第2配列決定反応を実施して第2領域の配列を決定する工程であって、前記第2シーケンシングプライマーが溶液中にあり、前記第2配列決定反応が、前記切断された二本鎖アンプリコンを、非付着第1鋳型を除去する条件にさらすことと、前記第2シーケンシングプライマーを前記相補鎖に存在するユニバーサル配列にハイブリダイズさせることを含む、工程。
  2. 前記切断部位が、酵素的、化学的、または光化学的な切断を可能にする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記切断部位が、ニッキングエンドヌクレアーゼによる切断のための部位である、請求項項2に記載の方法。
  4. 前記切断工程が、前記切断部位に脱塩基部位を作り出すための少なくとも1つの酵素を含む組成物を前記アレイに接触させることを含み、
    切断が前記切断部位で起こる、請求項2に記載の方法。
  5. 前記捕捉核酸が、ウラシル塩基または8-オキソグアニン塩基を含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記切断部位に脱塩基部位を作り出すための少なくとも1つの酵素が、ウラシルDNAグリコシラーゼと、DNAグリコシラーゼリアーゼエンドヌクレアーゼVIIIまたはFpGグリコシラーゼから選択されるエンドヌクレアーゼとを含む、請求項4または5に記載の方法。
  7. 前記第1シーケンシングプライマーが、溶液中にある、請求項1に記載の方法。
  8. 前記第1シーケンシングプライマーの5’末端が、ブロックされている、請求項7に記載の方法。
  9. 前記第2シーケンシングプライマーが、前記切断部位の3’末端を含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記酵素での切断工程により、3’-リン酸で終結した前記切断部位の3’末端を得る、請求項6に記載の方法であって、前記アレイをホスファターゼと接触させて3’-OHで終結した前記切断部位を得る工程をさらに含む、方法。
  11. 前記第2配列決定反応が、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼの使用を含む、請求項9または10に記載の方法。
  12. 前記非付着第1鋳型を除去する工程が、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を含むエキソヌクレアーゼと前記アレイを接触させることを含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記エキソヌクレアーゼが、T7エキソヌクレアーゼである、請求項12に記載の方法。
  14. 前記アレイ上の増幅部位の少なくとも95%が、異なる単一標的核酸の増幅に由来するクローン一本鎖アンプリコンを含む、請求項1に記載の方法。
  15. 前記第1配列決定反応が、前記一本鎖アンプリコンの領域の配列を決定し、前記第2配列決定反応が、前記相補鎖の領域の配列を決定し、前記一本鎖アンプリコンの領域が、前記相補鎖の領域に相補的である、請求項1に記載の方法。
  16. 前記第1配列決定反応が、前記一本鎖アンプリコンの領域の配列を決定し、前記第2配列決定反応が、前記相補鎖の領域の配列を決定し、前記一本鎖アンプリコンの領域が、前記相補鎖の領域に相補的ではない、請求項1に記載の方法。
  17. (d)または(f)の間に組み込まれた前記ヌクレオチドが、完全機能性ヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
  18. 前記第1配列決定反応が、前記第1シーケンシングプライマーに所定の数のヌクレオチドを順次付加することを含む、請求項1に記載の方法。
  19. 前記第2配列決定反応が、前記第2シーケンシングプライマーに所定の数のヌクレオチドを順次付加することを含む、請求項1に記載の方法。
  20. 前記捕捉核酸、前記第1シーケンシングプライマー、または前記第2シーケンシングプライマーが、少なくとも1つの非ヌクレオチド化学部位、非天然ヌクレオチド、または非天然骨格連結を含む、請求項1に記載の方法。
  21. 前記一本鎖アンプリコンが、2つのインデックスを含む、請求項1に記載の方法。
  22. 前記インデックスを配列決定する工程をさらに含む、請求項21に記載の方法。
  23. 第1インデックスが、(c)の後に配列決定される、請求項22に記載の方法。
  24. 第2インデックスが、(f)の後に配列決定される、請求項22に記載の方法。
  25. 前記アレイが以下の工程を含む方法によって作製される、請求項1に記載の方法:
    (a)(i)増幅部位のアレイと、
    (ii)複数の異なる標的核酸およびプライマーを含む溶液
    を含む増幅試薬を用意する工程であって、
    前記増幅部位の各々が、前記溶液中の異なる標的核酸に存在するユニバーサル配列にハイブリダイズすることができる前記複数の捕捉核酸を含み、
    前記溶液中の異なる標的核酸の数が、前記アレイの増幅部位の数を上回るものであり、
    前記異なる標的核酸が、前記複数の増幅部位へ流体アクセスでき、
    前記増幅部位の各々が、前記複数の異なる標的核酸のうちのいくつかの核酸を収容することが可能な容量を持つものである、工程;ならびに
    (b)前記増幅試薬を反応させて、前記溶液からの個々の標的核酸由来の二本鎖アンプリコンのクローン集団を各々が含む複数の増幅部位を作製する工程であって、
    前記二本鎖アンプリコンが、その5’末端で捕捉核酸に付着している第1鎖と、前記増幅部位に付着していない第2鎖とを含み、
    前記反応が、同時に
    (i)前記異なる標的核酸を平均輸送速度で前記増幅部位に輸送することと、
    (ii)前記増幅部位にある標的核酸を、前記平均輸送速度を上回る平均増幅速度で増幅させることを含む、工程。
  26. 前記二本鎖アンプリコンを、前記増幅部位に付着していない第2鎖を除去する条件にさらす工程をさらに含む、請求項25に記載の方法。
  27. 前記第2鎖を除去する条件が変性剤を含む、請求項26に記載の方法。
  28. 前記変性剤がホルムアミドを含む、請求項27に記載の方法。
  29. 前記溶液が分子クラウディング剤を含む、請求項25に記載の方法。
  30. 前記プライマーが、各一本鎖アンプリコンに存在するユニバーサル配列にハイブリダイズする、請求項25に記載の方法。
  31. 増幅部位のアレイを含む組成物であって、
    増幅部位が、複数のクローン二本鎖アンプリコンを含み、
    各二本鎖アンプリコンが、5’末端で前記増幅部位の表面に付着しており、かつその骨格内に切断部を含む第1鎖と、前記増幅部位の表面に付着しておらず、かつ前記第1鎖のヌクレオチドに相補的でハイブリダイズしているヌクレオチドを含む第2鎖とを含み、
    前記第1鎖の骨格内の切断部が、両側を前記第2鎖の相補的ヌクレオチドによって挟まれており、
    前記骨格内の切断部が、付着している5’末端から5~50ヌクレオチドに位置している、組成物。
  32. 前記アレイ上の増幅部位の少なくとも95%が、クローン一本鎖アンプリコンを含む、請求項31に記載の組成物。
  33. 前記骨格内の切断部が、第1鎖内の切断部を含み、少なくとも1つの欠失したホスホジエステル結合を含む、請求項31に記載の組成物。
  34. 前記第1鎖が、非天然骨格連結を含む、請求項31に記載の組成物。
  35. 前記骨格内の切断部が、第1鎖内の切断部を含み、少なくとも1つの欠失した非天然骨格連結を含む、請求項34に記載の組成物。
  36. 前記骨格内の切断部が、少なくとも1つの脱塩基部位を含む、請求項31に記載の組成物。
  37. 前記第2鎖が、前記第1鎖の全ヌクレオチドよりも少ないヌクレオチドに相補的である、請求項31に記載の組成物。
  38. 前記第2鎖の5’末端が、5’ブロックを含む、請求項31に記載の組成物。
  39. 前記第1鎖が、前記切断部の5’に位置しており、前記第2鎖にハイブリダイズしている少なくとも5つのヌクレオチドを含む、請求項31に記載の組成物。
  40. 増幅部位のアレイを含む組成物であって、
    増幅部位が、複数のクローン二本鎖アンプリコンを含み、
    各二本鎖アンプリコンが、5’末端で前記増幅部位の表面に付着しており、かつその骨格内に切断部を含む第1鎖と、前記増幅部位の表面に付着しておらず、かつ前記第1鎖のヌクレオチドに相補的でハイブリダイズしているヌクレオチドを含む第2鎖とを含み、
    前記第1鎖の骨格内の切断部が、両側を前記第2鎖の相補的ヌクレオチドによって挟まれており、
    前記第1鎖が、前記切断部の5’に位置しており、前記第2鎖にハイブリダイズしている少なくとも5つのヌクレオチドを含む、組成物。
  41. 前記アレイ上の増幅部位の少なくとも95%が、クローン一本鎖アンプリコンを含む、請求項40に記載の組成物。
  42. 前記骨格内の切断部が、第1鎖内の切断部を含み、少なくとも1つの欠失したホスホジエステル結合を含む、請求項40に記載の組成物。
  43. 前記第1鎖が、非天然骨格連結を含む、請求項40に記載の組成物。
  44. 前記骨格内の切断部が、第1鎖内の切断部を含み、少なくとも1つの欠失した非天然骨格連結を含む、請求項43に記載の組成物。
  45. 前記骨格内の切断部が、少なくとも1つの脱塩基部位を含む、請求項40に記載の組成物。
  46. 前記第2鎖が、前記第1鎖の全ヌクレオチドよりも少ないヌクレオチドに相補的である、請求項40に記載の組成物。
  47. 前記第2鎖の5’末端が、5’ブロックを含む、請求項40に記載の組成物。
  48. 前記骨格内の切断部が、付着している5’末端から5~50ヌクレオチドに位置している、請求項40に記載の組成物。
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