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JP2015526092A - 核酸ペアエンド配列決定のための方法、組成物、システム、装置、およびキット - Google Patents

核酸ペアエンド配列決定のための方法、組成物、システム、装置、およびキット Download PDF

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JP2015526092A JP2015528456A JP2015528456A JP2015526092A JP 2015526092 A JP2015526092 A JP 2015526092A JP 2015528456 A JP2015528456 A JP 2015528456A JP 2015528456 A JP2015528456 A JP 2015528456A JP 2015526092 A JP2015526092 A JP 2015526092A
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Abstract

いくつかの態様において、本開示は、ペアエンド配列決定のための方法を提供する。いくつかの態様において、ペアエンド配列決定に供されるポリヌクレオチド鋳型は、少なくとも1つの架橋部分および少なくとも1つの切断性部分を含む。いくつかの態様において、ペアエンド配列決定反応は、(a) フォワード配列決定工程、(b) 切断工程、および (c) リバース配列決定工程を含む。いくつかの態様において、ペアエンド配列決定反応は、(a) フォワード配列決定工程、(b) 架橋工程、(c) 切断工程、および (d) リバース配列決定工程を含む。

Description

本出願は、2012年8月24日に出願された米国仮特許出願第61/692,830号に対して、35 U.S.C. §119の下で優先権の恩典を主張するものであり、(1) 2010年12月17日に出願された米国仮特許出願第61/424,599号;2011年2月22日に出願された同第61/445,324号;2011年3月11日に出願された同第61/451,919号;2011年8月23日に出願された同第61/526,478号;および2011年10月28日に出願された同第61/552,660号に対する優先権を主張する、2011年12月16日に出願された米国特許出願第13/328,844号の一部継続出願であり;(2) 2010年12月17日に出願された米国仮特許出願第61/424,599号;2011年2月22日に出願された同第61/445,324号;2011年3月11日に出願された同第61/451,919号;2011年8月23日に出願された同第61/526,478号;および2011年10月28日に出願された同第61/552,660号に対する優先権を主張する、2011年12月16日に出願された国際PCT出願第PCT/US2011/65535号の一部継続出願でもあり;前述の出願のすべての開示は、全体として参照により本明細書に組み入れられる。
本出願を通して、様々な出版物、特許、および/または特許出願が参照される。これらの出版物、特許、および/または特許出願の全体の開示は、本発明が関連する最新技術をより十分に説明するために、本明細書によって参照により本出願に組み入れられる。
背景
核酸増幅は、分子生物学において極めて有用であり、生物学、治療学、診断学、法医学、および研究の事実上あらゆる局面において広範な適用性を有する。一般に、1つまたは複数のプライマーを用いて出発鋳型から複数のアンプリコンが生成され、ここでアンプリコンは、それらが生成された元の鋳型と相同的または相補的である。多重増幅はまた、工程を合理化し、諸経費を削減することもできる。単一のプライマーセットを異なる鋳型と混合することができ、または単一の鋳型を複数の異なるプライマーと接触させることができ、または複数の異なる鋳型を複数の異なるプライマーと接触させることができる。本出願は、核酸の増幅および/または解析のための方法および試薬に関する。
概要
核酸の増幅および/または解析の方法、試薬、および産物が、本明細書において提供される。増幅は、固定化プライマーおよび/または可溶性プライマーを使用することができる。本明細書において提供される方法から生成されたアンプリコンは、さらなる解析、例えば配列決定のために適切な基質である。
鋳型ウォーキングの態様を示す模式図。代替の態様において、固定化プライマーは、(A)nと命名されるアデノシンリッチ配列、例えば(A)30、(SEQ ID NO:1) を含み、鋳型上の固定化プライマーのためのプライマー結合部位は、相補的なTリッチ配列、例えば(T)30 (SEQ ID NO:2) を含む。 配列決定のための、鋳型ウォーキングによるビーズ上での増幅および平面アレイ上へのビーズの沈着の概要。 合成による配列決定の、半導体ベースの検出を用いる代替の態様。鋳型ウォーキングを用いて、ビーズ上に、または反応チャンバーの基部もしくは底面上に、クローンアンプリコンの集団を生成することができる。代替の態様において、固定化プライマーは、(A)nと命名されるアデノシンリッチ配列、例えば(A)30 (SEQ ID NO:1) を含み、鋳型上の固定化プライマーのためのプライマー結合部位は、相補的なTリッチ配列、例えば(T)30 (SEQ ID NO:2) を含む。 平面基板上のプライマー叢の形態をした固定化部位の代替の態様。分離された固定化部位のアレイを用いることができ、またはさもなければ、プライマーの単一連続叢を、固定化部位のランダムアレイであると見なすこともできる。任意に、プライマーの連続叢における1つまたは複数の固定化部位の位置は、まだ未決定であってよく、ここでこの位置は、ウォーキングの前の最初の鋳型の付着の時点で決定されるか、または増幅クラスターに占有される空間によって決定される。代替の態様において、固定化プライマーは、(A)nと命名されるアデノシンリッチ配列、例えば(A)30 (SEQ ID NO:1) を含み、鋳型上の固定化プライマーのためのプライマー結合部位は、相補的なTリッチ配列、例えば(T)30 (SEQ ID NO:2) を含む。 鋳型ウォーキング反応に及ぼす温度の影響。鋳型ウォーキング増幅の前後のΔCtのグラフプロットを計算し、反応温度に対してプロットした。 96の二重鎖TaqMan qPCR反応のCt値の表。 ビーズ上での鋳型ウォーキングによる100,000倍の増幅。鋳型ウォーキング反応の前後のΔCtおよび鋳型ウォーキング反応の前後の増幅倍率を計算し、反応時間に対してプロットした。 例示的な鎖反転 (strand-flipping) およびウォーキングの戦略の模式図。鋳型ウォーキング。それぞれSEQ ID NO:1〜3および22として、「(A)30」、「(T)30」、「(T)20」、および「(T)32」を開示する。 例示的な鎖反転 (strand-flipping) およびウォーキングの戦略の模式図。反転鎖を生成するための鎖反転。それぞれSEQ ID NO:1〜3および22として、「(A)30」、「(T)30」、「(T)20」、および「(T)32」を開示する。 例示的な鎖反転 (strand-flipping) およびウォーキングの戦略の模式図。最終的な反転鎖上への新たなプライマー結合配列Pg'の付加。それぞれSEQ ID NO:1〜3および22として、「(A)30」、「(T)30」、「(T)20」、および「(T)32」を開示する。 ペアエンド配列決定方法の非限定的な模式図。
定義
任意の動作動詞(またはその動名詞)は、対応する動作が、特異的な、有意なまたは実質的なレベルで(例えば、ランダムを超えて、または適切な対照を超えて)起こることを示すことが意図される。例えば、「ハイブリダイズすること」という行為は、有意なまたは実質的なレベルの特異的ハイブリダイゼーションが起こることを示す。例えば、増幅過程の間のプライマーの鋳型へのハイブリダイゼーションの場合、ハイブリダイズすることは任意に、所望の増幅倍率‐例えば、単一の鋳型から少なくとも103または104または105または106個のアンプリコンを達成するのに十分である。別の例では、特異的ハイブリダイゼーションは、有意な量の配列相同性を共有しない2つの核酸間で起こるものを上回る。さらに別の例では、特異的ハイブリダイゼーションは、規定のストリンジェンシー条件における、ハイブリダイゼーション混合物中に存在する他のヌクレオチド配列に対する実質的な結合がない状態での、標的ヌクレオチド配列に対する核酸の結合を含む。任意に、試料は、診断学または法医学の目的で、生存生物体または死滅生物体(例えば、ヒト)から採取された組織または体液に由来する。任意に、試料はゲノムライブラリーまたはエクソームライブラリーを含む。
2つの配列は、一方の配列が、最適な条件下で他方の配列に実質的かつ特異的にハイブリダイズする場合に、相補的であると見なされ得る。2つの配列は、一方の配列の逆相補体が、最適な条件下で他方の配列に実質的かつ特異的にハイブリダイズし得る場合に、相同的であると見なされ得る。実質的なハイブリダイゼーションとは例えば、核酸の一方のうちの5%、任意に10%、30%、50%、または80%超が、他方の核酸にハイブリダイズする場合である。2つの一本鎖核酸間のハイブリダイゼーションは、必ずしもそうとは限らないが多くの場合、最適な条件下で安定している二本鎖構造の形成を含む。最適な条件とは、例えば、ハイブリダイゼーションが意図される条件、例えば増幅サイクルのアニーリング段階の条件である。2つの一本鎖ポリヌクレオチドは任意に、それらが、2つまたはそれ以上の連続して隣接する塩基対合によって互いに結合される場合に、ハイブリダイズすると見なされる。任意に、二本鎖構造の一方の鎖におけるヌクレオチドの実質的な割合が、他方の鎖上のヌクレオシドとワトソン・クリック塩基対合を起こす。ハイブリダイゼーションはまた、このような対合が水素結合の形成を含むか否かにかかわらず、プローブの縮重を減少させるために使用され得るヌクレオシド類似体、例えば、デオキシイノシン、2-アミノプリン塩基を有するヌクレオシド等などの対合を含む。
核酸は、それが、少なくとも最適な条件の間(例えば、増幅反応の間)、実質的に安定した様式で支持体に付着している場合に、固定化されると見なされ得る。付着は、非共有結合、イオン相互作用、または共有結合を含むがこれらに限定されない任意の機構によるものであってよい。増幅条件が、第1核酸と第2核酸の実質的な量が、増幅中の任意のまたはすべての時点で互いに会合するまたは結び付くようなものである場合に、第1核酸が、支持体上に固定化された第2核酸にハイブリダイズするのであれば、第1核酸もまた、増幅中に支持体上に固定化されると見なされ得る。例えば、第1核酸と第2核酸は、ワトソン・クリック塩基対合または水素結合を含むハイブリダイゼーションによって共に会合し得る。一例では、最適な増幅条件によって、第1核酸の少なくとも50%、80%、90%、95%、または99%が第2核酸とハイブリダイズしたままであることが可能になり、またはその逆も成り立つ。核酸は、それが、支持体と直接または間接的に付着または会合していない場合に、固定化されないまたは非固定と見なされ得る。
媒体は、その媒体が、最適な条件下で、少なくとも一時的に、固定化されていない分子の移行または移動を実質的にまたは完全に制限しないかまたは妨害しない流体媒体である場合に、そのような条件下で流動性であるとみなされ得る。固定化されていない分子は、それ自体が固体支持体もしくは表面に固定化されていないか、または別の固定化分子と会合していない。1つの態様において、固定化されていない分子は、流動性媒体の中の溶質(例えば、核酸)である。媒体中の例示的な移行または移動は、連続相における任意の第1点から、流体連通しているかまたは同じ連続相における任意の他の点への、液体内の拡散、対流、乱流、撹拌、ブラウン運動、移流、電流、または他の分子運動によるものであり得る。例えば、流動性媒体中で、有意な量の固定化されていない核酸が、1つの固定化部位から、流動性媒体の同じ連続相内であるか、または第1固定化部位と流体連通している別の固定化部位へ移行される。任意に、媒体中の核酸の移行または移動の速度は、水中の核酸の移行または移動の速度に匹敵する。場合によっては、最適な条件とは、増幅中に媒体が供される条件である。最適な条件は、流動性媒体が実質的に不動のままであることを可能にしてもよいし、またはしなくてもよい。この条件は、流動性媒体を活発な混合、攪拌、または振盪に供してもよいし、または供さなくてもよい。媒体は任意に、増幅中に少なくとも一時的に流動性である。例えば、媒体は、最適な少なくとも1つの予備増幅および/または増幅条件下で流動性である。任意に、流動性媒体は、固定化されていない異なる核酸の混合、または流動性媒体の連続相の異なるゾーン間の、固定化されていない核酸の移行を実質的に妨げない。核酸の移動または移行は例えば、拡散または対流によって生じ得る。媒体は任意に、増幅の際に固定化されていない核酸が、異なる固定化部位間でまたは連続相全体にわたって広がることもまたは移動することもできない場合に、非流動性と見なされる。一般に、流動性媒体は、増幅期間中に、反応容積の限られたゾーン内にまたは固定化された位置で、固定化されていない核酸(例えば、鋳型またはアンプリコン)を実質的に拘束しない。任意に、流動性媒体は、様々な手段によって、またはその状態を変化させることによって、非流動性にされ得る。任意に、媒体は、それが液体であるか、または半固体でない場合に、流動性である。媒体は、その流動性が純水に匹敵する場合に、流動性と見なされ得る。他の態様において、媒体は、それがポリマーを実質的に含まない流体である場合に、またはその粘性率が純水のものと同様である場合に、流動性と見なされ得る。
1つの態様において、支持体は1つまたは複数の固定化部位を含む。核酸(例えば、鋳型またはアンプリコン)は任意に、支持体とその対応する固定化部位で会合する。固定化部位は任意に、支持体の特定の部分もしくは領域、または支持体上の位置もしくは場所を含む。固定化部位は、支持体上の任意の特定のもしくは所定の場所、位置、寸法、サイズ、領域、もしくは構造、または任意の他の識別性のパラメータもしくは特徴を有し得るか、または任意に欠き得る。任意に、このようなパラメータのうちの1つまたは複数は、鋳型と支持体との会合の時点で、および/または増幅中もしくは増幅の完了の時点で、固定化部位について決定される。1つの態様において、1つまたは鋳型付着部分(例えば、増幅プライマー)を支持体に付着させるが、これらは任意に、所定のまたは規定の、位置、または角度、または既定点の中心からの距離において支持体上に配置されるか、または配置されない。任意に、支持体上の1つまたは複数の固定化部位にわたる鋳型分子の配置は、個々の付着部分の意図的な設計または配置を通じて達成されるか、または達成されない。付着部分(例えば、プライマー)のこのような「ランダムにパターン化された」または「ランダムな」アレイは、核酸分子のプールを含む溶液、乳濁液、エアロゾル、蒸気、または乾燥調製物を、支持体上に滴下し、噴霧し、プレーティングし、または広げ、かつ該核酸分子を支持体上に定着させることによって、それらをその上の特定のまたは所定の固定化部位に指向する任意の介入を伴うかまたは伴わずに、達成することができる。
支持体または固定化部位は任意に、支持体に付着している1つまたは複数のオリゴヌクレオチド(例えば、増幅プライマー)を含む。必ずしもそうとは限らないが好ましくは、オリゴヌクレオチドの支持体または固定化部位への付着は、その後の増幅または他のアッセイの間、安定している(例えば、オリゴヌクレオチドの10%、30%、50%、70%、または90%超が、最適な増幅条件に供された後に付着したままである)。
任意に、本明細書に記載される任意の方法において、少なくとも1つの支持体または固定化部位上のすべてのプライマーが、同じ配列を含む。支持体または固定化部位は任意に、関心対象の鋳型の一方の鎖またはその相補体にハイブリダイズしない他の核酸を含み得る。支持体または固定化部位は任意に、関心対象の鋳型の一方の鎖またはその相補体にハイブリダイズするいかなる他の核酸も含まない(すなわち、固定化部位は任意に、他のプライマーを全く有さない)。任意に、支持体または固定化部位は、少なくとも2つの異なる配列を有する複数のプライマーを含む。任意に、支持体または固定化部位は、一本鎖鋳型の第1部分と相補的である固定化プライマーの種を含み、かつ鋳型の第2の非重複部分と相同的である(または鋳型相補体にハイブリダイズし得る)固定化プライマーを含まない。この2つの部分は、それらが、互いにまたは他方の部分の相補体にハイブリダイズするいかなる小部分も含まない場合に、非重複的である。
2つまたはそれ以上の異なる種類のプライマー(例えば、配列が異なる)は、互いに実質的に同じ濃度で存在し得るか、またはあるいは異なる濃度で存在し得る。任意に、プライマーは、支持体または固定化部位にわたって実質的に均一に分散している。任意に、本明細書に記載される任意の方法において、2つの異なる固定化部位は、単一の支持体の空間的に分離されたサブコンポーネント(例えば、部分または領域)であり、かつ/または異なる(例えば、構造的に接続を絶つ)支持体上にある。任意に、本明細書に記載される任意の方法において、少なくとも1つの固定化部位は、支持体の表面全体または支持体の容積全体を含む。固定化プライマーは任意に、1つまたは複数の支持体または固定化部位にわたって均一に分布している。
任意に、本明細書に記載される任意の方法において、2つの異なる固定化部位は、共有される支持体中または支持体上に所定の配置で(例えば、グリッドパターンで)位置する。他の態様において、1つまたは複数の固定化部位の割り当て、境界、または位置決めは、鋳型が支持体に固定化される前には不明であるか、または予め決定されていない。一例では、支持体は、複数の固定化プライマーを含み、かつ出発鋳型がハイブリダイズする(例えば、あらゆる増幅が起こる前の)プライマーは、その鋳型のための固定化部位内(例えば、その中心点)に含まれると見なされ得る。このような態様において、固定化部位の位置決めは、プライマーの鋳型へのハイブリダイゼーションの間またはその後に決定される。固定化部位の割り当ておよび境界はまた、伸長および/または増幅の間またはその後に決定され得る。
核酸の集団は、そのメンバーの実質的な部分が実質的に同一の(または実質的に相補的な)配列を有する場合に、クローンと見なされる。集団のメンバーは、100%同一または相補的である必要はなく、例えば、特定の数の「エラー」が合成の過程において起こり得ることが理解されよう。1つの態様において、集団のメンバーの少なくとも50%が、互いにまたは参照核酸分子(すなわち、配列比較の基礎として用いられる既定の配列の分子)と実質的に同一(または相補的)である。より好ましくは、集団のメンバーの少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、またはそれ以上が、参照核酸分子と実質的に同一(または相補的)である。2つの分子は、最適に整列された際に、その2つの分子間の同一性パーセントが、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、99.9%、またはそれ以上である場合に、実質的に同一と見なされ得る。2つの分子は、最適に整列された際に、その2つの分子間の相補性パーセントが、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、99.9%、またはそれ以上である場合に、実質的に相補的と見なされ得る。加えて、非相同的な核酸の低いまたは不十分なレベルの混合が、本明細書に記載される方法の間に起こる場合があり、したがってクローン集団は、少数の多様な核酸を含み得る(例えば30%未満、例えば10%未満)。
当業者によって認識されるように、鋳型、初期化オリゴヌクレオチド、伸長プローブ、プライマー等への言及は、単一の分子ではなく、関連する部分内で実質的に同一である核酸分子の集団またはプールを指し得る。例えば、「鋳型」は、複数の実質的に同一の鋳型分子を指し得る;「プローブ」は、複数の実質的に同一のプローブ分子を指し得る、等である。1つまたは複数の位置で縮重しているプローブの場合、特定のプローブを含むプローブ分子の配列は、縮重位置において異なる、すなわち特定のプローブを構成するプローブ分子の配列は、非縮重位置においてのみ実質的に同一であり得ることが認識されよう。本出願におけるこれらの用語は、集団または分子のいずれかに支持体を提供することが意図される。単一の核酸分子(すなわち、1分子)を指すことが意図される場合には、「鋳型分子」、「プローブ分子」、「プライマー分子」等の用語が代わりに使用され得る。場合によっては、実質的に同一の核酸分子の集団の複数の性質が明確に示される。
「鋳型」、「オリゴヌクレオチド」、「プローブ」、「プライマー」、「鋳型」、「核酸」等は、本明細書において互換的な用語であることが意図される。これらの用語は、必ずしも任意の長さまたは機能に限定されることなく、ポリヌクレオチドを指す。同じ核酸が、状況に応じて「鋳型」、「プローブ」、または「プライマー」と見なされ得、また時間と共にこれらの役割の間で切り替わり得る。「ポリヌクレオチド」はまた、「核酸」とも称され、ヌクレオシド間共有結合によって連結された2つもしくはそれ以上のヌクレオチドの直鎖状ポリマー、またはその変種もしくは機能的断片である。これらの天然に存在する例において、ヌクレオシド間結合は典型的にはホスホジエステル結合である。しかしながら、その他の例は任意に、ホスホロチオエート結合などのその他のヌクレオシド間結合を含み、リン酸基を含んでもよいし、または含まなくてもよい。ポリヌクレオチドには、二本鎖DNAおよび一本鎖DNA、ならびに二本鎖RNAおよび一本鎖RNA、DNA:RNAハイブリッド、ペプチド核酸 (PNA)、およびPNAとDNAまたはRNAとのハイブリッドが含まれ、また公知の種類の修飾も含まれる。ポリヌクレオチドは任意に、1つまたは複数の非ヌクレオチド部分、例えば、標識およびその他の小分子、タンパク質、脂質、糖、および固体または半固体の支持体のような大分子などに対して、例えば5'末端または3'末端のいずれかを介して付着させることができる。標識には、最適な検出方法を用いて検出可能であり、したがって最適な検出方法を用いて、付着しているヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを同様に検出可能にさせる任意の部分が含まれる。任意に、標識は、光学的に検出可能であるかまたは可視である電磁放射線を放射する。場合によっては、ヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは標識に付着させず、ヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの存在は直接検出される。「ヌクレオチド」は、ヌクレオチド、ヌクレオシド、またはその類似体を指す。任意に、ヌクレオチドは、プリン塩基またはピリミジン塩基のN-グリコシドまたはC-グリコシドである。(例えば、2-デオキシ-D-リボースを含有するデオキシリボヌクレオシド、またはD-リボースを含有するリボヌクレオシド)。他の類似体の例には、非限定的に、ホスホロチオエート、ホスホルアミダート、メチルホスホン酸、キラル-メチルホスホン酸、および2-O-メチルリボヌクレオチドが含まれる。これらの用語のいずれか1つによる核酸への言及は、その核酸が任意の特定の活性、機能、または特性を有することを意味すると取られるべきではない。例えば、「鋳型」という語は、この「鋳型」がポリメラーゼによってコピーされていること、またはこの鋳型が「プライマー」もしくは「プローブ」として働くことができないことを示さない。
場合によっては、鋳型、プローブ、プライマー等などの、増幅に関与する核酸試薬が、そのような機能を果たさない別の部分もまた含む、より大きな核酸分子の一部であってもよいことが認識されよう。任意に、このような他の部分は、いかなる鋳型、プローブ、またはプライマーの機能も果たさない。場合によっては、任意に固定化されたプライマー(例えば、固定化部位上の)に実質的にハイブリダイズする核酸は、「鋳型」であると見なされる。鋳型ウォーキングに関与する任意の1つまたは複数の核酸試薬(鋳型、固定化された鎖、固定化されたまたは固定化されていないプライマー等)は、他の核酸鎖から、増幅の前またはその間に生成され得る。核酸試薬は任意に、鋳型ウォーキング媒体に最初に導入された核酸に1つまたは複数の改変を加えることによって、インプット核酸から生成される(かつそれと同一である必要はない)。インプット核酸は、例えば、制限消化、連結、1回または複数回の増幅サイクル、変性、変異等に供されて、増幅またはさらなる増幅中に鋳型、プライマー等として役立つ核酸を生成し得る。例えば、二本鎖のインプット核酸を変性させて、第1の一本鎖核酸を生成することができ、これは任意に第2の相補鎖を生成するために用いられる。そのように所望されるならば、第1の一本鎖核酸は、本明細書における本発明者らの目的に関して「鋳型」と見なされ得る。あるいは、第1の一本鎖核酸から生成された第2の相補鎖が、本明細書における本発明者らの目的に関して「鋳型」と見なされ得る。別の例では、鋳型はインプット核酸に由来し、かつインプット核酸と同一である必要はない。例えば、鋳型は、インプット核酸中に存在しない付加的な配列を含み得る。1つの態様において、鋳型は、インプット核酸と相補的でない5'オーバーハングを有する1つまたは複数のプライマーを用いて、インプット核酸から生成されたアンプリコンであってよい。
「増幅すること」という用語は、例えばプライミング酵素合成の反復ラウンドを介した、核酸分子のコピーの生成を指す。任意に、このように増幅することは、固定化鋳型核酸分子および/または固定化されている1つもしくは複数のプライマーを用いて行われる。アンプリコンは例えば、出発鋳型核酸から増幅手順によって生成される一本鎖または二本鎖の核酸である。アンプリコンは核酸鎖を含み、その少なくとも一部は、出発鋳型の少なくとも一部と実質的に同一であるかまたは実質的に相補的である。出発鋳型が二本鎖である場合、アンプリコンは核酸鎖を含み、この核酸鎖は、一方の鎖の少なくとも一部と実質的に同一であり、かつどちらか一方の鎖の少なくとも一部と実質的に相補的である。アンプリコンは、最初の鋳型が一本鎖であるかまたは二本鎖であるかにかかわらず、一本鎖または二本鎖であってよい。
「支持体」という用語は、その上に核酸などの試薬が固定化され得る、任意の固体または半固体の物品を含む。核酸は、物理的吸着、イオン結合もしくは共有結合の形成、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない任意の方法によって、固体支持体上に固定化され得る。固体支持体は、ポリマー、ガラス、または金属材料を含み得る。固体支持体の例には、膜、平面表面、マイクロタイタープレート、ビーズ、フィルター、試験紙、スライド、カバーガラス、および試験管が含まれる。支持体は、その上でオリゴマーが合成、付着、連結、またはさもなければ固定化される、任意の固相材料を含む。支持体は任意に、「樹脂」、「相」、「表面」、および「支持体」を含み得る。支持体は、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフルオロエチレン、ポリエチレンオキシ、およびポリアクリルアミドなどの有機ポリマー、ならびにそれらのコポリマーおよびグラフトから構成され得る。支持体はまた、ガラス、シリカ、細孔制御ガラス (CPG)、または逆相シリカなどの無機物であってもよい。支持体の形状は、ビーズ、球、粒子、顆粒、ゲル、または表面の形態であってよい。表面は、平面、実質的に平面、または非平面であってよい。支持体は、多孔性または非多孔性であってよく、また膨潤または非膨潤の特徴を有し得る。支持体は、1つまたは複数のウェル、くぼみ、もしくはその他の入れ物、容器、機構、または位置を含むように成形され得る。複数の支持体が、様々な位置にアレイとして設定され得る。支持体は任意に、(例えば、試薬のロボット送達のために)またはレーザー照射および共焦点または偏向集光によるスキャニングを含む検出手段によって、アドレス可能である。増幅支持体(例えば、ビーズ)は、別の支持体の中またはその上(例えば、第2支持体のウェル内)に配置され得る。
1つの態様において、固体支持体は、50ミクロンまたはそれ以下、好ましくは10ミクロンまたはそれ以下、3ミクロンまたはそれ以下、およそ1ミクロンまたはそれ以下、およそ0.5ミクロンまたはそれ以下、例えばおよそ0.1、0.2、0.3、もしくは0.4ミクロン、またはそれよりも小さい(例えば、1ナノメートル、約1〜10ナノメートル、約10〜100ナノメートル、または約100〜500ナノメートル未満)という最小の断面長(例えば、直径)を有する「微粒子」、「ビーズ」、「マイクロビーズ」等(必ずしもそうとは限らないが任意に球状)である。微粒子(例えば、Dynal、Oslo,NorwayによるDynabeads)は、ガラス(例えば、細孔制御ガラス)、シリカ、ジルコニア、架橋ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリル酸メチル、二酸化チタン、ラテックス、ポリスチレン等を含むがこれらに限定されない、種々の無機材料または有機材料から作られ得る。磁化は、増幅後の微粒子付着試薬(例えば、ポリヌクレオチドまたはリガーゼ)の収集および濃縮を容易にすることができ、また付加的な段階(例えば、洗浄、試薬除去等)を容易にすることもできる。本発明の特定の態様において、異なる形状、サイズ、および/または色を有する微粒子の集団を使用することができる。微粒子は任意に、各微粒子が個々にまたは一意的に同定され得るように、例えば量子ドットでコードされ得る。
詳細な説明
いくつかの態様において、本開示は一般に、1つまたは複数の核酸鋳型をクローン増幅して、核酸鋳型のクローン増幅集団を形成するための方法、組成物、システム、装置、およびキットに関する。本明細書に記載される任意の増幅方法は任意に、核酸増幅の反復サイクルを含む。増幅の1サイクルは任意に、(a) プライマーの鋳型鎖へのハイブリダイゼーション、(b) 第1伸長鎖を形成するためのプライマー伸長、(c) 鋳型鎖からの伸長鎖の部分的または不完全な変性を含む。鋳型鎖にハイブリダイズするプライマー(便宜上「フォワード」プライマーと命名される)は、任意に、支持体上または支持体に固定化される。支持体は、例えば固体または半固体である。任意に、段階 (c) からの鋳型鎖の変性部分は、次の増幅サイクルにおいて、異なるフォワードプライマーと自由にハイブリダイズすることができる。1つの態様において、その後の増幅サイクルにおけるプライマー伸長は、鋳型鎖からの第1伸長鎖の移動を含む。例えば、第1伸長鎖の3'末端にハイブリダイズする第2の「リバース」プライマーを含めることができる。リバースプライマーは任意に固定化されない。
1つの態様において、鋳型は、1つまたは複数の固体または半固体の支持体上に/支持体に固定化されたプライマーを用いて増幅される。任意に、支持体は、鋳型鎖の第1部分と相補的である固定化プライマーを含む。任意に、支持体は、同じ鋳型鎖の第2の非重複部分と相同的である固定化プライマーを有意には含まない。この2つの部分は、それらが、互いにまたはその相補体にハイブリダイズするいかなる小部分も含まない場合に、非重複的である。別の例では、支持体は任意に、鋳型鎖の相補体にハイブリダイズし得る固定化プライマーを有意には含まない。
任意に、複数の核酸鋳型が、1つまたは複数の支持体の存在下で単一の連続液相中で同時に増幅され、ここで各支持体は1つまたは複数の固定化部位を含む。1つの態様において、各鋳型は、増幅されてアンプリコンのクローン集団を生成し、ここで個々のクローン集団は、他の増幅集団とは異なる支持体または固定化部位の中またはその上に固定化される。任意に、増幅集団は、増幅後に実質的にクローンのままである。
鋳型は例えば増幅されて、鋳型相同鎖(本明細書において「鋳型鎖」または「リバース鎖」と称される)および/または鋳型相補鎖(本明細書において「プライマー鎖」または「フォワード鎖」と称される)を含むクローン集団を生成する。1つの態様において、クローン性は、鋳型鎖とそのプライマー鎖との間の会合を維持し、それによって、会合したクローン子孫を共に効率的に結び付けるかまたは「繋ぎ止め」、異なるクローン集団間の相互汚染の確率を減らすことによって、得られた増幅核酸集団において維持される。任意に、クローン集団中の1つまたは複数の増幅核酸は、支持体に付着している。実質的に同一の核酸のクローン集団は任意に、空間的に局在化したまたは分離した肉眼的外観を有し得る。1つの態様において、クローン集団は、別個の点またはコロニーに類似し得る(例えば、支持体中に、任意に支持体の外表面上に分布する場合)。
いくつかの態様において、本開示は一般に、任意に1つまたは複数の支持体の中に/それに/その上に固定化された、クローンアンプリコンの局在化クローン集団を生成する新規な方法に関する。支持体は例えば、固体または半固体(ゲルまたはヒドロゲルなど)であってよい。増幅クローン集団は任意に、支持体の外表面に付着しているか、または支持体の内表面内にあってもよい(例えば、支持体が、多孔性またはマトリックス構造を有する場合)。
いくつかの態様において、増幅は、関心対象の鋳型鎖(「リバース」鎖とも称される)に沿った複数サイクルのプライマー伸長によって達成される。便宜上、関心対象の鋳型鎖にハイブリダイズするプライマーは、「フォワード」プライマーと称され、任意に鋳型依存的様式で伸長されて、関心対象の鋳型鎖と相補的である「フォワード」鎖を形成する。いくつかの方法において、フォワード鎖は、それ自体に、「リバース」プライマーと称される第2のプライマーがハイブリダイズし、このプライマーは伸長されて新たな鋳型鎖(リバース鎖とも称される)を形成する。任意に、新たな鋳型鎖の少なくとも一部は、関心対象の元の鋳型(「リバース」)鎖と相同的である。
述べたように、1つまたは複数のプライマーは、1つまたは複数の支持体の中に/その上に/それに固定化され得る。任意に、1つのプライマーは、支持体への付着によって固定化される。第2のプライマーが存在してもよく、任意に支持体に固定化されないか、または付着していない。異なる鋳型は例えば、単一の連続液相中で異なる支持体または固定化部位上に同時に増幅されて、クローン核酸集団を形成し得る。液相は、液相の任意の部分が、液体の任意の他の部分と液体接触または連絡している場合に、連続と見なされ得る。別の例では、液相は、液体の残りの部分から完全に細分もしくは区画化されるか、またはさもなければ完全に物理的に分離されている部分がない場合に、連続と見なされ得る。任意に、液相は流動性である。任意に、連続液相は、ゲルまたはマトリックス内にはない。他の態様において、連続液相は、ゲルまたはマトリックス内にある。例えば、連続液相は、固体または半固体支持体の細孔、空間、または他の間隙を占有する。
液相がゲルまたはマトリックス内にある場合、1つまたは複数のプライマーは任意に、支持体上に固定化される。任意に、支持体はゲルまたはマトリックス自体である。あるいは、支持体はゲルまたはマトリックス自体ではない。一例では、1つのプライマーは、ゲル内に含まれる固体支持体上に固定化され、ゲル分子には固定化されない。支持体は例えば、平面表面または1つもしくは複数の微粒子の形態である。任意に、平面表面または複数の微粒子は、実質的に同一の配列を有するフォワードプライマーを含む。1つの態様において、支持体は、有意な量の第2の異なるプライマーを含まない。任意に、第2の非固定化プライマーは、ゲル内の溶液中にある。第2の非固定化プライマーは例えば、鋳型鎖(すなわち、リバース鎖)に結合し、固定化プライマーはフォワード鎖に結合する。
便宜上、プライマーがハイブリダイズする核酸鋳型鎖の部分は、「プライマー結合配列」またはPBSと称される。したがって、フォワードプライマーは、リバース鎖上のフォワードプライマー結合配列(「フォワードPBS」)に結合し、リバースプライマーは、フォワード鎖上のリバースPBSに結合する。
1つの態様は、以下を含む、プライマー伸長の方法を含む:(a) プライマーハイブリダイゼーション段階、(b) 伸長段階、および (c) ウォーキング段階。任意に、プライマーハイブリダイゼーション段階は、第1プライマー分子(「第1フォワードプライマー」)を、核酸鎖(「リバース鎖」)上の相補的フォワードプライマー結合配列(「フォワードPBS」)にハイブリダイズさせることを含む。任意に、伸長段階は、リバース鎖の全長相補体であり、かつそれにハイブリダイズする、伸長された第1フォワード鎖を生成することを含む。伸長された第1フォワード鎖は、例えば、リバース鎖を鋳型として用いて、鋳型依存的様式で第1フォワードプライマー分子を伸長させることによって生成される。任意に、ウォーキング段階は、第2プライマー(「第2フォワードプライマー」)をフォワードPBSにハイブリダイズさせることを含み、ここでリバース鎖はまた第1フォワード鎖にもハイブリダイズしている。例えば、ウォーキング段階は、フォワードPBSの少なくとも一部をフォワード鎖から変性させることを含み(「遊離部分」)、ここでリバース鎖の別の部分はフォワード鎖にハイブリダイズしたままである。
1つの態様において、プライマー伸長方法は増幅方法であり、ここでプライマーハイブリダイゼーション、伸長、および/またはウォーキングのうちの任意の1つまたは複数の段階が少なくとも1回繰り返される。例えば、本方法は、1回または複数回の増幅サイクルによってフォワード鎖を増幅する工程を含み得る。増幅サイクルは任意に、伸長およびウォーキングを含む。例示的な増幅サイクルは、伸長に続いてウォーキングを含むか、または本質的にそれらからなる。任意に、第1増幅サイクルの第2フォワードプライマーは、その後の増幅サイクルの第1フォワードプライマーとして働く。例えば、第1増幅サイクルにおけるウォーキング段階の第2フォワードプライマーは、その後の増幅サイクルの伸長段階の第1フォワードプライマーとして働く。
任意に、プライマー伸長または増幅の方法は、(a) 第1リバースプライマー分子を、伸長されたフォワード鎖上の相補的リバースプライマー結合配列(「リバースPBS」)にハイブリダイズさせること;(b) フォワード鎖を鋳型として用いて、鋳型依存的様式で第1リバースプライマー分子を伸長させることによって、フォワード鎖の全長相補体であり、かつそれにハイブリダイズする、伸長された第1リバース鎖を生成すること;および (c) 第2プライマー(「第2リバースプライマー」)をリバースPBSにハイブリダイズさせること、ここでフォワード鎖はまた、第1リバース鎖にもハイブリダイズしている、によって、リバース鎖を伸長させるまたは増幅する工程をさらに含む。段階 (b)〜(c) の1回または複数回の反復が任意に行われ、この場合、段階 (c) の第2リバースプライマーは、反復された段階 (b) の第1リバースプライマーであり;かつフォワード鎖の実質的な割合が、該1回または複数回の反復の間中またはその間のすべての時点で、リバース鎖にハイブリダイズしている。1つの態様において、実質的な割合とは任意に、少なくとも30%、40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%である。
任意に、増幅中に、リバース鎖および/またはフォワード鎖は、多数の鎖の有意な割合(例えば、10%、20%、30%、40%、または50%超)を、それらの伸長されたおよび/または全長の相補体から完全に分離する完全変性条件に曝露されない。
1つの態様において、フォワード鎖および/またはリバース鎖の実質的な割合が、任意に、1回または複数回の増幅サイクル(例えば、1、5、10、20回、または実施されたすべての増幅サイクル)の間中またはその間のすべての時点で、伸長されたおよび/または全長の相補体にハイブリダイズしている。1つの態様において、鎖の実質的な割合とは任意に、鎖の少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%である。1つの態様において、これは、伸長されていないプライマーのTmよりも高いが、プライマー相補鎖のTmよりも低い温度で増幅反応を維持することによって達成される。例えば、増幅条件は、伸長されていないフォワードプライマーのTmよりも高いが、伸長されたまたは全長のリバース鎖のTmよりも低い温度内で保たれる。また例えば、増幅条件は,伸長されていないリバースプライマーのTmよりも高いが、伸長されたまたは全長のフォワード鎖のTmよりも低い温度内で保たれる。
任意に、1つもしくは複数のフォワードプライマーおよび/または1つもしくは複数のリバースプライマーは、ブリーザブル (breathable) であり、例えば低いTmを有する。1つの態様において、ブリーザブルプライマーのヌクレオチド塩基の少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%は、アデニン、チミン、もしくはウラシル、またはアデニン、チミン、もしくはウラシルと相補的である。
核酸鎖(例えば、プライマーまたは鋳型鎖)のTmとは、例えば、選択された試薬条件下で、二重鎖のクローン集団の少なくとも所望の割合が完全に一本鎖にされる温度であり、ここで個々の二重鎖は、その全長相補体にハイブリダイズしている問題の核酸鎖を含む。初期設定では、所望の割合は50%である。ある態様において、所望の割合は任意に、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%である。1つの態様において、Tm(N)は、例えば本明細書において考察されるように、公知の方法を用いて理論的に予測される。別の態様において、Tmは、公知の方法によって実験的に測定される。(例えば、Spink, Methods Cell Biol. 2008;84:115-41;Meunier-Prest et al., Nucleic Acids Res. 2003 December 1; 31(23): el50;Brewood et al., Nucleic Acids Res. 2008 September; 36(15): e98.)。
所望の割合についてのTmはTm(N)と示され得、ここでNは、所望の割合をパーセンテージの観点で示す。1つの態様において、フォワードプライマーおよび/またはリバースプライマーのTm(50)(全プライマー分子の50%が、それらの相補的PBSから完全に解離される)は、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、または80℃以下である。任意に、伸長されたまたは全長のフォワード鎖および/またはリバース鎖のTm(50)(全鎖分子の50%が、それらの相補的配列から完全に解離される)は、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃、または55℃以上である。別の態様において、フォワードプライマーおよび/またはリバースプライマーのTm(80)は、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、または80℃以下である。任意に、伸長されたまたは全長のフォワード鎖および/またはリバース鎖のTm(80)は、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃、または55℃以上である。別の態様において、フォワードプライマーおよび/またはリバースプライマーのTm(90)は、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、または80℃以下である。任意に、伸長されたまたは全長のフォワード鎖および/またはリバース鎖のTm(90)は、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃、または55℃以上である。別の態様において、フォワードプライマーおよび/またはリバースプライマーのTm(95)は、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、または80℃以下である。任意に、伸長されたまたは全長のフォワード鎖および/またはリバース鎖のTm(95)は、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃、または55℃以上である。任意に、伸長されたまたは全長のフォワード鎖および/またはリバース鎖のTm(99)は、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃、または55℃以上である。別の態様において、フォワードプライマーおよび/またはリバースプライマーのTm(95)は、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、または80℃以下である。任意に、伸長されたまたは全長のフォワード鎖および/またはリバース鎖のTm(99)は、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃、または55℃以上である。
任意に、1回または複数回の増幅サイクル(例えば、1、5、10、20回、または実質的にすべての増幅サイクル)は、伸長されていないプライマーのTm(70)よりも高く、かつ相補的全長鎖のTm(20)よりも低い温度で行われる。例えば、この温度は、伸長されていないプライマーのTm(80)よりも高く、かつ相補的全長鎖のTm(20)またはTm(15)またはTm(10)またはTm(5)またはTm(1)よりも低い。また例えば、この温度は、伸長されていないプライマーのTm(90)よりも高く、かつ相補的全長鎖のTm(20)またはTm(15)またはTm(10)またはTm(5)またはTm(1)よりも低い。また例えば、この温度は、伸長されていないプライマーのTm(95)よりも高く、かつ相補的全長鎖のTm(20)またはTm(15)またはTm(10)またはTm(5)またはTm(1)よりも低い。また例えば、この温度は、伸長されていないプライマーのTm(98)よりも高く、かつ相補的全長鎖のTm(20)またはTm(15)またはTm(10)またはTm(5)またはTm(1)よりも低い。また例えば、この温度は、伸長されていないプライマーのTm(99)よりも高く、かつ相補的全長鎖のTm(20)またはTm(15)またはTm(10)またはTm(5)またはTm(1)よりも低い。任意に、1回または複数回の増幅サイクルは、伸長されていないプライマーのTm(50)よりも少なくとも5、10、15、20、25、30、35、または45℃高い温度で行われる。任意に、この温度は、全長プライマー相補鎖のTm(50)よりも少なくとも5、10、15、20、25、30、35、または45℃低い。1つの態様において、伸長されていないプライマーはフォワードプライマーであり、かつ相補的全長鎖はリバース鎖であり、またはその逆も成り立つ。
任意に、伸長段階においてリバース鎖を鋳型として用いるフォワードプライマーの鋳型依存的伸長は、そのリバース鎖に既にハイブリダイズしていた別のフォワード鎖の置換を引き起こす。任意に、伸長段階においてフォワード鎖を鋳型として用いるリバースプライマーの鋳型依存的伸長は、そのフォワード鎖に既にハイブリダイズしていた別のリバース鎖の置換を引き起こす。
1つの態様において、本方法はさらに、プライマー伸長または所望の回数の増幅サイクルを行った後に、伸長されたフォワード鎖をリバース鎖から完全に分離する工程、および任意に、分離されたフォワード鎖を分離された固定化リバース鎖の存在から除去する工程、またはその逆を含む。
任意に、1つまたは複数の核酸試薬は、任意の1つまたは複数の段階中に、リコンビナーゼおよび/または逆転写酵素および/またはヘリカーゼおよび/またはニッキング酵素および/またはポリメラーゼではない任意の他の酵素と接触しない。例えば、プライマーおよび/または鋳型は、いずれの時点においても、1つまたは複数のこのような酵素と接触しない。
変性は任意に、例えば温度を上昇させることによって、非酵素的に達成される。1つの態様において、増幅は、本明細書に記載されるように、実質的に等温の条件下で行われる。
任意に、任意の1つまたは複数の核酸、例えばプライマーは、支持体に付着している(例えば、共有結合で付着している)。1つの態様において、第1フォワードプライマーおよび/または第2フォワードプライマーは、単一の(同じ)支持体に固定化される。
1つの態様において、第1フォワードプライマーと第2フォワードプライマーは、同じ支持体に近接して固定化され、それによって増幅は、伸長されたフォワード鎖の固定化クローン集団を生成する。任意に、第1フォワードプライマーと第2フォワードプライマーの間の距離は、プライマーまたはPBSの長さの2倍以下である。
任意に、複数の鋳型核酸は、空間的に分離された固定化部位に個々にハイブリダイズし、それによって増幅は、個々の鋳型核酸に対応する空間的に分離されたクローン集団を生成する。
1つの態様において、第1フォワードプライマーは、「リバース」鋳型鎖上のフォワードPBSにハイブリダイズする。任意に、第1フォワードプライマーは支持体上に固定化される。第1フォワードプライマーは、リバース鎖に沿って伸長されて、(伸長された)第1フォワード鎖を形成し得る。伸長は任意に、リバース鎖を鋳型として用いて鋳型依存的である。伸長後、第1フォワード鎖とリバース鎖は任意に、二重鎖において互いにハイブリダイズする。任意に、第1リバース鎖のPBSの少なくとも一部と第1フォワード鎖のフォワードプライマー部分は、互いから分離されるが(例えば、変性または融解を介して)、第1リバース鎖と第1フォワード鎖は、別の部分にわたって互いに会合(例えば、ハイブリダイズ)したままである。次いで、フォワードPBSの少なくとも一部を含むリバース鎖の分離部分は、第2の異なるフォワードプライマーとアニールし得る(例えば、ハイブリダイゼーションによって)。任意に、第2フォワードプライマーは支持体上に固定化される。第2フォワードプライマーは例えば、第1フォワードプライマーと同じ支持体上に固定化され得、任意に第1プライマーの十分近くに位置し、その結果、リバース鎖の一部は第1フォワード鎖にハイブリダイズすることができ、それと同時にリバース鎖の別の部分は第2フォワードプライマーにハイブリダイズする。次いで、第2フォワードプライマーが次に伸長されて、伸長された第2フォワード鎖を形成し得る。任意に、第2フォワードプライマーは、鋳型依存的様式でリバース鎖に沿って伸長される。第2フォワードプライマーの伸長は任意に、第1フォワード鎖をリバース鎖から移動させる。前述と同様に、リバース鎖のプライマー結合配列は、第2フォワード鎖のプライマー部分から分離され得、ここでリバース鎖の別の部分は第2フォワード鎖と会合したままである(例えば、ハイブリダイゼーションによって)。さらなるフォワードプライマーを用いてこれらの段階を繰り返して、伸長されたさらなるフォワード鎖(例えば、伸長された第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10の、またはより高次の伸長鎖)を形成することができる。本工程を任意に、所望の回数の増幅サイクルにわたって繰り返して、増幅された固定化核酸分子の集団を提供することができる。この集団は事実上、実質的にクローンであり得る。例えば、増幅クローン集団の増幅核酸分子は、互いに実質的に同一であり、かつ/または実質的に相補的である、複数の核酸を含み得る。
任意に、伸長されたフォワード鎖は、リバースプライマー結合配列(「リバースPBS」)を含み、リバースプライマーはこれにハイブリダイズする。フォワード鎖上のリバースPBSは任意に、フォワード鎖の3'末端を含むか、またはその近傍にある。いくつかの態様において、増幅は、リバース鎖上の配列などの、ハイブリダイズまたは会合している任意の配列からリバースPBSの少なくとも一部を解離させることを含む。フォワード鎖上のリバースPBSを任意に、これにハイブリダイズするリバースプライマーと接触させる。次いで、リバースプライマーは、フォワード鎖を鋳型として用いて伸長されて、伸長されたリバース鎖を形成する。任意に、新たに生成されたリバース鎖は、フォワードプライマー伸長のための鋳型として働く。リバース鎖はまた、本明細書に記載される任意の方法を含む別の反応において、鋳型、プライマー、またはプローブとして関与し得る。
増幅核酸集団は、配列決定、スクリーニング、診断、インサイチュー核酸合成、遺伝子発現モニタリング、核酸フィンガープリンティング等を含む多くの異なる目的のために使用され得る。
任意に、本明細書における任意の1つまたは複数のプライマー伸長および/または増幅の方法は、1つまたは複数の固定化された核酸伸長産物を生成する。1つの変化形において、固体支持体は、すべて同一であるかまたは実質的に同一であるプライマーを含む。固体支持体は、他の核酸を含み得る。任意に、これらの他の核酸は、関心対象の鋳型鎖またはその相補体にハイブリダイズしない。固体支持体は任意に、関心対象の鋳型鎖またはその相補体にハイブリダイズするいかなる他の核酸も含まない。
いくつかの態様において、本開示は一般に、増幅反応溶液中で支持体上に核酸鋳型をクローン増幅するための方法、組成物、システム、装置、およびキットに関する。任意に、連続液相を含む溶液中で、核酸鋳型を支持体と接触させる。支持体は、少なくとも第1プライマーおよび第2プライマーを含むプライマーの集団を含み得る。プライマーの集団は、例えば支持体への共有結合的付着により、支持体上に固定化され得る。いくつかの態様において、核酸鋳型は、標的配列に隣接するプライマー結合配列を含む。プライマー結合配列は、第1プライマーの配列および任意に第2プライマーの配列と相補的であり得る。標的配列は、集団中のプライマーと非相補的であり得る。いくつかの態様において、核酸鋳型のプライマー結合配列は、第1プライマーにハイブリダイズする。第1プライマーは、ポリメラーゼを用いて鋳型に沿って伸長され得、それによって伸長された第1プライマーを形成する。鋳型のプライマー結合配列の少なくとも一部は、伸長された第1プライマーから分離され得る(例えば、変性または融解され得る)。分離は任意に、鋳型の一部と伸長された第1プライマーとの間のハイブリダイゼーションを維持しながら行われる。プライマー結合配列の分離部分は、その後第2プライマーにハイブリダイズし得る。任意に、このようなハイブリダイゼーションは、鋳型の他の部分と伸長された第1プライマーとの間のハイブリダイゼーションを維持しながら行われる。第2プライマーは、ポリメラーゼを用いて鋳型に沿って伸長され得、それによって伸長された第1プライマーおよび伸長された第2プライマーを含む支持体を形成する。伸長された第1プライマーおよび/または伸長された第2プライマーの伸長部分は、標的配列と相補的な配列を含み得る。
いくつかの態様において、本開示は一般に、以下を含む、増幅反応溶液中で支持体上に核酸鋳型をクローン増幅するための方法に関する:溶液中で核酸鋳型を支持体と接触させる工程であって、支持体は、少なくとも第1プライマーおよび第2プライマーを含む固定化プライマーの集団を含み、かつ核酸鋳型は、標的配列に隣接するプライマー結合配列を含み、プライマー結合配列は第1プライマーの配列および第2プライマーの配列と相補的であり、かつ標的配列は集団中のプライマーと非相補的である、工程;核酸鋳型のプライマー結合配列を第1プライマーにハイブリダイズさせる工程;ポリメラーゼを用いて第1プライマーを鋳型に沿って伸長させ、それによって伸長された第1プライマーを形成する工程;鋳型の別の部分と伸長された第1プライマーとの間のハイブリダイゼーションを維持しながら、鋳型のプライマー結合配列の少なくとも一部を、伸長された第1プライマーから変性させる工程;鋳型の他の部分と伸長された第1プライマーとの間のハイブリダイゼーションを維持しながら、プライマー結合配列の変性部分を第2プライマーにハイブリダイズさせる工程;ならびに、ポリメラーゼを用いて第2プライマーを鋳型に沿って伸長させ、それによって伸長された第1プライマーおよび伸長された第2プライマーを含む支持体を形成する工程であって、伸長された第1プライマーおよび伸長された第2プライマーはそれぞれ、標的配列と相補的な配列を含む、工程。プライマーの集団は、配列が1、2、3、4、または5個以下のヌクレオチドだけ異なる、実質的に同一のプライマーから構成され得る。いくつかの態様において、プライマー集団は異なるプライマーから構成され、その少なくともいくつかは、鋳型のプライマー結合配列と相補的である配列を含む。いくつかの態様において、集団のプライマーは、鋳型の5'末端側半分の配列と非相補的である。いくつかの態様において、集団のプライマーは、支持体の伸長されたプライマーのいずれかの3'末端側半分の配列と非相補的である。いくつかの態様において、集団のプライマーは、プライマー結合配列以外の鋳型のいずれの配列とも非相補的である。
いくつかの態様において、本開示は一般に、以下を含む、増幅反応溶液中で支持体の集団上に核酸鋳型の集団をクローン増幅するための方法に関する:本明細書に開示される方法のいずれかに従って、第1支持体上の第1核酸鋳型上に第1鋳型をクローン増幅する工程、および、同じ方法に従って、第2支持体上に第2核酸鋳型をクローン増幅する工程であって、両支持体は増幅中に単一の連続液相内に含まれる、工程。
当業者によって認識されるように、鋳型、初期化オリゴヌクレオチド、伸長プローブ、プライマー等への言及は、いくつかの態様において、単一の分子ではなく、関連する領域内で実質的に同一である核酸分子の集団またはプールを指し得る。したがって、例えば、「鋳型」はいくつかの態様において、複数の実質的に同一の鋳型を指し得る;「プローブ」はいくつかの態様において、複数の実質的に同一のプローブ分子を指し得る、等である。1つまたは複数の位置で縮重しているプローブの場合、特定のプローブを含むプローブ分子の配列は、縮重位置において異なる、すなわち特定のプローブを構成するプローブ分子の配列は、非縮重位置においてのみ実質的に同一であり得ることが認識されよう。説明の目的のために、単数形を用いて、単一分子のみならず、実質的に同一の分子の集団を指すこともできる。場合によっては、1つの核酸分子の唯一の性質、または実質的に同一の核酸分子の集団の複数の性質が明確に示される。
集団のメンバーは100%同一である必要はないことが理解されよう。例えば、特定の数の「エラー」が合成の過程において起こり得るため、核酸配列のクローン増幅集団のすべてのメンバーが同一である必要はない;同様に、プライマーの集団内のすべてのプライマーが、互いに同一であるとは限らない。いくつかの態様において、集団のメンバーの少なくとも50%が、参照核酸分子(すなわち、配列比較の基礎として用いられる既定の配列の分子)と同一である。いくつかの態様において、集団のメンバーの少なくとも50%が、参照核酸分子と少なくとも70%、75%、85%、90%、またはより好ましくは少なくとも95%同一である。より好ましくは、集団のメンバーの少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、またはそれ以上が、参照核酸分子と少なくとも85%、90%、もしくはより好ましくは少なくとも95%同一であるか、またはさらにより好ましくは少なくとも99%同一である。好ましくは、参照核酸分子に対する集団のメンバーの少なくとも95%またはより好ましくは少なくとも99%の同一性パーセントは、少なくとも98%、99%、99.9%、またはそれ以上である。同一性パーセントは、最適に整列された2つの配列を比較し、同一の核酸塩基(例えば、A、T、C、G、U、またはI)が両配列に存在する位置の数を決定して、一致位置の数を得、この一致位置の数を位置の総数で除し、かつこの結果に100を乗じて、配列同一性のパーセンテージを得ることによって、計算され得る。場合によっては、鋳型、プローブ、プライマー等のような核酸分子が、鋳型、プローブ、またはプライマーの機能を果たさない部分もまた含む、より大きな核酸分子の一部であってもよいことが認識されよう。その場合、集団の個々のメンバーは、その部分に関して実質的に同一である必要はない。
核酸は任意に、1つまたは複数のヌクレオチドを含む。1つの態様において、ヌクレオチドは、核酸塩基(窒素含有塩基)、五炭糖(リボースまたは2'-デオキシリボースのいずれか)、およびリン酸基のうちの任意の1つまたは複数を含む。任意に、ヌクレオチドは、全3つの成分またはその誘導体を含む。任意に、核酸塩基はプリン塩基またはピリミジン塩基である。例示的なプリン塩基には、アデニンおよびグアニンが含まれ、例示的なピリミジンは、チミン、ウラシル、およびシトシンである。
本明細書において用いられる場合、「相補的」という用語およびその変化形は、個々のヌクレオチドに関して用いられる場合、生理的条件下でDNA複製中にDNAポリメラーゼによって互いに向かい合って効率的に取り込まれるヌクレオチドを含む。典型的な態様において、相補的なヌクレオチドは、互いに塩基対を形成することができ、例えば、ヌクレオチドの核酸塩基の間および/または互いに逆平行のポリヌクレオチド位置の間で、特異的なワトソン・クリック型水素結合によって形成されるA-T/UおよびG-C塩基対などがある;他の種類の塩基対合もまた起こり得る。例えば、他の人工的な塩基対の相補性は、他の種類の水素結合および/または塩基の疎水性および/または塩基間の形状相補性に基づき得る。
本明細書において用いられる場合、「相補的」という用語およびその変化形は、核酸配列に関して用いられる場合、ハイブリダイズした二重鎖におけるように、逆平行の配向で2つまたはそれ以上の個々の対応する位置で互いに累積的な塩基対合を起こし得る核酸配列を指す。任意に、第1核酸配列と第2核酸配列との間に「完全な」または「全体的な」相補性が存在してもよく、ここで第1核酸分子または配列中の各ヌクレオチドは、第2核酸配列上の対応する逆平行の位置のヌクレオチドと安定した塩基対合相互作用を起こすことができ;あるいは、2つの核酸配列は、一方の核酸配列のヌクレオチド残基の少なくとも50%が他方の核酸配列中のヌクレオチド酸基と相補的である場合に、相補的であり得る。特定の相補的核酸配列内の相補的残基は、必ずしも互いに連続している必要はなく、相補的核酸配列内の1つまたは複数の非相補的残基によって中断され得る。いくつかの態様において、2つの相補的核酸配列の一方の残基の少なくとも50%、ただし100%未満が、他方の核酸配列中の残基と相補的である。いくつかの態様において、一方の核酸配列の残基の少なくとも70%、80%、90%、95%、または99%が、他方の核酸配列中の残基と相補的である。配列は、一方の核酸配列の残基の少なくとも85%が他方の核酸配列中の残基と相補的である場合に、「実質的に相補的」であると称される。
本明細書において用いられる場合、2つまたはそれ以上の核酸分子に関して用いられる場合の「相補的」とは、各分子が、他の核酸分子中の配列と相補的である配列を含む、任意の核酸分子を含み得る。相補的核酸分子は、その全長にわたって相補的である必要はなく、各分子は、他の分子と非相補的である1つまたは複数の領域を含み得る。例えば、鋳型とプライマー分子は、それらが異なる長さのものである場合でさえ、「相補的」と称され得る;いくつかの態様において、鋳型は、プライマーより長くてよく、かつプライマーのいずれの配列とも非相補的である配列を含んでよく、またはその逆も成り立つ。
「非相補的」という用語およびその変化形は、2つの核酸分子または配列に関して本明細書で用いられる場合、典型的には、一方の核酸分子または配列の残基の50%未満が他方の核酸分子または配列中の残基と相補的である核酸分子または配列を指す。核酸分子分子または配列中の任意の位置に「ミスマッチ」が存在し、ここで2つの向かい合うヌクレオチドは相補的ではない。同様に、2つのヌクレオチド配列またはその一部は、その配列または一部が互いに同一または相補的である場合に、互いに一致すると見なされる。
本明細書において用いられる場合、「ハイブリダイゼーション」という用語は、1つまたは複数の位置に相補的ヌクレオチドを含む任意の2つの核酸分子の間の塩基対合の過程を指す。典型的には、このような塩基対合は、確立されたパラダイム、例えばワトソン・クリックパラダイムに従って起こり得、この場合、A-T/UおよびG-C塩基対が、ヌクレオチドの核酸塩基の間および/または互いに逆平行のポリヌクレオチド位置の間で、特異的なワトソン・クリック型水素結合により形成される。いくつかの態様において、ハイブリダイゼーションは、非ワトソン・クリックパラダイムによっても起こり得;例えば、人工的な塩基対は、他の種類の水素結合および/または塩基の疎水性および/または塩基間の形状相補性を介して形成され得る。ハイブリダイズした核酸分子は、その全長にわたってハイブリダイズする必要はなく、各分子は、他方の分子にハイブリダイズしない1つまたは複数の領域を含み得る。例えば、鋳型とプライマー分子は、鋳型、プライマー、またはその両方の実質的な領域が互いにハイブリダイズしないままである場合でさえ、互いにハイブリダイズすると記載され得る。さらに、ハイブリダイゼーションの領域は、互いに塩基対合しない1つまたは複数の連続ヌクレオチドを含み得る。この様式で互いに塩基対合する核酸分子(または核酸分子内の配列)は、「ハイブリダイズする」と称される。いくつかの態様において、単一の核酸分子は、それ自体と自己ハイブリダイゼーション(例えば、ヘアピン形成)を起こし得る。
典型的には、核酸分子をハイブリダイズさせること(例えば、プライマーを鋳型とハイブリダイズさせること)は、各核酸分子内の1つまたは複数のヌクレオチド残基が、別の核酸分子の1つまたは複数のヌクレオチドと塩基対合する条件下で、核酸分子を互いに接触させることを含む。接触は、所望の適用に応じて、任意の適切な条件を用いて行うことができる。1つの例示的なアッセイでは、塩および/または界面活性剤、例えばSDSを含む緩衝溶液中で、2つの核酸分子を所望の長さの時間および所望の期間にわたって接触させる。例えば、低ストリンジェンシー、中ストリンジェンシー、または高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件を用いて、ハイブリダイゼーションを行うことができる。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、例えば、温度、塩濃度、SDS濃度等を含む様々なハイブリダイゼーションパラメータを変化させることによって調整することができる。ハイブリダイゼーションの方法およびハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを制御する方法は、当分野で周知である。
とりわけ、以下を含む、一本鎖鋳型配列の固定化クローンアンプリコンの局在化クローン集団を生成する方法が提供される:(a) 一本鎖鋳型配列(「鋳型1」)を固定化部位(「IS1」)に付着させる工程であって、IS1は、鋳型1と実質的にハイブリダイズし得る固定化プライマー(「IS1プライマー」)の複数コピーを含み、かつ鋳型1は、IS1プライマーへのハイブリダイゼーションによってIS1に付着する、工程、および (b) 溶液中でIS1プライマーおよび非固定化プライマー(「SP1プライマー」)を用いて、鋳型1を増幅する工程であって、一本鎖鋳型1と相補的である増幅鎖は、一本鎖である場合にIS1上のプライマーに実質的にハイブリダイズすることができず、増幅は、鋳型1がIS1に最初にハイブリダイズした点の周囲に固定化クローンアンプリコンの局在化クローン集団を生成する、工程。
第1鋳型配列(「鋳型1」)および第2鋳型配列(「鋳型2」)の分離されかつ固定化されたクローン集団を生成する方法もまた提供され、該方法は、第1固定化部位(「IS1」)に実質的に付着しかつ第2固定化部位(「IS2」)には付着していない鋳型1のクローンアンプリコンの集団、またはIS2に実質的に付着しかつIS1には付着していない鋳型2のクローンアンプリコンの集団を生成するために、第1鋳型配列および第2鋳型配列を増幅する工程を含み、ここで、(a) 両鋳型および全アンプリコンは同じ連続液相内に含まれ、ここで連続液相を第1固定化部位および第2固定化部位(それぞれ、「IS1」および「IS2」)と接触させ、かつここでIS1とIS2は空間的に分離されている、(b) 鋳型1は、一本鎖型である場合、一方の端に第1サブ配列(「T1-FOR」)およびその反対側の端に第2サブ配列(「T1-REV」)を含む、(c) 鋳型2は、一本鎖型である場合、一方の端に第1サブ配列(「T2-FOR」)およびその反対側の端に第2サブ配列(「T2-REV」)を含む、(d) IS1は、T1およびT2が一本鎖である場合に、T1-FORおよびT2-FORに実質的にハイブリダイズし得る固定化核酸プライマー(「IS1プライマー」)の複数コピーを含む、(e) IS2は、T1およびT2が一本鎖である場合に、T1-FORおよびT2-FORの両方に実質的にハイブリダイズし得る固定化プライマー(「IS2プライマー」)の複数コピーを含む、(f) T1-REVのリバース相補体は、一本鎖である場合に、IS1上のプライマーに実質的にハイブリダイズすることができないが、連続液相中の非固定化プライマー(「SP1」)に実質的にハイブリダイズすることができる;かつ (g) T2-REVのリバース相補体は、一本鎖である場合に、IS2上のプライマーに実質的にハイブリダイズすることができないが、連続液相中の非固定化プライマー(「SP2」)に実質的にハイブリダイズすることができる。
加えて、第1鋳型配列(「鋳型1」)および第2鋳型配列(「鋳型2」)の分離されかつ固定化されたクローン集団を生成する方法が提供され、該方法は、第1鋳型配列および第2鋳型配列を増幅する工程を含み、ここで、(a) 両鋳型は一本鎖型であり、かつ両方とも同じ連続液相内に含まれ、ここで第1固定化部位および第2固定化部位(それぞれ、「IS1」および「IS2」)を該連続液相と接触させ、かつここでIS1とIS2は空間的に分離されている、(b) 鋳型1は、その3'末端に第1サブ配列(「T1-FOR」)およびその5'末端にT1-FORと非重複的である第2サブ配列(「T1-REV」)を含む、(c) 鋳型2は、その3'末端に第1サブ配列(「T2-FOR」)およびその5'末端にT2-FORと非重複的である第2サブ配列(「T2-REV」)を含む、(d) IS1は、T1-FORおよびT2-FORの両方にハイブリダイズし得る固定化プライマー(「IS1プライマー」)を含む、(e) IS2は、T1-FORおよびT2-FORの両方にハイブリダイズし得る固定化プライマー(「IS2プライマー」)を含む、かつ (f) T1-REVのリバース相補体は、IS1上のプライマーに実質的にハイブリダイズすることができず、かつ/またはT2-REVのリバース相補体は、IS2上のプライマーに実質的にハイブリダイズすることができないが、それぞれ連続液相中の非固定化プライマーに実質的にハイブリダイズすることができる;それによって増幅は、IS1に実質的に付着しかつIS2には付着していない鋳型1のクローンアンプリコンの集団、および/またはIS2に実質的に付着しかつIS1には付着していない鋳型2のクローンアンプリコンの集団をもたらす。
任意に、本明細書に記載される任意の方法において、連続媒体は流動性である。任意に、非固定化核酸分子の混合は、増幅過程の少なくとも一部の間、例えば本明細書に記載される任意の1つまたは複数の段階またはサイクルの間に、連続液相中で実質的に遅延しない。
任意に、本明細書に記載される任意の方法において、混合は、増幅中の一定期間にわたって実質的に遅延しない。例えば、混合は、増幅の全期間の間、実質的に遅延しない。
任意に、本明細書に記載される任意の方法において、1つの固定化部位から解離された任意の核酸は、両方の固定化部位に実質的にハイブリダイズすることが可能であり、かつ解離された該核酸の別の固定化部位への任意の移動(例えば、拡散、対流による移動)は、連続液相中で実質的に遅延しない。
任意に、本明細書に記載される任意の方法において、連続液相は、IS1およびIS2と同時に接触する。
任意に、本明細書に記載される任意の方法において、固定化プライマーが結合する鋳型の第1部分は、鋳型の第2部分と重複せず、鋳型の第2部分の相補体には、非固定化プライマーが結合する。
任意に、本明細書に記載される任意の方法において、増幅されるべき少なくとも1つの鋳型は、インプット核酸が少なくとも1つの固定化部位と接触して配置された後に、この核酸から生成される。
任意に、本明細書に記載される任意の方法は、(a) 固定化プライマーを含む支持体を一本鎖核酸鋳型と接触させる段階であって、第1固定化プライマーが鋳型上のプライマー結合配列(PBS)にハイブリダイズする、段階、(b)鋳型と相補的でありかつ鋳型に少なくとも部分的にハイブリダイズする伸長鎖を形成するために、鋳型依存的伸長において、ハイブリダイズした第1プライマーを伸長させる段階;(c) PBSの少なくとも一部が一本鎖型(「遊離部分」)となるように、伸長された相補鎖から鋳型を部分的に変性させる段階;(d) 遊離部分を、伸長されていない固定化第2プライマーにハイブリダイズさせる段階、(e) 鋳型と相補的である伸長鎖を形成するために、鋳型依存的伸長において第2プライマーを伸長させる段階、(f) 任意に、アニールしている伸長された固定化核酸鎖を互いから分離する段階を含む。
任意に、本明細書に記載される任意の方法において、(a) 増幅中に、出発鋳型および/または増幅鎖を含む核酸二重鎖が形成され;二重鎖は、増幅中に、実質的な数の二重鎖の完全な変性を引き起こす条件に曝露されない。
任意に、本明細書に記載される任意の方法において、一本鎖鋳型は、増幅されるべき複数のインプットの二本鎖または一本鎖核酸配列(この配列は既知または未知であってよい)を採用すること、ならびに第1ユニバーサルアダプター配列および第2ユニバーサルアダプター配列を、少なくとも1つのインプット核酸の末端上に付加または作出することによって生成され;この場合、該第1ユニバーサルアダプター配列は、IS1プライマーおよび/またはIS2プライマーにハイブリダイズし、かつ該第2ユニバーサルアダプター配列のリバース相補体は、少なくとも1つの非固定化プライマーにハイブリダイズする。アダプターは二本鎖または一本鎖であってよい。
任意に、本明細書に記載される任意の方法において、第1核酸アダプター配列および第2核酸アダプター配列は、前記一本鎖鋳型配列の第1末端および第2末端において提供される。
任意に、本明細書に記載される任意の方法において、1つまたは複数の核酸配列(例えば、鋳型またはプライマーまたはアンプリコン)にタグもまた付加され、該タグは、タグを含む核酸の同定を可能にする。
任意に、本明細書に記載される任意の方法において、少なくとも1つの固定化部位または支持体上のすべてのプライマーが、同じ配列を有する。任意に、固定化部位または支持体は、少なくとも2つの異なる配列を有する複数のプライマーを含む。任意に、2つまたはそれ以上の異なる種類のプライマー(例えば、配列が異なる)は、互いに実質的に同じ濃度で存在するか、またはあるいは異なる濃度で存在する。任意に、少なくとも1つの固定化部位または支持体のプライマーは、固定化部位または支持体にわたって実質的に均一に分散している。任意に、本明細書に記載される任意の方法において、2つの異なる固定化部位は、単一の支持体の空間的に分離されたサブコンポーネントであり、かつ/または異なる接続されていない支持体上にある。
任意に、本明細書に記載される任意の方法において、支持体は三次元マトリックスを形成し、2つの異なる固定化部位は、完全には重複しない、支持体の2つの異なる三次元部分である。任意に、本明細書に記載される任意の方法において、2つの異なる固定化部位は、完全には重複しない、支持体の表面上の2つの異なる領域である。任意に、本明細書に記載される任意の方法において、2つの異なる固定化部位は、異なる支持体上にある。
少なくとも1つの支持体は、ビーズ、例えばマイクロビーズまたはナノビーズであってよい。1つの態様において、ビーズは、参照によって組み入れられる米国特許公開出願第2010-0304982号に記載される「足場付き (scaffolded) 核酸ポリマー粒子」またはSNAPPである。
任意に、本明細書に記載される任意の方法において、少なくとも1つの固定化部位は、支持体の表面全体または支持体の容積全体を含む。任意に、本明細書に記載される任意の方法において、2つの異なる固定化部位は、所定の配置で(例えば、グリッドパターンで)位置する。他の態様において、1つまたは複数の固定化部位は予め決定されておらず(例えば、支持体は、予め決定されていない位置に固定化プライマーを含む)、出発鋳型がハイブリダイズする(例えば、あらゆる増幅が起こる前の)プライマーは、その鋳型のための固定化部位であると見なされ得る。
任意に、本明細書に記載される任意の方法では、アニールしている核酸鎖を部分的に分離するために、加熱が用いられる。任意に、プライマー伸長は、プライマーを鋳型にハイブリダイズさせ、ポリメラーゼおよびヌクレオチドと接触させることによって達成される。接触およびハイブリダイゼーションは、同時にまたは連続して達成され得る。任意に、1つまたは複数のヌクレオチドは、検出可能に標識される。
任意に、本明細書に記載される任意の方法において、本方法はさらに、核酸分子またはその一部を放出するように、1つまたは複数の伸長された固定化核酸鎖を処理する段階を含む。処理は例えば、任意に、例えば制限エンドヌクレアーゼまたはリボザイムを用いる核酸の切断からなり得る。例えば、前記プライマーのうちの1つまたは複数は、制限エンドヌクレアーゼ認識部位もしくはリボザイム認識部位を有するか、またはそのような部位の一部を有し、この一部は、プライマー伸長が起きた場合に完全になる。
任意に、本明細書に記載される任意の方法では、複数の異なる核酸配列を例えば連続してまたは同時に増幅するために、本方法が用いられる。複数とは、例えば、103、105、107、109、1011、1014、または1020個を超える標的核酸である。
本明細書における任意の方法を用いて、診断用もしくはスクリーニング用もしくは遺伝子型決定用の増幅核酸分子を提供することができ、または他の成分の支持体として用いられるべき増幅核酸分子を提供することができ、または付加的な核酸分子を遊離型で(例えば、固定化型ではなく非固定化型で)生成することができる。例えば、任意の方法を用いて、遺伝子発現をモニターすること、または稀に発現される遺伝子産物を用いて核酸分子を同定すること、ヘテロ接合性個体を同定すること、核酸フィンガープリンティングを行うことができる。
任意に、本明細書に記載される任意の方法において、前記の異なる核酸配列にはそれぞれ、本明細書のいずれかの場所に記載されるように、第1核酸「アダプター」配列および第2核酸「アダプター」配列が提供され、該第1「アダプター」配列および第2「アダプター」配列は、異なる核酸配列の各々に対して同じである。
任意に、本明細書に記載される任意の方法において、前記の異なる核酸配列にはそれぞれ、異なる配列が互いに識別され得るように、異なるタグが提供される。
1つの態様において、増幅は、RPA、すなわちリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(例えば、参照によって本明細書に組み入れられるWO2003072805を参照のこと)を用いて達成される。RPAは任意に、温度または試薬条件の実質的な変化なしで行われる。本明細書における1つの態様において、本明細書に記載される任意の1つまたは複数の段階または方法を含む部分的変性および/または増幅は、リコンビナーゼおよび/または一本鎖結合タンパク質を用いて達成され得る。適切なリコンビナーゼには、任意に一本鎖結合タンパク質 (SSB) と組み合わされた、RecAおよびその原核生物もしくは真核生物相同体、またはその機能的断片もしくは変種が含まれる。1つの態様において、リコンビナーゼ剤は任意に、増幅プライマーなどの一本鎖DNA (ssDNA) の表面を覆い、鋳型上の相同性の二本鎖領域に侵入する核タンパク質フィラメント鎖を形成する。これは任意に、Dループとして公知である短いハイブリッドおよび置換鎖バブルを作出する。1つの態様において、Dループ内のフィラメント鎖の遊離3'末端は、DNAポリメラーゼによって伸長されて、新たな相補鎖を合成する。相補鎖は、伸長しながら、鋳型の元は対であったパートナー鎖と置き換わる。1つの態様では、一対の増幅プライマーのうちの1つまたは複数を1つまたは複数のリコンビナーゼ剤と接触させ、その後、任意に二本鎖である鋳型と接触させる。
本明細書に記載される任意の方法において、鋳型(標的配列)の増幅は、リコンビナーゼ剤を少なくとも一対の増幅プライマーのうちの1つまたは複数と接触させ、それによって1つまたは複数の「フォワード」RPAプライマーおよび/または「リバース」RPAプライマーを形成することを含む。1つまたは複数のプライマーと会合しなかった全てのリコンビナーゼ剤が、任意に除去される。任意に、1つまたは複数のフォワードRPAプライマーを次に、少なくとも1つのRPAプライマーに対する相補性の領域を任意に有する鋳型鎖と接触させる。鋳型鎖はハイブリダイズすることができ、RPAプライマーと相補的鋳型との接触により、任意に、該プライマーと鋳型との間にハイブリダイゼーションが生じる。任意に、プライマーの3'末端は、1つまたは複数のポリメラーゼを用いて(例えば、dNTPの存在下で)鋳型に沿って伸長されて、二本鎖核酸および置換された鋳型鎖を生成する。所望の程度の増幅が達成可能になるまで、増幅反応はこのような接触および伸長の反復サイクルを含み得る。任意に、核酸の置換された鎖は、同時に起こるRPA反応によって増幅される。任意に、核酸の置換された鎖は、これを次に1つまたは複数の相補的プライマーと接触させること;および (b) 本明細書に記載される任意の戦略によって相補的プライマーを伸長させることによって、増幅される。
1つの態様において、1つまたは複数のプライマーは、「フォワード」プライマーおよび「リバース」プライマーを含む。両プライマーと鋳型を接触して配置することで、任意に、該第1鎖の第1部分において第1二本鎖構造、および該第2鎖の第2部分において二本鎖構造を生じる。任意に、フォワードプライマーおよび/またはリバースプライマーの3'末端は、1つまたは複数のポリメラーゼを用いて伸長されて、第1および第2の二本鎖核酸ならびに核酸の第1および第2の置換された鎖を生成する。任意に、第2の置換された鎖は、互いに少なくとも部分的に相補的であり、ハイブリダイズして、娘の二本鎖核酸を形成することができ、これはその後の増幅サイクルにおいて二本鎖鋳型核酸として役立ち得る。
任意に、前記第1および前記第2の置換された鎖は、前記第1プライマーまたは前記第2プライマーと少なくとも部分的に相補的であり、該第1プライマーまたは該第2プライマーにハイブリダイズし得る。
本明細書に記載される任意の方法または段階または組成物またはアレイの代替の態様において、支持体は任意に、2つ以上の配列の固定化プライマーを含む。鋳型核酸鎖が第1の相補的固定化プライマーにハイブリダイズした後、次いで第1プライマーが伸長され得、鋳型とプライマーは互いに部分的にまたは完全に分離され得る。次いで、伸長されたプライマーは、第1プライマーとは異なる配列を有する第2固定化プライマーにアニールすることができ、第2プライマーが伸長され得る。次いで、伸長された両プライマーは分離され得(例えば、互いから完全にまたは部分的に変性され得)、次に付加的な固定化プライマーの伸長のための鋳型として使用され得る。この工程を繰り返して、増幅された固定化核酸分子を提供することができる。1つの態様において、この増幅は、互いに相補的である2つの異なる配列の固定化されたプライマー伸長産物をもたらし、ここですべてのプライマー伸長産物は、5'末端で支持体に固定化されている。
本明細書における任意の方法から生成された増幅核酸は、配列決定、スクリーニング、診断、インサイチュー核酸合成、遺伝子発現モニタリング、核酸フィンガープリンティング等を含む多くの異なる目的のために使用され得る。
任意に、固定化された鋳型が一般に互いに十分な距離を置いて配置され、個々の鋳型から生成されたクローンクラスターが、互いにほとんどもしくは実質的に重複を有さず、または増幅もしくは複製の間もしくはその後に互いに汚染しないように、鋳型濃度は調整される。任意に、本明細書における増幅方法のいずれも、個々の鋳型分子が、1 mm2当たり少なくとも10000、100000、400000、500000、1,000,000、または107個の分子という密度で、固体支持体上に固定化されたプライマーにハイブリダイズするように、鋳型核酸を固体支持体と接触させる前にその濃度を調整する段階を含む。任意に、個々の鋳型分子は、支持体上でインサイチューで増幅され、最初の鋳型のハイブリダイゼーションの点を空間的に中心とするクローン集団を生じる。
鎖反転
以下に記載される「反転」の態様では、2つまたはそれ以上のプライマーが伸長されて、2つまたはそれ以上の対応する伸長鎖を形成する。任意に、伸長される2つまたはそれ以上のプライマーは、実質的に同一の配列を含むか、または本質的にそれらからなり、対応する伸長鎖の伸長部分は、少なくとも部分的に同一ではなく、かつ/または互いに相補的である。
反転の1つの例示的な態様は、以下の通りである。出発鋳型は、例えば鋳型ウォーキングによって増幅されて、複数のプライマー伸長鎖(便宜上、「フォワード」鎖と命名される)を生成する。任意に、フォワード鎖は出発鋳型と相補的である。任意に、フォワード鎖は支持体上に固定化される。任意に、フォワード鎖は実質的に同一の配列を含み、例えば、フォワード鎖は互いに実質的に同一である。1つの態様において、フォワード鎖は、支持体上に固定化された1つまたは複数のプライマー(「フォワード」プライマー)の伸長によって形成される。フォワードプライマーおよび/またはフォワード鎖は任意に、その5'末端またはその近傍で支持体に付着する。任意に、プライマー伸長されたフォワード鎖のうちの1つまたは複数は、伸長されていないプライマーには存在せず、かつ最適な条件下で5'配列にハイブリダイズし得る(この過程は「自己ハイブリダイゼーション」と称される)3'配列(自己ハイブリダイズ配列と称される)を含む。5'配列は任意に、伸長されていないフォワードプライマーの一部である。一例では、フォワード伸長産物は、このようなハイブリダイゼーションに際して「ステムループ」構造を形成する。任意に、伸長されていないフォワードプライマーは、切断を受けやすいその3'末端またはその近傍に「切断可能な」ヌクレオチドを含む。1つの態様において、切断可能なヌクレオチドは、ホスホジエステル結合を実質的に切断しない条件下で切断され得る「切断性」ヌクレオシド間結合によって、少なくとも1つの他のヌクレオチドに連結される。
伸長後、フォワードプライマー伸長産物(すなわち、フォワード鎖)は、任意に自己ハイブリダイズできるようになる。さらなる態様において、自己ハイブリダイゼーションを可能にした後、フォワード鎖は、切断可能なヌクレオチド(例えば、隣接するヌクレオチドと切断性結合を形成するヌクレオチド)の切断性結合の位置で切断される。この切断によって、プライマー伸長産物(すなわち、伸長されたフォワード鎖)の2つの断片が生じる。1つの態様において、第1断片は、元の伸長されていないフォワードプライマーの少なくとも一部を含む。任意に、第1断片は、いかなる伸長配列も含まない。任意に、第1断片は固定化されている(例えば、伸長されていないフォワードプライマーは既に固定化されているため)。1つの態様において、第2断片は伸長配列を含む。任意に、第2断片は、切断可能なヌクレオチドを超えて、伸長されていないプライマーの任意の3'部分を含むか、または伸長されていないプライマーのいかなる部分も含まない。任意に、第2断片は、その自己ハイブリダイズ配列を介して第1部分にハイブリダイズする。
一例では、切断可能なヌクレオチドとは、1つまたは複数の酵素によって除去されるものである。酵素は、例えばグリコシラーゼであってよい。グリコシラーゼは任意に、二本鎖DNAから切断可能なヌクレオチドを放出するN-グリコシラーゼ活性を有する。任意に、切断可能なヌクレオチドの除去は、脱塩基部位、脱プリン部位、または脱ピリミジン部位を生成する。脱塩基部位は任意に、例えば別の酵素活性によってさらに修飾され得る。任意に、脱塩基部位は、リアーゼによって修飾されて、塩基ギャップを生成する。リアーゼは例えば、脱塩基部位の3'側および/または5'側を切断する。切断は任意に、リアーゼによって5'末端および3'末端の両方で起こり、脱塩基部位が除去され、塩基ギャップが残る。例示的な切断可能なヌクレオチド、例えば、5-ヒドロキシ-ウラシル、7,8-ジヒドロ-8-オキソグアニン(8-オキソグアニン)、8-オキソアデニン、fapy-グアニン、メチル-fapy-グアニン、fapy-アデニン、アフラトキシンB1-fapy-グアニン、5-ヒドロキシ-シトシンなどは、様々なグリコシラーゼによって認識し除去されて、脱プリン部位を形成し得る。1つの適切な酵素は、ホルムアミドピリミジン [fapy] -DNAグリコシラーゼであり、これは8-オキソグアニンDNAグリコシラーゼまたはFPGとしても知られている。FPGは、N-グリコシラーゼおよびAP-リアーゼの両方として機能する。N-グリコシラーゼ活性は任意に、二本鎖DNAから損傷プリンを放出し、脱プリン(AP部位)を生成するが、ここでホスホジエステル骨格は任意に無傷である。AP-リアーゼ活性は、AP部位の3'側および5'側の両方を切断し、それによってAP部位を除去し、1塩基ギャップを残す。一例では、切断可能なヌクレオチドは8-オキソアデニンであり、これはグリコシラーゼ活性およびリアーゼ活性の両方を有するFPGによって、一塩基ギャップに変換される。
別の態様において、切断可能なヌクレオチドはウリジンである。任意に、ウリジンは、ウラシルDNAグリコシラーゼ (UDG) およびDNAグリコシラーゼ-リアーゼエンドヌクレアーゼVIIIを含む「USER」試薬によって切断され、ここでUDGは、ウラシル塩基の切除を触媒し、ホスホジエステル骨格を無傷のままにしながら脱塩基(脱ピリミジン)部位を形成し、かつここでエンドヌクレアーゼVIIIのリアーゼ活性は、脱塩基部位の3'側および5'側でホスホジエステル骨格を破壊し、その結果として塩基を含まないデオキシリボースが放出される;その後キナーゼが任意に用いられて、切断産物の3'末端上のリン酸基を-OH基に変換する。
少なくとも1つの切断断片を任意に、ポリメラーゼと接触させる。任意に、第1固定化断片は、ポリメラーゼによって伸長され得る。そのように所望されるならば、第2のハイブリダイズした断片は、第1断片の伸長のための鋳型として働き得る。1つの態様において、「反転した」二本鎖伸長産物が形成される。この反転産物は任意に、本明細書に記載される任意の様式の鋳型ウォーキングに供され得る。反転および非反転の両方が鋳型ウォーキングに供された場合、2つの異なる伸長産物のクラスターが形成され、ここで両方の伸長生成物は、同一の部分(伸長されていないプライマーに対応する)、および伸長産物の伸長部分に対応する互いに相補的な部分を有する。
1つの態様において、例えば自己ハイブリダイズ配列または新たなプライマー結合部位などの関心対象の配列は任意に、伸長試薬(例えば、ポリメラーゼおよびdNTP)の存在下で、伸長されたフォワード鎖を一本鎖「スプライス」アダプター配列と接触させることによって、伸長されたフォワード鎖の3'末端に付加され得る。このスプライス配列は任意に、伸長されたフォワード鎖の3'末端部分と実質的に相補的である3'部分、および付加されるべき関心対象の配列と実質的に相補的である5'部分を含む。伸長されたフォワード鎖の3'末端にスプライスアダプターをハイブリダイズさせた後、フォワード鎖を、スプライスアダプターを鋳型として用いる鋳型依存的ポリメラーゼ伸長に供する。このような伸長により、伸長されたフォワード鎖の3'末端に関心対象の配列が付加される。
したがって、本明細書に記載されるプライマー伸長および/または増幅の任意の方法は、以下の段階のいずれか1つまたは複数を含み得る:
a) 任意に同一である、複数の伸長されたフォワード鎖を生成するための、鋳型ウォーキングによる固定化フォワードプライマーの伸長;
b) 任意に、伸長されたフォワード鎖の3'末端にスプライスアダプターをハイブリダイズさせ、フォワード鎖を、スプライスアダプターを鋳型として用いる鋳型依存的伸長に供し、それによってさらに伸長されたフォワード鎖にさらなる3'配列を付加する段階、この場合、付加された3'配列の一部は、伸長されていないフォワードプライマーの一部と相補的であり、これにハイブリダイズして、ステムループ構造を形成する、
c) フォワード鎖を、伸長されていないフォワードプライマー配列と伸長されたフォワード鎖配列の接合部またはその近傍に位置する切断可能なヌクレオチドの切断性結合の位置で切断する段階;および任意に、切断可能なヌクレオチドを除去し、それによって2つの切断断片を生成する段階であって、第1断片が、第2断片上の3'プライマー相補的配列にハイブリダイズする、伸長されていないフォワードプライマーの一部を含む、段階;
d) 任意に、第1断片を、第2断片を鋳型として用いるポリメラーゼ伸長に供して、反転フォワード鎖を生成する段階;
e) 任意に、第2スプライスアダプターを反転フォワード鎖の3'末端にハイブリダイズさせ、フォワード鎖を、スプライスアダプターを鋳型として用いる鋳型依存的伸長に供し、それによってさらなる3'配列を反転フォワード鎖に付加する段階、この場合、付加された3'配列の一部は、反転鎖には存在しない新たなプライマー結合配列である;
f) 例えば本明細書に記載されるような任意の方法によって、新たなプライマーと接触させ、伸長させるかまたは増幅することにより、新たなプライマー結合配列を含む反転鎖を選択的に伸長させるかまたは増幅する段階。新たなプライマーは、非反転鎖にも、または段階 (e) においてさらに伸長されなかった反転鎖にも結合しない。
図8は、例示的な鎖反転およびウォーキングの戦略の模式図を示す。(A) 鋳型ウォーキング、(B) 反転鎖を生成するための鎖反転、(C) 最終的な反転鎖上への新たなプライマー結合配列Pg'の付加。
I. クローン増幅の方法
概説
核酸を、任意に固定化されている適切なプライマーと会合させる(例えば、それにハイブリダイズさせる)。このハイブリダイズした核酸は、便宜上、「鋳型」鎖または「リバース鎖」と命名され得る。この「鋳型」という語は、溶液中に最初に導入されたインプット核酸との、または増幅過程によって生成される最終的な核酸産物とのいかなる特定の機能的関係、構造的関係、または配列の関係も意味することは意図されない。1つの態様において、フォワードプライマーは、リバース鎖の第1部分にハイブリダイズし得る。リバース鎖の第2の非重複部分と実質的に同一である別の「リバース」プライマーが任意に存在する。この2つの部分は、例えば、それらが互いに同一または相補的であるいかなる小部分も含まない場合に、非重複的である。
1つの態様において、鋳型鎖は任意に、フォワードプライマーと相補的である少なくとも一部にわたって一本鎖であり、この部分はフォワード「プライマー結合配列」またはフォワードPBSと命名される。フォワードプライマーは任意に、リバース鎖を鋳型として用いて伸長されて、伸長されたフォワード鎖を形成し、ハイブリダイズした鋳型(リバース鎖)とフォワード鎖との間の二重鎖を生じる。フォワード鎖のプライマー部分の少なくとも一部は、ハイブリダイズしたリバース鎖から分離され得る。フォワード鎖は、「リバース」プライマーにハイブリダイズし得るリバースPBS部分を含み、このリバースプライマーが次に伸長されて、伸長されたリバース鎖を形成し得る。次いで、フォワード鎖およびリバース鎖の両方が互いから分離され得、この過程を繰り返して、増幅された固定化核酸分子のクローン集団を提供することができる。
任意に、フォワード鎖およびリバース鎖を互いから分離する段階の任意の1つまたは複数は、部分的な分離、例えば、フォワード鎖の一部をリバース鎖の一部から解離させるが、2つの鎖の間のすべての会合を無効にするとは限らない分離を含む。任意に、フォワード鎖の一部はリバース鎖から解離されるが、同じフォワード鎖の別の部分はリバース鎖と会合したままである(例えば、ハイブリダイゼーションによって)。
部分的分離の間に、リバース鎖上のフォワードPBSの少なくとも一部は、第1フォワード鎖から解離される。しかしながら、フォワード鎖とリバース鎖は全体的には互いに会合したままであるため、分離は「部分的」である。例えば、リバース鎖の別の部分は、フォワード鎖にハイブリダイズしたままである。任意に、リバース鎖の変性部分は、第2フォワードプライマーと再ハイブリダイズする。したがって、リバース鎖の一部は第1フォワード鎖にハイブリダイズし、その一方で同じリバース鎖の別の部分は第2フォワードプライマーにハイブリダイズする。次いで、第2フォワードプライマーはリバース鎖に沿って伸長されて(リバース鎖を鋳型として用いて)、第2フォワード鎖を生成する。増幅の反復サイクルは核酸のクローン集団を生成し、ここで増幅サイクルは任意に、ハイブリダイゼーション、=伸長、および(部分的)分離を含む。
任意に、1つもしくは複数のフォワードプライマーは、固定化リバースプライマーを全く有さない支持体上に固定化され、またはその逆も成り立つ。1つの態様において、第1フォワードプライマーおよび第2フォワードプライマーは、共に近くにまたは互いに隣接して固定化される。得られた核酸のクローン集団は、互いに近くにまたは隣接して固定化されているフォワード鎖を含む。1つの態様において、少なくとも106、108、1010、1012、または1014個のプライマーが、個々の支持体または固定化部位の1 cm2または1 cm3当たりに固定化される。任意に、すべてのフォワードプライマーは配列が同一であるか、または同一の3'部分を有する。
代替の態様において、フォワードプライマーおよび/またはリバースプライマーは両方とも、任意に支持体上に固定化される。あるいは、プライマーは両方とも非固定である。
一般に、核酸は、プライマーの複数コピーが固定化されている支持体上にクローン増幅される。例示的な核酸は、核酸の収集物の1つである。収集物の個々の核酸は例えば、その5'末端および/または3'末端に1つまたは複数のアダプター配列を、ならびにその間にgDNAまたはcDNAなどの可変配列を有し得る。1つの態様において、3'アダプターは低Tm領域を有し(Tmとは、DNA分子の半分が非変性状態または二本鎖状態であり、かつ半分が変性されている、例えばランダムコイルの状態である温度である)、かつ5'アダプターは任意により高いTmの領域を有し、またはその逆も成り立つ。低Tm領域とは、例えば、Aリッチ、Tリッチ、またはピリミジンリッチ領域、例えばAT(またはU)リッチ配列など、例えば、ポリT、ポリA、ポリU、ならびにA、T、およびU塩基の任意の組み合わせなどである。本明細書では例示的な方法が記載される。
本明細書に記載される方法は、配列決定、スクリーニング、診断、インサイチュー核酸合成、遺伝子発現モニタリング、核酸フィンガープリンティング等を含む多くの異なる目的のために使用され得る。
支持体上でのクローン核酸増幅の非限定的な例示的方法は、以下の通りである。
A) 支持体上での増幅
いくつかの態様において、開示される方法、組成物、システム、装置、およびキットは、支持体に付着している核酸(例えば、プライマー、鋳型等)を含む。核酸は、任意の適切な方法を用いて付着させることができる。いくつかの態様において、核酸分子と支持体との間の付着は、共有結合によって、水素結合(例えば、支持体に共有結合で付着している別の核酸、例えばプライマーに対する鋳型のハイブリダイゼーションによって媒介される、鋳型核酸の支持体への付着)、ファンデルワールス力、アフィニティー相互作用等によって媒介される。結合対(例えば、アビジン/ビオチン;抗原/抗体)の使用をはじめとする、核酸配列を支持体に付着させるための任意の適切な方法を使用することができる。いくつかの態様では、結合対の一方のメンバーを支持体に付着させ、結合対の他方のメンバーを核酸に付着させ、この核酸を、結合対の2つのメンバーの相互作用を介して支持体に付着させる。
支持体は、任意の材料から構成され得、任意の寸法または形状を有し得る。支持体は、増幅過程を最小限にしか妨げない特性または反応性を有するように、選択することができる。いくつかの態様において、支持体は固体材料から構成され;あるいは、支持体は、少なくとも部分的に半固体、流体、または液体の材料から構成され得る。いくつかの態様において、支持体は、球体、楕円体、管状、ペレット状、棒状、八面体、六角形、正方形、または台形の形状である。いくつかの態様において、支持体は多孔性である。いくつかの態様において、支持体は、ヒドロゲルのような親水性の多孔性マトリックスから構成され得る。例えば、米国特許出願公開第2010-0304982号、Hinz et al.;および米国特許出願公開第2010-0136544号、Agresti et al.を参照のこと:前述の出願のすべてが、参照により本明細書に組み入れられる。
とりわけ、支持体中または支持体上で固定化クローンアンプリコンの局在化クローン集団を生成する新規な方法が提供される。支持体は、例えば固体または半固体であってよい。増幅クローン集団は任意に、支持体の外表面に固定化されるか、または支持体の内表面内にあってもよい(例えば、支持体が、例えばゲルまたはマトリックス構造を有する半固体である場合)。例示的な支持体は、固体または半固体であってよい。任意に、半固体支持体は、ポリアクリルアミド、セルロース、ポリアミド(ナイロン)、ならびに架橋アガロース、架橋デキストラン、および架橋ポリエチレングリコールを含む。
任意に、開示される方法および組成物は、支持体の集団のうちの1つまたは複数の支持体に対する、核酸の収集物(例えば、収集物)の1つまたは複数の個々のメンバーの付着を含む。例えば、収集物の異なる核酸を異なる支持体に付着させることができる。得られた支持体の集団は、それぞれが単一の核酸を含む複数の支持体を含む。いくつかの態様において、収集物の核酸は二本鎖であり、収集物は変性されて、一本鎖核酸の集団を形成する。いくつかの態様において、支持体はプライマーを含み、一本鎖核酸のうちの1つまたは複数を、表面上のプライマーへのハイブリダイゼーションを介して支持体に付着させることができる。
任意に、支持体(または支持体の集団が1個または数個の支持体からなる場合の固定化部位)の少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%が、1個以下の核酸に付着するように、増幅の前に核酸の収集物を適切に希釈し、溶液中で支持体の集団と接触させることができる。いくつかの態様において、核酸の数と支持体の総数との比率は、例えば、単一の核酸のみを含む、結果として得られる支持体の数(または単一の支持体上の固定化部位の数)を最大にすること、またはより低いもしくはより高い比率よりもより多くのクローン支持体(例えば、ビーズ)を生じることが統計的に予測される比率を選択することによって、単クローン形成を促進するように設定することができる。
任意に、本明細書における増幅方法のいずれかにおいて単一の支持体が用いられ、ここで単一の支持体は、鋳型にハイブリダイズし得る複数のプライマーを有する。このような態様では、収集物中の個々の鋳型分子が、1 mm2当たり少なくとも102、103、104、105、4 x 105、5 x 105、6 x 105、8 x 105、106、5 x 106、または107個の分子という密度で付着または会合するように(例えば、固体支持体上に固定化されたプライマーへのハイブリダイゼーションによって)、鋳型収集物の濃度を調整し、その後これを固体支持体と接触させる。
任意に、個々の鋳型分子は、支持体上でインサイチューで増幅され、最初の鋳型のハイブリダイゼーションの点を空間的に中心とするクローン集団を生じる。任意に、増幅は、単一の増幅鋳型から約102、103、104、105、106、107、108、109、1010、1011、1012、1015、または1020個以下のアンプリコンを生成する。任意に、クローンアンプリコンのコロニーは、1 mm2当たり少なくとも102、103、104、105、4 x 105、5 x 105、6 x 105、8 x 105、106、5 x 106、または107個の分子という密度で固体支持体上に位置する。
いくつかの態様において、核酸収集物を、複数の核酸が同じ支持体に結合する条件下で、1つまたは複数の支持体と接触させることができる。このような接触は、同じ支持体の異なる領域における核酸の平行なクローン増幅を含む方法で、特に有用であり得る。核酸の数と支持体の表面積との比率は、例えば、異なるクローン集団間の実質的な相互汚染のない増幅核酸の単クローン集団の形成を支持するように、核酸が支持体中で適切に間隔を置いて配置されることを確実にすることによって、単クローン形成を促進するように調整することができる。例えば、単一の支持体が用いられる場合、増幅されるべき核酸の収集物は、個々の核酸から生成された、結果として得られる増幅クローン集団が一般に、例えば重複なく分離するかまたは別個となるような希釈に調整される。例えば、増幅クローン集団の50%、70%、80%、もしくは90%、またはそれ以上の中の個々の核酸には、実質的に非同一の核酸は散在していない。任意に、異なる増幅集団は、他の増幅集団と接触することも、もしくは完全に重複することもなく、または最適な検出方法を用いて互いに識別可能である。
いくつかの態様では、核酸を支持体の表面に付着させる。いくつかの態様では、核酸を支持体内に付着させることができる。例えば、ヒドロゲルまたは他の多孔性マトリックスから構成される支持体については、核酸を、支持体の表面上および支持体内を含む、支持体の容積全体にわたって付着させることができる。
いくつかの態様では、支持体(または支持体の集団中の少なくとも1つの支持体)を、少なくとも1つのプライマーに、任意にプライマーの集団に付着させることができる。例えば、支持体(または少なくとも1つの支持体)は、プライマーの集団を含み得る。集団のプライマーは互いに実質的に同一であってよく、または実質的に同一の配列を含み得る。プライマーのうちの1つ、いくつか、またはすべてが、1つまたは複数の核酸鋳型内の配列と相補的である配列を含み得る。いくつかの態様において、プライマーの集団は、少なくとも2つの非相補的プライマーを含み得る。
プライマーは、その5'末端を介して支持体に付着させることができ、遊離3'末端を有する。支持体は、スライドの表面またはビーズの表面であってよい。オリゴ(dT)20 (SEQ ID NO:3) などのプライマーは、低い融解温度を有し、収集物アダプターの低Tm領域にハイブリダイズし得る。プライマー間の距離は、鋳型ウォーキングを可能にするためにアダプター長よりも短い必要があり、またはあるいは5'末端の長いリンカー有する長いプライマーは、ウォーキングの機会を高める。
いくつかの態様では、プライマーと鋳型が互いにハイブリダイズして核酸二重鎖を形成する条件下で、支持体をプライマーおよび鋳型(またはリバース鎖)に付着させ、かつ/またはそれらと接触させる。二重鎖は、鋳型とプライマーの相補的配列を含む二本鎖部分を含んでよく、ここで相補的配列の少なくとも1つのヌクレオチド残基が互いに塩基対合する。いくつかの態様において、二重鎖はまた一本鎖部分を含み得る。二重鎖はまた一本鎖部分を含み得る。一本鎖部分は、鋳型(またはプライマー)内に、プライマー(または鋳型)中のいかなる他の配列とも相補的ではない任意の配列を含み得る。
支持体上でのクローン核酸増幅の非限定的な例示的方法は、以下の通りである。核酸(便宜上、リバース鎖と命名されるものとする)は、その上に相補的フォワードプライマーの複数コピーが付着している支持体上にクローン増幅される。例示的な核酸は、例えば、複数の核酸メンバーが、その5'末端および/もしくは3'末端またはその近傍に1つまたは複数の共通の(「アダプター」)配列を、ならびにその間にgDNAまたはcDNAなどの可変配列を有する、複数のDNA収集物分子の1つである。1つの態様において、3'の共通部分、例えばアダプターは、ブリーザブル(例えば、低Tm)領域を有し、かつ5'の共通配列(例えば、アダプター)は任意に低ブリーザブル(例えば、より高いTm)領域を有し、またはその逆も成り立つ。別の態様において、5'および3'の共通配列は両方ともブリーザブルである。ブリーザブル(例えば、低Tm)領域とは、例えば、A、T、および/またはUがリッチな領域、例えばAT(またはU)リッチ配列など、例えば、ポリT、ポリA、ポリU、ならびにA、T、およびU塩基、またはこのような塩基と相補的な塩基の任意の組み合わせなどである。例示的な方法は本明細書に記載される。
支持体上でのクローン核酸増幅の1つの非限定的な例示的方法を図1に示す。例示的方法の非限定的な説明は以下の通りである。
二本鎖DNAライブラリー分子を変性させ、一本鎖DNAを、表面上のプライマーへのハイブリダイゼーションを介して支持体に付着させる。DNA分子の数と支持体の面積またはビーズの数との比率は、単クローン形成を促進するように設定される。
プライマーはその5'側を介して支持体に付着させ、遊離3'末端を有する。支持体は、スライドの表面またはビーズの表面であってよい。オリゴ(dT)20 (SEQ ID NO:3) またはオリゴ(dA)30 (SEQ ID NO:1) などのプライマーは、低い融解温度を有し、ライブラリーアダプターの低Tm領域にハイブリダイズし得る。プライマー間の距離は、鋳型ウォーキングを可能にするためにアダプター長よりも短くてよく、またはあるいは5'末端の長いリンカーを有する長いプライマーは、ウォーキングの機会を高める。
核酸は、その上にプライマーの複数コピーが付着している支持体上にクローン増幅される。例示的な核酸は、例えば、その5'末端および/または3'末端に1つまたは複数の共通の(「アダプター」)配列を、ならびにその間にgDNAまたはcDNAなどの可変配列を有する、複数のDNAライブラリー分子の1つである。1つの態様において、3'アダプターは低Tm領域を有し、かつ5'アダプターは任意により高いTmの領域を有し、またはその逆も成り立つ。低Tm領域とは、例えば、ピリミジンリッチ領域、例えばAT(またはU)リッチ配列など、例えば、ポリT、ポリA、ポリU、ならびにA、T、およびU塩基、またはこのような塩基と相補的な塩基の任意の組み合わせなどである。例示的な方法は本明細書に記載される。
B) プライマー伸長
可溶型であるかまたは支持体に付着しているかにかかわらず、1つまたは複数のプライマーを、酵素、dNTP、および緩衝液などの試薬のうちの任意の1つまたは複数を任意に含むDNA重合化または伸長反応混合物と共にインキュベートする。プライマー(例えば、フォワードプライマー)を伸長させる。任意に、伸長は、鋳型上の連続したヌクレオチドと個々に相補的であるヌクレオチドの連続的な取り込みを含む、鋳型に沿ったプライマーの鋳型依存的伸長であり、その結果、伸長されたまたは伸長されていないフォワードプライマーはリバース鎖(逆平行または相補的とも称される)と相補的である。任意に、伸長は、ポリメラーゼなどの、ポリメラーゼ活性または他の伸長活性を有する酵素によって達成される。酵素は任意に、3'-5'エキソヌクレアーゼ活性(プルーフリーディング活性)および/または5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を含む他の活性を有し得る。あるいは、いくつかの態様において、酵素はこれらの活性の1つまたは複数を欠いてもよい。1つの態様において、ポリメラーゼは鎖置換活性を有する。有用な鎖置換ポリメラーゼの例には、バクテリオファージφ29 DNAポリメラーゼおよびBst DNAポリメラーゼが含まれる。任意に、酵素は、高温で、例えば、45℃もしくはそれ以上、50℃、60℃、65℃、70℃、75℃、または85℃を超える温度で活性を有する。
例示的なポリメラーゼは、Bst DNAポリメラーゼ(エキソヌクレアーゼマイナス)であり、アクセッション番号2BDP_Aで例証される67 kDaのバチルス・ステアロサーモフィルス (Bacillus stearothermophilus) DNAポリメラーゼタンパク質(大型断片)であり、これは5'-3'ポリメラーゼ活性および鎖置換活性を有するが、3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を欠いている。他のポリメラーゼには、サーモス・アクアティクス (Thermus aquaticus) 由来のTaq DNAポリメラーゼI(アクセッション番号1TAQによって例証される)、大腸菌 (Echerichia coli) 由来のEco DNAポリメラーゼI(アクセッション番号P00582)、アクイフェックス・エオリカス (Aquifex aeolicus) 由来のAea DNAポリメラーゼI(アクセッション番号067779)、または例えばヌクレオチドレベルで少なくとも80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するその機能的断片もしくは変種が含まれる。
一般に、伸長段階は、2つの相補鎖が互いにハイブリダイズしている二本鎖二重鎖部分を含む核酸を生成する。1つの態様において、ウォーキングは、核酸を、核酸鎖の一部を変性させるが、核酸をその全長にわたって完全に変性させるには不十分である部分的変性条件に供することを含む。1つの態様において、核酸は、ウォーキング手順の一部または全期間の間に、完全変性条件には供されない。本明細書において意図されるように、核酸分子は、核酸の少なくとも一方の鎖の一部が相補鎖にハイブリダイズしたままであるが、別の部分がハイブリダイズしてない状態である(たとえそれが相補的配列の存在下でさえ)場合に、部分的に変性されたと見なされ得る。ハイブリダイズしていない部分は任意に、少なくとも5、7、8、10、12、15、17、20、または50ヌクレオチド長である。ハイブリダイズしている部分は任意に、少なくとも5、7、8、10、12、15、17、20、または50ヌクレオチド長である。
任意に、核酸は、核酸の個々の分子の実質的な割合(例えば、20%、30%、50%、または70%超)が部分的変性状態である場合に、部分的に変性されていると見なされ得る。任意に、個々の分子の実質的な量未満、例えば試料中の核酸分子の5%、10%、20%、30%、または50%以下が、完全に変性される。同様に、核酸は任意に、これが核酸の個々の分子の80%または90%超において二本鎖性を全く有さない(または相補鎖へのハイブリダイゼーションが全く見られない)場合に、完全に変性されたと見なされる。例示的な条件下では、核酸の少なくとも50%が部分的に変性されるが、20%または10%未満は完全に変性される。他の状況では、核酸の少なくとも30%が部分的に変性されるが、10%または5%未満は完全に変性される。同様に、核酸は、核酸中の関心対象の「ブリーザブル」部分、例えばPBSのうちの少数が変性される場合に、非変性であると見なされ得る。例示的なアニーリング条件では、試料中の核酸分子のPBSの少なくとも10%、30%、50%、60%、70%、80%、または90%が、対応するプライマーにハイブリダイズする。
1つの態様において、部分的変性条件は、二重鎖を適切な温度範囲のまま維持することによって達成される。例えば、核酸は、ある程度の熱変性を達成するように十分上昇しているが(例えば、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、または70℃を超える)、完全な熱変性を達成するには十分高くはない(例えば、95℃または90℃または85℃または80℃または75℃未満)温度で維持される。完全熱変性条件とは、例えば、多数の鎖の有意な割合(例えば、10%、20%、30%、40%、または50%超)を、それらの伸長されたおよび/または全長の相補体から完全に分離する条件である。1つの態様において、核酸は等温条件に供され、ここで温度変化は、増幅の少なくともある部分の間、限られた範囲内に制約される(例えば、温度変化は、20℃以内、任意に10℃以内、例えば5℃または2℃以内である)。任意に、温度は、50℃、55℃、60℃、65℃、もしくは70℃で、またはその近傍で、少なくとも約10、15、20、30、45、60、または120分間維持される。任意に、1回または複数回の増幅サイクル(例えば、1、5、10、20回、または実施されたすべての増幅サイクル)の間、あらゆる温度変化は20℃以下、任意に10℃以内、例えば5℃または2℃以内である。任意に、熱サイクリング(ここで温度変動は、等温または非等温の範囲内である)が行われ得る。一例では、温度変化は、変性段階と、アニーリングおよび/または伸長などの別の段階との間で制約される。一例では、変性温度とアニーリングまたは伸長温度の差は、増幅の1回または複数回のサイクルについて、20℃以下、任意に10℃以内、例えば5℃または2℃以内である。温度は例えば、増幅の少なくとも5、10、15、20、30、35回、または実質的にすべてのサイクルについて制約される。
部分的変性はまた、他の手段、例えば、尿素もしくはホルムアミドなどの化学変性剤を適切に調節された濃度で用いるか、または高pHもしくは低pH(例えば、pH4〜6またはpH8〜9)を用いる化学的手段によって達成され得る。1つの態様において、部分的変性および増幅は、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅 (RPA) を用いて達成される。例示的なRPA方法は本明細書に記載される。
1つの態様において、マイナス鎖および/またはプラス鎖の配列は、プライマー結合配列またはその一部がブリーザブルとなる、すなわち最適な条件(例えば、増幅条件)下で変性の影響を受けやすくなるように設計される。ブリーザブル部分は任意に、ランダム化配列を有する同様の長さの核酸の大部分よりも感受性が高いか、またはブリーザブル配列を含む鎖の少なくとも別の部分よりも感受性が高い。任意に、ブリーザブル配列は、最適な増幅条件において、有意な量の変性を示す(例えば、分子の少なくとも10%、20%、30%、50%、70%、80%、90%、または95%が、ブリーザブル配列にわたって完全に変性される)。例えば、ブリーザブル配列は、最適な条件(例えば、増幅条件)下にて30、35、40、42、45、50、55、60、65、または70℃で、鎖分子の50%が完全に変性されるように設計される。
任意に、核酸鎖(例えば、プライマーまたは鋳型鎖)のTmとは、選択された試薬条件下で、二重鎖のクローン集団の少なくとも所望の割合が完全に一本鎖にされる温度であり、ここで個々の二重鎖は、その全長相補体にハイブリダイズしている問題の鎖を含む。初期設定では、所望の割合は、その割合が特定されない場合には50%である。代替の態様において、所望の割合は任意に、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%である。また、例えば、配列は、予測融解温度 (Tm) のための公知の理論的計算を用いて、ブリーザブル配列の理論的に予測される融解温度が、最適な増幅条件下で20、30、35、40、45、50、55、60、または65℃以下である場合に、ブリーザブルと見なされ得る。一例では、熱安定性、融解挙動、および/またはTmは、Breslauer et al., Proc. Nat. Acad. Sci. 83, 3746-50 (1986) の教示による、理論的に予測される温度である。例示的な計算では、Tmは以下のように予測される:
Figure 2015526092
式中、ΔHは、ヘリックス開始因子について調整された塩基スタッキング相互作用のエンタルピーであり;ΔSは、ヘリックス開始因子について、およびシステムのエントロピーに対する塩の寄与について調整された塩基スタッキングのエントロピーであり、かつRは一般気体定数 (1.987Cal/℃*Mol) である。さらなる詳細および仮定は、SantaLucia, J. (1998) Proc. Nat. Acad. Sci. USA 95, 1460);Rychlik, W. and Rhoads, R.E. (1989) Nucl. Acids Res. 17, 8543;およびBorer P.N. et al. (1974) J. Mol. Biol. 86, 843に示される。
別の態様において、Tmは、公知の方法によって実験的に測定される。(例えば、Spink, Methods Cell Biol. 2008;84:115-41;Meunier-Prest et al., Nucleic Acids Res. 2003 December 1; 31(23): el50;Brewood et al., Nucleic Acids Res. 2008 September; 36(15): e98.)
1つの態様において、各鎖上の少なくとも1つのPBSはブリーザブルである‐例えば、フォワードPBSおよびリバースPBSは両方ともブリーザブルである。任意に、フォワード鎖またはリバース鎖などの核酸は、2つのブリーザブル配列を含む。例えば、5'部分および3'部分はブリーザブルであってよい。
部分的変性が加熱または高温によって達成される場合、例示的なブリーザブルPBSは、ピリミジンリッチ(例えば、Aおよび/またはTおよび/またはUの含有量が高い)であってよい。PBSは、例えば、ポリA、ポリT、もしくはポリU配列、またはポリピリミジン域を含む。1つまたは複数の増幅プライマーまたは他のプライマー(例えば、固定化プライマー)は任意に、これらのプライマー結合配列と対応して相補的であるように設計される。核酸鎖の例示的なPBSは、ポリT配列、例えば少なくとも10、15、20、25、または30個のチミジンヌクレオチドの一続きを含み、対応するプライマーは、PBSに対する相補的配列、例えば少なくとも10、15、20、25、または30個のアデノシンヌクレオチドの一続きを有する。例示的な低融点プライマーは任意に、プライマーが相補的鋳型にハイブリダイズする場合に相補的塩基と2つ以下の水素結合を一般に(例えば、最適な増幅条件下で)形成する核酸塩基の割合が高い(例えば、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%)。このような核酸塩基の例には、A(アデニン)、T(チミン)、およびU(ウラシル)が含まれる。例示的な低融点プライマーは任意に、A(アデニン)、T(チミン)および/もしくはU(ウラシル)ヌクレオチド、またはその誘導体のうちのいずれか1つまたは複数の割合が高い。1つの態様において、誘導体は、A(アデニン)、T(チミン)、および/またはU(ウラシル)と相補的である核酸塩基を含む。PBSにハイブリダイズするプライマーの部分は任意に、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは100%のA(アデニン)、T(チミン)、もしくはU(ウラシル)ヌクレオチド、またはそれらの任意の組み合わせを有する。別の例では、PBSにハイブリダイズするプライマーの部分は、ポリA配列(例えば、少なくとも5、10、15、20、25、または30ヌクレオチド長)を含む。他の例示的なプライマーは、(NAx)n (SEQ ID NO:4) リピートを含む。任意に、n(小文字)は、2〜30、例えば3〜10、例えば4〜8である。「N」(大文字)は任意のヌクレオチドであり−任意に、NはCまたはGである。「A」は、アデニンの省略表現であり、「x」は、リピート中のアデニン残基の数、例えば2、3、4、5、6、10、またはそれ以上を示す。例示的なプライマーは、(CAA)n (SEQ ID NO:5)、(CA)n (SEQ ID NO:6)、(CAAA)n (SEQ ID NO:7)、またはさらには (GAA)n (SEQ ID NO:8) の複数リピートを含む。
任意に、一方の鎖(例えば、フォワード鎖またはリバース鎖)のみがブリーザブルPBSを有する。別の態様において、フォワード鎖およびリバース鎖は両方とも、ブリーザブルPBSを有する。ブリーザブルPBSは任意に、支持体に固定化されたまたは固定化されていない(例えば、可溶型の)プライマーと相補的である。任意に、ブリーザブルPBSを含む鎖は、支持体に固定化されるか、または固定化されない(例えば、可溶型である)。任意に、両方のプライマーが固定化されるか、または両方の鎖が固定化される。任意に、いずれのプライマーも固定化されないか、またはいずれの鎖も固定化されない
増幅サイクルは任意に、ブリージング (breathing)、アニーリング、および伸長を含む。増幅されるべき核酸は任意に、これらの段階のうちの少なくとも1つに適しているか、またはそれについて最適化された条件に供される。1つの態様において、核酸は、これらの段階のうちの2つ以上(例えば、アニーリングおよび伸長、またはブリージングおよび伸長)に適している条件に供される。場合によっては、これらの段階の3つすべてが、同じ条件下で同時に行われ得る。
例示的な方法において、核酸を、ブリージングを可能にするまたは促進する条件に供することができる。1つの態様において、「ブリージング」は、二本鎖二重鎖の2つの鎖が実質的には互いにハイブリダイズするが、関心対象の局所部分(例えば、末端またはプライマー結合部位)にわたって変性される場合に起こると言われる。核酸の1つまたは複数のブリーザブル配列(例えば、低Tm部分を有するフォワードPBSおよび/またはリバースPBS)は、これがハイブリダイズしている第1相補鎖(例えば、フォワード鎖またはリバース鎖)から局所的に変性され(「ブリーズする (breathe」)、したがって別の第2鎖にハイブリダイズさせるために利用できるようになる。例示的な第1鎖は、第1プライマーからのプライマー伸長産物である。例示的な第2鎖は、例えば、第2の伸長されていないプライマー(例えば、例えばdTまたはdA配列を含むPBS相補的オリゴヌクレオチド)である。任意に、第1鎖および第2鎖は支持体上に固定化され、近接して(例えば、ウォーキングを可能にするために十分に近接して)位置し得る。ブリージングの条件は任意に部分的変性条件であり、その条件下では、PBSは一般に変性されるが、核酸の別の部分はハイブリダイズしたままであるか、または二本鎖状態のままである。任意に、DNAヘリカーゼを反応混合物中に含めて、部分的変性を促進することができる。
任意に、核酸を次に、アニーリングを促進する条件に供し、例えば温度を低下させて、ブリーザブルPBSと第2鎖との間のハイブリダイゼーションを可能にする。1つの態様では、ブリージングおよび伸長の両方を促進するために、同じ条件が用いられる。別の態様では、アニーリング条件はブリージング条件とは異なり‐例えばアニーリング条件は、非変性条件、またはブリージング条件に満たない変性を支持する条件である。一例では、アニーリング条件は、ブリージング条件よりも低い温度(37℃など)を含み、ブリージング条件ではより高い温度(例えば、60〜65℃)が用いられる。任意に、増幅の1回または複数回のサイクル(例えば、増幅サイクルの大部分または実質的にすべての増幅サイクル)の間、完全変性条件は回避される。
伸長条件は一般に、プライマー伸長に許容的であるか、または極めて適している。1つの態様において、最適な伸長条件は、アニーリング条件および/またはブリージング条件と同じであるか、または異なる。1つの態様では、同じ条件セットが3つの段階すべてに用いられ(例えば、等温増幅)、その結果、試料を単一の条件セットに長時間供すると、ブリージング、アニーリング、および伸長の複数回の増幅サイクルが行われるようになる。
1つの態様において、鎖伸長は、例えば、鎖置換DNAポリメラーゼ、例えば、Bst DNAポリメラーゼ大型断片、クレノウDNAポリメラーゼ、φ29 DNAポリメラーゼ、Vent DNAポリメラーゼ、任意の機能的断片および/もしくは変種、またはこのような酵素の任意の組み合わせなどによって行われる。鎖置換能は任意に、部分変性された核酸の二重鎖部分を介して、伸長を促進する。
任意に、PBSブリージング段階およびプライマー伸長段階のうちの1つまたは複数を複数回繰り返して、最初の核酸を増幅する。1つまたは複数の核酸試薬(例えば、プライマー)が支持体に固定化される場合、プライマー伸長産物は、例えば、増幅前の伸長されていない伸長されたプライマーの支持体への付着のため、またはこのようなプライマーへのハイブリダイゼーションにより、支持体に実質的に付着したままである。任意に、クローンアンプリコンの局在化クローン集団は、支持体上の分離した部位の周囲に形成される。例示的な分離部位は、支持体への最初の核酸鎖の付着の点であり、そこからクローン集団内の他の核酸が、最初の核酸またはそのコピーを鋳型として用いて、プライマー伸長によって直接または間接的に生成される。
任意に、増幅されるべき1つまたは複数の核酸の集団の試料が調製される。核酸の集団は、一本鎖型または二本鎖型であってよく;任意に、1つまたは複数の核酸は個々に、増幅において用いられる1つまたは複数のプライマーと実質的に同一または相補的である公知の3'末端配列および公知の5'末端配列を有する核酸鎖を含む。核酸鎖の3'部分は例えば固定化プライマーと相補的であってよく、5'部分は可溶性プライマーと同一であってよい。5'部分および/または3'部分は、集団内の個々の核酸の間で共通(「ユニバーサル」)または不変であってよい。任意に、集団内の核酸は個々に、ゲノムDNA、cDNA、mRNA、メイトペア断片、エクソーム等などの変種(例えば、未知)配列を、共通部分の間に含む。この収集物は例えば、対応する遺伝子供給源(例えば、ゲノムまたはエクソーム)の50%、70%、または90%を超えるカバー度を保証するのに十分なメンバーを有し得る。
II. 組成物、アレイ、およびキット
本明細書において、以下のうちいずれか1つまたは任意のサブセットまたはすべてを含む組成物もまた提供される:少なくとも1つのリバース核酸鎖、少なくとも1つの支持体上に固定化された複数のフォワードプライマー、溶液中の複数のリバースプライマー、およびポリメラーゼ。フォワードプライマーおよび/またはリバースプライマーは任意に、本明細書に記載されるように、低融点であるか、またはアデニン、チミン、もしくはウラシルがリッチである。例示的な組成物は核酸鎖(「リバース鎖」)のクローン集団を含み、ここで各クローン集団の個々のリバース鎖は、3'末端に低融点(例えば、ブリーザブル)プライマー結合配列を、および/または5'末端上に低融点プライマー配列を含む。組成物は任意に、リバース鎖の5'部分または5'末端上の低融点プライマー配列と実質的に同一である複数のリバースプライマーを含む。組成物は任意に、リバース鎖の3'部分または3'末端上の低融点プライマー結合配列と実質的に相補的である複数のフォワードプライマーを含む。1つの態様において、フォワードプライマーおよび/またはリバースプライマーは、支持体への付着によって固定化される。例えば、フォワードプライマーは固定化され、かつリバースプライマーは固定化されず、またはその逆もなりたつ。例示的な組成物は、(1) リバース核酸鎖、(2) 支持体上に固定化された複数の低融点フォワードプライマー、(3) 溶液中の複数の低融点リバースプライマー、および (4) ポリメラーゼのうちのいずれか1つまたは複数を含む。
任意に、組成物はさらに、伸長されていないフォワードプライマーよりも長く、かつ任意に1つまたは複数のリバース鎖の全長相補体である、1つまたは複数の伸長されたフォワード鎖を含む。1つの態様において、1つまたは複数の伸長されたフォワード鎖は、相補的リバース鎖にハイブリダイズし、ここでリバース鎖は任意にまた、別の異なるフォワードプライマーまたは異なるフォワード鎖にハイブリダイズする。異なるフォワード鎖は任意に、リバース鎖の全長に満たない相補体である。組成物は、本明細書に記載される任意の1つもしくは複数の試薬を含んでよく、かつ/または本明細書に記載される任意の1つもしくは複数の手順もしくは条件(例えば、温度)に供され得る。
任意に、組成物は、1つまたは複数の固体支持体に付着している複数の空間的に分離されたクローン集団を含む。例えば、複数の空間的に分離されたクローン集団は、同じ支持体に付着している。組成物は任意に、ポリメラーゼではない別の酵素、例えばリコンビナーゼまたは逆転写酵素またはヘリカーゼまたはニッキング酵素を含まない。
任意に、組成物は、本明細書に記載される任意の1つまたは複数の方法によって生成できる核酸の収集物を含む。例えば、収集物は、表面上の1つまたは複数の別個の領域を占有する固定化核酸を含んでよく、各領域は、複数の同一の核酸鎖、および任意にそれにハイブリダイズする複数の同一の相補鎖を含み、ここで相補鎖は、固定化核酸へのハイブリダイゼーションによるものを除いて、固体支持体との付着または結合または会合を有さない。任意に、このような領域内の個々の核酸鎖は、表面上でその鎖の長さの距離内に別の核酸鎖が位置するように、位置する。任意に、核酸が固定化される表面の1 mm2当たりに、少なくとも1つの別個の領域が存在する。例えば、別個の領域の数/核酸が固定化される表面の1 mm2は、102個よりも多い、103個よりも多い、104個よりも多い、105個よりも多い、106個よりも多い、107個よりも多い、または108個よりも多い。
増幅クローン集団の収集物はアレイを形成することができ、これは一次元(例えば、一般に単クローンマイクロビーズの行列)または二次元(例えば、増幅クローン集団が平面支持体上に位置する)または三次元であってよい。アレイの個々のクローン集団は、必ずしもそうとは限らないが任意に、それらがアドレスされるかまたはアドレス可能であるように位置するまたは配置される。任意に、異なるクローン集団は互いに適切な距離を置いて配置され、この距離は一般に、異なるクローン集団が互いに識別されることを可能にするのに十分である。1つの態様において、局在化クローン集団は、平面基板にわたって秩序あるまたは無秩序な、例えばランダムなパターンで散在する。
例示的なアレイの特徴は、核酸の個々の識別可能なクローン集団であり、ここで任意にこの特徴は、1つまたは複数の支持体にわたって分布する。例示的なマイクロビーズの態様において、アレイは複数のマイクロビーズを含み、ここで個々のマイクロビーズは一般に核酸の単クローン集団を含み、かつ異なるマイクロビーズは一般に異なるクローン集団(例えば、配列が異なる)を含む。任意に、マイクロビーズは、平面基板にわたって単層で分布するまたは充填される。他の態様において、アレイは単一の(例えば、平面の)支持体を含み、単一の支持体は、核酸の複数の空間的に分離したクローン集団を含み、ここで異なるクローン集団は任意に配列が異なる。
任意に、個々のクローン集団内の1つまたは複数の核酸は、平面基板に直接付着し得る。別の例において、個々のクローン集団の核酸は、例えば本明細書において考察されるように、マイクロビーズに付着する。クローンのマイクロビーズは任意に、ランダムのまたは秩序ある様式で、平面基板上にわたって共に近接して充填される。任意に、マイクロビーズの20%、30%、50%、70%、80%、90%、95%、または99%超が、少なくとも1、2、4、または6個の他のマイクロビーズと接触している。任意に、マイクロビーズの10%、20%、30%、50%、70%、80%、90%、95%、または99%未満が、1、2、4、または6個の他のマイクロビーズと接触している。
任意に、アレイの特徴(固定化部位または増幅DNAクローン集団など)は、一般に互いから分離しているかまたは別個である。例えば、アレイの特徴の50%、70%、80%、もしくは90%、またはそれ以上は、同じアレイ上の他の特徴と接触することも、もしくは完全に重複することもなく、または最適な検出方法を用いて互いに識別可能である。任意に、特徴は、それらが互いに識別可能なままである限り、互いに部分的に重複してもよい。
本明細書において、本明細書に記載される任意の1つまたは複数の試薬(例えば、核酸または酵素または支持体)を含むキットもまた提供される。例えば、キットは、任意に固定化された1つまたは複数のプライマーを含み得る。例示的なキットは2つのプライマーを含み、ここで一方のプライマーの変性温度は、他方から少なくとも10、20、30、または40℃である。任意に、より低融点のプライマーは、アデニン/チミン/ウラシルリッチ部分、例えば本明細書に記載されるようなポリA域など、例えば、少なくとも10、15、20、25、または30ヌクレオチド長であるポリA、ポリT、または、ポリU配列を含む。より低融点のプライマーは任意に固定化され、ここでより高融点のプライマーは任意に非固定である。
任意に、キットはさらに、固定化プライマーを含む、本明細書に記載される1つまたは複数の支持体を含む。例示的な支持体は、平面表面を含む。複数の支持体が用いられる場合、キットは、同一のプライマーを保有するマイクロビーズを含み得る。
キットは任意に、1つまたは複数のポリメラーゼ、例えば鎖置換ポリメラーゼ、および/または本明細書に記載される増幅試薬の任意の組み合わせを含む。
キットはまた、増幅されるべき鋳型の最初の集団を希釈するための説明書、および/または希釈媒体を含み得る。
III. 用途
本明細書に記載される方法から生成された増幅核酸分子および/または固定化核酸分子は、配列決定、スクリーニング、診断、インサイチュー核酸合成、遺伝子発現モニタリング、核酸フィンガープリンティング、法医学、診断学等を含む、多くの異なる適用に供することができる。
本明細書に記載される任意の方法または複数の核酸は、配列解析のための核酸分子を提供するのに用いることができる。例えば、本明細書に記載される任意の方法によって生成された1つまたは複数の核酸分子(例えば、アンプリコン)を、少なくとも1つの配列決定解析プライマーおよび/または少なくとも1つのプローブと接触させることができる。任意に、少なくとも1つの配列決定解析プライマーは、オリゴヌクレオチドであるか、またはオリゴヌクレオチドを含む。1つの態様において、少なくとも1つのプローブは、1つもしくは複数のヌクレオチドまたは1つもしくは複数のオリゴヌクレオチドを含む。配列解析プライマーまたはプローブとして用いられるオリゴヌクレオチドは、例えば、少なくとも1つの固定化プライマーと同じ配列の少なくとも1つにハイブリダイズすることができ、例えば、オリゴヌクレオチドは任意に固定化プライマーと同じ配列を有する。
1つの態様において、配列解析は、解析されるべき1つまたは複数の標的核酸分子を1つまたは複数の配列解析プライマーおよび/またはプローブと接触させること、ハイブリダイズしなかった全てのプローブを除去すること、ならびに連結されたプローブの標識を決定することによって行われる。
別の態様において、配列解析は、解析されるべき1つまたは複数の標的核酸分子を1つまたは複数の配列解析プライマーおよび/またはプローブと接触させること、ならびに少なくとも1つの標的核酸と少なくとも1つの標識された配列解析プライマーおよび/またはプローブとの間の任意の得られたハイブリダイゼーションを検出することによって行われる。1つの態様において、配列解析方法は、隣接してハイブリダイズした任意のオリゴヌクレオチドプローブを配列解析プライマーに連結することにより、標的核酸分子にハイブリダイズした1つまたは複数の配列解析プライマーを伸長させる工程、連結されなかったあらゆるプローブを除去する工程、および連結されたプローブの標識を決定する工程を含む。
別の態様において、配列解析は、解析されるべき1つまたは複数の標的核酸分子を、1つまたは複数の配列解析プライマーおよび標識ヌクレオチドプローブおよび鋳型依存的ポリメラーゼと接触させること、ポリメラーゼが配列解析プライマーのポリメラーゼ伸長産物中に標識ヌクレオチドを取り込むことを可能にすること、取り込まれなかった全てのヌクレオチドを除去すること、ならびに取り込まれたヌクレオチドの同一性を決定することによって行われる。ヌクレオチドプローブは例えば蛍光標識され、かつ/または取り込まれたヌクレオチドの同一性はその標識から同定される。別の態様において、ヌクレオチドプローブは標識されず、ポリメラーゼ伸長産物中のヌクレオチドの存在または該産物中へのヌクレオチドの取り込みは、取り込みによって生成された副産物に基づいて測定される。例えば、伸長産物中へのヌクレオチドの取り込みは任意に、pHまたはイオンまたは電流の変化を測定することによって、例えば電界効果トランジスタを用いて検出される。
本明細書に記載される任意の方法において、プローブ(例えば、ヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド)は任意に、ポリメラーゼまたはリガーゼによってさらに伸長可能である。あるいは、プローブは任意に、ポリメラーゼまたはリガーゼによって伸長可能でない。このような非伸長可能なプローブは任意に、配列解析過程の間に(例えば、それらの同一性が決定された後に)伸長可能にされる。任意に、ヌクレオチドプローブはA、G、C、T塩基を含み、ここでプローブの問い合わせ位置で異なる塩基を有するヌクレオチドプローブは、異なる蛍光標識を有する。
任意に、すべてまたはすべてに満たない(例えば、少なくとも1つの)配列決定解析プライマーまたは配列決定解析プローブが、標識ヌクレオチド/オリゴヌクレオチドを含む。任意に、標識ヌクレオチド/オリゴヌクレオチドは、すべてが同じ標識を有するか、または差次的に標識される。1つの態様において、標識ヌクレオチド/オリゴヌクレオチドは蛍光標識される。例えば、標識ヌクレオチドおよび非標識ヌクレオチドの混合物が用いられる。
任意に、複数の異なる配列は平行して決定される。例えば、配列解析は、少なくとも2つ、例えば、少なくとも10、1000、1000、106、109、または1012個の異なる別個の領域に存在する核酸分子の平行な配列解析である。配列解析技術は、ポリメラーゼに基づく配列解析、例えばサンガー配列解析であってよい。配列解析技術の例には、合成による配列解析、または可逆性ターミネーターを用いる配列解析、または連結に基づく配列分析、例えばSOLiDを用いる2塩基コード化が含まれる。
また、本明細書において言及される任意の1つまたは複数の試薬またはデバイスを含む、本明細書に記載される任意の方法を行うための装置が提供される。例えば、装置は1つまたは複数の支持体を含んでよく、各支持体は複数の固定化プライマー(任意に同一である)を含む。例えば、装置は、核酸ポリメラーゼもしくはリガーゼ、および/または複数のヌクレオチド(任意に標識された)、ならびにアニールした核酸鎖を部分的に分離するための手段を含み得る。アニールした核酸鎖を分離するための例示的な手段は、制御された加熱手段、例えば、試薬を一定温度に維持し得る加熱手段を含む。装置は任意に、本明細書に記載される1つまたは複数の反応物の供給源、および該反応物のうちの1つまたは複数が該核酸分子に適用された後に生じた1つまたは複数のシグナルを検出するための検出手段を含む。検出するための手段は任意に、支持体の別個の固定化部位の間、または複数の支持体の間(マイクロビーズの形態である場合)を識別するのに十分な分解能を有する。任意に、装置は、平面表面上に固定化されたプライマーを有する支持体を含む。
1つの態様において、装置は電荷結合素子 (CCD) を含み、これは任意に撮像デバイスと機能的に接続される。
1つの態様において、各固定化部位は別々のビーズであり、この場合、各ビーズは、増幅後にアンプリコンのクローン集団を含む。任意に、各ビーズは、増幅の前、間、または後にアレイ中にまたはアレイ上に分配され得る。アレイは例えば、ウェルの任意のアレイであり、ここでアンプリコンを保有するビーズは、別々のウェル中に個々に分布する。任意に、アレイは大規模FETアレイである。
任意に、本明細書における任意の方法によって生成されたクローン集団の少なくともいくつかは、(例えば、光学的または電気化学的検出によって)検出または解析された場合に互いから分離して見え、かつ/または空間的に分離して見える。ヌクレオチドの取り込みがH+イオンの発生によって検出される態様において、このようなイオンは、緩衝液中で例えば<100 nmという短い距離しか拡散することができない。拡散に関するこの限られた能力によって、1つのクローン集団中で発生するH+は一般に、近くのクローン集団を妨害せず、クローン集団の直下のセンサーによってのみ有意に検出可能であることが保証される。
ペアエンド配列決定
いくつかの態様において、本教示は、ペアエンド配列決定のための方法を提供する。いくつかの態様において、ペアエンド配列決定反応は、両方向(例えば、フォワード方向およびリバース方向)に配列決定反応を行うことを含み得る。いくつかの態様において、ペアエンド配列決定は、少なくとも1つの切断性部分を含む任意の鋳型ポリヌクレオチド上で行うことができる。任意に、鋳型ポリヌクレオチドはまた、少なくとも1つの架橋部分も含む。いくつかの態様において、鋳型ポリヌクレオチドは、少なくとも1つの切断性部分を含むか、または少なくとも1つの切断性部分および少なくとも1つの架橋部分を含む。
いくつかの態様において、ペアエンド配列決定反応は、(a) フォワード配列決定工程;(b) 切断工程、および (c) リバース配列決定工程を含む。
いくつかの態様において、ペアエンド配列決定反応は、(a) フォワード配列決定工程;(b) 架橋工程、(c) 切断工程、および (d) リバース配列決定工程を含む(図9)。
配列決定鋳型
いくつかの態様では、任意の方法を用いて1つまたは複数の鋳型ポリヌクレオチドを生成し、次いでペアエンド配列決定に供することができる。例えば、鋳型ポリヌクレオチドは、断片ライブラリー構築物(米国特許出願第13/482,542号)またはメイトペアライブラリー構築物(米国特許出願第12/350,857号および国際特許出願公開第WO/2012/044847号)であってよく、これらの出願はすべて、全体として参照により本明細書に組み入れられる。例えば、化学物質または熱を用いて鋳型ポリヌクレオチド(任意の方法を用いて生成された)を変性させて、ペアエンド配列決定のための一本鎖鋳型ポリヌクレオチドを生成することができる。任意に、本教示による(または全体として参照により本明細書に組み入れられる、2011年12月16日に出願された米国特許出願第13/328,844号において教示された)任意の鋳型ウォーキング方法を用いて、二重鎖鋳型ポリヌクレオチドを生成し(図9A、B、およびC)、化学物質または熱を用いてこの二重鎖を変性させて、ペアエンド配列決定のための一本鎖鋳型ポリヌクレオチドを生成することができる。便宜上、「鋳型ポリヌクレオチド」という用語は、ペアエンド配列決定のために用いられるべき、任意の方法によって生成された核酸を説明するために用いられる。
切断性部分
いくつかの態様において、鋳型ポリヌクレオチドは、少なくとも1つの切断性部分を含む。いくつかの態様において、切断性部分は、熱、照射、少なくとも1種類の化学物質、または少なくとも1種類の酵素で切断され得る。任意に、切断性部分は、切断性部分を有するヌクレオシドまたはヌクレオチド類似体を用いて、化学合成または増幅(例えば、PCR)の間に、鋳型ポリヌクレオチド中に取り込むことができる。任意に、切断性部分は、切断性部分を有するプライマーを用いてプライマー伸長反応を行うことによって、鋳型ポリヌクレオチド中に取り込むことができる。任意に、切断性部分は、化学反応または酵素反応によって、予め形成された鋳型ポリヌクレオチドに付加することができる。
いくつかの態様において、切断性部分はグリコシラーゼ酵素で切断され得る。グリコシラーゼは任意に、二本鎖DNAから切断可能なヌクレオチドを放出するN-グリコシラーゼ活性を有する。任意に、切断可能なヌクレオチドの除去は、脱塩基部位、脱プリン部位、または脱ピリミジン部位を生成する。脱塩基部位は任意に、例えば別の酵素活性によってさらに修飾され得る。任意に、脱塩基部位は、リアーゼによって修飾されて、塩基ギャップを生成する。リアーゼは例えば、脱塩基部位の3'側および/または5'側を切断する。切断は任意に、リアーゼによって5'末端および3'末端の両方で起こり、脱塩基部位が除去され、塩基ギャップが残る。5-ヒドロキシ-ウラシル、7,8-ジヒドロ-8-オキソグアニン(8-オキソグアニン)、8-オキソアデニン、fapy-グアニン、メチ-fapy-グアニン、fapy-アデニン、アフラトキシンB1-fapy-グアニン、5-ヒドロキシ-シトシンを含む例示的な切断可能な部分(例えば、切断可能なヌクレオチド)は、様々なグリコシラーゼによって認識し除去されて、脱プリン部位を形成し得る。1つの適切な酵素は、ホルムアミドピリミジン [fapy] -DNAグリコシラーゼであり、これは8-オキソグアニンDNAグリコシラーゼまたはFPGとしても知られている。FPGは、N-グリコシラーゼおよびAP-リアーゼの両方として機能する。N-グリコシラーゼ活性は任意に、二本鎖DNAから損傷プリンを放出し、脱プリン(AP部位)を生成するが、ここでホスホジエステル骨格は任意に無傷である。AP-リアーゼ活性は、AP部位の3'側および5'側の両方を切断し、それによってAP部位を除去し、1塩基ギャップを残す。一例では、切断可能なヌクレオチドは8-オキソアデニンであり、これはグリコシラーゼ活性およびリアーゼ活性の両方を有するFPGによって、一塩基ギャップに変換される。
いくつかの態様において、鋳型ポリヌクレオチドは、少なくとも1つのウラシル塩基またはその誘導体を含み得る。いくつかの態様において、ウラシル塩基はウラシルDNAグリコシラーゼで切断され得る。任意に、ウラシルは、USER(商標)(ウラシル特異的切除試薬)酵素系(例えば、New England Biolabsによる)によって切断され得、これはウラシルDNAグリコシラーゼ (UDG) およびDNAグリコシラーゼ-リアーゼエンドヌクレアーゼVIIIを含む酵素の混合物を含み、ここでUDGは、ウラシル塩基の切除を触媒し、ホスホジエステル骨格を無傷のままにしながら脱塩基(脱ピリミジン)部位を形成し、かつここでエンドヌクレアーゼVIIIのリアーゼ活性は、脱塩基部位の3'側および5'側でホスホジエステル骨格を破壊し、その結果として塩基を含まないデオキシリボースが放出される。いくつかの態様では、キナーゼを用いて、切断産物の3'末端上のリン酸基を-OH基に変換することができる。いくつかの態様において、鋳型ポリヌクレオチドは、5-ヒドロキシ-ウラシル、7,8-ジヒドロ-8-オキソグアニン(8-オキソグアニン)、8-オキソアデニン、fapy-グアニン、メチ-fapy-グアニン、fapy-アデニン、アフラトキシンB1-fapy-グアニン、または5-ヒドロキシ-シトシンを含む、他の切断性ヌクレオシドを含み得る。いくつかの態様において、切断性ヌクレオシドは、様々なグリコシラーゼによって認識し除去されて、脱プリン部位を形成し得る。
いくつかの態様において、鋳型ポリヌクレオチドの5'部分または3'部分は、Aリッチ配列またはTリッチ配列を含み、かつ少なくとも1つの切断性部分を含んでもよいし、または含まなくてもよい。例えば、鋳型ポリヌクレオチドの5'部分または3'部分は、(A)NdU(A)N、式中Nは2〜30である、を含む。
架橋部分
いくつかの態様において、鋳型ポリヌクレオチドは、少なくとも1つの架橋部分を含む。いくつかの態様において、架橋部分は、2つの核酸間で共有結合を形成し得る。任意に、架橋部分は、5'末端もしくは3'末端または内部を含む、鋳型ポリヌクレオチドの任意の位置に位置し得る。任意に、架橋部分は、それらの5'位置、3'位置、および/または内部位置の任意の組み合わせを共に結合することを含め、2つの核酸を任意の位置で共に結合することができる。任意に、架橋部分は、熱的、化学的、または光化学的条件によって誘導されて、結合を形成し得る。任意に、架橋は可逆的または非可逆的であってよい。任意に、架橋部分は誘導されて、鎖間または鎖内架橋を起こし得る。任意に、架橋部分は、プリンもしくはピリミジンヌクレオシド、例えば、アデノシン、グアノシン、シチジン、チミジン、もしくはウリジンヌクレオチド、またはそれらの類似体などを含む、任意の種類のヌクレオシドを共に結合することができる。任意に、1つの核酸上の架橋部分は、ごく近接した別の核酸と結合を形成することができる。例えば、共にハイブリダイズして二重鎖を形成する2つの核酸鎖は、互いにごく近接しており、架橋部分による連結を可能にする。任意に、架橋部分は、2つの核酸上の任意の糖基または塩基の間で結合を形成し得る。任意に、架橋部分は、架橋部分を有するヌクレオシドまたはヌクレオチド類似体を用いて、化学合成または増幅(例えば、PCR)の間に、鋳型ポリヌクレオチド中に取り込むことができる。任意に、架橋部分は、架橋部分を有するプライマーを用いてプライマー伸長反応を行うことによって、鋳型ポリヌクレオチド中に取り込むことができる。任意に、架橋部分は、化学反応または酵素反応によって、予め形成された鋳型ポリヌクレオチドに付加することができる。任意に、架橋部分は、クマリン(置換クマリンを含む)、フロクマリン、イソクマリン、ビスクマリン、ピレン、ベンゾジピロン、ソラレン、キノン、α,β-不飽和酸、エステル、ケトン、ニトリル、アジド、またはそれらの任意の誘導体を含む。任意に、鋳型ポリヌクレオチド(少なくとも1つの架橋部分を含む)の5'末端または3'末端を、表面に付着させることができる。図9において、「K」という記号は架橋部分を表す。いくつかの態様において、架橋部分は、約190〜800 nmを含む、UV-可視-IRスペクトルにおける任意の適切な光の波長を用いて誘導されて、結合を形成し得る。いくつかの態様において、光誘導性架橋部分は、約0.1〜10秒、または約0.5〜5秒、または約1〜2秒を含む、適切な時間にわたって照射され得る。
いくつかの態様において、鋳型ポリヌクレオチドは、超高速光架橋を起こし得る1つまたは複数の架橋部分(例えば、ヌクレオシド類似体)を含み得る。いくつかの態様において、架橋ヌクレオシドはカルバゾールヌクレオシドを含む。いくつかの態様において、架橋ヌクレオシドは3-シアノビニルカルバゾールヌクレオシドを含む (Yoshimura and Fujimoto 2008 Organic Letters 10(15):3227-3230)。いくつかの態様では、図9において、「K」という記号は3-シアノビニルカルバゾールヌクレオシドを表す。いくつかの態様において、架橋ヌクレオシドは、約345〜375 nm、または約350〜370 nm、または約355〜365 nmで光照射され得る。いくつかの態様において、光架橋ヌクレオシドは、約366 nmで光照射され得る。
配列決定プラットフォーム
いくつかの態様において、配列決定反応は、任意の種類の配列決定プラットフォームを用いるペアエンド配列決定反応を含み、このような配列決定プラットフォームには、次のような任意の次世代配列決定プラットフォームが含まれる:オリゴヌクレオチドプローブの連結および検出による配列決定(例えば、Life TechnologiesによるSOLiD(商標)、WO 2006/084131)、プローブ-アンカー連結配列決定(例えば、Complete Genomics(商標)またはPolonator(商標))、合成による配列決定(例えば、Genetic Analyzer、およびIlluminaによるHiSeq(商標))、ピロリン酸配列決定(例えば、454 Life SciencesによるGenome Sequencer FLX)、単一分子配列決定プラットフォーム(例えば、Helicos(商標)によるHeliScope(商標))、およびイオン感受性配列決定(例えば、Ion Torrent Systems, Inc.によるPersonal Genome Machine and Proton)(米国特許出願第13/482,542号、米国特許出願第12/350,837号、国際特許出願公開第WO/2012/044847号、米国特許第7,948,015号、および米国特許出願第12/002,781号、これらの出願および特許はすべて、全体として参照により本明細書に組み入れられる)。
ペアエンド配列決定
いくつかの態様において、ペアエンド配列決定反応は、(a) フォワード配列決定工程;(b) 切断工程、および (c) リバース配列決定工程を含む。
いくつかの態様において、ペアエンド配列決定反応は、(a) フォワード配列決定工程;(b) 架橋工程、(c) 切断工程、および (d) リバース配列決定工程を含む(図9)。
フォワード配列決定工程
いくつかの態様において、フォワード配列決定工程は、(i)鋳型ポリヌクレオチドの一部に第1プライマーをハイブリダイズさせること、(ii) プライマー伸長反応(例えば、ポリメラーゼが触媒する連続的なヌクレオチドの取り込み)を行うことにより第1プライマーを伸長させること、および (iii) 取り込まれたヌクレオチドを同定することを含む。いくつかの態様では、ペアエンド配列決定反応において、鋳型ポリヌクレオチドは表面に固定化され得、かつ架橋部分および切断性部分を含み得る(図9)。いくつかの態様において、フォワード配列決定反応は、表面に向かうまたは表面から離れる方向で起こる。図9Eは、表面に向かう方向で起こるフォワード配列決定反応の非限定的な態様を示す。
いくつかの態様において、フォワード配列決定反応は、ポリメラーゼおよび複数のヌクレオチドを含む。任意に、ヌクレオチドは検出可能なレポーター部分(例えば、フルオロフォア)で標識してもよいし、または標識されなくてもよい。いくつかの態様において、プライマー伸長反応は第1伸長鎖を生成する。いくつかの態様において、プライマー伸長反応は、鋳型ポリヌクレオチドが第1伸長鎖にハイブリダイズしている二重鎖を生成する。いくつかの態様において、鋳型ポリヌクレオチドと第1伸長鎖は、互いにごく近接しており、2つの鎖を共に架橋することを可能にする(図9F)。いくつかの態様において、プライマー伸長反応は、鋳型ポリヌクレオチド上に位置する少なくとも1つの切断性部分の位置を超えて継続する。いくつかの態様において、第1伸長鎖の3'末端は、鋳型ポリヌクレオチド上に位置する少なくとも1つの切断性部分の位置と重複する。
切断工程
いくつかの態様において、切断工程は、少なくとも1種類の酵素で鋳型ポリヌクレオチドの切断性部分を切断することを含む。いくつかの態様において、切断性部分は、ウラシルDNAグリコシラーゼ (UDG) およびDNAグリコシラーゼ-リアーゼエンドヌクレアーゼVIIIで切断され得る。例えば、ウラシル塩基を含む鋳型ポリヌクレオチドは、USER(商標)酵素系 (New England Biolabs) で切断され得る。いくつかの態様において、鋳型ポリヌクレオチドの切断は、切断鎖の末端にリン酸基を有する短縮鋳型ポリヌクレオチドを生成し得る。いくつかの態様では、キナーゼを用いて、切断産物の3'末端上のリン酸基を-OH基に変換することができる。いくつかの態様において、短縮鋳型ポリヌクレオチド上に新たに生成された3'OH末端を、プライマー伸長反応の開始部位として用いることができる。任意に、第1伸長鎖の一部が一本鎖となるように、切断された鋳型ポリヌクレオチドの一部を二重鎖から除去すること(例えば、変性させること)ができる(図9F)。
架橋工程
いくつかの態様において、架橋工程は、二重鎖(例えば、第1伸長鎖にハイブリダイズしている鋳型ポリヌクレオチド)を化合物または照射で処理して、鋳型ポリヌクレオチド上のヌクレオシドと第1伸長鎖上のヌクレオシドの架橋を誘導することを含む(図9F)。
リバース配列決定工程
いくつかの態様において、リバース配列決定工程は、(i) 短縮鋳型ポリヌクレオチド上の末端3'OHからプライマー伸長を開始すること、(ii) プライマー伸長反応(例えば、ポリメラーゼが触媒する連続的なヌクレオチドの取り込み)を行うことにより3'OHを伸長させること、および (iii) 取り込まれたヌクレオチドを同定することを含む。
いくつかの態様において、リバース配列決定工程は、(i)第1伸長鎖の一部に第2プライマーをハイブリダイズさせること、(ii) プライマー伸長反応(例えば、ポリメラーゼが触媒する連続的なヌクレオチドの取り込み)を行うことにより第1プライマーを伸長させること、および (iii) 取り込まれたヌクレオチドを同定することを含む。
いくつかの態様において、リバース配列決定反応は、表面から離れるまたは表面に向かう方向で起こる。図9Eは、表面から離れる方向で起こるフォワード配列決定反応の非限定的な態様を示す。いくつかの態様において、フォワード配列決定反応は、ポリメラーゼおよび複数のヌクレオチドを含む。任意に、ヌクレオチドは検出可能なレポーター部分(例えば、フルオロフォア)で標識してもよいし、または標識されなくてもよい。いくつかの態様において、プライマー伸長反応は第2伸長鎖を生成する。いくつかの態様において、リバース配列決定工程は、第1伸長鎖が第2伸長鎖にハイブリダイズし、共に架橋された二重鎖を生成する。いくつかの態様において、リバース配列決定反応は、ポリメラーゼおよび複数のヌクレオチドを含む。任意に、ヌクレオチドは検出可能なレポーター部分(例えば、フルオロフォア)で標識してもよいし、または標識されなくてもよい。
態様
いくつかの態様において、ペアエンド配列決定反応は、以下を含む:(a) (i)表面に付着しておりかつ少なくとも1つの切断可能な切断性部分を有する鋳型ポリヌクレオチドに第1プライマーをハイブリダイズさせること、(ii) プライマー伸長反応(例えば、ポリメラーゼが触媒する連続的なヌクレオチドの取り込み)を行うことにより第1プライマーを伸長させ、かつ鋳型ポリヌクレオチドにハイブリダイズしている第1伸長鎖を形成すること、および (iii) 第1伸長鎖中に取り込まれたヌクレオチドを同定することによって、鋳型ポリヌクレオチド上で、フォワード配列決定反応を行う工程;(b) 短縮鋳型ポリヌクレオチドを形成するために、切断性部分を熱、照射、少なくとも1種類の化学物質、または少なくとも1種類の酵素と反応させることにより鋳型ポリヌクレオチドを切断する工程と任意に末端3'リン酸基を形成する工程、および任意に末端3'リン酸基を-OH基に変換する工程、および任意に切断された鋳型ポリヌクレオチドの一部を除去する工程;ならびに (c) プライマー伸長反応(例えば、ポリメラーゼが触媒する連続的なヌクレオチドの取り込み)により短縮鋳型ポリヌクレオチド上の末端3' OH基を伸長させ、第2伸長鎖を形成すること、および (iii) 第2伸長鎖中に取り込まれたヌクレオチドを同定することによって、第1伸長鎖(現段階で、短縮鋳型ポリヌクレオチドに架橋されている)上で、リバース配列決定反応を行う工程。
いくつかの態様において、ペアエンド配列決定反応は、以下を含む:(a) (i)表面に付着しており(例えば、その5'末端で固定化されており)かつ少なくとも1つの酵素的に切断可能な切断性部分(例えば、ウラシル塩基)を有する鋳型ポリヌクレオチドに第1プライマーをハイブリダイズさせること、(ii) プライマー伸長反応(例えば、表面に向かう方向での、ポリメラーゼが触媒する連続的なヌクレオチドの取り込み)を行うことにより第1プライマーを伸長させ、鋳型ポリヌクレオチドにハイブリダイズしている第1伸長鎖を形成すること、および (iii) 第1伸長鎖中に取り込まれたヌクレオチドを同定することによって、鋳型ポリヌクレオチド上で、フォワード配列決定反応を行う工程;(b) 短縮鋳型ポリヌクレオチドを形成するために、切断性部分を少なくとも1種類の酵素(例えば、グリコシラーゼおよびリアーゼ)と反応させることにより鋳型ポリヌクレオチドを切断する工程と末端3'リン酸基を形成する工程、および任意に末端3'リン酸基を-OH基に変換する工程(例えば、キナーゼで)、および任意に切断された鋳型ポリヌクレオチドの一部を除去する工程(例えば、変性により);ならびに (c) プライマー伸長反応(例えば、表面から離れる方向での、ポリメラーゼが触媒する連続的なヌクレオチドの取り込み)により短縮鋳型ポリヌクレオチド上の末端3' OH基を伸長させ、第2伸長鎖を形成すること、および (iii) 第2伸長鎖中に取り込まれたヌクレオチドを同定することによって、第1伸長鎖(現段階で、短縮鋳型ポリヌクレオチドに架橋されている)上で、リバース配列決定反応を行う工程。
いくつかの態様において、ペアエンド配列決定反応は、以下を含む:(a) (i)表面に付着しておりかつ少なくとも1つの切断可能な切断性部分を有する鋳型ポリヌクレオチドに第1プライマーをハイブリダイズさせること、(ii) プライマー伸長反応(例えば、ポリメラーゼが触媒する連続的なヌクレオチドの取り込み)を行うことにより第1プライマーを伸長させ、鋳型ポリヌクレオチドにハイブリダイズしている第1伸長鎖を形成すること、および (iii) 第1伸長鎖中に取り込まれたヌクレオチドを同定することによって、鋳型ポリヌクレオチド上で、フォワード配列決定反応を行う工程;(b) 短縮鋳型ポリヌクレオチドを形成するために、切断性部分を熱、照射、少なくとも1種類の化学物質、または少なくとも1種類の酵素と反応させることにより鋳型ポリヌクレオチドを切断する工程と任意に末端3'リン酸基を形成する工程、および任意に末端3'リン酸基を-OH基に変換する工程、および任意に切断された鋳型ポリヌクレオチドの一部を除去する工程;ならびに (c) (i)第1伸長鎖に第2プライマーをハイブリダイズさせること、(ii) プライマー伸長反応(例えば、ポリメラーゼが触媒する連続的なヌクレオチドの取り込み)を行うことにより第2プライマーを伸長させ、鋳型ポリヌクレオチドにハイブリダイズしている第2伸長鎖を形成すること、および (iii) 第2伸長鎖中に取り込まれたヌクレオチドを同定することによって、第1伸長鎖(現段階で、短縮鋳型ポリヌクレオチドに架橋されている)上で、リバース配列決定反応を行うことにより、第1伸長鎖(現段階で、短縮鋳型ポリヌクレオチドに架橋されている)上で、リバース配列決定反応を行う工程。
いくつかの態様において、ペアエンド配列決定反応は、以下を含む:(a) (i)表面に付着しており(例えば、その5'末端で固定化されており)かつ少なくとも1つの酵素的に切断可能な切断性部分(例えば、ウラシル塩基)を有する鋳型ポリヌクレオチドに第1プライマーをハイブリダイズさせること、(ii) プライマー伸長反応(例えば、表面に向かう方向での、ポリメラーゼが触媒する連続的なヌクレオチドの取り込み)を行うことにより第1プライマーを伸長させ、鋳型ポリヌクレオチドにハイブリダイズしている第1伸長鎖を形成すること、および (iii) 第1伸長鎖中に取り込まれたヌクレオチドを同定することによって、鋳型ポリヌクレオチド上で、フォワード配列決定反応を行う工程;(b) 短縮鋳型ポリヌクレオチドを形成するために、切断性部分を少なくとも1種類の酵素(例えば、グリコシラーゼおよびリアーゼ)と反応させることにより鋳型ポリヌクレオチドを切断する工程と末端3'リン酸基を形成する工程、および任意に末端3'リン酸基を-OH基に変換する工程(例えば、キナーゼで)、および任意に切断された鋳型ポリヌクレオチドの一部を除去する工程(例えば、変性により);ならびに (c) (i)第1伸長鎖に第2プライマーをハイブリダイズさせること、(ii) プライマー伸長反応(例えば、表面から離れる方向での、ポリメラーゼが触媒する連続的なヌクレオチドの取り込み)を行うことにより第2プライマーを伸長させ、鋳型ポリヌクレオチドにハイブリダイズしている第2伸長鎖を形成すること、および (iii) 第2伸長鎖中に取り込まれたヌクレオチドを同定することによって、第1伸長鎖(現段階で、短縮鋳型ポリヌクレオチドに架橋されている)上で、リバース配列決定反応を行う工程。
いくつかの態様において、ペアエンド配列決定反応は、以下を含む:(a) (i)表面に付着しておりかつ少なくとも1つの架橋部分および少なくとも1つの切断可能な切断性部分を有する鋳型ポリヌクレオチドに第1プライマーをハイブリダイズさせること、(ii) プライマー伸長反応(例えば、ポリメラーゼが触媒する連続的なヌクレオチドの取り込み)を行うことにより第1プライマーを伸長させ、鋳型ポリヌクレオチドにハイブリダイズしている第1伸長鎖を形成すること、および (iii) 第1伸長鎖中に取り込まれたヌクレオチドを同定することによって、鋳型ポリヌクレオチド上で、フォワード配列決定反応を行う工程;(b) 熱的、化学的、または光化学的条件によって、鋳型ポリヌクレオチドと第1伸長鎖との間の架橋を誘導する工程;(c) 短縮鋳型ポリヌクレオチドを形成するために、切断性部分を熱、照射、少なくとも1種類の化学物質、または少なくとも1種類の酵素と反応させることにより鋳型ポリヌクレオチドを切断する工程と任意に末端3'リン酸基を形成する工程、および任意に末端3'リン酸基を-OH基に変換する工程、および任意に切断された鋳型ポリヌクレオチドの一部を除去する工程;ならびに (d) プライマー伸長反応(例えば、ポリメラーゼが触媒する連続的なヌクレオチドの取り込み)により短縮鋳型ポリヌクレオチド上の末端3' OH基を伸長させ、第2伸長鎖を形成すること、および (iii) 第2伸長鎖中に取り込まれたヌクレオチドを同定することによって、第1伸長鎖(現段階で、短縮鋳型ポリヌクレオチドに架橋されている)上で、リバース配列決定反応を行う工程。
いくつかの態様において、ペアエンド配列決定反応は、以下を含む:(a) (i)表面に付着しており(例えば、その5'末端で固定化されており)かつ少なくとも1つの光架橋部分(例えば、3-シアノビニルカルバゾールヌクレオシド)および少なくとも1つの酵素的に切断可能な切断性部分(例えば、ウラシル塩基)を有する鋳型ポリヌクレオチドに第1プライマーをハイブリダイズさせること、(ii) プライマー伸長反応(例えば、表面に向かう方向での、ポリメラーゼが触媒する連続的なヌクレオチドの取り込み)を行うことにより第1プライマーを伸長させ、鋳型ポリヌクレオチドにハイブリダイズしている第1伸長鎖を形成すること、および (iii) 第1伸長鎖中に取り込まれたヌクレオチドを同定することによって、鋳型ポリヌクレオチド上で、フォワード配列決定反応を行う工程;(b) 適切な波長の光(例えば、366 nm)を架橋部分に照射することによって、鋳型ポリヌクレオチドを第1伸長鎖に架橋する工程;(c) 短縮鋳型ポリヌクレオチドを形成するために、切断性部分を少なくとも1種類の酵素(例えば、グリコシラーゼおよびリアーゼ)と反応させることにより鋳型ポリヌクレオチドを切断する工程と末端3'リン酸基を形成する工程、および任意に末端3'リン酸基を-OH基に変換する工程(例えば、キナーゼで)、および任意に切断された鋳型ポリヌクレオチドの一部を除去する工程(例えば、変性により);ならびに (d) プライマー伸長反応(例えば、表面から離れる方向での、ポリメラーゼが触媒する連続的なヌクレオチドの取り込み)により短縮鋳型ポリヌクレオチド上の末端3' OH基を伸長させ、第2伸長鎖を形成すること、および (iii) 第2伸長鎖中に取り込まれたヌクレオチドを同定することによって、第1伸長鎖(現段階で、短縮鋳型ポリヌクレオチドに架橋されている)上で、リバース配列決定反応を行う工程。
いくつかの態様において、ペアエンド配列決定反応は、以下を含む:(a) (i)表面に付着しておりかつ少なくとも1つの架橋部分および少なくとも1つの切断可能な切断性部分を有する鋳型ポリヌクレオチドに第1プライマーをハイブリダイズさせること、(ii) プライマー伸長反応(例えば、ポリメラーゼが触媒する連続的なヌクレオチドの取り込み)を行うことにより第1プライマーを伸長させ、鋳型ポリヌクレオチドにハイブリダイズしている第1伸長鎖を形成すること、および (iii) 第1伸長鎖中に取り込まれたヌクレオチドを同定することによって、鋳型ポリヌクレオチド上で、フォワード配列決定反応を行う工程;(b) 熱的、化学的、または光化学的条件によって、鋳型ポリヌクレオチドと第1伸長鎖との間の架橋を誘導する工程;(c) 短縮鋳型ポリヌクレオチドを形成するために、切断性部分を熱、照射、少なくとも1種類の化学物質、または少なくとも1種類の酵素と反応させることにより鋳型ポリヌクレオチドを切断する工程と任意に末端3'リン酸基を形成する工程、および任意に末端3'リン酸基を-OH基に変換する工程、および任意に切断された鋳型ポリヌクレオチドの一部を除去する工程;ならびに (d) (i)第1伸長鎖に第2プライマーをハイブリダイズさせること、(ii) プライマー伸長反応(例えば、ポリメラーゼが触媒する連続的なヌクレオチドの取り込み)を行うことにより第2プライマーを伸長させ、鋳型ポリヌクレオチドにハイブリダイズしている第2伸長鎖を形成すること、および (iii) 第2伸長鎖中に取り込まれたヌクレオチドを同定することによって、第1伸長鎖(現段階で、短縮鋳型ポリヌクレオチドに架橋されている)上で、リバース配列決定反応を行うことにより、第1伸長鎖(現段階で、短縮鋳型ポリヌクレオチドに架橋されている)上で、リバース配列決定反応を行う工程。
いくつかの態様において、ペアエンド配列決定反応は、以下を含む:(a) (i)表面に付着しており(例えば、その5'末端で固定化されており)かつ少なくとも1つの光架橋部分(例えば、3-シアノビニルカルバゾールヌクレオシド)および少なくとも1つの酵素的に切断可能な切断性部分(例えば、ウラシル塩基)を有する鋳型ポリヌクレオチドに第1プライマーをハイブリダイズさせること、(ii) プライマー伸長反応(例えば、表面に向かう方向での、ポリメラーゼが触媒する連続的なヌクレオチドの取り込み)を行うことにより第1プライマーを伸長させ、鋳型ポリヌクレオチドにハイブリダイズしている第1伸長鎖を形成すること、および (iii) 第1伸長鎖中に取り込まれたヌクレオチドを同定することによって、鋳型ポリヌクレオチド上で、フォワード配列決定反応を行う工程;(b) 適切な波長の光(例えば、366 nm)を架橋部分に照射することによって、鋳型ポリヌクレオチドを第1伸長鎖に架橋する工程;(c) 短縮鋳型ポリヌクレオチドを形成するために、切断性部分を少なくとも1種類の酵素(例えば、グリコシラーゼおよびリアーゼ)と反応させることにより鋳型ポリヌクレオチドを切断する工程と末端3'リン酸基を形成する工程、および任意に末端3'リン酸基を-OH基に変換する工程(例えば、キナーゼで)、および任意に切断された鋳型ポリヌクレオチドの一部を除去する工程(例えば、変性により);ならびに (d) (i)第1伸長鎖に第2プライマーをハイブリダイズさせること、(ii) プライマー伸長反応(例えば、表面から離れる方向での、ポリメラーゼが触媒する連続的なヌクレオチドの取り込み)を行うことにより第2プライマーを伸長させ、鋳型ポリヌクレオチドにハイブリダイズしている第2伸長鎖を形成する工程、および (iii) 第2伸長鎖中に取り込まれたヌクレオチドを同定することによって、第1伸長鎖(現段階で、短縮鋳型ポリヌクレオチドに架橋されている)上で、リバース配列決定反応を行う工程。
いくつかの態様において、第1伸長鎖は、本教示の任意のペアエンド配列決定反応に従って生成され得る。任意に、第1伸長鎖は、鋳型ポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができ、かつ本教示の任意のペアエンド配列決定反応に従って生成され得る。任意に、第1伸長鎖は、鋳型ポリヌクレオチドに架橋され得、かつ本教示の任意のペアエンド配列決定反応に従って生成され得る。
いくつかの態様において、第2伸長鎖は、本教示の任意のペアエンド配列決定反応に従って生成され得る。任意に、第2伸長鎖は、鋳型ポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができ、かつ本教示の任意のペアエンド配列決定反応に従って生成され得る。任意に、第2伸長鎖は、鋳型ポリヌクレオチドに架橋され得、かつ本教示の任意のペアエンド配列決定反応に従って生成され得る。
組成物およびシステム
いくつかの態様において、本教示は、表面に付着しており、かつ少なくとも1つの切断可能な切断性部分を有する鋳型ポリヌクレオチドを含む、組成物およびシステムを提供する。いくつかの態様において、組成物およびシステムは、表面に付着しており、かつ少なくとも1つの切断可能な切断性部分を有する鋳型ポリヌクレオチドを含み、ここで鋳型ポリヌクレオチドは第1伸長鎖にハイブリダイズしている。いくつかの態様において、組成物およびシステムは、表面に付着している短縮鋳型ポリヌクレオチドを含む第2伸長産物を含み、ここで短縮鋳型ポリヌクレオチドは第1プライマー伸長鎖にハイブリダイズしている。
いくつかの態様において、本教示は、表面に付着しており、かつ少なくとも1つの架橋部分および少なくとも1つの切断可能な切断性部分を有する鋳型ポリヌクレオチドを含む、組成物およびシステムを提供する。いくつかの態様において、組成物およびシステムは、表面に付着しており、かつ少なくとも1つの架橋部分および少なくとも1つの切断可能な切断性部分を有する鋳型ポリヌクレオチドを含み、ここで鋳型ポリヌクレオチドは第1伸長鎖にハイブリダイズしている。いくつかの態様において、組成物およびシステムは、表面に付着しており、かつ少なくとも1つの架橋部分を有する短縮鋳型ポリヌクレオチドを含み、ここで短縮鋳型ポリヌクレオチドは第1プライマー伸長鎖に架橋されている。いくつかの態様において、組成物およびシステムは、表面に付着しており、かつ少なくとも1つの架橋部分を有する短縮鋳型ポリヌクレオチドを含む第2伸長産物を含み、ここで短縮鋳型ポリヌクレオチドは第1プライマー伸長鎖に架橋されている。
以下の実施例は、純粋に例証目的のために提供されるものであり、本開示の範囲または添付の特許請求の範囲を限定することは意図されない。
実施例1
5'-二重ビオチン標識オリゴ(dT)35 (SEQ ID NO:9) をDynaBeads MyOneストレプトアビジンC1磁気ビーズに結合した。オリゴ(dT)35結合ビーズ(SEQ ID NO:9として開示される「(dT)35」)8000万個と0.01 pg/ulのDNA鋳型 800 ulを、ハイブリダイゼーション緩衝液中で混合した。DNA鋳型の配列は以下の通りであった:
Figure 2015526092
。以下の増幅プロトコールを行って、DNA鋳型をビーズにハイブリダイズさせた。95℃ 2分、50℃ 1分、40℃ 1分、30℃ 1分、25℃ 2分。ビーズを洗浄緩衝液で洗浄し、洗浄したビーズに10x NEB緩衝液2 (40 ul)、25 mM dNTP、4 ul、Exo- クレノウ 40 u/ul、4 ul、および水、352 ulを添加し、室温で10分間インキュベートすることにより、Exo- クレノウを用いてプライマーを伸長させた。ビーズを再度洗浄し、鋳型ウォーキング反応を以下の通りに行った。最初に、以下の反応混合物を調製した。
Figure 2015526092
この反応混合物を、60℃で45分間および90分間、振盪しながらインキュベートした。ビーズを洗浄し、ビーズ上の増幅DNAを、以下の反応物を用いてTaqMan qPCRで定量した:
TaqManフォワードプライマー:
Figure 2015526092
TaqManリバースプライマー:
Figure 2015526092
TaqManプローブ:
Figure 2015526092
鋳型ウォーキング反応の前後の増幅倍率を計算し、反応時間に対してプロットした。検出目的のための十分な増幅は、30分以内に認められた。
実施例2
鋳型のビーズへの結合は、以下の鋳型:
Figure 2015526092
を用いて、実施例1に記載された通りに行った。
鋳型ウォーキング反応は、5 ulの1 uM P2プライマー
Figure 2015526092
および5 ul の8 u/ul Bst DNAポリメラーゼ大型断片を反応に添加し、ビーズを一連の温度‐具体的には46℃、51℃、58℃、60℃、63℃、65℃で45分間、振盪しながらインキュベートしたこと以外は、実施例1に記載された通りに行った。
ビーズ上のDNA鋳型を、以下の試薬を用いて、実施例1に記載された通りにTaqMan qPCRで:
TaqManフォワードプライマー:
Figure 2015526092
TaqManリバースプライマー:
Figure 2015526092
TaqManプローブ:
Figure 2015526092
鋳型ウォーキング反応の前後のΔCtを計算し、図5に示されるように、反応温度に対してプロットした。この図は、鋳型ウォーキング反応に及ぼす温度の影響を示す。
実施例3
オリゴ(dT)35 (SEQ ID NO:9) ビーズを実施例1の通りに調製し、オリゴ(dT)35結合ビーズ(SEQ ID NO:9として開示される「(dT)35」)8000万個を、0.04 pg/ulの2種類のDNA鋳型(等モル比)の混合物800 ulと共に、ハイブリダイゼーション緩衝液中でインキュベートした。DNA鋳型の配列は以下の通りである。
DNA鋳型1:
Figure 2015526092
DNA鋳型2:
Figure 2015526092
鋳型のビーズへの結合および鋳型ウォーキング反応は、20 ulの8 u/ul Bst DNAポリメラーゼ大型断片を添加し、ビーズを60℃で45分間、振盪しながらインキュベートしたこと以外は、実施例1に記載された通りに行った。ビーズを洗浄し、96ウェルqPCRプレート中で、1ウェル当たりおよそビーズ5個まで希釈した。以下のプライマーおよびプローブを用いて、96の二重鎖TaqMan qPCR反応を行った。
TaqManフォワードプライマー1:
Figure 2015526092
TaqManリバースプライマー1:
Figure 2015526092
TaqManプローブ1:
Figure 2015526092
TaqManフォワードプライマー2:
Figure 2015526092
TaqManリバースプライマー2:
Figure 2015526092
TaqManプローブ2:
Figure 2015526092
図6は、96の二重鎖TaqMan qPCR反応のCt値を示す。
以下の表1は、Ct値を要約したものである。ビーズ集団の実験上のパーセンテージは、単クローン増幅モデルおよびポアソン (Poison) 分布に基づいて計算された確率と一致する。
Figure 2015526092
実施例4
ビーズ固定化プライマーとして、オリゴ(dT)35 (SEQ ID NO:9) の代わりに5'-二重ビオチン標識オリゴ(dA)35を使用したこと以外は、ビーズは実施例1の通りに調製した。
実施例1に記載された通りに、調製したビーズに以下のDNA鋳型を結合した:
Figure 2015526092
プライマーは、Exo- クレノウを用いて伸長させなかった。鋳型ウォーキングは、20 ulの120 u/ul Bst DNAポリメラーゼ大型断片を添加し、ビーズを37Cで3分間ならびに次いで60Cで45分間および90分間、振盪しながらインキュベートした以外は、実施例1の通りに行った。ビーズ上の増幅DNAを、TaqMan qPCRおよび以下の試薬を用いて定量した。
TaqManフォワードプライマー:
Figure 2015526092
TaqManリバースプライマー:
Figure 2015526092
TaqManプローブ:
Figure 2015526092
鋳型ウォーキング反応の前後の増幅倍率を計算し、図7に示されるように、反応時間に対してプロットした。90分間の鋳型ウォーキング反応の後、ビーズ上のDNA鋳型は約100,000倍増幅された。
実施例5
5'-二重ビオチン標識オリゴ(dA)35 (SEQ ID NO:19) をDynaBeads MyOneストレプトアビジンC1磁気ビーズに結合した。オリゴ(dA)35結合ビーズ(SEQ ID NO:19として開示される「(dA)35」)8000万個を0.1 pg/ulの大腸菌DH10BゲノムDNA断片ライブラリー800 ulと、ハイブリダイゼーション緩衝液中で混合した。ハイブリダイゼーション緩衝液を陰性対照として用いた。DH10B断片ライブラリーは、以下の構造を有した。
Figure 2015526092
以下のプログラムをサーモサイクラー上で実行して、DNA鋳型をビーズにハイブリダイズさせた:95C 2分、50C 1分、40C 1分、30C 1分、25C 2分。ビーズを洗浄し、鋳型ウォーキング反応を以下の通りに行った:
Figure 2015526092
ビーズを、37Cで3分間および次いで60Cで45分間、振盪しながらインキュベートした。次いでビーズを洗浄し、DH10B断片ライブラリー中のP1アダプター配列を標的化するcy5標識オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせることによって、蛍光標識で染色した。染色されたビーズを顕微鏡スライド上に置き、蛍光顕微鏡で撮像した。
ビーズの白色光画像とビーズのcy5蛍光画像の移動重ね合わせは、ビーズの白色光画像を黒い点として、およびcy5標識ビーズを赤い点として示した。ビーズの約15%はcy5で陽性染色されると見なされ、残りは陰性であった。
鋳型ウォーキングのための別の例示的なプロトコールは、以下の通りに行った。
ハイブリダイゼーションおよびプライマー伸長:
鋳型を、1x NEB緩衝液2中で100 pMの最終濃度まで希釈した。鋳型を95℃で3分間加熱し、次いで氷上で保持した。ハイブリダイゼーション/反応混合物は、以下の通りに調製した。
Figure 2015526092
10μlの反応混合物を、StarLightフローセルの選択したレーンに添加し、フローセルを37℃で20分間。各レーンを1x TMAX緩衝液 1 mlで2回洗浄した。
鋳型ウォーキング:
ウォーキング反応混合物は、以下の通りに調製した。
Figure 2015526092
10μlの反応混合物を各レーンに添加し、フローセルを60℃で20分間インキュベートした。各レーンを1x TMAX緩衝液 1 mlで2回洗浄し、この核酸を所望に応じて解析に供した。
実施例6
本実施例は、マトリックスの形態をした支持体上への核酸のクローン増幅、およびその後の、Ion Torrent PGM(商標)シーケンサーを用いる、得られた増幅集団の配列決定を説明するものであり、このシーケンサーは、化学感受性電界効果トランジスタ (chemFET) を用いてヌクレオチド取り込みの副産物を検出するイオンベースの配列決定システムである。例示的な態様を図3に示す。1つの態様では、鋳型ウォーキングのための少なくとも1つのプライマーを、個々のウェルの表面(例えば、底)上に固定化し、ここで個々のウェルは対応するトランジスタに機能的に接続される。
鋳型の調製:
ライブラリーは、Life Technologies SOLiD 4.0 User Manualに記載される通りに調製した。簡潔に述べると、大腸菌株DH10Bから単離された2 ugのゲノムDNAを、Covaris S2システムを用いて剪断した。剪断DNAを末端修復し、SOLiD Library Column Purification Kitで精製した。
SOLiD(商標)4 System(Applied Biosystems、Life Technologies)のUser MannualのAppendix Cにおける手順に従って、一本鎖の相補的オリゴヌクレオチドであるION Adaptor Oligo 1とION Adaptor Oligo 1'を互いにハイブリダイズさせることにより、二本鎖アダプター(「ION Adaptor 1」)を調製した。ION Adaptor Oligo 1は、30マー長である(すなわち、30ヌクレオチド長である)プライミング配列を含み、ION Adaptor Oligo 1'は、5'末端にこの30マーのプライミング配列の相補体、および3'末端に付加的な2つのチミジン残基(「TT」)を含んだ。ION Adaptor Oligo 1とION Adaptor Oligo 1'とのハイブリダイゼーションは、二本鎖アダプター「ION Adaptor 1」を形成し、これは30マーの二本鎖プライミング配列を含み、かつ1つの平滑末端、および2つの付加的なT残基の3'オーバーハングを含む1つの「粘着」末端を有する。以下に記載されるように、PCR段階では、ION Adaptor Oligo 1の最初の20ヌクレオチドのみを含む第3のプライマー、ION Adapter A PCRプライマーを使用した。
同様に、SOLiD 4.0 User MannualのAppendix Cにおける手順を用いて、相補的な一本鎖オリゴヌクレオチドであるION T-Tailed Adaptor Oligo 2とION A-Tailed Adaptor Oligo 2'をハイブリダイズさせることにより、第2の二本鎖アダプター(「ION Adaptor 2」)を調製した。ION T-tailed Adaptor Oligo 2は、52マー長であり、5'末端に30ヌクレオチドのプライミング配列を、続いて3'末端に22個のチミジン(「T」)残基 (SEQ ID NO:22) の一続きを含んだ。ION A-tailed Adaptor Oligo 2'は、50マー長であり、5'末端に20個のアデニン(「A」)残基 (SEQ ID NO:21) の一続きを、続いてION T-tailed Adaptor Oligo 2のプライミング配列と相補的な30ヌクレオチドの一続きを含んだ。ION T-tailed Adaptor Oligo 2とION A-tailed Adaptor Oligo 2'とのハイブリダイゼーションは、二本鎖アダプター「Ion Adaptor 2」を形成し、これは20マーのポリA/ポリT二重鎖(それぞれSEQ ID NO:21および3)に隣接する30マーの二本鎖プライミング配列を含み、1つの平滑末端、および2つの付加的なT残基の3'オーバーハングを含む1つの「粘着」末端を有する。
二本鎖アダプターであるIon Adaptor 1およびIon Adaptor 2を、末端修復されたDNAに連結した。連結産物をサイズ選択し、以下のプライマーを用いる8サイクルの増幅に供した:Ion Adaptor A PCRプライマー(これは、ION Adaptor Oligo 1の最初の20ヌクレオチドのみを含んだ)およびION T-tailed Adaptor Oligo 2。増幅された反応産物をサイズ選択に供したところ、209 bpの中央値サイズを有する、最終的な適合化二本鎖DNAライブラリーが得られた。
核酸の等温増幅:
上記のようにして得られた適合化二本鎖ライブラリーを、30マーのポリAプライマー (SEQ ID NO:1) を含むポリマーマトリックスと混合した(これらのマトリックスは、本明細書ではScaffolded Nucleic Acid Polymer Particle(足場付き核酸ポリマー粒子)を略して「SNAPP」と称され、本質的には米国特許出願公開第20100304982号、Hinz et al.に記載される通りに調製した)。
粒子への鋳型のアニーリング:
二本鎖ライブラリーをSNAPP粒子にアニールさせた。簡潔に説明すると、1000万個のSNAPPを緩衝液中で2回洗浄した(各洗浄は、ピペッティングで上下させてSNAPPを再懸濁し、次いで遠心分離によりSNAPPをペレット化することによって行った)。
ライブラリーが100 ulの全量中に、1つのSNAPP当たり1つの二本鎖鋳型分子という平均比で添加されるように、dsDNAアダプターが連結されかつサイズ選択されたライブラリーを緩衝液中に希釈した。
以下の熱サイクリングプログラムを実行することによって、鋳型ライブラリーをSNAPPにハイブリダイズさせた:
95℃で3分間
50℃で1分間
40℃で1分間
30℃で1分間
25℃で2分間
鋳型をアニールさせたSNAPPを、緩衝液中で2回洗浄した。
等温鋳型反応および処理:
アニールさせかつ洗浄したSNAPPを、以下の増幅反応混合物中に再懸濁した:
1X φ29 DNAポリメラーゼ反応緩衝液、0.1 mg/mL BSA、1 uM ION Adaptor A PCRプライマー、1 mM 等モルdNTP混合物、および100 U φ29酵素(NEB #M0269L)
SNAPPを含む増幅反応混合物を次に、サーモミキサー中で1000 RPMで振盪しながら、以下の通りにインキュベートした:
30℃で6時間
65℃で30分間
SNAPPをペレット化し、Life TEX緩衝液中で2回洗浄した。
次に、各洗浄が室温で5分間のインキュベーションである、ION変性溶液(125 mM NaOH、0.1% Tween-20)中での2回の洗浄を行うことによって、SNAPP上の二本鎖増幅DNAを変性させて、SNAPPに共有結合で付着していない相補鎖を除去した。
次いでSNAPPを、Life TEX緩衝液(10 mM Tris、1 mM EDTA、0.01% TritonX-100)中で2回洗浄した。次いでSNAPPを、以下に記載される通りに、Ion Torrent PGM(商標)シーケンサーを用いるイオンベースの配列決定反応に供した。
Ion Torrent PGM(商標)シーケンサーを用いる配列決定
増幅DNAを含むSNAPPを、GibcoブランドPBS、pH 7.2(1.54 mM リン酸二水素カリウム、155.17 mM 塩化ナトリウム、2.71 mM リン酸水素ナトリウム)と0.2% Tween-20とを含むアニーリング緩衝液中で2回洗浄した。
5 ulのION配列決定プライマー(Ion PGM(商標)314配列決定キット、品番4462909;Life Technologiesの子会社であるIon Torrent Systems、Carlsbad,CAの、核酸、酵素、および対照キット、品番4462916中に提供されるような、品番602-1021-03)を、洗浄したSNAPPに添加し、サーモサイクラー中で以下の通りにハイブリダイズさせた:
95℃で2分間
37℃で2分間
アニールさせたSNAPPをアニーリング緩衝液中で2回洗浄し、最終洗浄後、SNAPPペレット上におよそ7 ulの緩衝液を残した。
1 ulのIon配列決定ポリメラーゼ(Ion PGM(商標)314配列決定キット、品番4462909;Life Technologies Corp.の子会社であるIon Torrent Systems、Carlsbad,CAの、核酸、酵素、および対照キット、品番4462916中に提供されるような、品番602-1023−01)をSNAPPに添加し、この混合物を室温で5分間インキュベートした。
SNAPPを水浴中で10秒間穏やかに超音波処理して、あらゆる凝集塊を分散させた。
2 ulの50%グリセロール(アニーリング緩衝液中で希釈)を添加し、試料をIon配列決定314キット(品番4462909、Ion Torrent Systems、Life Technologies)由来のIon Torrent PGM(商標)314配列決定チップ上に負荷した。簡潔に説明すると、50 ulのアニーリング緩衝液(PGM試薬キット、品番4465455、Ion Torretn Systems中に含まれる、品番603-1047-01)の添加により、チップをプライミングした。10 ulの試料をチップのポートに注入し、次にこのチップを10分間遠心分離した。PGM(商標)配列決定の実行を、標準的なヌクレオチド流入順を用いて55サイクル行った。
この方法を用いて、最低でもQ17の質(2%までのエラーを許容する)を有する合計21個のアラインメントが生成され、これはDH10b配列のマッピングされた塩基1391個に相当する。これらの配列決定リード中には、Q20の質(1%のエラーのみを許容する)の基準を満たす18個のアラインメントが含まれ、これはマッピングされた塩基956個に相当する。得られた最長アラインメントは、Q20の質(1%のエラー、この場合1塩基のミスマッチ)を有する109塩基であった。完全にマッピングされた最長リード(すなわち、エラーなしのリード)は、95塩基長であった。
実施例7:「二重」ウォーキング
本実施例では、フォワードプライマーおよびリバースプライマーの両方が、最適な等温増幅条件で局所変性しやすいブリーザブルPBSを有する。したがって、各PBSは、伸長されていない新たなプライマーと再会合する同様の傾向を有する。フォワードプライマーは支持体上に固定化され、したがってフォワードPBSは、第1フォワードプライマーからの解離後に、第1フォワードプライマーの近くに固定化されている第2の異なるフォワードプライマーと再ハイブリダイズすることができる。同様に、リバースPBSは、第1の可溶性リバースプライマーから解離し、第2の可溶性リバースプライマーに再ハイブリダイズする傾向があり、これが次に伸長される。
以下の増幅反応を行った。
ハイブリダイゼーション:
1X SSPEt緩衝液中で総濃度100 pMの鋳型を、熱によって予め変性させ(95℃で3分間)、氷上で保持した。12 ulを各レーンに添加した。混合物を75℃で2分間、50℃で1分間、40℃で1分間、30℃で1分間、25℃で2分間に供した。レーンを0.1X SSPEt(2x 1 ml)で洗浄した。
プライマー伸長:
以下のマスター混合物を調製した:5μlの10X NEB緩衝液2;0.5μlの100 mM dNTP;1μlのクレノウ(NEB 5 u/ul、M0212L);43.5μlのdH2O(合計50μl)。12 uLの反応混合物を全レーンに添加し、37Cで30分間インキュベートした。レーンを2x SSC + 0.1% SDS、1X TMAX (1 mL) で洗浄し、1X NEB ThermoPol緩衝液と共に60℃で40分間インキュベートし、2x SSC + 0.1% SDS、1X TMAX (1 mL) で再度洗浄した。
鋳型ウォーキング:
以下のマスター混合物を調製した:10μlの10X NEB ThermoPol緩衝液;2μlの100 mM dNTP;50μlの可溶性プライマーPE;40μlのBst (NEB 120 u/ul);47μlのdH2O(合計100μl)。マスター混合物12μLを各レーンに添加し、60℃で30分間インキュベートした。12μlの上清を採取し、1:100に希釈し、5μlをTaqmanアッセイに使用した。レーンを2x SSC + 0.1% SDS、1X TMAX (1 ml) で洗浄した。HiDi洗浄(12 uLで5分間を2回)では、レーンを1X TMAX (2x 1 ml) で洗浄した。
TaqMan反応用に、10μlのTaqMan Fast Universal Master Mix,No UNG;1μlの20x プライマープローブ混合物;4μlのH2O;5μlのストック溶液(合計:20μl)を用いて、反応混合物を調製した。この混合物を、95℃(20秒)および40回の熱サイクル(95℃ 3秒、60℃ 30秒)に供し、その後データ収集を行った。
2つのブリーザブルプライマー(固定化「フォワード」プライマーおよび可溶性の遠位「リバース」プライマー、以下の表2ではPeまたはPdと称される)を用いる増幅は、1つのブリーザブルプライマーのみを用いるよりもより効果的であった。
Figure 2015526092
当業者は、本明細書に記載される本発明の特定の態様に対する多くの等価物を認識するか、または日常的な程度の実験法を用いて確認することができるであろう。本発明の範囲は、上記の説明に限定されることは意図されない。
文脈から別途明らかである場合を除き、任意の特徴は、任意の他のものと組み合わせて特許請求され得、または別の特徴と組み合わせて存在しないものとして特許請求され得る。ある特徴は、本発明を特徴づけ得る任意の1つの情報であってよく、または添付の特許請求の範囲、例えば、任意の変化、段階、特徴、特性、組成物、方法、段階、程度、レベル、成分、材料、物質、要素、様式、変数、局面、測定値、量、選択肢、態様、条項、記述用語、添付の特許請求の範囲の要素または制限を限定し得る。
一般に、本明細書に記載される特徴は、本明細書において必要であると明確に示されない限り、任意的であることが意図される。ある特徴が本明細書において任意的と見なされることを示している文言の非限定的な例には、「変化形 (variation)」、「そこで (where)」、「その間に (while)」、「その時 (when)」、「任意に (optionally)」、「含む (include)」、「好ましい (preferred)」、「特別な (especial)」、「推奨される (recommended)」、「望ましい (advisable)」、「特定の (particular)」、「すべきである (should)」、「代替の (alternative)」、「典型的な (typical)」、「代表的な (representative)」、「様々な (various)」、「など (such as)」、「等 (the like)」、「できる (can)」、「かもしれない (may)」、「例 (example)」、「態様 (embodiment)」もしくは「局面 (aspect)」、「場合により (in some)」、「例 (example)」、「例示的な (exemplary)」、「事例 (instance)」、「もし (if) 」などの用語、またはこのような用語の任意の組み合わせおよび/もしくは変化形が含まれる。
ある特徴が任意的であるというあらゆる指摘は、この任意的特徴に関する閉鎖的または排他的または否定的な文言を含む添付の特許請求の範囲に、(例えば、35 U.S.C. 112またはEPCのArt. 83および84の下で)適切な支持を提供することが意図される。排他的な文言は具体的に、特定の列挙された特徴を、いかなる付加的な主題を含めることからも排除する。例えば、Aが薬物Xであり得ることが指摘される場合、このような文言は、AがXのみからなること、またはAがX以外のいかなる他の薬物も含まないことを明確に規定する添付の特許請求の範囲への支持を提供することが意図される。「否定的な」文言は、添付の特許請求の範囲からその任意的特徴自体を明確に排除する。例えば、要素AがXを含み得ることが指摘される場合、このような文言は、AがXを含まないことを明確に規定する添付の特許請求の範囲への支持を提供することが意図される。
排他的または否定的な用語の非限定的な例には、「のみ (only)」、「単に (solely)」、「〜からなる (consisting of)」、「本質的に〜からなる (consisting essentially of)」、「単独で (alone)」、「なしで (without)」、「〜(例えば、同じ種類、構造、および/または機能の他の物品)の非存在下で (in the absence of)」、「〜を除いて (excluding)」、「〜を含まない (not including)」、「ではない (not)」、「しない (doesn't)」、「できない (cannot)」、またはこのような用語の任意の組み合わせおよび/もしくは変化形が含まれる。
同様に、「1つの (a)」、「1つの (an)」、「該 (said)」、または「その (the)」などの指示対象は、文脈上別の意味を示していない限り、単数および/または複数の存在の両方を支持することが意図される。例えば、「イヌ (a dog)」は、1匹のイヌ、1匹以下のイヌ、少なくとも1匹のイヌ、複数匹のイヌ等への支持を含むことが意図される。単一性を示す修飾語の非限定的な例には、「単一 (a single)」、「1つ (one)」、「単独 (alone)」、「1つのみ (only one)」、「1つ以下 (not more than one)」等が含まれる。(潜在的または実際的な)複数性を示す修飾語の非限定的な例には、「少なくとも1つ (at least one)」、「1つまたは複数 (one or more)」、「2つ以上 (more than one)」、「2つまたはそれ以上 (two or more)」、「多数 (a multiplicity)」、「複数 (a plurality)」、「〜の任意の組み合わせ (any combination of)」、「〜の任意の順列 (any permutation of)」、「〜のうちのいずれか1つまたは複数 (any one or more of)」等が含まれる。ある群の1つもしくは複数のメンバーの間に「または」を含む添付の特許請求の範囲または説明は、特に反対の指示がないか、または文脈から別段明白でない限り、その群のメンバーのうちの1つ、2つ以上、またはすべてが、所与の産物または工程において存在する、使用される、またはさもなくば関連している場合に、満たされると考えられる。
さらに、本発明が、本明細書に記載される任意の1つまたは複数の特徴のすべての変化形、組み合わせ、および順列を包含することが理解されるべきである。本明細書において特定の除外が明確に記載されない場合でさえ、任意の1つまたは複数の特徴は、添付の特許請求の範囲から明確に除外され得る。ある方法において使用するための試薬の開示は、当業者がそうではないと理解する場合を除き、本明細書に開示される特定の方法または当技術分野で公知の他の方法のいずれかに従ってその試薬の使用を含む方法と同義である(およびその方法への支持を提供する)ことが意図されることもまた理解されるべきである。加えて、本明細書および/または添付の特許請求の範囲がある方法を開示する場合、当業者がそうではないと理解する場合を除き、本明細書に開示される試薬のうちのいずれか1つまたは複数が、この方法で使用され得る。
本明細書において引用された出版物および特許はすべて、各個々の出版物または特許が詳細にかつ個別に参照により組み入れられることが示されるがごとく、参照により本明細書に組み入れられる。GIDまたはアクセッション番号によって参照されるGenbank記録、特に任意のポリペプチド配列、ポリヌクレオチド配列、またはそれらのアノテーションは、参照により本明細書に組み入れられる。いかなる出版物の引用も、本出願日前の開示のためであり、本発明が先行発明のせいでそのような出版物を先行できないことを認めると解釈されるべきではない。
本明細書において範囲が示される場合、端点も含まれる。さらに、別段の指示がないか、または文脈および当業者の理解から別段明白でない限り、範囲として表される値は、文脈上明白に他の意味を示す場合を除いて、本発明の異なる態様において言及された範囲内の、その範囲の下限の単位の10分の1までの任意の具体的な値または部分範囲を想定し得ることが理解されるべきである。

Claims (19)

  1. 以下を含む、ペアエンド配列決定のための方法:
    (a) (i) 表面に付着しておりかつ少なくとも1つの切断可能な切断性部分を有する鋳型ポリヌクレオチドに第1プライマーをハイブリダイズさせること、(ii) ポリメラーゼが触媒する連続的なヌクレオチドの取り込みによるプライマー伸長反応を行うことにより第1プライマーを伸長させ、該鋳型ポリヌクレオチドにハイブリダイズしている第1伸長鎖を形成すること、および (iii) 第1伸長鎖中に取り込まれたヌクレオチドを同定することによって、該鋳型ポリヌクレオチド上で、フォワード配列決定反応を行う工程;
    (b) 短縮鋳型ポリヌクレオチドを形成するために、該切断性部分を熱、照射、少なくとも1種類の化学物質、または少なくとも1種類の酵素と反応させることにより該鋳型ポリヌクレオチドを切断する工程と任意に末端3'リン酸基を形成する工程、および任意に末端3'リン酸基を-OH基に変換する工程、および任意に切断された鋳型ポリヌクレオチドの一部を除去する工程;ならびに
    (c) ポリメラーゼが触媒する連続的なヌクレオチドの取り込みによるプライマー伸長反応により該短縮鋳型ポリヌクレオチド上の末端3' OH基を伸長させ、第2伸長鎖を形成すること、および (iii) 第2伸長鎖中に取り込まれたヌクレオチドを同定することによって、第1伸長鎖上でリバース配列決定反応を行う工程。
  2. 前記鋳型ポリヌクレオチドの5'末端が表面に付着している、請求項1記載の方法。
  3. 前記鋳型ポリヌクレオチドが架橋部分をさらに含む、請求項1記載の方法。
  4. 前記架橋部分が3-シアノビニルカルバゾールヌクレオシドを含む、請求項3記載の方法。
  5. 前記切断可能な切断性部分がウラシル塩基を含む、請求項1記載の方法。
  6. 照射の適切な波長が366 nmを含む、請求項1記載の方法。
  7. 前記切断性部分を切断する前記少なくとも1種類の酵素がグリコシラーゼを含む、請求項1記載の方法。
  8. 前記切断性部分を切断する前記少なくとも1種類の酵素がリアーゼを含む、請求項1記載の方法。
  9. 前記末端3'リン酸基がキナーゼ酵素によって-OH基に変換される、請求項1記載の方法。
  10. 前記切断された鋳型ポリヌクレオチドの前記一部が変性によって除去される、請求項1記載の方法。
  11. 以下を含む、ペアエンド配列決定のための方法:
    (a) (i) 表面に付着しておりかつ少なくとも1つの架橋部分および少なくとも1つの切断可能な切断性部分を有する鋳型ポリヌクレオチドに第1プライマーをハイブリダイズさせること、(ii) ポリメラーゼが触媒する連続的なヌクレオチドの取り込みによるプライマー伸長反応を行うことにより第1プライマーを伸長させ、該鋳型ポリヌクレオチドにハイブリダイズしている第1伸長鎖を形成すること、および (iii) 第1伸長鎖中に取り込まれたヌクレオチドを同定することによって、該鋳型ポリヌクレオチド上で、フォワード配列決定反応を行う工程;
    (b) 熱的、化学的、または光化学的条件によって、該鋳型ポリヌクレオチドと第1伸長鎖との間の架橋を誘導する工程;
    (c) 短縮鋳型ポリヌクレオチドを形成するために、該切断性部分を熱、照射、少なくとも1種類の化学物質、または少なくとも1種類の酵素と反応させることにより該鋳型ポリヌクレオチドを切断する工程と任意に末端3'リン酸基を形成する工程、および任意に末端3'リン酸基を-OH基に変換する工程、および任意に切断された鋳型ポリヌクレオチドの一部を除去する工程;ならびに
    (d) ポリメラーゼが触媒する連続的なヌクレオチドの取り込みによるプライマー伸長反応により該短縮鋳型ポリヌクレオチド上の末端3' OH基を伸長させ、第2伸長鎖を形成すること、および (iii) 第2伸長鎖中に取り込まれたヌクレオチドを同定することによって、第1伸長鎖上でリバース配列決定反応を行う工程。
  12. 前記鋳型ポリヌクレオチドの5'末端が表面に付着している、請求項11記載の方法。
  13. 前記架橋部分が3-シアノビニルカルバゾールヌクレオシドを含む、請求項11記載の方法。
  14. 切断可能な部分がウラシル塩基を含む、請求項11記載の方法。
  15. 照射の適切な波長が366 nmを含む、請求項11記載の方法。
  16. 前記切断性部分を切断する前記少なくとも1種類の酵素がグリコシラーゼを含む、請求項11記載の方法。
  17. 前記切断性部分を切断する前記少なくとも1種類の酵素がリアーゼを含む、請求項11記載の方法。
  18. 前記末端3'リン酸基がキナーゼ酵素によって-OH基に変換される、請求項11記載の方法。
  19. 前記切断された鋳型ポリヌクレオチドの前記一部が変性によって除去される、請求項11記載の方法。
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