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JP2022114938A - 混合システム、及びポリウレタンフォーム - Google Patents

混合システム、及びポリウレタンフォーム Download PDF

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JP2022114938A
JP2022114938A JP2021011434A JP2021011434A JP2022114938A JP 2022114938 A JP2022114938 A JP 2022114938A JP 2021011434 A JP2021011434 A JP 2021011434A JP 2021011434 A JP2021011434 A JP 2021011434A JP 2022114938 A JP2022114938 A JP 2022114938A
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建彦 牛見
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信緒 松木
Nobuo Matsuki
健 下島
Takeshi Shimojima
悠 柿本
Yu Kakimoto
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Abstract

【課題】発泡剤としてHFOを用いた場合においても、良好な難燃性を示すポリウレタンフォームを形成可能な、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物の混合システムを提供することを課題とする。【解決手段】ポリオール組成物が充填されている第1の容器と、ポリイソシアネート組成物が充填されている第2の容器を備え、前記第1の容器から吐出される前記ポリオール組成物と、前記第2の容器から吐出される前記ポリイソシアネート組成物を混合する混合システムであって、ポリオール組成物がポリオール化合物、触媒、及びハイドロフルオロオレフィンを含み、ポリイソシアネート組成物がポリイソシアネート化合物を含み、前記第1の容器と第2の容器の初期内圧比が、1:0.5~1:2である、混合システム。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物を混合する混合システム、及び該混合システムにより得られるポリウレタンフォームに関する。
従来、ポリウレタンフォームは、自動車、鉄道車輌、船舶などの乗り物、建築物などにおいて断熱材として使用されている。また、乗り物、建物等に生じた欠損部を埋める補修剤としても利用されている。最近では、これら断熱材および補修剤等に難燃性を付与するニーズが高まっている。
ポリウレタンフォームとしては、別々の容器に充填されたポリオール液剤とイソシアネート液剤とを混合してフォームを形成する2液型ポリウレタンが広く使用されている。
2液型ポリウレタンは、各液を比較的簡単な構成で容器から吐出させ、混合させることが可能であるため、エアゾール容器で使用されることがある。2液型ポリウレタンがエアゾール容器で使用される場合、一方の容器にポリオール化合物と低沸点化合物が、他方の容器にポリイソシアネート化合物と低沸点化合物が充填される。各容器からは、低沸点化合物の蒸気圧により、ポリオール液剤及びイソシアネート液剤をそれぞれ吐出させ、それらを混合することで、ポリウレタンフォームを形成する。
エアゾール容器に使用される低沸点化合物としては、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ジメチルエーテル(DME)、液化石油ガス(LPG)などが使用される。また、HFC、HCFCは、地球温暖化係数が高いことから、これらを代替する化合物が求められている。
例えば、特許文献1では、低沸点化合物を特定量含む、硬質ポリウレタンフォーム用2液型エアゾール組成物について記載されており、低沸点化合物として、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)などを使用することにより、地球温暖化に対して悪影響を与えないことが記載されている。
また、地球温暖化及びオゾン層破壊などの環境問題のないハイドロフルオロオレフィン(以下「HFO」と記載することがある。)が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2006-169474号公報 特開2018-21199号公報
2液型ポリウレタンのエアゾールでは、ポリオール液剤とイソシアネート液剤を各容器から吐出する際、一定の範囲内の初期吐出量が必要である。例えば、HFOは、上述のように、環境保護の観点から好適であるが、蒸気圧によって十分な圧力を担保することができず、初期吐出量が不足するという問題があった。初期吐出量が不十分であると、ポリオール液剤とイソシアネート液剤が十分に混合せずにポリウレタンフォームが適切に形成されず、難燃性などの各種性能が低下する。
また、近年、防災意識の高まりなどから、断熱材として使用されるポリウレタンフォームに高い難燃性能が求められることがあり、難燃効果の高い難燃剤の使用などが検討されている。しかし、難燃効果の高い難燃剤は、固形状のものが多く、例えばポリオールに配合するとポリオール液剤の流動性を低下させることになる。そのため、エアゾールにおいてポリオール液剤の初期吐出量がさらに不十分となり、ポリオール液剤がイソシアネート液剤と十分に混合しないなどの不具合が生じて、難燃性を十分に高められないという問題があった。
そこで、本発明は、発泡剤としてHFOを用いた場合においても、良好な難燃性を示すポリウレタンフォームを形成可能な、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物の混合システムを提供することを課題とする。
本発明者らは、ポリオール化合物、触媒、及びHFOを含むポリオール組成物が充填された第1の容器と、ポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート組成物が充填された第2の容器とを備える混合システムにおいて、第1の容器と第2の容器の初期内圧比を所定の範囲内とすることで、上記課題の解決を見出し、以下の本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の[1]~[9]を提供する。
[1]ポリオール組成物が充填されている第1の容器と、ポリイソシアネート組成物が充填されている第2の容器を備え、前記第1の容器から吐出される前記ポリオール組成物と、前記第2の容器から吐出される前記ポリイソシアネート組成物を混合する混合システムであって、前記ポリオール組成物がポリオール化合物、触媒、及びハイドロフルオロオレフィンを含み、前記ポリイソシアネート組成物がポリイソシアネート化合物を含み、前記第1の容器と第2の容器の初期内圧比が、1:0.5~1:2である、混合システム。
[2]前記ポリオール組成物及び前記ポリイソシアネート組成物の不揮発分が、それぞれ80~99質量%である、[1]に記載の混合システム。
[3]前記ポリオール組成物が、ガス成分を含み、該ガス成分が、液化ガス、及び圧縮ガスからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、[1]又は[2]に記載の混合システム。
[4]前記第1の容器と第2の容器の初期内圧が、それぞれ0.3~0.8MPaである、[1]~[3]のいずれか1項に記載の混合システム。
[5]前記ポリオール組成物が、さらにリン酸エステルを含む、[1]~[4]のいずれか1項に記載の混合システム。
[6]前記ポリオール組成物が、さらにフィラーを含む、[1]~[5]のいずれか1項に記載の混合システム。
[7]前記ポリイソシアネート組成物が、さらにハイドロフルオロオレフィンを含む、[1]~[6]のいずれか1項に記載の混合システム。
[8]前記ポリイソシアネート組成物が、ガス成分を含み、該ガス成分が、液化ガス、及び圧縮ガスからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、[1]~[7]のいずれかに記載の混合システム。
[9][1]~[8]のいずれか1項に記載の混合システムにおいて、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物を混合かつ発泡させてなるポリウレタンフォーム。
本発明によれば、発泡剤としてHFOを用いた場合においても、良好な難燃性を示すポリウレタンフォームを形成可能な、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物の混合システムを提供することができる。
本発明の混合システムの一態様を示す概念図である。
[混合システム]
本発明の混合システムの概要について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の混合システムの概要を示す模式図である。本発明の混合システム10は、ポリオール組成物が充填されている第1の容器11と、ポリイソシアネート組成物が充填されている第2の容器12と、第1の容器から吐出されたポリオール組成物と、第2の容器から吐出されたポリイソシアネート組成物を混合する混合部としての静止型混合器(スタティックミキサー)13を備える。
(初期内圧比)
本発明の混合システムは、第1の容器11と第2の容器12の初期内圧比が、1:0.5~1:2である。初期内圧比が前記範囲外である場合、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物からなるポリウレタン組成物の組成を所望通りに調整できず、該ポリウレタン組成物のイソシアネートインデックスが低くなるなどして、該ポリウレタン組成物からなるポリウレタンフォームの難燃性が十分得られない。こうした観点を踏まえると、第1の容器11と第2の容器12の初期内圧比は、1:0.7~1:1.5が好ましく、1:0.8~1:1.2がより好ましい。
(初期内圧)
本発明の混合システムは、第1の容器11及び第2の容器12の35℃における初期内圧が、いずれも0.3~0.8MPaの範囲であることが好ましい。初期内圧が0.3MPa以上であると、噴射圧が高く、十分な初期吐出量を得ることができる。一方、初期内圧が0.8MPa以下であると耐圧性の容器とする必要がなく、また初期吐出量が必要以上に多くなることもない。以上の観点から、第1の容器及び第2の容器の初期内圧は、いずれも0.4~0.7MPaの範囲が好ましく、0.5~0.7MPaの範囲がより好ましい。
ここで、初期内圧とは、ポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物が吐出される前の初期状態における内圧を示す。
なお、第1の容器と第2の容器の初期内圧は同じであっても異なってもよい。
また、ポリオール組成物を充填する第1の容器の初期内圧が、ポリイソシアネート組成物を充填する第2の容器の初期内圧より高いことも好ましい。第1の容器の初期内圧を高くすると、例えばポリオール組成物がフィラーを含有してもポリオール組成物の吐出量を多くでき、そのため、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物をバランス良く混合させて、難燃性を高めやすくなる。この際の第1の容器と第2の容器の初期内圧の差は、例えば、0.45MPa以下であればよく、好ましくは0.05~0.2MPaである。
なお、各容器の初期内圧は、後述するHFOの種類、量、ガス成分の蒸気圧、量、ガス成分やHFOとポリオール化合物、又はガス成分やHFOとポリイソシアネート化合物の相溶性等によって調整できる。
第1及び第2の容器11、12は、エアゾール用のスプレー缶であることが好ましく、ステムバルブで密封されることが好ましい。ステムバルブを使用する場合には、例えば、ガス成分以外の組成物がスプレー缶に充填された後、ステムバルブで該容器が密封され、その後ガス成分がステムバルブから充填されるとよい。第1の容器11内部では、ポリオール組成物の一部が気化して気相を形成し、第2の容器12内部では、ポリイソシアネート組成物の一部が気化して気相を形成してもよい。
第1及び第2の容器11、12から吐出されたポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物は、発泡剤などにより発泡されながら混合され、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とが反応することで、ポリウレタンフォーム(ポリウレタン組成物)を形成する。
また、混合システム10は、静止型混合器(スタティックミキサー、以下単に「混合器」ということがある。)13を備えるとよい。静止型混合器13は、駆動部のない混合器であって、流体が管体内部を通過することで、流体が混合されるものである。静止型混合器は、例えば、図1に示すように管体13Aの内部にミキサーエレメント13Bが配置されたものが挙げられる。ミキサーエレメント13Bとしては、螺旋状に形成されたもの、複数の邪魔板が形成されたものなどがある。
本発明の混合システム10では、第1及び第2の容器11、12のそれぞれの吐出口11A、12Aは、供給ライン11B,12Bを介して混合器13に接続される。吐出口11A、12Aには、ステムバルブなどのバルブが設けられてもよい。第1及び第2の容器11、12から吐出されたポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物は、それぞれ供給ライン11B,12Bを介して、混合器13に供給され、これらは混合器13にて混合される。
静止型混合器は注入口が二穴に分かれていることが好ましく、ポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物は、二穴のそれぞれの注入口から、別々に混合器13に供給されることが好ましい。このことにより、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物が、混合器に注入される前に接触することを防止することができる。混合器13で混合されたポリオール組成物とポリイソシアネート組成物は、噴射器などにより、施工対象面に吹き付けられる。また、静止型混合器は、噴射器の機能を兼ね備えたものでもよく、その場合、図1に示すように管体13A内部で混合されたポリオール組成物とポリイソシアネート組成物の混合物を管体の先端13Cから噴射するとよい。
ただし、混合部は静止型混合器に限定されず、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物を混合できる限り、駆動部を有する混合器などの静止型混合器以外の混合器を使用してもよい。また、単にポリオール組成物とポリイソシアネート組成物を混合させるための空間が設けられ、その空間において各容器から吐出されたポリオール組成物とポリイソシアネート組成物が混合させてもよい。
[ポリオール組成物]
本発明に係るポリオール組成物は、ポリオール化合物、触媒、及びハイドロフルオロオレフィンを含む。
(ポリオール化合物)
本発明に係るポリオール組成物はポリウレタンフォームの原料となるポリオール化合物を含有する。ポリオール化合物としては、例えば、ポリラクトンポリオール、ポリカーポネートポリオール、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、及びポリエーテルポリオール等が挙げられる。ポリオール化合物は、通常、常温(23℃)、常圧(1気圧)で液体となる。
ポリラクトンポリオールとしては、例えば、ポリプロピオラクトングリコール、ポリカプロラクトングリコール、及びポリバレロラクトングリコール等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、及びノナンジオール等の水酸基含有化合物と、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等との脱アルコール反応により得られるポリオール等が挙げられる。
芳香族ポリオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック、及びクレゾールノボラック等が挙げられる。
脂環族ポリオールとしては、例えば、シクロヘキサンジオール、メチルシクロヘキサンジオール、イソホロンジオール、ジシクロへキシルメタンジオール、及びジメチルジシクロへキシルメタンジオール等が挙げられる。
脂肪族ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、及びヘキサンジオール等のアルカンジオールが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多塩基酸と多価アルコールとを脱水縮合して得られる重合体、及びヒドロキシカルボン酸と前記多価アルコール等との縮合物が挙げられる。
多塩基酸としては、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソフタル酸(m-フタル酸)、テレフタル酸(p-フタル酸)、及びコハク酸等が挙げられる。また、多価アルコールとしては、例えば、ビスフェノールA、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6-ヘキサングリコール、及びネオペンチルグリコール等が挙げられる。
また、ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、ひまし油、ひまし油とエチレングリコールの反応生成物等が挙げられる。
ポリマーポリオールとしては、例えば、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、及びポリエステルポリオール等に対し、アクリロニトリル、スチレン、メチルアクリレート、及びメタクリレート等のエチレン性不飽和化合物をグラフト重合させた重合体、ポリブタジエンポリオール又はこれらの水素添加物等が挙げられる。
ポリエーテルポリオ-ルとしては、例えば、活性水素を2個以上有する低分子量活性水素化合物等の少なくとも1種の存在下に、アルキレンオキサイド(以下、「AO」ともいう)の少なくとも1種を開環重合させて得られる重合体が挙げられる。AOとしては、エチレンオキサイド(以下、「EO」ともいう)、1,2-プロピレンオキサイド(以下、「PO」ともいう)、1,3-プロピレオキサイド、1,2-ブチレンオキサイド、及び1,4-ブチレンオキサイド等が挙げられる。AOとしては、PO、EO及び1,2-ブチレンオキサイドが好ましく、PO及びEOがより好ましい。AOを2種以上使用する場合(例えば、PO及びEO)の付加方法としては、ブロック付加であってもランダム付加であってもよく、これらの併用であってもよい。
活性水素を2個以上有する低分子量活性水素化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6-ヘキサンジオ-ル等のジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール類、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール等、ショ糖、グルコース、マンノース、フルクト-ス、メチルグルコシド及びその誘導体等の4~8価のアルコール、フロログルシノール、クレゾール、ピロガロール、カテコ-ル、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、1,3,6,8-テトラヒドロキシナフタレン、及び1,4,5,8-テトラヒドロキシアントラセンなどの芳香族系ポリオール、ひまし油ポリオール、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体及びポリビニルアルコール等の多官能ポリオール、フェノールとホルムアルデヒドとの縮合物(ノボラック)、エチレンジアミン、及びブチレンジアミン等のアミン類等が挙げられる。
本発明に使用するポリオール化合物としては、ポリエステルポリオール、及びポリエーテルポリオールが好ましく、ポリエステルポリオールがより好ましい。ポリエステルポリオールを使用する場合、ポリオール化合物は、ポリエステルポリオールからなるものでもよいが、ポリエーテルポリオールなどのポリエステルポリオール以外のポリオール化合物と併用してもよい。また、水酸基を2個有するポリオールが好ましい。中でも、イソフタル酸(m-フタル酸)、テレフタル酸(p-フタル酸)等の芳香族環を有する多塩基酸と、ビスフェノールA、エチレングリコール、及び1,2-プロピレングリコール等の2価アルコールとを脱水縮合して得られるポリエステルポリオールがより好ましい。
難燃性を向上させる観点から、ポリオール化合物100質量部のうち、ポリエステルポリオールを20質量部以上とすることが好ましく、50質量部以上とすることがより好ましく、80質量部以上とすることがさらに好ましく、100質量部とすることが特に好ましい。
ポリオール化合物の水酸基価は、20~300mgKOH/gが好ましく、30~250mgKOH/gがより好ましく、50~220mgKOH/gが更に好ましい。ポリオール化合物の水酸基価が前記上限値以下であるとポリオール組成物の粘度が下がりやすく、取り扱い性等の点で好ましい。一方、ポリオール化合物の水酸基価が前記下限値以上であるとポリウレタンフォームの架橋密度が上がることにより強度が高くなる。
なお、ポリオール化合物の水酸基価は、JIS K 1557-1:2007に従って測定可能である。
本発明に係るポリオール組成物中のポリオール化合物の含有量は、好ましくは10~80質量%、より好ましくは20~75質量%、更に好ましくは25~70質量%である。ポリオール化合物の含有量が前記下限値以上であるとポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させやすくなる。一方、ポリオール化合物の含有量が前記上限値以下であると、ポリオール組成物の粘度が高くなりすぎず、その取扱い性が良好になる。
(触媒)
本発明に係るポリオール組成物は、触媒として、例えば樹脂化触媒、三量化触媒、又はこの両方を含有するとよいが、両方を含有することが好ましい。
<樹脂化触媒>
樹脂化触媒は、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応を促進させる触媒である。樹脂化触媒としては、イミダゾール化合物、ピペラジン化合物などのアミン系触媒、金属系触媒などが挙げられる。
イミダゾール化合物としては、イミダゾール環の1位の第2級アミンをアルキル基、アルケニル基などで置換した3級アミンが挙げられる。具体的には、N-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-エチル-2-メチルイミダゾール、1-メチル-2-エチルイミダゾール、1,2-ジエチルイミダゾール、及び1-イソブチル-2-メチルイミダゾールなどが挙げられる。また、イミダゾール環中の第2級アミンをシアノエチル基で置換したイミダゾール化合物なども挙げられる。
また、ピペラジン化合物として、N-メチル-N’N’-ジメチルアミノエチルピペラジン、トリメチルアミノエチルピペラジンなどの3級アミンが挙げられる。
アミン系触媒としては、イミダゾール化合物、ピペラジン化合物以外にも、ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチルアミン、N-メチルモルホリンビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’-トリメチルアミノエチル-エタノールアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、ジアザビシクロウンデセン、トリエチレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、トリプロピルアミン等の各種の3級アミンなどが挙げられる。
金属系触媒としては、鉛、錫、ビスマス、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル等の金属塩が挙げられ、好ましくは鉛、錫、ビスマス、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル等の有機酸金属塩である。より好ましくはジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫バーサテート等の有機酸錫塩、ビスマストリオクテート、ビスマストリス(2-エチルへキサノエート)等の有機酸ビスマス塩などが挙げられ、中でも有機酸ビスマス塩が好ましい。
樹脂化触媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。上記した中では、イミダゾール化合物が好ましい。
樹脂化触媒の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、1~25質量部が好ましく、2~18質量部がより好ましく、3~15質量部が更に好ましい。樹脂化触媒の含有量がこれら下限値以上であるとウレタン結合が形成しやすくなり、反応が速やかに進行する。一方、これら上限値以下であると、反応速度が制御しやすくなる。
本発明に係るポリオール組成物には、樹脂化触媒として機能する樹脂化触媒成分以外の不純物(例えば、希釈剤など)を含む物質が樹脂化触媒と共に配合される場合がある。この場合、前記物質から不純物を除いた樹脂化触媒成分のみの質量が「樹脂化触媒の含有量」である。以下で説明する三量化触媒などでも同様である。
<三量化触媒>
本発明に係るポリオール組成物は、三量化触媒を含有することが好ましい。三量化触媒は、ポリイソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基を反応させて三量化させ、イソシアヌレート環の生成を促進する触媒である。三量化触媒を含むことでポリウレタンフォームの難燃性が向上する。三量化触媒としては、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4-ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン等の窒素含有芳香族化合物、酢酸カリウム、2-エチルヘキサン酸カリウム、オクチル酸カリウム等のカルボン酸アルカリ金属塩、トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリフェニルアンモニウム塩等の3級アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラフェニルアンモニウム塩、トリエチルモノメチルアンモニウム塩、カルボン酸4級アンモニウム塩等の4級アンモニウム塩等を使用できる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記の中では、カルボン酸アルカリ金属塩、カルボン酸4級アンモニウム塩からなる群から選択される1種又は2種以上のカルボン酸塩が好ましい。これらの中でもカルボン酸4級アンモニウム塩がより好ましい。これらのカルボン酸塩の三量化触媒は、三量化反応開始から反応が即座に進行し、未反応分のポリイソシアネート化合物の量を少なく抑えることができる。その結果、ポリウレタンフォームの難燃性を向上させることができる。
三量化触媒の配合量は、ポリオール化合物100質量部に対して、1~25質量部が好ましく、2~18質量部がより好ましく、3~15質量部が更に好ましい。三量化触媒の配合量がこれら下限値以上であるとポリイソシアネート化合物の三量化が起こりやすくなり、得られるポリウレタンフォームの難燃性が向上する。一方、三量化触媒の配合量が前記上限値以下であると反応の制御がし易くなる。
また、ポリオール組成物における触媒の合計量は、特に限定されないが、ポリオール化合物100質量部に対して、好ましくは2~50質量部、より好ましくは4~36質量部、さらに好ましくは6~30質量部である。これら下限値以上であると、ウレタン結合の形成と三量化が適切に進行して、難燃性が良好となりやすい。また、これら上限値以下とすると、樹脂化及び三量化反応の制御が容易となる。
本発明に係るポリオール組成物において、三量化触媒の含有量/樹脂化触媒の含有量の好ましい範囲は1/10~1/1であり、より好ましい範囲は1/5~1/1であり、更に好ましい範囲は1/3~1/1である。三量化触媒の含有量/樹脂化触媒の含有量が下限値以上であると、ウレタン結合の形成と三量化が適切に進行して、ポリウレタンフォームの難燃性が良好となりやすい。一方、三量化触媒の含有量/樹脂化触媒の含有量が上限値以下であると、樹脂化触媒及び三量化触媒の含有量を少なくすることができる。
(発泡剤)
本発明に係るポリオール組成物は、発泡剤としてハイドロフルオロオレフィン(HFO)を含む。ハイドロフルオロオレフィンは、発泡剤としての安定性が高く、かつ触媒活性が低下しにくくなり、さらに、環境負荷も低くすることができる。
ハイドロフルオロオレフィンとしては、例えば、炭素数が3~6個程度であるフルオロアルケン等を挙げることができる。また、ハイドロフルオロオレフィンは塩素原子を有するハイドロクロロフルオロオレフィンであってもよく、したがって、炭素数が3~6個程度であるクロロフルオロアルケン等であってもよい。好ましいハイドロフルオロオレフィンは、炭素数3又は4個のフルオロアルケンであり、より好ましいハイドロフルオロオレフィンは炭素数3個のフルオロアルケンである。
より具体的には、3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf)、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze(E))、シス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze(Z))、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、1,1,3,3-テトラフルオロプロペン、トランス-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye(E))、シス-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye(Z))、1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225zc)、1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225yc)、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1233zd(E))、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エン(HFO-1336mzz)等が挙げられる。
これらのHFOのうち、特にトランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze(E))、シス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze(Z))及びトランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1233zd(E))が好ましく、トランス‐1,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びトランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンが特に好ましい。
また、上記ハイドロフルオロオレフィンは、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ハイドロフルオロオレフィンの含有量は特に限定されず、ポリオール化合物100質量部に対して、1~100質量部であることが好ましく、10~90質量部がより好ましく、20~70質量部がさらに好ましく、30~50質量部が特に好ましい。ハイドロフルオロオレフィンの含有量が前記下限値以上であると発泡が促進され、発泡性が良好となり、ポリウレタンフォームの密度を低減することができる。一方、ハイドロフルオロオレフィンの含有量が前記上限値以下であると発泡が過度に進行することを抑制することができる。また、ハイドロフルオロオレフィンの含有量が上記範囲内であることで、第1の容器の初期内圧を適切な大きさに調整しやすくなる。
(ガス成分)
本発明に係るポリオール組成物は、上記したHFO以外のガス成分を含むことが好ましい。ガス成分を含むことで、第1の容器内の初期内圧を制御することができるため、ポリイソシアネート組成物との初期内圧比も所望の範囲に調整しやすくなる。また、ガス成分は、ポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物を吐出させる際にポリウレタン組成物を発泡させる発泡剤としての機能も有することがある。
なお、ここでガス成分とは、常温(23℃)、1気圧で気体となる成分をいう。
ガス成分としては、液化ガス、圧縮ガス等が挙げられる。
液化ガスとしては、容器内部において少なくとも一部が液体となるガス成分が挙げられ、上記HFO以外の例えば、トリフルオロメタン(HFC-23)、ジフルオロメタン(HFC-32)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)等のハイドロフルオロカーボン(HFC)、ジメチルエーテル(DME)、プロパンとブタン類とを主成分とするLPG(液化石油ガス)、プロパン、イソブタン、ノルマルブタン等の炭素数2~5の炭化水素等が挙げられる。
また、圧縮ガスとしては、二酸化炭素、窒素、ヘリウム、空気(圧縮空気)等が挙げられる。
これらのガス成分は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中では、空気、二酸化炭素、窒素などを使用することが好ましい。これらは、ガス成分が可燃物とならずにポリウレタンフォームの難燃性を向上させやすくなる。また、取扱い性の観点から、ガス成分としては、二酸化炭素及び窒素を含むことがより好ましく、沸点がより低く、かつポリオール組成物を構成する他の化合物との相溶性が低いことから、特に窒素が好ましい。
HFO以外のガス成分の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、0.01~10質量部が好ましく、0.02~5質量部がより好ましく、0.03~3質量部が更に好ましく、0.03~0.1質量部が特に好ましい。ガス成分の含有量が前記下限値以上であると、十分な初期吐出量が確保でき、良好なポリウレタンフォームを形成することができる。一方、ガス成分の含有量が前記上限値以下であると過度な初期吐出量とならず、発泡密度が低くなり過ぎず、適切な物性が得られる。
(リン酸エステル)
本発明に係るポリオール組成物はリン酸エステルを含むことが好ましい。本発明のポリオール組成物がリン酸エステルを含有することでポリウレタンフォームの難燃性を向上させられる。
リン酸エステルは、常温(23℃)、常圧(1気圧)にて液体となる液状難燃剤であるとよい。液状難燃剤であるリン酸エステルを含有させることで、本発明に係るポリオール組成物の粘度を低くできるため、吐出流速、混合性などを低下させることなく、該ポリオール組成物からなるポリウレタンフォームの難燃性を向上させやすくなる。
リン酸エステルとしては、モノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等を使用することが好ましい。モノリン酸エステルとしては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2-エチルヘキシル)ホスフェートなどのトリアルキルホスフェート、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェートなどのハロゲン含有リン酸エステル、トリブトキシエチルホスフェートなどのトリアルコキシホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2-エチルヘキシル)ホスフェートなどの芳香環含有リン酸エステル、モノイソデシルホスフェート、ジイソデシルホスフェートなどの酸性リン酸エステル等が挙げられる。なかでもハロゲン含有リン酸エステル、特にトリス(β-クロロプロピル)ホスフェートなどが好ましい。
縮合リン酸エステルとしては、例えば、トリアルキルポリホスフェート、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート、ビスフェノールAポリフェニルホスフェートなどの芳香族縮合リン酸エステルが挙げられる。
縮合リン酸エステルの市販品としては、例えば、大八化学工業株式会社製の「CR-733S」、「CR-741」、「CR747」、ADEKA社製の「アデカスタブPFR」、「FP-600」等が挙げられる。
これらの中でも、本発明のポリオール組成物とポリイソシアネート組成物との混合物の粘度を低下させてポリウレタンフォームの製造を容易にする観点、及びポリウレタンフォームの難燃性を向上させる観点から、モノリン酸エステルが好ましく、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェートがより好ましい。
リン酸エステルを含有する場合、ポリオール組成物におけるリン酸エステルの含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、5~90質量部が好ましく、15~80質量部がより好ましく、25~70質量部が更に好ましい。リン酸エステルの含有量をこれら下限値以上とすることで、リン酸エステルを含有させる効果を発揮しやすくなる。また、上限値以下とすることで、リン酸エステルによって、ポリウレタンフォームの発泡が阻害されたりすることもない。
(フィラー)
本発明に係るポリオール組成物は、フィラーを含んでもよい。フィラーを含有させることで、ポリウレタンフォームの難燃性などの各種性能を向上させやすくなる。フィラーは、難燃剤を含むことが好ましい。フィラーとして難燃剤を使用することで、ポリウレタンフォームに高い難燃性能を付与できる。フィラーとして用いられる難燃剤は固形難燃剤である。本発明では、固形難燃剤を使用することで、より難燃性を効果的に高めることができる。なお、固形難燃剤とは、常温(23℃)、常圧(1気圧)において、固体となる難燃剤である。本発明に使用する固形難燃剤としては、リン酸塩含有難燃剤、赤燐系難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤、金属水酸化物、及び針状フィラーからなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
リン酸塩含有難燃剤としては、例えば、各種リン酸と周期表IA族~IVB族の金属、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミン、環中に窒素を含む複素環式化合物から選ばれる少なくとも一種の金属または化合物との塩からなるリン酸塩が挙げられる。
リン酸は、特に限定されないが、亜リン酸、次亜リン酸などのモノリン酸類でもよいし、ピロリン酸、ポリリン酸等であってもよい。
周期表IA族~IVB族の金属として、リチウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、鉄(II)、鉄(III)、アルミニウム等が挙げられる。
前記脂肪族アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ピペラジン等が挙げられる。芳香族アミンとしては、アニリン、o-トリイジン、2,4,6-トリメチルアニリン、アニシジン、3-(トリフルオロメチル)アニリン等が挙げられる。環中に窒素を含む複素環式化合物としては、ピリジン、トリアジン、メラミン等が挙げられる。
リン酸塩含有難燃剤の具体例としては、例えば、亜リン酸アルミニウム、第三リン酸アルミニウム等のモノリン酸塩類、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩等が挙げられる。ここで、ポリリン酸塩としては、特に限定されないが、例えば、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムアミド、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。
リン酸塩含有難燃剤は、上記したものから1種もしくは2種以上を使用することができる。本発明においては、第三リン酸アルミニウムが好ましい。
赤燐系難燃剤は、赤燐単体からなるものでもよいが、赤燐に樹脂、金属水酸化物、金属酸化物などを被膜したものでもよいし、赤燐と樹脂、金属水酸化物、金属酸化物などとを混合したものでもよい。赤燐を被膜し、または赤燐と混合する樹脂は、特に限定されないがフェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、及びシリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。被膜ないし混合する化合物としては、難燃性の観点から、金属水酸化物が好ましい。金属水酸化物は、後述するものを適宜選択して使用するとよい。
臭素含有難燃剤としては、分子構造中に臭素を含有し、常温、常圧で固体となる化合物であれば特に限定されないが、例えば、臭素化芳香環含有芳香族化合物等が挙げられる。
臭素化芳香環含有芳香族化合物としては、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモビフェニル、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、テトラブロモビスフェノールA等のモノマー系有機臭素化合物が挙げられる。
また、臭素化芳香環含有芳香族化合物は、臭素化合物ポリマーであってもよい。具体的には、臭素化ビスフェノールAを原料として製造されたポリカーボネートオリゴマー、このポリカーボネートオリゴマーとビスフェノールAとの共重合物等の臭素化ポリカーボネート、臭素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジエポキシ化合物などが挙げられる。さらには、臭素化フェノール類とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるモノエポキシ化合物等の臭素化エポキシ化合物、ポリ(臭素化ベンジルアクリレート)、臭素化ポリフェニレンエーテルと臭素化ビスフェノールAと塩化シアヌールとの臭素化フェノールの縮合物、臭素化(ポリスチレン)、ポリ(臭素化スチレン)、架橋臭素化ポリスチレン等の臭素化ポリスチレン、架橋または非架橋臭素化ポリ(-メチルスチレン)等が挙げられる。
また、ヘキサブロモシクロドデカンなどの臭素化芳香環含有芳香族化合物以外の化合物であってもよい。
これら臭素含有難燃剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、上記した中では、臭素化芳香環含有芳香族化合物が好ましく、中でも、ヘキサブロモベンゼンなどのモノマー系有機臭素化合物が好ましい。
本発明で使用するホウ素含有難燃剤としては、ホウ砂、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸塩等が挙げられる。酸化ホウ素としては、例えば、三酸化二ホウ素、三酸化ホウ素、二酸化二ホウ素、三酸化四ホウ素、五酸化四ホウ素等が挙げられる。
ホウ酸塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第4族、第12族、第13族の元素およびアンモニウムのホウ酸塩等が挙げられる。具体的には、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸セシウム等のホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム等のホウ酸アルカリ土類金属塩、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アンモニウム等が挙げられる。
ホウ素含有難燃剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明に使用するホウ素含有難燃剤は、ホウ酸塩であることが好ましく、ホウ酸亜鉛がより好ましい。
アンチモン含有難燃剤としては、例えば、酸化アンチモン、アンチモン酸塩、ピロアンチモン酸塩等が挙げられる。酸化アンチモンとしては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等が挙げられる。アンチモン酸塩としては、例えば、アンチモン酸ナトリウム、アンチモン酸カリウム等が挙げられる。ピロアンチモン酸塩としては、例えば、ピロアンチモン酸ナトリウム、ピロアンチモン酸カリウム等が挙げられる。
アンチモン含有難燃剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明に使用する好ましいアンチモン含有難燃剤は三酸化アンチモンである。
本発明に使用する金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化ニッケル、水酸化ジルコニウム、水酸化チタン、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化バナジウム、水酸化スズ等が挙げられる。金属水酸化物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明に使用する好ましい金属水酸化物は水酸化アルミニウムである。
針状フィラーとしては、例えば、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、マグネシウム含有ウィスカー、珪素含有ウィスカー、ウォラストナイト、セピオライト、ゾノライト、エレスタダイト、ベーマイト、棒状ヒドロキシアパタイト、ガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、スラグ繊維、石膏繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、硼素繊維、ステンレス繊維等が挙げられる。
これらの針状フィラーは、一種もしくは二種以上を使用することができる。
本発明に使用する針状フィラーのアスペクト比(長さ/直径)の範囲は、5~50の範囲であることが好ましく、10~40の範囲であればより好ましい。なお、当該アスペクト比は、走査型電子顕微鏡で針状フィラーを観察してその長さと幅を測定して求めることができる。
<沈降防止剤>
本発明に係るポリオール組成物は、フィラーとして、沈降防止剤を含有してもよい。沈降防止剤を使用することにより、ポリオール組成物に分散された固形難燃剤等の沈殿を防止できる。また、沈降防止剤の使用により、固形難燃剤を均一に分散させやすくなる。沈降防止剤は、一般的に常温、常圧で固体となるものであり、通常、ポリオール組成物において固形分(不溶分)となる。
沈降防止剤としては、特に限定はないが、例えば、カーボンブラック、粉状シリカ、有機クレー等から選択される一種又は二種以上を使用することが好ましく、これらの中では粉状シリカがより好ましい。
沈降防止剤に使用するカーボンブラックは、ファーネス法、チャンネル法、サーマル法等の方法で製造されたものを使用することができる。カーボンブラックは、市販品を適宜選択して使用すればよい。
また、粉状シリカとしては、フュームドシリカ、コロイダルシリカ、シリカゲルなどを使用できる。これらの中では、フュームドシリカが好ましい。ヒュームドシリカとしては、日本アエロジル社のアエロジル(登録商標)などを使用できる。
沈降防止剤の含有量は、特に限定されないが、ポリオール化合物100質量部に対して、例えば0.5~20質量部、好ましくは1~15質量部、より好ましくは3~10質量部、更に好ましくは4~8質量部である。沈降防止剤の含有量を上記範囲内とすることで、固形分を必要以上に増加させることなく、固形難燃剤の沈降を防止し、その分散性を良好にできる。
フィラーとしては、上記固形難燃剤及び沈降防止剤以外の無機充填剤を使用してもよい。無機充填剤としては、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラスビーズ、シリカバルーン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素バルーン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、各種磁性粉、フライアッシュ、シリカアルミナ繊維、及びジルコニア繊維等が挙げられる。これらの無機充填剤は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係るポリオール組成物がフィラーを含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、ポリオール化合物100質量部に対し10~150質量部が好ましく、30~130質量部がより好ましく、50~120質量部が更に好ましく、60~100質量部がより更に好ましい。フィラーの含有量が前記下限値以上であることにより、該ポリオール組成物から形成されるポリウレタンフォームの難燃性を向上させやすくなる。また、フィラーの含有量が前記上限値以下であることにより、該ポリオール組成物の粘度を一定以下に抑えることができ、取り扱い性が良好になる。
(整泡剤)
本発明に係るポリオール組成物は、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物との混合物を発泡させやすくすることを目的として整泡剤を含有してもよい。
整泡剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系整泡剤、オルガノポリシロキサン等のシリコーン整泡剤等の界面活性剤等が挙げられる。これらの整泡剤は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係るポリオール組成物中の整泡剤の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましく、1~8質量部がより好ましく、1~5質量部が更に好ましい。整泡剤の含有量が前記下限値以上であると、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物との混合物を発泡させやすくするため、均質なポリウレタンフォームを得ることが可能になる。また、整泡剤の含有量が前記上限値以下であると製造コストと得られる効果のバランスが最適になる。
(その他成分)
また、本発明に係るポリオール組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、熱安定剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料等から選択される1種以上を含むことができる。
(不揮発分)
本発明に係るポリオール組成物は、不揮発分が80~99質量%であることが好ましく、84~99質量%であることがより好ましく、84~97質量%であることがさらに好ましい。上記下限値以上であると、ポリウレタンフォームの乾燥速度が速く、また十分な強度が得られ、上記上限値以下であると生産性が高く、発泡性、吐出性も良好になりやすい。なお、不揮発分は実施例記載の方法により測定できる。
(ポリオール組成物の製造方法)
本発明に係るポリオール組成物の製造方法に特に制限はなく、例えば、以下の方法で製造することができる。まず、ガス成分以外の各成分を公知の撹拌装置で撹拌、混合した後、空のエアゾール缶等の容器に充填する。ステムバルブで該エアゾール缶を密封し、その後ガス成分を使用する場合には、ステムバルブからガス成分を注入して、容器に充填されたポリオール組成物を製造する。
[ポリイソシアネート組成物]
本発明に係るポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネート化合物を含む。ポリイソシアネート組成物に使用されるポリイソシアネート化合物としては、ポリウレタンフォームの形成に使用される公知のポリイソシアネート化合物を使用できる。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、及び脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及びジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
これらの中でも、使いやすさの観点、及び入手容易性の観点から、芳香族ポリイソシアネートが好ましく、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートがより好ましい。ポリイソシアネート化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネート化合物に加え、HFO及びHFO以外のガス成分の少なくともいずれかを含有することが好ましい。中でも、少なくともHFOを含有することがより好ましく、HFO及びHFO以外のガス成分の両方を含有することがさらに好ましい。HFOとしては、ポリオール組成物に用いられるものと同様の化合物を用いることができ、好適な化合物も同様である。なお、ポリイソシアネート組成物で使用するHFOは、ポリオール組成物に使用するHFOと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
ポリイソシアネート組成物におけるHFOの含有量としては、ポリイソシアネート化合物100質量部に対して、1~30質量部であることが好ましく、1.5~20質量部であることがより好ましく、2~15質量部であることが更に好ましく、2.5~10質量部であることが特に好ましい。上記下限値以上であると、発泡が促進され、発泡性が良好となり、得られるポリウレタンフォームの密度を低減することができる。一方、前記上限値以下であると発泡が過度に進行することを抑制することができる。また、HFOの含有量が上記範囲内であることで、第2の容器の初期内圧を適切な大きさに調整しやすくなる。
本発明に係るポリイソシアネート組成物において、HFO以外のガス成分を含有することで、第2の容器内の初期内圧を所望の範囲に制御しやすくなる。なお、ここでガス成分とは、常温(23℃)、1気圧で気体となる成分をいう。HFO以外のガス成分としては、ポリオール組成物に用いられるものと同様の化合物を用いることができ、好適な化合物も同様である。なお、ポリイソシアネート組成物で使用するガス成分についても、ポリオール組成物で使用するものと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
ガス成分の含有量は、ポリイソシアネート化合物100質量部に対して、0.01~10質量部が好ましく、0.02~5質量部がより好ましく、0.03~1質量部が更に好ましく、0.03~0.5質量部が特に好ましい。ガス成分の含有量が前記下限値以上であると、十分な初期吐出量が確保でき、良好なポリウレタンフォームを形成することができる。一方、ガス成分の含有量が前記上限値以下であると過度な初期吐出量とならず、発泡密度が低くなり過ぎず、適切な物性が得られる。
(不揮発分)
本発明のポリイソシアネート組成物は、不揮発分が80~99質量%であることが好ましく、85~99質量%であることがより好ましく、90~97質量%であることがさらに好ましい。上記下限値以上であると、ポリウレタンフォームの乾燥速度が速く、また十分な強度が得られ、上記上限値以下であると生産性が高く、発泡性、吐出性も良好になりやすい。なお、不揮発分は実施例記載の方法により測定できる。
(ポリイソシアネート組成物の製造方法)
本発明のポリイソシアネート組成物の製造方法に特に制限はなく、ガス成分以外の各成分を公知の撹拌装置で撹拌、混合した後、空のエアゾール缶等の容器に充填する。ステムバルブで該エアゾール缶を密封し、その後、ガス成分を使用する場合にはステムバルブからガス成分を注入して、容器に充填されたポリイソシアネート組成物を製造する。
[ポリウレタン組成物]
本発明に係るポリウレタン組成物は、本発明のポリオール組成物とポリイソシアネート組成物とが静止型混合器等により混合された混合物から形成される。
(ポリウレタン組成物の製造方法)
本発明に係るポリウレタン組成物の製造方法に特に制限はないが、本発明のポリオール組成物とポリイソシアネート組成物を静止型混合器により混合し、コーキングガン、スプレー等の吐出器から吐出されて形成される。
コーキングガンによる本発明のポリウレタン組成物の形成方法は、例えば、以下のように行われる。本発明のポリオール組成物とポリイソシアネート組成物のそれぞれを充填したカートリッジ容器から吐出させた2つの組成物をスタティックミキサー等の静止型混合器で混合し、混合物をコーキングガンから吹き付けて発泡させる。
スプレーによる本発明のポリウレタン組成物の形成方法は、例えば、以下のように行われる。本発明のポリオール組成物とポリイソシアネート組成物のそれぞれを充填したスプレー用耐圧容器から吐出させた2つの組成物をスタティックミキサー等の静止型混合器で混合し、混合物を静止型混合器の先端から噴射して発泡させる。
(ポリウレタン組成物の用途)
本発明では、ポリウレタン組成物は、様々な用途で使用可能であるが、断熱材として使用することが好ましい。また、ポリウレタン組成物は、ポリウレタンフォームを構成することが好ましい。ポリウレタンフォームを構成することで多数の気泡を有するので、それにより断熱効果が発揮される。
ポリウレタン組成物は、特に、乗り物又は建築物の断熱材として使用されることがより好ましい。乗り物としては、鉄道車輌、自動車、船舶、航空機などが挙げられる。本発明のポリウレタン組成物は、上記したポリオール組成物を使用することで、高い難燃性を有する。そのため、防災、安全性の観点から、乗り物又は建築物の用途に好適に使用できる。
また、本発明の混合システムは、小型装置としての使用にも適しており、補修用途にも好適に用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例、比較例にて使用した成分は以下の通りである。
1)ポリオール化合物:エステル系ポリオール化合物(川崎化成工業社製、製品名:マキシモールRLK-087、水酸基価=200mgKOH/g)
2)三量化触媒:カルボン酸4級アンモニウム塩(エボニックジャパン社製、製品名:DABCO TMR-7)濃度45~55質量%
3)樹脂化触媒:1,2-ジメチルイミダゾール(花王社製、製品名「カオライザー No.390」)濃度65~75質量%
4)液状難燃剤:トリス(β―クロロプロピル)ホスフェート(大八化学社製、製品名:TMCPP)
5)固形難燃剤(フィラー)
・赤燐系難燃剤(燐化学工業社製、製品名:ノーバエクセル140)
・ホウ酸亜鉛(早川商事社製、製品名:Firebrake ZB)
・臭素含有難燃剤:エチレンビス(ペンタブロモフェニル)(アルベマール社製、製品名:SAYTEX 8010)
・沈降防止剤:フュームドシリカ(日本アエロジル社製、製品名:アエロジルR976S)
6)HFO
・HFO-1234ze(E)、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(ハネウェルジャパン社製、製品名:ソルティスGBA)
・HFO-1233zd(E)、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(ハネウェルジャパン社製、製品名:ソルティスLBA)
7)ガス成分
・窒素、沸点:-195.8℃
8)ポリイソシアネート化合物:ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート(MDI)、バイエル社製、製品名:DESMODUR(登録商標)44LV20
[実施例1~9、比較例1~3]
各実施例及び比較例の手順は、以下(1)~(10)の通りである。
(1)ポリオール組成物を構成する各成分のうち、ガス成分以外の各成分を、表1に記載の配合に従って混練し、ポリオール組成物を作製した。
(2)空のエアゾール缶に、上記(1)で作製したポリオール組成物を投入し、第1の容器を得た。
(3)上記(2)で得た第1の容器を、ステムバルブにより密封した。
(4)ステムバルブにより、ガス成分を、表1に記載の配合に従い、第1の容器内に注入した。
(5)ポリイソシアネート組成物を構成する各成分のうち、ガス成分以外の各成分を、表1に記載の配合に従って混練し、ポリイソシアネート組成物を作製した。
(6)もう一方の空のエアゾール缶に、上記(5)で作製したポリイソシアネート組成物を投入し、第2の容器を得た。
(7)上記(6)で得た第2の容器を、ステムバルブにより密封した。
(8)ステムバルブにより、ガス成分を、表1に記載の配合に従い、第2の容器内に注入した。
(9)第1の容器及び第2の容器の各ステムバルブを、2缶同時に押し、各組成物を吐出させ、該組成物をチューブによりスタティックミキサーに注入した。
(10)スタティックミキサー内で各組成物を混合し、混合物を吐出してポリウレタンフォームを得た。
[初期内圧]
各実施例、比較例でポリオール組成物、及びポリイソシアネート組成物を充填した各容器を、35℃の恒温水槽に90分浸漬させた後、容器を上下に振ることで内容物を均一化し、容器のステムバルブにブルドン管圧力計を接続させて、各容器の初期内圧を測定した。
[初期内圧比]
上記の通り測定したポリオール組成物が充填された容器(第1の容器)の初期内圧を1とした場合の、ポリイソシアネート組成物が充填された容器(第2の容器)の初期内圧を、以下の式の通り算出した。
初期内圧比=第1の容器の初期内圧(MPa):第2の容器の初期内圧(MPa)
[不揮発分]
エアゾール缶から吐出した液剤を1000mlビーカーに入れて、40℃のホットプレート上で12時間400rpmの条件にて撹拌し、揮発成分を除去した。吐出前のエアゾール缶重量をW0、吐出後のエアゾール缶重量をW1、揮発後の吐出物の重量をW2とし、{W2/(W0-W1)}×100により不揮発分(質量%)を算出した。
[難燃性]
第1の容器と第2の容器のステムバルブを同時に押して、ポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物を吐出し、チューブを用いてスタティックミキサーに注入した。これらの組成物をミキサー内で混合して吐出し、厚さ12.5mmの石膏ボードに対して吹き付けた。該混合液を発泡、硬化させ、ポリウレタンフォームを得たのち、石膏ボードを含め、10cm×10cm、厚さ30mmとなるようにサンプルを切り出した。該サンプルを、ISO-5660の試験方法に準拠して、コーンカロリー試験により放射熱強度50kW/mにて5分間燃焼させ、その後の発熱量を評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:5分間の総発熱量が8MJ/m以下
〇:5分間の総発熱量が8MJを超え、かつ10MJ/m以下
×:5分間の総発熱量が10MJ/m
[初期吐出量]
各実施例及び比較例で調製した第1の容器(エアゾール缶)及び第2の容器(エアゾール缶)の質量を測定した。次いで、エアゾール缶のステムバルブを2缶同時に押して、ポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物を10秒間吐出し、該エアゾール缶の質量を測定した。吐出前後のエアゾール缶の質量変化を下記評価基準に基づいて評価した。吐出量の評価基準は以下の通りである。
◎:60g以上90g未満
〇:30g以上60g未満または90g以上120g未満
×:30g未満または120g以上
Figure 2022114938000001
表1に記載の触媒の各含有量は、製品としての含有量である。
実施例は良好な初期内圧比を示し、吐出性が良好で、得られるポリウレタンフォームの難燃性も良好であった。
一方、第1の容器と第2の容器の初期内圧比が所定範囲外である比較例1及び2では、ポリウレタンフォームを得ることはできたものの、難燃性に劣るものとなった。また、比較例3では、ポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物の初期吐出量がいずれも小さく、ポリウレタンフォームを得ることができなかった。
10 混合システム
11 第1の容器
12 第2の容器
11A、12A 吐出口
11B,12B 供給ライン
13 静止型混合器
13A 管体
13B ミキサーエレメント
13C 先端


Claims (9)

  1. ポリオール組成物が充填されている第1の容器と、ポリイソシアネート組成物が充填されている第2の容器を備え、前記第1の容器から吐出される前記ポリオール組成物と、前記第2の容器から吐出される前記ポリイソシアネート組成物を混合する混合システムであって、
    前記ポリオール組成物がポリオール化合物、触媒、及びハイドロフルオロオレフィンを含み、前記ポリイソシアネート組成物がポリイソシアネート化合物を含み、
    前記第1の容器と第2の容器の初期内圧比が、1:0.5~1:2である、混合システム。
  2. 前記ポリオール組成物及び前記ポリイソシアネート組成物の不揮発分が、それぞれ80~99質量%である、請求項1に記載の混合システム。
  3. 前記ポリオール組成物が、ガス成分を含み、該ガス成分が、液化ガス、及び圧縮ガスからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1又は2に記載の混合システム。
  4. 前記第1の容器と第2の容器の初期内圧が、それぞれ0.3~0.8MPaである、請求項1~3のいずれか1項に記載の混合システム。
  5. 前記ポリオール組成物が、さらにリン酸エステルを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の混合システム。
  6. 前記ポリオール組成物が、さらにフィラーを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の混合システム。
  7. 前記ポリイソシアネート組成物が、さらにハイドロフルオロオレフィンを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の混合システム。
  8. 前記ポリイソシアネート組成物が、ガス成分を含み、該ガス成分が、液化ガス、及び圧縮ガスからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1~7のいずれかに記載の混合システム。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の混合システムにおいて、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物を混合かつ発泡させてなるポリウレタンフォーム。

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