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JP2022110602A - 眼科装置、眼科装置の制御方法、及びプログラム - Google Patents

眼科装置、眼科装置の制御方法、及びプログラム Download PDF

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JP2022110602A
JP2022110602A JP2021006106A JP2021006106A JP2022110602A JP 2022110602 A JP2022110602 A JP 2022110602A JP 2021006106 A JP2021006106 A JP 2021006106A JP 2021006106 A JP2021006106 A JP 2021006106A JP 2022110602 A JP2022110602 A JP 2022110602A
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Ryu Bando
将 中島
Masashi Nakajima
俊一 森嶋
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Abstract

【課題】被検眼における所望の層領域の深さ位置を短時間に、且つ、正確に特定するための新たな技術を提供する。【解決手段】眼科装置は、層領域特定部と、層領域位置算出部とを含む。層領域特定部は、被検眼の眼底に対してOCTスキャンを実行することにより得られた干渉光の検出結果に基づいて、眼底における第1層領域に相当する第1深さ位置を特定する。層領域位置算出部は、第1深さ位置に所定のオフセット値を加算して眼底における第2層領域に相当する第2深さ位置を算出する。【選択図】図5

Description

この発明は、眼科装置、眼科装置の制御方法、及びプログラムに関する。
眼軸長の測定は、白内障手術前の眼内レンズ(intraocular lens:IOL)の度数選択だけではなく、軸性屈折異常の確認や眼球形状の計測などを目的として行われる。
眼軸長の測定が可能な装置として、角膜に超音波プローブを接触させて眼軸長を測定する超音波式眼軸長測定装置や、被検眼に対して光コヒーレンストモグラフィを実行して非接触にて眼軸長を光学的に測定する光学式眼軸長測定装置などがある。
一般的に、超音波式眼軸長測定装置により得られた眼軸長が用いられる。しかしながら、超音波式眼軸長測定装置による測定には熟練の手技が必要な上に、被検眼に対して点眼麻酔を行う必要があるため、被検者の負担が大きくなる。
これに対して、光学式眼軸長測定装置による測定には、熟練の手技が不要であり、非接触での測定が可能なため、被検者の負担が大幅に軽減される。しかしながら、白内障眼の場合には測定ができず、信頼性の高い測定結果を得ることが難しくなる。
例えば、特許文献1には、超音波式で眼軸長の測定を行う超音波式眼軸長測定手段と、非接触にて光学的に眼軸長の測定を行う非接触式眼軸長測定手段とを備えた眼軸長測定装置が開示されている。
例えば、特許文献2には、被検眼に対して光コヒーレンストモグラフィを実行することにより得られたAスキャン方向の強度プロファイルから角膜頂点の位置と網膜色素上皮層の位置とを特定し、眼軸長を測定する手法が開示されている。
例えば、非特許文献1には、780ナノメートル(nm)の近赤外光を測定光として用いた光コヒーレンストモグラフィにより得られた眼軸長に対応する光路長を、超音波式眼軸長測定装置を用いて測定された眼軸長(物理長)に変換する手法が開示されている。
特開2008-161218号公報 特表2014-500096号公報
Suheimat M, Verkicharla PK, Mallen EAH, Rozema J, Atchison DA, "Refractive indices used by the Haag-Streit Lenstar to calculate axial biometric dimensions", Ophthalmic & Physiological Optics 2015, 35:90-96.doi:10.1111/opo.12182
眼軸長は、角膜頂点から網膜色素上皮(Retinal Pigment Epithelium:以下、RPE)層までの距離である。しかしながら、光コヒーレンストモグラフィを実行して得られた干渉信号の強度プロファイルでは、RPE層に相当するピークが、内節外節結合部(IS/OSライン)やブルッフ膜(Bruch membrane)等の層領域に相当するピークに埋もれる場合がある。その場合、RPE層に相当するピークの特定に時間を要したり、RPE層に相当するピークの特定に失敗したり、RPE層に相当するピークを誤検出したりする場合がある。その結果、眼軸長の測定結果の信頼性を低下させる。
従って、被検眼における所望の層領域の深さ位置を短時間に、且つ、正確に特定することが求められる。
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、被検眼における所望の層領域の深さ位置を短時間に、且つ、正確に特定するための新たな技術を提供することにある。
いくつかの実施形態の第1態様は、被検眼の眼底に対してOCTスキャンを実行することにより得られた干渉光の検出結果に基づいて、前記眼底における第1層領域に相当する第1深さ位置を特定する層領域特定部と、前記第1深さ位置に所定のオフセット値を加算して前記眼底における第2層領域に相当する第2深さ位置を算出する層領域位置算出部と、を含む、眼科装置である。
いくつかの実施形態の第2態様では、第1態様において、前記第1層領域は、IS/OSラインであり、前記第2層領域は、網膜色素上皮層である。
いくつかの実施形態の第3態様では、第1態様又は第2態様において、前記層領域位置算出部は、前記被検眼に応じて異なるオフセット値を前記第1深さ位置に加算する。
いくつかの実施形態の第4態様では、第2態様又は第3態様において、前記層領域特定部は、前記干渉光の検出結果に基づいて、前記第1深さ位置と角膜頂点に相当する第3深さ位置とを特定する。眼科装置は、前記第3深さ位置と前記第2深さ位置とに基づいて前記被検眼の眼軸長を算出する眼軸長算出部を含む。
いくつかの実施形態の第5態様では、第4態様において、前記OCTスキャンは、第1波長を測定波長とする測定光を前記被検眼に照射することにより実行される。眼科装置は、前記眼軸長算出部により算出された前記眼軸長に対して波長補正を行うことにより、前記第1波長と異なる第2波長における眼軸長に補正する波長補正部を含む。
いくつかの実施形態の第6態様は、第1波長を測定波長とする測定光を用いて被検眼に対してOCTスキャンを実行することにより得られた干渉光の検出結果に基づいて眼軸長を算出する眼軸長算出部と、前記眼軸長算出部により算出された前記眼軸長に対して波長補正を行うことにより、前記第1波長と異なる第2波長における眼軸長に補正する波長補正部と、を含む、眼科装置である。
いくつかの実施形態の第7態様では、第5態様又は第6態様において、前記波長補正部は、前記第2波長における人眼の屈折率に対する前記第1波長における人眼の屈折率の比を、前記眼軸長算出部により算出された前記眼軸長に乗算することにより前記第2波長における眼軸長に補正する。
いくつかの実施形態の第8態様では、第5態様~第7態様のいずれかにおいて、前記第2波長は、780nmである。
いくつかの実施形態の第9態様は、第5態様~第8態様のいずれかにおいて、前記波長補正部により補正された眼軸長を、超音波式眼軸長測定装置を用いて得られる眼軸長に換算する眼軸長換算部を含む。
いくつかの実施形態の第10態様では、第9態様において、前記眼軸長換算部は、前記波長補正部により補正された眼軸長としての光路長を、前記超音波式眼軸長測定装置を用いて得られる眼軸長としての物理長に換算する。
いくつかの実施形態の第11態様は、第1態様~第10態様のいずれかにおいて、光源からの光を測定光と参照光とに分割し、前記測定光を前記被検眼に照射し、前記被検眼からの前記測定光の戻り光と参照光路を経由した前記参照光との前記干渉光を検出するOCT光学系を含む。
いくつかの実施形態の第12態様は、被検眼の眼底に対してOCTスキャンを実行することにより得られた干渉光の検出結果に基づいて、前記眼底における第1層領域に相当する第1深さ位置を特定する層領域特定ステップと、前記第1深さ位置に所定のオフセット値を加算して前記眼底における第2層領域に相当する第2深さ位置を算出する層領域位置算出ステップと、を含む、眼科装置の制御方法である。
いくつかの実施形態の第13態様では、第12態様において、前記第1層領域は、IS/OSラインであり、前記第2層領域は、網膜色素上皮層である。
いくつかの実施形態の第14態様では、第12態様又は第13態様において、前記層領域特定ステップは、前記干渉光の検出結果に基づいて、前記第1深さ位置と角膜頂点に相当する第3深さ位置とを特定する。眼科装置の制御方法は、前記第3深さ位置と前記第2深さ位置とに基づいて前記被検眼の眼軸長を算出する眼軸長算出ステップを含む。
いくつかの実施形態の第15態様では、第14態様において、前記OCTスキャンは、第1波長を測定波長とする測定光を前記被検眼に照射することにより実行される。眼科装置の制御方法は、前記眼軸長算出ステップにおいて算出された前記眼軸長に対して波長補正を行うことにより、前記第1波長と異なる第2波長における眼軸長に補正する波長補正ステップを含む。
いくつかの実施形態の第16態様は、第1波長を測定波長とする測定光を用いて被検眼に対してOCTスキャンを実行することにより得られた干渉光の検出結果に基づいて眼軸長を算出する眼軸長算出ステップと、前記眼軸長算出ステップにおいて算出された前記眼軸長に対して波長補正を行うことにより、前記第1波長と異なる第2波長における眼軸長に補正する波長補正ステップと、を含む、眼科装置の制御方法である。
いくつかの実施形態の第17態様は、第15態様又は第16態様において、前記波長補正ステップにおいて補正された眼軸長を、超音波式眼軸長測定装置を用いて得られる眼軸長に換算する眼軸長換算ステップを含む。
いくつかの実施形態の第18態様は、コンピュータに、第12態様~第17態様のいずれかに記載の眼科装置の制御方法の各ステップを実行させるプログラムである。
なお、上記した複数の請求項に係る構成を任意に組み合わせることが可能である。
本発明によれば、被検眼における所望の層領域の深さ位置を短時間に、且つ、正確に特定するための新たな技術を提供することができるようになる。
実施形態に係る眼科装置の光学系の構成例を示す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の光学系の構成例を示す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の処理系の構成例を示す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の処理系の構成例を示す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の処理系の構成例を示す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の動作を説明するための概略図である。 実施形態に係る眼科装置の動作を説明するための概略図である。 実施形態に係る眼科装置の動作例のフローを示す概略図である。
この発明に係る眼科装置、眼科装置の制御方法、及びプログラムの実施形態の例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この明細書において引用された文献の記載内容や任意の公知技術を、以下の実施形態に援用することが可能である。
実施形態に係る眼科装置は、被検眼に対してOCTスキャンを実行することにより得られた干渉光の検出結果に基づいて、眼底における第1層領域に相当する深さ位置を特定し、特定された深さ位置に所定のオフセット値を加算して眼底における第2層領域に相当する深さ位置を算出する。例えば、第1層領域は、IS/OSラインであり、第2層領域は、RPE層である。
これにより、眼底(網膜)側の代表位置の特定に失敗することなく、短時間で正確に眼底側の代表位置を特定することが可能になる。その結果、眼底側の代表位置を用いて特定される被検眼の眼内距離(例えば、眼軸長)の測定精度を向上させることができる。
また、実施形態に係る眼科装置は、被検眼に対してOCTスキャンを実行することにより得られた干渉光の検出結果に基づいて得られた眼軸長等の眼内距離に対して、波長補正、又は、波長補正及び所定の換算式を用いて換算することが可能である。これにより、波長が異なる測定光で眼軸長の測定が可能な他の眼軸長測定装置の測定結果や、超音波式眼軸長測定装置の測定結果と高精度に比較することができるようになる。
実施形態に係る眼科装置の制御方法は、実施形態に係る眼科装置を制御する方法である。実施形態に係るプログラムは、眼科装置の制御方法の各ステップをプロセッサ(コンピュータ)に実行させる。実施形態に係る記録媒体は、実施形態に係るプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体(記憶媒体)である。
本明細書において「プロセッサ」は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array))等の回路を意味する。プロセッサは、例えば、記憶回路や記憶装置に格納されているプログラムを読み出し実行することで、実施形態に係る機能を実現する。
以下、実施形態に係る眼科装置が、被検眼に対してOCTを実行するOCT光学系を含む測定光学系を備える場合について説明するが、実施形態に係る眼科装置の構成はこれに限定されるものではない。例えば、実施形態に係る眼科装置は、外部のOCT装置から干渉光の検出結果を取得するように構成されていてもよい。
いくつかの実施形態に係る眼科装置は、OCTを実行するためのOCT装置の機能だけではなく、眼底カメラ、走査型レーザー検眼鏡、スリットランプ顕微鏡、及び手術用顕微鏡の少なくとも1つの機能を備える。更に、いくつかの実施形態に係る眼科装置は、被検眼の光学的な特性を測定する機能を備える。被検眼の光学的な特性を測定する機能を備えた眼科装置には、眼圧計、ウェーブフロントアナライザー、スペキュラーマイクロスコープ、視野計などがある。いくつかの実施形態に係る眼科装置は、レーザー治療に用いられるレーザー治療装置の機能を備える。
以下、実施形態では、OCTを用いた計測等においてスペクトラルドメインタイプのOCTの手法を用いる場合について特に詳しく説明する。しかしながら、他のタイプ(例えば、スウェプトソースタイプ)のOCTを用いる眼科装置に対して、実施形態に係る構成を適用することも可能である。
<光学系の構成>
図1及び図2に、実施形態に係る眼科装置の光学系の構成例を示す。図1は、実施形態に係る眼科装置1000の光学系の全体の構成例を表す。図2は、図1のOCTユニット100の光学系の構成例を表す。
実施形態に係る眼科装置1000は、被検眼Eを観察するための光学系と、被検眼Eを検査するための光学系と、これらの光学系の光路を波長分離するダイクロイックミラーとを含む。被検眼Eを観察するための光学系として、前眼部観察系5が設けられている。被検眼Eを検査するための光学系としてOCT光学系やレフ測定光学系(屈折力測定光学系)が設けられている。
眼科装置1000は、アライメント系1と、ケラト測定系3、固視投影系4、前眼部観察系5、レフ測定投射系6、レフ測定受光系7、及びOCT光学系8を含む。以下では、例えば、前眼部観察系5が940nm~1000nmの光を用い、レフ測定光学系(レフ測定投射系6、レフ測定受光系7)が850nm~880nmの光を用い、固視投影系4が400nm~700nmの光を用いるものとする。また、OCT光学系8が840nmの光を用いるものとする。すなわち、OCT光学系8は、840nmを測定波長とするOCT計測(OCTスキャン)を実行するものとする。
(アライメント系1)
アライメント系1は、被検眼Eに対する光学系のZアライメントとXYアライメントとに用いられる。Zアライメントは、前眼部観察系5(例えば、対物レンズ51)の光軸に平行なZ方向(前後方向、作動距離方向)のアライメントである。XYアライメントは、この光軸に垂直な方向(左右方向(X方向)、上下方向(Y方向))のアライメントである。
アライメント系1は、2以上の前眼部カメラ14を含む。2以上の前眼部カメラ14は、被検眼Eの前眼部を互いに異なる方向から実質的に同時に撮影し、取得された2以上の撮影画像(前眼部像)を後述の処理部9に出力する。処理部9は、2以上の前眼部カメラ14からの2以上の撮影画像を解析して被検眼E(具体的には、被検眼Eの特徴部位)の3次元位置を特定し、特定された3次元位置に基づいて被検眼E(特徴部位)に対する光学系のXY方向及びZ方向のアライメントを行う。
以下では、アライメント系1は、2つの前眼部カメラ14を含むものとする。しかしながら、アライメント系1は、3以上の前眼部カメラ14を含んでもよい。また、2つの前眼部カメラ14の1つの機能は、後述する前眼部観察系5が備える撮像素子59により実現されてよい。
(前眼部観察系5)
前眼部観察系5は、被検眼Eの前眼部を動画撮影する。前眼部観察系5を経由する光学系において、撮像素子59の撮像面は瞳孔共役位置(被検眼Eの瞳孔と光学的に略共役な位置)に配置されている。前眼部照明光源50は、被検眼Eの前眼部に照明光(例えば、赤外光)を照射する。被検眼Eの前眼部により反射された光は、対物レンズ51を通過し、ダイクロイックミラー52を透過し、絞り(テレセン絞り)53に形成された孔部を通過し、リレーレンズ55及び56を通過し、ダイクロイックミラー76を透過する。ダイクロイックミラー52は、レフ測定光学系の光路と前眼部観察系5の光路とを合成(分離)する。ダイクロイックミラー52は、これらの光路を合成する光路合成面が対物レンズ51の光軸に対して傾斜して配置される。ダイクロイックミラー76を透過した光は、結像レンズ58により撮像素子59(エリアセンサー)の撮像面に結像される。撮像素子59は、所定のレートで撮像及び信号出力を行う。撮像素子59の出力(映像信号)は、後述の処理部9に入力される。処理部9は、この映像信号に基づく前眼部像E´を後述の表示部10の表示画面10aに表示させる。前眼部像E´は、例えば赤外動画像である。
(ケラト測定系3)
ケラト測定系3は、被検眼Eの角膜Crの形状を測定するためのリング状光束(赤外光)を角膜Crに投射する。ケラト板31は、対物レンズ51と被検眼Eとの間に配置されている。ケラト板31の背面側(対物レンズ51側)にはケラトリング光源32が設けられている。ケラト板31には、対物レンズ51の光軸を中心とする円周上に沿ってケラトリング光源32からの光を透過するケラトパターン(透過部)が形成されている。なお、ケラトパターンは、対物レンズ51の光軸を中心とする円弧状(円周の一部)に形成されていてもよい。ケラトリング光源32からの光でケラト板31を照明することにより、被検眼Eの角膜Crにリング状光束(円弧状又は円周状の測定パターン)が投射される。被検眼Eの角膜Crからの反射光(ケラトリング像)は撮像素子59により前眼部像E´とともに検出される。処理部9は、このケラトリング像を基に公知の演算を行うことで、角膜Crの形状を表す角膜形状パラメータを算出する。
(レフ測定投射系6、レフ測定受光系7)
レフ測定光学系は、屈折力測定に用いられるレフ測定投射系6及びレフ測定受光系7を含む。レフ測定投射系6は、屈折力測定用の光束(例えば、リング状光束)(赤外光)を眼底Efに投射する。レフ測定受光系7は、この光束の被検眼Eからの戻り光を受光する。レフ測定投射系6は、レフ測定受光系7の光路に設けられた孔開きプリズム65によって分岐された光路に設けられる。孔開きプリズム65に形成されている孔部は、瞳孔共役位置に配置される。レフ測定受光系7を経由する光学系において、撮像素子59の撮像面は眼底共役位置(被検眼Eの眼底Efと光学的に略共役な位置)に配置される。
いくつかの実施形態では、レフ測定光源61は、高輝度光源であるSLD(Superluminescent Diode)光源である。レフ測定光源61は、光軸方向に移動可能である。レフ測定光源61は、眼底共役位置に配置される。レフ測定光源61から出力された光は、リレーレンズ62を通過し、円錐プリズム63の円錐面に入射する。円錐面に入射した光は偏向され、円錐プリズム63の底面から出射する。円錐プリズム63の底面から出射した光は、リング絞り64にリング状に形成された透光部を通過する。リング絞り64の透光部を通過した光(リング状光束)は、孔開きプリズム65の孔部の周囲に形成された反射面により反射され、ロータリープリズム66を通過し、ダイクロイックミラー67により反射される。ダイクロイックミラー67により反射された光は、ダイクロイックミラー52により反射され、対物レンズ51を通過し、被検眼Eに投射される。ロータリープリズム66は、眼底Efの血管や疾患部位に対するリング状光束の光量分布を平均化や光源に起因するスペックルノイズの低減のために用いられる。
眼底Efに投射されたリング状光束の戻り光は、対物レンズ51を通過し、ダイクロイックミラー52及びダイクロイックミラー67により反射される。ダイクロイックミラー67により反射された戻り光は、ロータリープリズム66を通過し、孔開きプリズム65の孔部を通過し、リレーレンズ71を通過し、反射ミラー72により反射され、リレーレンズ73及び合焦レンズ74を通過する。合焦レンズ74は、レフ測定受光系7の光軸に沿って移動可能である。合焦レンズ74を通過した光は、反射ミラー75により反射され、ダイクロイックミラー76により反射され、結像レンズ58により撮像素子59の撮像面に結像される。処理部9は、撮像素子59からの出力を基に公知の演算を行うことで被検眼Eの屈折力値を算出する。例えば、屈折力値は、球面度数、乱視度数及び乱視軸角度、又は等価球面度数を含む。
(固視投影系4)
ダイクロイックミラー67によりレフ測定光学系の光路から波長分離された光路に、後述のOCT光学系8が設けられる。ダイクロイックミラー83によりOCT光学系8の光路から分岐された光路に固視投影系4が設けられる。
固視投影系4は、固視標を被検眼Eに呈示する。固視投影系4の光路には、固視ユニット40が配置されている。固視ユニット40は、後述の処理部9からの制御を受け、固視投影系4の光路に沿って移動可能である。固視ユニット40は、液晶パネル41を含む。ダイクロイックミラー83と固視ユニット40との間に、リレーレンズ42が配置されている。
処理部9による制御を受けた液晶パネル41は、固視標を表すパターンを表示する。液晶パネル41の画面上におけるパターンの表示位置を変更することにより、被検眼Eの固視位置を変更できる。被検眼Eの固視位置としては、眼底Efの黄斑部を中心とする画像を取得するための位置や、視神経乳頭を中心とする画像を取得するための位置や、黄斑部と視神経乳頭との間の眼底中心を中心とする画像を取得するための位置などがある。固視標を表すパターンの表示位置を任意に変更することが可能である。
液晶パネル41からの光は、リレーレンズ42を通過し、ダイクロイックミラー83を透過し、リレーレンズ82を通過し、反射ミラー81により反射され、ダイクロイックミラー67を透過し、ダイクロイックミラー52により反射される。ダイクロイックミラー52により反射された光は、対物レンズ51を通過して眼底Efに投射される。いくつかの実施形態では、液晶パネル41及びリレーレンズ42のそれぞれは、独立に光軸方向に移動可能である。
(OCT光学系8)
OCT光学系8は、OCT計測を行うための光学系である。OCT計測よりも前に実施されたレフ測定結果に基づいて、光ファイバーf1の端面がOCT計測部位と光学系に共役となるように合焦レンズ87の位置が調整される。OCT計測部位は、眼底Ef、前眼部等の被検眼Eの任意の部位であってよい。
OCT光学系8は、ダイクロイックミラー67によりレフ測定光学系の光路から波長分離された光路に設けられる。上記の固視投影系4の光路は、ダイクロイックミラー83によりOCT光学系8の光路に結合される。それにより、OCT光学系8及び固視投影系4のそれぞれの光軸を同軸で結合することができる。
OCT光学系8は、OCTユニット100を含む。図2に示すように、OCTユニット100には、被検眼Eに対してOCT計測(OCT撮影、OCTスキャン)を行うための光学系が設けられている。この光学系は、従来のスペクトラルドメインタイプのOCT装置と同様の構成を有する。すなわち、この光学系は、広帯域光源からの光(低コヒーレンス光)を参照光と測定光とに分割し、被検眼E(OCT計測部位)を経由した測定光と参照光路を経由した参照光とを干渉させて干渉光を生成し、この干渉光のスペクトル成分を検出するように構成されている。この検出結果(検出信号)は処理部9に送られる。
光源ユニット101は広帯域の低コヒーレンス光L0を出力する。低コヒーレンス光L0は、例えば、近赤外領域の波長帯(約800nm~900nm程度)の波長成分を有し、数十マイクロメートル程度の時間的コヒーレンス長を有する。また、人眼では視認できない波長帯、例えば1040~1060nm程度の中心波長を有する近赤外光を低コヒーレンス光L0として用いてもよい。
以下、光源ユニット101は、840nmの波長成分を有する低コヒーレンス光L0を出力するものとする。
光源ユニット101は、スーパールミネセントダイオード(Super Luminescent Diode:SLD)や、LEDや、SOA(Semiconductor Optical Amplifier)等の光出力デバイスを含んで構成される。
光源ユニット101から出力された低コヒーレンス光L0は、光ファイバー102によりファイバーカプラー103に導かれて測定光LSと参照光LRとに分割される。
参照光LRは、光ファイバー104により導かれてアッテネータ(光減衰器)105に到達する。アッテネータ105は、公知の技術を用いて、処理部9の制御の下、光ファイバー104により導かれる参照光LRの光量を自動で調整する。アッテネータ105により光量が調整された参照光LRは、光ファイバー104により導かれて偏波コントローラ(偏波調整器)106に到達する。偏波コントローラ106は、例えば、ループ状にされた光ファイバー104に対して外部から応力を与えることで、光ファイバー104内を導かれる参照光LRの偏波状態を調整する装置である。なお、偏波コントローラ106の構成はこれに限定されるものではなく、任意の公知技術を用いることが可能である。偏波コントローラ106により偏波状態が調整された参照光LRは、ファイバーカプラー109に到達する。
ファイバーカプラー103により生成された測定光LSは、光ファイバーf1によりコリメータレンズ90(図1)に導かれ、コリメータレンズ90により平行光束とされる。更に、測定光LSは、光路長変更部89、光スキャナー88、合焦レンズ87、リレーレンズ85、及び反射ミラー84を経由してダイクロイックミラー83に到達する。
いくつかの実施形態では、合焦レンズ87と光スキャナー88とは、光軸方向に移動可能な1つのユニット内に収容される。これにより、合焦レンズ87と光スキャナー88との光学的な位置関係が維持されたまま光軸方向に移動することができる。このように合焦レンズ87と光スキャナー88とを一体的に移動可能に構成することにより、光スキャナー88と被検眼Eとの共役関係を維持したまま光学系の調整が可能となる。また、この構成の場合、合焦レンズ87の焦点距離fを変えることで、被検眼Eの瞳孔と光スキャナー88の倍率関係を容易に変更ことが可能である。
いくつかの実施形態では、合焦レンズ87と光スキャナー88とは、ユニット内で独立に光軸方向に移動される。いくつかの実施形態では、合焦レンズ87と光スキャナー88とは、処理部9からの制御を受けて独立に又は一体的に光軸方向に移動される。例えば、対物レンズ51の焦点位置に被検眼Eの瞳孔が配置され、合焦レンズ87の焦点位置に光スキャナー88の偏向面が配置される(合焦レンズ87の焦点位置に光スキャナー88が配置される場合、瞳孔共役関係が保たれ、光スキャナー88の偏向面は瞳孔共役位置に配置される)。
光路長変更部89は、測定光LSの光路長を変更する。測定光LSの光路長を変更することにより、参照光LRの光路長と測定光LSの光路長との差を変更することが可能である。例えば、光路長変更部89は、測定光LSの光路及び測定光LSの戻り光の光路に沿って移動可能なリトロリフレクター(retroreflector)を含み、リトロリフレクターを移動することで測定光LSの光路長を変更する。
光スキャナー88は、測定光LSを1次元的又は2次元的に偏向する。
いくつかの実施形態では、光スキャナー88は、第1ガルバノミラーと、第2ガルバノミラーとを含む。第1ガルバノミラーは、OCT光学系8の光軸に直交する水平方向にOCT計測部位をスキャンするように測定光LSを偏向する。第2ガルバノミラーは、OCT光学系8の光軸に直交する垂直方向に撮影部位をスキャンするように、第1ガルバノミラーにより偏向された測定光LSを偏向する。このような光スキャナー88による測定光LSの走査態様としては、例えば、水平スキャン、垂直スキャン、十字スキャン、放射スキャン、円スキャン、同心円スキャン、螺旋スキャンなどがある。
いくつかの実施形態では、光スキャナー88は、測定光LSを2次元的に偏向するMEMSスキャナー(MEMSミラースキャナー)を含む。MEMSスキャナーは、OCT光学系8の光軸に直交する水平方向及び垂直方向にOCT計測部位をスキャンするように測定光LSを偏向する。
なお、光スキャナー88は、ガルバノミラー及びMEMSスキャナー以外に、ポリゴンミラー、回転ミラー、ダボプリズム、ダブルダボプリズム、ローテーションプリズムなどを含んで構成されていてもよい。
ダイクロイックミラー83に到達した測定光LSは、ダイクロイックミラー83により反射され、リレーレンズ82を通過し、反射ミラー81により反射される。反射ミラー81により反射された測定光LSは、ダイクロイックミラー52により反射され、対物レンズ51により屈折されてOCT計測部位に照射される。測定光LSは、OCT計測部位の様々な深さ位置において散乱(反射を含む)される。OCT計測部位による測定光LSの後方散乱光は、往路と同じ経路を逆向きに進行してファイバーカプラー103に導かれ、光ファイバー108を経由してファイバーカプラー109に到達する。
ファイバーカプラー109は、測定光LSの後方散乱光と、アッテネータ105等を経由した参照光LRとを干渉させる。これにより生成された干渉光LCは、光ファイバー110により導かれて出射端111から出射される。更に、干渉光LCは、コリメータレンズ112により平行光束とされ、回折格子(分光器)113により分光(スペクトル分解)され、ズーム光学系114により集光されてCCDイメージセンサ115の受光面に投影される。なお、図2に示す回折格子113は透過型であるが、例えば反射型の回折格子など、他の形態の分光素子を用いることも可能である。
CCDイメージセンサ115は、例えばラインセンサーであり、2以上の受光素子(検出素子)が配列され、分光された干渉光LCの各スペクトル成分を検出して電荷に変換する。CCDイメージセンサ115は、この電荷を蓄積して検出信号を生成し、これを処理部9に送る。
この実施形態ではマイケルソン型の干渉計を採用しているが、例えばマッハツェンダー型など任意のタイプの干渉計を適宜に採用することが可能である。また、CCDイメージセンサに代えて、他の形態のイメージセンサ、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどを用いることが可能である。
また、図1に示す構成では、光路長変更部89により測定光LSの光路長を変更することにより、測定光LSの光路長と参照光LRの光路長との差を変更するように構成されているが、実施形態に係る構成は、これに限定されるものではない。例えば、公知の手法により参照光LRの光路長を変更することにより、測定光LSの光路長と参照光LRの光路長との差を変更するように構成されていてもよい。
処理部9は、レフ測定光学系を用いて得られた測定結果から屈折力値を算出し、算出された屈折力値に基づいて、眼底Efとレフ測定光源61と撮像素子59とが共役となる位置に、レフ測定光源61及び合焦レンズ74それぞれを光軸方向に移動させる。いくつかの実施形態では、処理部9は、合焦レンズ74の移動に連動して合焦レンズ87及び光スキャナー88をその光軸方向に移動させる。いくつかの実施形態では、処理部9は、レフ測定光源61及び合焦レンズ74の移動に連動して液晶パネル41(固視ユニット40)をその光軸方向に移動させる。
上記の実施形態において、合焦レンズ74、87の少なくとも1つの機能が液晶レンズ又は液体レンズにより実現されてもよい。
<処理系の構成>
眼科装置1000の処理系の構成について説明する。眼科装置1000の処理系の機能的構成の例を図3~図5に示す。図3は、眼科装置1000の処理系の機能ブロック図の一例を表す。図4は、処理部9の処理対象である図3のOCT光学系8の機能ブロック図の一例を表す。図5は、図3のデータ処理部250の機能ブロック図の一例を表す。
処理部9は、眼科装置1000の各部を制御する。また、処理部9は、各種演算処理を実行可能である。処理部9は、プロセッサを含む。処理部9は、例えば、記憶回路や記憶装置に格納されているプログラムを読み出し実行することで、実施形態に係る機能を実現する。
処理部9は、制御部210と、演算処理部220とを含む。また、眼科装置1000は、移動機構40D、74D、87D、200と、表示部270と、操作部280と、通信部290とを含む。
移動機構200は、上記の光学系が収納されたヘッド部をX方向、Y方向、及びZ方向に移動させるための機構である。例えば、移動機構200には、ヘッド部を移動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。アクチュエータは、例えばパルスモータにより構成される。伝達機構は、例えば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオンなどによって構成される。制御部210(主制御部211)は、アクチュエータに対して制御信号を送ることにより移動機構200に対する制御を行う。
移動機構40Dは、固視ユニット40を固視投影系4の光軸方向(対物レンズ51の光軸方向)に移動するための機構である。例えば、移動機構40Dには、移動機構200と同様に、固視ユニット40を移動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。アクチュエータは、例えばパルスモータにより構成される。伝達機構は、例えば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオンなどによって構成される。制御部210(主制御部211)は、アクチュエータに対して制御信号を送ることにより移動機構40Dに対する制御を行う。
移動機構74Dは、合焦レンズ74をレフ測定受光系7の光軸方向に移動するための機構である。例えば、移動機構74Dには、移動機構200と同様に、合焦レンズ74を移動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。アクチュエータは、例えばパルスモータにより構成される。伝達機構は、例えば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオンなどによって構成される。制御部210(主制御部211)は、アクチュエータに対して制御信号を送ることにより移動機構74Dに対する制御を行う。
移動機構87Dは、合焦レンズ87をOCT光学系8の光軸方向(対物レンズ51の光軸方向)に移動するための機構である。例えば、移動機構87Dには、移動機構200と同様に、合焦レンズ87を移動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。アクチュエータは、例えばパルスモータにより構成される。伝達機構は、例えば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオンなどによって構成される。制御部210(主制御部211)は、アクチュエータに対して制御信号を送ることにより移動機構87Dに対する制御を行う。
いくつかの実施形態では、移動機構87Dの制御には、合焦レンズ87の光軸方向への移動制御、撮影部位に対応した合焦基準位置への合焦レンズ87の移動制御、撮影部位に対応した移動範囲(合焦範囲)内での移動制御などがある。例えば、主制御部211は、アクチュエータに対して制御信号を送ることにより移動機構87Dに対する制御を行い、合焦レンズ87を光軸方向に移動させる。
(制御部210)
制御部210は、プロセッサを含み、眼科装置の各部を制御する。制御部210は、主制御部211と、記憶部212とを含む。記憶部212には、眼科装置1000を制御するためのコンピュータプログラムがあらかじめ格納される。コンピュータプログラムには、アライメント系制御用プログラム、ケラト系制御用プログラム、固視系制御用プログラム、前眼部観察系制御用プログラム、レフ測定投射系制御用プログラム、レフ測定受光系制御用プログラム、OCT光学系制御用プログラム、演算処理用プログラム及びユーザインターフェイス用プログラムなどが含まれる。このようなコンピュータプログラムに従って主制御部211が動作することにより、制御部210は制御処理を実行する。
主制御部211は、測定制御部として眼科装置の各種制御を行う。
アライメント系1に対する制御には、前眼部カメラ14の制御などがある。
前眼部カメラ14の制御には、各前眼部カメラの露光調整、ゲイン調整、及び検出レート調整や、2つの前眼部カメラ14の撮影の同期制御などがある。いくつかの実施形態では、2つの前眼部カメラの露光条件、ゲイン、及び検出レートが実質的に同一になるように2つの前眼部カメラ14が制御される。
ケラト測定系3に対する制御には、ケラトリング光源32の制御などがある。
ケラトリング光源32の制御には、光源の点灯、消灯、光量調整、絞り調整などがある。それにより、ケラトリング光源32の点灯と非点灯とが切り替えられたり、光量が変更されたりする。主制御部211は、撮像素子59により検出されたケラトリング像に対する公知の演算を演算処理部220に実行させる。それにより、被検眼Eの角膜形状パラメータが求められる。
固視投影系4に対する制御には、液晶パネル41の制御や固視ユニット40の移動制御などがある。
液晶パネル41の制御には、固視標の表示のオン・オフや、検査や測定の種別に応じた固視標の切り替えや、固視標の表示位置の切り替えなどがある。主制御部211は、アクチュエータに対して制御信号を送ることにより移動機構40Dに対する制御を行い、少なくとも液晶パネル41を光軸方向に移動させる。それにより、液晶パネル41と眼底Efとが光学的に共役となるように液晶パネル41の位置が調整される。
前眼部観察系5に対する制御には、前眼部照明光源50の制御、撮像素子59の制御などがある。
前眼部照明光源50の制御には、光源の点灯、消灯、光量調整、絞り調整などがある。それにより、前眼部照明光源50の点灯と非点灯とが切り替えられたり、光量が変更されたりする。撮像素子59の制御には、撮像素子59の露光調整やゲイン調整や検出レート調整などがある。主制御部211は、撮像素子59により検出された信号を取り込み、取り込まれた信号に基づく画像の形成等の処理を演算処理部220に実行させる。
レフ測定投射系6に対する制御には、レフ測定光源61の制御、ロータリープリズム66の制御などがある。
レフ測定光源61の制御には、光源の点灯、消灯、光量調整、絞り調整などがある。それにより、レフ測定光源61の点灯と非点灯とが切り替えられたり、光量が変更されたりする。例えば、レフ測定投射系6は、レフ測定光源61を光軸方向に移動する移動機構を含む。この移動機構には、移動機構200と同様に、当該移動機構を移動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。主制御部211は、アクチュエータに対して制御信号を送ることにより移動機構に対する制御を行い、レフ測定光源61を光軸方向に移動させる。ロータリープリズム66の制御には、ロータリープリズム66の回転制御などがある。例えば、ロータリープリズム66を回転させる回転機構が設けられており、主制御部211は、この回転機構を制御することによりロータリープリズム66を回転させる。
レフ測定受光系7に対する制御には、レフ測定光源61と眼底Efと撮像素子59とが光学的に共役となるように、例えば被検眼Eの屈折力に応じてレフ測定光源61及び合焦レンズ74をそれぞれ光軸方向に移動させる制御が含まれる。この場合、主制御部211は、被検眼Eの屈折力に応じて移動機構74D等を制御することにより、レフ測定光源61と眼底Efと撮像素子59とが光学的に略共役な位置に配置させる。
OCT光学系8に対する制御には、光スキャナー88の制御、光路長変更部89、OCTユニット100に対する制御などがある。OCTユニット100に対する制御には、光源ユニット101の制御、アッテネータ105の制御、偏波コントローラ106の制御、ズーム光学系114の制御、CCDイメージセンサ115の制御などがある。
光スキャナー88の制御には、予め決められたスキャンパターンで計測部位をスキャンするためのスキャンモードの設定や、スキャン範囲の制御、スキャン速度の制御などがある。スキャン範囲(スキャン開始位置及びスキャン終了位置)を制御することで、測定光LSを偏向する偏向面の角度範囲を制御することが可能である。スキャン速度を制御することで、偏向面の角度の変更速度を制御することが可能である。主制御部211は、光スキャナー88に対して制御信号を出力することにより、スキャンモード、スキャン範囲、及びスキャン速度の少なくとも1つを制御する。
光路長変更部89の制御には、測定光LSの光路長の制御などがある主制御部211は、光路長変更部89に対して制御信号を出力することにより、光路長変更部89に測定光LSの光路長を変更させる。
光源ユニット101の制御には、光源の点灯、消灯、光量調整、絞り調整などがある。アッテネータ105の制御には、参照光LRの光量の調整などがある。偏波コントローラ106の制御には、参照光LRの偏波状態の調整などがある。ズーム光学系114の制御には、光学倍率の制御などがある。CCDイメージセンサ115の制御には、CCDイメージセンサ115の露光調整やゲイン調整や検出レート調整などがある。主制御部211は、イメージセンサ115により検出された信号を取り込み、取り込まれた信号に基づく画像の形成等の処理を演算処理部220に実行させる。
また、主制御部211は、記憶部212にデータを書き込む処理や、記憶部212からデータを読み出す処理を行う。
(記憶部212)
記憶部212は、各種のデータを記憶する。記憶部212に記憶されるデータとしては、例えば他覚測定の測定結果(OCT計測結果)、OCT画像の画像データ、前眼部像の画像データ、自覚検査の結果、被検眼情報などがある。被検眼情報は、患者IDや氏名などの被検者に関する情報や、左眼/右眼の識別情報などの被検眼に関する情報を含む。また、記憶部212には、眼科装置を動作させるための各種プログラムやデータが記憶されている。
(演算処理部220)
演算処理部220は、プロセッサを含み、各種の演算処理を実行する。図示しない記憶部(例えば、記憶部212)には、各種演算処理を実行するためのコンピュータプログラムがあらかじめ格納される。プロセッサは、このコンピュータプログラムに従って動作することにより、各種の演算処理を実行する各部の機能を実現する。
図3に示すように、演算処理部220は、眼屈折力算出部230と、画像形成部240と、データ処理部250とを含む。眼屈折力算出部230は、被検眼Eの眼屈折力を算出する。画像形成部240は、OCT光学系8を用いて取得された干渉光LCの検出結果に基づいてOCT画像を形成する。データ処理部250は、眼科装置1000が備える光学系を用いて得られた測定結果(干渉光LCの検出結果等)や画像形成部240により形成されたOCT画像に対して各種のデータ処理(画像処理)や解析処理を施す。
(眼屈折力算出部230)
眼屈折力算出部230は、レフ測定投射系6により眼底Efに投影されたリング状光束(リング状の測定パターン)の戻り光を撮像素子59が受光することにより得られたリング像(パターン像)を解析する。例えば、眼屈折力算出部230は、得られたリング像が描出された画像における輝度分布からリング像の重心位置を求め、この重心位置から放射状に延びる複数の走査方向に沿った輝度分布を求め、この輝度分布からリング像を特定する。続いて、眼屈折力算出部230は、特定されたリング像の近似楕円を求め、この近似楕円の長径及び短径を公知の式に代入することによって球面度数、乱視度数及び乱視軸角度を求める。或いは、眼屈折力算出部230は、基準パターンに対するリング像の変形及び変位に基づいて眼屈折力のパラメータを求めることができる。
また、眼屈折力算出部230は、前眼部観察系5により取得されたケラトリング像に基づいて、角膜屈折力、角膜乱視度及び角膜乱視軸角度を算出する。例えば、眼屈折力算出部230は、ケラトリング像を解析することにより角膜前面の強主経線や弱主経線の角膜曲率半径を算出し、角膜曲率半径に基づいて上記パラメータを算出する。
(画像形成部240)
画像形成部240は、CCDイメージセンサ115により得られた干渉光LCの検出信号に基づいて、被検眼EのOCT画像の画像データを形成する。すなわち、画像形成部240は、干渉光学系による干渉光LCの検出結果に基づいて被検眼Eの画像データを形成する。この処理には、従来のスペクトラルドメインタイプのOCTと同様に、フィルター処理、FFT(Fast Fourier Transform)などの処理が含まれている。このようにして取得される画像データは、複数のAライン(被検眼E内における各測定光LSの経路)における反射強度プロファイルを画像化することにより形成された一群の画像データを含むデータセットである。
画質を向上させるために、同じパターンでのスキャンを複数回繰り返して収集された複数のデータセットを重ね合わせる(加算平均する)ことができる。
(データ処理部250)
データ処理部250は、画像形成部240により形成されたOCT画像又はCCDイメージセンサ115により得られた干渉光LCの検出信号に対して各種のデータ処理(画像処理)や解析処理を施す。例えば、データ処理部250は、画像の輝度補正や分散補正等の補正処理を実行する。また、データ処理部250は、前眼部観察系5を用い得られた画像(前眼部像等)に対して各種の画像処理や解析処理を施す。
データ処理部250は、画像形成部240により形成されたOCT画像(断層像)の間の画素を補間する補間処理などの公知の画像処理を実行して、眼底Ef又は前眼部の3次元画像の画像データを形成することができる。なお、3次元画像の画像データとは、3次元座標系により画素の位置が定義された画像データを意味する。3次元画像の画像データとしては、3次元的に配列されたボクセルからなる画像データがある。この画像データは、ボリュームデータ或いはボクセルデータなどと呼ばれる。ボリュームデータに基づく画像を表示させる場合、データ処理部250は、このボリュームデータに対してレンダリング処理(ボリュームレンダリングやMIP(Maximum Intensity Projection:最大値投影)など)を施して、特定の視線方向から見たときの擬似的な3次元画像の画像データを形成する。表示部270等の表示デバイスには、この擬似的な3次元画像が表示される。
また、3次元画像の画像データとして、複数の断層像のスタックデータを形成することも可能である。スタックデータは、複数のスキャンラインに沿って得られた複数の断層像を、スキャンラインの位置関係に基づいて3次元的に配列させることで得られる画像データである。すなわち、スタックデータは、元々個別の2次元座標系により定義されていた複数の断層像を、1つの3次元座標系により表現する(つまり1つの3次元空間に埋め込む)ことにより得られる画像データである。
データ処理部250は、取得された3次元データセット(ボリュームデータ、スタックデータ等)に各種のレンダリングを施すことで、任意断面におけるBモード画像(縦断面像、軸方向断面像)、任意断面におけるCモード画像(横断面像、水平断面像)、プロジェクション画像、シャドウグラムなどを形成することができる。Bモード画像やCモード画像のような任意断面の画像は、指定された断面上の画素(ピクセル、ボクセル)を3次元データセットから選択することにより形成される。プロジェクション画像は、3次元データセットを所定方向(Z方向、深さ方向、軸方向)に投影することによって形成される。シャドウグラムは、3次元データセットの一部(たとえば特定層に相当する部分データ)を所定方向に投影することによって形成される。Cモード画像、プロジェクション画像、シャドウグラムのような、被検眼の正面側を視点とする画像を正面画像(en-face画像)と呼ぶ。
データ処理部250は、OCTスキャンにより時系列に収集されたデータ(例えば、Bスキャン画像データ)に基づいて、網膜血管や脈絡膜血管が強調されたBモード画像や正面画像(血管強調画像、アンギオグラム)を構築することができる。例えば、被検眼Eの略同一部位を反復的にスキャンすることにより、時系列のOCTデータを収集することができる。
いくつかの実施形態では、データ処理部250は、略同一部位に対するBスキャンにより得られた時系列のBスキャン画像を比較し、信号強度の変化部分の画素値を変化分に対応した画素値に変換することにより当該変化部分が強調された強調画像を構築する。更に、データ処理部250は、構築された複数の強調画像から所望の部位における所定の厚さ分の情報を抽出してen-face画像として構築することでOCTA像を形成する。
データ処理部250により生成された画像(例えば、3次元画像、Bモード画像、Cモード画像、プロジェクション画像、シャドウグラム、OCTA像)もまたOCT画像に含まれる。
また、データ処理部250は、2つの前眼部カメラ14により実質的に同時に取得された2つの撮影画像のそれぞれを解析することにより、前眼部の特徴部位に相当する特徴位置を特定する。前眼部の特徴部位は、例えば瞳孔中心(瞳孔重心)である。データ処理部250は、2つの前眼部カメラ14の位置と、特定された2つの撮影画像における特徴部位に相当する特徴位置とに対して公知の三角法を適用することにより、特徴部位の3次元位置(すなわち、被検眼Eの3次元位置)を算出する。算出された3次元位置は、被検眼Eに対する光学系の位置合わせに用いることができる。
更に、眼科装置1000は、被検眼Eに対してOCTスキャンを実行することにより被検眼Eの眼軸長等の眼内距離を測定することが可能である。実施形態では、データ処理部250が、眼軸長算出部としての機能を実現するものとする。
データ処理部250は、OCTスキャンを実行して得られた干渉光LCの検出結果に基づいて、角膜頂点に相当する位置とRPE層に相当する位置との距離を眼軸長として算出することが可能である。
ここで、干渉光LCを検出することにより生成される干渉信号の強度プロファイルでは、RPE層に相当するピークがIS/OSラインやブルッフ膜等の層領域に相当するピークに近接し、RPE層に相当するピークレベルがIS/OSライン等に相当するピークレベルより低い場合、RPE層に相当するピークが、IS/OSライン等に相当するピークに埋もれる。それにより、RPE層に相当するピークの特定に時間を要したり、RPE層に相当するピークの特定に失敗したり、RPE層に相当するピークを誤検出したりする場合がある。
そこで、まず、データ処理部250は、干渉光LCの検出結果(干渉光LCの強度プロファイル)に基づいて、IS/OSライン又はブルッフ膜(第1層領域)に相当する深さ位置を特定する。続いて、データ処理部250は、特定された深さ位置に所定のオフセット値を加算して眼底におけるRPE層(第2層領域)に相当する深さ位置を算出する。これにより、RPE層に相当する深さ位置を短時間に、且つ、確実に特定することが可能になる。その結果、RPE層を直接的に特定する場合と比較して、特定されたRPE層を用いて算出された眼軸長等の眼内距離の信頼性を向上させることができるようになる。
また、データ処理部250は、角膜頂点に相当する位置とRPE層に相当する位置との距離である眼軸長に相当する距離を光路長OPLとして特定し、式(1)に示す関係式に従って、眼軸長(物理長)ALを求める。
Figure 2022110602000002
式(1)において、OPLは光路長を表し、ALは眼軸長の物理長を表し、nは人眼の屈折率(群屈折率:group index)を表す。ここで、眼の構成物(角膜、水晶体、等)毎に屈折率は異なるが、nは眼球を単一の構成物に換算した場合の屈折率を表している。
ここで、屈折率nは、波長依存性を有する。これは、測定波長に応じて、物理長として算出される眼軸長が変化することを意味する。例えば、840nmを測定波長とする測定光LSで眼軸長を測定したときの光路長をOPL840と表し、840nmにおける屈折率をn840と表すと、式(2)のような関係式が得られる。同様に、例えば、780nmを測定波長とする測定光LSで眼軸長を測定したときの光路長をOPL780と表し、780nmにおける屈折率をn780と表すと、式(3)のような関係式が得られる。
Figure 2022110602000003
従って、840nmを測定波長とする測定光LSを用いて測定された眼軸長は、780nmを測定波長とする測定光LSを用いて測定された眼軸長と異なることを意味する。
そこで、実施形態では、840nmを測定波長とする測定光LSを用いて測定された眼軸長に対して波長補正を行う。それにより、840nmとは異なる他の波長(例えば、780nm)における眼軸長(他の波長成分を有する測定光LSを用いて測定される眼軸長)を算出することが可能である。
更に、厳密には、実施形態に係る非接触式眼軸長測定装置により得られる眼軸長の測定値は、超音波式眼軸長測定装置により得られる眼軸長の測定値と異なる。
そこで、実施形態では、840nmを測定波長とする測定光LSを用いて測定された眼軸長の測定値を、超音波式眼軸長測定装置により得られる眼軸長の測定値に換算することが可能である。
このようなデータ処理部250は、図5に示すように、層領域特定部251と、層領域位置算出部252と、眼軸長算出部253と、波長補正部254と、眼軸長換算部255とを含む。
(層領域特定部251)
層領域特定部251は、OCTユニット100において取得された干渉光LCの検出結果に基づいて、被検眼Eの所定部位に相当する深さ位置を特定する。所定部位の例として、眼底Efにおける所定の層領域、前眼部における角膜頂点などがある。眼底Efにおける所定の層領域の例として、IS/OSライン、ブルッフ膜などがある。
実施形態では、層領域特定部251は、前眼部(角膜Cr)における角膜頂点に相当する深さ位置と、眼底EfにおけるIS/OSラインに相当する深さ位置とを特定する。
(層領域位置算出部252)
層領域位置算出部252は、層領域特定部251により特定された深さ位置に所定のオフセット値を加算することにより、層領域特定部251により深さ位置が特定された部位と異なる被検眼Eにおける別の部位に相当する深さ位置を算出する。別の部位の例として、RPE層などがある。
図6に、実施形態に係る層領域位置算出部252の動作説明図を示す。図6は、眼底EfにおけるOCT画像(断層像)の一例を模式的に表す。
上記のように、層領域特定部251によりIS/OSラインに相当する深さ位置が特定されたものとする。層領域位置算出部252は、IS/OSラインに相当する深さ位置にオフセット値dtを加算することにより、IS/OSラインを基準にIS/OSラインと異なる別の層領域に相当する深さ位置を算出する。従って、層領域位置算出部252は、IS/OSラインに相当する深さ位置にオフセット値dtを加算することによりRPE層に相当する深さ位置を算出することが可能である。
オフセット値dtの例として、定数、被検者又は被検眼に応じて変化する変数などがある。
オフセット値dtが定数の場合、オフセット値dtは、事前に複数の被検眼に対する測定により得られたノーマティブデータにより決定される。例えば、複数の被検眼に対する測定値を平均することによりオフセット値dtが決定される。
オフセット値dtが変数の場合、オフセット値dtは、被検者の情報に応じて決定することが可能である。また、オフセット値dtは、被検眼Eの情報に応じて決定することが可能である。被検眼Eの情報には、眼内距離(例えば、眼底Efにおける所定の層領域間の距離)などがある。いくつかの実施形態では、オフセット値dtは、被検眼EのIS/OSラインに相当する深さ位置とブルッフ膜に相当する深さ位置との距離に応じて決定される。
(眼軸長算出部253)
眼軸長算出部253は、層領域特定部251により特定された層領域の深さ位置(第1深さ位置)と、層領域位置算出部252により算出された当該層領域と異なる別の層領域の深さ位置(第2深さ位置)との距離を眼軸長(光路長)として算出する。眼軸長を物理長として算出する場合、眼軸長算出部253は、式(1)に従って眼軸長の物理長を算出する。
図7に、実施形態に係る眼軸長算出部253の動作説明図を示す。図7は、前眼部に対してOCTスキャンを実行することにより得られた干渉信号の強度プロファイルの一例と、眼底Efに対してOCTスキャンを実行することにより得られた干渉信号の強度プロファイルの一例とを模式的に表す。図7において、図1又は図6と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
例えば、アライメント系1と移動機構200とを用いてOCT光学系8の光軸が被検眼Eの瞳孔中心と一致するように被検眼Eと図1に示す光学系とのアライメントが完了しているものとする。層領域特定部251は、アライメント完了後に前眼部に対してOCTスキャンを実行して得られた干渉信号の強度プロファイルのピークを探索して特定されたピークの位置を角膜頂点に相当する深さ位置zaとして特定する。
続いて、層領域特定部251は、アライメント完了後に眼底Efに対してOCTスキャンを実行して得られた干渉信号の強度プロファイルのピークを探索し、IS/OSライン(又はブルッフ膜)に相当するピークの位置を深さ位置zfとして特定する。層領域位置算出部252は、IS/OSラインに相当する深さ位置zfにオフセット値dtを加算することによりRPE層に相当する深さ位置(zf+dt)を算出する。
ここで、干渉信号の強度プロファイルにおけるRPE層に相当するピークが他の層領域に相当するピークに近接し、且つ、RPE層に相当するピークレベルが他の層領域に相当するピークレベルより低い場合、RPE層に相当するピークの特定が困難になる。これに対して、実施形態では、ピークの特定が容易なIS/OSライン(又はブルッフ膜)に相当する深さ位置を特定し、特定された深さ位置にオフセット値を加算する。それにより、眼底Ef側の代表位置の特定に失敗することなく、短時間で正確に眼底Ef側の代表位置を特定することが可能になる。
眼軸長算出部253は、層領域特定部251により特定された角膜頂点に相当する深さ位置zaと、層領域位置算出部252により算出されたRPE層に相当する深さ位置(zf+dt)との距離を眼軸長AL0(光路長)として算出する。
上記のように、眼底Ef側の代表位置の特定に失敗することなく、短時間で正確に眼底Ef側の代表位置を特定するようにしたので、被検眼Eの眼軸長の測定精度を向上させることができる。
いくつかの実施形態では、1度のOCTスキャンにより前眼部から眼底Efまでの範囲の干渉信号の強度スペクトルを取得し、取得された強度スペクトルから角膜頂点に相当する深さ位置、及びIS/OSラインに相当する深さ位置が特定される。
いくつかの実施形態では、層領域特定部251は、IS/OSライン(又はブルッフ膜)以外の眼底Efの層領域の深さ位置を特定し、層領域位置算出部252は、特定された深さ位置にオフセット値を加算することでRPE層の深さ位置を算出する。
(波長補正部254)
波長補正部254は、眼軸長算出部253により算出された眼軸長に対して式(4)に示すように波長補正を行うことにより、測定光LSの測定波長(840nm)と異なる波長(例えば、780nm)を測定波長とする測定光を用いて得られる眼軸長に補正する。
Figure 2022110602000004
ここで、眼軸長算出部253により眼軸長(光路長)OPL840が算出されたものとする。このとき、波長補正部254は、780nmにおける人眼の屈折率(n780)に対する840nmにおける人眼の屈折率(n840)の比を眼軸長(光路長)OPL840に乗算する。それにより、780nmの波長成分を有する測定光を用いて得られる眼軸長(光路長)OPL780に補正する。
(眼軸長換算部255)
眼軸長換算部255は、波長補正部254により波長補正が行われた眼軸長を、超音波式眼軸長測定装置を用いて得られる眼軸長(物理長)に換算する。
例えば、眼軸長換算部255は、式(5)に従って、波長補正部254により波長補正が行われた眼軸長(光路長)を、超音波式眼軸長測定装置を用いて得られる眼軸長(物理長)に換算する。例えば、非特許文献1には、非接触式眼軸長測定装置により得られた光路長を超音波式眼軸長測定装置を用いて測定された眼軸長に変換する式として、式(5)が開示されている。
Figure 2022110602000005
ここで、波長補正部254により眼軸長(光路長)OPL780が算出されたものとする。このとき、眼軸長換算部255は、波長補正部254により算出された眼軸長(光路長)OPL780を式(5)に代入することで、眼軸長(物理長)AL1を算出する。
いくつかの実施形態では、眼軸長換算部255は、波長補正部254による式(4)に従った波長補正を行うことなく、眼軸長算出部253により算出された眼軸長(光路長)OPL840を式(6)に直接に代入することで、眼軸長(物理長)AL1を算出する。
Figure 2022110602000006
いくつかの実施形態では、主制御部211は、後述の表示部270を制御し、眼軸長算出部253により算出された眼軸長(光路長)、及び波長補正部254により補正された眼軸長(光路長)を同一画面に表示させる。いくつかの実施形態では、主制御部211は、後述の表示部270を制御し、眼軸長算出部253により算出された眼軸長(光路長)を式(2)に従って変換した眼軸長(物理長)、及び波長補正部254により補正された眼軸長(光路長)を式(3)に従って変換した眼軸長(物理長)を同一画面に表示させる。
いくつかの実施形態では、主制御部211は、後述の表示部270を制御し、眼軸長算出部253により算出された眼軸長(光路長)を式(2)に従って変換した眼軸長(物理長)、波長補正部254により補正された眼軸長(光路長)を式(3)に従って変換した眼軸長(物理長)、及び眼軸長換算部255により求められた眼軸長(物理長)の少なくとも2つを同一画面に表示させる。
実施形態によれば、波長が異なる測定光で眼軸長を測定する他の眼軸長測定装置の測定結果や、超音波式眼軸長測定装置の測定結果と高精度に比較することができるようになる。
(表示部270、操作部280)
表示部270は、ユーザインターフェイス部として、制御部210による制御を受けて情報を表示する。表示部270は、図1などに示す表示部10を含む。
操作部280は、ユーザインターフェイス部として、眼科装置を操作するために使用される。操作部280は、眼科装置に設けられた各種のハードウェアキー(ジョイスティック、ボタン、スイッチなど)を含む。また、操作部280は、タッチパネル式の表示画面10aに表示される各種のソフトウェアキー(ボタン、アイコン、メニューなど)を含んでもよい。
表示部270及び操作部280の少なくとも一部が一体的に構成されていてもよい。その典型例として、タッチパネル式の表示画面10aがある。
(通信部290)
通信部290は、図示しない外部装置と通信するための機能を有する。通信部290は、外部装置との接続形態に応じた通信インターフェイスを備える。外部装置の例として、レンズの光学特性を測定するための眼鏡レンズ測定装置がある。眼鏡レンズ測定装置は、被検者が装用する眼鏡レンズの度数などを測定し、この測定データを眼科装置1000に入力する。また、外部装置は、任意の眼科装置、記録媒体から情報を読み取る装置(リーダ)や、記録媒体に情報を書き込む装置(ライタ)などでもよい。更に、外部装置は、病院情報システム(HIS)サーバ、DICOM(Digital Imaging and COmmunication in Medicine)サーバ、医師端末、モバイル端末、個人端末、クラウドサーバなどでもよい。通信部290は、例えば処理部9に設けられていてもよい。
IS/OSライン又はブルッフ膜は、実施形態に係る「第1層領域」の一例である。RPE層は、実施形態に係る「第2層領域」の一例である。840nmは、実施形態に係る「第1波長」の一例である。780nmは、実施形態に係る「第2波長」の一例である。
<動作例>
実施形態に係る眼科装置1000の動作について説明する。
図8に、眼科装置1000の動作の一例を示す。図8は、眼科装置1000の動作例のフロー図を表す。記憶部212には、図8に示す処理を実現するためのコンピュータプログラムが記憶されている。主制御部211は、このコンピュータプログラムに従って動作することにより、図8に示す処理を実行する。
(S1:アライメント)
図示しない顔受け部に被検者の顔が固定された状態で、検者が操作部280に対して所定の操作を行うことで、眼科装置1000は、アライメントを実行する。
具体的には、主制御部211は、2つの前眼部カメラ14を制御し、被検眼Eの前眼部の撮影を開始させる。2つの前眼部カメラ14により2つの撮影画像(前眼部像)が取得されると、主制御部211は、データ処理部250を制御して、2つの撮影画像のそれぞれを解析して瞳孔中心に相当する特徴位置を特定させ、2つの前眼部カメラ14の位置と特定された2つの撮影画像における特徴位置とに対して公知の三角法を適用することにより、瞳孔中心(被検眼E)の3次元位置を算出させる。主制御部211は、算出された被検眼Eの3次元位置に基づいて移動機構200を制御することにより、被検眼Eに対する光学系の位置合わせを実行する。具体的には、主制御部211は、算出された3次元位置に基づいて、OCT光学系8の光軸(対物レンズ51の光軸)を被検眼Eの軸に合わせるように、且つ、被検眼Eに対する光学系(対物レンズ51)の距離が所定の作動距離になるように移動機構200を制御する。ここで、作動距離とは、ワーキングディスタンスとも呼ばれる既定値であり、光学系を用いた検査時における被検眼Eと光学系との間の距離を意味する。
また、前眼部カメラ14が前眼部を異なる方向から並行して動画撮影する場合、例えば、次のような処理(1)および(2)を行うことにより、主制御部211は、被検眼Eの動きに対する光学系のトラッキングを実行することが可能である。
(1)データ処理部250が、2つの前眼部カメラ14による動画撮影において実質的に同時に得られた2つのフレームを逐次に解析することで、被検眼Eの3次元位置を逐次に求める。
(2)主制御部211が、データ処理部250により逐次に求められる被検眼Eの3次元位置に基づき移動機構200を逐次に制御することにより、光学系の位置を被検眼Eの動きに追従させる。
また、主制御部211は、レフ測定光源61と、合焦レンズ74と、液晶パネル41をそれぞれの光軸に沿って原点の位置(例えば、0D(ディオプター)に相当する位置)に移動させる。
(S2:眼底OCTスキャン)
次に、主制御部211は、眼底Efに対してOCTスキャンを実行するようにOCT光学系8等を制御する。
具体的には、主制御部211は、移動機構87Dを制御することにより、眼底Efに測定光LSの焦点位置が設定されるように合焦レンズ87を光軸方向に移動させる。続いて、主制御部211は、光源ユニット101、アッテネータ105、偏波コントローラ106、ズーム光学系114、CCDイメージセンサ115、及び光路長変更部89を調整する。次に、主制御部211は、所望の固視位置に対応した表示位置に固視標を示すパターンを液晶パネル41に表示させる。それにより、所望の固視位置に被検眼Eを注視させる。主制御部211は、光スキャナー88を制御して眼底Efにおける所定のスキャン範囲に対して測定光LSでスキャンを実行させる。測定光LSのスキャンにより得られた干渉光LCの検出結果は、画像形成部240に送られる。
(S3:前眼部OCTスキャン)
続いて、主制御部211は、前眼部に対してOCTスキャンを実行するようにOCT光学系8等を制御する。
具体的には、主制御部211は、移動機構87Dを制御することにより、前眼部に測定光LSの焦点位置が設定されるように合焦レンズ87を光軸方向に移動させる。続いて、主制御部211は、光源ユニット101、アッテネータ105、偏波コントローラ106、ズーム光学系114、CCDイメージセンサ115、及び光路長変更部89を調整する。次に、主制御部211は、所望の固視位置に対応した表示位置に固視標を示すパターンを液晶パネル41に表示させる。主制御部211は、光スキャナー88を制御して前眼部における所定のスキャン範囲に対して測定光LSでスキャンを実行させる。測定光LSのスキャンにより得られた干渉光LCの検出結果は、画像形成部240に送られる。
(S4:IS/OSラインを特定)
次に、主制御部211は、層領域特定部251を制御して、ステップS2において取得された眼底Efにおける干渉光LCの検出結果(又は眼底EfのOCT画像)を解析させて、IS/OSラインに相当する深さ位置を特定させる。
また、主制御部211は、層領域特定部251を制御して、ステップS3において取得された前眼部における干渉光LCの検出結果(又は前眼部のOCT画像)を解析させて、角膜頂点に相当する深さ位置を特定させる。
(S5:オフセット値を加算)
続いて、主制御部211は、層領域位置算出部252を制御して、ステップS4において特定されたIS/OSラインの深さ位置に所定のオフセット値を加算させてRPE層に相当する深さ位置を特定させる。
(S6:眼軸長を算出)
次に、主制御部211は、眼軸長算出部253を制御して、ステップS2において特定された角膜頂点に相当する深さ位置とステップS3において算出されたRPE層に相当する深さ位置との距離を眼軸長(光路長)OPL840として算出させる。
(S7:波長補正)
次に、主制御部211は、波長補正部254を制御して、ステップS6において算出された眼軸長OPL840を式(4)に従って波長補正を行うことにより、780nmにおける眼軸長OPL780に補正する。
(S8:眼軸長を換算)
次に、主制御部211は、眼軸長換算部255を制御して、ステップS7において補正された眼軸長OPL780を式(5)に代入して、超音波式眼軸長測定装置を用いて測定される眼軸長AL1に変換させる。
いくつかの実施形態では、主制御部211は、ステップS6~ステップS8の演算結果の少なくとも2つを表示部270の同一画面に表示させる。これにより、ステップS6~ステップS8の演算結果を容易に比較できるようになる。
以上で、眼科装置1000の動作は終了である(エンド)。
なお、図8に示すフローにおいて、ステップS8は、ステップS6において算出された眼軸長OPL840を式(6)に代入することで、超音波式眼軸長測定装置を用いて測定される眼軸長AL1に変換させてもよい。
[作用]
実施形態に係る眼科装置、眼科装置の制御方法、及びプログラムについて説明する。
実施形態に係る眼科装置(1000)は、層領域特定部(251)と、層領域位置算出部(252)とを含む。層領域特定部は、被検眼(E)の眼底(Ef)に対してOCTスキャンを実行することにより得られた干渉光の検出結果に基づいて、眼底における第1層領域に相当する第1深さ位置(zf)を特定する。層領域位置算出部は、第1深さ位置に所定のオフセット値(dt)を加算して眼底における第2層領域に相当する第2深さ位置(zf+dt)を算出する。
このような態様によれば、第2層領域に相当する干渉光(干渉信号)の強度のピークが、他の層領域に相当する干渉光の強度のピークに近接する等、第2層領域の特定に時間を要したり特定に失敗したり誤検出したりする場合でも、短時間で正確に第2層領域の深さ位置を特定することが可能になる。
いくつかの実施形態では、第1層領域は、IS/OSラインであり、第2層領域は、網膜色素上皮層である。
このような態様によれば、網膜色素上皮層の特定に時間を要したり、特定に失敗したり、誤検出したりする場合でも、短時間で正確に網膜色素上皮層の深さ位置を特定することが可能になる。
いくつかの実施形態では、層領域位置算出部は、被検眼に応じて異なるオフセット値を第1深さ位置に加算する。
このような態様によれば、被検眼に応じてオフセット値を変更するようにしたので、第2層領域の深さ位置をより正確に特定することができるようになる。
いくつかの実施形態では、層領域特定部は、干渉光の検出結果に基づいて、第1深さ位置と角膜頂点に相当する第3深さ位置(za)とを特定する。眼科装置は、第3深さ位置と第2深さ位置とに基づいて被検眼の眼軸長を算出する眼軸長算出部(253)を含む。
このような態様によれば、第2層領域の特定に時間を要したり特定に失敗したり誤検出したりする場合でも、短時間で正確に第2層領域の深さ位置を特定することができるため、眼軸長をより高精度に算出することが可能になる。
いくつかの実施形態では、OCTスキャンは、第1波長(840nm)を測定波長とする測定光(LS)を被検眼に照射することにより実行される。眼科装置は、眼軸長算出部により算出された眼軸長に対して波長補正を行うことにより、第1波長と異なる第2波長(780nm)における眼軸長に補正する波長補正部(254)を含む。
このような態様によれば、互いに異なる測定波長で得られた眼軸長の測定値の波長依存性にかかわらず、眼軸長の測定値を比較することが可能になる。
実施形態に係る眼科装置(1000)は、眼軸長算出部(253)と、波長補正部(254)とを含む。眼軸長算出部は、第1波長(840nm)を測定波長とする測定光(LS)を用いて被検眼(E)に対してOCTスキャンを実行することにより得られた干渉光の検出結果に基づいて眼軸長を算出する。波長補正部は、眼軸長算出部により算出された眼軸長に対して波長補正を行うことにより、第1波長と異なる第2波長(780nm)における眼軸長に補正する。
このような態様によれば、互いに異なる測定波長で得られた眼軸長の測定値の波長依存性にかかわらず、眼軸長の測定値を比較することが可能になる。
いくつかの実施形態では、波長補正部は、第2波長における人眼の屈折率(n780)に対する第1波長における人眼の屈折率(n840)の比を、眼軸長算出部により算出された眼軸長に乗算することにより第2波長における眼軸長に補正する。
このような態様によれば、簡素な処理で、所望の測定波長で得られた眼軸長に補正することが可能になる。
いくつかの実施形態では、第2波長成分は、780nmである。
このような態様によれば、780nmを測定波長とする非接触式眼軸長測定装置により得られた眼軸長の測定値と比較することが可能になる。
いくつかの実施形態は、波長補正部により補正された眼軸長を、超音波式眼軸長測定装置を用いて得られる眼軸長に換算する眼軸長換算部(255)を含む。
このような態様によれば、眼科装置により得られた眼軸長の測定値と超音波式眼軸長測定装置の測定結果とを高精度に比較することができるようになる。
いくつかの実施形態では、眼軸長換算部は、波長補正部により補正された眼軸長としての光路長を、超音波式眼軸長測定装置を用いて得られる眼軸長としての物理長に換算する。
このような態様によれば、簡素な処理で、超音波式眼軸長測定装置を用いて得られる眼軸長の測定に換算することが可能になる。
いくつかの実施形態は、光源(光源ユニット101)からの光(L0)を測定光(LS)と参照光(LR)とに分割し、測定光を被検眼に照射し、被検眼からの測定光の戻り光と参照光路を経由した参照光との干渉光(LC)を検出するOCT光学系(8)を含む。
このような態様によれば、被検眼に対してOCTを実行し、眼底における第2層領域の深さ位置を短時間で正確に特定することが可能な眼科装置を提供することができるようになる。
実施形態に係る眼科装置(1000)の制御方法は、層領域特定ステップと、層領域位置算出ステップとを含む。層領域特定ステップは、被検眼(E)の眼底(Ef)に対してOCTスキャンを実行することにより得られた干渉光(LC)の検出結果に基づいて、眼底における第1層領域に相当する第1深さ位置(zf)を特定する。層領域位置算出ステップは、第1深さ位置に所定のオフセット値(dt)を加算して眼底における第2層領域に相当する第2深さ位置(zf+dt)を算出する。
このような態様によれば、第2層領域に相当する干渉光(干渉信号)の強度のピークが、他の層領域に相当する干渉光の強度のピークに近接する等、第2層領域の特定に時間を要したり特定に失敗したり誤検出したりする場合でも、短時間で正確に第2層領域の深さ位置を特定することが可能になる。
いくつかの実施形態では、第1層領域は、IS/OSラインであり、第2層領域は、網膜色素上皮層である。
このような態様によれば、網膜色素上皮層の特定に時間を要したり、特定に失敗したり、誤検出したりする場合でも、短時間で正確に網膜色素上皮層の深さ位置を特定することが可能になる。
いくつかの実施形態では、層領域特定ステップは、干渉光の検出結果に基づいて、第1深さ位置と角膜頂点に相当する第3深さ位置(za)とを特定する。眼科装置の制御方法は、第3深さ位置と第2深さ位置とに基づいて被検眼の眼軸長を算出する眼軸長算出ステップを含む。
このような態様によれば、第2層領域の特定に時間を要したり特定に失敗したり誤検出したりする場合でも、短時間で正確に第2層領域の深さ位置を特定することができるため、眼軸長をより高精度に算出することが可能になる。
いくつかの実施形態では、OCTスキャンは、第1波長(840nm)を測定波長とする測定光を被検眼に照射することにより実行される。眼科装置の制御方法は、眼軸長算出ステップにおいて算出された眼軸長に対して波長補正を行うことにより、第1波長と異なる第2波長(780nm)における眼軸長に補正する波長補正ステップを含む。
このような態様によれば、互いに異なる測定波長で得られた眼軸長の測定値の波長依存性にかかわらず、眼軸長の測定値を比較することが可能になる。
実施形態に係る眼科装置(1000)の制御方法は、眼軸長算出ステップと、波長補正ステップとを含む。眼軸長算出ステップは、第1波長(840nm)を測定波長とする測定光(LS)を用いて被検眼(E)に対してOCTスキャンを実行することにより得られた干渉光の検出結果に基づいて眼軸長を算出する。波長補正ステップは、眼軸長算出ステップにおいて算出された眼軸長に対して波長補正を行うことにより、第1波長と異なる第2波長(780nm)における眼軸長に補正する。
このような態様によれば、互いに異なる測定波長で得られた眼軸長の測定値の波長依存性にかかわらず、眼軸長の測定値を比較することが可能になる。
いくつかの実施形態は、波長補正ステップにおいて補正された眼軸長を、超音波式眼軸長測定装置を用いて得られる眼軸長に換算する眼軸長換算ステップを含む。
このような態様によれば、眼科装置により得られた眼軸長の測定値と超音波式眼軸長測定装置の測定結果とを高精度に比較することができるようになる。
実施形態に係るプログラムは、コンピュータに、上記のいずれかに記載の眼科装置の制御方法の各ステップを実行させる。
このような態様によれば、第2層領域に相当する干渉光(干渉信号)の強度のピークが、他の層領域に相当する干渉光の強度のピークに近接する等、第2層領域の特定に時間を要したり特定に失敗したり誤検出したりする場合でも、短時間で正確に第2層領域の深さ位置を特定することが可能なプログラムを提供することができるようになる。
<その他>
以上に示された実施形態は、この発明を実施するための一例に過ぎない。この発明を実施しようとする者は、この発明の要旨の範囲内において任意の変形、省略、追加等を施すことが可能である。
1 アライメント系
3 ケラト測定系
4 固視投影系
5 前眼部観察系
6 レフ測定投射系
7 レフ測定受光系
8 OCT光学系
9 処理部
51 対物レンズ
88 光スキャナー
210 制御部
211 主制御部
250 データ処理部
251 層領域特定部
252 層領域位置算出部
253 眼軸長算出部
254 波長補正部
255 眼軸長換算部
1000 眼科装置

Claims (18)

  1. 被検眼の眼底に対してOCTスキャンを実行することにより得られた干渉光の検出結果に基づいて、前記眼底における第1層領域に相当する第1深さ位置を特定する層領域特定部と、
    前記第1深さ位置に所定のオフセット値を加算して前記眼底における第2層領域に相当する第2深さ位置を算出する層領域位置算出部と、
    を含む、眼科装置。
  2. 前記第1層領域は、IS/OSラインであり、
    前記第2層領域は、網膜色素上皮層である
    ことを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
  3. 前記層領域位置算出部は、前記被検眼に応じて異なるオフセット値を前記第1深さ位置に加算する
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の眼科装置。
  4. 前記層領域特定部は、前記干渉光の検出結果に基づいて、前記第1深さ位置と角膜頂点に相当する第3深さ位置とを特定し、
    前記第3深さ位置と前記第2深さ位置とに基づいて前記被検眼の眼軸長を算出する眼軸長算出部を含む
    ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の眼科装置。
  5. 前記OCTスキャンは、第1波長を測定波長とする測定光を前記被検眼に照射することにより実行され、
    前記眼軸長算出部により算出された前記眼軸長に対して波長補正を行うことにより、前記第1波長と異なる第2波長における眼軸長に補正する波長補正部を含む
    ことを特徴とする請求項4に記載の眼科装置。
  6. 第1波長を測定波長とする測定光を用いて被検眼に対してOCTスキャンを実行することにより得られた干渉光の検出結果に基づいて眼軸長を算出する眼軸長算出部と、
    前記眼軸長算出部により算出された前記眼軸長に対して波長補正を行うことにより、前記第1波長と異なる第2波長における眼軸長に補正する波長補正部と、
    を含む、眼科装置。
  7. 前記波長補正部は、前記第2波長における人眼の屈折率に対する前記第1波長における人眼の屈折率の比を、前記眼軸長算出部により算出された前記眼軸長に乗算することにより前記第2波長における眼軸長に補正する
    ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の眼科装置。
  8. 前記第2波長は、780nmである
    ことを特徴とする請求項5~請求項7のいずれか一項に記載の眼科装置。
  9. 前記波長補正部により補正された眼軸長を、超音波式眼軸長測定装置を用いて得られる眼軸長に換算する眼軸長換算部を含む
    ことを特徴とする請求項5~請求項8のいずれか一項に記載の眼科装置。
  10. 前記眼軸長換算部は、前記波長補正部により補正された眼軸長としての光路長を、前記超音波式眼軸長測定装置を用いて得られる眼軸長としての物理長に換算する
    ことを特徴とする請求項9に記載の眼科装置。
  11. 光源からの光を測定光と参照光とに分割し、前記測定光を前記被検眼に照射し、前記被検眼からの前記測定光の戻り光と参照光路を経由した前記参照光との前記干渉光を検出するOCT光学系を含む
    ことを特徴とする請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の眼科装置。
  12. 被検眼の眼底に対してOCTスキャンを実行することにより得られた干渉光の検出結果に基づいて、前記眼底における第1層領域に相当する第1深さ位置を特定する層領域特定ステップと、
    前記第1深さ位置に所定のオフセット値を加算して前記眼底における第2層領域に相当する第2深さ位置を算出する層領域位置算出ステップと、
    を含む、眼科装置の制御方法。
  13. 前記第1層領域は、IS/OSラインであり、
    前記第2層領域は、網膜色素上皮層である
    ことを特徴とする請求項12に記載の眼科装置の制御方法。
  14. 前記層領域特定ステップは、前記干渉光の検出結果に基づいて、前記第1深さ位置と角膜頂点に相当する第3深さ位置とを特定し、
    前記第3深さ位置と前記第2深さ位置とに基づいて前記被検眼の眼軸長を算出する眼軸長算出ステップを含む
    ことを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の眼科装置の制御方法。
  15. 前記OCTスキャンは、第1波長を測定波長とする測定光を前記被検眼に照射することにより実行され、
    前記眼軸長算出ステップにおいて算出された前記眼軸長に対して波長補正を行うことにより、前記第1波長と異なる第2波長における眼軸長に補正する波長補正ステップを含む
    ことを特徴とする請求項14に記載の眼科装置の制御方法。
  16. 第1波長を測定波長とする測定光を用いて被検眼に対してOCTスキャンを実行することにより得られた干渉光の検出結果に基づいて眼軸長を算出する眼軸長算出ステップと、
    前記眼軸長算出ステップにおいて算出された前記眼軸長に対して波長補正を行うことにより、前記第1波長と異なる第2波長における眼軸長に補正する波長補正ステップと、
    を含む、眼科装置の制御方法。
  17. 前記波長補正ステップにおいて補正された眼軸長を、超音波式眼軸長測定装置を用いて得られる眼軸長に換算する眼軸長換算ステップを含む
    ことを特徴とする請求項15又は請求項16に記載の眼科装置の制御方法。
  18. コンピュータに、請求項12~請求項17のいずれか一項に記載の眼科装置の制御方法の各ステップを実行させることを特徴とするプログラム。
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