JP2022160308A - 操舵制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】操舵感の低下を抑えられる操舵制御装置を提供する。【解決手段】操舵制御装置は、操舵装置を制御対象とし、目標反力トルクを演算する目標反力トルク演算部を備えている。目標反力トルク演算部は、目標ピニオン角θp*に応じた角度軸力Frを演算する角度軸力演算部101を有している。角度軸力演算部101は、操舵角θsに対してヒステリシス特性を有するように演算上の停車用ヒス成分Fhy2を付加するヒステリシス成分演算部を有している。ヒステリシス成分演算部は、第1車速から変遷した後の第2車速では、当該変遷のタイミングでの停車用ヒス成分Fhy2の値を維持することができる停車用ヒス成分Fhy2を演算する場合のヒステリシス特性における原点に対応する補正ゼロ点Pcを演算し、当該演算した補正ゼロ点Pcを原点として停車用ヒス成分Fhy2を演算するように構成されている。【選択図】図9
Description
本発明は、操舵制御装置に関する。
従来、操舵装置の一種として、運転者により操舵される操舵部と運転者の操舵に応じて転舵輪を転舵させる転舵部との間の動力伝達路が分離されたステアバイワイヤ式の操舵装置がある。同形式の操舵装置では、転舵輪が受ける路面反力等の路面情報が機械的にはステアリングホイールに伝達されない。そこで、同形式の操舵装置を制御対象とする操舵制御装置には、ステアリングホイールに対して路面情報を考慮した操舵反力を付与するように操舵部に設けられた操舵側アクチュエータを制御することで、路面情報を運転者に伝えるように制御するものがある。
例えば、特許文献1の操舵制御装置では、操舵反力を決定する際に転舵部に設けられた転舵軸に作用する軸力を考慮している。特許文献1の操舵制御装置では、考慮する軸力の一つとして、ステアリングホイールの操舵角に基づき演算される転舵輪の転舵角を制御するための目標転舵角に基づく角度軸力等が例示されている。
上記目標転舵角の基になる上記操舵角と転舵軸に実際に作用する軸力との関係は、車速に応じて変化する。車両が停車状態である場合、上記操舵角に対する軸力の変化割合である軸力勾配は小さくなり、かつ上記操舵角の変化に対する軸力のヒステリシス幅は大きくなる。一方、車両が中高速程度で走行している場合には、上記軸力勾配は大きくなり、かつ上記ヒステリシス幅は小さくなる。こうした操舵角の変化に対する軸力の実際のヒステリシスの状況を反映させたヒステリシス幅を有するように演算上のヒステリシス成分を付加して角度軸力を演算することがある。
ただし、演算上のヒステリシス成分を付加する結果、上記ヒステリシス幅が想定以上に大きく変化する等の状況が存在すると、ステアリングホイールの動きや、ステアリングホイールから得られる感覚に違和感となって現れる可能性がある。
なお、このような問題は、操舵反力の成分として演算される角度軸力に限らず、実際のヒステリシスの状況を反映させるためにヒステリシス幅を有するように演算上のヒステリシス成分を付加して演算される操舵反力の成分であれば、同様に生じ得る。
上記課題を解決する操舵制御装置は、モータを駆動源とするアクチュエータが付与するモータトルクによりステアリングホイールの操舵に必要な操舵トルクを可変とする操舵装置を制御対象とし、前記モータトルクが発生するように前記モータの作動を制御する際の前記モータトルクの目標値であるトルク指令値を演算するトルク指令値演算部を備えるものであり、前記トルク指令値演算部は、前記トルク指令値を演算する際に用いるトルク成分を、前記操舵装置の動作に応じて変化する状態変数に基づき演算するトルク成分演算部を有し、前記トルク成分演算部は、前記操舵装置の操舵に応じて変化する特定の状態変数の所定のタイミングで設定される値を原点として得られる前記特定の状態変数の変化に対するヒステリシス特性を前記トルク成分に付加するための演算上のヒステリシス成分を演算するヒステリシス成分演算部を有し、前記ヒステリシス成分演算部は、第1ヒステリシス特性を前記トルク成分に付加するための前記演算上のヒステリシス成分を演算する第1演算状態と、前記第1ヒステリシス特性に比べて大きいヒステリシス幅を有する第2ヒステリシス特性を前記トルク成分に付加するための前記演算上のヒステリシス成分を演算する第2演算状態と、を含み、前記第1演算状態から変遷した後の前記第2演算状態では、当該変遷のタイミングでの前記演算上のヒステリシス成分の値を維持することができる前記演算上のヒステリシス成分を演算する場合の前記第2ヒステリシス特性における原点に対応する値を演算し、当該演算した値を原点として前記演算上のヒステリシス成分を演算するように構成されている。
上記構成では、状況に応じて、演算上のヒステリシス成分を演算する際の原点を補正することで、演算上のヒステリシス成分を演算することができる。例えば、第1演算状態から第2演算状態に変遷する状況は、演算上のヒステリシス成分を演算する場合に、変遷前後でヒステリシス幅が想定以上に大きく変化することが想定される状況である。これに対して、第1演算状態から第2演算状態に変遷することを条件として、演算上のヒステリシス成分を演算する際の原点を補正する。これにより、上記変遷した場合に、特定の状態変数が変遷のタイミングの値に維持されていたとしても、変遷前の演算上のヒステリシス成分と変遷後の演算上のヒステリシス成分とでヒステリシス幅の急変を抑えることができる。したがって、演算上のヒステリシス成分について、ヒステリシス幅が急変する状況が存在することが抑えられるため、ステアリングホイールの動きや、ステアリングホイールから得られる感覚に違和感となって現れることを抑えることができる。したがって、操舵感の向上を図ることができる。
上記操舵制御装置において、前記トルク成分演算部は、車両の転舵輪の転舵角に換算可能な角度に応じて定められるとともに路面情報が反映されない軸力である角度軸力の基礎成分を前記トルク成分として演算する軸力基礎成分演算部と、前記基礎成分に付加するための演算上の前記演算上のヒステリシス成分及び前記演算上のヒステリシス成分を演算する前記ヒステリシス成分演算部とを有する角度軸力演算部として具体化することができる。
上記操舵制御装置において、前記ヒステリシス成分演算部は、車両が停車状態を含まない走行状態であることを判断できる第1状態である場合に、前記第1演算状態の演算で得られた前記演算上のヒステリシス成分を前記トルク成分に反映させるとともに、車両が停車状態を含む走行状態であることを判断できる第2状態である場合に、前記第2演算状態の演算で得られた前記演算上のヒステリシス成分を前記トルク成分に反映させるように構成されていることが好ましい。
上記構成によれば、第1状態から第2状態に変遷した場合では、当該変遷のタイミングでの演算上のヒステリシス成分の値を維持することができる。これにより、第1状態から第2状態に変遷する状況であっても、操舵感の向上を図ることができる。車両の転舵輪の摩擦を運転者に伝える観点で言えば、第1状態と、第2状態との間では、第2状態でヒステリシス幅を大きく変化させると都合がよくなる。つまり、演算上のヒステリシス成分を演算する場合に、ヒステリシス幅が大きく変化することが想定される状況には、第1状態から第2状態に変遷した場合が該当する。したがって、車両の転舵輪の摩擦を運転者に伝える観点で都合がよい仕様を実現するなかで、操舵感の向上を図ることができる。
上記操舵制御装置において、前記ヒステリシス成分演算部は、車速が前記第1状態に対応するとして定められた第1車速から変遷した後の前記第2状態に対応するとして定められた第2車速である状況では、当該変遷のタイミングでの前記演算上のヒステリシス成分の値を維持することができる前記演算上のヒステリシス成分を演算するように構成されていることが好ましい。
上記構成によれば、演算上のヒステリシス成分の値を維持する状況について、車速を使用するというアプローチを通じて最適化することができる。
上記操舵制御装置において、前記トルク成分演算部は、前記第1ヒステリシス特性、又は前記第2ヒステリシス特性を前記トルク成分に付加する際に、車速を前記演算上のヒステリシス成分に加味するべく当該車速に基づき変化する車速係数を演算する係数演算部を更に有し、前記ヒステリシス成分演算部は、前記係数演算部を通じて演算された前記車速係数が、前記第1状態に対応するとして定められた第1車速の場合に演算される第1車速係数から変遷した後の前記第2状態に対応するとして定められた第2車速の場合に演算される第2車速係数である状況では、当該変遷のタイミングでの前記演算上のヒステリシス成分の値を維持することができる前記演算上のヒステリシス成分を演算するように構成されていることが好ましい。
上記操舵制御装置において、前記トルク成分演算部は、前記第1ヒステリシス特性、又は前記第2ヒステリシス特性を前記トルク成分に付加する際に、車速を前記演算上のヒステリシス成分に加味するべく当該車速に基づき変化する車速係数を演算する係数演算部を更に有し、前記ヒステリシス成分演算部は、前記係数演算部を通じて演算された前記車速係数が、前記第1状態に対応するとして定められた第1車速の場合に演算される第1車速係数から変遷した後の前記第2状態に対応するとして定められた第2車速の場合に演算される第2車速係数である状況では、当該変遷のタイミングでの前記演算上のヒステリシス成分の値を維持することができる前記演算上のヒステリシス成分を演算するように構成されていることが好ましい。
上記構成によれば、演算上のヒステリシス成分の値を維持する状況について、車速に基づき変化する車速係数を使用するというアプローチを通じて最適化することができる。
本発明の操舵制御装置によれば、操舵感の低下を抑えられる。
<第1実施形態>
操舵制御装置の第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、操舵制御装置1の制御対象となる車両の操舵装置2は、ステアバイワイヤ式の操舵装置として構成されている。操舵装置2は、ステアリングホイール3を介して運転者により操舵される操舵部4と、運転者により操舵部4に入力される操舵に応じて転舵輪5を転舵させる転舵部6とを備えている。
操舵制御装置の第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、操舵制御装置1の制御対象となる車両の操舵装置2は、ステアバイワイヤ式の操舵装置として構成されている。操舵装置2は、ステアリングホイール3を介して運転者により操舵される操舵部4と、運転者により操舵部4に入力される操舵に応じて転舵輪5を転舵させる転舵部6とを備えている。
操舵部4は、ステアリング軸11と、操舵側アクチュエータ12とを備えている。ステアリング軸11は、ステアリングホイール3に連結されている。操舵側アクチュエータ12は、駆動源である操舵側モータ13と、操舵側減速機構14とを有している。操舵側モータ13は、ステアリング軸11を介してステアリングホイール3に対して操舵に抗する力である操舵反力を付与する。操舵側モータ13は、例えば、ウォームアンドホイールからなる操舵側減速機構14を介してステアリング軸11に連結されている。本実施形態の操舵側モータ13には、例えば三相のブラシレスモータが採用されている。
転舵部6は、ピニオン軸21と、ピニオン軸21に連結された転舵軸としてのラック軸22と、ラックハウジング23とを備えている。ピニオン軸21とラック軸22とは、所定の交差角をもって連結されている。ピニオン軸21に形成されたピニオン歯21aとラック軸22に形成されたラック歯22aとを噛み合わせることによりラックアンドピニオン機構24が構成されている。ラックハウジング23は、ラックアンドピニオン機構24を収容している。なお、ピニオン軸21のラック軸22と連結される側と反対側の一端は、ラックハウジング23から突出している。また、ラック軸22の両端は、ラックハウジング23の軸方向の両端から突出している。そして、ラック軸22の両端には、ボールジョイントからなるラックエンド25を介してタイロッド26が連結されている。タイロッド26の先端は、それぞれ左右の転舵輪5が組み付けられた図示しないナックルに連結されている。
転舵部6は、ラック軸22に転舵輪5を転舵させる転舵力を付与する転舵側アクチュエータ31を備えている。転舵側アクチュエータ31は、駆動源である転舵側モータ32と、伝達機構33と、変換機構34とを備えている。転舵側モータ32は、伝達機構33、及び変換機構34を介してラック軸22に対して転舵輪5を転舵させる転舵力を付与する。転舵側モータ32は、例えば、ベルト伝達機構からなる伝達機構33を介して変換機構34に対して回転を伝達する。伝達機構33は、例えば、ボールねじ機構からなる変換機構34を介して転舵側モータ32の回転をラック軸22の往復動に変換する。
このように構成された操舵装置2では、運転者によるステアリング操舵に応じて転舵側アクチュエータ31からラック軸22にモータトルクが転舵力として付与されることで、転舵輪5の転舵角が変更される。このとき、操舵側アクチュエータ12からは、運転者の操舵に抗する操舵反力がステアリングホイール3に付与される。つまり、操舵装置2では、操舵側アクチュエータ12から付与されるモータトルクである操舵反力により、ステアリングホイール3の操舵に必要な操舵トルクThが変更される。
ちなみに、ピニオン軸21を設ける理由は、ピニオン軸21と共にラック軸22をラックハウジング23の内部に支持するためである。すなわち、操舵装置2に設けられる図示しない支持機構によって、ラック軸22は、その軸方向に沿って移動可能に支持されるとともに、ピニオン軸21へ向けて押圧される。これにより、ラック軸22はラックハウジング23の内部に支持される。ただし、ピニオン軸21を使用せずにラック軸22をラックハウジング23に支持する他の支持機構を設けてもよい。
<操舵装置2の電気的構成>
図1に示すように、操舵側モータ13及び転舵側モータ32は、操舵制御装置1に接続されている。操舵制御装置1は、操舵側モータ13及び転舵側モータ32の作動を制御する。
図1に示すように、操舵側モータ13及び転舵側モータ32は、操舵制御装置1に接続されている。操舵制御装置1は、操舵側モータ13及び転舵側モータ32の作動を制御する。
操舵制御装置1には、トルクセンサ41と、操舵側回転角センサ42と、転舵側回転角センサ43と、車速センサ44とが接続されている。
トルクセンサ41は、運転者のステアリング操舵によりステアリング軸11に付与されたトルクを示す値である操舵トルクThを検出する。トルクセンサ41は、ステアリング軸11における操舵側減速機構14よりもステアリングホイール3側の部分に設けられている。トルクセンサ41は、ステアリング軸11の途中に設けられたトーションバー41aの捩れに基づいて操舵トルクThを検出する。なお、操舵トルクThは、例えば右方向に操舵した場合に正の値、左方向に操舵した場合に負の値として検出する。
トルクセンサ41は、運転者のステアリング操舵によりステアリング軸11に付与されたトルクを示す値である操舵トルクThを検出する。トルクセンサ41は、ステアリング軸11における操舵側減速機構14よりもステアリングホイール3側の部分に設けられている。トルクセンサ41は、ステアリング軸11の途中に設けられたトーションバー41aの捩れに基づいて操舵トルクThを検出する。なお、操舵トルクThは、例えば右方向に操舵した場合に正の値、左方向に操舵した場合に負の値として検出する。
操舵側回転角センサ42は、操舵側モータ13の回転軸の角度である回転角θaを360度の範囲内で検出する。操舵側回転角センサ42は、操舵側モータ13に設けられている。操舵側モータ13の回転角θaは、操舵角θsの演算に使用される。操舵側モータ13と、ステアリング軸11とは、操舵側減速機構14を介して連動する。このため、操舵側モータ13の回転角θaと、ステアリング軸11の回転角、ひいてはステアリングホイール3の回転角である操舵角θsとの間には相関がある。したがって、操舵側モータ13の回転角θaに基づき操舵角θsを求めることができる。なお、回転角θaは、例えば右方向に操舵した場合に正の値、左方向に操舵した場合に負の値として検出する。
転舵側回転角センサ43は、転舵側モータ32の回転軸の角度である回転角θbを360度の範囲内で検出する。転舵側回転角センサ43は、転舵側モータ32に設けられている。転舵側モータ32の回転角θbは、ピニオン角θpの演算に使用される。転舵側モータ32と、ピニオン軸21とは、伝達機構33、変換機構34、及びラックアンドピニオン機構24を介して連動する。このため、転舵側モータ32の回転角θbと、ピニオン軸21の回転角度であるピニオン角θpとの間には相関がある。したがって、転舵側モータ32の回転角θbに基づきピニオン角θpを求めることができる。また、ピニオン軸21は、ラック軸22に噛合されている。このため、ピニオン角θpとラック軸22の移動量との間にも相関関係がある。すなわち、ピニオン角θpは、転舵輪5の転舵角を反映する値である。なお、回転角θbは、例えば右方向に操舵した場合に正の値、左方向に操舵した場合に負の値として検出する。
車速センサ44は、車両の走行速度を示す情報として設定される車速Vを検出する。
<操舵制御装置1の機能>
操舵制御装置1は、図示しない中央処理装置やメモリを備えている。操舵制御装置1は、所定の演算周期毎にメモリに記憶されたプログラムをCPUが実行する。これにより、各種の制御が実行する。
<操舵制御装置1の機能>
操舵制御装置1は、図示しない中央処理装置やメモリを備えている。操舵制御装置1は、所定の演算周期毎にメモリに記憶されたプログラムをCPUが実行する。これにより、各種の制御が実行する。
図2に示すように、操舵制御装置1は、操舵側モータ13に対する給電を制御する操舵側制御部50を備えている。操舵側制御部50は、操舵側電流センサ54を有している。操舵側電流センサ54は、操舵側制御部50と、操舵側モータ13の各相のモータコイルとの間の接続線を流れる操舵側モータ13の各相の電流値から得られる操舵側実電流値Iaを検出する。操舵側電流センサ54は、操舵側モータ13に対応して設けられる図示しないインバータにおいて、スイッチング素子のそれぞれのソース側に接続されたシャント抵抗の電圧降下を電流として取得する。なお、図2では、説明の便宜上、各相の接続線及び各相の電流センサをそれぞれ1つに纏めて図示している。
また、操舵制御装置1は、転舵側モータ32に対する給電を制御する転舵側制御部60を備えている。転舵側制御部60は、転舵側電流センサ65を有している。転舵側電流センサ65は、転舵側制御部60と転舵側モータ32の各相のモータコイルとの間の接続線を流れる転舵側モータ32の各相の電流値から得られる転舵側実電流値Ibを検出する。転舵側電流センサ65は、転舵側モータ32に対応して設けられる図示しないインバータにおいて、スイッチング素子のそれぞれのソース側に接続されたシャント抵抗の電圧降下を電流として取得する。なお、図2では、説明の便宜上、各相の接続線及び各相の電流センサをそれぞれ1つに纏めて図示している。
<操舵側制御部50>
操舵側制御部50には、操舵トルクTh、車速V、回転角θa、転舵側実電流値Ib、ピニオン角θp、及び後述の目標ピニオン角θp*が入力される。操舵側制御部50は、操舵トルクTh、車速V、回転角θa、転舵側実電流値Ib、ピニオン角θp、及び目標ピニオン角θp*に基づいて、操舵側モータ13に対する給電を制御する。
操舵側制御部50には、操舵トルクTh、車速V、回転角θa、転舵側実電流値Ib、ピニオン角θp、及び後述の目標ピニオン角θp*が入力される。操舵側制御部50は、操舵トルクTh、車速V、回転角θa、転舵側実電流値Ib、ピニオン角θp、及び目標ピニオン角θp*に基づいて、操舵側モータ13に対する給電を制御する。
操舵側制御部50は、操舵角演算部51と、目標反力トルク演算部52と、通電制御部53とを有している。
操舵角演算部51には、回転角θaが入力される。操舵角演算部51は、回転角θaを、例えば、車両が直進しているときのステアリングホイール3の位置であるステアリング中立位置からの操舵側モータ13の回転数をカウントすることにより、360度を超える範囲を含む積算角に換算する。操舵角演算部51は、換算して得られた積算角に操舵側減速機構14の回転速度比に基づき換算係数を乗算することで、操舵角θsを演算する。こうして得られた操舵角θsは、目標反力トルク演算部52に出力される。また、操舵角θsは、転舵側制御部60、すなわち後述の舵角比可変制御部62に出力される。
操舵角演算部51には、回転角θaが入力される。操舵角演算部51は、回転角θaを、例えば、車両が直進しているときのステアリングホイール3の位置であるステアリング中立位置からの操舵側モータ13の回転数をカウントすることにより、360度を超える範囲を含む積算角に換算する。操舵角演算部51は、換算して得られた積算角に操舵側減速機構14の回転速度比に基づき換算係数を乗算することで、操舵角θsを演算する。こうして得られた操舵角θsは、目標反力トルク演算部52に出力される。また、操舵角θsは、転舵側制御部60、すなわち後述の舵角比可変制御部62に出力される。
目標反力トルク演算部52には、操舵トルクTh、車速V、転舵側実電流値Ib、操舵角θs、ピニオン角θp、及び後述の目標ピニオン角θp*が入力される。目標反力トルク演算部52は、操舵トルクTh、車速V、転舵側実電流値Ib、操舵角θs、ピニオン角θp、及び目標ピニオン角θp*に基づいて、目標反力トルクTs*を演算する。目標反力トルクTs*は、操舵側モータ13を通じて発生させるべきステアリングホイール3の操舵反力の目標値となる反力制御量である。本実施形態において、目標反力トルクTs*はトルク指令値の一例であり、目標反力トルク演算部52はトルク指令値演算部の一例である。
具体的には、目標反力トルク演算部52は、操舵力演算部55と、軸力演算部56とを有している。
操舵力演算部55には、操舵トルクTh、操舵角θs、及び車速Vが入力される。操舵力演算部55は、操舵トルクTh、操舵角θs、及び車速Vに基づいて、操舵力Tb*を演算する。操舵力Tb*は、運転者の操舵方向と同一方向に作用する。
操舵力演算部55には、操舵トルクTh、操舵角θs、及び車速Vが入力される。操舵力演算部55は、操舵トルクTh、操舵角θs、及び車速Vに基づいて、操舵力Tb*を演算する。操舵力Tb*は、運転者の操舵方向と同一方向に作用する。
具体的には、図3に示すように、操舵力演算部55は、基本制御量演算部71と、補償量演算部72とを有している。
基本制御量演算部71には、操舵トルクTh、及び車速Vが入力される。基本制御量演算部71は、操舵トルクTh、及び車速Vに基づいて、基本制御量I1*を演算する。基本制御量I1*は、ステアリングホイール3の操舵に関わって演算される制御量である。基本制御量I1*は、操舵力Tb*の基礎成分であり、ステアリングホイール3の操舵が所望の特性を示すように設定されている。例えば、基本制御量演算部71は、操舵トルクThの変化に対する基本制御量I1*の変化率であるアシスト勾配を考慮して、操舵トルクThの絶対値が大きいほど、車速Vが小さいほど、より大きな絶対値となる基本制御量I1*を演算する。こうして得られた基本制御量I1*は、加算器73に出力される。
基本制御量演算部71には、操舵トルクTh、及び車速Vが入力される。基本制御量演算部71は、操舵トルクTh、及び車速Vに基づいて、基本制御量I1*を演算する。基本制御量I1*は、ステアリングホイール3の操舵に関わって演算される制御量である。基本制御量I1*は、操舵力Tb*の基礎成分であり、ステアリングホイール3の操舵が所望の特性を示すように設定されている。例えば、基本制御量演算部71は、操舵トルクThの変化に対する基本制御量I1*の変化率であるアシスト勾配を考慮して、操舵トルクThの絶対値が大きいほど、車速Vが小さいほど、より大きな絶対値となる基本制御量I1*を演算する。こうして得られた基本制御量I1*は、加算器73に出力される。
補償量演算部72には、操舵トルクTh、車速V、及び操舵角θsが入力される。補償量演算部72は、操舵トルクTh、車速V、及び操舵角θsに基づいて、以下の戻り補償量I2*、走行用ヒステリシス補償量(以下、「走行用ヒス補償量」という)I3*、ダンピング補償量I4*、慣性補償量I5*を演算する。なお、各種補償量には、各補償量I2*~I5*の特定補償量の他、図示しないが操舵トルクThの位相を遅らせるように位相補償する位相遅れ補償量や、基本制御量I1*の位相を進ませるように位相補償する位相進み補償量を含んでいる。位相遅れ補償量は、アシスト勾配を調整するためのものである。位相進み補償量は、共振特性を抑えてシステムを安定化させるためのものである。各種補償量は、基本制御量I1*に基づき実現されるステアリングホイール3の動作が所望の特性を示すように補償するための補償量である。
そして、補償量演算部72は、戻り補償量演算部81と、走行用ヒステリシス補償量演算部(以下、「走行用ヒス補償量演算部」という)82と、ダンピング補償量演算部83と、慣性補償量演算部84とを有している。
戻り補償量演算部81には、操舵トルクTh、車速V、及び操舵角θsと、当該操舵角θsを微分して微分器85を通じて得られる操舵速度ωsとが入力される。戻り補償量演算部81は、操舵トルクTh、車速V、操舵角θs、及び操舵速度ωsに基づいて、戻り補償量I2*を演算する。戻り補償量I2*は、ステアリング中立位置に戻すステアリングホイール3の戻り動作を補償するものである。ステアリングホイール3の戻り動作については、転舵輪5のセルフアライニングトルクが関わっているところ、当該セルフアライニングトルクの過不足が戻り補償量I2*によって補償される。戻り補償量I2*は、ステアリングホイール3をステアリング中立位置に戻す方向へ向けたトルクを発生させるためのものである。こうして得られた戻り補償量I2*は、加算器73に出力される。
走行用ヒス補償量演算部82には、車速V、及び操舵角θsが入力される。走行用ヒス補償量演算部82は、車速V、及び操舵角θsに基づいて、走行用ヒス補償量I3*を演算する。走行用ヒス補償量I3*は、ステアリングホイール3の動作時の摩擦によるヒステリシス特性を最適化するように補償するものである。ステアリングホイール3の動作時の摩擦によるヒステリシス特性については、操舵装置2が搭載される車両の機械的な摩擦成分が関わっているところ、当該機械的な摩擦成分によるヒステリシス特性の最適化が走行用ヒス補償量I3*によって補償される。本実施形態において、走行用ヒス補償量I3*は、特に車両が停車状態を含まない走行状態の場合について、ステアリングホイール3の動作時の摩擦によるヒステリシス特性を最適化するように補償する。なお、車両が停車状態を含まない走行状態とは、例えば、時速10キロ以上等の中高速で車両が走行している状態のことである。走行用ヒス補償量I3*は、操舵角θsの変化に対してヒステリシス特性を有する。こうして得られた走行用ヒス補償量I3*は、加算器73に出力される。
ダンピング補償量演算部83には、車速V、及び操舵速度ωsが入力される。ダンピング補償量演算部83は、車速V、及び操舵速度ωsに基づいて、ダンピング補償量I4*を演算する。ダンピング補償量I4*は、ステアリングホイール3に生じる微振動を低減するように補償するものである。ステアリングホイール3に生じる微振動を低減することについては、操舵装置2の粘性成分、特に転舵側アクチュエータ31の粘性成分が関わっているところ、ステアリングホイール3に生じる微振動を低減することがダンピング補償量I4*によって補償される。ダンピング補償量I4*は、その時の操舵速度ωsの発生方向とは反対方向のトルクを発生させるためのものである。こうして得られたダンピング補償量I4*は、加算器73に出力される。
慣性補償量演算部84には、車速V、及び操舵速度ωsを微分して微分器86を通じて得られる操舵加速度αsが入力される。慣性補償量演算部84は、車速V、及び操舵加速度αsに基づいて、慣性補償量I5*を演算する。慣性補償量I5*は、ステアリングホイール3の操舵し始め時の引っ掛かり感や操舵終わり時の流れ感を抑制するように補償するものである。ステアリングホイール3の操舵し始め時の引っ掛かり感や操舵終わり時の流れ感を抑制することについては、操舵装置2の慣性成分が関わっているところ、操舵し始め時の引っ掛かり感や操舵終わり時の流れ感を抑制することが慣性補償量I5*によって補償される。慣性補償量I5*は、ステアリングホイール3の操舵し始め時等の操舵加速度αsの絶対値が増加する場合に当該操舵加速度αsの発生方向のトルクを発生させるものである。また、慣性補償量I5*は、ステアリングホイール3の操舵終わり時等の操舵加速度αsの絶対値が減少する場合に当該操舵加速度αsの発生方向とは反対方向のトルクを発生させるためのものである。こうして得られた慣性補償量I5*は、加算器73に出力される。
加算器73は、基本制御量I1*に対して各補償量I2*~I5*を加算して得られる操舵力Tb*を演算する。なお、基本制御量I1*には、各補償量I2*~I5*の他、位相遅れ補償量や、位相進み補償量も合わせて加算等されて反映される。図2に示すように、こうして得られた操舵力Tb*は、減算器57に出力される。操舵力Tb*は、運転者の操舵方向と同一方向に作用する。操舵力Tb*は、トルクの次元(N・m)の値として演算される。
図2に示すように、軸力演算部56には、車速V、操舵角θs、転舵側実電流値Ib、ピニオン角θp、及び後述の目標ピニオン角θp*が入力される。軸力演算部56は、車速V、操舵角θs、転舵側実電流値Ib、ピニオン角θp、及び目標ピニオン角θp*に基づいて、転舵輪5を通じてラック軸22に作用する軸力Fを演算する。軸力Fは、トルクの次元(N・m)の値として演算される。軸力Fは、運転者の操舵方向とは反対方向に作用する。減算器57にて、操舵力Tb*から軸力Fが差し引かれることで、目標反力トルクTs*が演算される。こうして得られた目標反力トルクTs*は、通電制御部53に出力される。
通電制御部53には、目標反力トルクTs*、回転角θa、及び操舵側実電流値Iaが入力される。通電制御部53は、目標反力トルクTs*に基づいて、操舵側モータ13に対する電流指令値Ia*を演算する。通電制御部53は、電流指令値Ia*と、操舵側実電流値Iaを回転角θaに基づき変換して得られるdq座標上の電流値との偏差を求め、当該偏差を無くすように操舵側モータ13に対する給電を制御する。操舵側モータ13は、目標反力トルクTs*に応じたトルクを発生する。これにより、運転者に対して適度な手応え感を与えることができる。
<転舵側制御部60>
転舵側制御部60には、操舵角θs、車速V、及び回転角θbが入力される。転舵側制御部60は、操舵角θs、車速V、及び回転角θbに基づいて、転舵側モータ32に対する給電を制御する。
転舵側制御部60には、操舵角θs、車速V、及び回転角θbが入力される。転舵側制御部60は、操舵角θs、車速V、及び回転角θbに基づいて、転舵側モータ32に対する給電を制御する。
転舵側制御部60は、ピニオン角演算部61と、舵角比可変制御部62と、ピニオン角フィードバック制御部(図2中「ピニオン角F/B制御部」)63と、通電制御部64とを有している。
ピニオン角演算部61には、回転角θbが入力される。ピニオン角演算部61は、回転角θbを、例えば、車両が直進しているときのラック軸22の位置であるラック中立位置からの転舵側モータ32の回転数をカウントすることにより、360度を超える範囲を含む積算角に換算する。ピニオン角演算部61は、換算して得られた積算角に伝達機構33の減速比、変換機構34のリード、及びラックアンドピニオン機構24の回転速度比に基づく換算係数を乗算することで、ピニオン軸21の実際の回転角であるピニオン角θpを演算する。なお、ピニオン角θpは、ラック中立位置よりも、例えば右側の角度である場合に正、左側の角度である場合に負とする。こうして得られたピニオン角θpは、ピニオン角フィードバック制御部63に出力される。また、ピニオン角θpは、操舵側制御部50、すなわち目標反力トルク演算部52の軸力演算部56に出力される。
舵角比可変制御部62には、車速V及び操舵角θsが入力される。舵角比可変制御部62は、操舵角θsに調整量を加算することによって目標ピニオン角θp*を演算する。舵角比可変制御部62は、操舵角θsに対する目標ピニオン角θp*の比率である舵角比を可変するための調整量を、車速Vに応じて可変させる。例えば、車速Vが遅い場合に速い場合よりも、操舵角θsの変化に対する目標ピニオン角θp*の変化を大きくするように、調整量を可変させる。操舵角θsと、目標ピニオン角θp*との間には、相関関係がある。また、ピニオン角θpは、目標ピニオン角θp*に基づいて制御される。このため、操舵角θsと、ピニオン角θpとの間にも相関関係がある。
ピニオン角フィードバック制御部63には、目標ピニオン角θp*及びピニオン角θpが入力される。ピニオン角フィードバック制御部63は、ピニオン角θpを目標ピニオン角θp*に追従させるべくピニオン角θpのフィードバック制御として、比例項、積分項、及び微分項を用いたPID制御を実行する。すなわち、ピニオン角フィードバック制御部63は、目標ピニオン角θp*とピニオン角θpとの偏差を求め、当該偏差を無くすように、転舵力の目標となる目標制御量としての転舵力指令値T*を演算する。
通電制御部64には、転舵力指令値T*、回転角θb、及び転舵側実電流値Ibが入力される。通電制御部64は、転舵力指令値T*に基づいて、転舵側モータ32に対する電流指令値Ib*を演算する。そして、通電制御部64は、電流指令値Ib*と、転舵側実電流値Ibを回転角θbに基づき変換して得られるdq座標上の電流値との偏差を求め、当該偏差を無くすように転舵側モータ32に対する給電を制御する。これにより、転舵側モータ32は、転舵力指令値T*に応じた角度だけ回転する。
<軸力演算部56>
ここで、軸力演算部56の機能について詳しく説明する。
図4に示すように、軸力演算部56は、配分軸力演算部91と、エンド軸力演算部92と、偏差軸力演算部93と、軸力選択部94とを有している。
ここで、軸力演算部56の機能について詳しく説明する。
図4に示すように、軸力演算部56は、配分軸力演算部91と、エンド軸力演算部92と、偏差軸力演算部93と、軸力選択部94とを有している。
配分軸力演算部91は、ラック軸22に作用する軸力に応じた配分軸力Fdを演算する。配分軸力Fdは、転舵輪5を通じてラック軸22に作用する軸力が好適に反映されるように、後述の角度軸力Fr及び電流軸力Fiをそれぞれの配分比率で配分して得られるラック軸22に作用する軸力を推定した演算上の軸力に相当する。こうして得られた配分軸力Fdは、加算器95に出力される。本実施形態において、配分軸力Fdはトルク成分の一例である。
エンド軸力演算部92は、ステアリングホイール3の操舵限界、すなわち転舵輪5の転舵限界に達する状況になる場合に当該状況を運転者に伝えるエンド軸力Fieを演算する。エンド軸力Fieは、操舵角θsの絶対値が操舵限界に対応する操舵角限界に近付く場合に、当該操舵角限界を超える側への更なるステアリングホイール3の操舵を規制するべく、当該操舵に対して抗する力に相当する。
エンド軸力演算部92には、目標ピニオン角θp*が入力される。エンド軸力演算部92は、目標ピニオン角θp*に基づいて、エンド軸力Fieを演算する。具体的には、エンド軸力演算部92は、目標ピニオン角θp*と、エンド軸力Fieとの関係を定めたエンド軸力マップを備えており、目標ピニオン角θp*を入力として、エンド軸力Fieをマップ演算する。エンド軸力演算部92は、目標ピニオン角θp*の絶対値が閾値角度θie以下である場合、エンド軸力Fieを「0」として演算する。エンド軸力演算部92は、目標ピニオン角θp*の絶対値が閾値角度θieよりも大きい場合、操舵角θsが操舵角限界を超える状況になるとして、絶対値が「0」よりも大きなエンド軸力Fieを演算する。エンド軸力Fieは、目標ピニオン角θp*の絶対値が閾値角度θieを超えてある程度大きくなると、人の手ではそれ以上のステアリングホイール3の操舵ができないほどに大きな絶対値となるように設定されている。こうして得られたエンド軸力Fieは、軸力選択部94に出力される。
偏差軸力演算部93は、ステアリングホイール3の操舵状態と、転舵輪5の転舵状態との間の舵角比を考慮した関係にずれが生じる状況になる場合に当該状況を運転者に伝える偏差軸力Fvを演算する。ステアリングホイール3の操舵状態と、転舵輪5の転舵状態との間の舵角比を考慮した関係にずれが生じる場合としては、例えば、転舵輪5が縁石等の障害物に当たっている状況が挙げられる。この場合、転舵輪5を上記障害物側の一方向へ転舵させることができないにもかかわらず、転舵輪5の停止位置に対応するステアリングホイール3の停止位置を超えて当該一方向へ操舵される可能性がある。これは、操舵部4と転舵部6との間の動力伝達路が分離されているからである。他にも、ステアリングホイール3の操舵状態と、転舵輪5の転舵状態との間の舵角比を考慮した関係にずれが生じる場合としては、過熱保護のために転舵側モータ32の作動が制限される結果、操舵角θsと転舵角との間の相関が崩れる状況が挙げられる。これは、ピニオン角θpが目標ピニオン角θp*に追従し難くなるからである。偏差軸力Fvは、転舵輪5が縁石等の障害物に当たった場合に、ステアリングホイール3の更なる操舵を規制するため、当該操舵に対して抗する力に相当する。また、過熱保護のため転舵側モータ32の作動が制限される場合、ピニオン角θpの目標ピニオン角θp*への追従性を確保するためにステアリングホイール3の操舵を規制するべく、当該操舵に対して抗する力に相当する。
偏差軸力演算部93には、操舵角θs、ピニオン角θp、及び転舵側実電流値Ibが入力される。偏差軸力演算部93は、ピニオン角θpに調整量を加算することによって、転舵角の指標の値として表されているピニオン角θpを舵角比に応じて操舵角の指標の値として表されるように換算した換算角を演算する。偏差軸力演算部93は、調整量を、舵角比可変制御部62が定義する演算規則に対して入力及び出力の関係を逆とした演算規則となるように、車速Vに応じて可変させる。偏差軸力演算部93は、操舵角θsから換算角を差し引いて得られる偏差に基づいて、偏差軸力Fvを演算する。具体的には、偏差軸力演算部93は、偏差の絶対値と、偏差軸力Fvとの関係を定めた偏差軸力マップを備えており、偏差を入力として、偏差軸力Fvをマップ演算する。そして、偏差軸力演算部93は、転舵側実電流値Ibに基づいて偏差軸力Fvの符号を設定する。すなわち、偏差軸力演算部93は、転舵側実電流値Ibがゼロ値を含む正値の場合に偏差軸力Fvを正とし、転舵側実電流値Ibが負値の場合に偏差軸力Fvを負とする。こうして得られた偏差軸力Fvは、軸力選択部94に出力される。
軸力選択部94には、エンド軸力Fie、及び偏差軸力Fvが入力される。軸力選択部94は、エンド軸力Fie、及び偏差軸力Fvのうちの絶対値が最も大きい軸力を選択し、当該選択した軸力を選択軸力Fslとして演算する。加算器95にて、選択軸力Fslが配分軸力Fdに加算されることで、軸力Fが演算される。図2に示すように、こうして得られた軸力Fは、減算器57に出力される。減算器57にて、操舵力Tb*から軸力Fが差し引かれることで目標反力トルクTs*が演算される。こうして得られた目標反力トルクTs*は、通電制御部53に出力される。
<配分軸力演算部91>
次に、配分軸力演算部91の機能について詳しく説明する。
図5に示すように、配分軸力演算部91は、角度軸力演算部101と、電流軸力演算部102と、軸力配分比演算部103とを有している。
次に、配分軸力演算部91の機能について詳しく説明する。
図5に示すように、配分軸力演算部91は、角度軸力演算部101と、電流軸力演算部102と、軸力配分比演算部103とを有している。
角度軸力演算部101には、目標ピニオン角θp*、操舵角θs、及び車速Vが入力される。角度軸力演算部101は、目標ピニオン角θp*、操舵角θs、及び車速Vに基づいて、角度軸力Frを演算する。角度軸力Frは、任意に設定する車両のモデルにより規定される軸力の理想値である。角度軸力Frは、路面情報が反映されない軸力として演算される。路面情報とは、車両の横方向への挙動に影響を与えない微小な凹凸や車両の横方向への挙動に影響を与える段差等の情報である。例えば、角度軸力演算部101は、目標ピニオン角θp*の絶対値が大きくなるほど、角度軸力Frの絶対値が大きくなるように演算する。また、角度軸力演算部101は、車速Vが大きくなるにつれて角度軸力Frの絶対値が大きくなるように演算する。角度軸力Frは、トルクの次元(N・m)の値として演算される。こうして得られた角度軸力Frは、乗算器104に出力される。本実施形態において、角度軸力Frはトルク成分の一例であり、角度軸力演算部101はトルク成分演算部の一例である。
電流軸力演算部102には、転舵側実電流値Ibが入力される。電流軸力演算部102は、転舵側実電流値Ibに基づいて電流軸力Fiを演算する。電流軸力Fiは、転舵輪5を転舵させるべく動作するラック軸22に実際に作用する軸力、すなわちラック軸22に実際に伝達される軸力の推定値である。電流軸力Fiは、上記路面情報が反映される軸力として演算される。例えば、電流軸力演算部102は、転舵側モータ32によってラック軸22に加えられるトルクと、転舵輪5を通じてラック軸22に加えられる力に応じたトルクとが釣り合うとして、電流軸力Fiを演算する。すなわち、電流軸力演算部102は、転舵側実電流値Ibの絶対値が大きくなるほど、電流軸力Fiの絶対値が大きくなるように演算する。電流軸力Fiは、トルクの次元(N・m)の値として演算される。こうして得られた電流軸力Fiは、乗算器105に出力される。
軸力配分比演算部103には、車速Vが入力される。軸力配分比演算部103は、車速Vに基づいて、軸力配分ゲインDiを演算する。軸力配分ゲインDiは、角度軸力Frと、電流軸力Fiとを配分して配分軸力Fdを得る際の電流軸力Fiの配分比率である。軸力配分比演算部103は、車速Vと、軸力配分ゲインDiとの関係を定めた軸力配分ゲインマップを備えている。そして、軸力配分比演算部103は、車速Vを入力として、軸力配分ゲインDiをマップ演算する。こうして得られた軸力配分ゲインDiは、電流軸力Fiに乗算して乗算器105を通じて得られる最終的な電流軸力Fimとして加算器108に出力される。また、減算器106にて、記憶部107に記憶された「1」から軸力配分ゲインDiが差し引かれることで軸力配分ゲインDrが演算される。こうして得られた軸力配分ゲインDrは、乗算器104に出力される。軸力配分ゲインDrは、配分軸力Fdを得る際の角度軸力Frの配分比率である。つまり、軸力配分ゲインDrは、軸力配分ゲインDiとの和が「1(100%)」となるように値が演算される。配分比率は、角度軸力Fr及び電流軸力Fiのいずれかしか配分軸力Fdに配分しないゼロ値の概念を含む。なお、記憶部107は、図示しないメモリの所定の記憶領域のことである。
こうして得られた軸力配分ゲインDrは、角度軸力演算部101で得られた角度軸力Frに乗算して乗算器104を通じて得られる最終的な角度軸力Frmとして加算器108に出力される。加算器108にて、角度軸力Frmと、電流軸力Fimとが加算されることで配分軸力Fdが演算される。配分軸力Fdは、運転者の操舵方向とは反対方向に作用する。配分軸力Fdは、トルクの次元(N・m)の値として演算される。図4に示すように、こうして得られた配分軸力Fdは、加算器95に出力される。
<走行用ヒス補償量演算部82>
次に、走行用ヒス補償量演算部82について説明する。
図6に示すように、走行用ヒス補償量演算部82は、走行用ゼロ点演算部111と、走行用ヒステリシス成分演算部(以下、「走行用ヒス成分演算部」という)112と、走行用車速ゲイン演算部113とを有している。
次に、走行用ヒス補償量演算部82について説明する。
図6に示すように、走行用ヒス補償量演算部82は、走行用ゼロ点演算部111と、走行用ヒステリシス成分演算部(以下、「走行用ヒス成分演算部」という)112と、走行用車速ゲイン演算部113とを有している。
走行用ゼロ点演算部111には、操舵角θsが入力される。走行用ゼロ点演算部111は、操舵角θsに基づいて、走行用ヒス成分演算部112が後述の走行用ヒス成分Fhy1を演算する際の走行用ゼロ点Prを演算する。具体的には、走行用ゼロ点演算部111は、切り込み操舵の開始、又は切り戻し操舵の開始を判断する場合に、その開始位置での操舵角θsを走行用ゼロ点Prとして演算する。走行用ゼロ点演算部111は、操舵角θsの増減、すなわち当該操舵角θsを微分して得られる操舵速度ωsの符号に基づいて、切り込み操舵の開始、又は切り戻し操舵の開始を判断する。つまり、走行用ゼロ点演算部111は、切り込み操舵の開始、又は切り戻し操舵の開始を判断する毎に、走行用ゼロ点Prを更新する。
本実施形態において、切り込み操舵は、操舵の方向が同一の一方向への操舵を継続する操舵のことである。また、切り戻し操舵は、操舵の方向が変化した後の僅か所定範囲内の操舵角θsの間の操舵のことである。例えば、走行用ゼロ点演算部111は、操舵角θsが増減していない状態からの増減の開始時、すなわち操舵速度ωsがゼロ値から正負いずれかへの変化の開始時を切り込み操舵の開始と判断する。また、走行用ゼロ点演算部111は、切り込み操舵中に、操舵角θsの増減の状態が増減の間での変化の開始時、すなわち操舵速度ωsの符号が正負の間での変化の開始時を切り戻し操舵の開始と判断する。また、走行用ゼロ点演算部111は、切り戻し操舵の開始と判断してから所定範囲に相当する分だけの操舵角θsの変化の完了時を切り込み操舵の開始と判断する。
こうして得られた走行用ゼロ点Prは、走行用ヒス成分演算部112に出力される。
走行用ヒス成分演算部112には、操舵角θs、及び走行用ゼロ点Prが入力される。走行用ヒス成分演算部112は、操舵角θs、及び走行用ゼロ点Prに基づいて、操舵力Tb*がヒステリシス特性を有するように基本制御量I1*に付加する成分である走行用ヒステリシス成分(以下、「走行用ヒス成分」という)Fhy1を演算する。
走行用ヒス成分演算部112には、操舵角θs、及び走行用ゼロ点Prが入力される。走行用ヒス成分演算部112は、操舵角θs、及び走行用ゼロ点Prに基づいて、操舵力Tb*がヒステリシス特性を有するように基本制御量I1*に付加する成分である走行用ヒステリシス成分(以下、「走行用ヒス成分」という)Fhy1を演算する。
図7(a),(b)に示すように、走行用ヒス成分演算部112は、操舵角θsと、走行用ヒス成分Fhy1との関係を定めたヒステリシスマップ(以下、「ヒスマップ」という。)MA1,MA2を備えている。走行用ヒス成分演算部112は、走行用ゼロ点演算部111と同様に判断される切り込み操舵であるか、切り戻し操舵であるかに応じて、ヒスマップMA1,MA2のいずれかを用いて走行用ヒス成分Fhy1をマップ演算する。なお、ヒスマップMA1,MA2において、「θs」とは、切り込み操舵や切り戻し操舵の開始位置での操舵角θs、すなわち走行用ゼロ点Prを原点とした場合の操舵角θsの変化量、すなわち角度偏差θhsを示している。
具体的には、走行用ヒス成分演算部112は、切り込み操舵時には、ヒスマップMA1を用いて、走行用ヒス成分Fhy1を演算する。この場合、走行用ヒス成分Fhy1は、角度偏差θhsの絶対値が大きくなるほど、絶対値が大きくなるとともに、角度偏差θhsに対する走行用ヒス成分Fhy1の立ち上がり時の変化率であるヒステリシス勾配の絶対値が小さくなるように算出される。この場合の走行用ヒス成分Fhy1の絶対値は、角度偏差θhsが所定以上の範囲で飽和するようになっており、その時の値の最大値が最大値Fmax以下となるように算出される。
そして、走行用ヒス成分演算部112は、右方向への切り込み操舵時、その切り込み操舵の開始位置での走行用ゼロ点PrをヒスマップMA1の原点として第1象限に示される値を用いる。また、走行用ヒス成分演算部112は、左方向への切り込み操舵を行う場合、その切り込み操舵の開始位置での走行用ゼロ点PrをヒスマップMA1の原点として第3象限に示される値を用いる。
一方、走行用ヒス成分演算部112は、切り戻し操舵時には、ヒスマップMA2を用いて、走行用ヒス成分Fhy1を演算する。この場合、走行用ヒス成分Fhy1は、角度偏差θhsに比例するように算出される。この場合の走行用ヒス成分Fhy1は、走行用ゼロ点Prから所定範囲内の角度偏差θhsの場合にのみ算出される。
走行用ヒス成分演算部112は、右方向への切り戻し操舵を行う場合、その切り戻し操舵の開始位置での走行用ゼロ点PrをヒスマップMA2の原点として、当該原点から角度偏差θhsが所定範囲内にある間だけ第1象限に示される値を用いる。また、走行用ヒス成分演算部112は、左方向への切り戻し操舵を行う場合、その切り戻し操舵の開始位置での走行用ゼロ点PrをヒスマップMA2の原点として、当該原点から角度偏差θhsが所定範囲内にある間だけ第3象限に示される値を用いる。
本実施形態において、ヒスマップMA1,MA2は、車速Vに応じて走行用ヒス成分Fhy1を変更するように構成されている。ヒスマップMA1,MA2は、所望の操舵フィーリングを実現することを目的として、車速Vに応じて走行用ヒス成分Fhy1を変更する。本実施形態では、例えば、車速Vが小さいほど、ヒステリシス勾配を大きくするように走行用ヒス成分Fhy1を変更するようにしている。そして、ヒスマップMA1,MA2は、車速Vが大きいほど、最大値Fmaxを大きくするように走行用ヒス成分Fhy1を変更するようにしている。例えば、最大値Fmaxは、車速Vが、時速6キロ未満等の停車状態を含む走行状態である極低速である場合、時速10キロ以上等の停車状態を含まない走行状態である中高速である場合と比較して、最大で10倍等の大きい値が設定されている。なお、操舵角θsの微分値である操舵速度ωsに応じて走行用ヒス成分Fhy1を変更してもよい。この場合、例えば、操舵速度ωsが大きいほど、ヒステリシス勾配を小さくするように走行用ヒス成分Fhy1を変更するようにしてもよい。
これにより、ステアリングホイール3を一定周波数で周期的に切り込み操舵及び切り戻し操舵を繰り返し行うサイン操舵した際において、走行用ヒス成分演算部112は操舵角θsの変化に対してヒステリシス特性を有するように走行用ヒス成分Fhy1を演算する。こうして得られた走行用ヒス成分Fhy1は、乗算器114に出力される。
走行用車速ゲイン演算部113には、車速Vが入力される。走行用車速ゲイン演算部113は、車速Vに基づいて、走行用車速ゲインDv1を演算する。
図8に示すように、走行用車速ゲイン演算部113は、車速Vと、走行用車速ゲインDv1との関係を定めた車速ゲインマップM11を備えており、車速Vを入力として、走行用車速ゲインDv1をマップ演算する。走行用車速ゲイン演算部113は、車速Vが、例えば、上記極低速、すなわち第1閾値V1未満である場合、走行用車速ゲインDv1を「ゼロ値(0%)」として演算する。また、走行用車速ゲイン演算部113は、車速Vが、例えば、上記中高速、すなわち第2閾値V2以上である場合、走行用車速ゲインDv1を「1(100%)」として演算する。なお、走行用車速ゲイン演算部113は、車速Vが、例えば、極低速と中高速との間である低速、すなわち第1閾値V1以上、且つ第2閾値V2未満である場合、「ゼロ値」と「1」との間が線形的に繋がるように走行用車速ゲインDv1を演算する。本実施形態において、第1閾値V1未満の車速Vが第2状態に対応するとして定められた第2車速に相当し、第1閾値以上、すなわち第2閾値V2以上の車速Vが第1状態に対応するとして定められた第1車速に相当する。
図8に示すように、走行用車速ゲイン演算部113は、車速Vと、走行用車速ゲインDv1との関係を定めた車速ゲインマップM11を備えており、車速Vを入力として、走行用車速ゲインDv1をマップ演算する。走行用車速ゲイン演算部113は、車速Vが、例えば、上記極低速、すなわち第1閾値V1未満である場合、走行用車速ゲインDv1を「ゼロ値(0%)」として演算する。また、走行用車速ゲイン演算部113は、車速Vが、例えば、上記中高速、すなわち第2閾値V2以上である場合、走行用車速ゲインDv1を「1(100%)」として演算する。なお、走行用車速ゲイン演算部113は、車速Vが、例えば、極低速と中高速との間である低速、すなわち第1閾値V1以上、且つ第2閾値V2未満である場合、「ゼロ値」と「1」との間が線形的に繋がるように走行用車速ゲインDv1を演算する。本実施形態において、第1閾値V1未満の車速Vが第2状態に対応するとして定められた第2車速に相当し、第1閾値以上、すなわち第2閾値V2以上の車速Vが第1状態に対応するとして定められた第1車速に相当する。
こうして得られた走行用車速ゲインDv1は、走行用ヒス成分Fhy1に乗算して乗算器114を通じて得られる走行用ヒス補償量I3*として加算器73に出力される。
<角度軸力演算部101>
次に、角度軸力演算部101について説明する。
<角度軸力演算部101>
次に、角度軸力演算部101について説明する。
図9に示すように、角度軸力演算部101は、軸力基礎成分演算部121と、極低速判定部122と、停車用ゼロ点演算部123と、停車用ヒステリシス成分演算部(以下、「停車用ヒス成分演算部」という)124と、停車用車速ゲイン演算部125と、ゼロ点逆演算部126とを有している。
軸力基礎成分演算部121には、目標ピニオン角θp*が入力される。軸力基礎成分演算部121は、目標ピニオン角θp*に基づいて、角度軸力Frの基礎成分である軸力基礎成分Frbを演算する。具体的には、軸力基礎成分演算部121は、目標ピニオン角θp*の絶対値が大きくなるほど、軸力基礎成分Frbの絶対値が大きくなるように演算する。軸力基礎成分Frbは、トルクの次元(N・m)の値として演算される。こうして得られた軸力基礎成分Frbは、加算器127に出力される。
極低速判定部122には、車速Vが入力される。極低速判定部122は、車速Vが第1閾値V1を跨いで当該第1閾値V1未満に変遷したことを検出する場合に、当該検出したことを示す判定FLGを生成する。本実施形態において、車速Vが第1閾値V1を跨いで当該第1閾値V1未満に変遷したことを検出する状況は、車速Vが第1車速から第2車速への変化を検出する状況に相当する。こうして得られた判定FLGは、停車用ゼロ点演算部123に出力される。
停車用ゼロ点演算部123には、操舵角θs、判定FLG、及び後述の補正ゼロ点Pcが入力される。停車用ゼロ点演算部123は、操舵角θsに基づいて、停車用ヒス成分演算部124が後述の停車用ヒステリシス成分(以下、「停車用ヒス成分」という)Fhy2を演算する際の停車用ゼロ点Psを演算する。停車用ゼロ点演算部123は、走行用ゼロ点演算部111が走行用ゼロ点Prを演算するのと同様にして、切り込み操舵の開始、又は切り戻し操舵の開始を判断する場合に、その開始位置での操舵角θsを停車用ゼロ点Psとして演算する。
そして、停車用ゼロ点演算部123は、判定FLGが入力されない場合に、演算して得られた停車用ゼロ点Psを、最終的な停車用ゼロ点Psとして演算する。つまり、停車用ゼロ点演算部123は、判定FLGが入力されない場合に、切り込み操舵の開始、又は切り戻し操舵の開始を判断する毎に、停車用ゼロ点Psを更新する。
一方、停車用ゼロ点演算部123は、判定FLGが入力される場合に、演算して得られた停車用ゼロ点Psを補正ゼロ点Pcとなるように補正した後の停車用ゼロ点Psを、最終的な停車用ゼロ点Psとして演算する。補正ゼロ点Pcは、ゼロ点逆演算部126を通じて得られる。つまり、停車用ゼロ点演算部123は、判定FLGが入力される場合に、切り込み操舵の開始、又は切り戻し操舵の開始を判断していないなかで、ゼロ点逆演算部126を通じて得られる補正ゼロ点Pcとなるように停車用ゼロ点Psを更新する。なお、補正ゼロ点Pcの演算については、後で詳しく説明する。こうして得られた最終的な停車用ゼロ点Psは、停車用ヒス成分演算部124に出力される。
停車用ヒス成分演算部124には、操舵角θs、停車用ゼロ点Ps、及び車速Vが入力される。停車用ヒス成分演算部124は、操舵角θs、停車用ゼロ点Ps、及び車速Vに基づいて、角度軸力Frがヒステリシス特性を有するように軸力基礎成分Frbに付加する成分である停車用ヒス成分Fhy2を演算する。
図7(a),(b)に示すように、停車用ヒス成分演算部124は、操舵角θsと、停車用ヒス成分Fhy2との関係を定めたヒスマップMB1,MB2を備えている。ヒスマップMB1,MB2は、走行用ヒス成分演算部112が備えるヒスマップMA1,MA2と基本的に同一構成である。
そして、停車用ヒス成分演算部124は、走行用ヒス成分演算部112が走行用ヒス成分Fhy1を演算するのと同様にして、停車用ヒス成分Fhy2を演算する。つまり、停車用ヒス成分演算部124は、右方向への切り込み操舵時、その時の停車用ゼロ点PsをヒスマップMB1の原点として第1象限に示される値を用いる。また、停車用ヒス成分演算部124は、左方向への切り込み操舵時、その時の停車用ゼロ点PsをヒスマップMB1の原点として第3象限に示される値を用いる。また、停車用ヒス成分演算部124は、右方向への切り戻し操舵を行う場合、その時の停車用ゼロ点PsをヒスマップMB2の原点として、当該原点から角度偏差θhsが所定範囲内にある間だけ第1象限に示される値を用いる。また、停車用ヒス成分演算部124は、左方向への切り戻し操舵を行う場合、その時の停車用ゼロ点PsをヒスマップMB2の原点として、当該原点から角度偏差θhsが所定範囲内にある間だけ第3象限に示される値を用いる。
これにより、ステアリングホイール3を一定周波数で周期的に切り込み操舵及び切り戻し操舵を繰り返し行うサイン操舵した際において、停車用ヒス成分演算部124は操舵角θsの変化に対してヒステリシス特性を有するように停車用ヒス成分Fhy2を演算する。こうして得られた停車用ヒス成分Fhy2は、乗算器128、及びゼロ点逆演算部126に出力される。
本実施形態において、車速Vが上記中高速の場合に演算される停車用ヒス成分Fhy2が示す特性は、第1ヒステリシス特性の一例である。つまり、車速Vが上記中高速の場合に停車用ヒス成分Fhy2を演算する状態は、第1演算状態の一例である。また、車速Vが上記極低速の場合に演算される停車用ヒス成分Fhy2が示す特性は、第2ヒステリシス特性の一例である。つまり、車速Vが上記極低速の場合に停車用ヒス成分Fhy2を演算する状態は、第2演算状態の一例である。
停車用車速ゲイン演算部125には、車速Vが入力される。停車用車速ゲイン演算部125は、車速Vに基づいて、停車用車速ゲインDv2を演算する。
図10に示すように、停車用車速ゲイン演算部125は、車速Vと、停車用車速ゲインDv2との関係を定めた車速ゲインマップM12を備えており、車速Vを入力として、停車用車速ゲインDv2をマップ演算する。停車用車速ゲイン演算部125は、車速Vが、例えば、上記低速、及び中高速、すなわち第1閾値V1以上である場合、停車用車速ゲインDv2を「ゼロ値(0%)」として演算する。また、停車用車速ゲイン演算部125は、車速Vが、例えば、ゼロ値である場合、停車用車速ゲインDv2を「1(100%)」として演算する。なお、停車用車速ゲイン演算部125は、車速Vが、例えば、極低速、すなわち第1閾値V1未満である場合、「ゼロ値」と「1」との間が線形的に繋がるように停車用車速ゲインDv2を演算する。
図10に示すように、停車用車速ゲイン演算部125は、車速Vと、停車用車速ゲインDv2との関係を定めた車速ゲインマップM12を備えており、車速Vを入力として、停車用車速ゲインDv2をマップ演算する。停車用車速ゲイン演算部125は、車速Vが、例えば、上記低速、及び中高速、すなわち第1閾値V1以上である場合、停車用車速ゲインDv2を「ゼロ値(0%)」として演算する。また、停車用車速ゲイン演算部125は、車速Vが、例えば、ゼロ値である場合、停車用車速ゲインDv2を「1(100%)」として演算する。なお、停車用車速ゲイン演算部125は、車速Vが、例えば、極低速、すなわち第1閾値V1未満である場合、「ゼロ値」と「1」との間が線形的に繋がるように停車用車速ゲインDv2を演算する。
また、停車用車速ゲイン演算部125は、車速Vがゼロ値から上記中高速、すなわち第2閾値V2に向かって増加する間、停車用車速ゲインDv2の演算周期あたりの変化量を所定の制限値に制限する。停車用車速ゲイン演算部125は、停車用車速ゲインDv2の演算周期あたりの変化量が制限値を超える場合、停車用車速ゲインDv2の演算周期あたりの変化量を制限値に制限する。これにより、停車用車速ゲイン演算部125は、車速Vがゼロ値から上記中高速、すなわち第2閾値V2に向かって増加する間、直前周期(1周期前)に対して、停車用車速ゲインDv2を徐々に変化させる。つまり、停車用車速ゲイン演算部125は、車速Vがゼロ値から上記中高速、すなわち第2閾値V2に向かって増加する間、停車用車速ゲインDv2の急変を抑制するように停車用車速ゲインDv2を補償する機能を有する。本実施形態では、図10中に二点鎖線で示すように、例えば、車速Vが大きいほど、制限値が大きくなるように変更するようにしている。制限値は、車速Vがゼロ値から上記中高速、すなわち第2閾値V2に向かって増加する間で生じる転舵輪5の剛性の変化を実現する観点で、試験やシミュレーション等に基づいて設定されている。
こうして得られた停車用車速ゲインDv2は、停車用ヒス成分Fhy2に乗算して乗算器128を通じて得られる角度軸力用ヒステリシス成分(以下、「角度軸力用ヒス成分」という)Fhyrとして加算器127に入力される。加算器127にて、軸力基礎成分Frbに対して角度軸力用ヒス成分Fhyrが加算されることで得られる角度軸力Frは、乗算器104に出力される。
本実施形態において、停車用車速ゲインDv2は車速係数の一例であり、停車用車速ゲイン演算部125は係数演算部の一例である。また、第1閾値V1未満の車速Vである場合に演算される停車用車速ゲインDv2が第2車速係数に相当し、第1閾値V1以上である場合に演算される停車用車速ゲインDv2が第1車速係数に相当する。
本実施形態において、走行用ヒス補償量I3*は、特に車両が停車状態を含まない走行状態の場合について、ステアリングホイール3の動作時の摩擦によるヒステリシス特性を最適化するように補償する。なお、車両が停車状態を含まない走行状態とは、例えば、時速10キロ以上等の中高速で車両が走行している状態のことである。走行用ヒス補償量I3*は、操舵角θsの変化に対してヒステリシス特性を有する。こうして得られた走行用ヒス補償量I3*は、加算器73に出力される。
図9に示すように、ゼロ点逆演算部126には、停車用ヒス成分Fhy2、及び操舵角θsが入力される。ゼロ点逆演算部126は、停車用ヒス成分Fhy2、及び操舵角θsに基づいて、補正ゼロ点Pcを演算する。ゼロ点逆演算部126は、停車用ヒス成分演算部124が備えているヒスマップMB1,MB2のうち、特に車速Vが上記極低速である場合のヒスマップMB1(V<V1),MB2(V<V1)を備えている。また、ゼロ点逆演算部126は、停車用ゼロ点演算部123が停車用ゼロ点Psを演算するのと同様にして、切り込み操舵の開始、又は切り戻し操舵の開始を判断する場合に、その開始位置での操舵角θsを停車用ゼロ点Psとして演算する。この場合、ゼロ点逆演算部126は、操舵角θsに基づいて、停車用ゼロ点Psを原点とした場合の操舵角θsの変化量、すなわち角度偏差θhsを演算する。
そして、ゼロ点逆演算部126は、入力された停車用ヒス成分Fhy2の値と同値の停車用ヒス成分Fhy2を演算する場合のヒスマップMB1(V<V1),MB2(V<V1)における原点に対応する角度偏差θhsを演算する。この場合、ゼロ点逆演算部126は、右方向への切り込み操舵時、ヒスマップMB1(V<V1)の第1象限に示される値を用いる。また、ゼロ点逆演算部126は、左方向への切り込み操舵時、ヒスマップMB1(V<V1)の第3象限に示される値を用いる。また、ゼロ点逆演算部126は、右方向への切り戻し操舵を行う場合、ヒスマップMB2(V<V1)の第1象限に示される値を用いる。また、ゼロ点逆演算部126は、左方向への切り戻し操舵を行う場合、ヒスマップMB2(V<V1)の第3象限に示される値を用いる。
例えば、図11に示すように、右方向への切り込み操舵時を前提として、横軸が角度偏差θhs、縦軸が停車用ヒス成分Fhy2の座標系について、入力された[停車用ヒス成分Fhy2、角度偏差θhs]を表す点が座標P1であるとする。ここで、図11中、二点鎖線で示すヒスマップMB1(V<V1)の第1象限に示される値について、当該ヒスマップMB1(V<V1)が座標P1と重なる位置まで右方向、すなわち角度偏差θhsが正値側に増加する側に全体的にずらすようにオフセットさせる。そして、図11中、実線で示すオフセット後のヒスマップMB1(V<V1)について、横軸上の角度偏差θhsの値に対応する操舵角θsの値が補正ゼロ点Pcとなる。この場合、補正ゼロ点Pcは、停車用ゼロ点Psに対応する操舵角θsから横軸上の角度偏差θhsの値を減算した値として得られる。補正ゼロ点Pcに原点を更新して得られる角度偏差θhsでは、ヒスマップMB1(V<V1)で演算される停車用ヒス成分Fhy2として、その時にゼロ点逆演算部126に入力された停車用ヒス成分Fhy2の値と同値が得られる。これは、左方向への切り込み操舵時を前提として、ヒスマップMB1(V<V1)の第3象限に示される値についても同様であり、当該第3象限に示される値を左方向、すなわち角度偏差θhsが負値側に増加する側にオフセットさせる。また、右方向への切り戻し操舵を行う場合では、ヒスマップMB2(V<V1)の第1象限に示される値についても同様であり、当該第1象限に示される値を右方向、すなわち角度偏差θhsが正値側に増加する側にオフセットさせる。また、左方向への切り戻し操舵を行う場合では、ヒスマップMB2(V<V1)の第3象限に示される値についても同様であり、当該第3象限に示される値を左方向、すなわち角度偏差θhsが負値側に増加する側にオフセットさせる。こうして得られた補正ゼロ点Pcは、停車用ゼロ点演算部123に出力される。本実施形態において、極低速判定部122、停車用ゼロ点演算部123、停車用ヒステリシス成分演算部124、停車用車速ゲイン演算部125、ゼロ点逆演算部126、及び乗算器128は、ヒステリシス成分演算部の一例である。
第1実施形態の作用を説明する。
本実施形態では、車速Vが極低速であるか否かの状況に応じて、ヒスマップMB1,MB2における原点を補正することで、停車用ヒス成分Fhy2を演算することができる。例えば、車速Vが中低速から低速を跨いで極低速に変遷したことを検出する状況は、停車用ヒス成分Fhy2を演算する場合に、極低速への変遷前後でヒステリシス幅が大きく変化することが想定される状況である。これは、極低速への変遷前で使用するヒスマップMB1(V≧V1,V2)に対して、極低速への変遷後で使用するヒスマップMB1(V<V1)について、停車用ヒス成分Fhy2の最大値Fmaxが大きく設定されているからである。なお、ヒスマップMB2(V≧V1,V2)とヒスマップMB2(V<V1,V2)についても同様である。
本実施形態では、車速Vが極低速であるか否かの状況に応じて、ヒスマップMB1,MB2における原点を補正することで、停車用ヒス成分Fhy2を演算することができる。例えば、車速Vが中低速から低速を跨いで極低速に変遷したことを検出する状況は、停車用ヒス成分Fhy2を演算する場合に、極低速への変遷前後でヒステリシス幅が大きく変化することが想定される状況である。これは、極低速への変遷前で使用するヒスマップMB1(V≧V1,V2)に対して、極低速への変遷後で使用するヒスマップMB1(V<V1)について、停車用ヒス成分Fhy2の最大値Fmaxが大きく設定されているからである。なお、ヒスマップMB2(V≧V1,V2)とヒスマップMB2(V<V1,V2)についても同様である。
本実施形態では、車速Vが中高速から低速を跨いで極低速に変遷したことが判定FLGによって、停車用ゼロ点演算部123にて判断することができる。そして、停車用ゼロ点演算部123は、判定FLGが入力される場合に、演算して得られた停車用ゼロ点Psを、ゼロ点逆演算部126を通じて得られる補正ゼロ点Pcとなるように更新する。
例えば、図11の示す状況が、右方向への切り込み操舵時を前提として、車速Vが中高速から低速を跨いで極低速に変遷した瞬間を示すとする。この瞬間では、角度偏差θhsが第1偏差値θhs1の場合に、ヒスマップMB1(V≧V1,V2)に基づいて、座標P1に対応する第1成分値Fhy21の停車用ヒス成分Fhy2が演算されている。
続いて、車速Vが極低速に変遷した直後では、停車用ヒス成分Fhy2の演算の際に、図11中に二点鎖線で示すヒスマップMB1(V<V1)を使用する状態に変遷する。車速Vが極低速に変遷した直後が、切り込み操舵の開始、又は切り戻し操舵の開始でなければ、車速Vが中高速から低速を跨いで極低速に変遷した瞬間での停車用ゼロ点Ps(図11中の「Ps1」)が維持される。この場合、車速Vが極低速に変遷した直後では、角度偏差θhsが第1偏差値θhs1に維持されていると、ヒスマップMB1(V<V1)に基づいて、座標P2に対応する第2成分値Fhy22の停車用ヒス成分Fhy2が演算されることになる。角度偏差θhsが第1偏差値θhs1に維持されている状況は、例えば、ステアリングホイール3が運転者によって保舵されていない、手放し状態等が該当する。つまり、車速Vが極低速に変遷した直後では、図11中に二点鎖線で示すヒスマップMB1(V<V1)を使用する状態に変遷することに起因して、停車用ヒス成分Fhy2のヒステリシス幅が急変する可能性がある。
これに対して、図11中に矢印で示すように、本実施形態では、車速Vが極低速に変遷した直後が、切り込み操舵の開始、又は切り戻し操舵の開始でなくても、車速Vが極低速に変遷したことを条件として、停車用ゼロ点Psを補正ゼロ点Pcに更新する。これにより、図11中に矢印で示すように、停車用ゼロ点Psを「Ps1」から補正ゼロ点Pc(図11中の「Ps2」)へ更新する。この場合、角度偏差θhsが第1偏差値θhs1に維持されていたとしても、図11中に実線で示すヒスマップMB1(V<V1)に基づいて、座標P1に対応する第1成分値Fhy21の停車用ヒス成分Fhy2が演算されることになる。
これにより、車速Vが中高速から低速を跨いで極低速に変遷した場合に、変遷前の停車用ヒス成分Fhy2と変遷後の停車用ヒス成分Fhy2とでヒステリシス幅の急変を抑えることができる。
したがって、図12(a)の特性が、車速Vが低速、又は中高速でのステアリングホイール3を上記サイン操舵した際の操舵角θsと操舵トルクThとの関係により示される走行用の操舵特性を示すとする。これに対して、図12(b)の特性が、車速Vが極低速でのステアリングホイール3を上記サイン操舵した際の操舵角θsと操舵トルクThとの関係により示される停車用の操舵特性を示すとする。
そして、走行用、及び停車用の操舵特性が、車速Vに応じて変遷するなかで、車速Vが中高速から低速を跨いで極低速に変遷した場合に、走行用から停車用の操舵特性に変化する。この場合、ステアリングホイール3を上記サイン操舵した際の操舵特性の間では、ヒステリシス幅が大きく変化しているが、その変化の過程でヒステリシス幅の急変が抑えられる。
本実施形態の効果を説明する。
(1-1)本実施形態では、停車用ヒス成分Fhy2について、ヒステリシス幅が急変する状況が存在することが抑えられるため、ステアリングホイール3の動きや、ステアリングホイール3から得られる感覚に違和感となって現れることを抑えることができる。したがって、操舵感の向上を図ることができる。
(1-1)本実施形態では、停車用ヒス成分Fhy2について、ヒステリシス幅が急変する状況が存在することが抑えられるため、ステアリングホイール3の動きや、ステアリングホイール3から得られる感覚に違和感となって現れることを抑えることができる。したがって、操舵感の向上を図ることができる。
(1-2)本実施形態によれば、車速Vが中高速から低速を跨いで極低速に変遷した場合では、当該変遷のタイミングでの停車用ヒス成分Fhy2の値を維持することができる。これにより、車速Vが中高速から低速を跨いで極低速に変遷する状況であっても、操舵感の向上を図ることができる。転舵輪5の摩擦を運転者に伝える観点で言えば、低速、又は中高速での走行状態と、極低速での走行状態との間では、極低速での走行状態でヒステリシス幅を大きく変化させると都合がよくなる。つまり、停車用ヒス成分Fhy2を演算する場合に、ヒステリシス幅が大きく変化することが想定される状況には、車速Vが中高速から低速を跨いで極低速に変遷した場合が該当する。したがって、転舵輪5の摩擦を運転者に伝える観点で都合がよい仕様を実現するなかで、操舵感の向上を図ることができる。
(1-3)本実施形態によれば、停車用ヒス成分Fhy2の値を維持する状況について、車速Vを使用するというアプローチを通じて最適化することができる。
<第2実施形態>
操舵制御装置の第2実施形態を図面に従って説明する。なお、ここでは、第1実施形態との違いを中心に説明する。また、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付す等して、その重複する説明を省略する。
<第2実施形態>
操舵制御装置の第2実施形態を図面に従って説明する。なお、ここでは、第1実施形態との違いを中心に説明する。また、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付す等して、その重複する説明を省略する。
<角度軸力演算部101>
図13に示すように、角度軸力演算部101は、上記第1実施形態で説明した構成から極低速判定部122を削除して変更した構成を有している。そして、本実施形態の角度軸力演算部101では、極低速判定部122の削除に伴って、上記第1実施形態の停車用ゼロ点演算部123と、ゼロ点逆演算部126とについて変更が施されている。
図13に示すように、角度軸力演算部101は、上記第1実施形態で説明した構成から極低速判定部122を削除して変更した構成を有している。そして、本実施形態の角度軸力演算部101では、極低速判定部122の削除に伴って、上記第1実施形態の停車用ゼロ点演算部123と、ゼロ点逆演算部126とについて変更が施されている。
具体的には、上記第1実施形態の停車用ゼロ点演算部123に対応する停車用ゼロ点演算部123aには、操舵角θs、及び補正ゼロ点Pcが入力される。停車用ゼロ点演算部123aは、上記第1実施形態の停車用ゼロ点演算部123と同様に停車用ゼロ点Psを演算する。そして、停車用ゼロ点演算部123aは、補正ゼロ点Pcが入力されない場合に、演算して得られた停車用ゼロ点Psを、最終的な停車用ゼロ点Psとして演算する。一方、停車用ゼロ点演算部123は、補正ゼロ点Pcが入力される場合に、演算して得られた停車用ゼロ点Psを補正ゼロ点Pcとなるように補正した後の停車用ゼロ点Psを、最終的な停車用ゼロ点Psとして演算する。
また、上記第1実施形態のゼロ点逆演算部126に対応するゼロ点逆演算部126aには、停車用ヒス成分Fhy2、操舵角θs、及び停車用車速ゲインDv2が入力される。
ゼロ点逆演算部126aは、停車用車速ゲインDv2の値が「ゼロ値」から変化、すなわち増加し始めたことを検出しない、言い換えると値が変化しない、又は「1」から「ゼロ値」に減少し始めたことを検出する場合に、補正ゼロ点Pcを演算せず出力もしない。一方、ゼロ点逆演算部126aは、停車用車速ゲインDv2の値が「ゼロ値」から変化、すなわち増加し始める状態に変遷したことを検出する場合、上記第1実施形態のゼロ点逆演算部126と同様に補正ゼロ点Pcを演算して停車用ゼロ点演算部123に出力する。つまり、ゼロ点逆演算部126aは、停車用車速ゲインDv2の値が「ゼロ値」から増加し始める状態に変遷したことを検出する場合に、切り込み操舵の開始、又は切り戻し操舵の開始を判断していないなかで、停車用ゼロ点演算部123aにて停車用ゼロ点Psが更新されるように、補正ゼロ点Pcを演算して出力する。
ゼロ点逆演算部126aは、停車用車速ゲインDv2の値が「ゼロ値」から変化、すなわち増加し始めたことを検出しない、言い換えると値が変化しない、又は「1」から「ゼロ値」に減少し始めたことを検出する場合に、補正ゼロ点Pcを演算せず出力もしない。一方、ゼロ点逆演算部126aは、停車用車速ゲインDv2の値が「ゼロ値」から変化、すなわち増加し始める状態に変遷したことを検出する場合、上記第1実施形態のゼロ点逆演算部126と同様に補正ゼロ点Pcを演算して停車用ゼロ点演算部123に出力する。つまり、ゼロ点逆演算部126aは、停車用車速ゲインDv2の値が「ゼロ値」から増加し始める状態に変遷したことを検出する場合に、切り込み操舵の開始、又は切り戻し操舵の開始を判断していないなかで、停車用ゼロ点演算部123aにて停車用ゼロ点Psが更新されるように、補正ゼロ点Pcを演算して出力する。
こうした本実施形態によれば、第1実施形態に準じた作用及び効果に加えて、以下の効果を奏する。
(2-1)本実施形態によれば、停車用ヒス成分Fhy2の値を維持する状況について、停車用車速ゲインDv2を使用するというアプローチを通じて最適化することができる。
(2-1)本実施形態によれば、停車用ヒス成分Fhy2の値を維持する状況について、停車用車速ゲインDv2を使用するというアプローチを通じて最適化することができる。
上記各実施形態は次のように変更してもよい。また、以下の他の実施形態は、技術的に矛盾しない範囲において、互いに組み合わせることができる。
・上記第1実施形態では、極低速判定部122の機能を、停車用ゼロ点演算部123の機能として実現してもよい。つまり、停車用ゼロ点演算部123には、車速Vが入力されるように構成すればよい。その他、極低速判定部122の機能は、ゼロ点逆演算部126の機能として実現してもよい。この場合、ゼロ点逆演算部126には、車速Vが入力されるように構成すればよい。そして、停車用ゼロ点演算部123には、上記第2実施形態と同様に補正ゼロ点Pcが必要な状況でのみ入力されるように構成すればよい。これらの場合、極低速判定部122の機能を削除することができる。
・上記第1実施形態では、極低速判定部122の機能を、停車用ゼロ点演算部123の機能として実現してもよい。つまり、停車用ゼロ点演算部123には、車速Vが入力されるように構成すればよい。その他、極低速判定部122の機能は、ゼロ点逆演算部126の機能として実現してもよい。この場合、ゼロ点逆演算部126には、車速Vが入力されるように構成すればよい。そして、停車用ゼロ点演算部123には、上記第2実施形態と同様に補正ゼロ点Pcが必要な状況でのみ入力されるように構成すればよい。これらの場合、極低速判定部122の機能を削除することができる。
・上記第2実施形態では、停車用車速ゲインDv2の値が「ゼロ値」から増加し始める状態に変遷したことを検出するゼロ点逆演算部126aの機能を、停車用ゼロ点演算部123aの機能として実現してもよい。つまり、停車用ゼロ点演算部123aには、車速Vが入力されるように構成すればよい。この場合、ゼロ点逆演算部126aは、基本的に補正ゼロ点Pcを演算して出力するように構成すればよい。そして、停車用ゼロ点演算部123aは、停車用車速ゲインDv2の値が「ゼロ値」から増加し始める状態に変遷したことを検出する場合に、入力される補正ゼロ点Pcによる補正を反映させればよい。その他、角度軸力演算部101には、停車用車速ゲインDv2の値が「ゼロ値」から増加し始める状態に変遷したことを検出するゼロ点逆演算部126aの機能を有する演算部を追加するようにしてもよい。
・上記第1実施形態において、ゼロ点逆演算部126には、角度軸力用ヒス成分Fhyrが入力されるようにしてもよい。この場合、ゼロ点逆演算部126には、停車用車速ゲインDv2が入力されるようにし、当該停車用車速ゲインDv2を補正ゼロ点Pcの演算に用いるようにしてもよい。また、ゼロ点逆演算部126は、補正ゼロ点Pcについて、入力された角度軸力用ヒス成分Fhyrの値と同値の角度軸力用ヒス成分Fhyrを演算する場合の原点に対応する角度偏差θhsを演算するようにしてもよい。この場合、ゼロ点逆演算部126は、補正ゼロ点Pcについて、入力された角度軸力用ヒス成分Fhyrの値と同値の停車用ヒス成分Fhy2を演算する場合の原点に対応する角度偏差θhsを演算するようにしてもよい。これは、第2実施形態についても同様である。
・上記各実施形態では、目標ピニオン角θp*を用いている部分について、目標ピニオン角θp*の代わりに、当該目標ピニオン角θp*と相関のある状態変数に基づき各種成分を演算するようにしてもよい。このような目標ピニオン角θp*と相関のある状態変数としては、例えば、ピニオン角θpや、操舵角θsや、回転角θaや、回転角θbであり、これらは操舵装置2の動作に応じて変化する状態変数の一例である。これらの目標ピニオン角θp*や、目標ピニオン角θp*と相関のあるこれらの角度は、転舵輪5の転舵角に換算可能な角度である。つまり、軸力基礎成分Frbや、エンド軸力Fieは、例えば、ピニオン角θpに基づき演算されるようにしてもよい。本変形例の場合であっても、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。これは、操舵角θsや、ピニオン角θp等の目標ピニオン角θp*と相関のある状態変数についても同様である。つまり、走行用ヒス成分Fhy1や、停車用ヒス成分Fhy2は、例えば、操舵角θsの代わりに、ピニオン角θpや目標ピニオン角θp*に基づき演算されるようにしてもよい。
・上記各実施形態において、操舵力演算部55では、操舵力Tb*を演算する際、ステアリングホイール3の動作に関わる状態変数を少なくとも用いていればよく、車速Vを用いなくてもよいし、他の要素を組み合わせて用いるようにしてもよい。ステアリングホイール3の動作に関わる状態変数としては、上記各実施形態で例示した操舵トルクThの代わりに、操舵角θsを用いたり他の要素を用いたりしてもよい。
・上記各実施形態において、軸力基礎成分演算部121は、軸力基礎成分Frbを演算する際、目標ピニオン角θp*を少なくとも用いていればよく、車速V等の他の要素を組み合わせて用いるようにしてもよい。
・上記各実施形態において、走行用ヒス成分演算部112は、走行用ヒス成分Fhy1を演算する際、操舵角θsを少なくとも用いていればよく、車速Vを用いていなくてもよい。この場合、走行用車速ゲインDv1を用いて、ヒスマップMA1,MA2の車速Vに応じた最大値Fmaxの大きさ等を調整すればよい。これは、停車用ヒステリシス成分演算部124が停車用ヒス成分Fhy2を演算する際についても同様である。この場合、停車用車速ゲインDv2を用いて、ヒスマップMB1,MB2の車速Vに応じた最大値Fmaxの大きさ等を調整すればよい。
・上記各実施形態において、走行用ヒス成分演算部112は、走行用ヒス成分Fhy1を演算する際、操舵角θsや、車速Vに加えて、他の要素を組み合わせて用いるようにしてもよい。これは、停車用ヒス成分演算部124が停車用ヒス成分Fhy2を演算する際についても同様である。
・上記各実施形態において、軸力配分比演算部103は、軸力配分ゲインDiを演算する際、車速Vを用いていればよく、他の要素を組み合わせて用いるようにしてもよい。
・上記各実施形態において、軸力演算部56では、エンド軸力演算部92、及び偏差軸力演算部93を削除してもよい。この場合、軸力選択部94及び加算器95は、削除してもよい。そして、配分軸力演算部91で演算された配分軸力Fdは、減算器57に出力される。
・上記各実施形態において、軸力演算部56では、エンド軸力演算部92、及び偏差軸力演算部93を削除してもよい。この場合、軸力選択部94及び加算器95は、削除してもよい。そして、配分軸力演算部91で演算された配分軸力Fdは、減算器57に出力される。
・上記各実施形態において、走行用車速ゲイン演算部113は、走行用車速ゲインDv1を演算する際、車速Vを用いていればよく、他の要素を組み合わせて用いるようにしてもよい。これは、停車用車速ゲイン演算部125が停車用車速ゲインDv2を演算する際についても同様である。
・上記各実施形態において、停車用車速ゲイン演算部125は、停車用車速ゲインDv2を徐々に変化させる際、経過時間に対して徐々に変化させたり、操舵角θs等の操舵部4の操舵状態や、ピニオン角θp等の転舵部6の転舵状態を考慮してもよい。
・上記各実施形態では、停車用ヒス成分Fhy2の値を維持する状況について、他の状況を想定してもよい。他の状況として、例えば、車両の走行中に転舵輪5の回転がロック状態になる状況が考えられる。車両の走行中に転舵輪5の回転がロック状態になる状況では、転舵輪5の回転がロック状態になることで、車速Vが極低速に至る可能性がある。これは、例えば、車速Vと、車両に生じているヨーレート等の状態変数との乖離から推定することができる。その他、他の状況として、車両の走行中の道路が高μ路から低μ路に変化する状況を想定してもよい。
・上記各実施形態において、演算上のヒステリシス成分を付加する対象は、角度軸力Frに限らない。演算上のヒステリシス成分を付加する対象は、例えば、ヨーレート、又は横加速度の少なくともいずれかを考慮して得られる軸力等、ヒステリシス特性を有することで操舵装置2を動作させるのに都合がよくなる成分であれば適宜変更可能である。この場合、上記各実施形態と同様の課題を生じるとしても、当該課題を上記各実施形態に準じた構成を適用することで解決することができる。
・上記各実施形態において、車速Vが極低速、すなわち第1閾値V1の値は、停車状態を含んでいればよく、適宜変更可能である。例えば、第1閾値V1は、時速3キロ等、小さくしてもよいし、時速10キロ等、低速の範囲まで大きくしてもよい。
・上記各実施形態の操舵制御装置1は、様々な運転支援機能や自動運転機能を実現する自動運転システムの指令値を操舵装置2の動作に反映させるようにしてもよい。この場合、上記各実施形態と同様の課題を生じるとしても、当該課題を上記各実施形態に準じた構成を適用することで解決することができる。
・上記各実施形態において、操舵側制御部50は、転舵側制御部60の機能として付加してもよい。
・上記各実施形態において、転舵側モータ32は、例えば、ラック軸22の同軸上に配置するものや、ラック軸22にラックアンドピニオン機構を構成するピニオン軸に対してウォームアンドホイールを介して接続されるものを採用してもよい。
・上記各実施形態において、転舵側モータ32は、例えば、ラック軸22の同軸上に配置するものや、ラック軸22にラックアンドピニオン機構を構成するピニオン軸に対してウォームアンドホイールを介して接続されるものを採用してもよい。
・上記各実施形態において、操舵制御装置1は、1)コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、2)各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路、あるいは、3)それらの組み合わせ、を含む処理回路によって構成することができる。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわち非一時的なコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
・上記各実施形態は、操舵装置2を、操舵部4と転舵部6との間が機械的に常時分離したリンクレスの構造としたが、これに限らず、クラッチにより操舵部4と転舵部6との間が機械的に分離可能な構造としてもよい。また、操舵装置2は、運転者によるステアリング操舵を補助するための力であるアシスト力を付与する電動パワーステアリング装置としてもよい。この場合、ステアリングホイール3は、ステアリング軸11を介してピニオン軸21が機械的に接続される。そして、アシスト力では、上記各実施形態の角度軸力用ヒス成分Fhyrに相当する成分を反映させるようにしてもよい。この場合、上記各実施形態と同様の課題を生じるとしても、当該課題を上記各実施形態に準じた構成を適用することで解決することができる。
1…操舵制御装置
2…操舵装置
3…ステアリングホイール
5…転舵輪
12…操舵アクチュエータ(アクチュエータ)
13…操舵側モータ(モータ)
52…目標反力トルク演算部(トルク指令値演算部)
101…角度軸力演算部(トルク成分演算部)
121…軸力基礎成分演算部
122…極低速判定部(判定部)
123,123a…停車用ゼロ点演算部(ヒステリシス成分演算部)
124…停車用ヒステリシス成分演算部(ヒステリシス成分演算部)
125…停車用車速ゲイン演算部(ヒステリシス成分演算部)
126,126a…ゼロ点逆演算部(ヒステリシス成分演算部)
2…操舵装置
3…ステアリングホイール
5…転舵輪
12…操舵アクチュエータ(アクチュエータ)
13…操舵側モータ(モータ)
52…目標反力トルク演算部(トルク指令値演算部)
101…角度軸力演算部(トルク成分演算部)
121…軸力基礎成分演算部
122…極低速判定部(判定部)
123,123a…停車用ゼロ点演算部(ヒステリシス成分演算部)
124…停車用ヒステリシス成分演算部(ヒステリシス成分演算部)
125…停車用車速ゲイン演算部(ヒステリシス成分演算部)
126,126a…ゼロ点逆演算部(ヒステリシス成分演算部)
Claims (5)
- モータを駆動源とするアクチュエータが付与するモータトルクによりステアリングホイールの操舵に必要な操舵トルクを可変とする操舵装置を制御対象とし、前記モータトルクが発生するように前記モータの作動を制御する際の前記モータトルクの目標値であるトルク指令値を演算するトルク指令値演算部を備えるものであり、
前記トルク指令値演算部は、前記トルク指令値を演算する際に用いるトルク成分を、前記操舵装置の動作に応じて変化する状態変数に基づき演算するトルク成分演算部を有し、
前記トルク成分演算部は、前記操舵装置の操舵に応じて変化する特定の状態変数の所定のタイミングで設定される値を原点として得られる前記特定の状態変数の変化に対するヒステリシス特性を前記トルク成分に付加するための演算上のヒステリシス成分を演算するヒステリシス成分演算部を有し、
前記ヒステリシス成分演算部は、
第1ヒステリシス特性を前記トルク成分に付加するための前記演算上のヒステリシス成分を演算する第1演算状態と、前記第1ヒステリシス特性に比べて大きいヒステリシス幅を有する第2ヒステリシス特性を前記トルク成分に付加するための前記演算上のヒステリシス成分を演算する第2演算状態と、を含み、
前記第1演算状態から変遷した後の前記第2演算状態では、当該変遷のタイミングでの前記演算上のヒステリシス成分の値を維持することができる前記演算上のヒステリシス成分を演算する場合の前記第2ヒステリシス特性における原点に対応する値を演算し、当該演算した値を原点として前記演算上のヒステリシス成分を演算するように構成されている操舵制御装置。 - 前記トルク成分演算部は、
車両の転舵輪の転舵角に換算可能な角度に応じて定められるとともに路面情報が反映されない軸力である角度軸力の基礎成分を前記トルク成分として演算する軸力基礎成分演算部と、
前記基礎成分に付加するための前記演算上のヒステリシス成分を演算する前記ヒステリシス成分演算部とを有する角度軸力演算部を含むように構成されている請求項1に記載の操舵制御装置。 - 前記ヒステリシス成分演算部は、
車両が停車状態を含まない走行状態であることを判断できる第1状態である場合に、前記第1演算状態の演算で得られた前記演算上のヒステリシス成分を前記トルク成分に反映させるとともに、
車両が停車状態を含む走行状態であることを判断できる第2状態である場合に、前記第2演算状態の演算で得られた前記演算上のヒステリシス成分を前記トルク成分に反映させるように構成されている請求項1または2に記載の操舵制御装置。 - 前記ヒステリシス成分演算部は、車速が前記第1状態に対応するとして定められた第1車速から変遷した後の前記第2状態に対応するとして定められた第2車速である状況では、当該変遷のタイミングでの前記演算上のヒステリシス成分の値を維持することができる前記演算上のヒステリシス成分を演算するように構成されている請求項3に記載の操舵制御装置。
- 前記トルク成分演算部は、前記第1ヒステリシス特性、又は前記第2ヒステリシス特性を前記トルク成分に付加する際に、車速を前記演算上のヒステリシス成分に加味するべく当該車速に基づき変化する車速係数を演算する係数演算部を更に有し、
前記ヒステリシス成分演算部は、前記係数演算部を通じて演算された前記車速係数が、前記第1状態に対応するとして定められた第1車速の場合に演算される第1車速係数から変遷した後の前記第2状態に対応するとして定められた第2車速の場合に演算される第2車速係数である状況では、当該変遷のタイミングでの前記演算上のヒステリシス成分の値を維持することができる前記演算上のヒステリシス成分を演算するように構成されている請求項3に記載の操舵制御装置。
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