以下、鋳型から鋳型砂を除去する型ばらし装置の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面において、図1に示す状態を型ばらし装置の正面とし、左右とは図1を基準とした左右をいうものとする、
型ばらし装置10は、図1に示すように、鋳型横倒し装置30と、振動付与装置40と、エプロンコンベア70と、鋳型搬送装置80と、砂清掃装置100とを有している。鋳型横倒し装置30、振動付与装置40及びエプロンコンベア70は、鋳型搬送装置80による鋳型搬送方向(図示における左右方向)に沿って並んでいる。
鋳型横倒し装置30は、注湯済み鋳型26を起立した状態から横倒しする。鋳型横倒し装置30は、鋳型搬送装置80による鋳型搬送範囲の一端側に設けられ、砂清掃装置100がそれに隣接して設けられている。エプロンコンベア70は、振動付与装置40によって鋳型砂22が除去されて得られた鋳造品27を、堰の除去工程などの後工程に搬送する。エプロンコンベア70による搬送方向の搬送起点は、鋳型搬送装置80による鋳型搬送範囲の他端側に配置されている。振動付与装置40は、注湯済み鋳型26に振動を付与して当該注湯済み鋳型26から鋳型砂22を落として除去する。振動付与装置40は、鋳型横倒し装置30とエプロンコンベア70の搬送起点との間に配置されている。鋳型搬送装置80は、鋳型横倒し装置30から振動付与装置40へ注湯済み鋳型26を搬送し、次いで、鋳型砂22が除去された鋳造品27を振動付与装置40からエプロンコンベア70へ搬送する。
初めに、鋳型横倒し装置30について説明する。鋳型横倒し装置30は、図2に示すように、鋳型ホルダ31と、ホルダ回動部32とを有している。
鋳型ホルダ31はU字状をなしており、第1平板部33と、第1平板部33の一端に設けられた第2平板部34と、第1平板部33の他端に設けられた第3平板部35とを有している。第2平板部34と第3平板部35との間には、第2平板部34寄りの位置に、第2平板部34と相対向する鋳型押え板36が設けられている。鋳型押え板36は、第2平板部34と平行をなしている。第2平板部34にはその外側にシリンダ37を内蔵した押え板駆動部38が設けられている。シリンダ37のロッド37aは第2平板部34の略中央部を貫通し、鋳型押え板36と連結されている。シリンダ37のロッド37aが出没することにより、鋳型押え板36は第2平板部34との平行状態を維持しながら、第2平板部34と第3平板部35とで挟まれた空間内を移動する。鋳型押え板36が第2平板部34の側に最も寄った基準位置に配置された状態で、鋳型押え板36と第3平板部35との間の寸法は、横倒しの対象となる注湯済み鋳型26の高さ寸法よりも大きくなるように設定されている。なお、高さ寸法とは、注湯時の姿勢における高さ方向の寸法をいう。
ホルダ回動部32は、第3平板部35の外側に設けられている。ホルダ回動部32は回動軸39を有し、回動軸39を中心として鋳型ホルダ31を回転駆動する。この回転駆動により、鋳型ホルダ31は、第1平板部33が鉛直方向に延びた起立位置と、第1平板部33が底部となるように起立位置から略90度回動し、水平をなす倒れ位置とに変位する。倒れ位置は、鋳型搬送装置80による鋳型搬送方向と直交する方向において、型ばらし装置10の略中央部に配置されている。鋳型ホルダ31が起立位置にある場合に、当該鋳型ホルダ31に注湯済み鋳型26が導入される。
図11に示すように、型ばらし装置10は、型ばらし装置10の全体制御を司る制御部Cを有している。制御部Cは、当該制御部Cに接続された各種の駆動部を制御プログラムにしたがって制御する。鋳型横倒し装置30に関しては、押え板駆動部38と、ホルダ回動部32とが制御部Cに接続されている。そのため、鋳型押え板36の駆動及び鋳型ホルダ31の回動は制御部Cによって制御される。
ここで、鋳型ホルダ31に導入される注湯済み鋳型26は、ディスクロータDを鋳造する注湯前鋳型21に注湯された状態のものである。注湯前鋳型21はスタックモールド鋳型であり、型ばらし装置10はスタックモールド鋳型を型ばらしの対象としている。注湯前鋳型21は、図3(a)に示すように、鋳型砂22によって形成され、複数のディスクロータDの鋳造領域23(キャビティ)と、各鋳造領域23に連通する湯道領域24とを有している。複数の鋳造領域23は間隔をおいて平行に積み重ねられている。湯道領域24は、各鋳造領域23の中心を通り、各鋳造領域23の積み重ね方向(鉛直方向)に沿って一直線状に延びている。湯道領域24の横断面は、円形状をなしている。なお、湯道領域24の横断面形状は任意であり、四角形状等であってもよい。湯道領域24の上端には湯口領域25が設けられている。本実施の形態の注湯前鋳型21は、5つの鋳造領域23を有する直方体形状をなしている。
注湯済み鋳型26は、注湯前鋳型21に注湯した後の鋳型である。注湯時には、湯道領域24が延びる方向を鉛直方向として注湯前鋳型21が置かれる。注湯済み鋳型26は、図3(b)に示すように、鋳型砂22と鋳造品27とを有している。鋳造品27は、各鋳造領域23に充填された溶湯が凝固して形成された5つのディスクロータDと、湯道領域24に充填された溶湯が凝固して形成された湯道28と、湯口領域25に満たされた溶湯が凝固して形成された湯口29とを有している。注湯時の姿勢から、湯道28は鉛直方向に沿って延びている。なお、5つのディスクロータDを区別する場合は、便宜的に、最も湯口側にあるディスクロータDから他方の側のディスクロータDに向けて順に第1~第5の番号を付与する。
鋳型横倒し装置30において、起立状態にある鋳型ホルダ31には、注湯時と同じ姿勢の注湯済み鋳型26が導入される。注湯時と同じ姿勢とは、湯道28が鉛直方向に延び、水平をなす複数のディスクロータDが間隔をおいて積み重ねられた姿勢である。注湯済み鋳型26が導入される間、制御部Cは、鋳型押え板36が第2平板部34の側に最も寄った基準位置に配置された状態を維持する。導入された注湯済み鋳型26は第3平板部35の上に載置され、側面が第1平板部33に当接している。
注湯済み鋳型26が導入されると、制御部Cは押え板駆動部38を駆動し、鋳型押え板36を注湯済み鋳型26の上端面に当接するまで第3平板部35の側に移動させる。これにより、注湯済み鋳型26は鋳型押え板36と第3平板部35とで上下方向に挟まれて鋳型ホルダ31に保持される。次いで、制御部Cはホルダ回動部32を駆動し、注湯済み鋳型26を保持した鋳型ホルダ31を起立位置から倒し位置に変位させる。その後、制御部Cは押え板駆動部38を駆動し、鋳型押え板36を基準位置に戻す。これにより、注湯済み鋳型26は、水平をなす第1平板部33の上に横倒しされた状態で置かれ、起立位置では鉛直方向に延びていた湯道28は水平方向に延びた状態となる。なお、倒れ位置にある第1平板部33が横置き部に相当する。
次に、振動付与装置40について説明する。振動付与装置40は、図1及び図4に示すように、第1振動付与装置41と第2振動付与装置42とを有している。第1振動付与装置41は、注湯済み鋳型26の載置部分を振動させて注湯済み鋳型26に振動を付与する。第2振動付与装置42は、水平方向への振動を注湯済み鋳型26に付与する。
図1に示すように、第1振動付与装置41は、ホッパ43と、ホッパ振動部44と、鋳型載置部45とを有している。ホッパ43は、振動によって注湯済み鋳型26から落ちた鋳型砂22を受け入れる容器である。ホッパ43は、上方に向けて開口する開口部46と、下端に設けられて下方に向けて開口する排出口47とを有している。ホッパ43は、支持体48によって振動可能な状態で支持されている。
開口部46は、鋳型砂22が落下し得る範囲をカバーしている。鋳型搬送方向において、開口部46の一端側は、倒れ位置にある鋳型ホルダ31の下方まで至り、他端側は、鋳型載置部45の下方まで至って設けられている。鋳型搬送方向に対して直交する方向においては、図2及び図4に示すように、横倒しされた注湯済み鋳型26の下方において、開口範囲内に注湯済み鋳型26が収まるだけの開口幅を有している。図1に示すように、ホッパ43の排出口47の下方には、排出口47から落下した鋳型砂22を搬送して回収する砂回収コンベア11が設けられている。砂回収コンベア11は、例えばオシレートコンベアある。
ホッパ振動部44は振動を発生させるものであり、例えば振動モータが用いられる。図1に示すように、ホッパ振動部44はホッパ43の外側に設けられている。ホッパ振動部44が振動することにより、支持体48に支持されたホッパ43もその全体が振動する。
図4及び図5に示すように、鋳型載置部45には、注湯済み鋳型26が横倒しされた状態で置かれる。鋳型載置部45は、ホッパ43に設けられた複数のフォーク51を有している。ホッパ43の開口部46には、鋳型搬送方向と直交する方向に掛け渡される一対のベース板52が平行をなして設けられている。複数のフォーク51は、図示を基準とする左右に設けられた一対のベース板52にそれぞれ設けられている。各フォーク51は、ホッパ43に設けられたベース板52を通じてホッパ43と一体的に設けられている。そのため、ホッパ振動部44の振動によりホッパ43が振動すると、その振動が各フォーク51に伝えられ、各フォーク51がホッパ43とともに振動する。つまり、ホッパ振動部44の振動により鋳型載置部45が振動する。そのため、ホッパ振動部44は振動部に相当する。
本実施の形態では、左右に4つずつのフォーク51が設けられている。各フォーク51はL字状をなし、柱部53と水平部54とを有している。柱部53はベース板52の上面に固定され、当該上面から鉛直方向に延びている。左右のベース板52に設けられたフォーク51は、左右一つずつのフォーク51が対をなしている。対をなすフォーク51が有する各水平部54は、先端同士が間隔をおいて相対向し、同じ高さ位置で鋳型搬送方向に沿って一直線状をなすように配置されている。水平部54は、長尺状爪部に相当する。本実施の形態では、左右のフォーク51の対が4つあり、鋳型搬送方向に対して直交する方向に沿って所定の間隔をおいて並んでいる。左右で対をなす一組のフォーク51と、それに隣接する他の組のフォーク51との間は、砂落とし空間55となっている。なお、4組の対をなすフォーク51をそれぞれ区別するため、便宜的に、最も湯口側にあるフォーク51の対から他方の側のフォーク51の対に向けて順に第1~第4の呼称を付与する。
4組の対をなすフォーク51の先端には、それぞれ載置板56,57が設けられている。左側のフォーク51に設けられた左載置板56a~56cと、右側のフォーク51に設けられた右載置板57a~57cとで、鋳型搬送方向と直交する方向から見てV字状をなすように配置されている。左載置板56と右載置板57の間には、ディスクロータDの直径よりも小さい間隔が設けられている。第2の対のフォーク51と第3の対のフォーク51とに設けられる左載置板56bは、第2の対のフォーク51の水平部54と第3の対のフォーク51の水平部54との間に掛け渡され、鋳型搬送方向と直交する方向に沿って延びている。同じく、第2の対のフォーク51と第3の対のフォーク51とに設けられる右載置板57bは、第2の対のフォーク51の水平部54と第3の対のフォーク51の水平部54との間に掛け渡され、前記直交方向に沿って延びている。
鋳型載置部45に注湯済み鋳型26が置かれる場合、ディスクロータDが左載置板56と右載置板57とに置かれる。この時、第1ディスクロータD1は、第1の対のフォーク51に設けられた左載置板56aと右載置板57aとに置かれる。第2~第4ディスクロータD2~D4は、第2及び第3の対のフォーク51に設けられた左載置板56bと右載置板57bとに置かれる。第5ディスクロータD5は、第4の対のフォーク51に設けられた左載置板56cと右載置板57cとに置かれる。
第2振動付与装置42は、図4に示すように、水平振動部61と、振動受止め部62と、水平振動部61を移動させる第1移動台座63と、振動受止め部62を移動させる第2移動台座64とを有している。水平振動部61と振動受止め部62とは、鋳型搬送方向に対して直交する方向において、鋳型載置部45を両側から挟むように設けられている。水平振動部61は注湯済み鋳型26の湯口29とは反対側(湯道28の反湯口側)に、振動受止め部62は湯口29の側に設けられている。
水平振動部61は、軸線方向に往復動することで振動する振動軸部65を有している。水平振動部61は、例えばエアハンマが用いられる。エアハンマが水平振動部61として用いられた場合、当該水平振動部61に圧縮空気を供給するエア供給部(図示略)が水平振動部61に接続される。水平振動部61の振動軸部65は、鋳型搬送方向に対して直交する方向に沿うとともに水平方向に延びている。また、振動軸部65は、図6(a)に示すように、鋳型載置部45に置かれた注湯済み鋳型26の湯道28と略同一軸線となるように、第1移動台座63に設置される。第1移動台座63は、鋳型搬送方向と直交する方向に沿って水平振動部61を水平移動させる。第1移動台座63は、鋳型載置部45に置かれた注湯済み鋳型26が有する湯道28の反湯口側に、水平振動部61の振動軸部65の先端が当接する前進位置と、前進位置から後退し、振動軸部65の先端が湯道28の反湯口側の端部から離間した後退位置との間で移動する。
振動受止め部62は、水平振動部61によって注湯済み鋳型26に与えられた水平振動をその反対側で受け止め、注湯済み鋳型26が湯口29の側へ移動することを規制する。振動受止め部62は、湯口29に当接可能な湯口当接部66を有し、第2移動台座64に設置されている。第2移動台座64は、鋳型搬送方向と直交する方向に沿って振動受止め部62を水平移動させる。第2移動台座64は、振動受止め部62の湯口当接部66が湯口29に当接する前進位置と、前進位置から後退し、湯口当接部66が湯口29から離間した後退位置との間で移動する。
図11に示すように、振動付与装置40に関しては、ホッパ振動部44と、水平振動部61と、第1移動台座63と、第2移動台座64とが制御部Cに接続されている。そのため、ホッパ43の振動、水平振動部61により注湯済み鋳型26に付与される振動、水平振動部61及び振動受止め部62の移動が制御部Cによって制御される。
鋳型搬送装置80によって鋳型横倒し装置30から搬送されてきた注湯済み鋳型26が、横倒し状態で鋳型載置部45に置かれる時点では、制御部Cは、図6(a)に示すように、第1移動台座63及び第2移動台座64を退避位置に配置させる。注湯済み鋳型26が鋳型載置部45に置かれると、制御部Cは、図6(b)に示すように、第1移動台座63及び第2移動台座64を退避位置から前進位置に移動させる。これにより、水平振動部61が有する振動軸部65の先端は湯道28の反湯口側の端部に当接し、振動受止め部62の湯口当接部66が湯口29に当接する。
次いで、制御部Cは、ホッパ振動部44を注湯済み鋳型26の横倒し前には駆動し、振動軸部65及び振動受止め部62の前記当接後に、水平振動部61を駆動する。これにより、ホッパ振動部44の振動が鋳型載置部45の各フォーク51に伝わって各フォーク51が振動し、各フォーク51の先端の載置板56,57に置かれた注湯済み鋳型26に下からの振動が付与される。併せて、水平振動部61からの水平振動が湯道28に付与されることにより、注湯済み鋳型26に湯道28の軸方向に沿った振動が付与される。これらの振動が注湯済み鋳型26に付与されることにより、注湯済み鋳型26の鋳型砂22は崩れ落ちる。崩れ落ちた鋳型砂22は、砂落とし空間55及び開口部46を通じてホッパ43の内部に落ち、排出口47に導かれる。排出口47から落下した鋳型砂22は砂回収コンベア11の上に落ち、砂回収コンベア11によって回収される。
振動付与が所定時間行われた後、制御部Cは水平振動部61の駆動を停止し、第1移動台座63及び第2移動台座64を前進位置から元の退避位置に移動させる。これにより、注湯済み鋳型26への振動付与を終える。振動付与を終えた時点では、注湯済み鋳型26の鋳型砂22はその多くが崩れて落下し、鋳造品27が現れる。鋳造品27の一部であるディスクロータDは、鋳型載置部45の左載置板56及び右載置板57に置かれた状態となっている。
次に、エプロンコンベア70について説明する。エプロンコンベア70は、鋳型搬送装置80による搬送方向に沿って、鋳型砂22が除去された鋳造品27を冷却しながら後工程に向けて搬送する。エプロンコンベア70は、コンベア式搬送装置に相当する。エプロンコンベア70の搬送面は、図1に示すように、振動付与装置40における鋳型載置部45よりも低い高さ位置に設けられている。なお、エプロンコンベア70は、型ばらし装置10による型ばらしが行われる間、異常等がない限り、通常は常時駆動している。
次に、鋳型搬送装置80について説明する。鋳型搬送装置80は、図1に示すように、レール部81と、台車82と、クレーン装置90とを有している。
レール部81は、鋳型横倒し装置30、振動付与装置40及びエプロンコンベア70の搬送起点の各上方において、鋳型搬送方向に沿って延びている。レール部81は、互いに平行をなすように一対設けられ、支持柱83によって支持されている。
台車82は、一対の駆動輪84と、一対の従動輪85と、車輪駆動部86と、動力伝達機構(図示略)とを有している。駆動輪84は、車輪駆動部86の回転駆動が動力伝達機構(図示略)によって伝達され、各レール部81を走行する。従動輪85は駆動輪84の走行に従動する。駆動輪84と従動輪85とが各レール部81を走行することにより、台車82はレール部81に沿って鋳型搬送方向に移動する。台車82の移動方向における一方の移動端(第1移動端)は鋳型横倒し装置30の上方であり、他方の移動端(第2移動端)はエプロンコンベア70の搬送起点側の上方であり、両移動端の間を台車82が移動する。第1移動端と第2移動端との中間地点の下方に、振動付与装置40が設けられている。
クレーン装置90は台車82に設けられ、台車82の移動とともに移動する。クレーン装置90は、鋳型保持部分を上下駆動させる第1油圧シリンダ91と、アーム支持部92と、湯道保持部としての対アーム93と、アーム駆動用の第2油圧シリンダ94とを有している。
第1油圧シリンダ91は、そのロッド91aが鉛直方向に出没するように台車82に設けられている。ロッド91aの先端(下端)には、アーム支持部92が設けられている。台車82が第1移動端に配置されると、アーム支持部92は、倒れ位置にある鋳型ホルダ31の上方に配置される。台車82が第1移動端と第2移動端との間の中間地点に配置されると、アーム支持部92は、振動付与装置40の鋳型載置部45の上方に配置される。台車82が第2移動端に配置されると、アーム支持部92は、エプロンコンベア70の搬送起点側の上方に配置される。
図7(a)に示すように、アーム支持部92は水平をなす平板状をなし、搬送時に注湯済み鋳型26を保持する対アーム93を支持している。対アーム93は、アーム支持部92から下方に向けて鉛直方向に延びる長尺状平板によって形成されている。鋳型搬送方向に対して直交する方向から見て、対アーム93は、左アーム95と右アーム96とが対となっている。各アーム95,96は、その板面が前記直交方向を向き、間隔をおいて横に並んでいる。
前記直交方向から見て、各アーム95,96の鉛直方向に延びる外辺の間の寸法L1は、注湯済み鋳型26の幅寸法L2と略同じか若干大きくなるように設定されている。前記直交方向において、各アーム95,96は、図8(a)に示すように、前後にずらして設けられている。図7(a)に示すように、各アーム95,96の先端部95a,96a(下端部)は、他方の側に向けて鈍角をなすV字状に折れている。図1に示すように、アーム支持部92が鋳型横倒し装置30で横倒しされた注湯済み鋳型26の上方にあり、かつ第1油圧シリンダ91のロッド91aが没入した状態では、対アーム93の下端と注湯済み鋳型26の上端との間には十分な間隔が設けられている。
図7(a)に示すように、アーム支持部92の下面には、鋳型搬送方向に対して直交する方向に延びるアーム回動軸97が支持されている。対アーム93を構成する各アーム95,96はそれぞれの上端部においてアーム回動軸97に連結され、アーム回動軸97を中心として回動可能となっている。アーム支持部92には第2油圧シリンダ94が設けられ、そのロッド94aはリンク機構(図示略)を介して各アーム95,96に連結されている。第2油圧シリンダ94のロッド94aが没入状態にあると、各アーム95,96がそれぞれ鉛直方向に沿って平行に延びている開位置に配置される。そこからロッド94aが突出すると、図7(b)に示すように、各アーム95,96は、それぞれがアーム回動軸97を中心として回動し、先端部95a,96a同士が交差してV字をなす閉位置に移行する。
開位置では、対アーム93を構成する各アーム95,96の先端同士の間隔寸法L3は、湯道28の直径よりも大きくなるように設定されている。後述する図9(c)に示すように、横倒しされた注湯済み鋳型26の湯道28よりも下方に、各アーム95,96の先端部95a,96aが配置された状態で、対アーム93を閉位置に移行させる。すると、V字状をなすように交差した各先端部95a,96aによって、注湯済み鋳型26の湯道28を下から支えることが可能となる。このように湯道28が下支えされた状態で、第1油圧シリンダ91のロッド91aが没入方向へ移動すると、注湯済み鋳型26は対アーム93によって持ち上げられる。そのため、対アーム93の閉位置が、湯道28を保持する保持位置に相当する。
図8(a)に示すように、対アーム93は、鋳型搬送方向に対して直交する方向から見て、前後に複数設けられている。本実施の形態では、対アーム93が二組設けられ、アーム支持部92において、前記直交方向の両端側にそれぞれ設けられている。一方の組の対アーム93を第1対アーム93-1といい、他方の組の対アーム93を第2対アーム93-2という。第1対アーム93-1及び第2対アーム93-2はリンク機構(図示略)と連結され、第2油圧シリンダ94の駆動によって両者が同期して開位置と閉位置とに変位する。
図8(b)に示すように、第1対アーム93-1は、注湯済み鋳型26を持ち上げようとする場合に、第1ディスクロータD1と第2ディスクロータD2との隙間において、第2ディスクロータD2のハット部Hと干渉しない位置に設けられている。第2対アーム93-2は、同じく注湯済み鋳型26を持ち上げようとする場合に、第4ディスクロータD4と第5ディスクロータD5との隙間において、第5ディスクロータD5のハット部Hと干渉しない位置に設けられている。
図7(a)及び図8(a)に示すように、第1対アーム93-1と第2対アーム93-2との間には、砂崩し部材としてのくし刃98が設けられている。くし刃98は、アーム支持部92から下方に向けて鉛直に延びる長尺状平板であり、下端に向かって先細りとなる形状を有している。鋳型搬送方向に対して直交する方向から見て、くし刃98はその板面が当該直交方向を向き、間隔をおいた横並びで一対設けられている。一対のくし刃98の間隔も、湯道28の直径よりも大きくなるように設定されている。
一対のくし刃98は、第1対アーム93-1及ぶ第2対アーム93-2によって注湯済み鋳型26を持ち上げる場合に、隣接するディスクロータDの隙間のうち、第1対アーム93-1及び第2対アーム93-2が入り込まない隙間に応じた数が設けられている。本実施の形態では、第2ディスクロータD2と第3ディスクロータD3との隙間に入り込む一対のくし刃98と、第3ディスクロータD3と第4ディスクロータD4との間に入り込む一対のくし刃98とを有している。いずれのくし刃98も、ディスクロータDのハット部Hと干渉しない位置に設けられている。
図11に示すように、鋳型搬送装置80に関しては、台車82の車輪駆動部86と、クレーン装置90の第1油圧シリンダ91及び第2油圧シリンダ94とが制御部Cに接続されている。そのため、鋳型搬送方向に沿った台車82の移動と、クレーン装置90の駆動とが制御部Cによって制御される。
鋳型横倒れ装置30において、注湯済み鋳型26を保持する鋳型ホルダ31が倒れ位置に変位した後に、制御部Cは、車輪駆動部86を駆動して台車82を第1移動端に移動させつつ、第1油圧シリンダ91を駆動してそのロッド91aを没入させる。図1及び図9(a)に示すように、台車82が第1移動端に移動した後、制御部Cは、第2油圧シリンダ94を制御して対アーム93を開位置としたまま、第1油圧シリンダ91を制御してそのロッド91aを下方に向けて突出させる。この場合、図9(b)に示すように、対アーム93を構成する各アーム95,96の先端部95a,96aが、横倒しされた注湯済み鋳型26の湯道28よりも下方に配置されるまでロッド91aを突出させる。すると、図8(b)に示すように、対アーム93が隣接するディスクロータDの隙間に入り込むとともに、残りの隙間にはそれぞれに一対のくし刃98が入り込む。
次いで、制御部Cは、図9(c)に示すように、第2油圧シリンダ94を制御して対アーム93を開位置から閉位置に移行させる。これにより、対アーム93を構成する各アーム95,96の先端部95a,96aによって、注湯済み鋳型26の湯道28が下から支えられる状態となる。対アーム93及びくし刃98の隙間への入り込みと、対アーム93の開位置から閉位置への移行により、注湯済み鋳型26の鋳型砂22は崩され、この時点である程度除去される。この時、崩された鋳型砂22の一部が倒れ位置にある鋳型ホルダ31から落下しても、第1平板部33の下方にはホッパ43が設けられているため(図2参照)、その鋳型砂22はホッパ43の内部に落ちる。
なお、このように、横倒しされた注湯済み鋳型26の搬送を開始する前に、クレーン装置90の対アーム93が入り込み、その上で開位置から閉位置に移行することにより、対アーム93は湯道28を保持する状態となる。そのため、対アーム93を上下動させる第1油圧シリンダ91、対アーム93を支持するアーム支持部92、対アーム93の開閉を駆動する第2油圧シリンダ94、対アーム93を構成する各アーム95,96のアーム回動軸97、リンク機構(図示略)等によって保持部移動機構が構成されている。
その後、制御部Cが、第1油圧シリンダ91を駆動してそのロッド91aを没入方向へ移動させると、図9(d)に示すように、注湯済み鋳型26はクレーン装置90によって持ち上げられる。そして、制御部Cは、車輪駆動部86を駆動して台車82を第1移動端と第2移動端との間の中間地点に移動させるとともに、第1油圧シリンダ91の駆動を制御してそのロッド91aを下方に向けて突出させる。この場合、図1に示すように、注湯済み鋳型26が、振動付与装置40の鋳型載置部45に、より詳しくは、各フォーク51の先端側の左載置板56及び右載置板57に置かれるまでロッド91aを突出させる。
次いで、制御部Cは、対アーム93を閉位置に保持したまま振動付与装置40を前述したとおり制御する。これにより、注湯済み鋳型26に振動が付与され、注湯済み鋳型26から鋳型砂22が崩れ落ちて除去される。振動付与装置40による注湯済み鋳型26への振動付与が終わり、さらに第1移動台座63及び第2移動台座64の退避位置への移動が終わると、制御部Cは、第1油圧シリンダ91の駆動を制御してそのロッド91aを没入方向へ移動させる。これにより、対アーム93を構成する各アーム95,96の先端部95a,96aによって、湯道28が下支えされながら、鋳造品27が持ち上げられる。
そして、制御部Cは、車輪駆動部86を駆動して台車82を第2移動端に移動させつつ、第1油圧シリンダ91の駆動を制御してそのロッド91aを下方に向けて突出させる。この場合、図1に示すように、鋳造品27が、エプロンコンベア70の搬送起点に置かれるまでロッド91aを突出させる。次いで、制御部Cは、第2油圧シリンダ94を制御して対アーム93を閉位置から開位置に移行させ、第1油圧シリンダ91の駆動を制御してロッド91aを没入させる。これにより、鋳造品27のエプロンコンベア70への搬送が完了する。
エプロンコンベア70の搬送起点に置かれた鋳造品27は、エプロンコンベア70によって後工程へ搬送される。その後、制御部Cは、第1油圧シリンダ91を駆動してそのロッド91aを没入させ、それと併せて車輪駆動部86を駆動し、台車82を第1移動端に移動させる。
なお、注湯済み鋳型26が鋳型横倒し装置30から持ち上げられて振動付与装置40へ搬送された後、エプロンコンベア70に搬送されるまでの間に、制御部Cは、鋳型横倒し装置30の鋳型ホルダ31を倒れ位置から起立位置に戻す。起立位置に戻された鋳型ホルダ31に対し、次に型ばらしを実施する注湯済み鋳型26が鋳型ホルダ31に導入される。その後、制御部Cは前述した鋳型横倒しの制御を実施し、鋳型ホルダ31を倒れ位置に変位させる。そのため、台車82が第2移動端から第1移動端に移動する時点では、第1移動端の下方にある鋳型横倒し装置30において、次に型ばらしを実施する注湯済み鋳型26がすでに横倒しされた状態となっている。当該注湯済み鋳型26に対して上記動作を繰り返して実施する。
次に、砂清掃装置100について説明する。砂清掃装置100は、図1に示すように、鋳型横倒し装置30に隣接し、鋳型搬送方向において、注湯済み鋳型26を振動付与装置40に向けて搬送する方向とは反対側に設けられている。砂清掃装置100は、清掃部材としての清掃板101と、清掃用油圧シリンダ102とを有している。
清掃板101は平板状をなし、図10に示すように、鋳型ホルダ31が倒れ位置にある場合に、第1平板部33に対して垂直をなす状態で当該第1平板部33の上を鋳型搬送方向に往復動可能となっている。清掃用油圧シリンダ102は、水平かつ鋳型搬送方向に沿って出没するロッド102aを有し、ロッド102aの先端に清掃板101が連結されている。清掃用油圧シリンダ102のロッド102aが没入すると、図10(a)に示すように、清掃板101は倒れ位置にある第1平板部33から離間した退避位置に配置される。一方、ロッド102aが突出すると、図10(b)に示すように、清掃板101は倒れ位置にある第1平板部33の上を移動し、砂清掃装置100が設けられた側とは反対側の端部まで移動した突出位置に配置される。砂清掃装置100では、清掃板101が退避位置にある状態が清掃板101の基準位置となっている。
図11に示すように、砂清掃装置100に関しては、清掃用油圧シリンダ102が制御部Cに接続されている。そのため、清掃用油圧シリンダ102の駆動は制御部Cによって制御される。このことから、制御部Cは清掃制御部に相当する。
鋳型搬送装置80のクレーン装置90により注湯済み鋳型26が持ち上げられ、振動付与装置40に向けて搬送された後、制御部Cは、鋳型ホルダ31を起立位置に戻す前に、清掃用油圧シリンダ102のロッド102aを出没させる。これにより、清掃板101は突出位置までいったん移動した後、再び退避位置へ復帰する。注湯済み鋳型26が持ち上げられる際に、クレーン装置90の対アーム93及びくし刃98がディスクロータD同士の隙間への入り込み、対アーム93が開位置から閉位置へ変位することで、注湯済み鋳型26の鋳型砂22が崩される。
崩された鋳型砂22の一部は、倒れ位置にある鋳型ホルダ31から落下してホッパ43の内部に落ち、その他は鋳型ホルダ31の第1平板部33に残る。清掃板101が第1平板部33の上を往復動することで、第1平板部33に残った鋳型砂22が当該第1平板部33からホッパ43の内部に落とされる。これにより、第1平板部33の上が清掃され、残った鋳型砂22が除去される。制御部Cは、清掃板101の往復動による清掃が行われた後に、鋳型ホルダ31を起立位置に戻し、次に型ばらしをする注湯済み鋳型26が導入される状態とする。
以上のとおり、本実施の形態の型ばらし装置10では、鋳型横倒し装置30によって注湯済み鋳型26が横倒しされた後、横倒し状態の注湯済み鋳型26は、鋳型搬送装置80によって鋳型砂22が崩されながら持ち上げられ、振動付与装置40へ搬送される。次いで、振動付与装置40において、横倒しされた注湯済み鋳型26に振動が付与されることにより、注湯済み鋳型26から鋳型砂22が崩れ落ち、除去される。鋳型砂22が除去されて現れた鋳造品27は、鋳型搬送装置80によって持ち上げられながら、後工程へ鋳造品27を冷却しながら搬送するエプロンコンベア70へ搬送される。型ばらし装置10では、このような一連の動作が繰り返し行われる。
以上説明した本実施の形態の型ばらし装置10によれば、以下の作用効果が得られる。
(1)振動付与装置40では、横倒しされた状態の注湯済み鋳型26に振動が付与されるため、ディスクロータD同士の間にある鋳型砂22が落ちやすくなり、起立姿勢で振動を与えていた従来の装置よりも残砂率を低下させることができる。
(2)鋳型搬送装置80において、注湯済み鋳型26を持ち上げに行く際に、クレーン装置90の対アーム93が注湯済み鋳型26に入り込んで鋳型砂22が崩されるため、その時点で鋳型砂22がある程度除去される。また、鋳型砂22が崩される際に生じた亀裂等が起点となって、鋳型砂22が崩れやすい状態となる。振動付与装置40に搬送された後、そのような状態の注湯済み鋳型26に振動が与えられるため、鋳型砂22が崩される前の当初の状態で振動が付与されるよりも、鋳型砂22がより落ちやすくなり、残砂率をより低下させることができる。
(3)注湯済み鋳型26を持ち上げに行く際に、隣り合うディスクロータDの隙間のうち、対アーム93が入り込まない残りの隙間にはくし刃98が入り込み、当該残りの隙間にある鋳型砂22はくし刃98によって崩される。そのため、鋳型砂22をより一層除去でき、また鋳型砂22が崩れやすい状態を形成して、残砂率をより低下させることができる。
(4)注湯済み鋳型26が鋳型横倒し装置30から振動付与装置40へ搬送された後、注湯済み鋳型26を持ち上げる際に対アーム93によって崩された鋳型砂22は、第1平板部33の上に残る。この鋳型砂22は、清掃板101が第1平板部33の上を往復動することによってホッパ43に落とされる。その後に鋳型ホルダ31を起立位置に変位させることで、次に型ばらしを行う注湯済み鋳型26を、鋳型砂22が清掃されて除去された状態の鋳型ホルダ31にセットできる。
(5)鋳型横倒し装置30から振動付与装置40への搬送に利用した鋳型搬送装置80が、振動付与装置40からエプロンコンベア70への搬送にも利用される。そのため、それぞれの搬送について別々の搬送装置を設ける必要がなく、型ばらし装置10を簡素化できる。また、鋳型砂22が落とされて露出した鋳造品27は、その湯道28がクレーン装置90の対アーム93によって下支えされながら持ち上げられ、後工程に搬送される。そのため、搬送中に鋳造品27に余分な力がかかって堰等が折れ、その折れた堰等の始末が必要となるといったおそれも低減できる。
(6)振動付与装置40では、ホッパ43の振動に伴って鋳型載置部45が振動するため、鋳型載置部45に横倒しされた状態で置かれた注湯済み鋳型26に下からの振動が付与される。振動によって注湯済み鋳型26から崩れ落ちた鋳型砂22は、ホッパ43に落ちるため、ホッパ43の外側に設けられて当該ホッパ43と鋳型載置部45とを振動させるホッパ振動部44には、注湯済み鋳型26から落ちる鋳型砂22がかからない。これにより、ホッパ振動部44に高温の鋳型砂22がかかって当該ホッパ振動部44に悪影響を及ぼすことを防止できる。
(7)鋳型載置部45は複数のフォーク51によって形成され、注湯済み鋳型26は、左右の対となるフォーク51の先端に設けられた左右の載置板56,57の間に置かれる。その載置状態において、ディスクロータD同士の鋳型砂22の下方には、隣り合うフォーク51の間に形成された砂落とし空間55が設けられている。そのため、振動によって注湯済み鋳型26が崩されて落ちた鋳型砂22は、砂落とし空間55及び開口部46を通じてホッパ43の内部に落ちる。そして、鋳型砂22が除去されてディスクロータDが露出しても、当該ディスクロータDはフォーク51及び左右の載置板56,57によって支持される。このような構成を有していることにより、ディスクロータDの間にある鋳型砂22をホッパ43に落としやすく、鋳型載置部45に残る鋳型砂22を少なくできる。
(8)振動付与装置40は、注湯済み鋳型26の載置部分を振動させて注湯済み鋳型26に振動を付与する第1振動付与装置41だけでなく、水平方向への振動を注湯済み鋳型26の湯道28に付与する第2振動付与装置42を有している。そのため、注湯済み鋳型26には、第1振動付与装置41による下からの振動だけでなく、水平振動部61によって水平方向からも振動が付与されるため、より鋳型砂22が崩れやすくなり、残砂率を低下させることができる。
(9)注湯済み鋳型26の湯道28に対して水平方向への振動を付与する上で、湯道28の両側からではなく片側からのみ与えられる。そのため、湯道28に与えられる振動が過剰なものとならない。これにより、水平振動によって湯道28の反湯口側の端部が折れるおそれを低減し、折れた反湯口側の端部の始末などの余分な作業が増えることを防止できる。
<その他の実施の形態>
上記実施の形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(a)上記実施の形態では、ディスクロータDを平板部品の一例とした。平板部品は、例えばクラッチハウジング等、平板状をなす部品であればよい。
(b)上記実施の形態では、エプロンコンベア70をコンベア式搬送装置の一例として採用した。コンベア式搬送装置は、高温となっている鋳造品27を搬送することが可能で、鋳造品27の重量に耐えうる強度が確保されたものであればよく、例えばオシレートコンベア等であってもよい。
(c)上記実施の形態では、対アーム93を湯道保持部の一例として採用した。湯道保持部は、注湯済み鋳型26の湯道28を保持可能なものであればその構成は任意であり、例えば、湯道28を把持する把持装置等であってもよい。
(d)上記実施の形態では、注湯前鋳型21の湯道領域24が各鋳造領域23の中心を通るように設けられている。各鋳造領域23と湯道領域24が延びる位置との配置は任意であり、例えば各鋳造領域23の外縁部の外方で湯道領域24が延びるように形成されていてもよい。
(e)上記実施の形態では、振動付与装置40における鋳型載置部45は複数のフォーク51を用いて構成され、各フォーク51同士の間に砂落とし空間55が形成されている。注湯済み鋳型26を載置したり、そこから崩れた鋳型砂22を落とすための空間は、その機能が発揮されるものであれば構成は任意であり、例えば底部を網目状に形成したパレットを設け、そのパレットの底部に注湯済み鋳型26を載置してもよい。この場合、鋳型砂22は底部の網目を介してホッパ43の内部に落ちる。
(f)上記実施の形態では、鋳型横倒し装置30と振動付与装置40とが別位置に配置され、鋳型搬送装置80によって鋳型横倒し装置30から振動付与装置40へ注湯済み鋳型26が搬送される。鋳型横倒し装置30と振動付与装置40とが別位置に配置されている必要はなく、振動付与装置40は、鋳型横倒し装置30によって横倒しされた状態にある注湯済み鋳型26に対し、振動を付与する構成であってもよい。
(g)上記実施の形態では、くし刃98を砂崩し部材の一例とした。砂崩し部材としては、例えば、平板部品の間に入り込む一つ又は複数の棒状部材であってもよい。
(h)上記実施の形態では、湯道保持部としての対アーム93が鋳型搬送方向と直交する方向において2つ設けられている。注湯済み鋳型26が有するディスクロータDの数によっては、対アーム93が1つであってもよいし、3つ以上の複数設けられていてもよい。また、ディスクロータDが2つ設けられ、隣り合うディスクロータDの隙間のすべてに対アーム93が設けられる場合は、くし刃98を省略することができる。
(i)上記実施の形態では、水平振動部61の振動軸部65を湯道28の反湯口側の端部に当接させて水平振動を付与し、振動受止め部62を湯口29に当接させてその水平振動を受け止めるようにしている。これに代えて、水平振動部61の振動軸部65及び振動受止め部62のそれぞれの当接箇所を逆にしてもよい。すなわち、水平振動部61の振動軸部65を湯口29に当接させて水平振動を付与し、振動受止め部62を湯道28の反湯口側の端部に当接させてその水平振動を受け止めるようにしてもよい。