次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1は、本体筐体10と、シートPを供給する供給部20と、シートPに画像を形成する画像形成部30と、画像が形成されたシートPを排出する搬送部90と、制御部100とを備えている。
本体筐体10は、開口10Aと、開口10Aを開閉するカバー11とを有している。開口10Aは、後述するユニットUが通過可能な開口である。カバー11は、開口10Aを開ける開位置と、開口10Aを閉じる閉位置との間で回動可能となっている。
供給部20は、シートPを収容する供給トレイ21と、供給トレイ21からシートPを画像形成部30へ搬送するシート搬送機構22とを備えている。
画像形成部30は、スキャナユニット40と、ユニットUと、転写ユニット70と、定着装置80とを備えている。スキャナユニット40、ユニットUおよび転写ユニット70は、シートPに現像剤像を形成する現像剤像形成部に相当する。
スキャナユニット40は、図示しないレーザ発光部、ポリゴンミラー、レンズおよび反射鏡などを備えている。スキャナユニット40は、レーザビームを各感光ドラム61の表面上に照射する。
ユニットUは、開口10Aを通して本体筐体10から引き出し可能となっている。ユニットUは、4つのカートリッジ50と、ドロワ60とを備えている。
カートリッジ50は、ドロワ60に着脱可能となっている。カートリッジ50は、現像剤の一例としてのトナーを収容する収容部51と、現像ローラ52と、現像ローラ52に接触して現像ローラ52上のトナーの層厚を規制する層厚規制ブレード53とを備えている。4つのカートリッジ50の収容部51内には、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色のトナーが収容されている。
カートリッジ50は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色のトナーが入った50Y,50M,50C,50Kの符号で示すものがシートPの搬送方向上流からこの順で並んで配置されている。
ドロワ60は、本体筐体10の画像形成用位置から上下方向に直交した方向に引き出し可能となっている。ここで、画像形成用位置は、画像形成を行うときのドロワ60の位置をいう。ドロワ60は、感光ドラム61と、図示せぬ帯電器と、4つのカートリッジ50を着脱可能に保持するフレーム62と、機内温度センサSE1と、第1接点CN1とを備えている。感光ドラム61および帯電器は、フレーム62に、4つの現像ローラ52に対応して4つ設けられている。
フレーム62は、上下方向に直交した方向において、本体筐体10に移動可能に支持されている。機内温度センサSE1は、例えば、サーミスタであり、本体筐体10内の温度である機内温度を取得する。第1接点CN1は、配線を介して機内温度センサSE1と導通している。
本体筐体10は、制御部100と配線を介して導通する第2接点CN2を備えている。第1接点CN1は、ドロワ60が本体筐体10の画像形成用位置に配置された状態で、第2接点CN2に接続されている。詳しくは、ドロワ60が画像形成用位置に配置されたとき、第1接点CN1が第2接点CN2に接続される。
また、ドロワ60が本体筐体10から引き出された状態では、第1接点CN1は、第2接点CN2から離れている。詳しくは、ドロワ60が画像形成用位置から外れたとき、第1接点CN1が第2接点CN2から離れる。
転写ユニット70は、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、搬送ベルト73と、転写ローラ74とを備えている。搬送ベルト73は、エンドレスベルトである。駆動ローラ71および従動ローラ72は、搬送ベルト73を回転させるローラである。転写ローラ74は、対応する感光ドラム61との間で搬送ベルト73を挟持するローラであり、各感光ドラム61に対向して4つ配置されている。
定着装置80は、シートPにトナー像を定着させる装置である。定着装置80は、ヒータ110と、ヒータ110によって加熱される第1定着部材81と、第1定着部材81との間でシートPを挟む第2定着部材82とを備えている。定着装置80の詳細については後述する。
ドロワ60が、本体筐体10の画像形成用位置にあるとき、カラープリンタ1は画像形成が可能である。画像形成用位置は、感光ドラム61と転写ユニット70とが接触している位置であり、スキャナユニット40が感光ドラム61の所定位置を露光可能な位置である。画像形成部30では、まず、各感光ドラム61の表面が、帯電器により一様に帯電された後、スキャナユニット40で露光される。これにより、各感光ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。その後、現像ローラ52によって、収容部51内のトナーが、感光ドラム61上の静電潜像に供給されることで、感光ドラム61上にトナー像が形成される。
次に、搬送ベルト73上に供給されたシートPが各感光ドラム61と各転写ローラ74との間を通過することで、各感光ドラム61上に形成されたトナー像がシートP上に転写される。その後、定着装置80によって、シートP上に転写されたトナー像が熱定着される。
搬送部90は、画像形成部30から搬出されたシートPを本体筐体10の排出トレイ13に排出する排出機構として機能するとともに、画像形成部30により一方の面に画像が形成されたシートPの表裏を反転させた状態で当該シートPを画像形成部30へ再度搬送する再搬送手段として機能している。具体的に、搬送部90は、搬送経路91と、排出ローラ92と、再搬送経路93と、を主に備えている。
搬送経路91は、定着装置80から排出トレイ13に向けてシートPを案内する経路である。
排出ローラ92は、正逆両方に回転可能に構成されており、正回転時には画像形成部30から搬出されたシートPを排出トレイ13に向けて排出し、逆回転時にはシートPを本体筐体10内に引き込むように搬送する。
再搬送経路93は、画像形成部30により一方の面に画像が形成されたシートPを、供給部20の下を通して再び画像形成部30へ案内するように構成されている。
また、カラープリンタ1は、カバー開閉センサSE2と、第1シートセンサSE3と、第2シートセンサSE4と、温度センサSE5と、モータMと、伝達機構TMと、第2伝達機構TM2とをさらに備えている。
カバー開閉センサSE2は、カバー11の開閉を検知するセンサである。カバー開閉センサSE2は、カバー11が閉じているときカバー11の一部が当たって制御部100にON信号を出力する。カバー開閉センサSE2は、カバー11が開いているときカバー11が離間して制御部100にOFF信号を出力する。
第1シートセンサSE3および第2シートセンサSE4は、シートの有無を検知するセンサである。第1シートセンサSE3および第2シートセンサSE4は、例えば、シートPに接触することで揺動する揺動部材と、揺動部材の揺動を検知する光センサとを有する。本実施形態では、各シートセンサSE3,SE4は、揺動部材がシートPで倒されているときにON信号を出力し、揺動部材が倒されていないときにOFF信号を出力することとする。
第1シートセンサSE3は、シートPの搬送方向において、感光ドラム61よりも上流に位置する。第2シートセンサSE4は、シートPの搬送方向において、第1シートセンサSE3よりも下流、詳しくは、第1定着部材81よりも下流に位置する。
温度センサSE5は、第1定着部材81の温度を非接触で検知するセンサである。温度センサSE5は、第1定着部材81の外周面に非接触で対向している。温度センサSE5は、第1定着部材81からの赤外線を検知するサーミスタを有している。温度センサSE5は、主に、ヒータ110の温度を制御するためのセンサとして利用されている。
モータMは、第1定着部材81を回転させるモータである。モータMは、モータMの回転を検知する回転検知部材としてのホール素子M1を備えている。ホール素子M1は、主に、モータMの回転速度を制御するためのセンサとして利用されている。
伝達機構TMは、モータMから現像剤像形成部、例えば駆動ローラ71や感光ドラム61等に駆動力を伝達する機構であって、モータMから現像剤像形成部への駆動力の伝達を遮断可能となっている。詳しくは、伝達機構TMは、駆動力の伝達を遮断可能なクラッチCLを備えている。
第2伝達機構TM2は、モータMから第1定着部材81に駆動力を伝達する機構である。第2伝達機構TM2は、ワンウェイクラッチがないギヤ列である。これにより、第1定着部材81をいずれの方向に回しても、モータMが回されるようになっている。
制御部100は、CPU、ROM、RAMなどを有し、予め用意されたプログラムなどに従い、印刷指令の受信などに応じて様々な処理を実行するように構成されている。制御部100は、各センサSE1~SE5から信号を取得可能となっている。
図2に示すように、定着装置80は、ヒータ110と、第1定着部材81と、第2定着部材82と、温度センサSE5とを備えている。第1定着部材81は、ローラ120を有している。
ヒータ110は、ハロゲンランプであり、通電によって発光するとともに発熱し、輻射熱によってローラ120を加熱する。ヒータ110は、ローラ120の回転軸線に沿ってローラ120の内側を通るように配置されている。ここで、ローラ120の回転軸線に沿う方向は、第1定着部材81の軸方向であり、以下、単に「軸方向」とも称する。
ローラ120は、筒状のローラであり、ヒータ110によって加熱される。ローラ120は、金属などからなる素管121と、素管121の外周面を覆う弾性層122とを有している。弾性層122は、シリコンゴムなどのゴムからなる。なお、本実施形態において、ローラ120は、軸方向両端の外径が軸方向中央の外径よりも大きくなっており、軸方向の中央から両端に向かうにつれて外径が徐々に大きくなるコンケーブ形状を有している。但し、ローラ120の形状はこれに限定されない。ローラ120は、例えば、軸方向における外径が均一な円筒状のローラであってもよい。また、ローラ120は、その外径が軸方向の中央から両端に近づくにつれ徐々に小さくなるクラウン形状のローラであってもよい。
ローラ120の軸方向における両端部は、後述するフレームFL、詳しくはサイドフレーム83(図3参照)に回転可能に支持されており、モータMから駆動力が入力されることで図2の反時計回りに回転駆動する。
第2定着部材82は、第1定着部材81に対して近接・離間する方向である所定方向に直線的に移動可能となっている。所定方向は、軸方向に直交している。第2定着部材82は、後述する切替機構300(図3参照)によって第1定着部材81に向けて付勢されている。
また、第2定着部材82は、無端状のベルト130と、ニップ形成部材Nと、ホルダ140と、ステイ200と、ベルトガイドGと、摺動シート150とを有している。
ベルト130は、長尺筒状の部材であり、可撓性を有している。図示は省略するが、ベルト130は、金属や樹脂などからなる基材と、基材の外周面を覆う離型層とを有している。ベルト130は、ローラ120が回転したときにローラ120またはシートPとの摩擦によって図2の時計回りに従動回転する。ベルト130の内周面には、グリスなどの潤滑剤が付けられている。ベルト130の内側には、ニップ形成部材N、ホルダ140、ステイ200、ベルトガイドGおよび摺動シート150が配置されている。
ニップ形成部材Nは、ローラ120との間でベルト130を挟んでニップ部NPを形成する部材である。ニップ形成部材Nは、第1ニップ形成部材N1と、第2ニップ形成部材N2とを備えている。
第1ニップ形成部材N1は、第1パッドP1と、第1固定板B1とを有している。
第1パッドP1は、直方体状の部材である。第1パッドP1は、シリコンゴムなどのゴムからなる。第1パッドP1は、ローラ120との間でベルト130を挟んで上流ニップ部NP1を形成する。
なお、以下の説明では、上流ニップ部NP1および後で詳述するニップ部NPにおけるベルト130の移動方向を単に「移動方向」という。なお、本実施形態において、移動方向は、ローラ120の外周面に沿った方向であるが、この方向は、おおよそ所定方向と軸方向に直交する方向に沿った方向であるため、所定方向と軸方向に直交する方向として図示することとする。なお、移動方向は、ニップ部NPでのシートPの搬送方向と同じ方向である。また、以下の説明では、移動方向の上流、下流を、単に「上流、下流」とも称する。
第1パッドP1は、第1固定板B1のローラ120側の面に固定されている。第1パッドP1は、第1固定板B1の上流端よりも移動方向の上流側に僅かに突出している。これにより、第1パッドP1はホルダ140と上流側で接触する。
第1固定板B1は、第1パッドP1よりも硬い部材、例えば金属などからなる。
第2ニップ形成部材N2は、第1ニップ形成部材N1に対して移動方向の下流側に間隔を空けて配置されている。つまり、第2ニップ形成部材N2は、シートPの搬送方向において、第1ニップ形成部材N1から離れている。第2ニップ形成部材N2は、第2パッドP2と、第2固定板B2とを有している。
第2パッドP2は、直方体状の部材である。第2パッドP2は、シリコンゴムなどのゴムからなる。第2パッドP2は、ローラ120との間でベルト130を挟んで下流ニップ部NP2を形成する。第2パッドP2は、移動方向において、第1パッドP1から離れている。
このため、上流ニップ部NP1と下流ニップ部NP2との間には、第2定着部材82からの圧力が直接作用しない中間ニップ部NP3が存在する。この中間ニップ部NP3では、ベルト130はローラ120に接触するものの、ローラ120との間でベルト130を挟む部材が存在しないため、圧力はほとんど加わらない。従って、シートPは、ローラ120によって加熱されつつ、ほぼ加圧されることなく中間ニップ部NP3を通過する。本実施形態では、上流ニップ部NP1の上流端から下流ニップ部NP2の下流端までの領域、即ち、ベルト130の外周面とローラ120とが接触する全ての領域をニップ部NPと称する。つまり、本実施形態では、ニップ部NPは、第1パッドP1および第2パッドP2からの押圧力が加わらない部分を含む。
第2パッドP2は、第2固定板B2のローラ120側の面に固定されている。第2パッドP2は、第2固定板B2の下流端よりも移動方向の下流側に僅かに突出している。これにより、第2パッドP2はホルダ140と下流側で接触する。図6に示すように、所定方向において、第2パッドP2の寸法は、第1パッドP1の寸法よりも小さい。
第2固定板B2は、第2パッドP2よりも硬い部材、例えば金属などからなる。所定方向において、第2固定板B2の寸法は、第1固定板B1と同じである。
なお、第1パッドP1の硬さは、ローラ120の弾性層122の硬さよりも大きい。また、第2パッドP2の硬さは、第1パッドP1の硬さよりも大きい。つまり、第1パッドP1は、第2パッドP2よりも柔らかい。
ここで、硬さとは、ISO7619-1に規定されているデュロメータ硬さのことである。デュロメータ硬さは,規定した条件下で試験片に規定の押針を押し込んだときの押針の押込み深さから得られる値である。例えば、弾性層122のデュロメータ硬さが5の場合、第1パッドP1のデュロメータ硬さは6~10、第2パッドP2のデュロメータ硬さは70~90であることが好ましい。
なお、シリコンゴムの硬さは、製造時に添加する添加物(シリカ系充填剤やカーボン系充填剤)の比率を変えることで調整することができる。具体的には、添加物の比率を大きくすると、ゴムの硬さが大きくなる。また、シリコン系のオイルを添加することで、硬さを小さくすることもできる。ゴムの製法としては、液状射出成型や押出成型を採用することができる。一般的には、低硬度ゴムは、液状射出成型が適しており、高硬度ゴムは、押出成形が適している。
ホルダ140は、ニップ形成部材Nを保持する部材である。つまり、第1ニップ形成部材N1と第2ニップ形成部材N2は、1つのホルダ140によって支持されている。ホルダ140は、ステイ200で支持されている。
ホルダ140は、第1ニップ形成部材N1の第1定着部材81とは反対の面を支持する第1支持面141Aと、第2ニップ形成部材N2の第1定着部材81とは反対の面を支持する第2支持面141Bとを有する。第1支持面141Aと第2支持面141Bは、所定方向において同じ位置に位置する。
これにより、図6に示すように、第1ニップ形成部材N1が第2ニップ形成部材N2よりも第1定着部材81側に突出する。言い換えると、第1ニップ形成部材N1の第1定着部材81側の面である第1先端面N11は、所定方向において、第2ニップ形成部材N2の第1定着部材81側の面である第2先端面N21よりも第1定着部材81の近くに位置する。詳しくは、各ニップ形成部材N1,N2が第1定着部材81に圧接されていない状態において、第1先端面N11は第2先端面N21よりも第1定着部材81の近くに位置する。
ここで、図6の状態は、第1ニップ形成部材N1の第1先端面N11の一部のみが第1定着部材81に圧接された状態であり、第1先端面N11の他部と第2先端面N21には圧力は、加わっていない。そのため、第1先端面N11の他部と第2先端面N21の位置は、各ニップ形成部材N1,N2が第1定着部材81に圧接されていない状態のときと同じ位置となる。つまり、第1先端面N11の他部は、第2先端面N21よりも第1定着部材81の近くに位置する。言い換えると、所定方向において、第1先端面N11の圧力が加わっていない部分と第1定着部材81の外周面との最短距離D1は、圧力が加わっていない第2先端面N21と第1定着部材81の外周面との最短距離D2よりも小さい。
ステイ200は、ホルダ140に対してニップ形成部材Nと反対側に位置してホルダ140を支持する部材である。ステイ200は、金属などからなる。ステイ200の軸方向の端部には、樹脂などからなる緩衝部材BF(図4参照)が取り付けられている。緩衝部材BFは、金属製のステイ200と、後述する金属製のアーム310(図4参照)とが擦れ合うのを抑制するための部材である。
ベルトガイドGは、ベルト130の内周面131をガイドする部材である。ベルトガイドGは、耐熱性を有する樹脂などからなる。ベルトガイドGは、上流ガイドG1と、下流ガイドG2とを有している。
摺動シート150は、各パッドP1,P2とベルト130との摩擦抵抗を低減するための矩形のシートである。摺動シート150は、ニップ部NPにおいて、ベルト130の内周面131と各パッドP1,P2との間で挟まれている。摺動シート150は、弾性変形可能な材料からなる。なお、摺動シート150の材料は、どのようなものであってもよいが、本実施形態では、ポリイミドを含有した樹脂シートを採用している。
図3に示すように、定着装置80は、フレームFLと、切替機構300とをさらに備えている。フレームFLは、第1定着部材81および第2定着部材82を支持するフレームであり、金属などからなる。フレームFLは、第1定着部材81および第2定着部材82に対して軸方向の両側に配置されるサイドフレーム83およびブラケット84と、各サイドフレーム83に接続される接続フレーム85とを備えている。
サイドフレーム83は、第1定着部材81および第2定着部材82を支持するフレームである。サイドフレーム83は、後述する第1バネ320の一端部と係合するバネ係合部83Aを有している。
ブラケット84は、第2定着部材82を所定方向に移動可能に支持する部材であり、サイドフレーム83に固定されている。詳しくは、軸方向の両側に配置されるブラケット84は、ホルダ140の軸方向の端部142を所定方向に移動可能に支持する第1長孔84Aを有している。第1長孔84Aは、所定方向に延びる長孔である。
ここで、第1長孔84Aは、ガイドとしての溝に相当する。ホルダ140の軸方向の各端部142は、軸方向の両側の第1長孔84Aに挿入され、第2定着部材82は所定方向に移動可能に支持される。なお、ガイドとしての溝としては、底付きの溝であってもよい。
切替機構300は、制御部100によって駆動され、第1定着部材81および第2定着部材82のニップ状態を、強ニップ状態と、強ニップ状態よりもニップ圧が低い中ニップ状態と、中ニップ状態よりもニップ圧が低い弱ニップ状態とに切替可能な機構である。ここで、強ニップ状態、中ニップ状態および弱ニップ状態では、いずれの状態でも、各パッドP1,P2の少なくとも一方と第1定着部材81との間でベルト130が挟まれている。
図4(a)に示すように、切替機構300は、アーム310と、バネの一例としての第1バネ320と、第2バネ330と、カム340と、カム340を駆動する第2モータ360とを備えている。アーム310、第1バネ320、第2バネ330およびカム340は、フレームFLの軸方向の一端側と他端側にそれぞれ設けられている。
アーム310は、緩衝部材BFを介してステイ200を第1定着部材81に向けて押圧するための部材である。アーム310は、第2定着部材82を支持するとともに、サイドフレーム83に回動可能に支持されている。
アーム310は、アーム本体311と、カムフォロア350とを有している。アーム本体311は、金属などからなるL形状の板状部材である。
サイドフレーム83は、アーム本体311を回動可能に支持するボス83Xを有している。アーム本体311は、サイドフレーム83のボス83Xに回動可能に支持される一端部311Aと、第1バネ320が連結される他端部311Bと、第2定着部材82を支持する係合穴311Cとを有している。係合穴311Cは、一端部311Aと他端部311Bの間に配置され、緩衝部材BFと係合している。
また、アーム本体311は、カム340に向けて延びるガイド突起312をさらに有している。ガイド突起312は、他端部311Bから係合穴311Cに向かう方向において、他端部311Bと係合穴311Cの間に配置されている。
カムフォロア350は、アーム本体311のガイド突起312に対して移動可能に取り付けられており、カム340に接触可能となっている。カムフォロア350は、樹脂などからなり、ガイド突起312に嵌合される筒状部351と、筒状部351の一端に設けられる接触部352と、筒状部351の他端に設けられるフランジ部353とを有している。
筒状部351は、ガイド突起312によって、当該ガイド突起312の延びる方向に移動可能に支持されている。接触部352は、筒状部351のカム340側の端部の開口を塞ぐ壁であり、カム340とガイド突起312の先端の間に配置されている。フランジ部353は、筒状部351の他端から、カムフォロア350の移動方向に直交する方向に突出している。
そして、筒状部351とアーム本体311の間には、第2バネ330が配置されている。これにより、アーム本体311は、第1バネ320によって付勢されるとともに、第2バネ330によって付勢可能となっている。
第1バネ320は、第2定着部材82に対して第1付勢力を付与することで、ニップ部NPに荷重を付与するバネである。詳しくは、第1バネ320は、アーム本体311を介して第2定着部材82に対して第1付勢力を付与している。
より詳しくは、第1バネ320は、アーム本体311、緩衝部材BF、ステイ200およびホルダ140を介して、第1パッドP1および第2パッドP2をローラ120に向けて付勢している。第1バネ320は、金属などからなる引張コイルバネであり、一端がサイドフレーム83のバネ係合部83Aに連結され、他端がアーム本体311の他端部311Bに連結されている。
第2バネ330は、第2定着部材82に対して第1付勢力とは逆向きの第2付勢力を付与可能なバネである。詳しくは、第2バネ330は、アーム本体311を介して第2定着部材82に対して第2付勢力を付与可能となっている。第2バネ330は、金属などからなる圧縮コイルバネであり、圧縮コイルバネで囲まれる空間内にガイド突起312が挿入された状態で、筒状部351とアーム本体311の間に配置されている。
カム340は、カムフォロア350を介してアーム310を押圧することで、第2定着部材82を所定方向に移動させる部材である。また、カム340は、第2バネ330の伸縮状態を、第2付勢力が第2定着部材82に対して付与されない第1伸縮状態と、第2付勢力が第2定着部材82に対して付与される第2伸縮状態と、第2伸縮状態よりも変形した第3伸縮状態とに変更可能とする機能も有する。カム340は、図4(a)に示す第1カム位置と、図5(a)に示す第2カム位置と、図6(a)に示す第3カム位置との間で回動可能となるように、サイドフレーム83に支持されている。詳しくは、制御部100によって第2モータ360の駆動力が断続的にカム340に供給されることで、カム340が、各カム位置に回動するように構成されている。なお、第2モータ360からカム340への駆動力の断続的な供給は、第2モータ360からカム340への駆動力の伝達を切り替えるクラッチ等の駆動力伝達切替機構を制御部100で制御することで行ってもよいし、第2モータ360の駆動・停止を制御部100で切り替えることで行ってもよい。
カム340は、樹脂などからなり、第1部位341と、第2部位342と、第3部位343とを有している。第1部位341、第2部位342および第3部位343は、カム340の外周面上に位置している。
第1部位341は、カム340が第1カム位置に位置するときに、カムフォロア350に最も近い部位である。図4(a)に示すように、カム340が第1カム位置に位置するときに、第1部位341は、カムフォロア350から離れている。
第2部位342は、カム340が第2カム位置に位置するときに、カムフォロア350に接触する部位である。より詳しくは、第2部位342は、図5(a)に示すように、カム340が第1カム位置から図示時計回りに約90度回動した際にカムフォロア350と接触する部位である。第2部位342からカム340の回動中心までの距離は、第1部位341からカム340の回動中心までの距離よりも大きい。
第3部位343は、カム340が第3カム位置に位置するときに、カムフォロア350に接触する部位である。より詳しくは、第3部位343は、図6(a)に示すように、カム340が第1カム位置から図示時計回りに約270度回動した部位、言い換えると、第2カム位置から図示時計回りに約180度回動した際に、カムフォロア350と接触する部位である。第3部位343からカム340の回動中心までの距離は、第2部位342からカム340の回動中心までの距離よりも大きい。
カム340が第1カム位置に位置するときには、カム340がカムフォロア350から離れていることにより、第2バネ330の伸縮状態は第1伸縮状態となる。このようにカム340が第2バネ330の伸縮状態を第1伸縮状態にしているときには、アーム本体311は、図4(a)に示す第1姿勢となっている。
詳しくは、カム340が第2バネ330の伸縮状態を第1伸縮状態にしているときには、カム340がカムフォロア350から離れているため、第2バネ330の第2付勢力は、アーム本体311を介して第2定着部材82に付与されず、第1バネ320の第1付勢力のみがアーム本体311を介して第2定着部材82の各パッドP1,P2に付与されている。このように第1バネ320によって第2定着部材82に対して第1付勢力が付与され、且つ、第2バネ330によって第2定着部材82に対して第2付勢力が付与されていないときには、ニップ状態は、強ニップ状態であり、ニップ圧は、第1ニップ圧となる。そして、強ニップ状態では、各パッドP1,P2と第1定着部材81との間でベルト130が挟まれている。
カム340は、図4(a)に示す第1カム位置から図5(a)に示す第2カム位置に回動すると、カムフォロア350と接触して、カムフォロア350をアーム本体311に対して所定量移動させる。これにより、カム340が第2カム位置に位置するときには、第2バネ330の伸縮状態は、第1伸縮状態よりも変形した第2伸縮状態となる。
カム340が第2カム位置に位置するときには、カム340でカムフォロア350が支持されるため、第2バネ330の第2付勢力がアーム本体311を介して第2定着部材82に第1付勢力とは逆向きに付与される。そのため、第1バネ320によって第2定着部材82に対して第1付勢力が付与され、且つ、第2バネ330によって第2定着部材82に対して第2付勢力が付与されているときには、ニップ状態は、中ニップ状態であり、ニップ圧が第1ニップ圧よりも小さい第2ニップ圧となる。中ニップ状態では、各パッドP1,P2と第1定着部材81との間でベルト130が挟まれている。
なお、カム340が第2バネ330の伸縮状態を第2伸縮状態にしているときには、アーム本体311は、前述した第1姿勢のままとなっている。ここで、第2パッドP2は、ローラ120に対して押し付けられている状態、即ち、第2パッドP2に対して荷重が加わっている状態では、その荷重の大小に関わらず、ほぼ変形しない。そして、第2パッドP2がほぼ変形しないため、第2パッドP2を支持するステイ200、さらにはステイ200を支持するアーム310の姿勢も、荷重の大小によらずほぼ一定に保たれる。また、第1パッドP1の位置は、第2パッドP2の位置で決まるため、第2パッドP2がほぼ変形せず、その位置も変形しない状態では、第1パッドP1の位置も変わらない。従って、強ニップ(第1ニップ圧)と中ニップ(第2ニップ圧)では、どちらの場合でも全ニップ幅(上流ニップ部NP1の入口から下流ニップ部NP2の出口までの長さ)は変わらず、アーム310の姿勢もほぼ一定に保たれる。強ニップ状態と中ニップ状態はいずれも、各パッドP1,P2と第1定着部材81との間でベルト130が挟まれている全ニップ状態である。
なお、第2パッドP2が変形しない理由は、第2パッドP2の硬度が第1パッドP1およびローラ120の弾性層122の硬度よりも十分に高いためである。より詳しくは、第2パッドP2は、下流ニップ部NP2で要求される最大ニップ圧(強ニップ時の下流ニップ圧)から最小ニップ圧(弱ニップ時の下流ニップ圧)までの範囲に収まるニップ圧ではほぼ変形しない程度の硬度を有しているためである。
言い換えると、下流ニップで要求される最大ニップ圧と最小ニップ圧は、第2パッドP2がほぼ変形しない程度の大きさに設定されている。
ここで、「第2パッドP2がほぼ変形しない」とは第2パッドP2によって形成される下流ニップ部NP2のニップ幅(ベルト移動方向のニップの長さ及び位置)の変形量が、画質や用紙の搬送に影響を及ぼさない程度に、第2パッドP2が変形することを含む(下流ニップ幅の変形量がゼロではない)。
このように第2バネ330の伸縮状態が第1伸縮状態および第2伸縮状態のいずれの状態であっても、アーム本体311の姿勢が第1姿勢となるため、図4(b)および図5(b)に示すように、ニップ圧が第1ニップ圧であるときと第2ニップ圧であるときの両方の状態において、第1パッドP1および第2パッドP2は、ローラ120との間でベルト130を挟んでいる。詳しくは、各状態において、ローラ120に対する第2定着部材82の位置が略同じ位置であるため、各状態でのニップ部NPの幅(移動方向の長さ)が略同じ大きさとなっている。
カム340は、図5(a)に示す第2カム位置から図6(a)に示す第3カム位置に回動する場合には、カムフォロア350をアーム本体311に対してさらに移動させた後、カムフォロア350を介してアーム本体311を押圧する。これにより、第2バネ330の伸縮状態が第2伸縮状態よりも変形した第3伸縮状態となるとともに、アーム本体311が第1姿勢から当該第1姿勢と異なる第2姿勢に回動する。
詳しくは、カム340を第2カム位置から第3カム位置に回動させていく過程における最初の段階では、カムフォロア350の接触部352がガイド突起312の先端に近づくように、カムフォロア350がアーム本体311に対して移動する。接触部352がガイド突起312の先端に接触すると、第2バネ330の伸縮状態が第3伸縮状態となる。このようにカム340が第2バネ330の伸縮状態を第3伸縮状態にしているときには、カムフォロア350の一部である接触部352がカム340とガイド突起312の間に挟まれる。言い換えると、接触部352はカム340に接触するとともに、ガイド突起312とも接触する。その後、カム340をさらに回動させると、カム340が接触部352を介してガイド突起312を押圧するので、アーム本体311が第1バネ320の付勢力に抗して第1姿勢から第2姿勢に回動する。
これにより、アーム本体311が第2姿勢であるときには、第2定着部材82は、アーム本体311が第1姿勢であるときの位置(図5(b)の位置)よりもローラ120から離れた位置(図6(b)の位置)に配置される。このように第2定着部材82のローラ120に対する位置が変わることで、アーム本体311が第2姿勢であるときには、図6(b)に示すように、ニップ部NPの幅が第1姿勢のときよりも小さくなるとともに、ニップ圧が第2ニップ圧よりも小さな第3ニップ圧となる。つまり、カム340によってアーム310の姿勢が変わるため、ニップ圧及びニップ幅が変わるようになっている。詳しくは、アーム310が第2姿勢であるときには、ニップ状態は、第1パッドP1とローラ120との間でのみベルト130が挟まれ、第2パッドP2とローラ120との間ではベルト130を挟まない弱ニップ状態となっている。これにより、アーム310が第2姿勢であるときには、上流ニップ圧と上流ニップ幅が小さくなり、下流ニップ圧は無くなる。また、弱ニップ状態では、第1バネ320の付勢力がアーム本体311およびカムフォロア350の接触部352を介してカム340で受けられるので、第1パッドP1には第1バネ320の付勢力が加わらないようになっている。つまり、弱ニップ状態では、第1パッドP1の変形のみでニップ部NPが形成されている。弱ニップ状態は、パッドP1と第1定着部材81との間でベルト130を挟み、パッドP2と第1定着部材81との間でベルト130を挟まない部分ニップ状態である。
図7(a)に示すように、温度センサSE5は、印刷時における第1定着部材81の回転方向において、ニップ部NPの上流端から下流側に所定角度θずれた位置に配置されている。言い換えると、ニップ部NPの上流端と第1定着部材81の回転中心とを結ぶ線L1と、温度センサSE5と第1定着部材81の回転中心とを結ぶ線L2のなす角であって、線L1から第1定着部材81の回転方向下流側、かつ、線L2から第1定着部材81の回転方向上流側の範囲の角度は、所定角度θとなっている。
図7(b)に示すように、温度センサSE5は、定着装置80によって定着可能な最小の幅のシートPminの幅内に位置している。これにより、図7(a)に示すように、どのようなサイズのシートPが第1定着部材81に巻き付いても、シートPが温度センサSE5と第1定着部材81の間に入り込むようになっている。
制御部100は、印刷中にシートPが停止するジャムエラーが発生したか否かを判定する機能を有している。詳しくは、制御部100は、第1シートセンサSE3付近でシートPが詰まる第1ジャムエラーと、第1シートセンサSE3と第2シートセンサSE4の間でシートPが詰まる第2ジャムエラーと、第2シートセンサSE4付近でシートPが詰まる第3ジャムエラーと、シートPが第1定着部材81に巻き付くことによって詰まる巻き付きジャムエラーと、を判定可能となっている。
制御部100は、第1シートセンサSE3からON信号が出力されている時間が、シート長さ時間を超えた場合、つまり、シートPが第1シートセンサSE3付近で詰まって第1シートセンサSE3が倒れっぱなしになっている場合に、第1ジャムエラーと判定する。ここで、シート長さ時間は、シートPの長さに対応した時間である。シートPが第1シートセンサSE3を正常に通過する場合には、シートPの長さをシートPの搬送速度で割った時間だけ、第1シートセンサSE3がONになるため、この時間よりも長い時間にシート長さ時間が設定されている。
制御部100は、第1シートセンサSE3で所定のシートPが検知されてから所定時間以内に第2シートセンサSE4で所定のシートPが検知されなかった場合、つまり、シートPが第1シートセンサSE3を正常に通過したが、第2シートセンサSE4に達する前に詰まった場合に、第2ジャムエラーが発生したと判定する。また、制御部100は、第2シートセンサSE4からON信号が出力されている時間が、シート長さ時間を超えた場合、つまり、シートPが第2シートセンサSE4付近で詰まって第2シートセンサSE4が倒れっぱなしになっている場合に、第3ジャムエラーと判定する。
制御部100は、温度センサSE5で検知した検知温度の低下に基づいて、第1定着部材81にシートPが巻き付いたと判定する。ここで、検知温度は、図8に示すように、印字中(時刻t1-t2)においては、第1定着部材81の目標温度付近に維持される。しかしながら、図7(a)に示すように、第1定着部材81に巻き付いたシートPが温度センサSE5と第1定着部材81の間に入ると、図8の時刻t2に示すように、検知温度が急激に低下する。制御部100は、検知温度の単位時間当たりの減少量が第1所定量より大きい場合に、第1定着部材81にシートPが巻き付いたと判定して、巻き付きエラーが発生したと判定する。
また、制御部100は、第1定着部材81にシートPが巻き付いたと判定した後、検知温度の変化に基づいて、第1定着部材81に巻き付いたシートPが取り除かれたか否かを判定する機能を有している。ここで、時刻t2において急激に低下した検知温度は、第1定着部材81の熱により第1定着部材81に巻き付いたシートPが暖められることで、その後、徐々に上昇する。その後、ユーザによりシートPが搬送方向とは逆方向に引っ張られることで、シートPの先端が温度センサSE5と第1定着部材81の間から抜けると、温度センサSE5と第1定着部材81の間の暖められた空気が温度センサSE5と第1定着部材81の間から抜けることで、図8の時刻t3に示すように、検知温度が急激に低下する。制御部100は、第1定着部材81にシートPが巻き付いたと判定した後に、検知温度の単位時間当たりの減少量が第2所定量より大きいと判定すると、第1定着部材81に巻き付いたシートPが取り除かれたと判定し、この判定を条件として、巻き付きジャムエラーを解除する。
ここで、図8に示す矩形の波形は、シートPが第2シートセンサSE4を通過したことを示す波形である。図8の例は、時刻t2において、第2シートセンサSE4がONであるときに、巻き付きが発生したと判定している例を示している。この例は、2枚のシートPが重なった状態で定着装置80に侵入した例であり、2枚のうち一方のシートPが第1定着部材81に巻き付き、他方のシートPが第2シートセンサSE4を正常に通過している。
このように第2シートセンサSE4の信号に基づいてジャムエラーの発生を判定できない場合であっても、第1定着部材81への巻き付きを判定することで、巻き付きを原因とした巻き付きジャムエラーを精度よく判定することが可能となっている。なお、1枚のシートPが定着装置80に侵入して第1定着部材81に巻き付いた場合には、第1シートセンサSE3のONから所定時間以内に第2シートセンサSE4がONにならない。この場合、制御部100は、第2ジャムエラーを発生したと判定するとともに、巻き付きの判定により巻き付きエラーが発生したと判定する。
また、図7(a)に示すように、制御部100は、ホール素子M1からの信号に基づいて、駆動用の電流が供給されていない状態のモータMが回されたか否かを判定し、モータMが回されたと判定したことを条件として、第1定着部材81に巻き付いたシートPが取り除かれたと判定する機能も有している。具体的には、ユーザによりシートPが搬送方向とは逆方向に引っ張られると、シートPと接触している第1定着部材81が図示時計回りに回転するので、第1定着部材81に連結されているモータMも回転する。モータMが回転するとホール素子M1が回転を検知して信号を出力するので、制御部100は、この信号に基づいてモータMが回されたと判定する。
制御部100は、モータMが回されていないと判定した場合には、巻き付きジャムエラーを解除せず、モータMが回されたと判定した場合には、巻き付きジャムエラーを解除する。詳しくは、制御部100は、第1定着部材81の温度センサSE5に対向する部分がニップ部NPまで回されたときの第1定着部材81の回転位相角θ1に対応したモータMの回転位相角θ2以上、モータMが回された場合に、巻き付きジャムエラーを解除する。ここで、第1定着部材81の温度センサSE5に対向する部分がニップ部NPまで回されたときの第1定着部材81の回転位相角θ1は、前述した所定角度θに相当する。また、第1定着部材81の回転位相角θ1に対応したモータMの回転位相角θ2は、第1定着部材81の軸方向の端部に設けられるギヤと、モータMの出力軸に設けられるギヤのギヤ比によって決まる。
なお、本実施形態では、巻き付きジャムエラーの解除条件は、前述した2つの条件に加え、カバー11の開閉の条件と、ドロワ60の挿抜の条件も含んでいる。詳しくは、制御部100は、カバー11が開けられ、かつ、ドロワ60が画像形成用位置から引き出された状態で、ホール素子M1からの信号に基づいてモータMが回転位相角θ2以上回されたと判定した場合、または、温度センサSE5の検知温度の変化に基づいてシートPが取り除かれたと判定した場合に、巻き付きジャムエラーを解除する。
巻き付きジャムエラーを含むすべてのジャムエラーの解除条件は、前述したカバー11の開閉の条件とドロワ60の挿抜の条件とを含む他、各シートセンサSE3,SE4がOFFであることを含んでいる。
制御部100は、ジャムエラーが発生したと判定した場合には、ニップ状態を弱ニップ状態にする機能を有している。詳しくは、制御部100は、ジャムエラーが発生したと判定したときに、ニップ状態が強ニップ状態である場合には、第1定着部材81の回転の停止と、ヒータ110の停止と、強ニップ状態から弱ニップ状態への切替と、を実行する。より詳しくは、制御部100は、第1定着部材81の回転の停止およびヒータ110の停止を実行した後、強ニップ状態から弱ニップ状態への切替を実行する。
ここで、第1定着部材81の回転の停止は、モータMへの駆動用の電流の供給を停止することで行う。ヒータ110の停止は、ヒータ110への電流の供給を停止することで行う。強ニップ状態から弱ニップ状態への切替は、切替機構300のカム340の位置を切り替えることで行う。
さらに、制御部100は、ジャムエラーが発生したと判定した場合には、モータMから現像剤像形成部への駆動力を遮断する機能も有している。ここで、モータMから現像剤像形成部への駆動力の遮断は、クラッチCLを切ることで行う。
次に、制御部100の動作について詳細に説明する。
制御部100は、印刷指令を受けると、図9に示す印刷処理を実行する。
印刷処理において、制御部100は、まず、シートPの種類に応じてニップ状態を設定する(S1)。例えば、シートPの種類が例えば普通紙などの第1厚さのシートである場合には、制御部100は、カム340を第1カム位置に位置させて、ニップ状態を強ニップ状態にする。シートPの種類が例えば厚紙などの第1厚さよりも厚い第2厚さのシートである場合には、制御部100は、カム340を第2カム位置に位置させて、ニップ状態を中ニップ状態にする。シートPの種類が例えば封筒などの第2厚さよりも厚い第3厚さのシートである場合には、制御部100は、カム340を第3カム位置に位置させて、ニップ状態を弱ニップ状態にする。
ステップS1の後、制御部100は、印刷を開始させる(S2)。ステップS2の後、制御部100は、ジャムエラー判定処理を実行する(S3)。なお、ジャムエラー判定処理については、後で詳述する。
ステップS3の後、制御部100は、ジャムエラーが発生したか否か、詳しくはジャムエラー判定処理においてジャムエラーが発生したと判定したか否かを判定する(S4)。ステップS4においてジャムエラーが発生したと判定した場合には(Yes)、制御部100は、印刷を中止する(S5)。詳しくは、ステップS5において、制御部100は、第1定着部材81の回転の停止、ヒータ110の停止およびクラッチCLの切断を実行する。
ステップS5の後、制御部100は、ニップ状態が弱ニップ状態以外の状態であるか否かを判定する(S6)。ステップS6においてニップ状態が弱ニップ状態以外の状態、つまり中ニップ状態または強ニップ状態であると判定した場合には(Yes)、制御部100は、切替機構300を駆動してニップ状態を弱ニップ状態に切り替える(S7)。具体的には、制御部100は、第2モータ360を駆動してカム340を第1カム位置または第2カム位置から、第3カム位置に回動させる。
ステップS7の後、または、ステップS6でNoと判定した場合には、制御部100は、エラー解除処理を実行する(S8)。なお、エラー解除処理については、後で詳述する。
ステップS8の後、制御部100は、エラー解除処理においてジャムエラーが解除されたか否かを判定する(S9)。ステップS9においてジャムエラーが解除されていないと判定した場合には(No)、制御部100は、ステップS8の処理に戻る。
ステップS9においてジャムエラーが解除されたと判定した場合には(Yes)、制御部100は、印刷を再開する(S10)。ステップS10の後、または、ステップS4でNoと判定した場合には、制御部100は、印刷が終了したか否かを判定する(S11)。
ステップS11において印刷が終了していないと判定した場合には(No)、制御部100は、ステップS3の処理に戻る。ステップS11において印刷が終了したと判定した場合には(Yes)、制御部100は、本処理を終了する。
図10に示すように、ジャムエラー判定処理において、制御部100は、まず、第1シートセンサSE3がONになったか否かを判定する(S31)。ステップS31において第1シートセンサSE3がONになっていないと判定した場合には(No)、制御部100は、本処理を終了する。
ステップS31において第1シートセンサSE3がONになったと判定した場合には(Yes)、制御部100は、第1シートセンサSE3のON時間がシート長さ時間を超えたか否かを判定する(S32)。ステップS32において第1シートセンサSE3のON時間がシート長さ時間を超えたと判定した場合には(Yes)、制御部100は、第1ジャムエラーが発生したと判定して(S33)、本処理を終了する。
ステップS32において第1シートセンサSE3のON時間がシート長さ時間を超えていないと判定した場合には(No)、制御部100は、第1シートセンサSE3がOFFになったか否かを判定する(S34)。
ステップS34において第1シートセンサSE3がOFFになっていないと判定した場合には(No)、制御部100は、ステップS32の処理に戻る。ステップS34において第1シートセンサSE3がOFFになったと判定した場合には(Yes)、制御部100は、第1シートセンサSE3がONになってから所定時間以内に第2シートセンサSE4がONになったか否かを判定する(S35)。
ステップS35において第1シートセンサSE3のONから所定時間以内に第2シートセンサSE4がONにならなかったと判定した場合には(No)、制御部100は、第2ジャムエラーが発生したと判定する(S36)。ステップS35でYesと判定した場合、または、ステップS36の後、制御部100は、温度センサSE5の検知温度が低下したか否かを判定する(S37)。詳しくは、ステップS37において、制御部100は、検知温度の単位時間当たりの減少量が第1所定量より大きいか否かを判定する。
ステップS37において検知温度が低下したと判定した場合には(Yes)、制御部100は、巻き付きジャムエラーが発生したと判定して(S38)、第1定着部材81にシートPが巻き付いたことを示す巻付フラグFを1にする(S39)。ステップS39の後、または、ステップS37でNoと判定した場合には、制御部100は、第2シートセンサSE4のON時間がシート長さ時間を超えたか否かを判定する(S40)。
ステップS40において第2シートセンサSE4のON時間がシート長さ時間を超えたと判定した場合には(Yes)、制御部100は、第3ジャムエラーが発生したと判定して(S41)、本処理を終了する。ステップS40でNoと判定した場合には、制御部100は、第2シートセンサSE4がOFFになったか否かを判定する(S42)。
ステップS42において第2シートセンサSE4がOFFになっていないと判定した場合には(No)、制御部100は、ステップS40の処理に戻る。ステップS42において第2シートセンサSE4がOFFになったと判定した場合には(Yes)、制御部100は、本処理を終了する。
図11に示すように、エラー解除処理において、制御部100は、まず、カバー開閉センサSE2からの信号に基づいて、カバー11が開けられたか否かを判定する(S61)。ステップS61においてカバー11が開けられていないと判定した場合には(No)、制御部100は、ジャムエラーを解除せずに、本処理を終了する。
ステップS61においてカバー11が開けられたと判定した場合には(Yes)、制御部100は、第1接点CN1と第2接点CN2の接続状態に基づいて、ドロワ60が画像形成用位置から引き出されたか否かを判定する(S62)。詳しくは、ステップS62において、制御部100は、ドロワ60に設けた機内温度センサSE1から応答があるか否かを判定し、応答がない場合に、ドロワ60が画像形成用位置から引き出されたと判定する。ステップS62においてドロワ60が引き出されていないと判定した場合には(No)、制御部100は、ジャムエラーを解除せずに、本処理を終了する。
ステップS62においてドロワ60が引き出されたと判定した場合には(Yes)、制御部100は、巻付フラグFが1であるか否かを判定する(S63)。ステップS63においてF=1であると判定した場合には(Yes)、制御部100は、温度センサSE5の検知温度の変動またはホール素子M1からの信号に基づいて、第1定着部材81へのシートPの巻き付きが解消されたか否か、つまり第1定着部材81に巻き付いたシートPが取り除かれたか否かを判定する(S64)。
詳しくは、ステップS64において、制御部100は、検知温度の単位時間当たりの減少量が第2所定量より大きいと判定した場合、または、ホール素子M1からの信号に基づいてモータMが回転位相角θ2以上回されたと判定した場合に、巻き付きが解消されたと判定する。制御部100は、ステップS64において巻き付きが解消されたと判定した場合には(Yes)、巻付フラグFを0にする(S65)。
ステップS65の後、または、ステップS64でNoと判定した場合には、制御部100は、第1接点CN1と第2接点CN2の接続状態に基づいて、ドロワ60が画像形成用位置に配置されたか否かを判定する(S66)。詳しくは、ステップS66において、制御部100は、ドロワ60に設けた機内温度センサSE1から応答があるか否かを判定し、応答がある場合に、ドロワ60が画像形成用位置に配置されたと判定する。
ステップS66においてドロワ60が画像形成用位置に配置されていないと判定した場合には(No)、制御部100は、ステップS63の処理に戻る。ステップS66においてドロワ60が画像形成用位置に配置されたと判定した場合には(Yes)、制御部100は、カバー開閉センサSE2からの信号に基づいて、カバー11が閉じられたか否かを判定する(S67)。
ステップS67においてカバー11が閉じられていないと判定した場合には(No)、制御部100は、ステップS63の処理に戻る。ステップS67においてカバー11が閉じられたと判定した場合には(Yes)、制御部100は、巻付フラグFが0であるか否かを判定する(S68)。
ステップS68においてF=0であると判定した場合には(Yes)、制御部100は、各シートセンサSE3,SE4がOFFであるか否かを判定することで、第1シートセンサSE3または第2シートセンサSE4の揺動部材を倒した状態に保持しているシートPが取り除かれたか否かを判定する(S69)。なお、ステップS69の処理は、第1ジャムエラーまたは第3ジャムエラーの発生時に特に有効であるが、第2ジャムエラーまたは巻き付きエラー発生時においても、各エラーの原因となっているシートP以外のシートPが揺動部材を倒した状態で止まっている場合もあるので有効である。
ステップS69において各シートセンサSE3,SE4がOFFであると判定した場合には(Yes)、制御部100は、ジャムエラーを解除して(S70)、本処理を終了する。ステップS68,S69においてNoと判定した場合には、制御部100は、ジャムエラーを解除せずに、本処理を終了する。
次に、制御部100の動作の一例について詳細に説明する。
図7(a)に示すように、印刷中に、第1定着部材81にシートPが巻き付くと、第1定着部材81に巻き付いたシートPの先端は、第1定着部材81の回転に伴って温度センサSE5に近づいていく。シートPの先端が温度センサSE5と第1定着部材81の間に入ると、図8の時刻t2に示すように、検知温度が急激に低下する。このように検知温度が急激に低下すると、制御部100は、図10に示すジャムエラー判定処理において、巻き付きジャムエラーが発生したと判定する(S37:Yes→S38)。
このように巻き付きジャムエラーの発生を判定すると、制御部100は、図9のステップS4においてYesと判定し、第1定着部材81の回転の停止、ヒータ110の停止およびクラッチCLの切断を行って印刷を中止する(S5)。このように第1定着部材81の回転を停止することで、シートPの折れ曲がりが酷くなることが抑制され、シートPの先端の位置を温度センサSE5付近の位置に留めることができる。
また、ヒータ110を停止することで、シートPを無駄に加熱することが抑制される。さらに、クラッチCLの切断を行うことで、モータMを回すときに負荷となる現像剤像形成部がモータMから切り離される。
ステップS5の後、ニップ状態が例えば強ニップ状態である場合には、制御部100は、ニップ状態を、強ニップ状態から弱ニップ状態に切り替える(S6:Yes→S7)。これにより、第1定着部材81と第2定着部材82の間のニップ圧が低下するので、ユーザが第1定着部材81と第2定着部材82の間からシートPを引き出すやすくなる。
巻き付きジャムエラーが発生して、印刷が中止された場合、ユーザは、本体筐体10内で詰まったシートPを取り出すべく、カバー11を開けて、ドロワ60を本体筐体10の外に引き出す。これにより、制御部100は、図11のエラー解除処理におけるステップS61,S62のそれぞれでYesと判定する。
ユーザが本体筐体10の開口10Aから手を入れて、図7(a)に示すように、定着装置80で詰まっているシートPを搬送方向とは逆方向に引き出していくと、シートPの先端が温度センサSE5と第1定着部材81から抜けることで、図8の時刻t3に示すように、温度センサSE5の検知温度が急激に低下する。このように検知温度が急激に低下すると、制御部100は、図11のエラー解除処理において、巻き付きが解消されたと判定して(S64:Yes)、巻付フラグFを0にする(S65)。
また、制御部100は、ステップS64において検知温度の条件が満たされない場合であっても、ホール素子M1からの信号に関する条件が満たされた場合には、巻き付きが解消されたと判定する。詳しくは、ユーザがシートPを引き出していくと、シートPに接触する第1定着部材81が回転し、第1定着部材81の回転に連動してモータMが回転する。シートPの先端がニップ部NPから抜けると、第1定着部材81は回転位相角θ1(=θ)以上回転し、モータMがθ1に対応した回転位相角θ2以上回転する。
モータMが回転している間、ホール素子M1は信号を制御部100に出力し続けるので、制御部100は、ホール素子M1から信号を受信している時間が規定時間以上になると、モータMが回転位相角θ2以上回転したと判定し、巻き付きが解消されたと判定する。定着装置80で詰まっているシートPをユーザが引き抜いた後、ユーザは、中止された印刷を再開すべく、ドロワ60を画像形成用位置に戻して、カバー11を閉じる。
これにより、制御部100は、図11のエラー解除処理におけるステップS66,S67のそれぞれでYesと判定する。その後、制御部100は、ステップS68でYesと判定した後、各シートセンサSE3,SE4がOFFになっているか否かを判定する(S69)。
ステップS69において、各シートセンサSE3,SE4の位置でシートPが詰まっていない場合には、制御部100は、Yesと判定して、巻き付きエラーを解除する(S70)。これにより、図9のステップS9でYesと判定され、印刷が再開される(S10)。
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
強ニップ状態での印刷中にジャムエラーが発生した場合には、強ニップ状態から弱ニップ状態に切り替わるので、第1定着部材81と第2定着部材82の間のシートPを容易に引き出すことができる。
強ニップ状態から弱ニップ状態に切り替える前に、先行して第1定着部材81の回転を停止するので、シートPの折れ曲がりが酷くなることによりシートPが引き出し難くなるのを抑制することができる。また、強ニップ状態から弱ニップ状態に切り替える前に、先行してヒータ110を停止するので、ジャムエラーの発生後にシートPが無駄に加熱されるのを抑制することができる。
第1シートセンサSE3で所定のシートPが検知されてから所定時間以内に第2シートセンサSE4で所定のシートPが検知されなかった場合に、ジャムエラーが発生したと判定するので、第1シートセンサSE3と第2シートセンサSE4の間でシートPが停止することによる第2ジャムエラーを、2つのシートセンサSE3,SE4によって良好に判定することができる。
ヒータ110の制御に用いられる温度センサSE5を利用して、第1定着部材81へのシートPの巻き付きを判定するので、例えば温度センサ以外の他のセンサを用いて巻き付きを判定するものと比べ、コストを低減することができる。また、シートPが温度センサSE5の位置に達したところで検知温度の低下を判定することができるので、シートPが第1定着部材81に多重に巻き付くことを抑制することができる。
第1定着部材81に巻き付いたシートPが取り除かれない限り巻き付きジャムエラーが解除されないので、第1定着部材81にシートPが巻き付いたまま印刷動作が開始されるのを抑えることができる。また、巻き付きが解消されたことを、検知温度の変化によって良好に判定することができる。
ホール素子M1からの信号に基づいて、駆動用の電流が供給されていない状態のモータMが回されたと判定したことを条件として、第1定着部材81に巻き付いたシートPが取り除かれたと判定するので、巻き付きが解消されたことを、モータMの回転によって良好に判定することができる。
弱ニップ状態では、第1ニップ形成部材N1の変形のみでニップ部NPが形成されるので、シートPを引き抜くのに必要な力が小さくて済み、シートPの引き抜きを容易に行うことができる。
第1ニップ形成部材N1と第2ニップ形成部材N2が搬送方向において離れているので、弱ニップ状態において、搬送方向のニップ幅を小さくでき、シートPを引き抜くときの抵抗を軽減することができる。
弱ニップ状態において、柔らかい方の第1ニップ形成部材N1でニップ部NPを形成するので、シートPを引き抜くときの抵抗を軽減することができる。
第1定着部材81と第2定着部材82の間に挟まったシートPをユーザが引き抜くと、第1定着部材81とモータMが外力によって回されるので、ホール素子M1がモータMの回転を検知する。また、第1定着部材81と第2定着部材82の間に挟まったシートPが引き抜かれない場合には、第1定着部材81とモータMが回転しないので、ホール素子M1がモータMの回転を検知しない。そのため、第1定着部材81にシートPが巻き付いた状態のままであると、ホール素子M1がモータMの回転を検知しないことから、制御部100が巻き付きジャムエラーを解除しないので、第1定着部材81にシートPが巻き付いた状態のまま印刷が開始されるのを抑えることができる。
モータMの駆動制御に用いるホール素子M1を利用して、巻き取りジャムエラー時におけるモータMの回転を検知するので、例えばモータの駆動制御に用いない別のセンサを利用するものに比べ、コストを低減することができる。
例えば巻き付きジャムエラー発生時に第1定着部材と第2定着部材との間に間隔を空ける方法に比べ、巻き付きジャムエラー発生時には弱ニップ状態、つまり第1定着部材81と第2定着部材82とを接触した状態とするので、シートPの引き抜きに伴って第1定着部材81を良好に回転させることができる。
第1定着部材81にシートPが巻き付いたときには、モータMから現像剤像形成部への駆動力を遮断することで、モータMを回すときに負荷となる現像剤像形成部がモータMから切り離されるので、第1定着部材81と第2定着部材82の間からシートPを引き抜くのに必要な力を低下させることができる。
モータMが回転位相角θ2以上回されたと判定した場合に巻き付きエラーを解除する構成とすることで、第1定着部材81に巻き付いたシートPの先端が温度センサSE5からニップ部NPに移動してニップ部NPから引き出された後に、巻き付きジャムエラーが解除されるので、第1定着部材81にシートPが巻き付いた状態のまま印刷が開始されるのをより抑えることができる。
カバー11が開けられた状態でモータMが回されたことを判定することで、第1定着部材81と第2定着部材82の間からシートが引き抜かれたか否かをより確実に判定することができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
前記実施形態では、回転検知部材としてホール素子M1を例示したが、本発明はこれに限定されず、回転検知部材は、例えば、モータの回転を検知するロータリエンコーダなどであってもよい。
前記実施形態では、温度センサSE5の検知温度に基づいて巻き付きを判定したが、本発明はこれに限定されず、例えば温度センサとは別のセンサによって巻き付きを判定してもよい。
前記実施形態では、温度センサSE5の検知温度と、ホール素子M1からの信号とに基づいて、巻き付きが解消されたかを判定したが、本発明はこれに限定されず、例えば、温度センサの検知温度のみに基づいて巻き付きが解除されたかを判定してもよいし、ホール素子からの信号のみに基づいて巻き付きが解除されたかを判定してもよい。
前記実施形態では、ニップ状態を、強ニップ状態、中ニップ状態、弱ニップ状態の3段階に切り替えるように構成したが、本発明はこれに限定されず、ニップ状態を、強ニップ状態と弱ニップ状態の2段階で切り替えるように構成してもよいし、強ニップ状態と弱ニップ状態を含む4段階以上で切り替えるように構成してもよい。
ジャムエラーの発生の判定は、前記実施形態に限定されない。例えば、シートをピックアップしてから第1シートセンサがONになるまでの時間などに基づいて、ジャムエラーの発生を判定してもよい。
前記実施形態では、クラッチCLによってモータMから現像剤像形成部への駆動力の伝達を遮断するように構成したが、本発明はこれに限定されず、例えば、振り子ギヤや遊星歯車機構などによってモータから現像剤像形成部への駆動力の伝達を遮断してもよい。
前記実施形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えばモノクロのプリンタ、複写機、複合機などに本発明を適用してもよい。
前記実施形態では、制御部100はシートPが封筒である場合に弱ニップ処理を実行するよう構成されていたが、シートPの種類によらず任意に強ニップ処理、中ニップ処理、弱ニップ処理を実行できるよう構成してもよい。また、シートの種類によらず特定の条件で強ニップ処理、中ニップ処理、弱ニップ処理を選択的に実行するよう構成してもよい。
前記実施形態では、第2定着部材82を第1定着部材81に対して移動させる構成としたが、本発明はこれに限定されず、第1定着部材を第2定着部材に対して移動させてもよい。
ヒータは、どのようなヒータであってもよく、例えばカーボンヒータなどとすることができる。また、ヒータの数は、複数であってもよい。
前記実施形態では、ニップ形成部材をパッドと固定板とで構成したが、本発明はこれに限定されず、ニップ形成部材は、例えばパッドのみで構成されていてもよい。
前記実施形態では、第2バネ330とカムフォロア350を設けたが、本発明はこれに限定されず、第2バネとカムフォロアはなくてもよい。つまり、カムでアーム本体を直接押圧する構成としてもよい。
前記実施形態では、第1バネを引張コイルバネとし、第2バネを圧縮コイルバネとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1バネを圧縮コイルバネとし、第2バネを引張コイルバネとしてもよい。
前記実施形態では、第1バネ320および第2バネ330の付勢力をアーム310を介して第2定着部材82に付与したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1バネおよび第2バネの付勢力が第2定着部材に直接付与されてもよい。
なお、第1バネおよび第2バネは、前述したコイルバネに限定されず、例えば、トーションバネ、板バネなどであってもよい。
ヒータで第1定着部材を加熱する方式としては、例えば、ヒータを第1定着部材の外部に配置し、第1定着部材の外周面を加熱する外部加熱方式や、IH(Induction Heating)方式でもよい。
前記実施形態では、回動可能なカム340によって第2定着部材82を移動させたが、本発明はこれに限定されず、例えば、直線移動可能な直動カムによって第2定着部材を移動させてもよいし、エアシリンダのロッドを進退させて第2定着部材を移動させてもよい。
前記実施形態では、第1パッドP1および第2パッドP2をゴムで構成したが、本発明はこれに限定されず、パッドは、例えば、加圧時においても弾性変形しない樹脂や金属などの硬質材料から構成されていてもよい。
前記実施形態では、現像剤像形成部として、感光ドラム、帯電器などを備える構成としたが、本発明はこれに限定されず、現像剤像形成部は、例えば、ベルト状の感光体、帯電ローラなどを備えていてもよい。
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。