本開示は、免疫細胞送達増強脂質を含み、免疫細胞送達増強脂質を含まない脂質ナノ粒子(LNP)と比較して免疫細胞への薬剤(複数可)の送達を向上させる脂質ベースの改良型組成物、具体的には免疫細胞送達LNPを提供する。様々な態様において、本開示は、免疫細胞送達増強脂質を含む改良型のLNP(免疫細胞または免疫細胞集団に送達するための薬剤(複数可)を含むLNPなど)、免疫細胞または免疫細胞集団への薬剤(例えば、核酸分子)の送達を増進するための方法、免疫細胞活性を調節することで恩恵が得られると想定される対象にそのようなLNPを送達する方法、及びそのような対象を治療する方法、を提供する。本開示は、LNPのある特定の脂質成分が、当該LNPに存在すると、LNPと免疫細胞との結合、及び免疫細胞への薬剤の送達を増進するという発見に少なくとも部分的には基づくものであり、こうした増進は、例えば、免疫細胞が核酸分子を発現することによって示される。本開示のLNPによって免疫細胞への送達増進が生じることは、免疫細胞におけるmRNAの発現増加を測定することによって実証されているが、送達される核酸分子に応じて、既存の発現をノックダウンする(すなわち、低減する)ことでも同じ手法を実証することができる。さらに、このモデル系ではmRNAを使用することで免疫細胞への送達増進が実証されているが、本開示の免疫細胞送達LNPを使用すれば今や他の薬剤も免疫細胞に送達できることを当業者なら認識するであろう。そのような薬剤は当該技術分野で知られており、一実施形態では、薬剤は、核酸分子を含むか、または核酸分子からなるものである。具体的には、ある特定の核酸分子は潜在的に治療に有用であることが知られており、症例によっては、そのような核酸分子によってコードされるタンパク質またはそうした核酸分子自体が現在治療に使用されている。本開示の免疫細胞増進LNPによって進展が得られることを踏まえると、治療を改善することが可能である。したがって、一実施形態では、薬剤が核酸分子であるとき、核酸分子の送達増進が得られることで、免疫細胞の活性化または活性を調節する(例えば、増加させるまたは低減する)ことができる。いくつかの態様では、薬剤は、mRNA、RNAi、dsRNA、siRNA、mir、アンタゴmir、アンチセンスRNA、リボザイム、CRISPR/Cas9、ssDNA、及びDNAからなる群から選択される核酸分子である。
特定の実施形態では、免疫細胞送達LNPは、免疫細胞送達増強脂質を含まないLNPと比較して免疫細胞(T細胞、B細胞、単球、及び樹状細胞など)への薬剤(例えば、核酸分子)の送達を増進する。一実施形態では、目的タンパク質をコードするmRNAが免疫細胞送達増強脂質を含む免疫細胞送達LNPによって送達されると、免疫細胞送達増強脂質を含まないLNPと比較して当該mRNAの発現が免疫細胞において増進することが実証されている。免疫細胞送達増進LNPと結合した薬剤(例えば、当該LNPにカプセル化された薬剤)は免疫細胞に送達されることが、in vitro及びin vivoで実証されており、この実証は、例えば、免疫細胞増進LNPに存在するmRNA分子によってコードされるタンパク質が発現することをもってなされている。
本明細書に示されるように、免疫細胞送達増進LNPを用いることで、免疫細胞におけるタンパク質の発現が少なくとも約2倍に増加することが示されている。免疫細胞への送達は、in vivoでも実証されている。予想外なことに、カプセル化されたmRNAは、本開示のLNPの単回静脈内注射後に、脾臓T細胞の少なくとも約15%、脾臓B細胞の少なくとも約25%、及び樹状細胞の少なくとも約40%にin vivoで送達されることが実証された。カプセル化されたmRNAが骨髄細胞の5%超に送達されることもin vitro及びin vivoで実証されている。免疫細胞送達増強脂質を含むLNPを使用して本明細書に示される送達レベルは、in vivoでの免疫療法を可能にするものである。本開示は、がん、感染性疾患、ワクチン接種、及び自己免疫疾患を含む、様々な臨床的状況において、免疫応答の上方制御及び下方制御を含めて、様々な免疫応答を調節するための方法を提供する。
本開示のLNPは、先行技術によるLNPと比較してT細胞への送達増進を生じさせ、それによって、養子移入のためのT細胞をex vivoで増殖させることに伴う問題が回避されるため、内在性のT細胞を標的とする上で特に有用である。LNPは、炎症部位(腫瘍など)に免疫細胞を輸送するタンパク質をコードする核酸分子(例えば、mRNA)を含み得る。したがって、本開示は、T細胞を修飾エフェクター細胞もしくは修飾ヘルパー細胞として利用するか、またはT細胞をがん細胞標的として利用し、それによって免疫応答を調節するための方法を提供する。別の実施形態では、本開示の免疫細胞増進LNPを使用してT細胞を改変することで、抑制されており、及び/または免疫抑制を媒介する細胞へと分化させることができる。LNPが核酸分子を効率的にT細胞集団に送達することが示されたことはこれまでになく、T細胞がLNPを効率的に取り込むことが示されたこともこれまでになかったことから、T細胞へのLNPの送達増進、具体的にはin vivoでの送達増進は、予想外のことであった。
いずれかの特定の機序または理論によって拘束されることは意図しないが、本開示のLNPによって免疫細胞への核酸分子の送達増進が生じる理由は、免疫細胞送達増強脂質(例えば、コレステロール類似体もしくはアミノ脂質またはそれらの組み合わせ)が有効量で存在することによるものであると考えられ、当該免疫細胞送達増強脂質は、LNPに存在すると、当該免疫細胞送達増強脂質を含まないLNPと比較して、細胞との結合及び/または細胞への取り込み、内部移行、細胞内輸送及び/または細胞内プロセシング、及び/またはエンドソーム脱出を増進することによって機能し得、及び/または免疫細胞による認識及び/または免疫細胞への結合を増進し得る。さらに、LNPが免疫細胞に取り込まれ/免疫細胞と結合するには血清が絶対的に必要であることがin vitroの実験において観測された。様々な血清成分を枯渇させてみたところ、免疫細胞によるLNPの取り込みには補体成分1q(C1q)が関与するものと決定付けられた。したがって、いずれかの特定の機序または理論によって拘束されることは意図しないが、一実施形態では、本開示の免疫細胞送達増強脂質は、C1qに結合するか、またはそのような脂質を含むLNPがC1qに結合することを促進する。したがって、免疫細胞に核酸分子を送達するために本開示のLNPをin vitroで使用する場合については、C1qを含む培養条件が使用される(例えば、血清を含む培地が使用されるか、または血清を含まない培地に外来性のC1qが添加される)。本開示のLNPがin vivoで使用される場合については、C1qに対する要件は、内在性のC1qによって満たされる。
標的化部分を利用することで免疫細胞へのLNPの標的化を達成しようとする試みが以前に行われている(例えば、Satsepin,T.,et al.,International Journal of Nanomedicine2016,Vol.11:3077−3086を参照のこと)。本明細書に記載のLNPは、そのような標的化部分を利用することなく免疫細胞への送達を増進する。そのような標的化部分を利用すると望ましくない作用(例えば、細胞表面受容体のアゴニズムまたはアンタゴニズム)が生じる可能性があるが、本開示のLNPは、カプセル化された核酸分子の送達を改善し、それによって、そのような標的化部分の必要性及びその望ましくない作用を回避する。したがって、いくつかの実施形態では、脂質ベースの組成物は、免疫細胞への標的化部分、すなわち当該組成物を免疫細胞へと指向化する部分を含まない。いくつかの実施形態では、脂質ベースの組成物は、免疫細胞マーカーに対する特異性を有する抗体を含まない。いくつかの実施形態では、脂質ベースの組成物は、免疫細胞へと当該組成物を標的化するリガンド(例えば、N−アセチルガラクトサミンまたはヒアルロナン)を含まない。一実施形態では、脂質ベースの組成物は、標的化部分(例えば、CAR)をコードするmRNAを含むが、当該LNPが単に当該標的化部分に起因して免疫細胞に結合することはない。むしろ、一実施形態では、本開示の免疫細胞送達増進LNPの場合、免疫細胞送達増強脂質がLNPに存在することによって、LNPと免疫細胞との結合、及び免疫細胞への薬剤の送達が、免疫細胞送達増強脂質を含まない対照LNPと比較して増進する。
薬剤(例えば、mRNAを含む核酸分子)を効率的に免疫細胞に送達する能力は、免疫細胞による免疫応答の調節に有用であり、こうした調節は、例えば、免疫応答(例えば、がん抗原または感染性疾患抗原に対するもの)を亢進させるか、あるいは免疫細胞における免疫抑制を低減すること(例えば、エフェクター機能を回復もしくは増進するためのもの、または疲弊T細胞(PD−1を発現するT細胞など)を強化するために免疫チェックポイント阻害を調節することによるもの)によって行われる。別の実施形態では、免疫細胞の活性化を低減するか、または免疫細胞を免疫寛容化する核酸分子を免疫細胞(例えば、骨髄系細胞、樹状細胞、T細胞、及び/またはB細胞)に送達することで、例えば、自己免疫を低減することができる。免疫応答は、局所的または全身的に調節することができる(こうした調節は、例えば、1つ以上の免疫細胞の活性または機能を改変することによって行われる)。さらに、LNPの送達先の細胞、あるいはそのような細胞と相互作用する細胞及び/またはそのような細胞によって影響を受ける細胞において細胞の活性及び/または機能を改変することができる(こうした改変は、例えば、オートクリン様式またはパラクリン様式で行われる)。
免疫細胞送達LNPは、例えば、天然起源の分子または操作された分子の発現を調節する核酸分子の送達に有用である。一実施形態では、可溶性/分泌タンパク質(例えば、天然起源の可溶性分子、あるいは機能/半減期/及び/または安定性の改善が促進されるように修飾または操作されている可溶性分子)の発現が調節される。別の実施形態では、細胞内タンパク質(例えば、天然起源の細胞内タンパク質、または機能が改変されている操作もしくは修飾された細胞内タンパク質)の発現が調節される。別の実施形態では、膜貫通型タンパク質(例えば、天然起源の可溶性分子、または機能が改変されている修飾もしくは操作された可溶性分子)の発現が調節される。
一実施形態では、核酸分子は、免疫細胞に天然に発現しないタンパク質(例えば、異種タンパク質または修飾タンパク質)をコードし得る。一実施形態では、核酸分子は、免疫細胞に天然に発現するタンパク質をコードまたはノックダウンし得る。
例えば、いくつかの態様では、本開示のLNPは、可溶性/分泌タンパク質、膜貫通型タンパク質、または細胞内タンパク質をコードするmRNAの送達増進及び免疫細胞における発現増進に有用である。膜貫通型タンパク質は、例えば、免疫細胞に新たな結合特異性を付与するものであり得る。細胞内分子は、例えば、細胞シグナル伝達または細胞運命を調節するものであり得る。例えば、発現され得るタンパク質の例としては、サイトカイン、ケモカイン、共刺激因子、T細胞受容体(TcR)、キメラ抗原受容体(CAR)、動員因子、転写因子、エフェクター分子、MHC分子、酵素、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
他の態様では、本開示のLNPは、細胞傷害性を腫瘍細胞へと再指向化するキメラ抗原受容体(CAR)をコードするmRNAを発現するように免疫エフェクター細胞を遺伝子操作する上で有用である。CARは、修飾された膜貫通型タンパク質であり、特定の標的リガンドまたは標的抗原に結合するリガンド特異的または抗原特異的な認識ドメインを含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、がん抗原に結合するCARをコードするmRNAをT細胞に送達して当該がん抗原に対する免疫応答を亢進させる上で有用である。例えば、CD33+急性骨髄性白血病(AML)細胞に対するT細胞応答を、抗CD33CARをコードするmRNAを含む本開示のLNPを投与することによって誘導または亢進させることができる。
本開示は、同じ薬剤(例えば、異なるLNPに含められる)または異なる薬剤を送達するために複数のLNPを併用するための方法も提供し、こうした薬剤は、例えば、核酸分子を免疫細胞または異なる細胞集団に送達するために、例えば同じLNPまたは異なるLNP(例えば、免疫細胞送達増進LNPであるもの、または免疫細胞送達増進LNPではないもの)に含められる核酸分子である。
免疫細胞送達LNP
免疫細胞送達LNPは、当該LNPを用いることで、対照LNP(例えば、免疫細胞送達増強脂質を含まないLNP)と比較して免疫細胞への薬剤の送達が増加するという点において特徴付けることができる。具体的には、一実施形態では、免疫細胞送達LNPを用いることで、対照LNPと比較してLNPが免疫細胞と結合するパーセントが増加する(例えば、2倍以上に増加する)か、または対照LNPと比較してLNPによって輸送される薬剤を発現する免疫細胞(例えば、LNPと結合/によってカプセル化されたmRNAによってコードされるタンパク質を発現する免疫細胞)のパーセントが増加する(例えば、2倍以上に増加する)。別の実施形態では、免疫細胞送達LNPを用いることで、対照LNP(例えば、免疫細胞送達増強脂質を含まないLNP)と比較してC1qへの結合が増加し、及び/またはC1qと結合したLNPが免疫細胞に取り込まれること(例えば、オプソニン化を介して生じる)が増加する。
別の実施形態では、免疫細胞送達LNPを用いることで、対照LNPと比較して免疫細胞への薬剤(例えば、核酸分子)の送達が増加する。一実施形態では、免疫細胞送達LNPを用いることで、対照LNPと比較してT細胞への核酸分子剤の送達が増加する。一実施形態では、免疫細胞送達LNPを用いることで、対照LNPと比較してB細胞への核酸分子剤の送達が増加する。一実施形態では、免疫細胞送達LNPを用いることで、対照LNPと比較してB細胞への核酸分子剤の送達が増加する。一実施形態では、免疫細胞送達LNPを用いることで、対照LNPと比較して骨髄系細胞への核酸分子剤の送達が増加する。
一実施形態では、核酸分子がmRNAであるとき、免疫細胞への核酸剤の送達の増加は、対照LNPと比較して免疫細胞(例えば、T細胞)においてmRNAによってコードされるタンパク質分子の発現をLNPが少なくとも約2倍超に高める能力によって測定することができる。
免疫細胞送達LNPは、(i)イオン化可能な脂質、(ii)ステロールまたは他の構造脂質、(iii)非カチオン性ヘルパー脂質またはリン脂質、(iv)PEG脂質、ならびに(v)LNPにカプセル化され、及び/またはLNPと結合した薬剤(例えば、核酸分子)を含み、免疫細胞送達LNPにおける(i)イオン化可能な脂質または(ii)構造脂質もしくはステロール、のうちの1つ以上は、有効量の免疫細胞送達増強脂質を含む。
別の実施形態では、本開示の免疫細胞送達脂質ナノ粒子は、
(i)イオン化可能な脂質、
(ii)ステロールまたは他の構造脂質、
(iii)非カチオン性ヘルパー脂質またはリン脂質、
(iv)免疫細胞に送達するための薬剤、及び
(v)任意選択のPEG脂質
を含み、
(i)イオン化可能な脂質または(ii)ステロールもしくは他の構造脂質、のうちの1つ以上は、免疫細胞への脂質ナノ粒子の送達を増進する上で有効な量で免疫細胞送達増強脂質を含む。一実施形態では、送達増進は、免疫細胞送達増強脂質を含まない脂質ナノ粒子と比較したときのものである。別の実施形態では、送達増進は、適切な対照と比較したときのものである。
別の実施形態では、本開示の免疫細胞送達脂質ナノ粒子は、
(i)イオン化可能な脂質、
(ii)ステロールまたは他の構造脂質、
(iii)非カチオン性ヘルパー脂質またはリン脂質、
(iv)免疫細胞に送達するための薬剤、及び
(v)任意選択のPEG脂質
を含み、
(i)イオン化可能な脂質、または(ii)ステロールもしくは他の構造脂質、または(iii)非カチオン性ヘルパー脂質もしくはリン脂質、または(v)PEG脂質、のうちの1つ以上は、C1qに結合するC1q結合脂質であるか、またはC1q結合脂質を含まない対照LNPと比較してC1qへのLNPの結合を促進する(例えば、増加させる、刺激する、増進する)C1q結合脂質である。
別の実施形態では、本開示の免疫細胞送達脂質ナノ粒子は、
(i)イオン化可能な脂質、
(ii)ステロールまたは他の構造脂質、
(iii)非カチオン性ヘルパー脂質またはリン脂質、
(iv)免疫細胞に送達するための薬剤、及び
(v)任意選択のPEG脂質
を含み、
(i)イオン化可能な脂質または(ii)ステロールもしくは他の構造脂質、のうちの1つ以上は、C1qに結合するか、または対照LNP(例えば、(i)イオン化可能な脂質または(ii)ステロールもしくは他の構造脂質を含まないLNP)と比較してC1qへのLNPの結合を促進する(例えば、増加させる、刺激する、増進する)。
別の態様では、本開示は、免疫細胞送達脂質をスクリーニングする方法を提供し、この方法は、被験免疫細胞送達脂質を含む被験LNPをC1qと接触させること、及びC1qへの結合を測定すること、を含み、被験免疫細胞送達脂質は、それがC1qに結合するか、またはそれを含むLNPがC1qに結合することを促進する(例えば、増加させる、刺激する、増進する)とき、免疫細胞送達脂質として選択される。
LNPの脂質含量
前述のように、脂質に関して、免疫細胞送達LNPは、(i)イオン化可能な脂質、(ii)ステロールまたは他の構造脂質、(iii)非カチオン性ヘルパー脂質またはリン脂質、(iv)PEG脂質を含み、免疫細胞送達LNPにおける(i)イオン化可能な脂質または(ii)構造脂質もしくはステロール、のうちの1つ以上は、有効量の免疫細胞送達増強脂質を含む。こうしたカテゴリーの脂質は、以下により詳細に示される。
(i)イオン化可能な脂質
本開示の脂質ナノ粒子は、イオン化可能な脂質を1つ以上含む。ある特定の実施形態では、本開示のイオン化可能な脂質は、中心アミン部分と、少なくとも1つの生分解性基と、を含む。本明細書に記載のイオン化可能な脂質は、哺乳動物の細胞または臓器に核酸分子を送達するための本開示の脂質ナノ粒子において有利に使用することができる。以下に示されるイオン化可能な脂質の構造は、当該イオン化可能な脂質を本発明の他の脂質と区別するために接頭辞Iを含む。
本発明の第1の態様では、本明細書に記載の化合物は、式(I I):
の化合物もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体であり、式中:
R
1は、C
5−30アルキル、C
5−20アルケニル、−R
*YR”、−YR”、及び−R”M’R’からなる群から選択され;
R
2及びR
3は、H、C
1−14アルキル、C
2−14アルケニル、−R
*YR”、−YR”、及び−R
*OR”からなる群から独立して選択されるか、またはR
2及びR
3は、それらが結合している原子と一緒になって複素環もしくは炭素環を形成し;
R
4は、水素、C
3−6炭素環、−(CH
2)
nQ、−(CH
2)
nCHQR、−(CH
2)
oC(R
10)
2(CH
2)
n−oQ、−CHQR、−CQ(R)
2、及び非置換のC
1−6アルキルからなる群から選択され、Qは、炭素環、複素環、−OR、−O(CH
2)
nN(R)
2、−C(O)OR、−OC(O)R、−CX
3、−CX
2H、−CXH
2、−CN、−N(R)
2、−C(O)N(R)
2、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)
2R、−N(R)C(O)N(R)
2、−N(R)C(S)N(R)
2、−N(R)R
8、−N(R)S(O)
2R
8、−O(CH
2)
nOR、−N(R)C(=NR
9)N(R)
2、−N(R)C(=CHR
9)N(R)
2、−OC(O)N(R)
2、−N(R)C(O)OR、−N(OR)C(O)R、−N(OR)S(O)
2R、−N(OR)C(O)OR、−N(OR)C(O)N(R)
2、−N(OR)C(S)N(R)
2、−N(OR)C(=NR
9)N(R)
2、−N(OR)C(=CHR
9)N(R)
2、−C(=NR
9)N(R)
2、−C(=NR
9)R、−C(O)N(R)OR、及び−C(R)N(R)
2C(O)ORから選択され、各々のoは、1、2、3、及び4から独立して選択され、各々のnは、1、2、3、4、及び5から独立して選択され;
各々のR
5は、OH、C
1−3アルキル、C
2−3アルケニル、及びHからなる群から独立して選択され;
各々のR
6は、OH、C
1−3アルキル、C
2−3アルケニル、及びHからなる群から独立して選択され;
M及びM’は、−C(O)O−、−OC(O)−、−OC(O)−M”−C(O)O−、−C(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)−、−C(O)−、−C(S)−、−C(S)S−、−SC(S)−、−CH(OH)−、−P(O)(OR’)O−、−S(O)
2−、−S−S−、アリール基、及びヘテロアリール基から独立して選択され、M”は結合、C
1−13アルキル、またはC
2−13アルケニルであり;
R
7は、C
1−3アルキル、C
2−3アルケニル、及びHからなる群から選択され;
R
8は、C
3−6炭素環及び複素環からなる群から選択され;
R
9は、H、CN、NO
2、C
1−6アルキル、−OR、−S(O)
2R、−S(O)
2N(R)
2、C
2−6アルケニル、C
3−6炭素環及び複素環からなる群から選択され;
R
10は、H、OH、C
1−3アルキル、及びC
2−3アルケニルからなる群から選択され;
各々のRは、C
1−3アルキル、C
2−3アルケニル、(CH
2)
qOR
*、及びHからなる群から独立して選択され、
各々のqは、1、2、及び3から独立して選択され;
各々のR’は、C
1−18アルキル、C
2−18アルケニル、−R
*YR”、−YR”、及びHからなる群から独立して選択され;
各々のR”は、C
3−15アルキル及びC
3−15アルケニルからなる群から独立して選択され;
各々のR
*は、C
1−12アルキル及びC
2−12アルケニルからなる群から独立して選択され;
各々のYは、独立してC
3−6炭素環であり;
各々のXは、F、Cl、Br、及びIからなる群から独立して選択され;ならびに、
mは、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択され;R
4が−(CH
2)
nQ、−(CH
2)
nCHQR、−CHQR、または−CQ(R)
2であるとき、(i)nが1、2、3、4、もしくは5であるときにQは、−N(R)
2でないか、または(ii)nが1もしくは2であるときにQは、5、6、もしくは7員のヘテロシクロアルキルではない。
別の態様では、本開示は、式(III):
の化合物もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体に関し、式中、
R
1は、C
5−30アルキル、C
5−20アルケニル、−R
*YR”、−YR”、及び−R”M’R’からなる群から選択され、
R
2及びR
3は、H、C
1−14アルキル、C
2−14アルケニル、−R
*YR”、−YR”、及び−R
*OR”からなる群から独立して選択されるか、またはR
2及びR
3は、それらが結合している原子と一緒になって複素環もしくは炭素環を形成し、
R
4は、水素、C
3−6炭素環、−(CH
2)
nQ、−(CH
2)
nCHQR、−(CH
2)
oC(R
10)
2(CH
2)
n−oQ、−CHQR、−CQ(R)
2、及び非置換のC
1−6アルキルからなる群から選択され、Qは、炭素環、複素環、−OR、−O(CH
2)
nN(R)
2、−C(O)OR、−OC(O)R、−CX
3、−CX
2H、−CXH
2、−CN、−N(R)
2、−C(O)N(R)
2、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)
2R、−N(R)C(O)N(R)
2、−N(R)C(S)N(R)
2、N(R)R
8、−N(R)S(O)
2R
8、−O(CH
2)
nOR、−N(R)C(=NR
9)N(R)
2、−N(R)C(=CHR
9)N(R)
2、−OC(O)N(R)
2、−N(R)C(O)OR、−N(OR)C(O)R、−N(OR)S(O)
2R、−N(OR)C(O)OR、−N(OR)C(O)N(R)
2、−N(OR)C(S)N(R)
2、−N(OR)C(=NR
9)N(R)
2、−N(OR)C(=CHR
9)N(R)
2、−C(=NR
9)N(R)
2、−C(=NR
9)R、−C(O)N(R)OR、及び−C(R)N(R)
2C(O)ORから選択され、それぞれのoは、1、2、3、及び4から独立して選択され、それぞれのnは、1、2、3、4、及び5から独立して選択され、
R
xは、C
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、−(CH
2)
vOH、及び−(CH
2)
vN(R)
2からなる群から選択され、
vは、1、2、3、4、5、及び6から選択され、
それぞれのR
5は、OH、C
1−3アルキル、C
2−3アルケニル、及びHからなる群から独立して選択され、
それぞれのR
6は、OH、C
1−3アルキル、C
2−3アルケニル、及びHからなる群から独立して選択され、
M及びM’は、−C(O)O−、−OC(O)−、−OC(O)−M”−C(O)O−、−C(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)−、−C(O)−、−C(S)−、−C(S)S−、−SC(S)−、−CH(OH)−、−P(O)(OR’)O−、−S(O)
2−、−S−S−、アリール基、及びヘテロアリール基から独立して選択され、M”は、結合、C
1−13アルキル、またはC
2−13アルケニルであり、
R
7は、C
1−3アルキル、C
2−3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
R
8は、C
3−6炭素環及び複素環からなる群から選択され、
R
9は、H、CN、NO
2、C
1−6アルキル、−OR、−S(O)
2R、−S(O)
2N(R)
2、C
2−6アルケニル、C
3−6炭素環、及び複素環からなる群から選択され、
R
10は、H、OH、C
1−3アルキル、及びC
2−3アルケニルからなる群から選択され;
それぞれのRは、C
1−3アルキル、C
2−3アルケニル、(CH
2)
qOR
*、及びHからなる群から独立して選択され、
それぞれのqは、1、2、及び3から独立して選択され、
それぞれのR’は、C
1−18アルキル、C
2−18アルケニル、−R
*YR”、−YR”、及びHからなる群から独立して選択され、
それぞれのR”は、C
3−15アルキル及びC
3−15アルケニルからなる群から独立して選択され、
それぞれのR
*は、C
1−12アルキル及びC
2−12アルケニルからなる群から独立して選択され、
それぞれのYは、独立してC
3−6炭素環であり、
それぞれのXは、F、Cl、Br、及びIからなる群から独立して選択され、
mは、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択される。
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物のサブセットには、式(IA):
の化合物もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体が含まれ、式中、lは、1、2、3、4、及び5から選択され;mは、5、6、7、8、及び9から選択され;M
1は結合またはM’であり;R
4は、水素、非置換のC
1−3アルキル、−(CH
2)
oC(R
10)
2(CH
2)
n−oQ、または−(CH
2)
nQであり、Qは、OH、−NHC(S)N(R)
2、−NHC(O)N(R)
2、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)
2R、−N(R)R
8、−NHC(=NR
9)N(R)
2、−NHC(=CHR
9)N(R)
2、−OC(O)N(R)
2、−N(R)C(O)OR、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルであり;M及びM’は、−C(O)O−、−OC(O)−、−OC(O)−M”−C(O)O−、−C(O)N(R’)−、−P(O)(OR’)O−、−S−S−、アリール基、及びヘテロアリール基から独立して選択され;ならびにR
2及びR
3は、H、C
1−14アルキル、及びC
2−14アルケニルからなる群から独立して選択される。例えば、mは、5、7、または9である。例えば、Qは、OH、−NHC(S)N(R)
2、または−NHC(O)N(R)
2である。例えば、Qは、−N(R)C(O)R、または−N(R)S(O)
2Rである。
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物のサブセットには、式(IB):
の化合物もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体が含まれ、全ての変数はここで定義されているものである。例えば、mは、5、6、7、8、及び9から選択され;M及びM’は、−C(O)O−、−OC(O)−、−OC(O)−M”−C(O)O−、−C(O)N(R’)−、−P(O)(OR’)O−、−S−S−、アリール基、及びヘテロアリール基から独立して選択され;ならびにR
2及びR
3は、H、C
1−14アルキル、及びC
2−14アルケニルからなる群から独立して選択される。例えば、mは、5、7、または9である。ある特定の実施形態では、式(I)の化合物のサブセットには、式(II):
の化合物もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体が含まれ、lは、1、2、3、4、及び5から選択され、M
1は、結合またはM’であり、R
4は、水素、非置換のC
1−3アルキル、−(CH
2)
oC(R
10)
2(CH
2)
n−oQ、または−(CH
2)
nQであり、nは、2、3、または4であり、Qは、OH、−NHC(S)N(R)
2、−NHC(O)N(R)
2、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)
2R、−N(R)R
8、−NHC(=NR
9)N(R)
2、−NHC(=CHR
9)N(R)
2、−OC(O)N(R)
2、−N(R)C(O)OR、ヘテロアリール、またはヘテロシクロアルキルであり、M及びM’は、−C(O)O−、−OC(O)−、−OC(O)−M”−C(O)O−、−C(O)N(R’)−、−P(O)(OR’)O−、−S−S−、アリール基、及びヘテロアリール基から独立して選択され、R
2及びR
3は、H、C
1−14アルキル、及びC
2−14アルケニルからなる群から独立して選択される。
本開示の別の態様は、式(I VI):
の化合物もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体に関し、式中、
R
1は、C
5−30アルキル、C
5−20アルケニル、−R
*YR”、−YR”、及び−R”M’R’からなる群から選択され、
R
2及びR
3は、H、C
1−14アルキル、C
2−14アルケニル、−R
*YR”、−YR”、及び−R
*OR”からなる群から独立して選択されるか、またはR
2及びR
3は、それらが結合している原子と一緒になって複素環もしくは炭素環を形成し、
それぞれのR
5は、OH、C
1−3アルキル、C
2−3アルケニル、及びHからなる群から独立して選択され、
それぞれのR
6は、OH、C
1−3アルキル、C
2−3アルケニル、及びHからなる群から独立して選択され、
M及びM’は、−C(O)O−、−OC(O)−、−OC(O)−M”−C(O)O−、−C(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)−、−C(O)−、−C(S)−、−C(S)S−、−SC(S)−、−CH(OH)−、−P(O)(OR’)O−、−S(O)
2−、−S−S−、アリール基、及びヘテロアリール基から独立して選択され、M”は、結合、C
1−13アルキル、またはC
2−13アルケニルであり、
R
7は、C
1−3アルキル、C
2−3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
それぞれのRは、H、C
1−3アルキル、及びC
2−3アルケニルからなる群から独立して選択され、
R
Nは、HまたはC
1−3アルキルであり、
それぞれのR’は、C
1−18アルキル、C
2−18アルケニル、−R
*YR”、−YR”、及びHからなる群から独立して選択され、
それぞれのR”は、C
3−15アルキル及びC
3−15アルケニルからなる群から独立して選択され、
それぞれのR
*は、C
1−12アルキル及びC
2−12アルケニルからなる群から独立して選択され、
それぞれのYは、独立してC
3−6炭素環であり、
それぞれのXは、F、Cl、Br、及びIからなる群から独立して選択され、
X
a及びX
bはそれぞれ、独立してOまたはSであり、
R
10は、H、ハロ、−OH、R、−N(R)
2、−CN、−N
3、−C(O)OH、−C(O)OR、−OC(O)R、−OR、−SR、−S(O)R、−S(O)OR、−S(O)
2OR、−NO
2、−S(O)
2N(R)
2、−N(R)S(O)
2R、−NH(CH
2)
t1N(R)
2、−NH(CH
2)
p1O(CH
2)
q1N(R)
2、−NH(CH
2)
s1OR、−N((CH
2)
s1OR)
2、炭素環、複素環、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択され、
mは、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択され、
nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10から選択され、
rは、0または1であり、
t
1は、1、2、3、4、及び5から選択され、
p
1は、1、2、3、4、及び5から選択され、
q
1は、1、2、3、4、及び5から選択され、
s
1は、1、2、3、4、及び5から選択される。
一実施形態では、式(VI)の化合物のサブセットには、式(VI−a):
の化合物もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体が含まれ、式中、
R
1a及びR
1bは、C
1−14アルキル及びC
2−14アルケニルからなる群から独立して選択され、
R
2及びR
3は、C
1−14アルキル、C
2−14アルケニル、−R
*YR”、−YR”、及び−R
*OR”からなる群から独立して選択されるか、またはR
2及びR
3は、それらが結合している原子と一緒になって複素環もしくは炭素環を形成する。
別の実施形態では、式(VI)の化合物のサブセットには、式(VII):
の化合物もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体が含まれ、式中、
lは、1、2、3、4、及び5から選択され、
M
1は、結合またはM’であり、
R
2及びR
3は、H、C
1−14アルキル、及びC
2−14アルケニルからなる群から独立して選択される。
別の実施形態では、式(I VI)の化合物のサブセットには、式(I VIII):
の化合物もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体が含まれ、式中、
lは、1、2、3、4、及び5から選択され、
M
1は、結合またはM’であり、
R
a’及びR
b’は、C
1−14アルキル及びC
2−14アルケニルからなる群から独立して選択され、
R
2及びR
3は、C
1−14アルキル及びC
2−14アルケニルからなる群から独立して選択される。
式(I I)、式(I IA)、式(I VI)、式(I VI−a)、式(I VII)、または式(I VIII)のいずれか1つの化合物は、適用可能な場合、下記の特徴を1つ以上含む。
いくつかの実施形態では、M1は、M’である。
いくつかの実施形態では、M及びM’は、独立して、−C(O)O−または−OC(O)−である。
いくつかの実施形態では、M及びM’のうちの少なくとも1つは、−C(O)O−または−OC(O)−である。
ある特定の実施形態では、M及びM’のうちの少なくとも1つは、−OC(O)−である。
ある特定の実施形態では、Mは、−OC(O)−であり、M’は、−C(O)O−である。いくつかの実施形態では、Mは、−C(O)O−であり、M’は、−OC(O)−である。ある特定の実施形態では、M及びM’はそれぞれ、−OC(O)−である。いくつかの実施形態では、M及びM’はそれぞれ、−C(O)O−である。
ある特定の実施形態では、M及びM’のうちの少なくとも1つは、−OC(O)−M”−C(O)O−である。
いくつかの実施形態では、M及びM’は、独立して−S−S−である。
いくつかの実施形態では、M及びM’のうちの少なくとも1つは、−S−Sである。
いくつかの実施形態では、M及びM’の一方は、−C(O)O−または−OC(O)−であり、もう一方は、−S−S−である。例えば、Mは、−C(O)O−もしくは−OC(O)−であり、M’は、−S−S−であるか、またはM’は、−C(O)O−もしくは−OC(O)−であり、Mは、−S−S−である。
いくつかの実施形態では、M及びM’のうちの1つは、−OC(O)−M”−C(O)O−であり、M”は、結合、C1−13アルキル、またはC2−13アルケニルである。他の実施形態では、M”は、C1−6アルキルまたはC2−6アルケニルである。ある特定の実施形態では、M”は、C1−4アルキルまたはC2−4アルケニルである。例えば、いくつかの実施形態では、M”は、C1アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、M”は、C2アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、M”は、C3アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、M”は、C4アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、M”は、C2アルケニルである。例えば、いくつかの実施形態では、M”は、C3アルケニルである。例えば、いくつかの実施形態では、M”は、C4アルケニルである。
いくつかの実施形態では、lは、1、3、または5である。
いくつかの実施形態では、R4は、水素である。
いくつかの実施形態では、R4は、水素ではない。
いくつかの実施形態では、R4は、非置換メチルまたは−(CH2)nQであり、Qは、OH、−NHC(S)N(R)2、−NHC(O)N(R)2、−N(R)C(O)R、または−N(R)S(O)2Rである。
いくつかの実施形態では、Qは、OHである。
いくつかの実施形態では、Qは、−NHC(S)N(R)2である。
いくつかの実施形態では、Qは、−NHC(O)N(R)2である。
いくつかの実施形態では、Qは、−N(R)C(O)Rである。
いくつかの実施形態では、Qは、−N(R)S(O)2Rである。
いくつかの実施形態では、Qは、−O(CH2)nN(R)2である。
いくつかの実施形態では、Qは、−O(CH2)nORである。
いくつかの実施形態では、Qは、−N(R)R8である。
いくつかの実施形態では、Qは、−NHC(=NR9)N(R)2である。
いくつかの実施形態では、Qは、−NHC(=CHR9)N(R)2である。
いくつかの実施形態では、Qは、−OC(O)N(R)2である。
いくつかの実施形態では、Qは、−N(R)C(O)ORである。
いくつかの実施形態では、nは、2である。
いくつかの実施形態では、nは、3である。
いくつかの実施形態では、nは、4である。
いくつかの実施形態では、M1は、存在しない。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのR5は、ヒドロキシルである。例えば、1つのR5は、ヒドロキシルである。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのR6は、ヒドロキシルである。例えば、1つのR6は、ヒドロキシルである。
いくつかの実施形態では、R5及びR6のうちの1つは、ヒドロキシルである。例えば、1つのR5は、ヒドロキシルであり、それぞれのR6は、水素である。例えば、1つのR6は、ヒドロキシルであり、それぞれのR5は、水素である。
いくつかの実施形態では、Rxは、C1−6アルキルである。いくつかの実施形態では、Rxは、C1−3アルキルである。例えば、Rxは、メチルである。例えば、Rxは、エチルである。例えば、Rxは、プロピルである。
いくつかの実施形態では、Rxは、−(CH2)vOHであり、vは、1、2、または3である。例えば、Rxは、メタノイルである。例えば、Rxは、エタノイルである。例えば、Rxは、プロパノイルである。
いくつかの実施形態では、Rxは、−(CH2)vN(R)2であり、vは、1、2、または3であり、それぞれのRは、Hまたはメチルである。例えば、Rxは、メタンアミノ、メチルメタンアミノ、またはジメチルメタンアミノである。例えば、Rxは、アミノメタニル、メチルアミノメタニル、またはジメチルアミノメタニルである。例えば、Rxは、アミノエタニル、メチルアミノエタニル、またはジメチルアミノエタニルである。例えば、Rxは、アミノプロパニル、メチルアミノプロパニル、またはジメチルアミノプロパニルである。
いくつかの実施形態では、R’は、C1−18アルキル、C2−18アルケニル、−R*YR”、または−YR”である。
いくつかの実施形態では、R2及びR3は、独立して、C3−14アルキルまたはC3−14アルケニルである。
いくつかの実施形態では、R1bは、C1−14アルキルである。いくつかの実施形態では、R1bは、C2−14アルキルである。いくつかの実施形態では、R1bは、C3−14アルキルである。いくつかの実施形態では、R1bは、C1−8アルキルである。いくつかの実施形態では、R1bは、C1−5アルキルである。いくつかの実施形態では、R1bは、C1−3アルキルである。いくつかの実施形態では、R1bは、C1アルキル、C2アルキル、C3アルキル、C4アルキル、及びC5アルキルから選択される。例えば、いくつかの実施形態では、R1bは、C1アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、R1bは、C2アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、R1bは、C3アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、R1bは、C4アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、R1bは、C5アルキルである。
いくつかの実施形態では、R1は、−(CHR5R6)m−M−CR2R3R7とは異なる。
いくつかの実施形態では、−CHR1aR1b−は、−(CHR5R6)m−M−CR2R3R7とは異なる。
いくつかの実施形態では、R7は、Hである。いくつかの実施形態では、R7は、C1−3アルキルから選択される。例えば、いくつかの実施形態では、R7は、C1アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、R7は、C2アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、R7は、C3アルキルである。いくつかの実施形態では、R7は、C4アルキル、C4アルケニル、C5アルキル、C5アルケニル、C6アルキル、C6アルケニル、C7アルキル、C7アルケニル、C9アルキル、C9アルケニル、C11アルキル、C11アルケニル、C17アルキル、C17アルケニル、C18アルキル、及びC18アルケニルから選択される。
いくつかの実施形態では、Rb’は、C1−14アルキルである。いくつかの実施形態では、Rb’は、C2−14アルキルである。いくつかの実施形態では、Rb’は、C3−14アルキルである。いくつかの実施形態では、Rb’は、C1−8アルキルである。いくつかの実施形態では、Rb’は、C1−5アルキルである。いくつかの実施形態では、Rb’は、C1−3アルキルである。いくつかの実施形態では、Rb’は、C1アルキル、C2アルキル、C3アルキル、C4アルキル、及びC5アルキルから選択される。例えば、いくつかの実施形態では、Rb’は、C1アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、Rb’は、C2アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、Rb’は、C3アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、Rb’は、C4アルキルである。
一実施形態では、式(I)の化合物は、式(IIa):
の化合物もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体であり、式中、R
4は、本明細書に記載のものである。
別の実施形態では、式(I)の化合物は、式(IIb):
の化合物もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体であり、式中、R
4は、本明細書に記載のものである。
別の実施形態では、式(I)の化合物は、式(IIc)もしくは式(IIe):
(I IIc)、もしくは
(I IIe)
の化合物またはそのN−オキシド、あるいはその塩または異性体であり、式中、R
4は、本明細書に記載のものである。
別の実施形態では、式(I I)の化合物は、式(I IIf):
の化合物もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体であり、
式中、Mは、−C(O)O−または−OC(O)−であり、M”は、C
1−6アルキルまたはC
2−6アルケニルであり、R
2及びR
3は、C
5−14アルキル及びC
5−14アルケニルからなる群から独立して選択され、nは、2、3、及び4から選択される。
さらなる実施形態では、式(I I)の化合物は、式(IId):
の化合物もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体であり、式中、nは、2、3、または4であり、m、R’、R”、及びR
2〜R
6は、本明細書に記載のものである。例えば、R
2及びR
3はそれぞれ、C
5−14アルキル及びC
5−14アルケニルからなる群から独立して選択され得る。
さらなる実施形態では、式(I)の化合物は、式(IIg):
の化合物もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体であり、式中、lは、1、2、3、4、及び5から選択され、mは、5、6、7、8、及び9から選択され、M
1は、結合またはM’であり、M及びM’は、−C(O)O−、−OC(O)−、−OC(O)−M”−C(O)O−、−C(O)N(R’)−、−P(O)(OR’)O−、−S−S−、アリール基、及びヘテロアリール基から独立して選択され、R
2及びR
3は、H、C
1−14アルキル、及びC
2−14アルケニルからなる群から独立して選択される。例えば、M”は、C
1−6アルキル(例えば、C
1−4アルキル)またはC
2−6アルケニル(例えばC
2−4アルケニル)である。例えば、R
2及びR
3は、C
5−14アルキル及びC
5−14アルケニルからなる群から独立して選択される。
別の実施形態では、式(I VI)の化合物のサブセットには、式(I VIIa):
の化合物もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体が含まれる。
別の実施形態では、式(I VI)の化合物のサブセットには、式(I VIIIa):
の化合物もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体が含まれる。
別の実施形態では、式(I VI)の化合物のサブセットには、式(I VIIIb):
の化合物もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体が含まれる。
別の実施形態では、式(I VI)の化合物のサブセットには、式(I VIIb−1):
の化合物もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体が含まれる。
別の実施形態では、式(I VI)の化合物のサブセットには、式(I VIIb−2):
の化合物もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体が含まれる。
別の実施形態では、式(I VI)の化合物のサブセットには、式(I VIIb−3):
の化合物もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体が含まれる。別の実施形態では、式(VI)の化合物のサブセットには、式(VIIc):
の化合物が含まれる。
別の実施形態では、式(I VI)の化合物のサブセットには、式(VIId):
の化合物もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体が含まれる。
別の実施形態では、式(I VI)の化合物のサブセットには、式(I VIIIc):
の化合物が含まれる。
別の実施形態では、式I VI)の化合物のサブセットには、式(I VIIId):
の化合物もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体が含まれる。
式(I I)、式(I IA)、式(I IB)、式(I II)、式(I IIa)、式(I IIb)、式(I IIc)、式(I IId)、式(I IIe)、式(I IIf)、式(I IIg)、式I(III)、式(I VI)、式(I VI−a)、式(I VII)、式(I VIII)、式(I VIIa)、式(I VIIIa)、式(I VIIIb)、式(I VIIb−1)、式(I VIIb−2)、式(I VIIb−3)、式(I VIIc)、式(I VIId)、式(I VIIIc)、または式(I VIIId)のいずれか1つの化合物は、適用可能な場合、下記の特徴を1つ以上含む。
いくつかの実施形態では、R4は、C3−6炭素環、−(CH2)nQ、−(CH2)nCHQR、−(CH2)oC(R10)2(CH2)n−oQ、−CHQR、及び−CQ(R)2からなる群から選択され、Qは、C3−6炭素環、N、O、S、及びPから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5〜14員の芳香族複素環または非芳香族複素環、−OR、−O(CH2)nN(R)2、−C(O)OR、−OC(O)R、−CX3、−CX2H、−CXH2、−CN、−N(R)2、−N(R)S(O)2R8、−C(O)N(R)2、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)2R、−N(R)C(O)N(R)2、−N(R)C(S)N(R)2、ならびに−C(R)N(R)2C(O)ORから選択され、それぞれのoは、1、2、3、及び4から独立して選択され、それぞれのnは、1、2、3、4、及び5から独立して選択される。
別の実施形態では、R4は、C3−6炭素環、−(CH2)nQ、−(CH2)nCHQR、−(CH2)oC(R10)2(CH2)n−oQ、−CHQR、及び−CQ(R)2からなる群から選択され、Qは、C3−6炭素環、N、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5〜14員のヘテロアリール、−OR、−O(CH2)nN(R)2、−C(O)OR、−OC(O)R、−CX3、−CX2H、−CXH2、−CN、−C(O)N(R)2、−N(R)S(O)2R8、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)2R、−N(R)C(O)N(R)2、−N(R)C(S)N(R)2、−C(R)N(R)2C(O)OR、ならびにN、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5〜14員のヘテロシクロアルキルであって、オキソ(=O)、OH、アミノ、及びC1−3アルキルから選択される1つ以上の置換基で置換された当該5〜14員のヘテロシクロアルキル、から選択され、それぞれのoは、1、2、3、及び4から独立して選択され、それぞれのnは、1、2、3、4、及び5から独立して選択される。
別の実施形態では、R4は、C3−6炭素環、−(CH2)nQ、−(CH2)nCHQR、−(CH2)oC(R10)2(CH2)n−oQ、−CHQR、及び−CQ(R)2からなる群から選択され、Qは、C3−6炭素環、N、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5〜14員の複素環、−OR、−O(CH2)nN(R)2、−C(O)OR、−OC(O)R、−CX3、−CX2H、−CXH2、−CN、−C(O)N(R)2、−N(R)S(O)2R8、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)2R、−N(R)C(O)N(R)2、−N(R)C(S)N(R)2、−C(R)N(R)2C(O)ORから選択され、それぞれのoは、1、2、3、及び4から独立して選択され、それぞれのnは、1、2、3、4、及び5から独立して選択され、Qが5〜14員の複素環であり、かつ(i)R4が−(CH2)nQ(nは、1もしくは2である)であるか、または(ii)R4が−(CH2)nCHQR(nは、1である)であるか、または(iii)R4が−CHQRであるとき、これらの場合に加えて、Qが5〜14員の複素環であり、かつR4が−CQ(R)2であるとき、Qは、5〜14員のヘテロアリールまたは8〜14員のヘテロシクロアルキルのいずれかである。
別の実施形態では、R4は、C3−6炭素環、−(CH2)nQ、−(CH2)nCHQR、−(CH2)oC(R10)2(CH2)n−oQ、−CHQR、及び−CQ(R)2からなる群から選択され、Qは、C3−6炭素環、N、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5〜14員のヘテロアリール、−OR、−O(CH2)nN(R)2、−C(O)OR、−OC(O)R、−CX3、−CX2H、−CXH2、−CN、−C(O)N(R)2、−N(R)S(O)2R8、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)2R、−N(R)C(O)N(R)2、−N(R)C(S)N(R)2、−C(R)N(R)2C(O)ORから選択され、それぞれのoは、1、2、3、及び4から独立して選択され、それぞれのnは、1、2、3、4、及び5から独立して選択される。
別の実施形態では、R4は、−(CH2)nQであり、Qは、−N(R)S(O)2R8であり、nは、1、2、3、4、及び5から選択される。さらなる実施形態では、R4は、−(CH2)nQであり、Qは、−N(R)S(O)2R8であり、R8は、C3−6炭素環(C3−6シクロアルキルなど)であり、nは、1、2、3、4、及び5から選択される。例えば、R4は、−(CH2)3NHS(O)2R8であり、R8は、シクロプロピルである。
別の実施形態では、R4は、−(CH2)oC(R10)2(CH2)n−oQであり、Qは、−N(R)C(O)Rであり、nは、1、2、3、4、及び5から選択され、oは、1、2、3、及び4から選択される。さらなる実施形態では、R4は、−(CH2)oC(R10)2(CH2)n−oQであり、Qは、−N(R)C(O)R(Rは、C1−C3アルキルである)であり、nは、1、2、3、4、及び5から選択され、oは、1、2、3、及び4から選択される。別の実施形態では、R4は、−(CH2)oC(R10)2(CH2)n−oQであり、Qは、−N(R)C(O)R(Rは、C1−C3アルキルである)であり、nは、3であり、oは、1である。いくつかの実施形態では、R10は、H、OH、C1−3アルキル、またはC2−3アルケニルである。例えば、R4は、3−アセトアミド−2,2−ジメチルプロピルである。
いくつかの実施形態では、1つのR10は、Hであり、1つのR10は、C1−3アルキルまたはC2−3アルケニルである。別の実施形態では、それぞれのR10は、C1−3アルキルまたはC2−3アルケニルである。別の実施形態では、それぞれのR10は、C1−3アルキル(例えばメチル、エチル、またはプロピル)である。例えば、1つのR10は、メチルであり、1つのR10は、エチルまたはプロピルである。例えば、1つのR10は、エチルであり、1つのR10は、メチルまたはプロピルである。例えば、1つのR10は、プロピルであり、1つのR10は、メチルまたはエチルである。例えば、それぞれのR10は、メチルである。例えば、それぞれのR10は、エチルである。例えば、それぞれのR10は、プロピルである。
いくつかの実施形態では、1つのR10は、Hであり、1つのR10は、OHである。別の実施形態では、それぞれのR10は、OHである。
別の実施形態では、R4は、非置換のC1−4アルキル(例えば、非置換メチル)である。
別の実施形態では、R4は、水素である。
ある特定の実施形態では、本開示は、式(I)を有する化合物を提供し、式中、R4は、−(CH2)nQまたは−(CH2)nCHQRであり、Qは、−N(R)2であり、nは、3、4、及び5から選択される。
ある特定の実施形態では、本開示は、式(I)を有する化合物を提供し、式中、R4は、−(CH2)nQ、−(CH2)nCHQR、−CHQR、及び−CQ(R)2からなる群から選択され、Qは、−N(R)2であり、nは、1、2、3、4、及び5から選択される。
ある特定の実施形態では、本開示は、式(I)を有する化合物を提供し、式中、R2及びR3は、C2−14アルキル、C2−14アルケニル、−R*YR”、−YR”、及び−R*OR”からなる群から独立して選択されるか、またはR2及びR3は、それらが結合している原子と一緒になって複素環もしくは炭素環を形成し、R4は、−(CH2)nQまたは−(CH2)nCHQRであり、Qは、−N(R)2であり、nは、3、4、及び5から選択される。
ある特定の実施形態では、R2及びR3は、C2−14アルキル、C2−14アルケニル、−R*YR”、−YR”、及び−R*OR”からなる群から独立して選択されるか、またはR2及びR3は、それらが結合している原子と一緒になって複素環もしくは炭素環を形成する。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、C2−14アルキル及びC2−14アルケニルからなる群から独立して選択される。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、−R*YR”、−YR”、及び−R*OR”からなる群から独立して選択される。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、それらが結合している原子と一緒になって複素環または炭素環を形成する。
いくつかの実施形態では、R1は、C5−20アルキル及びC5−20アルケニルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R1は、ヒドロキシルで置換されたC5−20アルキルである。
他の実施形態では、R1は、−R*YR”、−YR”、及び−R”M’R’からなる群から選択される。
ある特定の実施形態では、R1は、−R*YR”及び−YR”から選択される。いくつかの実施形態では、Yは、シクロプロピル基である。いくつかの実施形態では、R*は、C8アルキルまたはC8アルケニルである。ある特定の実施形態では、R”は、C3−12アルキルである。例えば、R”は、C3アルキルであり得る。例えば、R”は、C4−8アルキル(例えば、C4アルキル、C5アルキル、C6アルキル、C7アルキル、またはC8アルキル)であり得る。
いくつかの実施形態では、Rは、(CH2)qOR*であり、qは、1、2、及び3から選択され、R*は、アミノ、C1−C6アルキルアミノ、及びC1−C6ジアルキルアミノからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されたC1−12アルキルである。例えば、Rは、(CH2)qOR*であり、qは、1、2、及び3から選択され、R*は、C1−C6ジアルキルアミノで置換されたC1−12アルキルである。例えば、Rは、(CH2)qOR*であり、qは、1、2、及び3から選択され、R*は、C1−C6ジアルキルアミノで置換されたC1−3アルキルである。例えば、Rは、(CH2)qOR*であり、qは、1、2、及び3から選択され、R*は、ジメチルアミノで置換されたC1−3アルキル(例えば、ジメチルアミノエタニル)である。
いくつかの実施形態では、R1は、C5−20アルキルである。いくつかの実施形態では、R1は、C6アルキルである。いくつかの実施形態では、R1は、C8アルキルである。他の実施形態では、R1は、C9アルキルである。ある特定の実施形態では、R1は、C14アルキルである。他の実施形態では、R1は、C18アルキルである。
いくつかの実施形態では、R
1は、C
21−30アルキルである。いくつかの実施形態では、R
1は、C
26アルキルである。いくつかの実施形態では、R
1は、C
28アルキルである。ある特定の実施形態では、R
1は、
である。
いくつかの実施形態では、R1は、C5−20アルケニルである。ある特定の実施形態では、R1は、C18アルケニルである。いくつかの実施形態では、R1は、リノレイルである。
ある特定の実施形態では、R
1は、分岐鎖である(例えば、デカン−2−イル、ウンデカン−3−イル、ドデカン−4−イル、トリデカン−5−イル、テトラデカン−6−イル、2−メチルウンデカン−3−イル、2−メチルデカン−2−イル、3−メチルウンデカン−3−イル、4−メチルドデカン−4−イル、またはヘプタデカ−9−イル)。ある特定の実施形態では、R
1は、
である。
ある特定の実施形態では、R
1は、非置換のC
5−20アルキルまたはC
5−20アルケニルである。ある特定の実施形態では、R’は、置換されたC
5−20アルキルまたはC
5−20アルケニル(例えば、C
3−6炭素環で置換されたもの(1−シクロプロピルノニルなど)、またはOHもしくはアルコキシで置換されたもの)である。例えば、R
1は、
である。
他の実施形態では、R
1は、−R”M’R’である。ある特定の実施形態では、M’は、−OC(O)−M”−C(O)O−である。例えば、R
1は、
であり、式中、x
1は、1〜13の整数(例えば、3、4、5、及び6から選択される整数)であり、x
2は、1〜13の整数(例えば、1、2、及び3から選択される整数)であり、x
3は、2〜14の整数(例えば、4、5、及び6から選択される整数)である。例えば、x
1は、3、4、5、及び6から選択され、x
2は、1、2、及び3から選択され、x
3は、4、5、及び6から選択される。
他の実施形態では、R1は、−(CHR5R6)m−M−CR2R3R7とは異なる。
いくつかの実施形態では、R’は、−R*YR”及び−YR”から選択される。いくつかの実施形態では、Yは、C3−8シクロアルキルである。いくつかの実施形態では、Yは、C6−10アリールである。いくつかの実施形態では、Yは、シクロプロピル基である。いくつかの実施形態では、Yは、シクロヘキシル基である。ある特定の実施形態では、R*は、C1アルキルである。
いくつかの実施形態では、R”は、C3−12アルキル及びC3−12アルケニルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R”は、C8アルキルである。いくつかの実施形態では、Yに隣接するR”は、C1アルキルである。いくつかの実施形態では、Yに隣接するR”は、C4−9アルキル(例えば、C4アルキル、C5アルキル、C6アルキル、C7アルキル、もしくはC8アルキル、またはC9アルキル)である。
いくつかの実施形態では、R”は、置換されたC
3−12(例えば、置換されたC
3−12アルキル(例えば、ヒドロキシルで置換されたC
3−12アルキル))である。例えば、R”は、
である。
いくつかの実施形態では、R’は、C4アルキル及びC4アルケニルから選択される。ある特定の実施形態では、R’は、C5アルキル及びC5アルケニルから選択される。いくつかの実施形態では、R’は、C6アルキル及びC6アルケニルから選択される。いくつかの実施形態では、R’は、C7アルキル及びC7アルケニルから選択される。いくつかの実施形態では、R’は、C9アルキル及びC9アルケニルから選択される。
いくつかの実施形態では、R’は、C4アルキル、C4アルケニル、C5アルキル、C5アルケニル、C6アルキル、C6アルケニル、C7アルキル、C7アルケニル、C9アルキル、C9アルケニル、C11アルキル、C11アルケニル、C17アルキル、C17アルケニル、C18アルキル、及びC18アルケニルから選択され、これらはそれぞれ、直鎖または分岐鎖のいずれかである。
いくつかの実施形態では、R’は、直鎖である。いくつかの実施形態では、R’は、分岐鎖である。
いくつかの実施形態では、R’は、
または
である。いくつかの実施形態では、R’は、
または
であり、M’は、−OC(O)−である。他の実施形態では、R’は、
または
であり、M’は、−C(O)O−である。
他の実施形態では、R’は、C
11アルキル及びC
11アルケニルから選択される。他の実施形態では、R’は、C
12アルキル、C
12アルケニル、C
13アルキル、C
13アルケニル、C
14アルキル、C
14アルケニル、C
15アルキル、C
15アルケニル、C
16アルキル、C
16アルケニル、C
17アルキル、C
17アルケニル、C
18アルキル、及びC
18アルケニルから選択される。ある特定の実施形態では、R’は、直鎖のC
4−18アルキルまたはC
4−18アルケニルである。ある特定の実施形態では、R’は、分岐鎖(例えば、デカン−2−イル、ウンデカン−3−イル、ドデカン−4−イル、トリデカン−5−イル、テトラデカン−6−イル、2−メチルウンデカン−3−イル、2−メチルデカン−2−イル、3−メチルウンデカン−3−イル、4−メチルドデカン−4−イル、またはヘプタデカ−9−イル)である。ある特定の実施形態では、R’は、
である。
ある特定の実施形態では、R’は、非置換のC
1−18アルキルである。ある特定の実施形態では、R’は、置換されたC
1−18アルキル(例えば、置換されたC
1−15アルキル(例えば、アルコキシ(メトキシなど)で置換されたC
1−15アルキル、またはC
3−6炭素環で置換されたC
1−15アルキル(1−シクロプロピルノニルなど)、またはC(O)O−アルキルもしくはOC(O)−アルキル(C(O)OCH
3もしくはOC(O)CH
3など)で置換されたC
1−15アルキル)である。例えば、R’は、
、
、
、
、
、または
である。
ある特定の実施形態では、R’は、分岐したC
1−18アルキルである。例えば、R’は、
、
、または
である。
いくつかの実施形態では、R”は、C3−15アルキル及びC3−15アルケニルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R”は、C3アルキル、C4アルキル、C5アルキル、C6アルキル、C7アルキル、またはC8アルキルである。いくつかの実施形態では、R”は、C9アルキル、C10アルキル、C11アルキル、C12アルキル、C13アルキル、C14アルキル、またはC15アルキルである。
いくつかの実施形態では、M’は、−C(O)O−である。いくつかの実施形態では、M’は、−OC(O)−である。いくつかの実施形態では、M’は、−OC(O)−M”−C(O)O−である。
いくつかの実施形態では、M’は、−C(O)O−、−OC(O)−、または−OC(O)−M”−C(O)O−である。いくつかの実施形態では、M’は、−OC(O)−M”−C(O)O−であり、M”は、C1−4アルキルまたはC2−4アルケニルである。
他の実施形態では、M’は、アリール基またはヘテロアリール基である。例えば、M’は、フェニル、オキサゾール、及びチアゾールからなる群から選択され得る。
いくつかの実施形態では、Mは、−C(O)O−である。いくつかの実施形態では、Mは、−OC(O)−である。いくつかの実施形態では、Mは、−C(O)N(R’)−である。いくつかの実施形態では、Mは、−P(O)(OR’)O−である。いくつかの実施形態では、Mは、−OC(O)−M”−C(O)O−である。
いくつかの実施形態では、Mは、−C(O)である。いくつかの実施形態では、Mは、−OC(O)−であり、M’は、−C(O)O−である。いくつかの実施形態では、Mは、−C(O)O−であり、M’は、−OC(O)−である。いくつかの実施形態では、M及びM’はそれぞれ、−OC(O)−である。いくつかの実施形態では、M及びM’はそれぞれ、−C(O)O−である。
他の実施形態では、Mは、アリール基またはヘテロアリール基である。例えば、Mは、フェニル、オキサゾール、及びチアゾールからなる群から選択され得る。
いくつかの実施形態では、Mは、M’と同じである。他の実施形態では、Mは、M’と異なる。
いくつかの実施形態では、M”は、結合である。いくつかの実施形態では、M”は、C1−13アルキルまたはC2−13アルケニルである。いくつかの実施形態では、M”は、C1−6アルキルまたはC2−6アルケニルである。ある特定の実施形態では、M”は、直鎖のアルキルまたはアルケニルである。ある特定の実施形態では、M”は、分岐鎖であり、例えば、−CH(CH3)CH2−である。
いくつかの実施形態では、それぞれのR5は、Hである。いくつかの実施形態では、それぞれのR6は、Hである。ある特定のそのような実施形態では、それぞれのR5及びそれぞれのR6は、Hである。
いくつかの実施形態では、R7は、Hである。他の実施形態では、R7は、C1−3アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、またはi−プロピル)である。
いくつかの実施形態では、R2及びR3は、独立して、C5−14アルキルまたはC5−14アルケニルである。
いくつかの実施形態では、R2とR3とは、同じである。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、C8アルキルである。ある特定の実施形態では、R2及びR3は、C2アルキルである。他の実施形態では、R2及びR3は、C3アルキルである。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、C4アルキルである。ある特定の実施形態では、R2及びR3は、C5アルキルである。他の実施形態では、R2及びR3は、C6アルキルである。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、C7アルキルである。
他の実施形態では、R2とR3とは、異なる。ある特定の実施形態では、R2は、C8アルキルである。いくつかの実施形態では、R3は、C1−7(例えば、C1アルキル、C2アルキル、C3アルキル、C4アルキル、C5アルキル、C6アルキル、もしくはC7アルキル)またはC9アルキルである。
いくつかの実施形態では、R3は、C1アルキルである。いくつかの実施形態では、R3は、C2アルキルである。いくつかの実施形態では、R3は、C3アルキルである。いくつかの実施形態では、R3は、C4アルキルである。いくつかの実施形態では、R3は、C5アルキルである。いくつかの実施形態では、R3は、C6アルキルである。いくつかの実施形態では、R3は、C7アルキルである。いくつかの実施形態では、R3は、C9アルキルである。
いくつかの実施形態では、R7及びR3は、Hである。
ある特定の実施形態では、R2は、Hである。
いくつかの実施形態では、mは、5、6、7、8、または9である。いくつかの実施形態では、mは、5、7、または9である。例えば、いくつかの実施形態では、mは、5である。例えば、いくつかの実施形態では、mは、7である。例えば、いくつかの実施形態では、mは、9である。
いくつかの実施形態では、R4は、−(CH2)nQ及び−(CH2)nCHQRから選択される。
いくつかの実施形態では、Qは、−OR、−OH、−O(CH2)nN(R)2、−OC(O)R、−CX3、−CN、−N(R)C(O)R、−N(H)C(O)R、−N(R)S(O)2R、−N(H)S(O)2R、−N(R)C(O)N(R)2、−N(H)C(O)N(R)2、−N(H)C(O)N(H)(R)、−N(R)C(S)N(R)2、−N(H)C(S)N(R)2、−N(H)C(S)N(H)(R)、−C(R)N(R)2C(O)OR、−N(R)S(O)2R8、炭素環、及び複素環からなる群から選択される。
ある特定の実施形態では、Qは、−N(R)R8、−N(R)S(O)2R8、−O(CH2)nOR、−N(R)C(=NR9)N(R)2、−N(R)C(=CHR9)N(R)2、−OC(O)N(R)2、または−N(R)C(O)ORである。
ある特定の実施形態では、Qは、−N(OR)C(O)R、−N(OR)S(O)2R、−N(OR)C(O)OR、−N(OR)C(O)N(R)2、−N(OR)C(S)N(R)2、−N(OR)C(=NR9)N(R)2、または−N(OR)C(=CHR9)N(R)2である。
ある特定の実施形態では、Qは、チオ尿素またはそのアイソスター(例えば、
または−NHC(=NR
9)N(R)
2)である。
ある特定の実施形態では、Qは、−C(=NR9)N(R)2である。例えば、Qが−C(=NR9)N(R)2であるとき、nは、4または5である。例えば、R9は、−S(O)2N(R)2である。
ある特定の実施形態では、Qは、−C(=NR9)Rまたは−C(O)N(R)ORであり、例えば、−CH(=N−OCH3)、−C(O)NH−OH、−C(O)NH−OCH3、−C(O)N(CH3)−OH、または−C(O)N(CH3)−OCH3である。
ある特定の実施形態では、Qは、−OHである。
ある特定の実施形態では、Qは、置換された5〜10員のヘテロアリールであるか、または非置換の5〜10員のヘテロアリールであり、例えば、Qは、トリアゾール、イミダゾール、ピリミジン、プリン、2−アミノ−1,9−ジヒドロ−6H−プリン−6−オン−9−イル(もしくはグアニン−9−イル)、アデニン−9−イル、シトシン−1−イル、またはウラシル−1−イルであり、これらはそれぞれ、アルキル、OH、アルコキシ、−アルキル−OH、−アルキル−O−アルキルから選択される1つ以上の置換基で必要に応じて置換され、こうした置換基は、さらに置換され得る。ある特定の実施形態では、Qは、置換された5〜14員のヘテロシクロアルキルであり、例えば、オキソ(=O)、OH、アミノ、モノアルキルアミノまたはジアルキルアミノ、及びC1−3アルキルから選択される1つ以上の置換基で置換された5〜14員のヘテロシクロアルキルである。例えば、Qは、4−メチルピペラジニル、4−(4−メトキシベンジル)ピペラジニル、イソインドリン−2−イル−1,3−ジオン、ピロリジン−1−イル−2,5−ジオン、またはイミダゾリジン−3−イル−2,4−ジオンである。
ある特定の実施形態では、Qは、−NHR8であり、R8は、オキソ(=O)、アミノ(NH2)、モノアルキルアミノまたはジアルキルアミノ、C1−3アルキル、及びハロから選択される1つ以上の置換基で必要に応じて置換されたC3−6シクロアルキルである。例えば、R8は、シクロブテニルであり、例えば、3−(ジメチルアミノ)−シクロブタ−3−エン−4−イル−1,2−ジオンである。さらなる実施形態では、R8は、オキソ(=O)、チオ(=S)、アミノ(NH2)、モノアルキルアミノまたはジアルキルアミノ、C1−3アルキル、ヘテロシクロアルキル、及びハロから選択される1つ以上の置換基で必要に応じて置換されたC3−6シクロアルキルであり、モノアルキルアミノまたはジアルキルアミノ、C1−3アルキル、及びヘテロシクロアルキルは、さらに置換される。例えば、R8は、オキソ、アミノ、及びアルキルアミノのうちの1つ以上で置換されたシクロブテニルであり、アルキルアミノは、例えばC1−3アルコキシ、アミノ、モノアルキルアミノまたはジアルキルアミノ、及びハロのうちの1つ以上で、さらに置換される。例えば、R8は、3−(((ジメチルアミノ)エチル)アミノ)シクロブタ−3−エニル−1,2−ジオンである。例えば、R8は、オキソ及びアルキルアミノのうちの1つ以上で置換されたシクロブテニルである。例えば、R8は、3−(エチルアミノ)シクロブタ−3−エン−1,2−ジオンである。例えば、R8は、オキソ、チオ、及びアルキルアミノのうちの1つ以上で置換されたシクロブテニルである。例えば、R8は、3−(エチルアミノ)−4−チオキソシクロブタ−2−エン−1−オンまたは2−(エチルアミノ)−4−チオキソシクロブタ−2−エン−1−オンである。例えば、R8は、チオ及びアルキルアミノのうちの1つ以上で置換されたシクロブテニルである。例えば、R8は、3−(エチルアミノ)シクロブタ−3−エン−1,2−ジチオンである。例えば、R8は、オキソ及びジアルキルアミノのうちの1つ以上で置換されたシクロブテニルである。例えば、R8は、3−(ジエチルアミノ)シクロブタ−3−エン−1,2−ジオンである。例えば、R8は、オキソ、チオ、及びジアルキルアミノのうちの1つ以上で置換されたシクロブテニルである。例えば、R8は、2−(ジエチルアミノ)−4−チオキソシクロブタ−2−エン−1−オンまたは3−(ジエチルアミノ)−4−チオキソシクロブタ−2−エン−1−オンである。例えば、R8は、チオ及びジアルキルアミノのうちの1つ以上で置換されたシクロブテニルである。例えば、R8は、3−(ジエチルアミノ)シクロブタ−3−エン−1,2−ジチオンである。例えば、R8は、オキソ、及びアルキルアミノまたはジアルキルアミノのうちの1つ以上で置換されたシクロブテニルであり、アルキルアミノまたはジアルキルアミノは、例えば1つ以上のアルコキシで、さらに置換される。例えば、R8は、3−(ビス(2−メトキシエチル)アミノ)シクロブタ−3−エン−1,2−ジオンである。例えば、R8は、オキソ及びヘテロシクロアルキルのうちの1つ以上で置換されたシクロブテニルである。例えば、R8は、オキソ、及びピペリジニル、ピペラジニル、またはモルホリニルのうちの1つ以上で置換されたシクロブテニルである。例えば、R8は、オキソ及びヘテロシクロアルキルのうちの1つ以上で置換されたシクロブテニルであり、ヘテロシクロアルキルは、例えば1つ以上のC1−3アルキルで、さらに置換される。例えば、R8は、オキソ及びヘテロシクロアルキルのうちの1つ以上で置換されたシクロブテニルであり、ヘテロシクロアルキル(例えば、ピペリジニル、ピペラジニル、またはモルホリニル)は、メチルでさらに置換される。
ある特定の実施形態では、Qは、−NHR8であり、R8は、アミノ(NH2)、モノアルキルアミノまたはジアルキルアミノ、C1−3アルキル、及びハロから選択される1つ以上の置換基で必要に応じて置換されたヘテロアリールである。例えば、R8は、チアゾールまたはイミダゾールである。
ある特定の実施形態では、Qは、−NHC(=NR9)N(R)2であり、R9は、CN、C1−6アルキル、NO2、−S(O)2N(R)2、−OR、−S(O)2R、またはHである。例えば、Qは、−NHC(=NR9)N(CH3)2、−NHC(=NR9)NHCH3、−NHC(=NR9)NH2である。いくつかの実施形態では、Qは、−NHC(=NR9)N(R)2であり、R9は、CNであり、Rは、モノアルキルアミノまたはジアルキルアミノで置換されたC1−3アルキルであり、例えば、Rは、((ジメチルアミノ)エチル)アミノである。いくつかの実施形態では、Qは、−NHC(=NR9)N(R)2であり、R9は、C1−6アルキル、NO2、−S(O)2N(R)2、−OR、−S(O)2R、またはHであり、Rは、モノアルキルアミノまたはジアルキルアミノで置換されたC1−3アルキルであり、例えば、Rは、((ジメチルアミノ)エチル)アミノである。
ある特定の実施形態では、Qは、−NHC(=CHR9)N(R)2であり、R9は、NO2、CN、C1−6アルキル、−S(O)2N(R)2、−OR、−S(O)2R、またはHである。例えば、Qは、−NHC(=CHR9)N(CH3)2、−NHC(=CHR9)NHCH3、または−NHC(=CHR9)NH2である。
ある特定の実施形態では、Qは、−OC(O)N(R)2、−N(R)C(O)OR、−N(OR)C(O)ORであり、−OC(O)NHCH3、−N(OH)C(O)OCH3、−N(OH)C(O)CH3、−N(OCH3)C(O)OCH3、−N(OCH3)C(O)CH3、−N(OH)S(O)2CH3、または−NHC(O)OCH3などである。
ある特定の実施形態では、Qは、−N(R)C(O)Rであり、Rは、C1−3アルコキシルまたはS(O)zC1−3アルキルで必要に応じて置換されたアルキルであり、zは、0、1、または2である。
ある特定の実施形態では、Qは、非置換または置換されたC6−10アリール(フェニルなど)またはC3−6シクロアルキルである。
いくつかの実施形態では、nは、1である。他の実施形態では、nは、2である。さらなる実施形態では、nは、3である。ある特定の他の実施形態では、nは、4である。例えば、R4は、−(CH2)2OHであり得る。例えば、R4は、−(CH2)3OHであり得る。例えば、R4は、−(CH2)4OHであり得る。例えば、R4は、ベンジルであり得る。例えば、R4は、4−メトキシベンジルであり得る。
いくつかの実施形態では、R4は、C3−6炭素環である。いくつかの実施形態では、R4は、C3−6シクロアルキルである。例えば、R4は、例えばOH、ハロ、C1−6アルキルなどで、必要に応じて置換されたシクロヘキシルであり得る。例えば、R4は、2−ヒドロキシシクロヘキシルであり得る。
いくつかの実施形態では、Rは、Hである。
いくつかの実施形態では、Rは、モノアルキルアミノまたはジアルキルアミノで置換されたC1−3アルキルであり、例えば、Rは、((ジメチルアミノ)エチル)アミノである。
いくつかの実施形態では、Rは、C1−3アルコキシル、アミノ、及びC1−C3ジアルキルアミノからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されたC1−6アルキルである。
いくつかの実施形態では、Rは、非置換のC1−3アルキルまたは非置換のC2−3アルケニルである。例えば、R4は、−CH2CH(OH)CH3、−CH(CH3)CH2OH、または−CH2CH(OH)CH2CH3であり得る。
いくつかの実施形態では、Rは、置換されたC1−3アルキルであり、例えば、CH2OHである。例えば、R4は、−CH2CH(OH)CH2OH、−(CH2)3NHC(O)CH2OH、−(CH2)3NHC(O)CH2OBn、−(CH2)2O(CH2)2OH、−(CH2)3NHCH2OCH3、−(CH2)3NHCH2OCH2CH3、CH2SCH3、CH2S(O)CH3、CH2S(O)2CH3、または−CH(CH2OH)2であり得る。
いくつかの実施形態では、R
4は、下記の群のいずれかから選択される。
いくつかの実施形態では、
は、下記の群のいずれかから選択される。
いくつかの実施形態では、R
4は、下記の群のいずれかから選択される。
いくつかの実施形態では、
は、下記の群のいずれかから選択される。
いくつかの実施形態では、式(III)の化合物は、アニオンをさらに含む。本明細書に記載のように、アニオンは、アミンと反応してアンモニウム塩を形成することが可能な任意のアニオンであり得る。例としては、限定されないが、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、フッ化物イオン、酢酸イオン、ギ酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、ジフルオロ酢酸イオン、トリクロロ酢酸イオン、及びリン酸イオンが挙げられる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の式のいずれかの化合物は、筋肉内投与のためのナノ粒子組成物の調製に適する。
いくつかの実施形態では、R2及びR3は、それらが結合している原子と一緒になって複素環または炭素環を形成する。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、それらが結合している原子と一緒になることで、N、O、S、及びPから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5〜14員の芳香族複素環または非芳香族複素環を形成する。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、それらが結合している原子と一緒になることで、必要に応じて置換されたC3−20炭素環(例えば、C3−18炭素環、C3−15炭素環、C3−12炭素環、またはC3−10炭素環)を形成し、当該C3−20炭素環は、芳香族または非芳香族のいずれかである。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、それらが結合している原子と一緒になってC3−6炭素環を形成する。他の実施形態では、R2及びR3は、それらが結合している原子と一緒になってC6炭素環(シクロヘキシル基またはフェニル基など)を形成する。ある特定の実施形態では、複素環またはC3−6炭素環は、1つ以上のアルキル基で置換される(この置換は、例えば、同じ環原子に対してなされるか、または隣接環原子もしくは非隣接環原子に対してなされる)。例えば、R2及びR3は、それらが結合している原子と一緒になることで、1つ以上のC5アルキルで置換されたシクロヘキシル基またはフェニル基を形成し得る。ある特定の実施形態では、R2及びR3によって形成される複素環またはC3−6炭素環は、炭素環基で置換される。例えば、R2及びR3は、それらが結合している原子と一緒になることで、シクロヘキシルで置換されたシクロヘキシル基またはフェニル基を形成し得る。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、それらが結合している原子と一緒になってC7−15炭素環(シクロヘプチル基、シクロペンタデカニル基、またはナフチル基など)を形成する。
いくつかの実施形態では、R4は、−(CH2)nQ及び−(CH2)nCHQRから選択される。いくつかの実施形態では、Qは、−OR、−OH、−O(CH2)nN(R)2、−OC(O)R、−CX3、−CN、−N(R)C(O)R、−N(H)C(O)R、−N(R)S(O)2R、−N(H)S(O)2R、−N(R)C(O)N(R)2、−N(H)C(O)N(R)2、−N(R)S(O)2R8、−N(H)C(O)N(H)(R)、−N(R)C(S)N(R)2、−N(H)C(S)N(R)2、−N(H)C(S)N(H)(R)、及び複素環からなる群から選択される。他の実施形態では、Qは、イミダゾール、ピリミジン、及びプリンからなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、R2及びR3は、それらが結合している原子と一緒になって複素環または炭素環を形成する。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、それらが結合している原子と一緒になってC3−6炭素環を形成する。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、それらが結合している原子と一緒になってC6炭素環を形成する。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、それらが結合している原子と一緒になってフェニル基を形成すする。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、それらが結合している原子と一緒になってシクロヘキシル基を形成する。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、それらが結合している原子と一緒になって複素環を形成する。ある特定の実施形態では、複素環またはC3−6炭素環は、1つ以上のアルキル基で置換される(この置換は、例えば、同じ環原子に対してなされるか、または隣接環原子もしくは非隣接環原子に対してなされる)。例えば、R2及びR3は、それらが結合している原子と一緒になることで、1つ以上のC5アルキルで置換されたフェニル基を形成し得る。
いくつかの実施形態では、R5及びR6のうちの少なくとも1つは、C1−3アルキル(例えば、メチル)として存在する。いくつかの実施形態では、Mに隣接するR5及びR6の一方は、C1−3アルキル(例えば、メチル)であり、もう一方は、Hである。いくつかの実施形態では、Mに隣接するR5及びR6の一方は、C1−3アルキル(例えば、メチル)であり、もう一方は、Hであり、Mは、−OC(O)−または−C(O)O−である。
いくつかの実施形態では、R5及びR6のうちの多くとも1つは、C1−3アルキル(例えば、メチル)として存在する。いくつかの実施形態では、Mに隣接するR5及びR6の一方は、C1−3アルキル(例えば、メチル)であり、もう一方は、Hである。いくつかの実施形態では、Mに隣接するR5及びR6の一方は、C1−3アルキル(例えば、メチル)であり、もう一方は、Hであり、Mは、−OC(O)−または−C(O)O−である。
いくつかの実施形態では、R5及びR6のうちの少なくとも1つは、メチルとして存在する。
式(VI)、式(VI−a)、式(VII)、式(VIIa)、式(VIIb)、式(VIIc)、式(VIId)、式(VIII)、式(VIIIa)、式(VIIIb)、式(VIIIc)、または式(VIIId)のいずれか1つの化合物は、適用可能な場合、下記の特徴を1つ以上含む。
いくつかの実施形態では、rは、0である。いくつかの実施形態では、rは、1である。
いくつかの実施形態では、nは、2、3、または4である。いくつかの実施形態では、nは、2である。いくつかの実施形態では、nは、4である。いくつかの実施形態では、nは、3ではない。
いくつかの実施形態では、RNは、Hである。いくつかの実施形態では、RNは、C1−3アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、RNは、C1アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、RNは、C2アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、RNは、C2アルキルである。
いくつかの実施形態では、Xaは、Oである。いくつかの実施形態では、Xaは、Sである。いくつかの実施形態では、Xbは、Oである。いくつかの実施形態では、Xbは、Sである。
いくつかの実施形態では、R10は、N(R)2、−NH(CH2)t1N(R)2、−NH(CH2)p1O(CH2)q1N(R)2、−NH(CH2)s1OR、−N((CH2)s1OR)2、及び複素環からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、R10は、−NH(CH2)t1N(R)2、−NH(CH2)p1O(CH2)q1N(R)2、−NH(CH2)s1OR、−N((CH2)s1OR)2、及び複素環からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、R10は、−NH(CH2)oN(R)2であり、oは、2、3、または4である。
いくつかの実施形態では、−NH(CH2)p1O(CH2)q1N(R)2中のp1は、2である。いくつかの実施形態では、−NH(CH2)p1O(CH2)q1N(R)2中のq1は、2である。
いくつかの実施形態では、R10は、−N((CH2)s1OR)2であり、s1は、2である。
いくつかの実施形態ではR10は、−NH(CH2)oN(R)2、−NH(CH2)pO(CH2)qN(R)2、−NH(CH2)sOR、または−N((CH2)sOR)2であり、Rは、HまたはC1−C3アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、Rは、C1アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、Rは、C2アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、Rは、Hである。例えば、いくつかの実施形態では、Rは、Hであり、1つのRは、C1−C3アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、Rは、Hであり、1つのRは、C1アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、Rは、Hであり、1つのRは、C2アルキルである。いくつかの実施形態では、R10は、−NH(CH2)t1N(R)2、−NH(CH2)p1O(CH2)q1N(R)2、−NH(CH2)s1OR、または−N((CH2)s1OR)2であり、それぞれのRは、C2−C4アルキルである。
例えば、いくつかの実施形態では、1つのRは、Hであり、1つのRは、C2−C4アルキルである。いくつかの実施形態では、R10は、複素環である。例えば、いくつかの実施形態では、R10は、モルホリニルである。例えば、いくつかの実施形態では、R10は、メチルピペラジニルである。
いくつかの実施形態では、R5及びR6はそれぞれ、Hとして存在する。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、下記のものからなる群から選択される。
さらなる実施形態では、式(I I)の化合物は、下記のものからなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、式(I I)または式(I IV)の化合物は、下記のものからなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、本開示の脂質は、化合物I−340A:
(化合物I−340A)
を含む。
式(I I)、式(I IA)、式I(IB)、式I(II)、式(I IIa)、式(I IIb)、式(I IIc)、式(I IId)、式(I IIe)、式(I IIf)、式(I IIg)、式(I III)、式(I VI)、式(I VI−a)、式(I VII)、式(I VIII)、式(I VIIa)、式(I VIIIa)、式(I VIIIb)、式(I VIIb−1)、式(I VIIb−2)、式(I VIIb−3)、式(I VIIc)、式(I VIId)、式(I VIIIc)、または式(I VIIId)を有する脂質の中心アミン部分は、生理学的pHにおいてプロトン化し得る。したがって、脂質は、生理学的pHにおいて正の電荷または部分的に正の電荷を有し得る。そのような脂質は、カチオン性(アミノ)脂質またはイオン化可能な(アミノ)脂質と称され得る。脂質は、両性イオン、すなわち、正電荷も負電荷も有する中性分子でもあり得る。
いくつかの態様では、本開示のイオン化可能な脂質は、式I(I IX)
の化合物のうちの1つ以上またはその塩もしくは異性体であり得、式中、
Wは、
または
であり、
環Aは、
または
であり;
tは1または2であり;
A
1及びA
2はそれぞれ、CHまたはNから独立して選択され;
Zは、CH
2または存在せず、ZがCH
2であるとき、破線(1)及び(2)はそれぞれ単結合を表し;Zが存在しないとき、破線(1)及び(2)は両方とも存在せず;
R
1、R
2、R
3、R
4、及びR
5は、C
5−20アルキル、C
5−20アルケニル、−R”MR’、−R
*YR”、−YR”、及び−R
*OR”からなる群から独立して選択され;
R
X1及びR
X2は各々独立して、HまたはC
1−3アルキルであり;
各々のMは、−C(O)O−、−OC(O)−、−OC(O)O−、−C(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)−、−C(O)−、−C(S)−、−C(S)S−、−SC(S)−、−CH(OH)−、−P(O)(OR’)O−、−S(O)
2−、−C(O)S−、−SC(O)−、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群から独立して選択され;
M
*はC
1−C
6アルキルであり、
W
1及びW
2は各々、−O−及び−N(R
6)−からなる群から独立して選択され;
各々のR
6が、H及びC
1−5アルキルからなる群から独立して選択され;
X
1、X
2、及びX
3は、結合、−CH
2−、−(CH
2)
2−、−CHR−、−CHY−、−C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−(CH
2)
n−C(O)−、−C(O)−(CH
2)
n−、−(CH
2)
n−C(O)O−、−OC(O)−(CH
2)
n−、−(CH
2)
n−OC(O)−、−C(O)O−(CH
2)
n−、−CH(OH)−、−C(S)−、及び−CH(SH)−からなる群から独立して選択され;
各々のYは、独立してC
3−6炭素環であり;
各々のR
*は、C
1−12アルキル及びC
2−12アルケニルからなる群から独立して選択され;
各々のRは、C
1−3アルキル及びC
3−6炭素環からなる群から独立して選択され;
各々のR’は、C
1−12アルキル、C
2−12アルケニル、及びHからなる群から独立して選択され;
各々のR”は、C
3−12アルキル、C
3−12アルケニル、及び−R
*MR’からなる群から独立して選択され;ならびに
nは、1〜6の整数であり;
環Aが
であるとき、
i)X
1、X
2、及びX
3のうちの少なくとも1つが、−CH
2−ではなく;及び/または
ii)R
1、R
2、R
3、R
4、及びR
5のうちの少なくとも1つが−R”MR’である。
いくつかの実施形態では、化合物は、式(I IXa1)〜(I IXa8):
、
、
、
、
、
、
、または
のいずれかである。
いくつかの実施形態では、イオン化可能な脂質は、米国出願第62/271,146号、同62/338,474号、同62/413,345号、及び同62/519,826号、ならびにPCT出願第PCT/US2016/068300号に記載されている化合物の1つ以上である。
いくつかの実施形態では、イオン化可能な脂質は、米国出願第62/519,826号に記載されている化合物1〜156から選択される。
いくつかの実施形態では、イオン化可能な脂質は、米国出願第62/519,826号に記載されている化合物1〜16、42〜66、68〜76、及び78〜156から選択される。
いくつかの実施形態では、イオン化可能な脂質は、
(化合物I−356(本明細書では化合物Mとも称される)またはその塩である。
いくつかの実施形態では、イオン化可能な脂質は、
[化合物I−N]またはその塩である。
いくつかの実施形態では、イオン化可能な脂質は、
[化合物I−O]またはその塩である。
いくつかの実施形態では、イオン化可能な脂質は、
[化合物I−P]またはその塩である。
いくつかの実施形態では、イオン化可能な脂質は、
[化合物I−Q]またはその塩である。
本明細書に記載の式のいずれかを有する脂質(例えば、式(I I)、式(I IA)、式(I IB)、式(II)、式(IIa)、式(IIb)、式(IIc)、式(IId)、式(IIe)、式(IIf)、式(IIg)、式(III)、式(VI)、式(VI−a)、式(VII)、式(VIII)、式(VIIa)、式(VIIIa)、式(VIIIb)、式(VIIb−1)、式(VIIb−2)、式(VIIb−3)、式(VIIc)、式(VIId)、式(VIIIc)、式(VIIId)、式(IX)、式(IXa1)、式(IXa2)、式(IXa3)、式(IXa4)、式(IXa5)、式(IXa6)、式(IXa7)、または式(IXa8)(明確には、これらのそれぞれに文字Iが前に付く)のいずれかを有する化合物)の中心アミン部分は、生理学的pHでプロトン化されていてもよい。したがって、脂質は、生理学的pHで正または部分的に正の電荷を有してもよい。そのような脂質は、カチオン性またはイオン化可能な(アミノ)脂質と呼ばれる場合がある。脂質は、両性イオン、すなわち、正電荷と負電荷の両方を有する中性分子であってもよい。
いくつかの実施形態では、本発明のイオン化可能なアミノ脂質(例えば、式(I)、式(IA)、式(IB)、式(II)、式(IIa)、式(IIb)、式(IIc)、式(IId)、式(IIe)、式(IIf)、式(IIg)、式(III)、式(VI)、式(VI−a)、式(VII)、式(VIII)、式(VIIa)、式(VIIIa)、式(VIIIb)、式(VIIb−1)、式(VIIb−2)、式(VIIb−3)、式(VIIc)、式(VIId)、式(VIIIc)、式(VIIId)、式(IX)、式(IXa1)、式(IXa2)、式(IXa3)、式(IXa4)、式(IXa5)、式(IXa6)、式(IXa7)、または式(IXa8)(明確には、これらのそれぞれに文字Iが前に付く)のいずれかを有する化合物)が脂質組成物に含まれる量の範囲は、約1mol%〜99mol%である。
一実施形態では、本発明のイオン化可能なアミノ脂質(例えば、式(I)、式(IA)、式(IB)、式(II)、式(IIa)、式(IIb)、式(IIc)、式(IId)、式(IIe)、式(IIf)、式(IIg)、式(III)、式(VI)、式(VI−a)、式(VII)、式(VIII)、式(VIIa)、式(VIIIa)、式(VIIIb)、式(VIIb−1)、式(VIIb−2)、式(VIIb−3)、式(VIIc)、式(VIId)、式(VIIIc)、式(VIIId)、式(IX)、式(IXa1)、式(IXa2)、式(IXa3)、式(IXa4)、式(IXa5)、式(IXa6)、式(IXa7)、または式(IXa8)(明確には、これらのそれぞれに文字Iが前に付く)のいずれかを有する化合物)が脂質組成物に含まれる量は、少なくとも約1mol%、少なくとも約2mol%、少なくとも約3mol%、少なくとも約4mol%、少なくとも約5mol%、少なくとも約6mol%、少なくとも約7mol%、少なくとも約8mol%、少なくとも約9mol%、少なくとも約10mol%、少なくとも約11mol%、少なくとも約12mol%、少なくとも約13mol%、少なくとも約14mol%、少なくとも約15mol%、少なくとも約16mol%、少なくとも約17mol%、少なくとも約18mol%、少なくとも約19mol%、少なくとも約20mol%、少なくとも約21mol%、少なくとも約22mol%、少なくとも約23mol%、少なくとも約24mol%、少なくとも約25mol%、少なくとも約26mol%、少なくとも約27mol%、少なくとも約28mol%、少なくとも約29mol%、少なくとも約30mol%、少なくとも約31mol%、少なくとも約32mol%、少なくとも約33mol%、少なくとも約34mol%、少なくとも約35mol%、少なくとも約36mol%、少なくとも約37mol%、少なくとも約38mol%、少なくとも約39mol%、少なくとも約40mol%、少なくとも約41mol%、少なくとも約42mol%、少なくとも約43mol%、少なくとも約44mol%、少なくとも約45mol%、少なくとも約46mol%、少なくとも約47mol%、少なくとも約48mol%、少なくとも約49mol%、少なくとも約50mol%、少なくとも約51mol%、少なくとも約52mol%、少なくとも約53mol%、少なくとも約54mol%、少なくとも約55mol%、少なくとも約56mol%、少なくとも約57mol%、少なくとも約58mol%、少なくとも約59mol%、少なくとも約60mol%、少なくとも約61mol%、少なくとも約62mol%、少なくとも約63mol%、少なくとも約64mol%、少なくとも約65mol%、少なくとも約66mol%、少なくとも約67mol%、少なくとも約68mol%、少なくとも約69mol%、少なくとも約70mol%、少なくとも約71mol%、少なくとも約72mol%、少なくとも約73mol%、少なくとも約74mol%、少なくとも約75mol%、少なくとも約76mol%、少なくとも約77mol%、少なくとも約78mol%、少なくとも約79mol%、少なくとも約80mol%、少なくとも約81mol%、少なくとも約82mol%、少なくとも約83mol%、少なくとも約84mol%、少なくとも約85mol%、少なくとも約86mol%、少なくとも約87mol%、少なくとも約88mol%、少なくとも約89mol%、少なくとも約90mol%、少なくとも約91mol%、少なくとも約92mol%、少なくとも約93mol%、少なくとも約94mol%、少なくとも約95mol%、少なくとも約96mol%、少なくとも約97mol%、少なくとも約98mol%、または少なくとも約99mol%である。
一実施形態では、本発明のイオン化可能なアミノ脂質(例えば、式(I)、式(IA)、式(IB)、式(II)、式(IIa)、式(IIb)、式(IIc)、式(IId)、式(IIe)、式(IIf)、式(IIg)、式(III)、式(VI)、式(VI−a)、式(VII)、式(VIII)、式(VIIa)、式(VIIIa)、式(VIIIb)、式(VIIb−1)、式(VIIb−2)、式(VIIb−3)、式(VIIc)、式(VIId)、式(VIIIc)、式(VIIId)、式(IX)、式(IXa1)、式(IXa2)、式(IXa3)、式(IXa4)、式(IXa5)、式(IXa6)、式(IXa7)、または式(IXa8)(明確には、これらのそれぞれに文字Iが前に付く)のいずれかを有する化合物)が脂質組成物に含まれる量の範囲は、約30mol%〜約70mol%、約35mol%〜約65mol%、約40mol%〜約60mol%、及び約45mol%〜約55mol%である。
1つの特定の実施形態では、本発明のイオン化可能なアミノ脂質(例えば、式(I)、式(IA)、式(IB)、式(II)、式(IIa)、式(IIb)、式(IIc)、式(IId)、式(IIe)、式(IIf)、式(IIg)、式(III)、式(VI)、式(VI−a)、式(VII)、式(VIII)、式(VIIa)、式(VIIIa)、式(VIIIb)、式(VIIb−1)、式(VIIb−2)、式(VIIb−3)、式(VIIc)、式(VIId)、式(VIIIc)、式(VIIId)、式(IX)、式(IXa1)、式(IXa2)、式(IXa3)、式(IXa4)、式(IXa5)、式(IXa6)、式(IXa7)、または式(IXa8)(明確には、これらのそれぞれに文字Iが前に付く)のいずれかを有する化合物)が脂質組成物に含まれる量は、約45mol%である。
1つの特定の実施形態では、本発明のイオン化可能なアミノ脂質(例えば、式(I)、式(IA)、式(IB)、式(II)、式(IIa)、式(IIb)、式(IIc)、式(IId)、式(IIe)、式(IIf)、式(IIg)、式(III)、式(VI)、式(VI−a)、式(VII)、式(VIII)、式(VIIa)、式(VIIIa)、式(VIIIb)、式(VIIb−1)、式(VIIb−2)、式(VIIb−3)、式(VIIc)、式(VIId)、式(VIIIc)、式(VIIId)、式(IX)、式(IXa1)、式(IXa2)、式(IXa3)、式(IXa4)、式(IXa5)、式(IXa6)、式(IXa7)、または式(IXa8)(明確には、これらのそれぞれに文字Iが前に付く)のいずれかを有する化合物)が脂質組成物に含まれる量は、約40mol%である。
1つの特定の実施形態では、本発明のイオン化可能なアミノ脂質(例えば、式(I)、式(IA)、式(IB)、式(II)、式(IIa)、式(IIb)、式(IIc)、式(IId)、式(IIe)、式(IIf)、式(IIg)、式(III)、式(VI)、式(VI−a)、式(VII)、式(VIII)、式(VIIa)、式(VIIIa)、式(VIIIb)、式(VIIb−1)、式(VIIb−2)、式(VIIb−3)、式(VIIc)、式(VIId)、式(VIIIc)、式(VIIId)、式(IX)、式(IXa1)、式(IXa2)、式(IXa3)、式(IXa4)、式(IXa5)、式(IXa6)、式(IXa7)、または式(IXa8)(明確には、これらのそれぞれに文字Iが前に付く)のいずれかを有する化合物)が脂質組成物に含まれる量は、約50mol%である。
本明細書に開示のイオン化可能なアミノ脂質(例えば、式(I)、式(IA)、式(IB)、式(II)、式(IIa)、式(IIb)、式(IIc)、式(IId)、式(IIe)、式(IIf)、式(IIg)、式(III)、式(VI)、式(VI−a)、式(VII)、式(VIII)、式(VIIa)、式(VIIIa)、式(VIIIb)、式(VIIb−1)、式(VIIb−2)、式(VIIb−3)、式(VIIc)、式(VIId)、式(VIIIc)、式(VIIId)、式(IX)、式(IXa1)、式(IXa2)、式(IXa3)、式(IXa4)、式(IXa5)、式(IXa6)、式(IXa7)、または式(IXa8)(明確には、これらのそれぞれに文字Iが前に付く)のいずれかを有する化合物)に加えて、本明細書に開示の脂質ベースの組成物(例えば、脂質ナノ粒子)は、追加成分(コレステロール及び/またはコレステロール類似体、非カチオン性ヘルパー脂質、構造脂質、PEG脂質、及びそれらの任意の組み合わせなど)を含み得る。
本発明の追加のイオン化可能な脂質は、3−(ジドデシルアミノ)−N1,N1,4−トリドデシル−1−ピペラジンエタンアミン(KL10)、N1−[2−(ジドデシルアミノ)エチル]−N1,N4,N4−トリドデシル−1,4−ピペラジンジエタンアミン(KL22)、14,25−ジトリデシル−15,18,21,24−テトラアザ−オクタトリアコンタン(KL25)、1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLin−DMA)、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノメチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−DMA)、ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イル4−(ジメチルアミノ)ブタノエート(DLin−MC3−DMA)、2,2−ジリノレイル−4−(2−ジメチルアミノエチル)−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、1,2−ジオレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DODMA)、(13Z,165Z)−N,N−ジメチル−3−ノニルドコサ−13−16−ジエン−1−アミン(L608)、2−({8−[(3β)−コレスト−5−エン−3−イルオキシ]オクチル}オキシ)−N,N−ジメチル−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]プロパン−1−アミン(Octyl−CLinDMA)、(2R)−2−({8−[(3β)−コレスト−5−エン−3−イルオキシ]オクチル}オキシ)−N,N−ジメチル−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]プロパン−1−アミン(Octyl−CLinDMA(2R))、及び(2S)−2−({8−[(3β)−コレスト−5−エン−3−イルオキシ]オクチル}オキシ)−N,N−ジメチル−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]プロパン−1−アミン(Octyl−CLinDMA(2S))からなる非限定的な群から選択され得る。これらに加えて、イオン化可能なアミノ脂質は、環式アミン基を含む脂質でもあり得る。
本発明のイオン化可能なアミノ脂質は、国際公開公報第WO2017/075531A1号に開示の化合物でもあり得、当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。例えば、イオン化可能なアミノ脂質には、限定されないが、
、
、
、
及びそれらの任意の組み合わせが含まれる。
本発明のイオン化可能な脂質は、国際公開公報第2015/199952A1号に開示の化合物でもあり得、当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。例えば、イオン化可能なアミノ脂質には、限定されないが、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
及びそれらの任意の組み合わせが含まれる。
前述の態様または関連する態様のいずれかでは、本開示のLNPのイオン化可能な脂質は、いずれかに含まれる化合物(例えば、式(I)、式(IA)、式(IB)、式(II)、式(IIa)、式(IIb)、式(IIc)、式(IId)、式(IIe)、式(IIf)、式(IIg)、式(III)、式(VI)、式(VI−a)、式(VII)、式(VIII)、式(VIIa)、式(VIIIa)、式(VIIIb)、式(VIIb−1)、式(VIIb−2)、式(VIIb−3)、式(VIIc)、式(VIId)、式(VIIIc)、式(VIIId)、式(IX)、式(IXa1)、式(IXa2)、式(IXa3)、式(IXa4)、式(IXa5)、式(IXa6)、式(IXa7)、または式(IXa8)(明確には、これらのそれぞれに文字Iが前に付く)のいずれかを有する化合物)を含む。
前述の態様または関連する態様のいずれかでは、本開示のLNPのイオン化可能な脂質は、化合物番号I 1〜356のいずれかを含む化合物を含む。
前述の態様または関連する態様のいずれかでは、本開示のLNPのイオン化可能な脂質は、化合物番号I 18(化合物Xとも称される)、化合物番号I 25(化合物Yとも称される)、化合物番号I 48、化合物番号I 50、化合物番号I 109、化合物番号I 111、化合物番号I 113、化合物番号I 181、化合物番号I 182、化合物番号I 244、化合物番号I 292、化合物番号I 301、化合物番号I 321、化合物番号I 322、化合物番号I 326、化合物番号I 328、化合物番号I 330、化合物番号I 331、及び化合物番号I 332からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む。別の実施形態では、本開示のLNPのイオン化可能な脂質は、化合物番号I 18(化合物Xとも称される)、化合物番号I 25(化合物Yとも称される)、化合物番号I 48、化合物番号I 50、化合物番号I 109、化合物番号I 111、化合物番号I 181、化合物番号I 182、化合物番号I 292、化合物番号I 301、化合物番号I 321、化合物番号I 326、化合物番号I 328、及び化合物番号I 330からなる群から選択される化合物を含む。別の実施形態では、本開示のLNPのイオン化可能な脂質は、化合物番号I 182、化合物番号I 301、化合物番号I 321、及び化合物番号I 326からなる群から選択される化合物を含む。
前述の態様または関連する態様のいずれかでは、本発明の化合物(例えば、化合物番号1〜356のいずれかを含む化合物)の合成は、2018年9月19日出願の米国仮特許出願第62/733,315号に記載の合成の説明に従って行われる。
代表的な合成経路:
化合物I−182:ヘプタデカン−9−イル8−((3−((2−(メチルアミノ)−3,4−ジオキソシクロブタ−1−エン−1−イル)アミノ)プロピル)(8−(ノニルオキシ)−8−オキソオクチル)アミノ)オクタノエート
3−メトキシ−4−(メチルアミノ)シクロブタ−3−エン−1,2−ジオン
化学式:C
6H
7NO
3
分子量:141.13
3,4−ジメトキシ−3−シクロブテン−1,2−ジオン(1g、7mmol)を100mLのジエチルエーテル中に含む溶液に対して、THF中に2Mのメチルアミンを含む溶液(3.8mL、7.6mmol)を添加したところ、ほぼ瞬時に沈殿物が形成された。この混合物を室温で24時間攪拌してからろ過した。フィルター上の固体をジエチルエーテルで洗浄し、風乾した。フィルター上の固体を熱EtOAcに溶解してからろ過し、ろ液を室温に冷却した後、0℃に冷却して沈殿物を得た。この沈殿物をろ過によって単離し、冷EtOAcで洗浄し、風乾してから減圧下で乾燥させることで、3−メトキシ−4−(メチルアミノ)シクロブタ−3−エン−1,2−ジオン(0.70g、5mmol、73%)を白色の固体として得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO−d
6) δ: ppm 8.50 (br. d, 1H, J = 69 Hz);4.27 (s, 3H);3.02 (sdd, 3H, J = 42 Hz, 4.5 Hz)。
ヘプタデカン−9−イル8−((3−((2−(メチルアミノ)−3,4−ジオキソシクロブタ−1−エン−1−イル)アミノ)プロピル)(8−(ノニルオキシ)−8−オキソオクチル)アミノ)オクタノエート
化学式:C
50H
93N
3O
6
分子量:832.31
ヘプタデカン−9−イル8−((3−アミノプロピル)(8−(ノニルオキシ)−8−オキソオクチル)アミノ)オクタノエート(200mg、0.28mmol)を10mLのエタノール中に含む溶液に対して3−メトキシ−4−(メチルアミノ)シクロブタ−3−エン−1,2−ジオン(39mg、0.28mmol)を添加し、得られた無色の溶液を室温で20時間攪拌した。その後、LC/MSによって分析したところ、出発アミンはすべて消費されていた。溶液を減圧下で濃縮し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン中にNH
4OHを1%、MeOHを20%含む混合物のジクロロメタン中の含有率を0→100%として溶出)によって精製することで、ヘプタデカン−9−イル8−((3−((2−(メチルアミノ)−3,4−ジオキソシクロブタ−1−エン−1−イル)アミノ)プロピル)(8−(ノニルオキシ)−8−オキソオクチル)アミノ)オクタノエート(138mg、0.17mmol、60%)を白色のガム状固体として得た。UPLC/ELSD: RT = 3分。MS (ES): C
51H
95N
3O
6に対するm/z (MH
+) 833.4。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ: ppm 7.86 (br. s., 1H);4.86 (五重線, 1H, J = 6 Hz);4.05 (t, 2H, J = 6 Hz);3.92 (d, 2H, J = 3 Hz);3.20 (s, 6H);2.63 (br. s, 2H);2.42 (br. s, 3H);2.28 (m, 4H);1.74 (br. s, 2H);1.61 (m, 8H);1.50 (m, 5H);1.41 (m, 3H);1.25 (br. m, 47H);0.88 (t, 9H, J = 7.5 Hz)。
化合物I−301:ヘプタデカン−9−イル8−((3−((2−(メチルアミノ)−3,4−ジオキソシクロブタ−1−エン−1−イル)アミノ)プロピル)(8−オキソ−8−(ウンデカン−3−イルオキシ)オクチル)アミノ)オクタノエート
化学式:C
52H
97N
3O
6
分子量:860.36
化合物I−301は、化合物182と類似的に調製したが、例外として、ヘプタデカン−9−イル8−((3−アミノプロピル)(8−(ノニルオキシ)−8−オキソオクチル)アミノ)オクタノエートの代わりにヘプタデカン−9−イル8−((3−アミノプロピル)(8−オキソ−8−(ウンデカン−3−イルオキシ)オクチル)アミノ)オクタノエート(500mg、0.66mmol)を使用した。一連の反応後処理(有機溶媒添加後の水性溶液での洗浄を含む)を実施した後、残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン中にNH
4OHを1%、MeOHを20%含む混合物のジクロロメタン中の含有率を0→50%として溶出)によって精製することで、ヘプタデカン−9−イル8−((3−((2−(メチルアミノ)−3,4−ジオキソシクロブタ−1−エン−1−イル)アミノ)プロピル)(8−オキソ−8−(ウンデカン−3−イルオキシ)オクチル)アミノ)オクタノエート(180mg、32%)を白色のワックス状固体として得た。HPLC/UV (254 nm): RT = 6.77分。C
52H
97N
3O
6に対するMS (CI): m/z (MH
+) 860.7。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3): δ ppm 4.86−4.79 (m, 2H);3.66 (bs, 2H);3.25 (d, 3H, J = 4.9 Hz);2.56−2.52 (m, 2H);2.42−2.37 (m, 4H);2.28 (dd, 4H, J = 2.7 Hz, 7.4 Hz);1.78−1.68 (m, 3H);1.64−1.50 (m, 16H);1.48−1.38 (m, 6H);1.32−1.18 (m, 43H);0.88−0.84 (m, 12H)。
(ii)コレステロール/構造脂質
本明細書に記載の免疫細胞送達LNPは、1つ以上の構造脂質を含む。
本明細書で使用される「構造脂質」という用語は、ステロールを指すと共に、ステロール部分を含む脂質も指す。脂質ナノ粒子に構造脂質を組み込むことは、粒子中で他の脂質が凝集することを軽減する上で役立ち得る。構造脂質には、限定されないが、コレステロール、フェコステロール、エルゴステロール、ブラシカステロール、トマチジン、トマチン、ウルソール酸、アルファ−トコフェロール、及びそれらの混合物が含まれ得る。ある特定の実施形態では、構造脂質は、コレステロールである。ある特定の実施形態では、構造脂質は、コレステロール及びコルチコステロイド(例えば、プレドニゾロン、デキサメタゾン、プレドニゾン、及びヒドロコルチゾンなど)、またはそれらの組み合わせを含む。
いくつかの実施形態では、構造脂質は、ステロールである。本明細書で定義される「ステロール」は、ステロイドアルコールからなるステロイドの部分群である。ある特定の実施形態では、構造脂質は、ステロイドである。ある特定の実施形態では、構造脂質は、コレステロールである。ある特定の実施形態では、構造脂質は、コレステロールの類似体である。ある特定の実施形態では、構造脂質は、アルファ−トコフェロールである。構造脂質の例としては、限定されないが、下記のものが挙げられる。
、
、及び
。
本明細書に記載の免疫細胞送達LNPは、1つ以上の構造脂質を含む。
本明細書で使用される「構造脂質」という用語は、ステロールを指すと共に、ステロール部分を含む脂質も指す。脂質ナノ粒子に構造脂質を組み込むことは、粒子中で他の脂質が凝集することを軽減する上で役立ち得る。ある特定の実施形態では、構造脂質は、コレステロール及びコルチコステロイド(例えば、プレドニゾロン、デキサメタゾン、プレドニゾン、及びヒドロコルチゾンなど)、またはそれらの組み合わせを含む。
いくつかの実施形態では、構造脂質は、ステロールである。本明細書で定義される「ステロール」は、ステロイドアルコールからなるステロイドの部分群である。構造脂質には、限定されないが、ステロール(例えば、フィトステロールまたはズーステロール)が含まれ得る。
ある特定の実施形態では、構造脂質は、ステロイドである。例えば、ステロールには、限定されないが、コレステロール、□−シトステロール、フェコステロール、エルゴステロール、シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール、エルゴステロール、トマチジン、トマチン、ウルソール酸、アルファ−トコフェロール、または本明細書の表1〜16中の化合物S1〜148のいずれか1つが含まれ得る。
ある特定の実施形態では、構造脂質は、コレステロールである。ある特定の実施形態では、構造脂質は、コレステロールの類似体である。
ある特定の実施形態では、構造脂質は、アルファ−トコフェロールである。
ある一態様では、本発明の構造脂質は、式SI:
式SI
の構造を有する化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とし、式中、
R
1aは、H、必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキル、必要に応じて置換されたC
2−C
6アルケニル、または必要に応じて置換されたC
2−C
6アルキニルであり、
Xは、OまたはSであり、
R
1bは、H、必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキル、または
であり、
R
b1、R
b2、及びR
b3はそれぞれ、独立して、必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルまたは必要に応じて置換されたC
6−C
10アリールであり、
R
2は、HまたはOR
Aであり、R
Aは、Hまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
3は、Hまたは
であり、
それぞれの
は、独立して、単結合または二重結合を表し、
Wは、CR
4aまたはCR
4aR
4bであり、Wと隣接炭素との間に二重結合が存在する場合、Wは、CR
4aであり、Wと隣接炭素との間に単結合が存在する場合、Wは、CR
4aR
4bであり、
R
4a及びR
4bはそれぞれ、独立して、H、ハロ、または必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
5a及びR
5bはそれぞれ、独立して、HもしくはOR
Aであるか、またはR
5a及びR
5bは、それぞれが結合している原子と一緒になって
を形成し、
L
1aは、存在しないか、
であるか、または
であり、
L
1bは、存在しないか、
であるか、または
であり、
mは、1、2、または3であり、
L
1cは、存在しないか、
であるか、または
であり、
R
6は、必要に応じて置換されたC
3−C
10シクロアルキル、必要に応じて置換されたC
3−C
10シクロアルケニル、必要に応じて置換されたC
6−C
10アリール、必要に応じて置換されたC
2−C
9ヘテロシクリル、または必要に応じて置換されたC
2−C
9ヘテロアリールである。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SIa:
式SIa
の構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SIb:
式SIb
の構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SIc:
式SIc
の構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SId:
式SId
の構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、L
1aは、存在しない。いくつかの実施形態では、L
1aは、
である。いくつかの実施形態では、L
1aは、
である。
いくつかの実施形態では、L
1bは、存在しない。いくつかの実施形態では、L
1bは、
である。いくつかの実施形態では、L
1bは、
である。
いくつかの実施形態では、mは、1または2である。いくつかの実施形態では、mは、1である。いくつかの実施形態では、mは、2である。
いくつかの実施形態では、L
1cは、存在しない。いくつかの実施形態では、L
1cは、
である。いくつかの実施形態では、L
1cは、
である。
いくつかの実施形態では、R6は、必要に応じて置換されたC6−C10アリールである。
いくつかの実施形態では、R
6は、
であり、式中、
n1は、0、1、2、3、4、または5であり、
それぞれのR
7は、独立して、ハロまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルである。
いくつかの実施形態では、それぞれのR
7は、独立して、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、または
である。
いくつかの実施形態では、n1は、0、1、または2である。いくつかの実施形態では、nは、0である。いくつかの実施形態では、n1は、1である。いくつかの実施形態では、n1は、2である。
いくつかの実施形態では、R6は、必要に応じて置換されたC3−C10シクロアルキルである。
いくつかの実施形態では、R6は、必要に応じて置換されたC3−C10モノシクロアルキルである。
いくつかの実施形態では、R
6は、
、
、
、
、または
であり、式中、
n2は、0、1、2、3、4、または5であり、
n3は、0、1、2、3、4、5、6、または7であり、
n4は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、または9であり、
n5は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11であり、
n6は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13であり、
それぞれのR
8は、独立して、ハロまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルである。
いくつかの実施形態では、それぞれのR
8は、独立して、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、または
である。
いくつかの実施形態では、R6は、必要に応じて置換されたC3−C10ポリシクロアルキルである。
いくつかの実施形態では、R
6は、
、
、または
である。
いくつかの実施形態では、R6は、必要に応じて置換されたC3−C10シクロアルケニルである。
いくつかの実施形態では、R
6は、
、
、または
であり、式中、
n7は、0、1、2、3、4、5、6、または7であり、
n8は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、または9であり、
n9は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11であり、
それぞれのR
9は、独立して、ハロまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルである。
いくつかの実施形態では、R
6は、
、
、または
である。
いくつかの実施形態では、それぞれのR
9は、独立して、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、または
である。
いくつかの実施形態では、R6は、必要に応じて置換されたC2−C9ヘテロシクリルである。
いくつかの実施形態では、R
6は、
、
、
、または
であり、式中、
n10は、0、1、2、3、4、または5であり、
n11は、0、1、2、3、4、または5であり、
n12は、0、1、2、3、4、5、6、または7であり、
n13は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、または9であり、
それぞれのR
10は、独立して、ハロまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
Y
1及びY
2はそれぞれ、独立して、O、S、NR
B、またはCR
11aR
11bであり、
R
Bは、Hまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
11a及びR
11bはそれぞれ、独立して、H、ハロ、または必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
Y
2がCR
11aR
11bである場合、Y
1は、O、S、またはNR
Bである。
いくつかの実施形態では、Y1は、Oである。
いくつかの実施形態では、Y2は、Oである。いくつかの実施形態では、Y2は、CR11aR11bである。
いくつかの実施形態では、それぞれのR
10は、独立して、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、または
である。
いくつかの実施形態では、R6は、必要に応じて置換されたC2−C9ヘテロアリールである。
いくつかの実施形態では、R
6は、
であり、式中、
Y
3は、NR
C、O、またはSであり、
n14は、0、1、2、3、または4であり、
R
Cは、Hまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
それぞれのR
12は、独立して、ハロまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルである。
いくつかの実施形態では、R
6は、
である。いくつかの実施形態では、R
6は、
である。
ある一態様では、本発明の構造脂質は、式SII:
式SII
の構造を有する化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とし、式中、
R
1aは、H、必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキル、必要に応じて置換されたC
2−C
6アルケニル、または必要に応じて置換されたC
2−C
6アルキニルであり、
Xは、OまたはSであり、
R
1bは、Hまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
2は、HまたはOR
Aであり、R
Aは、Hまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
3は、Hまたは
であり、
は、単結合または二重結合を表し、
Wは、CR
4aまたはCR
4aR
4bであり、Wと隣接炭素との間に二重結合が存在する場合、Wは、CR
4aであり、Wと隣接炭素との間に単結合が存在する場合、Wは、CR
4aR
4bであり、
R
4a及びR
4bはそれぞれ、独立して、H、ハロ、または必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
5a及びR
5bはそれぞれ、独立して、HもしくはOR
Aであるか、またはR
5a及びR
5bは、それぞれが結合している原子と一緒になって
を形成し、
L
1は、必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキレンであり、
R
13a、R
13b、及びR
13cはそれぞれ、独立して、必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルまたは必要に応じて置換されたC
6−C
10アリールである。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SIIa:
式SIIa
の構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SIIb:
式SIIb
の構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、L
1は、
、
、
、または
である。
いくつかの実施形態では、R
13a、R
13b、及びR
13cはそれぞれ、独立して、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、または
である。
ある一態様では、本発明の構造脂質は、式SIII:
式SIII
の構造を有する化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とし、式中、
R
1aは、H、必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキル、必要に応じて置換されたC
2−C
6アルケニル、または必要に応じて置換されたC
2−C
6アルキニルであり、
Xは、OまたはSであり、
R
1bは、Hまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
2は、HまたはOR
Aであり、R
Aは、Hまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
3は、Hまたは
であり、
それぞれの
は、独立して、単結合または二重結合を表し、
Wは、CR
4aまたはCR
4aR
4bであり、Wと隣接炭素との間に二重結合が存在する場合、Wは、CR
4aであり、Wと隣接炭素との間に単結合が存在する場合、Wは、CR
4aR
4bであり、
R
4a及びR
4bはそれぞれ、独立して、H、ハロ、ヒドロキシル、必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキル、−OS(O)
2R
4cであり、R
4cは、必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルまたは必要に応じて置換されたC
6−C
10アリールであり、
R
5a及びR
5bはそれぞれ、独立して、HもしくはOR
Aであるか、またはR
5a及びR
5bは、それぞれが結合している原子と一緒になって
を形成し、
R
14は、HまたはC
1−C
6アルキルであり、
R
15は、
、
または
であり、
R
16は、Hまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
17bは、H、OR
17c、必要に応じて置換されたC
6−C
10アリール、または必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
17cは、Hまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
o1は、0、1、2、3、4、5、6、7、または8であり、
p1は、0、1、または2であり、
p2は、0、1、または2であり、
Zは、CH
2O、S、またはNR
Dであり、R
Dは、Hまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
それぞれのR
18は,独立して,ハロまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルである。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SIIIa:
式SIIIa
の構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SIIIb:
式SIIIb
の構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、R
14は、H、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、または
である。
いくつかの実施形態では、R
15は、
である。いくつかの実施形態では、R
15は、
である。
いくつかの実施形態では、R
16は、Hである。いくつかの実施形態では、R
16は、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、または
である。
いくつかの実施形態では、R17aは、Hである。いくつかの実施形態では、R17aは、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルである。
いくつかの実施形態では、R17bは、Hである。いくつかの実施形態では、R17bは、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルである。いくつかの実施形態では、R17bは、OR17cである。
いくつかの実施形態では、R
17cは、H、
、または
である。いくつかの実施形態では、R
17cは、Hである。いくつかの実施形態では、R
17cは、
である。
いくつかの実施形態では、それぞれのR
18は、独立して、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、または
である。
いくつかの実施形態では、Zは、CH2である。いくつかの実施形態では、Zは、Oである。いくつかの実施形態では、Zは、NRDである。
いくつかの実施形態では、o1は、0、1、2、3、4、5、または6である。
いくつかの実施形態では、o1は、0である。いくつかの実施形態では、o1は、1である。いくつかの実施形態では、o1は、2である。いくつかの実施形態では、o1は、3である。いくつかの実施形態では、o1は、4である。いくつかの実施形態では、o1は、5である。いくつかの実施形態では、o1は、6である。
いくつかの実施形態では、p1は、0または1である。いくつかの実施形態では、p1は、0である。いくつかの実施形態では、p1は、1である。
いくつかの実施形態では、p2は、0または1である。いくつかの実施形態では、p2は、0である。いくつかの実施形態では、p2は、1である。
ある一態様では、本発明の構造脂質は、式SIV:
式SIV
の構造を有する化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とし、式中、
R
1aは、H、必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキル、必要に応じて置換されたC
2−C
6アルケニル、または必要に応じて置換されたC
2−C
6アルキニルであり、
Xは、OまたはSであり、
R
1bは、Hまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
2は、HまたはOR
Aであり、R
Aは、Hまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
3は、Hまたは
であり、
は、単結合または二重結合を表し、
Wは、CR
4aまたはCR
4aR
4bであり、Wと隣接炭素との間に二重結合が存在する場合、Wは、CR
4aであり、Wと隣接炭素との間に単結合が存在する場合、Wは、CR
4aR
4bであり、
R
4a及びR
4bはそれぞれ、独立して、H、ハロ、または必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
5a及びR
5bはそれぞれ、独立して、HもしくはOR
Aであるか、またはR
5a及びR
5bは、それぞれが結合している原子と一緒になって
を形成し、
sは、0または1であり、
R
19は、HまたはC
1−C
6アルキルであり、
R
20は、C
1−C
6アルキルであり、
R
21は、HまたはC
1−C
6アルキルである。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SIVa:
式SIVa
の構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SIVb:
式SIVb
の構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、R
19は、H、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、または
である。
いくつかの実施形態では、R
20は、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、または
である。
いくつかの実施形態では、R
21は、H、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、または
である。
ある一態様では、本発明の構造脂質は、式SV:
式SV
の構造を有する化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とし、式中、
R
1aは、H、必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキル、必要に応じて置換されたC
2−C
6アルケニル、または必要に応じて置換されたC
2−C
6アルキニルであり、
Xは、OまたはSであり、
R
1bは、Hまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
2は、HまたはOR
Aであり、R
Aは、Hまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
3は、Hまたは
であり、
は、単結合または二重結合を表し、
Wは、CR
4aまたはCR
4aR
4bであり、Wと隣接炭素との間に二重結合が存在する場合、Wは、CR
4aであり、Wと隣接炭素との間に単結合が存在する場合、Wは、CR
4aR
4bであり、
R
4a及びR
4bはそれぞれ、独立して、H、ハロ、または必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
5a及びR
5bはそれぞれ、独立して、HもしくはOR
Aであるか、またはR
5a及びR
5bは、それぞれが結合している原子と一緒になって
を形成し、
R
22は、HまたはC
1−C
6アルキルであり、
R
23は、ハロ、ヒドロキシル、必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキル、または必要に応じて置換されたC
1−C
6ヘテロアルキルである。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SVa:
式SVa
の構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SVb:
式SVb
の構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、R
22は、H、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、または
である。
いくつかの実施形態では、R
23は、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、または
である。
ある一態様では、本発明の構造脂質は、式SVI:
式SVI
の構造を有する化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とし、式中、
R
1aは、H、必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキル、必要に応じて置換されたC
2−C
6アルケニル、または必要に応じて置換されたC
2−C
6アルキニルであり、
Xは、OまたはSであり、
R
1bは、Hまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
2は、HまたはOR
Aであり、R
Aは、Hまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
3は、Hまたは
であり、
は、単結合または二重結合を表し、
Wは、CR
4aまたはCR
4aR
4bであり、Wと隣接炭素との間に二重結合が存在する場合、Wは、CR
4aであり、Wと隣接炭素との間に単結合が存在する場合、Wは、CR
4aR
4bであり、
R
4a及びR
4bはそれぞれ、独立して、H、ハロ、または必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
5a及びR
5bはそれぞれ、独立して、HもしくはOR
Aであるか、またはR
5a及びR
5bは、それぞれが結合している原子と一緒になって
を形成し、
R
24は、HまたはC
1−C
6アルキルであり、
R
25a及びR
25bはそれぞれ、C
1−C
6アルキルである。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SVIa:
式SVIa
の構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SVIb:
式SVIb
の構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、R
24は、H、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、または
である。
いくつかの実施形態では、R
25a及びR
25bはそれぞれ、独立して、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、または
である。
ある一態様では、本発明の構造脂質は、式SVII:
式SVII
の構造を有する化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とし、式中、
R
1aは、H、必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキル、必要に応じて置換されたC
2−C
6アルケニル、必要に応じて置換されたC
2−C
6アルキニル、または
であり、R
1c、R
1d、及びR
1eはそれぞれ、独立して、必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルまたは必要に応じて置換されたC
6−C
10アリールであり、
Xは、OまたはSであり、
R
1bは、Hまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
2は、HまたはOR
Aであり、R
Aは、Hまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
3は、Hまたは
であり、
は、単結合または二重結合を表し、
Wは、CR
4aまたはCR
4aR
4bであり、Wと隣接炭素との間に二重結合が存在する場合、Wは、CR
4aであり、Wと隣接炭素との間に単結合が存在する場合、Wは、CR
4aR
4bであり、
R
4a及びR
4bはそれぞれ、独立して、H、ハロ、または必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
5a及びR
5bはそれぞれ、独立して、HもしくはOR
Aであるか、またはR
5a及びR
5bは、それぞれが結合している原子と一緒になって
を形成し、
qは、0または1であり、
R
26a及びR
26bはそれぞれ、独立して、Hもしくは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであるか、またはR
26a及びR
26bは、それぞれが結合している原子と一緒になって
もしくは
を形成し、R
26c及びR
26はそれぞれ、独立して、Hもしくは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
27a及びR
27bはそれぞれ、H、ヒドロキシル、または必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルである。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SVIIa:
式SVIIa
の構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SVIIb:
式SVIIb
の構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、R
26a及びR
26bは、独立して、H、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、または
である。
いくつかの実施形態では、R
26a及びR
26bは、それぞれが結合している原子と一緒になって
または
を形成する。
いくつかの実施形態では、R
26a及びR
26bは、それぞれが結合している原子と一緒になって
を形成する。いくつかの実施形態では、R
26a及びR
26bは、それぞれが結合している原子と一緒になって
を形成する。
いくつかの実施形態では、R
26c及びR
26はそれぞれ、独立して、H、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、または
である。
いくつかの実施形態では、R27a及びR27bはそれぞれ、H、ヒドロキシル、または必要に応じて置換されたC1−C3アルキルである。
いくつかの実施形態では、R
27a及びR
27bそれぞれ、独立して、H、ヒドロキシル、
、
、
、
である。
ある一態様では、本発明の構造脂質は、式SVIII:
式SVIII
の構造を有する化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とし、式中、
R
1aは、H、必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキル、必要に応じて置換されたC
2−C
6アルケニル、または必要に応じて置換されたC
2−C
6アルキニルであり、
Xは、OまたはSであり、
R
1bは、Hまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
2は、HまたはOR
Aであり、R
Aは、Hまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
3は、Hまたは
であり、
は、単結合または二重結合を表し、
Wは、CR
4aまたはCR
4aR
4bであり、Wと隣接炭素との間に二重結合が存在する場合、Wは、CR
4aであり、Wと隣接炭素との間に単結合が存在する場合、Wは、CR
4aR
4bであり、
R
4a及びR
4bはそれぞれ、独立して、H、ハロ、または必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
5a及びR
5bはそれぞれ、独立して、HもしくはOR
Aであるか、またはR
5a及びR
5bは、それぞれが結合している原子と一緒になって
を形成し、
R
28は、Hまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
rは、1、2、または3であり、
それぞれのR
29は、独立して、Hまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
30a、R
30b、及びR
30cはそれぞれ、C
1−C
6アルキルである。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SVIIIa:
式SVIIIa
の構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SVIIIb:
式SVIIIb
の構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、R
28は、H、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、または
である。
いくつかの実施形態では、R
30a、R
30b、及びR
30cはそれぞれ、独立して、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、または
である。
いくつかの実施形態では、rは、1である。いくつかの実施形態では、rは、2である。いくつかの実施形態では、rは、3である。
いくつかの実施形態では、それぞれのR
29は、独立して、H、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、または
である。
いくつかの実施形態では、それぞれのR
29は、独立して、Hまたは
である。
ある一態様では、本発明の構造脂質は、式SIX:
式SIX
の構造を有する化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とし、式中、
R
1aは、H、必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキル、必要に応じて置換されたC
2−C
6アルケニル、または必要に応じて置換されたC
2−C
6アルキニルであり、
Xは、OまたはSであり、
R
1bは、Hまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
2は、HまたはOR
Aであり、R
Aは、Hまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
3は、Hまたは
であり、
は、単結合または二重結合を表し、
Wは、CR
4aまたはCR
4aR
4bであり、Wと隣接炭素との間に二重結合が存在する場合、Wは、CR
4aであり、Wと隣接炭素との間に単結合が存在する場合、Wは、CR
4aR
4bであり、
R
4a及びR
4bはそれぞれ、独立して、H、ハロ、または必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
5a及びR
5bはそれぞれ、独立して、HもしくはOR
Aであるか、またはR
5a及びR
5bは、それぞれが結合している原子と一緒になって
を形成し、
R
31は、HまたはC
1−C
6アルキルであり、
R
32a及びR
32bはそれぞれ、C
1−C
6アルキルである。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SIXa:
式SIXa
の構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SIXb:
式SIXb
の構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、R
31は、H、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、または
である。
いくつかの実施形態では、R
32a及びR
32bはそれぞれ、独立して、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、または
である。
ある一態様では、本発明の構造脂質は、式SX:
式SX
の構造を有する化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とし、式中、
R
1aは、H、必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキル、必要に応じて置換されたC
2−C
6アルケニル、または必要に応じて置換されたC
2−C
6アルキニルであり、
Xは、OまたはSであり、
R
2は、HまたはOR
Aであり、R
Aは、Hまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
3は、Hまたは
であり、
は、単結合または二重結合を表し、
Wは、CR
4aまたはCR
4aR
4bであり、Wと隣接炭素との間に二重結合が存在する場合、Wは、CR
4aであり、Wと隣接炭素との間に単結合が存在する場合、Wは、CR
4aR
4bであり、
R
4a及びR
4bはそれぞれ、独立して、H、ハロ、または必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
5a及びR
5bはそれぞれ、独立して、HもしくはOR
Aであるか、またはR
5a及びR
5bは、それぞれが結合している原子と一緒になって
を形成し、
R
33aは、必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルまたは
であり、R
35は、必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルもしくは必要に応じて置換されたC
6−C
10アリールであり、
R
33bは、Hもしくは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、または
R
35及びR
33bは、それぞれが結合している原子と一緒になることで、必要に応じて置換されたC
3−C
9ヘテロシクリルを形成し、
R
34は、必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6ヘテロアルキルである。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SXa:
式SXa
の構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SXb:
式SXb
の構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、R
35は、
、
、または
である。
いくつかの実施形態では、R
35は、
であり、式中、
tは、0、1、2、3、4、または5であり、
それぞれのR
36は、独立して、ハロ、ヒドロキシル、必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキル、または必要に応じて置換されたC
1−C
6ヘテロアルキルである。
いくつかの実施形態では、R
34は、
であり、式中、uは、0、1、2、3、または4である。
いくつかの実施形態では、uは、3または4である。
ある一態様では、本発明の構造脂質は、式SXI:
式SXI
の構造を有する化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とし、式中、
R
1aは、H、必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキル、必要に応じて置換されたC
2−C
6アルケニル、または必要に応じて置換されたC
2−C
6アルキニルであり、
Xは、OまたはSであり、
R
2は、HまたはOR
Aであり、R
Aは、Hまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
3は、Hまたは
であり、
は、単結合または二重結合を表し、
Wは、CR
4aまたはCR
4aR
4bであり、Wと隣接炭素との間に二重結合が存在する場合、Wは、CR
4aであり、Wと隣接炭素との間に単結合が存在する場合、Wは、CR
4aR
4bであり、
R
4a及びR
4bはそれぞれ、独立して、H、ハロ、または必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
5a及びR
5bはそれぞれ、独立して、HもしくはOR
Aであるか、またはR
5a及びR
5bは、それぞれが結合している原子と一緒になって
を形成し、
R
37a及びR
37bはそれぞれ、独立して、必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキル、必要に応じて置換されたC
1−C
6ヘテロアルキル、ハロ、またはヒドロキシルである。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SXIa:
式SXIa
の構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SXIb:
式SXIb
の構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、R37aは、ヒドロキシルである。
いくつかの実施形態では、R
37bは、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、または
である。
ある一態様では、本発明の構造脂質は、式SXII:
式SXII
の構造を有する化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とし、式中、
R
1aは、H、必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキル、必要に応じて置換されたC
2−C
6アルケニル、または必要に応じて置換されたC
2−C
6アルキニルであり、
Xは、OまたはSであり、
R
2は、HまたはOR
Aであり、R
Aは、Hまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
3は、Hまたは
であり、
は、単結合または二重結合を表し、
Wは、CR
4aまたはCR
4aR
4bであり、Wと隣接炭素との間に二重結合が存在する場合、Wは、CR
4aであり、Wと隣接炭素との間に単結合が存在する場合、Wは、CR
4aR
4bであり、
R
4a及びR
4bはそれぞれ、独立して、H、ハロ、または必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
5a及びR
5bはそれぞれ、独立して、HもしくはOR
Aであるか、またはR
5a及びR
5bは、それぞれが結合している原子と一緒になって
を形成し、
Qは、O、S、またはNR
Eであり、R
Eは、Hまたは必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルであり、
R
38は、必要に応じて置換されたC
1−C
6アルキルである。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SXIIa:
式SXIIa
の構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SXIIb:
式SXIIb
の構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、Qは、NREである。
いくつかの実施形態では、R
Eは、Hまたは
である。
いくつかの実施形態では、R
Eは、Hである。いくつかの実施形態では、R
Eは、
である。
いくつかの実施形態では、R
38は、
であり、式中、uは、0、1、2、3、または4である。
いくつかの実施形態では、Xは、Oである。
いくつかの実施形態では、R1aは、Hまたは必要に応じて置換されたC1−C6アルキルである。
いくつかの実施形態では、R1aは、Hである。
いくつかの実施形態では、R1bは、Hまたは必要に応じて置換されたC1−C6アルキルである。
いくつかの実施形態では、R1bは、Hである。
いくつかの実施形態では、R2は、Hである。
いくつかの実施形態では、R4aは、Hである。
いくつかの実施形態では、R4bは、Hである。
いくつかの実施形態では、R
3は、Hである。いくつかの実施形態では、R
3は、
である。
いくつかの実施形態では、R5aは、Hである。
いくつかの実施形態では、R5bは、Hである。
ある一態様では、本発明は、表1中の化合物S−1〜42、化合物S−150、化合物S−154、化合物S−162〜165、化合物S−169〜172、及び化合物S−184のいずれか1つの構造を有する化合物またはその任意の薬学的に許容される塩を特徴とする。本明細書で使用される「CMPD」は、「化合物」を指す。
ある一態様では、本発明は、表2中の化合物S−43〜50及び化合物S−175〜178のいずれか1つの構造を有する化合物またはその任意の薬学的に許容される塩を特徴とする。
ある一態様では、本発明は、表3中の化合物S−51〜67、化合物S−149、及び化合物S−153のいずれか1つの構造を有する化合物またはその任意の薬学的に許容される塩を特徴とする。
ある一態様では、本発明は、表4中の化合物S−68〜73のいずれか1つの構造を有する化合物またはその任意の薬学的に許容される塩を特徴とする。
ある一態様では、本発明は、表5中の化合物S−74〜78のいずれか1つの構造を有する化合物またはその任意の薬学的に許容される塩を特徴とする。
ある一態様では、本発明は、表6中の化合物S−79または化合物S−80のいずれか1つの構造を有する化合物またはその任意の薬学的に許容される塩を特徴とする。
ある一態様では、本発明は、表7中の化合物S−81〜87、化合物S−152、及び化合物S−157のいずれか1つの構造を有する化合物またはその任意の薬学的に許容される塩を特徴とする。
ある一態様では、本発明は、表8中の化合物S−88〜97のいずれか1つの構造を有する化合物またはその任意の薬学的に許容される塩を特徴とする。
ある一態様では、本発明は、表9中の化合物S−98〜105及び化合物S−180〜182のいずれか1つの構造を有する化合物またはその任意の薬学的に許容される塩を特徴とする。
ある一態様では、本発明は、表10中の化合物S−106の構造を有する化合物またはその任意の薬学的に許容される塩を特徴とする。
ある一態様では、本発明は、表11中の化合物S−107または化合物S−108の構造を有する化合物またはその任意の薬学的に許容される塩を特徴とする。
ある一態様では、本発明は、表12中の化合物S−109の構造を有する化合物またはその任意の薬学的に許容される塩を特徴とする。
ある一態様では、本発明は、表13中の化合物S−110〜130、化合物S−155、化合物S−156、化合物S−158、化合物S−160、化合物S−161、化合物S−166〜168、化合物S−173、化合物S−174、及び化合物S−179のいずれか1つの構造を有する化合物またはその任意の薬学的に許容される塩を特徴とする。
ある一態様では、本発明は、表14中の化合物S−131〜133のいずれか1つの構造を有する化合物またはその任意の薬学的に許容される塩を特徴とする。
ある一態様では、本発明は、表15中の化合物S−134〜148、化合物S−151、及び化合物S−159のいずれか1つの構造を有する化合物またはその任意の薬学的に許容される塩を特徴とする。
本発明の脂質ナノ粒子の構造脂質の1つ以上は、構造脂質の組成物(例えば、2つ以上の構造脂質の混合物、3つ以上の構造脂質の混合物、4つ以上の構造脂質の混合物、または5つ以上の構造脂質の混合物)であり得る。構造脂質の組成物には、限定されないが、ステロール(例えば、コレステロール、β−シトステロール、フェコステロール、エルゴステロール、シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール、エルゴステロール、トマチジン、トマチン、ウルソール酸、アルファ−トコフェロール、または表15中の化合物134〜148、化合物151、及び化合物159のいずれか1つ)を任意に組み合わせたものが含まれ得る。例えば、本発明の脂質ナノ粒子の構造脂質の1つ以上は、表16中の組成物183であり得る。
組成物S−183は、化合物S−141、化合物S−140、化合物S−143、及び化合物S−148の混合物である。いくつかの実施形態では、組成物S−183は、化合物S−141を約35%〜約45%含み、化合物S−140を約20%〜約30%含み、化合物S−143を約20%〜約30%含み、化合物S−148を約5%〜約15%含む。いくつかの実施形態では、組成物183は、化合物S−141を約40%含み、化合物S−140を約25%含み、化合物S−143を約25%含み、化合物S−148を約10%含む。
いくつかの実施形態では、構造脂質は、フィトステロールである。いくつかの実施形態では、フィトステロールは、シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、シトスタノール、カンペスタノール、ブラシカステロール、フコステロール、ベータ−シトステロール、スチグマスタノール、ベータ−シトスタノール、エルゴステロール、ルペオール、シクロアルテノール、Δ5−アベナセロール(avenaserol)、Δ7−アベナセロール(avenaserol)、またはΔ7−スチグマステロール(その類似体、塩、またはエステルを含む)の単独のものまたは組み合わさったものである。いくつかの実施形態では、本開示のLNPのフィトステロール成分は、単一のフィトステロールである。いくつかの実施形態では、本開示のLNPのフィトステロール成分は、異なるフィトステロール(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの異なるフィトステロール)の混合物である。いくつかの実施形態では、本開示のLNPのフィトステロール成分は、1つ以上のフィトステロールと1つ以上のズーステロールとの混合物(フィトステロール(例えば、シトステロール(ベータ−シトステロールなど))とコレステロールとの混合物など)である。
化合物の比率
本発明の脂質ナノ粒子は、本明細書に記載の構造成分を含み得る。脂質ナノ粒子の構造成分は、化合物S−1〜148のいずれか1つ、本発明の1つ以上の構造化合物の混合物、及び/または化合物S−1〜148のいずれか1つをコレステロール及び/またはフィトステロールと組み合わせたものであり得る。
例えば、脂質ナノ粒子の構造成分は、本発明の構造化合物の1つ以上(例えば、化合物S−1〜148のいずれか)とコレステロールとの混合物であり得る。脂質ナノ粒子に存在する構造化合物のmol%は、コレステロールに対して0〜99mol%であり得る。脂質ナノ粒子に存在する構造化合物のmol%は、コレステロールに対して約10mol%、約20mol%、約30mol%、約40mol%、約50mol%、約60mol%、約70mol%、約80mol%、または約90mol%であり得る。
一態様では、本発明は、2つ以上のステロールを含む組成物を特徴とし、2つ以上のステロールは、β−シトステロール、シトスタノール、カンペステロール、スチグマステロール、及びブラシカステロールのうちの少なくとも2つを含む。組成物は、コレステロールを追加で含み得る。一実施形態では、β−シトステロールは、組成物において、コレステロールではないステロールの約35〜99%(例えば、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、またはそれを超える%)を構成する。
別の態様では、本発明は、2つ以上のステロールを含む組成物を特徴とし、2つ以上のステロールは、β−シトステロール及びカンペステロールを含み、β−シトステロールは、組成物におけるステロールの95〜99.9%を構成し、カンペステロールは、組成物におけるステロールの0.1〜5%を構成する。
いくつかの実施形態では、組成物は、シトスタノールをさらに含む。いくつかの実施形態では、β−シトステロールは、組成物におけるステロールの95〜99.9%を構成し、カンペステロールは、組成物におけるステロールの0.05〜4.95%を構成し、シトスタノールは、組成物におけるステロールの0.05〜4.95%を構成する。
別の態様では、本発明は、2つ以上のステロールを含む組成物を特徴とし、2つ以上のステロールは、β−シトステロール及びシトスタノールを含み、β−シトステロールは、組成物におけるステロールの95〜99.9%を構成し、シトスタノールは、組成物におけるステロールの0.1〜5%を構成する。
いくつかの実施形態では、組成物は、カンペステロールをさらに含む。いくつかの実施形態では、β−シトステロールは、組成物におけるステロールの95〜99.9%を構成し、カンペステロールは、組成物におけるステロールの0.05〜4.95%を構成し、シトスタノールは、組成物におけるステロールの0.05〜4.95%を構成する。
いくつかの実施形態では、組成物は、カンペステロールをさらに含む。いくつかの実施形態では、β−シトステロールは、組成物におけるステロールの75〜80%を構成し、カンペステロールは、組成物におけるステロールの5〜10%を構成し、シトスタノールは、組成物におけるステロールの10〜15%を構成する。
いくつかの実施形態では、組成物は、追加のステロールをさらに含む。いくつかの実施形態では、β−シトステロールは、組成物におけるステロールの35〜45%を構成し、スチグマステロールは、組成物におけるステロールの20〜30%を構成し、カンペステロールは、組成物におけるステロールの20〜30%を構成し、ブラシカステロールは、組成物におけるステロールの1〜5%を構成する。
別の態様では、本発明は、複数の脂質ナノ粒子を含む組成物を特徴とし、複数の脂質ナノ粒子は、イオン化可能な脂質と2つ以上のステロールとを含み、2つ以上のステロールは、β−シトステロール及びカンペステロールを含み、β−シトステロールは、組成物におけるステロールの95〜99.9%を構成し、カンペステロールは、組成物におけるステロールの0.1〜5%を構成する。
いくつかの実施形態では、2つ以上のステロールは、シトスタノールをさらに含む。いくつかの実施形態では、β−シトステロールは、組成物におけるステロールの95〜99.9%を構成し、カンペステロールは、組成物におけるステロールの0.05〜4.95%を構成し、シトスタノールは、組成物におけるステロールの0.05〜4.95%を構成する。
別の態様では、本発明は、複数の脂質ナノ粒子を含む組成物を特徴とし、複数の脂質ナノ粒子は、イオン化可能な脂質と2つ以上のステロールとを含み、2つ以上のステロールは、β−シトステロール及びシトスタノールを含み、β−シトステロールは、組成物におけるステロールの95〜99.9%を構成し、シトスタノールは、組成物におけるステロールの0.1〜5%を構成する。
いくつかの実施形態では、2つ以上のステロールは、カンペステロールをさらに含む。いくつかの実施形態では、β−シトステロールは、組成物におけるステロールの95〜99.9%を構成し、カンペステロールは、組成物におけるステロールの0.05〜4.95%を構成し、シトスタノールは、組成物におけるステロールの0.05〜4.95%を構成する。
(iii)非カチオン性ヘルパー脂質/リン脂質
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の脂質ベースの組成物(例えば、LNP)は、1つ以上の非カチオン性ヘルパー脂質を含む。いくつかの実施形態では、非カチオン性ヘルパー脂質は、リン脂質である。いくつかの実施形態では、非カチオン性ヘルパー脂質は、リン脂質代用物またはリン脂質代替物である。
本明細書で使用される「非カチオン性ヘルパー脂質」という用語は、炭素数が少なくとも8の長さの脂肪酸鎖を少なくとも1つ含むと共に、極性頭部基部分を少なくとも1つ含む脂質を指す。一実施形態では、ヘルパー脂質は、ホスファチジルコリン(PC)ではない。一実施形態では、非カチオン性ヘルパー脂質は、リン脂質またはリン脂質代用物である。いくつかの実施形態では、リン脂質またはリン脂質代用物は、例えば、1つ以上の飽和もしくは(多価)不飽和のリン脂質、またはリン脂質代用物、あるいはそれらの組み合わせであり得る。一般に、リン脂質はリン脂質部分及び1つ以上の脂肪酸部分を含む。
リン脂質部分は、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、2−リゾホスファチジルコリン、及びスフィンゴミエリンからなる非限定的な群から選択され得る。
脂肪酸部分は、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アルファ−リノレン酸、エルカ酸、フィタン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、ドコサペンタエン酸、及びドコサヘキサエン酸からなる非限定的な群から選択され得る。
リン脂質には、限定されないが、グリセロリン脂質(ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、及びホスファチジン酸など)が含まれる。リン脂質には、スフィンゴリン脂質(スフィンゴミエリンなど)も含まれる。
いくつかの実施形態では、非カチオン性ヘルパー脂質は、DSPC類似体、DSPC代用物、オレイン酸、またはオレイン酸類似体である。
いくつかの実施形態では、非カチオン性ヘルパー脂質は、非ホスファチジルコリン(PC)両性イオン脂質、DSPC類似体、オレイン酸、オレイン酸類似体、または1,2−ジステアロイル−i77−グリセロ−3−ホスホコリン(DSPC)代用物である。
リン脂質
本明細書に開示の医薬組成物の脂質組成物は、1つ以上の非カチオン性ヘルパー脂質を含み得る。いくつかの実施形態では、非カチオン性ヘルパー脂質は、リン脂質(例えば、1つ以上の飽和もしくは(多価)不飽和のリン脂質、またはそれらの組み合わせ)である。一般に、リン脂質は、リン脂質部分と、1つ以上の脂肪酸部分と、を含む。本明細書で使用されるとき、「リン脂質」は、リン酸部分と、不飽和脂肪酸鎖などの1つ以上の炭素鎖とを含む脂質である。リン脂質は、1つ以上の多重(例えば、二重または三重)結合(例えば、1つ以上の不飽和)を含んでもよい。リン脂質またはその類似体もしくは誘導体はコリンを含んでもよい。リン脂質またはその類似体もしくは誘導体はコリンを含まない場合がある。特定のリン脂質は、膜への融合を促進することができる。例えば、カチオン性リン脂質は、膜(例えば、細胞膜または細胞内膜)の1つ以上の負に荷電したリン脂質と相互作用できる。膜へのリン脂質の融合は、脂質含有組成物の1つ以上の要素が膜を通過することを可能にでき、例えば、1つ以上の要素の細胞への送達を可能にする。
リン脂質部分は、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、2−リゾホスファチジルコリン、及びスフィンゴミエリンからなる非限定的な群から選択することができる。
脂肪酸部分は、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アルファ−リノレン酸、エルカ酸、フィタン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、ドコサペンタエン酸、及びドコサヘキサエン酸からなる非限定的な群から選択することができる。
特定のリン脂質は、膜への融合を促進することができる。例えば、カチオン性リン脂質は、膜(例えば、細胞膜または細胞内膜)の1つ以上の負に荷電したリン脂質と相互作用できる。膜へのリン脂質の融合は、脂質含有組成物(例えば、LNP)の1つ以上の要素(例えば、治療薬)が膜を通過することを可能にし、例えば、1つ以上の要素の標的組織への送達を可能にする。
本開示の脂質ナノ粒子の脂質成分は、1つ以上のリン脂質(1つ以上の(多価)不飽和脂質など)を含み得る。リン脂質は、1つ以上の脂質二重層に集合する場合がある。一般に、リン脂質は、リン脂質部分と、1つ以上の脂肪酸部分と、を含み得る。例えば、リン脂質は、式(H III):
を有する脂質であり得、
式中、R
pは、リン脂質部分を表し、R
1及びR
2は、不飽和度が同じもしくは異なり得る脂肪酸部分、または飽和した脂肪酸部分を表す。リン脂質部分は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、2−リゾホスファチジルコリン、及びスフィンゴミエリンからなる非限定的な群から選択され得る。脂肪酸部分は、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アルファ−リノレン酸、エルカ酸、フィタン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、ドコサペンタエン酸、及びドコサヘキサエン酸からなる非限定的な群から選択され得る。分岐、酸化、環化、及びアルキンを含む修飾及び置換を伴う天然種を含む非天然種もまた想定される。例えば、リン脂質は、1つ以上のアルキン(例えば、1つ以上の二重結合が三重結合で置き換えられたアルケニル基)で官能化または架橋することができる。適切な反応条件下で、アルキン基は、アジドへの曝露時に銅触媒による環化付加を起こし得る。そのような反応は、LNPの脂質二重層を官能化して膜透過もしくは細胞認識を促進する上で有用であるか、またはLNPを有用な構成成分(標的化部分もしくは画像化部分(例えば、色素)など)と複合体化させる上で有用であり得る。それぞれの可能性は、本発明の個別の実施形態となる。
本明細書に記載の組成物及び方法に有用なリン脂質において有用なリン脂質は、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DSPC)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2−ジリノレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DLPC)、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−ホスホコリン(DMPC)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DOPC)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC)、1,2−ジウンデカノイル−sn−グリセロ−ホスホコリン(DUPC)、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(POPC)、1,2−ジ−O−オクタデセニル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(18:0 Diether PC)、1−オレオイル−2−コレステリルヘミスクシノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(OChemsPC)、1−ヘキサデシル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(C16 Lyso PC)、1,2−ジリノレノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(18:3(cis)PC)、1,2−ジアラキドノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DAPC)、1,2−ジドコサヘキサエノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(22:6(cis)PC)、1,2−ジフィタノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(4ME 16.0 PE)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DSPE)、1,2−ジリノレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(PE(18:2/18:2)、1,2−ジリノレノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(PE 18:3(9Z,12Z,15Z)、1,2−ジアラキドノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DAPE 18:3(9Z,12Z,15Z)、1,2−ジドコサヘキサエノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(22:6(cis)PE)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−rac−(1−グリセロール)ナトリウム塩(DOPG)、及びスフィンゴミエリンからなる非限定的な群から選択され得る。それぞれの可能性は、本発明の個別の実施形態となる。
いくつかの実施形態では、LNPは、DSPCを含む。ある特定の実施形態では、LNPは、DOPEを含む。いくつかの実施形態では、LNPは、DMPEを含む。いくつかの実施形態では、LNPは、DSPCもDOPEも含む。
一実施形態では、免疫細胞送達LNPにおいて使用するための非カチオン性ヘルパー脂質は、DSPC、DMPE、及びDOPC、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。
リン脂質には、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、及びホスファチジン酸などのグリセロリン脂質が含まれるが、これらに限定されない。リン脂質には、スフィンゴミエリンなどのスフィンゴリン脂質も含まれる。
リン脂質の例としては、限定されないが、下記のものが挙げられる。
、
(DSPC)
、
(DOPC)
、
(PC(18:2(92,122)/18:2(92,122)
、
(DAPC)
、
(22:6(cis)PC)
、
(DSPE)
、
(DOPE)
、
PE18:2/18:2
、
PE(18:3(9Z,12Z,15Z/18:3(9Z,12Z,15Z))
、
DAPE
、
22:6PE
、
(Lyso PC18:1)
、
Cmpd H 416
、
MAPCHO−16
、及び
エデルトシン(Edeltosine)
。
Cmpd H 417
DPPC
DMPC
Cmpd H 418
Cmpd H 419
Cmpd H 420
Cmpd H 421
Cmpd H 422
ある特定の実施形態では、本発明において有用または潜在的に有用なリン脂質は、DSPC(1,2−ジオクタデカノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)の類似体またはバリアントである。ある特定の実施形態では、本発明において有用または潜在的に有用なリン脂質は、式(H IX):
の化合物またはその塩であり、式中:
各々のR
1は、独立して、必要に応じて置換されたアルキルであるか;または必要に応じて、2つのR
1は、介在原子と一緒になって、必要に応じて置換された単環式カルボシクリルもしくは必要に応じて置換された単環式ヘテロシクリルを形成するか;または、必要に応じて3つのR
1が介在原子と一緒になって、必要に応じて置換された二環式カルボシクリルもしくは必要に応じて置換された二環式ヘテロシクリルを形成し;
nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり;
mは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり;
Aは、式:
または式:
のものであり;
L
2のそれぞれの例は、独立して、結合または必要に応じて置換されたC
1−6アルキレンであり、必要に応じて置換されたC
1−6アルキレンのメチレン単位のうちの1つは、−O−、−N(R
N)−、−S−、−C(O)−、−C(O)N(R
N)−、−NR
NC(O)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−OC(O)O−、−OC(O)N(R
N)−、−NR
NC(O)O−、または−NR
NC(O)N(R
N)−によって必要に応じて置き換えられ;
R
2のそれぞれの例は、独立して、必要に応じて置換されたC
1−30アルキル、必要に応じて置換されたC
1−30アルケニル、または必要に応じて置換されたC
1−30アルキニルであり、必要に応じて、R
2のメチレン単位のうちの1つ以上は、必要に応じて置換されたカルボシクリレン、必要に応じて置換されたヘテロシクリレン、必要に応じて置換されたアリーレン、必要に応じて置換されたヘテロアリーレン、−N(R
N)−、−O−、−S−、−C(O)−、−C(O)N(R
N)−、−NR
NC(O)−、−NR
NC(O)N(R
N)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−OC(O)O−、−OC(O)N(R
N)−、−NR
NC(O)O−、−C(O)S−、−SC(O)−、−C(=NR
N)−、−C(=NR
N)N(R
N)−、−NR
NC(=NR
N)−、−NR
NC(=NR
N)N(R
N)−、−C(S)−、−C(S)N(R
N)−、−NR
NC(S)−、−NR
NC(S)N(R
N)−、−S(O)−、−OS(O)−、−S(O)O−、−OS(O)O−、−OS(O)
2−、−S(O)
2O−、−OS(O)
2O−、−N(R
N)S(O)−、−S(O)N(R
N)−、−N(R
N)S(O)N(R
N)−、−OS(O)N(R
N)−、−N(R
N)S(O)O−、−S(O)
2−、−N(R
N)S(O)
2−、−S(O)
2N(R
N)−、−N(R
N)S(O)
2N(R
N)−、−OS(O)
2N(R
N)−、または−N(R
N)S(O)
2O−によって独立して置き換えられ;
R
Nの各々の例は、独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル、または窒素保護基であり;
環Bは、必要に応じて置換されたカルボシクリル、必要に応じて置換されたヘテロシクリル、必要に応じて置換されたアリール、または必要に応じて置換されたヘテロアリールであり;
pは1または2であり;
ただし、この化合物は式:
、
であって、
式中、R
2の各例が、独立して、非置換アルキル、非置換アルケニル、または非置換アルキニルであるものではない。
i)リン脂質頭部の修飾
ある特定の実施形態では、本発明において有用または潜在的に有用なリン脂質は、修飾されたリン脂質頭部(例えば、修飾コリン基)を含む。ある特定の実施形態では、修飾された頭部を有するリン脂質は、修飾された第4級アミンを有するDSPCまたはその類似体である。例えば、式(IX)の実施形態では、R
1の少なくとも1つは、メチルではない。ある特定の実施形態では、R
1の少なくとも1つは、水素またはメチルである。ある特定の実施形態では、式(IX)の化合物は、下記の式:
、
、
、
、
のうちの1つの化合物またはその塩であり、式中:
各々のtは、独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり;
各々のuは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり;
各々のvは、独立して、1、2、または3である。
ある特定の実施形態では、式(H IX)の化合物は、下記の式:
、
、
、
、
、
、
、
、
のうちの1つの化合物またはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(H IX)の化合物は、下記の式:
(化合物H−400)、
(化合物H−401)、
(化合物H−402)、
(化合物H−403)、
(化合物H−404)、
(化合物H−405)、
(化合物H−406)、
(化合物H−407)、
(化合物H−408)、
(化合物H−409)
のうちの1つの化合物またはその塩である。
一実施形態では、免疫細胞送達LNPは、非カチオン性ヘルパー脂質として化合物H−409を含む。
(ii)リン脂質尾部の修飾
ある特定の実施形態では、本発明において有用または潜在的に有用なリン脂質は、修飾された尾部を含む。ある特定の実施形態では、本発明において有用または潜在的に有用なリン脂質は、修飾された尾部を有するDSPC(1,2−ジオクタデカノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)またはその類似体である。本明細書において記載されるとき、「修飾された尾部」は、より短いまたはより長い脂肪族鎖、分岐が導入された脂肪族鎖、置換基が導入された脂肪族鎖、1つ以上のメチレンが環状またはヘテロ原子基で置換された脂肪族鎖、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。例えば、ある特定の実施形態では、(H IX)の化合物は、式(H IX−a)の化合物またはその塩であり、R2は少なくとも1つ存在し、R2のそれぞれの例は、必要に応じて置換されたC1−30アルキルであり、R2のメチレン単位のうちの1つ以上は、必要に応じて置換されたカルボシクリレン、必要に応じて置換されたヘテロシクリレン、必要に応じて置換されたアリーレン、必要に応じて置換されたヘテロアリーレン、−N(RN)−、−O−、−S−、−C(O)−、−C(O)N(RN)−、−NRNC(O)−、−NRNC(O)N(RN)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−OC(O)O−、−OC(O)N(RN)−、−NRNC(O)O−、−C(O)S−、−SC(O)−、−C(=NRN)−、−C(=NRN)N(RN)−、−NRNC(=NRN)−、−NRNC(=NRN)N(RN)−、−C(S)−、−C(S)N(RN)−、−NRNC(S)−、−NRNC(S)N(RN)−、−S(O)−、−OS(O)−、−S(O)O−、−OS(O)O−、−OS(O)2−、−S(O)2O−、−OS(O)2O−、−N(RN)S(O)−、−S(O)N(RN)−、−N(RN)S(O)N(RN)−、−OS(O)N(RN)−、−N(RN)S(O)O−、−S(O)2−、−N(RN)S(O)2−、−S(O)2N(RN)−、−N(RN)S(O)2N(RN)−、−OS(O)2N(RN)−、または−N(RN)S(O)2O−によって独立して置き換えられる。
ある特定の実施形態では、式(H IX)の化合物は、式(H IX−c):
の化合物またはその塩であり、式中:
それぞれのxは、独立して、0〜30の整数(両端値を含む)であり、
Gのそれぞれの例は、必要に応じて置換されたカルボシクリレン、必要に応じて置換されたヘテロシクリレン、必要に応じて置換されたアリーレン、必要に応じて置換されたヘテロアリーレン、−N(R
N)−、−O−、−S−、−C(O)−、−C(O)N(R
N)−、−NR
NC(O)−、−NR
NC(O)N(R
N)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−OC(O)O−、−OC(O)N(R
N)−、−NR
NC(O)O−、−C(O)S−、−SC(O)−、−C(=NR
N)−、−C(=NR
N)N(R
N)−、−NR
NC(=NR
N)−、−NR
NC(=NR
N)N(R
N)−、−C(S)−、−C(S)N(R
N)−、−NR
NC(S)−、−NR
NC(S)N(R
N)−、−S(O)−、−OS(O)−、−S(O)O−、−OS(O)O−、−OS(O)
2−、−S(O)
2O−、−OS(O)
2O−、−N(R
N)S(O)−、−S(O)N(R
N)−、−N(R
N)S(O)N(R
N)−、−OS(O)N(R
N)−、−N(R
N)S(O)O−、−S(O)
2−、−N(R
N)S(O)
2−、−S(O)
2N(R
N)−、−N(R
N)S(O)
2N(R
N)−、−OS(O)
2N(R
N)−、または−N(R
N)S(O)
2O−からなる群から独立して選択される。それぞれの可能性は、本発明の個別の実施形態となる。
ある特定の実施形態では、式(H IX−c)の化合物は、式(H IX−c−1):
の化合物またはその塩であり、式中:
vのそれぞれの例は、独立して、1、2、または3である。
ある特定の実施形態では、式(H IX−c)の化合物は、式(H IX−c−2):
の化合物またはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(IX−c)の化合物は、下記の式:
の化合物またはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(H IX−c)の化合物は、下記の式:
の化合物またはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(H IX−c)の化合物は、式(H IX−c−3):
の化合物またはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(H IX−c)の化合物は、下記の式:
の化合物またはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(H IX−c)の化合物は、下記の式:
の化合物またはその塩である。
ある特定の実施形態では、本発明において有用または潜在的に有用なリン脂質は、修飾ホスホコリン部分を含み、第4級アミンをホスホリル基に連結するアルキル鎖はエチレンではない(例えば、nは2ではない)。したがって、ある特定の実施形態では、本発明において有用または潜在的に有用なリン脂質は、式(H IX)の化合物であり、nは、1、3、4、5、6、7、8、9、または10である。例えば、ある特定の実施形態では、式(H IX)の化合物は、下記の式:
、
のうちの1つの化合物またはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(H IX)の化合物は、下記の式:
(化合物H−411)
(化合物H−412)
(化合物H−413)
(化合物H−414)
のうちの1つの化合物またはその塩である。
ある特定の実施形態では、本発明のリン脂質の代わりに代替の脂質が使用される。そのような代替の脂質の例としては、限定されないが、下記のものが挙げられる。
、
、
、
、
、
、及び
。
リン脂質尾部の修飾
ある特定の実施形態では、本発明において有用なリン脂質は、修飾された尾部を含む。ある特定の実施形態では、本発明において有用なリン脂質は、修飾された尾部を有するDSPCまたはその類似体である。本明細書に記載の「修飾された尾部」は、脂肪族鎖が短鎖化もしくは長鎖化した尾部、脂肪族鎖に分岐が導入された尾部、脂肪族鎖に置換基が導入された尾部、脂肪族鎖のメチレンのうちの1つ以上が環式基もしくはヘテロ原子基によって置き換えられた尾部、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。例えば、ある特定の実施形態では、(H I)の化合物は、式(H I−a)の化合物またはその塩であり、R2は少なくとも1つ存在し、R2のそれぞれの例は、必要に応じて置換されたC1−30アルキルであり、R2のメチレン単位のうちの1つ以上は、必要に応じて置換されたカルボシクリレン、必要に応じて置換されたヘテロシクリレン、必要に応じて置換されたアリーレン、必要に応じて置換されたヘテロアリーレン、−N(RN)−、−O−、−S−、−C(O)−、−C(O)N(RN)−、−NRNC(O)−、−NRNC(O)N(RN)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−OC(O)O−、−OC(O)N(RN)−、−NRNC(O)O−、−C(O)S−、−SC(O)−、−C(=NRN)−、−C(=NRN)N(RN)−、−NRNC(=NRN)−、−NRNC(=NRN)N(RN)−、−C(S)−、−C(S)N(RN)−、−NRNC(S)−、−NRNC(S)N(RN)−、−S(O)−、−OS(O)−、−S(O)O−、−OS(O)O−、−OS(O)2−、−S(O)2O−、−OS(O)2O−、−N(RN)S(O)−、−S(O)N(RN)−、−N(RN)S(O)N(RN)−、−OS(O)N(RN)−、−N(RN)S(O)O−、−S(O)2−、−N(RN)S(O)2−、−S(O)2N(RN)−、−N(RN)S(O)2N(RN)−、−OS(O)2N(RN)−、または−N(RN)S(O)2O−によって独立して置き換えられる。
ある特定の実施形態では、式(H I−a)の化合物は、式(H I−c):
の化合物またはその塩であり、式中:
それぞれのxは、独立して、0〜30の整数(両端値を含む)であり、
Gのそれぞれの例は、必要に応じて置換されたカルボシクリレン、必要に応じて置換されたヘテロシクリレン、必要に応じて置換されたアリーレン、必要に応じて置換されたヘテロアリーレン、−N(R
N)−、−O−、−S−、−C(O)−、−C(O)N(R
N)−、−NR
NC(O)−、−NR
NC(O)N(R
N)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−OC(O)O−、−OC(O)N(R
N)−、−NR
NC(O)O−、−C(O)S−、−SC(O)−、−C(=NR
N)−、−C(=NR
N)N(R
N)−、−NR
NC(=NR
N)−、−NR
NC(=NR
N)N(R
N)−、−C(S)−、−C(S)N(R
N)−、−NR
NC(S)−、−NR
NC(S)N(R
N)−、−S(O)−、−OS(O)−、−S(O)O−、−OS(O)O−、−OS(O)
2−、−S(O)
2O−、−OS(O)
2O−、−N(R
N)S(O)−、−S(O)N(R
N)−、−N(R
N)S(O)N(R
N)−、−OS(O)N(R
N)−、−N(R
N)S(O)O−、−S(O)
2−、−N(R
N)S(O)
2−、−S(O)
2N(R
N)−、−N(R
N)S(O)
2N(R
N)−、−OS(O)
2N(R
N)−、または−N(R
N)S(O)
2O−からなる群から独立して選択される。それぞれの可能性は、本発明の個別の実施形態となる。
ある特定の実施形態では、式(H I−c)の化合物は、式(H I−c−1):
の化合物またはその塩であり、式中:
vのそれぞれの例は、独立して、1、2、または3である。
ある特定の実施形態では、式(H I−c)の化合物は、式(H I−c−2):
の化合物またはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(I−c)の化合物は、下記の式:
の化合物またはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(H I−c)の化合物は、下記の式:
の化合物またはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(H I−c)の化合物は、式(H I−c−3):
の化合物またはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(H I−c)の化合物は、下記の式:
の化合物またはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(H I−c)の化合物は、下記の式:
の化合物またはその塩である。
ホスホコリンリンカーの修飾
ある特定の実施形態では、本発明において有用なリン脂質は、修飾されたホスホコリン部分を含み、第4級アミンをホスホリル基に連結するアルキル鎖はエチレンではない(例えば、nは、2ではない)。したがって、ある特定の実施形態では、本発明において有用なリン脂質は、式(H I)の化合物であり、式中、nは、1、3、4、5、6、7、8、9、または10である。例えば、ある特定の実施形態では、式(H I)の化合物は、下記の式:
、
のうちの1つの化合物またはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(H I)の化合物は、下記の式:
(Cmpd H 162)
(Cmpd H 154)
(Cmpd H 156)
(Cmpd H 163)
のうちの1つの化合物またはその塩である。
DSPC以外のリン脂質を有する多数のLNP製剤を調製し、その活性を試験した。このことについては、後述の実施例に記載される。
リン脂質代用物またはリン脂質代替物
いくつかの実施形態では、脂質ベースの組成物(例えば、脂質ナノ粒子)は、リン脂質の代わりにオレイン酸またはオレイン酸類似体を含む。いくつかの実施形態では、オレイン酸類似体は、修飾されたオレイン酸尾部、修飾されたカルボン酸部分、またはこれらの両方を含む。いくつかの実施形態では、オレイン酸類似体は、異なる基によってオレイン酸のカルボン酸部分が置き換えられた化合物である。
いくつかの実施形態では、脂質ベースの組成物(例えば、脂質ナノ粒子)は、リン脂質の代わりに異なる両性イオン基を含む。
リン脂質代用物及び/またはリン脂質代替物の例は、公開PCT出願WO2017/099823に提供されており、当該文献は、参照によって本明細書に組み込まれる。
リン脂質代用物及び/またはリン脂質代替物の例は、公開PCT出願WO2017/099823に提供されており、当該文献は、参照によって本明細書に組み込まれる。
(iv)PEG脂質
PEG脂質の例としては、限定されないが、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジン酸、PEG−セラミド複合体(例えば、PEG−CerC14またはPEG−CerC20)、PEG修飾ジアルキルアミン、ならびにPEG修飾1,2−ジアシルオキシプロパン−3−アミンが挙げられる。このような脂質は、PEG化脂質とも呼ばれる。例えば、PEG脂質は、PEG−c−DOMG、PEG−DMG、PEG−DLPE、PEG−DMPE、PEG−DPPC、またはPEG−DSPE脂質であり得る。
いくつかの実施形態では、PEG脂質には、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロールメトキシポリエチレングリコール(PEG−DMG)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[アミノ(ポリエチレングリコール)](PEG−DSPE)、PEG−ジステリルグリセロール(PEG−DSG)、PEG−ジパルメトレイル、PEG−ジオレイル、PEG−ジステアリル、PEG−ジアシルグリカミド(PEG−DAG)、PEG−ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(PEG−DPPE)、またはPEG−1,2−ジミリスチルオクスルプロピル−3−アミン(PEG−c−DMA)が含まれるが、これらに限定されない。
一実施形態では、PEG脂質は、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、PEG修飾ジアルキルグリセロール、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、PEG脂質の脂質部分には、約C14〜約C22、好ましくは約C14〜約C16の長さを有するものが含まれる。いくつかの実施形態では、PEG部分、例えばmPEG−NH2は、約1000、2000、5000、10,000、15,000、または20,000ダルトンのサイズを有する。一実施形態では、PEG脂質はPEG2k−DMGである。
一実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子は、非拡散性PEGであるPEG脂質を含むことができる。非拡散性PEGの非限定的な例には、PEG−DSG及びPEG−DSPEが含まれる。
PEG脂質は、米国特許第8158601号及び国際公開WO2015/130584 A2に記載されているものなど、当技術分野で知られており、これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
一般に、本明細書に記載の様々な式の他の脂質成分のいくつか(例えば、PEG脂質)は、2016年12月10日に出願された「Compositions and Methods for Delivery of Therapeutic Agents」と題する国際特許出願PCT/US2016/000129に記載のように合成することができ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
脂質ナノ粒子組成物の脂質成分は、PEGまたはPEG修飾脂質などのポリエチレングリコールを含む1つ以上の分子を含んでもよい。そのような種は、代替的にPEG化脂質と呼ばれる場合がある。PEG脂質は、ポリエチレングリコールで修飾された脂質である。PEG脂質は、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、PEG修飾ジアルキルグリセロール、及びそれらの混合物を含む非限定的な群から選択され得る。例えば、PEG脂質は、PEG−c−DOMG、PEG−DMG、PEG−DLPE、PEG−DMPE、PEG−DPPC、またはPEG−DSPE脂質であり得る。
いくつかの実施形態では、PEG修飾脂質は、PEG DMGの修飾形態である。PEG−DMGは、下記の構造を有する。
一実施形態では、本発明において有用なPEG脂質は、国際公開WO2012099755に記載されているPEG化脂質であり得、その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されるこれらの例示的なPEG脂質のいずれも、PEG鎖上にヒドロキシル基を含むように修飾され得る。ある特定の実施形態では、PEG脂質はPEG−OH脂質である。本明細書で一般的に定義されるように、「PEG−OH脂質」(本明細書では「ヒドロキシ−PEG化脂質」とも呼ばれる)は、脂質上に1つ以上のヒドロキシル(−OH)基を有するPEG化脂質である。ある特定の実施形態では、PEG−OH脂質には、PEG鎖に1つ以上のヒドロキシル基が含まれている。ある特定の実施形態では、PEG−OHまたはヒドロキシ−PEG化脂質は、PEG鎖の末端に−OH基を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
いくつかの実施形態では、PEG脂質は、式(PI):
の化合物またはその塩もしくは異性体であり、式中:
rは、1〜100の整数であり、
R
5PEGは、C
10−40アルキル、C
10−40アルケニル、またはC
10−40アルキニルであり、R
5PEGのメチレン基のうちの1つ以上は、C
3−10カルボシクリレン、4〜10員のヘテロシクリレン、C
6−10アリーレン、4〜10員のヘテロアリーレン、−N(R
N)−、−O−、−S−、−C(O)−、−C(O)N(R
N)−、−NR
NC(O)−、−NR
NC(O)N(R
N)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−OC(O)O−、−OC(O)N(R
N)−、−NR
NC(O)O−、−C(O)S−、−SC(O)−、−C(=NR
N)−、−C(=NR
N)N(R
N)−、−NR
NC(=NR
N)−、−NR
NC(=NR
N)N(R
N)−、−C(S)−、−C(S)N(R
N)−、−NR
NC(S)−、−NR
NC(S)N(R
N)−、−S(O)−、−OS(O)−、−S(O)O−、−OS(O)O−、−OS(O)
2−、−S(O)
2O−、−OS(O)
2O−、−N(R
N)S(O)−、−S(O)N(R
N)−、−N(R
N)S(O)N(R
N)−、−OS(O)N(R
N)−、−N(R
N)S(O)O−、−S(O)
2−、−N(R
N)S(O)
2−、−S(O)
2N(R
N)−、−N(R
N)S(O)
2N(R
N)−、−OS(O)
2N(R
N)−、または−N(R
N)S(O)
2O−によって必要に応じて独立して置き換えられ、
R
Nのそれぞれの例は、独立して、水素、C
1−6アルキル、または窒素保護基である。
例えば、R
5PEGは、C
17アルキルである。例えば、PEG脂質は、式(PI−a):
の化合物またはその塩もしくは異性体であり、式中、rは、1〜100の整数である。
例えば、PEG脂質は、下記の式:
(PEG1;以降は、化合物428とも称される)
の化合物またはその塩もしくは異性体である。
PEG脂質は、式(PII):
の化合物またはその塩もしくは異性体であり得、式中:
sは、1〜100の整数であり、
R’’は、水素、C1
−10アルキル、または酸素保護基であり、
R
7PEGは、C
10−40アルキル、C
10−40アルケニル、またはC
10−40アルキニルであり、R
5PEGのメチレン基のうちの1つ以上は、C
3−10カルボシクリレン、4〜10員のヘテロシクリレン、C
6−10アリーレン、4〜10員のヘテロアリーレン、−N(R
N)−、−O−、−S−、−C(O)−、−C(O)N(R
N)−、−NR
NC(O)−、−NR
NC(O)N(R
N)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−OC(O)O−、−OC(O)N(R
N)−、−NR
NC(O)O−、−C(O)S−、−SC(O)−、−C(=NR
N)−、−C(=NR
N)N(R
N)−、−NR
NC(=NR
N)−、−NR
NC(=NR
N)N(R
N)−、−C(S)−、−C(S)N(R
N)−、−NR
NC(S)−、−NR
NC(S)N(R
N)−、−S(O)−、−OS(O)−、−S(O)O−、−OS(O)O−、−OS(O)
2−、−S(O)
2O−、−OS(O)
2O−、−N(R
N)S(O)−、−S(O)N(R
N)−、−N(R
N)S(O)N(R
N)−、−OS(O)N(R
N)−、−N(R
N)S(O)O−、−S(O)
2−、−N(R
N)S(O)
2−、−S(O)
2N(R
N)−、−N(R
N)S(O)
2N(R
N)−、−OS(O)
2N(R
N)−、または−N(R
N)S(O)
2O−によって必要に応じて独立して置き換えられ、
R
Nのそれぞれの例は、独立して、水素、C
1−6アルキル、または窒素保護基である。
いくつかの実施形態では、R7PEGは、C10−60アルキルであり、R7PEGのメチレン基のうちの1つ以上は、−C(O)−によって置き換えられる。例えば、R7PEGは、C31アルキルであり、R7PEGのメチレン基のうちの2つは、−C(O)−によって置き換えられる。
いくつかの実施形態では、R’’は、メチルである。
いくつかの実施形態では、PEG脂質は、式(PII−a):
の化合物またはその塩もしくは異性体であり、式中、sは、1〜100の整数である。
例えば、PEG脂質は、下記の式:
の化合物またはその塩もしくは異性体である。
ある特定の実施形態では、本発明において有用なPEG脂質は、式(PIII)の化合物である。式(PIII):
の化合物またはその塩が本明細書で提供され、式中:
R
3は、−OR
Oであり;
R
Oは、水素、必要に応じて置換されたアルキル、または酸素保護基であり;
rは1〜100の整数であり、両端を含み;
L
1は、必要に応じて置換されたC
1−10アルキレンであり、必要に応じて置換されたC
1−10アルキレンの少なくとも1つのメチレンは、必要に応じて置換されたカルボシクリレン、必要に応じて置換されたヘテロシクリレン、必要に応じて置換されたアリーレン、必要に応じて置換されたヘテロアリーレン、O、N(R
N)、S、C(O)、C(O)N(R
N)、NR
NC(O)、C(O)O、OC(O)、OC(O)O、OC(O)N(R
N)、NR
NC(O)O、またはNR
NC(O)N(R
N)によって独立して置き換えられ;
Dは、クリックケミストリーによって得られる部分または生理学的条件下で切断可能な部分であり;
mは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり;
Aは、式:
または式:
のものであり;
L
2の各々の例は、独立して、結合または必要に応じて置換されたC
1−6アルキレンであり、必要に応じて置換されたC
1−6アルキレンの1つのメチレン単位は、O、N(R
N)、S、C(O)、C(O)N(R
N)、NR
NC(O)、C(O)O、OC(O)、OC(O)O、OC(O)N(R
N)、NR
NC(O)O、またはNR
NC(O)N(R
N)によって必要に応じて置き換えられ;
R
2の各々の例は、独立して、必要に応じて置換されたC
1−30アルキル、必要に応じて置換されたC
1−30アルケニル、または必要に応じて置換されたC
1−30アルキニルであり;必要に応じて、R
2の1つ以上のメチレン単位は、必要に応じて置換されたカルボシクリレン、必要に応じて置換されたヘテロシクリレン、必要に応じて置換されたアリーレン、必要に応じて置換されたヘテロアリーレン、N(R
N)、O、S、C(O)、C(O)N(R
N)、NR
NC(O)、NR
NC(O)N(R
N)、C(O)O、OC(O)、−OC(O)O、OC(O)N(R
N)、NR
NC(O)O、C(O)S、SC(O)、C(=NR
N)、C(=NR
N)N(R
N)、NR
NC(=NR
N)、NR
NC(=NR
N)N(R
N)、C(S)、C(S)N(R
N)、NR
NC(S)、NR
NC(S)N(R
N)、S(O)、OS(O)、S(O)O、−OS(O)O、OS(O)
2、S(O)
2O、OS(O)
2O、N(R
N)S(O)、S(O)N(R
N)、N(R
N)S(O)N(R
N)、OS(O)N(R
N)、N(R
N)S(O)O、S(O)
2、N(R
N)S(O)
2、S(O)
2N(R
N)、N(R
N)S(O)
2N(R
N)、OS(O)
2N(R
N)、または−N(R
N)S(O)
2Oによって独立して置き換えられ;
R
Nの各々の例は、独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル、または窒素保護基であり;
環Bは、必要に応じて置換されたカルボシクリル、必要に応じて置換されたヘテロシクリル、必要に応じて置換されたアリール、または必要に応じて置換されたヘテロアリールであり;
pは1または2である。
ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、PEG−OH脂質(すなわち、R
3は、−OR
Oであり、R
Oは、水素である)である。ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、式(PIII−OH):
の化合物またはその塩である。
ある特定の実施形態では、Dは、クリックケミストリーによって得られる部分(例えば、トリアゾール)である。ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、式(PIII−a−1)もしくは式(PIII−a−2):
もしくは
の化合物またはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、下記の式:
、
、
、
のうちの1つの化合物またはその塩であり、式中、
sは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。
ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、下記の式:
、
、
、
のうちの1つの化合物またはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、下記の式:
、
、
、
のうちの1つの化合物またはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、下記の式:
(化合物P−415A)、
(化合物P−415)
(化合物P−416A)、
(化合物P−416)
(化合物P−417)、
(化合物P−418)
のうちの1つの化合物またはその塩である。
ある特定の実施形態では、Dは、生理学的条件下で切断可能な部分(例えば、エステル、アミド、カーボネート、カルバメート、尿素)である。ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、式(PIII−b−1)もしくは式(PIII−b−2):
の化合物またはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、式(PIII−b−1−OH)もしくは式(PIII−b−2−OH):
の化合物またはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、下記の式:
、
、
、
のうちの1つの化合物またはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、下記の式:
、
、
、
のうちの1つの化合物またはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、下記の式:
、
、
、
のうちの1つの化合物またはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、下記の式:
、
のうちの1つの化合物またはその塩である。
ある特定の実施形態では、本発明において有用なPEG脂質は、PEG化脂肪酸である。ある特定の実施形態では、本発明において有用なPEG脂質は、式(PIV)の化合物である。式(PIV):
の化合物またはその塩が本明細書で提供され、式中:
R
3は、−OR
Oであり;
R
Oは、水素、必要に応じて置換されたアルキル、または酸素保護基であり;
rは1〜100の整数(両端値を含む)であり;
R
5は、必要に応じて置換されたC
10−40アルキル、必要に応じて置換されたC
10−40アルケニル、または必要に応じて置換されたC
10−40アルキニルであり;必要に応じて、R
5の1つ以上のメチレン基は、必要に応じて置換されたカルボシクリレン、必要に応じて置換されたヘテロシクリレン、必要に応じて置換されたアリーレン、必要に応じて置換されたヘテロアリーレン、N(R
N)、O、S、C(O)、C(O)N(R
N)、−NR
NC(O)、NR
NC(O)N(R
N)、C(O)O、OC(O)、OC(O)O、OC(O)N(R
N)、NR
NC(O)O、C(O)S、SC(O)、C(=NR
N)、C(=NR
N)N(R
N)、NR
NC(=NR
N)、NR
NC(=NR
N)N(R
N)、C(S)、C(S)N(R
N)、NR
NC(S)、−NR
NC(S)N(R
N)、S(O)、OS(O)、S(O)O、OS(O)O、OS(O)
2、S(O)
2O、OS(O)
2O、N(R
N)S(O)、−S(O)N(R
N)、N(R
N)S(O)N(R
N)、OS(O)N(R
N)、N(R
N)S(O)O、S(O)
2、N(R
N)S(O)
2、S(O)
2N(R
N)、−N(R
N)S(O)
2N(R
N)、OS(O)
2N(R
N)、またはN(R
N)S(O)
2Oによって置き換えられ;
R
Nの各々の例は、独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル、または窒素保護基である。
ある特定の実施形態では、式(PIVの化合物は、式(PIV−OH):
の化合物またはその塩である。いくつかの実施形態では、rは、40〜50である。いくつかの実施形態では、rは、45である。
ある特定の実施形態では、式(PIV)の化合物は、下記の式:
(化合物P−419)、
(化合物P−420)、
(化合物P−421)、
(化合物P−422)、
(化合物P−423)、
(化合物P−424)、
(化合物P−425)、
(化合物P−426)
のうちの1つの化合物またはその塩である。いくつかの実施形態では、rは、40〜50である。いくつかの実施形態では、rは、45である。
さらに他の実施形態では、式(PIV)の化合物は、
(化合物P−427)
またはその塩である。
一実施形態では、式(PIV)の化合物は、
(化合物P−428)
である。
一態様では、式(PV):
のPEG脂質またはその薬学的に許容される塩を含む脂質ナノ粒子(LNP)が本明細書で提供され、式中:
L
1は、結合、必要に応じて置換されたC
1−3アルキレン、必要に応じて置換されたC
1−3ヘテロアルキレン、必要に応じて置換されたC
2−3アルケニレン、必要に応じて置換されたC
2−3アルキニレンであり、
R
1は、必要に応じて置換されたC
5−30アルキル
、必要に応じて置換されたC
5−30アルケニル、または必要に応じて置換されたC
5−30アルキニルであり、
R
Oは、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアシル、または酸素保護基であり、
rは、2〜100の整数(両端値を含む)である。
ある特定の実施形態では、式(PV)のPEG脂質は、下記の式:
のPEG脂質またはその薬学的に許容される塩であり、式中:
Y
1は、結合、−CR
2−、−O−、−NR
N−、または−S−であり、
Rのそれぞれの例は、独立して、水素、ハロゲン、または必要に応じて置換されたアルキルであり、
R
Nは、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアシル、または窒素保護基である。
ある特定の実施形態では、式(PV)のPEG脂質は、下記の式:
、
、
、
、
、
、
、もしくは
のうちの1つのPEG脂質またはその薬学的に許容される塩であり、式中:
Rのそれぞれの例は、独立して、水素、ハロゲン、または必要に応じて置換されたアルキルである。
ある特定の実施形態では、式(PV)のPEG脂質は、下記の式:
、
、
、
、
、
、
、もしくは
のうちの1つのPEG脂質またはその薬学的に許容される塩であり、式中:
sは、5〜25の整数(両端値を含む)である。
ある特定の実施形態では、式(PV)のPEG脂質は、下記の式:
、
、
、
、
、
、
、もしくは
のうちの1つのPEG脂質またはその薬学的に許容される塩である。
ある特定の実施形態では、式(PV)のPEG脂質は、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、及び
、
ならびにその薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
別の態様では、式(PVI):
のPEG脂質またはその薬学的に許容される塩を含む脂質ナノ粒子(LNP)が本明細書で提供され、式中:
R
Oは、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアシル、または酸素保護基であり、
rは、2〜100の整数(両端値を含む)であり、
mは、5〜15の整数(両端値を含む)または19〜30の整数(両端値を含む)である。
ある特定の実施形態では、式(PVI)のPEG脂質は、下記の式:
、
、
、もしくは
のうちの1つのPEG脂質またはその薬学的に許容される塩である。
ある特定の実施形態では、式(PVI)のPEG脂質は、下記の式:
、
、
、もしくは
、
のうちの1つのPEG脂質またはその薬学的に許容される塩である。
別の態様では、式(PVII):
のPEG脂質またはその薬学的に許容される塩を含む脂質ナノ粒子(LNP)が本明細書で提供され、式中:
Y
2は、−O−、−NR
N−、または−S−であり、
R
1のそれぞれの例は、独立して、必要に応じて置換されたC
5−30アルキル
、必要に応じて置換されたC
5−30アルケニル、または必要に応じて置換されたC
5−30アルキニルであり、
R
Oは、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアシル、または酸素保護基であり、
R
Nは、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアシル、または窒素保護基であり、
rは、2〜100の整数(両端値を含む)である。
ある特定の実施形態では、式(PVII)のPEG脂質は、下記の式:
、もしくは
のうちの1つのPEG脂質またはその薬学的に許容される塩である。
ある特定の実施形態では、式(PVII)のPEG脂質は、下記の式:
、もしくは
のうちの1つのPEG脂質またはその薬学的に許容される塩であり、式中:
sのそれぞれの例は、独立して、5〜25の整数(両端値を含む)である。
ある特定の実施形態では、式(PVII)のPEG脂質は、下記の式:
、もしくは
のうちの1つのPEG脂質またはその薬学的に許容される塩である。
ある特定の実施形態では、式(PVII)のPEG脂質は、
、
、
、及び
、
、
ならびにその薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
別の態様では、式(PVIII):
のPEG脂質またはその薬学的に許容される塩を含む脂質ナノ粒子(LNP)が本明細書で提供され、式中:
L
1は、結合、必要に応じて置換されたC
1−3アルキレン、必要に応じて置換されたC
1−3ヘテロアルキレン、必要に応じて置換されたC
2−3アルケニレン、必要に応じて置換されたC
2−3アルキニレンであり、
R
1のそれぞれの例は、独立して、必要に応じて置換されたC
5−30アルキル、必要に応じて置換されたC
3−30アルケニル、または必要に応じて置換されたC
5−30アルキニルであり、
R
Oは、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアシル、または酸素保護基であり、
rは、2〜100の整数(両端値を含む)であり、
ただし、L
1が−CH
2CH
2−または−CH
2CH
2CH
2−であるとき、R
Oは、メチルではない。
ある特定の実施形態では、L1が、必要に応じて置換されたC2アルキレンまたはC3アルキレンであるとき、ROは、必要に応じて置換されたアルキルではない。ある特定の実施形態では、L1が、必要に応じて置換されたC2アルキレンまたはC3アルキレンであるとき、ROは、水素である。ある特定の実施形態では、L1が−CH2CH2−または−CH2CH2CH2−であるとき、ROは、必要に応じて置換されたアルキルではない。ある特定の実施形態では、L1が−CH2CH2−または−CH2CH2CH2−であるとき、ROは、水素である。
ある特定の実施形態では、式(PVIII)のPEG脂質は、式:
のPEG脂質またはその薬学的に許容される塩であり、式中:
Y
1は、結合、−CR
2−、−O−、−NR
N−、または−S−であり、
Rのそれぞれの例は、独立して、水素、ハロゲン、または必要に応じて置換されたアルキルであり、
R
Nは、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアシル、または窒素保護基であり、
ただし、Y
1が結合または−CH
2−であるとき、R
Oは、メチルではない。
ある特定の実施形態では、L1が−CR2−であるとき、ROは、必要に応じて置換されたアルキルではない。ある特定の実施形態では、L1が−CR2−であるとき、ROは、水素である。ある特定の実施形態では、L1が−CH2−であるとき、ROは、必要に応じて置換されたアルキルではない。ある特定の実施形態では、L1が−CH2−であるとき、ROは、水素である。
ある特定の実施形態では、式(PVIII)のPEG脂質は、下記の式:
、
、
、
、
、
、
、
のうちの1つのPEG脂質またはその薬学的に許容される塩であり、式中:
Rのそれぞれの例は、独立して、水素、ハロゲン、または必要に応じて置換されたアルキルである。
ある特定の実施形態では、式(PVIII)のPEG脂質は、下記の式:
、
、
、
、
、
、
、
のうちの1つのPEG脂質またはその薬学的に許容される塩であり、式中:
Rのそれぞれの例は、独立して、水素、ハロゲン、または必要に応じて置換されたアルキルであり、
それぞれのsは、独立して、5〜25の整数(両端値を含む)である。
ある特定の実施形態では、式(PVIII)のPEG脂質は、下記の式:
、
、
、
、
、
、
、
のうちの1つのPEG脂質またはその薬学的に許容される塩である。
ある特定の実施形態では、式(PVIII)のPEG脂質は、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
及びその薬学的に許容される塩からからなる群から選択される。
前述の態様または関連する態様のいずれかでは、本発明のPEG脂質は、rが40〜50であることを特徴とする。
本明細書で提供されるLNPは、ある特定の実施形態では、現存するPEG脂質含有LNP製剤と比較してPEG放出を増加させる。本明細書で使用される「PEG放出」は、PEG脂質からPEG基が切断されることを指す。多くの場合、PEG脂質からのPEG基の切断は、エステラーゼによる切断または加水分解が血清によって誘導されることで生じる。本明細書で提供されるPEG脂質は、ある特定の実施形態では、PEG放出率が制御されるように設計されている。ある特定の実施形態では、ヒト血清中で、本明細書で提供されるLNPにおいて約6時間後に生じるPEG放出の%は、5%超、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、45%超、50%超、55%超、60%超、65%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超、または98%超である。ある特定の実施形態では、ヒト血清中で、本明細書で提供されるLNPにおいて約6時間後に生じるPEG放出の%は、50%超である。ある特定の実施形態では、ヒト血清中で、本明細書で提供されるLNPにおいて約6時間後に生じるPEG放出の%は、60%超である。ある特定の実施形態では、ヒト血清中で、本明細書で提供されるLNPにおいて約6時間後に生じるPEG放出の%は、70%超である。ある特定の実施形態では、ヒト血清中でLNPにおいて約6時間後に生じるPEG放出の%は、80%超である。ある特定の実施形態では、ヒト血清中でLNPにおいて約6時間後に生じるPEG放出の%は、90%超である。ある特定の実施形態では、ヒト血清中で、本明細書で提供されるLNPにおいて約6時間後に生じるPEG放出の%は、90%超である。
他の実施形態では、ヒト血清中で、本明細書で提供されるLNPにおいて約6時間後に生じるPEG放出の%は、5%未満、10%未満、15%未満、20%未満、25%未満、30%未満、35%未満、40%未満、45%未満、50%未満、55%未満、60%未満、65%未満、70%未満、75%未満、80%未満、85%未満、90%未満、95%未満、または98%未満である。ある特定の実施形態では、ヒト血清中で、本明細書で提供されるLNPにおいて約6時間後に生じるPEG放出の%は、60%未満である。ある特定の実施形態では、ヒト血清中で、本明細書で提供されるLNPにおいて約6時間後に生じるPEG放出の%は、70%未満である。ある特定の実施形態では、ヒト血清中で、本明細書で提供されるLNPにおいて約6時間後に生じるPEG放出の%は、80%未満である。
本明細書で提供されるPEG脂質に加えて、LNPは、追加の脂質成分を1つ以上含み得る。ある特定の実施形態では、PEG脂質は、他の脂質に対して0.15〜15%のモル比でLNPに存在する。ある特定の実施形態では、PEG脂質は、他の脂質に対して0.15〜5%のモル比で存在する。ある特定の実施形態では、PEG脂質は、他の脂質に対して1〜5%のモル比で存在する。ある特定の実施形態では、PEG脂質は、他の脂質に対して0.15〜2%のモル比で存在する。ある特定の実施形態では、PEG脂質は、他の脂質に対して1〜2%のモル比で存在する。ある特定の実施形態では、PEG脂質は、他の脂質に対して約1%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、または約2%のモル比で存在する。ある特定の実施形態では、PEG脂質は、他の脂質に対して約1.5%のモル比で存在する。
一実施形態では、本明細書に開示の医薬組成物の脂質組成物におけるPEG脂質の量の範囲は、約0.1mol%〜約5mol%、約0.5mol%〜約5mol%、約1mol%〜約5mol%、約1.5mol%〜約5mol%、約2mol%〜約5mol%、約0.1mol%〜約4mol%、約0.5mol%〜約4mol%、約1mol%〜約4mol%、約1.5mol%〜約4mol%、約2mol%〜約4mol%、約0.1mol%〜約3mol%、約0.5mol%〜約3mol%、約1mol%〜約3mol%、約1.5mol%〜約3mol%、約2mol%〜約3mol%、約0.1mol%〜約2mol%、約0.5mol%〜約2mol%、約1mol%〜約2mol%、約1.5mol%〜約2mol%、約0.1mol%〜約1.5mol%、約0.5mol%〜約1.5mol%、または約1mol%〜約1.5mol%である。
一実施形態では、本明細書に開示の脂質組成物におけるPEG脂質の量は、約2mol%である。一実施形態では、本明細書に開示の脂質組成物におけるPEG脂質の量は、約1.5mol%である。
一実施形態では、本明細書に開示の脂質組成物におけるPEG脂質の量は、少なくとも約0.1mol%、少なくとも約0.2mol%、少なくとも約0.3mol%、少なくとも約0.4mol%、少なくとも約0.5mol%、少なくとも約0.6mol%、少なくとも約0.7mol%、少なくとも約0.8mol%、少なくとも約0.9mol%、少なくとも約1mol%、少なくとも約1.1mol%、少なくとも約1.2mol%、少なくとも約1.3mol%、少なくとも約1.4mol%、少なくとも約1.5mol%、少なくとも約1.6mol%、少なくとも約1.7mol%、少なくとも約1.8mol%、少なくとも約1.9mol%、少なくとも約2mol%、少なくとも約2.1mol%、少なくとも約2.2mol%、少なくとも約2.3mol%、少なくとも約2.4mol%、少なくとも約2.5mol%、少なくとも約2.6mol%、少なくとも約2.7mol%、少なくとも約2.8mol%、少なくとも約2.9mol%、少なくとも約3mol%、少なくとも約3.1mol%、少なくとも約3.2mol%、少なくとも約3.3mol%、少なくとも約3.4mol%、少なくとも約3.5mol%、少なくとも約3.6mol%、少なくとも約3.7mol%、少なくとも約3.8mol%、少なくとも約3.9mol%、少なくとも約4mol%、少なくとも約4.1mol%、少なくとも約4.2mol%、少なくとも約4.3mol%、少なくとも約4.4mol%、少なくとも約4.5mol%、少なくとも約4.6mol%、少なくとも約4.7mol%、少なくとも約4.8mol%、少なくとも約4.9mol%、または少なくとも約5mol%である。
合成例:
化合物:HO−PEG
2000−エステル−C18
パラジウムを担持させた炭素(10wt.%、74mg、0.070mmol)を入れた窒素充填済フラスコに対して、ベンジル−PEG
2000−エステル−C18(822mg、0.35mmol)及びMeOH(20mL)を添加した。H
2を用いてフラスコの排気及び再充填を3回実施し、H
2雰囲気(1atm)下、室温でフラスコ内容物を12時間攪拌した。この混合物をceliteに通してろ過し(このろ過の際、DCMですすぎを行った)、ろ液を減圧下で濃縮することで所望の生成物(692mg、88%)を得た。この方法論を使用すると、n=40〜50となる。一実施形態では、得られる多分散系混合物のnは、平均45とされる。
例えば、rの値は、PEG脂質中のPEG部分の分子量に基づいて決定され得る。例えば、分子量2,000(例えば、PEG2000)のnの値は、約45に相当する。所与の組成物については、ポリマーは、長さが異なるポリマー鎖が分布するものとして見られることが多いため、nの値は、当該技術分野で許容される範囲内の値の分布をとることを暗示し得る。例えば、そのようなポリマー組成物の多分散性を理解している当業者であれば、nの値(例えば、構造式中のもの)が45なら、実際のPEG含有組成物(例えば、DMG PEG200 peg脂質組成物)における値の分布は40〜50となり得ることを理解するであろう。
いくつかの態様では、本明細書に開示の医薬組成物の免疫細胞送達脂質は、PEG脂質を含まない。
一実施形態では、本開示の免疫細胞送達LNPは、PEG脂質を含む。一実施形態では、PEG脂質は、PEG DMGではない。いくつかの態様では、PEG脂質は、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、PEG修飾ジアルキルグリセロール、及びそれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの態様では、PEG脂質は、PEG−c−DOMG脂質、PEG−DMG脂質、PEG−DLPE脂質、PEG−DMPE脂質、PEG−DPPC脂質、及びPEG−DSPE脂質からなる群から選択される。他の態様では、PEG脂質は、PEG−DMGである。
一実施形態では、本開示の免疫細胞送達LNPは、PEG脂質を含み、当該PEG脂質は、分岐を有する場合、約14超または約10超の鎖長を有する。
一実施形態では、PEG脂質は、化合物番号P415、化合物番号P416、化合物番号P417、化合物番号P 419、化合物番号P 420、化合物番号P 423、化合物番号P 424、化合物番号P 428、化合物番号P L1、化合物番号P L2、化合物番号P L16、化合物番号P L17、化合物番号P L18、化合物番号P L19、化合物番号P L22、及び化合物番号P L23のいずれかからなる群から選択される化合物である。一実施形態では、PEG脂質は、化合物番号P415、化合物番号P417、化合物番号P 420、化合物番号P 423、化合物番号P 424、化合物番号P 428、化合物番号P L1、化合物番号P L2、化合物番号P L16、化合物番号P L17、化合物番号P L18、化合物番号P L19、化合物番号P L22、及び化合物番号P L23のいずれかからなる群から選択される化合物である。
一実施形態では、PEG脂質は、Cmpd 428、Cmpd PL16、Cmpd PL17、Cmpd PL 18、Cmpd PL19、Cmpd PL 1、及びCmpd PL 2からなる群から選択される。
免疫細胞送達増強脂質
免疫細胞送達増強脂質は、LNPに有効量で存在するとき、免疫細胞送達増強脂質を含まないLNPと比較して免疫細胞(例えば、ヒトまたは霊長類の免疫細胞)への薬剤の送達を増進し、それによって、免疫細胞送達LNPを創出する。免疫細胞送達増強脂質は、LNPに存在するとき、免疫細胞送達増強脂質を含まない対照LNPと比較してLNPに存在する薬剤を免疫細胞に送達することを促進するという点において特徴付けられ得る。
一実施形態では、少なくとも1つの免疫細胞送達増強脂質がLNPに存在すると、少なくとも1つの免疫細胞送達増強脂質を含まない対照LNPと比較して免疫細胞と結合するLNPのパーセントが増加する。別の実施形態では、少なくとも1つの免疫細胞送達増強脂質がLNPに存在すると、免疫細胞送達増強脂質を含まない対照LNPと比較して免疫細胞への核酸分子剤の送達が増加する。一実施形態では、少なくとも1つの免疫細胞送達増強脂質がLNPに存在すると、免疫細胞送達増強脂質を含まない対照LNPと比較してB細胞への核酸分子剤の送達が増加する。具体的には、一実施形態では、少なくとも1つの免疫細胞送達増強脂質がLNPに存在すると、免疫細胞送達増強脂質を含まない対照LNPと比較して骨髄系細胞への核酸分子剤の送達が増加する。一実施形態では、少なくとも1つの免疫細胞送達増強脂質がLNPに存在すると、免疫細胞送達増強脂質を含まない対照LNPと比較してT細胞への核酸分子剤の送達が増加する。
一実施形態では、少なくとも1つの免疫細胞送達増強脂質がLNPに存在すると、少なくとも1つの免疫細胞送達増強脂質を含まない対照LNPと比較してC1qに結合するLNPのパーセントが増加する。一実施形態では、少なくとも1つの免疫細胞送達増強脂質がLNPに存在すると、少なくとも1つの免疫細胞送達増強脂質を含まない対照LNPと比較して、C1qと結合したLNPが免疫細胞によって取り込まれるパーセントが増加する(例えば、免疫細胞によるオプソニン化を介した取り込みのパーセントが増加する)。
一実施形態では、核酸分子がmRNAであるとき、少なくとも1つの免疫細胞送達増強脂質が存在すると、免疫細胞送達増強脂質を含まない対照LNPと比較して、mRNAによってコードされるタンパク質分子の免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、単球)における発現が少なくとも約2倍超に上昇する。
一実施形態では、免疫細胞送達増強脂質は、イオン化可能な脂質である。前述の態様または関連する態様のいずれかでは、本開示のLNPのイオン化可能な脂質(Iによって表される)は、いずれかに含まれる化合物(例えば、式(I I)、式(I IA)、式(I IB)、式(I II)、式(I IIa)、式(I IIb)、式(I IIc)、式(I IId)、式(I IIe)、式(I IIf)、式(I IIg)、式(I III)、式(I VI)、式(I VI−a)、式(I VII)、式(I VIII)、式(I VIIa)、式(I VIIIa)、式(I VIIIb)、式(I VIIb−1)、式(I VIIb−2)、式(I VIIb−3)、式(I VIIc)、式(I VIId)、式(I VIIIc)、式(I VIIId)、式(I IX)、式(I IXa1)、式(I IXa2)、式(I IXa3)、式(I IXa4)、式(I IXa5)、式(I IXa6)、式(I IXa7)、もしくは式(I IXa8)のいずれかを有する化合物)を含み、及び/または化合物X、化合物Y、化合物I 48、化合物I 50、化合物I 109、化合物I 111、化合物I 113、化合物I 181、化合物I 182、化合物I 244、化合物I 292、化合物I 301、化合物I 321、化合物I 322、化合物I 326、化合物I 328、化合物I 330、化合物I 331、化合物I 332、もしくは化合物I Mのいずれかを含む。
一実施形態では、免疫細胞送達増強脂質は、イオン化可能な脂質である。前述の態様または関連する態様のいずれかでは、本開示のLNPのイオン化可能な脂質は、化合物X、化合物Y、化合物I−321、化合物I−292、化合物I−326、化合物I−182、化合物I−301、化合物I−48、化合物I−50、化合物I−328、化合物I−330、化合物I−109、化合物I−111、または化合物I−181として本明細書に記載の化合物を含む。
前述の態様または関連する態様のいずれかでは、本開示のLNPのイオン化可能な脂質は、化合物番号I 18(化合物Xとも称される)、化合物番号I 25(化合物Yとも称される)、化合物番号I 48、化合物番号I 50、化合物番号I 109、化合物番号I 111、化合物番号I 113、化合物番号I 181、化合物番号I 182、化合物番号I 244、化合物番号I 292、化合物番号I 301、化合物番号I 309、化合物番号I 317、化合物番号I 321、化合物番号I 322、化合物番号I 326、化合物番号I 328、化合物番号I 330、化合物番号I 331、化合物番号I 332、化合物番号I 347、化合物番号I 348、化合物番号I 349、化合物番号I 350、化合物番号I 351、及び化合物番号I 352からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む。別の実施形態では、本開示のLNPのイオン化可能な脂質は、化合物番号I 18(化合物Xとも称される)、化合物番号I 25(化合物Yとも称される)、化合物番号I 48、化合物番号I 50、化合物番号I 109、化合物番号I 111、化合物番号I 181、化合物番号I 182、化合物番号I 292、化合物番号I 301、化合物番号I 321、化合物番号I 326、化合物番号I 328、及び化合物番号I 330からなる群から選択される化合物を含む。別の実施形態では、本開示のLNPのイオン化可能な脂質は、化合物番号I 182、化合物番号I 301、化合物番号I 321、及び化合物番号I 326からなる群から選択される化合物を含む。
免疫細胞送達増強脂質がイオン化可能な脂質を含む実施形態では、免疫細胞送達増強脂質は、LNPに存在する唯一のイオン化可能な脂質であり得るか、または追加のイオン化可能な脂質を少なくとも1つ含む混合物として存在し得ることが理解されよう。換言すれば、イオン化可能な脂質の混合物(例えば、免疫細胞送達増強効果を有する複数のイオン化可能な脂質の混合物、または免疫細胞送達増強効果を有する1つのイオン化可能な脂質と、免疫細胞送達増強効果を有さない少なくとも1つのイオン化可能な脂質と、の混合物)が用いられる可能性があるということである。
一実施形態では、免疫細胞送達増強脂質は、ステロールを含む。別の実施形態では、免疫細胞送達増強脂質は、天然起源のステロールを含む。別の実施形態では、免疫細胞送達増強脂質は、修飾ステロールを含む。一実施形態では、免疫細胞送達増強脂質は、1つ以上のフィトステロールを含む。一実施形態では、免疫細胞送達増強脂質は、フィトステロール/コレステロール混合物を含む。
一実施形態では、免疫細胞送達増強脂質は、有効量のフィトステロールを含む。
「フィトステロール」という用語は、フィトステロイド(その塩またはエステルを含む)である植物ベースのステロール及びスタノールの群を指す。
「ステロール」という用語は、ステロイドアルコールとしても知られるステロイドの部分群を指す。ステロールは、通常、(1)「フィトステロール」としても知られる植物ステロール、及び(2)「ズーステロール」としても知られる動物ステロール(コレステロールなど)、という2つのクラスに分けられる。「スタノール」という用語は、ステロール環構造に二重結合を有さないクラスの飽和ステロールを指す。
「有効量のフィトステロール」という用語は、所望の活性(例えば、送達増進、免疫細胞による取り込みの増進、核酸活性の増進)を誘発することになる量のフィトステロールが脂質ベースの組成物(LNPを含む)に1つ以上含まれることを意味することが意図される。いくつかの実施形態では、有効量のフィトステロールは、脂質ナノ粒子におけるステロールのすべてまたは実質的にすべて(すなわち、約99〜100%)である。いくつかの実施形態では、有効量のフィトステロールは、脂質ナノ粒子におけるステロールのすべてまたは実質的にすべてに満たない(約99〜100%未満)であるが、脂質ナノ粒子におけるフィトステロールではないステロールよりは多い量である。いくつかの実施形態では、有効量のフィトステロールは、脂質ナノ粒子におけるステロールの総量の50%超、60%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、または95%超である。いくつかの実施形態では、有効量のフィトステロールは、脂質ナノ粒子におけるステロールの総量の95〜100%、75〜100%、または50〜100%である。
いくつかの実施形態では、フィトステロールは、シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、シトスタノール、カンペスタノール、ブラシカステロール、フコステロール、ベータ−シトステロール、スチグマスタノール、ベータ−シトスタノール、エルゴステロール、ルペオール、シクロアルテノール、Δ5−アベナセロール(avenaserol)、Δ7−アベナセロール(avenaserol)、またはΔ7−スチグマステロール(その類似体、塩、またはエステルを含む)の単独のものまたは組み合わさったものである。いくつかの実施形態では、本開示のLNPのフィトステロール成分は、単一のフィトステロールである。いくつかの実施形態では、本開示のLNPのフィトステロール成分は、異なるフィトステロール(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの異なるフィトステロール)の混合物である。いくつかの実施形態では、本開示のLNPのフィトステロール成分は、1つ以上のフィトステロールと1つ以上のズーステロールとの混合物(フィトステロール(例えば、シトステロール(ベータ−シトステロールなど))とコレステロールとの混合物など)である。
いくつかの実施形態では、シトステロールは、ベータ−シトステロールである。
いくつかの実施形態では、ベータ−シトステロールは、式:
を有する(その類似体、塩、またはエステルを含む)。
いくつかの実施形態では、シトステロールは、スチグマステロールである。
いくつかの実施形態では、スチグマステロールは、式:
を有する(その類似体、塩、またはエステルを含む)。
いくつかの実施形態では、シトステロールは、カンペステロールである。
いくつかの実施形態では、カンペステロールは、式:
を有する(その類似体、塩、またはエステルを含む)。
いくつかの実施形態では、シトステロールは、シトスタノールである。
いくつかの実施形態では、シトスタノールは、式:
を有する(その類似体、塩、またはエステルを含む)。
いくつかの実施形態では、シトステロールは、カンペスタノールである。
いくつかの実施形態では、カンペスタノールは、式:
を有する(その類似体、塩、またはエステルを含む)。
いくつかの実施形態では、シトステロールは、ブラシカステロールである。
いくつかの実施形態では、ブラシカステロールは、式:
を有する(その類似体、塩、またはエステルを含む)。
いくつかの実施形態では、シトステロールは、フコステロールである。
いくつかの実施形態では、フコステロールは、式:
を有する(その類似体、塩、またはエステルを含む)。
いくつかの実施形態では、フィトステロール(例えば、ベータ−シトステロール)は、70%超の純度を有する。いくつかの実施形態では、フィトステロール(例えば、ベータ−シトステロール)は、80%超の純度を有する。いくつかの実施形態では、フィトステロール(例えば、ベータ−シトステロール)は、90%超の純度を有する。いくつかの実施形態では、フィトステロール(例えば、ベータ−シトステロール)は、95%超の純度を有する。いくつかの実施形態では、フィトステロール(例えば、ベータ−シトステロール)は、97%超、98%超、または99%超の純度を有する。
一実施形態では、免疫細胞送達増進LNPは、複数の型の構造脂質を含む。
例えば、一実施形態では、免疫細胞送達増進LNPは、フィトステロールである免疫細胞送達増強脂質を少なくとも1つ含む。一実施形態では、フィトステロールは、LNPにおける唯一の構造脂質である。別の実施形態では、免疫細胞送達LNPは、構造脂質の混合物を含む。
一実施形態では、本明細書に開示の医薬組成物の脂質組成物におけるフィトステロールと構造脂質とを合わせた量(例えば、ベータ−シトステロールとコレステロールとを合わせた量)の範囲は、約20mol%〜約60mol%、約25mol%〜約55mol%、約30mol%〜約50mol%、または約35mol%〜約45mol%である。
一実施形態では、本明細書に開示の脂質組成物におけるフィトステロールと構造脂質とを合わせた量(例えば、ベータ−シトステロールとコレステロールとを合わせた量)の範囲は、約25mol%〜約30mol%、約30mol%〜約35mol%、または約35mol%〜約40mol%である。
一実施形態では、本明細書に開示の脂質組成物におけるフィトステロール及び構造脂質(例えば、ベータ−シトステロール及びコレステロール)の量は、約24mol%、約29mol%、約34mol%、または約39mol%である。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の脂質組成物におけるフィトステロールと構造脂質とを合わせた量(例えば、ベータ−シトステロールとコレステロールとを合わせた量)は、少なくとも約20mol%、少なくとも約21mol%、少なくとも約22mol%、少なくとも約23mol%、少なくとも約24mol%、少なくとも約25mol%、少なくとも約26mol%、少なくとも約27mol%、少なくとも約28mol%、少なくとも約29mol%、少なくとも約30mol%、少なくとも約31mol%、少なくとも約32mol%、少なくとも約33mol%、少なくとも約34mol%、少なくとも約35mol%、少なくとも約36mol%、少なくとも約37mol%、少なくとも約38mol%、少なくとも約39mol%、少なくとも約40mol%、少なくとも約41mol%、少なくとも約42mol%、少なくとも約43mol%、少なくとも約44mol%、少なくとも約45mol%、少なくとも約46mol%、少なくとも約47mol%、少なくとも約48mol%、少なくとも約49mol%、少なくとも約50mol%、少なくとも約51mol%、少なくとも約52mol%、少なくとも約53mol%、少なくとも約54mol%、少なくとも約55mol%、少なくとも約56mol%、少なくとも約57mol%、少なくとも約58mol%、少なくとも約59mol%、または少なくとも約60mol%である。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、1つ以上のフィトステロール(例えば、ベータ−シトステロール)と、1つ以上の構造脂質(例えばコレステロール)と、を含む。いくつかの実施形態では、構造脂質のmol%は、脂質ナノ粒子に存在するフィトステロールのmol%の約1%〜50%である。いくつかの実施形態では、構造脂質のmol%は、脂質ベースの組成物(例えば、LNP)に存在するフィトステロールのmol%の約10%〜40%である。いくつかの実施形態では、構造脂質のmol%は、脂質ベースの組成物(例えば、LNP)に存在するフィトステロールのmol%の約20%〜30%である。いくつかの実施形態では、構造脂質のmol%は、脂質ベースの組成物(例えば、脂質ナノ粒子)に存在するフィトステロールのmol%の約30%である。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、フィトステロール(例えば、ベータ−シトステロール)を15〜40mol%含む。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、フィトステロール(例えば、ベータ−シトステロール)を約15mol%、約16mol%、約17mol%、約18mol%、約19mol%、約20mol%、約21mol%、約22mol%、約23mol%、約24mol%、約25mol%、約26mol%、約27mol%、約28mol%、約29mol%、約30mol%、約31mol%、約32mol%、約33mol%、約34mol%、約35mol%、約36mol%、約37mol%、約38mol%、約30mol%、または約40mol%含み、構造脂質(例えば、コレステロール)を0mol%、1mol%、2mol%、3mol%、4mol%、5mol%、6mol%、7mol%、8mol%、9mol%、10mol%、11mol%、12mol%、13mol%、14mol%、15mol%、16mol%、17mol%、18mol%、19mol%、20mol%、21mol%、22mol%、23mol%、24mol%、または25mol%含む。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、フィトステロール(例えば、ベータ−シトステロール)を20mol%超含み、構造脂質(例えば、コレステロール)を20mol%未満含み、その結果、フィトステロール及び構造脂質の総mol%は、30〜40mol%である。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、フィトステロール(例えば、ベータ−シトステロール)を約20mol%、約21mol%、約22mol%、約23mol%、約24mol%、約25mol%、約26mol%、約27mol%、約28mol%、約29mol%、約30mol%、約31mol%、約32mol%、約33mol%、約34mol%、約35mol%、約37mol%、約38mol%、約39mol%、または約40mol%含み、構造脂質(例えば、コレステロール)を、それぞれ約19mol%、約18mol%、約17mol%、約16mol%、約15mol%、約14mol%、約13mol%、約12mol%、約11mol%、約10mol%、約9mol%、約8mol%、約7mol%、約6mol%、約5mol%、約4mol%、約3mol%、約2mol%、約1mol%、または約0mol%含む。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、フィトステロール(例えば、ベータ−シトステロール)を約28mol%含み、構造脂質(例えば、コレステロール)を約10mol%含む。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、フィトステロール及び構造脂質(例えば、コレステロール)を総mol%で38.5%含む。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、フィトステロール(例えば、ベータ−シトステロール)を28.5mol%含み、構造脂質(例えば、コレステロール)を10mol%含む。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、フィトステロール(例えば、ベータ−シトステロール)を18.5mol%含み、構造脂質(例えば、コレステロール)を20mol%含む。
ある特定の実施形態では、LNPは、イオン化可能な脂質を50%含み、ヘルパー脂質(例えば、リン脂質)を10%含み、構造脂質を38.5%含み、PEG脂質を1.5%含む。ある特定の実施形態では、LNPは、イオン化可能な脂質を50%含み、ヘルパー脂質(例えば、リン脂質)を10%含み、構造脂質を38%含み、PEG脂質を2%含む。ある特定の実施形態では、LNPは、イオン化可能な脂質を50%含み、ヘルパー脂質(例えば、リン脂質)を20%含み、構造脂質を28.5%含み、PEG脂質を1.5%含む。ある特定の実施形態では、LNPは、イオン化可能な脂質を50%含み、ヘルパー脂質(例えば、リン脂質)を20%含み、構造脂質を28%含み、PEG脂質を2%含む。ある特定の実施形態では、LNPは、イオン化可能な脂質を40%含み、ヘルパー脂質(例えば、リン脂質)を30%含み、構造脂質を28.5%含み、PEG脂質を1.5%含む。ある特定の実施形態では、LNPは、イオン化可能な脂質を40%含み、ヘルパー脂質(例えば、リン脂質)を30%含み、構造脂質を28%含み、PEG脂質を2%含む。ある特定の実施形態では、LNPは、イオン化可能な脂質を45%含み、ヘルパー脂質(例えば、リン脂質)を20%含み、構造脂質を33.5%含み、PEG脂質を1.5%含む。ある特定の実施形態では、LNPは、イオン化可能な脂質を45%含み、ヘルパー脂質(例えば、リン脂質)を20%含み、構造脂質を33%含み、PEG脂質を2%含む。
一態様では、免疫細胞送達増進LNPは、フィトステロールを含み、当該LNPは、追加の構造脂質を含まない。したがって、LNPの構造脂質(ステロール)成分は、フィトステロールからなる。別の態様では、免疫細胞送達増進LNPは、フィトステロールと、追加の構造脂質と、を含む。したがって、LNPのステロール成分は、フィトステロールと、1つ以上の追加のステロールまたは構造脂質と、を含む。
前述の態様または関連する態様のいずれかでは、本開示のLNPの構造脂質(例えば、ステロール(フィトステロールまたはフィトステロール/コレステロール混合物など))は、コレステロール、β−シトステロール(本明細書ではCmpd S 141とも称される)、カンペステロール(本明細書ではCmpd S 143とも称される)、β−シトスタノール(本明細書ではCmpd S 144とも称される)、ブラシカステロール、もしくはスチグマステロールとして本明細書に記載の化合物、またはそれらの組み合わせもしくは混合物を含む。別の実施形態では、本開示のLNPの構造脂質(例えば、ステロール(フィトステロールまたはフィトステロール/コレステロール混合物など))は、コレステロール、β−シトステロール、カンペステロール、β−シトスタノール、ブラシカステロール、スチグマステロール、β−シトステロール−d7、化合物S−30、化合物S−31、化合物S−32から選択される化合物、またはそれらの組み合わせもしくは混合物を含む。別の実施形態では、本開示のLNPの構造脂質(例えば、ステロール(フィトステロールまたはフィトステロール/コレステロール混合物など))は、コレステロール、β−シトステロール(本明細書ではCmpd S 141とも称される)、カンペステロール(本明細書ではCmpd S 143とも称される)、β−シトスタノール(本明細書ではCmpd S 144とも称される)、化合物S−140、化合物S−144、ブラシカステロール(本明細書ではCmpd S 148とも称される)として本明細書に記載の化合物、または組成物S−183(化合物S−141を約40%含み、化合物S−140を約25%含み、化合物S−143を約25%含み、ブラシカステロールを約10%含む)を含む。いくつかの実施形態では、本開示のLNPの構造脂質は、化合物S−159、化合物S−160、化合物S−164、化合物S−165、化合物S−167、化合物S−170、化合物S−173、または化合物S−175として本明細書に記載の化合物を含む。
一実施形態では、免疫細胞送達増進LNPは、非カチオン性ヘルパー脂質(例えば、リン脂質)を含む。前述の態様または関連する態様のいずれかでは、本開示のLNPの非カチオン性ヘルパー脂質(例えば、リン脂質)は、DSPC、DMPE、DOPC、またはH−409として本明細書に記載の化合物を含む。一実施形態では、非カチオン性ヘルパー脂質(例えば、リン脂質)は、DSPCである。他の実施形態では、本開示のLNPの非カチオン性ヘルパー脂質(例えば、リン脂質)は、DSPC、DMPE、DOPC、DPPC、PMPC、H−409、H−418、H−420、H−421またはH−422として本明細書に記載の化合物を含む。
前述の態様または関連する態様のいずれかでは、本開示のLNPのPEG脂質は、本明細書に記載の化合物を含み、当該化合物は、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、PEG修飾ジアルキルグリセロール、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。別の実施形態では、PEG脂質は、化合物番号P415、化合物番号P416、化合物番号P417、化合物番号P 419、化合物番号P 420、化合物番号P 423、化合物番号P 424、化合物番号P 428、化合物番号P L5、化合物番号P L1、化合物番号P L2、化合物番号P L16、化合物番号P L17、化合物番号P L18、化合物番号P L19、化合物番号P L22、化合物番号P L23、DMG、DPG、及びDSGからなる群から選択される。別の実施形態では、PEG脂質は、Cmpd 428、Cmpd PL16、Cmpd PL17、Cmpd PL 18、Cmpd PL19、Cmpd P L5、Cmpd PL 1、及びCmpd PL 2からなる群から選択される。
一実施形態では、免疫細胞送達増強脂質は、イオン化可能な脂質とフィトステロールとの組み合わせを有効量で含む。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子を提供し、LNPは、イオン化可能な脂質として化合物Xを含み、リン脂質としてDSPCを含み、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β−シトステロール混合物を含み、PEG脂質として化合物428を含む。こうした化合物X含有組成物の様々な実施形態では、イオン化可能な脂質:リン脂質:構造脂質:PEG脂質の比は、例えば、下記の比であり得る:(i)50:10:38:2、(ii)50:20:28:2、(iii)40:20:38:2、(iv)40:30:28:2。構造脂質成分については、一実施形態では、構造脂質は、すべてコレステロールであり、38%または28%を構成する。別の実施形態では、構造脂質は、コレステロール/β−シトステロールであり、その総パーセントとして38%または28%を構成し、当該混合物は、例えば、(i)コレステロールを20%含み、β−シトステロールを18%含むか、(ii)コレステロールを10%含み、β−シトステロールを18%含むか、または(iii)コレステロールを10%含み、β−シトステロールを28%含み得る。別の実施形態では、構造脂質は、コレステロール/β−シトステロールであり、その総パーセントとして38.5%を構成し、当該混合物は、例えば、(i)コレステロールを20%含み、β−シトステロールを18.5%含むか、または(ii)コレステロールを10%含み、β−シトステロールを28.5%含み得る。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子を提供し、LNPは、イオン化可能な脂質として化合物Yを含み、リン脂質としてDSPCを含み、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β−シトステロール混合物を含み、PEG脂質として化合物428を含む。こうした化合物Y含有組成物の様々な実施形態では、イオン化可能な脂質:リン脂質:構造脂質:PEG脂質の比は、例えば、下記の比であり得る:(i)50:10:38:2、(ii)50:20:28:2、(iii)40:20:38:2、(iv)40:30:28:2。構造脂質成分については、一実施形態では、構造脂質は、すべてコレステロールであり、38%または28%を構成する。別の実施形態では、構造脂質は、コレステロール/β−シトステロールであり、その総パーセントとして38%または28%を構成し、当該混合物は、例えば、(i)コレステロールを20%含み、β−シトステロールを18%含むか、(ii)コレステロールを10%含み、β−シトステロールを18%含むか、または(iii)コレステロールを10%含み、β−シトステロールを28%含み得る。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子を提供し、LNPは、イオン化可能な脂質として化合物I−182を含み、リン脂質としてDSPCを含み、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β−シトステロール混合物を含み、PEG脂質として化合物428を含む。こうした化合物I−182含有組成物の様々な実施形態では、イオン化可能な脂質:リン脂質:構造脂質:PEG脂質の比は、例えば、下記の比であり得る:(i)50:10:38:2、(ii)50:20:28:2、(iii)40:20:38:2、(iv)40:30:28:2。構造脂質成分については、一実施形態では、構造脂質は、すべてコレステロールであり、38%または28%を構成する。別の実施形態では、構造脂質は、コレステロール/β−シトステロールであり、その総パーセントとして38%または28%を構成し、当該混合物は、例えば、(i)コレステロールを20%含み、β−シトステロールを18%含むか、(ii)コレステロールを10%含み、β−シトステロールを18%含むか、または(iii)コレステロールを10%含み、β−シトステロールを28%含み得る。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子を提供し、LNPは、イオン化可能な脂質として化合物I−321を含み、リン脂質としてDSPCを含み、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β−シトステロール混合物を含み、PEG脂質として化合物428を含む。こうした化合物I−321含有組成物の様々な実施形態では、イオン化可能な脂質:リン脂質:構造脂質:PEG脂質の比は、例えば、下記の比であり得る:(i)50:10:38:2、(ii)50:20:28:2、(iii)40:20:38:2、(iv)40:30:28:2。構造脂質成分については、一実施形態では、構造脂質は、すべてコレステロールであり、38%または28%を構成する。別の実施形態では、構造脂質は、コレステロール/β−シトステロールであり、その総パーセントとして38%または28%を構成し、当該混合物は、例えば、(i)コレステロールを20%含み、β−シトステロールを18%含むか、(ii)コレステロールを10%含み、β−シトステロールを18%含むか、または(iii)コレステロールを10%含み、β−シトステロールを28%含み得る。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子を提供し、LNPは、イオン化可能な脂質として化合物I−292を含み、リン脂質としてDSPCを含み、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β−シトステロール混合物を含み、PEG脂質として化合物428を含む。こうした化合物I−292含有組成物の様々な実施形態では、イオン化可能な脂質:リン脂質:構造脂質:PEG脂質の比は、例えば、下記の比であり得る:(i)50:10:38:2、(ii)50:20:28:2、(iii)40:20:38:2、(iv)40:30:28:2。構造脂質成分については、一実施形態では、構造脂質は、すべてコレステロールであり、38%または28%を構成する。別の実施形態では、構造脂質は、コレステロール/β−シトステロールであり、その総パーセントとして38%または28%を構成し、当該混合物は、例えば、(i)コレステロールを20%含み、β−シトステロールを18%含むか、(ii)コレステロールを10%含み、β−シトステロールを18%含むか、または(iii)コレステロールを10%含み、β−シトステロールを28%含み得る。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子を提供し、LNPは、イオン化可能な脂質として化合物I−326を含み、リン脂質としてDSPCを含み、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β−シトステロール混合物を含み、PEG脂質として化合物428を含む。こうした化合物I−326含有組成物の様々な実施形態では、イオン化可能な脂質:リン脂質:構造脂質:PEG脂質の比は、例えば、下記の比であり得る:(i)50:10:38:2、(ii)50:20:28:2、(iii)40:20:38:2、(iv)40:30:28:2。構造脂質成分については、一実施形態では、構造脂質は、すべてコレステロールであり、38%または28%を構成する。別の実施形態では、構造脂質は、コレステロール/β−シトステロールであり、その総パーセントとして38%または28%を構成し、当該混合物は、例えば、(i)コレステロールを20%含み、β−シトステロールを18%含むか、(ii)コレステロールを10%含み、β−シトステロールを18%含むか、または(iii)コレステロールを10%含み、β−シトステロールを28%含み得る。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子を提供し、LNPは、イオン化可能な脂質として化合物I−301を含み、リン脂質としてDSPCを含み、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β−シトステロール混合物を含み、PEG脂質として化合物428を含む。こうした化合物I−301含有組成物の様々な実施形態では、イオン化可能な脂質:リン脂質:構造脂質:PEG脂質の比は、例えば、下記の比であり得る:(i)50:10:38:2、(ii)50:20:28:2、(iii)40:20:38:2、(iv)40:30:28:2。構造脂質成分については、一実施形態では、構造脂質は、すべてコレステロールであり、38%または28%を構成する。別の実施形態では、構造脂質は、コレステロール/β−シトステロールであり、その総パーセントとして38%または28%を構成し、当該混合物は、例えば、(i)コレステロールを20%含み、β−シトステロールを18%含むか、(ii)コレステロールを10%含み、β−シトステロールを18%含むか、または(iii)コレステロールを10%含み、β−シトステロールを28%含み得る。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子を提供し、LNPは、イオン化可能な脂質として化合物I−48を含み、リン脂質としてDSPCを含み、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β−シトステロール混合物を含み、PEG脂質として化合物428を含む。こうした化合物I−48含有組成物の様々な実施形態では、イオン化可能な脂質:リン脂質:構造脂質:PEG脂質の比は、例えば、下記の比であり得る:(i)50:10:38:2、(ii)50:20:28:2、(iii)40:20:38:2、(iv)40:30:28:2。構造脂質成分については、一実施形態では、構造脂質は、すべてコレステロールであり、38%または28%を構成する。別の実施形態では、構造脂質は、コレステロール/β−シトステロールであり、その総パーセントとして38%または28%を構成し、当該混合物は、例えば、(i)コレステロールを20%含み、β−シトステロールを18%含むか、(ii)コレステロールを10%含み、β−シトステロールを18%含むか、または(iii)コレステロールを10%含み、β−シトステロールを28%含み得る。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子を提供し、LNPは、イオン化可能な脂質として化合物I−50を含み、リン脂質としてDSPCを含み、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β−シトステロール混合物を含み、PEG脂質として化合物428を含む。こうした化合物I−50含有組成物の様々な実施形態では、イオン化可能な脂質:リン脂質:構造脂質:PEG脂質の比は、例えば、下記の比であり得る:(i)50:10:38:2、(ii)50:20:28:2、(iii)40:20:38:2、(iv)40:30:28:2。構造脂質成分については、一実施形態では、構造脂質は、すべてコレステロールであり、38%または28%を構成する。別の実施形態では、構造脂質は、コレステロール/β−シトステロールであり、その総パーセントとして38%または28%を構成し、当該混合物は、例えば、(i)コレステロールを20%含み、β−シトステロールを18%含むか、(ii)コレステロールを10%含み、β−シトステロールを18%含むか、または(iii)コレステロールを10%含み、β−シトステロールを28%含み得る。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子を提供し、LNPは、イオン化可能な脂質として化合物I−328を含み、リン脂質としてDSPCを含み、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β−シトステロール混合物を含み、PEG脂質として化合物428を含む。こうした化合物I−328含有組成物の様々な実施形態では、イオン化可能な脂質:リン脂質:構造脂質:PEG脂質の比は、例えば、下記の比であり得る:(i)50:10:38:2、(ii)50:20:28:2、(iii)40:20:38:2、(iv)40:30:28:2。構造脂質成分については、一実施形態では、構造脂質は、すべてコレステロールであり、38%または28%を構成する。別の実施形態では、構造脂質は、コレステロール/β−シトステロールであり、その総パーセントとして38%または28%を構成し、当該混合物は、例えば、(i)コレステロールを20%含み、β−シトステロールを18%含むか、(ii)コレステロールを10%含み、β−シトステロールを18%含むか、または(iii)コレステロールを10%含み、β−シトステロールを28%含み得る。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子を提供し、LNPは、イオン化可能な脂質として化合物I−330を含み、リン脂質としてDSPCを含み、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β−シトステロール混合物を含み、PEG脂質として化合物428を含む。こうした化合物I−330含有組成物の様々な実施形態では、イオン化可能な脂質:リン脂質:構造脂質:PEG脂質の比は、例えば、下記の比であり得る:(i)50:10:38:2、(ii)50:20:28:2、(iii)40:20:38:2、(iv)40:30:28:2。構造脂質成分については、一実施形態では、構造脂質は、すべてコレステロールであり、38%または28%を構成する。別の実施形態では、構造脂質は、コレステロール/β−シトステロールであり、その総パーセントとして38%または28%を構成し、当該混合物は、例えば、(i)コレステロールを20%含み、β−シトステロールを18%含むか、(ii)コレステロールを10%含み、β−シトステロールを18%含むか、または(iii)コレステロールを10%含み、β−シトステロールを28%含み得る。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子を提供し、LNPは、イオン化可能な脂質として化合物I−109を含み、リン脂質としてDSPCを含み、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β−シトステロール混合物を含み、PEG脂質として化合物428を含む。こうした化合物I−109含有組成物の様々な実施形態では、イオン化可能な脂質:リン脂質:構造脂質:PEG脂質の比は、例えば、下記の比であり得る:(i)50:10:38:2、(ii)50:20:28:2、(iii)40:20:38:2、(iv)40:30:28:2。構造脂質成分については、一実施形態では、構造脂質は、すべてコレステロールであり、38%または28%を構成する。別の実施形態では、構造脂質は、コレステロール/β−シトステロールであり、その総パーセントとして38%または28%を構成し、当該混合物は、例えば、(i)コレステロールを20%含み、β−シトステロールを18%含むか、(ii)コレステロールを10%含み、β−シトステロールを18%含むか、または(iii)コレステロールを10%含み、β−シトステロールを28%含み得る。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子を提供し、LNPは、イオン化可能な脂質として化合物I−111を含み、リン脂質としてDSPCを含み、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β−シトステロール混合物を含み、PEG脂質として化合物428を含む。こうした化合物I−111含有組成物の様々な実施形態では、イオン化可能な脂質:リン脂質:構造脂質:PEG脂質の比は、例えば、下記の比であり得る:(i)50:10:38:2、(ii)50:20:28:2、(iii)40:20:38:2、(iv)40:30:28:2。構造脂質成分については、一実施形態では、構造脂質は、すべてコレステロールであり、38%または28%を構成する。別の実施形態では、構造脂質は、コレステロール/β−シトステロールであり、その総パーセントとして38%または28%を構成し、当該混合物は、例えば、(i)コレステロールを20%含み、β−シトステロールを18%含むか、(ii)コレステロールを10%含み、β−シトステロールを18%含むか、または(iii)コレステロールを10%含み、β−シトステロールを28%含み得る。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子を提供し、LNPは、イオン化可能な脂質として化合物I−181を含み、リン脂質としてDSPCを含み、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β−シトステロール混合物を含み、PEG脂質として化合物428を含む。こうした化合物I−181含有組成物の様々な実施形態では、イオン化可能な脂質:リン脂質:構造脂質:PEG脂質の比は、例えば、下記の比であり得る:(i)50:10:38:2、(ii)50:20:28:2、(iii)40:20:38:2、(iv)40:30:28:2。構造脂質成分については、一実施形態では、構造脂質は、すべてコレステロールであり、38%または28%を構成する。別の実施形態では、構造脂質は、コレステロール/β−シトステロールであり、その総パーセントとして38%または28%を構成し、当該混合物は、例えば、(i)コレステロールを20%含み、β−シトステロールを18%含むか、(ii)コレステロールを10%含み、β−シトステロールを18%含むか、または(iii)コレステロールを10%含み、β−シトステロールを28%含み得る。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子を提供し、LNPは、イオン化可能な脂質として化合物X、化合物Y、化合物I−321、化合物I−292、化合物I−326、化合物I−182、化合物I−301、化合物I−48、化合物I−50、化合物I−328、化合物I−330、化合物I−109、化合物I−111、または化合物I−181のいずれかを含み、リン脂質としてDSPCを含み、構造脂質としてコレステロール、コレステロール/β−シトステロール混合物、β−シトステロール/β−シトスタノール混合物、β−シトステロール/カンペステロール混合物、β−シトステロール/β−シトスタノール/カンペステロール混合物、コレステロール/カンペステロール混合物、コレステロール/β−シトスタノール混合物、コレステロール/β−シトスタノール/カンペステロール混合物、またはコレステロール/β−シトステロール/β−シトスタノール/カンペステロール混合物を含み、PEG脂質として化合物428を含む。こうした組成物の様々な実施形態では、イオン化可能な脂質:リン脂質:構造脂質:PEG脂質の比は、例えば、下記の比であり得る:(i)50:10:38:2、(ii)50:20:28:2、(iii)40:20:38:2、(iv)40:30:28:2、(v)40:18.5:40:1.5、または(vi)45:20:33.5:1.5。一実施形態では、構造脂質成分については、LNPは、例えば、構造脂質を40%含み得、この40%の内訳は、(i)10%がコレステロールであり、30%がβ−シトステロールであるか、(ii)10%がコレステロールであり、30%がカンペステロールであるか、(iii)10%がコレステロールであり、30%がβ−シトスタノールであるか、(iv)10%がコレステロールであり、20%がβ−シトステロールであり、10%がカンペステロールであるか、(v)10%がコレステロールであり、20%がβ−シトステロールであり、10%がβ−シトスタノールであるか、(vi)10%がコレステロールであり、10%がβ−シトステロールであり、20%がカンペステロールであるか、(vii)10%がコレステロールであり、10%がβ−シトステロールであり、20%がカンペステロールであるか、(viii)10%がコレステロールであり、20%がカンペステロールであり、10%がβ−シトスタノールであるか、(ix)10%がコレステロールであり、10%がカンペステロールであり、20%がβ−シトスタノールであるか、または(x)10%がコレステロールであり、10%がβ−シトステロールであり、10%がカンペステロールであり、10%がβ−シトスタノールである。別の実施形態では、構造脂質成分については、LNPは、例えば、構造脂質を33.5%含み得、この33.5%の内訳は、(i)33.5%がコレステロールであるか、(ii)18.5%がコレステロールであり、15%がβ−シトステロールであるか、(iii)18.5%がコレステロールであり、15%がカンペステロールであるか、または(iv)18.5%がコレステロールであり、15%がカンペステロールである。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子を提供し、LNPは、イオン化可能な脂質として化合物I−301、化合物I−321、または化合物I−326を含み、リン脂質としてDSPCを含み、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β−シトステロール混合物を含み、PEG脂質として化合物428を含む。一実施形態では、LNPは、T細胞(例えば、CD3+T細胞)への送達を増進する。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子を提供し、LNPは、化合物X、化合物I−109、化合物I−111、化合物I−181、化合物I−182、または化合物I−244を含み、LNPは、単球への送達を増進する。LNPのその他の成分は、本明細書に開示のものから選択することができ、例えば、リン脂質としてDSPCが選択され、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β−シトステロール混合物が選択され、PEG脂質として化合物428が選択される。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子を提供し、LNPは、構造脂質としてカンペステロール、β−シトスタノール、またはスチグマステロールを含み、LNPは、単球への送達を増進する。LNPのその他の成分は、本明細書に開示のものから選択することができ、例えば、イオン化可能な脂質として化合物X、化合物I−109、化合物I−111、化合物I−181、化合物I−182、または化合物I−244が選択され、リン脂質としてDSPCが選択され、PEG脂質として化合物428が選択される。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子を提供し、LNPは、ヘルパー脂質(例えば、リン脂質)としてDOPC、DMPE、またはH−409を含み、LNPは、単球への送達を増進する。LNPのその他の成分は、本明細書に開示のものから選択することができ、例えば、イオン化可能な脂質として化合物X、化合物I−109、化合物I−111、化合物I−181、化合物I−182、または化合物I−244が選択され、構造脂質としてコレステロール、コレステロール/β−シトステロール混合物、カンペステロール、β−シトスタノール、またはスチグマステロールが選択され、PEG脂質として化合物428が選択される。
追加のLNP成分の例
界面活性剤
ある特定の実施形態では、本開示の脂質ナノ粒子は、1つ以上の界面活性剤を必要に応じて含む。
ある特定の実施形態では、界面活性剤は両親媒性ポリマーである。本明細書で使用されるとき、両親媒性「ポリマー」は、オリゴマーまたはポリマーを含む両親媒性化合物である。例えば、両親媒性ポリマーは、2つ以上のPEGモノマー単位などのオリゴマーフラグメントを含むことができる。例えば、本明細書に記載の両親媒性ポリマーはPS 20であり得る。
例えば、両親媒性ポリマーはブロックコポリマーである。
例えば、両親媒性ポリマーは凍結保護剤である。
例えば、両親媒性ポリマーは、約30℃、大気圧の水中で2×10−4M未満の臨界ミセル濃度(CMC)を有する。
例えば、両親媒性ポリマーは、約30℃、大気圧の水中で、約0.1×10−4M〜約1.3×10−4Mの範囲の臨界ミセル濃度(CMC)を有する。
例えば、製剤中で、例えば、凍結または凍結乾燥の前で、両親媒性ポリマーの濃度は、そのCMCからCMCの約30倍の範囲である(例えば、そのCMCの約25倍、約20倍、約15倍、約10倍、約5倍、または約3倍まで)。
例えば、両親媒性ポリマーは、ポロキサマー(Pluronic(登録商標))、ポロキサミン(Tetronic(登録商標))、ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル(ポリソルベート)及びポリビニルピロリドン(PVP)から選択される。
例えば、両親媒性ポリマーはポロキサマーである。例えば、両親媒性ポリマーは以下の構造:
であり、式中、aは、10〜150の整数であり、bは、20〜60の整数である。例えば、aは約12かつbは約20、またはaは約80かつbは約27、またはaは約64かつbは約37、またはaは約141かつbは約44、またはaは約101かつbは約56である。
例えば、両親媒性ポリマーはP124、P188、P237、P338、またはP407である。
例えば、両親媒性ポリマーはP188である(例えば、ポロキサマー188、CAS番号9003−11−6、Kolliphor P188としても知られる)。
例えば、両親媒性ポリマーはポロキサミン、例えばテトロニック304またはテトロニック904である。
例えば、両親媒性ポリマーは、分子量約3kDa、10kDa、または29kDaのPVPなどのポリビニルピロリドン(PVP)である。
例えば、両親媒性ポリマーはPS20などのポリソルベートである。
ある特定の実施形態では、界面活性剤は非イオン性界面活性剤である。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は両親媒性ポリマーである。いくつかの実施形態では、界面活性剤は非イオン性界面活性剤である。
例えば、非イオン性界面活性剤は、ポリエチレングリコールエーテル(Brij)、ポロキサマー、ポリソルベート、ソルビタン、及びそれらの誘導体からなる群から選択される。
例えば、ポリエチレングリコールエーテルは、式(VIII):
の化合物、またはその塩もしくは異性体であり、式中:
tは1〜100の整数であり;
R
1BRIJは、独立して、C
10−40アルキル、C
10−40アルケニル、またはC
10−40アルキニルであり;必要に応じて、R
5PEGの1つ以上のメチレン基は、C
3−10カルボシクリレン、4〜10員のヘテロシクリレン、C
6−10アリーレン、4〜10員のヘテロアリーレン、−N(R
N)−、−O−、−S−、−C(O)−、−C(O)N(R
N)−、−NR
NC(O)−、−NR
NC(O)N(R
N)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−OC(O)O−、−OC(O)N(R
N)−、−NR
NC(O)O−、−C(O)S−、−SC(O)−、−C(=NR
N)−、−C(=NR
N)N(R
N)−、−NRNC(=NR
N)−、−NR
NC(=NR
N)N(R
N)−、−C(S)−、−C(S)N(R
N)−、−NR
NC(S)−、−NR
NC(S)N(R
N)−、−S(O)−、−OS(O)−、−S(O)O−、−OS(O)O−、−OS(O)
2−、−S(O)
2O−、−OS(O)
2O−、−N(R
N)S(O)−、−S(O)N(R
N)−、−N(R
N)S(O)N(R
N)−、−OS(O)N(R
N)−、−N(R
N)S(O)O−、−S(O)
2−、−N(R
N)S(O)
2−、−S(O)
2N(R
N)−、−N(R
N)S(O)
2N(R
N)−、−OS(O)
2N(R
N)−、または−N(R
N)S(O)
2O−によって独立して置き換えられ;
R
Nの各々の例は、独立して、水素、C
1−6アルキル、または窒素保護基である。
ある実施形態では、R
1BRIJは、C
18アルキルである。例えば、ポリエチレングリコールエーテルは、式(VIII−a):
の化合物またはその塩もしくは異性体である。
いくつかの実施形態では、R
1BRIJは、C
18アルケニルである。例えば、ポリエチレングリコールエーテルは、式(VIII−b):
の化合物またはその塩もしくは異性体である。
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、ポロキサマー101、ポロキサマー105、ポロキサマー108、ポロキサマー122、ポロキサマー123、ポロキサマー124、ポロキサマー181、ポロキサマー182、ポロキサマー183、ポロキサマー184、ポロキサマー185、ポロキサマー188、ポロキサマー212、ポロキサマー215、ポロキサマー217、ポロキサマー231、ポロキサマー234、ポロキサマー235、ポロキサマー237、ポロキサマー238、ポロキサマー282、ポロキサマー284、ポロキサマー288、ポロキサマー331、ポロキサマー333、ポロキサマー334、ポロキサマー335、ポロキサマー338、ポロキサマー401、ポロキサマー402、ポロキサマー403、及びポロキサマー407からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、界面活性剤は、Tween(登録商標)20、Tween(登録商標)40、Tween(登録商標)60、またはTween(登録商標)80である。
いくつかの実施形態では、ソルビタンの誘導体は、Span(登録商標)20、Span(登録商標)60、Span(登録商標)65、Span(登録商標)80、またはSpan(登録商標)85である。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子中の非イオン性界面活性剤の濃度は、約0.00001%w/v〜約1%w/v、例えば約0.00005%w/v〜約0.5%w/v、または約0.0001%w/v〜約0.1%w/vの範囲である。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子中の非イオン性界面活性剤の濃度は、約0.000001wt%〜約1wt%、例えば、約0.000002wt%〜約0.8wt%、または約0.000005wt%〜約0.5wt%の範囲である。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子中のPEG脂質の濃度は、約0.01mol%〜約50mol%、例えば約0.05mol%〜約20mol%、約0.07mol%〜約10mol%、約0.1mol%〜約8mol%、約0.2mol%〜約5mol%、または約0.25mol%〜約3mol%の範囲である。
アジュバント
いくつかの実施形態では、本発明のLNPは、1つ以上のアジュバントを必要に応じて含み、こうしたアジュバントは、例えば、グルコピラノシル脂質アジュバント(GLA)、CpGオリゴデオキシヌクレオチド(例えば、クラスAまたはクラスB)、ポリ(I:C)、水酸化アルミニウム、及びPam3CSK4である。
他の成分
本発明のLNPには、先行するセクションで説明した成分に加えて、1つ以上の成分を必要に応じて含めることができる。例えば、脂質ナノ粒子は、ビタミン(例えば、ビタミンAもしくはビタミンE)またはステロールなどの1つ以上の小さな疎水性分子を含んでもよい。
脂質ナノ粒子はまた、1つ以上の透過性エンハンサー分子、糖質、ポリマー、表面改変剤、または他の成分を含んでもよい。透過性エンハンサー分子は、例えば、米国特許出願公開第2005/0222064号に記載されている分子であってもよい。糖質には、単糖(例えば、グルコース)及び多糖類(例えば、グリコーゲンならびにその誘導体及び類似体)が含まれ得る。
ポリマーは、脂質ナノ粒子をカプセル化または部分的にカプセル化するために含まれるか、及び/または使用されてもよい。ポリマーは、生分解性及び/または生体適合性であり得る。ポリマーは、ポリアミン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカルバメート、ポリ尿素、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリアセチレン、ポリエチレン、ポリエチレンイミン、ポリイソシアネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、及びポリアリレートから選択され得るが、これらに限定されない。例えば、ポリマーには、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、エチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)、ポリ(L−乳酸−コ−グリコール酸)(PLLGA)、ポリ(D,L−ラクチド)(PDLA)、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−カプロラクトン−コ−グリコリド)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−PEO−コ−D,L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−PPO−コ−D,L−ラクチド)、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリウレタン、ポリ−L−リジン(PLL)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ポリエチレングリコール、ポリ−L−グルタミン酸、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリ(エステルアミド)、ポリアミド、ポリ(エステルエーテル)、ポリカーボネート、ポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリアルキレン、ポリ(エチレングリコール)(PEG)などのポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド(PEO)、ポリ(エチレンテレフタレート)などのポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルエーテル、ポリ(酢酸ビニル)などのポリビニルエステル、ポリ(塩化ビニル)(PVC)などのポリビニルハライド、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリシロキサン、ポリスチレン、ポリウレタン、アルキルセルロースなどの誘導体化セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリ(メチル(メタ)アクリレート)(PMMA)、ポリ(エチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(イソブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ヘキシル(メタ)アクリレート)、ポリ(イソデシル(メタ)アクリレート)、ポリ(ラウリル(メタ)アクリレート)、ポリ(フェニル(メタ)アクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)などのアクリル酸のポリマーならびにそれらの共重合体及び混合物、ポリジオキサノン及びその共重合体、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリプロピレンフマレート、ポリオキシメチレン、ポロキサマー、ポロキサミン、ポリ(オルト)エステル、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、トリメチレンカーボネート、ポリ(N−アクリロイルモルホリン)(PAcM)、ポリ(2−メチル−2−オキサゾリン)(PMOX)、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)(PEOZ)、ならびにポリグリセロールが含まれ得る。
表面改変剤には、アニオンタンパク質(例えば、ウシ血清アルブミン)、界面活性剤(例えば、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミドなどのカチオン性界面活性剤)、糖または糖誘導体(例えば、シクロデキストリン)、核酸、ポリマー(例えば、ヘパリン、ポリエチレングリコール、及びポロキサマー)、粘液溶解剤(例えば、アセチルシステイン、ヨモギ、ブロメライン、パパイン、クレロデンドラム、ブロムヘキシン、カルボシステイン、エプラジノン、メスナ、アンブロキソール、ソブレロール、ドミオドール、レトステイン、ステプロニン、チオプロニン、ゲルゾリン、サイモシンβ4、ドルナーゼアルファ、ネルテネキシン、及びエルドステイン)、ならびにDNase(例えば、rhDNase)が含まれ得るが、これらに限定されない。表面改変剤は、ナノ粒子内及び/またはLNPの表面上に配置され得る(例えば、コーティング、吸着、共有結合、または他のプロセスによる)。
脂質ナノ粒子はまた、1つ以上の官能化脂質を含んでもよい。例えば、脂質はアルキン基で官能化され、適切な反応条件下でアジドに曝露されると、環化付加反応を起こし得る。特に、脂質二重層は、膜透過、細胞認識、または画像化を促進するのに有用な1つ以上の基でこのように官能化されてもよい。LNPの表面はまた、1つ以上の有用な抗体と複合体化させてもよい。標的細胞送達、画像化、及び膜透過に有用な官能基及び複合体は、当該技術分野で周知である。
これらの成分に加えて、脂質ナノ粒子は、医薬組成物に有用な任意の物質を含んでもよい。例えば、脂質ナノ粒子は、1つ以上の溶媒、分散媒、希釈剤、分散助剤、懸濁助剤、造粒助剤、崩壊剤、充填剤、流動促進剤、液体媒体、結合剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、緩衝剤、潤滑剤、油、保護剤、及びその他の種などであるが、これらに限定されない、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤または副成分を含んでもよい。ワックス、バター、着色剤、コーティング剤、香味料、香料などの賦形剤も含まれてもよい。薬学的に許容される賦形剤は、当該技術分野で周知である(例えば、Remington’s The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition, A. R. Gennaro;Lippincott, Williams & Wilkins, Baltimore, MD, 2006を参照されたい)。
希釈剤の例には、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウムラクトース、スクロース、セルロース、微結晶セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、コーンスターチ、粉砂糖、及び/またはそれらの組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されない。造粒剤及び分散剤は、ジャガイモデンプン、コーンスターチ、タピオカデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、粘土、アルギン酸、グアーガム、柑橘パルプ、寒天、ベントナイト、セルロース及び木材製品、天然スポンジ、カチオン交換樹脂、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、炭酸ナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン)(クロスポビドン)、カルボキシメチルデンプンナトリウム(グリコール酸デンプンナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロース)、メチルセルロース、アルファ化デンプン(デンプン1500)、微結晶デンプン、水不溶性デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(VEEGUM(登録商標))、ラウリル硫酸ナトリウム、第4級アンモニウム化合物、及び/またはそれらの組み合わせからなる非限定的なリストから選択され得る。
界面活性剤及び/または乳化剤には、天然乳化剤(例えば、アカシアゴム、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、コンドラックス、コレステロール、キサンタン、ペクチン、ゼラチン、卵黄、カゼイン、羊毛脂肪、コレステロール、ワックス、及びレシチン)、コロイド粘土(例えば、ベントナイト[ケイ酸アルミニウム]及びVEEGUM(登録商標)[ケイ酸マグネシウムアルミニウム])、長鎖アミノ酸誘導体、高分子量アルコール(例えば、ステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、トリアセチンモノステアレート、エチレングリコールジステアレート、グリセリルモノステアレート、及びプロピレングリコールモノステアレート、ポリビニルアルコール)、カルボマー(例えば、カルボキシポリメチレン、ポリアクリル酸、アクリル酸ポリマー、及びカルボキシビニルポリマー)、カラギーナン、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、粉末セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート[TWEEN(登録商標)20]、ポリオキシエチレンソルビタン[TWEEN(登録商標)60]、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート[TWEEN(登録商標)80]、ソルビタンモノパルミテート[SPAN(登録商標)40]、ソルビタンモノステアレート[SPAN(登録商標)60]、トリステアリン酸ソルビタン[SPAN(登録商標)65]、モノオレイン酸グリセリル、モノオレイン酸ソルビタン[SPAN(登録商標)80])、ポリオキシエチレンエステル(例えば、ポリオキシエチレンモノステアレート[MYRJ(登録商標)45]、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油、ポリエトキシ化ヒマシ油、ポリオキシメチレンステアレート、及びSOLUTOL(登録商標))、スクロース脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(例えば、CREMOPHOR(登録商標))、ポリオキシエチレンエーテル(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル[BRIJ(登録商標)30])、ポリ(ビニルピロリドン)、ジエチレングリコールモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミン、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸エチル、オレイン酸、ラウリン酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、PLURONIC(登録商標)F68、POLOXAMER(登録商標)188、臭化セトリモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、ドキュセートナトリウム、及び/またはそれらの組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されない。
結合剤はデンプン(例えば、コーンスターチ及びデンプンペースト);ゼラチン;糖(例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、デキストリン、糖蜜、ラクトース、ラクチトール、マンニトール);天然及び合成ゴム(アカシアゴム、アルギン酸ナトリウム、アイリッシュコケの抽出物、パンワールガム、ガッティガム、イサポール殻の粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶セルロース、酢酸セルロース、ポリ(ビニルピロリドン)、ケイ酸マグネシウムアルミニウム(VEEGUM(登録商標))、カラマツアラボガラクタン);アルギン酸塩;ポリエチレンオキシド;ポリエチレングリコール;無機カルシウム塩;ケイ酸;ポリメタクリレート;ワックス;水;アルコール;及びそれらの組み合わせ、または他の任意の適切な結合剤であり得る。
保存剤の例には、抗酸化剤、キレート剤、抗菌性保存剤、抗真菌性保存剤、アルコール保存剤、酸性保存剤、及び/または他の保存剤が含まれ得るが、これらに限定されない。抗酸化剤の例には、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、及び/または亜硫酸ナトリウムが含まれるが、これらに限定されない。キレート剤の例には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸一水和物、エデト酸二ナトリウム、エデト酸二カリウム、エデト酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、エデト酸ナトリウム、酒石酸、及び/またはエデト酸三ナトリウムが含まれる。抗菌性保存剤の例には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジン、イミド尿素、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、プロピレングリコール、及び/またはチメロサールが含まれるが、これらに限定されない。抗真菌性保存剤の例には、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、及び/またはソルビン酸が含まれるが、これらに限定されない。アルコール保存剤の例には、エタノール、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、フェノール、フェノール化合物、ビスフェノール、クロロブタノール、ヒドロキシ安息香酸、及び/またはフェニルエチルアルコールが含まれるが、これらに限定されない。酸性保存剤の例には、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ベータカロチン、クエン酸、酢酸、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸、ソルビン酸、及び/またはフィチン酸が含まれるが、これらに限定されない。他の保存剤には、トコフェロール、酢酸トコフェロール、デシルオキシムメシレート、セトリミド、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エチレンジアミン、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、GLYDANT PLUS(登録商標)、PHENONIP(登録商標)、メチルパラベン、GERMALL(登録商標)115、GERMABEN(登録商標)II、NEOLONE(商標)、KATHON(商標)、及び/またはEUXYL(登録商標)が含まれるが、これらに限定されない。
緩衝剤の例には、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、塩化アンモニウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルビオン酸カルシウム、グルセプト酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、d−グルコン酸、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、ラクトビオン酸カルシウム、プロパン酸、レブリン酸カルシウム、ペンタン酸、二塩基性リン酸カルシウム、リン酸、三塩基性リン酸カルシウム、水酸化リン酸カルシウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、カリウム混合物、二塩基性リン酸カリウム、一塩基性リン酸カリウム、リン酸カリウム混合物、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム混合物、トロメタミン、アミノスルホン酸緩衝液(例えば、HEPES)、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルギン酸、パイロジェンフリー水、等張食塩水、リンガー溶液、エチルアルコール、及び/またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、シリカ、タルク、麦芽、ベヘン酸グリセリル、硬化植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせからなる非限定的な群から選択され得る。
油の例には、アーモンド、アプリコットカーネル、アボカド、ババス、ベルガモット、ブラックカレントシード、ルリヂサ、ケイド、カモミール、キャノーラ、キャラウェイ、カルナウバ、ヒマシ、シナモン、ココアバター、ココナッツ、タラ肝、コーヒー、トウモロコシ、綿実、エミュー、ユーカリ、月見草、魚、亜麻仁、ゲラニオール、ヒョウタン、グレープシード、ヘーゼルナッツ、ヒソップ、ミリスチン酸イソプロピル、ホホバ、ククイナッツ、ラバンジン、ラベンダー、レモン、リトアキューブバ、マカデミアナッツ、ゼニアオイ、マンゴー種子、メドウフォーム種子、ミンク、ナツメグ、オリーブ、オレンジ、オレンジラフィー、パーム、パームカーネル、ピーチカーネル、ピーナッツ、ケシの実、パンプキンシード、ナタネ、米ぬか、ローズマリー、ベニバナ、サンダルウッド、サスカナ、サボリー、シーバックソーン、ゴマ、シアバター、シリコーン、大豆、ヒマワリ、ティーツリー、アザミ、ツバキ、ベチバー、クルミ、及び小麦胚芽油、ならびにステアリン酸ブチル、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、シクロメチコン、ジエチルセバケート、ジメチコン360、シメチコン、ミリスチン酸イソプロピル、鉱油、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、シリコーンオイル、及び/またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
LNP組成物
本明細書に記載の脂質ナノ粒子は、1つ以上の特定の用途または標的用に設計できる。脂質ナノ粒子の要素及びその相対量は、特定の用途もしくは標的に基づいて、及び/または1つ以上の要素の有効性、毒性、費用、使いやすさ、可用性、もしくはその他の特徴に基づいて選択できる。同様に、脂質ナノ粒子の特定の製剤は、例えば、要素の特定の組み合わせの有効性及び毒性に応じて、特定の用途または標的に合わせて選択することができる。脂質ナノ粒子製剤の有効性及び忍容性は、製剤の安定性によって影響を受ける場合がある。
本発明のLNPは、少なくとも1つの免疫細胞送達増強脂質を含む。本開示のLNPは、LNPの成分として、有効量の免疫細胞送達増強脂質を含み、LNPは、(i)イオン化可能な脂質、(ii)コレステロールまたは他の構造脂質、(iii)非カチオン性ヘルパー脂質またはリン脂質、(iv)PEG脂質、ならびに(v)LNPにカプセル化され、及び/またはLNPと結合した薬剤(例えば、核酸分子)、を含み、有効量の免疫細胞送達増強脂質は、免疫細胞送達増強脂質を含まないLNPと比較して免疫細胞(例えば、ヒトまたは霊長類の免疫細胞)への薬剤の送達を増進する。
様々な成分の要素は、特定の分率(例えば、モル百分率)で提供され得る。
例えば、前述の態様または関連する態様のいずれかでは、本開示のLNPは、構造脂質またはその塩を含む。いくつかの態様では、構造脂質は、コレステロールまたはその塩である。さらなる態様では、コレステロールのmol%は、LNPに存在するフィトステロールのmol%の約1%〜50%である。他の態様では、コレステロールのmol%は、LNPに存在するフィトステロールのmol%の約10%〜40%である。いくつかの態様では、コレステロールのmol%は、LNPに存在するフィトステロールのmol%の約20%〜30%である。さらなる態様では、コレステロールのmol%は、LNPに存在するフィトステロールのmol%の約30%である。
前述の態様または関連する態様のいずれかでは、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約30mol%〜約60mol%含み、リン脂質を約0mol%〜約30mol%含み、ステロールを約18.5mol%〜約48.5mol%含み、PEG脂質を約0mol%〜約10mol%含む。
前述の態様または関連する態様のいずれかでは、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約35mol%〜約55mol%含み、リン脂質を約5mol%〜約25mol%含み、ステロールを約30mol%〜約40mol%含み、PEG脂質を約0mol%〜約10mol%含む。
前述の態様または関連する態様のいずれかでは、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約50mol%含み、リン脂質を約10mol%含み、ステロールを約38.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。
ある特定の実施形態では、脂質ナノ粒子のイオン化可能な脂質成分は、イオン化可能な脂質を約30mol%〜約60mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約0mol%〜約30mol%含み、1つ以上の構造脂質を必要に応じて含めてフィトステロールを約18.5mol%〜約48.5mol%含み、PEG脂質を約0mol%〜約10mol%含むが、総mol%が100%を超えないことが条件である。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子のイオン化可能な脂質成分は、イオン化可能な脂質を約35mol%〜約55mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約5mol%〜約25mol%含み、1つ以上の構造脂質を必要に応じて含めてフィトステロールを約30mol%〜約40mol%含み、PEG脂質を約0mol%〜約10mol%含む。特定の実施形態では、脂質成分は、イオン化可能な脂質を約50mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、1つ以上の構造脂質を必要に応じて含めてフィトステロールを約38.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。別の特定の実施形態では、脂質成分は、イオン化可能な脂質を約40mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、1つ以上の構造脂質を必要に応じて含めてフィトステロールを約38.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの実施形態では、フィトステロールは、ベータ−シトステロールであり得、非カチオン性ヘルパー脂質は、リン脂質(DOPE、DSPCなど)またはリン脂質代用物(オレイン酸など)であり得る。他の実施形態では、PEG脂質は、PEG−DMGであり得、及び/または構造脂質は、コレステロールであり得る。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約30mol%〜約60mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約0mol%〜約30mol%含み、フィトステロールを約18.5mol%〜約48.5mol%含み、PEG脂質を約0mol%〜約10mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約30mol%〜約60mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約0mol%〜約30mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約18.5mol%〜約48.5mol%含み、PEG脂質を約0mol%〜約10mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約30mol%〜約60mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約0mol%〜約30mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約18.5mol%〜約48.5mol%含み、PEG脂質を約0mol%〜約10mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約35mol%〜約55mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約5mol%〜約25mol%含み、フィトステロールを約30mol%〜約40mol%含み、PEG脂質を約0mol%〜約10mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約35mol%〜約55mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約5mol%〜約25mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約30mol%〜約40mol%含み、PEG脂質を約0mol%〜約10mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約35mol%〜約55mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約5mol%〜約25mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約30mol%〜約40mol%含み、PEG脂質を約0mol%〜約10mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約50mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロールを約38.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約50mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約38.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約50mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約38.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約40mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、フィトステロールを約38.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約40mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約38.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約40mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約38.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約45mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロールを約38.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約45mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約38.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約45mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約38.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約55mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約5mol%含み、フィトステロールを約38.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約55mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約5mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約38.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約55mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約5mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約38.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約60mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約5mol%含み、フィトステロールを約33.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約60mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約5mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約33.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約60mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約5mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約33.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約45mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、フィトステロールを約33.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約45mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約33.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約45mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約33.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約50mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、フィトステロールを約28.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約50mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約28.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約50mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約28.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約55mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、フィトステロールを約23.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約55mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約23.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約55mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約23.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約60mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、フィトステロールを約18.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約60mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約18.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約60mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約18.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約40mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約15mol%含み、フィトステロールを約43.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約40mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約15mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約43.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約40mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約15mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約43.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約50mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約15mol%含み、フィトステロールを約33.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約50mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約15mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約33.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約50mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約15mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約33.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約55mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約15mol%含み、フィトステロールを約28.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約55mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約15mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約28.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約55mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約15mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約28.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約60mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約15mol%含み、フィトステロールを約23.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約60mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約15mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約23.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約60mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約15mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約23.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約40mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロールを約48.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約40mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約48.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約40mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約48.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約45mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロールを約43.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約45mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約43.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約45mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約43.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約55mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロールを約33.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約55mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約33.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約55mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約33.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約60mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロールを約28.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約60mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約28.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約60mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約28.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約40mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約5mol%含み、フィトステロールを約53.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約40mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約5mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約53.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約40mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約5mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約53.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約45mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約5mol%含み、フィトステロールを約48.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約45mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約5mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約48.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約45mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約5mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約48.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約50mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約5mol%含み、フィトステロールを約43.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約50mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約5mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約43.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約50mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約5mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約43.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約40mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、フィトステロールを約40mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約40mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約40mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約40mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約40mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約45mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、フィトステロールを約35mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約45mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約35mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約45mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約35mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約50mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、フィトステロールを約30mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約50mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約30mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約50mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約30mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約55mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、フィトステロールを約25mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約55mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約25mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約55mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約25mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約60mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、フィトステロールを約20mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約60mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約20mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約60mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約20mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約20mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約40mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約15mol%含み、フィトステロールを約45mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約40mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約15mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約45mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約40mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約15mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約45mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約45mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約15mol%含み、フィトステロールを約40mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約45mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約15mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約40mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約45mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約15mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約40mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約50mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約15mol%含み、フィトステロールを約35mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約50mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約15mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約35mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約50mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約15mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約35mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約55mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約15mol%含み、フィトステロールを約30mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約55mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約15mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約30mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約55mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約15mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約30mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約60mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約15mol%含み、フィトステロールを約25mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約60mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約15mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約25mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約60mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約15mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約25mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約40mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロールを約50mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約40mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約50mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約40mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約50mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約45mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロールを約45mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約45mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約45mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約45mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約45mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約50mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約0mol%含み、フィトステロールを約48.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約50mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約0mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約48.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約50mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約0mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約48.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約50mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロールを約40mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約50mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約40mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約50mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約40mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約55mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロールを約35mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約55mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約35mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約55mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約35mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約60mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロールを約30mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約60mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロール及び構造脂質を約30mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、イオン化可能な脂質を約60mol%含み、非カチオン性ヘルパー脂質を約10mol%含み、フィトステロール及びコレステロールを約30mol%含み、PEG脂質を約0mol%含む。
本明細書の実施形態に関する態様のいくつかでは、本開示のLNPのフィトステロールと構造脂質成分との含有比は、フィトステロール:構造脂質=約10:1〜1:10(フィトステロール:構造脂質(例えば、ベータ−シトステロール:コレステロール)=約10:1、約9:1、約8:1、約7:1、約6:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9、及び約1:10など)である。
いくつかの実施形態では、LNPのフィトステロール成分は、フィトステロールと構造脂質(コレステロールなど)との混合物であり、フィトステロール(例えば、ベータ−シトステロール)及び構造脂質(例えば、コレステロール)はそれぞれ、特定のmol%で存在する。例えば、いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、フィトステロール(例えば、ベータ−シトステロール)を15〜40mol%含む。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、フィトステロール(例えば、ベータ−シトステロール)を約15mol%、約16mol%、約17mol%、約18mol%、約19mol%、約20mol%、約21mol%、約22mol%、約23mol%、約24mol%、約25mol%、約26mol%、約27mol%、約28mol%、約29mol%、約30mol%、約31mol%、約32mol%、約33mol%、約34mol%、約35mol%、約36mol%、約37mol%、約38mol%、約30mol%、または約40mol%含み、構造脂質(例えば、コレステロール)を0mol%、1mol%、2mol%、3mol%、4mol%、5mol%、6mol%、7mol%、8mol%、9mol%、10mol%、11mol%、12mol%、13mol%、14mol%、15mol%、16mol%、17mol%、18mol%、19mol%、20mol%、21mol%、22mol%、23mol%、24mol%、または25mol%含む。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、フィトステロール(例えば、ベータ−シトステロール)を20mol%超含み、構造脂質(例えば、コレステロール)を20mol%未満含み、その結果、フィトステロール及び構造脂質の総mol%は、30〜40mol%である。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、フィトステロール(例えば、ベータ−シトステロール)を約20mol%、約21mol%、約22mol%、約23mol%、約24mol%、約25mol%、約26mol%、約27mol%、約28mol%、約29mol%、約30mol%、約31mol%、約32mol%、約33mol%、約34mol%、約35mol%、約37mol%、約38mol%、約39mol%、または約40mol%含み、構造脂質(例えば、コレステロール)を、それぞれ約19mol%、約18mol%、約17mol%、約16mol%、約15mol%、約14mol%、約13mol%、約12mol%、約11mol%、約10mol%、約9mol%、約8mol%、約7mol%、約6mol%、約5mol%、約4mol%、約3mol%、約2mol%、約1mol%、または約0mol%含む。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、フィトステロール(例えば、ベータ−シトステロール)を約28mol%含み、構造脂質(例えば、コレステロール)を約10mol%含む。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、フィトステロール及び構造脂質(例えば、コレステロール)を総mol%で38.5%含む。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、フィトステロール(例えば、ベータ−シトステロール)を28.5mol%含み、構造脂質(例えば、コレステロール)を10mol%含む。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、フィトステロール(例えば、ベータ−シトステロール)を18.5mol%含み、構造脂質(例えば、コレステロール)を20mol%含む。
本開示の脂質ナノ粒子は、1つ以上の特定の用途または標的向けに設計され得る。例えば、本開示の脂質ナノ粒子は、哺乳動物(例えば、ヒト)の体内の特定の免疫細胞(例えば、リンパ球系細胞もしくは骨髄系細胞)、組織、臓器、またはその系もしくは群への核酸分子(RNAなど)の送達がさらに増進するように必要に応じて設計され得る。脂質ナノ粒子の物理化学的特性は、特定の身体標的に対する選択性を高めるために変更し得る。例えば、粒径は、免疫細胞への取り込みが促進されるように調整され得る。前述のように、脂質ナノ粒子に含められる核酸分子は、免疫細胞への所望の送達に基づいて選択されることもあり得る。例えば、核酸分子は、特定の適応症、状態、疾患、もしくは障害、及び/または特定の細胞、組織、臓器、またはその系もしくは群への送達(例えば、局所的または特異的送達)のために選択され得る。
ある特定の実施形態では、目的ポリペプチドをコードし、細胞内で翻訳されて目的ポリペプチドを生成させることが可能なmRNAを脂質ナノ粒子は含み得る。他の実施形態では、脂質ナノ粒子は、本明細書に記載の他の型の薬剤を含み得、こうした他の型の薬剤は、他の核酸剤(DNA剤及び/またはRNA剤を含む)(例えば、siRNA、miRNA、アンチセンス核酸、及び同様のもの)などであり、こうした薬剤については、さらに詳細に後述される。
脂質ナノ粒子における核酸分子の量は、脂質ナノ粒子のサイズ、組成、所望の標的及び/または用途、あるいは他の特性、ならびに治療薬及び/または予防薬の特性に依存し得る。例えば、脂質ナノ粒子で有用なRNAの量は、RNAのサイズ、配列、及びその他の特性に依存し得る。脂質ナノ粒子における核酸分子及び他の要素(例えば、脂質)の相対量も異なり得る。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子におけるイオン化可能な脂質成分:核酸分子のwt/wt比は、約5:1〜約60:1、例えば5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1、50:1、及び60:1であってよい。例えば、イオン化可能な脂質成分:核酸分子のwt/wt比は、約10:1〜約40:1であってもよい。ある特定の実施形態では、wt/wt比は約20:1である。LNPにおける核酸分子の量は、例えば、吸収分光法(例えば、紫外可視分光法)を使用して測定され得る。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、1つ以上のRNAと、1つ以上のイオン化可能な脂質と、を含み、それらの量は、特定のN:P比を提供するように選択され得る。組成物のN:P比は、1つ以上の脂質中の窒素原子対RNA中のリン酸基の数のモル比を指す。一般に、低いN:P比が好ましい。1以上のRNA、脂質、及びそれらの量は、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、12:1、14:1、16:1、18:1、20:1、22:1、24:1、26:1、28:1、または30:1などの約2:1〜約30:1のN:P比を提供するように選択され得る。ある特定の実施形態では、N:P比は約2:1〜約8:1であり得る。他の実施形態では、N:P比は約5:1〜約8:1である。例えば、N:P比は、約5.0:1、約5.5:1、約5.67:1、約5.7:1、約5.8:1、約5.9:1、約6.0:1、約6.5:1、または約7.0:1であり得る。例えば、N:P比は約5.67:1であり得る。別の実施形態では、N:P比は、約5.8:1であり得る。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子を含む製剤は、塩化物塩などの塩をさらに含み得る。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子を含む製剤は、二糖類などの糖をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、製剤はさらに糖を含むが、塩化物塩などの塩は含まない。
物理的特性
脂質ナノ粒子の特性は、その成分に依存し得る。例えば、構造脂質としてコレステロールを含む脂質ナノ粒子は、異なる構造脂質を含む脂質ナノ粒子とは異なる特性を有し得る。同様に、脂質ナノ粒子の特性は、その成分の絶対量または相対量に依存し得る。例えば、リン脂質のより高いモル分率を含む脂質ナノ粒子は、リン脂質のより低いモル分率を含む脂質ナノ粒子とは異なる特性を有し得る。特性は、脂質ナノ粒子の調製の方法及び条件によっても異なり得る。
脂質ナノ粒子は、様々な方法で特性評価し得る。例えば、脂質ナノ粒子の形態及びサイズ分布を調べるために、顕微鏡法(例えば、透過型電子顕微鏡法または走査型電子顕微鏡法)を使用できる。ゼータ電位の測定には、動的光散乱または電位差測定(例えば、電位差滴定)を使用できる。動的光散乱を利用して、粒径を決定することもできる。Zetasizer Nano ZS(Malvern Instruments Ltd, Malvern, Worcestershire, UK)などの機器を使用して、粒子径、多分散性指数、及びゼータ電位などの脂質ナノ粒子の複数の特性を測定することもできる。
脂質ナノ粒子の平均サイズは、例えば動的光散乱(DLS)によって測定される数十nm〜数百nmであり得る。例えば、平均サイズは、約40nm〜約150nm、例えば約40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、または150nmであってよい。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子の平均サイズは、約50nm〜約100nm、約50nm〜約90nm、約50nm〜約80nm、約50nm〜約70nm、約50nm〜約60nm、約60nm〜約100nm、約60nm〜約90nm、約60nm〜約80nm、約60nm〜約70nm、約70nm〜約100nm、約70nm〜約90nm、約70nm〜約80nm、約80nm〜約100nm、約80nm〜約90nm、または約90nm〜約100nmであり得る。ある特定の実施形態では、脂質ナノ粒子の平均サイズは、約70nm〜約100nmであってもよい。特定の実施形態では、平均サイズは約80nmであってもよい。他の実施形態では、平均サイズは約100nmであってもよい。
脂質ナノ粒子は、比較的均一なものであり得る。多分散性指数を使用して、LNPの均一性、例えば脂質ナノ粒子の粒径分布を示すことができる。本明細書で使用されるとき、「多分散性指数」は、系の粒径分布の均一性を表す比率である。例えば、0.3未満の小さい値は、狭い粒径分布を示す。小さい(例えば、0.3未満)多分散性指数は、一般に狭い粒径分布を示す。脂質ナノ粒子は、約0〜約0.25、例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、または0.25などの多分散性指数を有し得る。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子の多分散性指数は約0.10〜約0.20であってよい。
脂質ナノ粒子のゼータ電位を使用して、組成物の動電学的電位を示すことができる。本明細書で使用されるとき、「ゼータ電位」は、例えば粒子組成物中の脂質の動電学的電位である。
例えば、ゼータ電位は、脂質ナノ粒子の表面電荷を表し得る。より高い電荷を帯びた種が細胞、組織、及び体内の他の要素と望ましくない相互作用をする可能性があるため、正または負の比較的低い電荷をもつ脂質ナノ粒子が、一般的に望ましい。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子のゼータ電位は約−10mV〜約+20mV、約−10mV〜約+15mV、約−10mV〜約+10mV、約−10mV〜約+5mV、約−10mV〜約0mV、約−10mV〜約−5mV、約−5mV〜約+20mV、約−5mV〜約+15mV、約−5mV〜約+10mV、約−5mV〜約+5mV、約−5mV〜約0mV、約0mV〜約+20mV、約0mV〜約+15mV、約0mV〜約+10mV、約0mV〜約+5mV、約+5mV〜約+20mV、約+5mV〜約+15mV、または約+5mV〜約+10mVであり得る。
核酸分子のカプセル化の効率は、提供される初期量と比較して、調製後に脂質ナノ粒子にカプセル化されるか、さもなければ結合する核酸分子の量を表す。カプセル化効率は、望ましくは高い(例えば、100%に近い)。カプセル化効率は、例えば、脂質ナノ粒子を1つ以上の有機溶媒または界面活性剤で粉砕する前と後の脂質ナノ粒子を含む溶液中の核酸分子の量を比較することにより測定できる。蛍光を使用して、溶液中の遊離した核酸分子(例えば、RNA)の量を測定してもよい。本明細書に記載の脂質ナノ粒子の場合、核酸分子のカプセル化効率は少なくとも50%、例えば50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%であり得る。いくつかの実施形態では、カプセル化効率は少なくとも80%であってよい。ある特定の実施形態では、カプセル化効率は少なくとも90%であってよい。
脂質ナノ粒子は、1つ以上のコーティングを必要に応じて含み得る。例えば、脂質ナノ粒子は、コーティングを有するカプセル、フィルム、または錠剤に製剤化され得る。本明細書に記載の組成物を含むカプセル、フィルム、または錠剤は、任意の有用なサイズ、引張強度、硬度、または密度を有し得る。
薬剤の例
送達対象の薬剤
本開示の免疫細胞送達脂質及び当該脂質を含むLNPを使用することで、薬剤との結合(例えば、薬剤のカプセル化)によって、様々な異なる薬剤を免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞、骨髄系細胞、マクロファージ/単球)に送達することができる。典型的には、LNPによって送達される薬剤は核酸であるが、核酸以外の薬剤(小分子、化学療法薬、ペプチド、タンパク質、及び他の生物学的分子など)も本開示に含まれる。送達され得る核酸には、DNAベースの分子(すなわち、デオキシリボヌクレオチドを含むもの)及びRNAベースの分子(すなわち、リボヌクレオチドを含むもの)が含まれる。さらに、核酸は、当該分子が天然に生じる形態であるか、または当該分子が化学的に修飾された形態(すなわち、修飾ヌクレオチドを1つ以上含むもの)であり得る。
タンパク質発現を増進するための薬剤
一実施形態では、脂質ベースの組成物(例えば、LNP)と結合/によってカプセル化される薬剤は、タンパク質発現を増進する(すなわち、増加させる、刺激する、上方制御する)薬剤である。一実施形態では、薬剤は、脂質ベースの組成物が送達される標的免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞、骨髄系細胞)におけるタンパク質発現を増加させる。付加的または代替的に、別の実施形態では、薬剤は、脂質ベースの組成物が送達される標的免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞、骨髄系細胞)以外の細胞(例えば、バイスタンダー細胞)におけるタンパク質発現を増加させる。タンパク質発現を増進するために使用され得る薬剤の型の例としては、限定されないが、RNA、mRNA、dsRNA、CRISPR/Cas9技術、ssDNA、及びDNA(例えば、発現ベクター)が挙げられる。
DNA剤
一実施形態では、LNPと結合/によってカプセル化される薬剤は、DNA剤である。DNA分子は、二本鎖DNAであるか、一本鎖DNA(ssDNA)であるか、または部分的に二本鎖のDNAである分子(すなわち、一部が二本鎖であり、一部が一本鎖である分子)であり得る。場合によっては、DNA分子は、三本鎖であるか、または部分的に三本鎖である(すなわち、一部が三本鎖であり、一部が二本鎖である)。DNA分子は、環状DNA分子または直鎖DNA分子であり得る。
LNPと結合/によってカプセル化されるDNA剤は、遺伝子を細胞に導入することが可能なDNA分子であり得、細胞に導入される遺伝子は、例えば、転写物をコードし、発現し得る遺伝子である。例えば、DNA剤は、目的タンパク質をコードすることで、LNPによって免疫細胞に送達されると免疫細胞における目的タンパク質の発現を増加させ得る。いくつかの実施形態では、DNA分子は、天然由来のものであり得、例えば、天然源から単離されたものである。他の実施形態では、DNA分子は合成分子であり、例えば、in vitroで生成される合成DNA分子である。いくつかの実施形態では、DNA分子は、組換え分子である。DNA剤の例としては、限定されないが、プラスミド発現ベクター及びウイルス発現ベクターが挙げられる。
本明細書に記載のDNA剤(例えば、DNAベクター)は、様々な異なる特徴を有し得る。本明細書に記載のDNA剤(例えば、DNAベクター)は、非コードDNA配列を含み得る。例えば、DNA配列は、遺伝子の制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、終止エレメント、ポリアデニル化シグナルエレメント、スプライシングシグナルエレメント、及び同様のもの)を少なくとも1つ含み得る。いくつかの実施形態では、非コードDNA配列は、イントロンである。いくつかの実施形態では、非コードDNA配列は、トランスポゾンである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のDNA配列は、転写的に活性な遺伝子に機能可能なように連結された非コードDNA配列を有し得る。他の実施形態では、本明細書に記載のDNA配列は、遺伝子に連結されていない非コードDNA配列を有し得、すなわち、こうした非コードDNAは、DNA配列上の遺伝子を制御しない。
RNA剤
一実施形態では、LNPと結合/によってカプセル化される薬剤は、RNA剤である。RNA分子は、一本鎖RNAであるか、二本鎖RNA(dsRNA)であるか、または部分的に二本鎖のRNAである分子(すなわち、一部が二本鎖であり、一部が一本鎖である分子)であり得る。RNA分子は、環状RNA分子または直鎖RNA分子であり得る。
LNPと結合/によってカプセル化されるRNA剤は、遺伝子を細胞に導入することが可能なRNA剤であり得、細胞に導入される遺伝子は、例えば、目的タンパク質をコードすることで、LNPによって免疫細胞に送達されると免疫細胞における目的タンパク質の発現を増加させ得る。いくつかの実施形態では、RNA分子は、天然由来のものであり得、例えば、天然源から単離されたものである。他の実施形態では、RNA分子は合成分子であり、例えば、in vitroで生成される合成RNA分子である。
RNA剤の例としては、限定されないが、メッセンジャーRNA(mRNA)(例えば、目的タンパク質をコードするもの)、修飾mRNA(mmRNA)、マイクロRNA結合部位(複数可)(miR結合部位(複数可))を含むmRNA、機能性RNAエレメントを含む修飾RNA、マイクロRNA(miRNA)、アンタゴmir、低分子(短鎖)干渉RNA(siRNA)(ショートマー及びダイサー基質RNAを含む)、RNA干渉(RNAi)分子、アンチセンスRNA、リボザイム、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、ロックド核酸(LNA)、ならびにCRISPR/Cas9技術が挙げられ、これらのRNA剤はそれぞれ、以下のサブセクションにさらに記載される。
メッセンジャーRNA(mRNA)
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法において使用するための少なくとも1つmRNAを含む脂質組成物(例えば、脂質ナノ粒子)を提供する。
mRNAは、天然起源または非天然起源のmRNAであり得る。mRNAは、以下に記載の修飾された核酸塩基、ヌクレオシド、またはヌクレオチドを1つ以上含み得、この場合、mRNAは、「修飾mRNA」または「mmRNA」と称され得る。本明細書に記載の「ヌクレオシド」は、有機塩基(例えば、プリンもしくはピリミジン)またはその誘導体(本明細書では「核酸塩基」とも称される)と共に糖分子(例えば、ペントースもしくはリボース)またはその誘導体を含む化合物として定義される。本明細書に記載の「ヌクレオチド」は、リン酸基を含むヌクレオシドとして定義される。
mRNAは、5’非翻訳領域(5’−UTR)、3’非翻訳領域(3’−UTR)、及び/またはコード領域(例えば、オープンリーディングフレーム)を含み得る。コンストラクトにおいて使用するための5’UTRの例は、配列番号60に示される。コンストラクトにおいて使用するための3’UTRの例は、配列番号61に示される。コンストラクトにおいて使用するためのmiR−122結合部位及び/またはmiR−142−3p結合部位を含む3’UTRの例は、配列番号62に示される。一実施形態では、miR122結合部位を含めることによって肝細胞での発現が低減される。mRNAは、数十(例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、90、もしくは100)の塩基対、数百(例えば、200、300、400、500、600、700、800、もしくは900)の塩基対、または数千(例えば、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10、000)の塩基対を含めて、任意の適切な数の塩基対を含み得る。核酸塩基、ヌクレオシド、またはヌクレオチドの任意の数(例えば、すべて、いくつか、またはゼロ)が、古典的な種の類似体であり得、こうした類似体は、置換されたもの、修飾されたもの、またはその他の様式で非天然起源のものであり得る。ある特定の実施形態では、特定の核酸塩基型のすべてが修飾され得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmRNAは、5’キャップ構造、鎖終結ヌクレオチド、任意選択のコザック配列(コザックコンセンサス配列としても知られる)、ステムループ、ポリA配列、及び/またはポリアデニル化シグナルを含み得る。
5’キャップ構造または5’キャップ種は、リンカーによって連結された2つのヌクレオシド部分を含む化合物であり、天然起源のキャップ、非天然起源のキャップ、もしくはキャップ類似体、またはアンチリバースキャップアナログ(ARCA)から選択され得る。キャップ種は、修飾されたヌクレオシド部分及び/またはリンカー部分を1つ以上含み得る。例えば、天然のmRNAキャップには、グアニンヌクレオチドと、7位がメチル化されたグアニン(G)ヌクレオチドと、がそれらの5位で三リン酸結合によって連結されたもの(例えば、m7G(5’)ppp(5’)G(一般には、m7GpppGと記載される))が含まれ得る。キャップ種は、アンチリバースキャップアナログでもあり得る。考えられ得るキャップ種のリストには、限定されないが、m7GpppG、m7Gpppm7G、m73’dGpppG、m27,O3’GpppG、m27,O3’GppppG、m27,O2’GppppG、m7Gpppm7G、m73’dGpppG、m27,O3’GpppG、m27,O3’GppppG、及びm27,O2’GppppGが含まれる。
mRNAは、鎖終結ヌクレオシドを代替的または付加的に含み得る。例えば、鎖終結ヌクレオシドには、自体の糖基の2’位及び/または3’位が脱酸素化されたヌクレオシドが含まれ得る。そのような種には、3’−デオキシアデノシン(コルジセピン)、3’−デオキシウリジン、3’−デオキシシトシン、3’−デオキシグアノシン、3’−デオキシチミン、ならびに2’,3’−ジデオキシヌクレオシド(2’,3’−ジデオキシアデノシン、2’,3’−ジデオキシウリジン、2’,3’−ジデオキシシトシン、2’,3’−ジデオキシグアノシン、及び2’,3’−ジデオキシチミンなど)が含まれ得る。いくつかの実施形態では、鎖終結ヌクレオチドをmRNA(例えば、その3’末端)に組み込むことでmRNAが安定化し得る。このことは、例えば、国際特許公開公報第WO2013/103659号に記載されている。
mRNAは、ステムループ(ヒストンステムループなど)を代替的または付加的に含み得る。ステムループは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つ以上のヌクレオチド塩基対を含み得る。例えば、ステムループは、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つのヌクレオチド塩基対を含み得る。ステムループは、mRNAの任意の領域に位置し得る。例えば、ステムループは、非翻訳領域(5’非翻訳領域もしくは3’非翻訳領域)、コード領域、またはポリA配列もしくは尾部の中、上流、または下流に位置し得る。いくつかの実施形態では、ステムループは、mRNAの1つ以上の機能(複数可)(翻訳開始、翻訳効率、及び/または転写終結など)に影響を与え得る。
mRNAは、ポリA配列及び/またはポリアデニル化シグナルを代替的または付加的に含み得る。ポリA配列は、そのすべてまたは大部分がアデニンヌクレオチドまたはその類似体もしくは誘導体から構成され得る。ポリA配列は、mRNAの3’非翻訳領域に隣接して位置する尾部であり得る。いくつかの実施形態では、ポリA配列は、mRNAの核外輸送、翻訳、及び/または安定性に影響を与え得る。
mRNAは、マイクロRNA結合部位を代替的または付加的に含み得る。
いくつかの実施形態では、mRNAは、第1のコード領域及び第2のコード領域を含むバイシストロン性のmRNAであり、このバイシストロン性のmRNAは、第1のコード領域と第2のコード領域との間に配列内からの翻訳の開始を可能にする配列内リボソーム進入部位(IRES)配列を含む介在配列を有するか、または自己切断ペプチド(2Aペプチドなど)をコードする介在配列を有する。IRES配列及び2Aペプチドは、典型的には、同じベクターからの複数のタンパク質の発現を増進するために使用される。当該技術分野では様々なIRES配列が公知かつ利用可能であり、例えば脳心筋炎ウイルスのIRESを含めて、様々なIRES配列が使用され得る。
一実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、自己切断ペプチドをコードする配列を含み得る。自己切断ペプチドには、限定されないが、2Aペプチドが含まれ得る。当該技術分野では様々な2Aペプチドが公知かつ利用可能であり、例えば口蹄疫ウイルス(FMDV)の2Aペプチド、ウマ鼻炎Aウイルスの2Aペプチド、Thosea asignaウイルスの2Aペプチド、及び豚テシオウイルス−1の2Aペプチドを含めて、様々な2Aペプチドが使用され得る。2Aペプチドは、リボソームスキッピングによって1つの転写物から2つのタンパク質を生成させるためにいくつかのウイルスによって利用されており、この生成過程ではリボソームスキッピングが生じることで、2Aペプチド配列ではペプチド結合が正常に形成されず、結果的に、1つの翻訳事象から2つの不連続タンパク質が生成する。非限定的な例として、2Aペプチドは、GSGATNFSLLKQAGDVEENPGP(配列番号63)というタンパク質配列、そのフラグメントまたはバリアントを有し得る。一実施形態では、2Aペプチドでは、最後のグリシンと最後のプロリンとの間で切断が生じる。別の非限定的な例として、本開示のポリヌクレオチドは、GSGATNFSLLKQAGDVEENPGP(配列番号63)というタンパク質配列、そのフラグメントまたはバリアントを有する2Aペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含み得る。2Aペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の例の1つは、GGAAGCGGAGCTACTAACTTCAGCCTGCTGAAGCAGGCTGGAGACGTGGAGGAGAACCCTGGACCT(配列番号64)である。例示の一実施形態では、2Aペプチドは下記の配列:5’−TCCGGACTCAGATCCGGGGATCTCAAAATTGTCGCTCCTGTCAAACAAACTCTTAACTTTGATTTACTCAAACTGGCTGGGGATGTAGAAAGCAATCCAGGTCCACTC−3’(配列番号65)によってコードされる。2Aペプチドのポリヌクレオチド配列は、本明細書に記載の方法によって修飾もしくはコドン最適化がなされ、及び/または当該技術分野で知られているものであり得る。
一実施形態では、この配列は、2つ以上の目的ポリペプチドのコード領域を分離するために使用され得る。非限定的な例として、F2Aペプチドをコードする配列は、第1のコード領域Aと第2のコード領域Bとの間に存在し得る(A−F2Apep−B)。F2Aペプチドが存在すると、F2Aペプチド配列の末端に位置するグリシンとプロリンとの間で1つの長鎖タンパク質が切断され(NPGPが切断されてNPG及びPが生じる)、その結果、個別のタンパク質A(F2Aペプチドのアミノ酸が21個付加されており、末端にはNPGが存在する)及び個別のタンパク質B(F2Aペプチドのアミノ酸(P)が1つ付加されている)が創出される。同様に、他の2Aペプチド(P2A、T2A、及びE2A)についても、こうしたペプチドが長鎖タンパク質に存在すると、2Aペプチド配列の末端に位置するグリシンとプロリンとの間が切断される(NPGPが切断されてNPG及びPが生じる)。タンパク質Aとタンパク質Bとは、同じまたは異なる目的ペプチドまたは目的ポリペプチドであり得る。特定の実施形態では、タンパク質Aは、免疫原性細胞死を誘導するポリペプチドであり、タンパク質Bは、炎症性及び/または免疫性の応答を刺激し、及び/または免疫応答性を制御する別のポリペプチドである(このことについては、以下にさらに記載される)。
修飾mRNA
いくつかの実施形態では、本開示のmRNAは、修飾された核酸塩基、ヌクレオシド、またはヌクレオチド(「修飾mRNA」または「mmRNA」と呼ばれる)を1つ以上含む。いくつかの実施形態では、修飾mRNAは、有用な特性を有し得、こうした特性には、参照の非修飾mRNAと比較して、安定性が増進すること、細胞内に保持されること、翻訳が増進すること、及び/または当該mRNAが導入される細胞の自然免疫応答が実質的に誘導されないこと、が含まれる。したがって、修飾mRNAを使用することで、タンパク質産生の効率が増進し、核酸の細胞内保持が増進し、免疫原性が低減され得る。
いくつかの実施形態では、mRNAは、異なる修飾核酸塩基、修飾ヌクレオシド、または修飾ヌクレオチドを1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、または4つ)含む。いくつかの実施形態では、mRNAは、異なる修飾核酸塩基、修飾ヌクレオシド、または修飾ヌクレオチドを1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、またはそれを超える数)含む。いくつかの実施形態では、修飾mRNAが導入される細胞では、当該mRNAの分解が、対応する非修飾mRNAと比較して低減され得る。
いくつかの実施形態では、修飾核酸塩基は、修飾ウラシルである。修飾ウラシルを有する核酸塩基及びヌクレオシドの例としては、シュードウリジン(ψ)、ピリジン−4−オンリボヌクレオシド、5−アザ−ウリジン、6−アザ−ウリジン、2−チオ−5−アザ−ウリジン、2−チオ−ウリジン(s2U)、4−チオ−ウリジン(s4U)、4−チオ−シュードウリジン、2−チオ−シュードウリジン、5−ヒドロキシ−ウリジン(ho5U)、5−アミノアリル−ウリジン、5−ハロ−ウリジン(例えば、5−ヨード−ウリジンまたは5−ブロモ−ウリジン)、3−メチル−ウリジン(m3U)、5−メトキシ−ウリジン(mo5U)、ウリジン5−オキシ酢酸(cmo5U)、ウリジン5−オキシ酢酸メチルエステル(mcmo5U)、5−カルボキシメチル−ウリジン(cm5U)、1−カルボキシメチル−シュードウリジン、5−カルボキシヒドロキシメチル−ウリジン(chm5U)、5−カルボキシヒドロキシメチル−ウリジンメチルエステル(mchm5U)、5−メトキシカルボニルメチル−ウリジン(mcm5U)、5−メトキシカルボニルメチル−2−チオ−ウリジン(mcm5s2U)、5−アミノメチル−2−チオ−ウリジン(nm5s2U)、5−メチルアミノメチル−ウリジン(mnm5U)、5−メチルアミノメチル−2−チオ−ウリジン(mnm5s2U)、5−メチルアミノメチル−2−セレノ−ウリジン(mnm5se2U)、5−カルバモイルメチル−ウリジン(ncm5U)、5−カルボキシメチルアミノメチル−ウリジン(cmnm5U)、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオ−ウリジン(cmnm5s2U)、5−プロピニル−ウリジン、1−プロピニル−シュードウリジン、5−タウリノメチル−ウリジン(τm5U)、1−タウリノメチル−シュードウリジン、5−タウリノメチル−2−チオ−ウリジン(τm5s2U)、1−タウリノメチル−4−チオ−シュードウリジン、5−メチル−ウリジン(m5U、すなわち、核酸塩基デオキシチミンを有する)、1−メチル−シュードウリジン(m1ψ)、5−メチル−2−チオ−ウリジン(m5s2U)、1−メチル−4−チオ−シュードウリジン(m1s4ψ)、4−チオ−1−メチル−シュードウリジン、3−メチル−シュードウリジン(m3ψ)、2−チオ−1−メチル−シュードウリジン、1−メチル−1−デアザ−シュードウリジン、2−チオ−1−メチル−1−デアザ−シュードウリジン、ジヒドロウリジン(D)、ジヒドロシュードウリジン、5,6−ジヒドロウリジン、5−メチル−ジヒドロウリジン(m5D)、2−チオ−ジヒドロウリジン、2−チオ−ジヒドロシュードウリジン、2−メトキシ−ウリジン、2−メトキシ−4−チオ−ウリジン、4−メトキシ−シュードウリジン、4−メトキシ−2−チオ−シュードウリジン、N1−メチル−シュードウリジン、3−(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)ウリジン(acp3U)、1−メチル−3−(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)シュードウリジン(acp3ψ)、5−(イソペンテニルアミノメチル)ウリジン(inm5U)、5−(イソペンテニルアミノメチル)−2−チオ−ウリジン(inm5s2U)、α−チオ−ウリジン、2’−O−メチル−ウリジン(Um)、5,2’−O−ジメチル−ウリジン(m5Um)、2’−O−メチル−シュードウリジン(ψm)、2−チオ−2’−O−メチル−ウリジン(s2Um)、5−メトキシカルボニルメチル−2’−O−メチル−ウリジン(mcm5Um)、5−カルバモイルメチル−2’−O−メチル−ウリジン(ncm5Um)、5−カルボキシメチルアミノメチル−2’−O−メチル−ウリジン(cmnm5Um)、3,2’−O−ジメチル−ウリジン(m3Um)、及び5−(イソペンテニルアミノメチル)−2’−O−メチル−ウリジン(inm5Um)、1−チオ−ウリジン、デオキシチミジン、2’−F−アラ−ウリジン、2’−F−ウリジン、2’−OH−アラ−ウリジン、5−(2−カルボメトキシビニル)ウリジン、ならびに5−[3−(1−E−プロペニルアミノ)]ウリジンが挙げられる。
いくつかの実施形態では、修飾核酸塩基は、修飾シトシンである。修飾シトシンを有する核酸塩基及びヌクレオシドの例としては、5−アザ−シチジン、6−アザ−シチジン、シュードイソシチジン、3−メチル−シチジン(m3C)、N4−アセチル−シチジン(ac4C)、5−ホルミル−シチジン(f5C)、N4−メチル−シチジン(m4C)、5−メチル−シチジン(m5C)、5−ハロ−シチジン(例えば、5−ヨード−シチジン)、5−ヒドロキシメチル−シチジン(hm5C)、1−メチル−シュードイソシチジン、ピロロ−シチジン、ピロロ−シュードイソシチジン、2−チオ−シチジン(s2C)、2−チオ−5−メチル−シチジン、4−チオ−シュードイソシチジン、4−チオ−1−メチル−シュードイソシチジン、4−チオ−1−メチル−1−デアザ−シュードイソシチジン、1−メチル−1−デアザ−シュードイソシチジン、ゼブラリン、5−アザ−ゼブラリン、5−メチル−ゼブラリン、5−アザ−2−チオ−ゼブラリン、2−チオ−ゼブラリン、2−メトキシ−シチジン、2−メトキシ−5−メチル−シチジン、4−メトキシ−シュードイソシチジン、4−メトキシ−1−メチル−シュードイソシチジン、リシジン(k2C)、α−チオ−シチジン、2’−O−メチル−シチジン(Cm)、5,2’−O−ジメチル−シチジン(m5Cm)、N4−アセチル−2’−O−メチル−シチジン(ac4Cm)、N4,2’−O−ジメチル−シチジン(m4Cm)、5−ホルミル−2’−O−メチル−シチジン(f5Cm)、N4,N4,2’−O−トリメチル−シチジン(m42Cm)、1−チオ−シチジン、2’−F−アラ−シチジン、2’−F−シチジン、及び2’−OH−アラ−シチジンが挙げられる。
いくつかの実施形態では、修飾核酸塩基は、修飾アデニンである。修飾アデニンを有する核酸塩基及びヌクレオシドの例としては、a−チオ−アデノシン、2−アミノ−プリン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノ−6−ハロ−プリン(例えば、2−アミノ−6−クロロ−プリン)、6−ハロ−プリン(例えば、6−クロロ−プリン)、2−アミノ−6−メチル−プリン、8−アジド−アデノシン、7−デアザ−アデニン、7−デアザ−8−アザ−アデニン、7−デアザ−2−アミノ−プリン、7−デアザ−8−アザ−2−アミノ−プリン、7−デアザ−2,6−ジアミノプリン、7−デアザ−8−アザ−2,6−ジアミノプリン、1−メチル−アデノシン(m1A)、2−メチル−アデニン(m2A)、N6−メチル−アデノシン(m6A)、2−メチルチオ−N6−メチル−アデノシン(ms2m6A)、N6−イソペンテニル−アデノシン(i6A)、2−メチルチオ−N6−イソペンテニル−アデノシン(ms2i6A)、N6−(シス−ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン(io6A)、2−メチルチオ−N6−(シス−ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン(ms2io6A)、N6−グリシニルカルバモイル−アデノシン(g6A)、N6−スレオニルカルバモイル−アデノシン(t6A)、N6−メチル−N6−スレオニルカルバモイル−アデノシン(m6t6A)、2−メチルチオ−N6−スレオニルカルバモイル−アデノシン(ms2g6A)、N6,N6−ジメチル−アデノシン(m62A)、N6−ヒドロキシノルバリルカルバモイル−アデノシン(hn6A)、2−メチルチオ−N6−ヒドロキシノルバリルカルバモイル−アデノシン(ms2hn6A)、N6−アセチル−アデノシン(ac6A)、7−メチル−アデニン、2−メチルチオ−アデニン、2−メトキシ−アデニン、α−チオ−アデノシン、2’−O−メチル−アデノシン(Am)、N6,2’−O−ジメチル−アデノシン(m6Am)、N6,N6,2’−O−トリメチル−アデノシン(m62Am)、1,2’−O−ジメチル−アデノシン(m1Am)、2’−O−リボシルアデノシン(ホスフェート)(Ar(p))、2−アミノ−N6−メチル−プリン、1−チオ−アデノシン、8−アジド−アデノシン、2’−F−アラ−アデノシン、2’−F−アデノシン、2’−OH−アラ−アデノシン、及びN6−(19−アミノ−ペンタオキサノナデシル)−アデノシンが挙げられる。
いくつかの実施形態では、修飾核酸塩基は、修飾グアニンである。修飾グアニンを有する核酸塩基及びヌクレオシドの例としては、a−チオ−グアノシン、イノシン(I)、1−メチル−イノシン(m1I)、ワイオシン(imG)、メチルワイオシン(mimG)、4−デメチル−ワイオシン(imG−14)、イソワイオシン(imG2)、ワイブトシン(yW)、ペルオキシワイブトシン(o2yW)、ヒドロキシワイブトシン(OhyW)、修飾途中のヒドロキシワイブトシン(OhyW*)、7−デアザ−グアノシン、キューオシン(Q)、エポキシキューオシン(oQ)、ガラクトシル−キューオシン(galQ)、マンノシル−キューオシン(manQ)、7−シアノ−7−デアザ−グアノシン(preQ0)、7−アミノメチル−7−デアザ−グアノシン(preQ1)、アルケオシン(G+)、7−デアザ−8−アザ−グアノシン、6−チオ−グアノシン、6−チオ−7−デアザ−グアノシン、6−チオ−7−デアザ−8−アザ−グアノシン、7−メチル−グアノシン(m7G)、6−チオ−7−メチル−グアノシン、7−メチル−イノシン、6−メトキシ−グアノシン、1−メチル−グアノシン(m1G)、N2−メチル−グアノシン(m2G)、N2,N2−ジメチル−グアノシン(m22G)、N2,7−ジメチル−グアノシン(m2,7G)、N2,N2,7−ジメチル−グアノシン(m2,2,7G)、8−オキソ−グアノシン、7−メチル−8−オキソ−グアノシン、1−メチル−6−チオ−グアノシン、N2−メチル−6−チオ−グアノシン、N2,N2−ジメチル−6−チオ−グアノシン、α−チオ−グアノシン、2’−O−メチル−グアノシン(Gm)、N2−メチル−2’−O−メチル−グアノシン(m2Gm)、N2,N2−ジメチル−2’−O−メチル−グアノシン(m22Gm)、1−メチル−2’−O−メチル−グアノシン(m1Gm)、N2,7−ジメチル−2’−O−メチル−グアノシン(m2,7Gm)、2’−O−メチル−イノシン(Im)、1,2’−O−ジメチル−イノシン(m1Im)、2’−O−リボシルグアノシン(ホスフェート)(Gr(p))、1−チオ−グアノシン、O6−メチル−グアノシン、2’−F−アラ−グアノシン、及び2’−F−グアノシンが挙げられる。
いくつかの実施形態では、本開示のmRNAは、前述の修飾核酸塩基を1つ以上組み合わせて含む(例えば、前述の修飾核酸塩基を2つ、3つ、または4つ、組み合わせて含む)。
いくつかの実施形態では、修飾核酸塩基は、シュードウリジン(ψ)、N1−メチルシュードウリジン(m1ψ)、2−チオウリジン、4’−チオウリジン、5−メチルシトシン、2−チオ−1−メチル−1−デアザ−シュードウリジン、2−チオ−1−メチル−シュードウリジン、2−チオ−5−アザ−ウリジン、2−チオ−ジヒドロシュードウリジン、2−チオ−ジヒドロウリジン、2−チオ−シュードウリジン、4−メトキシ−2−チオ−シュードウリジン、4−メトキシ−シュードウリジン、4−チオ−1−メチル−シュードウリジン、4−チオ−シュードウリジン、5−アザ−ウリジン、ジヒドロシュードウリジン、5−メトキシウリジン、または2’−O−メチルウリジンである。いくつかの実施形態では、本開示のmRNAは、前述の修飾核酸塩基を1つ以上組み合わせて含む(例えば、前述の修飾核酸塩基を2つ、3つ、または4つ、組み合わせて含む)。一実施形態では、修飾核酸塩基は、N1−メチルシュードウリジン(m1ψ)であり、本開示のmRNAは、N1−メチルシュードウリジン(m1ψ)で完全に修飾される。いくつかの実施形態では、N1−メチルシュードウリジン(m1ψ)は、mRNAにおけるウラシルの75〜100%を占める。いくつかの実施形態では、N1−メチルシュードウリジン(m1ψ)は、mRNAにおけるウラシルの100%を占める。
いくつかの実施形態では、修飾核酸塩基は、修飾シトシンである。修飾シトシンを有する核酸塩基及びヌクレオシドの例としては、N4−アセチル−シチジン(ac4C)、5−メチル−シチジン(m5C)、5−ハロ−シチジン(例えば、5−ヨード−シチジン)、5−ヒドロキシメチル−シチジン(hm5C)、1−メチル−シュードイソシチジン、2−チオ−シチジン(s2C)、2−チオ−5−メチル−シチジンが挙げられる。いくつかの実施形態では、本開示のmRNAは、前述の修飾核酸塩基を1つ以上組み合わせて含む(例えば、前述の修飾核酸塩基を2つ、3つ、または4つ、組み合わせて含む)。
いくつかの実施形態では、修飾核酸塩基は、修飾アデニンである。修飾アデニンを有する核酸塩基及びヌクレオシドの例としては、7−デアザ−アデニン、1−メチル−アデノシン(m1A)、2−メチル−アデニン(m2A)、N6−メチル−アデノシン(m6A)が挙げられる。いくつかの実施形態では、本開示のmRNAは、前述の修飾核酸塩基を1つ以上組み合わせて含む(例えば、前述の修飾核酸塩基を2つ、3つ、または4つ、組み合わせて含む)。
いくつかの実施形態では、修飾核酸塩基は、修飾グアニンである。修飾グアニンを有する核酸塩基及びヌクレオシドの例としては、イノシン(I)、1−メチル−イノシン(m1I)、ワイオシン(imG)、メチルワイオシン(mimG)、7−デアザ−グアノシン、7−シアノ−7−デアザ−グアノシン(preQ0)、7−アミノメチル−7−デアザ−グアノシン(preQ1)、7−メチル−グアノシン(m7G)、1−メチル−グアノシン(m1G)、8−オキソ−グアノシン、7−メチル−8−オキソ−グアノシンが挙げられる。いくつかの実施形態では、本開示のmRNAは、前述の修飾核酸塩基を1つ以上組み合わせて含む(例えば、前述の修飾核酸塩基を2つ、3つ、または4つ、組み合わせて含む)。
いくつかの実施形態では、修飾核酸塩基は、1−メチル−シュードウリジン(m1ψ)、5−メトキシ−ウリジン(mo5U)、5−メチル−シチジン(m5C)、シュードウリジン(ψ)、α−チオ−グアノシン、またはα−チオ−アデノシンである。いくつかの実施形態では、本開示のmRNAは、前述の修飾核酸塩基を1つ以上組み合わせて含む(例えば、前述の修飾核酸塩基を2つ、3つ、または4つ、組み合わせて含む)。
いくつかの実施形態では、mRNAは、シュードウリジン(ψ)を含む。いくつかの実施形態では、mRNAは、シュードウリジン(ψ)及び5−メチル−シチジン(m5C)を含む。いくつかの実施形態では、mRNAは、1−メチル−シュードウリジン(m1ψ)を含む。いくつかの実施形態では、mRNAは、1−メチル−シュードウリジン(m1ψ)及び5−メチル−シチジン(m5C)を含む。いくつかの実施形態では、mRNAは、2−チオウリジン(s2U)を含む。いくつかの実施形態では、mRNAは、2−チオウリジン及び5−メチル−シチジン(m5C)を含む。いくつかの実施形態では、mRNAは、5−メトキシ−ウリジン(mo5U)を含む。いくつかの実施形態では、mRNAは、5−メトキシ−ウリジン(mo5U)及び5−メチル−シチジン(m5C)を含む。いくつかの実施形態では、mRNAは、2’−O−メチルウリジンを含む。いくつかの実施形態では、mRNAは、2’−O−メチルウリジン及び5−メチル−シチジン(m5C)を含む。いくつかの実施形態では、mRNAは、N6−メチル−アデノシン(m6A)を含む。いくつかの実施形態では、mRNAは、N6−メチル−アデノシン(m6A)及び5−メチル−シチジン(m5C)を含む。
ある特定の実施形態では、本開示のmRNAは、特定の修飾について一様に修飾される(すなわち、完全に修飾され、配列全体を通じて修飾される)。例えば、mRNAは、N1−メチルシュードウリジン(m1ψ)または5−メチル−シチジン(m5C)で一様に修飾される可能性があり、このことは、mRNA配列におけるすべてのウリジンまたはすべてのシトシンヌクレオシドがN1−メチルシュードウリジン(m1ψ)または5−メチル−シチジン(m5C)で置き換えられることを意味する。同様に、本開示のmRNAは、配列に存在する任意の型のヌクレオシド残基が修飾残基(前述のものなど)で置き換えられることによって一様に修飾され得る。
いくつかの実施形態では、本開示のmRNAは、コード領域(例えば、ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム)に修飾が存在し得る。他の実施形態では、mRNAは、コード領域以外の領域に修飾が存在し得る。例えば、いくつかの実施形態では、5’−UTR及び/または3’−UTRが提供され、そのいずれかまたは両方が、1つ以上の異なるヌクレオシド修飾を独立して含み得る。そのような実施形態では、コード領域にもヌクレオシド修飾が存在し得る。
本開示のmmRNAに存在し得るヌクレオシド修飾及びその組み合わせの例としては、限定されないが、PCT特許出願公開公報WO2012045075、同WO2014081507、同WO2014093924、同WO2014164253、及び同WO2014159813に記載のものが挙げられる。
本開示のmmRNAは、糖、核酸塩基、及び/またはヌクレオシド間結合に対する修飾の組み合わせを含み得る。こうした組み合わせは、本明細書に記載の任意の修飾を1つ以上含み得る。
修飾ヌクレオシド及び修飾ヌクレオシドの組み合わせの例は、以下の表17及び表18に示される。修飾ヌクレオチドのこうした組み合わせは、本開示のmmRNAを形成させるために使用され得る。ある特定の実施形態では、修飾ヌクレオシドによって本開示のmRNAの天然のヌクレオチドが部分的または完全に置き換えられ得る。非限定的な例として、天然のヌクレオチドウリジンは、本明細書に記載の修飾ヌクレオシドで置き換えられ得る。別の非限定的な例では、天然のヌクレオシドウリジン(例えば、天然のウリジンの約0.1%、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約99.9%)は、本明細書に開示の修飾ヌクレオシドのうちの少なくとも1つで部分的に置き換えられ得る。
本開示によれば、本開示のポリヌクレオチドは、表17もしくは表18に記載の修飾の組み合わせを含むか、または表17もしくは表18に記載の修飾のうちの1つを含むように合成され得る。
記載される修飾が1つである場合、記載のヌクレオシドまたはヌクレオチドは、修飾されているそのAヌクレオチド、Uヌクレオチド、Gヌクレオチド、もしくはCヌクレオチド、または修飾されているAヌクレオシド、Uヌクレオシド、Gヌクレオシド、もしくはCヌクレオシドの100パーセントを占める。パーセントが記載される場合、こうしたパーセントは、存在するA三リン酸、U三リン酸、G三リン酸、またはC三リン酸の総量にその特定のA核酸塩基三リン酸、U核酸塩基三リン酸、G核酸塩基三リン酸、またはC核酸塩基三リン酸が占めるパーセントを表す。例えば、25% 5−アミノアリル−CTP+75% CTP/25% 5−メトキシ−UTP+75% UTPという組み合わせは、シトシン三リン酸の25%が5−アミノアリル−CTPである一方でシトシンの75%がCTPであり、ウラシルの25%が5−メトキシUTPである一方でウラシルの75%がUTPであるポリヌクレオチドを指す。修飾UTPが記載されない場合、ポリヌクレオチドに見られるヌクレオチドの部位の100%に天然起源のATP、UTP、GTP、及び/またはCTPが使用されている。この例では、GTPヌクレオチド及びATPヌクレオチドはすべて、非修飾のままで存在する。
本開示のmRNAまたはその領域は、コドンが最適化され得る。コドンの最適化方法は当該技術分野で知られており、下記の目的を含む様々な目的に有用であり得る:宿主生物におけるコドン頻度に合わせて適切なフォールディングを維持すること、mRNAの安定性が向上するか、二次構造が低減されるようにGC含量を偏らせること、コドンもしくは塩基が直列に反復して存在することで遺伝子の構築もしくは発現が害され得ることを最小化すること、転写及び翻訳の制御領域をカスタマイズすること、タンパク質輸送配列を挿入もしくは除去すること、コードされるタンパク質における翻訳後修飾部位(例えば、グリコシル化部位)を除去/追加すること、タンパク質ドメインを追加、除去、もしくはシャッフルすること、制限酵素認識部位の挿入もしくは欠失を行うこと、リボソーム結合部位及びmRNA分解部位を修飾すること、タンパク質の様々なドメインの適切なフォールディングが可能になるように翻訳速度を調整すること、またはポリヌクレオチド内の問題の二次構造を低減もしくは除去すること。コドンを最適化するツール、アルゴリズム、及びサービスは当該技術分野で知られている。例としては、限定されないが、GeneArt(Life Technologies)が提供するサービス、DNA2.0(Menlo Park,CA)、及び/または独自の方法が挙げられる。一実施形態では、最適化アルゴリズムを使用してmRNA配列を最適化することで、例えば、哺乳動物細胞における発現が最適化されるか、またはmRNAの安定性が増進する。
ある特定の実施形態では、本開示は、本明細書に記載のポリヌクレオチド配列のいずれかに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む。
本開示のmRNAは、当該技術分野で利用可能な手段によって生成させることができ、こうした手段には、限定されないが、in vitroの転写(IVT)法及び合成法が含まれる。酵素(IVT)法、固相法、液相法、組み合わせ合成法、小領域合成法、及びライゲーション法が利用され得る。一実施形態では、mRNAは、IVT酵素合成法を使用して調製される。IVTによってポリヌクレオチドを調製する方法は、当該技術分野で知られており、国際出願PCT/US2013/30062に記載されている。当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。したがって、本開示は、本明細書に記載のmRNAのin vitroでの転写に使用され得るポリヌクレオチド(例えば、DNA、コンストラクト、及びベクター)も含む。
合成の間または合成の後に、非天然の修飾核酸塩基がポリヌクレオチド(例えば、mRNA)に導入され得る。ある特定の実施形態では、修飾は、ヌクレオシド間結合、プリン塩基もしくはピリミジン塩基、または糖に対して行われ得る。特定の実施形態では、修飾は、化学合成またはポリメラーゼ酵素を用いてポリヌクレオチド鎖の末端またはポリヌクレオチド鎖の他の任意の場所に導入され得る。修飾核酸及びその合成の例は、PCT出願第PCT/US2012/058519号に開示されている。修飾ポリヌクレオチドの合成は、Verma and Eckstein,Annual Review of Biochemistry,vol.76,99−134(1998)にも記載されている。
異なる機能性部分(標的化剤または送達剤、蛍光標識、液体、ナノ粒子など)とポリヌクレオチドまたはその領域との複合体化には酵素的ライゲーション法または化学的ライゲーション法のいずれも使用され得る。ポリヌクレオチドと修飾ポリヌクレオチドとの複合体については、Goodchild,Bioconjugate Chemistry,vol.1(3),165−187(1990)に概説されている。
マイクロRNA(miRNA)結合部位
本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、制御エレメント(例えば、マイクロRNA(miRNA)結合部位、転写因子結合部位、構造化mRNA配列及び/またはモチーフ、内因性核酸結合分子の疑似受容体として作用するように改変された人工結合部位、ならびにそれらの組み合わせ)を含み得る。いくつかの実施形態では、そのような制御エレメントを含む核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、「センサー配列」を含むと称される。センサー配列の非限定的な例は、米国公開第2014/0200261号に記載されており、その内容は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、目的ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含むと共に、1つ以上のmiRNA結合部位(複数可)をさらに含む。miRNA結合部位(複数可)を含めるか、または組み込むことで、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))、引いてはそこにコードされるポリペプチドが、天然起源のmiRNAの組織特異的及び/または細胞型特異的な発現に基づいて制御される。
miRNA(例えば、天然起源のmiRNA)は、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))に結合し、ポリヌクレオチドの安定性を低下させるか、ポリヌクレオチドの翻訳を阻害することにより、遺伝子発現を下方制御する19〜25ヌクレオチドの長さの非コードRNAである。miRNA配列は、「シード」領域、すなわち、成熟miRNAの位置2〜8の領域内の配列を含む。miRNAシードは、成熟miRNAの位置2〜8または2〜7を含むことができる。いくつかの実施形態では、miRNAシードは7ヌクレオチド(例えば、成熟miRNAのヌクレオチド2〜8)を含むことができ、対応するmiRNA結合部位のシード相補部位は、miRNAの位置1とは反対のアデノシン(A)が隣接している。いくつかの実施形態では、miRNAシードは6ヌクレオチド(例えば、成熟miRNAのヌクレオチド2〜7)を含むことができ、対応するmiRNA結合部位のシード相補部位は、miRNAの位置1とは反対のアデノシン(A)が隣接している。例えば、Grimson A, Farh KK, Johnston WK, Garrett−Engele P, Lim LP, Bartel DP;Mol Cell. 2007 Jul 6;27(1):91−105を参照されたい。標的細胞または組織のmiRNAプロファイリングを行って、細胞または組織内のmiRNAの有無を判断できる。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、1つ以上のマイクロRNA結合部位、マイクロRNA標的配列、マイクロRNA相補的配列、またはマイクロRNAシード相補的配列を含む。そのような配列は、米国特許公開第2005/0261218号及び米国特許公開第2005/0059005号に教示されているものなどの任意の公知のマイクロRNAに対応し得(例えば、そうしたマイクロRNAに相補性を有し得る)、そのそれぞれの内容は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
本明細書で使用する場合、「マイクロRNA(miRNAまたはmiR)結合部位」という用語は、miRNAと相互作用、結合、または結合するためのmiRNAの全てまたは領域に対する十分な相補性を有する、5’UTR及び/または3’UTRを含む、核酸分子内、例えばDNA内またはRNA転写物内の配列を指す。いくつかの実施形態では、目的ポリペプチドをコードするORFを含む本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、1つ以上のmiRNA結合部位(複数可)をさらに含む。例示的な実施形態では、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の5’UTR及び/または3’UTRは、1つ以上のmiRNA結合部位(複数可)を含む。
miRNAに対して十分な相補性を有するmiRNA結合部位は、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))のmiRNA媒介調節、例えば核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))のmiRNA媒介翻訳抑制または分解を促進するのに十分な程度の相補性を指す。本開示の例示的な態様において、miRNAに対して十分な相補性を有するmiRNA結合部位は、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))のmiRNA媒介分解、例えば、mRNAの、miRNA誘導RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)媒介切断を促進するのに十分な程度の相補性を指す。miRNA結合部位は、例えば、19〜25ヌクレオチドmiRNA配列、19〜23ヌクレオチドmiRNA配列、または22ヌクレオチドmiRNA配列に対して相補性を有し得る。miRNA結合部位は、miRNAの一部のみ、例えば、天然に存在するmiRNA配列の全長の1、2、3、または4ヌクレオチド未満の部分のみに相補的であり得る。所望の調節がmRNA分解であるとき、全部または完全な相補性(例えば、天然に存在するmiRNAの長さの全てまたはかなりの部分にわたる全部の相補性または完全な相補性)が好ましい。
いくつかの実施形態では、miRNA結合部位には、miRNAシード配列との相補性(例えば、部分的または完全な相補性)を有する配列が含まれる。いくつかの実施形態では、miRNA結合部位には、miRNAシード配列と完全な相補性を有する配列が含まれる。いくつかの実施形態では、miRNA結合部位には、miRNA配列と相補性(部分的または完全な相補性など)を有する配列が含まれる。いくつかの実施形態では、miRNA結合部位には、miRNA配列と完全な相補性を有する配列が含まれる。いくつかの実施形態では、miRNA結合部位はmiRNA配列と完全な相補性を有するが、1、2、または3ヌクレオチドの置換、末端付加、及び/または短縮化がある。
いくつかの実施形態では、miRNA結合部位は、対応するmiRNAと同一の長さである。他の実施形態では、miRNA結合部位は、5’末端、3’末端、またはその両方で、対応するmiRNAよりも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12ヌクレオチド(複数可)短い。さらに他の実施形態では、マイクロRNA結合部位は、5’末端、3’末端、またはその両方で、対応するマイクロRNAよりも2ヌクレオチド短い。対応するmiRNAよりも短いmiRNA結合部位は、1つ以上のmiRNA結合部位を取り込んだmRNAを分解したり、mRNAの翻訳を妨げたりすることがなおも可能である。
いくつかの実施形態では、miRNA結合部位は、ダイサーを含む活性RISCの一部である対応する成熟miRNAに結合する。別の実施形態では、miRNA結合部位のRISC内の対応するmiRNAへの結合は、miRNA結合部位を含むmRNAを分解するか、またはmRNAが翻訳されるのを防ぐ。いくつかの実施形態では、miRNA結合部位はmiRNAと十分な相補性を持っているため、miRNAを含むRISC複合体はmiRNA結合部位を含む核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))を切断する。他の実施形態では、miRNA結合部位は不完全な相補性を有するため、miRNAを含むRISC複合体は、miRNA結合部位を含む核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の不安定性を誘発する。別の実施形態では、miRNA結合部位は不完全な相補性を持っているため、miRNAを含むRISC複合体はmiRNA結合部位を含む核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の転写を抑制する。
いくつかの実施形態では、miRNA結合部位は、対応するmiRNAから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12のミスマッチ(複数可)を有する。
いくつかの実施形態では、miRNA結合部位は、対応するmiRNAの少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、または少なくとも約21の連続したヌクレオチドのそれぞれに相補的な、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、または少なくとも約21の連続したヌクレオチドを有する。
1つ以上のmiRNA結合部位を本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))内に改変することにより、問題のmiRNAが利用可能であれば、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))を分解または翻訳の減少の標的とすることができる。これにより、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の送達時のオフターゲット効果を減らすことができる。例えば、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))が組織または細胞に送達されることを意図していないが、最終的に当該組織または細胞に到達するのであれば、その組織または細胞に豊富なmiRNAは、1つ以上のmiRNAの結合部位が核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の5’UTR及び/または3’UTRに入れるよう改変されている場合、目的の遺伝子の発現を阻害し得る。
例えば、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))にmiRを1つ以上含めることで、リンパ球系細胞以外の細胞型における発現を最小化できることを当業者なら理解するであろう。一実施形態では、miR122が使用され得る。別の実施形態では、miR126が使用され得る。さらに別の実施形態では、こうしたmiRまたはその組み合わせのコピーが複数使用され得る。
逆に、miRNA結合部位は、特定の組織でのタンパク質発現を増加させるために、天然に存在する核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))配列から削除できる。例えば、特定のmiRNAの結合部位を核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))から除去して、miRNAを含む組織または細胞のタンパク質発現を改善することができる。
一実施形態では、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、正常及び/またはがん性細胞などであるが、これらに限定されない特定の細胞に対して細胞傷害性または細胞保護性mRNA治療薬の制御が生じるように、5’UTR及び/または3’UTRに少なくとも1つのmiRNA結合部位を含むことができる。別の実施形態では、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、正常及び/またはがん性細胞などであるが、これらに限定されない特定の細胞に対して細胞傷害性または細胞保護性mRNA治療薬の制御が生じるように、5’−UTR及び/または3’−UTRに2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のmiRNA結合部位を含むことができる。
複数の組織での発現の調節は、1つ以上のmiRNA結合部位(例えば、1つ以上の異なるmiRNA結合部位)の導入または除去によって実現できる。miRNA結合部位を除去または挿入するかどうかの決定は、発生及び/または疾患の状態にある組織及び/または細胞におけるmiRNA発現パターン及び/またはそのプロファイリングに基づいて行うことができる。miRNA、miRNA結合部位、ならびにそれらの発現パターン及び生物学における役割の同定が報告されている(例えば、Bonauer et al., Curr Drug Targets 2010 11:943−949;Anand and Cheresh Curr Opin Hematol 2011 18:171−176;Contreras and Rao Leukemia 2012 26:404−413(2011 Dec 20. doi: 10.1038/leu.2011.356);Bartel Cell 2009 136:215−233;Landgraf et al, Cell, 2007 129:1401−1414;Gentner and Naldini, Tissue Antigens. 2012 80:393−403、及びそれらの中の引用;それぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
miRNA及びmiRNA結合部位は、米国公開第2014/0200261号、同第2005/0261218号、及び同第2005/0059005号に記載された非限定的な例を含む、任意の公知の配列に対応することができ、これらはそれぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。miRNAがmRNAを制御し、それによりタンパク質発現を行うことが知られている組織の例には、肝臓(miR−122)、筋肉(miR−133、miR−206、miR−208)、内皮細胞(miR−17−92、miR−126)、骨髄系細胞(miR−142−3p、miR−142−5p、miR−16、miR−21、miR−223、miR−24、miR−27)、脂肪組織(let−7、miR−30c)、心臓(miR−1d、miR−149)、腎臓(miR−192、miR−194、miR−204)、及び肺上皮細胞(let−7、miR−133、miR−126)が含まれるが、これらに限定されない。具体的には、miRNAは、抗原提示細胞(APC)(例えば、樹状細胞及び単球)、単球、単球、Bリンパ球、Tリンパ球、顆粒球、ナチュラルキラーなどの免疫細胞(造血細胞とも呼ばれる)で差次的に発現することが知られている。免疫細胞特異的miRNAは、免疫原性、自己免疫、感染に対する免疫反応、炎症、ならびに遺伝子治療及び組織/臓器移植後の望ましくない免疫応答に関与している。免疫細胞固有のmiRNAは、造血細胞(免疫細胞)の発生、増殖、分化、及びアポトーシスの多くの側面も制御する。例えば、miR−142及びmiR−146は免疫細胞でのみ発現し、特に骨髄樹状細胞で豊富である。miR−142結合部位をポリヌクレオチドの3’−UTRに付加することにより、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))に対する免疫応答を遮断できることが実証されており、組織及び細胞内でのより安定した遺伝子導入が可能になる。miR−142は、抗原提示細胞の外来性核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))を効率的に分解し、形質導入細胞の細胞傷害性除去を抑制する(例えば、Annoni A et al., blood, 2009, 114, 5152−5161;Brown BD, et al., Nat med. 2006, 12(5), 585−591;Brown BD, et al., blood, 2007, 110(13): 4144−4152、それらのそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる)。
抗原媒介性免疫応答とは、外来抗原によって誘発される免疫応答を指し、外来抗原は、生物に侵入すると、抗原提示細胞によって処理され、抗原提示細胞の表面に表示される。T細胞は提示された抗原を認識し、抗原を発現する細胞の細胞傷害性排除を誘導できる。
本開示の核酸分子の5’UTR及び/または3’UTRにmiR−142結合部位を導入すると、miR−142を介した分解により抗原提示細胞の遺伝子発現を選択的に抑制し、抗原提示細胞(例えば樹状細胞)の抗原提示を制限でき、それにより核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の送達後の抗原媒介性免疫応答を防ぐ。核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、細胞傷害性除去を誘発することなく、標的組織または細胞で安定して発現する。
一実施形態では、免疫細胞、抗原提示細胞で発現することが知られているmiRNAの結合部位は、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))に入れるよう改変され、miRNA媒介RNA分解により抗原提示細胞の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の発現を抑制し、抗原媒介性免疫応答を抑制することができる。核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の発現は、免疫細胞特異的なmiRNAが発現しない非免疫細胞で維持される。例えば、いくつかの実施形態では、肝臓特異的タンパク質に対する免疫原性反応を防ぐために、miR−122結合部位を除去し、miR−142(及び/またはmirR−146)結合部位を、本開示の核酸分子の5’UTR及び/または3’UTRへと入れるよう改変することができる。
APC及びマクロファージの選択的分解及び抑制をさらに促進するために、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、単独であるいはmiR−142及び/またはmiR−146結合部位と組み合わせて、5’UTR及び/または3’UTRにさらなる負の制御エレメントを含むことができる。非限定的な例として、さらなる負の制御エレメントは、構成的減衰エレメント(CDE)である。
免疫細胞特異的miRNAには、hsa−let−7a−2−3p、hsa−let−7a−3p、hsa−7a−5p、hsa−let−7c、hsa−let−7e−3p、hsa−let−7e−5p、hsa−let−7g−3p、hsa−let−7g−5p、hsa−let−7i−3p、hsa−let−7i−5p、miR−10a−3p、miR−10a−5p、miR−1184、hsa−let−7f−1−−3p、hsa−let−7f−2−−5p、hsa−let−7f−5p、miR−125b−1−3p、miR−125b−2−3p、miR−125b−5p、miR−1279、miR−130a−3p、miR−130a−5p、miR−132−3p、miR−132−5p、miR−142−3p、miR−142−5p、miR−143−3p、miR−143−5p、miR−146a−3p、miR−146a−5p、miR−146b−3p、miR−146b−5p、miR−147a、miR−147b、miR−148a−5p、miR−148a−3p、miR−150−3p、miR−150−5p、miR−151b、miR−155−3p、miR−155−5p、miR−15a−3p、miR−15a−5p、miR−15b−5p、miR−15b−3p、miR−16−1−3p、miR−16−2−3p、miR−16−5p、miR−17−5p、miR−181a−3p、miR−181a−5p、miR−181a−2−3p、miR−182−3p、miR−182−5p、miR−197−3p、miR−197−5p、miR−21−5p、miR−21−3p、miR−214−3p、miR−214−5p、miR−223−3p、miR−223−5p、miR−221−3p、miR−221−5p、miR−23b−3p、miR−23b−5p、miR−24−1−5p、miR−24−2−5p、miR−24−3p、miR−26a−1−3p、miR−26a−2−3p、miR−26a−5p、miR−26b−3p、miR−26b−5p、miR−27a−3p、miR−27a−5p、miR−27b−3p、miR−27b−5p、miR−28−3p、miR−28−5p、miR−2909、miR−29a−3p、miR−29a−5p、miR−29b−1−5p、miR−29b−2−5p、miR−29c−3p、miR−29c−5p、miR−30e−3p、miR−30e−5p、miR−331−5p、miR−339−3p、miR−339−5p、miR−345−3p、miR−345−5p、miR−346、miR−34a−3p、miR−34a−5p、miR−363−3p、miR−363−5p、miR−372、miR−377−3p、miR−377−5p、miR−493−3p、miR−493−5p、miR−542、miR−548b−5p、miR548c−5p、miR−548i、miR−548j、miR−548n、miR−574−3p、miR−598、miR−718、miR−935、miR−99a−3p、miR−99a−5p、miR−99b−3p、及びmiR−99b−5pが含まれるが、これらに限定されない。さらに、マイクロアレイハイブリダイゼーション及びミクロトーム分析により免疫細胞で新規miRNAを同定することができる(例えば、Jima DD et al, Blood, 2010, 116:e118−e127;Vaz C et al., BMC Genomics, 2010, 11,288、それぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
肝臓で発現することが知られているmiRNAには、miR−107、miR−122−3p、miR−122−5p、miR−1228−3p、miR−1228−5p、miR−1249、miR−129−5p、miR−1303、miR−151a−3p、miR−151a−5p、miR−152、miR−194−3p、miR−194−5p、miR−199a−3p、miR−199a−5p、miR−199b−3p、miR−199b−5p、miR−296−5p、miR−557、miR−581、miR−939−3p、及びmiR−939−5pが含まれるが、これらに限定されない。任意の肝臓特異的miRNAからのmiRNA結合部位を本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))に導入またはそこから除去して、肝臓における核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の発現を調節することができる。肝臓特異的miRNA結合部位は、単独で、または本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))中の免疫細胞(例えば、APC)miRNA結合部位とさらに組み合わせて改変することができる。一実施形態では、肝細胞によるmRNAの分解を促進するmiRNA結合部位がmRNA分子剤に存在する。
肺で発現することが知られているmiRNAには、let−7a−2−3p、let−7a−3p、let−7a−5p、miR−126−3p、miR−126−5p、miR−127−3p、miR−127−5p、miR−130a−3p、miR−130a−5p、miR−130b−3p、miR−130b−5p、miR−133a、miR−133b、miR−134、miR−18a−3p、miR−18a−5p、miR−18b−3p、miR−18b−5p、miR−24−1−5p、miR−24−2−5p、miR−24−3p、miR−296−3p、miR−296−5p、miR−32−3p、miR−337−3p、miR−337−5p、miR−381−3p、及びmiR−381−5pが含まれるが、これらに限定されない。任意の肺特異的miRNAからのmiRNA結合部位を本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))に導入またはそこから除去して、肺における核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の発現を調節することができる。肺特異的miRNA結合部位は、単独で、または本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))中の免疫細胞(例えば、APC)miRNA結合部位とさらに組み合わせて改変することができる。
心臓で発現することが知られているmiRNAには、miR−1、miR−133a、miR−133b、miR−149−3p、miR−149−5p、miR−186−3p、miR−186−5p、miR−208a、miR−208b、miR−210、miR−296−3p、miR−320、miR−451a、miR−451b、miR−499a−3p、miR−499a−5p、miR−499b−3p、miR−499b−5p、miR−744−3p、miR−744−5p、miR−92b−3p、及びmiR−92b−5pが含まれるが、これらに限定されない。任意の心臓特異的マイクロRNAからのmiRNA結合部位を本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))に導入またはそこから除去して、心臓における核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の発現を調節することができる。心臓特異的miRNA結合部位は、単独で、または本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))中の免疫細胞(例えば、APC)miRNA結合部位とさらに組み合わせて改変することができる。
神経系で発現することが知られているmiRNAには、miR−124−5p、miR−125a−3p、miR−125a−5p、miR−125b−1−3p、miR−125b−2−3p、miR−125b−5p、miR−1271−3p、miR−1271−5p、miR−128、miR−132−5p、miR−135a−3p、miR−135a−5p、miR−135b−3p、miR−135b−5p、miR−137、miR−139−5p、miR−139−3p、miR−149−3p、miR−149−5p、miR−153、miR−181c−3p、miR−181c−5p、miR−183−3p、miR−183−5p、miR−190a、miR−190b、miR−212−3p、miR−212−5p、miR−219−1−3p、miR−219−2−3p、miR−23a−3p、miR−23a−5p、miR−30a−5p、miR−30b−3p、miR−30b−5p、miR−30c−1−3p、miR−30c−2−3p、miR−30c−5p、miR−30d−3p、miR−30d−5p、miR−329、miR−342−3p、miR−3665、miR−3666、miR−380−3p、miR−380−5p、miR−383、miR−410、miR−425−3p、miR−425−5p、miR−454−3p、miR−454−5p、miR−483、miR−510、miR−516a−3p、miR−548b−5p、miR−548c−5p、miR−571、miR−7−1−3p、miR−7−2−3p、miR−7−5p、miR−802、miR−922、miR−9−3p、及びmiR−9−5pが含まれるが、これらに限定されない。神経系において豊富なmiRNAには、miR−132−3p、miR−132−3p、miR−148b−3p、miR−148b−5p、miR−151a−3p、miR−151a−5p、miR−212−3p、miR−212−5p、miR−320b、miR−320e、miR−323a−3p、miR−323a−5p、miR−324−5p、miR−325、miR−326、miR−328、miR−922を含むがこれらに限定されないニューロンに特異的に発現するもの、ならびにmiR−1250、miR−219−1−3p、miR−219−2−3p、miR−219−5p、miR−23a−3p、miR−23a−5p、miR−3065−3p、miR−3065−5p、miR−30e−3p、miR−30e−5p、miR−32−5p、miR−338−5p、及びmiR−657を含むがこれらに限定されないグリア細胞で特異的に発現するものがさらに含まれる。任意のCNS特異的miRNAからのmiRNA結合部位を本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))に導入またはそこから除去して、神経系における核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の発現を調節することができる。神経系特異的miRNA結合部位は、単独で、または本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))中の免疫細胞(例えば、APC)miRNA結合部位とさらに組み合わせて改変することができる。
膵臓で発現することが知られているmiRNAには、miR−105−3p、miR−105−5p、miR−184、miR−195−3p、miR−195−5p、miR−196a−3p、miR−196a−5p、miR−214−3p、miR−214−5p、miR−216a−3p、miR−216a−5p、miR−30a−3p、miR−33a−3p、miR−33a−5p、miR−375、miR−7−1−3p、miR−7−2−3p、miR−493−3p、miR−493−5p、及びmiR−944が含まれるが、これらに限定されない。任意の膵臓特異的miRNAからのmiRNA結合部位を本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))に導入またはそこから除去して、膵臓における核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の発現を調節することができる。膵臓特異的miRNA結合部位は、単独で、または本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))中の免疫細胞(例えば、APC)miRNA結合部位とさらに組み合わせて改変することができる。
腎臓で発現することが知られているmiRNAには、miR−122−3p、miR−145−5p、miR−17−5p、miR−192−3p、miR−192−5p、miR−194−3p、miR−194−5p、miR−20a−3p、miR−20a−5p、miR−204−3p、miR−204−5p、miR−210、miR−216a−3p、miR−216a−5p、miR−296−3p、miR−30a−3p、miR−30a−5p、miR−30b−3p、miR−30b−5p、miR−30c−1−3p、miR−30c−2−3p、miR30c−5p、miR−324−3p、miR−335−3p、miR−335−5p、miR−363−3p、miR−363−5p、及びmiR−562が含まれるが、これらに限定されない。任意の腎臓特異的miRNAからのmiRNA結合部位を本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))に導入またはそこから除去して、腎臓における核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の発現を調節することができる。腎臓特異的miRNA結合部位は、単独で、または本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))中の免疫細胞(例えば、APC)miRNA結合部位とさらに組み合わせて改変することができる。
筋肉で発現することが知られているmiRNAには、let−7g−3p、let−7g−5p、miR−1、miR−1286、miR−133a、miR−133b、miR−140−3p、miR−143−3p、miR−143−5p、miR−145−3p、miR−145−5p、miR−188−3p、miR−188−5p、miR−206、miR−208a、miR−208b、miR−25−3p、及びmiR−25−5pが含まれるが、これらに限定されない。任意の筋肉特異的miRNAからのmiRNA結合部位を本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))に導入またはそこから除去して、筋肉における核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の発現を調節することができる。筋肉特異的miRNA結合部位は、単独で、または本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))中の免疫細胞(例えば、APC)miRNA結合部位とさらに組み合わせて改変することができる。
miRNAは、内皮細胞、上皮細胞、脂肪細胞を含むがこれらに限定されない様々なタイプの細胞でも差次的に発現する。
内皮細胞で発現することが知られているmiRNAには、let−7b−3p、let−7b−5p、miR−100−3p、miR−100−5p、miR−101−3p、miR−101−5p、miR−126−3p、miR−126−5p、miR−1236−3p、miR−1236−5p、miR−130a−3p、miR−130a−5p、miR−17−5p、miR−17−3p、miR−18a−3p、miR−18a−5p、miR−19a−3p、miR−19a−5p、miR−19b−1−5p、miR−19b−2−5p、miR−19b−3p、miR−20a−3p、miR−20a−5p、miR−217、miR−210、miR−21−3p、miR−21−5p、miR−221−3p、miR−221−5p、miR−222−3p、miR−222−5p、miR−23a−3p、miR−23a−5p、miR−296−5p、miR−361−3p、miR−361−5p、miR−421、miR−424−3p、miR−424−5p、miR−513a−5p、miR−92a−1−5p、miR−92a−2−5p、miR−92a−3p、miR−92b−3p、及びmiR−92b−5pが含まれるが、これらに限定されない。多くの新規miRNAは、ディープシークエンシング解析から内皮細胞において発見されている(例えば、Voellenkle C et al., RNA, 2012, 18, 472−484、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。任意の内皮細胞特異的miRNAからのmiRNA結合部位を本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))に導入またはそこから除去して、内皮細胞における核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の発現を調節することができる。
上皮細胞で発現することが知られているmiRNAには、let−7b−3p、let−7b−5p、miR−1246、miR−200a−3p、miR−200a−5p、miR−200b−3p、miR−200b−5p、miR−200c−3p、miR−200c−5p、miR−338−3p、miR−429、miR−451a、miR−451b、miR−494、miR−802及びmiR−34a、miR−34b−5p、miR−34c−5p、miR−449a、miR−449b−3p、呼吸器繊毛上皮細胞に特異的なmiR−449b−5p、let−7ファミリー、miR−133a、miR−133b、肺上皮細胞に特異的なmiR−126、miR−382−3p、腎上皮細胞に特異的なmiR−382−5p、角膜上皮細胞に特異的なmiR−762が含まれるが、これらに限定されない。任意の上皮細胞特異的miRNAからのmiRNA結合部位を本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))に導入またはそこから除去して、上皮細胞における核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の発現を調節することができる。
さらに、miRNAの大規模な群は胚性幹細胞に富んでおり、幹細胞の自己再生、ならびに神経細胞、心臓、造血細胞、皮膚細胞、骨形成細胞、及び筋肉細胞などの様々な細胞系統の発生及び/または分化を制御する(例えば、Kuppusamy KT et al., Curr. Mol Med, 2013, 13(5), 757−764;Vidigal JA and Ventura A, Semin Cancer Biol. 2012, 22(5−6), 428−436;Goff LA et al., PLoS One,2009, 4:e7192;Morin RD et al., Genome Res,2008,18, 610−621;Yoo JK et al., Stem Cells Dev. 2012, 21(11), 2049−2057、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。胚性幹細胞に豊富なmiRNAには、let−7a−2−3p、let−a−3p、let−7a−5p、let7d−3p、let−7d−5p、miR−103a−2−3p、miR−103a−5p、miR−106b−3p、miR−106b−5p、miR−1246、miR−1275、miR−138−1−3p、miR−138−2−3p、miR−138−5p、miR−154−3p、miR−154−5p、miR−200c−3p、miR−200c−5p、miR−290、miR−301a−3p、miR−301a−5p、miR−302a−3p、miR−302a−5p、miR−302b−3p、miR−302b−5p、miR−302c−3p、miR−302c−5p、miR−302d−3p、miR−302d−5p、miR−302e、miR−367−3p、miR−367−5p、miR−369−3p、miR−369−5p、miR−370、miR−371、miR−373、miR−380−5p、miR−423−3p、miR−423−5p、miR−486−5p、miR−520c−3p、miR−548e、miR−548f、miR−548g−3p、miR−548g−5p、miR−548i、miR−548k、miR−548l、miR−548m、miR−548n、miR−548o−3p、miR−548o−5p、miR−548p、miR−664a−3p、miR−664a−5p、miR−664b−3p、miR−664b−5p、miR−766−3p、miR−766−5p、miR−885−3p、miR−885−5p、miR−93−3p、miR−93−5p、miR−941、miR−96−3p、miR−96−5p、miR−99b−3p及びmiR−99b−5pが含まれるが、これらに限定されない。予測される多くの新規miRNAは、ヒト胚性幹細胞のディープシークエンシングによって発見される(例えば、Morin RD et al., Genome Res,2008,18, 610−621;Goff LA et al., PLoS One, 2009, 4:e7192;Bar M et al., Stem cells, 2008, 26, 2496−2505、これらのそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
いくつかの実施形態では、胚性幹細胞特異的miRNAの結合部位は、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の3’UTRに含まれるか、またはそこから除去されて、胚性幹細胞の発生及び/または分化を調節し、変性状態(例えば、変性疾患)での幹細胞の老化を阻害し、あるいは疾患状態の幹細胞(例えば、がん幹細胞)の老化及びアポトーシスを刺激することができる。
多くのmiRNA発現研究は、様々ながん細胞/組織及びその他の疾患でのmiRNAの差次的発現をプロファイルするために実施される。いくつかのmiRNAは特定のがん細胞で異常に過剰発現し、他のmiRNAは過少発現している。例えば、miRNAは、がん細胞において(WO2008/154098、US2013/0059015、US2013/0042333、WO2011/157294);がん幹細胞において(US2012/0053224);膵臓癌及び疾患において(US2009/0131348、US2011/0171646、US2010/0286232、US8389210);喘息及び炎症において(US8415096);前立腺癌において(US2013/0053264);肝細胞癌において(WO2012/151212、US2012/0329672、WO2008/054828、US8252538);胚細胞癌において(WO2011/076143、WO2013/033640、WO2009/070653、US2010/0323357);皮膚T細胞リンパ腫において(WO2013/011378);大腸癌細胞において(WO2011/0281756、WO2011/076142);がん陽性リンパ節において(WO2009/100430、US2009/0263803);上咽頭癌において(EP2112235);慢性閉塞性肺疾患において(US2012/0264626、US2013/0053263);甲状腺癌において(WO2013/066678);卵巣癌細胞において(US2012/0309645、WO2011/095623);乳癌細胞において(WO2008/154098、WO2007/081740、US2012/0214699)、白血病及びリンパ腫において(WO2008/073915、US2009/0092974、US2012/0316081、US2012/0283310、WO2010/018563)差次的に発現しており、そのそれぞれの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
非限定的な例として、特定のがん及び/または腫瘍細胞で過剰発現するmiRNAのmiRNA結合部位は、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の3’UTRから除去され、がん細胞において過剰発現したmiRNAにより抑制された発現を回復することができ、したがって、例えば、転写刺激及び/または抑制、細胞周期停止、アポトーシス及び細胞死などの対応する生物学的機能を改善する。miRNAの発現が上方制御されていない正常な細胞及び組織は、影響を受けない。
miRNAは、血管新生などの複雑な生物学的プロセスも調節できる(例えば、miR−132)(Anand and Cheresh Curr Opin Hematol 2011 18:171−176)。本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))において、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の発現を生物学的に関連する細胞タイプまたは関連する生物学的プロセスに合わせるために、そのようなプロセスに関与するmiRNA結合部位を除去または導入することができる。これに関連して、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は栄養要求性ポリヌクレオチドとして定義される。
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドの治療濃度域及び/または差次的発現(例えば、組織特異的発現)は、ポリペプチドをコードする核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))にmiRNA結合部位を組み込むことによって改変され得る。一例では、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、別の組織型と比較してある組織型において高発現するmiRNAが結合するmiRNA結合部位を1つ以上含み得る。別の例では、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、同じ組織を起源とする非がん性細胞と比較してがん細胞において低発現するmiRNAが結合するmiRNA結合部位を1つ以上含み得る。こうした核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))によってコードされるポリペプチドは、そのようなmiRNAの発現レベルが低いがん細胞に存在すると、典型的には、発現が増加することになる。
肝癌細胞(例えば、肝細胞癌細胞)は、典型的には、正常な肝細胞と比較してmiR−122の発現レベルが低い。したがって、ポリペプチドをコードする核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))がmiR−122結合部位を(例えばmRNAの3’−UTRに)1つ以上含むと、典型的には、正常な肝細胞におけるポリペプチドの発現レベルは比較的低くなり、肝癌細胞におけるポリペプチドの発現レベルは比較的高くなる。ポリペプチドが免疫原性細胞死を誘導できるのであれば、これによって、正常な肝細胞と比較して肝癌細胞(例えば、肝細胞癌細胞)の免疫原性細胞死滅が優先的に生じ得る。
いくつかの実施形態では、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、少なくとも1つのmiR−122結合部位、少なくとも2つのmiR−122結合部位、少なくとも3つのmiR−122結合部位、少なくとも4つのmiR−122結合部位、または少なくとも5つのmiR−122結合部位を含む。一態様では、miRNA結合部位は、miR−122に結合するか、またはmiR−122に相補的である。別の態様では、miRNA結合部位は、miR−122−3pまたはmiR−122−5pに結合する。特定の態様では、miRNA結合部位は、配列番号75に対する同一性が少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%であるヌクレオチド配列を含み、miRNA結合部位は、miR−122に結合する。別の特定の態様では、miRNA結合部位は、配列番号73に対する同一性が少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%であるヌクレオチド配列を含み、miRNA結合部位は、miR−122に結合する。こうした配列は、以下の表19に示される。
いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、miRNA結合部位を含み、miRNA結合部位は、表19から選択される1つ以上のヌクレオチド配列(こうしたmiRNA結合部位配列の任意の1つ以上の1つ以上のコピーを含む)を含む。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、表19から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、またはそれを超える数の同じまたは異なるmiRNA結合部位(その任意の組み合わせを含む)をさらに含む。いくつかの実施形態では、miRNA結合部位は、miR−142に結合するか、またはmiR−142に相補的である。いくつかの実施形態では、miR−142は、配列番号66を含む。いくつかの実施形態では、miRNA結合部位は、miR−142−3pまたはmiR−142−5pに結合する。いくつかの実施形態では、miR−142−3p結合部位は、配列番号68を含む。いくつかの実施形態では、miR−142−5p結合部位は、配列番号70を含む。いくつかの実施形態では、miRNA結合部位は、配列番号68または配列番号70との同一性が少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%であるヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))にmiRNA結合部位が挿入される位置は、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の任意の位置(例えば、5’UTR及び/または3’UTR)である。いくつかの実施形態では、5’UTRは、miRNA結合部位を含む。いくつかの実施形態では、3’UTRは、miRNA結合部位を含む。いくつかの実施形態では、5’UTR及び3’UTRは、miRNA結合部位を含む。核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))における挿入部位は、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))にmiRNA結合部位を挿入することで、対応するmiRNAの非存在下での機能性ポリペプチドの翻訳が妨害されない限り、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))における任意の場所であり得、miRNAの存在下では、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))にmiRNA結合部位が挿入されており、対応するmiRNAにmiRNA結合部位が結合すれば、ポリヌクレオチドを分解するか、または核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の翻訳を阻止することが可能である。
いくつかの実施形態では、ORFを含む本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))におけるORFの終止コドンから少なくとも約30ヌクレオチド下流にmiRNA結合部位が挿入される。いくつかの実施形態では、本開示のポリヌクレオチドにおけるORFの終止コドンから少なくとも約10ヌクレオチド下流、少なくとも約15ヌクレオチド下流、少なくとも約20ヌクレオチド下流、少なくとも約25ヌクレオチド下流、少なくとも約30ヌクレオチド下流、少なくとも約35ヌクレオチド下流、少なくとも約40ヌクレオチド下流、少なくとも約45ヌクレオチド下流、少なくとも約50ヌクレオチド下流、少なくとも約55ヌクレオチド下流、少なくとも約60ヌクレオチド下流、少なくとも約65ヌクレオチド下流、少なくとも約70ヌクレオチド下流、少なくとも約75ヌクレオチド下流、少なくとも約80ヌクレオチド下流、少なくとも約85ヌクレオチド下流、少なくとも約90ヌクレオチド下流、少なくとも約95ヌクレオチド下流、または少なくとも約100ヌクレオチド下流にmiRNA結合部位が挿入される。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))におけるORFの終止コドンから約10ヌクレオチド〜約100ヌクレオチド下流、約20ヌクレオチド〜約90ヌクレオチド下流、約30ヌクレオチド〜約80ヌクレオチド下流、約40ヌクレオチド〜約70ヌクレオチド下流、約50ヌクレオチド〜約60ヌクレオチド下流、約45ヌクレオチド〜約65ヌクレオチド下流にmiRNA結合部位が挿入される。
miRNAによる遺伝子制御は、miRNAの周辺配列によって影響を受け得るものであり、当該制御に影響を与えるものは、限定されないが、周辺配列の種、配列の型(例えば、異種、同種、外来性、内在性、もしくは人工的なもの)、周辺配列における制御エレメント、及び/または周辺配列における構造エレメントなどである。miRNAは、5’UTR及び/または3’UTRによって影響を受け得る。非限定的な例として、非ヒト3’UTRは、同じ配列型のヒト3’UTRと比較して、目的ポリペプチドの発現に対するmiRNA配列の制御作用を強め得る。
一実施形態では、5’UTRの他の制御エレメント及び/または構造エレメントもまた、miRNA介在性の遺伝子制御に影響を与え得る。制御エレメント及び/または構造エレメントの一例は、5’UTRにおける構造化IRES(配列内リボソーム進入部位)であり、この構造化IRESは、翻訳伸長因子が結合してタンパク質の翻訳を開始する上で必要なものである。5’−UTRに二次構造を形成するこのエレメントにEIF4A2が結合することが、miRNA介在性の遺伝子発現に必要である(Meijer HA et al.,Science,2013,340,82−85(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、マイクロRNA介在性の遺伝子制御を増進するためにこの構造化5’UTRをさらに含み得る。
本開示のポリヌクレオチドの3’UTRには、少なくとも1つのmiRNA結合部位が操作導入され得る。この状況では、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9、少なくとも10個、またはそれを超える数のmiRNA結合部位が本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の3’UTRに操作導入され得る。例えば、1〜10個、1〜9つ、1〜8つ、1〜7つ、1〜6つ、1〜5つ、1〜4つ、1〜3つ、2つ、または1つのmiRNA結合部位が本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の3’UTRに操作導入され得る。一実施形態では、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))に組み込まれるmiRNA結合部位は、同じmiRNA部位であり得るか、または異なるmiRNA部位であり得る。異なるmiRNA結合部位の組み合わせが本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))に組み込まれる場合、こうした組み合わせには、異なるmiRNA部位のいずれかのコピーを1つ以上含む組み合わせが含まれ得る。別の実施形態では、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))に組み込まれるmiRNA結合部位は、体内の同じまたは異なる組織を標的とし得る。非限定的な例として、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の3’−UTRに組織特異的、細胞型特異的、または疾患特異的なmiRNAが結合する部位を導入することで、特定の細胞型(例えば、肝細胞、骨髄系細胞、内皮細胞、がん細胞など)における発現の程度が低減され得る。
一実施形態では、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))にmiRNA結合部位が操作導入される位置は、3’UTRの5’末端付近、3’UTRの5’末端と3’末端とのほぼ中間、及び/または3’UTRの3’末端付近であり得る。非限定的な例として、miRNA結合部位が操作導入される位置は、3’UTRの5’末端付近、ならびに3’UTRの5’末端と3’末端とのほぼ中間であり得る。別の非限定的な例として、miRNA結合部位が操作導入される位置は、3’UTRの3’末端付近、ならびに3’UTRの5’末端と3’末端とのほぼ中間であり得る。さらに別の非限定的な例として、miRNA結合部位が操作導入される位置は、3’UTRの5’末端付近、及び3’UTRの3’末端付近であり得る。
別の実施形態では、3’UTRは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、または10個のmiRNA結合部位を含み得る。miRNA結合部位は、miRNA、miRNAシード配列、及び/またはシード配列に隣接するmiRNA配列に相補的であり得る。
一実施形態では、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、対象の異なる組織または異なる細胞型において発現するmiRNA部位を1つ以上含むように操作され得る。非限定的な例として、miR−192及びmiR−122を含むように本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))を操作することで、対象の肝臓及び腎臓における核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の発現が制御され得る。別の実施形態では、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、同じ組織に対するmiRNA部位を1つ以上含むように操作され得る。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))によってコードされるポリペプチドと関連する治療濃度域及びまたは差次的発現は、miRNA結合部位を用いて改変され得る。例えば、死滅シグナルを生成するポリペプチドをコードする核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、がん細胞のmiRNA特徴に基づいてそうした細胞における発現が高まるように設計され得る。がん細胞において特定のmiRNAの発現レベルが低下している場合、そのmiRNA(または複数のmiRNA)に対する結合部位をコードする核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の発現は高まることになる。したがって、死滅シグナルを生成するポリペプチドは、がん細胞の細胞死を誘発または誘導する。隣接する非がん細胞は、同じmiRNAの発現が高まっており、3’UTRにコードされる結合部位または「センサー」にmiRNAが結合してその作用が生じることでポリヌクレオチドの発現レベルが低下すると想定されるため、コードされる死滅シグナルによって受ける影響は少ないことになる。逆に、がん細胞においてmiRNAの発現が高まっている場合、がん細胞及び非がん性細胞を含む組織に対して細胞生存シグナルまたは細胞保護シグナルを送達することができ、この場合、がん細胞に対する生存シグナルは弱まり、正常細胞に対する生存シグナルは強まる結果となる。本明細書に記載のようにmiRNA結合部位を使用することで、異なるシグナルを与えるように複数の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))を設計及び投与することができる。
いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の発現は、少なくとも1つのセンサー配列を当該ポリヌクレオチドに組み込み、投与用に核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))を製剤化することによって制御され得る。非限定的な例として、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、miRNA結合部位を組み込み、カチオン性脂質(本明細書に記載の脂質のいずれかを含む)を含む脂質ナノ粒子中に核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))を製剤化することによって組織または細胞へと標的化され得る。
異なる組織、細胞型、または生物学的条件におけるmiRNAの発現パターンに基づいて特定の組織、細胞型、または生物学的条件における発現標的化が進むように本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))を操作することができる。組織特異的なmiRNAが結合する部位を導入することで、組織もしくは細胞におけるタンパク質発現または生物学的条件と関連するタンパク質発現が最適化されるように本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))を設計することができる。
いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、既知のmiRNAシード配列に対する同一性が100%であるか、またはmiRNAシード配列に対する同一性が100%未満であるmiRNA結合部位が組み込まれるように設計され得る。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、既知のmiRNAシード配列に対する同一性が少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%であるmiRNA結合部位が組み込まれるように設計され得る。miRNAの結合親和性が低下し、結果的に核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の下方調節が弱まるようにmiRNAシード配列を部分的に変異させることができる。要するに、miRNA結合部位とmiRNAのシードとの間のマッチまたはミスマッチの程度は、miRNAがタンパク質発現を調節する能力をより精密に調整するためのレオスタットとして働き得るということである。さらに、miRNA結合部位の非シード領域に変異を導入することでも、miRNAがタンパク質発現を調節する能力に影響を与えることができる。
一実施形態では、ステムループのループにmiRNA配列が組み込まれ得る。別の実施形態では、ステムループのループにmiRNAシード配列が組み込まれ得ると共に、ステムループの5’ステムまたは3’ステムにmiRNA結合部位が組み込まれ得る。
一実施形態では、ステムループのステムの5’末端に翻訳エンハンサーエレメント(TEE)が組み込まれ得ると共に、ステムループのステムにmiRNAのシードが組み込まれ得る。別の実施形態では、ステムループのステムの5’末端にTEEが組み込まれ得ると共に、ステムループのステムにmiRNAのシードが組み込まれ得、さらに、ステムの3’末端またはステムループの下流の配列にmiRNA結合部位が組み込まれ得る。miRNAのシード及びmiRNA結合部位は、同じ及び/または異なるmiRNA配列に対するものであり得る。
一実施形態では、miRNA配列及び/またはTEE配列を組み込むとステムループ領域の形が変化し、こうしてステムループ領域の形が変化することで翻訳が増加及び/または減少し得る(例えば、Kedde et al.,“A Pumilio−induced RNA structure switch in p27−3’UTR controls miR−221 and miR−22 accessibility.”Nature Cell Biology.2010(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。
一実施形態では、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の5’−UTRは、少なくとも1つのmiRNA配列を含み得る。miRNA配列は、限定されないが、19ヌクレオチドもしくは22ヌクレオチドの配列であり、及び/またはシードを含まないmiRNA配列であり得る。一実施形態では、5’UTRにmiRNA配列を含めることで、本明細書に記載の本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))が安定化され得る。
別の実施形態では、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の5’UTRにmiRNA配列を含めることで、翻訳開始部位(開始コドンなどであるが、これに限定されない)への到達性が下がり得る。例えば、Matsuda et al.,PLoS One.2010 11(5):e15057(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと。この文献では、開始コドン(−4〜+37(この表記ではAUGコドンのAが+1である))への到達性を下げるために、当該第1の開始コドン(AUG)周辺にアンチセンスロックド核酸(LNA)オリゴヌクレオチド及びエクソン接合部複合体(EJC)が使用された。LNAまたはEJCを用いて開始コドン周辺の配列を改変することで、ポリヌクレオチドの効率、長さ、及び構造安定性に影響が及ぶことをMatsudaは示した。本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、翻訳開始部位への到達性を下げるために、Matsuda et alによって報告されたLNA配列またはEJC配列の代わりにmiRNA配列を翻訳開始部位付近に含み得る。翻訳開始部位は、miRNA配列の上流、下流、または内部に位置し得る。非限定的な例として、翻訳開始部位は、miRNA配列(シード配列など)内または結合部位内に位置し得る。別の非限定的な例として、翻訳開始部位は、miR−122配列(シード配列など)内またはmir−122結合部位内に位置し得る。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、抗原提示細胞による抗原提示を抑制するために、少なくとも1つのmiRNAを含み得る。miRNAは、完全なmiRNA配列、miRNAシード配列、シードを含まないmiRNA配列、またはそれらの組み合わせであり得る。非限定的な例として、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))に組み込まれるmiRNAは、造血系に特異的であり得る。別の非限定的な例として、抗原提示を抑制するために本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))に組み込まれるmiRNAは、miR−142−3pである。
いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、目的の組織または細胞におけるコードポリペプチドの発現を抑制するために、少なくとも1つのmiRNAを含み得る。非限定的な例として、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、肝臓における目的コードポリペプチドの発現を抑制するために、少なくとも1つのmiR−122結合部位を含み得る。別の非限定的な例として、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、少なくとも1つのmiR−142−3p結合部位、少なくとも1つのmiR−142−3pシード配列、シードを含まない少なくとも1つのmiR−142−3p結合部位、少なくとも1つのmiR−142−5p結合部位、少なくとも1つのmiR−142−5pシード配列、シードを含まない少なくとも1つのmiR−142−5p結合部位、少なくとも1つのmiR−146結合部位、少なくとも1つのmiR−146シード配列、及び/またはシード配列を含まない少なくとも1つのmiR−146結合部位を含み得る。
いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、免疫細胞においてmRNA治療薬を選択的に分解して治療的送達によって生じる望ましくない免疫原性反応を抑えるために、少なくとも1つのmiRNA結合部位を3’UTRに含み得る。非限定的な例として、miRNA結合部位は、抗原提示細胞における本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の不安定性を高め得る。こうしたmiRNAの例としては、限定されないが、mir−142−5p、mir−142−3p、mir−146a−5p、及びmir−146−3pが挙げられる。
一実施形態では、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))におけるRNA結合タンパク質と相互作用し得る領域にmiRNA配列を少なくとも1つ含む。
いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、(i)配列が最適化されたヌクレオチド配列(例えば、ORF)、及び(ii)miRNA結合部位(例えば、miR−142に結合するmiRNA結合部位)を含む。
いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、本明細書に開示のポリペプチドをコードするウラシル修飾配列と、本明細書に開示のmiRNA結合部位(例えば、miR−142に結合するmiRNA結合部位)と、を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドをコードするウラシル修飾配列は、化学的に修飾された核酸塩基(例えば、5−メトキシウラシル)を少なくとも1つ含む。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドをコードするウラシル修飾配列におけるある型の核酸塩基(例えば、ウラシル)の少なくとも95%は修飾核酸塩基である。いくつかの実施形態では、ポリペプチドをコードするウラシル修飾配列におけるウラシルの少なくとも95%は5−メトキシウリジンである。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列と、miRNA結合部位と、を含む核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、送達剤と共に製剤化され、こうした送達剤は、例えば、式(I)を有する化合物(例えば、化合物1〜147のいずれか)である。
機能性RNAエレメントを含む修飾RNA分子
本開示は、修飾(例えば、RNAエレメント)を含む合成核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))を提供し、修飾は、所望の翻訳制御活性を与える。いくつかの実施形態では、本開示は、5’非翻訳領域(UTR)、開始コドン、ポリペプチドをコードする完全なオープンリーディングフレーム、3’UTR、及び少なくとも1つの修飾を含む核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))を提供し、少なくとも1つの修飾は、所望の翻訳制御活性を与え、こうした修飾は、例えば、mRNA翻訳の翻訳忠実度を促進及び/または増進する修飾である。いくつかの実施形態では、所望の翻訳制御活性は、シス作用性の制御活性である。いくつかの実施形態では、所望の翻訳制御活性は、43S開始前複合体(PIC)またはリボソームが開始コドンまたはその近位に滞留する時間を長くするものである。いくつかの実施形態では、所望の翻訳制御活性は、開始コドンにおけるポリペプチド合成の開始または開始コドンからのポリペプチド合成の開始を促進するものである。いくつかの実施形態では、所望の翻訳制御活性は、完全なオープンリーディングフレームから翻訳されるポリペプチドの量を増加させるものである。いくつかの実施形態では、所望の翻訳制御活性は、PICまたはリボソームによる開始コドンのデコードの忠実度を向上させるものである。いくつかの実施形態では、所望の翻訳制御活性は、PICまたはリボソームによるリーキースキャニングを抑制または低減するものである。いくつかの実施形態では、所望の翻訳制御活性は、PICまたはリボソームによって開始コドンがデコードされる速度を低減するものである。いくつかの実施形態では、所望の翻訳制御活性は、開始コドン以外の任意のmRNA内コドンにおけるポリペプチド合成の開始を抑制または低減するものである。いくつかの実施形態では、所望の翻訳制御活性は、完全なオープンリーディングフレーム以外の任意のmRNA内オープンリーディングフレームから翻訳されるポリペプチドの量を抑制または低減するものである。いくつかの実施形態では、所望の翻訳制御活性は、異常な翻訳産物が生じることを抑制または低減するものである。いくつかの実施形態では、所望の翻訳制御活性は、前述の翻訳制御活性が1つ以上組み合わさったものである。
したがって、本開示は、本明細書に記載の所望の翻訳制御活性を与える配列及び/またはRNA二次構造(複数可)を含むRNAエレメントを含む核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))を提供する。いくつかの態様では、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、翻訳の翻訳忠実度を促進及び/または増進する配列及び/またはRNA二次構造(複数可)を含むRNAエレメントを含む。いくつかの態様では、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))は、所望の翻訳制御活性(リーキースキャニングの抑制及び/または低減など)を提供する配列及び/またはRNA二次構造(複数可)を含むRNAエレメントを含む。いくつかの態様では、本開示は、リーキースキャニングを抑制及び/または低減し、それによって核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の翻訳忠実度を向上させる配列及び/またはRNA二次構造(複数可)を含むRNAエレメントを含む核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))を提供する。
いくつかの実施形態では、RNAエレメントは、天然ヌクレオチド及び/または修飾ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、RNAエレメントは、ヌクレオチドまたはその誘導体もしくは類似体が連結された配列を含み、この配列は、本明細書に記載の所望の翻訳制御活性を与える。いくつかの実施形態では、RNAエレメントは、ヌクレオチドまたはその誘導体もしくは類似体が連結された配列を含み、この配列は、安定なRNA二次構造を形成するか、またはフォールディングして安定なRNA二次構造へと変化し、RNA二次構造は、本明細書に記載の所望の翻訳制御活性を提供する。RNAエレメントは、当該エレメント(例えば、GC高含有エレメント)の一次配列に基づいて、当該エレメント(例えばステムループ)によって形成されるRNA二次構造によって、RNA分子内の当該エレメントの位置(例えば、mRNAの5’UTR内の存在位置)、当該エレメント(例えば、「翻訳エンハンサーエレメント」)の生物学的機能及び/または活性によって、ならびにそれらの任意の組み合わせによって、同定され、及び/または特徴付けられ得る。
いくつかの態様では、本開示は、リーキースキャニングを抑制し、及び/または翻訳の翻訳忠実度を向上させる1つ以上の構造的修飾を有する核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))を提供し、構造的修飾の少なくとも1つは、GC高含有RNAエレメントである。いくつかの態様では、本開示は、少なくとも1つの修飾を含む修飾核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))を提供し、少なくとも1つの修飾は、ヌクレオチドまたはその誘導体もしくは類似体が連結された配列を含むGC高含有RNAエレメントであり、このGC高含有RNAエレメントは、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の5’UTRにおけるコザックコンセンサス配列の上流に位置する。一実施形態では、GC高含有RNAエレメントは、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の5’UTRにおけるコザックコンセンサス配列の約30ヌクレオチド上流、約25ヌクレオチド上流、約20ヌクレオチド上流、約15ヌクレオチド上流、約10ヌクレオチド上流、約5ヌクレオチド上流、約4ヌクレオチド上流、約3ヌクレオチド上流、約2ヌクレオチド上流、または約1ヌクレオチド(複数可)上流に位置する。別の実施形態では、GC高含有RNAエレメントは、コザックコンセンサス配列の15〜30ヌクレオチド上流、15〜20ヌクレオチド上流、15〜25ヌクレオチド上流、10〜15ヌクレオチド上流、または5〜10ヌクレオチド上流に位置する。別の実施形態では、GC高含有RNAエレメントは、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の5’UTRにおけるコザックコンセンサス配列に直接隣接して位置する。
いくつかの実施形態では、GC高含有RNAエレメントは、3〜30個、5〜25個、10〜20個、15〜20個、約20個、約15個、約12個、約10個、約7つ、約6つ、または約3つのヌクレオチド、その誘導体、または類似体が任意の順序で連結された配列を含み、配列組成は、70〜80%がシトシン塩基であるか、60〜70%がシトシン塩基であるか、50%〜60%がシトシン塩基であるか、40〜50%がシトシン塩基であるか、または30〜40%がシトシン塩基である。いくつかの実施形態では、GC高含有RNAエレメントは、3〜30個、5〜25個、10〜20個、15〜20個、約20個、約15個、約12個、約10個、約7つ、約6つ、または約3つのヌクレオチド、その誘導体、または類似体が任意の順序で連結された配列を含み、配列組成は、約80%がシトシンであるか、約70%がシトシンであるか、約60%がシトシンであるか、約50%がシトシンであるか、約40%がシトシンであるか、または約30%がシトシンである。
いくつかの実施形態では、GC高含有RNAエレメントは、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9つ、8つ、7つ、6つ、5つ、4つ、または3つのヌクレオチドまたはその誘導体もしくは類似体が任意の順序で連結された配列を含み、配列組成は、70〜80%がシトシンであるか、60〜70%がシトシンであるか、50%〜60%がシトシンであるか、40〜50%がシトシンであるか、または30〜40%がシトシンである。いくつかの実施形態では、GC高含有RNAエレメントは、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9つ、8つ、7つ、6つ、5つ、4つ、または3つのヌクレオチドまたはその誘導体もしくは類似体が任意の順序で連結された配列を含み、配列組成は、約80%がシトシンであるか、約70%がシトシンであるか、約60%がシトシンであるか、約50%がシトシンであるか、約40%がシトシンであるか、または約30%がシトシンである。
いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも1つの修飾を含む修飾核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))を提供し、少なくとも1つの修飾は、ヌクレオチドまたはその誘導体もしくは類似体が連結された配列を含むGC高含有RNAエレメントであり、GC高含有RNAエレメントは、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の5’UTRにおけるコザックコンセンサス配列の上流に位置し、GC高含有RNAエレメントは、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の5’UTRにおけるコザックコンセンサス配列の約30ヌクレオチド上流、約25ヌクレオチド上流、約20ヌクレオチド上流、約15ヌクレオチド上流、約10ヌクレオチド上流、約5ヌクレオチド上流、約4ヌクレオチド上流、約3ヌクレオチド上流、約2ヌクレオチド上流、または約1ヌクレオチド(複数可)上流に位置し、GC高含有RNAエレメントは、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、または20個のヌクレオチドまたはその誘導体もしくは類似体が任意の順序で連結された配列を含み、配列組成は、>50%がシトシンである。いくつかの実施形態では、配列組成は、>55%がシトシンであり、>60%がシトシンであり、>65%がシトシンであり、>70%がシトシンであり、>75%がシトシンであり、>80%がシトシンであり、>85%がシトシンであり、または>90%がシトシンである。
いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも1つの修飾を含む修飾核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))を提供し、少なくとも1つの修飾は、ヌクレオチドまたはその誘導体もしくは類似体が連結された配列を含むGC高含有RNAエレメントであり、GC高含有RNAエレメントは、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の5’UTRにおけるコザックコンセンサス配列の上流に位置し、GC高含有RNAエレメントは、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の5’UTRにおけるコザックコンセンサス配列の約30ヌクレオチド上流、約25ヌクレオチド上流、約20ヌクレオチド上流、約15ヌクレオチド上流、約10ヌクレオチド上流、約5ヌクレオチド上流、約4ヌクレオチド上流、約3ヌクレオチド上流、約2ヌクレオチド上流、または約1ヌクレオチド(複数可)上流に位置し、GC高含有RNAエレメントは、約3〜30個、約5〜25個、約10〜20個、約15〜20、または約20個、約15個、約12個、約10個、約6つ、もしくは約3つのヌクレオチドまたはその誘導体もしくは類似体の配列を含み、この配列は、反復GCモチーフを含み、反復GCモチーフは、[CCG]nであり、式中、n=1〜10、n=2〜8、n=3〜6、またはn=4〜5である。いくつかの実施形態では、配列は、[CCG]nという反復GCモチーフを含み、式中、n=1、2、3、4、または5である。いくつかの実施形態では、配列は、[CCG]nという反復GCモチーフを含み、式中、n=1、2、または3である。いくつかの実施形態では、配列は、[CCG]nという反復GCモチーフを含み、式中、n=1である。いくつかの実施形態では、配列は、[CCG]nという反復GCモチーフを含み、式中、n=2である。いくつかの実施形態では、配列は、[CCG]nという反復GCモチーフを含み、式中、n=3である。いくつかの実施形態では、配列は、[CCG]nという反復GCモチーフを含み、式中、n=4(配列番号177)である。いくつかの実施形態では、配列は、[CCG]nという反復GCモチーフを含み、式中、n=5(配列番号178)である。
いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも1つの修飾を含む修飾核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))を提供し、少なくとも1つの修飾は、ヌクレオチドまたはその誘導体もしくは類似体が連結された配列を含むGC高含有RNAエレメントであり、GC高含有RNAエレメントは、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の5’UTRにおけるコザックコンセンサス配列の上流に位置し、GC高含有RNAエレメントは、表20に示される配列のいずれか1つを含む。一実施形態では、GC高含有RNAエレメントは、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の5’UTRにおけるコザックコンセンサス配列の約30ヌクレオチド上流、約25ヌクレオチド上流、約20ヌクレオチド上流、約15ヌクレオチド上流、約10ヌクレオチド上流、約5ヌクレオチド上流、約4ヌクレオチド上流、約3ヌクレオチド上流、約2ヌクレオチド上流、または約1ヌクレオチド(複数可)上流に位置する。別の実施形態では、GC高含有RNAエレメントは、コザックコンセンサス配列の約15〜30ヌクレオチド上流、約15〜20ヌクレオチド上流、約15〜25ヌクレオチド上流、約10〜15ヌクレオチド上流、または約5〜10ヌクレオチド上流に位置する。別の実施形態では、GC高含有RNAエレメントは、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の5’UTRにおけるコザックコンセンサス配列に直接隣接して位置する。
いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも1つの修飾を含む修飾核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))を提供し、少なくとも1つの修飾は、表20に示される配列V1[CCCCGGCGCC](配列番号80)またはその誘導体もしくは類似体を含むGC高含有RNAエレメントであり、GC高含有RNAエレメントは、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の5’UTRにおけるコザックコンセンサス配列の上流に位置する。いくつかの実施形態では、GC高含有エレメントは、表20に示される配列V1を含み、この配列V1は、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の5’UTRにおけるコザックコンセンサス配列の上流に直接隣接して位置する。いくつかの実施形態では、GC高含有エレメントは、表5に示される配列V1を含み、この配列V1は、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の5’UTRにおけるコザックコンセンサス配列の1塩基上流、2塩基上流、3塩基上流、4塩基上流、5塩基上流、6塩基上流、7塩基上流、8塩基上流、9塩基上流、または10塩基上流に位置する。他の実施形態では、GC高含有エレメントは、表20に示される配列V1を含み、この配列V1は、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の5’UTRにおけるコザックコンセンサス配列の1〜3塩基上流、3〜5塩基上流、5〜7塩基上流、7〜9塩基上流、9〜12塩基上流、または12〜15塩基上流に位置する。
いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも1つの修飾を含む修飾核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))を提供し、少なくとも1つの修飾は、表20に示される配列V2[CCCCGGC]またはその誘導体もしくは類似体を含むGC高含有RNAエレメントであり、GC高含有RNAエレメントは、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の5’UTRにおけるコザックコンセンサス配列の上流に位置する。いくつかの実施形態では、GC高含有エレメントは、表20に示される配列V2を含み、この配列V2は、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の5’UTRにおけるコザックコンセンサス配列の上流に直接隣接して位置する。いくつかの実施形態では、GC高含有エレメントは、表20に示される配列V2を含み、この配列V2は、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の5’UTRにおけるコザックコンセンサス配列の1塩基上流、2塩基上流、3塩基上流、4塩基上流、5塩基上流、6塩基上流、7塩基上流、8塩基上流、9塩基上流、または10塩基上流に位置する。他の実施形態では、GC高含有エレメントは、表20に示される配列V2を含み、この配列V2は、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の5’UTRにおけるコザックコンセンサス配列の1〜3塩基上流、3〜5塩基上流、5〜7塩基上流、7〜9塩基上流、9〜12塩基上流、または12〜15塩基上流に位置する。
いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも1つの修飾を含む修飾核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))を提供し、少なくとも1つの修飾は、表20に示される配列EK[GCCGCC]またはその誘導体もしくは類似体を含むGC高含有RNAエレメントであり、GC高含有RNAエレメントは、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の5’UTRにおけるコザックコンセンサス配列の上流に位置する。いくつかの実施形態では、GC高含有エレメントは、表20に示される配列EKを含み、この配列EKは、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の5’UTRにおけるコザックコンセンサス配列の上流に直接隣接して位置する。いくつかの実施形態では、GC高含有エレメントは、表20に示される配列EKを含み、この配列EKは、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の5’UTRにおけるコザックコンセンサス配列の1塩基上流、2塩基上流、3塩基上流、4塩基上流、5塩基上流、6塩基上流、7塩基上流、8塩基上流、9塩基上流、または10塩基上流に位置する。他の実施形態では、GC高含有エレメントは、表20に示される配列EKを含み、この配列EKは、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の5’UTRにおけるコザックコンセンサス配列の1〜3塩基上流、3〜5塩基上流、5〜7塩基上流、7〜9塩基上流、9〜12塩基上流、または12〜15塩基上流に位置する。
いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも1つの修飾を含む修飾核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))を提供し、少なくとも1つの修飾は、表20に示される配列V1[CCCCGGCGCC](配列番号80)またはその誘導体もしくは類似体を含むGC高含有RNAエレメントであり、GC高含有RNAエレメントは、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の5’UTRにおけるコザックコンセンサス配列の上流に位置し、5’UTRは、表20に示される下記の配列を含む:
GGGAAATAAGAGAGAAAAGAAGAGTAAGAAGAAATATAAGA(配列番号77)。
いくつかの実施形態では、GC高含有エレメントは、表20に示される配列V1を含み、この配列V1は、表20に示される5’UTR配列におけるコザックコンセンサス配列の上流に直接隣接して位置する。いくつかの実施形態では、GC高含有エレメントは、表20に示される配列V1を含み、この配列V1は、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の5’UTRにおけるコザックコンセンサス配列の1塩基上流、2塩基上流、3塩基上流、4塩基上流、5塩基上流、6塩基上流、7塩基上流、8塩基上流、9塩基上流、または10塩基上流に位置し、5’UTRは、表20に示される下記の配列を含む:
GGGAAATAAGAGAGAAAAGAAGAGTAAGAAGAAATATAAGA(配列番号77)。
他の実施形態では、GC高含有エレメントは、表20に示される配列V1を含み、この配列V1は、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の5’UTRにおけるコザックコンセンサス配列の1〜3塩基上流、3〜5塩基上流、5〜7塩基上流、7〜9塩基上流、9〜12塩基上流、または12〜15塩基上流に位置し、5’UTRは、表20に示される下記の配列を含む:
GGGAAATAAGAGAGAAAAGAAGAGTAAGAAGAAATATAAGA(配列番号77)。
いくつかの実施形態では、5’UTRは、表20に示される下記の配列を含む:
GGGAAATAAGAGAGAAAAGAAGAGTAAGAAGAAATATAAGACCCCGGCGCCGCCACC(配列番号78)
いくつかの実施形態では、5’UTRは、表20に示される下記の配列を含む:
GGGAAATAAGAGAGAAAAGAAGAGTAAGAAGAAATATAAGACCCCGGCGCCACC(配列番号79)
いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも1つの修飾を含む修飾核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))を提供し、少なくとも1つの修飾は、ヘアピンまたはステムループを形成する順序でヌクレオチドまたはその誘導体もしくは類似体が連結された配列を含む安定なRNA二次構造を含むGC高含有RNAエレメントである。いくつかの実施形態では、安定なRNA二次構造は、コザックコンセンサス配列の上流に位置する。いくつかの実施形態では、安定なRNA二次構造は、コザックコンセンサス配列の約30ヌクレオチド上流、約25ヌクレオチド上流、約20ヌクレオチド上流、約15ヌクレオチド上流、約10ヌクレオチド上流、または約5ヌクレオチド上流に位置する。いくつかの実施形態では、安定なRNA二次構造は、コザックコンセンサス配列の約20ヌクレオチド上流、約15ヌクレオチド上流、約10ヌクレオチド上流、または約5ヌクレオチド上流に位置する。いくつかの実施形態では、安定なRNA二次構造は、コザックコンセンサス配列の約5ヌクレオチド上流、約4ヌクレオチド上流、約3ヌクレオチド上流、約2ヌクレオチド上流、約1ヌクレオチド上流に位置する。別の実施形態では、安定なRNA二次構造は、コザックコンセンサス配列の約15〜30ヌクレオチド上流、約15〜20ヌクレオチド上流、約15〜25ヌクレオチド上流、約10〜15ヌクレオチド上流、または約5〜10ヌクレオチド上流に位置する。別の実施形態では、安定なRNA二次構造は、コザックコンセンサス配列の12〜15ヌクレオチド上流に位置する。別の実施形態では、安定なRNA二次構造は、約−30kcal/mol、約−20〜−30kcal/mol、約−20kcal/mol、約−10〜−20kcal/mol、約−10kcal/mol、約−5〜−10kcal/molのデルタGを有する。
いくつかの実施形態では、修飾は、ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームに機能可能なように連結され、修飾とオープンリーディングフレームとは異種である。
いくつかの実施形態では、GC高含有RNAエレメントの配列は、グアニン(G)核酸塩基及びシトシン(C)核酸塩基から排他的に構成される。
本明細書に記載の所望の翻訳制御活性を与えるRNAエレメントは、既知の手法(リボソームプロファイリングなど)を使用して同定され、特徴付けられ得る。リボソームプロファイリングは、PIC及び/またはリボソームがmRNAに結合した位置を決定することを可能にする手法である(例えば、Ingolia et al.,(2009)Science 324(5924):218−23(当該文献は、参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。この手法は、核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))の領域またはセグメントが、PIC及び/またはリボソームによってヌクレアーゼ消化から保護されることに基づくものである。保護の結果、「フットプリント」と呼ばれる30bpのRNAフラグメントが生じる。RNAフットプリントの配列及び頻度は、当該技術分野で知られる方法(例えば、RNA−seq)によって解析され得る。フットプリントは、おおまかには、リボソームのA部位に中心がくる。核酸分子(例えば、RNA(例えば、mRNA))に沿って特定の位置または場所にPICまたはリボソームが留まるのであれば、こうした位置に相対的に高頻度でフットプリントが生じることになる。PIC及び/またはリボソームの処理能力が低下する位置ではフットプリントがより多く生じ、PIC及び/またはリボソームの処理能力が高まる位置ではフットプリントが少なくなることが研究によって示されている(Gardin et al.,(2014)eLife 3:e03735)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNAエレメントをいずれか1つまたは複数含むポリヌクレオチドに沿う個別の位置もしくは場所にPICもしくはリボソームが滞留する時間、または当該個別の位置もしくは場所をPICもしくはリボソームが占有する時間は、リボソームプロファイリングによって決定される。
タンパク質発現を低減するための薬剤
一実施形態では、脂質ベースの組成物(例えば、LNP)と結合/によってカプセル化される薬剤は、タンパク質発現を低減する(すなわち、減少させる、抑制する、下方制御する)薬剤である。一実施形態では、薬剤は、脂質ベースの組成物が送達される標的免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞、骨髄系細胞)におけるタンパク質発現を低減する。付加的または代替的に、別の実施形態では、薬剤を用いることで、脂質ベースの組成物が送達される標的免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞、骨髄系細胞)と比較して、他の細胞(例えば、バイスタンダー細胞)におけるタンパク質発現が低減される。タンパク質発現の低減に使用され得る薬剤の型の例としては、限定されないが、マイクロRNA結合部位(複数可)(miR結合部位)を含むmRNA、マイクロRNA(miRNA)、アンタゴmir、低分子(短鎖)干渉RNA(siRNA)(ショートマー及びダイサー基質RNAを含む)、RNA干渉(RNAi)分子、アンチセンスRNA、リボザイム、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、ロックド核酸(LNA)、ならびにCRISPR/Cas9技術が挙げられる。
RNA干渉分子
RNA干渉(RNAi)は、標的mRNA分子を中和することによってRNA分子が遺伝子の発現または翻訳を抑制する生物学的プロセスを指す。RNAiは、RNA誘導型サイレンシング複合体(RISC)によって制御される遺伝子サイレンシングプロセスであり、細胞の細胞質において短い二本鎖RNA分子(dsRNA)によって開始される。低分子干渉RNA(siRNA)及びマイクロRNA(miRNA)という2つの型の低分子リボ核酸分子がRNA干渉の中心をなしている。RNAiは天然の細胞プロセスであるが、in vitro及びin vivoで目的の標的遺伝子/mRNAの発現を抑制するためにRNAiの構成要素を合成及び利用することも行われている。
天然のプロセスとして、dsRNAは、リボヌクレアーゼタンパク質であるダイサーを活性化することによってRNAiを開始する。ダイサーは、dsRNA及び短鎖ヘアピンRNA(shRNA)に結合し、これらを切断して20〜25塩基対の二本鎖フラグメントを生成する。こうした短い二本鎖フラグメントは、低分子干渉RNA(siRNA)と呼ばれる。次に、こうしたsiRNAは、ほどかれて一本鎖になり、RISCローディング複合体(RLC)によって活性RISCに組み込まれる。RISCに組み込まれた後、siRNAは、その標的mRNAと塩基対を形成し、当該標的mRNAを切断することによって、当該標的mRNAが翻訳鋳型として使用されることを阻止する。
RNAiの現象には、広義では、miRNAの遺伝子サイレンシング作用も含まれる。マイクロRNAは、(例えば、発生段階に)遺伝子発現の制御を支援する遺伝子的にコードされた非コードRNAである。天然起源の成熟miRNAは、外来性のdsRNAから生じるsiRNAに構造的に類似しているが、miRNAは、成熟する前に広範な転写後修飾を受ける。この転写後修飾には、pre−miRNAのdsRNA部分がダイサーによって切断されることで、RISC複合体に組み込まれ得る成熟miRNA分子が生じることが含まれる。
したがって、一実施形態では、脂質ベースの組成物(例えば、LNP)と結合/によってカプセル化される薬剤は、siRNA及びmiRNAを含めて、RNAi分子(すなわち、RNA干渉を媒介するか、またはRNA干渉に関与する分子)であり、siRNA及びmiRNAはそれぞれ、以下にさらに詳述される。
低分子干渉RNA
低分子干渉RNA(siRNA)は、短鎖干渉RNAまたはサイレンシングRNAとも称され、RNAi経路内で機能することで相補的ヌクレオチド配列によって特定の標的配列の発現を妨害するクラスの二本鎖RNA分子であり、このクラスの二本鎖RNA分子は、典型的には、20〜25塩基対の長さを有する。siRNAは、転写後のmRNAを分解することによって遺伝子発現を抑制し、それによって翻訳を阻止する。本明細書で使用される「siRNA」という用語は、当該技術分野で知られるすべての形態のsiRNAを包含し、こうしたsiRNAには、限定されないが、ショートマー、ロングマー、2’5’−異性体、及びダイサー基質RNAが含まれる。天然起源のsiRNA及び人工的に合成されたsiRNA、ならびに治療におけるその使用(例えば、ナノ粒子による送達を行うもの)については、当該技術分野で報告されている(例えば、Hamilton and Balcombe(1999)Science 286:950−952、Elbashir et al.(2001)Nature 411:494−498、Shen et al.(2012)Cancer Gene Therap.19:367−373、Wittrup et al.(2015)Nat.Rev.Genet.16:543−552を参照のこと)。
したがって、一実施形態では、脂質ベースの組成物(例えば、LNP)と結合/によってカプセル化される薬剤はsiRNAである。一実施形態では、siRNAは、免疫細胞において発現する標的配列の発現を抑制する。一実施形態では、siRNAは、T細胞において発現する標的配列の発現を抑制する。一実施形態では、siRNAは、B細胞において発現する標的配列の発現を抑制する。一実施形態では、siRNAは、樹状細胞において発現する標的配列の発現を抑制する。一実施形態では、siRNAは、骨髄系細胞において発現する標的配列の発現を抑制する。
別の実施形態では、siRNAは、免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞、骨髄系細胞)における転写因子(例えば、FoxP3、T−bet、RoRgt、STAT3、AhR、NFkB)の発現を抑制する。一実施形態では、siRNAは、免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞、骨髄系細胞)における細胞質タンパク質(例えば、Mcl−1、HDAC10ヒストンデアセチラーゼ、アスパラギニルエンドペプチダーゼ(AEP)、SOCS1、SOCS2、PPARg、GILZ、AMKa1、AMKa2、SHP−1、SHP−2、CAMKK2、IDO1、IDO2、TDO)の発現を抑制する。別の実施形態では、siRNAは、免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞、骨髄系細胞)における膜貫通型タンパク質(例えば、細胞表面受容体(抗体、T細胞受容体、免疫チェックポイント阻害物質など))の発現を抑制する。別の実施形態では、siRNAは、免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞、骨髄系細胞)における分泌タンパク質(例えば、サイトカイン、ケモカイン)の発現を抑制する。別の実施形態では、siRNAは、免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞、骨髄系細胞)における細胞内シグナル伝達タンパク質の発現を抑制する。別の実施形態では、siRNAは、免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞、骨髄系細胞)における酵素(例えば、AMPKa1、AMPKa2、HDAC10、AEP、SHP−1、SHP−2、CAMKK2、IDO1、IDO2、TDO)の発現を抑制する。
マイクロRNA
マイクロRNA(miRNA)は、遺伝子発現のRNAサイレンシング及び転写後制御において機能する非コードRNA低分子(典型的には、約22ヌクレオチドを含む)である。miRNAは、mRNA分子内の相補的配列との塩基対形成、mRNAの切断誘導、mRNAのポリA尾部の短縮化を介するmRNAの不安定化、及び/またはリボソームがmRNAをタンパク質に変換する翻訳効率の低減、を介して遺伝子発現を抑制する。mRNAの切断に関しては、miRNAと標的mRNA配列との間に完全な相補性が存在する場合、Ago2タンパク質によるmRNAの切断が可能となることで、mRNAの分解誘導に繋がることが実証されている。miRNA及びその機能については、当該技術分野で報告されている(例えば、Ambros(2004)Nature431:350−355、Bartel(2004)Cell 116:281−297、Bartel(2009)Cell 136:215−233、Fabianet al.(2010)Ann.Rev.Biochem.79:351−379を参照のこと)。
したがって、一実施形態では、脂質ベースの組成物(例えば、LNP)と結合/によってカプセル化される薬剤は、miRNAである。一実施形態では、miRNAは、免疫細胞において発現する標的配列の発現を抑制する。一実施形態では、miRNAは、T細胞において発現する標的配列の発現を抑制する。一実施形態では、miRNAは、B細胞において発現する標的配列の発現を抑制する。一実施形態では、miRNAは、樹状細胞において発現する標的配列の発現を抑制する。一実施形態では、miRNAは、骨髄系細胞において発現する標的配列の発現を抑制する。
別の実施形態では、miRNAは、免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞、骨髄系細胞)における転写因子(例えば、FoxP3、T−bet、RoRgt、STAT3、AhR、NFkB)の発現を抑制する。一実施形態では、miRNAは、免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞、骨髄系細胞)における細胞質タンパク質(例えば、Mcl−1、HDAC10ヒストンデアセチラーゼ、アスパラギニルエンドペプチダーゼ(AEP)、SOCS1、SOCS2、PPARg、GILZ、AMKa1、AMKa2、SHP−1、SHP−2、CAMKK2、IDO1、IDO2、TDO)の発現を抑制する。別の実施形態では、miRNAは、免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞、骨髄系細胞)における膜貫通型タンパク質(例えば、細胞表面受容体(抗体、T細胞受容体、免疫チェックポイント阻害物質など))の発現を抑制する。別の実施形態では、miRNAは、免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞、骨髄系細胞)における分泌タンパク質(例えば、サイトカイン、ケモカイン)の発現を抑制する。別の実施形態では、miRNAは、免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞、骨髄系細胞)における細胞内シグナル伝達タンパク質の発現を抑制する。別の実施形態では、miRNAは、免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞、骨髄系細胞)における酵素(例えば、AMPKa1、AMPKa2、HDAC10、AEP、SHP−1、SHP−2、CAMKK2、IDO1、IDO2、TDO)の発現を抑制する。
免疫細胞活性の調節及び/または免疫応答の調節について、適切なmiRNAの例としては、限定されないが、Let−7d−5p、miR−7、miR−10a、miR−10b、miR−15、miR−18a、miR−20a、miR−20b、miR−21、miR−26a、miR−34a、miR−96、miR−99a、miR−100、miR−124、miR−125a、miR−126、miR−142−3p、miR−146、miR−150、miR−155、miR−181a、及びmiR−210が挙げられる。
アンタゴmir
アンタゴmirは、当該技術分野では抗miRまたはブロックmirとしても知られており、mRNA分子上の所望の部位に他の分子が結合することを阻止するクラスの化学的に操作されたオリゴヌクレオチドである。アンタゴmirは、内在性miRNAのサイレンシングを行うために使用される。アンタゴmirは、特定のmiRNA標的に対しては完全な相補性を有し、Ago2の切断部位に対しては誤対合を形成するか、またはAgo2による切断の抑制に繋がる何らかの塩基修飾を有する低分子合成RNAである。典型的には、アンタゴmirは、自体の分解抵抗性を向上させる修飾(2’−メトキシ基及び/またはホスホロチオエートなど)を1つ以上有する。アンタゴmir及びその機能については、当該技術分野で報告されている(例えば、Krutzfeldt et al.(2005)Nature 438:685−689、Czech(2006)New Eng.J.Med.354:1194−1195を参照のこと)。
したがって、一実施形態では、脂質ベースの組成物(例えば、LNP)と結合/によってカプセル化される薬剤は、アンタゴmirである。アンタゴmirは遺伝子発現を下方制御する内在性miRNAの活性を遮断する(抑制する)ものであるため、アンタゴmirが作用すると、目的遺伝子の発現の増進(すなわち、増加、刺激、上方制御)に繋がることになり得る。したがって、一実施形態では、アンタゴmirは、免疫細胞において発現する標的配列の発現を増進する。一実施形態では、アンタゴmirは、T細胞において発現する標的配列の発現を増進する。一実施形態では、アンタゴmirは、B細胞において発現する標的配列の発現を増進する。一実施形態では、アンタゴmirは、樹状細胞において発現する標的配列の発現を増進する。一実施形態では、アンタゴmirは、骨髄系細胞において発現する標的配列の発現を増進する。
別の実施形態では、アンタゴmirは、免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞、骨髄系細胞)における転写因子(例えば、FoxP3、T−bet、RoRgt、STAT3、AhR、NFkB)の発現を増進する。一実施形態では、アンタゴmirは、免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞、骨髄系細胞)における細胞質タンパク質(例えば、Mcl−1、HDAC10ヒストンデアセチラーゼ、アスパラギニルエンドペプチダーゼ(AEP)、SOCS1、SOCS2、PPARg、GILZ、AMKa1、AMKa2、SHP−1、SHP−2、CAMKK2、IDO1、IDO2、TDO)の発現を増進する。別の実施形態では、アンタゴmirは、免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞、骨髄系細胞)における膜貫通型タンパク質(例えば、細胞表面受容体(抗体、T細胞受容体、免疫チェックポイント阻害物質など))の発現を増進する。別の実施形態では、アンタゴmirは、免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞、骨髄系細胞)における分泌タンパク質(例えば、サイトカイン、ケモカイン)の発現を増進する。別の実施形態では、アンタゴmirは、免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞、骨髄系細胞)における細胞内シグナル伝達タンパク質の発現を増進する。別の実施形態では、アンタゴmirは、免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞、骨髄系細胞)における酵素(例えば、AMPKa1、AMPKa2、HDAC10、AEP、SHP−1、SHP−2、CAMKK2、IDO1、IDO2、TDO)の発現を増進する。
免疫細胞活性の調節及び/または免疫応答の調節について、適切なアンタゴmirの例としては、限定されないが、miR−7、miR−15a、miR−16、miR−17、miR−21、miR−22、miR−23、miR−24、miR−25、miR−27、miR−31、miR−92、miR−106b、miR−146b、miR−148a、miR−155、及びmiR−210から選択されるmiRNAを特異的に標的とするアンタゴmirが挙げられる。
アンチセンスRNA
アンチセンスRNA(asRNA)は、当該技術分野ではアンチセンス転写物とも称され、タンパク質をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)に相補性を有し、それとハイブリダイゼーションすることによってタンパク質への当該mRNAの翻訳を遮断する天然起源の一本鎖RNA分子または合成的に生成される一本鎖RNA分子である。アンチセンス転写物は、短鎖(200ヌクレオチド未満)の非コードRNA(ncRNA)及び長鎖(200ヌクレオチド超)のncRNAに分類される。asRNAの主要な天然機能は遺伝子発現を制御することにあり、遺伝子ノックダウン及び治療用途向けの研究ツールとして合成バージョンが広く使用されている。アンチセンスRNA及びその機能については、当該技術分野で報告されている(例えば、Weiss et al.(1999)Cell.Molec.Life Sci.55:334−358、Wahlstedt(2013)Nat.Rev.Drug Disc.12:433−446、Pelechano and Steinmetz(2013)Nat.Rev.Genet.14:880−893を参照のこと)。したがって、一実施形態では、脂質ベースの組成物(例えば、LNP)と結合/によってカプセル化される薬剤は、アンチセンスRNAをコードするか、またはアンチセンスRNAである核酸(例えば、RNAまたはDNA)である。
リボザイム
リボザイム(リボ核酸酵素)は、タンパク質酵素の作用と同様の生化学反応を触媒することが可能なRNA分子である。天然のリボザイムまたはin vitroでの進化を経たリボザイムの最も一般的な活性は、RNA及びDNAの切断またはライゲーション、ならびにペプチド結合形成である。さらに、当該技術分野では、良好な酵素活性を有する自己切断RNAについて報告されている。リボザイムの治療的使用、具体的には、RNAベースのウイルスの切断に向けたリボザイムの治療的使用が検討されているところである。リボザイム及びその機能については、当該技術分野で報告されている(例えば、Kruger et al.(1982)Cell 31:147−157、Tang and Baker(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:84−89、Fedor and Williamson(2005)Nat.Rev.Mol.Cell.Biol.6:399−412を参照のこと)。したがって、一実施形態では、脂質ベースの組成物(例えば、LNP)と結合/によってカプセル化される薬剤は、リボザイムをコードするか、またはリボザイムである核酸(例えば、RNAまたはDNA)である。
低分子ヘアピンRNA
低分子(または短鎖)ヘアピンRNA(shRNA)は、RNA干渉を介する標的遺伝子発現のサイレンシングに使用され得る型の、タイトなヘアピンターンを有する合成RNA分子である。shRNAは、分解及び代謝回転の速度が比較的遅いという点において有利なRNA干渉メディエーターである。細胞におけるshRNAの発現は、典型的には、shRNAをコードするプラスミドを送達することによって達成されるか、あるいはshRNAをコードするウイルスベクター(例えば、アデノ随伴ウイルスベクター、アデノウイルスベクター、もしくはレンチウイルスベクター)または細菌ベクターを介して達成される。shRNA及び遺伝子治療におけるその使用については、当該技術分野で報告されている(例えば、Paddison et al.(2002)Genes Dev.16:948−958、Xiang et al.(2006)Nat.Biotech.24:697−702、Burnett et al.(2012)Biotech.Journal 6:1130−1146を参照のこと)。したがって、一実施形態では、脂質ベースの組成物(例えば、LNP)と結合/によってカプセル化される薬剤は、shRNAをコードするか、またはshRNAである核酸(例えば、RNAまたはDNA)である。
ロックド核酸
ロックド核酸は、閉鎖RNAとも称され、2’位の酸素と4’位の炭素とを連結する架橋が加わることで自体のリボース部分が修飾された修飾RNAヌクレオチド分子である。この架橋によって、リボースが3’−エンド(ノース)立体配座に「ロック」される。LNAヌクレオチドは、いつでも必要に応じて、オリゴヌクレオチドにおいてDNA残基またはRNA残基と組み合わせることができる上、ワトソン・クリックの塩基対形成則に従ってDNAまたはRNAとハイブリダイゼーションすることも可能である。ロックドリボース立体配座は、塩基のスタッキング及び骨格の事前形成を増進するものである。このことによって、LNAヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション特性(例えば、融解温度)が顕著に向上する。LNA分子及びその特性については、当該技術分野で報告されている(例えば、Obika et al.(1997)Tetrahedron Lett.38:8735−8738、Koshkin et al.(1998)Tetrahedron 54:3607−3630、Elmen et al.(2005)Nucl.Acids Res.33:439−447を参照のこと)。したがって、一実施形態では、脂質ベースの組成物(例えば、LNP)と結合/によってカプセル化される薬剤は、1つ以上のロックド核酸(LNA)ヌクレオチドを含む核酸(例えば、RNAまたはDNA)である。
CRISPR/Cas9剤
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の脂質ベースの組成物(例えば、脂質ナノ粒子)は、CRISPR(規則的な間隔でクラスター化した短鎖反復回文配列)−Cas9系と関連する方法において有用である。CRISPR/Cas9は、ゲノムの編集に使用されており、Cas9酵素によってDNAが切断され、新たな遺伝配列を挿入することが可能になる。切断が望まれる特定のDNA箇所へのCas9の指向化にはシングルガイドRNAが使用される。しかしながら、免疫細胞、具体的にはT細胞におけるゲノム編集は相当困難な課題であることが報告されている。
in vitroで細胞の電気穿孔を行うことによってT細胞におけるCXCR4及びPD−1の発現を下方制御する能力をCRISPR/Cas9が有することが最近の研究によって示されている(Schumann、K.et al.PNAS,Vol.112(33):10437−10443,August 18,2015、Rupp,L.et al.,Scientific Reports,Vol.7,Article number 737,2017(これらの文献はそれぞれ、参照によって本明細書に組み込まれる))。in vivoで免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞、骨髄系細胞)にCRISPR/Cas9を導入することについては、未だにニーズが満たされていない状況である。したがって、本開示は、本明細書に記載の免疫細胞送達脂質を含む脂質ベースの組成物を使用することによってCRISPR/Cas9系を用いて免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞、骨髄系細胞)のゲノムを編集する方法を提供する。したがって、いくつかの実施形態では、脂質(例えば、LNP)と結合/によってカプセル化される薬剤(複数可)は、CRISPR/Cas9系の構成要素の1つ以上である。例えば、Cas9酵素及びシングルガイドRNAが、本明細書に記載の脂質ベースの組成物と結合/にカプセル化され得る。必要に応じて、修飾対象の目的遺伝物質(例えば、DNA)もまた、脂質ベースの組成物にカプセル化され得るか、または代替的に、脂質ベースの組成物によって送達されるCRISPR/Cas9系が、標的免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞、骨髄系細胞)における内在性の目的遺伝物質に作用し得る。
標的タンパク質の例
標的分子(例えば、LNPに含められる核酸によってコードされるもの、またはノックダウンの標的とされるもの)は、所望の結果に基づいて選択され得る。免疫細胞が本発明のLNPの標的となることが今回明らかになったことを考慮すれば、当業者は、当該技術分野で認知されている多くの免疫調節分子を免疫細胞に送達して免疫応答を増進または低減することができる。そのような免疫調節分子(例えば、核酸分子(DNA、RNA、mRNA、RNAiなど))の例は当該技術分野でよく知られており、さらに、そのような分子の標的の例もまた当該技術分野でよく知られており、そのような分子の例は本明細書に開示される。タンパク質を(例えばmRNAを使用して)発現させる場合、そのようなタンパク質は、全長タンパク質であるか、または代替的には、その機能性フラグメント(例えば、全長タンパク質の機能活性が保持されるように1つ以上の機能性ドメインを含む、当該全長タンパク質のフラグメント)であり得る。さらに、ある特定の実施形態では、LNPに含まれる核酸によってコードされるタンパク質は、修飾タンパク質であり得、例えば、1つ以上の異種ドメインを含み得、例えば、こうしたタンパク質は、当該タンパク質に天然には生じないドメインを当該タンパク質の機能が改変されるように1つ以上含む融合タンパク質であり得る。異種ドメインを含むタンパク質の例は、キメラ抗原受容体(以下にさらに記載される)である。
核酸(例えば、mRNA)によってコードされるか、または核酸分子(例えば、siRNA、miRNA)によって抑制され、それによって免疫応答が調節(上方制御または下方制御)され得る特定のタンパク質(例えば、サイトカイン、ケモカイン、共刺激分子、TcR、CAR、動員因子、転写因子、エフェクター分子)については、下記のサブセクションに詳述される。
免疫細胞中または免疫細胞上の目的タンパク質の誘導または低減は、当該技術分野で知られる標準的な方法(免疫蛍光法またはフローサイトメトリーなど)によって測定され得る。
天然起源の標的
一実施形態では、脂質ベースの組成物(例えば、LNP)と結合/によってカプセル化される薬剤は、免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、骨髄系細胞、樹状細胞)の天然起源の標的を調節する(例えば、天然起源の標的の活性を上方制御または下方制御する)。薬剤は、それ自体が天然起源の標的をコードし得るか、または(例えば、in vivoの細胞(対象における細胞など)において)天然起源の標的を調節するように機能し得る。天然起源の標的は、全長標的(全長タンパクなど)であり得るか、または天然起源の標的のフラグメントもしくは一部(タンパク質のフラグメントもしくは一部など)であり得る。天然起源の標的を調節する(例えば、標的自体をコードすることによって調節するか、または標的の活性を調節するように機能することによって調節する)薬剤は、オートクリン様式で作用し得、すなわち、薬剤は、当該薬剤が送達される細胞に直接的に作用を及ぼす。付加的または代替的に、天然起源の標的を調節する薬剤は、パラクリン様式で機能し得、すなわち、薬剤は、当該薬剤が送達される細胞以外の細胞に間接的に作用を及ぼす(例えば、ある型の細胞に薬剤が送達される結果、別の型の細胞(バイスタンダー細胞など)に影響を及ぼす分子が分泌される)。天然起源の標的を調節する薬剤には、タンパク質発現を誘導する(例えば、増進する、刺激する、上方制御する)核酸分子(mRNA及びDNAなど)が含まれる。天然起源の標的を調節する薬剤には、タンパク質発現を低減する(例えば、抑制する、減少させる、下方制御する)核酸分子(siRNA、miRNA、及びアンタゴmirなど)も含まれる。天然起源の標的の例としては、限定されないが、可溶性タンパク質(例えば、分泌タンパク質)、細胞内タンパク質(例えば、細胞内シグナル伝達タンパク質、転写因子)、及び膜結合型または膜貫通型のタンパク質(例えば、受容体)が挙げられる。
可溶性標的
一実施形態では、脂質ベースの組成物(例えば、LNP)と結合/によってカプセル化される薬剤は、天然起源の可溶性標的の活性を調節し、この調節は、例えば、可溶性標的自体をコードすることによって行われるか、または免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞、骨髄系細胞)における可溶性標的の発現(例えば、転写もしくは翻訳)を調節することによって行われる。一実施形態では、細胞は、リンパ球である。天然起源の可溶性標的の例としては、限定されないが、サイトカイン及びケモカインが挙げられる。免疫応答の刺激または抑制における特定の使用に適したサイトカイン及びケモカインについては、以下にさらに記載される。実施例19に示されるように、本開示の脂質ベースの組成物は、可溶性標的をコードするmRNAを免疫細胞(例えば、T細胞)が当該可溶性標的を発現するように当該免疫細胞に送達する上で有効である。
一実施形態では、脂質ベースの組成物(例えばLNP)を使用する方法は、免疫細胞の活性化または活性を刺激する(上方制御する、増進する)ために使用され、この刺激は、例えば、免疫応答を刺激することが望ましい状況(がん治療、または感染性疾患(例えば、ウイルス感染症、細菌感染症、真菌感染症、原虫感染症、もしくは寄生虫感染症)の治療など)において行われる。別の実施形態では、脂質ベースの組成物(例えばLNP)を使用する方法は、免疫細胞の活性化または活性を抑制する(下方制御する、低減する)ために使用され、この抑制は、例えば、免疫応答を抑制することが望ましい状況(自己免疫疾患、アレルギー、及び移植など)において行われる。
免疫細胞の活性化または活性を刺激する一実施形態では、標的タンパク質は、サイトカインである。サイトカインは、免疫系を制御する細胞内シグナル伝達のメディエーターである。免疫細胞の活性化または活性を刺激し得るサイトカインの例としては、限定されないが、IL−1(炎症誘発性サイトカイン)、IL−2(T細胞の分化を促進するT細胞増殖因子)、IL−3(骨髄系細胞の増殖を刺激する)、IL−4(B細胞及びT細胞の増殖ならびにB細胞の分化を刺激する)、IL−5(B細胞の増殖を刺激する)、IL−6(炎症誘発性)、IL−7(リンパ球系細胞の分化を刺激する)、IL−12(ナイーブT細胞をTh1細胞に分化させる)、IL−13(活性化したB細胞及びT細胞の増殖ならびにB細胞の分化を刺激する)、IL−15(T細胞及びNK細胞の活性化及び増殖を制御する)、IL−17(炎症誘発性であり、ケモカインを誘導する)、IL−18(炎症誘発性であり、IFNの放出を促進する)、IL−21(炎症誘発性であり、NK及びCTLの増殖を制御する)、IL−23(炎症誘発性)、TNFα(全身性の炎症を刺激し、腫瘍発生及びウイルス複製を抑制する)、TNFβ(二次リンパ器官の発達を制御する)、IFNα(ウイルス感染に対する自然免疫に関与する)、IFNβ(ウイルス感染に対する自然免疫に関与する)、IFNγ(ウイルス及び他の感染性病原体に対する自然免疫及び適応免疫に関与する)、GM−CSF(白血球産生を刺激し、抗腫瘍性T細胞を増強する)、G−CSF(白血球産生を刺激する)、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
一実施形態では、サイトカインは、炎症誘発性サイトカインである。炎症誘発性サイトカインの例としては、限定されないが、IL−1、IL−6、IL−17、IL−18、IL−23、TNFα、IFN−α、IFN−β、及びIFN−γが挙げられる。炎症誘発性サイトカインは、炎症応答の刺激が望まれる状況において使用することができ、例えば、がん治療またはウイルス感染症において抗腫瘍免疫を亢進させるために使用される。一実施形態では、サイトカインは、T細胞の活性化を促進する。T細胞の活性化または分化を促進するサイトカインの例としては、限定されないが、IL−2、IL−4、IL−12、IL−13、IL−15、及びIFN−αが挙げられる。一実施形態では、サイトカインは、Th2応答を促進する。Th2応答を促進するサイトカインの例としては、限定されないが、IL−4及びIL−10が挙げられる。一実施形態では、サイトカインは、B細胞の活性化を促進する。B細胞の活性化を促進するサイトカインの例としては、限定されないが、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−13、及びIFNが挙げられる。
免疫細胞の活性化または活性を刺激する一実施形態では、タンパク質は、ケモカインまたはケモカイン受容体である。ケモカインは、様々な免疫細胞(リンパ球、ナチュラルキラー細胞、及び樹状細胞を含む)の移動の制御に加えて、炎症性細胞(顆粒球及び単球/単球を含む)の輸送を制御する物質であることが実証されている。したがって、ケモカインは、炎症応答の制御にも免疫応答の制御にも関与する。さらに、ケモカインは、がん細胞の増殖性及び浸潤特性に影響を及ぼすことが示されている(ケモカインの総説については、例えば、Mukaida、N.et al.(2014)Mediators of Inflammation,Article ID 170381,pg.1−15を参照のこと)。一実施形態では、ケモカインまたはケモカイン受容体は、制御性T細胞に作用し、こうしたケモカインまたはケモカイン受容体の例としては、限定されないが、CCL22、CCL28、CCR4、及びCCR10が挙げられる。別の実施形態では、ケモカインまたはケモカイン受容体は、細胞傷害性T細胞に作用し、こうしたケモカインまたはケモカイン受容体の例としては、限定されないが、CXCL9、CXCL10、CXCL11、及びCXCR3が挙げられる。別の実施形態では、ケモカインまたはケモカイン受容体は、ナチュラルキラー細胞に作用し、こうしたケモカインまたはケモカイン受容体の例としては、限定されないが、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CCL3、CCL4、CCL5、CCL2、CCL8、CCL12、CCL13、CCL19、CCL21、CX3CL1、CXCR3、CCR1、CCR5、CCR2、及びCX3CR1が挙げられる。別の実施形態では、ケモカインまたはケモカイン受容体は、未熟樹状細胞に作用し、こうしたケモカインまたはケモカイン受容体の例としては、限定されないが、CCL3、CCL4、CCL5、CCL2、CCL7、CCL8、CCL22、CCL1、CCL17、CXCL12、CCR1、CCR2、CCR4、CCR5、CCR6、CCR8、及びCXCR4が挙げられる。別の実施形態では、ケモカインまたはケモカイン受容体は、成熟樹状細胞に作用し、こうしたケモカインまたはケモカイン受容体の例としては、限定されないが、CCL19、CCL21、CXCL12、CCR7、及びCXCR4が挙げられる。別の実施形態では、ケモカインまたはケモカイン受容体は、腫瘍関連マクロファージに作用し、こうしたケモカインまたはケモカイン受容体の例としては、限定されないが、CCL2、CCL7、CCL8、CCL3、CCL4、CCL5、CXCL12、CCR2、CCR5、及びCXCR4が挙げられる。
免疫細胞の活性化または活性を刺激する一実施形態では、タンパク質は、動員因子である。本明細書で使用される「動員因子」は、所望の位置(例えば、腫瘍部位または炎症部位)への免疫細胞の動員を促進する任意のタンパク質を指す。例えば、ある特定のケモカイン、ケモカイン受容体、及びサイトカインは、リンパ球の動員に関与することが示されている(例えば、Oelkrug、C.and Ramage,J.M.(2014)Clin.Exp.Immunol.178:1−8を参照のこと)。動員因子の例としては、限定されないが、CXCR3、CXCR5、CCR5、CCL5、CXCL10、CXCL12、CXCL16、及びIFN−□が挙げられる。
免疫応答を抑制するための一実施形態では、タンパク質は、抑制性サイトカインであるか、または刺激性サイトカインのアンタゴニストである。一実施形態では、抑制性サイトカインは、抗炎症性タンパク質であり、こうした抗炎症性タンパク質は、IL−10(例えば、炎症性腸疾患、関節リウマチ、及び他の自己免疫疾患の治療向け)、IL−11(例えば、炎症性腸疾患及び他の自己免疫疾患の治療向け)、IFN−β(例えば、多発性硬化症及び他の自己免疫疾患の治療向け)などである。別の実施形態では、タンパク質は、前述の刺激性サイトカインのいずれかのアンタゴニスト(抗サイトカイン抗体など)である。例えば、下記のサイトカインのいずれかのアンタゴニスト(例えば、抗サイトカイン抗体)が使用されることで、自己免疫疾患及び/またはアレルギーにおける免疫細胞活性が下方調節され得る:IL−5(例えば、アレルギーの治療向け)、IL−6(例えば、関節リウマチ及び他の自己免疫疾患の治療向け)、IL−12(自己免疫の治療向け)、IL−13(例えば、アレルギーの治療向け)、IL−17(例えば、尋常性乾癬及び他の自己免疫疾患の治療向け)、IL−18(例えば、自己免疫向け)、IL−23(例えば、自己免疫向け)、TNF−α(例えば、関節リウマチ、乾癬、炎症性腸疾患、及び他の自己免疫疾患の治療向け)、ならびにIFN−γ(例えば、自己免疫向け)。
細胞内標的
一実施形態では、脂質ベースの組成物(例えば、LNP)と結合/によってカプセル化される薬剤は、天然起源の細胞内標的の活性を調節し、この調節は、例えば、細胞内標的自体をコードすることによって行われるか、または免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞、骨髄系細胞)における細胞内標的の発現(例えば、転写もしくは翻訳)を調節することによって行われる。一実施形態では、細胞は、リンパ球系細胞である。天然起源の細胞内標的の例としては、限定されないが、転写因子及び細胞シグナル伝達カスケード分子(酵素を含む)が挙げられる。免疫応答の刺激及び抑制における特定の使用に適した転写因子及び細胞内シグナル伝達カスケード分子については、以下にさらに記載される。実施例20に示されるように、本開示の脂質ベースの組成物は、細胞内標的(例えば、転写因子)をコードするmRNAを免疫細胞(例えば、T細胞)が当該細胞内標的を発現するように当該免疫細胞に送達する上で有効である。
免疫細胞の活性化または活性を刺激する一実施形態では、タンパク質標的は、転写因子である。本明細書で使用される「転写因子」は、遺伝子の転写を制御するDNA結合タンパク質を指す。一実施形態では、タンパク質は、免疫応答を亢進または極性化させる転写因子である。一実施形態では、タンパク質は、I型IFN応答を刺激する転写因子である。別の実施形態では、タンパク質は、NFκB介在性の炎症誘発応答を刺激する転写因子である。転写因子の例としては、限定されないが、インターフェロン制御因子(IRF−1、IRF−3、IRF−5、IRF−7、IRF−8、及びIRF−9を含むIRF)、CREB、RORg、RORgt、SOCS、NFκB、FoxP3、T−bet、STAT3、ならびにAhRが挙げられる。
免疫細胞の活性化または活性を刺激する一実施形態では、タンパク質標的は、細胞内アダプタータンパク質である。一実施形態では、細胞内アダプタータンパク質は、I型IFN応答を刺激する。別の実施形態では、細胞内アダプタータンパク質は、NFκB介在性の炎症誘発応答を刺激する。I型IFN応答を刺激し、及び/またはNFκB介在性の炎症誘発応答を刺激する細胞内アダプタータンパク質の例としては、限定されないが、STING、MAVS、及びMyD88が挙げられる。
免疫細胞の活性化または活性を刺激する一実施形態では、タンパク質標的は、細胞内シグナル伝達タンパク質である。一実施形態では、タンパク質は、TLRシグナル伝達経路の細胞内シグナル伝達タンパク質である。一実施形態では、細胞内シグナル伝達タンパク質は、I型IFN応答を刺激する。別の実施形態では、細胞内シグナル伝達タンパク質は、NFκB介在性の炎症誘発応答を刺激する。I型IFN応答を刺激し、及び/またはNFκB介在性の炎症誘発応答を刺激する細胞内シグナル伝達タンパク質の例としては、限定されないが、MyD88、IRAK1、IRAK2、IRAK4、TRAF3、TRAF6、TAK1、TAB2、TAB3、TAK−TAB1、MKK3、MKK4、MKK6、MKK7、IKKα、IKKβ、TRAM、TRIF、RIPK1、及びTBK1が挙げられる。
免疫応答を上方制御または下方制御するための細胞内シグナル伝達分子の他の例としては、限定されないが、Mcl−1、AMPKa1、AMPKa2、GILZ、PPARg、HDAC10、AEP、SHP−1、SHP−2、CAMKK2 IDO1、IDO2、及びTDOが挙げられる。
免疫細胞の活性化または活性を抑制する一実施形態では、タンパク質は、転写因子であり、こうした転写因子は、例えば、免疫寛容を促進する免疫寛容原性転写因子(RelA、Runx1、Runx3、及びFoxP3など)である。
膜結合型/膜貫通型標的
一実施形態では、脂質ベースの組成物(例えば、LNP)と結合/によってカプセル化される薬剤は、天然起源の膜結合型/膜貫通型標的の活性を調節し、この調節は、例えば、膜結合型/膜貫通型標的自体をコードすることによって行われるか、または免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞、骨髄系細胞)における膜結合型/膜貫通型標的の発現(例えば、転写もしくは翻訳)を調節することによって行われる。天然起源の膜結合型/膜貫通型標的の例としては、限定されないが、共刺激分子、免疫チェックポイント分子、ホーミングシグナル、及びHLA分子が挙げられる。免疫応答の刺激または抑制における特定の使用に適した膜結合型/膜貫通型標的については、以下にさらに記載される。実施例(例えば、実施例3)に示されるように、本開示の脂質ベースの組成物は、膜貫通型標的(例えば、受容体リガンド)をコードするmRNAを免疫細胞(例えば、T細胞)が当該膜貫通型標的を発現するように当該免疫細胞に送達する上で有効である。
免疫細胞の活性化または活性を刺激する一実施形態では、タンパク質標的は、免疫応答を上方制御する共刺激因子であるか、または免疫応答を下方制御する共刺激因子のアンタゴニストである。免疫応答を上方制御する共刺激因子の例としては、限定されないが、CD28、CD80、CD86、ICOS、ICOSL、OX40、OX40L、CD40、CD40L、GITR、GITRL、CD137、及びCD137Lが挙げられる。免疫応答を下方制御することから、そのアンタゴニスト(例えば、特異的抗体)を使用することによって免疫応答を刺激できる共刺激分子の例としては、限定されないが、PD−1、PD−L1、PD−L2、及びCTLA−4が挙げられる。いくつかの実施形態では、本開示のLNP及び方法は、ユニバーサル免疫受容体またはUnivIR(例えば、ビオチン結合免疫受容体(BBIR))をコードするmRNAを発現するようにエフェクター細胞(例えば、T細胞)を修飾する上で有用である。(例えば、米国特許公開公報US20140234348A1(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。ユニバーサルキメラ受容体及び/またはユニバーサルキメラ受容体を発現するエフェクター細胞と関連する他の組成物は、国際特許出願WO2016123122A1、同WO2017143094A1、同WO2013074916A1、米国特許出願US20160348073A1に記載されており、これらの文献はすべて、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
免疫細胞の活性化または活性を抑制する一実施形態では、タンパク質標的は、免疫細胞(例えば、T細胞)を下方制御する免疫チェックポイントタンパク質であり、こうした免疫チェックポイントタンパク質の例としては、限定されないが、CTLA−4、PD−1、及びPD−L1が挙げられる。別の実施形態では、タンパク質は、免疫応答を上方制御する共刺激分子のアンタゴニスト(例えば、共刺激分子に結合するアンタゴニスト抗体)であり、こうしたアンタゴニストの例としては、限定されないが、下記の共刺激分子のアンタゴニストが挙げられる:CD28、CD80、CD86、ICOS、ICOSL、OX40、OX40L、CD40、CD40L、GITR、GITRL、CD137、及びCD137L。
一実施形態では、膜結合型/膜貫通型タンパク質標的は、ホーミングシグナルである。
一実施形態では、膜結合型/膜貫通型タンパク質標的は、HLA分子(HLA−Gなど)である。非古典的HLAクラスI分子であるHLA−Gは、HLA−Gを発現する細胞を細胞溶解から保護する強力な抑制分子である。この機能は、母体免疫系による破壊からの胎児の栄養膜細胞層の保護、レシピエント免疫系による細胞溶解に対する同種移植片の保護、及び抗腫瘍免疫に対する腫瘍の保護に極めて重要であることが報告されている。したがって、HLA−Gを上方制御する薬剤(HLA−GをコードするmRNAなど)を使用することで、免疫介在性の細胞溶解から細胞を保護することができ、この保護は、例えば、移植レシピエントにおいて行われる。あるいは、HLA−Gを下方制御する薬剤(siRNA、miRNA、及びアンタゴmirなど)を使用することで、免疫介在性の細胞溶解を促進することができ、この促進の目的は、腫瘍を有する対象において抗腫瘍免疫を刺激することなどである。
修飾標的
一実施形態では、脂質ベースの組成物(例えば、LNP)と結合/によってカプセル化される薬剤は、免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、骨髄系細胞、樹状細胞)の修飾標的を調節する(例えば、非天然起源の標的の活性を上方制御または下方制御する)。典型的には、薬剤は、それ自体が修飾標的であるか、またはそれ自体が修飾標的をコードする。あるいは、細胞が修飾標的を発現するのであれば、薬剤は、細胞におけるこの修飾標的の活性を調節するように機能し得る。非天然起源の標的は、全長標的(全長修飾タンパク質など)であり得るか、または非天然起源の標的のフラグメントもしくは一部(修飾タンパク質のフラグメントもしくは一部など)であり得る。修飾標的を調節する薬剤は、オートクリン様式で作用し得、すなわち、薬剤は、当該薬剤が送達される細胞に直接的に作用を及ぼす。付加的または代替的に、修飾標的を調節する薬剤は、パラクリン様式で機能し得、すなわち、薬剤は、当該薬剤が送達される細胞以外の細胞に間接的に作用を及ぼす(例えば、ある型の細胞に薬剤が送達される結果、別の型の細胞(バイスタンダー細胞など)に影響を及ぼす分子が分泌される)。自体が修飾標的である薬剤には、修飾タンパク質をコードする核酸分子(mRNAまたはDNAなど)が含まれる。修飾タンパク質の例としては、限定されないが、修飾された可溶性タンパク質(例えば、分泌タンパク質)、修飾された細胞内タンパク質(例えば、細胞内シグナル伝達タンパク質、転写因子)、及び修飾された膜結合型タンパク質または膜貫通型タンパク質(例えば、受容体)が挙げられる。
修飾された可溶性標的
一実施形態では、脂質ベースの組成物(例えば、LNP)と結合/によってカプセル化される薬剤は、免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、骨髄系細胞、樹状細胞)の修飾された可溶性標的を調節する(例えば、非天然起源の可溶性標的の活性を上方制御または下方制御する)。一実施形態では、薬剤(例えば、mRNA)は、修飾された可溶性標的をコードする。一実施形態では、修飾された可溶性標的は、修飾されている可溶性タンパク質であり、この修飾によって、当該タンパク質の半減期(例えば、血清中半減期)が改変(例えば、長時間化または短時間化)される。半減期が改変された修飾可溶性タンパク質には、修飾サイトカイン及び修飾ケモカインが含まれる。別の実施形態では、修飾された可溶性標的は、自体が細胞表面に繋留されるようにテザーを組み込んで修飾されている可溶性タンパク質である。テザーが組み込まれた修飾可溶性タンパク質には、テザー付きサイトカイン及びテザー付きケモカインが含まれる。
修飾された細胞内標的
一実施形態では、脂質ベースの組成物(例えば、LNP)と結合/によってカプセル化される薬剤は、免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、骨髄系細胞、樹状細胞)の修飾された細胞内標的を調節する(例えば、非天然起源の細胞内標的の活性を上方制御または下方制御する)。一実施形態では、細胞は、リンパ球系細胞である。一実施形態では、薬剤(例えば、mRNA)は、修飾された細胞内標的をコードする。一実施形態では、修飾された細胞内標的は、細胞内タンパク質の構成的に活性な変異体(構成的に活性な転写因子または細胞内シグナル伝達分子など)である。別の実施形態では、修飾された細胞内標的は、細胞内タンパク質のドミナントネガティブな変異体(転写因子または細胞内シグナル伝達分子のドミナントネガティブな変異体など)である。別の実施形態では、修飾された細胞内標的は、改変(例えば、変異導入)された酵素(細胞内シグナル伝達カスケード内での活性が上昇または低下した変異体酵素など)である。
修飾された膜結合型/膜貫通型標的
一実施形態では、脂質ベースの組成物(例えば、LNP)と結合/によってカプセル化される薬剤は、免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、骨髄系細胞、樹状細胞)の修飾された膜結合型/膜貫通型標的を調節する(例えば、非天然起源の膜結合型/膜貫通型標的の活性を上方制御または下方制御する)。一実施形態では、薬剤(例えば、mRNA)は、修飾された膜結合型/膜貫通型標的をコードする。一実施形態では、修飾された膜結合型/膜貫通型標的は、膜結合型/膜貫通型タンパク質の構成的に活性な変異体(構成的に活性な細胞表面受容体(すなわち、リガンドの結合を必要とせずに当該受容体を介して細胞内シグナル伝達を活性化する)など)である。別の実施形態では、修飾された膜結合型/膜貫通型標的は、膜結合型/膜貫通型タンパク質のドミナントネガティブな変異体(細胞表面受容体のドミナントネガティブな変異体など)である。別の実施形態では、修飾された膜結合型/膜貫通型標的は、免疫シナプスのシグナル伝達を反転させる(例えば、T細胞受容体、B細胞受容体、または他の免疫細胞受容体のシグナル伝達をアゴナイズまたはアンタゴナイズする)分子である。別の実施形態では、修飾された膜結合型/膜貫通型標的は、キメラ膜結合型/膜貫通型タンパク質(キメラ細胞表面受容体など)である。
一実施形態では、修飾された膜結合型/膜貫通型標的は、キメラ抗原受容体(CAR)(キメラT細胞受容体など)であり、CARについては、以下にさらに詳述される。
免疫細胞の活性化または活性を刺激する一実施形態では、タンパク質標的は、T細胞受容体(TcR)またはキメラ抗原受容体(CAR)(当該技術分野ではキメラ免疫受容体、キメラT細胞受容体、人工T細胞受容体、またはCAR−Tとしても知られる)である。一実施形態では、タンパク質標的は、がん抗原を認識するTcRまたはCARである。がん抗原を認識するTcR及びCARならびにがん免疫療法におけるその使用については、当該技術分野で報告されている(総説については、例えば、Newick,K.et al.(2017)Ann.Rev.Med.68:139−152、Jackson,H.J.et al.(2016)Nat.Rev.Clin.Oncol.13:370−383、Smith,A.J.et al.(2016)J.Cell Immunol.2:59−68を参照のこと)。がん抗原を認識するTcRまたはCARの例としては、限定されないが、下記の抗原のいずれかに結合するものが挙げられる:CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD123、CD138、CD171、CEA、EGFR、HER2、メソテリン、及びPSMA。
本明細書で使用される「キメラ抗原受容体(CAR)」という用語は、所定のCARリガンドまたは抗原に結合することが可能な細胞外ドメインと、細胞外ドメインの由来元であるポリペプチドとは異なるシグナル伝達タンパク質に由来する1つ以上の細胞質ドメインを含む細胞内セグメントと、膜貫通型ドメインと、を含む人工的な膜貫通型タンパク質受容体を指す。「キメラ抗原受容体(CAR)」は、「キメラ受容体」、「T体(T−body)」、または「キメラ免疫受容体(CIR)」と呼ばれることもある。
「CAR抗原」と互換的に使用される「CARリガンド」という語句は、CARに特異的に結合し得る任意の天然分子もしくは合成分子(例えば、小分子、タンパク質、ペプチド、脂質、糖質、核酸)またはその一部もしくはフラグメントを意味する。「細胞内シグナル伝達ドメイン」は、細胞における生物学的プロセスの活性化または抑制(例えば、免疫細胞(T細胞またはNK細胞)の活性化)を生じさせるシグナルを伝達するように機能することが知られる任意のオリゴペプチドドメインまたはポリペプチドドメインを意味する。例としては、ILR鎖、CD28、及び/またはCD3ζが挙げられる。
キメラ抗原受容体(CAR)は、遺伝子操作された人工的な膜貫通型受容体であり、この膜貫通型受容体は、リガンドに対する任意の特異性を免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、ナチュラルキラー細胞、または他の免疫細胞)に付与し、その結果、当該リガンドを認識し、それに結合すると当該エフェクター細胞を活性化する。こうした受容体は、典型的には、モノクローナル抗体の抗原特異性を免疫細胞(例えば、T細胞)に付与し、それによって所望の標的集団を当該免疫細胞の標的とするために使用される。
典型的には、CARは、1)シグナルペプチド、リガンド認識領域または抗原認識領域(例えば、scFv)、及び可動性スペーサーを典型的には含む外部ドメイン、2)膜貫通型(TM)ドメイン、3)1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインを典型的には含む内部ドメイン(あるいは「活性化ドメイン」としても知られる)、という3つのドメインを含む。CARの外部ドメインは、細胞の外側に存在し、細胞外空間に露出しており、それによって、外部ドメインは、その関連リガンドと接近して相互作用することが可能である。TMドメインは、エフェクター細胞の細胞膜へのCARの固定化を可能にする。第3の内部ドメイン(「活性化ドメイン」としても知られる)は、CARがその特定のリガンドに結合した際にエフェクター細胞が活性化することを支援する。エフェクター細胞の型に応じて、エフェクター細胞の活性化は、サイトカイン産生及びケモカイン産生の誘導、ならびに細胞の細胞溶解活性の活性化を含み得る。
したがって、本開示のLNP及び方法は、がん細胞の免疫認識及び排除を増進するための手段を提供する。一態様では、本開示のLNPは、腫瘍細胞へと細胞傷害性を再指向化するCARをコードするmRNAを発現するように免疫エフェクター細胞を遺伝子操作する上で有用である。CARは、特定の標的リガンドまたは標的抗原に結合するリガンド特異的または抗原特異的な認識ドメイン(結合ドメインとも称される)を含む。結合ドメインは、典型的には、一本鎖抗体可変フラグメント(scFv)、テザー付きリガンド、または共受容体の細胞外ドメインが膜貫通型ドメインに融合しており、この膜貫通型ドメインが、次に、シグナル伝達ドメイン(典型的には、CD3ζまたはFcRyに由来するシグナル伝達ドメイン)ならびに必要に応じてタンパク質(CD28、CD137(4−1BBとしても知られる)、CD134(OX40としても知られる)、及びCD278(ICOSとしても知られる)など)に由来する1つ以上の共刺激ドメインに連結されたものである。CARの抗原結合ドメインが標的細胞の表面上のその標的抗原に結合すると、CARがクラスター化し、活性化刺激がCAR含有細胞に送達される。CARの主要な特徴は、免疫エフェクター細胞の特異性を再指向化し、それによって、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)非依存的な様式で標的抗原発現細胞の細胞死を媒介し得る分子の増殖、サイトカイン産生、食作用、または産生を引き起こすことで、モノクローナル抗体、可溶性リガンド、または細胞特異的共受容体の細胞特異的標的化能力を利用する能力をCARが有することである。典型的には、CARは、結合ドメイン、ヒンジ、膜貫通部、ならびにCD3ζまたはFcRyに由来するシグナル伝達ドメインが1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメイン(例えば、CD28、CD137、CD134、及びCD278に由来する細胞内共刺激ドメイン)と一緒になったものを含む。CARは、CARを発現するT細胞のサイトカイン分泌、溶解活性、生存、及び増殖を向上させることに加えて、抗腫瘍活性をより効率的に誘導することが、in vitro、動物モデル、及びがん患者において示されている(例えば、Milone et al.,Molecular Therapy,2009;17:1453−1464、Zhong et al.,Molecular Therapy,2010;18:413−420、Carpenito et al.,PNAS,2009,106:3360−3365、及びChang and Chen(2017)Trends Mol Med 23(5):430−450を参照のこと)。
いくつかの態様では、CARをコードするmRNAを発現する本開示のLNPは、疾患または病状を有する患者から得られたT細胞をex vivoまたはin vivoのいずれかで修飾するために使用される。一態様では、T細胞は、少なくとも1つのエフェクター機能(例えば、サイトカインまたはサイトカインの誘導)を調節するタンパク質をコードするmRNAを発現するように修飾される。T細胞は、細胞傷害性T細胞またはヘルパーT細胞であり得る。
T細胞がその関連抗原に長期間曝露されると、エフェクター機能の疲弊を招き、感染細胞またはがん化細胞の残留を許す結果となり得る。T細胞の疲弊が、CAR T細胞による抗腫瘍活性を長期的に維持する上でも著しく障害になり得ることを示唆する証拠が得られてきている。さらに、患者から収集されたT細胞にCARを形質導入する前の当該T細胞の分化状態、ならびにCAR T細胞を再導入する前に患者が受けるコンディショニングレジメン(例えば、アルキル化剤、フルダラビン、全身照射の適用または適用除外)もまた、CAR T細胞の維持及び細胞傷害性潜在力に大いに影響を与え得る。T細胞集団の刺激(抗CD3/CD28または刺激細胞を介するもの)及び増殖(サイトカイン(IL−2など)を介するもの)を行うin vitroの培養条件によっても、CAR T細胞の分化状態及びエフェクター機能は変化し得る(Ghoneim et al.,(2016)Trends in Molecular Medicine 22(12):1000−1011)。
したがって、本開示のLNP及び方法は、治療的CAR T細胞の生成に対する新たな手法を提供する。治療的CAR−T細胞を調製する現存の方法は、養子細胞移入に向けて十分な数の修飾細胞を得るためにin vitroでの大々的な細胞培養を必要とすることが多く、こうして細胞培養を行っている間に、T細胞の元の同一性または分化状態が変化し得、T細胞機能が損なわれている可能性がある。さらに、疾患の進行を阻止するために患者が治療の必要に迫られている場合、十分な量のCAR T細胞を得るために時間を要することで患者を治療する機会を逃し、その結果、治療は失敗し、患者は死亡し得る。本開示のLNP及び方法では、CARをコードするmRNAをin vivoでT細胞に送達する方法を提供することによってこうしたハードルが回避される。さらに、現在のCAR−T細胞療法レジメンでは事前にリンパ球を枯渇させることが必要であるが、これをしてしまうと、患者の健康が損なわれ、CAR−Tの効力を改善し得る育成環境が破壊される。いくつかの態様では、本開示のLNP及び方法は、養子移入されたCAR−T細胞の刺激に有用であり、その結果、養子移入されたCAR−T細胞は生着して残り、活性に増殖し、in vivoで増殖し得る。例えば、一実施形態では、リンパ球の増殖及び/または生存を促進する核酸分子(例えば、サイトカイン)を免疫細胞に送達してそのような増殖を促すことができる。
ある特定の実施形態では、本開示は、血液癌を治療するためのCAR−Tを提供し、こうした血液癌には、限定されないが、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL、例えば、B−ALL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、及び多発性骨髄腫が含まれる。いくつかの実施形態では、LNPと結合/によってカプセル化されるmRNAによってコードされるCARの構造は、N末端からC末端の順に、scFvドメイン、ヒンジ及び膜貫通型ドメイン(H/TM)、共刺激(CS)ドメイン、ならびにTCRシグナル伝達ドメインを含む。
ある特定の実施形態、具体的にはAMLの治療のための実施形態では、適切なCARは、CD33またはCD123を標的とする。例としては、限定されないが、下記の構造のうちの1つを含むCARが挙げられる:(i)抗CD33 scFv、CD8 H/TMドメイン、4−1BB CSドメイン、及びCD3ζ TCRシグナル伝達ドメイン、(ii)抗CD33 scFv、CD28 H/TMドメイン、CD28 CSドメイン、及びCD3ζ TCRシグナル伝達ドメイン、ならびに(iii)抗CD123 scFv、CD8 H/TMドメイン、4−1BB CSドメイン、及びCD3ζ TCRシグナル伝達ドメイン。本開示のCAR−T細胞は、当該技術分野で報告されているものでCD33またはCD123を標的とする他の調製物と組み合わせて使用することができ、こうした調製物には、限定されないが、ゲムツズマブオゾガマイシン、リンツズマブ、バダスツキシマブタリリン、及び2H12(Seattle Genetics)が含まれる。
ある特定の実施形態、具体的にはALL及び/またはNHLの治療のための実施形態では、適切なCARは、CD19またはCD20を標的とする。例としては、限定されないが、下記の構造のうちの1つを含むCARが挙げられる:(i)抗CD19 scFv、CD8 H/TMドメイン、4−1BB CSドメイン、及びCD3ζ TCRシグナル伝達ドメイン、(ii)抗CD19 scFv、CD28 H/TMドメイン、CD28 CSドメイン、及びCD3ζ TCRシグナル伝達ドメイン、ならびに(iii)抗CD20 scFv、IgG H/TMドメイン、CD28/4−1BB CSドメイン、及びCD3ζ TCRシグナル伝達ドメイン。本開示のCAR−T細胞は、当該技術分野で報告されているものでCD19またはCD20を標的とする他の調製物と組み合わせて使用することができ、こうした調製物には、限定されないが、Kymriah(商標)(チサゲンレクルユーセル;Novartis;formerlyCTL019)、Yescarta(商標)(アキシカブタゲンシロロイセル;Kite Pharma)、及びリツキシマブが挙げられる。
ある特定の実施形態、具体的には多発性骨髄腫の治療のための実施形態では、適切なCARは、BCMAを標的とする。例としては、限定されないが、抗BCMA scFv、CD8 H/TMドメイン、4−1BB CSドメイン、及びCD3ζ TCRシグナル伝達ドメインという構造を含むCARが挙げられる。本開示のCAR−T細胞は、当該技術分野で報告されているものでBCMAを標的とする他の調製物と組み合わせて使用することができ、こうした調製物には、限定されないが、Smith et al.(2017)American Society of Hematology Abstract No.742に記載のBCMA標的化CAR−T調製物(MCARH171と称される)、及びHarrington et al.(2017)American Society of Hematology Abstract No.1813に記載のBCMA標的化CAR−T調製物(JCARH125と称される)が含まれる。
いくつかの実施形態では、本開示のLNP及び方法は、ユニバーサルなモジュラー式の抗タグキメラ抗原受容体(UniCAR)を移植した免疫細胞を複数の抗原に対して再標的化することを可能にするUniCARをコードするmRNAを発現するようにエフェクター細胞(例えば、T細胞)を修飾する上で有用である(例えば、米国特許公開公報US20170240612A1(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)、Cartellieri et al.,(2016)Blood Cancer Journal 6,e458(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。
いくつかの実施形態では、本開示のLNP及び方法は、切替可能なキメラ抗原受容体及びキメラ抗原受容体エフェクター細胞(CAR−EC)スイッチをコードするmRNAを発現するようにエフェクター細胞(例えば、T細胞)を修飾する上で有用である。この系では、CAR−ECスイッチは、CAR−EC上のキメラ抗原受容体が結合する第1の領域と、標的細胞上の細胞表面分子に結合する第2の領域と、を有しており、それによって、結合した標的細胞に対して細胞傷害性の免疫応答がCAR−ECから生じるように刺激する。いくつかの実施形態では、CAR−ECは、T細胞であり、CAR−ECスイッチは、CAR−EC活性の「オン・スイッチ」として働き得る。活性は、スイッチの投与を減らすか、または中止することによって「オフ」になり得る。こうしたCAR−ECスイッチは、現存するCAR T細胞に加えて、本明細書に開示のCAR−ECと共に、疾患または病状(がんなど)の治療に使用することができ、標的細胞は、悪性細胞である。そのような治療は、本明細書では切替可能な免疫療法(米国特許公開公報US9624276B2(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる))と称され得る。
いくつかの実施形態では、本開示のLNP及び方法は、ヒト免疫グロブリンのFc部分に結合する受容体(例えば、CD16V−BB−ζ)をコードするmRNAを発現するようにエフェクター細胞(例えば、T細胞)を修飾する上で有用である(Kudo et al.,(2014)Cancer Res 74(1):93−103(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる))。
いくつかの実施形態では、本開示のLNP及び方法は、ペプチドネオエピトープ(PNE)に結合するユニバーサル免疫受容体(例えば、切替可能なCAR(sCAR))をコードするmRNAを発現するようにエフェクター細胞(例えば、T細胞)を修飾する上で有用である。いくつかの実施形態では、ペプチドネオエピトープ(PNE)は、抗原を標的とする抗体(抗体スイッチ)内の異なる規定位置に組み込まれている。sCAR−T細胞の特異性は、ヒトプロテオームには生じないPNEに対して再指向化されており、それ故に、sCAR−T細胞と抗体スイッチとの間での独立した相互作用が可能となる。このようにして、sCAR−T細胞は、抗体スイッチの存在に厳密に依存して完全に活性化され、これによって、抗体スイッチの非存在下では内在性の組織または抗原をCAR T細胞がオフターゲット認識することがなくなる(Arcangeli et al.,(2016)Transl Cancer Res 5(Suppl 2):S174−S177(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる))。切替可能なCARの他の例は、米国特許出願US20160272718A1(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)によって提供されている。
脂質ベースの組成物の使用
本開示は、免疫細胞への核酸の送達増進をもたらす脂質ベースの改良型組成物、具体的にはLNP組成物を提供する。本開示は、LNPの構成成分が免疫細胞(リンパ球系細胞及び骨髄系細胞など)(例えば、T細胞、B細胞、単球、及び樹状細胞)へのカプセル化核酸分子(例えば、mRNA)の送達を増進する免疫細胞送達増強脂質として働くという発見に少なくとも部分的には基づく。
本開示の脂質ベースの改良型組成物、具体的にはLNPは、in vitroでもin vivoでも様々な目的に有用であり、こうした目的は、免疫細胞への核酸の送達、免疫細胞中または免疫細胞上でのタンパク質発現、免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、単球、及び/または樹状細胞)の活性化または活性の調節、目的タンパク質(例えば、感染性疾患またはがんの抗原)に対する免疫応答の亢進(例えば、ワクチン接種目的または治療目的)、ならびに自己免疫の低減(例えば、T細胞の免疫寛容化)のための免疫細胞応答低減などである。
in vitroでのタンパク質発現については、免疫細胞は、LNPと免疫細胞とをex vivoでインキュベートすることによってLNPと接触する。その後、そのような免疫細胞は、in vivoに導入され得る。
in vivoでのタンパク質発現については、免疫細胞は、LNPを対象に投与することによってLNPと接触し、それによって対象内の免疫細胞中または免疫細胞上のタンパク質発現が増加または誘導される。例えば、一実施形態では、LNPは、静脈内投与される。別の実施形態では、LNPは、筋肉内投与される。さらに他の実施形態では、LNPは、皮下、節内、及び腫瘍内からなる群から選択される経路によって投与される。
in vitroでの送達については、一実施形態では、免疫細胞は、LNPと免疫細胞とをex vivoでインキュベートすることによってLNPと接触する。一実施形態では、免疫細胞は、ヒトの免疫細胞である。別の実施形態では、免疫細胞は、霊長類の免疫細胞である。別の実施形態では、免疫細胞は、ヒトまたは非ヒト霊長類の免疫細胞である。LNPによって様々な型の免疫細胞へのトランスフェクションが可能であることが実証されている(例えば、実施例3、実施例5、実施例6、実施例9、及び実施例10を参照のこと)。一実施形態では、免疫細胞は、T細胞(例えば、CD3+T細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞、またはCD4+CD25+CD127lowTreg細胞)である。一実施形態では、免疫細胞は、B細胞(例えば、CD19+B細胞)である。一実施形態では、免疫細胞は、樹状細胞(例えば、CD11c+CD11b−樹状細胞)である。一実施形態では、免疫細胞は、単球/マクロファージ(例えば、aCD11c−CD11b+単球/マクロファージ)である。一実施形態では、免疫細胞は、未熟NK細胞(例えば、CD56HIGH未熟NK細胞)である。一実施形態では、免疫細胞は、活性化NK細胞(例えば、CD56DIM活性化NK細胞)である。一実施形態では、免疫細胞は、NK T細胞(例えば、CD3+CD56+NK T細胞)である。一実施形態では、免疫細胞は、AML白血病細胞(例えば、CD33+AML細胞)である。一実施形態では、免疫細胞は、骨髄形質細胞(例えば、CD45+CD38+CD138+CD19+CD20−骨髄形質細胞)である。
一実施形態では、免疫細胞は、血清またはC1qの存在下で少なくとも15分間、LNPと接触し、この接触時間は、ex vivoで細胞へのトランスフェクションを行う上で十分な時間であることが示されている(実施例13を参照のこと)。別の実施形態では、免疫細胞とLNPとの接触時間は、例えば、少なくとも30分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、または少なくとも24時間である。
一実施形態では、処理/トランスフェクションを1回行うために免疫細胞とLNPと接触が行われる。別の実施形態では、処理/トランスフェクションを複数回行うために(例えば、同じ細胞に対する処理/トランスフェクションを2回、3回、4回、または5回以上行うために)免疫細胞とLNPと接触が行われる。同じ細胞へのトランスフェクションを繰り返すことで、トランスフェクションされる細胞のパーセントと、トランスフェクションされた核酸によってコードされるタンパク質の発現レベルと、が細胞生存率に影響を与えることなく用量と関連して増加することが実証されている(実施例12を参照のこと)。
別の実施形態では、in vivoでの送達については、免疫細胞は、LNPを対象に投与することによってLNPと接触し、それによって対象内の免疫細胞に核酸が送達される。例えば、一実施形態では、LNPは、静脈内投与される。別の実施形態では、LNPは、筋肉内投与される。さらに他の実施形態では、LNPは、皮下、節内、及び腫瘍内からなる群から選択される経路によって投与される。
一実施形態では、免疫細胞における核酸分子の細胞内濃度が増進する。一実施形態では、免疫細胞における核酸分子の活性が増進する。一実施形態では、免疫細胞における核酸分子の発現が増進する。一実施形態では、核酸分子によって免疫細胞の活性化または活性が調節される。一実施形態では、核酸分子によって免疫細胞の活性化または活性が増加する。一実施形態では、核酸分子によって免疫細胞の活性化または活性が低減される。
ある特定の実施形態では、免疫細胞送達増強脂質含有LNPによって免疫細胞に核酸が送達されると、検出可能な量の免疫細胞への送達(例えば、ある特定パーセントの免疫細胞への送達)が生じ、この送達は、例えば、対象への投与後にin vivoで生じる。いくつかの実施形態では、免疫細胞送達増強脂質含有LNPは、免疫細胞に対する標的化部分を含まない(例えば、免疫細胞マーカーに対する特異性を有する抗体を含まないか、または免疫細胞へとLNPを標的化する受容体リガンドを含まない)。例えば、一実施形態では、免疫細胞送達増強脂質含有LNPを投与すると、単回の静脈内注射後に脾臓T細胞の少なくとも約15%に核酸がin vivoで送達される(この送達は、例えば、マウスモデル(実施例15に記載のものなど)または非ヒト霊長類モデル(実施例8に記載のものなど)において生じる)。別の実施形態では、免疫細胞送達増強脂質含有LNPを投与すると、単回の静脈内注射後に脾臓B細胞の少なくとも約15%〜25%に核酸がin vivoで送達される(この送達は、例えば、マウスモデル(実施例15に記載のものなど)または非ヒト霊長類モデル(実施例8に記載のものなど)において生じる)。別の実施形態では、免疫細胞送達増強脂質含有LNPを投与すると、単回の静脈内注射後に脾臓樹状細胞の少なくとも約35%〜40%に核酸がin vivoで送達される(この送達は、例えば、マウスモデル(実施例15に記載のものなど)または非ヒト霊長類モデル(実施例8に記載のものなど)において生じる)。別の実施形態では、免疫細胞送達増強脂質含有LNPを投与すると、単回の静脈内注射後に骨髄細胞(大腿骨及び/または上腕骨)の少なくとも約5%〜20%に核酸がin vivoで送達される(この送達は、例えば、マウスモデル(実施例15に記載のものなど)または非ヒト霊長類モデル(実施例8に記載のものなど)において生じる)。本明細書に示される送達レベルは、in vivoでの免疫療法を可能にするものである。
一実施形態では、免疫細胞による核酸分子の取り込みが増進する。取り込みは、当業者に知られる方法によって決定され得る。例えば、会合/結合及び/または取り込み/内部移行は、検出可能なように標識(蛍光標識など)されたLNPを使用し、様々な時間インキュベートした後、免疫細胞中または免疫細胞上のそのようなLNPの位置を追跡して評価され得る。さらに、数学モデル(Radu Mihaila,et al.,(Molecular Therapy:Nucleic Acids,Vol.7:246−255,2017(当該文献は、参照によって本明細書に組み込まれる))によって報告された常微分方程式(ODE)ベースのモデルなど)によって送達及び取り込みを定量化することが可能である。
別の実施形態では、核酸分子の送達の指標として核酸分子の機能または活性が使用され得る。例えば、siRNAの場合、ある特定の免疫細胞集団におけるタンパク質発現の減少を測定することで、その細胞集団にsiRNAが送達されたことが示され得る。同様に、mRNAの場合、ある特定の免疫細胞集団におけるタンパク質発現の増加を測定することで、その細胞集団にsiRNAが送達されたことが示され得る。免疫細胞への他の核酸分子の送達を測定する様々な方法を当業者なら認識するであろう。
ある特定の実施形態では、免疫細胞に送達される核酸は、目的タンパク質をコードする。したがって、一実施形態では、核酸分子によってコードされる目的タンパク質の活性が、免疫細胞において増進する。一実施形態では、核酸分子によってコードされるタンパク質の発現が、免疫細胞において増進する。一実施形態では、タンパク質によって免疫細胞の活性化または活性が調節される。一実施形態では、タンパク質によって免疫細胞の活性化または活性が増加する。一実施形態では、タンパク質によって免疫細胞の活性化または活性が低減される。
一実施形態では、細胞(例えば、T細胞、B細胞、単球、または樹状細胞)を標識してその特定の免疫細胞集団への送達を測定するために様々な薬剤が使用され得る。例えば、LNPによってレポーター核酸(例えば、検出可能なレポータータンパク質をコードするmRNA)をカプセル化することができ、レポーター核酸が発現すると、レポーター核酸が送達されている細胞集団が標識される。検出可能なレポータータンパク質の例としては、限定されないが、高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)及びルシフェラーゼが挙げられる。
免疫細胞送達増強脂質含有LNPによる免疫細胞への核酸の送達は、in vitroまたはin vivoで測定することができ、この測定は、例えば、LNPと結合/によってカプセル化された核酸によってコードされるタンパク質の発現を検出するか、またはLNPと結合/によってカプセル化された核酸によって媒介される作用(例えば、生物学的作用)を検出することによって行われる。タンパク質の検出については、タンパク質は、例えば、検出可能な細胞表面タンパク質であり得、こうした細胞表面タンパク質は、例えば、当該細胞表面タンパク質に特異的に結合する抗体を使用する免疫蛍光法またはフローサイトメトリーによって検出可能である。あるいは、検出可能なレポータータンパク質をコードするレポーター核酸を使用することができ、レポータータンパク質の発現は、当該技術分野で知られる標準的な方法によって測定され得る。
本開示の方法は、正常な免疫細胞及び悪性の免疫細胞を含めて、様々な免疫細胞型に核酸分子を送達する上で有用である。一実施形態では、免疫細胞は、T細胞、樹状細胞、単球、及びB細胞からなる群から選択される。
方法は、免疫細胞に核酸を送達するために使用することができ、送達対象の免疫細胞は、例えば、脾臓、末梢血、及び/または骨髄に位置する。一実施形態では、免疫細胞は、免疫前駆細胞である。一実施形態では、免疫細胞は、T細胞である。T細胞は、当該技術分野で知られるT細胞マーカー(典型的にはCD3)の1つ以上の発現によって同定され得る。追加のT細胞マーカーには、CD4またはCD8が含まれる。一実施形態では、免疫細胞は、B細胞である。B細胞は、当該技術分野で知られるB細胞マーカー(典型的にはCD19)の1つ以上の発現によって同定され得る。追加のB細胞マーカーには、CD24及びCD72が含まれる。一実施形態では、免疫細胞は、単球及び/または組織マクロファージである。単球及び/またはマクロファージは、当該技術分野で知られる単球及び/またはマクロファージマーカー(CD2、CD11b、CD14、及び/またはCD16など)の1つ以上の発現によって同定され得る。一実施形態では、免疫細胞は、樹状細胞である。樹状細胞は、当該技術分野で知られる樹状細胞マーカー(典型的にはCD11c)の1つ以上の発現によって同定され得る。追加の樹状細胞マーカーには、BDCA−1及び/またはCD103が含まれる。
本開示の方法は、骨髄内の免疫細胞を含む骨髄細胞(例えば、in vivoのもの)、ならびに他の骨髄細胞(造血幹細胞、免疫細胞前駆体、及び線維芽細胞など)に核酸分子を送達する上で有用である。一実施形態では、免疫細胞は、骨髄形質細胞である。一実施形態では、免疫細胞は、骨髄単球である。一実施形態では、細胞は、骨髄初期前駆細胞(例えば、前赤芽球、単芽球/骨髄芽球、及び/または間葉系幹細胞)である。
一実施形態では、免疫細胞は、悪性細胞、がん細胞であり、こうした細胞であることは、例えば、G1期の進行の制御が解除されていることによって示される。一実施形態では、免疫細胞は、悪性T細胞、がん性T細胞、またはG1期の進行の制御が解除されているT細胞である。一実施形態では、免疫細胞は、白血病細胞またはリンパ腫細胞である。一実施形態では、免疫細胞は、急性骨髄性白血病(AML)細胞である。他の実施形態では、免疫細胞は、悪性B細胞であり、例えば、ホジキンリンパ腫細胞、非ホジキンリンパ腫細胞、未分化大細胞リンパ腫細胞、前駆T細胞リンパ芽球性リンパ腫、濾胞性リンパ腫細胞、小リンパ球性リンパ腫細胞、辺縁帯リンパ腫細胞、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫細胞、マントル細胞リンパ腫細胞、バーキットリンパ腫細胞、急性リンパ芽球性白血病細胞、または慢性リンパ球性白血病細胞である。
本開示のLNPを含めて、脂質ベースの改良型組成物は、1つ以上の核酸分子を免疫細胞または異なる免疫細胞集団に送達する上で有用であり、この送達は、例えば、2つ以上の異なるLNPを投与することによって行われる。一実施形態では、本開示の方法は、免疫細胞と第1のLNP及び第2のLNPとを同時もしくは連続的に接触させること(または第1のLNP及び第2のLNPを同時もしくは連続的に対象に投与すること)を含み、第1のLNP及び第2のLNPには、同じまたは異なる核酸分子がカプセル化され、第1のLNP及び第2のLNPは、構成成分としてフィトステロールを含む。他の実施形態では、本開示の方法は、免疫細胞と第1のLNP及び第2のLNPとを同時もしくは連続的に接触させること(または第1のLNP及び第2のLNPを同時もしくは連続的に対象に投与すること)を含み、第1のLNP及び第2のLNPには、同じまたは異なる核酸分子がカプセル化され、第1のLNPは、構成成分としてフィトステロールを含み、第2のLNPは、フィトステロールを含まない。
骨髄系細胞
樹状細胞及び/または骨髄系細胞の活性の下方調節
免疫応答を抑制するための方法の一実施形態では、本開示の脂質ベースの組成物(LNPを含む)と結合/によってカプセル化される核酸は、免疫応答が抑制されるように樹状細胞または骨髄系細胞の活性を調節する(例えば、上方制御するか、または下方制御する)核酸である。核酸は、それ自体が樹状細胞または骨髄系細胞の活性を調節するもの(例えば、siRNA、mIR、及び/またはアンタゴmirなど)であり得るか、あるいは樹状細胞または骨髄系細胞の活性を調節するタンパク質をコードするもの(例えば、mRNA)であり得る。樹状細胞もしくは骨髄系細胞への核酸の標的化は、免疫応答の抑制を引き起こす作用を直接的にもたらし得るか、または代替的に、樹状細胞もしくは骨髄系細胞への核酸の標的化は、1つ以上の他の細胞型(複数可)(例えば、T細胞、B細胞)の活性を調節することによってその後に免疫応答の抑制を引き起こす作用をもたらし得る。例えば、いくつかの態様では、樹状細胞または骨髄系細胞への核酸の標的化は、制御性T細胞の活性を調節する作用、または他の免疫細胞を調節する応答(例えば、サイトカイン産生)を刺激する作用、を引き起こし、その結果、免疫応答が抑制される。
一実施形態では、核酸は、天然起源の分子をコードするか、または天然起源の分子の活性を調節する(例えば、上方制御するか、もしくは下方制御する)。一実施形態では、天然起源の分子は、細胞内分子(転写因子または細胞シグナル伝達カスケード分子など)である。別の実施形態では、天然起源の分子は、分泌分子(サイトカインまたはケモカインなど)である。別の実施形態では、天然起源の分子は、膜貫通型分子(表面受容体、ホーミング分子、シグナル伝達分子、または免疫調節分子(例えば、HLA分子)など)である。
一実施形態では、核酸は、修飾された(すなわち、非天然起源の)分子をコードする。修飾タンパク質の例としては、限定されないが、半減期が改変(例えば、長時間化または短時間化)されたタンパク質、及び自体が細胞表面に繋留されるように修飾されたタンパク質(例えば、可溶性タンパク質に膜貫通型ドメインが付加され、その結果、修飾タンパク質となることで、可溶性タンパク質が細胞表面に繋留される)が挙げられる。
別の実施形態では、核酸は、修飾された(すなわち、非天然起源の)膜貫通型タンパク質または細胞内タンパク質をコードする。修飾された膜貫通型タンパク質の例としては、限定されないが、キメラ受容体、ドミナントネガティブな受容体、及び構成的に活性な変異受容体が挙げられる。修飾された細胞内タンパク質の例としては、限定されないが、シグナル伝達カスケードに関与する変異/改変酵素(例えば、キナーゼ、ホスファターゼ、ジオキシゲナーゼ、及び同様のもの)(免疫シナプスにおけるシグナル伝達を改変し得る(例えば、反転させ得る)分子(例えば、T細胞受容体(TCR)またはB細胞受容体(BCR)を介してシグナル伝達をアゴナイズまたはアンタゴナイズし得る分子)を含む)、ならびにアポトーシスを調節(例えば、誘導)し得る分子、が挙げられる。
樹状細胞及び/または骨髄系細胞の活性を調節し、それによって免疫応答を抑制するための特定の手法の非限定的な例は、以下にさらに詳述される。
免疫寛容原性樹状細胞の誘導
免疫応答を抑制するための方法の一実施形態では、本開示の脂質ベースの組成物(LNPを含む)と結合/によってカプセル化される核酸は、免疫応答が抑制されるように免疫寛容原性樹状細胞(tolDC)の誘導を刺激する(例えば、促進する、増進する、上方制御する)核酸(例えば、tolDCの誘導を刺激するタンパク質をコードする核酸)である。樹状細胞(DC)は、T細胞性免疫応答及びB細胞性免疫応答の重要な制御因子であると共に、免疫寛容を誘導する能力も有する。免疫寛容原性となるようにDCをプログラムする細胞内ネットワークがいくつか同定されている。例えば、未熟DCに適用される免疫寛容原性シグナル(TGFβ、IL−10、またはPGEなど)は、制御性DCの発生を刺激し、この場合、シグナル伝達経路(例えば、IL−10、TGFβ、IDO、PD−1、及び/またはARGによって媒介されるもの)は、制御性T(Treg)細胞及び/またはI型制御性T(Tr1)細胞の産生を刺激すると共に、通常のCD4+T細胞及び/またはCD8+T細胞の増殖を抑制し得る免疫寛容原性DCを誘導し得る。具体的には、重複するシグナル伝達ネットワークノードを利用してtolDCが誘導され得る。免疫寛容原性DCを誘導し、それによって免疫応答を抑制するための特定の手法の非限定的な例は、以下にさらに詳述される。
(i)NFkBの阻害
エフェクターT細胞の活性化及び分化を媒介し、炎症誘発性サイトカインを産生する細胞へとDCが成熟することは、転写因子であるNFkBによって制御されることとして当該技術分野では確立されている。したがって、NFkB活性を抑制することは、DC免疫寛容原性を誘導し、自己免疫疾患における免疫応答を抑制するための手法として当該技術分野で報告されている。例えば、NFkB誘導キナーゼ(NIK)の阻害は、実験的ループスの治療に有効であることが示されている(Brightbill et al.(2018)Nature Commun.9:179)。さらに、DEN−181(NFkB阻害剤を含む脂質ナノ粒子ベースの免疫療法剤)は、関節リウマチ向けの第I相試験の段階にある。
したがって、一実施形態では、本開示のLNPは、NFkB活性を直接的または間接的に抑制することによって免疫寛容原性DCを誘導する核酸を提供する。樹状細胞におけるNFkB活性を妨害するための標的となり得る経路の例としては、限定されないが、PPARgが介在する経路、STAT3が介在する経路、GILZが介在する経路、GRが介在する経路、SHP1/2が介在する経路、HO1が介在する経路、A20が介在する経路、SOCS1が介在する経路、SOCS2が介在する経路、AMPKが介在する経路、及びAhRが介在する経路が挙げられる。したがって、本開示のいくつかの態様では、tolDCを誘導するために、NFkBの活性化を抑制する免疫寛容原性核酸(例えば、mRNA)が使用される。NFkBの活性を抑制する免疫寛容原性mRNAの例としては、限定されないが、SOCS1をコードするmRNA、SOCS2をコードするmRNA、AMPKa1をコードするmRNA、AMPKa2をコードするmRNA、CAMKK2をコードするmRNA、LKB1をコードするmRNA、FOXO3をコードするmRNA、PPARgをコードするmRNA、HMOX1をコードするmRNA、GILZをコードするmRNA、及びSTAT3をコードするmRNAが挙げられる。
(ii)アミノ酸代謝の調節
別の実施形態では、本開示のLNPは、アミノ酸代謝を調節することによって免疫寛容原性DCを誘導する核酸を提供する。免疫系進化の過程を経ることで、アルギニン及びトリプトファンという2つの一次性アミノ酸代謝制御ノードが選択された。アルギニンを代謝する制御酵素は、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)、アルギナーゼ−1(Arg1)、及びアルギナーゼ−2(Arg2)であり、トリプトファンを代謝する制御酵素は、インドールアミン2,3−ジオキシゲナーゼ(IDO1及びIDO2)ならびにトリプトファン−2,3−ジオキシゲナーゼ(TDO)である。
トリプトファンは、IDO及びTDOによって異化されることで免疫抑制性キヌレニン(KYN)となり、KYNは、Treg誘導を刺激する。Treg細胞におけるKYNの主要標的は、アリール炭化水素受容体(AhR)であり、AhRは、炎症の抑制(Crunkhorn(2018)Nature Rev.Drug.Disc.17:470)を含めて、免疫応答の制御に関与するリガンド活性化転写因子である(例えば、Stockinger et al.(2014)Ann.Rev.Immunol.32:403−432、Gutierrez−Vazquez et al.(2015)Immunity 48:19−33を参照のこと)。したがって、いくつかの態様では、本開示は、トリプトファン代謝を調節し、それによってtolDCを誘導する核酸(例えば、mRNA)を提供する。例としては、限定されないが、IDO1、IDO2、TDO、またはAhRを刺激またはコードする核酸が挙げられる。
アルギニン代謝は、樹状細胞が免疫寛容を誘導する能力においても役割を担う。iNOS及びアルギナーゼの阻害剤を使用して樹状細胞におけるアルギニン代謝を下方制御すると、外来性抗原に対する免疫寛容が誘導されることが示されている(Simioni et al.(2017)Int.J.Immunopathol.Pharmacol.30:44−57)。したがって、いくつかの態様では、本開示は、アルギニン代謝を調節し、それによってtolDCを誘導する核酸(例えば、mRNA)を提供する。例としては、限定されないが、iNOS、Arg1、もしくはArg2を阻害する核酸(例えば、阻害剤)、またはiNOS、Arg1、もしくはArg2をコードする核酸が挙げられる。
(iii)Wnt/ベータカテニン経路の活性化
Wnt/ベータカテニン経路は、DC活性の制御において重要な役割を担う。Wntは、Frizzled(FZD)受容体に結合し、複数のシグナル伝達経路を活性化する分泌型の脂質修飾糖タンパク質である。ある特定のWnt(例えば、Wnt3a、Wnt5b、Wnt16)は、DCにおける古典的なベータカテニン/TCF経路を活性化する一方で、他のWnt(例えば、Wnt5a)は、非古典的なベータカテニン非依存的経路を活性化する。低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質5(LRP5)共受容体及び低密度LRP6共受容体は、古典的なWnt−シグナル伝達経路の重要なシグナル伝達メディエーターである。WntリガンドがFZD及びLRP5/6共受容体と相互作用すると、細胞質においてベータカテニンが活性化すると共にWntリガンドが核に転位し、そこでT細胞因子/リンパ系エンハンサー因子(TCF/LEF)ファミリーのメンバーと相互作用し、様々な標的遺伝子の転写を制御する。DC細胞におけるWnt/ベータカテニン経路シグナル伝達及びその作用の総説については、例えば、Swafford et al.(2015)Discov.Med.19:303−310、及びSuryawanshi et al(2016)Front.Immunol.7:460を参照のこと。
DCにおける古典的なベータカテニン経路がWnt介在性に活性化されると、DCが免疫寛容原性の表現型に偏り、免疫抑制(例えば、抗炎症)遺伝子の発現が誘導されることが示されている。例えば、Wnt3aは、DCにおける古典的なベータカテニンシグナル伝達を引き起こし、抗炎症性サイトカイン(TGF−ベータ及びVEGFなど)の産生を刺激することが示されている(Oderup et al.(2013)J.Immunol.190:6126−6134)。Wnt16bは、DCにおけるベータカテニンシグナル伝達介して制御性T細胞の分化を誘導することが示されている(Shen et al.2014)Int.J.Mol.Sci.15:12928−12939)。DCにおける古典的なWntシグナル伝達は、Th1/Th17応答を制御し、自己免疫性の神経炎症を抑制することも示されている(Suryawanshi et al.(2015)J.Immunol.194:3295−3304)。さらに、樹状細胞におけるベータカテニン経路の活性化は、腸における粘膜免疫寛容の重要な制御因子であることが示されている(Manicassamy et al.(2010)Science 329:849−853)。したがって、いくつかの態様では、本開示は、DCにおけるWnt介在性のベータカテニン経路を調節(例えば、活性化)し、それによってtolDCを誘導する核酸(例えば、mRNA)を提供する。例としては、限定されないが、Wnt3aをコードするmRNA、Wnt16bをコードするmRNA、構成的に活性なベータカテニンをコードするmRNA、構成的に活性なLRP5をコードするmRNA、及び構成的に活性なLRP6をコードするmRNAが挙げられる。
DCにおける非古典的なベータカテニン非依存的経路がWnt介在性に活性化されることでも、DCが免疫寛容原性の表現型に偏り、免疫抑制(例えば、抗炎症)遺伝子の発現が誘導されることが示されている。例えば、Wnt5aは、免疫寛容原性特徴を有する通常では見られない表現型へと樹状細胞の分化を偏らせることが示されている(Valencia et al.(2011)J.Immunol.187:4129−4139)。さらに、Wnt5aは、抗炎症性サイトカインであるIL−10の発現をDCにおいて誘導すると共に、炎症誘発性サイトカインであるIL−6の産生を抑制することが示されている(Oderup et al.(2013)J.Immunol.190:6126−6134)。したがって、いくつかの態様では、本開示は、DCにおけるWnt介在性の非古典的なベータカテニン非依存的経路を調節(例えば、活性化)し、それによってtolDCを誘導する核酸(例えば、mRNA)を提供する。例としては、限定されないが、Wnt5aをコードするmRNAが挙げられる。
さらに、DCにおけるベータカテニン経路がWnt非依存的に活性化されると、免疫寛容原性状態になるようにDCがプログラムされることが示されている。例えば、DCにおけるE−カドヘリン介在性の接着を乱すと、ベータカテニンシグナル伝達が活性化されることで、免疫寛容原性の表現型へとDCが偏ることが示されており、こうしたことには、抗炎症性サイトカインであるIL−10が高レベルで産生すること、実験的自己免疫性脳炎からマウスを保護する能力が得られること、が含まれる(Jiang et al.(2007)Immunity 27:610−624)。さらに、TLR2介在性のシグナル伝達は、DCにおいてベータカテニンを活性化することで、IL−10の産生及びTreg細胞分化の促進を引き起こすことが示されている(Manoharan et al.(2014)J.Immunol.193:4203−4213、Manicassamy et al.(2010)Science 329:849−853)。さらに、DCにおいてベータカテニンを活性化または制御し、適応免疫を制御するシグナル伝達経路は他にも示されており、こうしたシグナル伝達経路には、TLR3(Gantner et al.(2012)J.Immunol..189:3104−3111)、TLR9(Manoharan et al.(2014)J.Immunol.193:4203−4213)、FAS(Qian et al.(2013)J.Biol.Chem.288:27825−27835)、TGF−β(Vander Lugt et al.(2011)PLoS One 6(5):e20099)、及びPLC−γ2(Capietto et al.(2013)J.Exp.Med.210:2257−2271)が含まれる。したがって、いくつかの態様では、本開示は、DCにおけるWnt非依存的なベータカテニンシグナル伝達を調節(例えば、活性化)し、それによってtolDCを誘導する核酸(例えば、mRNA)を提供する。例としては、限定されないが、TLR2をコードするmRNA、TLR3をコードするmRNA、TLR9をコードするmRNA、FASをコードするmRNA、TGF−βをコードするmRNA、PLC−γ2をコードするmRNA、及びE−カドヘリンの阻害剤をコードするmRNAが挙げられる。
(iv)TGF−β/SMADシグナル伝達の活性化
トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF−β)は、DCにおける免疫寛容の誘導において中心的な役割を担うものとして当該技術分野で確立されている多面的なサイトカインである。TGF−βは、樹状細胞を含む免疫細胞の発生、分化、免疫寛容誘導、及び恒常性に影響を与えることによって免疫抑制因子として機能することが見出されている。樹状細胞におけるTGF−βの役割の総説については、例えば、Esebanmen et al.(2017)Immunol.Res.65:987−994、Sanjabi et al.(2017)Cold Spring Harbor Perspective Biol.9(6)、Seeger et al.(2015)Cytokine Growth Factor Rev.26:647−657、Sheng et al.(2015)Growth Factors 33:92−101を参照のこと。TGF−βは、DCによる抗原提示機能及び共刺激分子の発現を下方制御することがin vitroで示されている(Strobl及びKnapp(1999)Microbes Infect.1:1283−1290)。さらに、樹状細胞におけるTGF−βシグナル伝達は、自己免疫性脳炎の制御に必要な前提要因であることが示されている(Laouar et al.(2008)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 105:10865−10870)。TGF−βファミリーの受容体の主要なシグナル伝達因子は、SMAD(SMAD1、SMAD2、SMAD3、SMAD5、及びSMAD8/9を含む)である。したがって、いくつかの態様では、本開示は、TGF−β/SMADシグナル伝達を活性化し、それによってtolDCを誘導する核酸(例えば、mRNA)を提供する。例としては、限定されないが、構成的に活性なTGF−β(例えば、構成的に活性なTGF−β1)、TGF−β受容体、SMAD1、SMAD2、SMAD3、SMAD5、またはSMAD8/9をコードするmRNAが挙げられる。
(v)IL−10/STAT3シグナル伝達の活性化
サイトカインであるインターロイキン−10(IL−10)は、DC活性化の重要な負の制御因子として確立されている(総説については、例えば、Ma et al.(2015)F1000 Research 4:1465を参照のこと)。IL−10は、未熟樹状細胞に対する免疫寛容原性シグナルとして働くことで未熟樹状細胞が免疫寛容原性DCへと分化するように仕向ける。DCにおけるIL−10の作用は、転写因子であるSTAT3を介して媒介される(例えば、Melillo et al.(2010)J.Immunol.184:2638−2645を参照のこと)。したがって、いくつかの態様では、本開示は、IL−10/STAT3シグナル伝達を活性化し、それによってtolDCを誘導する核酸(例えば、mRNA)を提供する。例としては、限定されないが、IL−10またはSTAT3(例えば、構成的に活性なSTAT3)をコードするmRNAが挙げられる。
(vi)PD−L1の発現
樹状細胞は、PD−1のリガンドであるPD−L1を自体の表面上に発現することによってT細胞上のPD−1共抑制受容体を刺激してT細胞免疫寛容を誘導することが示されている(例えば、Probst et al.(2005)Nat.Immunol.6:280−286、Sage et al.(2018)J.Immunol.200:2592−2602を参照のこと)。したがって、いくつかの態様では、本開示は、PD−L1をコードするか、またはDC細胞表面上のPD−L1の発現もしくは活性を刺激し、それによってtolDCを誘導する核酸(例えば、mRNA)を提供する。
(vii)PPARγ活性の調節
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ(PPARγ)は、DCの免疫寛容原性作用の上方制御にも下方制御にも関与している核内受容体である。例えば、PPARγは、アレルギー性炎症及び好酸球の活性化を下方制御することが実証されている(Woerly et al.(2003)J.Exp.Med.198:411−421)。
さらに、他の研究では、樹状細胞においてPPARγが活性化すると、マウスの喘息モデルにおける好酸球性気道炎症の発症が抑制されることが示されている(Hammad et al.(2004)Am J.Pathol.164:263−271)。さらに最近では、樹状細胞におけるPPARγの発現は、2型免疫応答の発生において役割を担うことが示されており、このことは、ある特定の場合には樹状細胞においてPPARγが炎症誘発の役割を担うことを示している(Nobs et al.(2017)J.Exp.Med.214:3015−3035)。したがって、いくつかの態様では、本開示は、PPARγをコードするか、またはDCにおけるPPARγの発現もしくは活性を調節(例えば、上方制御もしくは下方制御)し、それによってtolDCを誘導する核酸(例えば、mRNA)を提供する。
(viii)AMPKの活性化
5’AMP活性化タンパク質キナーゼ(AMPK)は、グルコース活性化ならびに脂肪酸の取り込み及び酸化を含めて、細胞エネルギーの恒常性において役割を担う酵素である。AMPKが薬理学的に活性化されると、TLR誘導性のグルコース消費及び樹状細胞の活性化が抑制されることが示されていることに加えて、AMPKシグナル伝達を活性化する薬物を全身投与すると、いくつかの炎症性疾患モデルにおいて免疫寛容原性の免疫応答の誘導が進むことが示されている(このことは、Everts and Pearce(2014)Front.Immunol.5:203に概説されている)。したがって、いくつかの態様では、本開示は、AMPKをコードするか、またはDCにおけるAMPKの発現もしくは活性を活性化し、それによってtolDCを誘導する核酸(例えば、mRNA)を提供する。
樹状細胞及び骨髄系細胞によるTreg細胞の制御
免疫応答を抑制するための方法の一実施形態では、本開示の脂質ベースの組成物(LNPを含む)と結合/によってカプセル化される核酸は、免疫応答が抑制されるようにTreg細胞を制御する(Treg細胞を誘導し、増殖させ、及び/または維持などする)機能を有する核酸(例えば、Treg細胞を誘導し、増殖させ、及び/または維持するように機能するタンパク質をコードするmRNA)である。一実施形態では、Treg細胞を誘導し、増殖させ、及び/または維持するように機能する核酸は、樹状細胞及び/または骨髄系細胞において発現し、その結果、Treg細胞が誘導され、増殖し、及び/または維持される。一実施形態では、Treg細胞を誘導し、増殖させ、及び/または維持するように機能する核酸は、樹状細胞及び/または骨髄系細胞において発現するものであり、Treg誘導性サイトカインをコードする。
Treg細胞の誘導、増殖、及び/または維持に関与することが実証されているサイトカインは、当該技術分野で多く報告されている。例えば、Treg細胞は、IL−2受容体を豊富に発現するが、IL−2自体を発現する能力を有さない。したがって、Treg細胞は、他の細胞が産生するIL−2に依存している。したがって、一実施形態では、本開示は、IL−2をコードする核酸(例えば、IL−2をコードするmRNA)を提供し、この核酸は、樹状細胞及び/または骨髄系細胞によって発現し、それによってTreg細胞を誘導し、増殖させ、及び/または維持する。
IL−2に加えて、TGF−βもまた、IL−2と組み合わせた場合を含めて、Tregの誘導を促進することが実証されている(例えば、Lu et al.(2010)PLoS One 5:e15150、Chen et al.(2011)J.Immunol.186:6329−6337を参照のこと)。したがって、一実施形態では、本開示は、TFG−βをコードする核酸(例えば、mRNA)を、単独で提供するか、またはIL−2をコードする核酸(例えば、mRNA)と組み合わせて提供し、こうした核酸は、樹状細胞及び/または骨髄系細胞において発現し、それによってTreg細胞を誘導し、増殖させ、及び/または維持する。
抗炎症性サイトカインであるIL−10は、Treg細胞の産生を促進することが示されている(例えば、Heo et al.(2010)Immunol.Letters 127:150−156を参照のこと)。IL−10は、病原性Th17細胞応答を抑制する能力をTreg細胞に付与することも実証されている(Chaudhry et al.(2011)Immunity 34:566−578)。さらに、IL−10は、誘導性Treg細胞(iTreg)の分化を増強する(Hsu et al.(2015)J.Immunol.195:3665−3674)。したがって、一実施形態では、本開示は、IL−10をコードする核酸(例えば、mRNA)を、単独で提供するか、または他のサイトカイン(例えば、IL−2、TFG−β)をコードするmRNAと組み合わせて提供し、こうした核酸は、樹状細胞及び/または骨髄系細胞において発現し、それによってTreg細胞を誘導し、増殖させ、及び/または維持する。
IL−35を用いてナイーブヒトT細胞を処理すると、IL−35を介して免疫抑制を媒介する制御性T細胞集団(iTR35制御性細胞と称される)(この免疫抑制は、IL−10またはTFG−βを介しては媒介されない)が誘導されることが実証されている(Collison et al.(2010)Nat.Immunol.11:1093−1101)。こうしたiTR35制御性細胞は、転写因子であるFoxp3を発現しないか、または必要とせず、in vivoでの抑制性及び安定性が高い(Collison(前出の文献))。しかしながら、ヒトTregは、IL−35を構成的に発現しない(Bardel et al.(2008)J.Immunol.181:6898−6905)。したがって、iTR35制御性細胞は、他の細胞が産生するIL−35に依存している。したがって、一実施形態では、本開示は、IL−35をコードする核酸(例えば、IL−35をコードするmRNA)を提供し、この核酸は、樹状細胞及び/または骨髄系細胞において発現し、それによってTreg細胞(例えば、iTR35制御性細胞)を誘導し、増殖させ、及び/または維持する。
GM−CSF処理は、樹状細胞の増殖及びTreg細胞の蓄積を引き起こすことが示されており、これによって自己免疫が抑制されることが様々なin vivoモデルにおいて実証されている。こうして自己免疫が抑制されたin vivoモデルには、糖尿病(Gaudreau et al.(2007)J.Immunol.179:3638−3647)、重症筋無力症(Sheng et al.(2008)Clin.Immunol.128:172−180)、及び自己免疫性甲状腺炎(Ganesh et al.(2009)Int.Immunol.21:269−282)が含まれる。したがって、いくつかの態様では、本開示は、GM−CSFをコードする核酸(例えば、GM−CSFをコードするmRNA)を提供し、この核酸は、樹状細胞及び/または骨髄系細胞において発現し、それによってTreg細胞を誘導し、増殖させ、及び/または維持する。
樹状細胞及び/または骨髄系細胞の活性の上方調節
一実施形態では、本開示の免疫細胞送達増強脂質組成物は、免疫細胞(樹状細胞または骨髄系細胞など)の活性化または活性を刺激する(上方制御する、増進する)ために使用され、この刺激は、例えば、免疫応答を刺激することが望ましい状況(がん治療、または感染性疾患(例えば、ウイルス感染症、細菌感染症、真菌感染症、原虫感染症、もしくは寄生虫感染症)の治療など)において行われる。
免疫細胞(樹状細胞または骨髄系細胞など)の活性化または活性を刺激する一実施形態では、脂質ナノ粒子と結合/によってカプセル化される薬剤(例えば、mRNA)は、サイトカインであるタンパク質をコードし、こうしたタンパク質の例としては、限定されないが、本明細書の可溶性標的セクションに記載のサイトカインが挙げられる。
免疫細胞(樹状細胞または骨髄系細胞など)の活性化または活性を刺激する一実施形態では、脂質ナノ粒子と結合/によってカプセル化される薬剤(例えば、mRNA)は、ケモカインまたはケモカイン受容体であるタンパク質をコードし、こうしたタンパク質の例は、限定されないが、本明細書の可溶性標的セクションに記載のものである。
免疫細胞(樹状細胞または骨髄系細胞など)の活性化または活性を刺激する一実施形態では、脂質ナノ粒子と結合/によってカプセル化される薬剤(例えば、mRNA)は、免疫応答を上方制御する共刺激因子であるタンパク質をコードするか、または免疫応答を下方制御する共刺激因子のアンタゴニストであるタンパク質をコードし、こうしたタンパク質の例は、限定されないが、本明細書に記載のものである。
免疫細胞(樹状細胞または骨髄系細胞など)の活性化または活性を刺激する一実施形態では、脂質ナノ粒子と結合/によってカプセル化される薬剤(例えば、mRNA)は、抗原(ワクチン抗原(例えば、ウイルス抗原、細菌抗原、腫瘍抗原)など)であるタンパク質をコードする。例えば、実施例14に記載のように、本発明の脂質ベースの組成物は、ウイルス抗原をコードするmRNAワクチンの免疫原性を増進することが実証されている。したがって、一実施形態では、脂質ナノ粒子と結合/によってカプセル化される薬剤(例えば、mRNA)は、目的抗原(がん抗原または感染性疾患抗原(例えば、細菌抗原、ウイルス抗原、真菌抗原、原生動物抗原、もしくは寄生生物抗原)など)をコードする。
リンパ球系細胞
B細胞の活性の調節
免疫応答を抑制するための方法の一実施形態では、本開示の脂質ベースの組成物(LNPを含む)と結合/によってカプセル化される核酸は、免疫応答が抑制されるようにB細胞の活性を調節する(例えば、上方制御するか、または下方制御する)核酸である。核酸は、それ自体がB細胞の活性を調節するもの(例えば、アンチセンス核酸、siRNA、mIR、及び/またはアンタゴmirなど)であるか、あるいはB細胞の活性を調節するタンパク質をコードするもの(例えば、mRNA)であり得る。B細胞への核酸の標的化は、免疫応答の抑制(例えば、B細胞による抗体産生の下方制御)を引き起こす作用を直接的にもたらし得る。あるいは、B細胞への核酸の標的化は、1つ以上の他の細胞型(複数可)(例えば、他のエフェクター細胞)の活性を調節することによってその後に免疫応答の抑制を引き起こす作用をもたらし得る。さらに、非B細胞(例えば、樹状細胞、骨髄系細胞、またはT細胞)への核酸の標的化は、B細胞の活性の抑制を引き起こす作用をもたらし得、その結果、B細胞介在性の免疫応答が抑制される(抗体産生の下方制御などが生じる)。
一実施形態では、核酸は、天然起源の分子をコードするか、または天然起源の分子の活性を調節する(例えば、上方制御するか、もしくは下方制御する)。一実施形態では、天然起源の分子は、細胞内分子(転写因子または細胞シグナル伝達カスケード分子など)である。別の実施形態では、天然起源の分子は、分泌分子(サイトカインまたはケモカインなど)である。別の実施形態では、天然起源の分子は、膜貫通型分子(表面受容体、ホーミング分子、シグナル伝達分子、または免疫調節分子(例えば、HLA分子)など)である。
一実施形態では、核酸は、修飾された(すなわち、非天然起源の)分子をコードする。修飾タンパク質の例としては、限定されないが、半減期が改変(例えば、長時間化または短時間化)されたタンパク質、及び自体が細胞表面に繋留されるように修飾されたタンパク質(例えば、可溶性タンパク質に膜貫通型ドメインが付加され、その結果、修飾タンパク質となることで、可溶性タンパク質が細胞表面に繋留される)が挙げられる。
別の実施形態では、核酸は、修飾された(すなわち、非天然起源の)膜貫通型タンパク質または細胞内タンパク質をコードする。修飾された膜貫通型タンパク質の例としては、限定されないが、キメラ受容体、ドミナントネガティブな受容体、及び構成的に活性な変異受容体が挙げられる。修飾された細胞内タンパク質の例としては、限定されないが、シグナル伝達カスケードに関与する変異/改変酵素(例えば、キナーゼ、ホスファターゼ、ジオキシゲナーゼ、及び同様のもの)(免疫シナプスにおけるシグナル伝達を改変する(例えば、反転させる)分子(例えば、T細胞受容体(TCR)またはB細胞受容体(BCR)を介してシグナル伝達をアゴナイズまたはアンタゴナイズする分子)を含む)、ならびにアポトーシスを調節する(例えば、誘導する)分子、が挙げられる。
B細胞の活性を調節し、それによって免疫応答を調節するための特定の手法の非限定的な例は、以下にさらに詳述される。
B細胞の枯渇
B細胞の枯渇は、免疫応答(例えば、自己免疫疾患におけるもの)を抑制するための優れた手法として報告されている(このことについては、例えば、Sanz et al.(2007)Front.Biosci.12:2546−2567、Dorner et al.(2009)Autoimmun.Rev.9:82−89、Pateinakis et al.(2014)Biomed.Res.Intl.2014:Article ID973609に概説されている)。したがって、免疫応答を抑制するための方法の一実施形態では、本開示の脂質ベースの組成物(LNPを含む)と結合/によってカプセル化される核酸は、免疫応答が抑制されるようにB細胞を枯渇させる機能を有する核酸(例えば、B細胞が枯渇するように機能するタンパク質をコードするmRNA)である。一実施形態では、核酸は、B細胞自体に送達され、それによってB細胞を枯渇させる(直接的な枯渇と称される)。付加的または代替的に、ある特定の実施形態では、核酸は、非B細胞(例えば、樹状細胞、骨髄系細胞、T細胞)に送達され、その結果、B細胞が枯渇する(間接的な枯渇と称される)。一実施形態では、B細胞が直接的または間接的に枯渇する結果、抗体産生(例えば、自己免疫反応に関与する抗原特異的抗体産生)が下方制御(すなわち、阻害、低減、抑制)される。
一実施形態では、B細胞を枯渇させるための核酸は、B細胞特異的抗体をコードするか、またはB細胞表面マーカーのシグナル伝達経路を標的とする。B細胞特異的抗体は、様々な自己免疫疾患の治療における使用を含めて、in vivoでのB細胞の枯渇を達成するために当該技術分野で使用されている。例えば、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ、オクレリズマブ)は、治療においてB細胞を枯渇させるために使用されており、こうした治療の対象は、例えば、関節リウマチ(例えば、Pavelka et al.(2005)Arthr.Rheum.52:S131、Cohen et al.(2005)Arthr.Rheum.52:S677、Keystone et al.(2005)Arthr.Rheum.52:S141を参照のこと)、全身性エリテマトーデス(SLE)(例えば、Leandro et al.(2005)Rheumatol.44:1542−1545、Anolik et al.(2004)Arthr.Rheum.50:3580−3590、Sfikakis et al.(2005)Arthr.Rheum.52:501−513を参照のこと)、血管炎(Keogh et al.(2005)Arthr.Rheum.52:262−268、Eriksson(2005)J.Inter.Med.257:540−548、Guillevin et al.(2014)N.Engl.J.Med.371:1771−1780)、天疱瘡(例えば、Joly et al.(2017)Lancet 389:2031−2040を参照のこと)、及び多発性硬化症(Hauser et al.(2017)N.Engl.J.Med.376:221−234、Montalban et al.(2017)N.Engl.J.Med.376:209−220)である。したがって、一実施形態では、B細胞を枯渇させる核酸(例えば、mRNA)は、抗CD20抗体をコードする核酸であるか、またはB細胞におけるCD20シグナル伝達経路を標的とする核酸である。
抗CD19抗体(例えば、イネビリズマブ)もまた、in vivoでのB細胞の枯渇を達成するために使用されており、例えば、多発性硬化症の治療において使用される(例えば、Agius et al.(2017)Mult.Scler.doi:10.1177/1352458517740641を参照のこと)。したがって、一実施形態では、B細胞を枯渇させる核酸(例えば、mRNA)は、抗CD19抗体をコードする核酸であるか、またはB細胞におけるCD19シグナル伝達経路を標的とする核酸である。
抗CD22抗体(例えば、エプラツズマブ)もまた、in vivoでのB細胞の枯渇を達成するために使用されており、例えば、SLEの治療において使用される(例えば、Wallace et al.(2014)Ann.Rheum.Dis.73:183−190を参照のこと)。したがって、一実施形態では、B細胞を枯渇させる核酸(例えば、mRNA)は、抗CD22抗体をコードする核酸であるか、またはB細胞におけるCD22シグナル伝達経路を標的とする核酸である。
BAFF(B細胞活性化因子(当該技術分野ではTALL−1、THANK、BlyS、及びzTNF4としても知られる))に対する抗体(例えば、ベリムマブ)もまた、SLEの治療における使用(例えば、Jacobi et al.(2010)Arthr.Rheum.62:201−210を参照のこと)を含めて、in vivoでのB細胞の枯渇に使用されている(例えば、Rauch et al.(2009)PLoS One 4(5):e5456、Kowalczyk−Quintas et al.(2016)J.Biol.Chem.291:18826−18834を参照のこと)。したがって、一実施形態では、B細胞を枯渇させるための核酸(例えば、mRNA)は、抗BAFF抗体をコードする核酸であるか、またはB細胞におけるBAFFシグナル伝達経路を標的とする核酸である。
B細胞を枯渇させるための別の手法は、B細胞における制御経路を1つ以上活性化させてB細胞をアポトーシスさせるものである。したがって、一実施形態では、B細胞を枯渇させるための核酸は、B細胞においてアポトーシスを誘導する。例えば、抗原非依存的にB細胞上の抑制性FcgRIIB受容体を介してシグナル伝達を生じさせると(例えば、当該受容体を過剰発現させるか、または抗原非依存的に当該受容体にリガンドを結合させることによって行われる)、B細胞のアポトーシスが引き起こされることが示されている(例えば、Yang et al.(2009)Blood 114:3736、Tzeng et al.(2015)J.Biomed.Sci.22:87を参照のこと)。したがって、一実施形態では、B細胞を枯渇させるために使用される核酸(例えば、mRNA)はFcgRIIB受容体をコードし、その結果、B細胞においてアポトーシスを誘導するための手段としてB細胞においてFcgRIIBが過剰発現し、それによってB細胞が枯渇する。
アポトーシスを介してB細胞を枯渇させるための別の手法は、Mcl−1のアンタゴニストを使用するものである。Mcl−1タンパク質は、Bcl−2タンパク質ファミリーの生存促進性メンバーである。Mcl−1は、アポトーシス促進性タンパク質であるBax及びBakの活性化を遮断するものであり、複数の造血細胞型の生存及び維持に重要であることが報告されている(Anstee et al.(2017)Cell Death Diff.24:397−408)。Mcl−1が過剰発現すると、マウスにおいて自己免疫性腎疾患を増悪させることが示されている(Anstee et al.(前出の文献))。さらに、Mcl−1は、形質細胞の生存に必須であることが示されている(Peperzak et al.(2013)Nat.Immunol.14:290−297)。したがって、一実施形態では、B細胞を枯渇させるために使用される核酸は、Mcl−1アンタゴニストであるか、またはMcl−1アンタゴニストをコードするもの(例えば、mRNA)であり、その結果、B細胞においてアポトーシスを誘導するための手段としてB細胞においてMcl−1が下方制御され、それによってB細胞が枯渇する。Mcl−1アンタゴニストは、例えば、抑制性RNA(例えば、アンチセンスRNA、siRNA、miR)であり得る。一実施形態では、Mcl−1アンタゴニストは、マイクロRNA(miR)である。mir−29は、Mcl−1タンパク質の発現及びアポトーシスを制御することが報告されており、mir−29bを強制発現させると、細胞でのMcl−1タンパク質の発現が低減され、TRAIL介在性のアポトーシスに対する感作が生じる(Mott et al.(2007)Oncogene 26:6133−6140)。したがって、一実施形態では、Mcl−1アンタゴニスト核酸は、mir−29ファミリーのメンバー(mir−29bなど)である。
CAR−T細胞もまた、B細胞を枯渇させ、それによって免疫応答(例えば、自己免疫疾患におけるもの)を抑制する目的で使用され得る。例えば、Dsg3細胞外ドメインの切断型フラグメントがCD137/CD3シグナル伝達ドメインに融合したものを含むキメラ抗原受容体を発現するCAR−T細胞は、in vitro及び天疱瘡マウスモデルにおいて抗Dsg3特異的B細胞を枯渇させるために使用されている(例えば、Ellebrecht et al.(2016)Science 353:179−184を参照のこと)。したがって、一実施形態では、B細胞を枯渇させるために使用される核酸(例えば、mRNA)は、B細胞に特異的なCAR(例えば、B細胞の表面に発現した自己抗体に特異的なCAR、またはB細胞の表面に発現するB細胞マーカー(CD19、CD20、もしくはCD22など)に特異的なCAR)をコードし、その結果、CAR−T細胞がCARを発現するとB細胞が枯渇する(間接的にB細胞が枯渇する)。
抗原の免疫寛容化
抗原特異的免疫寛容化は、免疫寛容原性形態の抗原(例えば、免疫寛容原性形態の自己抗原)を単独で送達するか、または追加の免疫修飾因子と組み合わせて送達することによってin vivoで達成されている。具体的には、自己細胞及びナノ粒子をうまく利用して免疫寛容原性抗原を送達することで抗原特異的免疫寛容化が達成されている(このことについては、例えば、Pearson et al.(2017)Adv.Drug Deliv.Rev.114:240−255、Kishimoto and Maldonado(2018)Front.Immunol.9:230に概説されている)。したがって、免疫応答を抑制するための方法の一実施形態では、本開示の脂質ベースの組成物(LNPを含む)と結合/によってカプセル化される核酸は、免疫応答が抑制されるように抗原特異的免疫寛容化を達成する機能を有する核酸(例えば、抗原特異的免疫寛容化を達成するように機能するタンパク質をコードするmRNA)である。一実施形態では、核酸は、B細胞自体に送達されることで抗原特異的免疫寛容化を達成する。付加的または代替的に、ある特定の実施形態では、核酸は、非B細胞(例えば、樹状細胞、骨髄系細胞、T細胞)に送達されることで抗原特異的免疫寛容化を達成する。いくつかの態様では、核酸は、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞、単球、マクロファージ)に送達され、それによってB細胞の抗原特異的免疫寛容化を達成する。
一実施形態では、抗原の免疫寛容化を達成するために使用される核酸(例えば、mRNA)は、1つ以上の免疫寛容原性抗原(例えば、1つ以上の免疫寛容原性自己抗原)をコードする。例えば、脳炎誘発性ペプチドを輸送する微粒子は、免疫寛容を誘導し実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を改善させることが示されている(Getts et al.(2012)Nat.Biotechnol.30:1217−1224)。自己ミエリンペプチド結合型の細胞は、多発性硬化症において抗原特異的免疫寛容を誘導することが示されている(Lutterotti et al.(2013)Sci.Transl.Med.5:188)。
別の実施形態では、抗原の免疫寛容化は、1つ以上の免疫寛容原性抗原(例えば、1つ以上の免疫寛容原性自己抗原)をコードする核酸を、抗原特異的免疫寛容化を促進する1つ以上の追加の薬剤と組み合わせて使用して達成され、こうした追加の薬剤の例としては、限定されないが、免疫抑制剤、抑制性サイトカイン、及び免疫修飾因子が挙げられる。例えば、ラパマイシンを免疫寛容原性抗原と組み合わせて使用することでEAEにおいて抗原特異的免疫寛容が達成されている(Maldonando et al.(2014)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 112:E156−165)。さらに、アリール炭化水素受容体(AhR)の小分子活性化因子を免疫寛容原性 抗原と組み合わせて使用することでEAEにおける抗原特異的免疫寛容が達成されている(Yeste et al.(2012)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 109:11270−11275)。さらに、サイトカインであるIL−10を免疫寛容原性抗原と組み合わせて使用することでEAEにおける抗原特異的免疫寛容が達成されている(Cappellano et al.(2014)Vaccine 32:5681−5689)。したがって、いくつかの態様では、抗原の免疫寛容化は、1つ以上の免疫寛容原性抗原をコードする核酸を使用して達成され、この免疫寛容化は、当該核酸を、例えば、ラパマイシン、AhR阻害剤、またはIL−10と組み合わせて使用することで達成される。
抗体産生の抑制
免疫応答を抑制するための方法の一実施形態では、本開示の脂質ベースの組成物(LNPを含む)と結合/によってカプセル化される核酸は、免疫応答が抑制されるように抗体産生を抑制する(すなわち、阻害する、下方制御する)機能を有する核酸(例えば、抗体産生を抑制するように機能するタンパク質をコードするmRNA)である。一実施形態では、核酸は、B細胞自体に送達され、それによって抗体産生を抑制する(直接的な抗体産生抑制と称される)。付加的または代替的に、いくつかの実施形態では、核酸は、非B細胞(例えば、抗体産生B細胞を制御するT細胞)に送達され、その結果、抗体産生が抑制される(間接的な抗体産生抑制と称される)。
一実施形態では、抗体産生は、B細胞における抗体遺伝子の転写または翻訳を抑制または阻害する核酸を使用してB細胞において直接的に抑制される。例えば、B細胞における抗体重鎖または抗体軽鎖のmRNAを標的とし、それによってB細胞による抗体産生を抑制する抑制性RNA(例えば、siRNA、アンチセンスRNA、miR)が使用される。したがって、一実施形態では、本開示の脂質ベースの組成物(LNPを含む)と結合/によってカプセル化される核酸は、B細胞における抗体産生を抑制するように機能する抗抗体核酸である。
B細胞による抗体産生を直接的に抑制するための別の手法は、B細胞における制御経路を1つ以上活性化することでB細胞による抗体産生を抑制するものである。例えば、抗原非依存的にB細胞上の抑制性FcgRIIB受容体を介してシグナル伝達を生じさせると(例えば、当該受容体を過剰発現させるか、または抗原非依存的に当該受容体にリガンドを結合させることによって行われる)、B細胞における抗体産生が抑制されることが示されている(例えば、Yang et al.(2009)Blood 114:3736、Tzeng et al.(2015)J.Biomed.Sci.22:87を参照のこと)。したがって、一実施形態では、抗体産生を抑制するために使用される核酸(例えば、mRNA)は、FcgRIIB受容体をコードし、その結果、B細胞による抗体産生を抑制するための手段としてB細胞においてFcgRIIBが過剰発現する。
別の実施形態では、抗体産生は、抗体産生の制御に関与するT細胞の活性を調節する核酸を使用して間接的に抑制される。具体的には、濾胞性ヘルパーT細胞(TFH細胞)は、抗体産生を支援する機能をB細胞に与えることを担っており、一方、濾胞性制御性T細胞(TFR細胞)は、TFH細胞介在性の抗体産生を抑制する能力を有する(例えば、Sage et al.(2016)Nat.Immunol.17:1436−1446を参照のこと)。したがって、一実施形態では、本開示の脂質ベースの組成物(LNPを含む)と結合/によってカプセル化される核酸は、B細胞による抗体産生が抑制されるように濾胞性ヘルパーT細胞の活性を抑制する機能を有する核酸(例えば、mRNA)である。一実施形態では、核酸は、TFH細胞活性を抑制することが当該技術分野で知られるサイトカインをコードする。別の実施形態では、本開示の脂質ベースの組成物(LNPを含む)と結合/によってカプセル化される核酸は、B細胞による抗体産生が抑制されるように濾胞性制御性T細胞の活性を刺激する機能を有する核酸(例えば、mRNA)である。例えば、一態様では、核酸は、TFR細胞活性を刺激することが当該技術分野で知られるサイトカインをコードする。
BReg分化の調節
BReg細胞は、免疫応答を下方調節するように機能するB細胞亜集団である。BReg細胞の抑制機能は、抗原提示細胞機能の下方制御、エフェクターT細胞機能の抑制、及び制御性T細胞の誘導を引き起こすサイトカイン(IL−10、IL−12、IL−35、及びTGFβなど)の放出によって媒介される。多数の自己免疫疾患においてBReg細胞のレベルが低下していることが報告されており(例えば、Mavropoulos et al.(2016)Arthr.Rheum.68:494−504、Mavropoulos et al.(2017)Clin.Immunol.184:33−41、Aybar et al.(2015)Clin.Exp.Immunol.180:178−188を参照のこと)、このことは、BReg細胞のレベルを上昇させることが、自己免疫の軽減に有益であり得ることを示唆している。
したがって、免疫応答を抑制するための方法の一実施形態では、本開示の脂質ベースの組成物(LNPを含む)と結合/によってカプセル化される核酸は、免疫応答が抑制されるようにBReg細胞を制御する(BReg細胞を誘導し、増殖させ、及び/または維持などする)機能を有する核酸(例えば、BReg細胞を誘導し、増殖させ、及び/または維持するように機能するタンパク質をコードするmRNA)である。一実施形態では、BReg細胞を誘導し、増殖させ、及び/または維持するように機能する核酸はB細胞において発現し、その結果、BReg細胞が誘導され、増殖し、及び/または維持される。付加的または代替的に、別の実施形態では、BReg細胞を誘導し、増殖させ、及び/または維持するように機能する核酸は、非B細胞(例えば、樹状細胞、骨髄系細胞、及び/またはT細胞)において発現し、その結果、BReg細胞が誘導され、増殖し、及び/または維持される。一実施形態では、BReg細胞を誘導し、増殖させ、及び/または維持するように機能する核酸は、BReg誘導性サイトカインである。別の実施形態では、BReg細胞を誘導し、増殖させ、及び/または維持するように機能する核酸は、BReg発生に関与するシグナル伝達経路を調節する。
BReg細胞の誘導、増殖、及び/または維持に関与することが実証されているサイトカインは、当該技術分野で多く報告されている。例えば、IL−6及びIL−1βは、BReg細胞の分化を直接的に促進することが示されている(例えば、Rosser et al.(2014)Nature Med.20:1334−1339を参照のこと)。したがって、一実施形態では、IL−6及び/またはIL−1βをコードする核酸(例えば、IL−6及び/またはIL−1βをコードするmRNA)は、免疫細胞において発現し、それによってBReg細胞を誘導し、増殖させ、及び/または維持する。
さらに、IL−21は、BReg細胞の発生を促進することが実証されている(例えば、Yoshizaki et al.(2012)Nature 491:264−268を参照のこと)。したがって、一実施形態では、IL−21をコードする核酸(例えば、mRNA)は、免疫細胞において発現し、それによってBReg細胞を誘導し、増殖させ、及び/または維持する。
さらに、GM−CSF及びIL−15は、BReg細胞の分化に関与している(例えば、Rafei et al.(2009)Nature Med.15:1038−1045を参照のこと)。したがって、一実施形態では、GM−CSF及び/またはIL−15をコードする核酸(例えば、GM−CSF及び/またはIL−15をコードするmRNA)は、免疫細胞において発現し、それによってBReg細胞を誘導し、増殖させ、及び/または維持する。
さらに、IL−35は、BReg細胞を誘導し、誘導したBReg細胞の変換を促進することでIL−35ならびにIL−10を産生するBReg細胞サブセットを生じさせることが示されている(例えば、Wang et al.(2014)Nature Med.20:633−641を参照のこと)。したがって、一実施形態では、IL−35をコードする核酸(例えば、mRNA)は、免疫細胞において発現し、それによってBReg細胞を誘導し、増殖させ、及び/または維持する。
BReg細胞促進性サイトカインに加えて、B細胞におけるある特定のシグナル伝達経路の活性化は、BReg細胞の発生と関連している。例えば、CD40刺激(すなわち、CD40介在性のシグナル伝達経路の活性化)は、BReg細胞の誘導に関与することが示されている(例えば、Yoshizaki et al.(2012)Nature 491:264−268を参照のこと)。したがって、一実施形態では、CD40シグナル伝達経路を刺激するように機能する核酸(例えば、mRNA)は、B細胞において発現し、それによってBReg細胞を誘導し、増殖させ、及び/または維持する。
さらに、Toll様受容体(例えば、TLR9、TLR4、TLR2)へのリガンドの結合は、BReg細胞の発生に関与することが実証されている(例えば、Miles et al.(2012)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 109:887−892、Meyer−Bahlburg and Rawlings(2012)Front.Biosci.17:1499−1516、van der Vlugt et al.(2014)Meth.Mol.Biol.1190:127−141を参照のこと)。したがって、一実施形態では、TLRシグナル伝達経路(例えば、TLR9シグナル伝達経路、TLR4シグナル伝達経路、及び/またはTLR2シグナル伝達経路)を刺激するように機能する核酸(例えば、mRNA)は、B細胞において発現し、それによってBReg細胞を誘導し、増殖させ、及び/または維持する。
エフェクターT細胞の調節
免疫応答を抑制するための方法の一実施形態では、本開示の脂質ベースの組成物(LNPを含む)と結合/によってカプセル化される核酸は、免疫応答が抑制されるようにエフェクターT細胞の活性を調節する(例えば、上方制御するか、または下方制御する)核酸である。いくつかの実施形態では、核酸は、それ自体がエフェクターT細胞の活性を調節するもの(例えば、siRNA、mIR、及び/またはアンタゴmirなど)である。いくつかの実施形態では、核酸は、エフェクターT細胞の活性を調節するペプチドまたはポリペプチドをコードするもの(例えば、mRNA)である。いくつかの実施形態では、エフェクターT細胞への核酸の標的化は、免疫応答の抑制を直接的にもたらす。いくつかの実施形態では、非エフェクターT細胞(例えば、樹状細胞、B細胞、Treg)への核酸の標的化は、エフェクターT細胞の活性の調節、及び免疫応答の抑制をもたらす。例えば、いくつかの実施形態では、樹状細胞または骨髄系細胞への核酸の標的化は、エフェクターT細胞の活性の調節をもたらす。
一実施形態では、核酸は、天然起源の分子をコードするか、または天然起源の分子の活性を調節する(例えば、上方制御するか、もしくは下方制御する)。一実施形態では、天然起源の分子は、細胞内分子(転写因子または細胞シグナル伝達カスケード分子など)である。別の実施形態では、天然起源の分子は、分泌分子(サイトカインまたはケモカインなど)である。別の実施形態では、天然起源の分子は、膜貫通型分子(表面受容体、ホーミング分子、シグナル伝達分子、または免疫調節分子(例えば、HLA分子)など)である。
一実施形態では、核酸は、修飾された(すなわち、非天然起源の)分子をコードする。修飾タンパク質の例としては、限定されないが、半減期が改変(例えば、長時間化または短時間化)されたタンパク質、及び自体が細胞表面に繋留されるように修飾されたタンパク質(例えば、可溶性タンパク質に膜貫通型ドメインが付加され、その結果、修飾タンパク質となることで、可溶性タンパク質が細胞表面に繋留される)が挙げられる。
別の実施形態では、核酸は、修飾された(すなわち、非天然起源の)膜貫通型タンパク質または細胞内タンパク質をコードする。修飾された膜貫通型タンパク質の例としては、限定されないが、キメラ受容体、ドミナントネガティブな受容体、及び構成的に活性な変異受容体が挙げられる。修飾された細胞内タンパク質の例としては、限定されないが、シグナル伝達カスケードに関与する変異/改変酵素(例えば、キナーゼ、ホスファターゼ、ジオキシゲナーゼ、及び同様のもの)(免疫シナプスにおけるシグナル伝達を改変し得る(例えば、反転させ得る)分子(例えば、T細胞受容体(TCR)またはB細胞受容体(BCR)を介してシグナル伝達をアゴナイズまたはアンタゴナイズし得る分子)を含む)、ならびにアポトーシスを調節(例えば、誘導)し得る分子、が挙げられる。
エフェクターT細胞の活性を調節し、それによって免疫応答を抑制するための特定の手法の非限定的な例は、以下にさらに詳述される。
エフェクターT細胞アネルギーの誘導
免疫応答を抑制するための方法の一実施形態では、本開示の脂質ベースの組成物(LNPを含む)と結合/によってカプセル化される核酸は、免疫応答が抑制されるようにエフェクターT細胞アネルギーの誘導を刺激する(例えば、促進する、増進する、上方制御する)核酸(例えば、エフェクターT細胞アネルギーの誘導を刺激するタンパク質をコードする核酸)である。胸腺では、自己抗原を認識する高親和性のT細胞受容体を有するT細胞は、負の選択を通じて除去される。自己反応性T細胞は、負の選択を回避し得、抹消において自己免疫反応を引き起こす可能性があり、このことが自己免疫疾患に繋がる。T細胞アネルギーは、最適に満たない刺激に応答して確立される低応答性の状態を長期的に誘導することによって自己反応性成熟T細胞の活性化を制御する末梢性免疫寛容機構である。T細胞は、抗原認識及び共刺激からだけでなく、サイトカイン受容体、抑制性受容体、または代謝センサーを含む他のシグナル源からもシグナルを受容する。そうしたシグナルがすべて統合されることによってT細胞の運命が決まる。アネルギーが誘導される条件下では、T細胞受容体のシグナル伝達を遮断すると共にサイトカイン遺伝子の発現を抑制するタンパク質を産生させる遺伝子発現プログラムがT細胞によって活性化される。
T細胞アネルギーの機構
T細胞の運命(活性化するか、またはアネルギー性となるか)を決定付ける一次要因は、CD28がそのリガンド(抗原提示細胞上に発現するCD80及びCD86)に結合することによって生じる共刺激の存在または強度である(Schwartz(2003)Annu Rev Immunol 21:305−334、Harding et al.,(1992)Nature 356:607−609、Jenkins et al.,(1987)J Exp Med 165:302−319、Quill et al.,(1987)J Immunol 138:3704−3712、Macian et al.,(2004)Curr Opin Immunol 16:209−216)。
したがって、一実施形態では、エフェクターT細胞アネルギーを誘導する核酸は、CD28共刺激を直接的または間接的に抑制する。別の実施形態では、核酸は、CD28共刺激を抑制するタンパク質をコードする。CD28とCTLA−4とは相同性が高く、同じリガンド(CD80及びCD86)に対して競合する(Linsley et al.,(1990)Proc Natl Acad Sci USA 87(13):5031−5)。こうしたリガンドにCTLA4が結合する親和性はCD28のものと比較して高く、このことによってCTLA4がリガンドに対してCD28と競合することが可能になり、エフェクターT細胞応答を抑制する(Engelhardt et al.,(2006)J Immunol 177(2):1052−61)。一実施形態では、CD28共刺激を抑制する核酸は、CTLA−4をコードする。別の実施形態では、CD28共刺激を抑制する核酸は、リガンド結合を抑制するCD28結合タンパク質をコードする。別の実施形態では、CD28共刺激を抑制する核酸は、CD28結合を抑制するCD80/CD86結合タンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、CD80/CD86−結合タンパク質は、CTLA4−Igである。
CD28がリガンドと結合すると、Il2のmRNAの発現し、当該mRNAの安定性が向上するようになる(Lindstein et al.,(1989)Science 244:339−343)。IL−2が産生するとアネルギーの回避が進むと共に、IL−2受容体を介するシグナル伝達は、CD28共刺激の非存在下でのアネルギーの確立を阻止することが示されている(Boussiotis et al.,(1994)Science 266:1039−1042)。したがって、いくつかの実施形態では、エフェクターT細胞アネルギーを誘導する核酸は、IL−2の産生を低減する。いくつかの実施形態では、IL−2の産生を低減する核酸は、IL2のmRNAの転写を抑制する。いくつかの実施形態では、IL−2の産生を低減する核酸は、Il2のmRNAの翻訳を抑制する。
エフェクターT細胞の遊走の抑制
免疫応答を抑制するための方法の一実施形態では、本開示の脂質ベースの組成物(LNPを含む)と結合/によってカプセル化される核酸は、免疫応答が抑制されるようにエフェクターT細胞の遊走を抑制する(例えば、低減する、下方制御する)核酸(例えば、エフェクターT細胞の遊走を抑制するタンパク質をコードする核酸)である。免疫監視、及び有効な適応免疫応答の発達には、リンパ球の輸送を空間的かつ時間的に正確に制御することが必要である。リンパ球の活性化及び遊走の制御がうまくいかなくなると、適応免疫が損なわれ、慢性炎症が生じ得る。いくつかの自己免疫疾患(例えば、関節リウマチ)では、病的炎症は、炎症性細胞が遊走し、炎症部位に留まることに部分的には依存している(Pope(2002)Nat Rev Immunol 2(7):527−35)。炎症部位へのT細胞の輸送は、滑膜の血管内の局所的な活性化によって可能になるものであり、この局所的な活性化は、白血球の動員に必要な機構であるが、こうした機構が変化すると、慢性炎症及び自己免疫が生じ得る。炎症誘発性メディエーターに対する応答では、白血球及び血管細胞が活性化される。その他の免疫細胞の中では特に、T細胞(Th1、Th17、Treg、及び可能性としてはTh22)が系列カスケード(ローリング、停止接着、伸展、クローリング、及び血管外遊走)を開始し、最終的に血管外遊出して炎症部位に到達する。T細胞の動員及び保持には、多数のサイトカイン、セレクチン、インテグリン、接着分子、ケモカイン、及びケモカイン受容体が関与する。したがって、いくつかの実施形態では、エフェクターT細胞の遊走を抑制する核酸は、サイトカイン、セレクチン、インテグリン、インテグリン、接着分子、ケモカイン、及びケモカイン受容体からなる群から選択されるタンパク質の発現を抑制する。
白血球が接着するには、ローリング事象、接着事象、及び血管外遊走事象が協調的に作用することが必要である。適切な接着分子及び走化性因子を発現及びディスプレイする白血球サブセットは、特定の部位に動員される。白血球ローリングはセレクチンによって媒介され、セレクチン(L−セレクチン)は、ほとんどの白血球集団が発現しており、炎症内皮細胞もまた、セレクチン(E−セレクチン及びP−セレクチン)を発現している(Patel et a.,(2002)Semin Immunol.14(2):73−81)。ローリングには、白血球及び炎症内皮細胞が発現するセレクチン及びP−セレクチン糖タンパク質リガンド−1(PSGL−1)が必要である。白血球間相互作用にはPSLG1とL−セレクチンとの間の相互作用が必要であり、この相互作用によって、血液が流れる条件の下で炎症内皮に白血球が繋留され、接着することが可能になる(Zarbock et al,(2011)Blood 118(26):6743−6751)。
したがって、いくつかの実施形態では、エフェクターT細胞の遊走を抑制する核酸は、セレクチンの発現を抑制する。いくつかの実施形態では、セレクチンは、L−セレクチン、E−セレクチン、またはP−セレクチンである。いくつかの実施形態では、セレクチンは、P−セレクチン糖タンパク質リガンド−1(PSGL−1)である。
インテグリンは、ローリングならびに白血球の堅固な接着及び停止接着に関与する(Nourshargh et al.,Immunity(2014)41(5):694−707)。異なる細胞型は、特定のインテグリンを発現する。例えば、α1インテグリンは、活性化したCD4+T細胞及びCD8+T細胞において強固に発現する。Th17細胞は、α2インテグリンを上方制御する。インテグリンのアンタゴニスト及びインテグリンのリガンドは、マウスのコラーゲン誘導関節炎モデルにおける炎症を阻止することが示されている(de Fougerolles et al.,(2000)J Clin Invest 105(6):721−9)。走化性因子の濃度勾配に沿う経内皮遊走が、細胞間隙経路または経細胞経路を通じて白血球が炎症組織に遊走する最終ステップである。このプロセスの特異性は、この白血球接着カスケードの異なる構成要素が差次的に発現することによって達成されるものであり、こうした構成要素には、セレクチン、インテグリン、ケモカイン、及びそのそれぞれのリガンドまたは受容体が含まれる。例えば、ナイーブT細胞におけるLFA−1、α4インテグリン、及びCCR7の発現レベルは低く、これらの発現レベルが低いことは、リンパ系組織を通じた細胞再循環を可能にするが、炎症組織への細胞の移行を可能にするには不十分である。対照的に、LFA−1、α−インテグリン、E−セレクチンリガンド及びP−セレクチンリガンド、CCR1、CCR5、ならびにCXCR3の発現が高まったエフェクターT細胞及びメモリーT細胞は、こうした組織に移行する。
したがって、いくつかの実施形態では、エフェクターT細胞の遊走を抑制する核酸は、インテグリンの発現を抑制する。
ケモカイン
ケモカイン及びケモカイン受容体は、炎症部位に免疫細胞を選択的に動員し、そこで活性化させることにおいて中心的な役割を担うため、現在、いくつかの慢性自己免疫障害における有望な治療標的と見なされている。例えば、Th17細胞は、いくつかの自己免疫障害(例えばRA)の初期段階及び炎症段階に寄与している。Th17細胞は、他のケモカイン受容体(CCR4、CCR10、及びCXCR3など)も発現する(126,127)ものの、CCR6を発現することによって特徴付けられる(Lim et al.,(2008)J Immunol 180(1):122−9)。CCL20(CCR6のリガンド)は、T細胞、ナイーブB細胞、及び未熟DCの選択的走化性因子である。CCR6+Th17細胞は、末梢血、滑液、及び炎症組織において同定されている。CCR6+Th細胞における他のケモカイン受容体の発現もまた、特定のセットのサイトカインの発現と関連している。CCR4+/CCR6+Th細胞はIL−17Aを高レベルで発現する一方で、このインターロイキンのレベルはCXCR3+/CCR6+細胞では低いが、CXCR3+/CCR6+細胞のIFN−γレベルは高い。CCR6+/CCR10+Th細胞のIL−22の発現レベルは高く、このことによってTh22細胞集団が定義付けられる。CCR6+Th細胞において見られる他のケモカイン受容体はCCR5、CXCR4、及びCXCR6であるが、これらのケモカイン受容体は特定のサイトカインプロファイルとは関連していない。こうしてサイトカインが産生されることで、単球、好中球、滑膜線維芽細胞、及び破骨細胞を含めて、他の細胞型が炎症部位に誘引され、そこで活性化され、こうした細胞型が疾患の進行に寄与する(Paulissen et al.,(2015)Cytokine 74(1):43−53)。
したがって、いくつかの実施形態では、エフェクターT細胞の遊走を抑制する核酸は、免疫細胞におけるケモカインまたはケモカイン受容体の発現を抑制する。
エフェクターT細胞の枯渇
免疫応答を抑制するための方法の一実施形態では、本開示の脂質ベースの組成物(LNPを含む)と結合/によってカプセル化される核酸は、免疫応答が抑制されるようにエフェクターT細胞の枯渇を誘導する(例えば、促進する、増加させる)核酸である。
活性化T細胞は、1)活性化誘導細胞死(AICD)、及び2)生存シグナルの消失、という2つの異なる経路を介してアポトーシスによって死滅することが知られている。活性化T細胞がTCRシグナルを受容すると、自体がFasLを上方制御し、Fas−FasL相互作用を介して自体を死滅させるか、またはその隣接細胞を死滅させる(Alderson et al.,(1995)J Exp Med 1995;181:71−77、Brunner et al.,(1995)Nature 1995;373:441−444、Dhein et al.,(1995)Nature 373:438−441、Ju et al.,(1995)Nature 1995;373:444−448)。
したがって、いくつかの実施形態では、核酸は、T細胞のアポトーシスを誘導することによってエフェクターT細胞の枯渇を誘導する。いくつかの実施形態では、核酸は、FasまたはFasLを上方制御することによってT細胞のアポトーシスを誘導する。いくつかの実施形態では、核酸は、生存シグナルを下方制御することによってT細胞のアポトーシスを誘導する。
リンパ球系細胞の活性の上方調節
一実施形態では、本開示の免疫細胞送達増強脂質組成物は、免疫細胞(リンパ球系細胞(例えば、T細胞及び/またはB細胞)など)の活性化または活性を刺激する(上方制御する、増進する)ために使用され、この刺激は、例えば、免疫応答を刺激することが望ましい状況(がん治療、または感染性疾患(例えば、ウイルス感染症、細菌感染症、真菌感染症、原虫感染症、もしくは寄生虫感染症)の治療など)において行われる。
免疫細胞(リンパ球系細胞(例えば、T細胞及び/またはB細胞)など)の活性化または活性を刺激する一実施形態では、脂質ナノ粒子と結合/によってカプセル化される薬剤(例えば、mRNA)は、サイトカインであるタンパク質をコードし、こうしたタンパク質の例としては、限定されないが、本明細書の可溶性標的セクションに記載のサイトカインが挙げられる。
免疫細胞(リンパ球系細胞(例えば、T細胞及び/またはB細胞)など)の活性化または活性を刺激する一実施形態では、脂質ナノ粒子と結合/によってカプセル化される薬剤(例えば、mRNA)は、ケモカインまたはケモカイン受容体であるタンパク質をコードし、こうしたタンパク質の例は、限定されないが、本明細書の可溶性標的セクションに記載のものである。
免疫細胞(リンパ球系細胞(例えば、T細胞及び/またはB細胞)など)の活性化または活性を刺激する一実施形態では、脂質ナノ粒子と結合/によってカプセル化される薬剤(例えば、mRNA)は、免疫応答を上方制御する共刺激因子であるタンパク質をコードするか、または免疫応答を下方制御する共刺激因子のアンタゴニストであるタンパク質をコードし、こうしたタンパク質の例は、限定されないが、本明細書に記載のものである。
免疫細胞(リンパ球系細胞(例えば、T細胞及び/またはB細胞)など)の活性化または活性を刺激する一実施形態では、脂質ナノ粒子と結合/によってカプセル化される薬剤(例えば、mRNA)は、抗原受容体(T細胞受容体またはB細胞受容体など)(例えば、キメラ抗原受容体(CAR))をコードする。CARの例としては、限定されないが、本明細書の修飾された膜結合型/膜貫通型標的セクションに記載のものが挙げられる。
医薬組成物
本発明の脂質ナノ粒子を含む製剤は、医薬組成物として全体的または部分的に製剤化し得る。医薬組成物は、1つ以上の脂質ナノ粒子を含み得る。例えば、医薬組成物は、1つ以上の異なる治療薬及び/または予防薬を含む1つ以上の脂質ナノ粒子を含み得る。医薬組成物は、本明細書に記載されるような1つ以上の薬学的に許容される賦形剤または副成分をさらに含んでもよい。医薬組成物及び薬剤の製剤及び製造に関する一般的なガイドラインは、例えば、Remington’s The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition, A. R. Gennaro;Lippincott, Williams & Wilkins, Baltimore, MD, 2006におけるものが利用可能である。任意の従来の賦形剤または副成分が本開示の製剤中のLNPの1つ以上の成分と適合しない場合を除いて、従来の賦形剤及び副成分を任意の医薬組成物に使用することができる。賦形剤または副成分は、成分またはLNPとの組み合わせにより、望ましくない生物学的効果またはさもなくば有害な効果が生じる可能性がある場合、製剤のLNPの成分と適合しない可能性がある。
製剤化されて医薬組成物となる本開示の脂質ナノ粒子には、単一の核酸または複数の核酸がカプセル化され得る。複数の核酸がカプセル化される場合、そうした核酸は、同じ型の核酸(例えば、すべてmRNA)であり得るか、または異なる型の核酸(例えば、mRNA及びDNA)であり得る。さらに、同じまたは別々の医薬組成物に複数のLNPが製剤化され得る。例えば、同じまたは別々の医薬組成物は、第1のLNP及び第2のLNPを含み得、第1のLNP及び第2のLNPには、同じまたは異なる核酸分子がカプセル化され、第1のLNP及び第2のLNPは、免疫細胞送達増強脂質を構成成分として含む。他の実施形態では、同じまたは異なる医薬組成物は、第1のLNP及び第2のLNPを含み得、第1のLNP及び第2のLNPには、同じまたは異なる核酸分子がカプセル化され、第1のLNPは、免疫細胞送達増強脂質を構成成分として含み、第2のLNPは、免疫細胞送達増強脂質を含まない。
いくつかの実施形態では、1つ以上の賦形剤または副成分は、LNPを含む医薬組成物の総質量または体積の50%超を構成する場合がある。例えば、1つ以上の賦形剤または副成分は、製薬上の慣習の50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上を構成し得る。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%純粋である。いくつかの実施形態では、賦形剤は、ヒトでの使用及び獣医学での使用が承認されている。いくつかの実施形態では、賦形剤は米国食品医薬品局によって承認されている。いくつかの実施形態では、賦形剤は医薬品グレードである。いくつかの実施形態では、賦形剤は、米国薬局方(USP)、欧州薬局方(EP)、英国薬局方、及び/または国際薬局方の基準を満たしている。
本開示による医薬組成物中の1つ以上の脂質ナノ粒子、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、及び/または任意の追加の成分の相対量は、その同一性、サイズ、及び/または治療される対象の状態によって異なり、さらに組成物が投与される経路にも依存する。例として、医薬組成物は、0.1%〜100%(wt/wt)の1つ以上の脂質ナノ粒子を含んでもよい。別の例として、医薬組成物は、0.1%〜15%(wt/vol)の1つ以上の両親媒性ポリマー(例えば、0.5%、1%、2.5%、5%、10%、または12.5%w/v)を含み得る。
ある特定の実施形態では、本開示の脂質ナノ粒子及び/または医薬組成物は、貯蔵及び/または輸送のために冷蔵または冷凍される(例えば、約−150℃〜約0℃または約−80℃〜約−20℃(例えば、約−5℃、−10℃、−15℃、−20℃、−25℃、−30℃、−40℃、−50℃、−60℃、−70℃、−80℃、−90℃、−130℃、または−150℃)の温度などの4℃以下の温度で貯蔵される)。例えば、1つ以上の脂質ナノ粒子を含む医薬組成物は、例えば約−20℃、−30℃、−40℃、−50℃、−60℃、−70℃、または−80℃での貯蔵及び/または輸送のために冷蔵される溶液または固体(例えば、凍結乾燥による)である。ある特定の実施形態では、本開示はまた、脂質ナノ粒子の安定性を増加させる方法に関し、例えば、約−150℃〜約0℃または約−80℃〜約−20℃、例えば、約−5℃、−10℃、−15℃、−20℃、−25℃、−30℃、−40℃、−50℃、−60℃、−70℃、−80℃、−90℃、−130℃、または−150℃の温度などの4℃以下の温度で、脂質ナノ粒子及び/またはその医薬組成物を貯蔵することによる。
脂質ナノ粒子及び/または1つ以上の脂質ナノ粒子を含む医薬組成物は、1つ以上の特定の細胞、組織、臓器、または腎臓系などの系もしくは群への治療薬及び/または予防薬の送達によって提供される治療効果から利益を得る可能性がある患者または対象を含む任意の患者または対象に投与することができる。本明細書で提供される脂質ナノ粒子及び脂質ナノ粒子を含む医薬組成物の説明は、ヒトへの投与に適した組成物を主に対象としているが、このような組成物は一般に任意の他の哺乳動物への投与に適していることを当業者は理解するであろう。組成物を様々な動物への投与に適するようにするためのヒトへの投与に適する組成物の修正はよく理解されており、通常の獣医薬理学者は、もしあれば、通常に過ぎない実験でそのような修正を設計及び/または実施できる。組成物の投与が企図される対象には、ヒト、他の霊長類、ならびにウシ、ブタ、ホース、ヒツジ、ネコ、イヌ、マウス、及び/またはラットなどの商業的に適切な哺乳動物を含む他の哺乳動物が含まれるが、これらに限定されない。
1つ以上の脂質ナノ粒子を含む医薬組成物は、薬理学の分野で知られているかまたは今後開発される任意の方法によって調製することができる。一般に、そのような調製方法には、活性成分を賦形剤及び/または1つ以上の他の副成分と組み合わせ、その後、必要ならばまたは必要に応じて、製品を所望の単回用量単位または複数回用量単位に分割、成形、及び/または包装することが含まれる。
本開示による医薬組成物は、単回単位用量として、及び/または複数の単回単位用量として、大量に調製、包装、及び/または販売することができる。本明細書で使用されるとき、「単位用量」は、所定量の活性成分(例えば、脂質ナノ粒子)を含む医薬組成物の個別の量である。活性成分の量は、一般に、対象に投与される活性成分の投与量及び/または例えばそのような投与量の半分もしくは3分の1などのそのような投与量の便利な画分に等しい。
医薬組成物は、様々な投与経路及び方法に適した様々な形態で調製することができる。一実施形態では、そのような組成物は、液体形態で調製されるか、または凍結乾燥され、さらに(例えば、4℃または氷点下で保管される)。例えば、医薬組成物は、液体剤形(例えば、エマルジョン、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、及びエリキシル)、注射可能な形態、固体剤形(例えば、カプセル、錠剤、丸薬、粉末、及び顆粒)、局所及び/または経皮投与用の剤形(例えば、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤、及びパッチ)、懸濁液、粉末、ならびに他の形態で調製され得る。
経口及び非経口投与用の液体剤形には、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、及び/またはエリキシルが含まれるが、これらに限定されない。活性成分に加えて、液体剤形は、例えば水または他の溶媒、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、及びそれらの混合物などの可溶化剤及び乳化剤など、当技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤を含んでもよい。不活性希釈剤に加えて、経口組成物は、追加の治療薬及び/または予防薬、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味料、香味料、及び/または香料などの追加の薬剤を含むことができる。非経口投与のためのある特定の実施形態では、組成物は、Cremophor(登録商標)、アルコール、油、改質油、グリコール、ポリソルベート、シクロデキストリン、ポリマー、及び/またはそれらの組み合わせなどの可溶化剤と混合される。
注射用製剤、例えば、滅菌注射用水性または油性懸濁液は、適切な分散剤、湿潤剤、及び/または懸濁剤を使用して、公知の技術に従って製剤化することができる。滅菌注射用製剤は、例えば1,3−ブタンジオール溶液として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤及び/または溶媒中の滅菌注射用溶液、懸濁液、及び/またはエマルジョンであり得る。使用され得る許容可能な媒体及び溶媒は、水、リンガー液、U.S.P、及び生理食塩液である。滅菌の不揮発性油が、従来、溶媒または懸濁媒体として使用されている。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性不揮発性油が使用され得る。オレイン酸などの脂肪酸も注射剤の調製に使用することができる。
注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通しての濾過により、及び/または使用前に滅菌水もしくは他の滅菌注射用媒体に溶解もしくは分散できる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことにより滅菌することができる。
活性成分の効果を長引かせるために、皮下または筋肉内注射からの活性成分の吸収を遅延させることがしばしば望ましい。これは、水への溶解度が低い結晶性またはアモルファス材料の液体懸濁液を使用することで実現できる。したがって、薬物の吸収速度はその溶解速度に依存し、結果として、結晶サイズ及び結晶形に依存し得る。代替的に、非経口投与された薬物形態の遅延吸収は、薬物を油性媒体に溶解または懸濁することにより達成される。注射可能なデポー剤は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に薬物のマイクロカプセル化されたマトリックスを形成することにより作製される。薬物のポリマーに対する比率及び使用する特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出の速度を制御できる。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルソエステル)及びポリ(無水物)が含まれる。デポー注射製剤は、薬物を体組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルジョンに捕捉することにより調製される。
直腸または膣投与用の組成物は、典型的には、周囲温度では固体であるが体温では液体であり、したがって直腸または膣腔で溶解して活性成分を放出するカカオバター、ポリエチレングリコールまたは坐薬ワックスなどの適切な非刺激性賦形剤と組成物を混合することによって調製できる坐薬である。
組成物の局所及び/または経皮投与用の剤形には、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤、及び/またはパッチが含まれ得る。一般に、活性成分は、滅菌条件下で、薬学的に許容される賦形剤及び/または必要に応じて必要な保存剤及び/または緩衝液と混合される。さらに、本開示は、経皮パッチの使用を企図しており、これは、身体への化合物の制御された送達を提供するという追加の利点をしばしば有する。そのような剤形は、例えば、適切な媒体に化合物を溶解及び/または分配することにより調製することができる。代替的または追加的に、速度制御膜を提供することにより、及び/または化合物をポリマーマトリックス及び/またはゲルに分散させることにより、速度を制御することができる。
本明細書に記載の皮内医薬組成物を送達する際に使用するのに適したデバイスには、米国特許第4,886,499号;同第5,190,521号;同第5,328,483号;同第5,527,288号;同第4,270,537号;同第5,015,235号;同第5,141,496号;及び同第5,417,662号に記載されるもののような、短針デバイスが含まれる。皮内組成物は、PCT公開WO99/34850及びその機能的同等物に記載されているものなど、針の皮膚への有効な浸透長を制限するデバイスによって投与することができる。液体ジェット注射器及び/または角質層を突き刺して真皮に到達するジェットを生成する針を介して真皮に液体組成物を送達するジェット注射装置が適切である。ジェット噴射装置は、例えば、米国特許第5,480,381号、同第5,599,302号;同第5,334,144号;同第5,993,412号;同第5,649,912号;同第5,569,189号;同第5,704,911号;同第5,383,851号;同第5,893,397号;同第5,466,220号;同第5,339,163号;同第5,312,335号;同第5,503,627号;同第5,064,413号;同第5,520,639号;同第4,596,556号;同第4,790,824号;同第4,941,880号;同第4,940,460号;ならびにPCT公開WO97/37705及び同WO97/13537に記載されている。圧縮ガスを使用して粉末形態のワクチンを皮膚の外層から真皮まで加速する弾道粉末/粒子送達装置が適切である。代替的または追加的に、従来の注射器を皮内投与の古典的なマントー法で使用してもよい。
局所投与に適した製剤には、リニメント、ローション、クリーム、軟膏及び/またはペーストなどの水中油及び/または油中水エマルジョン、及び/または溶液及び/または懸濁液などの液体及び/または半液体製剤が含まれるが、これらに限定されない。局所投与可能な製剤は、例えば、約1%〜約10%(wt/wt)の活性成分を含んでもよいが、活性成分の濃度は、溶媒中の活性成分の溶解限度と同じくらい高くてもよい。局所投与用の製剤は、本明細書に記載の1つ以上の追加の成分をさらに含んでもよい。
医薬組成物は、口腔を介した肺投与に適した製剤で調製、包装、及び/または販売することができる。そのような製剤は、活性成分を含む乾燥粒子を含んでもよい。そのような組成物は、好都合には、噴射剤の流れが粉末を分散するように向けられ得る乾燥粉末リザーバーを含むデバイスを使用するか、及び/または密封容器内の低沸点噴射剤に溶解及び/または懸濁した活性成分を含むデバイスなどの自己推進溶媒/粉末分配容器を使用する投与用の乾燥粉末の形態である。乾燥粉末組成物には、砂糖などの固体微粉末希釈剤を含むことができ、単位用量形態で便利に提供される。
低沸点噴射剤には、一般に、大気圧で沸点が65°F未満の液体噴射剤が含まれる。一般に、推進剤は組成物の50%〜99.9%(wt/wt)を構成してもよく、活性成分は組成物の0.1%〜20%(wt/wt)を構成してもよい。噴射剤は、液体非イオン性及び/または固体アニオン性界面活性剤及び/または固体希釈剤(活性成分を含む粒子と同程度の粒径を有し得る)などの追加成分をさらに含み得る。
肺送達用に製剤化された医薬組成物は、溶液及び/または懸濁液の液滴の形態で活性成分を提供し得る。そのような製剤は、活性成分を含む、必要に応じて滅菌された水性及び/または希釈アルコール溶液及び/または懸濁液として調製、包装、及び/または販売され得、任意の噴霧及び/または噴霧デバイスを使用して都合よく投与され得る。そのような製剤は、サッカリンナトリウムなどの香味剤、揮発性油、緩衝剤、界面活性剤、及び/またはメチルヒドロキシベンゾエートなどの保存剤を含むがこれらに限定されない1つ以上の追加成分をさらに含んでもよい。この投与経路により提供される液滴は、約1nm〜約200nmの範囲の平均直径を有し得る。
本明細書で肺送達に有用であると記載されている製剤は、医薬組成物の鼻腔内送達に有用である。鼻腔内投与に適した別の製剤は、活性成分を含み、約0.2μm〜500μmの平均粒子を有する粗い粉末である。そのような製剤は、嗅ぎタバコを摂取する方法で、すなわち鼻の近くに保持された粉末の容器から鼻道を介して急速に吸入することにより投与される。
経鼻投与に適した製剤は、例えば、約0.1%(wt/wt)という少量から約100%(wt/wt)という多量までの活性成分を含んでもよく、本明細書に記載の1つ以上の追加成分を含んでもよい。医薬組成物は、頬側投与に適した製剤で調製、包装、及び/または販売することができる。そのような製剤は、例えば、従来の方法を使用して作られた錠剤及び/またはロゼンジの形態であり得、例えば、0.1%〜20%(wt/wt)の活性成分であり得、残りは経口溶解性及び/または分解性組成物、ならびに必要に応じて、本明細書に記載の1つ以上の追加成分を含む。代替的に、口腔投与に適した製剤は、活性成分を含む粉末及び/またはエアロゾル化及び/または噴霧化された溶液及び/または懸濁液を含み得る。そのような粉末、エアロゾル化、及び/またはエアロゾル化された製剤は、分散されるとき、約0.1nm〜約200nmの範囲の平均粒子及び/または液滴サイズを有し、さらに本明細書に記載の1つ以上の追加成分を含んでもよい。
医薬組成物は、点眼に適した製剤で調製、包装、及び/または販売することができる。そのような製剤は、例えば、水性または油性液体賦形剤中の活性成分の0.1/1.0%(wt/wt)溶液及び/または懸濁液を含む点眼薬の形態であってもよい。そのような液滴は、緩衝剤、塩、及び/または本明細書に記載の任意の追加の成分のうちの1つ以上をさらに含み得る。有用な他の眼科的に投与可能な製剤には、微結晶形態及び/またはリポソーム製剤中の活性成分を含むものが含まれる。点耳薬及び/または点眼薬は、本開示の範囲内であると考えられる。
本開示の他の実施形態
本開示は、下記の実施形態に関する。このセクションを通じて、実施形態という用語は、「E」と略されており、「E」の後には序数が付く。例えば、E1は、実施形態1と同義である。
E1.(i)イオン化可能な脂質、
(ii)有効量のフィトステロール、
(iii)任意選択の非カチオン性ヘルパー脂質、
(iv)任意選択のPEG脂質、
(v)任意選択の構造脂質、及び
(vi)核酸分子
を含む脂質ナノ粒子であって、
前記有効量の前記フィトステロールが、前記フィトステロールを含まない脂質ナノ粒子と比較して免疫細胞への前記核酸分子の送達を増進する、前記脂質ナノ粒子。
E2.前記免疫細胞における前記核酸分子の細胞内濃度が増進する、E1に記載の脂質ナノ粒子。
E3.前記免疫細胞による前記核酸分子の取り込みが増進する、E1に記載の脂質ナノ粒子。
E4.前記免疫細胞における前記核酸分子の活性が増進する、E1に記載の脂質ナノ粒子。
E5.前記免疫細胞における前記核酸分子の発現が増進する、E1に記載の脂質ナノ粒子。
E6.前記核酸分子によって前記免疫細胞の活性化または活性が調節される、E1〜E5のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E7.前記核酸分子によって前記免疫細胞の活性化または活性が増加する、E6に記載の脂質ナノ粒子。
E8.前記核酸分子によって前記免疫細胞の活性化または活性が低減される、E6に記載の脂質ナノ粒子。
E9.前記核酸分子によってコードされるタンパク質の活性が、前記免疫細胞において増進する、E1に記載の脂質ナノ粒子。
E10.前記核酸分子によってコードされるタンパク質の発現が、前記免疫細胞において増進する、E1に記載の脂質ナノ粒子。
E11.前記タンパク質によって前記免疫細胞の活性化または活性が調節される、E9〜E10のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E12.前記タンパク質によって前記免疫細胞の活性化または活性が増加する、E11に記載の脂質ナノ粒子。
E13.前記タンパク質によって前記免疫細胞の活性化または活性は低減される、E11に記載の脂質ナノ粒子。
E14.前記免疫細胞が、T細胞、樹状細胞、マクロファージ、及びB細胞からなる群から選択される、E1〜E13のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E15.前記免疫細胞が、T細胞である、E14に記載の脂質ナノ粒子。
E16.前記免疫細胞が、B細胞である、E14に記載の脂質ナノ粒子。
E17.送達が、in vivoで増進する、E1〜E16のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E18.前記フィトステロールが、70%超、80%超、または90%超の純度を有する、E1〜E17のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E19.前記フィトステロールが、95%超の純度を有する、E1〜E17のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E20.前記フィトステロールが、97%、98%、または99%の純度を有する、E1〜E17のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E21.前記フィトステロールが、シトステロール、スチグマステロール、またはそれらの組み合わせである、E1〜E20のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E22.前記フィトステロールが、シトステロールまたはその塩もしくはエステルを含む、E21に記載の脂質ナノ粒子。
E23.前記フィトステロールが、スチグマステロール またはその塩もしくはエステルを含む、E21に記載の脂質ナノ粒子。
E24.前記フィトステロールが、ベータ−シトステロール
またはその塩もしくはエステルである、E1〜E20のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E25.前記ベータ−シトステロールが、70%超または80%超の純度を有する、E24に記載の脂質ナノ粒子。
E26.前記ベータ−シトステロールが、90%超の純度を有する、E24に記載の脂質ナノ粒子。
E27.前記ベータ−シトステロールが、95%超の純度を有する、E24に記載の脂質ナノ粒子。
E28.前記ベータ−シトステロールが、97%、98%、または99%の純度を有する、E24に記載の脂質ナノ粒子。
E29.構造脂質を含まない、E1〜E28のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E30.構造脂質またはその塩を含む、E1〜E28のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E31.前記構造脂質が、コレステロールまたはその塩である、E30に記載の脂質ナノ粒子。
E32.コレステロールのmol%が、前記脂質ナノ粒子に存在するフィトステロールのmol%の約1%〜50%である、E31に記載の脂質ナノ粒子。
E33.コレステロールのmol%が、前記脂質ナノ粒子に存在するフィトステロールのmol%の約10%〜40%である、E31に記載の脂質ナノ粒子。
E34.コレステロールのmol%が、前記脂質ナノ粒子に存在するフィトステロールのmol%の約20%〜30%である、E31に記載の脂質ナノ粒子。
E35.コレステロールのmol%が、前記脂質ナノ粒子に存在するフィトステロールのmol%の約30%である、E31に記載の脂質ナノ粒子。
E36.前記イオン化可能な脂質が、式(I)、式(IA)、式(II)、式(IIa)、式(IIb)、式(IIc)、式(IId)、式(IIe)、式(III)、及び式(IIIa1−8)のいずれかの化合物、及び/または化合物X、化合物Y、化合物Z、化合物Q、もしくは化合物Mのいずれか、を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E37.前記イオン化可能な脂質が、3−(ジドデシルアミノ)−N1,N1,4−トリドデシル−1−ピペラジンエタンアミン(KL10)、N1−[2−(ジドデシルアミノ)エチル]−N1,N4,N4−トリドデシル−1,4−ピペラジンジエタンアミン(KL22)、14,25−ジトリデシル−15,18,21,24−テトラアザ−オクタトリアコンタン(KL25)、1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLin−DMA)、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノメチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−DMA)、ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イル4−(ジメチルアミノ)ブタノエート(DLin−MC3−DMA)、2,2−ジリノレイル−4−(2−ジメチルアミノエチル)−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、1,2−ジオレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DODMA)、2−({8−[(3β)−コレスト−5−エン−3−イルオキシ]オクチル}オキシ)−N,N−ジメチル−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]プロパン−1−アミン(Octyl−CLinDMA)、(2R)−2−({8−[(3β)−コレスト−5−エン−3−イルオキシ]オクチル}オキシ)−N,N−ジメチル−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]プロパン−1−アミン(Octyl−CLinDMA(2R))、及び(2S)−2−({8−[(3β)−コレスト−5−エン−3−イルオキシ]オクチル}オキシ)−N,N−ジメチル−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]プロパン−1−アミン(Octyl−CLinDMA(2S))からなる群から選択される少なくとも1つの脂質である、先行実施形態のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E38.前記イオン化可能な脂質が、
またはその塩である、先行実施形態のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E39.前記イオン化可能な脂質が、
またはその塩である、先行実施形態のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E40.非カチオン性ヘルパー脂質を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E41.前記非カチオン性ヘルパー脂質が、リン脂質である、E40に記載の脂質ナノ粒子。
E42.前記リン脂質が、1,2−ジリノレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DLPC)、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−ホスホコリン(DMPC)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DOPC)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DSPC)、1,2−ジウンデカノイル−sn−グリセロ−ホスホコリン(DUPC)、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(POPC)、1,2−ジ−O−オクタデセニル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(18:0 Diether PC)、1−オレオイル−2−コレステリルヘミスクシノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(OChemsPC)、1−ヘキサデシル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(C16 Lyso PC)、1,2−ジリノレノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、1,2−ジアラキドノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、1,2−ジドコサヘキサエノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2−ジフィタノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(ME 16.0 PE)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジリノレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジリノレノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジアラキドノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジドコサヘキサエノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−rac−(1−グリセロール)ナトリウム塩(DOPG)、スフィンゴミエリン、及びそれらの混合物からなる群から選択される、E41に記載の脂質ナノ粒子。
E43.前記リン脂質が、DSPCである、E42に記載の脂質ナノ粒子。
E44.前記非カチオン性ヘルパー脂質が、オレイン酸である、E40に記載の脂質ナノ粒子。
E45.PEG脂質を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E46.前記PEG脂質が、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、PEG修飾ジアルキルグリセロール、及びそれらの混合物からなる群から選択される、E45に記載の脂質ナノ粒子。
E47.前記PEG脂質が、PEG−c−DOMG脂質、PEG−DMG脂質、PEG−DLPE脂質、PEG−DMPE脂質、PEG−DPPC脂質、及びPEG−DSPE脂質からなる群から選択される、E45に記載の脂質ナノ粒子。
E48.前記PEG脂質が、PEG−DMGである、E47に記載の脂質ナノ粒子。
E49.イオン化可能な脂質を約30mol%〜約60mol%含み、リン脂質を約0mol%〜約30mol%含み、ステロールを約18.5mol%〜約48.5mol%含み、PEG脂質を約0mol%〜約10mol%含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E50.イオン化可能な脂質を約35mol%〜約55mol%含み、リン脂質を約5mol%〜約25mol%含み、ステロールを約30mol%〜約40mol%含み、PEG脂質を約0mol%〜約10mol%含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E51.イオン化可能な脂質を約50mol%含み、リン脂質を約10mol%含み、ステロールを約38.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E52.前記核酸分子が、RNA、mRNA、RNAi、dsRNA、siRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、CRISPR/Cas9、ssDNA、及びDNAからなる群から選択される、E1〜E51のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E53.前記核酸が、ショートマー、アンタゴmir、アンチセンス、リボザイム、低分子干渉RNA(siRNA)、非対称干渉RNA(aiRNA)、マイクロRNA(miRNA)、ダイサー基質RNA(dsRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、及びそれらの混合物からなる群から選択されるRNAである、E52に記載の脂質ナノ粒子。
E54.前記核酸が、mRNAである、E53に記載の脂質ナノ粒子。
E55.前記mRNAが、1つ以上の修飾核酸塩基を含む修飾mRNAである、E54に記載の脂質ナノ粒子。
E56.前記mRNAが、ステムループ、鎖終結ヌクレオシド、ポリA配列、ポリアデニル化シグナル、及び/または5’キャップ構造、のうちの1つ以上を含む、E54またはE55に記載の脂質ナノ粒子。
E57.前記mRNAが、前記免疫細胞において発現させるためのタンパク質をコードする、E54〜E56のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E58.前記免疫細胞が、T細胞、樹状細胞、マクロファージ、及びB細胞からなる群から選択される、E57に記載の脂質ナノ粒子。
E59.前記免疫細胞が、T細胞である、E58に記載の脂質ナノ粒子。
E60.前記免疫細胞が、G1期の進行の制御が解除されたものである、E57に記載の脂質ナノ粒子。
E61.前記mRNAによってコードされる前記タンパク質が、前記タンパク質を発現する前記免疫細胞の活性化または活性を増加させる、E57〜E60のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E62.前記mRNAによってコードされる前記タンパク質が、前記タンパク質を発現する前記免疫細胞の活性化または活性を低減する、E57〜E60のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E63.前記mRNAによってコードされる前記タンパク質が、前記タンパク質を発現する前記免疫細胞に対する免疫応答を増進する、E57〜E60のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E64.前記mRNAによってコードされる前記タンパク質が、前記タンパク質を発現する前記免疫細胞による免疫応答を増進する、E57〜E60のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E65.前記mRNAによってコードされる前記タンパク質が、サイトカイン、ケモカイン、共刺激因子、T細胞受容体(TcR)、キメラ抗原受容体(CAR)、動員因子、転写因子、エフェクター分子、及び酵素からなる群から選択される、E57〜E60のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E66.前記タンパク質が、CD28、CD80、CD86、ICOSからなる群から選択される共刺激因子である、E65に記載の脂質ナノ粒子。
E67.前記免疫細胞が、T細胞であり、前記タンパク質が、がん抗原を認識するT細胞受容体またはキメラ抗原受容体である、E65に記載の脂質ナノ粒子。
E68.前記タンパク質が、サイトカインである、E65に記載の脂質ナノ粒子。
E69.前記サイトカインが、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−10、IL−12、IL−13、IL−15、Il−18、IL−21、TNFα、GM−CSF、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、E68に記載の脂質ナノ粒子。
E70.前記タンパク質が、免疫応答を亢進または極性化させる転写因子である、E65に記載の脂質ナノ粒子。
E71.前記タンパク質が、TGFβの発現または活性を低減する、E65に記載の脂質ナノ粒子。
E72.前記免疫細胞が、T細胞であり、前記タンパク質が、グランザイムA/Bまたはパーフォリンである、E65に記載の脂質ナノ粒子。
E73.前記免疫細胞が、T細胞であり、前記タンパク質が、CTLA4である、E62に記載の脂質ナノ粒子。
E74.前記LNPが、第1のタンパク質及び第2のタンパク質をコードする少なくとも2つのmRNA分子を含み、前記第1のタンパク質及び/または第2のタンパク質が、免疫細胞の活性化または活性を増加させる、E65に記載の脂質ナノ粒子。
E75.前記免疫細胞が、B細胞である、E58に記載の脂質ナノ粒子。
E76.(i)イオン化可能な脂質、
(ii)有効量のフィトステロール、
(iii)非カチオン性ヘルパー脂質、
(iv)PEG脂質、及び
(v)目的タンパク質をコードするmRNA
を含む脂質ナノ粒子であって、
前記有効量の前記フィトステロールが、前記フィトステロールを含まない脂質ナノ粒子と比較して免疫細胞への前記mRNAの送達を増進する、前記脂質ナノ粒子。
E77.前記免疫細胞における前記mRNAの細胞内濃度が増進する、E76に記載の脂質ナノ粒子。
E78.前記免疫細胞による前記mRNAの取り込みが増進する、E76に記載の脂質ナノ粒子。
E79.前記免疫細胞における前記mRNAの活性が増進する、E76に記載の脂質ナノ粒子。
E80.前記免疫細胞における前記mRNAの発現が増進する、E76に記載の脂質ナノ粒子。
E81.前記mRNAによってコードされる前記タンパク質の活性が、前記免疫細胞において増進する、E76に記載の脂質ナノ粒子。
E82.前記mRNAによってコードされる前記タンパク質の発現が、前記免疫細胞において増進する、E76に記載の脂質ナノ粒子。
E83.前記タンパク質によって前記免疫細胞の活性化または活性が調節される、E81またはE82のいずれかに記載の脂質ナノ粒子。
E84.前記タンパク質によって前記免疫細胞の活性化または活性が増加する、E83に記載の脂質ナノ粒子。
E85.前記タンパク質によって前記免疫細胞の活性化または活性は低減される、E83に記載の脂質ナノ粒子。
E86.前記免疫細胞が、T細胞、樹状細胞、マクロファージ、及びB細胞からなる群から選択される、E76〜E85のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E87.前記免疫細胞が、T細胞である、E85に記載の脂質ナノ粒子。
E88.前記免疫細胞が、B細胞である、E85に記載の脂質ナノ粒子。
E89.送達が、in vivoで増進する、E76〜E88のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E90.前記フィトステロールが、70%超、80%超、または95%超の純度を有する、E76〜E89のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E91.前記フィトステロールが、97%、98%、または99%の純度を有する、E76〜E89のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E92.前記フィトステロールが、シトステロール、スチグマステロール、またはそれらの組み合わせである、E76〜E91のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E93.前記フィトステロールが、シトステロールまたはその塩もしくはエステルを含む、E92に記載の脂質ナノ粒子。
E94.前記フィトステロールが、スチグマステロールまたはその塩もしくはエステルを含む、E92に記載の脂質ナノ粒子。
E95.前記フィトステロールが、ベータ−シトステロール
またはその塩もしくはエステルである、E76〜E91のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E96.前記ベータ−シトステロールが、70%超、80%超、または90%超の純度を有する、E75〜E90のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E97.前記ベータ−シトステロールが、95%超の純度を有する、E95に記載の脂質ナノ粒子。
E98.前記ベータ−シトステロールが、97%、98%、または99%の純度を有する、E95に記載の脂質ナノ粒子。
E99.構造脂質を含まない、E76〜E98のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E100.構造脂質またはその塩をさらに含む、E76〜E98のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E101.前記構造脂質が、コレステロールまたはその塩である、E100に記載の脂質ナノ粒子。
E102.コレステロールのmol%が、前記脂質ナノ粒子に存在するフィトステロールのmol%の約1%〜50%である、E101に記載の脂質ナノ粒子。
E103.コレステロールのmol%が、前記脂質ナノ粒子に存在するフィトステロールのmol%の約10%〜40%である、E101に記載の脂質ナノ粒子。
E104.コレステロールのmol%が、前記脂質ナノ粒子に存在するフィトステロールのmol%の約20%〜30%である、E101に記載の脂質ナノ粒子。
E105.コレステロールのmol%が、前記脂質ナノ粒子に存在するフィトステロールのmol%の約30%である、E101に記載の脂質ナノ粒子。
E106.前記イオン化可能な脂質が、式(I)、式(IA)、式(II)、式(IIa)、式(IIb)、式(IIc)、式(IId)、式(IIe)、式(III)、及び式(IIIa1−8)のいずれかの化合物、及び/または化合物X、化合物Y、化合物Z、化合物Q、もしくは化合物Mのいずれか、を含む、E76〜E105のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E107.前記イオン化可能な脂質が、3−(ジドデシルアミノ)−N1,N1,4−トリドデシル−1−ピペラジンエタンアミン(KL10)、N1−[2−(ジドデシルアミノ)エチル]−N1,N4,N4−トリドデシル−1,4−ピペラジンジエタンアミン(KL22)、14,25−ジトリデシル−15,18,21,24−テトラアザ−オクタトリアコンタン(KL25)、1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLin−DMA)、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノメチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−DMA)、ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イル4−(ジメチルアミノ)ブタノエート(DLin−MC3−DMA)、2,2−ジリノレイル−4−(2−ジメチルアミノエチル)−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、1,2−ジオレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DODMA)、2−({8−[(3β)−コレスト−5−エン−3−イルオキシ]オクチル}オキシ)−N,N−ジメチル−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]プロパン−1−アミン(Octyl−CLinDMA)、(2R)−2−({8−[(3β)−コレスト−5−エン−3−イルオキシ]オクチル}オキシ)−N,N−ジメチル−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]プロパン−1−アミン(Octyl−CLinDMA(2R))、及び(2S)−2−({8−[(3β)−コレスト−5−エン−3−イルオキシ]オクチル}オキシ)−N,N−ジメチル−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]プロパン−1−アミン(Octyl−CLinDMA(2S))からなる群から選択される少なくとも1つの脂質である、E76〜E106のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E108.前記イオン化可能な脂質が、
またはその塩である、E76〜E107のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E109.前記イオン化可能な脂質が、
またはその塩である、E76〜E107のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E110.前記非カチオン性ヘルパー脂質が、リン脂質である、E76〜E109のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E111.前記リン脂質が、1,2−ジリノレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DLPC)、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−ホスホコリン(DMPC)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DOPC)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DSPC)、1,2−ジウンデカノイル−sn−グリセロ−ホスホコリン(DUPC)、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(POPC)、1,2−ジ−O−オクタデセニル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(18:0 Diether PC)、1−オレオイル−2−コレステリルヘミスクシノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(OChemsPC)、1−ヘキサデシル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(C16 Lyso PC)、1,2−ジリノレノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、1,2−ジアラキドノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、1,2−ジドコサヘキサエノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2−ジフィタノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(ME 16.0 PE)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジリノレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジリノレノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジアラキドノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジドコサヘキサエノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−rac−(1−グリセロール)ナトリウム塩(DOPG)、スフィンゴミエリン、及びそれらの混合物からなる群から選択される、E110に記載の脂質ナノ粒子。
E112.前記リン脂質が、DSPCである、E111に記載の脂質ナノ粒子。
E113.前記非カチオン性ヘルパー脂質が、オレイン酸である、E76〜E109のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E114.前記PEG脂質が、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、PEG修飾ジアルキルグリセロール、及びそれらの混合物からなる群から選択される、E76〜E113のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E115.前記PEG脂質が、PEG−c−DOMG脂質、PEG−DMG脂質、PEG−DLPE脂質、PEG−DMPE脂質、PEG−DPPC脂質、及びPEG−DSPE脂質からなる群から選択される、E114に記載の脂質ナノ粒子。
E116.前記PEG脂質が、PEG−DMGである、E115に記載の脂質ナノ粒子。
E117.イオン化可能な脂質を約30mol%〜約60mol%含み、リン脂質を約0mol%〜約30mol%含み、ステロールを約18.5mol%〜約48.5mol%含み、PEG脂質を約0mol%〜約10mol%含む、E76〜E116のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E118.イオン化可能な脂質を約35mol%〜約55mol%含み、リン脂質を約5mol%〜約25mol%含み、ステロールを約30mol%〜約40mol%含み、PEG脂質を約0mol%〜約10mol%含む、E76〜E117のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E119.イオン化可能な脂質を約50mol%含み、リン脂質を約10mol%含み、ステロールを約38.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む、E76〜E118のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E120.前記mRNAが、1つ以上の修飾核酸塩基を含む修飾mRNAである、E76〜E119のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E121.前記mRNAが、ステムループ、鎖終結ヌクレオシド、ポリA配列、ポリアデニル化シグナル、及び/または5’キャップ構造、のうちの1つ以上を含む、E76〜E120のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E122.免疫細胞が、G1期の進行の制御が解除されたものである、E76〜E121のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E123.前記mRNAによってコードされる前記タンパク質が、前記タンパク質を発現する前記免疫細胞の活性化または活性を増加させる、E76〜E122のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E124.前記mRNAによってコードされる前記タンパク質が、前記タンパク質を発現する前記免疫細胞の活性化または活性を低減する、E76〜E122のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E125.前記mRNAによってコードされる前記タンパク質が、前記タンパク質を発現する前記免疫細胞に対する免疫応答を増進する、E76〜E122のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E126.前記mRNAによってコードされる前記タンパク質が、前記タンパク質を発現する前記免疫細胞による免疫応答を増進する、E76〜E122のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E127.前記mRNAによってコードされる前記タンパク質が、サイトカイン、ケモカイン、共刺激因子、T細胞受容体(TcR)、キメラ抗原受容体(CAR)、動員因子、転写因子、エフェクター分子、及び酵素からなる群から選択される、E76〜E122のいずれか1つに記載の脂質ナノ粒子。
E128.前記タンパク質が、CD28、CD80、CD86、ICOSからなる群から選択される共刺激因子である、E127に記載の脂質ナノ粒子。
E129.前記免疫細胞が、T細胞であり、前記タンパク質が、がん抗原を認識するT細胞受容体またはキメラ抗原受容体である、E127に記載の脂質ナノ粒子。
E130.前記タンパク質が、サイトカインである、E127に記載の脂質ナノ粒子。
E131.前記サイトカインが、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−10、IL−12、IL−13、IL−15、Il−18、IL−21、TNFα、GM−CSF、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、E130に記載の脂質ナノ粒子。
E132.前記タンパク質が、免疫応答を亢進または極性化させる転写因子である、E127に記載の脂質ナノ粒子。
E133.前記タンパク質が、TGFβの発現または活性を低減する、E127に記載の脂質ナノ粒子。
E134.前記免疫細胞が、T細胞であり、前記タンパク質が、グランザイムA/Bまたはパーフォリンである、E127に記載の脂質ナノ粒子。
E135.前記免疫細胞が、T細胞であり、前記タンパク質が、CTLA4である、E124に記載の脂質ナノ粒子。
E136.前記LNPが、第1のタンパク質及び第2のタンパク質をコードする少なくとも2つのmRNA分子を含み、前記第1のタンパク質及び/または第2のタンパク質が、前記免疫細胞の活性化または活性を増加させる、E127に記載の脂質ナノ粒子。
E137.免疫細胞に核酸分子を送達する方法であって、前記方法が、前記免疫細胞を脂質ナノ粒子(LNP)と接触させることを含み、
前記LNPが、
(i)イオン化可能な脂質、
(ii)フィトステロール、
(iii)任意選択の非カチオン性ヘルパー脂質、
(iv)任意選択のPEG脂質、
(v)任意選択の構造脂質、及び
(vi)核酸分子
を含み、
その結果、前記核酸分子が前記免疫細胞に送達される、前記方法。
E138.前記核酸分子が、in vivoで前記免疫細胞に送達される、E137に記載の方法。
E139.前記免疫細胞における前記核酸分子の細胞内濃度が増進する、E137に記載の方法。
E140.前記免疫細胞による前記核酸分子の取り込みが増進する、E137に記載の方法。
E141.前記免疫細胞における前記核酸分子の活性が増進するか、または前記免疫細胞における前記核酸分子の発現が増進する、E137に記載の方法。
E142.前記核酸分子によって前記免疫細胞の活性化または活性が調節される、E137〜E141のいずれか1つに記載の方法。
E143.前記核酸分子によって前記免疫細胞の活性化または活性が増加する、E142に記載の方法。
E144.前記核酸分子によって前記免疫細胞の活性化または活性が低減される、E142に記載の方法。
E145.前記核酸分子によってコードされるタンパク質の活性が、前記免疫細胞において増進する、E137に記載の方法。
E146.前記核酸分子によってコードされるタンパク質の発現が、前記免疫細胞において増進する、E137に記載の方法。
E147.前記タンパク質によって前記免疫細胞の活性化または活性が調節される、E145またはE146のいずれか1つに記載の方法。
E148.前記タンパク質によって前記免疫細胞の活性化または活性が増加する、E147に記載の方法。
E149.前記タンパク質によって前記免疫細胞の活性化または活性は低減される、E147に記載の方法。
E150.前記免疫細胞が、T細胞である、E137〜E149のいずれか1つに記載の方法。
E151.前記免疫細胞が、B細胞である、E137〜E149のいずれか1つに記載の方法。
E152.前記免疫細胞が、B細胞、マクロファージ、及び樹状細胞からなる群から選択される、E137〜E149のいずれか1つに記載の方法。
E153.同じまたは異なる核酸分子がカプセル化された第2のLNPを同時または連続的に投与することをさらに含み、前記第2のLNPが、フィトステロールを含まない、E137〜E152のいずれか1つに記載の方法。
E154.異なる核酸分子がカプセル化された第2のLNPを同時または連続的に投与することをさらに含み、前記第2のLNPが、フィトステロールを含む、E137〜E152のいずれか1つに記載の方法。
E155.免疫細胞中または免疫細胞上での目的タンパク質の発現を誘導する方法であって、前記方法が、前記免疫細胞を脂質ナノ粒子と接触させることを含み、
前記脂質ナノ粒子が、
(i)イオン化可能な脂質、
(ii)フィトステロール、
(iii)任意選択の非カチオン性ヘルパー脂質、
(iv)任意選択のPEG脂質、
(v)任意選択の構造脂質、及び
(vi)前記目的タンパク質をコードする核酸分子
を含み、
その結果、前記免疫細胞中または前記免疫細胞上で前記目的タンパク質の発現が誘導される、前記方法。
E156.前記核酸によってコードされる前記タンパク質が、前記タンパク質を発現する前記免疫細胞の活性化または活性を増加させる、E155に記載の方法。
E157.前記核酸によってコードされる前記タンパク質が、前記タンパク質を発現する前記免疫細胞の活性化または活性を低減する、E155に記載の方法。
E158.前記核酸によってコードされる前記タンパク質が、前記タンパク質を発現する前記免疫細胞に対する免疫応答を増進する、E155に記載の方法。
E159.前記核酸によってコードされる前記タンパク質が、前記タンパク質を発現する前記免疫細胞による免疫応答を増進する、E155に記載の方法。
E160.前記核酸によってコードされる前記タンパク質が、サイトカイン、ケモカイン、共刺激因子、T細胞受容体(TcR)、キメラ抗原受容体(CAR)、動員因子、転写因子、エフェクター分子からなる群から選択される、E155に記載の方法。
E161.前記免疫細胞が、T細胞である、E155〜E160のいずれか1つに記載の方法。
E162.前記免疫細胞が、B細胞である、E155〜E160のいずれか1つに記載の方法。
E163.同じまたは異なる核酸分子がカプセル化された第2のLNPを同時または連続的に投与することをさらに含み、前記第2のLNPが、フィトステロールを含まない、E155〜E162のいずれか1つに記載の方法。
E164.異なる核酸分子がカプセル化された第2のLNPを同時または連続的に投与することをさらに含み、前記第2のLNPが、フィトステロールを含む、E155〜E162のいずれか1つに記載の方法。
E165.T細胞の活性化または活性を調節する方法であって、前記方法がT細胞を脂質ナノ粒子(LNP)と接触させることを含み、
前記LNPが、
(i)イオン化可能な脂質、
(ii)フィトステロール、
(iii)任意選択の非カチオン性ヘルパー脂質、
(iv)任意選択のPEG脂質、
(v)任意選択の構造脂質、及び
(vi)核酸分子、
を含み、
その結果、T細胞の活性化または活性が調節される、前記方法。
E166.T細胞の活性化または活性が増進する、E165に記載の方法。
E167.T細胞の活性化または活性が低減される、E165に記載の方法。
E168.同じまたは異なる核酸分子がカプセル化された第2のLNPを同時または連続的に投与することをさらに含み、前記第2のLNPが、フィトステロールを含まない、E165〜E167のいずれか1つに記載の方法。
E169.異なる核酸分子がカプセル化された第2のLNPを同時または連続的に投与することをさらに含み、前記第2のLNPが、フィトステロールを含む、E165〜E167のいずれか1つに記載の方法。
E170.タンパク質に対する免疫応答を亢進させる方法であって、前記方法が、免疫細胞を脂質ナノ粒子(LNP)と接触させることを含み、前記LNPが、
(i)イオン化可能な脂質、
(ii)フィトステロール、
(iii)任意選択の非カチオン性ヘルパー脂質、
(iv)任意選択のPEG脂質、
(v)任意選択の構造脂質、及び
(vi)核酸分子
を含み、
その結果、前記タンパク質に対する前記免疫応答が亢進する、前記方法。
E171.前記タンパク質が、抗原である、E170に記載の方法。
E172.前記タンパク質が、がん抗原である、E171に記載の方法。
E173.前記タンパク質が、感染性疾患抗原である、E171に記載の方法。
E174.前記免疫細胞が、T細胞である、E170に記載の方法。
E175.前記免疫細胞が、B細胞である、E170に記載の方法。
E176.自体に対する免疫応答が増進する前記タンパク質を前記核酸分子がコードする、E171に記載の方法。
E177.自体に対する免疫応答が増進する前記タンパク質とは異なるタンパク質を前記核酸分子がコードする、E171に記載の方法。
E178.同じまたは異なる核酸分子がカプセル化された第2のLNPを同時または連続的に投与することをさらに含み、前記第2のLNPが、フィトステロールを含まない、E169〜E177のいずれか1つに記載の方法。
E179.異なる核酸分子がカプセル化された第2のLNPを同時または連続的に投与することをさらに含み、前記第2のLNPが、フィトステロールを含む、E169〜E177のいずれか1つに記載の方法。
E180.がん抗原に対するT細胞応答を亢進させる方法であって、前記方法が、前記T細胞を脂質ナノ粒子と接触させることを含み、前記脂質ナノ粒子が、
(i)イオン化可能な脂質、
(ii)フィトステロール、
(iii)任意選択の非カチオン性ヘルパー脂質、
(iv)任意選択のPEG脂質、
(v)任意選択の構造脂質、及び
(vi)前記がん抗原に結合するキメラ抗原受容体(CAR)をコードするmRNA
を含み、
その結果、前記がん抗原に対する前記T細胞応答が亢進する、前記方法。
E181.前記がん抗原が、CD33であり、前記CARが、抗CD33 CARである、E180に記載の方法。
E182.CD33+急性骨髄性白血病(AML)細胞に対する前記T細胞応答が亢進する、E181に記載の方法。
E183.同じまたは異なるmRNAがカプセル化された第2のLNPを同時または連続的に投与することをさらに含み、前記第2のLNPが、フィトステロールを含まない、E180〜E182のいずれか1つに記載の方法。
E184.異なるmRNAがカプセル化された第2のLNPを同時または連続的に投与することをさらに含み、前記第2のLNPが、フィトステロールを含む、E180〜E183のいずれか1つに記載の方法。
E185.前記免疫細胞またはT細胞が、前記脂質ナノ粒子とin vitroで接触する、E137〜E184のいずれか1つに記載の方法。
E186.前記免疫細胞またはT細胞が、前記脂質ナノ粒子を対象に投与することによって、前記脂質ナノ粒子とin vivoで接触する、E137〜E184のいずれか1つに記載の方法。
E187.前記脂質ナノ粒子が、静脈内投与される、E186に記載の方法。
E188.前記脂質ナノ粒子が、筋肉内投与される、E186に記載の方法。
E189.前記脂質ナノ粒子が、皮下、節内、及び腫瘍内からなる群から選択される経路によって投与される、E186に記載の方法。
E190.前記免疫細胞またはT細胞における前記核酸分子の細胞内濃度が増進する、E155〜E179のいずれか1つに記載の方法。
E191.前記免疫細胞またはT細胞における前記核酸分子の活性が増進する、E155〜E179のいずれか1つに記載の方法。
E192.前記免疫細胞またはT細胞における前記核酸分子の発現が増進する、E155〜E179のいずれか1つに記載の方法。
E193.前記核酸分子によって前記免疫細胞またはT細胞の活性化または活性が調節される、E155〜E179のいずれか1つに記載の方法。
E194.前記核酸分子によって前記免疫細胞またはT細胞の活性化または活性が増加する、E155〜E179のいずれか1つに記載の方法。
E195.前記核酸分子によって前記免疫細胞またはT細胞の活性化または活性が低減される、E155〜E179のいずれか1つに記載の方法。
E196.前記免疫細胞が、T細胞、樹状細胞、マクロファージ、及びB細胞からなる群から選択される、E155〜E164及びE170〜E179のいずれか1つに記載の方法。
E197.前記免疫細胞が、T細胞である、E196に記載の方法。
E198.前記免疫細胞が、B細胞である、E196に記載の方法。
E199.前記フィトステロールが、70%超、80%超、90%超、または95%超の純度を有する、E137〜E198のいずれか1つに記載の方法。
E200.前記フィトステロールが、97%、98%、または99%の純度を有する、E137〜E198のいずれか1つに記載の方法。
E201.前記フィトステロールが、シトステロール、スチグマステロール、またはそれらの組み合わせである、E137〜E200のいずれか1つに記載の方法。
E202.前記フィトステロールが、シトステロールまたはその塩もしくはエステルを含む、E201に記載の方法。
E203.前記フィトステロールが、スチグマステロールまたはその塩もしくはエステルを含む、E201に記載の方法。
E204.前記フィトステロールが、ベータ−シトステロール
またはその塩もしくはエステルである、E137〜E200のいずれか1つに記載の方法。
E205.前記ベータ−シトステロールが、70%超または80%超または90%超の純度を有する、E203に記載の方法。
E206.前記ベータ−シトステロールが、95%超の純度を有する、E204に記載の方法。
E207.前記ベータ−シトステロールが、97%、98%、または99%の純度を有する、E204に記載の方法。
E208.構造脂質を含まない、E137〜E207のいずれか1つに記載の方法。
E209.前記脂質ナノ粒子が、構造脂質またはその塩を含む、E137〜E208のいずれか1つに記載の方法。
E210.前記構造脂質が、コレステロールまたはその塩である、E209に記載の方法。
E211.コレステロールのmol%が、前記脂質ナノ粒子に存在するフィトステロールのmol%の約1%〜50%である、E210に記載の方法。
E212.コレステロールのmol%が、前記脂質ナノ粒子に存在するフィトステロールのmol%の約10%〜40%である、E210に記載の方法。
E213.コレステロールのmol%が、前記脂質ナノ粒子に存在するフィトステロールのmol%の約20%〜30%である、E210に記載の方法。
E214.コレステロールのmol%が、前記脂質ナノ粒子に存在するフィトステロールのmol%の約30%である、E210に記載の方法。
E215.前記イオン化可能な脂質が、式(I)、式(IA)、式(II)、式(IIa)、式(IIb)、式(IIc)、式(IId)、式(IIe)、式(III)、及び式(IIIa1−8)のいずれかの化合物、及び/または化合物X、化合物Y、化合物Z、化合物Q、もしくは化合物Mのいずれか、を含む、E137〜E214のいずれか1つに記載の方法。
E216.前記イオン化可能な脂質が、3−(ジドデシルアミノ)−N1,N1,4−トリドデシル−1−ピペラジンエタンアミン(KL10)、N1−[2−(ジドデシルアミノ)エチル]−N1,N4,N4−トリドデシル−1,4−ピペラジンジエタンアミン(KL22)、14,25−ジトリデシル−15,18,21,24−テトラアザ−オクタトリアコンタン(KL25)、1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLin−DMA)、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノメチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−DMA)、ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イル4−(ジメチルアミノ)ブタノエート(DLin−MC3−DMA)、2,2−ジリノレイル−4−(2−ジメチルアミノエチル)−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、1,2−ジオレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DODMA)、2−({8−[(3β)−コレスト−5−エン−3−イルオキシ]オクチル}オキシ)−N,N−ジメチル−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]プロパン−1−アミン(Octyl−CLinDMA)、(2R)−2−({8−[(3β)−コレスト−5−エン−3−イルオキシ]オクチル}オキシ)−N,N−ジメチル−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]プロパン−1−アミン(Octyl−CLinDMA(2R))、及び(2S)−2−({8−[(3β)−コレスト−5−エン−3−イルオキシ]オクチル}オキシ)−N,N−ジメチル−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]プロパン−1−アミン(Octyl−CLinDMA(2S))からなる群から選択される少なくとも1つの脂質である、E137〜E214のいずれか1つに記載の方法。
E217.前記イオン化可能な脂質が、
またはその塩である、E137〜E214のいずれか1つに記載の方法。
E218.前記イオン化可能な脂質が、
またはその塩である、E137〜E214のいずれか1つに記載の方法。
E219.前記脂質ナノ粒子が、非カチオン性ヘルパー脂質を含む、E137〜E214のいずれか1つに記載の方法。
E220.前記非カチオン性ヘルパー脂質が、リン脂質である、E219に記載の方法。
E221.前記リン脂質が、1,2−ジリノレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DLPC)、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−ホスホコリン(DMPC)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DOPC)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DSPC)、1,2−ジウンデカノイル−sn−グリセロ−ホスホコリン(DUPC)、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(POPC)、1,2−ジ−O−オクタデセニル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(18:0 Diether PC)、1−オレオイル−2−コレステリルヘミスクシノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(OChemsPC)、1−ヘキサデシル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(C16 Lyso PC)、1,2−ジリノレノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、1,2−ジアラキドノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、1,2−ジドコサヘキサエノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2−ジフィタノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(ME 16.0 PE)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジリノレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジリノレノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジアラキドノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジドコサヘキサエノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−rac−(1−グリセロール)ナトリウム塩(DOPG)、スフィンゴミエリン、及びそれらの混合物からなる群から選択される、E220に記載の方法。
E222.前記リン脂質が、DSPCである、E221に記載の方法。
E223.前記非カチオン性ヘルパー脂質が、オレイン酸である、E219に記載の方法。
E224.前記脂質ナノ粒子が、PEG脂質を含む、E137〜E223のいずれか1つに記載の方法。
E225.前記PEG脂質が、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、PEG修飾ジアルキルグリセロール、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項E224に記載の方法。
E226.前記PEG脂質が、PEG−c−DOMG脂質、PEG−DMG脂質、PEG−DLPE脂質、PEG−DMPE脂質、PEG−DPPC脂質、及びPEG−DSPE脂質からなる群から選択される、E224に記載の方法。
E227.前記PEG脂質が、PEG−DMGである、E226に記載の方法。
E228.前記脂質ナノ粒子が、イオン化可能な脂質を約30mol%〜約60mol%含み、リン脂質を約0mol%〜約30mol%含み、ステロールを約18.5mol%〜約48.5mol%含み、PEG脂質を約0mol%〜約10mol%含む、E137〜E227のいずれか1つに記載の方法。
E229.前記脂質ナノ粒子が、イオン化可能な脂質を約35mol%〜約55mol%含み、リン脂質を約5mol%〜約25mol%含み、ステロールを約30mol%〜約40mol%含み、PEG脂質を約0mol%〜約10mol%含む、E137〜E227のいずれか1つに記載の方法。
E230.前記脂質ナノ粒子が、イオン化可能な脂質を約50mol%含み、リン脂質を約10mol%含み、ステロールを約38.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む、E137〜E227のいずれか1つに記載の方法。
E231.前記核酸分子が、RNA、mRNA、RNAi、dsRNA、siRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、CRISPR/Cas9、ssDNA、及びDNAからなる群から選択される、E137〜180及びE185〜230のいずれか1つに記載の方法。
E232.前記核酸が、ショートマー、アンタゴmir、アンチセンス、リボザイム、低分子干渉RNA(siRNA)、非対称干渉RNA(aiRNA)、マイクロRNA(miRNA)、ダイサー基質RNA(dsRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、及びそれらの混合物からなる群から選択されるRNAである、E231に記載の方法。
E233.前記核酸が、mRNAである、E232に記載の方法。
E234.前記mRNAが、1つ以上の修飾核酸塩基を含む修飾mRNAである、E233に記載の方法。
E235.前記mRNAが、ステムループ、鎖終結ヌクレオシド、ポリA配列、ポリアデニル化シグナル、及び/または5’キャップ構造、のうちの1つ以上を含む、E233またはE234に記載の方法。
E236.前記mRNAが、前記免疫細胞において発現させるためのタンパク質をコードする、E233〜E235のいずれか1つに記載の方法。
E237.前記免疫細胞が、T細胞、樹状細胞、マクロファージ、及びB細胞からなる群から選択される、E236に記載の方法。
E238.前記免疫細胞が、T細胞である、E237に記載の方法。
E239.前記免疫細胞が、B細胞である、E237に記載の方法。
E240.前記免疫細胞が、G1期の進行の制御が解除されたものである、E236に記載の方法。
E241.対象における目的抗原に対する免疫応答を増進する方法であって、前記方法が、脂質ナノ粒子(LNP)を前記対象に投与することを含み、
前記LNPが、
(i)イオン化可能な脂質、
(ii)フィトステロール、
(iii)任意選択の非カチオン性ヘルパー脂質、
(iv)任意選択のPEG脂質、
(v)任意選択の構造脂質、及び
(vi)前記目的抗原をコードするmRNA
を含み、
前記LNPが、フィトステロールを含み、その結果、前記目的抗原をコードする前記mRNAがカプセル化されているが、前記フィトステロールを含まないLNPによって誘導される前記目的抗原に対する前記免疫応答と比較して、前記対象における前記目的抗原に対する前記免疫応答が増進する、前記方法。
E242.前記目的抗原が、がん抗原である、E241に記載の方法。
E243.前記目的抗原が、感染性疾患抗原である、E241に記載の方法。
E244.前記目的抗原が、細菌抗原、ウイルス抗原、真菌抗原、原生動物抗原、または寄生生物抗原である、E243に記載の方法。
E245.前記脂質ナノ粒子が、筋肉内投与される、E241に記載の方法。
E246.前記脂質ナノ粒子が、皮内投与される、E241に記載の方法。
E247.前記脂質ナノ粒子が、節内投与される、E241に記載の方法。
E248.前記免疫応答が、抗原特異的抗体応答である、E241に記載の方法。
E249.前記免疫応答が、抗原特異的T細胞応答である、E241に記載の方法。
E250.同じまたは異なるmRNAがカプセル化された第2のLNPを同時または連続的に投与することをさらに含み、前記第2のLNPが、フィトステロールを含まない、E241〜E249のいずれか1つに記載の方法。
E251.異なるmRNAがカプセル化された第2のLNPを同時または連続的に投与することをさらに含み、前記第2のLNPが、フィトステロールを含む、E241〜E249のいずれか1つに記載の方法。
E252.前記フィトステロールが、70%超の純度を有する、E241〜E251のいずれか1つに記載の方法。
E253.前記フィトステロールが、80%超の純度を有する、E241〜E251のいずれか1つに記載の方法。
E254.前記フィトステロールが、90%超の純度を有する、E241〜E251のいずれか1つに記載の方法。
E255.前記フィトステロールが、95%超の純度を有する、E241〜E251のいずれか1つに記載の方法。
E256.前記フィトステロールが、97%、98%、または99%の純度を有する、E241〜E251のいずれか1つに記載の方法。
E257.前記フィトステロールが、シトステロール、スチグマステロール、またはそれらの組み合わせである、E241〜E256のいずれか1つに記載の方法。
E258.前記フィトステロールが、シトステロールまたはその塩もしくはエステルを含む、E257に記載の方法。
E259.前記フィトステロールが、スチグマステロールまたはその塩もしくはエステルを含む、E257に記載の方法。
E260.前記フィトステロールが、ベータ−シトステロール
またはその塩もしくはエステルである、E241〜E256のいずれか1つに記載の方法。
E261.前記ベータ−シトステロールが、70%超または80%超の純度を有する、E260に記載の方法。
E262.前記ベータ−シトステロールが、90%超の純度を有する、E260に記載の方法。
E263.前記ベータ−シトステロールが、95%超の純度を有する、E260に記載の方法。
E264.前記ベータ−シトステロールが、97%、98%、または99%の純度を有する、E260に記載の方法。
E265.構造脂質を含まない、E241〜E264のいずれか1つに記載の方法。
E266.前記脂質ナノ粒子が、構造脂質またはその塩を含む、E241〜E264のいずれか1つに記載の方法。
E267.前記構造脂質が、コレステロールまたはその塩である、E266に記載の方法。
E268.コレステロールのmol%が、前記脂質ナノ粒子に存在するフィトステロールのmol%の約1%〜50%である、E267に記載の方法。
E269.コレステロールのmol%が、前記脂質ナノ粒子に存在するフィトステロールのmol%の約10%〜40%である、E267に記載の方法。
E270.コレステロールのmol%が、前記脂質ナノ粒子に存在するフィトステロールのmol%の約20%〜30%である、E267に記載の方法。
E271.コレステロールのmol%が、前記脂質ナノ粒子に存在するフィトステロールのmol%の約30%である、E267に記載の方法。
E272.前記イオン化可能な脂質が、式(I)、式(IA)、式(II)、式(IIa)、式(IIb)、式(IIc)、式(IId)、式(IIe)、式(III)、及び式(IIIa1−8)のいずれかの化合物、及び/または化合物X、化合物Y、化合物Z、化合物Q、もしくは化合物Mのいずれか、を含む、E241〜E271のいずれか1つに記載の方法。
E273.前記イオン化可能な脂質が、3−(ジドデシルアミノ)−N1,N1,4−トリドデシル−1−ピペラジンエタンアミン(KL10)、N1−[2−(ジドデシルアミノ)エチル]−N1,N4,N4−トリドデシル−1,4−ピペラジンジエタンアミン(KL22)、14,25−ジトリデシル−15,18,21,24−テトラアザ−オクタトリアコンタン(KL25)、1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLin−DMA)、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノメチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−DMA)、ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イル4−(ジメチルアミノ)ブタノエート(DLin−MC3−DMA)、2,2−ジリノレイル−4−(2−ジメチルアミノエチル)−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、1,2−ジオレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DODMA)、2−({8−[(3β)−コレスト−5−エン−3−イルオキシ]オクチル}オキシ)−N,N−ジメチル−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]プロパン−1−アミン(Octyl−CLinDMA)、(2R)−2−({8−[(3β)−コレスト−5−エン−3−イルオキシ]オクチル}オキシ)−N,N−ジメチル−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]プロパン−1−アミン(Octyl−CLinDMA(2R))、及び(2S)−2−({8−[(3β)−コレスト−5−エン−3−イルオキシ]オクチル}オキシ)−N,N−ジメチル−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]プロパン−1−アミン(Octyl−CLinDMA(2S))からなる群から選択される少なくとも1つの脂質である、E241〜E271のいずれか1つに記載の方法。
E274.前記イオン化可能な脂質が、
またはその塩である、E241〜E271のいずれか1つに記載の方法。
E275.前記イオン化可能な脂質が、
またはその塩である、E241〜E271のいずれか1つに記載の方法。
E276.前記脂質ナノ粒子が、非カチオン性ヘルパー脂質を含む、E241〜E275のいずれか1つに記載の方法。
E277.前記非カチオン性ヘルパー脂質が、リン脂質である、E276に記載の方法。
E278.前記リン脂質が、1,2−ジリノレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DLPC)、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−ホスホコリン(DMPC)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DOPC)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DSPC)、1,2−ジウンデカノイル−sn−グリセロ−ホスホコリン(DUPC)、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(POPC)、1,2−ジ−O−オクタデセニル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(18:0 Diether PC)、1−オレオイル−2−コレステリルヘミスクシノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(OChemsPC)、1−ヘキサデシル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(C16 Lyso PC)、1,2−ジリノレノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、1,2−ジアラキドノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、1,2−ジドコサヘキサエノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2−ジフィタノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(ME 16.0 PE)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジリノレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジリノレノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジアラキドノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジドコサヘキサエノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−rac−(1−グリセロール)ナトリウム塩(DOPG)、スフィンゴミエリン、及びそれらの混合物からなる群から選択される、E277に記載の方法。
E279.前記リン脂質が、DSPCである、E278に記載の方法。
E280.前記非カチオン性ヘルパー脂質が、オレイン酸である、E276に記載の方法。
E281.前記脂質ナノ粒子が、PEG脂質を含む、E241〜E280のいずれか1つに記載の方法。
E282.前記PEG脂質が、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、PEG修飾ジアルキルグリセロール、及びそれらの混合物からなる群から選択される、E281に記載の方法。
E283.前記PEG脂質が、PEG−c−DOMG脂質、PEG−DMG脂質、PEG−DLPE脂質、PEG−DMPE脂質、PEG−DPPC脂質、及びPEG−DSPE脂質からなる群から選択される、281に記載の方法。
E284.前記PEG脂質が、PEG−DMGである、E283に記載の方法。
E285.前記脂質ナノ粒子が、イオン化可能な脂質を約30mol%〜約60mol%含み、リン脂質を約0mol%〜約30mol%含み、ステロールを約18.5mol%〜約48.5mol%含み、PEG脂質を約0mol%〜約10mol%含む、E241〜E284のいずれか1つに記載の方法。
E286.前記脂質ナノ粒子が、イオン化可能な脂質を約35mol%〜約55mol%含み、リン脂質を約5mol%〜約25mol%含み、ステロールを約30mol%〜約40mol%含み、PEG脂質を約0mol%〜約10mol%含む、E241〜E284のいずれか1つに記載の方法。
E287.前記脂質ナノ粒子が、イオン化可能な脂質を約50mol%含み、リン脂質を約10mol%含み、ステロールを約38.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む、E241〜E284のいずれか1つに記載の方法。
E288.前記mRNAが、1つ以上の修飾核酸塩基を含む修飾mRNAである、E241〜E287のいずれか1つに記載の方法。
E289.前記mRNAが、ステムループ、鎖終結ヌクレオシド、ポリA配列、ポリアデニル化シグナル、及び/または5’キャップ構造、のうちの1つ以上を含む、E241〜E288のいずれか1つに記載の方法。
E290.B細胞の活性化または活性を調節する方法であって、前記方法が、B細胞を脂質ナノ粒子(LNP)と接触させることを含み、前記LNPが、
(i)イオン化可能な脂質、
(ii)フィトステロール、
(iii)任意選択の非カチオン性ヘルパー脂質、
(iv)任意選択のPEG脂質、
(v)任意選択の構造脂質、及び
(vi)核酸分子
を含み、
その結果、B細胞の活性化または活性が調節される.
E291.B細胞の活性化または活性が増進する、E290に記載の方法。
E292.B細胞の活性化または活性が低減される、E290に記載の方法。
E293.同じまたは異なる核酸分子がカプセル化された第2のLNPを同時または連続的に投与することをさらに含み、前記第2のLNPが、フィトステロールを含まない、E290〜E292のいずれか1つに記載の方法。
E294.異なる核酸分子がカプセル化された第2のLNPを同時または連続的に投与することをさらに含み、前記第2のLNPが、フィトステロールを含む、E290〜E292のいずれか1つに記載の方法。
E295.前記B細胞が、前記脂質ナノ粒子とin vitroで接触する、E290〜E294のいずれか1つに記載の方法。
E296.前記B細胞が、前記脂質ナノ粒子を対象に投与することによって、前記脂質ナノ粒子とin vivoで接触する、E290〜E294のいずれか1つに記載の方法。
E297.前記脂質ナノ粒子が、静脈内投与される、E296に記載の方法。
E298.前記脂質ナノ粒子が、筋肉内投与される、E296に記載の方法。
E299.前記脂質ナノ粒子が、皮下、節内、及び腫瘍内からなる群から選択される経路によって投与される、E296に記載の方法。
E300.前記B細胞における前記核酸分子の細胞内濃度が増進する、E290〜E299のいずれか1つに記載の方法。
E301.前記B細胞における前記核酸分子の活性が増進する、E290〜E299のいずれか1つに記載の方法。
E302.前記B細胞における前記核酸分子の発現が増進する、E290〜E299のいずれか1つに記載の方法。
E303.前記核酸分子によって前記B細胞の活性化または活性が調節される、E290〜E299のいずれか1つに記載の方法。
E304.前記核酸分子によって前記B細胞の活性化または活性が増加する、E290〜E299のいずれか1つに記載の方法。
E305.前記核酸分子によって前記B細胞の活性化または活性が低減される、E290〜E299のいずれか1つに記載の方法。
E306.前記フィトステロールが、70%超、80%超、90%超、または95%超の純度を有する、E290〜E305のいずれか1つに記載の方法。
E307.前記フィトステロールが、97%、98%、または99%の純度を有する、E290〜E305のいずれか1つに記載の方法。
E308.前記フィトステロールが、シトステロール、スチグマステロール、またはそれらの組み合わせである、E290〜E307のいずれか1つに記載の方法。
E309.前記フィトステロールが、シトステロールまたはその塩もしくはエステルを含む、E308に記載の方法。
E310.前記フィトステロールが、スチグマステロールまたはその塩もしくはエステルを含む、E308に記載の方法。
E311.前記フィトステロールが、ベータ−シトステロール
またはその塩もしくはエステルである、E290〜E307のいずれか1つに記載の方法。
E312.前記ベータ−シトステロールが、70%超または80%超または90%超の純度を有する、E311に記載の方法。
E313.前記ベータ−シトステロールが、95%超の純度を有する、E311に記載の方法。
E314.前記ベータ−シトステロールが、97%、98%、または99%の純度を有する、E311に記載の方法。
E315.構造脂質を含まない、E290〜E314のいずれか1つに記載の方法。
E316.前記脂質ナノ粒子が、構造脂質またはその塩を含む、E290〜E315のいずれか1つに記載の方法。
E317.前記構造脂質が、コレステロールまたはその塩である、E316に記載の方法。
E318.コレステロールのmol%が、前記脂質ナノ粒子に存在するフィトステロールのmol%の約1%〜50%である、E317に記載の方法。
E319.コレステロールのmol%が、前記脂質ナノ粒子に存在するフィトステロールのmol%の約10%〜40%である、E317に記載の方法。
E320.コレステロールのmol%が、前記脂質ナノ粒子に存在するフィトステロールのmol%の約20%〜30%である、E317に記載の方法。
E321.コレステロールのmol%が、前記脂質ナノ粒子に存在するフィトステロールのmol%の約30%である、E317に記載の方法。
E322.前記イオン化可能な脂質が、式(I)、式(IA)、式(II)、式(IIa)、式(IIb)、式(IIc)、式(IId)、式(IIe)、式(III)、及び式(IIIa1−8)のいずれかの化合物、及び/または化合物X、化合物Y、化合物Z、化合物Q、もしくは化合物Mのいずれか、を含む、E290〜E321のいずれか1つに記載の方法。
E323.前記イオン化可能な脂質が、3−(ジドデシルアミノ)−N1,N1,4−トリドデシル−1−ピペラジンエタンアミン(KL10)、N1−[2−(ジドデシルアミノ)エチル]−N1,N4,N4−トリドデシル−1,4−ピペラジンジエタンアミン(KL22)、14,25−ジトリデシル−15,18,21,24−テトラアザ−オクタトリアコンタン(KL25)、1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLin−DMA)、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノメチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−DMA)、ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イル4−(ジメチルアミノ)ブタノエート(DLin−MC3−DMA)、2,2−ジリノレイル−4−(2−ジメチルアミノエチル)−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、1,2−ジオレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DODMA)、2−({8−[(3β)−コレスト−5−エン−3−イルオキシ]オクチル}オキシ)−N,N−ジメチル−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]プロパン−1−アミン(Octyl−CLinDMA)、(2R)−2−({8−[(3β)−コレスト−5−エン−3−イルオキシ]オクチル}オキシ)−N,N−ジメチル−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]プロパン−1−アミン(Octyl−CLinDMA(2R))、及び(2S)−2−({8−[(3β)−コレスト−5−エン−3−イルオキシ]オクチル}オキシ)−N,N−ジメチル−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]プロパン−1−アミン(Octyl−CLinDMA(2S))からなる群から選択される少なくとも1つの脂質である、E290〜E321のいずれか1つに記載の方法。
E324.前記イオン化可能な脂質が、
またはその塩である、E290〜E321のいずれか1つに記載の方法。
E325.前記イオン化可能な脂質が。
またはその塩である、E290〜E321のいずれか1つに記載の方法。
E326.前記脂質ナノ粒子が、非カチオン性ヘルパー脂質を含む、E290〜E325のいずれか1つに記載の方法。
E327.前記非カチオン性ヘルパー脂質が、リン脂質である、E326に記載の方法。
E328.前記リン脂質が、1,2−ジリノレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DLPC)、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−ホスホコリン(DMPC)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DOPC)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DSPC)、1,2−ジウンデカノイル−sn−グリセロ−ホスホコリン(DUPC)、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(POPC)、1,2−ジ−O−オクタデセニル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(18:0 Diether PC)、1−オレオイル−2−コレステリルヘミスクシノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(OChemsPC)、1−ヘキサデシル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(C16 Lyso PC)、1,2−ジリノレノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、1,2−ジアラキドノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、1,2−ジドコサヘキサエノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2−ジフィタノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(ME 16.0 PE)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジリノレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジリノレノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジアラキドノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジドコサヘキサエノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−rac−(1−グリセロール)ナトリウム塩(DOPG)、スフィンゴミエリン、及びそれらの混合物からなる群から選択される、E327に記載の方法。
E329.前記リン脂質が、DSPCである、E328に記載の方法。
E330.前記非カチオン性ヘルパー脂質が、オレイン酸である、E326に記載の方法。
E331.前記脂質ナノ粒子が、PEG脂質を含む、E290〜E330のいずれか1つに記載の方法。
E332.前記PEG脂質が、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、PEG修飾ジアルキルグリセロール、及びそれらの混合物からなる群から選択される、E331に記載の方法。
E333.前記PEG脂質が、PEG−c−DOMG脂質、PEG−DMG脂質、PEG−DLPE脂質、PEG−DMPE脂質、PEG−DPPC脂質、及びPEG−DSPE脂質からなる群から選択される、E332に記載の方法。
E334.前記PEG脂質が、PEG−DMGである、E333に記載の方法。
E335.前記脂質ナノ粒子が、イオン化可能な脂質を約30mol%〜約60mol%含み、リン脂質を約0mol%〜約30mol%含み、ステロールを約18.5mol%〜約48.5mol%含み、PEG脂質を約0mol%〜約10mol%含む、E290〜E334のいずれか1つに記載の方法。
E336.前記脂質ナノ粒子が、イオン化可能な脂質を約35mol%〜約55mol%含み、リン脂質を約5mol%〜約25mol%含み、ステロールを約30mol%〜約40mol%含み、PEG脂質を約0mol%〜約10mol%含む、E290〜E335のいずれか1つに記載の方法。
E337.前記脂質ナノ粒子が、イオン化可能な脂質を約50mol%含み、リン脂質を約10mol%含み、ステロールを約38.5mol%含み、PEG脂質を約1.5mol%含む、E290〜E336のいずれか1つに記載の方法。
E338.前記核酸分子が、RNA、mRNA、RNAi、dsRNA、siRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、CRISPR/Cas9、ssDNA、及びDNAからなる群から選択される、E290〜E337のいずれか1つに記載の方法。
E339.前記核酸が、ショートマー、アンタゴmir、アンチセンス、リボザイム、低分子干渉RNA(siRNA)、非対称干渉RNA(aiRNA)、マイクロRNA(miRNA)、ダイサー基質RNA(dsRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、及びそれらの混合物からなる群から選択されるRNAである、E338に記載の方法。
E340.前記核酸が、mRNAである、E339に記載の方法。
E341.前記mRNAが、1つ以上の修飾核酸塩基を含む修飾mRNAである、E340に記載の方法。
E342.前記mRNAが、ステムループ、鎖終結ヌクレオシド、ポリA配列、ポリアデニル化シグナル、及び/または5’キャップ構造、のうちの1つ以上を含む、E340またはE341に記載の方法。
E343.前記mRNAが、前記免疫細胞において発現させるためのタンパク質をコードする、E340〜E342のいずれか1つに記載の方法。
定義
本明細書で使用される「T細胞アネルギー」という用語は、共刺激を伴わない抗原認識が生じると確立される低応答状態へとT細胞が移行する末梢性免疫寛容機構を指す。そのような状態の下では、T細胞は、完全に活性化した状態となることができず、抗原に再び遭遇しても、それに応じた細胞増殖及びサイトカイン産生が阻止される無応答状態となる。
本明細書で使用される「自己抗原」は、液性(B細胞)またはT細胞介在性の自己免疫応答の標的となる体内の正常な組織構成要素であり、こうした自己免疫応答は、組織に損傷を与え、及び/または自己免疫疾患を引き起こすことが多い。本明細書で使用される「自己」は、細胞もしくは組織が、同じ個体に由来するものであるか、または細胞もしくは組織が、免疫学的に適合性である(例えば、同一のMHC/HLAハプロタイプを有する)ものであることを指す。
本明細書で使用される「自己免疫障害」は、1つ以上の内在性抗原(すなわち、1つ以上の自己抗原)に対する白血球(例えば、B細胞、T細胞、マクロファージ、単球、または樹状細胞)の作用(病的な免疫応答(例えば、持続期間及び/または程度が病的なもの))を介する疾患状態を指し、そのような作用の結果、1つ以上の自己抗原を有する細胞に対する直接的な攻撃、免疫複合体形成、または局所的な炎症に起因し得る組織損傷がもたらされる。自己免疫疾患は、自己抗原に対する免疫系の活性化に起因して炎症が進むことによって特徴付けられる。
「同種移植片(allograft)」、「同種移植片(homograft)」、及び「同種異系移植片(allogeneic graft)」という用語は、ある個体から、遺伝子型が異なる同じ種の別個体へと移植される臓器移植片または組織移植片を指し、こうした移植片には、死体ドナー、生体血縁ドナー、及び生体非血縁ドナーに由来する移植片が含まれる。ある個体から同じ個体に移植される移植片は、「自家移植片(autologous graft)」または「自家移植片(autograft)」と称される。遺伝的に同一または同系の二個体の間で移植される移植片は、「同系移植片」と称される。種が異なる個体の間で移植される移植片は、「異種移植片(xenogeneic graft)」または「異種移植片(xenograft)」と称される。
本明細書で使用される「免疫応答」という語句またはその同義の語句である「免疫学的応答」は、自己抗原または自己抗原の関連エピトープに対して指向化された細胞が生じること(抗原特異的T細胞またはその分泌産物によって媒介される)を指す。細胞性免疫応答は、ポリペプチドエピトープがMHCクラスI分子またはMHCクラスII分子と結合して提示されることによって誘発され、その結果、抗原特異的CD4+ヘルパーT細胞及び/またはCD8+細胞傷害性T細胞を活性化する。この応答には、他の構成要素の活性化も伴い得る。
本明細書で使用される「免疫細胞」という用語は、免疫応答において役割を担う細胞を指し、こうした細胞には、リンパ球(B細胞及びT細胞など)、ナチュラルキラー細胞、骨髄系細胞(単球、マクロファージ、好酸球、マスト細胞、好塩基球、及び顆粒球など)が含まれる。
「免疫応答」は、外来物質に対して脊椎動物内で生じる生物学的応答を指し、この応答が生じることで、こうした物質及びそれによって引き起こされる疾患から生物が保護される。免疫応答は、免疫系の細胞(例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、好酸球、マスト細胞、樹状細胞、または好中球)、ならびにこうした細胞のいずれかまたは肝臓によって産生される可溶性巨大分子(抗体、サイトカイン、及び補体を含む)が作用することによって媒介され、こうした作用の結果、侵入病原体、病原体に感染した細胞もしくは組織、がん性細胞もしくは他の異常細胞、または自己免疫もしくは病的炎症の場合は、正常なヒト細胞もしくはヒト組織が、選択的に標的となり、結合を受け、損傷を受け、破壊され、及び/または脊椎動物の体から排除される。免疫反応には、例えば、T細胞(例えば、エフェクターT細胞もしくはTh細胞(CD4+T細胞もしくはCD8+T細胞など))の活性化もしくは抑制、またはTreg細胞の抑制が含まれる。
「免疫療法」は、疾患に罹患している対象、または疾患が再発する状態となるリスクを有する対象もしくは疾患の再発を患うリスクを有する対象を、免疫応答を誘導するか、増進するか、抑制するか、またはその他の様式で修飾することを含む方法によって治療することを指す。
「自己免疫障害を発症するリスクを有する」ヒトは、自己免疫障害の家族歴を有するヒト(例えば、1つ以上の炎症性障害に対する遺伝的素因を有するヒト)、または1つ以上の自己免疫障害/自己抗体誘導条件に曝露されたヒトを指す。例えば、志賀毒素に曝露されたヒトは、典型的なHUSを発症するリスクを有する。ある特定のがん(例えば、液性腫瘍(多発性骨髄腫または慢性リンパ球性白血病など))を有するヒトは、ある特定の自己免疫性溶血性疾患を発症しやすい患者となり得る。例えば、様々な感染症(例えば、梅毒)または新生物(非ホジキンリンパ腫など)に罹患した後にはPCHが生じ得る。別の例では、CADは、HIV感染症、マイコプラズマ肺炎感染症、非ホジキンリンパ腫、またはワルデンストレームマクログロブリン血症と関連し得る。さらに別の例では、自己免疫性溶血性貧血は、ヒト慢性リンパ球性白血病のよく知られる合併症であり、疾患が進行したCLL患者の約11%がAIHAを発症することになる。CLLの30%もが、AIHAを発症するリスクを有し得る。例えば、Diehl et al.(1998)Semin Oncol 25(1):80−97、及びGupta et al.(2002)Leukemia 16(10):2092−2095を参照のこと。
「自己免疫障害を有する疑いがある」ヒトは、自己免疫障害の症状を1つ以上示すヒトである。自己免疫障害の症状は、特定の自己免疫障害の重症度及び型によって異なり得るものであり、自己免疫障害の症状には、限定されないが、発赤、腫れ(例えば、関節腫脹)、関節に触れると感じられる温かみ、関節痛、こわばり、関節機能の喪失、発熱、悪寒、疲労、エネルギーの喪失、痛み、発熱、蒼白、黄疸、じん麻疹様皮疹、ヘモグロビン尿症、ヘモグロビン血症、及び貧血(例えば、重症貧血)、頭痛、食欲の喪失、筋肉のこわばり、不眠、かゆみ、鼻詰まり、くしゃみ、咳、1つ以上の神経症状(めまい、てんかん発作、疼痛など)が含まれる。上記の内容から、すべてのヒトに「自己免疫障害を有する疑いがある」わけではないことが明らかであろう。
投与:本明細書で使用される「投与」は、対象または患者に組成物を送達する方法を指す。投与方法は、体の特定の領域または系へと送達が標的化される(例えば、体の特定の領域または系への特異的な送達が生じる)ように選択され得る。例えば、投与は、非経口のもの(例えば、皮下注射、皮内注射、静脈内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、関節内注射、動脈内注射、関節滑液嚢内注射、胸骨内注射、くも膜下腔内注射、病巣内注射、または頭蓋内注射、及び任意の適切な注入手法)、経口のもの、経皮もしくは皮内、皮下、直腸、膣内、局所(例えば、粉末、軟膏、クリーム、ゲル、ローション、及び/または液滴によるもの)、粘膜、鼻、頬、腸内、硝子体内、腫瘍内、舌下、鼻腔内へのもの、気管内点滴、気管支点滴、及び/または吸入によるもの、経口スプレー及び/または粉末、鼻スプレー、及び/またはエアロゾルとしてのもの、及び/または門脈カテーテルを介するもの、であり得る。
およそ、約:本明細書で使用されるとき、「およそ」または「約」という用語は、目的の1つ以上の値に適用される場合、言及された参照値に類似する値を指す。ある特定の実施形態では、「およそ」または「約」という用語は、特に明記されていない限り、または文脈から明らかでない限り(そのような数が可能な値の100%を超える場合を除いて)、言及された参照値の25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%またはそれ以下のいずれかの方向(より大きいまたはより小さい)の範囲内の値の範囲を指す。例えば、LNPの脂質成分中の所定の化合物の量の文脈で使用されるとき、「約」は、言及された値の+/−5%を意味し得る。例えば、所与の化合物の約40%を有する脂質成分を含むLNPは、化合物の30〜50%を含み得る。別の例では、T細胞の少なくとも約15%への送達は、T細胞の10〜20%への送達を含み得る。
がん:本明細書で使用される「がん」は、異常及び/または無制御な細胞増殖を伴う状態であり、例えば、細胞のG1期の進行の制御が解除されている状態である。がんの例としては、限定されないが、副腎皮質癌、進行癌、肛門癌、再生不良性貧血、胆管癌、膀胱癌、骨癌、骨転移、脳腫瘍、脳癌、乳癌、小児癌、原発不明癌、キャッスルマン病、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、ユーイングファミリー腫瘍、眼癌、胆嚢癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、妊娠性絨毛性疾患、ホジキン病、カポジ肉腫、腎細胞癌、喉頭癌及び下咽頭癌、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、骨髄異形成症候群(難治性貧血及び難治性血球減少を含む)、骨髄増殖性の新生物または疾患(真性赤血球増加症、本態性血小板増加症、及び原発性骨髄線維症を含む)、肝癌(例えば、肝細胞癌)、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肺カルチノイド腫、皮膚のリンパ腫、悪性中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、鼻腔癌及び副鼻腔癌、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、口腔癌及び中咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、膵癌、陰茎癌、下垂体腫瘍、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、成人軟部組織における肉腫、皮膚の基底細胞癌及び扁平上皮細胞癌、メラノーマ、小腸癌、胃癌、精巣癌、咽喉癌、胸腺癌、甲状腺癌、子宮肉腫、腟癌、外陰癌、ワルデンストレームマクログロブリン血症、ウイルムス腫瘍、ならびにがん治療によって生じる二次がんが挙げられる。特定の実施形態では、がんは、肝癌(例えば、肝細胞癌)または結腸直腸癌である。他の実施形態では、がんは、血液ベースの癌または造血と関連する癌である。
複合体化された:本明細書に記載の「複合体化された」という用語は、2つ以上の部分に関して使用されるとき、それらの部分が互いに物理的に結合または連結される(直接的に結合もしくは連結されるか、または連結基として働く1つ以上の追加部分を介して結合もしくは連結される)ことで十分に安定な構造が形成され、その結果、それらの部分が、当該構造が使用される条件(例えば、生理学的条件)の下で物理的に結合した状態を保つことを意味する。いくつかの実施形態では、2つ以上の部分は、直接的な共有化学結合によって複合体化され得る。他の実施形態では、2つ以上の部分は、イオン結合または水素結合によって複合体化され得る。
接触:本明細書で使用される「接触」という用語は、2つ以上の実体の間で物理的な繋がりが確立されることを意味する。例えば、細胞をmRNAまたは脂質ナノ粒子組成物と接触させることは、細胞とmRNAまたは脂質ナノ粒子とが物理的な繋がりを共有するようにされること意味する。in vivo、in vitro、及びex vivoのいずれにおいても、細胞を細胞外の実体と接触させる方法は、生物学的分野でよく知られている。本開示の実施形態例では、哺乳動物細胞を組成物(例えば、本開示のナノ粒子または医薬組成物)と接触させるステップは、in vivoで実施される。例えば、脂質ナノ粒子組成物と細胞(例えば、哺乳動物細胞)(生物(例えば、哺乳動物)内の特定の位置に存在する細胞であり得る)との接触は、任意の適切な投与経路(例えば、静脈内投与、筋肉内投与、皮内投与、及び皮下投与を含む、生物への非経口投与)によって実施され得る。in vitroに存在する細胞については、組成物(例えば、脂質ナノ粒子)と細胞との接触は、例えば、細胞の培地に組成物を添加することによって行うことができ、この接触は、トランスフェクションを伴うか、またはトランスフェクションを引き起こし得る。さらに、ナノ粒子組成物と接触する細胞は複数であり得る。
送達:本明細書で使用する場合、「送達」という用語は、実体を目的地に提供することを意味する。例えば、治療薬及び/または予防薬を対象に送達することは、治療薬及び/または予防薬を含むLNPを対象に投与すること(例えば、静脈内、筋肉内、皮内、または皮下経路による)を含み得る。哺乳動物または哺乳動物細胞へのLNPの投与は、1つ以上の細胞を脂質ナノ粒子と接触させることを含み得る。
カプセル化する:本明細書で使用される「カプセル化する」という用語は、封入すること、囲い込むこと、または包み込むことを意味する。いくつかの実施形態では、化合物、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)、または他の組成物は、完全にカプセル化されるか、部分的にカプセル化されるか、または実質的にカプセル化され得る。例えば、いくつかの実施形態では、本開示のmRNAは、脂質ナノ粒子(例えば、リポソーム)にカプセル化され得る。
カプセル化効率:本明細書で使用されるとき、「カプセル化効率」とは、LNPの調製に使用される治療薬及び/または予防薬の初期総量に対する、LNPの一部となる治療薬及び/または予防薬の量を指す。例えば、組成物に最初に提供された合計100mgの治療薬及び/または予防薬のうち97mgの治療薬及び/または予防薬がLNPにカプセル化される場合、カプセル化効率は97%として与えられ得る。本明細書で使用されるとき、「カプセル化」は、完全、実質的、または部分的に、封入すること、閉じ込めること、囲い込むこと、または包み込むことを指し得る。
送達増進:本明細書で使用される「送達増進」という用語は、対照ナノ粒子によって核酸(例えば、治療的及び/または予防的mRNA)が目的の標的細胞(例えば、免疫細胞)に送達されるレベルと比較して、ナノ粒子による目的の標的細胞(例えば、免疫細胞)への核酸(例えば、治療的及び/または予防的mRNA)の送達が増加すること(例えば、少なくとも10%増加すること、少なくとも20%増加すること、少なくとも30%増加すること、少なくとも40%増加すること、少なくとも50%増加すること、少なくとも1.5倍に増加すること、少なくとも2倍に増加すること、少なくとも3倍に増加すること、少なくとも4倍に増加すること、少なくとも5倍に増加すること、少なくとも6倍に増加すること、少なくとも7倍に増加すること、少なくとも8倍に増加すること、少なくとも9倍に増加すること、少なくとも10倍に増加すること)を意味する。例えば、本開示の免疫細胞送達増強脂質含有LNPによる「送達増進」は、免疫細胞送達増強脂質を含まない同じLNPと比較することによって評価され得る。免疫細胞送達増強脂質含有LNPが特定の細胞(例えば、免疫細胞)に送達されるレベルは、フィトステロール含有LNPを使用することで標的細胞において産生するタンパク質の量を、免疫細胞送達増強脂質を含まない同じLNPを使用した場合のものと比較することによって(例えば、フローサイトメトリーを使用して平均蛍光強度による比較を行うことによって)測定されるか、免疫細胞送達増強脂質含有LNPを使用してトランスフェクションされる標的細胞の%を、免疫細胞送達増強脂質を含まない同じLNPを使用した場合のものと比較することによって(例えば、定量的フローサイトメトリーによる比較を行うことによって)測定されるか、あるいは免疫細胞送達増強脂質含有LNPを使用したときのin vivoの標的細胞における治療薬及び/または予防薬の量を、免疫細胞送達増強脂質を含まない同じLNPを使用した場合のものと比較することによって測定され得る。標的細胞へのナノ粒子の送達増進は、治療される対象において決定される必要はなく、代用物(動物モデル(例えば、マウスモデルまたは非ヒト霊長類モデル)など)において決定され得ることが理解されよう。例えば、免疫細胞への送達増進の決定については、マウスモデルまたはNHPモデル(例えば、実施例に記載のもの)を使用することができ、免疫細胞送達増強脂質含有LNPによる目的タンパク質コードmRNAの送達は、免疫細胞送達増強脂質を含まない同じLNPと比較して免疫細胞(例えば、脾臓、末梢血、及び/または骨髄に由来するもの)において評価され得る(例えば、フローサイトメトリー、蛍光顕微鏡法、及び同様のものによる評価が行われる)。
有効量:本明細書で使用される薬剤の「有効量」という用語は、有利な結果または所望の結果(例えば、臨床結果)をもたらす上で十分な量であり、したがって、「有効量」は、それが適用される文脈に依存する。例えば、本開示の脂質組成物(例えば、LNP)における免疫細胞送達増強脂質の量の文脈では、免疫細胞送達増強脂質の有効量は、免疫細胞送達増強脂質を含まない脂質組成物(例えば、LNP)と比較して有利な結果または所望の結果をもたらす上で十分な量である。脂質組成物(例えば、LNP)によってもたらされる有利な結果または所望の結果の例としては、限定されないが、トランスフェクションされる細胞のパーセントが増加すること、及び/または脂質組成物(例えば、LNP)と結合/によってカプセル化された核酸によってコードされるタンパク質の発現レベルが増加すること、が挙げられる。対象における免疫細胞によって有効量の脂質ナノ粒子が取り込まれるように免疫細胞送達増強脂質含有脂質ナノ粒子を投与する文脈では、免疫細胞送達増強脂質含有LNPの有効量は、免疫細胞送達増強脂質を含まないLNPと比較して有利な結果または所望の結果をもたらす上で十分な量である。対象における有利な結果または所望の結果の例としては、限定されないが、免疫細胞送達増強脂質を含まないLNPと比較して、トランスフェクションされる細胞のパーセントが増加すること、免疫細胞送達増強脂質含有LNPと結合/によってカプセル化された核酸によってコードされるタンパク質の発現レベルが増加すること、及び/または免疫細胞送達増強脂質含有LNPと結合/によってカプセル化された核酸もしくはそのコードタンパク質の予防作用もしくは治療作用がin vivoで増加すること、が挙げられる。いくつかの実施形態では、免疫細胞送達増強脂質含有LNPの治療的に有効な量は、感染症、疾患、障害、及び/または状態を患うか、またはそれに罹患しやすい対象に投与されると、そうした感染症、疾患、障害、及び/または状態の治療、症状改善、診断、阻止、及び/または発症遅延に十分なものである。別の実施形態では、脂質ナノ粒子の有効量は、免疫細胞の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、またはそれを超える%において所望のタンパク質を発現させる上で十分なものである。例えば、免疫細胞送達増強脂質含有LNPの有効量は、単回の静脈内注射の後に、マウスモデル(例えば、実施例9に記載のもの)において、脾臓T細胞の少なくとも5%、少なくとも10%、もしくは少なくとも15%、脾臓B細胞の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、もしくは少なくとも25%、脾臓樹状細胞の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、もしくは少なくとも40%、及び/または総骨髄細胞の少なくとも5%にトランスフェクションを生じさせる量であり得る。
発現:本明細書で使用される核酸配列の「発現」は、下記の事象の1つ以上を指す:(1)DNA配列からのRNA鋳型の産生(例えば、転写によるもの)、(2)RNA転写物のプロセシング(例えば、スプライシング、編集、5’キャップ形成、及び/または3’末端プロセシングによるもの)、(3)ポリペプチドまたはタンパク質へのRNAの翻訳、ならびに(4)ポリペプチドまたはタンパク質の翻訳後修飾。
ex vivo:本明細書で使用されるとき、「ex vivo」という用語は、生物(例えば、動物、植物、微生物、またはそれらの細胞もしくは組織)の外で発生する事象を指す。ex vivo事象は、天然(in vivoなど)環境から最小限に変更された環境で発生し得る。
フラグメント:本明細書で使用される「フラグメント」は、一部分を指す。例えば、タンパク質のフラグメントには、培養細胞から単離された全長タンパク質を消化することによって得られるポリペプチド、または組換えDNA手法を介して得られるポリペプチドが含まれ得る。タンパク質のフラグメントは、例えば、タンパク質の一部分であり得、この一部分は、1つ以上の機能性ドメインを含み、その結果、当該タンパク質の当該フラグメントは、当該タンパク質の機能活性を保持する
GC高含有:本明細書で使用される「GC高含有」という用語は、グアニン(G)核酸塩基及び/またはシトシン(C)核酸塩基、あるいはその誘導体または類似体を含むポリヌクレオチド(例えば、mRNA)またはその任意の部分(例えば、RNAエレメント)がGC含量約50%超の核酸塩基組成を有することを指す。「GC高含有」という用語は、限定されないが、遺伝子、非コード領域、5’UTR、3’UTR、オープンリーディングフレーム、RNAエレメント、配列モチーフ、またはその任意の個別の配列、フラグメント、もしくはセグメントを含めて、ポリヌクレオチドのすべてまたは一部がGC含量約50%の組成を有することを指す。本開示の実施形態のいくつかでは、GC高含有ポリヌクレオチドまたはその任意の部分は、グアニン(G)核酸塩基及び/またはシトシン(C)核酸塩基から排他的に構成される。
GC含量:本明細書で使用される「GC含量」という用語は、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)またはその一部(例えば、RNAエレメント)における核酸塩基の中でグアニン(G)核酸塩基及びシトシン(C)核酸塩基、またはその誘導体もしくは類似体が占めるパーセント(DNA及びRNAにおける、アデニン(A)及びチミン(T)またはウラシル(U)、ならびにその誘導体または類似体を含めて考え得る核酸塩基の総数から得られる)を指す。「GC含量」という用語は、限定されないが、遺伝子、非コード領域、5’UTRもしくは3’UTR、オープンリーディングフレーム、RNAエレメント、配列モチーフ、またはその任意の個別の配列、フラグメント、もしくはセグメントを含めた、ポリヌクレオチドのすべてまたは一部を指す。
異種:本明細書で使用される「異種」は、配列(例えば、アミノ酸配列、またはアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド)が、所与のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに通常は存在しないものであることを示す。例えば、あるタンパク質のドメインまたはモチーフに対応するアミノ酸配列は、第2のタンパク質に対して異種であり得る。
単離された:本明細書で使用される「単離された」という用語は、物質または実体が、(天然または実験的状況であるかを問わず)それと結び付いていた成分の少なくともいくつかから分離されていることを指す。単離された物質は、それと結び付いていた物質に対する純度レベルが異なり得る。単離された物質及び/または実体は、それと最初に結び付いていた他の成分の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、またはそれを超える%が分離されたものであり得る。いくつかの実施形態では、単離された薬剤の純度は、約80%超、約85%超、約90%超、約91%超、約92%超、約93%超、約94%超、約95%超、約96%超、約97%超、約98%超、約99%超、またはそれを超える%であり得る。本明細書で使用されるように、物質が他の成分を実質的に含まないのであれば、当該物質は、「純粋」である。
コザック配列:「コザック配列」(「コザックコンセンサス配列」とも称される)という用語は、遺伝子またはオープンリーディングフレームの発現を増進するための翻訳開始エンハンサーエレメントを指し、翻訳開始エンハンサーエレメントは、真核生物では5’UTRに位置する。コザックコンセンサス配列は、プレプロインスリン遺伝子の翻訳に対して開始コドン(AUG)周辺の単一変異が与える影響が解析された後、
(R=プリン)という配列として元々は定義された(Kozak(1986)Cell 44:283−292)。本明細書に開示のポリヌクレオチドは、コザックコンセンサス配列またはその誘導体もしくは修飾を含む(翻訳エンハンサーの構成及びその使用方法の例については、Andrews et al.に付与された米国特許第5,807,707号(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)、Chernajovskyに付与された米国特許第5,723,332号(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)、Wilsonに付与された米国特許第5,891,665号(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。
リーキースキャニング:「リーキースキャニング」として知られる現象は、PICが開始コドンを読み飛ばし、代わりに、別または代替の開始コドンが認識されるまで下流へとスキャニングを継続することによって生じ得る。発生頻度に応じて、PICによる開始コドンの読み飛ばしは、翻訳効率の低下を招き得る。さらに、この下流AUGコドンから翻訳が開始される可能性があり、こうして翻訳が始まると、所望の治療応答を誘発する能力を有し得ない望ましくない異常な翻訳産物が産生することになる。場合によっては、こうした異常な翻訳産物は、有害な応答を実際に引き起こし得る(Kracht et al.,(2017)Nat Med 23(4):501−507)。
リポソーム:本明細書で使用される「リポソーム」は、水性内部を封入する脂質含有膜を含む構造を意味する。リポソームは、1つ以上の脂質膜を有し得る。リポソームには、単一の層を有するリポソーム(当該技術分野では単層リポソームとしても知られる)及び複数の層を有するリポソーム(当該技術分野では多重層リポソームとしても知られる)が含まれる。
転移:本明細書で使用される「転移」という用語は、がんが、それが最初に原発腫瘍として生じた場所から体内の遠位へと拡散するプロセスを意味する。このプロセスの結果として生じる二次腫瘍は、「転移物」と称され得る。
修飾された:本明細書で使用される「修飾された」または「修飾」は、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の状態変化または組成変化もしくは構造変化を指す。ポリヌクレオチドは、化学的、構造的、及び/または機能的なものを含めて、様々な方法で修飾され得る。例えば、RNAエレメントを1つ以上含めることによってポリヌクレオチドを構造的に修飾することができ、RNAエレメントは、1つ以上の機能(例えば、翻訳制御活性)を与える配列及び/またはRNA二次構造(複数可)を含む。したがって、本開示のポリヌクレオチドは、1つ以上の修飾を含み得る(例えば、1つ以上の化学的修飾、構造的修飾、または機能的修飾(それらの任意の組み合わせを含む)を含み得る)。
修飾された:本明細書で使用される「修飾された」は、本開示の分子の状態変化または構造変化を指す。分子は、化学的、構造的、及び機能的なものを含めて、多くの方法で修飾され得る。一実施形態では、本開示のmRNA分子は、非天然のヌクレオシド及び/またはヌクレオチドを導入することによって修飾され、例えば、天然のリボヌクレオチドであるA、U、G、及びCに関してこうした導入による修飾が行われる。非古典的ヌクレオチド(キャップ構造など)は、Aリボヌクレオチド、Cリボヌクレオチド、Gリボヌクレオチド、Uリボヌクレオチドとは化学構造が異なるが、「修飾された」とは見なされない。
mRNA:本明細書で使用される「mRNA」は、メッセンジャーリボ核酸を指す。mRNAは、天然起源または非天然起源のものであり得る。例えば、mRNAは、修飾された及び/または非天然起源の構成要素(1つ以上の核酸塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド、またはリンカーなど)を含み得る。mRNAは、キャップ構造、鎖終結ヌクレオシド、ステムループ、ポリA配列、及び/またはポリアデニル化シグナルを含み得る。mRNAは、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有し得る。mRNAの翻訳(例えば、哺乳動物細胞内でのmRNAのin vivoでの翻訳)によってポリペプチドが生じ得る。従来的には、mRNA分子の基本的構成要素には、コード領域、5’−非翻訳領域(5’−UTR)、3’UTR、5’キャップ、及びポリA配列が少なくとも含まれる。
ナノ粒子:本明細書で使用される「ナノ粒子」は、同じ材料のバルク試料と比較して、約1000nm未満の尺度で新規の特性を示す任意の構造的特徴を1つ有する粒子を指す。日常的には、ナノ粒子は、約500nm未満、約200nm未満、または約100nm未満の尺度で任意の構造的特徴を1つ有する。同様に日常的には、ナノ粒子は、約50nm〜約500nm、約50nm〜約200nm、または約70〜約120mnの尺度で任意の構造的特徴を1つ有する。実施形態例では、ナノ粒子は、約1〜1000nmのオーダーの寸法を1つ以上有する粒子である。他の実施形態例では、ナノ粒子は、約10〜500nmのオーダーの寸法を1つ以上有する粒子である。他の実施形態例では、ナノ粒子は、約50〜200nmのオーダーの寸法を1つ以上有する粒子である。球形のナノ粒子であれば、例えば、約50〜100ナノメートルまたは70〜120ナノメートルの直径を有することになる。ナノ粒子は、ほとんどの場合、その輸送及び特性に関して一単位として挙動する。ナノ粒子を対応バルク材料と差別化する新規の特性は、典型的には、1000nm未満のサイズ尺度または約100nmのサイズで生じるものであるが、ナノ粒子のサイズが大きくなることもあり得る(例えば、楕円形、管状、及び同様の形状の粒子については、ナノ粒子のサイズは大きくなり得る)ことに留意されたい。上記の概要には、ほとんどの分子のサイズが当てはまることになるが、通常、個々の分子がナノ粒子と称されることはない。
核酸:本明細書で使用される「核酸」という用語は、その広い意味において使用され、ヌクレオチドのポリマーを含む任意の化合物及び/または物質を包含する。こうしたポリマーは、ポリヌクレオチドと称されることが多い。本開示の核酸またはポリヌクレオチドの例としては、限定されないが、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、DNA−RNAハイブリッド、RNAi誘導剤、RNAi剤、siRNA、shRNA、miRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、触媒DNA、三重らせん形成を誘導するRNA、トレオース核酸(TNA)、グリコール核酸(GNA)、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA(β−D−リボ立体配置を有するLNA、α−L−リボ立体配置を有するα−LNA(LNAのジアステレオマー)、2’−アミノ官能基を有する2’−アミノ−LNA、及び2’−アミノ官能基を有する2’−アミノ−α−LNAを含む))、またはそれらのハイブリッドが挙げられる。
核酸構造:本明細書で使用される「核酸構造」という用語(「ポリヌクレオチド構造」と互換的に使用される)は、核酸(例えば、mRNA)を構成する原子、化学的要素、エレメント、モチーフ、及び/またはヌクレオチドもしくはその誘導体もしくは類似体が連結された配列、が配置または構造化されたものを指す。この用語は、核酸の二次元状態または三次元状態も指す。したがって、「RNA構造」という用語は、RNA分子(例えば、mRNA)を構成する原子、化学的要素、エレメント、モチーフ、及び/またはヌクレオチドもしくはその誘導体もしくは類似体が連結された配列、が配置または構造化されたものを指し、及び/またはRNA分子の二次元状態及び/または三次元状態を指す。核酸構造は、構造化の複雑性の高まりに応じて、「分子構造」、「一次構造」、「二次構造」、及び「三次構造」と本明細書で称される4つの構造化カテゴリーにさらに分けることができる。
核酸塩基:本明細書で使用される「核酸塩基」(あるいは「ヌクレオチド塩基」または「窒素塩基」)という用語は、核酸に見られるプリン複素環式化合物またはピリミジン複素環式化合物を指し、こうした複素環式化合物には、核酸またはその一部もしくはセグメントの特性(例えば、結合親和性、ヌクレアーゼ抵抗性、化学的安定性)を改善する天然起源のプリン及びピリミジンの任意の誘導体または類似体が含まれる。アデニン、シトシン、グアニン、チミン、及びウラシルは、天然の核酸によく見られる核酸塩基である。天然、非天然、及び/または合成の核酸塩基は、他にも当該技術分野で知られ、及び/または本明細書に記載されており、こうした他の核酸塩基が核酸に組み込まれることもあり得る。
ヌクレオシド/ヌクレオチド:本明細書で使用される「ヌクレオシド」という用語は、核酸塩基(例えば、プリンもしくはピリミジン)またはその誘導体もしくは類似体(本明細書では「核酸塩基」とも称される)に共有結合で連結された糖分子(例えば、RNAではリボースもしくはDNAではデオキシリボース)またはその誘導体もしくは類似体を含むが、ヌクレオシド間連結基(例えば、リン酸基)は含まない化合物を指す。本明細書で使用される「ヌクレオチド」という用語は、ヌクレオシド間連結基(例えば、リン酸基)に共有結合で結合したヌクレオシドを指すか、あるいは核酸またはその一部もしくはセグメントの化学的及び/または機能的な特性(例えば、結合親和性、ヌクレアーゼ抵抗性、化学的安定性)を改善するヌクレオシド間連結基(例えば、リン酸基)の任意の誘導体、類似体、または修飾体に共有結合で結合したヌクレオシドを指す。
オープンリーディングフレーム:本明細書で使用される「オープンリーディングフレーム」(「ORF」と略される)という用語は、ポリペプチドをコードするmRNA分子のセグメントまたは領域を指す。ORFは、フレーム内コドンがオーバーラップせずに連続する区間を含み、開始コドンから始まり、終止コドンで終わる。ORFは、リボソームによって翻訳される。
患者:本明細書で使用されるとき、「患者」とは、治療を求めるかもしくは治療を必要とする、治療を要求する、治療を受けている、治療を受けようとする対象、または特定の疾患もしくは状態について訓練を受けた専門家による治療を受けている対象を指す。特定の実施形態では、患者は、ヒト患者である。いくつかの実施形態では、患者は、がん(例えば、肝癌または結腸直腸癌)を患う患者である。
薬学的に許容される:「薬学的に許容される」という語句は、妥当な医学的判断の範囲内で、妥当な利益/リスク比に見合って、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、またはその他の問題もしくは合併症もなくヒト及び動物の組織と接触させて使用するのに適した化合物、物質、組成物、及び/または剤形を指すために本明細書で用いられる。
薬学的に許容される賦形剤:本明細書で使用されるとき、「薬学的に許容される賦形剤」という語句は、本明細書に記載の化合物以外の任意の成分(例えば、活性化合物を懸濁または溶解することができる媒体)を指し、患者において、実質的に無毒で非炎症性の特性を有する。賦形剤には、例えば、付着防止剤、酸化防止剤、結合剤、コーティング、圧縮補助剤、崩壊剤、染料(着色剤)、皮膚軟化剤、乳化剤、充填剤(希釈剤)、皮膜形成剤またはコーティング剤、香味剤、香料、流動促進剤(流動促進剤)、潤滑剤、保存剤、印刷インク、吸着剤、懸濁剤または分散剤、甘味料、及び水和水が含まれ得る。例示的な賦形剤には、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(二塩基性)、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、システイン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、マルチトール、マンニトール、メチオニン、メチルセルロース、メチルパラベン、微結晶セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン、アルファ化デンプン、プロピルパラベン、パルミチン酸レチニル、シェラック、二酸化ケイ素、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クエン酸ナトリウム、ナトリウムデンプングリコール酸、ソルビトール、デンプン(トウモロコシ)、ステアリン酸、スクロース、タルク、二酸化チタン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、及びキシリトールが含まれるが、これらに限定されない。
薬学的に許容される塩:本明細書で使用されるとき、「薬学的に許容される塩」とは、既存の酸または塩基部分をその塩形態に変換することにより(例えば、遊離塩基基を適切な有機酸と反応させることにより)親化合物が修飾された、開示される化合物の誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例には、アミンなどの塩基性残基の無機または有機酸塩、カルボン酸などの酸性残基のアルカリまたは有機塩などが含まれるが、これらに限定されない。代表的な酸付加塩には、酢酸塩、酢酸、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバレート、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸、吉草酸塩などが含まれる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど、ならびに無毒のアンモニウム、第4級アンモニウム、及びアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどを含むがこれらに限定されないアミンカチオンが含まれる。本開示の薬学的に許容される塩には、例えば、非毒性の無機酸または有機酸から形成される親化合物の従来の非毒性の塩が含まれる。本開示の薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法により、塩基性または酸性部分を含む親化合物から合成することができる。一般的に、このような塩は、これらの化合物の遊離酸または塩基形態を、水中もしくは有機溶媒または2つの混合物中の化学量論的な量の適切な塩基または酸と反応させることによって調製することができ、一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい。適切な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985, p. 1418、Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use, P.H. Stahl and C.G. Wermuth (eds.), Wiley−VCH, 2008、及びBerge et al., Journal of Pharmaceutical Science, 66, 1−19 (1977)に見出され、その各々は参照により本明細書に組み込まれる。
ポリペプチド:本明細書で使用されるとき、「ポリペプチド」または「目的ポリペプチド」という用語は、天然に(例えば、単離または精製)または合成的に生成できるペプチド結合により典型的に連結されるアミノ酸残基のポリマーを指す。
開始前複合体(PIC):本明細書で使用される「開始前複合体」(あるいは「43S開始前複合体」(「PIC」と略される))という用語は、40Sリボソームサブユニット、真核生物開始因子(eIF1、eIF1A、eIF3、eIF5)、及びeIF2−GTP−Met−tRNAi Met三元複合体を含み、mRNA分子の5’キャップに結合し、結合後に5’UTRのリボソームスキャニングを実施するという固有の能力を有するリボ核タンパク質複合体を指す。
RNA:本明細書で使用されるとき、「RNA」とは、天然に存在するかまたは天然に存在しないリボ核酸を指す。例えば、RNAは、1つ以上の核酸塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド、またはリンカーなどの修飾された、及び/または天然に存在しない成分を含んでもよい。RNAは、キャップ構造、鎖終結ヌクレオチド、ステムループ、ポリA配列、及び/またはポリアデニル化シグナルを含み得る。RNAは、目的のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有し得る。例えば、RNAはメッセンジャーRNA(mRNA)であってもよい。特定のポリペプチドをコードするmRNAの翻訳、例えば、哺乳動物細胞内のmRNAのin vivo翻訳は、コードされたポリペプチドを産生し得る。RNAは、低分子干渉RNA(siRNA)、非対称干渉RNA(aiRNA)、マイクロRNA(miRNA)、ダイサー基質RNA(dsRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、mRNA、長鎖非コードRNA(lncRNA)、及びその混合物からなる非制限的な群から選択され得る。
RNAエレメント:本明細書で使用される「RNAエレメント」という用語は、生物学的機能を与え、及び/または生物学的活性(例えば、翻訳制御活性)を有する、RNA分子の一部、フラグメント、またはセグメントを指す。RNAエレメント(本明細書に記載のものなど)を1つ以上含めることによってポリヌクレオチドを修飾することで、望ましい機能特性が修飾ポリヌクレオチドに1つ以上付与される。RNAエレメントは、本明細書に記載されており、天然起源のもの、非天然起源のもの、合成のもの、操作されたもの、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。例えば、制御活性を与える天然起源のRNAエレメントには、ウイルス、原核生物、及び真核生物(例えば、ヒト)のトランスクリプトームを通じて見られるエレメントが含まれる。特定の真核生物mRNA及び翻訳されるウイルスRNAにおけるRNAエレメントは、細胞における多くの機能の媒介に関与することが示されている。天然のRNAエレメントの例としては、限定されないが、翻訳開始エレメント(例えば、配列内リボソーム進入部位(IRES)(Kieft et al.,(2001)RNA 7(2):194−206を参照のこと))、翻訳エンハンサーエレメント(例えば、APP mRNA翻訳エンハンサーエレメント(Rogers et al.,(1999)J Biol Chem 274(10):6421−6431を参照のこと))、mRNA安定エレメント(例えば、AU高含有エレメント(ARE)(Garneau et al.,(2007)Nat Rev Mol Cell Biol 8(2):113−126)を参照のこと))、翻訳抑制エレメント(例えば、Blumer et al.,(2002)Mech Dev 110(1−2):97−112を参照のこと)、タンパク質結合RNAエレメント(例えば、鉄応答性エレメント(Selezneva et al.,(2013)J Mol Biol 425(18):3301−3310)を参照のこと))、細胞質ポリアデニル化エレメント(Villalba et al.,(2011)Curr Opin Genet Dev 21(4):452−457)、及び触媒RNAエレメント(例えば、リボザイム(Scott et al.,(2009)Biochim Biophys Acta 1789(9−10):634−641)を参照のこと))が挙げられる。
滞留する時間:本明細書で使用される「滞留する時間」という用語は、開始前複合体(PIC)またはリボソームが、mRNA分子に沿って個別の位置または場所を占有する時間を指す。
特異的送達:本明細書で使用される「特異的送達」、「特異的に送達する」、または「特異的に送達すること」という用語は、オフターゲット細胞(例えば、非免疫細胞)と比較して、ナノ粒子による目的の標的細胞(例えば、哺乳動物免疫細胞)への治療薬及び/または予防薬の送達が増加すること(例えば、少なくとも10%増加すること、少なくとも20%増加すること、少なくとも30%増加すること、少なくとも40%増加すること、少なくとも50%増加すること、少なくとも1.5倍に増加すること、少なくとも2倍に増加すること、少なくとも3倍に増加すること、少なくとも4倍に増加すること、少なくとも5倍に増加すること、少なくとも6倍に増加すること、少なくとも7倍に増加すること、少なくとも8倍に増加すること、少なくとも9倍に増加すること、少なくとも10倍に増加すること)を意味する。ナノ粒子が特定の細胞に送達されるレベルは、標的細胞において産生するタンパク質の量を、非標的細胞において産生するタンパク質の量と比較することによって(例えば、フローサイトメトリーを使用して平均蛍光強度による比較を行うことによって)測定されるか、タンパク質を発現する標的細胞の%を、タンパク質を発現する非標的細胞の%と比較することによって(例えば、定量的フローサイトメトリーによる比較を行うことによって)測定されるか、非標的細胞において産生するタンパク質の量に対する標的細胞において産生するタンパク質の量と、非標的細胞における総タンパク質量に対する当該標的細胞における総タンパク質量と、を比較することによって測定されるか、あるいは非標的細胞における治療薬及び/または予防薬の量に対する標的細胞における治療薬及び/または予防薬の量と、非標的細胞における治療薬及び/または予防薬の総量に対する当該標的細胞における治療薬及び/または予防薬の総量と、を比較することによって測定され得る。ナノ粒子が標的細胞への特異的送達を行う能力は、治療される対象において決定される必要はなく、代用物(動物モデル(例えば、マウスモデルまたはNHPモデル)など)において決定され得ることが理解されよう。例えば、免疫細胞への特異的送達の決定については、マウスモデルまたはNHPモデル(例えば、実施例に記載のもの)を使用することができ、目的タンパク質をコードするmRNAの送達は、標準的な方法(例えば、フローサイトメトリー、蛍光顕微鏡法、及び同様のもの)によって、非免疫細胞と比較して免疫細胞(例えば、脾臓、末梢血、及び/または骨髄に由来するもの)において評価され得る。
実質的に:本明細書で使用される「実質的に」という用語は、目的の特徴または特性が示される程度または度合いが完全またはほぼ完全である定性的な状態を指す。生物学的現象及び化学的現象が、皆無ではないにせよ、完了に至り、及び/または完全な状態まで進行するか、あるいは絶対的な結果を達成または回避することは稀であることを生物学分野の当業者なら理解するであろう。それ故に、「実質的に」という用語は、多くの生物学的現象及び化学的現象に固有の潜在的な完全性欠如をとらえるために本明細書で使用される。
を患う:疾患、障害、及び/または状態「を患う」個体は、疾患、障害、及び/または状態を有すると診断されているか、あるいは疾患、障害、及び/または状態の症状を1つ以上示す。
標的細胞:本明細書で使用されるとき、「標的細胞」とは、目的の任意の1つ以上の細胞を指す。細胞は、in vitro、in vivo、in situ、または生物の組織もしくは臓器に見出し得る。生物は、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト、最も好ましくは患者であり得る。標的免疫細胞には、例えば、例えば、CD3+T細胞、CD19+B細胞、及びCD11c+樹状細胞、ならびに単球、組織マクロファージ、及び骨髄細胞(骨髄内の免疫細胞、造血幹細胞、免疫細胞前駆体、及び線維芽細胞を含む)が含まれる。
標的化部分:本明細書で使用される「標的化部分」は、特定の細胞型、組織型、及び/または臓器型へとナノ粒子を標的化し得る化合物または薬剤である。
治療薬:「治療薬」という用語は、対象に投与されたとき、治療効果、診断効果、及び/または予防効果を有し、及び/または所望の生物学的効果及び/または薬理効果を誘発する任意の薬剤を指す。
トランスフェクション:本明細書で使用される「トランスフェクション」という用語は、種(例えば、ポリヌクレオチド(mRNAなど))を細胞に導入するための方法を指す。
翻訳制御活性:本明細書で使用される「翻訳制御活性」(「翻訳制御機能」と互換的に使用される)という用語は、PIC及び/またはリボソームの活性を含めて、翻訳装置の活性を調節する(例えば、制御する、影響を与える、管理する、変える)生物学的な機能、機構、またはプロセスを指す。いくつかの態様では、所望の翻訳制御活性は、mRNA翻訳の翻訳忠実度を促進及び/または増進するものである。いくつかの態様では、所望の翻訳制御活性は、リーキースキャニングを低減及び/または抑制するものである。対象:本明細書で使用されるとき、「対象」という用語は、例えば実験、診断、予防、及び/または治療目的で、本開示による組成物または製剤を投与することができる任意の生物を指す。典型的な対象には、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、及びヒトなどの哺乳動物)及び/または植物が含まれる。いくつかの実施形態では、対象は、患者であり得る。
治療:本明細書で使用されるとき、「治療」という用語は、特定の感染、疾患、障害、及び/または状態の、1つ以上の症状または特徴を部分的もしくは完全に軽減、改善、改善、緩和、その発症の遅延、その進行の阻害、その重症度の低下、及び/またはその発生率の低下を指す。例えば、がんの「治療」とは、腫瘍の生存、増殖、及び/または拡大を抑制することを指し得る。治療は、疾患、障害、及び/または状態に関連する病態の発生のリスクを低減する目的で、疾患、障害、及び/または状態の兆候を示さない対象に、及び/または疾患、障害、及び/または状態の初期兆候のみを示す対象に投与され得る。
阻止:本明細書で使用される「阻止」という用語は、特定の感染症、疾患、障害、及び/または状態の症状または特徴の1つ以上の発症を部分的または完全に抑制することを指す。
腫瘍:本明細書で使用される「腫瘍」は、良性または悪性を問わず、組織が異常に増殖したものである。
非修飾:本明細書で使用される「非修飾」は、任意の物質、化合物、または分子が、任意の方法で変更される前の状態であることを指す。非修飾は、常にではないが、生体分子が野生型または天然形態であることを指し得る。分子は、それぞれの修飾分子が後続の修飾のための「非修飾」出発分子として働き得る一連の修飾を受け得る。
ウリジン含量:「ウリジン含量」または「ウラシル含量」という用語は、互換可能であり、ある特定の核酸配列に存在するウラシルまたはウリジンの量を指す。ウリジン含量またはウラシル含量は、絶対値(配列におけるウリジンもしくはウラシルの総数)または相対値(核酸配列における核酸塩基の総数に対するウリジンもしくはウラシルのパーセント)として表現され得る。
ウリジン修飾配列:「ウリジン修飾配列」という用語は、ウリジン含量が全体的または局所的に異なる(ウリジン含量が上昇または低下する)ように配列が最適化された核酸(例えば、合成mRNA配列)を指すか、あるいは候補核酸配列のウリジン含量及び/またはウリジンパターンに対してウリジンパターンが異なる(例えば、分布に勾配が付くか、またはクラスター化する)ように配列が最適化された核酸を指す。本開示の内容では、「ウリジン修飾配列」及び「ウラシル修飾配列」という用語は、同義かつ互換可能であると見なされる。
「ウリジン高含有コドン」は、ウリジンを2つまたは3つ含むコドンとして定義され、「ウリジン低含有コドン」は、ウリジンを1つ含むコドンとして定義され、「ウリジン非含有コドン」は、ウリジンを全く含まないコドンである。いくつかの実施形態では、ウリジン修飾配列は、ウリジン高含有コドンをウリジン低含有コドンで置き換えたコドン、ウリジン高含有コドンをウリジン非含有コドンで置き換えたコドン、ウリジン低含有コドンをウリジン高含有コドンで置き換えたコドン、ウリジン低含有コドンをウリジン非含有コドンで置き換えたコドン、ウリジン非含有コドンをウリジン低含有コドンで置き換えたコドン、ウリジン非含有コドンをウリジン高含有コドンで置き換えたコドン、及びそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ウリジン高含有コドンは、別のウリジン高含有コドンで置き換えられ得る。いくつかの実施形態では、ウリジン低含有コドンは、別のウリジン低含有コドンで置き換えられ得る。いくつかの実施形態では、ウリジン非含有コドンは、別のウリジン非含有コドンで置き換えられ得る。ウリジン修飾配列は、ウリジン高含有化配列であるか、またはウリジン低含有化配列であり得る。
ウリジン高含有化:本明細書で使用される「ウリジン高含有化」という用語及び文法的に変化した表現は、配列が最適化される核酸(例えば、合成mRNA配列)のウリジン含量(絶対値で表現されるか、またはパーセント値として表現される)が、対応する候補核酸配列のウリジン含量に対して高められることを指す。ウリジン高含有化は、ウリジン核酸塩基の含量が低い同義語コドンで候補核酸配列中のコドンを置き換えることによって実施され得る。ウリジン高含有化は、全体的(すなわち、候補核酸配列の全長に対するもの)または局所的(すなわち、候補核酸配列の部分配列もしくは領域に対するもの)に行われ得る。
ウリジン低含有化:本明細書で使用される「ウリジン低含有化」という用語及び文法的に変化した表現は、配列が最適化される核酸(例えば、合成mRNA配列)のウリジン含量(絶対値で表現されるか、またはパーセント値として表現される)が、対応する候補核酸配列のウリジン含量に対して低減されることを指す。ウリジン低含有化は、ウリジン核酸塩基の含量が低い同義語コドンで候補核酸配列中のコドンを置き換えることによって実施され得る。ウリジン低含有化は、全体的(すなわち、候補核酸配列の全長に対するもの)または局所的(すなわち、候補核酸配列の部分配列もしくは領域に対するもの)に行われ得る。
均等物及び範囲
当業者は、日常的な実験にすぎないものを用いて、本明細書において記載される本開示による具体的な実施形態に対する多くの均等物を認識するか、またはそれを確かめることができるであろう。本開示の範囲を以下の説明に限定することは意図されておらず、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲に示されるものである。
特許請求の範囲において、「a」、「an」、「the」などの冠詞は、反対の指示がない限り、または文脈から明白でない限り、1つ以上を意味し得る。グループの1つ以上のメンバー間の「または」を含むクレームまたは記載は、反対の指示がない限り、または文脈から明白でない限り、グループの1つ、1つを超える、または全てのメンバーが所与の製品またはプロセスに存在、採用、またはさもなくば関連する場合、満たされているとみなされる。本開示は、グループの厳密に1つのメンバーが、所与の製品またはプロセス存在、採用、またはさもなくば関連する実施形態を含む。本開示は、グループの1つを超える、または全てのメンバーが、所与の製品またはプロセス存在、採用、またはさもなくば関連する実施形態を含む。
また、「含む」という用語は、オープンであることを意図しており、追加の要素またはステップの包含を許可するものであるが、その包含は必ずしも必要ではないことに留意されたい。本明細書で「含む」という用語が使用されるとき、「からなる」という用語もそれによって包含され、開示される。
範囲が指定されている場合、端点が含まれている。さらに、別段の指示がない限り、または文脈及び当業者の理解から明白でない限り、範囲として表される値は、本開示の異なる実施形態で述べられた範囲内の任意の特定の値または部分範囲を、文脈の別段の定めがない限り、範囲の下限の単位の10分の1までをとることができることを理解されたい。
全ての引用元、例えば、参照文献、出版物、データベース、データベース登録、及びここに引用された技術は、引用に明示的に記載されていない場合でも、参照により本出願に組み込まれる。引用された情報源及び本出願の記述が矛盾する場合、本出願の記述が優先するものとする。
下記の実施例を参照することによって本開示の理解がさらに深まるであろう。しかしながら、それらの実施例を、本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではない。本明細書に記載の実施例及び実施形態の目的は例示にすぎず、それらを踏まえれば様々な改変または変更を当業者なら思い付くであろうし、そうした改変または変更は、本出願の趣旨及び視野ならびに添付の特許請求の範囲に含まれることになることが理解されよう。
実施例は、免疫細胞送達LNPの生理学的効果を実証するものであり、免疫細胞によって本開示のLNPが取り込まれるかをさらに試験するために設計されたものである。こうした実験は、患者の免疫細胞においてin vivoで発現させるための治療分子、または患者由来の免疫細胞においてex vivoで発現させるための治療分子、を送達するためのLNPの開発を支援するものである。本明細書で例示される分子は、膜貫通型分子(例えば、細胞受容体または修飾された細胞受容体(CARTなど))、細胞内分子(例えば、転写因子)、及び可溶性分子(例えば、サイトカイン/増殖因子)を送達するための本開示のLNPの生理学的効果を実証するものである。
実施例1:化合物の合成
本発明の代表的なイオン化可能な脂質(例えば、式(I)、式(IA)、式(II)、式(IIa)、式(IIb)、式(IIc)、式(IId)、式(IIe)、式(III)、及び式(IIIa1−8)のいずれかを有する化合物、及び/または化合物X、化合物Y、化合物Z、化合物Q、もしくは化合物Mのいずれか)の合成については、同時係属出願PCT/US2016/052352及び同PCT/US2016/068300に記載されており、これらの文献のそれぞれの内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
実施例2:ナノ粒子組成物の生成
A.ナノ粒子組成物の生成
細胞への治療薬及び/または予防薬の送達における使用のためのナノ粒子組成物の安全性及び効率を調べるために、様々な薬剤を調製し、試験した。具体的には、ナノ粒子組成物の脂質成分における特定の要素及びその比率を最適化した。
ナノ粒子は、混合プロセス(治療薬及び/または予防薬を一方が含み、もう一方が脂質成分を有する2つの液体流を、マイクロ流体工学及びT字合流を使用して混合するものなど)を用いて調製することができる。
脂質組成物は、式(I)、式(IA)、式(II)、式(IIa)、式(IIb)、式(IIc)、式(IId)、式(IIe)、式(III)、及び式(IIIa1−8)による脂質、及び/または化合物X、化合物Y、化合物Z、化合物Q、もしくは化合物Mのいずれか、もしくは非カチオン性ヘルパー脂質(Avanti Polar Lipids,Alabaster,ALから入手可能なDOPE、DSPC、またはオレイン酸など)と、PEG脂質(Avanti Polar Lipids,Alabaster,ALから入手可能な1,2−ジミリストイル−sn−グリセロールメトキシポリエチレングリコール(PEG−DMGとしても知られる)など)と、フィトステロール(必要に応じて構造脂質(コレステロールなど)を含む)とを、溶媒(例えば、エタノール)中濃度が例えば約50mMとなるように混合されることによって調製される。溶液は、保管時には冷却すべきであり、その際の冷却温度は、例えば、−20℃である。脂質は、所望のモル比(例えば、以下の表21を参照のこと)が得られるように混合され、水及びエタノールで希釈されることで、最終脂質濃度が、例えば、約5.5mM〜約25mMとなるように調整される。表21中のフィトステロール
*は、フィトステロールを指すか、またはフィトステロールと構造脂質とを必要に応じて組み合わせたもの(ベータ−フィトステロールとコレステロールとを組み合わせたものなど)を指す。
表21.式(I)、式(IA)、式(II)、式(IIa)、式(IIb)、式(IIc)、式(IId)、式(IIe)、式(III)、及び式(IIIa1−8)による化合物、及び/または化合物X、化合物Y、化合物Z、化合物Q、もしくは化合物Mのいずれか、を含む製剤の例。
治療薬及び/または予防薬と脂質成分とを含むナノ粒子組成物は、脂質溶液と、治療薬及び/または予防薬を含む溶液とを、脂質成分と治療薬及び/または予防薬との比(wt:wt)が約5:1〜約50:1となるように混合することによって調製される。NanoAssemblr(ミクロ流体ベースのシステム)を使用して約10ml/分〜約18ml/分の流速で脂質溶液を治療薬及び/または予防薬溶液に迅速に注入することで、水とエタノールとの比が約1:1〜約4:1の懸濁液が得られる。
RNAを含むナノ粒子組成物については、0.1mg/mlの濃度で脱イオン水中にRNAを含む溶液をpH3〜4の緩衝液(例えば、50mMのクエン酸ナトリウム緩衝液)で希釈することで貯蔵液が形成される。
透析によってナノ粒子組成物を処理してエタノールを除去し、緩衝液交換を達成することができる。製剤は、カットオフ分子量が10kDaのSlide−A−Lyzerカセット(Thermo Fisher Scientific Inc.,Rockford,IL)を使用して一次生成物の体積の200倍の体積のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(pH7.4)に対して2回透析される。最初の透析は室温で3時間行われる。次に、4℃で一晩、製剤の透析が行われる。得られたナノ粒子懸濁液は、孔径0.2μmの滅菌フィルター(Sarstedt,Numbrecht,Germany)を介してろ過してガラスバイアルに充填され、巻き締めして密封される。一般には、0.01mg/ml〜0.10mg/mlのナノ粒子組成物溶液が得られる。
上記の方法では、ナノ沈殿及び粒子形成が誘導される。代替プロセスには、限定されないが、T字合流及び直接注入が含まれ、こうした代替プロセスを使用しても同じナノ沈殿を達成することができる。
B.ナノ粒子組成物の特徴付け
ナノ粒子組成物の粒径、多分散性指数(PDI)、及びゼータ電位を決定には、Zetasizer Nano ZS(Malvern Instruments Ltd,Malvern,Worcestershire,UK)を使用することができる(粒径の決定は1×PBS中で行われ、ゼータ電位の決定は15mMのPBS中で行われる)。
ナノ粒子組成物における治療薬及び/または予防薬(例えば、RNA)の濃度決定には、紫外・可視分光法を使用することができる。1×PBSに含めた希釈製剤100μLに対してメタノールとクロロホルムとの4:1(v/v)混合物900μLが添加される。混合後、溶液の吸収スペクトルが記録され、この記録は、例えば、DU800分光光度計(Beckman Coulter,Beckman Coulter,Inc.,Brea,CA)で行われ、230nm〜330nmの波長範囲が使用される。ナノ粒子組成物における治療薬及び/または予防薬の濃度は、組成物において使用される治療薬及び/または予防薬の吸光係数、ならびにある波長(例えば、260nm)での吸光度とある波長(例えば、330nm)でのベースライン値との差に基づいて計算することができる。
RNAを含むナノ粒子組成物については、ナノ粒子組成物によるRNAのカプセル化の評価にQUANT−IT(商標)RIBOGREEN(登録商標)RNAアッセイ(Invitrogen Corporation Carlsbad,CA)を使用することができる。試料は、TE緩衝液(10mMのトリス−HCl、1mMのEDTA、pH7.5)で約5μg/mL濃度に希釈される。ポリスチレンの96ウェルプレートに希釈試料50μLが移され、TE緩衝液50μLまたは2%のTritonX−100溶液50μLのいずれかがウェルに添加される。温度37℃で15分間、プレートのインキュベートが行われる。RIBOGREEN(登録商標)試薬がTE緩衝液で1:100となるように希釈され、この溶液100μLが各ウェルに添加される。蛍光強度は、励起波長を例えば約480nmとし、発光波長を例えば約520nmとして蛍光プレートリーダー(Wallac Victor 1420 Multilablel Counter;Perkin Elmer,Waltham,MA)を使用して測定することができる。試料のそれぞれの蛍光値から試料ブランクの蛍光値が差し引かれ、無処理試料(TritonX−100の添加なしのもの)の蛍光強度を破壊試料(TritonX−100の添加によって破壊したもの)の蛍光値で割ることによって遊離RNAのパーセントが決定される。
C.in vivoでの製剤試験
様々なナノ粒子組成物が治療薬及び/または予防薬をどのくらい効率的に標的細胞に送達するかを監視するために、特定の治療薬及び/または予防薬(例えば、修飾RNAまたは天然起源のRNA(mRNAなど))を含む異なるナノ粒子組成物が調製され、げっ歯類集団に投与される。ナノ粒子組成物を含む単回用量が脂質ナノ粒子製剤としてマウスの静脈内、筋肉内、動脈内、または腫瘍内に投与される。場合によっては、用量をマウスに吸入させることができる。用量サイズの範囲は、0.001mg/kg〜10mg/kgであり得、10mg/kgは、マウスの体重1kgごとにつき10mgの治療薬及び/または予防薬をナノ粒子組成物に含む用量であることを示す。PBSを含む対照組成物を用いることもできる。
ナノ粒子組成物をマウスに投与する際には、特定の製剤及びその用量の用量送達プロファイル、用量応答、及び毒性を酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、生物発光画像化法、または他の方法によって測定することができる。mRNAを含むナノ粒子組成物については、タンパク質発現の経時変化を評価することもできる。評価用にげっ歯類から採取される試料には、血液、血清、及び組織(例えば、筋肉内注射部位から得られる筋組織、及び内部組織)が含まれ得る。試料採取には、動物の屠殺が伴い得る。
mRNAを含むナノ粒子組成物は、治療薬及び/または予防薬を送達するための様々な製剤の効力及び有用性の評価において有用である。mRNAを含む組成物を投与することによって誘導されるタンパク質発現のレベル上昇は、mRNAの翻訳の増加及び/またはナノ粒子組成物によるmRNA送達の効率の上昇の指標となる。非RNA成分は翻訳機構自体には影響を与えないと考えられるため、タンパク質発現のレベル上昇は、所与のナノ粒子組成物による治療薬及び/または予防薬の送達効率が他のナノ粒子組成物または当該ナノ粒子組成物が不在の場合と比較して上昇することの指標である可能性がある。
実施例3:ヒト急性骨髄性白血病細胞へのex vivoでの膜結合型タンパク質のmRNAの送達
第1の一連の実験では、ヒト患者から得られたヒト急性骨髄性白血病(AML)細胞へとベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPがmRNAを送達する能力を他のLNPと比較してex vivoで試験した。様々なLNPに製剤化されたマウスOX40LコードmRNA(50ng)、またはPBSの存在下でAML細胞を37℃でインキュベートした。24時間後、細胞がマウスOX40Lタンパク質を発現したかをフローサイトメトリーによって分析した。フィコエリトリン(PE)で標識された抗mOX40L抗体を使用して、蛍光顕微鏡法によっても細胞のmOX40L発現について調べた。下記のLNP製剤を試験した:LNP1(化合物X−DSPC−PEG DMGから構成される)、LNP2(化合物X−DSPC−化合物428から構成される)、及びLNP3(化合物X−DSPC−ベータ−シトステロール/コレステロール−PEG DMGから構成される(化合物X50mol%、DSPC10mol%、ベータ−シトステロール/コレステロール38.5mol%(b−シトステロール28.5mol%、コレステロール10mol%)、及びPEG DMG1.5mol%))。
フローサイトメトリーの結果は、図1Aにまとめられており、ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNP(LNP3)で処理した細胞の約50%がmOX40Lを発現したことを示す。LNP3によるこの発現は、試験したその他の2つのLNP(LNP1及びLNP2)で観測されたものと比較して約10倍高いトランスフェクションレベルのものであった。蛍光顕微鏡法の結果は、図1Bにまとめられており、この結果から、ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNP(LNP3)で処理した細胞が、試験したその他の2つのLNP(LNP1及びLNP2)での処理と比較して有意に高いレベルでmOX40Lを発現することが確認された。
図1A〜1Bの結果から、試験したその他のLNP(LNP1及びLNP2)と比較して、mRNAコンストラクトをex vivoでヒトAML細胞に送達する上でベータ−シトステロール/コレステロール含有LNP(LNP3)が有意に良好なものであることが実証された。こうした結果に基づいて、AMLマウスモデルにおけるin vivoでのmRNA送達についてベータ−シトステロール/コレステロール含有LNP(LNP3)を試験した(実施例4を参照のこと)。
実施例4:急性骨髄性白血病(AML)患者から得られた末梢血単核球(PBMC)で再構成されたPDXマウスにおけるmRNA送達
第2の一連の実験では、タンパク質をコードするmRNAを様々なLNP組成物がin vivoで細胞に送達する能力を試験するために、急性骨髄性白血病(AML)の患者由来異種移植(PDX)マウスモデルを使用した。このPDXモデルでは、AML患者から得られた末梢血単核球(PBMC)が免疫不全マウスに投与される。次に、このマウスにおいて薬剤の作用を試験することができる。
5週齢の雌性NOD.Cg−Prkdcscid Il2rgtm1Sug/JicTac(NOG;Taconic 番号NOG−F)マウスに対して亜致死性の照射(175cGyの全身照射)を行った(RS2000−X−ray Biological Irradiator,RadSource Technologies,Inc.)。並行して、AML患者由来のPBMCを37℃で解凍し、血球計算板を使用して生細胞数を計測した。照射マウスの外側尾静脈に最大で2×106個のヒトAML細胞(PBS中体積0.2ml)を注射し、マウスへの注射を行った。個々の動物の末梢血1μl当たりのCD33+芽球数が20〜2000に達したときに、mOX40LをコードするmRNAコンストラクトが様々な異なるLNP組成物に製剤化(カプセル化)されたものをマウスに静脈内注射した。注射から24時間後、マウスを安楽死させ、その脾臓を採取し、mRNAコンストラクトによってコードされるmOX40Lタンパク質の発現についてフローサイトメトリーによって分析した。
脾細胞の最初のフローサイトメトリー分析から、LNPによってカプセル化されたmRNAによってコードされるmOX40Lを脾臓内のT細胞集団が発現することが示唆された。このことの確証をさらに得るために、CD3及びmOX40Lに対する二重染色を実施した。こうしたフローサイトメトリーの結果は、図2A〜2Dに示されており、X軸は、ヒトCD3を発現する細胞を示し、Y軸は、マウスOX40Lを発現する細胞を示す。図2Aは、負の対照としてPBSを投与したマウスの結果を示す。図2Bは、化合物X−DSPC−PEG DMGを含むLNP(LNP1)にmOX40LをコードするmRNAコンストラクトがカプセル化されたものを投与したマウスの結果を示す。図2Cは、化合物X−DSPC−化合物428を含むLNP(LNP2)にmOX40LをコードするmRNAコンストラクトがカプセル化されたものを投与したマウスの結果を示す。図2Dは、化合物X−ベータ−シトステロール/コレステロール−DSPC−PEG DMGを含むLNP(LNP3)にmOX40LをコードするmRNAコンストラクトがカプセル化されたものを投与したマウスの結果を示す。
図2A〜2Dの結果から、hCD3が陽性であり、かつmOX40L(LNPによってカプセル化されたmRNAコンストラクトによってコードされるもの)も発現する細胞の観測レベルは、ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPを使用したときに最も高い(図2D、右上の四分部)ことが実証された。したがって、こうした最初の結果から、ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPがmRNAコンストラクトをin vivoで効率的にT細胞に送達することが示された。
上記のPDXマウスモデルを使用して確認試験を繰り返したところ、ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNP(LNP3)によるmOX40Lのトランスフェクションが効率的であることが、複数の細胞型で観測された。具体的には、フローサイトメトリーで染色を分析したところ、ヒトCD3+細胞集団(ヒトT細胞)、ヒトCD33+細胞集団(ヒトAML細胞)、及びマウスCD45+細胞集団(マウス白血球)の中でのmOX40L+細胞のレベルが高いことが実証され(データ非掲載)、このことによって、ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPによって免疫細胞へのトランスフェクションがin vivoで生じることが確認された。
実施例5:ヒト末梢血単核球(PBMC)へのex vivoでのmRNA送達
ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPがmRNAコンストラクトをin vivoでT細胞に効率的に送達することが示されたPDXモデルでの最初のin vivo試験に続き、このLNPによるT細胞へのmRNAコンストラクトの送達をさらに確認するために、追加試験をex vivoで実施した。
この実施例では、実施例3で試験した3つの異なるLNP組成物のそれぞれにマウスOX40L(mOX40L)をコードするmRNA(20ngまたは50ng)がカプセル化されたものの存在下で、2人の異なるドナー(ドナー1及びドナー2)から得られたヒト末梢血単核球(PBMC)をインキュベートした。PBSを負の対照として使用した。様々なLNPと共にヒトPBMCを37℃、ex vivoでインキュベートした。24時間後、CD3+T細胞におけるmOX40Lタンパク質の発現についてフローサイトメトリーによって細胞を分析した。
図3A〜3Bにはドナー1の結果が示され、図4A〜4Bにはドナー2の結果が示される。図3A及び図4Aは、mRNAを20ng使用した結果を示し、図3B及び図4Bは、mRNAを50ng使用した結果を示す。各フローサイトメトリーグラフについて、X軸は、mOX40Lを発現する細胞を示し、Y軸は、ヒトCD3を発現する細胞を示す。これらのフローサイトメトリーグラフでは、(i)PBSを投与したマウスの結果、(ii)化合物X−DSPC−PEG DMG、及び構造脂質としてのコレステロールを含むLNP(LNP1)を投与したマウスの結果、(iii)化合物X−DSPC−化合物428、及び構造脂質としてのコレステロールを含むLNP(LNP2)を投与したマウスの結果、または(iv)化合物X−ベータ−シトステロール/コレステロール−DSPC−PEG DMGを含むLNP(LNP3)を投与したマウスの結果が左から右に示される。
図3A〜3B及び図4A〜4Bに示される結果から、CD3+が陽性であり、かつmOX40L(LNPによってカプセル化されたmRNAコンストラクトによってコードされるもの)も発現する細胞のレベルが、ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPで処理したPBMCにおいて最も高いことが確認された。したがって、この試験では、ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPがmRNAコンストラクトをex vivoでヒト末梢血T細胞に効率的に送達することが実証された。
mOX40LをコードするmRNAがカプセル化されたベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPの3つの異なるロットを用いてex vivoでのヒトPBMCへのトランスフェクションを行うことによって、PBS対照と比較して上記の試験を繰り返し実施した。フローサイトメトリーの結果は、図5A〜5Dに示されており、図5A、図5B、図5C、及び図5Dは、4回の技術的反復測定を示しており、パネルは、それぞれPBS、LNPのロット1、LNPのロット2、またはLNPのロット3での処理を示す(左から右に示される)。各フローサイトメトリーグラフについて、X軸は、mOX40Lを発現する細胞を示し、Y軸は、ヒトCD3を発現する細胞を示す。図5A〜5Dの結果から、ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPの3つの異なるロットのそれぞれが、mOX40LをコードするmRNAをCD3+T細胞に送達する上で有効であることが確認された。
ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPによるヒトPBMCへの異なるmRNAコンストラクトのex vivoでの送達を調べるために別の試験を実施した。したがって、この試験については、高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)をコードするmRNAコンストラクトをLNPにカプセル化し、上記のようにLNPまたはPBSのいずれかと共にヒトPBMCをex vivoでインキュベートした。24時間後、フローサイトメトリーを実施した。この結果は、図6A〜6Bに示されており、図6Aは、PBSでの処理の結果を示し、図6Bは、ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPでの処理の結果を示す。パネルは、4回の異なる反復測定、及びそれらを重ね合わせて合成表示したものを左から右に示す。各フローサイトメトリーグラフについて、X軸は、EGFPを発現する細胞を示し、Y軸は、ヒトCD3を発現する細胞を示す。この結果は、この第2のmRNAコンストラクトがベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPによってCD3+T細胞に効率的に送達されたことを実証するものである。
ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPによるマウスPBMCへのmOX40LをコードするmRNAのex vivoでの送達を調べるために同様の試験を実施した。上記の3つの異なるLNP組成物(LNP1、LNP2、LNP3)のそれぞれにカプセル化された50ngのmRNAの存在下、37℃、ex vivoでマウスPBMCをインキュベートした。PBSを負の対照として使用した。24時間後、CD3+T細胞におけるmOX40Lタンパク質の発現についてフローサイトメトリーによって細胞を分析した。この結果は、図7に示されており、この結果は、ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPを含めて、試験したLNPのいずれによってもマウスT細胞へのex vivoでのトランスフェクションは生じなかったことを実証するものである。
実施例6:ヒト末梢血単核球(PBMC)内の様々な異なる免疫細胞へのex vivoでのmRNA送達
この実施例では、ヒト末梢血単核球(PBMC)内の異なる免疫細胞集団へのベータ−シトステロール/コレステロール含有LNP(mOX40Lがカプセル化されたもの)によるトランスフェクションをフローサイトメトリーによって調べた。4人の異なるドナー(ドナー1〜4)から得られたPMBCを使用した。PBSを負の対照として使用した。トランスフェクションは、実施例5に記載のように実施した。下記の細胞表面マーカー(複数可)の発現に対するゲートを行うことによって下記の細胞集団を調べた:(i)活性化NK細胞−CD56DIM、(ii)未熟NK細胞−CD56HIGH、(iii)樹状細胞(DC)−CD11c+,CD11b−、(iv)単球−CD11c+,CD11b+、(v)T細胞−CD3+、(vi)NK T細胞−CD3+,CD56+、及び(vii)B細胞−CD19+。
ドナー1〜4の結果は、それぞれ図8A〜8Dに示される。負の対照(PBS)によってトランスフェクションが生じた%は、調べたすべての細胞サブセットで1%未満であった(データ非掲載)。対照的に、ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPを使用すると、調べたヒト免疫細胞型の7つすべてにおいてex vivoでトランスフェクションが生じた。具体的には、活性化NK細胞では19%(8〜31%)にトランスフェクションが生じ、未熟NK細胞では3%(2〜5%)にトランスフェクションが生じ、DCでは58%(47〜63%)にトランスフェクションが生じ、単球では66%(57〜73%)にトランスフェクションが生じ、T細胞では27%(10〜39%)にトランスフェクションが生じ、NK T細胞では27%(11〜31%)にトランスフェクションが生じ、B細胞では3%(1〜5%)にトランスフェクションが生じた。
追加試験では、ヒトCD3+T細胞集団内のT細胞の異なるサブセットへのベータ−シトステロール/コレステロール含有LNP(LNP3(mOX40Lがカプセル化されたもの))によるex vivoでのトランスフェクションをフローサイトメトリーによって調べた。PBSを負の対照として使用した。トランスフェクションは、実施例5に記載のように実施した。指定の細胞表面マーカー(複数可)の発現に対するゲートを行うことによって下記の細胞集団を調べた:(i)CD3+T細胞(総T細胞)、(ii)CD4+T細胞、(iii)CD8+T細胞、及び(iv)CD4+CD25+CD127lowTreg細胞。CD4+T細胞、CD8+T細胞、及びTregsの結果は、それぞれ図9A〜9Cに示される。この結果は、ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPを使用することで、総T細胞(CD3+)集団内で調べたT細胞サブセットのすべてが効率的にトランスフェクションされ、CD4+T細胞及びCD8+T細胞ではトランスフェクションされた細胞のパーセントがTregと比較して高かったことを示す。
ヒトPBMCへのトランスフェクションをex vivoで繰り返しても、細胞生存率に対する影響は観測されなかった。さらに、サイトカイン産生、活性化、または増殖に対する影響も観測されなかった。こうした結果は、ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPによるmRNA送達の増進が、細胞生存率、サイトカイン産生、活性化、または増殖に有害な影響を全く与えなかったことを示すものである。
実施例7:非ヒト霊長類におけるin vivoでのmRNA送達
この実施例では、ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPがmRNAをin vivoで非ヒト霊長類(NHP)T細胞に送達する能力を他のLNPと比較して試験した。マウスOX40LをコードするmRNAを様々なLNPに製剤化した。次に、この製剤化LNPを、試験の1日目に、適切な末梢静脈を介して5mL/kg/時間の用量速度で単回の60分間の静脈内注入を行ってNHPに投与した。それぞれの動物に対する用量体積は、直近の体重測定を基準にした。用量は、末梢静脈に挿入された短期留置カテーテル、及び注射セットを使用して投与した。
静脈内注射から24時間後、脾臓を摘出し、解離処理を行い、単一細胞溶液をフローサイトメトリーによって分析した。大腿骨及び上腕骨から骨髄細胞も収集し、単一細胞溶液を洗浄後、フローサイトメトリーによって分析した。
図10は、脾臓におけるmOX40L+細胞のパーセントを示しており、ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPで処理した動物では、脾臓におけるmOX40L+細胞のパーセントが、その他3つのLNPで処理した動物と比較して有意に高かったことを実証している。こうした結果から、ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPが、脾臓における免疫細胞にmRNAを効率的に送達することが示された。脾臓における免疫細胞のどの型がin vivoでトランスフェクションされたかを調べるために、mOX40Lと、CD3(脾臓T細胞が対象)、CD20(脾臓B細胞が対象)、またはCD11c(脾臓樹状細胞が対象)のいずれかと、の共発現に対するゲートを行って追加のフローサイトメトリー試験を実施した。
mOX40L+CD3+脾臓T細胞についてのフローサイトメトリーの結果は図11A〜11Cに示される。図11A及び図11Bは、2匹の異なる動物から得られた結果を示し、図11Cは、これら2つの結果を重ね合わせて合成表示したものを示す。パネル(左から右に示される)は、それぞれ処理群1、処理群2、処理群3、及び処理群4の結果を示す。各フローサイトメトリーグラフについて、X軸は、mOX40Lを発現する細胞を示し、Y軸は、CD3を発現する細胞を示す。図11A〜11Cの結果から、試験したその他3つのLNPのいずれと比較しても、mRNAコンストラクトをin vivoでNHP脾臓T細胞に送達する上でベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPが有意に良好なものであることが実証された。
mOX40L+CD20+脾臓B細胞についてのフローサイトメトリーの結果は図12A〜12Cに示される。図12A及び図12Bは、2匹の異なる動物から得られた結果を示し、図12Cは、これら2つの結果を重ね合わせて合成表示したものを示す。パネル(左から右に示される)は、それぞれ処理群1、処理群2、処理群3、及び処理群4の結果を示す。各フローサイトメトリーグラフについて、X軸は、mOX40Lを発現する細胞を示し、Y軸は、CD20を発現する細胞を示す。図12A〜12Cの結果から、試験したその他3つのLNPのいずれと比較しても、mRNAコンストラクトをin vivoでNHP脾臓B細胞に送達する上でベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPが有意に良好なものであることが実証された。
mOX40L+CD11c+脾臓樹状細胞についてのフローサイトメトリーの結果は図13A〜13Cに示される。図13A及び図13Bは、2匹の異なる動物から得られた結果を示し、図13Cは、これら2つの結果を重ね合わせて合成表示したものを示す。パネル(左から右に示される)は、それぞれ処理群1、処理群2、処理群3、及び処理群4の結果を示す。各フローサイトメトリーグラフについて、X軸は、mOX40Lを発現する細胞を示し、Y軸は、CD11cを発現する細胞を示す。図13A〜13Cの結果から、試験したその他3つのLNPのいずれと比較しても、mRNAコンストラクトをin vivoでNHP脾臓樹状細胞に送達する上でベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPが有意に良好なものであることが実証された。
mOX40L+骨髄細胞についてのフローサイトメトリーの結果は図14A〜14Bに示され、図14Aは、大腿骨から得られた骨髄におけるmOX40L+細胞の%を示し、図14Bは、上腕骨から得られた骨髄におけるmOX40L+細胞の%を示す。図14A〜14Bの結果から、試験したその他3つのLNPのいずれと比較しても、mRNAコンストラクトをin vivoでNHP骨髄細胞(特に上腕骨の骨髄のもの)に送達する上でベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPが有意に良好なものであることが実証された。
したがって、この試験では、試験したその他のLNPと比較して、ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPが、タンパク質コードmRNAコンストラクトを非ヒト霊長類脾細胞に効率的に送達することで、脾臓内の複数の異なる型の免疫細胞(T細胞、B細胞、樹状細胞)におけるタンパク質発現のレベルを有意に高めることに加えて、mRNAコンストラクトを非ヒト霊長類骨髄細胞にも効率的に送達することが実証された。
実施例8:非ヒト霊長類におけるin vivoの確認試験
この実施例では、ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPによる免疫細胞へのmRNAのin vivoでの送達をさらに調べるために、非ヒト霊長類(カニクイザル)において確認試験を実施した。別々の材料調製物を用いて2回の連続試験を、実施例7に記載のものと同様に実施した(n=4)。動物の静脈内投与を0.2mg/kgで行い、24時間経過観察してから剖検を行った。mOX40L mRNAをLNP3(化合物X/ベータ−シトステロール/コレステロール/PEG DMG)にカプセル化したもので動物を処理した。PBS及びLNP1(化合物X/PEG DMG)を対照として使用した。造血系(骨髄(2つの部位)、脾臓、胸腺、及びリンパ節を含む)ならびに肝臓の完全な病理組織診断を実施した。いずれの試験についても有害な臨床所見は報告されなかった。
組織学的染色から、24時間の時点で、脾臓及び骨髄では発現が確認されたが、リンパ節または胸腺では発現は見られなかった(データ非掲載)。脾臓B細胞(CD20+)、T細胞(CD3+)、及び樹状細胞(CD11c+)における発現はフローサイトメトリーによって調べた。この結果は、図15A〜15Cに示される。こうした結果から、LNP3を使用することで、LNP1と比較してB細胞(図15A;17%対3%)、T細胞(図15B;15%対3%)、及び樹状細胞(図15C;36%対5%)において有意に高いレベルでmRNAが発現することが実証された。大腿骨及び上腕骨における骨髄発現についてもフローサイトメトリーによって調べた。この結果は、図16A〜16Bに示される。こうした結果から、LNP3を使用することで、LNP1と比較して大腿骨の骨髄(図16A;24%対4%)及び上腕骨の骨髄(図16B;21%対5%)において有意に高いレベルでmRNAが発現することが実証された。
トランスフェクションされたmRNAの発現について骨髄内の様々な異なる免疫細胞が陽性であることが骨髄細胞の免疫表現型検査によって決定された。具体的には、単球の約30%、形質細胞の約15%、ならびに初期前駆細胞(前赤芽球、単芽球/骨髄芽球、及び間葉系幹細胞を含む)の約5%が発現陽性であった一方で、発現が生じた未熟B細胞またはB細胞前駆体の発現%は5%未満であった。
実施例9:非ヒト霊長類末梢血単核球(PBMC)へのex vivoでのmRNA送達
この実施例では、ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPがmRNAを非ヒト霊長類(NHP)PBMCに送達する能力を他のLNPと比較してex vivoで試験した。様々なLNPに製剤化されたmOX40LコードmRNA、またはPBSの存在下でNHP PBMCを37℃でインキュベートした。24時間後、CD3+T細胞におけるmOX40Lタンパク質の発現についてフローサイトメトリーによって細胞を分析した。
結果は、図17に示される。示されるように、パネル(左から右に示される)は、それぞれ(i)PBSと共にインキュベートしたPBMC、または(ii)化合物X/PEG DMGを含むLNP(LNP1)と共にインキュベートしたPBMC、(iii)化合物X/化合物428含むLNP(LNP2)と共にインキュベートしたPBMC、もしくは(iv)化合物X/ベータ−シトステロール/コレステロール/PEG DMGを含むLNP(LNP3)と共にインキュベートしたPBMCを示す。各フローサイトメトリーグラフについて、X軸は、mOX40Lを発現する細胞を示し、Y軸は、CD3を発現する細胞を示す。
図17の結果から、試験したその他のLNPと比較して、mRNAコンストラクトをex vivoでNHP PBMC T細胞に送達する上でベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPが有意に良好なものであることが実証された。
実施例10:ヒト骨髄形質細胞へのex vivoでのmRNA送達
非ヒト霊長類においてin vivoで観測された骨髄形質細胞へのトランスフェクション(実施例8に記載のもの)について、ヒト骨髄試料を使用してex vivoでのトランスフェクションについてもさらに調べた。mOX40LをコードするmRNAをベータ−シトステロール/コレステロール含有LNP(LNP3)に製剤化したものを用いて、5つのヒトドナー骨髄試料へのトランスフェクションを行った。PBSを対照として使用した。3つの代表的なドナー試料から得られたCD45+CD38+CD138+CD19+CD20−形質細胞についてのフローサイトメトリーの結果は図18A〜18Dに示される(図18Aは、PBS対照を示し、図18B〜18Dは、ドナー1〜3を示す)。2人の追加ドナーについても同様の結果が得られた(データ非掲載)。こうした結果は、LNP3を使用することで形質細胞の約60〜80%がトランスフェクションされたことを実証するものであり、これによって、ヒト骨髄形質細胞を効果的にトランスフェクションする能力をLNP3が有することが確認された。
実施例11:ラットにおけるLNP3の薬理学的プロファイル
この実施例では、ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNP(LNP3)を使用することで、mOX40LをコードするmRNAを様々な用量でラットにおける脾細胞にin vivoで送達し、異なる処理レジメンを使用してLNP3の薬理学的プロファイルを調べた。
第1の一連の実験では、PBS対照、またはmOX40L mRNAがカプセル化されたLNP3のいずれかを、0.15mg/kg、0.3mg/kg、または0.6mg/kgでラットに静脈内投与し、CD3+脾臓T細胞、CD19+脾臓B細胞、またはCD11b+脾臓マクロファージにおけるトランスフェクションされたmRNAの発現をフローサイトメトリーによって調べた。結果は図19A〜19Cに示されており、この結果は、ラットにおける薬理作用が用量依存的であり、0.3mg/kgを超えると薬理作用が飽和に達する可能性がある(すなわち、トランスフェクションレベルは、0.3mg/kg及び0.6mg/kgではほぼ等しかったが、0.15mg/kgでは低下した)ことを実証している。
第2の一連の実験では、PBS対照、またはmOX40L mRNAがカプセル化されたLNP3のいずれかを0.6mg/kgでラットに静脈内投与した。投与から24時間後、96時間後、及び168時間後に、mOX40L陽性の脾細胞のパーセントを決定した。結果は図20に示されており、この結果から、トランスフェクションされた細胞のパーセントは投与から24時間後及び96時間後の時点ではほぼ等しいが、投与から168時間後の時点ではトランスフェクションされた細胞のパーセントの低下が観測されることが実証された。
第3の一連の実験では、PBS対照、またはmOX40L mRNAがカプセル化されたLNP3のいずれかを0.6mg/kgでラットに静脈内投与した。単回用量(SD)、1日1回の用量を3日間投与する合計3回の用量(QD×3)、または1回の用量を3日ごとに投与する合計3回の用量(Q3D×3)、のいずれかでラットを処理した。最終用量の投与から24時間後にmOX40L陽性の脾細胞のパーセントを決定した。結果は図21に示されており、この結果から、すべての投与レジメンで脾細胞へのトランスフェクションが生じ、QD×3レジメンを用いるとトランスフェクションされる細胞のパーセントが最も高まることが実証された。
実施例12:ヒトPBMCへのトランスフェクションを繰り返すことの効果
この実施例では、mOX40LをコードするmRNAがカプセル化されたベータ−シトステロール/コレステロール含有LNP(LNP3)を用いてヒトPBMCへのトランスフェクションを行い、細胞へのトランスフェクションを繰り返すことの効果を、単回のトランスフェクションと比較した。実施例5に記載のように細胞へのトランスフェクションを行った。単回のトランスフェクションの試料については、トランスフェクションから24時間後、48時間後、及び72時間後にmOX40L+細胞の%及び蛍光強度の中央値(MFI)を測定した。複数回のトランスフェクションの試料については、細胞へトランスフェクションを3回行い、各トランスフェクションから24時間後にmOX40L+細胞の%及びMFIを測定した。単回のトランスフェクションの結果は図22Aに示され、複数回のトランスフェクションの結果は図22Bに示され、これらの図では、トランスフェクションの%が左軸に示され、MFIが右軸に示される。この結果は、ヒトPBMCへのトランスフェクションを繰り返すことで、トランスフェクションの%もMFIも用量依存的に増加したことを実証している。単回のトランスフェクションまたは複数回のトランスフェクションのいずれによっても細胞生存率が影響を受けることはなかった。
実施例13:ヒトT細胞へのトランスフェクションをex vivoで行うためのLNPとの相互作用時間
この実施例では、ヒトT細胞へのトランスフェクションの達成に必要なLNPとの最短相互作用時間を決定するために、PBMCへのex vivoでのトランスフェクションを、時間を変えて行った。mOX40LをコードするmRNAがカプセル化されたLNP3(100ng)と共に2×105個のヒトPBMCを15分、60分、4時間、または24時間インキュベートした。PBS及びLNP1を対照として使用した。各時点でのmOX40L+T細胞についてのフローサイトメトリーの結果は、それぞれ図23A〜23Dに示される。この結果は、T細胞へのトランスフェクションには15分のインキュベート時間で十分であり、4時間まではトランスフェクションレベルが増加したことを実証している。4時間及び24時間の時点で観測されたトランスフェクションレベルはほぼ等しかった。こうした結果は、LNPの相互作用時間がわずか15分であってもヒトT細胞へのトランスフェクションをex vivoで行うには十分であることを実証している。
実施例14:ベータ−シトステロール/コレステロール含有脂質ナノ粒子を使用する免疫応答の増進
この実施例では、ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPがmRNAワクチンの免疫原性をin vivoで増進する能力を、ベータ−シトステロール/コレステロール非含有LNPと比較して調べた。サイトメガロウイルス(CMV)糖タンパク質B(gB)をコードするmRNAが、化合物Yを含むLNP、または化合物Yもベータ−シトステロール/コレステロールも含むLNP、のいずれかにカプセル化されたものをワクチン組成物として使用した。これらの2つのLNPにはそれぞれ、DSPC、PEG−DMG、及びコレステロールも含めた。
これら2つのLNPのそれぞれにカプセル化されたmRNAワクチン(0.5μg)を1日目に筋肉内投与してマウスを免疫化し、このマウスを21日目に追加で免疫化した。gBをコートしたプレートを使用するELISAによって21日目(初回免疫から3週間後)及び36日目(追加免疫から2週間後)に血清中のgB特異的IgG力価をアッセイした。結果は図24に示される。この結果から、ベータ−シトステロール/コレステロール非含有LNPと比較して、ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPで処理したマウスでは36日目までに抗gB IgG応答が亢進することが示された。
したがって、図24の結果から、mRNAワクチンに使用されるLNPにベータ−シトステロール/コレステロールを含めると、ベータ−シトステロール/コレステロール非含有LNPと比較して、mRNAワクチンによってコードされる抗原に対する免疫応答がin vivoで増進することが実証された。
実施例15:マウスにおけるin vivoでのmRNA送達
この実施例では、ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPがマウスの脾臓T細胞、脾臓B細胞、脾臓樹状細胞、及び骨髄細胞にmRNAをin vivoで送達する能力を、ベータ−シトステロール/コレステロール非含有の同じLNPと比較して試験した。
マウスOX40LをコードするmRNAを、化合物X/DSPC/PEG DMG(LNP1)または化合物X/ベータ−シトステロール/コレステロール/DSPC/PEG DMG(LNP3)のいずれかに製剤化した。LNP1またはLNP2のいずれかにカプセル化したmRNAを0.5mg/kgでC57Bl6/Jマウスに静脈内投与した。PBSを負の対照として使用した。24時間時点で脾細胞及び骨髄細胞を収集し、フローサイトメトリーによってmOX40Lの発現について分析した。
mOX40L+CD3+脾臓T細胞についてのフローサイトメトリーの結果は図25A〜25Bにまとめられており、図25Aは、mOX40Lを発現するCD3+細胞のパーセントを示し、図25Bは、CD3+細胞におけるmOX40Lの平均蛍光指数(MFI)を示す。この結果は、ベータ−シトステロール/コレステロール非含有LNPと比較して、ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPが、高いパーセントの脾臓T細胞にmRNAコンストラクトを送達し、トランスフェクションされたT細胞のMFIを高めたことを実証するものである。
mOX40L+CD19+脾臓B細胞についてのフローサイトメトリーの結果は図26A〜26Bにまとめられており、図26Aは、mOX40Lを発現するCD19+細胞のパーセントを示し、図26Bは、CD19+細胞におけるmOX40LのMFIを示す。この結果は、ベータ−シトステロール/コレステロール非含有LNPと比較して、ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPが、高いパーセントの脾臓B細胞にmRNAコンストラクトを送達し、トランスフェクションされたB細胞のMFIを高めたことを実証するものである。
mOX40L+CD11c+脾臓樹状細胞についてのフローサイトメトリーの結果は図27A〜27Bにまとめられており、図27Aは、mOX40Lを発現するCD11c+細胞のパーセントを示し、図27Bは、CD11c+細胞におけるmOX40LのMFIを示す。この結果は、ベータ−シトステロール/コレステロール非含有LNPと比較して、ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPが、高いパーセントの脾臓樹状細胞にmRNAコンストラクトを送達し、トランスフェクションされた樹状細胞のMFIを高めたことを実証するものである。
mOX40L+骨髄細胞についてのフローサイトメトリーの結果は図28A〜28Bにまとめられており、図28Aは、mOX40Lを発現する骨髄細胞のパーセントを示し、図28Bは、骨髄細胞におけるmOX40LのMFIを示す。この結果は、ベータ−シトステロール/コレステロール非含有LNPと比較して、ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPが、高いパーセントの骨髄細胞にmRNAコンストラクトを送達し、トランスフェクションされた骨髄細胞のMFIを高めたことを実証するものである。
マウスにおけるin vivoの投与を繰り返し行った結果、マウスの脾臓T細胞、脾臓B細胞、脾臓樹状細胞、及び骨髄細胞においてmRNAコンストラクトが発現することが確認され、それによって、マウスにおける複数の免疫細胞型がin vivoでトランスフェクションされることが確認された。
したがって、こうした試験から、ベータ−シトステロール/コレステロール非含有の同じLNPと比較して、ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPが、タンパク質コードmRNAコンストラクトをマウスの脾臓T細胞、脾臓B細胞、脾臓樹状細胞、及び骨髄細胞にin vivoで効率的に送達することで、トランスフェクションされる細胞のパーセントを有意に高め、調べたすべての細胞型におけるタンパク質発現のレベルを有意に高めることが実証された。興味深いことに、このことは、マウスPBMCをベータ−シトステロール/コレステロール含有LNPとex vivoでインキュベートしたときにマウスT細胞へのトランスフェクションが観測されなかったこと(このことは、実施例5及び図7において実証された)とは対照的である。
実施例16:トランスフェクションされたT細胞において、修飾膜タンパク質(CAR)をコードするmRNAによって誘導される細胞傷害性の誘導
この実施例では、ベータ−シトステロール/コレステロール含有LNP(LNP3)を使用して抗CD33 CAR T mRNAコンストラクトをex vivoでT細胞にトランスフェクションし、トランスフェクションされたT細胞がCD33+AML細胞をin vitroで死滅させる能力を試験した。
LNP3にカプセル化された抗CD33 CAR T mRNAコンストラクトをヒトPBMCにex vivoでトランスフェクションし、このヒトPBMCを一晩インキュベートした。CD34mRNAコンストラクトを対照として使用した。インキュベート後、EasySep(商標)ヒトT細胞単離キット(StemCell Technologies)を使用してT細胞を単離した。次に、単離したT細胞をCD33+AML細胞と共に1:1または1:5の比でプレートに播種した(播種の際、AML細胞の数は1×105個細胞/ウェルとして一定にした)。細胞傷害性検出色素であるIncucyteを250nMで培養物に含めて細胞の死滅を評価した。細胞をIncucyte色素と共にインキュベートし、緑色蛍光(細胞死の指標)を2時間間隔で読み取った。細胞をTriton100で処理した後、最後の読み取りを行って最大細胞傷害性を決定した。次に、細胞傷害性指数(CI)をCI=(x時間時点の細胞傷害性/最大細胞傷害性)×100に従って計算した。
結果は図29に示されており、この結果は、LNP3を使用して抗CD33 CAR T mRNAをトランスフェクションしたT細胞が、in vitroでCD33+AML細胞を死滅させる上で有効であったことを実証するものである。
実施例17:T細胞へのトランスフェクションのための免疫細胞送達増強脂質
この実施例では、様々な脂質成分を異なる比で用いてLNPを調製し、そうしたLNPがT細胞へのトランスフェクションをin vitroで生じさせる能力について試験した。トランスフェクションは、マウスOX40LをコードするmRNAがカプセル化されたLNPを使用して、実施例5に記載のように実施した。
第1の一連の実験では、フィトステロールを免疫細胞送達増強脂質として使用し、LNPの他の脂質成分を変えた。以下の表23に示されるように、化合物Xまたは化合物Yのいずれをイオン化可能な脂質として用いてもT細胞への送達増進が観測され、このことは、マウスOX40L陽性細胞のパーセントによって証拠付けられた。さらに、PEG DMGまたは化合物428のいずれをPEG脂質として使用してもT細胞への送達増進が観測された。フィトステロールのmolパーセントが18.5%または28.5%のいずれのときにもT細胞への送達増進が観測された(構造脂質の総mol%は38.5%に固定し、一定とした)。
LNP成分の比が異なる個々の試料の結果は、以下の表24(トリス緩衝液についての結果)及び表25(PBS緩衝液についての結果)に示される。
第2の一連の実験では、T細胞への送達を増進する能力について、追加の化合物をLNPに含めて試験した。こうした実験については、LNPと細胞との結合、ならびにmRNAがコードするタンパク質のトランスフェクション細胞内での発現について、個々の細胞レベルで評価した。ヒトドナーから得られた末梢血単核球(PBMC)を使用した。PBMCは、主にT細胞(40〜60%)、B細胞(3〜15%)、及び単球(15〜35%)であったが、少数の他の細胞型も含んでいた。LNPを血清またはPBSと共に30分間インキュベートした後、PBMCに添加した。LNPの濃度は0.050mg/mlとし、LNPの体積は0.1mlとした。
検出を容易にするために、その他のLNP成分に加えてローダミン−DOPEをLNPに0.1%含めた。したがって、以下の表に示される比は、ローダミン標識を0.1含む。例えば、50:10:10:27.9:2:0.1 AL:DSPC:コレステロール:ステロール:Cmp428は、イオン化可能な脂質としてのアミノ脂質の含量が50%、リン脂質としてのDSPCの含量が10%、コレステロールの含量が10%、フィトステロールの含量が27.9%、PEG脂質としての化合物428の含量が2%、ローダミン−DOPE標識の含量が0.1%であることを示す。非標識LNPの調製には、0.1%のローダミン標識を含められず、構造脂質(コレステロールまたはコレステロール/フィトステロール混合物)が0.1%追加使用される(例えば、27.9%が28%になる)ことを除いて同じ比が使用される。
ある特定のマーカー(CD3(T細胞)、CD20(B細胞)、及びCD3−,CD20−,CD14+(単球))の発現に基づいて、フローサイトメトリーによって細胞をサブセットへと選別した。
GFPをコードするmRNAをモデル薬剤として使用して細胞内タンパク質を発現させた。
フローサイトメトリーの実施時には、LNP上のローダミンタグに由来するシグナルをY軸にとり、GFPの発現を示すGFPシグナルをX軸にとった。
「結合」集団は、任意のローダミン+及び/またはGFP+細胞であり、こうした細胞のパーセントは、細胞の総数で割ることによって計算した。「発現」集団は、任意のGFP+細胞であり、こうした細胞のパーセントは、細胞の総数で割ることによって計算した。結合細胞の発現パーセントは、発現細胞の%を結合細胞の%で割ることによって得た。
LNPのイオン化可能な脂質成分として試験したアミノ脂質の一団についての結果は図30に示される。図30の結果から、具体的にはアミノ脂質である化合物X、化合物Y、化合物I−321、化合物I−292、化合物I−326、化合物I−182、化合物I−301、化合物I−48、化合物I−50、化合物I−328、化合物I−330、化合物I−109、化合物I−111、及び化合物I−181がT細胞に対する免疫細胞送達増強能力を示すことが実証された。さらに、実験2に示されるように、イオン化可能な脂質として化合物I−321または化合物I−326のいずれかを含み、構造脂質としてコレステロールのみを含む(他のステロールは含まない)LNPが、送達及びT細胞による取り込みを増強する上で有効であり、このことは、イオン化可能な脂質として化合物X(化合物I−18)を含み、構造脂質としてβ−シトステロールを含むLNPである正の対照のものとmRNA発現細胞の平均%を比較することによって示された。
LNPの構造脂質成分として試験したステロールの一団についての結果は図31に示される。図31の結果から、β−シトステロールに加えて、具体的には、ステロール化合物であるカンペステロール及びβ−シトスタノールが、T細胞に対する免疫細胞送達増強能力を示すことが実証された。
LNPのリン脂質成分として試験したヘルパー脂質の一団についての結果は図32に示される。図32の結果から、具体的には、リン脂質化合物であるH−409、DSPC、及びDMPEが、T細胞に対する免疫細胞送達増強能力を示すことが実証された。
LNPのPEG脂質成分として試験したPEG化合物の一団についての結果は図33に示される。PEG脂質スクリーニングの結果から、具体的には、PEG脂質化合物であるP415、P416、P417、P419、P420、P423、P424、P428、PL1、PL2、PL16、PL17、PL18、PL19、PL22、及びPL23、DMG、DPG、ならびにDSGが、T細胞に対する免疫細胞送達増強能力を示すことが実証された。
LNPの構成成分として上記のスクリーニングにおいて同定された様々な化合物を使用して製剤化された組成物の一団についての結果は図34に示される。
図34に示される実験13で試験した製剤では、アミノ脂質として化合物I−182を使用し、ヘルパー脂質としてDSPCを使用し、構造脂質としてコレステロール/β−シトステロールを使用し、PEG脂質として化合物P−428を使用し、これらの比を、図34に示されるように変更した。アミノ脂質として化合物I−18を使用し、構造脂質として単独のコレステロール(負の対照)またはコレステロール/β−シトステロール(正の対照)を使用するLNPを対照とした。実験13の結果から、化合物I−182を含むLNPのすべてにおいて、mRNAを発現する細胞の平均%及びmRNAを発現する結合細胞の%が、負の対照と比較して高まることが実証された。さらに、化合物I−182を含むLNPの多くでは、化合物I−18を含む正の対照と比較して、LNP結合が高まり、及び/またはmRNAを発現する細胞の%が高まった。具体的には、化合物I−182/DSPC/コレステロール/β−シトステロール/P428を50:10:20:17.9:2または50:20:10:17.9:2の比で含むLNP製剤では、mRNAを発現する細胞の平均%及びmRNAを発現する結合細胞の%が、正の対照と比較して有意に高まった。
図34に示される実験14で試験した製剤では、アミノ脂質として化合物I−326または化合物I−321を使用し、ヘルパー脂質としてDSPCを使用し、構造脂質としてコレステロール/β−シトステロールまたは化合物S−143もしくは化合物S−144を使用し、PEG脂質として化合物P−428または化合物P424を使用した。アミノ脂質として化合物I−18を使用し、構造脂質として単独のコレステロール(負の対照)またはコレステロール/β−シトステロール(正の対照)を使用するLNPを対照とした。実験14の結果から、試験した製剤のすべてにおいて、mRNAを発現する細胞の平均%及び/またはmRNAを発現する結合細胞の%が、正の対照と比較してほぼ等しいか、または高まることが実証された。具体的には、化合物I−321/DSPC/コレステロール/β−シトステロールまたは化合物S−143または化合物S−144/P428を含む製剤では、mRNAを発現する細胞の平均%及びmRNAを発現する結合細胞の%が、正の対照と比較して有意に高まった。
図34に示される実験15で試験した製剤では、アミノ脂質として化合物I−18を使用し、ヘルパー脂質としてDSPCを使用し、構造脂質としてコレステロール/β−シトステロール及び/または化合物S−143及び/または化合物S−144を使用し、PEG脂質として化合物P−428を使用した。アミノ脂質として化合物I−18を使用し、構造脂質として単独のコレステロール(負の対照)またはコレステロール/β−シトステロール(正の対照)を使用するLNPを対照とした。実験15の結果から、試験した製剤のすべてにおいて、mRNAを発現する細胞の平均%及び/またはmRNAを発現する結合細胞の%が、正の対照と比較して高まることが実証された。具体的には、化合物I−18/DSPC/コレステロール/β−シトステロール+化合物S−143、化合物S−144、または化合物S−143と化合物S−144との両方、のいずれか/P428を含む製剤では、mRNAを発現する細胞の平均%及びmRNAを発現する結合細胞の%が、正の対照と比較して有意に高まった。
図34に示される実験16で試験した製剤では、アミノ脂質として化合物I−18または化合物I−182または化合物I−301を使用し、ヘルパー脂質としてDSPCを使用し、構造脂質としてコレステロール/β−シトステロール及び/または化合物S−143及び/または化合物S−144を使用し、PEG脂質として化合物P−428またはPEG−DMGを使用した。アミノ脂質として化合物I−18または化合物I−182または化合物I−301を使用し、構造脂質として単独のコレステロール(負の対照)またはコレステロール/β−シトステロール(正の対照)を使用するLNPを対照とした。実験16の結果から、試験した製剤のすべてにおいて、mRNAを発現する細胞の平均%及び/またはmRNAを発現する結合細胞の%が、適切な正の対照と比較してほぼ等しいか、または高まることが実証された。
図34の結果からは、LNPの構成成分の比を変えても(例えば、アミノ脂質のmol%を50mol%から40mol%もしくは45mol%に減らすか、またはヘルパー脂質のmol%を10%から18.4mol%もしくは20mol%に増やしても)、T細胞へのLNPの免疫増強送達に負の影響を与えないことも示された。
第3の一連の実験では、in vitroでのT細胞への送達について、ステロール化合物の追加の一団をLNPに含めて試験した。LNPの構造脂質成分として試験したこのステロール一団についての結果は図35に示される。図35の結果から、具体的には、フィトステロールであるブラシカステロール(化合物S−148)が、T細胞に対する免疫細胞送達増強能力を示すことが実証された。
実施例18:免疫細胞送達増強脂質を使用するin vivoでのT細胞へのトランスフェクション
この実施例では、実施例17に記載のin vitroスクリーニングにおいて同定された様々な脂質成分を用いてLNPを調製し、マウスOX40LをコードするmRNAがカプセル化されたLNPをマウスに投与した。以下の表26には試験した組成物が示され、これらの組成物では、各組成物の構成成分の比率を、イオン化可能な脂質50%、リン脂質10%、構造脂質38.5%、及びPEG脂質1.5%とした。
0.1mg/mlの用量濃度及び0.5mg/kgの用量レベルで単回の注射を行ってマウスの静脈内投与を実施した。PBSを負の対照として使用した。化合物X(化合物I−18)(免疫細胞送達増強脂質として既に実証されていたもの)を正の対照として使用した。注射から24時間時点での脾臓におけるT細胞へのトランスフェクションのレベルは、脾細胞集団におけるCD3+mOX40L+細胞のパーセントによって決定した。
結果は図36に示されており、1〜9の名称が付けられた棒/レーンは、それぞれ群1〜9(上に示されるもの)に対応し、10の名称が付けられた棒は、PBS対照に対応する。この結果は、イオン化可能な脂質成分として化合物I−301、化合物I−321、または化合物I−326のいずれかを含むLNPはすべて、化合物Xを含む正の対照LNPと比較して、脾臓CD3+T細胞へのトランスフェクションをin vivoで生じさせる能力がさらに高かったことを実証するものである。さらに、図36に示されるように、イオン化可能な脂質として化合物I−321または化合物I−326のいずれかを含み、構造脂質としてコレステロールのみを含む(他のステロールは含まない)LNP(レーン6及びレーン8)は、イオン化可能な脂質として化合物X(化合物I−18)を含み、構造脂質としてβ−シトステロールを含む正の対照LNPと比較して、in vivoでのCD3+T細胞へのトランスフェクションを増強する上で有効であった。
実施例19:単球へのトランスフェクションのための免疫細胞送達増強脂質
この実施例では、様々な脂質成分を異なる比で用いてLNPを調製し、そうしたLNPが単球へのトランスフェクションをin vitroで生じさせる能力について試験した。こうした実験については、LNPと細胞との結合、ならびにmRNAがコードするタンパク質のトランスフェクション細胞内での発現について、個々の細胞レベルで評価した。ヒトドナーから得られた末梢血単核球(PBMC)を使用した。PBMCは、主にT細胞(40〜60%)、B細胞(3〜15%)、及び単球(15〜35%)であったが、少数の他の細胞型も含んでいた。LNPを血清またはPBSと共に30分間インキュベートした後、PBMCに添加した。LNPの濃度は0.050mg/mlとし、LNPの体積は0.1mlとした。
検出を容易にするために、その他のLNP成分に加えてローダミン−DOPEをLNPに0.1%含めた。したがって、以下の表に示される比は、ローダミン標識を0.1含む。例えば、50:10:10:27.9:2:0.1 AL:DSPC:コレステロール:ステロール:Cmp428は、イオン化可能な脂質としてのアミノ脂質の含量が50%、リン脂質としてのDSPCの含量が10%、コレステロールの含量が10%、フィトステロールの含量が27.9%、PEG脂質としての化合物428の含量が2%、ローダミン−DOPE標識の含量が0.1%であることを示す。非標識LNPの調製には、0.1%のローダミン標識を含められず、構造脂質(コレステロールまたはコレステロール/フィトステロール混合物)が0.1%追加使用される(例えば、27.9%が28%になる)ことを除いて同じ比が使用される。
ある特定のマーカー(CD3(T細胞)、CD20(B細胞)、及びCD3−,CD20−,CD14+(単球))の発現に基づいて、フローサイトメトリーによって細胞をサブセットへと選別した。
GFPをコードするmRNAをモデル薬剤として使用して細胞内タンパク質を発現させた。
フローサイトメトリーの実施時には、LNP上のローダミンタグに由来するシグナルをY軸にとり、GFPの発現を示すGFPシグナルをX軸にとった。
「結合」集団は、任意のローダミン+及び/またはGFP+細胞であり、こうした細胞のパーセントは、細胞の総数で割ることによって計算した。「発現」集団は、任意のGFP+細胞であり、こうした細胞のパーセントは、細胞の総数で割ることによって計算した。結合細胞の発現パーセントは、発現細胞の%を結合細胞の%で割ることによって得た。
LNPのイオン化可能な脂質成分として試験したアミノ脂質の一団についての結果は図37に示される。図37の結果から、具体的には、アミノ脂質である化合物X、化合物I−109、化合物I−111、化合物I−181、化合物I−182、及び化合物I−244が、単球に対する免疫細胞送達増強能力を示すことが実証された。
LNPの構造脂質成分として試験したステロールの一団についての結果は図38に示される。図38の結果から、β−シトステロールに加えて、具体的には、ステロール化合物であるカンペステロール、β−シトスタノール、及びスチグマステロールが、単球に対する免疫細胞送達増強能力を示すことが実証された。
LNPのリン脂質成分として試験したヘルパー脂質の一団についての結果は図39に示される。図39の結果から、具体的には、リン脂質化合物であるDOPC、DMPE、及びH−409が、単球に対する免疫細胞送達増強能力を示すことが実証された。
第2の一連の実験では、in vivoでの単球への送達について、ステロール化合物の追加の一団をLNPに含めて試験した。LNPの構造脂質成分として試験したこのステロール一団についての結果は、図40の棒グラフに示される。Y軸は、脾臓におけるCD3+細胞の中で、LNPによってカプセル化されたmRNAによってコードされるmOX40Lを発現したCD3+細胞のパーセントを示す。1〜9の名称が付けられたX軸上の棒/レーンは、in vivoでのmRNA送達について試験した下記のLNP組成物に対応する:レーン1は、PBSである。レーン2は、Cmpd X/Cmpd 428であり、レーン3は、Cmpd X/βシトステロール/Cmpd 428であり、レーン4は、Cmpd X/β−シトステロール−d7/Cmpd 428であり、レーン5は、Cmpd X/ブラシカステロール/Cmpd 428であり、レーン6は、Cmpd X/名称なしのステロール/Cmpd 428であり、レーン7は、Cmpd X/Cmpd S−30/Cmpd 428であり、レーン8は、Cmpd X/Cmpd S−32/Cmpd 428であり、レーン9は、Cmpd X/Cmpd S−31/Cmpd 428である。こうした結果から、ステロール化合物であるブラシカステロールを含むLNP(レーン5に示される)、ステロール化合物であるCmpd S−30を含むLNP(レーン7に示される)、及びステロール化合物であるCmpd S−31を含むLNP(レーン9に示される)が、単球に対する免疫細胞送達増強能力を示すことが実証された。
実施例20:免疫細胞送達増強脂質を使用して行う、T細胞への分泌タンパク質をコードするmRNAのトランスフェクション
この実施例では、分泌タンパク質(ヒトエリスロポエチン(huEPO))をコードするmRNAを、免疫細胞送達増強脂質を含むLNP(LNP3(実施例3に記載のもの))にカプセル化した。こうしたLNPによってT細胞へのトランスフェクションをin vitroで行った後、このトランスフェクションを、免疫細胞送達増強脂質を含まないLNP(LNP1(実施例3に記載のもの))にカプセル化された同じmRNAのトランスフェクションと比較した。
huEPOのトランスフェクション実験については、hPBMCを解凍し、ウシ胎仔血清(FBS)を10%含むRPMIで洗浄した。次に、市販のT細胞単離キット(STEMCELL Technologies)を使用してhPBMCからT細胞を選別した。FBSを10%含むRPMI中でT細胞を一晩休ませた後、RPMIで洗浄し、100μlのRPMIに再浮遊させた。最終濃度が2%となるようにヒト血清を細胞に添加した。トランスフェクションについては、huEPOをコードするmRNAがカプセル化されたLNP1またはLNP3(100ng)を、細胞を含む50μlのRPMIに添加した。細胞を37℃で24時間インキュベートした後、上清を収集した。T細胞の上清中のhuEPO濃度を測定するために、上清の1:50希釈液及び1:250希釈液に市販のヒトEPO ELISAキット(Thermo Fisher Scientific)を適用した。
結果は、図41A(1:5希釈)及び図41B(1:250希釈)に示される。この結果は、免疫細胞送達増強脂質を含むLNP(LNP3)を使用すると、免疫細胞送達増強脂質を含まないLNP(LNP1)を使用したときと比較して、T細胞の上清でのhuEPOのレベルが有意に高まったことを実証するものである。したがって、こうした実験は、免疫細胞送達増強脂質を含むLNPが、分泌タンパク質をコードするmRNAをT細胞に送達する上で有効であり、その結果、T細胞が分泌タンパク質を発現することを実証するものである。
実施例21:免疫細胞送達増強脂質を使用して行う、T細胞への細胞内タンパク質をコードするmRNAのトランスフェクション
この実施例では、細胞内タンパク質(転写因子Foxp3)をコードするmRNAを、免疫細胞送達増強脂質を含むLNP(LNP3(実施例3に記載のもの))にカプセル化した。こうしたLNPによってT細胞へのトランスフェクションをin vitroで行った後、このトランスフェクションを、免疫細胞送達増強脂質を含まないLNP(LNP1(実施例3に記載のもの))にカプセル化されたmRNAのトランスフェクションと比較した。
Foxp3のトランスフェクション実験については、hPBMCを解凍し、ウシ胎仔血清(FBS)を10%含むRPMIで洗浄した後、市販のT細胞単離キット(STEMCELL Technologies)を使用してhPBMCからT細胞を選別した。FBSを10%含むRPMI中でT細胞を一晩休ませた後、RPMIで洗浄し、100μlのRPMIに再浮遊させた。最終濃度が2%となるようにヒト血清を細胞に添加した。トランスフェクションについては、Foxp3をコードするmRNAがカプセル化されたLNP1またはLNP3(100ng)を、細胞を含む50μlのRPMIに添加した。膜結合型タンパク質であるmOX40LをコードするmRNAがLNP3にカプセル化されたものを正の対照として使用した。
結果は、図42に示される。この結果は、免疫細胞送達増強脂質を含むLNP(LNP3)を使用すると、免疫細胞送達増強脂質を含まないLNP(LNP1)を使用したときと比較して、CD3+T細胞におけるFoxp3の発現レベルが有意に高まったことを実証するものである。したがって、こうした実験は、免疫細胞送達増強脂質を含むLNPが、細胞内タンパク質(例えば、転写因子)をコードするmRNAをT細胞に送達する上で有効であり、その結果、T細胞が細胞内タンパク質を発現することを実証するものである。
実施例22:免疫細胞へのトランスフェクションのための免疫細胞送達増強脂質である追加の脂質
この実施例では、様々な脂質成分を異なる比で含むLNPを追加で調製し、そうしたLNPがT細胞へのトランスフェクションをin vitroで生じさせる能力について試験した。トランスフェクションは、マウスOX40LをコードするmRNAがカプセル化されたLNPを使用して実施例5に記載のように実施した。前述のように、LNPを標識し、LNPが結合した細胞の平均%、mOX40Lを発現する細胞の平均%、及びmOX40Lを発現するLNP結合細胞の%について結果を決定した。
LNPのイオン化可能な脂質成分として試験したアミノ脂質の一団についての結果は図43に示される。図43の結果から、具体的には、アミノ脂質である化合物I−48、化合物I−181、化合物I−182、化合物I−292、化合物I−301、化合物I−309、化合物I−317、化合物I−321、化合物I−326、化合物I−347、化合物I−348、化合物I−349、化合物I−350、化合物I−351、及び化合物I−352が、T細胞に対する免疫細胞送達増強能力を示すことが実証された。
LNPの構造成分として試験したステロールの一団についての結果は図44に示される。図44の結果から、具体的には、ステロールである化合物S−140、化合物S−143、化合物S−144、化合物S−148、化合物S−151、化合物S−156、化合物S−157、化合物S−159、化合物S−160、化合物S−164、化合物S−165、化合物S−166、化合物S−167、化合物S−170、化合物S−173、及び化合物S−175が、T細胞に対する免疫細胞送達増強能力を示すことが実証された。
LNPのリン脂質成分として試験したヘルパー脂質の一団についての結果は図45に示される。図45の結果から、具体的には、ヘルパー脂質であるDPPC、DMPC、化合物H−418、化合物H−420、化合物H−421、化合物H−422、及び化合物H−409が、T細胞に対する免疫細胞送達増強能力を示すことが実証された。
LNPのPEG脂質成分として試験したPEG脂質の一団についての結果は図46に示される。図46の結果から、具体的には、PEG脂質である化合物P−L1、化合物P−L3、化合物P−L4、化合物P−L6、化合物P−L8、化合物P−L9、及び化合物P−L25が、T細胞に対する免疫細胞送達増強能力を示すことが実証された。
LNP組成物の異なる製剤の一団についての結果は図47に示される。この図は、3つの異なる型の製剤を試験した3回の異なる実験から得られた結果を報告するものであり、これについては以下に記載される。
第1の一連の実験では、イオン化可能な脂質(アミノ脂質)として化合物I−182を含む製剤の一団を、イオン化可能な脂質(アミノ脂質)として化合物I−18を含む製剤と比較した。こうした実験から、化合物I−182を含むLNPが、T細胞に対する免疫細胞送達増強能力を示すことが実証された。具体的には、下記の製剤/比が、T細胞に対する免疫細胞送達増強能力を示す上で特に有効であった:化合物I−182/DSPC/コレステロール/P−428(40:30:28:2の比のもの)、及び化合物I−182/ISPC/コレステロール/β−シトステロール/P−428(50:10:20:18:2の比または50:20:10:18:2の比または40:20:20:18:2の比のいずれかのもの)。
第2の一連の実験では、構造成分としてコレステロール/組成物S−183(化合物S−141を約40%含み、化合物S−140を約25%含み、化合物S−143を約25%含み、ブラシカステロールを約10%含む)を含む製剤の一団を、構造成分としてコレステロール/β−シトステロールを有する製剤と比較して試験した。これらの製剤には、イオン化可能な脂質45%/ヘルパー脂質20%/構造脂質33.5%/PEG脂質1.5%の比を使用した。こうした実験から、コレステロール/組成物S−183を含む製剤が、T細胞に対する免疫細胞送達増強能力を示すことが実証された。製剤は、構造脂質成分としての組成物S−183の含有率が少なくとも15%であるとき(例えば、構造脂質としての組成物S−183の含有率が15%、20%、25%、30%、または33.5%であり、構造脂質としての残りの含有率である18.5%、13.5%、8.5%、3.5%、または0%をコレステロールが占めるとき)に最も有効であった。さらに、化合物I−18を45%含み、DSPCを20%含み、コレステロールを13.5%含み、4つの異なるステロールの混合物を20%含み、P−428を1.5%含む製剤もまた、T細胞に対する免疫細胞送達増強能力を示す上で有効であった。4つのステロールの上記混合物が占めた20%の構成内訳は、5%が化合物S−140であり、8%がβ−シトステロールであり、5%が化合物S−143であり、2%が化合物S−148である。
第3の一連の実験では、様々な異なるイオン化可能な脂質(アミノ脂質)を含む製剤の一団を、イオン化可能な脂質(アミノ脂質)として化合物I−18を有する製剤と比較して試験した。この結果から、イオン化可能な脂質(アミノ脂質)としてMC3(((6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イル4−(ジメチルアミノ)ブタノエート)(US8,158,601(当該文献は、参照によって本明細書に組み込まれる)))またはCKK−E12(Dong,Y.et al.PNAS March 19,2014,Vol 111(11):3955−3960(当該文献は、参照によって本明細書に組み込まれる))を含む製剤が、T細胞に対する免疫細胞送達増強能力を示すことが実証された。
他の実施形態
本開示は、その詳細な説明と関連付けて記載されているが、前述の説明の意図は、例示であり、本開示の範囲の限定ではなく、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義されることが理解されよう。他の態様、利点、及び改変は、添付の特許請求の範囲に含まれる。
本明細書に記載の参考文献はすべて、その全体が参照によって組み込まれる。
配列をまとめた表