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JP2021120431A - ポリエチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂組成物及び樹脂成形品 - Google Patents

ポリエチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂組成物及び樹脂成形品 Download PDF

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JP2021120431A
JP2021120431A JP2020013842A JP2020013842A JP2021120431A JP 2021120431 A JP2021120431 A JP 2021120431A JP 2020013842 A JP2020013842 A JP 2020013842A JP 2020013842 A JP2020013842 A JP 2020013842A JP 2021120431 A JP2021120431 A JP 2021120431A
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polyethylene
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ethylene
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olefin copolymer
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JP2020013842A
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亮介 浅川
Ryosuke Asakawa
亮介 浅川
真二 富永
Shiinji Tominaga
真二 富永
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Japan Polyethylene Corp
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Japan Polyethylene Corp
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Abstract

【課題】成形加工特性改善効果に優れ、同時に、衝撃強度と剛性のバランス改良効果にも優れるフィルム用ポリエチレン系樹脂を提供する。【解決手段】下記の条件(1)〜(4)を満足するエチレン・α−オレフィン共重合体であることを特徴とするポリエチレン系樹脂。(1)MFRが0.1g/10分を超え、10g/10分以下である(2)密度が0.895〜0.940g/cm3である(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布Mw/Mnが3.0〜5.5である(4)分岐指数g’の分子量10万から100万の間での最低値(gc)が0.40〜0.85である【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂組成物及び樹脂成形品に関し、さらに詳しくは、フィルム向けに高い機械的強度と加工性のバランスを有したポリエチレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂組成物並びにそれにより得られるフィルムに関する。
包装材料に汎用される、従来のエチレン系重合体においては、各種のいずれの成形方法にも適した、成形加工性と併せて物性のさらなる向上が強く要望されているが、成形加工性においては、成形加工性を律する溶融流動特性は、剪断応力下での溶融樹脂圧に関わる押出し性と、伸長変形時の溶融弾性に関わる成形安定性に大別され、具体的には例えば、押出成形の高剪断応力下で低粘性が得られ、インフレーション成形の高速成形下でバブルが安定し、かつ押出負荷が低い、押出ラミネート成形のTダイにおけるネックインが小さいなど、各種の成形方法に応じての成形加工性がそれぞれ要求されており、これらを全て満たすことは非常に困難である。
従来、いわゆる線状の低密度ポリエチレン(LLDPE又はメタロセンPE)は、線状の分子構造を有するため、従来の枝分かれ分岐鎖を多数有する高圧法ポリエチレンに比べると、強度が優れると知られている。しかし一般に、ポリエチレン系樹脂の成形加工は、溶融状態において実施されるが、単位時間当たりの樹脂押出量を多くする必要があり、単独のLLDPEやメタロセンPEの場合その溶融特性は、流動性の面で不十分であったり、伸長粘度が不十分であったりして、成形加工性を十分に確保することが困難である。
これらを補うための対策としては、成形性に優れる高圧法ポリエチレンをブレンドしたり、分子量や密度の異なるエチレン系重合体をブレンドしたりして、溶融特性や固体物性の改良がおこなわれてきた(例えば、特許文献1〜3参照)。
また、最近の容器リサイクル法施行や省資源化の流れにおいて原料樹脂使用量を削減する必要性の観点から、成形体の薄肉化の需要が高まっているが、このためには、衝撃強度とともに剛性(弾性率)の向上が必要となる。
衝撃強度を向上する方法としては、エチレン系重合体の密度を低下させる方法がよく知られているが、剛性も一緒に低下してしまう(柔らかくなる)ので好ましくなく、薄肉化の目的のためには、例えば、密度の異なる二種類の特定のエチレン・α−オレフィン共重合体の組み合わせへ、更に、成形加工性や透明性を向上させるために特定のHPLDを加えた三成分系ブレンド組成物を使用する試みがなされている(特許文献4参照)。
この方法によれば、従来よりも衝撃強度と剛性のバランスに優れ、成形加工特性にも優れたポリエチレン樹脂組成物が得られるものの、やはり高圧法ポリエチレンのブレンドに伴う衝撃強度の低下は避けられず、更に、三種類のエチレン系重合体のブレンドは、一定品質の製品を工業レベルで安定供給する上では従来よりも経済的に不利と考えられる。
このように、従来の技術では、包装袋のフィルムとして求められる基本的な性能を十分満足することが困難な状況にあった。
近年、長鎖分岐構造をエチレン系重合体中に形成可能なメタロセン触媒による重合設計技術を活用することによって、成形加工性と樹脂強度を同時に改良するためのポリオレフィン系樹脂改質用エチレン系重合体の開発が報告されている。例えば、特定の伸長粘度挙動を発現する長鎖分岐を含むエチレン系重合体をポリオレフィン系樹脂向け改質材として対象とするポリオレフィン系樹脂にブレンドして使用する例(特許文献5参照)や、特定のポリマー分子構造指標と極限粘度比で規定される長鎖分岐構造を有する低密度エチレン・プロピレン共重合体を改質材とする樹脂組成物の例(特許文献6参照)や、高い流動活性化エネルギーを示す広分子量分布の長鎖分岐ポリエチレンを改質材とする例(特許文献7参照)等が知られている。これらの方法によれば、従来のHPLDによる改質で起こるようなポリオレフィン系樹脂の衝撃強度の大幅な低下は無いものの、長鎖分岐含有エチレン系重合体の設計が不十分なため、やはり強度や透明性の低下が避けられず、その改良レベルは未だ不十分であった。
こうした状況下に、従来のエチレン系樹脂組成物のもつ問題点を解消し、成形加工性に優れ、かつ衝撃強度と剛性のバランスおよび透明性に優れた成形体を製造することが可能なポリエチレン系フィルムの開発が望まれていた。
また、従来の改質用エチレン系重合体のもつ問題点を解消し、成形加工性付与に優れ、かつ衝撃強度と剛性のバランスおよび透明性の付与にも優れた改質用エチレン系重合体の開発、更には、それらの特性を有するエチレン系重合体の開発に有用な長鎖分岐構造制御が可能なメタロセン重合触媒の研究が継続されている(特許文献8〜11参照)。
特開平7−149962号公報 特開平9−31260号公報 特開2006−312753号公報 特開2010−31270号公報 特開2012−214781号公報 特開平09−031260号公報 特開2007−119716号公報 特開2004−217924号公報 特開2004−292772号公報 特開2005−206777号公報 特開2013−227271号公報
本発明の課題は、上記した従来技術の問題点に鑑み、耐衝撃性と剛性とのバランスに優れるとともに、成形加工性にも優れるポリエチレン系樹脂及び該ポリエチレン系樹脂を含むポリエチレン系樹脂組成物、特にフィルム用ポリエチレン系樹脂組成物を提供すること、更には、該ポリエチレン系樹脂又はポリエチレン系樹脂組成物をTダイ成形、インフレーション成形して得られる、衝撃強度と剛性および加工性に優れたフィルムおよび該フィルムの用途を提供することにある。
本発明者は、かかる課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の長鎖分岐構造、すなわち特定の分岐指数を有し、かつ特定のMFR、密度及び分子量分布を有するエチレン・α−オレフィン共重合体が、衝撃強度と剛性のバランス改良効果、さらには加工時の押出負荷低減効果の点で優れた効果を有することを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。本願発明の要旨は下記のとおりである。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記の条件(1)〜(4)を満足するエチレン・α−オレフィン共重合体であることを特徴とするポリエチレン系樹脂が提供される。
(1)MFRが0.1g/10分を超え、10g/10分以下である
(2)密度が0.895〜0.940g/cmである
(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布Mw/Mnが3.0〜5.5である
(4)示差屈折計、粘度検出器および光散乱検出器を組み合わせたGPC測定装置により測定される分岐指数g’の分子量10万から100万の間での最低値(gc)が0.40〜0.85である
本発明の第2の発明によれば、第1の発明において前記エチレン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィンは、炭素数が3〜10であることを特徴とするポリエチレン系樹脂が提供される。
本発明の第3の発明によれば、第1〜2のいずれかの発明に係るポリエチレン系樹脂を含むことを特徴とするポリエチレン系樹脂組成物が提供される。
本発明の第4の発明によれば、第3の発明においてインフレーションフィルム用であることを特徴とするポリエチレン系樹脂組成物が提供される。
本発明の第5の発明によれば、第1〜2のいずれかの発明に係るポリエチレン系樹脂又は第3〜4のいずれかの発明に係るポリエチレン系樹脂組成物からなる樹脂成形品が提供される。
本発明の第6の発明によれば、第1〜2のいずれかの発明に係るポリエチレン系樹脂又は第3〜4のいずれかの発明に係るポリエチレン系樹脂組成物からなるフィルムが提供される。
本発明の第7の発明によれば、第1〜2のいずれかの発明に係るポリエチレン系樹脂又は第3〜4のいずれかの発明に係るポリエチレン系樹脂組成物からなるインフレーションフィルムが提供される。
本発明のポリエチレン系樹脂又はポリエチレン系樹脂組成物は、成形加工特性に優れ、同時に、衝撃強度と剛性のバランスにも優れ、また、該ポリエチレン系樹脂又はポリエチレン系樹脂組成物をTダイ成形又はインフレーション成形して得られる成形体も、加工性および衝撃強度と剛性のバランスに優れているので、押出負荷の低減ならびに薄肉化された成形製品の両面から経済的に有利に提供することが可能である。また、本発明のポリエチレン系樹脂又はポリエチレン系樹脂組成物は、押出負荷が低いことから、消費エネルギー削減による環境負荷の低減や生産性の向上が期待できる。
ゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で用いられるクロマトグラムのベースラインと区間を示すグラフである。 GPC−VIS測定(分岐構造解析)から算出する分岐指数(g’)と分子量(M)との関係を示すグラフである。 実施例2、実施例4、比較例1及び比較例2の樹脂圧力を示す。 実施例1、実施例3、比較例3及び比較例4の樹脂圧力を示す。 実施例2、実施例4及び比較例2のダート落下衝撃強度を示す。 実施例1、実施例3及び比較例3のダート落下衝撃強度を示す。 実施例5〜9及び比較例5〜14の樹脂圧力を示す。 実施例10〜14及び比較例15〜24の樹脂圧力を示す。
本発明は、特定の長鎖分岐指数と比較的狭い逆コモノマー組成分布指数を有し、かつ、特定のMFR、密度を有するエチレン・α−オレフィン共重合体であるポリエチレン系樹脂及び該ポリエチレン系樹脂を含むポリエチレン系樹脂組成物に係るものである。以下、本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体、特に該エチレン・α−オレフィン共重合体を特徴付ける条件(1)〜(5)、および該エチレン・α−オレフィン共重合体の製法、特にその製法に用いられる重合用触媒の各成分やその調製方法、さらには重合方法等について、項目毎に、詳細に説明する。
1.エチレン・α−オレフィン共重合体
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、下記に説明する条件(1)〜(4)を全て満たすことを特徴とする。特に、特定のMFR及び密度(条件1及び2)において、適切な範囲の長鎖分岐(条件4)を有するという特徴を有する。
なお、従来より、一般に触媒重合で得られるエチレン・α−オレフィン共重合体はいわゆる順コモノマー組成分布、逆コモノマー組成分布を示すものが多く、触媒種によっては、いわゆる逆コモノマー組成分布を有するエチレン・α−オレフィン共重合体を得た例も報告がされているが、これらは長鎖分岐構造を有していなのが殆どであり、本発明のように適度な長鎖分岐構造を有し、適切な比率で低密度高分子量成分を有する比較的狭い逆コモノマー組成分布を有するエチレン・α−オレフィン共重合体が、特に成形加工特性の改良効果に優れ、同時に、衝撃強度と剛性のバランスの改良効果にも優れている点は、見出されていなかったものである。また、本発明においては、エチレン・α−オレフィン共重合体の製造方法として例示する後述の近年開発した特定の触媒種を用いて、かかるエチレンとα−オレフィン共重合体を好適に製造できることも見出したものである。
1−1.条件(1)
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR)は、0.1g/10分を超え、10g/10分以下、好ましくは0.3g/10分を超え、5.0g/10分以下、より好ましくは0.5g/10分を超え、2.0g/10分以下である。MFRがこの範囲にあると、ポリエチレン系樹脂組成物の成形加工性の改良効果や、衝撃強度と剛性のバランスの改良効果が優れる。一方、MFRが0.1g/10分以下では成形加工性等の点で好ましくない場合があり、MFRが10g/10分より大きいと、衝撃強度や剛性の改良効果が十分発現し難いので好ましくない。
なお、本発明で、エチレン・α−オレフィン共重合体のMFRは、JIS K7210の「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠して、190℃、21.18N(2.16kg)荷重の条件で測定したときの値をいう。
1−2.条件(2)
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、0.895〜0.940g/cmであり、好ましく0.898g/cm以上、0.934g/cm未満、より好ましくは0.900〜0.930g/cm、更に好ましくは0.910〜0.930g/cm、特に好ましくは0.915〜0.925g/cmである。密度がこの範囲にあると、ポリエチレン系樹脂の衝撃強度と剛性のバランスの改良効果が優れる。一方、密度が0.895g/cm未満では剛性の点で好ましくない場合があり、また、密度が0.940g/cmより大きいと衝撃強度等の改良効果が十分ではなく好ましくない。
なお、本発明で、エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、以下の方法で測定したときの値をいう。
ペレットを熱プレスして2mm厚のプレスシートを作製し、該シートを1000ml容量のビーカーに入れ蒸留水を満たし、時計皿で蓋をしてマントルヒーターで加熱する。蒸留水が沸騰してから60分間煮沸後、ビーカーを木製台の上に置き放冷する。この時60分煮沸後の沸騰蒸留水は500mlとし室温になるまでの時間は60分以下にならないように調整する。また、試験シートは、ビーカー及び水面に接しないように水中のほぼ中央部に浸漬させる。シートを23℃、湿度50%の条件で、16時間以上24時間以内でアニーリングを行った後、縦横2mmになるように打ち抜き、試験温度23℃で、JIS K7112の「プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法」に準拠して、測定する。
1−3.条件(3)
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布Mw/Mn、即ち重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、3.0〜5.5、好ましくは3.0〜5.3、より好ましくは3.0以上5.1未満、更に好ましくは3.2以上、5.1未満、特に好ましくは3.3〜5.0、最も好ましくは3.3〜4.5未満である。Mw/Mnが3.0以上であると、成形加工性、特に溶融流動性に優れ、他の重合体成分を用いた場合にも混ざり易い。Mw/Mnが小さいと、ポリエチレン系樹脂やその成形体の剛性や衝撃強度の改良の効果に優れる。また、Mw/Mnが5.5より大きいと、透明性が悪化したり、ベトツキしやすくなるので好ましくない。
Mw/Mnは、共重合体中の分子量分布を示す指標の一つであり、触媒上の重合反応が比較的均一なサイトで行われると数値が小さく、比較的マルチなサイトで行われていると数値が大きくなる。重合に用いる触媒種と触媒の調整条件を選定することにより概略、適宜制御できる。
なお、本発明で、エチレン・α−オレフィン共重合体のMwやMnは、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定したものをいう。
ゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による測定方法
保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。
各々が0.5mg/mLとなるように、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算は森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)を参考に汎用較正曲線を用いる。その際使用する粘度式[η]=K×Mαは以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PE:K=3.92×10−4、α=0.733
なお、GPCの測定条件は、以下の通りである。
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
試料の調製:試料は、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて、1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
なお、得られたクロマトグラムのベースラインと区間は、図1に例示されるように行う。
1−4.条件(4)
本発明におけるエチレン・α−オレフィン共重合体は、上記条件(1)〜(3)に加えて更に、示差屈折計、粘度検出器および光散乱検出器を組み合わせたGPC測定装置により測定される分岐指数g’の分子量10万から100万の間での最低値(gc)が、0.40〜0.85、好ましくは0.45〜0.85、より好ましくは0.50〜0.85、更に好ましくは0.50〜0.77、特に好ましくは0.51〜0.75である。gc値が0.85以下であると、ポリエチレン系樹脂の成形加工性の改良効果が向上する。gc値が0.40以上であると、該ポリエチレン樹脂の成形加工性は向上し、かつ、衝撃強度が低下したり、透明性が悪化したりすることを防ぐことができる。
なお、本発明で、エチレン・α−オレフィン共重合体のgc値は、共重合体に導入された長鎖分岐の発達度を指標する物性値であり、gc値が大きいと、長鎖分岐が少なく、gc値が小さいと長鎖分岐の導入量が多いことを示す。なお、gcの値は、重合に用いる触媒の選定により概略制御することができる。エチレン・α−オレフィン共重合体のgc値は、下記のGPC−VIS測定から算出する分子量分布曲線や分岐指数(g’)を用いた長鎖分岐量の評価手法である。
[GPC−VISによる分岐構造解析]
示差屈折計(RI)および粘度検出器(Viscometer)を装備したGPC装置として、Waters社のAlliance GPCV2000を用いた。また、光散乱検出器として、多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)Wyatt Technology社のDAWN−Eを用いた。検出器は、MALLS、RI、Viscometerの順で接続した。移動相溶媒は、1,2,4−trichlorobenzene(酸化防止剤Irganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加)である。流量は1mL/分である。カラムは、東ソー社 GMHHR−H(S) HTを2本連結して用いた。カラム、試料注入部および各検出器の温度は、140℃である。試料濃度は1mg/mLとした。注入量(サンプルループ容量)は0.2175mLである。MALLSから得られる絶対分子量(M)、慣性二乗半径(Rg)およびViscometerから得られる極限粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用し、以下の文献を参考にして計算を行った。
参考文献:
1.Developments in polymer characterization,vol.4.Essex:Applied Science;1984.Chapter1.
2.Polymer,45,6495−6505(2004)
3.Macromolecules,33,2424−2436(2000)
4.Macromolecules,33,6945−6952(2000)
[分岐指数(gc)等の算出]
分岐指数(g’)は、サンプルを上記Viscometerで測定して得られる極限粘度(ηbranch)と、別途、線形ポリマーを測定して得られる極限粘度(ηlin)との比(ηbranch/ηlin)として算出する。
ポリマー分子に長鎖分岐が導入されると、同じ分子量の線形のポリマー分子と比較して慣性半径が小さくなる。慣性半径が小さくなると極限粘度が小さくなることから、長鎖分岐が導入されるに従い同じ分子量の線形ポリマーの極限粘度(ηlin)に対する分岐ポリマーの極限粘度(ηbranch)の比(ηbranch/ηlin)は小さくなっていく。したがって分岐指数(g’=ηbranch/ηlin)が1より小さい値になる場合には分岐が導入されていることを意味し、その値が小さくなるに従い導入されている長鎖分岐が増大していくことを意味する。特に本発明では、MALLSから得られる絶対分子量として、分子量10万から100万における上記g’の最低値を、gcとして算出する。図2に上記GPC−VISによる解析結果の一例を示した。図2では、分子量(M)における分岐指数(g’)を表す。ここで、線形ポリマーとしては、直鎖ポリエチレンStandard Reference Material 1475a(National Institute of Standards & Technology)を用いた。
1−5.条件(5)
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布Mz/Mw、即ちZ重量平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)の比(Mz/Mw)は、好ましくは2.0〜6.0、より好ましくは2.1〜5.5、更に好ましくは2.2〜5.3、より一層好ましくは2.2より大きく5.0未満、特に好ましくは2.3〜3.6未満である。Mz/Mwが2.0以上であると、ポリエチレン系樹脂の成形加工性、特に溶融流動性に優れ、他の重合体成分を用いた場合にも混ざり易い。Mz/Mwが6.0以下であると、ポリエチレン系樹脂やその成形体の剛性や衝撃強度の改良の効果が向上し、また、透明性が悪化したり、ベトツキしやすくなったり、過剰な高分子量成分によるゲルの発生や成形時の高配向による強度低下が生じたりすることを防ぐことができる。
Mz/Mwは、共重合体中の分子量分布を示す他の指標の一つであり、分子量の高い成分があることを示し、高分子量成分が多いと数値が大きくなる。重合に用いる触媒種を選定することにより概略、適宜制御できる。
なお、本発明で、エチレン・α−オレフィン共重合体のMzは、上述のゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定したものをいう。
1−6.エチレン・α−オレフィンン共重合体の組成
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、α−オレフィンの炭素数は3〜10であることが好ましい。ここで用いられる共重合成分であるα−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1等が挙げられる。また、これらα−オレフィンは1種のみでもよく、また2種以上が併用されていてもよい。これらのうち、より好ましいα−オレフィンは炭素数3〜8のものであり、具体的にはプロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等が挙げられる。更に好ましいα−オレフィンは炭素数4または炭素数6のものであり、具体的にはブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1が挙げられる。特に好ましいα−オレフィンは、ヘキセン−1である。
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体中におけるエチレンとα−オレフィンの割合は、例えばエチレン約75〜99.8重量%、α−オレフィン約0.2〜25重量%であり、好ましくはエチレン約80〜99.6重量%、α−オレフィン約0.4〜20重量%であり、より好ましくはエチレン約82〜99.2重量%、α−オレフィン約0.8〜18重量%であり、更に好ましくはエチレン約85〜99重量%、α−オレフィン約1〜15重量%であり、特に好ましくはエチレン約88〜98重量%、α−オレフィン約2〜12重量%である。エチレン含量がこの範囲内であれば、ポリエチレン系樹脂の効果が高い。
共重合は、交互共重合、ランダム共重合、ブロック共重合のいずれであっても差し支えない。もちろん、エチレンやα−オレフィン以外のコモノマーを少量使用することも可能であり、この場合、スチレン、4−メチルスチレン、4−ジメチルアミノスチレン等のスチレン類、1,4−ブタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等のジエン類、ノルボルネン、シクロペンテン等の環状化合物、ヘキセノール、ヘキセン酸、オクテン酸メチル等の含酸素化合物類、等の重合性二重結合を有する化合物を挙げることができる。ただしジエン類を使用する場合は長鎖分岐構造や分子量分布が上記条件(3)〜(5)を満たす範囲内において使用されることが望ましい。
1−7.エチレン・α−オレフィン共重合体の製法
本発明におけるエチレン・α−オレフィン共重合体は、上記条件(3)〜(4)、好ましくは条件(3)〜(5)に対応する分子量分布及び長鎖分岐構造をエチレン・α−オレフィン共重合体に付与するのに適切なオレフィン重合用触媒を選択し、かつ条件(1)および(2)を満たすような製法条件の調整に留意する必要がある。
オレフィン重合用触媒としては、(i)チーグラー触媒、(ii)メタロセン触媒、(iii)フィリップス触媒及び(iv)ポストメタロセン触媒等の遷移金属を含むオレフィン重合用触媒を用いることができる。
エチレン・α−オレフィン共重合体の製造は、好ましくは上述のオレフィン重合用触媒(i)〜(iv)、より好ましくは(i)、(ii)、(iv)、更に好ましくは(i)、(ii)、特に好ましくは(ii)メタロセン触媒をエチレンと接触して、エチレンを重合または共重合することによって実施される。オレフィン重合用触媒は(i)〜(iv)の中から複数種を使用することもできる。
本発明において、エチレンの重合または共重合を行うに際しては、エチレン・α−オレフィン共重合体に望むべく諸特性および使用するオレフィン重合用触媒特性を考慮して、重合方法、エチレン原料、重合媒体、重合温度等、重合プロセス等、スカベンジャーといった諸条件設定を最適とする必要があることは言うまでもない。
例えば、より低MFR、低密度のエチレン・α−オレフィン共重合体を所望する際には、連鎖移動剤濃度を低めに設定したり、α−オレフィン濃度を高めに設定したり、製造工程における重合体の固着・閉塞等のトラブルを防止すべく、各種運転温度を該重合体の融解温度等に見合った低温側に設定したり、スラリー重合においては該重合体の溶解が生じにくいプロパン、ブタン等の低分子量炭化水素溶媒を選択したり、溶媒を使用しない気相重合を選択したり、重合体を溶解状態で取り扱う溶液重合を選択する。また、顕著な長鎖分岐特性を付与せしめたい場合は、水素以外の連鎖移動反応が促進されるように、低モノマー濃度条件、高ポリマー濃度条件、低スカベンジャー濃度条件、高温重合条件、長時間重合条件等を積極的に選択することが好ましい。
具体的には、より低MFR(すなわち分子量の高い)のエチレン・α−オレフィン共重合体を所望する際には、反応中の水素濃度を減らすことにより、より低密度のエチレン・α−オレフィン共重合体を所望する際には、コモノマー含有量を増やす等の条件を採用することができる。
1−8.用途
本発明のポリエチレン系樹脂、即ち上述した特定のエチレン・α−オレフィン共重合体は、樹脂成形品、及びフィルム、特にはインフレーションフィルムに好適に使用できる。
2.ポリエチレン系樹脂組成物
本発明のポリエチレン系樹脂組成物は、上述した特定のエチレン・α−オレフィン共重合体であるポリエチレン系樹脂を含有するものであり、具体的に、本発明のポリエチレン系樹脂組成物中における該エチレン・α−オレフィン共重合体の含有量は、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上、より一層好ましくは85重量%以上、特に好ましくは98重量%以上であり、樹脂成分として該エチレン・α−オレフィン共重合体を単独で用いてもよい。
2−1.その他の樹脂成分
その他の樹脂成分としては、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、通常の線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、シングルサイト触媒で製造されたメタロセン系ポリエチレンなどの、上記「1.エチレン・α−オレフィン共重合体」で説明されるエチレン・α−オレフィン共重合体とは異なる他のエチレン・α−オレフィン共重合体、等のポリエチレン系樹脂、その他のポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
2−2.その他の添加剤等
本発明のポリエチレン系樹脂組成物には、本発明の特徴を損なわない範囲において、必要に応じ、帯電防止剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、核剤、滑剤、防曇剤、有機あるいは無機顔料、紫外線防止剤、耐候剤、分散剤等の公知の添加剤を添加することができる。
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体は、必要に応じて、添加又は配合される各種の添加剤や他の樹脂成分を、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラー型ミキサー等を用いて混合した後、一軸あるいは二軸押出機、ニーダー等で加熱混練し、ペレット化してもよい。
2−3.用途
本発明のポリエチレン系樹脂組成物は、樹脂成形品、及びフィルム、特にはインフレーションフィルムに好適に使用できる。
2−4.成形時の押出負荷
本発明のポリエチレン系樹脂組成物は、押出負荷が低いことから、環境負荷の低減や生産性の向上が期待できる。
3.フィルム
本発明のフィルム(特にはインフレーションフィルム)は、上述した本発明のポリエチレン系樹脂又はポリエチレン系樹脂組成物からなり、衝撃強度と剛性および加工性に優れる。
3−1.厚み
本発明のフィルムは、成形方法や条件により好適な厚みが異なる。例えば、インフレーション成形の場合、フィルムの好適な厚みは、5〜300μm程度であり、また、Tダイ成形の場合、フィルムの好適な厚みは、5μm〜5mm程度である。
3−2.成形方法
本発明のフィルムの成形方法については、本発明のポリエチレン系樹脂又はポリエチレン系樹脂組成物の優れた加工特性や機械的諸特性を有効に活用できる方法であれば特に制限されるものではないが、その好ましい成形方法としては各種のインフレーション成形法、Tダイフィルム成形法、カレンダー成形法、多層共押出成形機やラミネート処理による多層フィルム成形法等が挙げられる。
例えば、インフレーション成形法を用いる場合、環状ダイを備えた公知のインフレーション成形機を使用することができる。当該インフレーション成形機に備えられた環状ダイのリップギャップは、好ましくは0.5〜5.0mm、より好ましくは0.7〜4.0mmである。リップギャップが0.5mmよりも狭いとフィルム表面に荒れ等が生じる場合があり、リップギャップが5.0mmを超えると高速での成形性に劣る場合がある。
また、環状ダイの温度は140〜220℃とすることが好ましく、150〜210℃とすることがより好ましい。また、インフレーションフィルム成形の過程における吹き出しエアリングは特に制限されないが、複数の吹き出しスリットを有するものが好ましい。吹き出しリングの上部に配置されるチャンバーリングは特に制限されないが、2段以上、好ましくは3段以上のチャンバーリングを配置することが好ましい。インフレーションフィルム成形の過程におけるブローアップ比は、好ましくは1.3〜4.0の範囲であり、より好ましくは1.5〜3.0の範囲である。バブルの安定性を増すために公知のバブル内部冷却装置を用いることもできる。
3−3.用途
本発明のフィルム(特にはインフレーションフィルム)の用途としては、具体的に例を記すと、紙袋の内袋やゴミ袋など寸法規格の定まった規格袋、重袋、ラップフィルム、砂糖袋、米袋、油物包装袋、漬物などの水物包装袋における食品包装用フィルム、自動充填性が求められる包材、輸液バッグ、農業用フィルム等、ナイロン、ポリエステル、金属箔、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物などの各種基材との積層体、スタンディングパウチ、発泡体やその成形体、バッグインボックス、洗剤用容器、食用油容器、レトルト容器、医療容器、薬品用容器、溶剤用容器、農薬用容器、輸液バッグ、等が挙げられる。
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における物性の測定と評価は、以下に示す方法によって実施し、原料は以下のものを用いた。
1.使用原料
(1)ポリエチレン系樹脂
C4LLDPE:日本ポリエチレン(株)製、商品名ノバテックUF420、MFR=0.9g/10分、密度=0.924g/cm、Mw/Mn=4.1、gc=0.86
C4LLDPE:日本ポリエチレン(株)製、商品名ノバテックUF230、MFR=1.0g/10分、密度=0.921g/cm、Mw/Mn=4.1、gc=0.91
HPLD:日本ポリエチレン(株)製、商品名ノバテックLF240、MFR=0.7g/10分、密度=0.924g/cm、Mw/Mn=5.5、gc=0.26
HPLD:日本ポリエチレン(株)製、商品名ノバテックLF441、MFR=2.2g/10分、密度=0.924g/cm、Mw/Mn=5.5、、gc=0.30
mLLDPE:日本ポリエチレン(株)製、商品名ハーモレックスNF324A、MFR=1.0g/10分、密度=0.906g/cm、Mw/Mn=3.5、gc=0.90
LCB:エチレン・α−オレフィン共重合体:日本ポリエチレン(株)製、商品名LX141、α−オレフィン種はヘキセン、MFR=1.0g/10分、密度=0.925g/cm、Mw/Mn=4.3、gc=0.45
Figure 2021120431
[樹脂物性評価方法]
(1)メルトフローレートMFR
JIS K7210の「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠して、190℃、21.18N(2.16kg)荷重の条件で測定した。
(2)密度
ペレットを熱プレスして2mm厚のプレスシートを作製し、該シートを1000ml容量のビーカーに入れ蒸留水を満たし、時計皿で蓋をしてマントルヒーターで加熱した。蒸留水が沸騰してから60分間煮沸後、ビーカーを木製台の上に置き放冷した。この時60分煮沸後の沸騰蒸留水は500mlとし室温になるまでの時間は60分以下にならないように調整した。また、試験シートは、ビーカー及び水面に接しないように水中のほぼ中央部に浸漬させた。シートを23℃、湿度50%の条件で、16時間以上24時間以内でアニーリングを行った後、縦横2mmになるように打ち抜き、試験温度23℃で、JIS K7112の「プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法」に準拠して、測定した。
(3)分子量分布Mw/Mn
ゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による測定により、分子量分布Mw/Mnを求めた。
保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行った。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。
各々が0.5mg/mLとなるように、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成した。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いた。分子量への換算は森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)を参考に汎用較正曲線を用いた。その際使用する粘度式[η]=K×
αは以下の数値を用いた。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PE:K=3.92×10−4、α=0.733
なお、GPCの測定条件は、以下の通りである。
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
試料の調製:試料は、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて、1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
なお、得られたクロマトグラムのベースラインと区間は、図1に例示されるように行った。
(4)分岐指数g’
示差屈折計、粘度検出器および光散乱検出器を組み合わせたGPC測定装置により測定される分岐指数g’の分子量10万から100万の間での最低値(gc)を求めた。
[GPC−VISによる分岐構造解析]
示差屈折計(RI)および粘度検出器(Viscometer)を装備したGPC装置として、Waters社のAlliance GPCV2000を用いた。また、光散乱検出器として、多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)Wyatt Technology社のDAWN−Eを用いた。検出器は、MALLS、RI、Viscometerの順で接続した。移動相溶媒は、1,2,4−trichlorobenzene(酸化防止剤Irganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加)である。流量は1mL/分である。カラムは、東ソー社 GMHHR−H(S) HTを2本連結して用いた。カラム、試料注入部および各検出器の温度は、140℃である。試料濃度は1mg/mLとした。注入量(サンプルループ容量)は0.2175mLである。MALLSから得られる絶対分子量(M)、慣性二乗半径(Rg)およびViscometerから得られる極限粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用し、上述した文献を参考にして計算を行った。
[分岐指数(gc)等の算出]
分岐指数(g’)は、サンプルを上記Viscometerで測定して得られる極限粘度(ηbranch)と、別途、線形ポリマーを測定して得られる極限粘度(ηlin)との比(ηbranch/ηlin)として算出した。
MALLSから得られる絶対分子量として、分子量10万から100万における上記g’の最低値を、gcとして算出する。ここで、線形ポリマーとしては、直鎖ポリエチレンStandard Reference Material 1475a(National Institute of Standards & Technology)を用いた。
2.単層インフレーションフィルムの成形
以下の成形装置、成形条件により単層インフレーションフィルムを成形した。
成形機:単層インフレーション成形機(株式会社プラコー製)
押出機:50mmφ
スクリュー:LLDPE用スクリュー(圧縮比:2.0、L/D:24)
ダイス径:75mmφ
ダイリップ幅:3mmまたは1mm
加工温度:C1=180℃、C2〜D2=190℃またはC1=150℃、C2〜D2=160℃
フィルム厚み:30μm
押出量:21kg/hr(厚み30μm)
引取速度:27m/min(厚み30μm)
BUR:2.0(236mm幅)
3.単軸押出機による押出特性の評価
押出機:40mmφ
押出温度:160℃または180℃
スクリュー:LLDPE用スクリュー(圧縮比:2.0、L/D:26)
LDPE用スクリュー(圧縮比:4.0、L/D:26)
[フィルムの評価方法]
(1)ダート落下衝撃強度(DDI)
JIS K 7124−1:1999 A法に準拠して衝撃強度を測定した。
(2)引張弾性率
JIS K 7127:1999に準拠して、フィルムの加工方向(MD)とフィルムの幅方向(TD)の引張弾性率を測定した。
(実施例1〜4および比較例1〜4)
上述した使用原料のうち表1に示される原料を用い、「2.単層インフレーションフィルムの成形」に従いインフレーション成形を実施し、フィルムを得た。インフレーション成形の条件を表2に示す。得られたフィルムに対してダート落下衝撃強度(DDI)及び引張弾性率の評価を行った。評価結果を表2及び図3〜6に示す。
Figure 2021120431
(実施例5〜14および比較例5〜24)
上述した使用原料のうち表3〜4に示される原料を用い、「3.単軸押出機による押出特性の評価」に従い押出特性の評価を行った。押出試験の条件を表3〜4に示す。評価結果を表3、4及び図7、8に示す。
Figure 2021120431
Figure 2021120431
(評価)
表2および図3〜6から明らかなように、エチレン・α−オレフィン共重合体(LX141)はインフレーション成形時の樹脂圧力がC4LLDPEよりも著しく低く、HPLDと同等の低負荷であることが明らかになり、かつフィルムの衝撃強度はHPLDおよびC4LLDPEよりも優れることが明らかになった。
さらに表3、4および図7、8からも明らかなように、エチレン・α−オレフィン共重合体(LX141)はスクリューの種類を問わず、C4LLDPEまたはm−LLDPEよりも樹脂圧力が著しく低下し、HPLDと同等の低負荷であることが明らかになった。
以上より、エチレン・α-オレフィン共重合体(LX141)は押出負荷が低いことから、生産性の向上、装置負荷低減が期待され、さらには衝撃強度も優れることから薄肉化が期待される優れたポリエチレン系樹脂組成物が得られることが明らかとなった。

Claims (7)

  1. 下記の条件(1)〜(4)を満足するエチレン・α−オレフィン共重合体であることを特徴とするポリエチレン系樹脂。
    (1)MFRが0.1g/10分を超え、10g/10分以下である
    (2)密度が0.895〜0.940g/cmである
    (3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布Mw/Mnが3.0〜5.5である
    (4)示差屈折計、粘度検出器および光散乱検出器を組み合わせたGPC測定装置により測定される分岐指数g’の分子量10万から100万の間での最低値(gc)が0.40〜0.85である
  2. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィンは、炭素数が3〜10であることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレン系樹脂。
  3. 請求項1又は2に記載のポリエチレン系樹脂を含むことを特徴とするポリエチレン系樹脂組成物。
  4. インフレーションフィルム用であることを特徴とする請求項3に記載のポリエチレン系樹脂組成物。
  5. 請求項1又は2に記載のポリエチレン系樹脂、又は請求項3又は4に記載のポリエチレン系樹脂組成物からなる樹脂成形品。
  6. 請求項1又は2に記載のポリエチレン系樹脂、又は請求項3又は4に記載のポリエチレン系樹脂組成物からなるフィルム。
  7. 請求項1又は2に記載のポリエチレン系樹脂、又は請求項3又は4に記載のポリエチレン系樹脂組成物からなるインフレーションフィルム。
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