以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下で説明する図面において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。以下で説明する複数の実施形態において、特に説明しない一実施形態の構成は、他の実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
図1は、給水装置1の一実施形態の平面図である。図2は、図1に示す給水装置1の側面図である。図1および図2に示すように、給水装置1は、ポンプ2と、ポンプ2を駆動するモータ3と、内部にモータ3が配置されたモータケーシング4と、モータ3の可変速手段であるインバータ5と、内部にインバータ5が配置され、かつモータケーシング4に着脱可能に取り付けられたインバータケース6と、ポンプ2を制御する制御部9が格納された制御盤10と、モータ3によって回転される駆動軸11の軸線方向に沿ってインバータケース6をモータケーシング4に取り付け、かつ外部からアクセス可能な位置に配置された取り付け構造15とを備えている。
本実施形態では、ポンプ2は、単一の駆動軸11をモータ3とポンプ2とが共有する直動式の横軸形ポンプである。ポンプ2は、駆動軸11の端部に固定された羽根車20と、羽根車20を収容するポンプケーシング21とを備えている。駆動軸11は、モータ3によって回転され、羽根車20はポンプケーシング21内で駆動軸11と一体に回転する。モータケーシング4はポンプケーシング21に固定されている。ポンプケーシング21の吸込口21aには、吸込み配管22が接続されており、ポンプケーシング21の吐出し口21bには、吐出し配管23が接続されている。
羽根車20が回転すると、液体は、吸込み配管22を通じて、ポンプケーシング21の内部に吸い込まれる。液体には、羽根車20の回転により速度エネルギーが付与され、さらに、液体がポンプケーシング21内のボリュート室を通ることによって速度エネルギーが圧力エネルギーに変換され、液体が昇圧される。昇圧された液体は、吐出し配管23を通じて外部に移送される。
制御盤10には、制御部9(制御基板9)が収められている。制御基板9は制御盤10の側面と対向して配置されている。外部から制御基板9にアクセスできるように、制御盤10の制御基板9と対向する側面10sが開閉できる。また、制御盤10の側面のうち、少なくとも側面10sを含む側面が運転パネル12を設けた面から着脱できてもよい。制御基板9は、吐出圧力や流入圧力などを入力する入出力部、インバータ5の通信と接続される通信部、各種のプログラムを記憶したメモリ、演算制御動作を行うCPU等を備え、通信を介してポンプ2の発停や回転周波数、インバータ5のトリップ等の情報の授受が行われる。制御基板9は、メモリに記憶された制御プログラムを実行して、運転パネル12で設定された条件や各種センサからの信号に基づいて、各ポンプ2の発停(運転台数)および運転周波数を決定し、インバータ5にそれらを送信してポンプ2の回転周波数制御を行う。また、制御基板9は、各種センサからの信号やインバータ5からのトリップ信号により、ポンプ2の運転を停止する、あるいは他のポンプ2に運転を切り替えるなどの制御を行う。
図3は、モータ3およびインバータ5を含む電動機組立体30を示す拡大断面図である。図3では、ポンプ2の図示は省略されている。以下、本明細書において、モータ3、モータケーシング4、インバータ5、およびインバータケース6を少なくとも含む構成要素を電動機組立体30と呼ぶことがある。特に説明しない本実施形態の構成は、上述した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
電動機組立体30は、インバータ5が内蔵された一体型構造を有する機械装置である。電動機組立体30は、駆動軸11と、モータ3と、モータケーシング4と、インバータ5と、インバータケース6とを備えている。モータ3は、駆動軸11を回転させる回転子(ロータ)31および固定子(ステータ)32を備える回転要素である。回転子31は駆動軸11に固定されている。固定子32は、回転子31を囲んで、外部(図示しない)からの電力を巻線(コイル)32bが受けて回転磁界を形成する。固定子32は、ステータコア32aと、ステータコア32aに巻かれた複数の巻線32bとを備えている。回転子31は、回転子31と固定子32との間に形成される回転磁界によって回転し、回転子31が固定された駆動軸11は回転子31とともに回転する。
図3において、モータ3は模式的に描かれている。モータ3は、例えば、ロータに永久磁石を用いた永久磁石型モータである。しかしながら、モータ3は、永久磁石型モータに限定されず、誘導モータやSRモータなど、様々な種類のモータであってもよい。
モータケーシング4は、固定子32が固定された筒状のモータフレーム40と、モータフレーム40の一方の開口端を閉じ、かつ駆動軸11が貫通する貫通孔41が形成されたエンドカバー42と、モータフレーム40の他方の開口端を閉じるモータ側板43とを備えている。エンドカバー42およびモータ側板43は、モータ3を挟んで互いに対向している。駆動軸11は、エンドカバー42の軸受支持部44に支持された軸受45およびモータ側板43の軸受支持部46に支持された軸受47によって回転自在に支持されている。
インバータ5はモータ3の動作(回転速度)を制御する。インバータケース6は、駆動軸11の軸線CL方向に沿ってモータケーシング4に直列的に配置されている。モータケーシング4およびインバータケース6は駆動軸11と同心状に配置されている。本実施形態では、モータケーシング4およびインバータケース6は、駆動軸11の軸線CL方向に直列的に配置されているため、電動機組立体30はコンパクトな構造を有することができる。
インバータケース6は、インバータ5を取り囲むインバータフレーム50と、インバータフレーム50の開口端を閉じるカバー部材51とを備えている。インバータフレーム50のカバー部材51側の面およびカバー部材51のインバータフレーム50側の面は、それぞれ嵌め合い構造を有しており、これらインバータフレーム50およびカバー部材51は、嵌め合いによって互いに接続されている。同様に、インバータフレーム50のモータ側板43側の面およびモータ側板43のインバータフレーム50側の面は、それぞれ嵌め合い構造を有しており、これらインバータフレーム50およびモータ側板43は、嵌め合いによって互いに接続されている。
モータ側板43はインバータケース6に隣接している。インバータ5は、インバータケース6の、モータ側板43と対向する面(すなわち、カバー部材51)に取り付けられている。このような配置により、インバータ5は発熱体であるモータ3から発せられた熱の影響を受けにくい。結果として、インバータ5の冷却効率は、インバータ5をモータ側板43に取り付けた場合の冷却効率よりも高い。
本実施形態では、取り付け構造15は、インバータケース6をモータケーシング4に着脱可能に取り付ける取り付け部材であり、インバータケース6の一構成要素である。以下、取り付け構造15を取り付け部材15と呼ぶことがある。本実施形態では、取り付け部材15は、軸線CL方向と平行に延びる通しボルトである。図3では、2つの取り付け部材15が描かれているが、取り付け部材15の数は本実施形態には限定されない。3つ以上の取り付け部材15が設けられてもよい。複数の取り付け部材15は、インバータケース6の周方向に沿って等間隔に配置されている。
モータフレーム40は取り付け部材15が挿入可能な大きさを有する取り付け孔40aを有しており、モータ側板43は取り付け部材15が挿入可能な大きさを有する貫通孔43aを有しており、カバー部材51は取り付け部材15が挿入可能な大きさを有する貫通孔51aを有している。
取り付け部材15は貫通孔51a、貫通孔43a、および取り付け孔40aに挿入される。この状態で、取り付け部材15は、その頭部でカバー部材51をインバータフレーム50に押し付けることにより、カバー部材51、インバータフレーム50、モータ側板43、およびモータフレーム40を締結することができる。
図1および図2に戻り、給水装置1の構成要素の配置について説明する。図1および図2に示すように、給水装置1は、ポンプ2、モータケーシング4、および制御盤10が載置されたベース60をさらに備えている。ポンプケーシング21はベース60に固定されたポンプ台61(図2参照)に支持されており、モータケーシング4はベース60に固定されたモータ台62(図2参照)に支持されている。
制御盤10は、取り付け部材15が露出可能なように、ポンプ2およびモータケーシング4の少なくとも1つの周囲に配置されている。言い換えれば、制御盤10は、取り付け部材15の周囲には配置されておらず、取り付け部材15から離間している。取り付け部材15は、作業者が外部から取り付け部材15を視認することができるように配置されている。
一実施形態では、制御盤10は、ポンプ2およびモータケーシング4の少なくとも1つの上方に配置されていてもよい。このような配置により、制御盤10を載置するためのスペースをベース60に設ける必要はないため、ベース60のサイズを小さくすることができる。結果として、給水装置1の全体のサイズを小さくすることができる。他の実施形態では、制御盤10は、ポンプ2およびモータケーシング4の少なくとも1つの側方に配置されてもよい。
本実施形態では、制御盤10は、モータケーシング4を横切るように配置された支持部材65に支持されており、モータケーシング4の上方に配置されている。制御盤10には、運転パネル12が設けられており、この運転パネル12は、作業者による操作性を向上させるために、モータケーシング4よりも高い位置に配置されている。
支持部材65は、ベース60に固定され、かつベース60の表面から上方に向かって延びる脚部66と、脚部66に固定され、かつ制御盤10が載置される架台67とを備えている。脚部66は、モータケーシング4の上方まで延びており、脚部66に固定された架台67はモータケーシング4の上方に配置されている。架台67は、ベース60の表面と平行な方向(すなわち、水平方向)に延びており、制御盤10が載置可能な大きさを有している。
インバータケース6は、モータケーシング4から張り出すように、取り付け部材15によってモータケーシング4に取り付けられており、ベース60の上方に配置されている。つまり、インバータケース6はベース60には直接固定されていない。インバータケース6はモータケーシング4に固定されているため、作業者はインバータ5の交換作業を容易に行うことができる。
本実施形態では、図1に示すように、ポンプ2、モータケーシング4、制御盤10、インバータケース6、および取り付け部材15は、ベース60を上から見たとき、ベース60の外縁60aの内側に配置されている。取り付け部材15は、インバータケース6のカバー部材51側に配置されており、ベース60の上方の位置でベース60の外縁60aに隣接している。
図4および図5は、ベース60の他の実施形態を示す図である。特に説明しない本実施形態の構成は、上述した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。一実施形態では、インバータケース6の少なくとも一部は、ベース60を上から見たとき、ベース60の外縁60aからはみ出していてもよい。この場合、取り付け部材15は、ベース60の外側の位置でベース60の外縁60aに隣接している。
架台67は取り付け部材15の上方には配置されておらず、取り付け部材15の上方には、作業者が取り付け部材15にアクセス可能なアクセス空間AS1が形成されている。図2に示すように、設置空間ISは、給水装置1の各構成要素が収まる略立方体の空間である。本実施形態では、給水装置1を鉛直上方から見たときに、ベース60の外縁60a内に給水装置1のすべての構成要素(ポンプ2、電動機組立体30、および制御盤10)が収まる。そのため、設置空間ISは、ベース60の床面(すなわち、設置面)と、最も高い位置に配置された給水装置1の構成要素(本実施形態では、制御盤10)との間に囲まれた空間である。設置空間ISの内部には、ポンプ2、電動機組立体30、および制御盤10を含む部材が配置されている。アクセス空間AS1は、設置空間ISの内部に略立方体の空間として設けられており、設置空間ISの一部を構成している。少なくともアクセス空間AS1の底面には、取り付け部材15を鉛直上方向から給水装置1の設置面に対して投影した投影面が含まれる。図2において、アクセス空間AS1は一点鎖線で描かれており、設置空間ISは点線で描かれている。ここで、ベース60を鉛直上方から見たとき、給水装置1の構成要素の一部がベース60の外縁60aからはみ出している場合は、設置空間ISの底面は、ベース60の外縁60aを仮想的に延長して、該はみ出した構成要素が収まる空間とする。言い換えれば、少なくとも設置空間ISの底面には、ポンプ2、電動機組立体30、および制御盤10を鉛直上方向から給水装置1の設置面に対して投影した投影面が含まれる。
給水装置1には、アクセス空間AS1が形成されているため、作業者はアクセス空間AS1を通じて上方から取り付け部材15に容易にアクセスすることができる。結果として、作業者は取り付け部材15を容易に取り外すことができる。給水装置1は、メンテナンス作業者の足場よりも低い位置の設置状況にて使用されることもあり、例えば、アクセス空間AS1の高さを設置空間ISと同じ高さとすることで、作業者は、当該設置状況の給水装置1において、取り付け部材15に容易にアクセスすることができる。
本実施形態によれば、インバータ5は、制御部9と同一の制御盤10内には格納されておらず、モータケーシング4に取り付けられたインバータケース6内に収容されている。つまり、インバータ5は、制御盤10とは別個に設けられている。したがって、作業者は、何らかの構造物(例えば、建物の壁や受水槽など)が給水装置1の周囲にあって給水装置1のメンテナンスが困難な設置状況下でも、インバータ5の交換作業を行うことができる。
取り付け構造15の構造は上述した実施形態には限定されない。図6は、取り付け構造15の他の実施形態を示す模式図である。図7は、取り付け構造15の構成要素の配置関係を示す図である。図7では、主要な要素のみが描かれており、カバー部材51は簡略的に描かれている。図8は、図6における給水装置1を第1断面で切断したときの拡大断面図である。図9は、図6における給水装置1を第1断面とは異なる第2断面で切断したときの拡大断面図である。特に説明しない本実施形態の構成は、上述した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
図6乃至図9に示す実施形態では、モータ側板43とインバータフレーム50は、一体成形されており、一体成形部材52を構成している。以下、上述した実施形態で説明したモータ側板43に相当する一体成形部材52の部位をモータ側板部位と呼ぶことがあり、インバータフレーム50に相当する一体成形部材52の部位をインバータフレーム部位と呼ぶことがある。
取り付け構造15は、一体成形部材52とカバー部材51とを締結する第1締結具15aと、一体成形部材52とモータフレーム40とを締結する第2締結具15bとを備えている。第1締結具15aは第2締結具15bよりも長い長さを有している。図7に示すように、第1締結具15aおよび第2締結具15bのそれぞれはカバー部材51の周方向に沿って等間隔に配置されている。第1締結具15a(または第2締結具15b)は互いに隣接する第2締結具15b(または第1締結具15a)の間に配置されている。なお、図7では、2つの第1締結具15aが設けられているが、第1締結具15aの数は本実施形態には限定されない。3つ以上の第1締結具15aが設けられてもよい。同様に、2つの第2締結具15bが設けられているが、第2締結具15bの数は本実施形態には限定されない。3つ以上の第2締結具15bが設けられてもよい。
図8に示すように、一体成形部材52のモータ側板部位は、上述した貫通孔43aの他に、第1締結具15aが挿入可能な大きさを有する取り付け孔43bを有している。第1締結具15aは、貫通孔51aおよび取り付け孔43bに挿入されている。第1締結具15aは、その締め付けにより、カバー部材51と一体成形部材52とを締結することができる。図9に示すように、第2締結具15bは、貫通孔43aおよび取り付け孔40aに挿入されている。第2締結具15bは、その締め付けにより、一体成形部材52とモータフレーム40とを締結することができる。貫通孔43aおよび取り付け孔43bは、駆動軸11の軸線CL方向から見たとき、互いに重ならないように配置されている。
図10および図11は、取り付け構造15のさらに他の実施形態を示す図である。特に説明しない本実施形態の構成は、上述した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。図6乃至図9に示す実施形態では、モータ側板43とインバータフレーム50とは一体形成されており、カバー部材51は一体成形部材52とは別個の部材であるが、図10および図11に示す実施形態では、図示しないが、インバータフレーム50とカバー部材51とが一体成形されており、一体成形部材53を構成している。一体成形部材53とモータ側板43とは別個の部材である。
図10に示すように、取り付け構造15は、モータ側板43(および一体成形部材53)の半径方向(すなわち、駆動軸11の軸線CL方向と垂直な方向)に延びる取り付け部材である。図10では、単一の取り付け構造15が描かれているが、取り付け構造15は、モータ側板43(および一体成形部材53)の周方向に沿って等間隔に配置された複数の取り付け部材である。
一体成形部材53のインバータフレーム部位は駆動軸11の軸線CL方向と垂直な方向に延びる貫通孔50aを有しており、モータ側板43は軸線CL方向と垂直な方向に延びる取り付け孔43cを有している。取り付け部材である取り付け構造15は、貫通孔50aおよび取り付け孔43cに挿入されている。
図11に示すように、取り付け構造15は、一体成形部材53のインバータフレーム部位をモータ側板43に螺合する螺合構造であってもよい。一実施形態では、取り付け構造15は、ツイストロック構造であってもよく、他の実施形態では、取り付け構造15は、嵌合構造であってもよい。なお、図10および図11では、モータ側板43とモータフレーム40との取り付け構造の図示は省略されている。
図12は、ベース60の上方に形成されたアクセス空間AS2を示す図である。特に説明しない本実施形態の構成は、上述した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。図12に示すように、ベース60は、その長手方向に延びており、ベース60の上方には、インバータ5の交換時に必要なアクセス空間AS2が形成されている。図12において、アクセス空間AS2は一点鎖線で描かれている。
本実施形態では、アクセス空間AS1は、アクセス空間AS2の上方に配置されており、取り付け部材15およびインバータケース6の上方にも配置されている。アクセス空間AS1およびアクセス空間AS2は、給水装置1の設置状況下でもインバータ5の交換作業が可能な作業空間WSである。作業空間WSは、設置空間ISの内部に設けられており、取り付け構造15が露出可能なように、少なくとも1つの方向からアクセス可能な空間である。
本実施形態では、インバータケース6(および取り付け部材15)および制御盤10は作業空間WSに隣接している。一実施形態では、制御盤10、ポンプ2、モータケーシング4、およびインバータケース6の少なくとも1つは、作業空間WSの周囲に配置されてもよい。図12において、作業空間WSは二点鎖線で描かれている。ここで、ベース60の長手方向は、駆動軸11の軸線CL方向と平行な方向と定義される。
図12に示す実施形態では、ベース60は、その上方にアクセス空間AS2が形成される大きさを有している。この理由は次の通りである。インバータ5を交換する場合、作業者は、取り付け部材15を取り外し、インバータケース6をモータケーシング4から取り外す必要がある。この場合、作業性の向上のため、取り付け部材15の周囲には、作業者の取り付け部材15へのアクセスを阻害する障害物が存在していないことが好ましい。図12に示す実施形態によれば、ベース60の上方には、障害物が存在しないアクセス空間AS2が形成されているため、作業者による作業性の向上を図ることができる。このように、アクセス空間AS1および/またはアクセス空間AS2を作業空間WSとして、給水装置1の設置空間IS内に設けることで、給水装置1のメンテナンスが困難な設置状況下でもインバータ5の交換作業が可能となる。したがって、作業者は、モータケーシング4に取り付けられたインバータケース6内のインバータ5の交換作業を行うことができる。
図13は、電動機組立体30の他の実施形態を示す図である。特に説明しない本実施形態の構成は、上述した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。図13に示すように、モータ側板43は駆動軸11が貫通する貫通孔48を有しており、駆動軸11はモータケーシング4およびインバータケース6を貫通して延びている。駆動軸11の端部(すなわち、駆動軸11の反負荷側)には、駆動軸11と同心状に配置された冷却ファン70が固定されている。冷却ファン70は、インバータケース6の外側に配置されており、インバータケース6に隣接している。
インバータケース6は、インバータフレーム50の一方の開口端を閉じる冷却ファン側カバー部材51と、インバータフレーム50の他方の開口端を閉じるモータケーシング側カバー部材55とを備えている。冷却ファン側カバー部材51は駆動軸11が貫通する貫通孔56を有しており、モータケーシング側カバー部材55は駆動軸11が貫通する貫通孔57を有している。
電動機組立体30は、冷却ファン70を覆うように、冷却ファン側カバー部材51に着脱可能に接続されたファンカバー71を備えている。取り付け部材15は、ファンカバー71の半径方向内側に配置されており、ファンカバー71を取り外すことにより、設置空間ISに露出可能である。
電動機組立体30は、駆動軸11の周囲を覆うように、駆動軸11の軸線CL方向に延びる筒状壁75をさらに備えている。この筒状壁75は、駆動軸11とインバータ5とを隔離しつつ、冷却ファン70の回転によって流れる空気の流路76を形成する部材である。インバータ5の基板は、駆動軸11および筒状壁75が貫通する環状形状を有しており、駆動軸11と同心状に配置されている。
電動機組立体30は、モータケーシング側カバー部材55とモータ側板43との間に配置されたスペーサ80をさらに備えている。スペーサ80は、モータ側板43(またはモータケーシング側カバー部材55)の周方向に沿って等間隔に配置された複数の突起部材81を備えている。これら複数の突起部材81は、空気の流路76と電動機組立体30の外部空間(より具体的には、設置空間IS)とを連通する環状の連通空間82をモータケーシング4とインバータケース6との間に形成する。
空気の流路76は連通空間82と連通している。駆動軸11の回転とともに冷却ファン70が回転すると、ファンカバー71の内部に流入した空気の一部は、筒状壁75の開口を通じて筒状壁75の内部に流入する。筒状壁75内の空気は、駆動軸11の軸線CL方向に沿うように流路76を流れる。筒状壁75内の流路76を流れる空気はインバータ5から発生した熱を奪うことができるため、インバータ5は筒状壁75を介して間接的に冷却される。
流路76を通過した空気は、連通空間82に流入し、互いに隣接する突起部材81の間の隙間を通って設置空間ISに流れる。連通空間82に流入した空気は、モータケーシング側カバー部材55に接触して、インバータ5から発生した熱を奪いつつ、設置空間ISに流れる。本実施形態では、冷却ファン70の回転によって流れる空気は、冷却ファン側カバー部材51の外面およびインバータフレーム50への接触によってインバータ5の熱を奪うのみならず、モータケーシング側カバー部材55への接触によってもインバータ5の熱を奪うことができる。
本実施形態によれば、電動機組立体30は、空気の流路76を形成する筒状壁75と、連通空間82を形成するスペーサ80とを備えているため、インバータ5が配置された空間を積極的に冷却することができる。したがって、電動機組立体30は、この空間の冷却を介してインバータ5の温度を効果的に低減することができる。本実施形態では、電動機組立体30は、インバータケース6の空気との接触面積を大きくすることができる。したがって、電動機組立体30は、インバータ5の温度を効果的に低減することができる。
さらに、本実施形態では、制御盤10はモータケーシング4の周囲に配置されており、連通空間82を通過する空気はスペーサ80の半径方向外側に向かって流れる。したがって、制御盤10内の制御部9は連通空間82を通過する空気によって間接的に冷却される。制御盤10内に格納された制御部9は発熱体であるため、制御部9から発せられた熱によって制御盤10が高温になることがある。本実施形態によれば、連通空間82を通過する空気は制御盤10に接触して熱を奪うことができるため、制御部9は制御盤10を介して冷却される。
図14は、給水装置1の他の実施形態を示す正面図である。図15は、図14に示す給水装置1を示す側面図である。特に説明しない本実施形態の構成は、上述した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。図14および図15に示す実施形態では、制御盤10を支持する支持部材65は設けられておらず、制御盤10は、電動機組立体30(より具体的には、モータケーシング4)上に直接載置されている。
図16は、給水装置1の他の実施形態を示す平面図である。図17は、図16に示す給水装置1を示す正面図である。特に説明しない本実施形態の構成は、上述した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
上述した実施形態では、単一のポンプ2および単一の電動機組立体30を備える給水装置1について説明したが、図16および図17に示す実施形態では、給水装置1は、複数台(本実施形態では、2台)のポンプ2A,2Bと、複数台(本実施形態では、2台)の電動機組立体30A,30Bとを備えている。ポンプおよび電動機組立体の数は本実施形態には限定されない。
互いに隣接するように並列に配置された2つのポンプ2A,2Bには、2つの吐出し配管23A,23Bがそれぞれ並列に接続されており、これら2つの吐出し配管23A,23Bには、単一の集合配管24が連結されている。互いに隣接する2台の電動機組立体30A,30Bは並列に配置されており、2つの軸線CLは平行である。
図17に示すように、脚部66は互いに隣接するモータケーシング4A,4Bの間に配置されている。本実施形態では、給水装置1は、ポンプ2A,2Bの吐出圧力を保持する圧力タンク90をさらに備えている。圧力タンク90は、ポンプ2Aおよびモータケーシング4Aの少なくとも1つの上方に配置されてもよく、またはポンプ2Bおよびモータケーシング4Bの少なくとも1つの上方に配置されてもよい。
本明細書において、吐出し配管23A,23Bを区別せずに単に吐出し配管23と呼ぶことがあり、ポンプ2A,2Bを区別せずに単にポンプ2と呼ぶことがある。図16では、圧力タンク90は模式的に描かれているが、圧力タンク90は吐出し配管23または集合配管24に接続されている。
図1乃至図15に示す実施形態に係る給水装置1は圧力タンク90を備えていてもよい。この場合、圧力タンク90はポンプ2およびモータケーシング4の少なくとも1つの上方に配置されてもよい。
圧力タンク90は、耐圧容器内にゴム製のブラダが内蔵されており、ポンプ2の吐出圧力が上昇すると、ブラダの外側の空気を圧縮し、水が加圧状態で貯留される。また、吐出し配管23内の圧力が低下するにつれて、圧縮された空気が膨張し、貯留された水を吐出し配管23に押し出す。このようにして、ポンプ2が停止しても、しばらくは圧力タンク90から吐出し配管23に水が供給される。
図示しないが、吐出し配管23には、圧力センサが接続されている。圧力センサは制御部9に電気的に接続されており、制御部9はポンプ2の吐出し側圧力を示す信号を圧力センサから受け取ることができる。制御部9は、ポンプ2の吐出し側圧力に基づいて、ポンプ2の回転速度を制御することができる。
ポンプ2は、圧力センサの出力信号に基づいてインバータ5によって可変速運転される。具体的には、制御部9は、圧力センサにより検出された信号(すなわち、吐出し側圧力)に基づいて、目標圧力と一致するようにポンプ2の運転速度を制御する吐出圧力一定制御を行ってもよい。制御部9は、目標圧力を管路抵抗に応じて変化させることにより末端の供給水圧を一定に制御する推定末端圧力一定制御を行ってもよい。更に、制御部9は、先発ポンプのローテーションを行い、ポンプ2内での水の滞留を防止してもよい。先発ポンプは、ポンプ2Aおよびポンプ2Bのいずれかから選択される。
本実施形態では、圧力タンク90は架台67上に載置されている。支持部材65は制御盤10のみならず圧力タンク90をもモータケーシング4(すなわち、モータケーシング4A,4B)の上方に配置することができるため、制御盤10および圧力タンク90を載置するスペースをベース60上に設ける必要はない。
本実施形態では、架台67は、ベース60の幅方向に延びる幅広形状を有しており、モータケーシング4A,4Bの両方の上方に配置されている。ここで、ベース60の幅方向はベース60の長手方向と垂直な方向と定義される。このような幅広形状を有する架台67は圧力タンク90および制御盤10の両方を支持することができる。圧力タンク90はモータケーシング4A,4Bのうちの一方の上方に配置されており、制御盤10はモータケーシング4A,4Bのうちの他方の上方に配置されている。
図16において、モータケーシング4Aは、ベース60を上から見たとき、ベース60の左側縁部60a−1に隣接する第1モータケーシング4Aである。モータケーシング4Bは、ベース60を上から見たとき、ベース60の右側縁部60a−2に隣接する第2モータケーシング4Bである。圧力タンク90は第1モータケーシング4Aの上方に配置されており、制御盤10は第2モータケーシング4Bの上方に配置されている。
上述したように、給水装置が複数のポンプを備えている場合、一方のポンプでの給水中に、他方のポンプに対応するインバータの交換作業が行われる場合がある。本実施形態によれば、複数のインバータ5は、各々のモータケーシング4に着脱可能に取り付けられるため、制御盤10の外部に配置されている。したがって、作業者は、通電中の制御盤10からインバータ5を取り外す必要はなく、制御盤10または何らかの筐体内に複数のインバータを設置した場合に比べて、作業者は、安全に、かつ容易に交換作業を行うことができる。
制御盤10は、その運転パネル12が圧力タンク90とは反対側(すなわち、ベース60の右側縁部60a−2)を向くように配置されている。言い換えれば、制御盤10は、運転パネル12がベース60の右側縁部60a−2に隣接するように配置されている。
制御盤10の配置は図16に示す実施形態には限定されない。以下、制御盤10の配置について、図18乃至図20を参照して説明する。図18乃至図20は、制御盤10の配置の例を示す図である。図18に示すように、制御盤10は、その運転パネル12がインバータケース6Bを向くように配置されてもよい。
図19に示すように、制御盤10は、その運転パネル12がインバータケース6Aを向くようにモータケーシング4Aの上方に配置されてもよく、圧力タンク90はモータケーシング4Bの上方に配置されてもよい。
図20に示すように、制御盤10は、その運転パネル12が圧力タンク90とは反対側(すなわち、ベース60の左側縁部60a−1)を向くようにモータケーシング4Aの上方に配置されてもよく、圧力タンク90がモータケーシング4Bの上方に配置されてもよい。
図21は、給水装置1の他の実施形態を示す平面図である。図22は、図21に示す給水装置1を示す正面図である。図21および図22に示す実施形態では、制御盤10は、モータケーシング4Bの側方に配置されており、ベース60の右側縁部60a−2に隣接している。圧力タンク90は、モータケーシング4Aとモータケーシング4Bとの間に配置された支持部材65(より具体的には、架台67)上に載置されている。図22に示すように、制御盤10は、ベース60に固定された制御盤台63に支持されている。
制御盤10の配置は図21に示す実施形態には限定されない。以下、制御盤10の配置について、図23および図24を参照して説明する。図23および図24は、制御盤10の配置の例を示す図である。図23に示すように、制御盤10は、モータケーシング4Aの側方に配置されており、ベース60の左側縁部60a−1に隣接している。図24に示すように、制御盤10は、モータケーシング4A(およびインバータケース6A)とモータケーシング4B(およびインバータケース6B)との間に配置されてもよい。
図25および図26は、制御盤10の配置の例を示す図である。図25に示すように、制御盤10は、ポンプ2Aの側方には配置されておらず、電動機組立体30Aの側方のみに配置されている。図26では、制御盤10は、ポンプ2Bの側方には配置されておらず、電動機組立体30Bの側方のみに配置されている。図25および図26に示すように、支持部材65の架台67はモータケーシング4A,4Bの両方の上方に配置されており、圧力タンク90はこの架台67上に載置されている。
なお、上述した実施例における給水装置1において、吐出し配管23ならびに吐出し配管23A,23Bには、不図示のフロースイッチおよび逆止弁を設けてもよい。フロースイッチは、極少水量を検知する流量検知器であって、フロースイッチによる極少水量の検知にて、自動運転中のポンプを停止する。具体的には、制御部9は、フロースイッチによる極少水量の検知を受けたら、インバータ5へ停止指令を送信する。逆止弁は、吐出液がポンプ2に逆流するのを防止する。
ここで、給水装置では、ポンプ2、フロースイッチおよび逆止弁も定期的に交換される交換部品である。また、本実施形態では、インバータ5が内蔵された電動機組立体30, 30A,30Bがポンプ2と同床に設置されるため、インバータ5が制御盤10内に配置されるのに比べて、集合配管24の配管接続を外した際に、集合配管24内に残っていた水によってインバータ5が被水しやすい。上述した実施形態では、吐出し配管23Aおよび吐出し配管23Bに接続される集合配管24が、ポンプ2Aおよびポンプ2Bの上部(言い換えれば、上方)に配置される。そのため、ポンプ2、フロースイッチ、逆止弁等の交換部品を給水装置から取り外した時に、集合配管24内に残っていた水が落水してインバータ5が被水するのを防止でき、当該交換部品の交換作業が容易となる。
また、図25に示すように、集合配管24は、ポンプ2Aとポンプ2Bの配列方向と平行に延びる。つまり、ポンプ2Aとポンプ2Bは、軸線が平行となるように配置されており、ポンプ2Aとポンプ2Bの配列方向は当該軸線と略垂直方向である。そのため、吐出し配管23A,23Bよりも外側に延びた集合配管24をジャッキで支持してポンプの交換ができる。よって、例えば、図17に示す集合配管24の中央に吐出し口が設けられるのに比べて、ポンプ2の交換時に作業者が集合配管24をジャッキで支持しやすいため、ポンプ2の交換が容易となる。
図27は、給水装置1のさらに他の実施形態を示す平面図である。図28は、図27に示す給水装置1を示す正面図である。図29は、図28に示す給水装置1の変形例を示す正面図である。特に説明しない本実施形態の構成は、上述した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
図27および図28に示すように、給水装置1は、吐出し配管23A,23Bに接続された集合配管(吐出しヘッダ)95を備えている。吐出し配管23A,23Bのそれぞれは、その開口が上方向を向いており、集合配管95と連通している。具体的には、吐出し配管23A,23Bのそれぞれは、集合配管95に配管接続されている。集合配管95は、ポンプ2A,2Bの配列方向と平行(つまり、紙面左右方向)に延びており、その長手方向の両端(集合配管95の紙面左右両端)に、閉止蓋96によって閉止可能な吐出し口95a,95bを有している。なお、紙面左右方向は、給水装置1の左右方向を意味し、集合配管95の紙面左右両端は、集合配管95の吐出し口95a側の端部および吐出し口95b側の端部を意味する。
図27および図28に示す実施形態では、閉止蓋96は、集合配管95の吐出し口95aを閉じているが、図29の変形例に示すように、集合配管95の吐出し口95bを閉じてもよい。図28および図29の矢印Fは、給水装置1の吐出し方向を示す。集合配管95の吐出し口95a,95bは同一形状であり、閉止蓋96は、集合配管95の吐出し口95a,95bの両方に固定可能である。閉止蓋96が吐出し口95aを閉じていると、図28に示すように吐出し方向は給水装置1の右側(すなわち、紙面右側)となり、閉止蓋96が吐出し口95bを閉じていれば図29に示すように吐出し方向は給水装置1の左側(すなわち、紙面左側)となる。
制御盤10および圧力タンク90は、架台67上に配置されており、集合配管95は、制御盤10および圧力タンク90に隣接している。より具体的には、制御盤10および圧力タンク90のいずれか一方は、閉止蓋96によって閉止された吐出し口95aに隣接しており、制御盤10および圧力タンク90のいずれか他方は、閉止されていない吐出し口95bに隣接している。このように、制御盤10および圧力タンク90を架台67に載置することにより、ポンプ2Aとポンプ2Bとの間の距離を小さくすることができる。結果として、給水装置1の全体のサイズを小さくすることができる。
図27および図28に示す実施形態によれば、集合配管95の吐出し口95a,95bのいずれか一方を閉止蓋96で閉止することができる。したがって、建物の壁沿い、地下空間、または受水槽の下や横の空間などの設置状況に応じて、作業者は、吐出し方向を選択(変更)することができる。ここで、給水装置1を交換する場合に、既設の配管の方向が給水装置1の左右方向(すなわち、紙面左右方向)のどちらであっても閉止蓋96で閉止する開口を変更するだけで対応できる。よって、図17に示す集合配管24の中央に吐出し口が設けられるのに比べて、給水装置の交換が容易となる。
図27乃至図29に示す実施形態のさらなる効果について説明する。吐出し配管23A,23Bの内部には、吐出液がポンプに逆流するのを防止する逆止弁23A1,23B1が配置されている場合がある(図28および図29参照)。この逆止弁23A1,23B1は、定期的に交換または点検する必要がある交換部品である。ここで、集合配管95をジャッキで支持した状態であれば、逆止弁23A1,23B1を交換または点検する作業が容易となる。
しかしながら、ポンプ2Aとポンプ2Bとの間の距離は小さいため、ジャッキがポンプ2Aとポンプ2Bとの間の隙間に入らない場合がある。図27および図28に示す実施形態では、集合配管95は、ポンプ2A,2Bの配列方向と平行に(すなわち、紙面左右方向、言い換えれば、給水装置1の左右方向)に延びているため、吐出し配管23A,23Bのいずれか一方の外側の位置にジャッキを配置することができる。このように、本実施形態によれば、ポンプ2Aとポンプ2Bとの間の距離が小さくても、逆止弁23A1,23B1の交換または点検を容易に行うことができる。
以下に説明する実施形態では、制御盤10および圧力タンク90を支持する架台67に接続されたステイ100を備える給水装置1について説明する。
図30は、ステイ100を有する架台67を示す図である。上述したように、長時間のポンプ連続運転や、短時間で小水量停止と起動を繰り返す等で、経年の振動による制御盤等の各機器への影響が懸念される。そこで、図30に示す実施形態では、制御盤10を支持する架台67を補強する、少なくとも1つのステイ100が設けられている。なお、図30では、制御盤10の図示は省略されている。
以下に説明する実施形態では、2台のポンプ2A,2Bと、2台の電動機組立体30A,30Bと、を備える給水装置1(例えば、図16)に適用されたステイ100について説明する。一実施形態では、ステイ100は、単一のポンプ2および単一の電動機組立体30を備える給水装置1(例えば、図1)にも適用されてもよい。
図30に示すように、ステイ100は、架台67と吐出し配管23Bとを互いに連結している。ステイ100の一端部101は、架台67に接続される接続部の一例であり、他端部102は、吐出し配管23Bに接続される接続部の一例である。図30では、架台67および吐出し配管23Bに接続されたステイ100が描かれている。一実施形態では、架台67は、架台67と吐出し配管23Aとを互いに連結するステイ100と、架台67と吐出し配管23Bとを互いに連結するステイ100と、を備えてもよい。一実施形態では、複数のステイ100が吐出し配管23Aに接続され、複数のステイ100が吐出し配管23Bに接続されてもよい。また、一実施形態では、架台67が少なくとも1つのステイ100と一体的な部品として構成されてもよい。
図31は、ステイ100の平面図である。図31に示すように、ステイ100は、その一端部101に形成された長手方向に延びる切り欠き105と、ステイ100の他端部102に形成された幅方向に延びる切り欠き106と、を有している。ステイ100の一端部101は、架台側の端部であり、他端部102は、配管側の端部である。切り欠き105は、一端部101の先端面101aから内側に向かって延びている。切り欠き106は、他端部102の縁端面102aから内側に向かって延びている。本実施形態では、切り欠き105が幅方向で、切り欠き106が長手方向である。一実施形態として、切り欠き105が長手方向で、切り欠き106が幅方向でもよい。
図30に示すように、締結具110は、ステイ100の切り欠き105を通じて、架台67に挿入されており、締結具111は、ステイ100の切り欠き106を通じて吐出し配管23Bのフランジ部113に挿入されている。上述したように、ポンプケーシング21の吐出し口21bには、吐出し配管23が接続されており、吐出し口21bと吐出し配管23とステイ100とを締結具111で締結している。これにより、吐出し口21bと吐出し配管23とを締結し、更に吐出し配管23とステイ100とを締結するのに比して、部品点数を削減できる。
図30に示す実施形態では、架台67は、制御盤10が載置される載置部67aと、載置部67aから下方に折れ曲がった折れ曲がり部67bと、を有している。この折れ曲がり部67bは、架台67の強度を向上させるために設けられており、吐出し配管23Bに対向している。
この折れ曲がり部67bは、必ずしも吐出し配管23Bに対向するように配置される必要はない。一実施形態では、折れ曲がり部67bは、軸線CL方向と平行な方向(すなわち、ベース60の長手方向)と平行に延びて、架台67の外縁部67cに接続されてもよい。この場合、ステイ100は、その一端部101が架台67の載置部67aの上面上に配置されるように、締結具110によって締結されてもよく、またはステイ100の一端部101が架台67の載置部67aの下面上に配置されるように、締結具110によって締結されてもよい。本実施形態では、ステイ100は、その一端部101を架台67の載置部67aの上面上に配置するために、折れ曲がった形状を有しているが、ステイ100の一端部101を架台67の載置部67aの下面上に配置する場合、ステイ100は、必ずしも折れ曲がった形状を有する必要はない。
図32は、切り欠き105の曲率半径R1および切り欠き106の曲率半径R2を示す図である。切り欠き105の曲率半径R1と切り欠き106の曲率半径R2は、異なる。(R1≠R2)。曲率半径が大きい方の締結部で緩く締結し、曲率半径が大きい方の締結部で強固に締結することができるので、ステイ100が締結される部材との位置合わせ等が容易となる。
図33は、締結具110の、ステイ100との接触面積A1および締結具111の、ステイ100との接触面積A2を示す図である。図32に示すように、切り欠き105の曲率半径R1は、切り欠き106の曲率半径R2よりも大きい(R1>R2)。したがって、図33に示すように、締結具110および締結具111が同一の形状を有するとの条件下では、締結具110(より具体的には、締結具110の頭部110a)の、ステイ100との接触面積A1は、締結具111(より具体的には、締結具111の頭部111a)の、ステイ100との接触面積A2よりも小さい(A1<A2)。
このような構成により、ステイ100を通じて締結具111を締め付けることにより、ステイ100は、吐出し配管23Bのフランジ部113に確実に密着して、フランジ部113に接続される。したがって、ステイ100のフランジ部113からの離脱をより確実に防止することができる。仮に、ステイ100がフランジ部113から離脱すると、ステイ100の厚さ分だけ、締結具111の頭部111aとフランジ部113との間に隙間が形成されてしまい、フランジ部113の締結が弱くなってしまう。吐出し配管23Bには、高圧の液体が流れるため、締結具111は、吐出し配管23Bのフランジ部113を強固に締結して、フランジ部113からの液漏れを確実に防止する必要がある。したがって、ステイ100のフランジ部113からの離脱を確実に防止する必要がある。
本実施形態では、切り欠き106と締結具111のねじ部111bとの間の隙間は、切り欠き105と締結具110のねじ部110bとの間の隙間よりも小さい。すなわち、切り欠き106は、締結具111のねじ部111aにフィットするサイズを有しているため、締結具111の、ステイ100との接触面積A2を大きくすることができる。したがって、ステイ100は、その他端部102のフランジ部113からの離脱を確実に防止することができ、液体の、吐出し配管23Bからの漏洩をより確実に防止することができる。
その一方で、切り欠き105の曲率半径R1は、切り欠き106の曲率半径R2よりも大きいため、切り欠き105と締結具110のねじ部110bとの間の隙間は大きい(図33参照)。切り欠き105と締結具110のねじ部110bとの間の隙間を大きくすることにより、作業者は、締結具110のねじ部110bを切り欠き105で緩やかに挟むことができ、結果として、ステイ100を架台67に接続するときに容易に位置合わせすることができる。
図34は、制御盤10と架台67との間に配置されたステイ100を示す断面図である。図35および図36は、ステイ100の他端部102を吐出し配管23Bに接続する様子を示す図である。図34に示すように、作業者は、締結具110によって、制御盤10および架台67を緩やかに締結し、制御盤10と架台67との間に隙間を形成した状態で、この隙間に、ステイ100を挿入する。作業者は、ねじ部110bを切り欠き105で挟むように、ステイ100を架台67に接続する。
図35および図36では、制御盤10の図示は省略されている。図35および図36に示すように、作業者は、ステイ100の一端部101を架台67(より具体的には、外縁部67c側の載置部67a)に接続した状態で、ステイ100をフランジ部113に近接する方向に旋回して(図35の矢印参照)、ステイ100の他端部102を吐出し配管23Bのフランジ部113に接続する。切り欠き106は、ステイ100の幅方向に延びる切り欠きであるため、作業者は、ステイ100を旋回するだけで、ステイ100を吐出し配管23Bのフランジ部113に接続することができる。このように、切り欠き105と切り欠き106の切り欠き方向が異なるため、位置合わせが容易となり接続作業が効率的行える。また、締結具111を通す孔に縁端面102aから内側に向かって延びる切り欠き106を設けることにより、作業者は、締結具111をフランジ部113から完全に取り外すことなく、締結具111をフランジ部113に緩やかに挿入した状態で、ステイ100を着脱可能である。これにより、吐出し配管23B内が水で満たされている状態でもステイ100を着脱できる。
ステイ100の着脱時において、作業者がステイ100を旋回すると、ステイ100は、締結具111の頭部111aとフランジ部113との間に挟まれる。この状態で、作業者は、締結具111を締め付けることにより、ステイ100とフランジ部113とを強固に締結する。ステイ100は、その旋回によって、吐出し配管23Bから着脱されるため、ステイ100の表面には、ステイ100の着脱に起因して、ひっかき傷が生じるおそれがある。結果として、ステイ100に錆が発生するおそれがある。そこで、ステイ100は、その表面に錆が発生しないように、ステンレス(SUS)などの耐腐食性金属から構成されることが好ましい。
図37および図38は、モータをポンプから引き抜く様子を示す図である。図37および図38に示すように、例えば、ポンプ2Bやモータ3Bのメンテナンスを行うために、作業者は、モータ3Bをポンプ2Bから引き抜くことができる。この場合、作業者は、ポンプケーシング21とモータケーシング4Bとを接続する複数の締結具120をすべて取り外し、その後、モータ3Bを矢印Y1またはY2の方向に引き抜く。このような作業は、バックプルアウトと呼ばれ、ポンプ2Aも同様の構造である。
羽根車20は、駆動軸11の端部に固定されているため(図2参照)、羽根車20は、モータ3Bとともに引き抜かれる。モータ3Bが引き抜かれても、ポンプ2Bのポンプケーシング21はベース60上に固定されたままである(図38参照)。したがって、ポンプケーシング21に接続された吐出し配管23Bは、所定の位置に配置されたままである。モータ3Bのバックプルアウトにおいて、モータ3Bは、移動を必要とする移動側の構成要素であり、ポンプ2Bのポンプケーシング21および吐出し配管23Bは、移動を必要としない固定側の構成要素である。
脚部66は、モータ3Aとモータ3Bの間に位置するため、モータ3Aとモータ3Bが対向する位置の締結具120の締結解除を阻害する。架台67の振動を防止するためには、脚部66に加えて架台67とベース60とを接続する接続部材にて架台67の外縁部67c側を支持することが望ましいが、当該接続部材が増えることでバックプルアウト等のメンナンス作業を妨げる。さらに、モータ3A,3Bは、バックプルアウトによって引き抜かれるため、架台67とモータケーシング4とを接続部材によって接続すると、バックプルアウトの前に、この接続部材を取り外さなければならず作業手順が増える。本実施形態では、ステイ100は、モータ3Bのバックプルアウトに影響を及ぼさない部材、すなわち、給水装置1の固定側の構成要素(本実施形態では、吐出し配管23B)に接続されている。したがって、作業者は、ステイ100によって架台67を支持した状態で、モータ3Bを引き抜くことができる。
本実施形態で、脚部66は、架台67およびベース60に着脱可能に取り付けられている。具体的には、脚部66は、締結具121にて架台67およびベース60に取り付けられている。ここで、矢印Y2の方向に障害物がありモータ3Bを図37に示す矢印Y1方向に引き抜くとき、作業者は、モータ3Bの後方(矢印Y1側)からアクセスして、締結具120を取り外す。本実施形態では、このとき、支持部材65の脚部66は、作業者による締結具120へのアクセスを阻害する位置に配置されている。そこで、本実施形態で、作業者は、締結具121を緩めて、脚部66を架台67およびベース60から取り外した状態で、締結具120を取り外すことができる。
仮に、ステイ100が設けられていない場合、架台67は脚部66によってのみ支持されているため、脚部66を取り外すとともに架台67を取り外さなければならない。このような作業は、特に、メンテナンスするポンプ以外のポンプを運転しながらメンテナンスする場合に制御盤10を取り外して仮置きする作業や場所が必要になるため、非常に煩雑である。本実施形態では、架台67は、支持部材65のみならず、ステイ100によっても支持されている。したがって、締結具120の取り外し作業等の短時間であれば、脚部66を取り外しても、架台67はステイ100によって支持される。結果として、作業者は、脚部66を取り外した状態で、締結具120の取り外し作業を容易に行うことができる。
本実施形態では、以下のステップにて、ポンプ2Bならびにモータ3Bのメンテナンスを行うことができる。以下のステップは、ポンプ2Aにて給水は確保しつつ、メンテナンスするポンプ2Bを停止してモータ3Bの電気的な配線を外した状態で開始する。
(ステップ1)脚部66(支持部材)を取り外す(図38参照)。ここで、制御盤10は、ステイ100にて支持された架台67に載置されたままである。また、制御盤10は、ポンプ2Aでの給水制御を継続する。
(ステップ2)ポンプ2Bのポンプケーシング21とモータケーシング4Bとを接続する複数の締結具120をすべて取り外す。つまり、モータ3Bとポンプケーシング21の締結を解除する。ここで、図38のように、ステップ1で脚部66(支持部材)を取り外すことで、モータ3Aとモータ3B間に作業スペースが確保され、締結具120の取り外しが容易となる。
(ステップ3)ポンプ2Bのポンプケーシング21の吐出し口は配管接続されたまま、モータ3Bとモータ3Bの軸に接続された羽根車20を取り外す(バックプルアウト)。これにより、運転中に高圧となるポンプケーシング21の吐出し口の配管接続作業の工程を減らすことができる。
(ステップ4)取り外したモータ3Bと羽根車20をメンテナンスする。
(ステップ5)メンテナンスしたモータ3Bと羽根車20をポンプ2Bのポンプケーシング21に取り付ける。ポンプケーシング21とモータケーシング4Bとを接続する複数の締結具120を締結する。
(ステップ6)脚部66(支持部材)を取りつける。
その後、モータ3Bの電気的な配線を行い、ポンプ3Bが再度運転できる状態となる。
このように、本実施形態では、ステップ1からステップ6において、制御盤10を移動することなくメンテナンスができるので、ポンプ2Aにて給水を継続しながら、ポンプ2Bの羽根車20ならびにモータ3Bのメンテナンスや交換を行うことが容易となる。
(変形例)
図39は、ステイを複数設けた給水装置を示す一例である。給水装置100は、複数のステイ100(ステイ100A,100B)を設けることにより、架台67をより強固に補強することができる。例えば、複数のステイ100A,100Bを架台67の両外縁部67cに設けることにより、次のような効果を奏することができる。
作業者は、制御盤10に設けられた運転パネル12を操作する。運転パネル12のボタンは、架台67上の、脚部66よりも外側(図17参照)を含む位置に載置されているため、作業者が運転パネル12に設けられたボタンを押すと、架台67の運転パネル12側に、ボタンの押し込みに起因する力F1が作用し、それに伴い、架台67の運転パネル12と反対側には力F2が作用する。結果として、架台67や支持部材65の脚部66には、ねじりモーメントが作用し、操作時にぐらついたり、最悪の場合は変形するおそれがある。本変形例の吐出し配管23Aおよび吐出し配管23Bのそれぞれに設けられ、架台67の両端部67cにて補強する複数のステイ100A、100Bは、架台67や脚部66に作用するねじりモーメントを抑制することができる。このように、架台67に複数のステイ100を設けることにより、架台67にかかる偏った方向の力に対する給水装置1の全体の剛性を向上させることができる。なお、2個のステイ100A、100Bに限らず、3個以上でもよい。
このように、ステイ100を設けることにより、架台67の振動を防止するという効果のみならず、モータ3のメンテナンス(すなわち、バックプルアウト)を容易に行うという効果も奏することができる。さらに、架台67をステイ100で支持することにより、架台67の強度を増加することができるため、運転パネル12の操作により、架台67に力が掛かっても、架台67が撓んだり、折れ曲がったりするおそれはない。なお、上述の実施形態ではインバータ5にて可変速制御を行う給水装置にて説明したが、ステイ100は、架台67に載置された制御盤10にてポンプ2が制御される給水装置であれば同様の効果を奏し、インバータ5は有しなくてもよい。
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。