JP2021014661A - 下肢用着圧サポーター - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、この場合、脹脛部にかかる着圧力よりも、脹脛部よりも硬い脛部にかかる着圧力が大きくなる。そのため、下腿の疲労等の解消に寄与する脹脛部にかかる着圧力を所望の大きさにしようとすると、下腿全体の着圧力が大きくなってしまい、装着時に足先に流れる血流量の低下を招き、ひいては足先の冷えを招いてしまう。また特許文献2のような非装着時における全周長に対する前者の生地が周方向に占める割合が80%程度の着圧ハイソックスでは、装着時に足先に流れる血流量の低下に起因する足先の冷えを招いてしまう(本願の図6におけるサンプルCを参照)。
したがって、本発明は、下肢に装着して用いられ、装着時に前記下肢の脹脛部における長手方向の全長に亘って延在して前記下肢の全周回をサポートする下肢用着圧サポーターであって、装着時に前記脹脛部における長手方向の全長に当接する後面サポート部と、前記後面サポート部の周方向における一方の端部と前記後面サポート部の周方向における他方の端部とを繋ぎ、装着時に前記下肢の脛部における長手方向の全長に当接する前面サポート部と、を有し、前記後面サポート部は、前記前面サポート部よりも伸縮性が低く、非装着時に、全周長に対する前記後面サポート部の周方向における長さの割合が、前記後面サポート部の長手方向におけるいずれの位置においても50%以上70%以下である、下肢用着圧サポーターに関する。
本実施形態に係る下肢用着圧サポーター100(図1参照)の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素がひとつづきに編成された生地で形成されていること、一つの構成要素が別に編成された生地で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
また、以下の説明において、上下、左右、前後とは、下肢用着圧サポーター100を装着したヒトが起立している状態を基準として当該ヒトから見た方向を指す。
周方向とは、特に断りがない限り、下腿30においては下腿30の軸心を中心とする外周の周方向を指し、足40においては足40の長手方向(踵部42から足先44に向けた方向)を中心とする外周の周方向を指す(図1参照)。
実使用時の数値で特定される着圧力は、特に断りがない限り、下腿最大周囲長が33cm以上37cm以下である5人以上の日本人女性被験者(下肢の数は10以上)のそれぞれが下肢用着圧サポーター100を装着し、各被験者における下肢10の表面で測定された圧力の平均値によって定まる。当該着圧力の測定方法については、図4を用いて後述する。なお、以降の説明では、当該着圧力を「実使用時の着圧力」と定義する。
さらに、特に断りがない限り、モデル使用時の着圧力の高低および数値で特定される着圧力は、(株)七彩製の日本人女性の平均的人体寸法ダミー(20代女性パンティストッキング検品ボディMサイズ対応硬質(MPS−20))に下肢用着圧サポーター100を装着させ、当該ダミーの表面(特に、後述する前端または後端)で測定された圧力によっても説明することができる。当該着圧力の測定方法は特に限定されないが、本実施形態では、後述する(株)エイエムアイ・テクノ社製エアパック式接触圧測定器を用いている。なお、以降の説明では、当該着圧力を「モデル使用時の着圧力」と定義し、特段の説明がない限り、本発明における着圧力とは、このモデル使用時の着圧力を指す。
まず、図1および図2を用いて、本実施形態に係る下肢用着圧サポーター100を説明する。図1は、下肢用着圧サポーター100を下肢10に装着した状態を横から見た側面図であり、図2は、非装着状態における下肢用着圧サポーター100を示す図である。
図1に示す通り、本実施形態に係る下肢用着圧サポーター100は、下肢10に装着される。下肢10は、ヒトの下肢(脚)を指し、下肢10は、上から順に、大腿20、下腿30、足40で構成される。
下肢用着圧サポーター100は、装着時に、下腿30の上端から足40の足背41の遠位側の端部まで延在し、当該範囲において周方向の全周回をサポートする。
さらに、詳細については図2および図3を用いて後述するが、下肢用着圧サポーター100では、後面サポート部110が、前面サポート部120を構成する生地よりも伸縮性が低い生地で構成されている。そのため、下肢用着圧サポーター100の装着時において、脹脛部31が下肢用着圧サポーター100から受ける実使用時の着圧力と脛部32が下肢用着圧サポーター100から受ける実使用時の着圧力との差(以下、単に、実使用時の着圧力の前後差と表現する場合がある)が低減される。
このような伸縮性の違いを実現する方法としては、本実施形態における方法に限らない。例えば、後面サポート部110の編み方に、前面サポート部120の編み方(リブ編み等)よりも伸縮性が低くなる編み方(タック編み等)を採用することもできる。さらに、編み上げた後に後面サポート部110の伸縮性を低下させるために樹脂を含侵させる方法や、後面サポート部110にパワーネット等の伸縮性の低い生地を張り付ける方法を採用することもできる。すなわち、後面サポート部110を前面サポート部120よりも低い伸縮性とするにあたっては、本実施形態における方法に限らず、伸縮性を異ならせる公知の方法であればいずれの方法を採用してもよいし、公知の方法を複数の方法を組み合わせてもよい。これは、後面サポート部110と前面サポート部120との伸縮性の違いを出す場合に限らず、本実施形態において伸縮性を異ならせる場合のいずれにおいても同様である。
これにより、下腿30の疲労を改善しつつも、装着時における足先44の冷えを抑制することができる。
なお、非装着時における後面サポート部110の周方向の最長長さを、非装着時における後面サポート部110の周方向の最短長さの1.2倍以内とし、かつ非装着時の周方向における前面サポート部120の面積と非装着時の周方向における後面サポート部110の面積との合計面積に対して非装着時の周方向における後面サポート部110の面積が占める割合(以下、単に、周方向における後面サポート部110の面積割合と表現する場合がある)が、30%以上90%以下とする後述の下肢用着圧サポーター100においても、当該効果を奏する。
これにより、下腿30の疲労を改善しつつも、足先44の冷えを低減することができる。特に、当該着圧力が、15hPa以上25hPa以下となれば、装着時の圧迫感を低減しつつも、疲労回復の効果を高めることができる。
なお、非装着時における後面サポート部110の周方向の最長長さを、非装着時における後面サポート部110の周方向の最短長さの1.2倍以内とし、かつ非装着時の周方向における後面サポート部110の面積割合が、30%以上90%以下とする後述の下肢用着圧サポーター100においても、当該効果を奏する。
なお、下腿30の全周長が最長となる高さにおいて、当該モデル使用時の着圧力に前後差が生じているのは、ヒトの下肢に装着した場合よりも、上述の(株)七彩製の日本人女性の平均的人体寸法ダミーの脹脛部における反発力が大きいことによる。
これにより、脹脛部31の上端から足首部33の下端までの中で最も細くなる足首部33に係る実使用時の着圧力を低減し、足先44に流れる血流量の低下を抑えて足先44の冷えを低減することができる。また、当該着圧力が、15hPa以上25hPa以下であれば、装着時の圧迫感を低減することができ、長時間に亘って装着した際のしびれや痛みなどを感じさせることなく快適な装着感を与えることができる。
なお、当該効果は、非装着時における後面サポート部110の周方向の最長長さを、非装着時における後面サポート部110の周方向の最短長さの1.2倍以内とし、かつ非装着時の周方向における後面サポート部110の面積割合が、30%以上90%以下とする後述の下肢用着圧サポーター100においても奏する。
なお、足首部33において、当該モデル使用時の着圧力に前後差が生じているのは、ヒトの下肢に装着した場合よりも、上述の(株)七彩製の日本人女性の平均的人体寸法ダミーの足首部における後端側の反発力が大きいことによる。
特に、上アンカー部130は、上アンカー本体131を有するとともに、上アンカー本体131と後面サポート部110の上端および前面サポート部120の上端とを繋ぎ、上アンカー本体131の周方向の幅よりも細幅となる上アンカー接続部132を有する。そして、本実施形態では、上アンカー接続部132を、上アンカー本体131よりも伸縮性を高くしている。
これにより、後面サポート部110および前面サポート部120の装着時における伸縮を、上アンカー本体131によって阻害され難くし、下肢用着圧サポーター100の実使用時における着圧力の前後差を低減する効果を高めることができる。
これにより、本実施形態では、下肢用着圧サポーター100の装着時に足先44が露出する。そのため、下肢用着圧サポーター100を装着した際に足先44が圧迫されずに、冷え等の不快感が低減されつつも、開放感やリラックス感を与えることができる。さらには、装着者に対して足先44の冷え低減されていることを実感させ易くすることができる。なお、下肢用着圧サポーター100は、装着時に足先44が露出しないように構成されていてもよいが、装着時に足先44が露出するように構成されていることが好ましい。
図2に示す下肢用着圧サポーター100において、下肢用着圧サポーター100の全周長(長さLb×2+長さLf×2)に対する後面サポート部110の周方向における長さ(長さLb×2)の割合(以下、単に、周方向における後面サポート部110の長さ割合と表現する場合がある)は、後面サポート部110の長手方向におけるいずれの位置においても65%となっている。これにより、下肢用着圧サポーター100の実使用時における着圧力の前後差が低減される。なお、当該着圧差が低減される理由については、図3を用いて後述する。
また、当該効果を奏するにあたっては、非装着時の周方向における後面サポート部110の面積割合が、50%以上70%以下であればよい。特に、同割合の下限は50%を超えていることが好ましく、同割合の上限は65%以下であることが好ましい。ここで、当該面積割合、すなわち、下肢用着圧サポーター100の全周長に対する後面サポート部110の周方向における長さの割合は、下肢用着圧サポーター100の長手方向における単位長さ当りの面積に対する後面サポート部110の長手方向における単位長さ当りの面積の割合と同義である。
さらに、当該効果を奏するにあたり、後面サポート部110については、長手方向に沿って連続的に形成されていることを要する。ただし、前面サポート部120については、長手方向に沿って連続的に形成されていることが好ましいが、必ずしも長手方向に沿って連続的に形成されている必要はなく、前面サポート部120の一部に孔が空いている等、前面サポート部120の一部が連続的に形成されていなくてもよい。なお、本実施形態において連続的に形成されるとは、形成される主体に隙間や開口がなく、当該主体が被覆する対象を全面被覆することを指す。
これにより、脹脛部31の長手方向の長さの個人差によらず、下肢用着圧サポーター100に係る実使用時の着圧力の前後差を低減する効果を奏し易くすることができる。さらに、脹脛部31に対する長手方向の当該着圧力の変化を滑らかにし、下肢用着圧サポーター100の装着感を良くすることができる。
なお、当該効果を奏するにあたっては、非装着時における後面サポート部110の周方向の最長長さが、非装着時における後面サポート部110の周方向の最短長さの1.2倍以内(より好ましくは、1.1倍以内)であればよい。
そして、当該構成を採用した場合には、非装着時の周方向における後面サポート部110の割合が、必ずしも50%以上70%以下である必要はなく、当該割合が、30%以上90%以下(より好ましくは、50%以上80%以下)であればよい。このようにしても下肢用着圧サポーター100に係る実使用時の着圧力の前後差を低減することができる。
これにより、装着時に、後面サポート部110および前面サポート部120の双方が上方に向かって非装着時よりも真っすぐに近くなるため、下肢用着圧サポーター100の下腿30に対するアンカー性を高めることができる。
なお、当該効果は、非装着時における後面サポート部110の周方向の最長長さを、非装着時における後面サポート部110の周方向の最短長さの1.2倍以内とし、かつ非装着時の周方向における後面サポート部110の割合が、30%以上90%以下とする上述の下肢用着圧サポーター100においても奏する。
そして、足首部33の上端から脹脛部31の上端に向けて実使用時の着圧力を段階的に低くするにあたり、後面サポート部110のうちの領域111から繋がる領域を、上方に向けて伸縮性が段階的に高くなるように構成している。
特に、後面サポート部110は、領域111から繋がる領域(図2に示す領域112)における伸縮性の変化率が、領域112から繋がる領域(図2に示す領域113)における伸縮性の変化率よりも大きくなるように構成されている。なお、図2に示す通り、領域112における長手方向の長さは、領域113における長手方向の長さよりも長い。
次に、図3を用いて、実使用時の着圧力の前後差が低減される理由を説明する。以下の説明では、着圧力の関係性を分かり易くするため、上述した(株)七彩製の日本人女性の平均的人体寸法ダミーを用いずに、後述する円柱200を用いている。図3は、下肢用着圧サポーター100を装着した円柱200を、後面サポート部110における長手方向の所定の位置で切断した断面を模式的に示す図である。なお、実使用時の着圧力の前後差が低減される理由の説明における着圧力とは、特段の説明がない限り、下肢用着圧サポーター100を円柱200に装着した場合における着圧力を指す。
まず、装着時に下肢用着圧サポーター100が円柱200の表面に与える周方向の着圧力は、前後方向および左右方向の双方で釣り合っている。そして、後面サポート部110は、前面サポート部120よりも伸縮性が低い生地で構成されている。そのため、装着時に後面サポート部110が円柱200の表面に与える着圧力は、装着時に前面サポート部120が円柱200の表面に与える着圧力よりも大きくなる。
より具体的には、図3に示す通り、例えば、位置P1において後面サポート部110が円柱200の表面に着与える着圧力F1の左右方向成分であるF1xは、位置P1と前後方向の位置が一致する位置P2において後面サポート部110が円柱200の表面に与える着圧力F2の左右方向成分であるF2xと同等となる。一方、F1xは、位置P1と左右方向の位置が一致する位置P4において前面サポート部120が円柱200の表面に与える着圧力F4の左右方向の成分であるF4xよりも大きくなる。同様に、F2xは、位置P2と左右方向の位置が一致する位置P5において前面サポート部120が円柱200の表面に与える着圧力F5の左右方向成分であるF5xよりも大きくなる。
すなわち、後面サポート部110が円柱200の表面に与える着圧力と前面サポート部120が円柱200の表面に与える着圧力との差は、主に、着圧力の左右方向の差で実現される。
そして、脹脛部31は脛部32よりも柔らかく、下肢用着圧サポーター100を下腿30に装着した場合に、脹脛部31は後面サポート部110から受ける力を吸収する。
そのため、下肢用着圧サポーター100の装着時における着圧力の前後差、すなわち、脹脛部31が下肢用着圧サポーター100から受ける着圧力と脛部32が下肢用着圧サポーター100から受ける着圧力との差が低減される。
なお、後面サポート部110の周方向における幅の中心である位置P3において後面サポート部110が円柱200の表面に与える着圧力F3についても、同様に、位置P3と左右方向の位置が一致する位置P6(前面サポート部120の周方向における幅の中心)において前面サポート部120が円柱200の表面に与える着圧力F6よりも大きくなる。
同様に、前面サポート部120の周方向のいずれの位置(例えば、位置P4〜位置P6)であっても、各位置における着圧力(例えば、着圧力F4〜着圧力F6)は互いに相関関係がある。そのため、下肢用着圧サポーター100の装着時における前面サポート部120の着圧力を評価するにあたっても、いずれの位置で着圧力を測定してもよいが、着圧力F6は左右方向成分を持たないため、位置P6が好適である。
なお、各サポート部における着圧力を測定するにあたっては、複数の位置で測定した結果の平均値を導出するようにしてもよく、この場合にも、複数の位置に位置P3または位置P6が含まれることが好ましい。
なお、本実施例における着圧力の測定には、各測定箇所において、測定対象面(本実施例では、被験者の下腿表面)と下肢用着圧サポーター100との間に0.15mlのエアが注入された直径20mmのエアパックを挟み込み、装着後のエアパック内におけるエアの容量に基づいて着圧力を推定する、(株)エイエムアイ・テクノ製エアパック式接触圧測定器を用いた。
また、本実施例では、被験者を椅子に座らせた上で両膝を正面に向けて足裏を床につけ、かつ膝の角度を90度にした状態で着圧力を測定している。
なお、図5(a)〜図5(c)において、脹脛と記載された着圧力のうち網掛けなしで示される着圧力は、下腿30の全周長が最長となる高さにおける上記前端で測定された着圧力であり、脹脛と記載された着圧力のうち網掛けで示される着圧力は、同高さにおける、上記後端で測定された着圧力である。さらに、足首と記載された着圧力のうち網掛けなしで示される着圧力は、足首部33における上記前端で測定された着圧力であり、足首と記載された着圧力のうち網掛けで示される着圧力は、足首部33における上記後端で測定された着圧力である。
ただし、図5(a)および図5(b)に示される通り、上記割合を50%または65%とし場合において脹脛と記載した箇所の着圧力は、15hPa以上25hpa以下の範囲に収まっているが、図5(c)に示される通り、上記割合を80%とした場合において脹脛と記載した箇所の着圧力は、当該範囲から外れている。
これにより、下肢用着圧サポーター100において、非装着時の周方向における後面サポート部110の割合を50%以上70%以下とすることが好適である点が確認された。
本実施例では、モデル負荷直後を基準とした回復行為の終了直後における足先44の皮膚温の変化量(以下、足先皮膚温変化量)、およびモデル負荷前を基準とした回復行為の終了直後における足底屈筋力の変化量(以下、足底屈筋力変化量)を測定した。なお、足底屈筋力とは、座位で下肢を伸ばした状態(長座位)において足先を足底(足の裏)の方向へ曲げる力を指す。また、未処理の場合を除き、これらの測定は、装着した着圧サポーターを外して行っている。
さらに、本実施例では、各対象品の装着感に係る官能評価も行った。
まず、図6に示される通り、未処理の場合には、足先皮膚温変化量がマイナス0.25℃となっている。そして、回復行為においてサンプルAを装着した場合には、足先皮膚温変化量がマイナス0.3℃となっている。さらに、回復行為においてサンプルBを装着した場合には同変化量が略0の値となっている。すなわち、これらの場合には、足先皮膚温変化量が、マイナス0.5℃以上0℃以下の範囲の値となっている。これにより、回復行為において、サンプルAまたはサンプルBを装着した場合には、足先への血流が阻害され難く、足先の冷えの発生を抑制できていることが分かる。
一方、回復行為においてサンプルCを装着した場合には、足先皮膚温変化両がマイナス1.1℃となっている。さらに、回復行為において従来品を装着した場合には、足先皮膚温変化量がマイナス1.75℃となっている。すなわち、これらの場合には、足先皮膚温変化量が、マイナス2℃以上マイナス1℃以下の範囲の値となっている。これにより、回復行為においてサンプルCまたは従来品を装着した場合には、未処理の場合と比較して足先の冷えが顕著になっていることが分かる。これは、装着した着圧サポーターによる下腿への着圧力が大きく、足先への血流が阻害されたためと考えられる。
以上のことから、足先への血流量が阻害され難くする観点においては、非装着時の周方向における後面サポート部110の割合を50%以上70%以下とすることが好適である点が確認された。
さらに、同割合が50%から65%となる方向に向かって足先皮膚温変化量が小さくなり、かつ同割合が80%から65%となる方向に向かってどう変化量が小さくなる傾向にある。これにより、同割合の下限が50%を超えていることがより好適である点、および当該割合の上限が65%以下であることがより好適である点が確認された。
図7に示す通り、未処理の場合には、足底屈筋力変化量がマイナスの値となっている。これは、回復行為において従来品を装着した場合も同様である。すなわち、回復行為において従来品を装着した場合には、下腿の疲労が回復していないことが分かる。
一方、回復行為においてサンプルA〜サンプルCのいずれかを装着した場合には、足底屈筋力変化量がプラスの値となっている。すなわち、回復行為においてサンプルA〜サンプルCのいずれかを装着した場合には、下腿の疲労が回復していることが分かる。
これにより、回復行為においてサンプルAまたはサンプルBを装着した場合において、下腿の疲労が回復していることが確認された。
なお、図示は省略するが、モデル負荷直後を基準とした回復行為の終了直後における下腿30の体積の変化量は、サンプルA〜サンプルCのいずれにおいてもマイナス値となった。すなわち、回復行為においてサンプルA〜サンプルCのいずれを装着した場合であっても下腿の浮腫みが改善された。
図8に示される通り、フィット性に関しては、いずれの対象品においても略同等の官能評価値となっている。
一方、フィット性を除く官能評価値については、いずれの項目においても、サンプルAおよびサンプルBのそれぞれが、サンプルCおよび従来品の双方を上回っている。
以上のことから、官能評価の観点においても、非装着時の周方向における後面サポート部110の割合を50%以上70%以下とすることが好適である点が確認された。
本実施例における着圧力の測定には、実施例1における測定方法と同様に、(株)エイエムアイ・テクノ社製エアパック式接触圧測定器を用いた。さらに、測定箇所についても、実施例1と同様に、上記ダミーにおける下腿の全周長が最長となる高さにおける前端および後端の2カ所に、当該ダミーにおける下腿の足首部における前端および後端の2カ所を加えた4カ所において着圧力を測定した。
一方、非装着時の周方向における後面サポート部110の割合が80%となるサンプルCを装着した場合における脹脛部の前端にかかる着圧力は、10hPa以上30hPa以下の範囲に収まっていない。同様に、サンプルCを装着した場合における脹脛部の後端に係る着圧力も、15hPa以上35hPa以下の範囲に収まっていない。
以上のことから、非装着時の周方向における後面サポート部110の割合を50%以上70%以下とした下肢用着圧サポーター100のモデル使用時の着圧力のうちの脹脛部の前端にかかる着圧力が、10hPa以上30hPa以下の範囲に収まり、かつ当該モデル使用時の着圧力のうちの脹脛部の後端にかかる着圧力が、15hPa以上35hPa以下の範囲に収まることが確認された。
さらに、サンプルBを装着した場合における脹脛部の前端にかかる着圧力が、上述の21hPa以上24hPa以下の範囲に収まることも確認された。同様に、サンプルBを装着した場合における脹脛部の後端にかかる着圧力が、上述の29hPa以上33hPa以下の範囲に収まることも確認された。
一方、サンプルCを装着した場合における足首部の前端にかかる着圧力は、5hPa以上12hPa以下の範囲に収まっていない。同様に、サンプルCを装着した場合における足首部の後端に係る着圧力も、10hPa以上20hPa以下の範囲に収まっていない。
以上のことから、非装着時の周方向における後面サポート部110の割合を50%以上70%以下とした下肢用着圧サポーター100のモデル使用時の着圧力のうちの足首部の前端にかかる着圧力が、5hPa以上12hPa以下の範囲に収まり、かつ当該モデル使用時の着圧力のうちの足首部の後端にかかる着圧力が、10hPa以上20hPa以下の範囲に収まることが確認された。
さらに、サンプルBを装着した場合における足首部の前端にかかる着圧力、およびサンプルBを装着した場合における同着圧力が、上述の7hPa以上10hPa以下の範囲に収まることも確認された。また、サンプルBを装着した場合における足首部の後端にかかる着圧力が、上述の15hPa以上18hPa以下の範囲に収まることも確認された。
20 大腿
30 下腿
31 脹脛部
32 脛部
33 足首部
40 足
41 足背
42 踵部
43 足蹠
44 足先
100 下肢用着圧サポーター
110 後面サポート部
111 領域
112 領域
113 領域
120 前面サポート部
121 低伸縮性領域
130 上アンカー部
131 上アンカー本体
132 上アンカー接続部
140 踵サポート部
150 下アンカー部
160 下アンカー接続部
200 円柱
Lf 長さ
Lb 長さ
P1 位置
P2 位置
P3 位置
P4 位置
P5 位置
P6 位置
M1 測定箇所
M2 測定箇所
M3 測定箇所
M4 測定箇所
F1 着圧力
F1x 力
F1y 力
F2 着圧力
F2x 力
F2y 力
F3 着圧力
F4 着圧力
F4x 力
F4y 力
F5 着圧力
F5x 力
F5y 力
F6 着圧力
Claims (6)
- 下肢に装着して用いられ、装着時に前記下肢の脹脛部における長手方向の全長に亘って延在して前記下肢の全周回をサポートする下肢用着圧サポーターであって、
装着時に前記脹脛部における長手方向の全長に当接する後面サポート部と、
前記後面サポート部の周方向における一方の端部と前記後面サポート部の周方向における他方の端部とを繋ぎ、装着時に前記下肢の脛部における長手方向の全長に当接する前面サポート部と、を有し、
前記後面サポート部は、前記前面サポート部よりも伸縮性が低く、
非装着時に、全周長に対する前記後面サポート部の周方向における長さの割合が、前記後面サポート部の長手方向におけるいずれの位置においても50%以上70%以下である、
下肢用着圧サポーター。 - 非装着時における前記後面サポート部の周方向の最長長さが、非装着時における前記後面サポート部の周方向の最短長さの1.2倍以内である、
請求項1に記載の下肢用着圧サポーター。 - 前記後面サポート部および前記前面サポート部は、さらに、装着時に前記脹脛部の下端から前記下肢の足首部の手前まで延在して前記下肢に当接し、
前記後面サポート部および前記前面サポート部が、長手方向に対して垂直に切断した断面席が一定となる円柱に対して装着した場合における前記足首部の上端から前記脹脛部の上端に向けて着圧力が段階的に低くなるように構成された、
請求項1又は2に記載の下肢用着圧サポーター。 - 装着時に前記下肢の下腿における全周長が最長となる位置で前記脹脛部の後端部にかかる着圧力が、15hPa以上35hPa以下である、
請求項3に記載の下肢用着圧サポーター。 - 前記後面サポート部および前記前面サポート部は、さらに、前記足首部の下端まで延在して前記下肢に当接し、
装着時に前記足首部の後端部にかかる着圧力が、10hPa以上20hPa以下である、
請求項4に記載の下肢用着圧サポーター。 - 前記後面サポート部の長手方向に沿ったセンターラインおよび前記前面サポート部の長手方向に沿ったセンターラインで折り畳まれた非装着時の状態において、前記後面サポート部および前記前面サポート部の双方が、上方に向かって後方に湾曲している、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の下肢用着圧サポーター。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019130916A JP2021014661A (ja) | 2019-07-16 | 2019-07-16 | 下肢用着圧サポーター |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019130916A JP2021014661A (ja) | 2019-07-16 | 2019-07-16 | 下肢用着圧サポーター |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021014661A true JP2021014661A (ja) | 2021-02-12 |
Family
ID=74530417
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019130916A Pending JP2021014661A (ja) | 2019-07-16 | 2019-07-16 | 下肢用着圧サポーター |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021014661A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2024034664A1 (ja) * | 2022-08-10 | 2024-02-15 | 岡本株式会社 | 足装着具 |
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-
2019
- 2019-07-16 JP JP2019130916A patent/JP2021014661A/ja active Pending
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