JP2021091896A - ポリエチレン樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
セパレータとは、電池内部において正極と負極とを分離し、イオンのみを透過させることを主目的として使用される多孔質の膜である。
前記セパレータのその他の用途としては、電池に実用上十分な強度を確保するための電池の構成部材としての用途や、電池内部が高温化した際に電池反応の暴走を防止するためのシャットダウン(以下、「ヒューズ」ともいう。)機能を行う部材としての用途等が挙げられる。
セパレータ原料としてのポリエチレンが、高い分子量を有し、かつ高い密度を有する理由は、セパレータの強度を確保するためである。
セパレータ原料としてのポリエチレンが、パウダー状の形態である理由は、高い分子量により加工性が悪いことに起因して、ペレット化が困難であるためであり、さらにはパウダー状の形態の方が加工性により優れているためである。
一般的に、微多孔膜等の製造工程には、延伸工程が含まれる。そして、通常、延伸工程の後に、延伸後の熱収縮、及び使用環境下での熱収縮を抑制するために、分子配向を緩和するためのアニール(以下、「熱固定」と記載する場合がある。)工程が行われる。かかる熱固定の工程では、低温でも分子運動しやすい成分(以下、「非晶性成分」と記載する場合がある。)が分子運動することにより、分子配向の緩和が行われる。
しかしながら、結晶化度の高い高密度ポリエチレンは、前記非晶性成分の割合が少ないため、熱固定の工程を実施しても分子配向の緩和が十分に行われないことがあり、微多孔膜の厚み等が熱収縮等により安定しないおそれがある、という問題点を有している。
かかる問題点を解決するための方法として、ポリエチレンの平均分子量と分子量分布とを適切に調整することにより、機械強度に優れる成形体を得、かつ優れた溶解性又は溶融性を確保して加工性を向上させる方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。また、同様の問題点を解決するための方法として、ポリエチレンパウダーの加工条件(溶媒の使用量、混練温度、混練トルク等)を制御する方法も知られている(例えば、特許文献3参照)。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
重量平均分子量(Mw)が100,000以上1,000,000以下であり、
分子量分布(Mw/Mn)が2以上18以下であるポリエチレン樹脂組成物であって、
下記(条件1)中の「ポリエチレン樹脂組成物の温度上昇遊離分別条件」に従い温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分の、o−ジクロロベンゼンを溶媒として用いた溶液において、下記(条件1)の「抽出成分のCFC測定条件」に従いクロス分別クロマトグラフィー測定した際に、
40℃以上90℃未満の積分溶出量が、全溶出量の10質量%以上70質量%未満であり、
90℃以上95℃以下の積分溶出量が、全溶出量の10質量%以上であり、
最高溶出量になる温度が88℃以上100℃以下である、
ポリエチレン樹脂組成物。
(条件1)
「ポリエチレン樹脂組成物の温度上昇遊離分別条件」
(1)溶媒;トルエン
(2)ソックスレー抽出時間;6時間
(3)トルエン溶媒に抽出した抽出成分の採取方法;トルエン溶媒中にメタノールを投
入して再沈殿を行い、吸引ろ過にて抽出成分を得る。
「抽出成分のCFC測定条件」
(1)抽出成分のo−ジクロロベンゼン溶液を140℃にて120分間保持する。
(2)抽出成分のo−ジクロロベンゼン溶液を0.5℃/分で40℃まで降温した後、 20分間保持する。
(3)下記(a)〜(d)に示す温度プログラムにて、カラムの温度を速度20℃/分 で昇温する。各到達温度で21分間その温度を保持する。
(a)40℃から60℃まで、10℃間隔で昇温する。
(b)60℃から69℃まで、3℃間隔で昇温する。
(c)69℃から100℃まで、1℃間隔で昇温する。
(d)100℃から120℃まで、10℃間隔で昇温する。
〔2〕
前記ポリエチレン樹脂組成物を、前記(条件1)中の「ポリエチレン樹脂組成物の温度上昇遊離分別条件」に従い温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分を、13C−NMR測定した際のコモノマー含有量が0.01モル%以上5モル%以下である、前記〔1〕に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔3〕
前記ポリエチレン樹脂組成物を、前記(条件1)中の「ポリエチレン樹脂組成物の温度上昇遊離分別条件」に従い温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分の融点が、125℃以上135℃以下である、前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔4〕
前記ポリエチレン樹脂組成物を、前記(条件1)中の「ポリエチレン樹脂組成物の温度上昇遊離分別条件」に従い温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分のラメラ厚が、6nm以上14nm以下である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔5〕
前記ポリエチレン樹脂組成物を、前記(条件1)中の「ポリエチレン樹脂組成物の温度
上昇遊離分別条件」に従い温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分のラメラ厚が、
10nm以上14nm以下である、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔6〕
前記ポリエチレン樹脂組成物を、前記(条件1)中の「ポリエチレン樹脂組成物の温度上昇遊離分別条件」に従い温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分の重量平均分子量(Mw)が、20,000以上350,000以下であり、分子量分布(Mw/Mn)が2以上14以下である、前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔7〕
前記ポリエチレン樹脂組成物を、前記(条件1)中の「ポリエチレン樹脂組成物の温度上昇遊離分別条件」に従い温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分の、о−ジクロロベンゼンを溶媒として用いた溶液において、前記(条件1)の「抽出成分のCFC測定条件」に従いCFC測定した際に、
積分溶出量が全溶出量の10質量%に到達する温度が70℃以上90℃以下である、前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔8〕
前記ポリエチレン樹脂組成物を、前記(条件1)中の「ポリエチレン樹脂組成物の温度上昇遊離分別条件」に従い温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分のTi含有量が5ppm以下である、前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔9〕
前記ポリエチレン樹脂組成物を、前記(条件1)中の「ポリエチレン樹脂組成物の温度上昇遊離分別条件」に従い温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分のAl含有量が10ppm以下である、前記〔1〕乃至〔8〕のいずれか一に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔10〕
前記ポリエチレン樹脂組成物のo−ジクロロベンゼンを溶媒として用いた溶液において、下記(条件2)の条件に従いCFC測定した際に、
40℃以上95℃未満の積分溶出量が、全溶出量の15質量%以上70質量%以下であり、
95℃以上105℃以下の積分溶出量が、全溶出量の15質量%以上であり、
少なくとも2つ以上の溶出ピークを有し、最高溶出量になる温度が88℃以上100℃以下である、
前記〔1〕乃至〔9〕のいずれか一に記載のポリエチレン樹脂組成物。
(条件2)
(1)前記ポリエチレン樹脂組成物のo−ジクロロベンゼン溶液を140℃にて120分間保持する。
(2)前記ポリエチレン樹脂組成物のo−ジクロロベンゼン溶液を0.5℃/分で40℃まで降温した後、20分間保持する。
(3)下記(a)〜(e)に示す温度プログラムにて、カラムの温度を速度20℃/分で昇温する。各到達温度で21分間その温度を保持する。
(a)40℃から60℃まで、10℃間隔で昇温する。
(b)60℃から75℃まで、5℃間隔で昇温する。
(c)75℃から90℃まで、3℃間隔で昇温する。
(d)90℃から110℃まで、1℃間隔で昇温する。
(e)110℃から120℃まで、5℃間隔で昇温する。
〔11〕
前記ポリエチレン樹脂組成物のTi含有量が5ppm以下である、前記〔1〕乃至〔10〕のいずれか一に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔12〕
前記ポリエチレン樹脂組成物のAl含有量が10ppm以下である、前記〔1〕乃至〔11〕のいずれか一に記載のポリエチレン樹脂組成物。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物は、
重量平均分子量(Mw)が100,000以上1,000,000以下であり、分子量分布(Mw/Mn)が2.0以上18.0以下であるポリエチレン樹脂組成物であって、下記(条件1)中の「ポリエチレン樹脂組成物の温度上昇遊離分別条件」に従い温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分の、o−ジクロロベンゼンを溶媒として用いた溶液において、下記(条件1)の「抽出成分のCFC測定条件」に従い、クロス分別クロマトグラフィー(以下、「CFC」という。)で測定した際に、40℃以上90℃未満の積分溶出量が、全溶出量の10質量%以上70質量%未満であり、かつ、90℃以上95℃以下の積分溶出量が、全溶出量の10質量%以上であり、最高溶出量になる温度が88℃以上100℃以下である、ポリエチレン樹脂組成物である。
(条件1)
「ポリエチレン樹脂組成物の温度上昇遊離分別条件」
(1)溶媒;トルエン
(2)ソックスレー抽出時間;6時間
(3)トルエン溶媒に抽出した抽出成分の採取方法;トルエン溶媒中にメタノールを投
入して再沈殿を行い、吸引ろ過にて抽出成分を得る。
「抽出成分のCFC測定条件」
(1)抽出成分のo−ジクロロベンゼン溶液を140℃にて120分間保持する。
(2)抽出成分のo−ジクロロベンゼン溶液を0.5℃/分で40℃まで降温した後、 20分間保持する。
(3)下記(a)〜(d)に示す温度プログラムにて、カラムの温度を速度20℃/分 で昇温する。各到達温度で21分間その温度を保持する。
(a)40℃から60℃まで、10℃間隔で昇温する。
(b)60℃から69℃まで、3℃間隔で昇温する。
(c)69℃から100℃まで、1℃間隔で昇温する。
(d)100℃から120℃まで、10℃間隔で昇温する。
以下、上記要件について説明する。
エチレン系重合体としては、エチレン単独重合体、エチレンと当該エチレンと共重合可能な他のコモノマーとの共重合体(例えば、二元又は三元共重合体)が挙げられる。共重合体の結合形式は、ランダムでもブロックであってもよい。
他のコモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、α−オレフィン、ビニル化合物等が挙げられる。
他のコモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
α−オレフィンとしては、特に限定されないが、例えば、炭素数3〜20のα−オレフィンが挙げられ、具体的には、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン等が挙げられる。これらの中でも、他のコモノマーは、膜及び繊維などの成形体の耐熱性及び強度をより一層向上させる観点から、プロピレン及び/又は1−ブテンであることが好ましい。
ビニル化合物としては、特に限定されないが、例えば、ビニルシクロヘキサン、スチレン及びこれらの誘導体等が挙げられる。
また、他のコモノマーとして、必要に応じて、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等の非共役ポリエンを使用してもよい。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物の重量平均分子量(Mw)は、100,000以上1,000,000以下であり、好ましくは120,000以上800,000以下であり、より好ましくは140,000以上600,000以下である。
ポリエチレン樹脂組成物のMwは、後述する触媒を用い、重合条件等を適宜調整することにより上記数値範囲に制御することができる。具体的には、重合系に水素を存在させること、又は重合温度を変化させること等によって重量平均分子量(Mw)を制御することができる。また、重合系内に連鎖移動剤として水素を添加することにより、分子量を適切な範囲で制御することができる。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物の分子量分布(Mw/Mn)は、2.0以上18.0以下であり、好ましくは4.0以上18.0以下であり、より好ましくは6.0以上17.0以下である。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物においては、触媒を使用すること、重合系内の条件(水素濃度、温度、エチレン圧力等)を一定に保つこと、等により、ポリエチレン樹脂組成物の分子量分布を小さくすることができる。そのため、連続式で重合することが好ましい。一方、ポリエチレン樹脂組成物の分子量分布を大きくする方法としては、例えば、回分式重合で重合中の条件を変化させる方法(例えば、連鎖移動剤である水素の濃度を重合中に変化させる方法等)、又は回分式重合で触媒を断続的に導入する方法等が挙げられる。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物を、上記(条件1)の「ポリエチレン樹脂組成物の温度上昇遊離分別条件」に従い温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分を、上記(条件1)の「抽出成分のCFC測定条件」に従ってCFCで測定した際の40℃以上90℃未満の積分溶出量は、全溶出量の10質量%以上70質量%未満であり、好ましくは15質量%以上65質量%以下であり、より好ましくは20質量%以上60質量%以下であり、さらに好ましくは30質量%以上60質量%以下である。
また、90℃以上95℃以下の積分溶出量は、全溶出量の10質量%以上であり、好ましくは13質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上である。
最高溶出量になる温度は88℃以上100℃以下であり、好ましくは90℃以上97℃以下であり、より好ましくは92℃以上95℃以下である。
図1に、CFC測定における温度と溶出量の関係を表すイメージ図を示す。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物を、上記(条件1)の「ポリエチレン樹脂組成物の温度上昇遊離分別条件」に従い温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分は、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物の微細孔膜のヒューズ性能を向上させる上で最も有効な成分(ヒューズを起こす成分)である。この抽出成分は、40℃以上90℃未満の積分溶出量が、全溶出量の10質量%以上70質量%未満であり、90℃以上95℃以下の積分溶出量が全溶出量の10質量%以上であり、最高溶出量になる温度が88℃以上95℃以下であることにより、低温の40℃以上90℃未満で溶出される成分(A)が微細孔膜中で流動を開始することができ、90℃以上95℃以下で溶出される成分(B)によって微細孔膜の細孔を形成する成分の剛直性を適度に緩和できるため細孔が塞がるまでの時間を短くすることができる。すなわち、ヒューズ性能の向上とヒューズが始まってから完了するまでの時間(以下、「ヒューズ速度」ともいう。)の短時間化を同時に達成することができる。
また、この抽出成分は、40℃以上90℃未満の温度範囲において、温度上昇に伴い溶出量が徐々に増える溶出挙動を示すことが好ましい。徐々に溶出するということは、ポリエチレン樹脂組成物が流動パラフィンにより膨潤、溶解する工程において、ポリエチレン樹脂組成物中の抽出成分に相当する成分が膨潤するのにかかる時間をゆっくりにすることができるため、ポリエチレン樹脂組成物の膨潤不良によって未溶融成分同士が凝集して欠点になる可能性を軽減できる傾向にある。
すなわち、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物を構成するエチレン系重合体を製造する方法としては、周囲の触媒濃度が低い環境で触媒の活性点上での重合を開始させる方法等が挙げられる。例えば、触媒フィード直後に重合反応及び触媒活性化が少しの時間だけ起こらないようにする方法が挙げられ、具体的には、反応器内へ投入する触媒の温度を5℃未満に調整し、触媒フィード口、エチレンフィード口、エチレンを溶存させたヘキサンフィード口を全て反応器底部に設け、全て同時に反応器内へ導入すること、エチレンを溶存させたヘキサンを5℃未満でヘキサンフィード口から反応器内へ導入し、残りのエチレンはエチレンフィード口から導入すること等が挙げられる。また、触媒が初めてエチレンと接触するまでに拡散させる方法が挙げられ、より具体的には、触媒とエチレン溶存ヘキサンを複数個所から反応器内へ導入すること、触媒のフィード線速度を3.0m/s以上5.0m/s以下に制御すること等が挙げられる。
測定の対象とするエチレン系重合体をo−ジクロロベンゼン中で完全に溶解させる。その後、一定の温度で冷却して不活性担体表面に薄いポリマー層を形成させる。このとき結晶性の高い成分が最初に結晶化され、続いて、温度の低下に伴って結晶性の低い成分が結晶化される。次に温度を段階的に上昇させると、結晶性の低い成分から高い成分へと順に溶出し、所定の温度での溶出成分の濃度を検出することができる。
具体的には、まず、充填剤を含有したカラムを140℃に昇温し、ポリエチレン樹脂組成物から温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分をo−ジクロロベンゼンに溶かした試料溶液(例えば、濃度:20mg/20mL)を導入して120分間保持する。
ここで、温度上昇遊離分別とは、一般的なソックスレー抽出器を用いて、試料中から溶剤を使って溶剤に可溶な目的成分を溶解・抽出する方法である。
ソックスレー抽出器は、最下部にヒーターと溶剤を入れた容器、中間に試料を入れたろ紙が入る筒、最上部に冷却管がついた装置である。溶剤を入れた容器を加熱すると、溶剤は蒸発し、最上部の冷却管で冷やされて、試料中に滴り落ち、溶剤可溶分を少量溶かしこんだ後、溶剤を入れた容器へと戻る。溶剤可溶分は、溶剤より沸点が高いため、このサイクルを繰り返すことで、溶剤を入れた容器内には徐々に溶剤可溶分(抽出成分)が濃縮され、ろ紙内に溶剤不溶分(残留物)が残る。なお、溶剤として、一般的にトルエン、キシレン等が挙げられるが、本実施形態においては、上記(条件1)のようにトルエンを用いる。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物を、前記(条件1)中の「ポリエチレン樹脂組成物の温度上昇遊離分別条件」に従い温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分のコモノマー含有量は、好ましくは0.01モル%以上5モル%以下であり、より好ましくは0.05モル%以上3モル%以下であり、さらに好ましくは0.1モル%以上2モル%以下である。
コモノマー含有量が0.01モル%以上であることにより、ヒューズ性能により優れ、5モル%以下であることにより、ヒューズ速度をより速くすることができる。その結果、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物を微細孔膜に加工した際、異常時(電池の熱暴走など)に温度が上昇してポリマーが融解し、微細孔が閉塞してイオン伝導がシャットダウンすることで充放電の機能を喪失し、電池の熱暴走リスクを低減することができる。
なお、抽出成分のコモノマー含有量は、13C−NMRにより測定することができ、具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
<達成手段>
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物から温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分のコモノマー含有量を、0.01モル%以上5モル%以下に制御する方法としては、周囲の触媒濃度が低い環境で触媒の活性点上での重合を開始させる方法等が挙げられる。例えば、触媒フィード直後に重合反応及び触媒活性化が少しの時間だけ起こらないようにする方法が挙げられ、具体的には、反応器内へ投入する触媒の温度を5℃未満に調整し、触媒フィード口、エチレンフィード口、エチレンを溶存させたヘキサンフィード口を全て反応器底部に設け、全て同時に反応器内へ導入すること、エチレンを溶存させたヘキサンを5℃未満でヘキサンフィード口から反応器内へ導入し、残りのエチレンはエチレンフィード口から導入すること等が挙げられる。また、触媒を初めてエチレンと接触するまでに拡散させる方法も挙げられ、具体的には、触媒とエチレン溶存ヘキサンを複数個所から反応器内へ導入すること、触媒のフィード線速度を3.0m/s以上5.0m/s以下に制御すること等が挙げられる。
また、コモノマー添加量を調整する方法等が挙げられる。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物から、上述した(条件1)中の「ポリエチレン樹脂組成物の温度上昇遊離分別条件」に従い温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分の融点は、好ましくは125℃以上135℃以下であり、より好ましくは125℃以上132℃以下であり、さらに好ましくは125℃以上130℃以下である。
抽出成分の融点が125℃以上であることにより、ヒューズ性能により優れ、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物の微細孔膜の細孔を閉塞せずに熱固定を行うことができ、135℃以下であることにより、ヒューズ速度をより速くすることができる。その結果、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物を微細孔膜に加工した際、異常時(電池の熱暴走など)に温度が上昇してポリマーが融解し、細孔が閉塞してイオン伝導がシャットダウンすることで充放電の機能を喪失し、電池の熱暴走リスクを低減することができる。なお、抽出成分の融点は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
<達成手段>
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物から温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分の融点を、125℃以上135℃以下に制御する方法としては、周囲の触媒濃度が低い環境で触媒の活性点上での重合を開始させる方法等が挙げられる。例えば、触媒フィード直後に重合反応及び触媒活性化が少しの時間だけ起こらないようにする方法が挙げられ、具体的には、反応器内へ投入する触媒の温度を5℃未満に調整し、触媒フィード口、エチレンフィード口、エチレンを溶存させたヘキサンフィード口を全て反応器底部に設け、全て同時に反応器内へ導入すること、エチレンを溶存させたヘキサンを5℃未満でヘキサンフィード口から反応器内へ導入し、残りのエチレンはエチレンフィード口から導入すること等が挙げられる。また、触媒を初めてエチレンと接触するまでに拡散させる方法も挙げられ、具体的には、触媒とエチレン溶存ヘキサンを複数個所から反応器内へ導入すること、触媒のフィード線速度を3.0m/s以上5.0m/s以下に制御すること等が挙げられる。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物を、上記(条件1)の「ポリエチレン樹脂組成物の温度上昇遊離分別条件」に従い温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分のラメラ厚は、好ましくは6nm以上14nm以下であり、より好ましくは8nm以上14nm以下であり、さらに好ましくは10nm以上14nm以下である。
ラメラ厚が6nm以上であることにより、ヒューズ性能により優れ、14nm以下であることにより、ヒューズ速度をより速くすることができる。その結果、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物を微細孔膜に加工した際、異常時(電池の熱暴走など)に温度が上昇してポリマーが融解し、微細孔が閉塞してイオン伝導がシャットダウンすることで充放電の機能を喪失し、電池の熱暴走リスクを低減することができる。なお、抽出成分のラメラ厚は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
<達成手段>
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物から温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分のラメラ厚を、6nm以上14nm以下、好ましくは10nm以上14nm以下に制御する方法としては、周囲の触媒濃度が低い環境で触媒の活性点上での重合を開始させる方法等が挙げられる。例えば、触媒フィード直後に重合反応及び触媒活性化が少しの時間だけ起こらないようにする方法が挙げられ、具体的には、反応器内へ投入する触媒の温度を5℃未満に調整し、触媒フィード口、エチレンフィード口、エチレンを溶存させたヘキサンフィード口を全て反応器底部に設け、全て同時に反応器内へ導入すること、エチレンを溶存させたヘキサンを5℃未満でヘキサンフィード口から反応器内へ導入し、残りのエチレンはエチレンフィード口から導入すること等が挙げられる。また、触媒を初めてエチレンと接触するまでに拡散させる方法も挙げられ、具体的には、触媒とエチレン溶存ヘキサンを複数個所から反応器内へ導入すること、触媒のフィード線速度を3.0m/s以上5.0m/s以下に制御すること等が挙げられる。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物を、上記(条件1)中の「ポリエチレン樹脂組成物の温度上昇遊離分別条件」に従い温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは20,000以上350,000以下であり、より好ましくは50,000以上300,000以下であり、さらに好ましくは70,000以上250,000以下である。
抽出成分のMwは、後述する触媒を用い、重合条件等を適宜調整することにより上記数値範囲に制御することができる。具体的には、エチレン系重合体の重合系に水素を存在させるか、又は重合温度を変化させること等によって、抽出成分の重量平均分子量(Mw)を制御することができる。重合系内に連鎖移動剤として水素を添加することにより、重量平均分子量を適切な範囲で制御することができる。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物を、上記(条件1)中の「ポリエチレン樹脂組成物の温度上昇遊離分別条件」に従い温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは2.0以上14.0以下であり、より好ましくは4.0以上13.0以下であり、さらに好ましくは6.0以上12.0以下である。エチレン系重合体の重合工程において後述する触媒を使用するか、重合系内の条件(水素濃度、温度、エチレン圧力等)を一定に保つことにより、前記抽出成分の分子量分布を小さくすることができる。そのため、連続式で重合することが好ましい。一方、前記抽出成分の分子量分布を大きくする方法としては、回分式重合で重合中の条件を変化させる方法(例えば、連鎖移動剤である水素の濃度を重合中に変化させる方法等)、回分式重合で触媒を断続的に導入する等の方法が挙げられる。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物を、前記(条件1)中の「ポリエチレン樹脂組成物の温度上昇遊離分別条件」に従い温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分を、上記(条件1)の「抽出成分のCFC測定条件」に従いCFCで測定した際の積分溶出量が全溶出量の10質量%に到達する温度は、好ましくは70℃以上90℃以下であり、より好ましくは72℃以上90℃以下であり、さらに好ましくは75℃以上90℃である。
CFCで測定した際の積分溶出量が全溶出量の10質量%に到達する温度が70℃以上90℃以下という低温領域であることで、ヒューズ性能により優れ、かつヒューズ速度をより速くすることができる。その結果、微細孔膜に加工した際、異常時(電池の熱暴走など)に温度が上昇してポリマーが融解し、微細孔が閉塞してイオン伝導がシャットダウンすることで充放電の機能を喪失し、電池の熱暴走リスクを低減することができる。
<達成手段>
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物から温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分をCFCで測定した際の積分溶出量を、全溶出量の10質量%に到達する温度が70℃以上90℃以下に制御する方法としては、周囲の触媒濃度が低い環境で触媒の活性点上での重合を開始させる方法等が挙げられる。例えば、触媒フィード直後に重合反応及び触媒活性化が少しの時間だけ起こらないようにする方法が挙げられ、具体的には、反応器内へ投入する触媒の温度を5℃未満に調整し、触媒フィード口、エチレンフィード口、エチレンを溶存させたヘキサンフィード口を全て反応器底部に設け、全て同時に反応器内へ導入すること、エチレンを溶存させたヘキサンを5℃未満でヘキサンフィード口から反応器内へ導入し、残りのエチレンはエチレンフィード口から導入すること等が挙げられる。また、触媒を初めてエチレンと接触するまでに拡散させる方法も挙げられ、具体的には、触媒とエチレン溶存ヘキサンを複数個所から反応器内へ導入すること、触媒のフィード線速度を3.0m/s以上5.0m/s以下に制御すること等が挙げられる。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物を、上記(条件1)中の「ポリエチレン樹脂組成物の温度上昇遊離分別条件」に従い温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分のチタン(Ti)含有量は、好ましくは5ppm以下であり、より好ましくは4ppm以下であり、さらに好ましくは3ppm以下である。アルミニウム(Al)含有量は、好ましくは10ppm以下であり、より好ましくは8ppm以下であり、さらに好ましくは6ppm以下である。
金属量をこのように制御することにより、酸化防止剤や熱安定剤との反応を抑制でき、有機金属錯体が生成されることによる成形体の着色を抑制できる傾向にある。さらに、抽出成分中の金属量を制御することにより、繊維にした際は糸径が均一な糸を、膜にした際は膜厚が均一な膜を得ることができる傾向にある。
なお、抽出成分中のTi、Alの含有量は、単位触媒あたりのエチレン系重合体の生産性により制御することが可能である。エチレン系重合体の生産性は、製造する際の反応器の重合温度や重合圧力やスラリー濃度により制御することが可能である。他の方法としては、エチレン系重合体を重合する際の、助触媒成分の種類の選択や、助触媒成分の濃度を低くすることや、エチレン系重合体を酸やアルカリで洗浄することでも金属量を制御することができる。なお、本実施形態において、Ti、Al量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物の、о−ジクロロベンゼンを溶媒として用いた溶液において、下記<条件2>の条件に従い、CFCで測定した40℃以上95℃未満の積分溶出量は、好ましくは全溶出量の15質量%以上70質量%以下であり、より好ましくは25質量%以上70質量%以下であり、さらに好ましくは35質量%以上65質量%以下である。
また、95℃以上105℃以下の積分溶出量は、好ましくは全溶出量の15質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上であり、さらに好ましくは25質量%以上である。
さらに、少なくとも2つ以上のピークを有することが好ましく、最高溶出量になる温度が88℃以上100℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは88℃以上95℃以下である。
<条件2>
(1)前記ポリエチレン樹脂組成物のo−ジクロロベンゼン溶液を140℃にて120分間保持する。
(2)前記ポリエチレン樹脂組成物のo−ジクロロベンゼン溶液を0.5℃/分で40℃まで降温した後、20分間保持する。
(3)下記(a)〜(e)に示す温度プログラムにて、カラムの温度を速度20℃/分で昇温する。各到達温度で21分間その温度を保持する。
(a)40℃から60℃まで、10℃間隔で昇温する。
(b)60℃から75℃まで、5℃間隔で昇温する。
(c)75℃から90℃まで、3℃間隔で昇温する。
(d)90℃から110℃まで、1℃間隔で昇温する。
(e)110℃から120℃まで、5℃間隔で昇温する。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物のチタン(Ti)含有量は、好ましくは5ppm以下であり、より好ましくは4ppm以下であり、さらに好ましくは3ppm以下である。アルミニウム(Al)含有量は、好ましくは10ppm以下であり、より好ましくは8ppm以下であり、さらに好ましくは6ppm以下である。
金属量をこのように調整することで、酸化防止剤や熱安定剤との反応を抑制でき、有機金属錯体が生成されることによる成形体の着色を抑制できる傾向にある。さらに、ポリエチレン樹脂組成物中の金属量を調整することで、繊維にした際は糸径が均一な糸を、膜にした際は膜厚が均一な膜を得ることができる。
なお、ポリエチレン樹脂組成物中のTi、Alの含有量は、単位触媒あたりのエチレン系重合体の生産性により制御することが可能である。エチレン系重合体の生産性は、製造する際の反応器の重合温度や重合圧力やスラリー濃度により制御することが可能である。他の方法としては、エチレン系重合体を重合する際の、助触媒成分の種類の選択や、助触媒成分の濃度を低くすることや、エチレン系重合体を酸やアルカリで洗浄することでも金属量を制御することが可能である。なお、本実施形態において、Ti、Al量は、後述する実施例に記載の方法により測定することことができる。
(触媒成分)
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物は、ポリエチレン系重合体を含有する。
ポリエチレン系重合体は、所定の触媒の存在下、重合工程を行うことにより製造できる。
触媒成分としては特に限定されないが、例えば、一般的なチーグラー・ナッタ触媒及びメタロセン触媒が挙げられる。
チーグラー・ナッタ触媒としては、固体触媒成分[A]及び有機金属化合物成分[B]からなる触媒であって、固体触媒成分[A]が、下記(式1)で表される不活性炭化水素溶媒に可溶である有機マグネシウム化合物(A−1)と、下記(式2)で表されるチタン化合物(A−2)とを反応させることにより製造されるオレフィン重合用触媒であるものが好ましい。
(A−1):(M1)α(Mg)β(R2)a(R3)b(Y1)c ・・・(式1)
(式1中、M1は周期律表第12族、第13族及び第14族からなる群に属する金属原子であり、R2及びR3は炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、Y1はアルコキシ、シロキシ、アリロキシ、アミノ、アミド、−N=C−R4、R5、−SR6(ここで、R4、R5及びR6は炭素数1以上20以下の炭化水素基を表す。cが2の場合には、Y1はそれぞれ異なっていてもよい。)、β−ケト酸残基のいずれかであり、α、β、a、b及びcは次の関係を満たす実数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0≦c、0<a+b、0≦c/(α+β)≦2、nα+2β=a+b+c(ここで、nはM1の原子価を表す。))
(式2中、dは0以上4以下の実数であり、R7は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、X1はハロゲン原子である。)
当該(A−1)は、不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウムの錯化合物の形として示され、ジヒドロカルビルマグネシウム化合物及びこの化合物と他の金属化合物との錯体のすべてを包含するものである。記号α、β、a、b、cの関係式nα+2β=a+b+cは、金属原子の原子価と置換基との化学量論性を示している。
群(2):R2とR3とが炭素原子数の互いに相異なるアルキル基であること、好ましくはR2が炭素原子数2又は3のアルキル基であり、R3が炭素原子数4以上のアルキル基であること。
群(3):R2、R3の少なくとも一方が炭素原子数6以上の炭化水素基であること、好ましくはR2、R3に含まれる炭素原子数を加算すると12以上になるアルキル基であること。
群(1)において炭素原子数4以上6以下である二級又は三級のアルキル基としては、例えば、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、2−メチルブチル、2−エチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、2−メチルペンチル、2−エチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2−メチル−2−エチルプロピル基等が挙げられる。特に、1−メチルプロピル基が好ましい。
シロキシ基としては、以下に限定されないが、例えば、ヒドロジメチルシロキシ、エチルヒドロメチルシロキシ、ジエチルヒドロシロキシ、トリメチルシロキシ、エチルジメチルシロキシ、ジエチルメチルシロキシ、トリエチルシロキシ基等が挙げられる。特に、ヒドロジメチルシロキシ、エチルヒドロメチルシロキシ、ジエチルヒドロシロキシ、トリメチルシロキシ基が好ましい。
(A−2):Ti(OR7)dX1 (4-d) ・・・(式2)
(式2中、dは0以上4以下の実数であり、R7は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、X1はハロゲン原子である。)
当該反応は、不活性炭化水素溶媒中で行われることが好ましく、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒中で行われることがより好ましい。当該反応における有機マグネシウム化合物(A−1)とチタン化合物(A−2)とのモル比については特に限定されないが、(A−1)に含まれるMg原子に対する(A−2)に含まれるTi原子のモル比(Ti/Mg)が0.1以上10以下であることが好ましく、0.3以上3以下であることがより好ましい。反応温度については、特に限定されないが、−80℃以上150℃以下の範囲で行うことが好ましく、−40℃以上100℃以下の範囲で行うことがより好ましい。
有機マグネシウム化合物(A−1)とチタン化合物(A−2)の添加順序には特に制限はなく、(A−1)に続いて(A−2)を加える、(A−2)に続いて(A−1)を加える、(A−1)と(A−2)とを同時に添加する、のいずれの方法も可能であるが、(A−1)と(A−2)とを同時に添加する方法が好ましい。本実施形態においては、上記反応により得られた固体触媒成分[A]は、不活性炭化水素溶媒を用いたスラリー溶液として使用される。
(式3中、M2は周期律表第12族、第13族及び第14族からなる群に属する金属原子であり、R8、R9及びR10はそれぞれ炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、γ、δ、e、f及びgは次の関係を満たす実数である。0≦γ、0<δ、0≦e、0≦f、0≦g、0<e+f、0≦g/(γ+δ)≦2、kγ+2δ=e+f+g(ここで、kはM2の原子価を表す。))
(式4中、R11は炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、hとiは次の関係を満たす実数である。0<h、0<i、0<h+i≦4)
(式5中、M1は周期律表第12族、第13族及び第14族からなる群に属する金属原子であり、R2及びR3は炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、Y1はアルコキシ、シロキシ、アリロキシ、アミノ、アミド、−N=C−R4,R5、−SR6(ここで、R4、R5及びR6は炭素数1以上20以下の炭化水素基を表す。cが2の場合には、Y1はそれぞれ異なっていてもよい。)、β−ケト酸残基のいずれかであり、α、β、a、b及びcは次の関係を満たす実数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0≦c、0<a+b、0≦c/(α+β)≦2、nα+2β=a+b+c(ここで、nはM1の原子価を表す。))
(式6中、dは0以上4以下の実数であり、R7は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、X1はハロゲン原子である。)
群(2):R8とR9とが炭素数の互いに相異なるアルキル基であること、好ましくはR8が炭素数2又は3のアルキル基であり、R9が炭素数4以上のアルキル基であること。
群(3):R8、R9の少なくとも一方が炭素数6以上の炭化水素基であること、好ましくはR8、R9に含まれる炭素数の和が12以上になるアルキル基であること。
R10で表される炭化水素基としては、炭素原子数1以上12以下のアルキル基又はアリール基が好ましく、3以上10以下のアルキル基又はアリール基がより好ましい。R10としては、特に限定されないが、例えば、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、ヘキシル、2−メチルペンチル、2−エチルブチル、2−エチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−エチル−4−メチルペンチル、2−プロピルヘプチル、2−エチル−5−メチルオクチル、オクチル、ノニル、デシル、フェニル、ナフチル基等が挙げられる。特に、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルペンチル及び2−エチルヘキシル基が好ましい。
(式4中、R11は炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、hとiは次の関係を満たす実数である。0<h、0<i、0<h+i≦4)
(C−1)と(C−2)との反応比率には特に限定されないが、(C−1)に含まれるマグネシウム原子1molに対する(C−2)に含まれる珪素原子が0.01mol以上100mol以下であることが好ましく、0.1mol以上10mol以下であることがより好ましい。
(C−1)と(C−2)とを同時に反応器に導入しつつ反応させる同時添加の方法においては、あらかじめ反応器の温度を所定温度に調整し、同時添加を行いながら反応器内の温度を所定温度に調整することにより、反応温度を所定温度に調整することが好ましい。
(C−2)を事前に反応器に仕込んだ後に(C−1)を反応器に導入させる方法においては、該塩化珪素化合物を仕込んだ反応器の温度を所定温度に調整し、該有機マグネシウム化合物を反応器に導入しながら反応器内の温度を所定温度に調整することにより、反応温度を所定温度に調整することが好ましい。
(C−1)を事前に反応器に仕込んだ後に(C−2)を反応器に導入させる方法においては、(C−1)を仕込んだ反応器の温度を所定温度に調整し、(C−2)を反応器に導入しながら反応器内の温度を所定温度に調整することにより、反応温度を所定温度に調整することが好ましい。
(式5中、M1は周期律表第12族、第13族及び第14族からなる群に属する金属原子であり、R2及びR3は炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、Y1はアルコキシ、シロキシ、アリロキシ、アミノ、アミド、−N=C−R4,R5、−SR6(ここで、R4、R5及びR6は炭素数1以上20以下の炭化水素基を表す。cが2の場合には、Y1はそれぞれ異なっていてもよい。)、β−ケト酸残基のいずれかであり、α、β、a、b及びcは次の関係を満たす実数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0<a+b、0≦c/(α+β)≦2、nα+2β=a+b+c(ここで、nはM1の原子価を表す。))
(式6中、dは0以上4以下の実数であり、R7は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、X1はハロゲン原子である。)
上述した担体(C−3)に対するチタン化合物(C−5)の担持方法については特に限定されず、(C−3)に対して過剰な(C−5)を反応させる方法や、第三成分を使用することにより(C−5)を効率的に担持する方法を用いてもよいが、(C−5)と有機マグネシウム化合物(C−4)との反応により担持する方法が好ましい。
前記固体触媒成分[C]は、有機金属化合物成分[B]と組み合わせることにより、高活性な重合用触媒となる。
有機金属化合物成分[B]は「助触媒」と呼ばれることもある。有機金属化合物成分[B]としては、周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族からなる群に属する金属を含有する化合物であることが好ましく、特に有機アルミニウム化合物及び/又は有機マグネシウム化合物が好ましい。
(式7中、R12は炭素数1以上20以下の炭化水素基、Z1は水素、ハロゲン、アルコキシ、アリロキシ、シロキシ基からなる群に属する基であり、jは2以上3以下の数である。)
(式3中、M2は周期律表第12族、第13族及び第14族からなる群に属する金属原子であり、R8、R9及びR10はそれぞれ炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、γ、δ、e、f及びgは次の関係を満たす実数である。0≦γ、0<δ、0≦e、0≦f、0≦g、0<e+f、0≦g/(γ+δ)≦2、kγ+2δ=e+f+g(ここで、kはM2の原子価を表す。))
なお、固体触媒成分及び有機金属化合物成分[B]の組み合わせ比率は特に限定されないが、固体触媒成分1gに対し有機金属化合物成分[B]は1mmol以上3,000mmol以下であることが好ましい。
メタロセン触媒としては、一般的な遷移金属化合物が用いられる。
メタロセン触媒の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、日本国特許4868853号に記載の製造方法が挙げられる。このようなメタロセン触媒は、(a)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物、及び(b)該遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤、の2つの触媒成分から構成される。
L1 jWkM3X2 pX3 q ・・・(式8)
ジルコニウム系化合物としては、特に限定されないが、例えば、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(4−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(5−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(6−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(7−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(5−メトキシ−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(2,3−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(4,7−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス−(4,7−ジメトキシ−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムジメチル、シリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル等が挙げられる。
前記活性化剤としては、例えば、下記(式10)で定義される化合物が挙げられる。
[L2−H]d+[M5 mQp]d- ・・・(式10)
(式10中、[L2−H]d+はプロトン供与性のブレンステッド酸を表し、但し、L2は中性のルイス塩基を表し、dは1〜7の整数であり;[M5 mQp]d-は両立性の非配位性アニオンを表し、ここで、M5は、周期表第5族〜第15族のいずれかに属する金属又はメタロイドを表し、Qは、各々独立して、ヒドリド、ハライド、炭素数2〜20のジヒドロカルビルアミド基、炭素数1〜30のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜30の炭化水素基、及び炭素数1〜40の置換された炭化水素基からなる群より選ばれ、ここで、ハライドであるQの数は1以下であり、mは1〜7の整数であり、pは2〜14の整数であり、dは上で定義した通りであり、p−m=dである。)
本実施形態において用いることができる有機アルミニウム化合物とは、例えば、下記(式14)で表される化合物である。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物に含まれるエチレン系重合体の製造方法における重合温度は、通常、30℃以上100℃以下である。
重合温度が30℃以上であることにより、工業的により効率的な製造ができる傾向にある。一方、重合温度が100℃以下であることにより、連続的により安定した運転ができる傾向にある。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物に含まれるエチレン系重合体には、必要に応じて、スリップ剤、中和剤、酸化防止剤、耐光安定剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を添加することができる。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物は種々の用途に用いることができる。例えば、二次電池セパレータ用微多孔膜、特に、リチイムイオン二次電池セパレータ用微多孔膜、焼結体、高強度繊維等として好適である。
微多孔膜の製造方法としては、溶剤を用いた湿式法において、Tダイを備え付けた押出し機にて、押出し、延伸、抽出、乾燥を経る製造方法が挙げられる。また、高分子量のエチレン系重合体の特性である耐摩耗性、高摺動性、高強度、高衝撃性などの優れた特徴を活かし、エチレン系重合体を焼結して得られる成形体にも使用できる。
実施例及び比較例のポリエチレン樹脂組成物の物性を下記の方法で測定した。
ポリエチレン樹脂組成物、及び後述する(3)により得た抽出成分を測定試料とし、当該測定試料20mgにo−ジクロロベンゼン15mLを導入して、150℃で1時間撹拌することでサンプル溶液を調製し、下記の条件によりゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定を行った。
測定結果から、市販の単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線に基づいて、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
・装置:Waters社製150−C ALC/GPC
・検出器:RI検出器
・移動相:o−ジクロロベンゼン(高速液体クロマトグラフ用)
・流量:1.0mL/分
・カラム:Shodex製AT−807Sを1本と東ソー製TSK−gelGMH−H6を2本連結したものを用いた。
・カラム温度:140℃
<条件1>
後述する(3)により得た抽出成分を測定試料とし、当該測定試料のо−ジクロロベンゼン溶液において、クロス分別クロマトグラフィー(CFC)測定を行い、溶出温度−溶出量曲線を以下のように測定し、各温度での溶出量、及びCFC溶出量が最高値になる温度(℃)、及びCFC測定における積分溶出量が10質量%に到達する温度(℃)を求めた。
まず、充填剤を含有したカラムを140℃に昇温し、測定試料をo−ジクロロベンゼンに溶かした試料溶液を導入して120分間保持した。
次に、カラムの温度を、降温速度0.5℃/分で40℃まで降温した後、20分間保持し、試料を充填剤表面に析出させた。
初めに40℃から60℃まで10℃間隔で昇温し、60℃から69℃まで3℃間隔で昇温し、69℃から100℃まで1℃間隔で昇温し、100℃から120℃まで10℃間隔で昇温した。なお、各温度で21分間その温度を保持した後に昇温を行い、各温度で溶出した試料(エチレン系重合体)の濃度を検出した。そして、試料(エチレン系重合体)の溶出量(質量%)とその時のカラム内温度(℃)との値より、溶出温度−溶出量曲線を測定し、各温度での溶出量、積分溶出量、CFC測定における溶出量が最高値になる温度(℃)、及びCFC測定における積分溶出量が10質量%に到達する温度(℃)を求めた。
・装置:Polymer ChAR社製Automated 3D analyzer CFC−2
・カラム:ステンレススチールマイクロボールカラム(3/8"o.d x 150mm)
・溶離液:o−ジクロロベンゼン(高速液体クロマトグラフ用)
・試料溶液濃度:試料(エチレン系重合体)20mg/o−ジクロロベンゼン20mL
・注入量:0.5mL
・ポンプ流量:1.0mL/分
・検出器:Polymer ChAR社製赤外分光光度計IR4
・検出波数:3.42μm
・試料溶解条件:140℃×120min溶解
ポリエチレン樹脂組成物を測定試料とし、当該測定試料について、昇温溶離分別(TREF)による溶出温度−溶出量曲線を以下のように測定し、各温度での溶出量、及び積分溶出量、及びCFC測定における溶出量が最高値(Max)になる温度(℃)を求め、CFC測定のピーク数を求めた。
まず、充填剤を含有したカラムを140℃に昇温し、測定試料をo−ジクロロベンゼンに溶かした試料溶液を導入して120分間保持した。次に、カラムの温度を、降温速度0.5℃/分で40℃まで降温した後、20分間保持し、試料を充填剤表面に析出させた。
初めに40℃から60℃まで10℃間隔で昇温し、60℃から75℃まで5℃間隔で昇温し、75℃から90℃まで3℃間隔で昇温し、90℃から110℃まで1℃間隔で昇温し、110℃から120℃まで5℃間隔で昇温した。なお、各温度で21分間その温度を保持した後に昇温を行い、各温度で溶出した試料(エチレン系重合体)の濃度を検出した。そして、試料(エチレン系重合体)の溶出量(質量%)とその時のカラム内温度(℃)との値より、溶出温度−溶出量曲線を測定し、各温度での溶出量、積分溶出量、及びCFC測定における溶出量が最高値(Max)になる温度(℃)を求め、CFC測定のピーク数を求めた。
・装置:Polymer ChAR社製Automated 3D analyzer CFC−2
・カラム:ステンレススチールマイクロボールカラム(3/8"o.d x 150mm)
・溶離液:o−ジクロロベンゼン(高速液体クロマトグラフ用)
・試料溶液濃度:試料(エチレン系重合体)20mg/o−ジクロロベンゼン20mL
・注入量:0.5mL
・ポンプ流量:1.0mL/分
・検出器:Polymer ChAR社製赤外分光光度計IR4
・検出波数:3.42μm
・試料溶解条件:140℃×120min溶解
温度上昇遊離分別とは、一般的なソックスレー抽出器を用いて、試料中から溶剤を使って溶剤に可溶な目的成分を溶解・抽出する方法である。
ソックスレー抽出器は、最下部にヒーターと溶媒を入れた容器、中間部に試料を入れたろ紙が入る筒、最上部に冷却管がついた装置である。
溶媒を入れた容器を加熱すると溶剤が蒸発し、最上部の冷却管で冷やされて、試料中に滴り落ち、溶媒可溶分を少量溶かしこんだ後、溶媒を入れた容器へと戻る。溶媒可溶分は溶媒より沸点が高いため、このサイクルを繰り返すことで、溶媒を入れた容器内には徐々に溶媒可溶分(抽出成分)が濃縮され、ろ紙内に溶剤不溶分(残留物)が残る。
溶媒はトルエンを使用し、沸点以上の温度で6時間抽出作業を行った。
その後、トルエン溶媒に抽出した抽出成分を採取するために、トルエン溶媒中にメタノールを入れて再沈殿し、吸引ろ過することで抽出成分を得た。
示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC−7型装置)を用い、以下の1)〜3)の条件で、前記(3)により得た抽出成分の融点を測定した。1)測定試料約5mgをアルミパンに詰め200℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した。2)次に、200℃から10℃/分の降温速度で50℃まで降温し、降温完了後5分間保持した。3)次に、50℃から10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温した。前記3)の過程で観察される吸熱曲線より融解ピーク位置の最高温度を融点(℃)とした。
前記(3)により得た抽出成分のラメラ厚を広角X線散乱(WAXS)もより、下記条件で測定した。
測定には、リガク社製Ultima−IVを用いた。
Cu−Kα線を、試料の抽出成分であるエチレン系重合体のパウダーに入射し、D/tex Uitraにより回折光を検出した。
測定条件は、試料と検出器間との距離が285mm、励起電圧が40kV、電流が40mAの条件であった。光学系には集中光学系を採用し、スリット条件は、DS=1/2°、SS=解放、縦スリット=10mmであった。
ポリエチレン樹脂組成物、又は上記(3)により得た抽出成分を測定試料とし、当該測定試料をマイクロウェーブ分解装置(型式ETHOS TC、マイルストーンゼネラル社製)を用い加圧分解し、内部標準法にて、ICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析装置、型式Xシリーズ X7、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)にて、試料中の金属としてTi、Alの元素濃度を測定した。
前記(3)により得た抽出成分中のα−オレフィンに由来する重合単位の含有率(mol%)の測定は、G.J.RayらのMacromolecules,10,773(1977)に開示された方法に準じて行った。α−オレフィン単位の含有量は、13C−NMRスペクトルにより観測されるメチレン炭素のシグナルを用いて、その面積強度より算出した。
測定装置 :日本電子製ECS−400
観測核 :13C
観測周波数 :100.53MHz
パルス幅 :45°(7.5μsec)
パルスプログラム:single pulse dec
PD :5sec
測定温度 :130℃
積算回数 :30,000回以上
基準 :PE(−eee−)シグナルであり29.9ppm
溶媒 :o−ジクロロベンゼン−d4
試料濃度 :5〜10質量%
溶解温度 :130〜140℃
後述する実施例及び比較例で製造したエチレン系重合体と流動パラフィンとの合計を100質量部としたときに、30〜40質量部のエチレン系重合体と60〜70質量部の流動パラフィン((株)松村石油研究所製流動パラフィン(製品名:スモイルP−350P))と、さらに1質量部の酸化防止剤(グレートレイクスケミカル日本(株)製テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマート)]メタン(製品名:ANOX20))とを配合してスラリー状液体を調製した。
得られたスラリー状液体は、窒素で置換を行った後に、(株)東洋精機社製ラボプラストミル(本体型式:30C150)用二軸押出機(本体型式:2D25S)へ窒素雰囲気下でフィーダーを介して投入し、200℃条件で混練した後、押出機先端に設置したTダイから押出した後、ただちに25℃に冷却したキャストロールで冷却固化させ、ゲル状シートを成形した。
このゲル状シートを120℃で同時二軸延伸機を用いて7×7倍に延伸した後、この延伸フィルムをメチルエチルケトン又はヘキサンに浸漬し、流動パラフィンを抽出除去後、24時間以上真空乾燥した。
さらに、125℃、3分で熱固定し、微多孔膜状のポリエチレン樹脂組成物を得た。
上記(8)に記載の方法で製膜した微多孔膜状のポリエチレン樹脂組成物のヒューズ性能は、ポリエチレン樹脂組成物に電解液を含浸させ、これをSUS板電極で挟んだ構成のセルを作製し、昇温させながらそのセルの交流抵抗を測定することで評価した。急激に抵抗値が増大した温度をヒューズ温度(℃)とし、測定回数n=5で評価し、平均値を算出した。評価基準は、以下のとおりである。
(評価基準)
◎(良い):132℃未満
○(普通):132℃以上135℃未満
×(悪い):135℃以上
上記(8)に記載の方法で製膜した微多孔膜状のポリエチレン樹脂組成物のヒューズ速度は、ポリエチレン樹脂組成物に電解液を含侵させ、これをSUS板電極で挟んだ構成のセルを作製し、昇温させながらそのセルの交流抵抗を測定することで評価した。ポリエチレン樹脂組成物の融点近傍で急激な抵抗上昇が確認され(ヒューズ性能)、抵抗上昇開始から最高抵抗値に到達するまでの時間(秒)で評価した。測定回数n=5で評価し、平均値をヒューズ速度として算出した。評価基準は、以下のとおりである。
(評価基準)
◎(良い):5秒未満
○(普通):5秒以上10秒未満
×(悪い):10秒以上
上記(8)に記載の方法で製膜した微多孔膜状のポリエチレン樹脂組成物に対し、カトーテック製品の「KES−G5ハンディー圧縮試験器」(商標)を用いて、針先端の曲率半径0.5mm、突刺速度2mm/secの条件で突刺試験を行い、最大突刺荷重(N)を測定した。最大突刺荷重(N)が3.5N以上であれば、強度が十分に優れていることを示す。測定回数n=10で評価し、平均値を突刺強度として算出した。評価基準は、以下のとおりである。
(評価基準)
◎(良い):3.5N以上
○(普通):3.0N以上3.5N未満
×(悪い):3.0N未満
上記(8)に記載の方法で製膜した微多孔膜状のポリエチレン樹脂組成物の250mm×250mm中に存在する欠点(フィルムを透過光で観察した際、黒点として観察されるゴミ等の不純物は除く)を目視により数えた。得られた個数に基づいて、下記評価基準により欠点評価した。測定回数n=10で評価し、平均値を膜欠点数として算出した。評価基準は以下のとおりである。
(評価基準)
◎(良い):10個以下
○(普通):11個以上20個以下
×(悪い):21個以上
上記(8)に記載の方法で製膜した微多孔膜状のポリエチレン樹脂組成物の膜厚を、東洋精機製の微小測厚器(タイプKBM(登録商標))を用いて室温で測定した。膜1mごとにまんべんなく均等になるように任意の10ヶ所を選び測定し、膜5m合計50カ所を測定し平均膜厚を算出した。平均膜厚は5μm以上30μm以下であった。
(評価基準)
◎(良い):平均膜厚に対して±3μm未満のバラつき
〇(普通):平均膜厚に対して±3μm以上5μm未満のバラつき
×(悪い):平均膜厚に対して±5μm以上のバラつき
(製造例1:触媒合成例1:固体触媒成分[A]の調製)
(1)原料(a−1)の合成
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに1mol/LのMg6(C4H9)12AL(C2H5)3のヘキサン溶液2,000mL(マグネシウムとアルミニウムで2000mmol相当)を仕込み、50℃で攪拌しながら、5.47mol/Lのn−ブタノールヘキサン溶液146mLを3時間かけて滴下し、終了後ラインを300mLのヘキサンで洗浄した。さらに、50℃で2時間かけて攪拌を継続した。反応終了後、常温まで冷却したものを原料(a−1)とした。原料(a−1)はマグネシウムの濃度で0.704mol/Lであった。
(2)原料(a−2)の合成
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに1mol/LのMg6(C4H9)12AL(C2H5)3のヘキサン溶液2,000mL(マグネシウムとアルミニウムで2000mmol相当)を仕込み、80℃で攪拌しながら、8.33mol/Lのメチルハイドロジエンポリシロキサン(信越化学工業社製)のヘキサン溶液240mLを圧送、さらに80℃で2時間かけて攪拌を継続させた。反応終了後、常温まで冷却したものを原料(a−2)とした。原料(a−2)はマグネシウムとアルミニウムの合計濃度で0.786mol/Lであった。
(3)(A−1)担体の合成
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに1mol/Lのヒドロキシトリクロロシランのヘキサン溶液1,000mLを仕込み、65℃で原料(a−1)の有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液1340mL(マグネシウム943mmol相当)を3時間かけて滴下し、さらに65℃で1時間攪拌しながら反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を除去し、1,800mLのヘキサンで4回洗浄し、(A−1)担体を得た。この担体を分析した結果、固体1g当たりに含まれるマグネシウムは7.5ミリモルであった。
(4)固体触媒成分[A]の調製
上記(A−1)担体110gを含有するヘキサンスラリー1,970mLに10℃で攪拌しながら、1mol/Lの四塩化チタンのヘキサン溶液103mLと原料(a−2)131mLを同時に3時間かけて添加した。添加後、10℃で1時間反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を除去し、ヘキサンで4回洗浄することにより、未反応原料成分を除去し、固体触媒成分[A]を調製した。
(1)原料[b−1]の合成
平均粒子径が7μm、表面積が700m2/g、粒子内細孔容積が1.9mL/gの球状シリカを、窒素雰囲気下、500℃で5時間焼成し、脱水した。
窒素雰囲気下、容量1.8Lのオートクレーブ内で、この脱水シリカ40gをヘキサン800mL中に分散させ、スラリーを得た。
得られたスラリーを攪拌下20℃に保ちながらトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度1mol/L)100mLを1時間で滴下し、その後、同温度で2時間攪拌した。
その後、得られた反応混合物中をデカンテーションによって、上澄み液中の未反応のトリエチルアルミニウムを除去した。このようにしてトリエチルアルミニウムで処理されたシリカ成分である原料[b−1]のヘキサンスラリー800mLを得た。
(2)原料[b−2]の調製
[(N−t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウム−1,3−ペンタジエン(以下、「チタニウム錯体」と記載する。)200mmolをアイソパーE[エクソンケミカル社(米国)製の炭化水素混合物の商品名]1250mLに溶解し、市販のブチルエチルマグネシウムの1mol/Lヘキサン溶液を40mL加え、さらにヘキサンを加えてチタニウム錯体濃度を0.1mol/Lに調整し、原料[b−2]を得た。
(3)原料[b−3]の調製
ビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウム−トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレート(以下、「ボレート」と記載する。)5.7gをトルエン50mLに添加して溶解し、ボレートの100mmol/Lトルエン溶液を得た。このボレートのトルエン溶液にエトキシジエチルアルミニウムの1mol/Lヘキサン溶液5mLを室温で加え、さらにヘキサンを加えて溶液中のボレート濃度が70mmol/Lとなるようにした。その後、室温で1時間攪拌し、ボレートを含む反応混合物である原料[b−3]を得た。
(4)担持型メタロセン触媒[B]の調製
上記(1)で得られたシリカ成分である原料[b−1]スラリー800mLを、20℃で攪拌しながら、上記(2)で得られたチタニウム錯体である原料[b−2]のうち32mLと、上記(3)で得られたボレートを含むこの反応混合物である原料[b−3]46mLを、同時に1時間で添加し、さらに同温度で1時間攪拌し、チタニウム錯体とボレートとを反応させた。反応終了後、上澄み液を除去し、ヘキサンで未反応の触媒原料を除去することにより、触媒活性種が該シリカ上に形成されている担持型メタロセン触媒[B](以下、固体触媒成分[B]ともいう)を得た。
(エチレン系重合体(A−1)の重合工程)
ヘキサン、エチレン、1−ブテン、水素、触媒を、攪拌装置が付いたベッセル型300L重合反応器に連続的に供給した。重合圧力は0.5MPaであった。重合温度はジャケット冷却により78℃に保った。ヘキサンは、予めエチレンガスを0.2MPaで加圧したエチレン溶存ヘキサンとして、3℃に調整して40L/hrで重合器の底部から供給した。
残りのエチレンは、重合圧力を0.5MPaに保つように重合器の底部から供給した。
また、1−ブテンをエチレンに対して5mol%気相から導入した。固体触媒成分[A]と、助触媒としてトリイソブチルアルミニウムとジイソブチルアルミニウムハイドライド(9:1混合物)を使用した。固体触媒成分[A]は、3℃に保った状態でフィード線速度2.0m/s、0.2g/hrの速度で重合器の底部から供給し、トリイソブチルアルミニウムは10mmol/hrの速度で重合器の底部から供給した。
触媒/エチレン/ヘキサンは、全て同時にフィードした。
エチレン系重合体の製造速度は10kg/hrであった。
また、水素を、気相のエチレンに対する水素濃度が35mol%になるようにポンプで連続的に供給した。なお、水素は予め触媒と接触させるために触媒導入ラインから供給した。触媒活性は80,000g−PE/g−固体触媒成分[A]であった。重合体スラリーは、重合反応器のレベルが一定に保たれるように連続的に圧力0.05MPa、温度70℃のフラッシュドラムに抜き、未反応のエチレン及び水素を分離した。
ヘキサン、エチレン、水素、触媒を、攪拌装置が付いたベッセル型300L重合反応器に連続的に供給した。重合圧力は0.5MPaであった。重合温度はジャケット冷却により85℃に保った。ヘキサンは40L/hrで重合器の底部から供給した。固体触媒成分[A]と、助触媒としてトリイソブチルアルミニウムを使用した。固体触媒成分[A]は0.2g/hrの速度で重合器の液面と底部の中間から添加し、トリイソブチルアルミニウムは10mmol/hrの速度で重合器の液面と底部の中間から添加した。なお、固体触媒成分[A]と助触媒のトリイソブチルアルミニウムとジイソブチルアルミニウムハイドライド(9:1混合物)は、間欠式に交互に投入し、両者が反応器に投入された瞬間触れ合うように調整した。エチレン系重合体の製造速度は10kg/hrであった。水素を、気相のエチレンに対する水素濃度が5.5mol%になるようにポンプで連続的に供給した。なお、水素は予め触媒と接触させるために触媒導入ラインから供給し、エチレンは重合器の底部から供給した。触媒活性は80,000g−PE/g−固体触媒成分[A]であった。重合体スラリーは、重合反応器のレベルが一定に保たれるように連続的に圧力0.05MPa、温度70℃のフラッシュドラムに抜き、未反応のエチレン及び水素を分離した。
エチレン系重合体(A−1)とエチレン系重合体(B−1)の合計100質量部((A−1)を75質量部、(B−1)を25質量部)に、酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を0.3質量部添加し、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリエチレンパウダー混合物を得た。
得られたポリエチレンパウダー混合物は窒素で置換を行った後に、二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーを介して投入した。
さらに流動パラフィン(松村石油(株)製P−350(商標))65質量部をサイドフィードで押出機に注入し、200℃条件で混練し、押出機先端に設置したTダイから押出した後、ただちに25℃に冷却したキャストロールで冷却固化させ、厚さ1500μmのゲル状シートを成形した。
このゲル状シートを120℃で同時二軸延伸機を用いて7×7倍に延伸した後、この延伸フィルムを塩化メチレンに浸漬し、流動パラフィンを抽出除去後、乾燥した。
次に1.2×1.2倍に再延伸した後、熱処理し、微多孔膜状のポリエチレン樹脂組成物を得た。測定及び評価結果を表1に示す。
(エチレン系重合体(A−2)の重合工程)
重合工程において、水素濃度を45mol%とし、1−ブテンをエチレンに対して6mol%気相から導入したこと以外は、実施例1中のエチレン系重合体(A−1)と同様の操作により、エチレン系重合体(A−2)を得た。密度は947kg/m3、MFRは10g/10minであった。また、実施例2の微多孔膜状のポリエチレン樹脂組成物は、エチレン系重合体(A−2)とエチレン系重合体(B−1)を用いた((A−2)を75質量部、(B−1)を25質量部)こと以外は、実施例1と同様の操作によって得た。測定及び評価結果を表1に示す。
(エチレン系重合体(A−3)の重合工程)
重合工程において、水素濃度を50mol%とし、1−ブテンをエチレンに対して7.5mol%気相から導入し、エチレン溶存ヘキサンの温度を4℃に調整して重合器の側面部から供給し、触媒温度を4℃に調整して重合器の液面と底部の中間から供給したこと以外は、実施例1中のエチレン系重合体(A−1)と同様の操作により、エチレン系重合体(A−3)を得た。密度は947kg/m3、MFRは30g/10minであった。
また、実施例3の微多孔膜状のポリエチレン樹脂組成物は、エチレン系重合体(A−3)とエチレン系重合体(B−1)を用いた((A−3)を75質量部、(B−1)を25質量部)こと以外は、実施例1と同様の操作によって得た。測定及び評価結果を表1に示す。
(エチレン系重合体(A−4)の重合工程)
重合工程において、担持型メタロセン触媒成分[B]を用い、助触媒として充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに1mol/LのMg6(C4H9)12AL(C2H5)3のヘキサン溶液2,000mL(マグネシウムとアルミニウムで2000mmol相当)を仕込み、80℃で攪拌しながら、8.33mol/Lのメチルハイドロジエンポリシロキサン(信越化学工業社製)のヘキサン溶液240mLを圧送、さらに80℃で2時間かけて攪拌を継続した後、常温まで冷却したものを使用し、水素濃度を30mol%とし、1−ブテンをエチレンに対して8mol%気相から導入したこと以外は、実施例1中のエチレン系重合体(A−1)と同様の操作により、エチレン系重合体(A−4)を得た。密度は941kg/m3、MFRは2.5g/10minであった。また、実施例4の微多孔膜状のポリエチレン樹脂組成物は、エチレン系重合体(A−4)とエチレン系重合体(B−1)を用いた((A−4)を75質量部、(B−1)を25質量部)こと以外は、実施例1と同様の操作によって得た。測定及び評価結果を表1に示す。
(エチレン系重合体(A−5)の重合工程)
重合工程において、担持型メタロセン触媒成分[B]を用い、助触媒として充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに1mol/LのMg6(C4H9)12AL(C2H5)3のヘキサン溶液2,000mL(マグネシウムとアルミニウムで2000mmol相当)を仕込み、80℃で攪拌しながら、8.33mol/Lのメチルハイドロジエンポリシロキサン(信越化学工業社製)のヘキサン溶液240mLを圧送、さらに80℃で2時間かけて攪拌を継続した後、常温まで冷却したものを使用し、水素濃度を35mol%とし、1−ブテンをエチレンに対して9mol%気相から導入したこと以外は、実施例1中のエチレン系重合体(A−1)と同様の操作により、エチレン系重合体(A−5)を得た。密度は941kg/m3、MFRは5g/10minであった。また、実施例5の微多孔膜状のポリエチレン樹脂組成物は、エチレン系重合体(A−5)とエチレン系重合体(B−1)を用いた((A−5)を75質量部、(B−1)を25質量部)こと以外は、実施例1と同様の操作によって得た。測定及び評価結果を表1に示す。
(エチレン系重合体(A−6)の重合工程)
重合工程において、水素濃度を40mol%とし、1−ブテンをエチレンに対して11mol%気相から導入し、エチレン溶存ヘキサンの温度を4℃に調整し、触媒温度を25℃に調整したこと以外は、実施例1中のエチレン系重合体(A−1)と同様の操作により、エチレン系重合体(A−6)を得た。密度は941kg/m3、MFRは10g/10minであった。また、実施例6の微多孔膜状のポリエチレン樹脂組成物は、エチレン系重合体(A−6)とエチレン系重合体(B−1)を用いた((A−6)を75質量部、(B−1)を25質量部)こと以外は、実施例1と同様の操作によって得た。測定及び評価結果を表1に示す。
(エチレン系重合体(A−7)の重合工程)
重合工程において、エチレン溶存ヘキサンを25℃に調整して重合器の側面から供給し、触媒を25℃に保ちフィード線速度3.5m/sで重合器の液面と底部の中間から供給し、助触媒を重合器の液面と底部の中間から供給し、触媒、及びエチレン溶存ヘキサンは、各々の重合器の底部から3か所に分けて供給し、触媒/エチレン/ヘキサンのフィードは同時ではなかったこと以外は、実施例1中のエチレン系重合体(A−1)と同様の操作により、エチレン系重合体(A−7)を得た。密度は947kg/m3、MFRは5g/10minであった。
(エチレン系重合体(B−2)の重合工程)
重合工程において、担持型メタロセン触媒成分[B]を使用し、助触媒として充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに1mol/LのMg6(C4H9)12AL(C2H5)3のヘキサン溶液2,000mL(マグネシウムとアルミニウムで2000mmol相当)を仕込み、80℃で攪拌しながら、8.33mol/Lのメチルハイドロジエンポリシロキサン(信越化学工業社製)のヘキサン溶液240mLを圧送、さらに80℃で2時間かけて攪拌を継続した後、常温まで冷却したものを使用したこと以外は、実施例1中のエチレン系重合体(B−1)と同様の操作によりエチレン系重合体(B−2)を得た。重量平均分子量は70×104であった。
また、実施例7の微多孔膜状のポリエチレン樹脂組成物は、エチレン系重合体(A−7)とエチレン系重合体(B−2)を用いた((A−7)を75質量部、(B−2)を25質量部)こと以外は実施例1と同様の操作によって得た。測定及び評価結果を表1に示す。
(エチレン系重合体(A−8)の重合工程)
重合工程において、水素濃度を30mol%とし、1−ブテンをエチレンに対して8mol%気相から導入し、エチレン溶存ヘキサンを25℃に調整して重合器の側面から供給し、触媒を重合器の液面と底部の中間から供給し、助触媒を重合器の液面と底部の中間から供給し、触媒、及びエチレン溶存ヘキサンは、各々の重合器の底部から3か所に分けて供給し、触媒/エチレン/ヘキサンのフィードは同時ではなかったこと以外は実施例1中のエチレン系重合体(A−1)と同様の操作により、エチレン系重合体(A−8)を得た。密度は941kg/m3、MFRは2.5g/10minであった。
また、実施例8の微多孔膜状のポリエチレン樹脂組成物は、エチレン系重合体(A−8)とエチレン系重合体(B−2)を用いた((A−8)を75質量部、(B−2)を25質量部)こと以外は実施例1と同様の操作によって得た。測定及び評価結果を表1に示す。
(エチレン系重合体(B−3)の重合工程)
重合工程において、重合温度を78℃に調整したこと以外は実施例1中のエチレン系重合体(B−1)と同様の操作により、エチレン系重合体(B−3)を得た。重量平均分子量は100×104であった。
また、実施例9の微多孔膜状のポリエチレン樹脂組成物は、エチレン系重合体(A−2)とエチレン系重合体(B−3)を用い、エチレン系重合体(A−2)65質量部とエチレン系重合体(B−3)35質量部の合計100質量部にしたこと以外は、実施例1と同様の操作によって得た。測定及び評価結果を表1に示す。
(エチレン系重合体(B−4)の重合工程)
重合工程において、重合温度を75℃に調整したこと以外は実施例1中のエチレン系重合体(B−1)と同様の操作により、エチレン系重合体(B−4)を得た。重量平均分子量は200×104であった。
また、実施例10の微多孔膜状のポリエチレン樹脂組成物は、エチレン系重合体(A−2)とエチレン系重合体(B−4)を用い、エチレン系重合体(A−2)65質量部とエチレン系重合体(B−4)35質量部の合計100質量部にしたこと以外は、実施例1と同様の操作によって得た。測定及び結果を表1に示す。
次に示すように、第一段目の反応器でエチレン系重合体(A−14)を重合し、第二段目の反応器でエチレン系重合体(B−8)を重合することで、実施例11のエチレン系重合体を得た。実施例11のエチレン系重合体の重量平均分子量は350,000であり、分子量分布は18であった。測定及び結果を表1に示す。
3枚後退翼の撹拌翼と3枚の邪魔板とが付いたベッセル型300L重合器を使用して、エチレン系重合体の重合を行った。溶媒として使用するヘキサンは、予めエチレンガスを0.2MPaで加圧したエチレン溶存ヘキサンとして3℃に調整して、40L/hrの流量で重合器の底部から供給し、撹拌速度は230rpmとした。残りのエチレンは、重合圧力を0.5MPaに保つように重合器の底部から供給した。重合触媒としては、固体触媒成分[A]と、助触媒としてトリイソブチルアルミニウムとジイソブチルアルミニウムハイドライド(9:1混合物)を使用した。固体触媒成分[A]は、3℃に保った状態でフィード線速度2.0m/s、0.2g/hrの速度で重合器の底部から供給し、トリイソブチルアルミニウムは10mmol/hrの速度で重合器の底部から供給した。
触媒/エチレン/ヘキサンは、全て同時にフィードした。
水素は44mol%(モル比:水素/(エチレン+水素+1−ブテン))供給した。重合温度は78℃とし、重合圧力は0.65MPaとし、平均滞留時間は3時間、コモノマーとして1−ブテンを5.7mol%(モル比:1−ブテン/(エチレン+水素+1−ブテン))供給した。
こうして得られたエチレン系重合体(A−14)の重量平均分子量は60,000であった。また、第一段目の反応器における重合活性は、触媒1g当たり60,000gであった。
重合器内の重合体スラリーは、重合器内のレベルが一定に保たれるよう圧力0.2MPa、温度80℃の中間フラッシュタンクに導き、未反応のエチレン、水素を分離した。
上述の中間フラッシュタンクから、3枚後退翼の撹拌翼と3枚の邪魔板とが付いたベッセル型300L重合反応器へとエチレン系重合体(A−14)を含む重合体スラリーを移送し、続けてエチレン系重合体(B−8)の重合を行った。撹拌速度は200rpmとし、助触媒成分としてトリイソブチルアルミニウムとジイソブチルアルミニウムハイドライド(9:1混合物)を10mmol/hrの速度で重合器の底部から供給した。水素は3mol%(モル比:水素/(エチレン+水素+1−ブテン))供給し、コモノマーとして1−ブテンを1.1mol%(モル比:1−ブテン/(エチレン+水素+1−ブテン))供給した。重合温度は78℃とし、生産速度が7.0kg/hrになるよう重合圧力は0.30MPaとし、平均滞留時間は0.85時間とした。
こうして得られたエチレン系重合体(B−8)の重量平均分子量は350,000であった。また、第二段目の反応器における重合活性は、触媒1g当たり8,800gであった。
重合器内の重合体スラリーは、重合器内のレベルが一定に保たれるよう圧力0.05MPa、温度80℃の最終フラッシュタンクに導き、未反応のエチレン、水素を分離した。最終フラッシュタンクの平均滞留時間は1時間とした。
次に、重合体スラリーをフラッシュタンクからポンプにより連続的に遠心分離機に送り、エチレン系重合体と溶媒とを分離した後、分離されたエチレン系重合体を85℃に制御されたロータリーキルン型乾燥機に送り、窒素ブローしながら乾燥させ、エチレン系重合体のパウダーを得た。なお、この乾燥工程で、エチレン系重合体に対してスチームを噴霧し、触媒及び助触媒の失活を実施した。
前記エチレン系重合体のパウダー100質量部に、酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を0.3質量部添加し、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、エチレン重合体パウダー混合物を得た。
得られたエチレン重合体パウダー混合物は、窒素で置換を行った後に、二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーを介して投入した。
さらに流動パラフィン(松村石油(株)製P−350(商標))65質量部を、サイドフィードで押出機に注入し、200℃条件で混練し、押出機先端に設置したTダイから押出した後、ただちに25℃に冷却したキャストロールで冷却固化させ、厚さ1500μmのゲル状シートを成形した。
このゲル状シートを120℃で同時二軸延伸機を用いて7×7倍に延伸して延伸フィルムとし、この延伸フィルムを塩化メチレンに浸漬し、流動パラフィンを抽出除去後、乾燥した。
次に1.2×1.2倍に再延伸した後、熱処理し、微多孔膜状のポリエチレン樹脂組成
物を得た。測定及び評価結果を表1に示す。
(エチレン系重合体(A−9)の重合工程)
ヘキサン、エチレン、1−ブテン、水素、触媒を、攪拌装置が付いたベッセル型300L重合反応器に連続的に供給した。重合圧力は0.5MPaであった。重合温度はジャケット冷却により78℃に保った。ヘキサンは、予めエチレンガスを0.2MPaで加圧したエチレン溶存ヘキサンとして、25℃に保ち、40L/hrで重合器の側面部から供給した。また、1−ブテンをエチレンに対して6mol%気相から導入した。固体触媒成分[A]と、助触媒としてトリイソブチルアルミニウムとジイソブチルアルミニウムハイドライド(9:1混合物)を使用した。固体触媒成分[A]は25℃に保ち、フィード線速度3.0m/s、0.2g/hrの速度で重合器の液面と底部の中間から添加し、トリイソブチルアルミニウムは10mmol/hrの速度で重合器の液面と底部の中間から添加した。エチレン系重合体の製造速度は10kg/hrであった。水素を、気相のエチレンに対する水素濃度が45mol%になるようにポンプで連続的に供給した。なお、水素は予め触媒と接触させるために触媒導入ラインから供給し、エチレンは重合器の側面部から供給した。触媒活性は80,000g−PE/g−固体触媒成分[A]であった。重合体スラリーは、重合反応器のレベルが一定に保たれるように連続的に圧力0.05MPa、温度70℃のフラッシュドラムに抜き、未反応のエチレン及び水素を分離した。
なお、この乾燥工程で、エチレン系重合体のパウダーに対し、スチームを噴霧して、触媒及び助触媒の失活を実施した。得られたエチレン系重合体のパウダーを目開き425μmの篩を用いて、篩を通過しなかったものを除去することでエチレン系重合体(A−9)を得た。密度は947kg/m3、MFRは10g/10minであった。
ヘキサン、エチレン、水素、触媒を、攪拌装置が付いたベッセル型300L重合反応器に連続的に供給した。重合圧力は0.5MPaであった。重合温度はジャケット冷却により85℃に保った。ヘキサンは、25℃に保ち、40L/hrで重合器の側面部から供給した。固体触媒成分[A]と、助触媒としてトリイソブチルアルミニウムとジイソブチルアルミニウムハイドライド(9:1混合物)を使用した。固体触媒成分[A]は0.2g/hrの速度で重合器の液面と底部の中間から添加し、トリイソブチルアルミニウムは10mmol/hrの速度で重合器の液面と底部の中間から添加した。なお、固体触媒成分[A]と助触媒のトリイソブチルアルミニウムは、1本のフィードラインを用いて同タイミングで添加するため、両者が反応器に投入される前に触れ合うように調整した。エチレン系重合体の製造速度は10kg/hrであった。水素を、気相のエチレンに対する水素濃度が5.5mol%になるようにポンプで連続的に供給した。なお、水素は予め触媒と接触させるために触媒導入ラインから供給し、エチレンは重合器の側面部から供給した。触媒活性は80,000g−PE/g−固体触媒成分[A]であった。重合体スラリーは、重合反応器のレベルが一定に保たれるように連続的に圧力0.05MPa、温度70℃のフラッシュドラムに抜き、未反応のエチレン及び水素を分離した。
エチレン系重合体(A−9)とエチレン系重合体(B−5)の合計100質量部((A−9)を75質量部、(B−5)を25質量部)に、酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を0.3質量部添加し、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、エチレン系重合体パウダー混合物を得た。
得られたエチレン系重合体パウダー混合物は、窒素で置換を行った後に、二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーを介して投入した。さらに流動パラフィン(松村石油(株)製P−350(商標))65部をサイドフィードで押出機に注入し、200℃条件で混練し、押出機先端に設置したTダイから押出した後、ただちに25℃に冷却したキャストロールで冷却固化させ、厚さ1500μmのゲル状シートを成形した。
このゲル状シートを120℃で同時二軸延伸機を用いて7×7倍に延伸し、延伸フィルムとし、この延伸フィルムを塩化メチレンに浸漬し、流動パラフィンを抽出除去後、乾燥した。
次に1.2×1.2倍に再延伸した後、熱処理し、微多孔膜状のポリエチレン樹脂組成物を得た。測定及び評価結果を表2に示す。
(エチレン系重合体(A−10)の重合工程)
重合工程において、ヘキサンにエチレンを溶存させず、気相エチレンに対する水素濃度を46mol%に調整し、1−ブテンをエチレンに対して15mol%気相から導入し、触媒のフィード線速度を6.0m/sとしたこと以外は比較例1中のエチレン系重合体(A−9)と同様の操作により、エチレン系重合体(A−10)を得た。密度は920kg/m3、MFRは20g/10minであった。
また、比較例2の微多孔膜は、エチレン系重合体(A−10)と、前記エチレン系重合体(B−5)を用い、エチレン系重合体(A−10)75質量部とエチレン系重合体(B−5)25質量部の合計100質量部にしたこと以外は、比較例1と同様の操作によって微多孔膜状のポリエチレン樹脂組成物を得た。測定及び評価結果を表2に示す。
(エチレン系重合体(A−11)の重合工程)
重合工程において、ヘキサンにエチレンを溶存させず、気相エチレンに対する水素濃度を46mol%に調整し、1−ブテンをエチレンに対して15mol%気相から導入し、触媒温度を3℃に設定してフィード線速度を2.0m/sとしたこと以外は、比較例1中のエチレン系重合体(A−9)と同様の操作により、エチレン系重合体(A−11)を得た。密度は920kg/m3、MFRは20g/10minであった。
(エチレン系重合体(B−6)の重合工程)
重合工程において、重合温度を90℃に調整し、1−ブテンをエチレンに対して0.1mol%気相から導入したこと以外は、比較例1中のエチレン系重合体(B−5)と同様の操作により、エチレン系重合体(B−6)を得た。重量平均分子量は20×104であった。また、比較例3の微多孔膜は、エチレン系重合体(A−11)とエチレン系重合体(B−6)を用い、エチレン系重合体(A−11)75質量部とエチレン系重合体(B−6)25質量部の合計100質量部にしたこと以外は比較例1と同様の操作によって、微多孔膜状のポリエチレン樹脂組成物を得た。測定及び評価結果を表2に示す。
(エチレン系重合体(A−12)の重合工程)
重合工程において、ヘキサンにエチレンを溶存させず、触媒温度を3℃に設定してフィード線速度を2.0m/sとし、触媒/エチレン/ヘキサンを全て同時フィードしたこと以外は、比較例1中のエチレン系重合体(A−9)と同様の操作により、エチレン系重合体(A−12)を得た。密度は947kg/m3、MFRは10g/10minであった。
(エチレン系重合体(B−7)の重合工程)
重合工程において、重合温度を70℃に調整したこと以外は、比較例1中のエチレン系重合体(B−5)と同様の操作により、エチレン系重合体(B−7)を得た。重量平均分子量は400×104であった。また、比較例4の微多孔膜は、エチレン系重合体(A−12)とエチレン系重合体(B−7)を用い、エチレン系重合体(A−12)75質量部とエチレン系重合体(B−7)25質量部の合計100質量部にしたこと以外は、比較例1と同様の操作によって微多孔膜状のポリエチレン樹脂組成物を得た。測定及び評価結果を表2に示す。
(エチレン系重合体(A−13)の重合工程)
重合工程において、気相エチレンに対する水素濃度を48mol%に調整し、1−ブテンをエチレンに対して2mol%気相から導入し、触媒温度を3℃に設定してフィード線速度を2.0m/sとし、エチレン溶存ヘキサンの温度を3℃に設定したこと以外は、比較例1中のエチレン系重合体(A−9)と同様の操作により、エチレン系重合体(A−13)を得た。密度は947kg/m3、MFRは10g/10minであった。
また、比較例5の微多孔膜は、エチレン系重合体(A−13)とエチレン系重合体(B−5)を用い、エチレン系重合体(A−13)75質量部とエチレン系重合体(B−5)25質量部の合計100質量部にしたこと以外は、比較例1と同様の操作によって微多孔膜状のポリエチレン樹脂組成物を得た。測定及び評価結果を表2に示す。
Claims (12)
- 重量平均分子量(Mw)が100,000以上1,000,000以下であり、
分子量分布(Mw/Mn)が2以上18以下であるポリエチレン樹脂組成物であって、
下記(条件1)中の「ポリエチレン樹脂組成物の温度上昇遊離分別条件」に従い温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分の、o−ジクロロベンゼンを溶媒として用いた溶液において、下記(条件1)の「抽出成分のCFC測定条件」に従いクロス分別クロマトグラフィー測定した際に、
40℃以上90℃未満の積分溶出量が、全溶出量の10質量%以上70質量%未満であり、
90℃以上95℃以下の積分溶出量が、全溶出量の10質量%以上であり、
最高溶出量になる温度が88℃以上100℃以下である、
ポリエチレン樹脂組成物。
(条件1)
「ポリエチレン樹脂組成物の温度上昇遊離分別条件」
(1)溶媒;トルエン
(2)ソックスレー抽出時間;6時間
(3)トルエン溶媒に抽出した抽出成分の採取方法;トルエン溶媒中にメタノールを投
入して再沈殿を行い、吸引ろ過にて抽出成分を得る。
「抽出成分のCFC測定条件」
(1)抽出成分のo−ジクロロベンゼン溶液を140℃にて120分間保持する。
(2)抽出成分のo−ジクロロベンゼン溶液を0.5℃/分で40℃まで降温した後、 20分間保持する。
(3)下記(a)〜(d)に示す温度プログラムにて、カラムの温度を速度20℃/分 で昇温する。各到達温度で21分間その温度を保持する。
(a)40℃から60℃まで、10℃間隔で昇温する。
(b)60℃から69℃まで、3℃間隔で昇温する。
(c)69℃から100℃まで、1℃間隔で昇温する。
(d)100℃から120℃まで、10℃間隔で昇温する。 - 前記ポリエチレン樹脂組成物を、前記(条件1)中の「ポリエチレン樹脂組成物の温度上昇遊離分別条件」に従い温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分を、13C−NMR測定した際のコモノマー含有量が0.01モル%以上5モル%以下である、
請求項1に記載のポリエチレン樹脂組成物。 - 前記ポリエチレン樹脂組成物を、前記(条件1)中の「ポリエチレン樹脂組成物の温度上昇遊離分別条件」に従い温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分の融点が、125℃以上135℃以下である、
請求項1又は2に記載のポリエチレン樹脂組成物。 - 前記ポリエチレン樹脂組成物を、前記(条件1)中の「ポリエチレン樹脂組成物の温度上昇遊離分別条件」に従い温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分のラメラ厚が、6nm以上14nm以下である、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリエチレン樹脂組成物。 - 前記ポリエチレン樹脂組成物を、前記(条件1)中の「ポリエチレン樹脂組成物の温度
上昇遊離分別条件」に従い温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分のラメラ厚が、
10nm以上14nm以下である、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリエチレン樹脂組成物。 - 前記ポリエチレン樹脂組成物を、前記(条件1)中の「ポリエチレン樹脂組成物の温度上昇遊離分別条件」に従い温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分の重量平均分子量(Mw)が、20,000以上350,000以下であり、分子量分布(Mw/Mn)が2以上14以下である、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のポリエチレン樹脂組成物。 - 前記ポリエチレン樹脂組成物を、前記(条件1)中の「ポリエチレン樹脂組成物の温度上昇遊離分別条件」に従い温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分の、о−ジクロロベンゼンを溶媒として用いた溶液において、前記(条件1)の「抽出成分のCFC測定条件」に従いCFC測定した際に、
積分溶出量が全溶出量の10質量%に到達する温度が70℃以上90℃以下である、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリエチレン樹脂組成物。 - 前記ポリエチレン樹脂組成物を、前記(条件1)中の「ポリエチレン樹脂組成物の温度上昇遊離分別条件」に従い温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分のTi含有量が5ppm以下である、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のポリエチレン樹脂組成物。 - 前記ポリエチレン樹脂組成物を、前記(条件1)中の「ポリエチレン樹脂組成物の温度上昇遊離分別条件」に従い温度上昇遊離分別することで得られる抽出成分のAl含有量が10ppm以下である、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のポリエチレン樹脂組成物。 - 前記ポリエチレン樹脂組成物のo−ジクロロベンゼンを溶媒として用いた溶液において、下記(条件2)の条件に従いCFC測定した際に、
40℃以上95℃未満の積分溶出量が、全溶出量の15質量%以上70質量%以下であり、
95℃以上105℃以下の積分溶出量が、全溶出量の15質量%以上であり、
少なくとも2つ以上の溶出ピークを有し、最高溶出量になる温度が88℃以上100℃以下である、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のポリエチレン樹脂組成物。
(条件2)
(1)前記ポリエチレン樹脂組成物のo−ジクロロベンゼン溶液を140℃にて120分間保持する。
(2)前記ポリエチレン樹脂組成物のo−ジクロロベンゼン溶液を0.5℃/分で40℃まで降温した後、20分間保持する。
(3)下記(a)〜(e)に示す温度プログラムにて、カラムの温度を速度20℃/分で昇温する。各到達温度で21分間その温度を保持する。
(a)40℃から60℃まで、10℃間隔で昇温する。
(b)60℃から75℃まで、5℃間隔で昇温する。
(c)75℃から90℃まで、3℃間隔で昇温する。
(d)90℃から110℃まで、1℃間隔で昇温する。
(e)110℃から120℃まで、5℃間隔で昇温する。 - 前記ポリエチレン樹脂組成物のTi含有量が5ppm以下である、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載のポリエチレン樹脂組成物。 - 前記ポリエチレン樹脂組成物のAl含有量が10ppm以下である、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のポリエチレン樹脂組成物。
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