JP2021071189A - 減速装置 - Google Patents
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Abstract
Description
この種の減速装置では、例えば図7に示すように、出力軸であるキャリアに設けられた円筒状の内ピンが、外歯歯車に設けられた円形の内ピン穴に挿通されている。これにより、偏心揺動した外歯歯車の自転成分が内ピンを介してキャリアに伝達される。
これらの強度上の問題が制約となり、トルク密度(減速装置の単位重量当たりの出力トルク)を上げることが困難であった。
前記外歯歯車は、前記キャリアの回転中心線からオフセットされた位置に配置されて前記内ピンが挿通される内ピン穴を有し、
前記回転中心線に垂直な面における前記内ピンの断面形状は、前記回転中心線に対する径方向の幅が、当該径方向に垂直な方向の幅よりも小さく、
前記回転中心線に垂直な面における前記内ピン穴の断面形状は、前記外歯歯車の自転中心に対する第2の径方向の幅が、当該第2の径方向に垂直な方向の幅よりも小さい構成とした。
図1は、本発明の実施形態に係る減速装置の断面図である。
この図に示すように、本実施形態の減速装置1は、センタークランク式の偏心揺動型減速装置である。この減速装置1は、第1偏心体12b及び第2偏心体12cを有する入力軸12と、2つの外歯歯車14(第1外歯歯車15及び第2外歯歯車16)と、2つの外歯歯車14と噛合する内歯歯車18と、内ピン21を有するキャリア20とを備える。さらに、減速装置1は、第1カバー22、第2カバー24、第3カバー26、偏心体軸受31、32、キャリア軸受34、35及び入力軸軸受37、38を備える。
なお、以下の説明では、特に断りのない限り、回転軸O1に沿った方向を「軸方向」、回転軸O1に垂直な方向を「径方向」、回転軸O1を中心とする回転方向を「周方向」という。径方向の内側を「内径側」、径方向の外側を「外径側」という。また、軸方向のうち、入力軸12が露出する方向(図1の右方)を入力側、キャリア20が露出する方向(図1の左方)を負荷側と呼ぶ。ただし、回転軸O1からオフセットされた外歯歯車14及び内ピン穴14hの説明においては、後述するように、外歯歯車14の中心軸(自転中心)O2に垂直な方向を「径方向」、当該中心軸O2を中心とする回転方向を「周方向」という。
なお、入力軸12は、一部又は全部が金属材料から構成されてもよく、また、複数の部分が別体に形成され、互いに連結された構成としてもよい。金属材料としては、アルミ、アルミ合金、マグネシウム合金など、鉄より比重の低い金属を適用してもよいし、鉄系の金属を適用してもよい。
内ピン穴14hの具体形状については後述する。
内ピン21の具体形状については後述する。
第1カバー22は、キャリア軸受34、35を介してキャリア20の軸部20aを回転自在に支持する。第2カバー24は、入力軸軸受37、38を介して入力軸12の軸部12aを回転自在に支持する。第3カバー26は、軸方向の一方(負荷側)において、ネジ42を介して第1カバー22に固定され、キャリア軸受34、35の軸方向の一方(負荷側)を覆う。
第1カバー22、第2カバー24、第3カバー26は、樹脂材料から構成されるが、これらのうち一部又は全部が金属から構成されてもよい。樹脂材料及び金属材料の具体例は上述したものと同様である。
キャリア軸受34、35は、例えば玉軸受であり、内輪、転動体及び外輪を有する。
入力軸軸受37、38は、例えば玉軸受であり、内輪、転動体及び外輪を有する。入力軸軸受38は、第2カバー24のネジ孔に螺着されたプレッシャスクリュー43から軸方向に圧力が加えられて固定されている。
偏心体軸受31、32、キャリア軸受34、35及び入力軸軸受37、38は、金属から構成されるが、これらも上述した樹脂材料から構成されてもよい。また、偏心体軸受31、32、キャリア軸受34、35及び入力軸軸受37、38は、内輪、外輪、又はこれら両方が省略された構成としてもよく、玉軸受以外の種類の軸受が採用されてもよい。
図2は、図1のA−A線での減速装置1の断面図であり、図3は、内ピン21の断面形状の変形例を示す図であり、図4は、内ピン21の他の変形例を説明するための部分断面図である。図3では、紙面の上下方向が径方向(上側が外径側)に対応している。
各内ピン21は、キャリア20の軸部20aから軸方向に沿って片持ち状に立設しており、本実施形態では、軸方向に垂直な面における断面形状(以下、単に「断面形状」という。)が一様な形状に形成されている。本実施形態の内ピン21の断面形状は、図2に示すように、周方向に長尺な楕円形に形成されている。より詳しくは、内ピン21の断面形状は、短軸が径方向に略沿うとともに長軸が周方向(正確には、断面内で径方向に垂直な方向)に略沿った楕円形に形成されている。
これにより、例えば内ピン21が円形断面の場合などに比べ、内ピン21の周方向の断面係数を大きくできる。
この場合、内ピン21の基端部の断面積(軸方向に垂直な断面積)が、当該基端部から先端側の部分の断面積よりも大きいことが好ましい。これにより、トルク伝達時に内ピン21の付け根(基端部表面)に生じる応力を緩和できる。この場合、断面積の大きい内ピン21の基端部は、第1外歯歯車15と軸方向の位置が重なっていてもよい。
さらにこの場合、図4に示すように、内ピン21の基端部21dが、基端側(負荷側)に向かって断面積が段階的に大きくなる段部を有することがより好ましい。そして、この段部を、第1外歯歯車15の軸方向負荷側への移動を規制する規制部(規制面)として利用してもよい。これにより、この段部が無い場合(例えば図1の状態)に比べてキャリア20と第1外歯歯車15との摺動面(接触面)を小さくしつつ、外歯歯車14の軸方向の移動を規制できる。
各内ピン穴14hは、内ピン21に対応して設けられ、軸方向に垂直な面における断面形状(つまり、軸方向から見た形状)が内ピン21の断面形状に対応している。本実施形態では、内ピン穴14hの断面形状は、図2に示すように、周方向に長尺な楕円形に形成されている。より詳しくは、内ピン21の断面形状は、短軸が径方向に略沿うとともに長軸が周方向(正確には、断面内で径方向に垂直な方向)に略沿った楕円形に形成されている。
ただし、外歯歯車14は、回転軸O1から偏心量eだけ偏心した中心軸O2(自転中心)を中心とする同心形状に形成されている。そのため、内ピン穴14hは、回転軸O1ではなく中心軸O2を基準とする形状に形成されている。以下、内ピン穴14hの形状の説明では、特に断りのない限り、「径方向」が中心軸O2に垂直な方向を、「周方向」が中心軸O2を中心とする回転方向を指すものとする。
これにより、例えば内ピン穴14hが円形の場合などに比べ、外歯歯車14における内ピン穴14hから外周の歯底までの外径側の肉厚と、内ピン穴14hから偏心体軸受31、32の外輪が嵌合される内周面までの内径側の肉厚とを、それぞれ厚くできる。
これにより、偏心量eで偏心揺動する外歯歯車14の自転成分を、内ピン穴14hを介して内ピン21に好適に伝達できる。
これにより、例えば距離c2が距離d2に等しい場合などに比べ、外歯歯車14における内ピン穴14hから外歯の歯底までの外径側の肉厚をより厚くできる(図2参照)。
減速装置1では、外部から動力が伝達されて入力軸12が回転すると、第1偏心体12b及び第2偏心体12cが偏心回転する。すると、これに伴って、2つの外歯歯車14が、例えば180度の位相差で揺動する。2つの外歯歯車14は、内歯歯車18に内接噛合しており、内歯歯車18は第1カバー22及び第2カバー24と連結されている。このため、2つの外歯歯車14は、入力軸12が1回転するごとに、内歯歯車18に対して歯数差分だけ相対回転(自転)する。2つの外歯歯車14の自転成分は、内ピン21を介してキャリア20に伝達される。その結果、入力軸12の回転運動が、1/(2つの外歯歯車14の共通の歯数)の減速比で減速されて、キャリア20の軸部20aに出力される。
またこのとき、外歯歯車14の自転成分を内ピン21に伝達する内ピン穴14hは、外歯歯車14の中心軸O2(自転中心)に垂直な径方向幅b2が、当該径方向に垂直な接線方向幅a2よりも小さい断面形状に形成されている。すなわち、内ピン穴14hの周方向の幅が径方向の幅よりも大きいので、単純な円形断面の場合などに比べ、外歯歯車14における内ピン穴14hから外周の歯底までの外径側の肉厚と、内ピン穴14hから内周面までの内径側の肉厚とを、それぞれ厚くできる。これにより、外歯歯車14において外周の歯車に作用する応力や、偏心体軸受31、32により内周面に作用する応力を緩和できる。
以上のように、本実施形態の減速装置1によれば、内ピン21の断面形状は、径方向に沿った径方向幅b1が、径方向に垂直な方向に沿った接線方向幅a1よりも小さい。そのため、単純な円形断面の場合に比べ、内ピン21の周方向の断面係数を大きくでき、トルク伝達時に内ピン21の根本に生じる周方向の曲げ応力を緩和できる。
また、内ピン穴14hの断面形状は、外歯歯車14の中心軸O2(自転中心)に対する径方向に沿った径方向幅b2が、当該径方向に垂直な方向に沿った接線方向幅a2よりも小さい。そのため、単純な円形断面の場合に比べ、外歯歯車14における内ピン穴14hから外周の歯底までの外径側の肉厚と、内ピン穴14hから内周面までの内径側の肉厚とを、それぞれ厚くできる。
これらにより、内ピン及び内ピン穴が円形断面であった従来に比べ、内ピン21及び内ピン穴14h(外歯歯車14)の耐荷重を向上させ、より大きな伝達トルクを許容できる。したがって、従来に比べてトルク密度を向上させることができる。
これにより、例えば距離c2が距離d2に等しい場合などに比べ、外歯歯車14における内ピン穴14hから外歯の歯底までの外径側の肉厚をより厚くできる。したがって、外歯歯車14において、内周側よりも大きな荷重が作用する外周の歯車に生じる応力をより緩和できる。
これにより、偏心量eで偏心揺動する外歯歯車14の自転成分を、内ピン穴14hを介して内ピン21に好適に伝達できる。
さらにこの場合、内ピン21の基端部21dは、基端側に向かって断面積が段階的に大きくなる段部を有していてもよい。これにより、基端部21dの段部が無い場合に比べてキャリア20と第1外歯歯車15との摺動面(接触面)を小さくしつつ、当該段部を第1外歯歯車15の軸方向負荷側への移動を規制する規制部として利用できる。
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限られない。
例えば、上記実施形態では、内ピン21を含むキャリア20が樹脂材料で構成されることとしたが、当該キャリア20は一部又は全部が金属から構成されてもよい。内ピン21だけ樹脂とし、残る部分を金属とするインサート成形を行ってもよい。同様に外歯歯車14も金属から構成されてもよい。金属材料の具体例は上述したものと同様である。樹脂製の方が内ピン21や内ピン穴14hの自由な成形が可能であるが、金属製であっても例えば3Dプリンタの利用などにより対応できる。
その他、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
12b 第1偏心体
12c 第2偏心体
14 外歯歯車
14h 内ピン穴
14hc (内ピン穴の仮想円の)中心
15 第1外歯歯車
16 第2外歯歯車
18 内歯歯車
20 キャリア
20a 軸部
21 内ピン
21c (内ピンの仮想円の)中心
21d 基端部
a1 (内ピンの)接線方向幅
b1 (内ピンの)径方向幅
c1 (内ピンの仮想円の中心から内径側端部までの径方向の)距離
d1 (内ピンの仮想円の中心から外径側端部までの径方向の)距離
a2 (内ピン穴の)接線方向幅
b2 (内ピン穴の)径方向幅
c2 (内ピン穴の仮想円の中心から内径側端部までの径方向の)距離
d2 (内ピン穴の仮想円の中心から外径側端部までの径方向の)距離
e 偏心量
O1 回転軸(回転中心線)
O2 (外歯歯車の)中心軸(自転中心)
Claims (7)
- 外歯歯車と、前記外歯歯車の自転成分と同期するキャリアと、前記外歯歯車の自転成分を前記キャリアに伝達する内ピンと、を備えた偏心揺動型の減速装置であって、
前記外歯歯車は、前記キャリアの回転中心線からオフセットされた位置に配置されて前記内ピンが挿通される内ピン穴を有し、
前記回転中心線に垂直な面における前記内ピンの断面形状は、前記回転中心線に対する径方向の幅が、当該径方向に垂直な方向の幅よりも小さく、
前記回転中心線に垂直な面における前記内ピン穴の断面形状は、前記外歯歯車の自転中心に対する第2の径方向の幅が、当該第2の径方向に垂直な方向の幅よりも小さい、
減速装置。 - 前記内ピンの断面形状は、その最大幅を直径とする仮想円の中心から内径側端部までの前記径方向の距離が、当該仮想円の中心から外径側端部までの前記径方向の距離よりも大きく、
前記内ピン穴の断面形状は、その最大幅を直径とする仮想円の中心から内径側端部までの前記第2の径方向の距離が、当該中心から外径側端部までの前記第2の径方向の距離よりも大きい、
請求項1に記載の減速装置。 - 前記外歯歯車は、所定の偏心量だけ前記回転中心線から偏心しており、
前記内ピン穴の断面形状は、前記内ピンが前記偏心量の振れ回り半径で振れ回ったときに当該内ピンが描く包絡線状に形成される部分を有する、
請求項1又は請求項2に記載の減速装置。 - 前記内ピンが樹脂材料で構成されている、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の減速装置。 - 前記内ピンは、
前記キャリアに片持ち状に一体成形され、
基端部の断面積が、当該基端部から先端側の部分の断面積よりも大きい、
請求項4に記載の減速装置。 - 前記内ピンは、基端側に向かって断面積が段階的に大きくなる段部を有する、
請求項5に記載の減速装置。 - 前記外歯歯車が樹脂材料で構成されている、
請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の減速装置。
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