JP2021067250A - ディーゼルエンジン - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1のエンジンでは、DPF再生開始時に、吸気絞り弁の開度を絞るが、これのみでは排気の昇温効率が低く、排気温度が低い無負荷及び軽負荷運転時には、DOCが活性化せず、ポスト噴射に至らず、DPFを再生できないおそれがある。
図1に例示するように、燃焼室(1)に燃料(2)を噴射する燃料噴射装置(3)と、排気経路(4)に配置された排気絞り弁(5)と、排気絞り弁(5)の排気上流側に配置された弁上流側DOC(17)と、排気絞り弁(5)の排気下流側に配置されたDPF(7)と、排気絞り弁(5)の開度と燃料噴射装置(3)の燃料噴射を制御する電子制御装置(8)を備え、
図2に例示するDPFの再生処理と、図3に例示する弁上流側DOCの触媒機能機能回復処理がなされるように構成され、
図2に例示するように、DPFの再生処理では、PMが堆積したDPFの再生処理の開始条件(S1)が成立した後に排気絞り弁の開度減少制御(S2)がなされ、排気が所定のアフター噴射許可温度(TA)以上の温度になった後にアフター噴射制御が開始(S5)され、アフター噴射燃料の燃焼で排気が所定のポスト噴射許可温度(TP)以上の温度になった後にポスト噴射制御が開始(S7)され、図1に例示する弁上流側DOC(17)でポスト噴射燃料が触媒燃焼され、昇温した排気(9)の熱でDPF(7)に堆積したPMが焼却され、
図3に例示するように、弁上流側DOCの触媒機能機能回復処理では、未燃燃料やPMからなる未燃焼堆積物の堆積に基づいて機能低下した弁上流側DOCの触媒機能回復処理の開始条件(S13)が成立した後に排気絞り弁の開度減少制御(S15)がなされ、排気が所定のアフター噴射許可温度(TA)以上の温度になった後にアフター噴射制御が開始(S18)され、アフター噴射燃料の燃焼で排気が所定のポスト噴射燃料許可温度(TP)以上の温度になった後にポスト噴射制御が開始(S20)され、アフター噴射燃料の燃焼熱でポスト噴射燃料が燃焼され、昇温した図1に例示する排気(9)の熱で、弁上流側DOC(17)に堆積した未燃焼堆積物が気化または焼却されるように構成されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
《効果1》無負荷及び/又は軽負荷運転時でも、DPFを再生できる。
このエンジンでは、図2に例示するように、DPFの再生処理の開始条件(S1)が成立した後に、図1に例示する排気絞り弁(5)の開度減少による背圧の上昇、及びアフター噴射燃料の燃焼が起こるため、吸気絞りの場合に比べ、排気(9)の昇温効率が高く、排気温度が低い無負荷及び/又は軽負荷運転時でも、弁上流側DOC(17)が活性化され、ポスト噴射が実施され、ポスト噴射燃料が弁上流側DOC(17)で触媒燃焼され、昇温した排気(9)の熱でDPF(7)を再生できる。
このエンジンでは、アフター噴射燃料の燃焼で図1に例示する排気(9)が昇温するため、排気絞り弁(5)の開度減少の度合いが小さくて済み、背圧による出力ロスが小さく、エンジン出力を高くできる。
このエンジンでは、排気温度が低い無負荷及び/又は軽負荷運転の継続で、図1に例示する弁上流側DOC(17)に未燃焼燃料やPMからなる未燃焼堆積物が堆積し、その触媒機能が低下している場合でも、図2に例示するように、DPFの再生開始条件が成立した場合には、図1に例示する排気絞り弁(5)の開度減少やアフター噴射やポスト噴射の燃焼で、排気(9)が昇温し、この排気(9)の熱で未燃焼堆積物が気化或いは燃焼され、DPF再生時に弁上流側DOC(17)の低下した触媒機能を回復できる。
このエンジンでは、DPF再生時でなくても、図3に例示するように、弁上流側DOCの触媒機能回復の開始条件が成立した場合には、図1に例示する排気絞り弁(5)の開度減少やアフター噴射やポスト噴射の燃焼で、排気(9)が昇温し、この排気(9)の熱で未燃焼堆積物が気化或いは燃焼され、DPF再生前に弁上流側DOC(17)の低下した触媒機能が回復され、触媒機能の低下が進行し難い。また、白煙の原因である未燃焼堆積物がないため、白煙発生も抑えられる。
このエンジンでは、図1に例示するように、排気絞り弁(5)がDPF(7)よりも排気上流側に配置されているため、DPF(7)よりも排気下流側に配置されている場合に比べ、排気絞り弁(5)の排気上流側の排気経路(4)の容積が小さくなり、排気絞り弁(5)の開度減少で弁上流側排気圧(P0)が速やかに昇圧し、排気(9)の昇温効率が高い。
このエンジンでは、図1に例示するように、排気絞り弁(5)の排気下流側にDPF(7)が配置されるため、排気絞り弁(5)の弁鳴り音が放出され難い。
図1に示すように、クランク軸(21)の架設方向を前後方向、フライホイール(22)の配置された側を後側、その反対側を前側、前後方向と直交するエンジン幅方向を横方向とする。
図1に示すように、このエンジンは、シリンダヘッド(23)の横一側に組みつけられた吸気マニホルド(24)と、シリンダヘッド(23)の横他側に組み付けられた排気マニホルド(25)を備えている。
図1に示すように、このエンジンは、電子制御装置(8)を備えている。
電子制御装置(8)は、エンジンECUである。エンジンECUは、電子制御ユニットの略称で、マイコンである。
排気装置は、排気マニホルド(25)と、排気マニホルド(25)に接続された過給機(26)の排気タービン(26a)と、排気タービン(26a)の排気出口(26b)から導出された排気導出通路(26c)を備えている。
吸気装置は、過給機(26)のコンプレッサ(26d)と、コンプレッサ(26d)の吸気入口(26e)の吸気上流側に設けられた吸気流量センサ(16)と、コンプレッサ(26d)の過給気出口(26f)と吸気マニホルド(24)の間に配置されたインタークーラ(28)と、インタークーラ(28)と吸気マニホルド(24)の間に配置された吸気絞り弁(11)と、排気マニホルド(25)と吸気マニホルド(24)の間に配置されたEGRクーラ(30)と、EGRクーラ(30)と吸気マニホルド(24)の間に配置されたEGR弁(31)を備えている。EGRは、排気ガス還流の略称である。
吸気絞り弁(11)とEGR弁(31)は、いずれも電動式開閉弁で、これらは電子制御装置(8)を介して電源(29)に電気的に接続されている。吸気流量センサ(16)は吸気温度センサを備え、電子制御装置(8)に電気的に接続されている。電源(29)はバッテリである。
この燃料噴射装置(3)は、各燃焼室(1)に設けられた燃料噴射弁(34)と、燃料噴射弁(34)から噴射する燃料を蓄圧するコモンレール(35)と、コモンレール(35)に燃料タンク(36)から燃料を圧送する燃料サプライポンプ(37)を備えている。
燃料噴射弁(34)は電磁式開閉弁を備え、燃料サプライポンプ(37)は、電動式調圧弁を備え、これらは電子制御装置(8)を介して電源(29)に電気的に接続されている。
調速装置は、エンジンの目標回転数を設定するアクセルレバー(38)の設定位置を検出するアクセルセンサ(39)と、エンジンの実回転数を検出する実回転数センサ(40)を備え、これらセンサ(39)(40)は電子制御装置(8)に電気的に接続されている。
始動装置は、スタータモータ(41)と、キースイッチ(42)を備え、スタータモータ(41)とキースイッチ(42)は、電子制御装置(8)を介して電源(29)に電気的に接続されている。キースイッチ(42)は、OFF位置と、ON位置と、スタート位置を備えている。
エンジンの目標回転数と実回転数の回転数偏差を小さくするように、燃料噴射弁(34)からの燃料噴射量や噴射タイミングを設定し、負荷変動によるエンジンの回転数変動を小さくする。
エンジンの回転数と負荷と吸気量と吸気温度に応じ、吸気絞り弁(11)とEGR弁(31)の開度を調節し、吸気量やEGR率を調節する。
キースイッチ(42)がスタート位置に投入されると、スタータモータ(41)を駆動し、エンジンの始動を行う。キースイッチ(42)がON位置に投入されると、電源(29)からエンジン各部への通電により、エンジン運転状態が維持され、キースイッチ(42)がOFF位置に投入されると、燃料噴射弁(34)からの燃料噴射が停止され、エンジンが停止される。
図1に示すように、排気処理装置は、燃焼室(1)に燃料(2)を噴射する燃料噴射装置(3)と、排気経路(4)に配置された排気絞り弁(5)と、排気絞り弁(5)の排気上流側に配置された弁上流側DOC(17)と、排気絞り弁(5)の排気下流側に配置された弁下流側DOC(6)と、弁下流側DOC(6)の排気下流側に配置されたDPF(7)と、排気絞り弁(5)の開度と燃料噴射装置(3)の燃料噴射を制御する電子制御装置(8)を備えている。
また、このエンジンでは、図1に示すように、排気絞り弁(5)の排気下流側に弁下流側DOC(6)とDPF(7)が配置されるため、排気絞り弁(5)の弁鳴り音が排気経路(4)外に放出され難い。
図1に示す燃焼室(1)は、シリンダ内に形成されている。燃料(2)は軽油である。排気絞り弁(5)は、電動式開閉弁で、電子制御装置(8)を介して電源(29)に電気的に接続されている。DOCは、ディーゼル排気触媒の略称で、セラミックハニカム担体に白金やパラジウム等の酸化触媒成分が担持されたスルーフロー型で、排気(9)中のCO(一酸化炭素)及び、NO(一酸化窒素)を酸化する。DPFは、ディーゼル・パティキュレート・フィルタの略称で、セラミックハニカムの隣り合うセルの出入口を交互に塞いだウォールフロー型で、排気(9)中のPMを捕捉する。PMは、粒子状物質の略称である。
弁上流側DOC(17)は、排気経路(4)の途中に配置された弁上流側DOCケース(4b)内に収容されている。また、弁上流側DOC(17)と排気絞り弁(5)の間に弁上流側排気温度センサ(19)が配置されている。
弁下流側DOC(6)とDPF(7)は、排気経路(4)の途中に配置された排気処理ケース(4a)の排気上流側と下流側にそれぞれ収容されている。
図2に示すように、DPFの再生処理では、PMが堆積したDPFの再生処理の開始条件(S1)が成立した後に排気絞り弁の開度減少制御(S2)がなされ、排気が所定のアフター噴射許可温度(TA)以上の温度になった後にアフター噴射制御が開始(S5)され、アフター噴射燃料の燃焼で排気が所定のポスト噴射許可温度(TP)以上の温度になった後にポスト噴射制御が開始(S7)され、図1に示す弁上流側DOC(17)でポスト噴射燃料が触媒燃焼され、昇温した排気(9)の熱でDPF(7)に堆積したPMが焼却される。
図2に示すように、DPFの再生処理の開始条件(S1)が成立した場合には、図1に示す排気絞り弁(5)の開度減少による背圧の上昇、及びアフター噴射燃料の燃焼が起こるため、吸気絞りの場合に比べ、排気(9)の昇温効率が高く、排気温度が低い無負荷及び/又は軽負荷運転時でも、弁上流側DOC(17)及び弁下流側DOC(6)が活性化され、ポスト噴射が実施され、ポスト噴射燃料が弁上流側DOC(17)及び弁下流側DOC(6)で触媒燃焼され、昇温した排気(9)の熱でDPF(7)を再生できる。
図2に示すように、DPFの再生処理の開始条件(S1)は、DPFに堆積したPM堆積量推定値(APM)がDPFの再生処理の開始判定値(RSJ)以上になった場合に成立する。PM堆積量推定値(APM)としては、例えば、図1に示すDPF(7)の出入口間の差圧(ΔP)に基づいて、PM堆積量推定値演算装置(32)が推定する方法等がある。PM堆積量推定値演算装置(32)は、電子制御装置(8)の演算部で構成されている。
一燃焼サイクルは、4サイクルエンジンでは、吸気行程と圧縮行程と膨張行程と排気行程からなる。
プレ噴射(パイロット噴射)は、メイン噴射燃料の着火遅れを抑制するための噴射で、吸気行程中または圧縮行程中に開始される。
メイン噴射は、出力を得るための主たる噴射で、圧縮上死点前に開始される。
アフター噴射は、排気を昇温させるための噴射で、メイン噴射の後、膨張行程中に開始される。
ポスト噴射は、排気を昇温させるための噴射で、アフター噴射の後、膨張行程中に開始される。ポスト噴射は、排気行程中に開始されるものであってもよい。
ステップ(S4−1)のアフター噴射許可温度(TA)は、150°C以上、700°C以下に設定する。
ステップ(S5)のアフター噴射制御では、図1に示す弁上流側DOC(17)の入口配置温度(T)と弁下流側DOC(6)の入口側排気温度(T1)が400°C以上、700°C以下に維持されるように設定されている。
弁上流側DOC(17)の入口配置温度(T)と弁下流側DOC(6)の入口側排気温度(T1)は、弁上流側排気温度センサ(19)で検出される弁上流側排気温度(T0)から推定され、電子制御装置(8)による噴射タイミングや燃料噴射量の調節によって制御される。
ステップ(S6)のポスト噴射許可温度(TP)は、200°C以上、700°C以下に設定されている。
ポスト噴射許可温度(TP)は、アフター噴射許可温度(TA)よりも高い温度に設定されている。
ステップ(S7)のポスト噴射制御では、図1に示す弁上流側DOC(17)の入口配置温度(T)と弁下流側DOC(6)の入口側排気温度(T1)が400°C以上、700°C以下に維持されると共に、DPF(7)の入口側排気温度(T2)が550°C以上、700°C以下に維持されるように設定されている。特に、DPF(7)の入口側排気温度(T2)は、堆積したPMの異常燃焼を防止するため、700°C以下に設定することが望ましい。
ステップ(S6)のポスト噴射許可温度(TP)は、図1に示す弁上流側排気温度センサ(19)で検出される弁上流側排気温度(T0)についての判定温度であり、弁上流側排気温度(T0)は、弁上流側排気温度センサ(19)で検出され、電子制御装置(8)で制御される。
弁上流側DOC(17)の入口配置温度(T)と弁下流側DOC(6)の入口側排気温度(T1)は、弁上流側排気温度センサ(19)で検出される弁上流側排気温度(T0)から推定され、電子制御装置(8)による噴射タイミングや燃料噴射量の調節によって制御される。
DPF(7)の入口側排気温度(T2)は、DPF入口側排気温度センサ(27)で検出され、電子制御装置(8)による噴射タイミングや燃料噴射量の調節によって制御される。
なお、DPF出口側排気温度センサ(33)で検出されるDPF出口側排気温度(T3)が所定の上限温度以上の温度になった場合には、電子制御装置(8)の制御によりアフター噴射やポスト噴射は緊急停止される。
ポスト噴射では、膨張行程又は排気行程で燃焼室内に噴射が開始されたポスト噴射燃料が弁上流側DOC(17)と弁下流側DOC(6)で触媒燃焼し、排気(9)が昇温し、DPF(7)に溜まったPMが焼却除去される。
ステップ(S17−1)のアフター噴射許可温度(TA)は、150°C以上、700°C以下に設定されている。
アフター噴射制御では、図1に示す弁上流側DOC(17)の入口側排気温度(T)及び弁下流側DOC(6)の入口側排気温度(T1)が180°C以上、700°C以下に維持されるように設定されている。
アフター噴射では、膨張行程で燃焼室内に噴射されたアフター噴射燃料が排気の熱で燃焼し、無負荷及び低負荷運転で排気の温度が低い場合でも、排気が弁上流側DOC(17)及び弁下流側DOC(6)に堆積する未燃焼堆積物が気化または焼却される温度まで昇温され、未燃焼堆積物で低下した弁上流側DOC(17)及び弁下流側DOC(6)の触媒機能が回復され、触媒機能の低下が進行し難い。
このため、このエンジンでは、排気絞りと共に吸気絞りが行われるため、吸気量の減少により排気の昇温効率が高まる。
このため、このエンジンでは、弁上流側排気圧(P0)の過剰な昇圧が抑制されるため、その加圧で排気絞り弁(5)やその上流側の部品が故障し難い。
圧力上限値(Pmax)は、図1に示す排気絞り弁(11)、EGR弁(31)、過給機(26)等の仕様又は排気経路(4)の配管の気密性などから決められる。
排気絞り弁(5)は、排気経路(4)の途中に配置されている。
弁上流側排気圧(P0)は、図4の式1により、排気(9)の質量流量(G)と、弁上流側排気温度(T0)と、弁下流側排気圧(P1)から演算で算出することができる。
排気(9)の質量流量(G)は、図4の式2により、排気(9)の密度(ρ0)と排気(9)の体積流量(V)から演算で算出することができる。
排気(9)の体積流量(V)は、図4の式3により、排気(9)の質量流量(G)と燃料噴射量(Q)等から演算で算出することができる。
燃料噴射量(Q)は、1秒当たりのプレ噴射(パイロット噴射)と、メイン噴射と、アフター噴射と、ポスト噴射を加算した燃料噴射量である。
このエンジンでは,図1に示す弁下流側DOC(6)により、DPF(7)に近い位置でポスト噴射燃料を触媒燃焼させ、この触媒燃焼で昇温した高温の排気(9)を、その温度が大きく低下する前に、DPF(7)に供給することができ、DPF(7)の再生効率を高くできる。
また、このエンジンでは、無負荷及び/又は運転の継続で、弁下流側DOC(6)に未燃焼燃料やPMからなる未燃焼堆積物が堆積し、弁下流側DOC(6)の触媒機能が低下している場合でも、図2に示すように、DPFの再生開始条件(S1)が成立した場合、又は図3に示すように、弁上流側DOCの触媒機能回復処理の開始条件(S13)が成立した場合には、その後のアフター噴射やポスト噴射の燃焼により、排気(9)が大幅に昇温するため、燃焼堆積物が速やかに気化或いは燃焼し、DPF再生時又は弁上流側DOCの触媒機能回復処理時に図1に示す弁下流側DOC(6)の低下した触媒機能を回復できる。
このため、このエンジンでは、図1に示すように、弁上流側DOC(17)と弁下流側DOC(6)にフロースルー型の酸化触媒が用いられているため、背圧による出力ロスが小さく、エンジン出力を高くできる。
このため、エンジンでは、弁上流側DOC(17)のセルを通過する排気(9)の通過速度は、弁下流側DOC(6)のセルを通過する排気(9)の通過速度よりも速くなるため、弁上流側DOC(17)には未燃焼燃料やPMからなる未燃焼堆積物が堆積し難い。
このため、このエンジンでは、図1に示す弁上流側DOC(17)のセルを通過する排気(9)の通過速度は、弁下流側DOC(6)のセルを通過する排気(9)の通過速度よりも速くなるため、弁上流側DOC(17)には未燃焼燃料やPMからなる未燃焼堆積物が堆積し難い。
このため、このエンジンでは、図1に示す上流側DOC(17)の触媒機能の低下の確度が高い状況下で触媒機能回復処理を開始できるため、無駄な排気絞りやアフター噴射やポスト噴射を無くすことができる。
図2に示すように、ステップ(S1)では、DPFの再生処理の開始条件が満たされたか否かが判定される。具体的には、DPFのPM堆積量推定値(APM)がDPFの再生処理の開始判定値(RSJ)以上の値になったか否かが判別される。DPFのPM堆積量推定値(APM)は、図1に示すDPF(7)の出入口間の差圧(ΔP)に基づいてPM堆積量推定値演算装置(32)で算出される。PM堆積量推定値演算装置(32)は、電子制御装置(8)の演算部で構成されている。DPFのPM堆積量推定値(APM)は、差圧(ΔP)による算出以外の方法で算出してもよい。
図2に示すように、ステップ(S1)の判定は、肯定されるまで繰り返され、判定が肯定された場合には、ステップ(S2)に進む。
ステップ(S2)の吸気絞り弁や排気絞り弁の開度減少制御は、図1に示す吸気絞り弁(11)を駆動するアクチュエータ(11a)と、排気絞り弁(5)を駆動するアクチュエータ(5a)を電子制御装置(8)が制御することにより行われる。
ステップ(S4−1)では、弁上流側排気温度(T0)がアフター噴射許可温度(TA)以上か否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S5)に進む。
ステップ(S5)では、アフター噴射制御が開始され、ステップ(S6)に進む。
尚、ステップ(S3)での判定が否定された場合には、ステップ(S4−2)に進み、排気絞り弁の開度増加制御がなされ、ステップ(S4−1)に進む。
ステップ(S4−2)の排気絞り弁の開度増加制御は、図1に示す排気絞り弁(5)を駆動するアクチュエータ(5a)を電子制御装置(8)が制御することにより行われる。
ステップ(S4−1)での判定が否定された場合にはステップ(S3)に戻る。
ステップ(S7)では、ポスト噴射制御が開始され、ステップ(S8)に進む。
ステップ(S8)の判定は、肯定されるまで判定が繰り返され、判定が肯定された場合には、ステップ(S9)に進む。
ステップ(S9)では、ポスト噴射制御が終了されると共に、アフター噴射制御も終了され、ステップ(S10)に進む。
ステップ(S10)では、吸気絞り弁が全開にリセットされると共に、排気絞り弁も全開にリセットされ、ステップ(S1)に戻る。
ステップ(S8)のDPFの再生処理の終了条件は、図1に示すDPF(7)の入口側排気温度(T2)が所定のDPF再生処理温度以上の値を所定時間維持したこととしてもよい。
図3に示すように、ステップ(S11)では、弁上流側排気温度(T0)が無負荷及び軽負荷運転の判定温度(LJ)以下の値になったか否かが判定される。ステップ(S11)の判定は、肯定されるまで繰り返され、判定が肯定されるとステップ(S12)に進む。
ステップ(S11)では、弁上流側排気温度(T0)が無負荷又は軽負荷運転の判定温度(LJ)以下の値になったか否かを判定するようにしてもよい。
ステップ(S12)では、無負荷及び軽負荷運転時間を積算し、ステップ(S13)に進む。
ステップ(S13)では触媒機能回復処理の開始条件が満たされたか否かが判定される。具体的には、無負荷及び軽負荷の運転時間の積算値(tL)が触媒機能回復処理の開始判定値(ISJ)以上の値になったか否かが判定され、判定が肯定された場合にはステップ(S14)に進む。ステップ(S13)で判定が否定された場合には、ステップ(S11)に戻る。
ステップ(S15)では、排気絞り弁の開度減少制御と、排気絞り弁の開度減少制御が行われ、ステップ(S16)に進む。
ステップ(S15)の吸気絞り弁や排気絞り弁の開度減少制御は、前記ステップ(S2)の場合と同様にして行われる。
ステップ(S17−1)では、弁上流側排気温度(T0)がアフター噴射許可温度(TA)以上か否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S18)に進む。
ステップ(S18)では、アフター噴射制御が開始され、ステップ(S19)に進む。
ステップ(S16)での判定が否定された場合には、ステップ(S17−2)に進み、排気絞り弁の開度増加制御がなされ、ステップ(S17−1)に進む。
ステップ(S17−1)での排気絞り弁の開度減少制御は、前記ステップ(S4−2)の場合と同様にして行われる。
ステップ(S17−1)での判定が否定された場合にはステップ(S16)に戻る。
ステップ(S20)では、ポスト噴射制御が開始され、ステップ(S21)に進む。
ステップ(S21)の判定は、肯定されるまで判定が繰り返され、判定が肯定された場合には、ステップ(S22)に進む。
ステップ(S22)では、ポスト噴射制御とアフター噴射制御が終了され、ステップ(S23)に進む。
ステップ(S23)では、吸気絞り弁が全開にリセットされると共に、排気絞り弁も全開にリセットされ、ステップ(S14)下段の触媒機能回復処理時間の積算の積算値(tI)を0にリセットし、ステップ(S11)に戻る。なお、ステップ(S14)上段の無負荷及び軽負荷の運転時間の積算値(tL)の0へのリセットも、ステップ(S14)ではなく、ステップ(S23)で行ってもよい。
このエンジンでは、いずれの場合でも、未燃焼堆積物による弁上流側DOC(17)の触媒機能の低下の確度が高い状況下で、触媒機能回復処理を開始できるため、無駄な排気絞りやアフター噴射やポスト噴射を無くすことができる。
DPF(6)の再生処理を開始条件(S13)とする場合には、電子制御装置(8)で再生処理回数をカウントし、再生処理のカウント数が所定の値(例えば5回)に至った場合には、開始条件(S13)が成立するようにし、触媒機能回復処理か終了すると、再生処理のカウント数を0にリセットする。
このエンジンでは、DPFの再生処理の場合には、DPF(7)の入口側排気温度(T2)が高くなるため、DPF(7)の再生を確実に行うことができる。
このエンジンでは、DPF再生処理の場合には、アフター噴射燃料の噴射量が少ないため、その燃焼熱や、その燃焼熱で燃焼されるポスト噴射燃料も少なく、多くのポスト噴射燃料が弁上流側DOC(17)をすり抜けて、弁下流側DOC(6)で触媒燃焼し、DPF(7)の入口側排気温度(T2)が高くなる。このため、DPFの再生を確実に行うことができる。
また、弁上流側DOCの触媒機能回復処理の場合には、アフター噴射燃料が多いため、その燃焼熱により、弁上流側DOC(17)の上流側で多くのポスト噴射燃料か燃焼し、その燃焼熱で弁上流側DOC(17)に堆積した未燃焼堆積物が気化または焼却される。このため、弁上流側DOCの触媒機能回復を確実に行うことができる。
このエンジンでは、DPF再生処理の場合には、ポスト噴射燃料の噴射量が多いため、多くのポスト噴射燃料が弁上流側DOC(17)をすり抜けて、弁下流側DOC(6)で触媒燃焼し、DPF(7)の入口側排気温度(T2)が高くなる。このため、DPFの再生を確実に行うことができる。
Claims (16)
- 燃焼室(1)に燃料(2)を噴射する燃料噴射装置(3)と、排気経路(4)に配置された排気絞り弁(5)と、排気絞り弁(5)の排気上流側に配置された弁上流側DOC(17)と、排気絞り弁(5)の排気下流側に配置されたDPF(7)と、排気絞り弁(5)の開度と燃料噴射装置(3)の燃料噴射を制御する電子制御装置(8)を備え、
DPFの再生処理と、弁上流側DOCの触媒機能機能回復処理がなされるように構成され、
DPFの再生処理では、PMが堆積したDPFの再生処理の開始条件(S1)が成立した後に排気絞り弁の開度減少制御(S2)がなされ、排気が所定のアフター噴射許可温度(TA)以上の温度になった後にアフター噴射制御が開始(S5)され、アフター噴射燃料の燃焼で排気が所定のポスト噴射許可温度(TP)以上の温度になった後にポスト噴射制御が開始(S7)され、弁上流側DOC(17)でポスト噴射燃料が触媒燃焼され、昇温した排気(9)の熱でDPF(7)に堆積したPMが焼却され、
弁上流側DOCの触媒機能機能回復処理では、未燃燃料やPMからなる未燃焼堆積物の堆積に基づいて機能低下した弁上流側DOCの触媒機能回復処理の開始条件(S13)が成立した後に排気絞り弁の開度減少制御(S15)がなされ、排気が所定のアフター噴射許可温度(TA)以上の温度になった後にアフター噴射制御が開始(S18)され、アフター噴射燃料の燃焼で排気が所定のポスト噴射燃料許可温度(TP)以上の温度になった後にポスト噴射制御が開始(S20)され、アフター噴射燃料の燃焼熱でポスト噴射燃料が燃焼され、昇温した排気(9)の熱で、弁上流側DOC(17)に堆積した未燃焼堆積物が気化または焼却されるように構成されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項1に記載されたディーゼルエンジンにおいて、
吸気経路(10)に配置された吸気絞り弁(11)を備え、その開度が電子制御装置(8)で制御されるように構成され、
DPFの再生処理の開始条件(S1)が成立した後、又は弁上流側DOCの触媒機能回復処理の開始条件(S13)が成立した後に、排気絞り弁(5)の開度減少制御(S2)(S15)がなされると共に、吸気絞り弁(11)の開度減少制御(S2)(S15)がなされるように構成されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項1または請求項2に記載されたディーゼルエンジンにおいて、
排気絞り弁の開度減少制御(S2)(S15)がなされた後、弁上流側排気圧(P0)が所定の圧力上限値(Pmax)を超えた場合には、その後に排気絞り弁の開度増加制御(S4−2)(S17−2)がなされるように構成されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項3に記載されたディーゼルエンジンにおいて、
弁上流側排気圧(P0)の演算装置(12)を備え、弁上流側排気圧(P0)は、排気の質量流量(G)と、弁上流側排気温度(T0)と、弁下流側排気圧(P1)から演算で算出されるように構成されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項4に記載されたディーゼルエンジンにおいて、
DPF(7)の出入口間の差圧(ΔP)を検出する差圧センサ(13)と、大気圧(P3)を検出する大気圧センサ(14)を備え、
弁下流側排気圧(P1)は、DPFの出入口間の差圧(ΔP)と大気圧(P3)から演算で算出されるように構成されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項4または請求項5に記載されたディーゼルエンジンにおいて、
弁上流側排気温度センサ(19)を備え、これで検出される弁上流側排気温度(T0)が、弁上流側排気圧(P0)の演算に用いられていると共に、アフター噴射許可温度(TA)及びポスト噴射許可温度(TP)との温度比較判定に用いられてい - 請求項1から請求項6のいずれかに記載されたディーゼルエンジンにおいて、
排気絞り弁(5)とDPF(7)の間に配置される弁下流側DOC(6)を備えている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項7に記載されたディーゼルエンジンにおいて、
弁上流側DOC(17)と弁下流側DOC(6)には、セル内を排気が通過するハニカム担体に触媒成分を担持させたフロースルー型の酸化触媒が用いられている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項8に記載されたディーゼルエンジンにおいて、
弁上流側DOC(17)の径は、弁下流側DOC(6)の径よりも小さく形成されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項8または請求項9に記載されたディーゼルエンジンにおいて、
弁上流側DOC(17)のセル密度は、弁下流側DOC(6)のセル密度よりも大きく形成されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項7から請求項10のいずれかに記載されたディーゼルエンジンにおいて、
DPFの再生処理の場合には、弁上流側DOCの触媒機能回復処理の場合よりも、DPF(7)の入口側排気温度(T2)が高くなるように設定されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項11に記載されたディーゼルエンジンにおいて、
DPFの再生処理の場合には、弁上流側DOCの触媒機能回復処理の場合よりも、アフター噴射燃料の噴射量が少なくなるように設定されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項11または請求項12に記載されたディーゼルエンジンにおいて、
DPFの再生処理の場合には、弁上流側DOCの触媒機能回復処理の場合よりも、ポスト噴射燃料の噴射量が多くなるように設定されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項1から請求項13のいずれかに記載されたディーゼルエンジンにおいて、
無負荷及び/又は軽負荷運転の運転時間を積算する運転時間積算装置(18)を備え、
無負荷及び/又は軽負荷の運転時間の積算値(tL)が所定の触媒機能回復処理の開始判定値(ISJ)に至った場合には、弁上流側DOC(17)の触媒機能回復処理の開始条件(S13)が成立するように構成されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項1から請求項14のいずれかに記載されたディーゼルエンジンにおいて、
弁上流側排気圧(P0)が所定の触媒機能回復処理の開始判定値(ISJ)に至った場合には、弁上流側DOC(17)の触媒機能回復処理の開始条件(S13)が成立するように構成されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項1から請求項15のいずれかに記載されたディーゼルエンジンにおいて、
DPF(6)の再生処理回数が所定の触媒機能回復処理の開始判定値(ISJ)に至った場合には、弁上流側DOC(17)の触媒機能回復処理の開始条件(S13)が成立するように構成されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
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