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JP2021060167A - 伝熱体、熱交換ユニットおよび伝熱体取付方法 - Google Patents

伝熱体、熱交換ユニットおよび伝熱体取付方法 Download PDF

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英輝 森内
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Abstract

【課題】基材に柔軟性および被伝熱物への追従性を持たせることができ、また、十分な伝熱効果を得ることができる伝熱体、熱交換ユニットおよび伝熱体取付方法を提供する。【解決手段】伝熱体10は、少なくとも金属繊維を含む、被伝熱物に取り付けられるべき基材20と、一部分が基材20の金属繊維に融着し、その他の部分が露出している伝熱部30とを備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、被伝熱物から放熱したり被伝熱物に熱を与えたりするための伝熱体、このような伝熱体を備えた熱交換ユニットおよびこのような伝熱体を被伝熱物に取り付ける伝熱体取付方法に関する。
従来から、発熱する電気部品や電子部品等の被冷却物から放熱を行うために放熱体や放熱材として様々な種類のものが用いられている。このような放熱体等として、平板状の基部と、基部の上面から立設し、かつ、互いにほぼ平行に配置された複数の板状部材とを有するものが知られている。また、他の種類の放熱体等として、平板状の基部と、基部の上面から立設し、かつ、格子線の各交点上に配置された複数の棒状部材とを有するものが用いられてもよい。このような放熱体等では、少なくとも平板状の基部がソリッド材(すなわち、温度が変化してもほとんど伸縮しない部材)から形成されている。このため、放熱体等を被冷却物に取り付けた後、外部環境の変化によって被冷却物が伸縮した場合に、放熱体等の基部がこの被冷却物の伸縮と同じように伸縮することができず、よって被冷却物と放熱体等との間に隙間が生じてしまうため冷却効率が低下するという問題があった。
また、従来の放熱体等として、特許文献1乃至4に開示されるものが従来から知られている。ここで、特許文献1乃至3に開示される放熱体等は略平板状となっている。より詳細には、特許文献1に開示される放熱体は、金属繊維、金属細線、金属箔およびセラミックス繊維から選択される少なくとも1種の熱伝導性素材の集合体から構成されたものである。また、特許文献2や特許文献3に開示される放熱材等は、フレキシブルな基材(例えば、ゲル状材料から形成されるもの等)から構成されたものである。
また、特許文献4に開示される放熱フィンは、平板状の基部と、基部の上面から立設し、かつ、互いにほぼ平行に配置された複数の薄板状のフィンとを有しており、これらの基部および複数のフィンは一体的に形成されている。このような放熱フィンにおいて、基材および各フィンを厚み方向から見た際に、繊維状フィラーが基部および各フィンのそれぞれにおいて平面方向に配向されている。
特開平5−299545号公報 特開2000−101005号公報 特開2002−88171号公報 国際特許出願公開公報WO2017/061307A1
しかしながら、特許文献1に開示される放熱体は、金属繊維、金属細線、金属箔およびセラミックス繊維から選択される少なくとも1種の熱伝導性素材の集合体から構成されたものであるため、この放熱体の内部には間隙が形成されており、この間隙に含まれる空気により断熱効果がもたらされる。また、特許文献1に開示される放熱体は平板状のものである。これらの理由により、特許文献1に開示される放熱体では被冷却物から十分に放熱することができないおそれがある。また、特許文献2や3に開示される放熱材等は被冷却物に接していないためこの被冷却物から十分に放熱することができないおそれがある。また、特許文献4に開示される放熱フィンは抄造成形体であり、この抄造成形体には、熱硬化性樹脂と、繊維状フィラーと、粉末状フィラーとが含まれる。この場合には抄造成形体はソリッド状のものとなるため、外部環境の変化によって被冷却物が伸縮した場合に、放熱フィンの基部が被冷却物の伸縮と同じように伸縮することができず、よって被冷却物と放熱体等との間に隙間が生じてしまうため冷却効率が低下してしまうおそれがある。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、基材に柔軟性および被伝熱物への追従性を持たせることができ、また、十分な伝熱効果を得ることができる伝熱体、熱交換ユニットおよび伝熱体取付方法を提供することを目的とする。
本発明の伝熱体は、少なくとも金属繊維を含む、被伝熱物に取り付けられるべき基材と、一部分が前記基材の金属繊維に融着し、その他の部分が露出している伝熱部と、を備えたことを特徴とする。
本発明の熱交換ユニットは、少なくとも金属繊維を含む基材と、一部分が前記基材の金属繊維に融着し、その他の部分が露出している伝熱部と、前記基材が取り付けられる被伝熱物と、を備えたことを特徴とする。
本発明の伝熱体取付方法は、少なくとも金属繊維を含む基材と、一部分が前記基材の金属繊維に融着し、その他の部分が露出している伝熱部とを有する伝熱体を準備する工程と、前記伝熱体の前記基材を被伝熱物に取り付ける工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明の伝熱体、熱交換ユニットおよび伝熱体取付方法によれば、基材に柔軟性および被伝熱物への追従性を持たせることができ、また、十分な伝熱効果を得ることができる。
本発明の実施の形態による伝熱体の斜視図である。 図1に示す伝熱体の上面図である。 図1に示す伝熱体の側面図である。 図1等に示す伝熱体において基材に対する伝熱部の各棒状部材の取り付け状態の一例を示す構成図である。 図1等に示す伝熱体において基材に対する伝熱部の各棒状部材の取り付け状態の他の例を示す構成図である。 図1等に示す伝熱体の基材が被伝熱物に取り付けられた熱交換ユニットの断面図である。 本発明の実施の形態による他の例に係る伝熱体の斜視図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図7は、本実施の形態による伝熱体およびこのような伝熱体の基材が被伝熱物に取り付けられた熱交換ユニットを示す図である。本実施の形態による伝熱体は、発熱する電気部品や電子部品等の被伝熱物に取り付けられることにより、これらの被伝熱物から放熱を行うものである。また、本実施の形態による伝熱体は、冷却水や冷却ガス等の媒体が中を通るパイプの外周面に取り付けられることにより、周囲の環境から熱を奪って冷却するような熱交換ユニットの一部として用いられてもよい。
図1乃至図3に示すように、本実施の形態の伝熱体10は、被伝熱物に取り付けられるべき平板状の基材20と、基材20に取り付けられている複数の棒状部材から構成される伝熱部30とを備えている。基材20は、少なくとも金属繊維を含んでいる。基材20に含まれる金属繊維として、金属被覆繊維が用いられてもよい。また、基材20の金属繊維は、湿式または乾式の不織布、織布およびメッシュ等のうち少なくとも一つのものである。好ましくは、基材20として、金属繊維間が結着された金属繊維不織布が用いられる。
基材20に含まれる金属繊維を構成する金属の具体例としては、特に限定されないが、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、青銅、黄銅、ニッケルおよびクロム等からなる群から選択されたもの、あるいは、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウムおよびオスミウム等からなる群から選択された貴金属であってもよい。この中でも、銅繊維およびアルミニウム繊維は、熱伝導性がすぐれており、また剛直性と塑性変形性とのバランスが適度であるため好ましい。
基材20として、繊維間が結着された金属繊維不織布が用いられる場合について以下に詳述する。金属繊維不織布は、金属繊維のみから構成されていてもよいし、金属繊維に加えて金属繊維以外のもの(例えば、アルミナ粒子等の熱伝導性粒子)を有していてもよい。金属繊維間が結着しているとは、金属繊維が物理的に固定されている状態を指し、金属繊維が物理的に固定されている部位を結着部という。結着部では、金属繊維同士が直接的に固定されていてもよいし、金属繊維の一部同士が金属成分以外の成分を介して間接的に固定されていてもよい。金属成分以外の成分としては、ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アラミド樹脂、ナイロンおよびアクリル系樹脂等、ならびにこれらの樹脂からなる繊維状物を例示できる。更には、金属繊維に対して結着性および担持性を有する有機物等を結着部に使用することもできる。
金属繊維の平均繊維径は、不織布の均質性を損なわない範囲で任意に設定可能であるが、好ましくは1μm〜30μmの範囲内の大きさであり、更に好ましくは2μm〜20μmの範囲内の大きさである。金属繊維の平均繊維径が1μm以上であれば、金属繊維の適度な剛直性が得られるため、不織布にする際にいわゆるダマが発生しにくい傾向がある。金属繊維の平均繊維径が30μm以下であれば、金属繊維の適度な可撓性が得られるため、繊維が適度に交差しやすい傾向がある。なお、金属繊維の平均繊維径は不織布とするのに支障がない範囲内において小さい方が金属繊維不織布の均質性を高め易くなるため好ましい。また、本明細書における「平均繊維径」とは、顕微鏡で撮像された金属繊維不織布の長手方向に対する任意の垂直断面における、金属繊維の断面積を算出し(例えば、公知ソフトにて算出する)、当該断面積と同一面積を有する円の直径を算出することにより導かれた面積径の平均値(例えば、20個の繊維の平均値)である。
また、金属繊維の長手方向に垂直な断面形状は円形、楕円形、略四角形、不定形等いずれであっても良いが、好ましくは円形である。ここで、円形断面とは、金属繊維不織布の生産を実施する上で受ける応力において、曲部を生じ易い程度の円断面形状であれば良いため、真円断面である必要はない。
金属繊維の平均繊維長は、1mm〜10mmの範囲内であることが好ましく、更に好ましくは、3mm〜5mmの範囲である。なお、金属繊維の繊維長は不織布とするのに支障がない範囲内において短い方が金属繊維不織布の均質性を高めやすくなるため好ましい。平均繊維長が1mm〜10mmの範囲内であると、例えば、抄造によって金属繊維不織布を作製する場合に、いわゆる金属繊維のダマが生じにくく、金属繊維の分散の度合いを制御しやすくなると共に、金属繊維同士が適度に交絡するため、金属繊維不織布のハンドリング強度の向上効果をも発揮しやすくなる。なお、本明細書における「平均繊維長」とは、顕微鏡で20本を測定し、測定値を平均した値である。
なお、基材20として金属繊維不織布ではなく金属繊維の織布を用いてもよい。金属繊維の織布にも伸縮可能なものがあるため、このような伸縮可能な金属繊維の織布から構成される基材20を用いた場合には、当該基材20が取り付けられた被伝熱物が伸縮したときに基材20が追随して伸縮する。このことにより、基材20と被伝熱物との間に隙間が生じてしまうことを防止することができる。
基材20の厚みは、任意の厚さに調整可能であるが、例えば1mm〜50mmの範囲内であることが好ましく、2mm〜10mmの範囲内であることがより好ましい。本明細書における「基材20の厚み」とは、空気による端子落下方式の膜厚計(例えば、ミツトヨ社製:デジマチックインジケータID−C112X)により、任意の数の測定点を測定した場合の平均値をいう。
基材20における金属繊維の占積率は、5〜50%の範囲内であることが好ましく、15%〜40%の範囲内であることがより好ましい。金属繊維の占積率が5%以上の場合には、金属繊維の量が十分であるため適度な均質性が得られる。また、金属繊維の占積率が50%以下であれば、適度な均質性に加え、金属繊維不織布の所望の可撓性が得られる。本明細書における「基材20における金属繊維の占積率」とは、基材20の体積に対して金属繊維が存在する部分の割合である。
JIS P8113に準拠した基材20の伸び率(引張破断伸び)は50ppm〜50,000ppmの範囲内の大きさであることが好ましく、100ppm〜20,000ppmの範囲内の大きさであることがより好ましく、200ppm〜5,000ppmの範囲内の大きさであることが更に好ましい。基材20が適度な伸び率を有することにより、例えば絶縁層等の被伝熱物に沿って基材20が折り曲げられた場合、基材20の折り曲げ部の外側に伸びしろがあることにより、座屈せずに被伝熱物に追従しやすくなる効果を奏する。具体的には、基材20の伸び率が100ppmよりも小さい場合には、基材20が取り付けられた被伝熱物が伸縮しても基材20が被伝熱物に追随して伸縮することができず、基材20と被伝熱物との間に隙間が生じるおそれがある。一方、基材20の伸び率が50,000ppmよりも大きい場合には、基材20の強度が弱くなってしまったり、基材20の伝熱性が悪くなってしまったりするおそれがある。このような基材20の伸び率は、金属繊維の平均繊維長、金属繊維の平均繊維径、基材20における金属繊維の占積率、金属繊維間の距離等によって決まる。本明細書における「基材20の伸び率」は、JIS P8113(ISO 1924−2)に準拠して測定した値をいう。具体的には、試験片の面積を15mm×180mmとなるように調整し、引っ張り試験機(エーアンドディー社製 製品名:RTG1210)を使用し、引張速度30mm/minにて測定して求めることができる。
本実施の形態により基材20は、少なくとも上述した金属繊維を含んでいるため、基材20に柔軟性および被伝熱物への追従性を持たせることができるようになる。具体的には、例えば基材20が取り付けられた被伝熱物が伸縮した場合でも、このような被伝熱物の伸縮に合わせて基材20が伸縮することにより、被伝熱物と基材20との間に隙間が形成されてしまうことを防止することができる。
次に、伝熱部30の構成について説明する。図1乃至図3に示すように、伝熱部30は、基材20から外側に延びる複数の棒状部材を有しており、各棒状部材は格子線の各交点上に配置されている。このような各棒状部材は例えば金属等から構成されている。より好ましくは、基材20に含まれる金属繊維を構成する金属の種類と、伝熱部30の各棒状部材を構成する金属の種類とが同一である。この場合には、基材20および伝熱部30が同じ種類の金属から形成されていることにより、基材20と伝熱部30との間で界面腐食が生じることを抑制することができる。すなわち、基材20に含まれる金属繊維を構成する金属の種類と、伝熱部30の各棒状部材を構成する金属の種類とが異なる場合には、両者の金属の間の電位差により電流が流れてしまい金属に穴が形成されてしまうおそれがある。
上述したように、基材20に含まれる金属繊維を構成する金属の種類と、伝熱部30の各棒状部材を構成する金属の種類とが同一であることが好ましいが、本実施の形態はこのような態様に限定されることはない。他の態様として、基材20に含まれる金属繊維を構成する金属の種類と、伝熱部30の各棒状部材を構成する金属の種類とが互いに異なる伝熱体10が用いられてもよい。
また、図3および図4に示すように、伝熱部30を構成する各棒状部材は、一部分が基材20の金属繊維に融着し、その他の部分が露出している。なお、図4に示すように、伝熱部30を構成する各棒状部材の端部が、基材20の厚さ方向において当該基材20の途中の箇所まで延びていてもよい。あるいは、図5に示すように、伝熱部30を構成する各棒状部材が、基材20を貫通していてもよい。本明細書では、「基材20の金属繊維に融着する」とは、焼結、伝熱性物質による接合等を含むものである。
例えば、伝熱部30を構成する各棒状部材の長さは、0.5〜50mmの範囲内の大きさであることが好ましく、1mm〜30mmの範囲内の大きさであることがより好ましい。さらに好ましくは、伝熱部30を構成する各棒状部材の長さは5mm〜20mmの範囲内の大きさである。また、伝熱部30を構成する各棒状部材の直径は、0.1〜5mmの範囲内の大きさであることが好ましく、0.5〜3mmの範囲内の大きさであることがより好ましい。この範囲内であれば、十分な伝熱効果を得ることができる。
このような基材20および伝熱部30を備えた伝熱体10の製造方法について説明する。まず、金属繊維等を水中に分散させて抄造スラリーを得る。次に、得られた抄造スラリーをバッチ式抄造装置に投入する。そして、抄造スラリーが投入されたバッチ式抄造装置の槽内に、伝熱部30となる棒状部材を、下部が抄造網に接し、上部は固定した状態でセットする。その後、濾水することで、少なくとも金属繊維を含む基材20に伝熱部30の各棒状部材が法線方向に立った伝熱体10を得ることができる。なお、濾水した後で、伝熱部30となる棒状部材を基材20に立ててもよい。そして、基材20に伝熱部30の各棒状部材が法線方向に立った状態を保ったまま、例えば水素ガス75%、窒素ガス25%の雰囲気中で焼結することで、伝熱部30を構成する棒状部材の一部分が基材20の金属繊維に融着した伝熱体10を得ることができる。
次に、伝熱体10を被伝熱物に取り付ける方法について説明する。まず、発熱する電気部品や電子部品等の被伝熱物の放熱を行う場合について述べる。被伝熱物の放熱を行うために、伝熱体10の基材20を被伝熱物に取り付ける。被伝熱物における基材20が取り付けられる箇所が平面である場合には、融着、ボルド止め、ネジ止め、接着剤等により伝熱体10の基材20が被伝熱物に取り付けられる。また、伝熱体10の基材20を被伝熱物に取り付ける代わりに、単に被伝熱物の上に伝熱体10の基材20を載せるだけでもよい。また、被伝熱物における基材20が取り付けられる箇所が平面ではなく曲面や凹凸面、粗面であっても、基材20は少なくとも金属繊維を含むため、被伝熱物における基材20が取り付けられる箇所の形状に沿って基材20を変形させることができ、よって基材20と被伝熱物との間に隙間が生じることを抑制することができる。
伝熱体10の基材20を被伝熱物に取り付ける際に、基材20の中に、または基材20と被伝熱物との間に、熱伝導性グリース等の伝熱補助剤を注入してもよい。伝熱補助剤としては、液状の樹脂、好ましくは液状の熱硬化性樹脂が用いられる。また、伝熱補助剤として、熱伝導性フィラーを含む液状のゴムが用いられてもよい。このような伝熱補助剤を基材20の中に、または基材20と被伝熱物との間に注入することにより、より効率よく被伝熱物から放熱することができるようになる。とりわけ、基材20が金属繊維不織布を含む場合には、金属繊維不織布が伝熱補助剤の保持体を兼ね、基材20に伝熱補助剤を保持させることができるようになるので、被伝熱物が伸縮しても基材20の中や基材20と被伝熱物との間から伝熱補助剤が漏れ出てしまうことを抑制することができる。
伝熱体10の基材20が被伝熱物に取り付けられたときに、被伝熱物が伸縮した場合でも、基材20が少なくとも金属繊維を含むことによりこの基材20に柔軟性および被伝熱物への追従性を持たせることができ、よって基材20と被伝熱物との間に隙間が生じなくなる。このため、十分な伝熱性を維持することができる。また、基材20の金属繊維にその一部分が融着している伝熱部30におけるその他の部分が露出しているため、伝熱体10は十分な伝熱効果を得ることができる。
次に、冷却水や冷却ガス等の媒体が中を通るパイプの外周面に伝熱体10を取り付けることにより、周囲の環境から熱を奪って冷却するような熱交換器の一部として伝熱体10を用いる場合について図6を用いて説明する。図6に示すように、被伝熱物として用いられるパイプ40の外周面に伝熱体10の基材20を融着、ボルド止め、ネジ止め、接着剤等により取り付ける。この際に、基材20は少なくとも金属繊維を含むため、パイプの外周面の曲面に沿って基材20を曲げることができ、よって基材20とパイプ40との間に隙間が生じることを抑制することができる。このため、十分な伝熱性を維持することができる。また、パイプ40の外周面に伝熱体10の基材20を取り付ける際に、基材20の中に、または基材20とパイプ40との間に、上述した熱伝導性グリース等の伝熱補助剤を注入する。このことにより、より効率よく周囲の環境から熱を奪って冷却することができるようになる。
周囲の環境から熱を奪って冷却するためにパイプ40に伝熱体10の基材20が取り付けられたときに、パイプ40が伸縮した場合でも、基材20が少なくとも金属繊維を含むことによりこの基材20に柔軟性および被伝熱物への追従性を持たせることができ、よって基材20とパイプ40との間に隙間が生じなくなる。このため、十分な伝熱性を維持することができる。また、この場合でも、基材20の金属繊維にその一部分が融着している伝熱部30におけるその他の部分が露出しているため、伝熱体10は十分な伝熱効果を得ることができる。
なお、本実施の形態では、図6に示すように、少なくとも金属繊維を含む基材20と、一部分が基材20の金属繊維に融着し、その他の部分が露出している伝熱部30と、基材20が取り付けられる被伝熱物(具体的には、パイプ40)とを組み合わせることにより、熱交換ユニットが構成されている。また、このような熱交換ユニットにおいて、基材20と被伝熱物との間、または基材20に伝熱補助剤が含まれている。
なお、本実施の形態による伝熱体や熱交換ユニットは、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、伝熱部の各棒状部材は格子線の各交点上に配置されるものに限定されない。他の態様に係る伝熱体として、伝熱部の各棒状部材が基材上にランダムに配置されるものが用いられてもよい。
また、本実施の形態による伝熱体として、図7に示すような構成のものが用いられてもよい。図7に示す伝熱体10aは、被伝熱物に取り付けられるべき平板状の基材20と、基材20に取り付けられている複数の板状部材から構成される伝熱部32とを備えている。図7に示す伝熱体10aにおける基材20は、図1乃至図6に示す伝熱体10における基材20と略同一の構成となっているためその説明を省略する。伝熱部32は、基材20から外側に延びる複数の板状部材を有しており、各板状部材は略平行に延びるよう配置されている。このような各板状部材は例えば金属等から構成されている。より好ましくは、基材20に含まれる金属繊維を構成する金属の種類と、伝熱部32の各板状部材を構成する金属の種類とが同一である。この場合には、基材20および伝熱部32が同じ種類の金属から形成されていることにより、基材20と伝熱部32との間で界面腐食が生じることを抑制することができる。なお、本実施の形態はこのような態様に限定されることはない。他の態様において、基材20に含まれる金属繊維を構成する金属の種類と、伝熱部32の各板状部材を構成する金属の種類とが互いに異なっていてもよい。
また、伝熱部32を構成する各板状部材は、一部分が基材20の金属繊維に融着し、その他の部分が露出している。なお、伝熱部32を構成する各板状部材の端部が、基材20の厚さ方向において当該基材20の途中の箇所まで延びていてもよい。あるいは、伝熱部32を構成する各板状部材が、基材20を貫通していてもよい。伝熱部32を構成する各板状部材の長さは、1〜50mmの範囲内の大きさであることが好ましく、10mm〜30mmの範囲内の大きさであることがより好ましい。また、伝熱部32を構成する各板状部材の厚さは、0.1〜5mmの範囲内の大きさであることが好ましく、0.5〜3mmの範囲内の大きさであることがより好ましい。
図7に示すような伝熱体10aを用いた場合にも、図1乃至図6に示すような伝熱体10を用いた場合と同様に、被伝熱物に取り付けられるべき基材20が少なくとも金属繊維を含むことによりこの基材20に柔軟性および被伝熱物への追従性を持たせることができ、また、基材20の金属繊維にその一部分が融着している伝熱部32におけるその他の部分が露出しているため十分な伝熱効果を得ることができる。
また、更に別の例として、伝熱体の伝熱部は、棒状部材や板状部材以外の形状の部材から形成されていてもよい。また、伝熱部の材料は金属であることに限定されない。
また、伝熱体の基材として、少なくとも金属繊維を含むものであれば、金属繊維不織布以外のものが用いられてもよい。また、基材の形状は平板状に限定されることはない。
10 伝熱体
10a 伝熱体
20 基材
30 伝熱部
32 伝熱部
40 パイプ

Claims (16)

  1. 少なくとも金属繊維を含む、被伝熱物に取り付けられるべき基材と、
    一部分が前記基材の金属繊維に融着し、その他の部分が露出している伝熱部と、
    を備えた、伝熱体。
  2. 前記基材は平板状である、請求項1記載の伝熱体。
  3. 前記伝熱部は、前記基材から外側に延びる棒状部材を含む、請求項1または2記載の伝熱体。
  4. 前記伝熱部において前記棒状部材は複数設けられており、各前記棒状部材は格子線の各交点上に配置されている、請求項3記載の伝熱体。
  5. 前記伝熱部は、前記基材から外側に延びる板状部材を含む、請求項1または2記載の伝熱体。
  6. 前記伝熱体において前記板状部材は複数設けられており、各前記板状部材は略平行に延びるよう配置されている、請求項5記載の伝熱体。
  7. JIS P8113に準拠した前記基材の伸び率は50ppm〜50,000ppmの範囲内の大きさである、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の伝熱体。
  8. JIS P8113に準拠した前記基材の伸び率は100ppm〜20,000ppmの範囲内の大きさである、請求項7記載の伝熱体。
  9. JIS P8113に準拠した前記基材の伸び率は200ppm〜5,000ppmの範囲内の大きさである、請求項8記載の伝熱体。
  10. 前記基材の前記金属繊維は銅繊維またはアルミニウム繊維である、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の伝熱体。
  11. 前記基材の前記金属繊維は不織布である、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の伝熱体。
  12. 前記基材および前記伝熱部は同じ材料から形成されている、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の伝熱体。
  13. 少なくとも金属繊維を含む基材と、
    一部分が前記基材の金属繊維に融着し、その他の部分が露出している伝熱部と、
    前記基材が取り付けられる被伝熱物と、
    を備えた、熱交換ユニット。
  14. 前記基材と前記被伝熱物との間、または前記基材に伝熱補助剤が含まれている、請求項13記載の熱交換ユニット。
  15. 少なくとも金属繊維を含む基材と、一部分が前記基材の金属繊維に融着し、その他の部分が露出している伝熱部とを有する伝熱体を準備する工程と、
    前記伝熱体の前記基材を被伝熱物に取り付ける工程と、
    を備えた、伝熱体取付方法。
  16. 前記伝熱体の前記基材を前記被伝熱物に取り付ける工程において、前記基材と前記被伝熱物との間または前記基材に伝熱補助剤を供給する、請求項15記載の伝熱体取付方法。
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