JP2021049168A - 癒合促進デバイスおよび医療デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】外科手術等の術後における縫合不全のリスクを低減させることができる癒合促進デバイスおよび医療デバイスを提供する。【解決手段】癒合促進デバイス100は、接合対象となる生体器官の間に配置され、生体組織の癒合を促進する本体部20と、本体部の内方側に向けて突出し生体組織に対して少なくとも部分的に引掛可能な第1引掛部30cが形成された保持部30と、を有する。【選択図】図1A
Description
本発明は、癒合促進デバイスおよび医療デバイスに関する。
医療の分野において、生体器官を外科的手術により接合する手技(例えば、消化管の吻合術)が知られている。上記のような手技が行われた場合、生体器官同士が接合された接合部における癒合の遅延が生じないことが術後の予後決定因子として重要であることも知られている。
生体器官を接合する手技では種々の方法や医療器具が用いられるが、例えば、生分解性の縫合糸により生体器官を縫合する方法や、ステープラーによる吻合を行う機械式の接合装置(特許文献1を参照)を利用する方法が提案されている。特に、機械式の接合装置を利用して吻合術を行う場合、縫合糸を用いた方法と比較して接合部における生体器官同士の接合力を高めることができるため、縫合不全のリスクを低減させることが可能になる。
しかしながら、接合部における癒合の進行の程度は、患者の接合対象部位(被接合部位)における生体組織の状態等にも依存する。そのため、例えば、特許文献1に記載されているような接合装置を使用した場合においても、患者の生体組織の状態如何によっては、縫合不全のリスクを十分に低減させることができない可能性もある。
そこで本発明は、外科手術等の術後における縫合不全のリスクを低減させることができる癒合促進デバイスおよび医療デバイスを提供することを目的とする。
本発明に係る癒合促進デバイスは、接合対象となる生体器官の間に配置され、生体組織の癒合を促進する本体部と、前記本体部の内方側に向けて突出し前記生体組織に対して少なくとも部分的に引掛可能な第1引掛部が形成された保持部と、を有する。
本発明に係る医療デバイスは、癒合促進デバイスと、前記保持部を少なくとも部分的に収容する収容部を有し、取り外し可能なカバー部材と、を有する。
本発明に係る癒合促進デバイスおよび医療デバイスによれば、接合対象となる生体器官の間に本体部を挟み込ませることにより、生体器官の生体組織の癒合を促進することができる。また、術者は、手技が行われている間、保持部を利用して接合対象の生体器官に対する本体部の保持を補助することにより、本体部が生体器官からズレたり、ヨレて変形したりすることを防止できる。そのため、術者は、生体器官の縫合不全のリスクを効果的に低減させることができる。
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張され、実際の比率とは異なる場合がある。
図1Aは、癒合促進デバイス100を表面21(保持部30が設けられている面)側から視た斜視図である。図1Bは、癒合促進デバイス100を裏面23側から視た斜視図である。図2は、図1Aの2−2線に沿う断面の一部を拡大して示す断面図である。
(第1実施形態)
<癒合促進デバイス100>
図1Aに示すように、癒合促進デバイス100は、接合対象となる生体器官の間に配置され、生体組織の癒合を促進する本体部20と、生体組織に対する癒合促進デバイス100の保持を補助する保持部30と、を有する。
<癒合促進デバイス100>
図1Aに示すように、癒合促進デバイス100は、接合対象となる生体器官の間に配置され、生体組織の癒合を促進する本体部20と、生体組織に対する癒合促進デバイス100の保持を補助する保持部30と、を有する。
癒合促進デバイス100は、図8〜図11に示すように、所定の生体器官同士を接合する手技(例えば、消化管の吻合術)に適用することができる。後述するように、本明細書の説明では、癒合促進デバイス100を使用した手技例として大腸吻合術を説明する。
<本体部20>
図1Aおよび図1Bに示すように、本体部20は、シート状の部材で構成している。
図1Aおよび図1Bに示すように、本体部20は、シート状の部材で構成している。
本体部20に形成された各貫通孔24は、図1Aおよび図1Bに示すように、本体部20の面方向において規則的かつ周期的に設けられている。ただし、各貫通孔24は、本体部20の面方向の各部においてランダムに設けられていてもよい。
各貫通孔24は、図2に示すように、本体部20の厚み方向(図2の上下方向)に沿って表面21と裏面23との間で略垂直に延びている。なお、各貫通孔24は、本体部20の厚み方向に沿う断面において、表面21と裏面23との間でジグザグ状に屈曲していたり、湾曲していたりしてもよい。
各貫通孔24は、略円形の平面形状(本体部20の表面21又は本体部20の裏面23を平面視した際の形状)を有する。ただし、各貫通孔24の平面形状は、特に限定されず、例えば、楕円形や多角形(矩形や三角形等)であってもよい。また、貫通孔24ごとに平面形状や断面形状が異なっていてもよい。
本体部20は、略円形の平面形状を有する。ただし、本体部20の平面形状は、特に限定されず、例えば、楕円形や多角形(矩形や三角形等)であってもよい。
本体部20の厚み(図2に示す寸法T)は特に制限されないが、好ましくは0.05〜0.3mmであり、より好ましくは0.1〜0.2mmである。本体部20の厚みが0.05mm以上である場合(特に0.1mm以上である場合)、癒合促進デバイス100の取り扱い時に本体部20が破損しない程度の強度を備えさせることができる。一方、本体部20の厚みが0.3mm以下である場合(特に0.2mm以下である場合)、本体部20が適用される生体組織に本体部20が密着して生体組織に追随するのに十分な柔軟性を備えさせることができる。
本体部20は、貫通孔24のピッチP(図2に示す距離Pであり、隣接する貫通孔24の間の距離)に対する貫通孔24の孔径D(図2に示す距離D)の比の値が、0.25以上40未満であることが好ましい。なお、貫通孔24の平面形状が真円である場合、貫通孔24の孔径Dは真円の直径に等しくなる。一方、貫通孔24の平面形状が真円ではない場合には、貫通孔24の開口部(貫通孔24において表面21又は裏面23に面した部分)の面積と同じ面積を有する真円の直径(円相当径)を当該貫通孔24の孔径Dとすることができる。
本体部20は、複数の貫通孔24を有するため、各貫通孔24に対応する孔径Dの値が複数存在する。そこで、本実施形態では、上述した比の値を算出するにあたっては、複数の貫通孔24にそれぞれ対応する孔径Dの値の2点以上の算術平均値を孔径Dの代表値として用いるものとする。一方、複数の貫通孔24のピッチPは、2つの貫通孔24の開口部同士の最短距離で定義する。ただし、ピッチPの値についても隣接する貫通孔24の組み合わせに対応するピッチPの値が複数存在する。したがって、本実施形態では、上述した比の値を算出するにあたっては、隣接する貫通孔24の組み合わせにそれぞれ対応するピッチPの値の2点以上の算術平均値をピッチPの代表値として用いるものとする。
なお、上記の貫通孔24のピッチP、孔径D、ピッチPに対する孔径Dの比等は、一例であり、これに限定されることはない。
本体部20は、生分解性の材料で構成することができる。本体部20の構成材料について特に制限はなく、例えば、生分解性樹脂が挙げられる。生分解性樹脂としては、例えば、特表2011−528275号公報、特表2008−514719号公報、国際公報第2008−1952号、特表2004−509205号公報等に記載されるものなどの公知の生分解性(共)重合体が使用できる。具体的には、(1)脂肪族ポリエステル、ポリエステル、ポリ酸無水物、ポリオルソエステル、ポリカーボネート、ポリホスファゼン、ポリリン酸エステル、ポリビニルアルコール、ポリペプチド、多糖、タンパク質、セルロースからなる群から選択される重合体;(2)上記(1)を構成する一以上の単量体から構成される共重合体などが挙げられる。すなわち、生分解性シートは、脂肪族ポリエステル、ポリエステル、ポリ酸無水物、ポリオルソエステル、ポリカーボネート、ポリホスファゼン、ポリリン酸エステル、ポリビニルアルコール、ポリペプチド、多糖、タンパク質、セルロースからなる群から選択される重合体、ならびに前記重合体を構成する一以上の単量体から構成される共重合体からなる群より選択される少なくとも一種の生分解性樹脂を含むことが好ましい。
本体部20の製造方法は特に限定されないが、例えば、上述した生分解性樹脂からなる繊維を作製し、当該繊維を用いてメッシュ形状のシートを製造する方法が挙げられる。生分解性樹脂からなる繊維を作製する方法としては、特に限定されないが、例えば、エレクトロスピニング法(電界紡糸法・静電紡糸法)や、メルトブロー法等が挙げられる。本体部20は、上記の方法のうち1種のみを選択して用いてもよいし、2種以上を選択し適宜組み合わせてもよい。なお、本体部20の製造方法のさらに別の例として、上述した生分解性樹脂からなる繊維を常法に従って紡糸し、得られた繊維をメッシュ状に編むことによって本発明に係る生分解性シートを製造してもよい。
本体部20は、本体部20を構成する生分解性樹脂等の構成材料によって生体反応を惹起させる。本体部20は、この作用により、フィブリン等の生体成分の発現を誘導する。このようにして誘導された生体成分は、本体部20の貫通孔24を貫通するようにして集積することで、癒合を促進することができる。したがって、接合対象となる生体器官同士の間に癒合促進デバイス100の本体部20を配置することにより、上記のメカニズムによる癒合の促進が生じる。
なお、本体部20の材質は、癒合を促進させることが可能であれば、生分解性でなくてもよい。また、本体部20は、癒合を促進させることが可能であれば、材質に関わらず、貫通孔24が形成されていなくてもよい。
図1Aおよび図1Bに示すように、本体部20は、貫通孔24よりも孔径が大きく形成された孔部25を有している。孔部25は、本体部20の中心位置O(平面図上の中心位置)が含まれる範囲に形成している。なお、中心位置Oは、本体部20が回転対称な形状を有する場合、本体部20の回転中心である。
孔部25は、円形の平面形状を有する。孔部25の孔径は、例えば、5mm〜25mmに形成することができる。なお、孔部25の平面形状は、特に限定されず、例えば、楕円形や多角形(矩形や三角形等)であってもよい。また、孔部25の大きさも特に限定されない。
本体部20は、図1Aに示すように、本体部20の外周縁26に沿って形成され本体部20の他の部分(貫通孔24が形成された部分)よりも剛性が高められた補強部28を有している。補強部28は、本体部20の表面21に配置されている。補強部28は、本体部20がヨレて変形することを防止できる。補強部28は、本体部20の周方向(図中の矢印R1−R2で示す方向)に沿って外周縁26の全範囲に亘って形成している。なお、補強部28は、外周縁26の一部のみに形成してもよい。
本体部20は、図1Aに示すように、本体部20の内周縁27に沿って形成され本体部20の他の部分(貫通孔24が形成された部分)よりも剛性が高められた支持部29を有している。支持部29は、本体部20の表面21に配置されている。支持部29は、後述する保持部30の基端部30aを支持するとともに、本体部20がヨレて変形することを防止できる。支持部29は、本体部20の周方向(図中の矢印R1−R2で示す方向)に沿って内周縁27の全範囲に亘って形成している。なお、支持部29は、内周縁27の一部のみに形成してもよい。
補強部28および支持部29を形成する方法は、特に限定されない。補強部28および支持部29は、本体部20の外表面の一部に一体に形成されていてもよく、本体部20と別体であり本体部20の外表面の一部に接続されていてもよい。例えば、本体部20と別体で形成された補強部材(補強層)を、本体部20の外周縁26または内周縁27に固定(一体化)させることによって設けられてもよい。補強部材としては、例えば、貫通孔24のような孔部が形成されていない生分解性シートや、本体部20よりも高い剛性を備える樹脂製のシート等で構成することができる。
また、本体部20の構成材料となる生分解性シートの外周縁26および内周縁27に貫通孔24を形成しないことにより、本体部20に補強部28および支持部29を設けることも可能である。
また、本体部20の構成材料となる生分解性シートの外周縁26および内周縁27に貫通孔24を形成した後、外周縁26および内周縁27のみを厚み方向に圧縮したり加熱したりして、貫通孔24を押し潰すことにより、生分解性シートの構成材料が密に集合した部分を形成し、当該部分を補強部28および支持部29としてもよい。補強部28は、本体部20の外周縁26が接合対象となる生体組織の外周縁よりも大きい場合、接合対象となる生体組織とその周辺の生体組織との癒着を防止することができる。
また、補強部28および支持部29は、本体部20の裏面23に配置されていてもよい。
<保持部30>
図3は、図1Aの3−3線に沿う断面の一部を拡大して示す断面図である。
図3は、図1Aの3−3線に沿う断面の一部を拡大して示す断面図である。
保持部30は、図1Aに示すように、本体部20の表面21に配置される。保持部30は、本体部20の内周縁27に沿って複数配置されている。複数の保持部31〜34は、本体部20の中心位置Oに対して互いに対向する位置に配置されている。言い換えれば、複数の保持部31〜34は、本体部20の内周縁27に沿って角度方向に規則的な位置に配置され、保持部31および保持部33、または保持部32および保持部34が互いに対向する位置に配置されている。
保持部31は、図1Aに示すように、支持部29に支持されている基端部31aと、基端部31aから本体部20に対して離間する方向へ垂直に延在する中間部31bと、中間部31bから本体部20の内方側に向かって延在する第1引掛部31cと、をそれぞれ有している。なお、複数の保持部32〜34は、保持部31と同様の各構成要素と機能を有する。そのため、重複する説明を省略する。また、以下の説明において、複数の保持部31〜34を称するときには、保持部30と呼ぶ。また、保持部30の各構成要素については、図3に示すように、基端部30a、中間部30b、第1引掛部30cの符号を用いて説明する。
保持部30の形状は、図3に示すように、基端部30aから第1引掛部30cにかけて略L字状である。中間部30bの形状は、図3に示すように、略直方体である。また、第1引掛部30cの形状は、図3に示すように、先細り状(テーパー状)である。第1引掛部30cは、本体部20が接合対象の生体器官に配置されることによって孔部25から突出して配置される生体組織に対して少なくとも部分的に引っ掛かることができる。そのため、第1引掛部30cは、生体組織に対して少なくとも部分的に摺動抵抗(摩擦抵抗)を生じさせることができる。したがって、第1引掛部30cを有する保持部30は、本体部20を生体組織に対して保持する保持力を付与することができる。
保持部30の材料は、例えば、チタンとニッケルの合金などの超弾性合金などの弾性部材から形成される。弾性部材は、弾性変形可能であれば金属材料であってもよいし、樹脂材料であってもよく、特に限定されない。
保持部30は、図3に示すように、本体部20の内側から外側に向かって生じる応力F1に対する反力によってスプリングバックする。そのため、中間部30bは、孔部25から突出して配置される生体組織によって本体部20の外側に向かって変形し、第1引掛部30cは、その反力によって生体組織に対して少なくとも部分的に摺動抵抗を生じさせることができる。
本体部20の互いに対向する位置に配置される一対の保持部30(例えば、保持部31および保持部33)は、一対の保持部30の間に配置され得る生体組織を、一対の第1引掛部30cによって生体組織の両側面から挟み込むことができる。そのため、保持部30は、本体部20を生体組織に対して保持する保持力を付与することができる。
また、保持部30は、図1Aに示すように、生体器官の一方の接合部位に配置される第1係合器具710と、生体器官の他方の被接合部位に配置され第1係合器具710と対向する第2係合器具720と、を備えた医療器具(接合装置700)によって本体部20を生体組織に接合する際に、第2係合器具720が打ち抜く領域E1(図11参照)よりも内方側に位置する。
生体器官を接合する接合装置700として、例えば、第1係合器具710および第2係合器具720を備える自動吻合器が挙げられる(図8〜図11参照)。第1係合器具710は、トロッカーと呼ばれる場合があり、第2係合器具720はアンビルと呼ばれる場合がある。所定の手技において、癒合を促進させることが可能なシート状の本体部20を好適に用いることができる。
接合装置700を用いた手技に癒合促進デバイス100を使用する場合、図8に示すように、まず、術者は、第1係合器具710の被係合部711を大腸の口側A1に挿入し、大腸の口側A1から被係合部711を突出した状態で巾着縫合し、縫合部A11を形成する。このとき、縫合部A11は、接合装置700によって生体組織を接合する際において接合箇所を形成するために、接合される生体組織の一方を少なくとも部分的に径方向内方に寄せて隆起させた形状となる。
上記手技において、術者は、癒合促進デバイス100の裏面23側が縫合部A11の外表面に接触するように配置する。このとき、縫合部A11の外表面は、図8に示すように、本体部20の孔部25から表面21側に向かって突出する。そして、癒合促進デバイス100の表面21側に設けられた第1引掛部30cは、孔部25から突出して配置される生体組織に対して少なくとも部分的に引っ掛かることができる。そのため、癒合促進デバイス100は、保持部30の第1引掛部30cによって、孔部25から突出して配置される生体組織に対して少なくとも部分的に摺動抵抗を生じさせることができる。これにより、術者は、手技が行われている間、癒合促進デバイス100が生体器官から脱落することを防止することができる。
また、術者は、接合対象となる生体器官に第1係合器具710と第2係合器具720とをセットし、第1係合器具710と第2係合器具720係合した状態で、接合装置700に挟み込まれた生体器官の一部と本体部20の一部を、第2係合器具720に内蔵された打ち抜きブレード(図示省略)によって打ち抜いて切除する。また、術者は、接合装置700に挟み込まれた各構成部材を接合装置700によって切除すると同時に、切除した部位の周囲を接合する。そして、接合装置700は生体外へ取り出される(図11参照)。
上記手技において、術者は、第2係合器具720が打ち抜く領域E1よりも内方側に位置する保持部30を接合装置700によって取り除くことができる。また、術者は、接合装置700を生体外から取り出す際に、保持部30を生体外へ取り出すことができる。
なお、保持部30の形状は、本体部20の内方側に突出する第1引掛部30cを有する限り特に限定されない。例えば、中間部30bは、第1引掛部30cに向かって先細り状(テーパー状)であってもよい。また、中間部30bは、本体部20の面方向に対して垂直に延在するのではなく、本体部20の内方側に向かって斜めに延在していてもよい。また、中間部30bおよび第1引掛部30cのどちらか一方は、本体部20の内方側に向かって屈曲する部分を有していてもよい。屈曲する部分を有することによって、保持部30の形状は基端部30aから第1引掛部30cにかけてJ字状や円弧状であってもよい。
また、保持部30の高さは、接合装置700によって生体組織を接合する際において接合箇所を形成するために、接合される生体組織の一方を少なくとも部分的に径方向内方に寄せて隆起させた形状(縫合部A11参照)の高さよりも部分的に低くしている。保持部30の大きさは、縫合部A11の外表面に対して少なくとも部分的に摺動抵抗を生じさせることができる限り特に限定されない。
また、保持部30の第1引掛部30cの形状は、特に限定されない。保持部30の第1引掛部30cの断面形状は、例えば、矩形、台形等の多角形、半円型、円錐型、またはこれらを組み合わせて複数に分岐するように構成されている形状等で構成することができる。また、第1引掛部30cは、図3に示すように、中間部30bの上端に設けられていなくてもよく、中間部30b上に設けられている限りその場所は限定されない。また、第1引掛部30cは中間部30b上に複数設けられていてもよい。
また、保持部30の各々の形状や大きさは、同一であってもよく、不揃いであってもよい。
また、保持部30の数及び各々の配置は特に限定されない。例えば、保持部30の各々は、図1Aに示すように、本体部20の面方向において本体部20の中心位置Oに対して角度方向に規則的に設けられる、あるいは内周縁27に対して周方向に等間隔に設けられるのではなく、不規則に設けられていてもよい。また図1Aのように本体部20の中心位置Oに対して互いが対向するように配置されていなくてもよい。
また、保持部30の材料は特に限定されない。例えば、生分解性樹脂、熱可塑性エラストマー、ナイロン、PETなどの熱可塑性樹脂、SUS線、銅線、チタン線、ナイチノール線などの金属等で構成することができる。この場合、術者は、保持部30の第1引掛部30cの各々を生体組織に対して押し付けることによって、癒合促進デバイス100を生体組織に対して保持する保持力を高めることができる。したがって、術者は、手技が行われている間、癒合促進デバイス100が生体器官から脱落することを防止することができる。
また、保持部30の作成方法は特に限定されない。保持部30は、本体部20の外表面または本体部一体に形成されていてもよいし、本体部20とは別体で成形しておき、本体部20の外表面の一部に接続されていてもよい。これにより、保持部30の構成材料に適合させた作成方法を採用することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る癒合促進デバイス100は、接合対象となる生体器官の間に配置され、生体組織の癒合を促進する本体部20と、本体部20の内方側に向けて突出し生体組織に対して少なくとも部分的に引掛可能な第1引掛部30cが形成された保持部30と、を有する。
上記のような癒合促進デバイス100によれば、保持部30の第1引掛部30cは、接合対象の生体器官に対して少なくとも部分的に摺動抵抗を生じさせることができる。そのため、癒合促進デバイス100は、保持部30によって、本体部20を生体組織に対して保持する保持力を高めることができる。これにより、術者は、手技が行われている間、癒合促進デバイス100が生体器官から脱落することを防止することができ、本体部20が生体器官からズレたり、ヨレて変形したりすることを防止できる。したがって、術者は、生体器官の縫合不全のリスクを効果的に低減させることができる。
また、保持部30は、弾性部材から形成される。このように構成することによって、保持部30は、本体部20の内側から外側に向かって生じる応力F1に対する反力によってスプリングバックし、第1引掛部30cは、その反力によって生体組織に対して少なくとも部分的に摺動抵抗を生じさせることができる。そのため、保持部30は、生体組織に対して確実に摺動抵抗を生じさせることができる。
また、保持部30は、複数設けられる。保持部30の各々は、本体部20の中心位置Oに対して互いに対向する位置に配置される。このように構成することによって、互いに対向する位置に配置される一対の保持部30(例えば、保持部31および保持部33)は、一対の保持部30の間に配置された生体組織を少なくとも部分的に挟み込むことができる。そのため、保持部30は、本体部20を生体組織に対して保持する保持力を付与することができる。
また、本体部20は、生体祖機器を挿通する接合装置700を挿通する孔部25をさらに有する。そのため、術者は、接合装置700の所定の手技において、癒合を促進させることが可能なシート状の本体部20を好適に用いることができる。
また、保持部30は、本体部20の外表面の一部に一体に形成される。または、本体部20と別体であり本体部20の外表面の一部に接続される。このように構成することによって、保持部30の構成材料に適合させた作成方法を採用することができる。
また、保持部30は、生体器官の一方の接合部位に配置される第1係合器具710と、生体器官の他方の被接合部位に配置され第1係合器具710と対向する第2係合器具720と、を備えた接合装置700によって本体部20を生体組織に接合する際に、第2係合器具720が打ち抜く領域E1よりも内方側に位置する。このように構成することによって、術者は、第2係合器具720が打ち抜く領域E1よりも内方側に位置する保持部30を接合装置700によって全て取り除くことができる。また、術者は、接合装置700を生体外から取り出す際に、保持部30を生体外へ全て取り出すことができる。
また、本体部20は、本体部20の内周縁27に沿って配置され保持部30を支持する支持部29を有する。このように構成することによって、支持部29は、保持部30の基端部30aを支持することができるとともに、本体部20がヨレて変形することを防止できる。
また、本体部20は、本体部20の外周縁26に沿って配置され本体部20を補強する補強部28を有する。このように構成することによって、補強部28は、本体部20がヨレて変形することを防止できる。
以上、実施形態を通じて癒合促進デバイス100について説明したが、上記実施形態の記載に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。以下の説明では、保持部30の変形例について説明する。なお、変形例の説明において、上述した癒合促進デバイス100で説明した構成や内容については、その説明を適宜省略する。また、変形例の説明で特に説明がない内容については、前述した実施形態と同一のものとすることができる。
<変形例1>
図4は、癒合促進デバイス100Aにおける保持部30の変形例を示す斜視図である。図5は、図4の5−5線に沿う断面の一部を拡大して示す断面図である。
図4は、癒合促進デバイス100Aにおける保持部30の変形例を示す斜視図である。図5は、図4の5−5線に沿う断面の一部を拡大して示す断面図である。
癒合促進デバイス100Aは、図4に示すように、接合対象となる生体器官の間に配置され、生体組織の癒合を促進する本体部20と、本体部20の外周縁26に沿って配置され本体部20を補強する補強部28と、本体部20の内周縁27に沿って配置され保持部130を支持する支持部29と、本体部20の表面21に配置され生体組織に対する癒合促進デバイス100の保持を補助する保持部130と、を有する。
保持部130は、本体部20の表面21に複数配置されている。複数の保持部131〜134は、本体部20の中心位置Oに対して互いに対向する位置に配置されている。
保持部131は、図4に示すように、基端部131aと、中間部131bと、第1引掛部131cと、第1引掛部130cの先端に設けられた第2引掛部130dと、をそれぞれ有している。なお、複数の保持部132〜134は、保持部131と同様の各構成要素と機能を有する。そのため、重複する説明を省略する。また、以下の説明において、複数の保持部131〜134を称するときには、保持部130と呼ぶ。また、保持部130の各構成要素については、図5に示すように、基端部130a、中間部130b、第1引掛部130c、第2引掛部130dの符号を用いて説明する。
保持部130の形状は、図5に示すように、基端部130aから第2引掛部130dにかけて略J字状である。中間部130bの形状は、図5に示すように、略直方体である。また、第1引掛部130cは、図5に示すように、屈曲部分を有している。第2引掛部130dの形状は、図5に示すように、先細り状(テーパー状)である。
保持部130は、図5に示すように、本体部20の内側から外側に向かって生じる応力に対する反力によってスプリングバックする。そのため、中間部130bは、孔部25から突出して配置される生体組織によって本体部20の外側に向かって変形し、第1引掛部130cおよび第2引掛部130dは、その反力によって生体組織に対して少なくとも部分的に摺動抵抗を生じさせることができる。
第2引掛部130dは、図5に示すように、保持部130の第1引掛部130cに対して鋭角となるように、本体部20に向かって延在している。そのため、第2引掛部130dは、保持部130が接合対象の生体器官に対して少なくとも部分的に摺動抵抗を生じさせる際に、第1引掛部130cよりも先に、接合対象の生体器官の表面組織に対して部分的に引っ掛かることができる。また、第1引掛部130cに対して鋭角に延在する第2引掛部130dの基端が表面組織に引っ掛かることによって、保持部130は生体器官に対してより抜けづらくなる。したがって、第2引掛部130dは、接合対象の生体器官に対してより確実に摺動抵抗を生じさせることができる。そのため、術者は、手技が行われている間、癒合促進デバイス100Aが生体器官から脱落することを防止することができ、生体器官の縫合不全のリスクを効果的に低減させることができる。
なお、第2引掛部130dの材料は特に限定されない。第2引掛部130dは、接合対象の生体器官の表面組織に対して少なくとも部分的に摺動抵抗を生じさせることができ、癒合促進デバイス100Aを生体器官に対して保持する保持力を高めることができる材料によって構成することができる。
また、第2引掛部130dの作成方法は特に限定されない。
また、第2引掛部130dの形状は、特に限定されない。第2引掛部130dの断面形状は、例えば、矩形、台形等の多角形、半円型、円錐型、またはこれらを組み合わせて複数に分岐するように構成されている形状等で構成することができる。また、第2引掛部130dは、図3に示すように、第1引掛部30cの端部に設けられていなくてもよく、第1引掛部30c上に設けられている限りその場所は限定されない。また、第2引掛部130dは第1引掛部30c上に複数設けられていてもよい。
以上説明したように、変形例1に係る癒合促進デバイス100Aは、生体組織の癒合を促進する本体部20と、保持部130と、を有する。保持部130は、第1引掛部130cと、第1引掛部130cの先端に設けられ、第1引掛部130cに対して鋭角となるように本体部20に向かって延在する第2引掛部130dをさらに有する。第2引掛部130dは、第1引掛部130cよりも先に、接合対象の生体器官の表面組織に対して部分的に引っ掛かることができる。また、第2引掛部130dの基端が表面組織に引っ掛かることによって、保持部130は生体器官に対してより抜けづらくなる。したがって、第2引掛部130dは、接合対象の生体器官に対してより確実に摺動抵抗を生じさせることができる。そのため、術者は、手技が行われている間、癒合促進デバイス100Aが生体器官から脱落することを防止することができ、生体器官の縫合不全のリスクを効果的に低減させることができる。
以上、癒合促進デバイスの構成の一例を説明したが、本発明に係る癒合促進デバイス100、100Aの本体部20は、保持部30、130を有する限り、その具体的な構成は限定されない。例えば、本体部20には、図3に示すような保持部30と、図5に示すような保持部130と、が適宜組み合わされて設けられていてもよい。
また、孔部25は、予め本体部20に作成されていてもよいし、手技が行われている間に術者が作成してもよい。術者は、手技の進行等に応じて、本体部20の種々の変形を選択することができる。
<処置方法の実施形態(生体器官吻合術)>
次に、癒合促進デバイスを用いた処置方法を説明する。
次に、癒合促進デバイスを用いた処置方法を説明する。
図6は、癒合促進デバイスを用いた処置方法の各手順を示すフローチャートである。
処置方法は、生体器官の接合対象となる一方の被接合部位と他方の被接合部位との間に生体組織の癒合を促進するシート状の本体部を備える癒合促進デバイスを配置すること(S11)、一方の被接合部位と他方の被接合部位との間に癒合促進デバイスの本体部の少なくとも一部を配置した状態で一方の被接合部位と他方の被接合部位とを接合すること(S12)、を含む。
処置方法により接合される生体器官および生体器官における被接合部位は特に限定されず、任意に選択することができる。ただし、以下の説明では、大腸吻合術を例に挙げて説明する。また、以下に説明する各手技において使用される癒合促進デバイスとしては、例えば、前述した癒合促進デバイスの中から任意のものを選択することが可能であるし、その他の癒合促進デバイスを選択することもできる。ただし、以下の説明では、各手技に好適に用いることができる代表的な例として、特定の癒合促進デバイスの使用例を説明する。また、以下に説明する各手技において、公知の手技手順や公知の医療装置・医療器具等については詳細な説明を適宜省略する。
以下、本明細書の説明において「生体器官の間に癒合促進デバイスを配置する」とは、生体器官に癒合促進デバイスが直接的にまたは間接的に接触した状態で配置されること、生体器官との間に空間的な隙間が形成された状態で癒合促進デバイスが配置されること、またはその両方の状態で癒合促進デバイスが配置されること(例えば、一方の生体器官に癒合促進デバイスが接触し、他方の生体器官には癒合促進デバイスが接触していない状態で配置されること)の少なくとも一つを意味する。また、本明細書の説明において「周辺」とは、厳密な範囲(領域)を規定するものではなく、処置の目的(生体器官同士の接合)を達成し得る限りにおいて、所定の範囲(領域)を意味する。また、各処置方法において説明する手技手順は、処置の目的を達成し得る限りにおいて、順番を適宜入れ替えることが可能である。また、本明細書の説明において「相対的に接近させる」とは、接近させる対象となる2つ以上のものを、互いに接近させること、一方のみを他方のみに接近させることの両方を意味する。
<処置方法の実施形態(大腸吻合術)>
図7は、処置方法の実施形態(大腸吻合術)の手順を示すフローチャートであり、図8〜図11は、大腸吻合術の説明に供する図である。
図7は、処置方法の実施形態(大腸吻合術)の手順を示すフローチャートであり、図8〜図11は、大腸吻合術の説明に供する図である。
本実施形態に係る処置方法において、接合対象となる生体器官は、癌腫瘍の切除に伴い切断された大腸である。具体的には、接合対象となる生体器官は、切断した大腸の口側A1と、切断した大腸の肛門側A2である。以下の説明では、切断した大腸の口側A1の口部周辺(一方の被接合部位)と、切断した大腸の肛門側A2の腸壁の一部(他方の被接合部位)を接合する手順を説明する。また、本実施形態では、図1Aおよび図1Bに示した癒合促進デバイス100の使用例を説明する。
図7に示すように、本実施形態に係る処置方法は、大腸の口部周辺と大腸の腸壁の間に癒合促進デバイス100を配置すること(S101)、大腸の口部周辺と大腸の腸壁を相対的に接近させること(S102)、大腸の口部周辺と大腸の腸壁との間で癒合促進デバイス100の本体部20を挟み込むこと(S103)、大腸の口部周辺と大腸の腸壁との間に癒合促進デバイス100に本体部20を挟み込んだ状態で接合すること(S104)、大腸の口部周辺と大腸の腸壁との間に癒合促進デバイスの本体部を留置すること(S105)、を含む。
次に、図8〜図11を参照して、本実施形態に係る処置方法を具体的に説明する。
図8に示すように、術者は、大腸の口側A1に、接合装置700の第1係合器具710を挿入する。術者は、大腸の肛門側A2に、接合装置700の第2係合器具720を配置する。第2係合器具720を大腸の肛門側A2に配置(挿入)するのに伴って 、大腸の肛門側A2に貫通孔A21が形成される。なお、貫通孔A21を形成するタイミングは、第2係合器具720を配置する前であれば、特に限定されない。
接合装置700としては、例えば、大腸吻合術に使用される公知の装置を用いることができる。接合装置700は、第1係合器具710と第2係合器具720の係合に伴い、第1係合器具710と第2係合器具720との間に配置された生体組織の切除とともに、切除した生体組織の周囲をステープルにより円周状に縫合する。第1係合器具710は、例えば、筒状の被係合部711を備える器具であり、第2係合器具720は、例えば、第1係合器具710の被係合部711に挿入および係合される係合ピン721を備える器具である。
術者は、第1係合器具710の被係合部711を大腸の口側A1に挿入し、被係合部711を突出した状態で巾着縫合し、縫合部A11を形成する。縫合部A11の外表面は、縫合に伴い凹凸形状となる。
次に、術者は、図9に示すように、大腸の口側A1と大腸の肛門側A2との間に癒合促進デバイス100を配置する。術者は、癒合促進デバイス100を配置する際、癒合促進デバイス100の裏面23側が縫合部A11の外表面に接触するように配置する。そして、術者は、縫合部A11を本体部20の孔部25に対して本体部20の裏面23側から表面21側に向かって挿通させる。そのため、縫合部A11の外表面は、本体部20の表面21側に突出する。
本体部20の表面21側に設けられた保持部30は、本体部20の表面21側に突出する縫合部A11の外表面の周囲を取り囲むように配置され、第1引掛部30cは、縫合部A11の外表面に対して少なくとも部分的に摺動抵抗を生じさせることができる。癒合促進デバイス100は、保持部30によって、癒合促進デバイス100を生体組織に対して保持する保持力を高めることができる。これにより、術者は、手技が行われている間、癒合促進デバイス100が生体器官から脱落することを防止することができる。そのため、術者は、生体器官の縫合不全のリスクを効果的に低減させることができる。
次に、術者は、保持部30によって、大腸の口側A1の縫合部A11に対して癒合促進デバイス100を保持した状態を維持しつつ、図10に示すように、第1係合器具710と第2係合器具720を相対的に接近させて係合させる。術者は、第1係合器具710と第2係合器具720との間に、大腸の口側A1の口部周辺、癒合促進デバイス100の本体部20、大腸の肛門側A2の腸壁に形成した貫通孔A21周辺を挟み込む。術者は、第1係合器具710と第2係合器具720との間に挟み込まれた大腸の口側A1の一部と、癒合促進デバイス100の本体部20の一部と、大腸の肛門側A2の一部と、を接合装置700によって切除する。また、同時に、術者は、接合装置700を操作することにより、切除した部位の周囲をステープル(図示省略)により接合する。
次に、術者は、図11に示すように、接合装置700を、例えば、大腸の肛門側A2から肛門を介して生体外へ取り出す。このとき、術者は、第2係合器具720が打ち抜く領域E1よりも内方側に位置する保持部30を、接合装置700によって切除し、接合装置700とともに生体外へ取り出すことができる。
このような処置方法によれば、癒合促進デバイスが備えるシート状の本体部を一方の被接合部位と他方の被接合部位との間に挟み込ませるという簡便な方法により、接合手技(例えば、消化管の吻合術)後の縫合不全のリスクを低減させることができる。
また、使用される癒合促進デバイス100は、保持部30によって接合対象の生体器官に対する本体部20の保持力を高めているため、術者の操作時(体内留置時)に、癒合促進デバイス100が生体器官から脱落することを防止することができる。したがって、外科手術等の術後における縫合不全のリスクを低減させることができる。
なお、術者が縫合部A11を作成する方法は、特に限定されない。例えば、術者がタバコ縫合機(図示省略)に当て布(図示省略)を挟んだ状態で縫合部A11を作成する場合、保持部30の第1引掛部30cは生体組織および当て布に対して少なくとも部分的に摺動抵抗を生じさせることができる。当て布は、生体組織に比べて第1引掛部30cが引っかかりやすい。このような手技によれば、保持部30は、癒合促進デバイス100を生体組織に対して保持する保持力をより高めることができる。
なお、生体組織に対する当て布の配置は、第2係合器具720が打ち抜く領域E1よりも内方側に位置する限り、特に限定されない。当て布は、縫合部A11の外側に配置されていてもよく、縫合部A11の内側に配置されていてもよい。術者は、第2係合器具720が打ち抜く領域E1よりも内方側に位置する当て布を接合装置700によって取り除くことができる。また、術者は、接合装置700を生体外から取り出す際に、当て布を生体外へ取り出すことができる。
(第2実施形態)
<医療デバイス300>
前述した実施形態及びその変形例では、癒合促進デバイス100が接合対象となる生体器官の間に配置される例を説明したが、癒合促進デバイス100が別の部材と組み合わされることによって、接合対象となる生体器官の間に配置されてもよく、例えば、癒合促進デバイス100と、取り外し可能なカバー部材200と、を有する医療デバイス300が接合対象となる生体器官に配置されてもよい。
<医療デバイス300>
前述した実施形態及びその変形例では、癒合促進デバイス100が接合対象となる生体器官の間に配置される例を説明したが、癒合促進デバイス100が別の部材と組み合わされることによって、接合対象となる生体器官の間に配置されてもよく、例えば、癒合促進デバイス100と、取り外し可能なカバー部材200と、を有する医療デバイス300が接合対象となる生体器官に配置されてもよい。
図12は、本発明の一形態に係る医療デバイスを表面側から視た斜視図である。図13A〜図13Cは、医療デバイスを使用した大腸吻合術の説明に供する図である。
医療デバイス300は、図12に示すように、癒合促進デバイス100およびカバー部材200によって構成される。
<カバー部材200>
カバー部材200は、図12、図13A〜13Cに示すように、外周部200aと、内周部200bを有している。カバー部材200の形状は、内周部200bよりも内方側が中空に形成された略円筒状である。カバー部材200は、癒合促進デバイス100の本体部20の表面21側の略中心位置に配置されている。
カバー部材200は、図12、図13A〜13Cに示すように、外周部200aと、内周部200bを有している。カバー部材200の形状は、内周部200bよりも内方側が中空に形成された略円筒状である。カバー部材200は、癒合促進デバイス100の本体部20の表面21側の略中心位置に配置されている。
外周部200aは、図12、図13A〜13Cに示すように、保持部30を少なくとも部分的に収容する収容部210を有している。
収容部210は、図13A〜13Cに示すように、外周部200aに設けられた凹部である。収容部210はカバー部材200の高さ方向に対して同じ位置に設けられている。収容部210は、保持部30の第1引掛部30cを少なくとも部分的に収容することができる。カバー部材200は、収容部210が保持部30を少なくとも部分的に収容することによって部分的に癒合促進デバイス100と接続される。
内周部200bは、接合装置700の被係合部711を少なくとも部分的に挿通可能である。内周部200bの内径は、被係合部711の内径と比べて大きく、接合装置700に対して少なくとも部分的に摺動抵抗を生じさせることができる範囲に設定されている。
カバー部材200は、収容部210によって部分的に癒合促進デバイス100と接続され、内周部200bによって接合装置700に対して少なくとも部分的に摺動抵抗を生じさせることができる。そのため、カバー部材200は、医療デバイス300を接合装置700に対して保持する保持力を高めることができる。したがって、術者は、手技が行われている間、医療デバイス300の癒合促進デバイス100が接合装置700から脱落することを防止することができる。
より具体的に説明すると、まず、術者は、医療デバイス300を縫合部A11に配置する際に、図13Aに示すように、癒合促進デバイス100の裏面23側が縫合部A11の外表面に接触するように配置する。このとき、カバー部材200は、収容部210が保持部30を少なくとも部分的に収容することによって部分的に癒合促進デバイス100と接続されている。また、カバー部材200は、内周部200bによって接合装置700に対して少なくとも部分的に摺動抵抗を生じさせている。
そして、術者は、図13Bおよび図13Cに示すように、縫合部A11の外表面を本体部20の孔部25に挿通させ、縫合部A11の外表面を裏面23側から表面21側に向かって突出させる。このとき、カバー部材200は、表面21側に向かって突出した縫合部A11の外表面によって、癒合促進デバイス100から離間する方向に向かって押し出される。そのため、カバー部材200は、図13Cに示すように、癒合促進デバイス100との接続が解除される。したがって、術者は、カバー部材200を接合装置700の被係合部711から取り外すことができる。
上記手技において、カバー部材200の収容部210に少なくとも部分的に収容された保持部30は、カバー部材200が縫合部A11の外表面によって癒合促進デバイス100から離間する方向に向かって押し出される際に、収容部210の外部に押し出される。そして、保持部30は、外周部200aによって本体部20の内側から外側に向かって生じる応力によって変形する。そして、保持部30は、外周部200aが保持部30から離れた際に、本体部20の内側から外側に向かって生じる応力の反力によってスプリングバックする。そのため、保持部30の第1引掛部30cは、縫合部A11の外表面に摺動抵抗を与えることができる。したがって、保持部30は、本体部20を生体組織に対して保持する保持力を付与することができる。
なお、カバー部材200の材料は特に限定されない。カバー部材200は、好ましくは樹脂で構成されるが、金属等で構成されていてもよい。
また、カバー部材200の作成方法は特に限定されず、カバー部材200の構成材料に適合させた作成方法を採用することができる。カバー部材200は、癒合促進デバイス100を作成する工程とは別の工程によって作成され、その後、カバー部材200の収容部210が癒合促進デバイス100の保持部30を少なくとも部分的に収容することによって、癒合促進デバイス100とカバー部材200とが部分的に接続される。
また、カバー部材200の収容部210が癒合促進デバイス100の保持部30を収容する範囲は特に限定されない。収容部210が保持部30の第1引掛部30cを収容したうえで、保持部30の中間部30bを構成する面がカバー部材200の外周部200aに対して段差がないように配置される、または外周部200aに対して内側(カバー部材200の径方向内方)配置されることがより好ましい。これにより、術者は、医療デバイス300を生体組織に配置する際に、保持部30を外的要因から保護することができる。
また、カバー部材200の形状は、上記実施形態の記載に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。例えば、収容部210は、保持部30の中間部30bから第1引掛部30cを覆うようにカバー部材200の底面から上方に向かってコの字状に形成された溝によって構成されていてもよい。保持部30の中間部30bから第1引掛部30cが、カバー部材200を構成する面によって覆われることによって、術者は、医療デバイス300を生体組織に配置する際に、保持部30を外的要因からより確実に保護することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る医療デバイス300は、癒合促進デバイス100と、保持部30を少なくとも部分的に収容する収容部210を有し、取り外し可能なカバー部材200と、によって構成される。カバー部材200は、収容部210が保持部30を少なくとも部分的に収容することによって、部分的に癒合促進デバイス100と接続される。カバー部材200は、癒合促進デバイス100が縫合部A11に配置されると、表面21側に向かって突出した縫合部A11の外表面によって癒合促進デバイス100から離間する方向に向かって押し出される。そのため、カバー部材200は、癒合促進デバイス100との接続が解除され、接合装置700の被係合部711から取り外し可能となる。これにより、術者は、カバー部材200を互いの生体器官の間に挟んだ状態で生体器官を接合することを抑制することができる。したがって、術者は、生体器官の縫合不全のリスクを効果的に低減させることができる。
以上、実施形態を通じて本発明に係る癒合促進デバイスおよび医療デバイスを説明したが、本発明は実施形態で説明した内容のみに限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
例えば、接合対象となる生体器官、被接合部位、具体的な手技手順等は、実施形態において説明したものに限定されない。また、医療器具の材質、大きさ、形状、具体的な構造等は、癒合促進デバイスが備える本体部により被接合部位の生体組織の癒合を促進する機能を持つ限り、特に限定されない。
また、実施形態で説明したカバー部材の各構造は、発明の効果を発揮し得る限り限定されない。また、一つのカバー部材は、一つの癒合促進デバイスに対して任意に組み合わせることが可能である。
20 本体部、
30、130 保持部、
30a、130a 基端部、
30b、130b 中間部、
30c、130c 第1引掛部、
30d、130d 第2引掛部、
100、100A 癒合促進デバイス、
200 カバー部材、
210 収容部、
300 医療デバイス、
700 接合装置、
710 第1係合器具、
711 被係合部、
720 第2係合器具、
721 係合ピン、
A1 口側、
A11 縫合部、
A2 肛門側、
A21 貫通孔、
D 孔径、
E1 接合装置が接合した生体器官を打ち抜く領域、
F1 応力、
O 本体部の中心位置、
P ピッチ、
T 厚み。
30、130 保持部、
30a、130a 基端部、
30b、130b 中間部、
30c、130c 第1引掛部、
30d、130d 第2引掛部、
100、100A 癒合促進デバイス、
200 カバー部材、
210 収容部、
300 医療デバイス、
700 接合装置、
710 第1係合器具、
711 被係合部、
720 第2係合器具、
721 係合ピン、
A1 口側、
A11 縫合部、
A2 肛門側、
A21 貫通孔、
D 孔径、
E1 接合装置が接合した生体器官を打ち抜く領域、
F1 応力、
O 本体部の中心位置、
P ピッチ、
T 厚み。
Claims (10)
- 接合対象となる生体器官の間に配置され、生体組織の癒合を促進する本体部と、
前記本体部の内方側に向けて突出し前記生体組織に対して少なくとも部分的に引掛可能な第1引掛部が形成された保持部と、を有する癒合促進デバイス。 - 前記保持部は、弾性部材から形成される請求項1に記載の癒合促進デバイス。
- 前記保持部は、複数設けられ、
前記複数の保持部は、前記本体部の中心位置に対して互いに対向する位置に配置される請求項1または請求項2に記載の癒合促進デバイス。 - 前記保持部は、前記第1引掛部の先端に設けられ、前記第1引掛部に対して鋭角となるように前記本体部に向かって延在する第2引掛部をさらに有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の癒合促進デバイス。
- 前記本体部は、医療器具を挿通する孔部をさらに有する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の癒合促進デバイス。
- 前記保持部は、前記本体部の外表面の一部に一体に形成される、または前記本体部と別体であり前記本体部の外表面の一部に接続される請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の癒合促進デバイス。
- 前記保持部は、前記生体器官の一方の接合部位に配置される第1係合器具と、前記生体器官の他方の被接合部位に配置され前記第1係合器具と対向する第2係合器具と、を備えた医療器具によって前記本体部を前記生体組織に接合する際に、前記第2係合器具が打ち抜く領域よりも内方側に位置する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の癒合促進デバイス。
- 前記本体部は、前記本体部の内周縁に沿って配置され前記保持部を支持する支持部を有する請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の癒合促進デバイス。
- 前記本体部は、前記本体部の外周縁に沿って配置され前記本体部を補強する補強部を有する請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の癒合促進デバイス。
- 請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の癒合促進デバイスと、
前記保持部を少なくとも部分的に収容する収容部を有し、取り外し可能なカバー部材と、を有する医療デバイス。
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2019
- 2019-09-25 JP JP2019174369A patent/JP2021049168A/ja active Pending
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WO2023047966A1 (ja) * | 2021-09-27 | 2023-03-30 | テルモ株式会社 | 医療デバイス |
EP4393414A4 (en) * | 2021-09-27 | 2024-11-06 | TERUMO Kabushiki Kaisha | Medical device |
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