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JP2021044856A - 絶縁型電力変換装置 - Google Patents

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JP2021044856A JP2019162778A JP2019162778A JP2021044856A JP 2021044856 A JP2021044856 A JP 2021044856A JP 2019162778 A JP2019162778 A JP 2019162778A JP 2019162778 A JP2019162778 A JP 2019162778A JP 2021044856 A JP2021044856 A JP 2021044856A
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ゴー・テックチャン
Teck Chiang Goh
修二 戸村
Shuji Tomura
修二 戸村
中村 浩史
Hiroshi Nakamura
浩史 中村
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Abstract

【課題】電力変換効率が高く、小型化された3電源接続の絶縁型電力変換装置を提供する。【解決手段】1次入力電源、直流の2次入力電源、および直流の出力電源が接続される絶縁型電力変換装置10は、2次入力電源の電圧Vin2を昇圧して中間コンデンサCに供給する第1電力変換部12と、中間コンデンサCの端子間電圧Vcを降圧して出力電源に供給する第2電力変換部14と、1次コイルci1と2次コイルci2を有する第1絶縁トランスTR1と、1次コイルci1と2次コイルci2を有する第2絶縁トランスTR2を含む。TR1のci2の端子間と、TR2のci2の端子間のそれぞれには中間コンデンサCの端子間電圧Vcが印加され、TR1のci1とTR2のci1に電圧を発生させ、TR1のci1とTR2のci1が接続されて構成される1次コイル回路ci1cが、1次側電力変換部16を介して1次入力電源に接続される。【選択図】図1

Description

本発明は、3つの電源が接続される絶縁型電力変換装置に関する。
3つの電源が接続される絶縁型電力変換装置(以下、3電源接続の絶縁電力変換装置、または、3ポートの絶縁型電力変換装置と言う)が知られている。特許文献1には、トランス(磁気部品とも言う)のコイルの中点を利用した3ポートの絶縁型電力変換装置が開示されている。図15Aは、特許文献1の装置の回路図である。特許文献1の装置は、1次入力電源−出力電源、1次入力電源−2次入力電源、2次入力電源−出力電源のそれぞれで、双方向的に電力変換が可能である。図15Aに示すように、トランスコイルの中点の利用により、出力電圧は2次入力電源の電圧によって調整することができ、2次入力電源と出力の電圧関係はトランスTRの電圧比に依存せず、スイッチング素子S1〜S4のデューティ比に依存する。出力に形成された電圧はトランスTRを励磁し、スイッチング素子の制御により、出力側と1次入力電源側の電力を調整する。
特開2017−60285号公報
H.Tao, A.Kotsopoulos, J.L.Duarte, Hendrix, "A soft-switched three-port bidirectional converter for fuel cell and supercapacitor applications", IEEE Power Electronics Specialists Conference (PESC) pp.2487-2493, 2005
特許文献1の装置は、スイッチング素子S1〜S4の動作により、2次入力電源の電圧(2次入力電圧とも言う)を昇圧して出力電圧を得る構成であるため、2次入力電圧は出力側で要求される電圧よりも低く設定する必要がある。例えば、図15Bに示すように、出力電圧を50〜200Vの間で得たい場合、最小50Vに対して、2次入力電圧は25V(スイッチング素子S1〜S4のデューティ比が50%の場合)に設定する必要がある。従って、高い電力を出力する場合には、低電圧の2次入力電源側に大きな電流が発生し、回路を構成する素子やトランスTRの導通損失が大きくなってしまう。また、出力電圧を200V(高い電圧)とする場合には、2次入力電圧(25V)を8倍昇圧する必要があり、電力変換損失が大きくなってしまう。
また、1次入力電源と出力の間はトランスTRを介して接続されているため、出力電圧が変動すると1次入力電源側のトランスTRの電圧(トランス1次側の電圧と言う)も変動する。例えば、1次入力電源と出力の間のトランスTRの電圧比が4:1であり、出力電圧が50〜200Vの間で可変とする場合には、トランス1次側の電圧は200〜800Vの間で変動する。このように、トランス1次側の電圧が高電圧となるため、高耐圧の構造が必要となり、装置が大型化する可能性がある。
本発明の目的は、電力変換効率が高く、小型化された3電源接続の絶縁型電力変換装置を提供することにある。
本発明の絶縁型電力変換装置は、1次入力電源、直流の2次入力電源、および直流の出力電源が接続される絶縁型電力変換装置であって、前記2次入力電源の電圧を昇圧する第1電力変換部と、前記第1電力変換部により昇圧された電圧が供給される中間コンデンサと、前記中間コンデンサの端子間電圧を降圧して、前記出力電源に供給する第2電力変換部と、1次コイルと2次コイルを有する第1絶縁トランスと、1次コイルと2次コイルを有する第2絶縁トランスと、を含み、前記第1絶縁トランスの2次コイルの端子間と、前記第2絶縁トランスの2次コイルの端子間のそれぞれには前記中間コンデンサの端子間電圧が印加され、前記第1絶縁トランスの1次コイルの端子間と、前記第2絶縁トランスの1次コイルの端子間のそれぞれに電圧を発生させ、前記第1絶縁トランスの1次コイルと、前記第2絶縁トランスの1次コイルが接続されて構成される1次コイル回路が、1次側電力変換部を介して、前記1次入力電源に接続される、ことを特徴とする。
また、本発明の絶縁型電力変換装置において、制御装置をさらに含み、前記第1電力変換部と前記第2電力変換部のそれぞれは、複数のスイッチング素子を含み、前記制御装置は、前記第1電力変換部における複数の前記スイッチング素子のデューティ比を調整することにより、前記第1電力変換部の昇圧比を調整可能であり、前記第2電力変換部における複数の前記スイッチング素子のデューティ比を調整することにより、前記第2電力変換部の降圧比を調整可能である、としてもよい。
また、本発明の絶縁型電力変換装置において、前記第1電力変換部における複数の前記スイッチング素子のスイッチング動作により、前記第1絶縁トランスの2次コイルの端子間に、前記中間コンデンサの端子間電圧を振幅とする交流電圧が印加され、前記第1絶縁トランスの1次コイルの端子間に交流電圧を発生させ、前記第2電力変換部における複数の前記スイッチング素子のスイッチング動作により、前記第2絶縁トランスの2次コイルの端子間に、前記中間コンデンサの端子間電圧を振幅とする交流電圧が印加され、前記第2絶縁トランスの1次コイルの端子間に交流電圧を発生させる、としてもよい。
また、本発明の絶縁型電力変換装置において、前記2次入力電源の一方の端子は、前記第1絶縁トランスの2次コイルの中間タップに接続され、前記2次入力電源の他方の端子は、前記中間コンデンサの一方の端子に接続され、前記出力電源の一方の端子は、前記第2絶縁トランスの2次コイルの中間タップに接続され、前記出力電源の他方の端子は、前記中間コンデンサの一方の端子に接続される、としてもよい。
また、本発明の絶縁型電力変換装置において、前記1次コイル回路は、前記第1絶縁トランスの1次コイルと前記第2絶縁トランスの1次コイルが直列に接続されて構成される、としてもよい。
本発明によれば、2次入力電源の電圧を昇圧して得られた中間コンデンサの端子間電圧を降圧して、出力電源に供給することができるので、2次入力電源の電圧を、出力電源で要求される電圧よりも低く設定する必要がない。従って、高い電力を出力する場合に、2次入力電源の電圧を高く設定して、流れる電流を小さくすることができ、回路を構成する素子の導通損失を小さくすることができる。また、2次入力電源の電圧を高く設定できるので、第1電力変換部(昇圧回路)の昇圧比を小さくすることができ、電力変換損失を小さくすることができる。また、本発明によれば、1次入力電源の電圧は、2つの絶縁トランスの1次コイルから分散して得られるため、1つの絶縁トランスの1次コイルに要求される電圧を小さくすることができる。従って、低耐圧で体格が小さな第1、2絶縁トランスを採用して、絶縁型電力変換装置を小型化することができる。
絶縁型電力変換装置の回路図である。 二次入力電源と出力電源の間の等価回路である。 絶縁トランスの電圧の説明図である。 中間コンデンサの電圧変化に対する1次コイル回路の端子間電圧の変化を示す図である。 制御装置のブロック構成図である。 スイッチング素子S1〜S8のオンオフ、2次入力電流、出力電流、およびトランス電圧の極性の対応関係を示す図である。 スイッチング素子S1〜S4のオンオフ、2次入力電流、および第1絶縁トランスの2次コイルの電流のタイミングチャートである。 図6のt1期間における第1電力変換部の電流の流れを示す図である。 図6のt2期間における第1電力変換部の電流の流れを示す図である。 図6のt3期間における第1電力変換部の電流の流れを示す図である。 図6のt4期間における第1電力変換部の電流の流れを示す図である。 スイッチング素子S5〜S8のオンオフ、出力電流、および第2絶縁トランスの2次コイルの電流のタイミングチャートである。 図8のt1期間における第2電力変換部の電流の流れを示す図である。 図8のt2期間における第2電力変換部の電流の流れを示す図である。 図8のt3期間における第2電力変換部の電流の流れを示す図である。 図8のt4期間における第2電力変換部の電流の流れを示す図である。 電力変換装置において制御を行った際の2次入力電圧、中間コンデンサの端子間電圧、および出力電圧の波形を示す図である。 出力電圧50V時におけるスイッチング素子のオンオフに対する第1、2絶縁トランスの電圧変化を示すタイミングチャートである。 出力電圧200V時におけるスイッチング素子のオンオフに対する第1、2絶縁トランスの電圧変化を示すタイミングチャートである。 1次側電力変換部をDC/AC変換器とした場合の絶縁型電力変換装置の回路図である。 1次側電力変換部をAC/AC変換器とした場合の絶縁型電力変換装置の回路図である。 1次側電力変換部を相数変換器とした場合の絶縁型電力変換装置の回路図である。 従来技術の絶縁型電力変換装置の回路図である。 従来技術の出力電圧の変化に対するトランス1次側の電圧の変化を示す図である。
以下、本発明に係る実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態における絶縁型電力変換装置10(以下、電力変換装置10と言う)の回路図である。電力変換装置10は、1次入力電源、直流の2次入力電源、及び直流の出力電源が接続され、1次入力電源−出力電源、1次入力電源−2次入力電源、2次入力電源−出力電源のそれぞれで、双方向に電力変換が可能に構成される。
例えば、電力変換装置10は、住宅等に設置され、1次入力電源として100〜200V、周波数50〜60Hzの交流電源が接続され、2次入力電源として太陽光発電による直流電源、または、燃料電池(直流)が接続され、出力電源として電動車両に搭載された二次電池(直流)、または、住宅等に設置された蓄電池(直流)が接続される。なお、1次入力電源は、後述するように、直流電源または三相交流電源とすることもできる。
電力変換装置10は、2次入力電源の電圧Vin2を昇圧する第1電力変換部12(昇圧回路とも言う)と、第1電力変換部12により昇圧された電圧が供給される中間コンデンサCと、中間コンデンサCの端子間電圧Vcを降圧して、出力電源に供給する第2電力変換部14(降圧回路とも言う)と、第1電力変換部12のスイッチング素子S1〜S4および第2電力変換部14のスイッチング素子S5〜S8を制御する制御装置18と、第1絶縁トランスTR1および第2絶縁トランスTR2を有する絶縁トランスTRと、絶縁トランスTRと1次入力電源の間に介在する1次側電力変換部16を備える。第1絶縁トランスTR1は、1次コイルci1と2次コイルci2を有し、第2絶縁トランスTR2も、1次コイルci1と2次コイルci2を有する。
第1電力変換部12は、昇圧機能に加えて、1次入力電源と2次入力電源の間の電力変換機能を持つ。後で詳細に示すように、第1電力変換部12は、スイッチング素子S1〜S4のスイッチング動作により、第1絶縁トランスTR1の2次コイルci2の端子間に中間コンデンサCの端子間電圧Vcを振幅とする交流電圧を印加し、第1絶縁トランスTR1の1次コイルci1の両端に交流電圧を発生させる。
第2電力変換部14は、降圧機能に加えて、1次入力電源と出力電源の間の電力変換機能を持つ。後で詳細に示すように、第2電力変換部14は、スイッチング素子S5〜S8のスイッチング動作により、第2絶縁トランスTR2の2次コイルci2の端子間に中間コンデンサCの端子間電圧Vcを振幅とする交流電圧を印加し、第2絶縁トランスTR2の1次コイルci1の端子間に交流電圧を発生させる。
第1電力変換部12は、リアクトルLiと、第1アームA12および第2アームA34を含む。第1、2アームA12、A34のそれぞれの一端は上側ライン50に接続され、第1、2アームA12、A34の他端は下側ライン52に接続される。第1アームA12は、スイッチング素子S1、S2の直列接続によって構成されており、第2アームA34は、スイッチング素子S3、S4の直列接続によって構成される。スイッチング素子S1〜S4は、例えばMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等である。各スイッチング素子においては、ソースとドレインの間(エミッタとコレクタの間)に、ソース側(エミッタ側)からドレイン側(コレクタ側)に電流を流すダイオードが配置される。
第1アームA12のスイッチング素子S1、S2間の中点に、TR1の2次コイルci2の一端が接続され、第2アームA34のスイッチング素子S3、S4間の中点に、TR1の2次コイルci2の他端が接続される。2次入力電源のプラス端子は、リアクトルLiを介してTR1の2次コイルci2の中間タップに接続され、2次入力電源のマイナス端子は、下側ライン52を介して中間コンデンサCの一方の端子に接続される。
第2電力変換部14は、リアクトルLoと、第3アームA56および第4アームA78を含む。第3、4アームA56、A78のそれぞれの一端は上側ライン50に接続され、第3、4アームA56、A78の他端は下側ライン52に接続される。第3アームA56は、スイッチング素子S5、S6の直列接続によって構成されており、第4アームA78は、スイッチング素子S7、S8の直列接続によって構成される。スイッチング素子S5〜S8は、スイッチング素子S1〜S4と同様に、例えばMOSFETやIGBT等である。各スイッチング素子においては、ソースとドレインの間(エミッタとコレクタの間)に、ソース側(エミッタ側)からドレイン側(コレクタ側)に電流を流すダイオードが配置される。
第3アームA56のスイッチング素子S5、S6間の中点に、TR2の2次コイルci2の一端が接続され、第4アームA78のスイッチング素子S7、S8間の中点に、TR2の2次コイルci2の他端が接続される。出力電源のプラス端子は、リアクトルLoを介してTR2の2次コイルci2の中間タップに接続され、出力電源のマイナス端子は、下側ライン52を介して中間コンデンサCの一方の端子に接続される。本実施形態のように、絶縁トランスのコイルの中間タップを利用する構成により、中間タップを利用せずに電源を接続する場合に比べて、電力変換装置10のスイッチング素子の数を少なくすることができ、電力変換装置10を小型化することができる。
第1絶縁トランスTR1の1次コイルci1と第2絶縁トランスTR2の1次コイルci1は、直列に接続されて1次コイル回路ci1cを構成する。1次コイル回路ci1cは、1次側電力変換部16を介して1次入力電源に接続される。1次側電力変換部16は、後で詳細に示すように、DC/AC変換器、AC/AC変換器、または相数変換器とすることができる。
制御装置18は、第1電力変換部12のスイッチング素子S1〜S4のそれぞれのゲート信号GS1〜GS4と、第2電力変換部14のスイッチング素子S5〜S8のそれぞれのゲート信号GS5〜GS8を生成する。制御装置18は、第1電力変換部12のスイッチング素子S1〜S4のデューティ比を調整することにより、第1電力変換部12の昇圧比を調整し、第2電力変換部14のスイッチング素子S5〜S8のデューティ比を調整することにより、第2電力変換部14の降圧比を調整する。
次に、電力変換装置10の動作について簡単に説明する。図2は、2次入力電源と出力電源の間の等価回路である。図2では、図1のスイッチング素子S1〜S4がスイッチング素子Sa、Sbに置き換えられ、図1のスイッチング素子S5〜S8がスイッチング素子Sc、Sdに置き換えられている。ここで、2次入力電源の電圧(2次入力電圧)Vin2と中間コンデンサCの端子間電圧Vcは、以下の(1)式の関係を有する。
Vc=1/(1−D1)×Vin2 ・・・(1)
上記(1)式において、D1は、図2に示すスイッチング素子Sa、Sbのデューティ比であり、SaがオフかつSbがオンの期間をt1とし、SaがオンかつSbがオフの期間をt2とすると、以下の(2)式で表される。
D1=t1/(t1+t2) ・・・(2)
上記(1)、(2)式から、第1電力変換部12の昇圧機能により、2次入力電圧Vin2よりも中間コンデンサCの端子間電圧Vcを高くできることを理解できる。次に、中間コンデンサCの端子間電圧Vcと出力電源の電圧(出力電圧)Voutは、以下の(3)式の関係を有する。
Vout=D2×Vc ・・・(3)
上記(3)式において、D2は、図2に示すスイッチング素子Sc、Sdのデューティ比であり、ScがオフかつSdがオンの期間をt3とし、ScがオンかつSdがオフの期間をt4とすると、以下の(4)式で表される。
D2=t3/(t3+t4) ・・・(4)
上記(3)、(4)式から、第2電力変換部14の降圧機能により、中間コンデンサCの端子間電圧Vcよりも出力電圧Voutを低くできることを理解できる。制御装置18は、D1とD2のデューティ比を調整することにより、2次入力電圧Vin2に対して、出力電圧Voutを幅広く制御することが可能である。
ここで、Vin2、Vc、及びVoutの関係を具体的な電圧値を用いて説明する。図2に示すように、例えば、2次入力電圧Vin2を50Vにする。この時、D1の調整により、Vin2を昇圧して中間コンデンサCの端子間電圧Vcを150Vとすることができ、D2の調整により、Vcを降圧して出力電圧Voutを50Vにすることができる。このように電力変換装置10は、昇圧機能に加えて降圧機能を有するので、2次入力電圧Vin2(上記の例では50V)を出力電圧Vout(上記の例では50V)よりも低く設定する必要がない。2次入力電圧Vin2を高く設定できることにより、高い電力を出力する際に、2次入力電源側に流れる電流を小さくすることができ、回路を構成する素子の導通損失を小さくすることができる。
また、2次入力電圧Vin2を高く設定できるので、第1電力変換部12の昇圧比を小さくしても、出力電源で要求される電圧を得ることができる。第1電力変換部12の昇圧比を小さくすることにより、電力変換損失を小さくすることができる。例えば、図2に示すように、2次入力電圧Vin2を50Vにする時、D1の調整により中間コンデンサCの端子間電圧Vcを250Vとすることができ、D2の調整により出力電圧Voutを200Vにすることができる。この場合、第1電力変換部12の昇圧比は5倍(=Vc/Vin2=250V/50V)で済む。一方、図15A、15Bに示した従来技術では、上記した例と同じ200Vの出力電圧を得たい場合には、2次入力電圧を25Vにすると、昇圧比は8倍(=200V/25V)にする必要がある。このように、本実施形態によれば、従来技術に比べて昇圧比を低減することができる。
次に、電力変換装置10の絶縁トランスTRの降下電圧について説明する。図3A、3Bは、絶縁トランスTRの降下電圧を示す図である。以下、第1絶縁トランスTR1の1次コイルci1の端子間電圧をvtp1と、2次コイルci2の端子間電圧をvts1と表し、第2絶縁トランスTR2の1次コイルci1の端子間電圧をvtp2と、2次コイルci2の端子間電圧をvts2と表す。vts1とvts2のそれぞれは、中間コンデンサCの端子間電圧Vcを振幅とする交流電圧となり、vts1=vts2の関係がある。第1絶縁トランスTR1の1次コイルci1は、その2次コイルci2のvts1により励磁されて、交流電圧のvtp1を生じる。同様に、第2絶縁トランスTR2の1次コイルci1は、その2次コイルci2のvts2により励磁されて、交流電圧のvtp2を生じる。ここで、第1絶縁トランスTR1の電圧比N1(1次コイルci1と2次コイルci2の巻数比)と、第2絶縁トランスTR2の電圧比N2(1次コイルci1と2次コイルci2の巻数比)とは同じであり、vtp1=vtp2の関係がある。TR1の1次コイルci1と、TR2の1次コイルci1とは直列に接続されて1次コイル回路ci1cを構成しており、1次コイル回路ci1cの端子間電圧vtpは、vtp1とvtp2を加算したものとなる(vtp=vtp1+vtp2)。
本実施形態の電力変換装置10によれば、1次入力電源の電圧は、TR1の1次コイルci1の端子間電圧vtp1と、TR2の1次コイルci1の端子間電圧vtp2から分散して得られるため、1つの絶縁トランスの1次コイルに要求される電圧(vtp1またはvtp2)を小さくすることができる。従って、低耐圧で体格が小さな第1、2絶縁トランスTR1、TR2を採用して、電力変換装置10を小型化することができる。
また、本実施形態の電力変換装置10によれば、TR1の1次コイルci1と、TR2の1次コイルci1に要求される電圧が小さいことにより、TR1、TR2のそれぞれの電圧比(1次コイルci1と2次コイルci2の巻数比に同じ)を小さくすることができる。従って、TR1、TR2のコイルの巻回数を削減することができ、体格が小さなTR1、TR2を採用して、電力変換装置10を小型化することができる。
ここで、絶縁トランスTRの降下電圧について具体的な電圧値を用いて説明する。例えば、第1、2絶縁トランスTR1、TR2のそれぞれの電圧比N1、N2を0.67:1とする(N1=N2=0.67:1)。図3Bに示すように、中間コンデンサCの端子間電圧Vc=150Vとした場合には、vts1=vts2=150V(振幅)となる。また、電圧比N1、N2が0.67:1であるから、vtp1=vtp2=150×0.67=100V(振幅)となる。そして、1次コイル回路ci1cの端子間電圧は、vtp=vtp1+vtp2=200V(振幅)となる。
また、図3Bに示すように、中間コンデンサCの端子間電圧Vc=250Vとした場合には、vts1=vts2=250V(振幅)となる。また、電圧比N1、N2が0.67:1であるから、vtp1=vtp2=250×0.67=167.5V(振幅)となる。そして、1次コイル回路ci1cの端子間電圧は、vtp=vtp1+vtp2=335V(振幅)となる。なお、本実施形態では、中間コンデンサCの端子間電圧Vc=250Vとした場合には、出力電圧Vout=200Vを得ることができ(図2参照)、1次入力側のトランス電圧vtpは335V(振幅)である。一方、図15A、15Bに示した従来技術では、同じ出力電圧Vout=200Vを得る際に、トランス1次側の電圧は800V(振幅)になっている。このように、本実施形態によれば、従来技術に比べて、同じ出力電圧を得る際の1次入力側のトランス電圧vtpを低減することができる。
次に、電力変換装置10についてさらに詳細に説明する。図4は、制御装置18のブロック構成図である。制御装置18は、4つの加算器20、22、24、26と、4つのPI制御器30、32、34、36と、2つの位相制御部40、42を含む。制御装置18は、中間コンデンサ電圧指令値Vrcと、中間コンデンサCの端子間電圧Vc(実値)との差分を加算器20で求め、その差分が0になるようにPI制御器30によりPI電圧制御を行い、中間コンデンサCの端子間電圧Vcを制御する。そして、中間コンデンサCの端子間電圧Vcの昇圧動作のために、PI制御器30の出力値と、2次入力電源の電流値Iin2(実値)との差分を加算器22で求め、その差分が0になるようにPI制御器32によりPI電流制御を行い、2次入力電源の電流Iin2を制御する。そして、制御装置18は、位相制御部40を用いて、PI制御器32の出力値に基づいた指令値と、高周波のキャリア信号とを比較することによりスイッチング素子S1〜S4のゲート信号GS1〜GS4を生成する。
また、制御装置18は、出力電圧指令値Vroutと、出力電源の電圧Vout(実値)との差分を加算器24で求め、その差分が0になるようにPI制御器34によりPI電圧制御を行い、出力電圧Voutを制御する。そして、中間コンデンサCの端子間電圧Vcの降圧動作のために、PI制御器34の出力値と、出力電源の電流値Iout(実値)との差分を加算器26で求め、その差分が0になるようにPI制御器36によりPI電流制御を行い、出力電源の電流Ioutを制御する。そして、制御装置18は、位相制御部42を用いて、PI制御器36の出力値に基づいた指令値と、高周波のキャリア信号とを比較することによりスイッチング素子S5〜S8のゲート信号GS5〜GS8を生成する。なお、本実施形態では、三角波のキャリア信号(キャリア波とも言う)を用いる。
図5は、スイッチング素子S1〜S8のオンオフ、2次入力電流Iin2、出力電流Iout、および第1、第2絶縁トランスTR1、TR2の電圧極性の対応関係を示す表である。図6は、スイッチング素子S1〜S4のオンオフ、2次入力電流Iin2、および第1絶縁トランスTR1の2次コイルci2に流れる電流Ic1、Ic2のタイミングチャートである。図6に示す期間t1、t2、t3、t4を合わせた時間Tが、キャリア信号の1周期である。
図7Aは、図6のt1期間における第1電力変換部の電流の流れを示す図である。t1期間では、スイッチング素子S1、S3がオフ、スイッチング素子S2、S4がオンであり、2次入力電源から中間コンデンサCへ電流が流れず、2次入力電流Iin2が上昇する(図6参照)。なお、第1絶縁トランスTR1の2次コイルci2に流れる電流には、2次コイルci2の中間タップより上側のコイルに流れるコイル電流Ic1と、中間タップより下側のコイルに流れるコイル電流Ic2があり、Ic1+Ic2=Iin2の関係がある。
図7Bは、図6のt2期間における第1電力変換部の電流の流れを示す図である。t2期間では、スイッチング素子S1、S4がオン、スイッチング素子S2、S3がオフであり、2次入力電源から中間コンデンサCへ電流が流れ、2次入力電流Iin2が下降する(図6参照)。
図7Cは、図6のt3期間における第1電力変換部の電流の流れを示す図である。t3期間は、t1期間と同じ状態であり、スイッチング素子S1、S3がオフ、スイッチング素子S2、S4がオンであり、2次入力電源から中間コンデンサCへ電流が流れず、2次入力電流Iin2が上昇する(図6参照)。
図7Dは、図6のt4期間における第1電力変換部の電流の流れを示す図である。t4期間では、スイッチング素子S1、S4がオフ、スイッチング素子S2、S3がオンであり、2次入力電源から中間コンデンサCへ電流が流れ、2次入力電流Iin2が下降する(図6参照)。
図8は、スイッチング素子S5〜S8のオンオフ、出力電流Iout、および第2絶縁トランスTR2の2次コイルci2に流れる電流Ic3、Ic4のタイミングチャートである。図8に示す期間t1、t2、t3、t4のそれぞれは、図6に示す期間t1、t2、t3、t4のそれぞれと同じ期間である。
図9Aは、図8のt1期間における第2電力変換部の電流の流れを示す図である。t1期間では、スイッチング素子S5、S7がオン、スイッチング素子S6、S8がオフであり、中間コンデンサCから出力電源へ電流が流れ、出力電流Ioutが上昇する(図8参照)。なお、第2絶縁トランスTR2の2次コイルci2に流れる電流には、2次コイルci2の中間タップより上側のコイルに流れるコイル電流Ic3と、中間タップより下側のコイルに流れるコイル電流Ic4があり、Ic3+Ic4=Ioutの関係がある。
図9Bは、図8のt2期間における第2電力変換部の電流の流れを示す図である。t2期間では、スイッチング素子S5、S8がオン、スイッチング素子S6、S7がオフであり、中間コンデンサCから出力電源へ電流が流れず、出力電流Ioutが下降する(図8参照)。
図9Cは、図8のt3期間における第2電力変換部の電流の流れを示す図である。t3期間は、t1期間と同じ状態であり、スイッチング素子S5、S7がオン、スイッチング素子S6、S8がオフであり、中間コンデンサCから出力電源へ電流が流れ、出力電流Ioutが上昇する(図8参照)。
図9Dは、図8のt4期間における第2電力変換部の電流の流れを示す図である。t4期間では、スイッチング素子S5、S8がオフ、スイッチング素子S6、S7がオンであり、中間コンデンサCから出力電源へ電流が流れず、出力電流Ioutが下降する(図8参照)。
次に、本実施形態の電力変換装置10において制御を行った際の出力電圧の変化について説明する。図10は、電力変換装置10において制御を行った際の2次入力電圧Vin2、中間コンデンサCの電圧Vc、および出力電圧Voutの波形を示す図である。図10に示すように、まず、中間コンデンサCの端子間電圧Vcを100Vに制御して、出力電圧Voutを0Vに制御している。そして、中間コンデンサCの端子間電圧Vcを150Vに調整して、その後、出力電圧Voutを50Vに制御している。次に、出力電圧Voutを200Vとするために、中間コンデンサCの端子間電圧Vcを250Vまで調整し、その後、出力電圧Voutが50Vから200Vまで上昇することを確認した。最後に、制御により、出力電圧Voutを200Vから0Vまで調整可能であることを確認した。以上から、本実施形態の電力変換装置10の効果として、幅広い電圧制御が可能であることを理解できる。
次に、スイッチング素子S1〜S8のオンオフに対する第1、2絶縁トランスTR1、TR2の電圧変化について示す。図11Aは、出力電圧50V時におけるスイッチング素子S1〜S8のオンオフに対する第1、2絶縁トランスTR1、TR2の電圧変化を示すタイミングチャートである。出力電圧50V時には、中間コンデンサCの端子間電圧は150Vになるので、図11Aに示すように、vts1=vts2=150V(振幅)となる。そして、第1、2絶縁トランスTR1、TR2の電圧比N1、N2は0.67:1であるから、vtp1=vtp2=150×0.67=100V(振幅)となる。また、vtp=vtp1+vtp2=200V(振幅)となる。
図11Bは、出力電圧200V時におけるスイッチング素子S1〜S8のオンオフに対する第1、2絶縁トランスTR1、TR2の電圧変化を示すタイミングチャートである。出力電圧200V時には、中間コンデンサCの端子間電圧は250Vになるので、図11Bに示すように、vts1=vts2=250V(振幅)となる。そして、第1、2絶縁トランスTR1、TR2の電圧比N1、N2は0.67:1であるから、vtp1=vtp2=250×0.67=167.5V(振幅)となる。また、vtp=vtp1+vtp2=335V(振幅)となる。
次に、電力変換装置10の1次側電力変換部16のバリエーションについて説明する。
1次側電力変換部16には、様々な電力変換器を採用することができる。図12には、1次入力電源を直流電源として、1次側電力変換部16をDC/AC変換器16aとした場合の電力変換装置10の回路図の一例が示されている。また、図13には、1次入力電源を交流電源として、1次側電力変換部16をAC/AC変換器16bとした場合の電力変換装置10の回路図の一例が示されている。また、図14には、1次入力電源を三相交流電源として、1次側電力変換部16を相数変換器16cとした場合の電力変換装置10の回路図の一例が示されている。なお、1次側電力変換部16は、上記したものに限られず、例えば、複数要素(直流交流、振幅、位相、周波数、相数などのうちの2以上の要素)の変換が可能な電力変換器であってもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
10 絶縁型電力変換装置、12 第1電力変換部、14 第2電力変換部、16 1次側電力変換部、16a DC/AC変換器、16b AC/AC変換器、16c 相数変換器、18 制御装置、20,22,24,26 加算器、30,32,34,36 PI制御器、40,42 位相制御部、50 上側ライン、52 下側ライン、A12 第1アーム、A34 第2アーム、A56 第3アーム、A78 第4アーム、C 中間コンデンサ、ci1 1次コイル、ci2 2次コイル、ci1c 1次コイル回路、Li,Lo リアクトル、S1,S2,S3,S4,S5,S6,S7,S8,Sa,Sb,Sc,Sd スイッチング素子、TR 絶縁トランス、TR1 第1絶縁トランス、TR2 第2絶縁トランス。

Claims (5)

  1. 1次入力電源、直流の2次入力電源、および直流の出力電源が接続される絶縁型電力変換装置であって、
    前記2次入力電源の電圧を昇圧する第1電力変換部と、
    前記第1電力変換部により昇圧された電圧が供給される中間コンデンサと、
    前記中間コンデンサの端子間電圧を降圧して、前記出力電源に供給する第2電力変換部と、
    1次コイルと2次コイルを有する第1絶縁トランスと、
    1次コイルと2次コイルを有する第2絶縁トランスと、を含み、
    前記第1絶縁トランスの2次コイルの端子間と、前記第2絶縁トランスの2次コイルの端子間のそれぞれには前記中間コンデンサの端子間電圧が印加され、前記第1絶縁トランスの1次コイルの端子間と、前記第2絶縁トランスの1次コイルの端子間のそれぞれに電圧を発生させ、
    前記第1絶縁トランスの1次コイルと、前記第2絶縁トランスの1次コイルが接続されて構成される1次コイル回路が、1次側電力変換部を介して、前記1次入力電源に接続される、
    ことを特徴とする絶縁型電力変換装置。
  2. 請求項1に記載の絶縁型電力変換装置であって、
    制御装置をさらに含み、
    前記第1電力変換部と前記第2電力変換部のそれぞれは、複数のスイッチング素子を含み、
    前記制御装置は、
    前記第1電力変換部における複数の前記スイッチング素子のデューティ比を調整することにより、前記第1電力変換部の昇圧比を調整可能であり、
    前記第2電力変換部における複数の前記スイッチング素子のデューティ比を調整することにより、前記第2電力変換部の降圧比を調整可能である、
    ことを特徴とする絶縁型電力変換装置。
  3. 請求項2に記載の絶縁型電力変換装置であって、
    前記第1電力変換部における複数の前記スイッチング素子のスイッチング動作により、前記第1絶縁トランスの2次コイルの端子間に、前記中間コンデンサの端子間電圧を振幅とする交流電圧が印加され、前記第1絶縁トランスの1次コイルの端子間に交流電圧を発生させ、
    前記第2電力変換部における複数の前記スイッチング素子のスイッチング動作により、前記第2絶縁トランスの2次コイルの端子間に、前記中間コンデンサの端子間電圧を振幅とする交流電圧が印加され、前記第2絶縁トランスの1次コイルの端子間に交流電圧を発生させる、
    ことを特徴とする絶縁型電力変換装置。
  4. 請求項3に記載の絶縁型電力変換装置であって、
    前記2次入力電源の一方の端子は、前記第1絶縁トランスの2次コイルの中間タップに接続され、前記2次入力電源の他方の端子は、前記中間コンデンサの一方の端子に接続され、
    前記出力電源の一方の端子は、前記第2絶縁トランスの2次コイルの中間タップに接続され、前記出力電源の他方の端子は、前記中間コンデンサの一方の端子に接続される、
    ことを特徴とする絶縁型電力変換装置。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の絶縁型電力変換装置であって、
    前記1次コイル回路は、前記第1絶縁トランスの1次コイルと前記第2絶縁トランスの1次コイルが直列に接続されて構成される、
    ことを特徴とする絶縁型電力変換装置。
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