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JP2020121528A - 印刷物、印刷方法、及び印刷物製造用のインク - Google Patents

印刷物、印刷方法、及び印刷物製造用のインク Download PDF

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JP2020121528A
JP2020121528A JP2019015934A JP2019015934A JP2020121528A JP 2020121528 A JP2020121528 A JP 2020121528A JP 2019015934 A JP2019015934 A JP 2019015934A JP 2019015934 A JP2019015934 A JP 2019015934A JP 2020121528 A JP2020121528 A JP 2020121528A
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ink
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particles
resin
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智大 平出
Tomohiro Hirade
智大 平出
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Abstract

【課題】本発明は、ラミネート処理を行っても白色隠蔽性が低下しない、さらに塗膜ムラのない印刷物を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の印刷物は、非浸透性基材、インク層、樹脂層、及びラミネート層からなる印刷物であって、前記インク層が無機中空粒子、及び樹脂を含有し、前記無機中空粒子が球状である印刷物である。前記インク層に含有される無機中空粒子の外殻の厚さが15nm以上50nm以下であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、印刷物、印刷方法、及び印刷物製造用のインクに関する。
インクジェットプリンターは、低騒音、低ランニングコスト、カラー印刷が容易であるなどの利点を有するため、デジタル信号の出力機器として一般家庭に広く普及している。また近年では、家庭用のみならず、例えば、ディスプレイ、ポスター、掲示板等の産業用途にも利用されている。
しかし、産業用途の場合、記録媒体としては、紙に限定されず透明な記録媒体から着色された記録媒体まで幅広く用いられる。これらの記録媒体に白を表現する場合やカラーインクで着色する場合、記録媒体の透明性をインクで隠蔽したり、記録媒体の色をインクで十分に隠蔽したりする必要がある。このため、透明な記録媒体や着色された記録媒体を白色にするため白色インクが用いられている。また、カラーインクを用いる場合は、一般的な画像に用いるカラーインクと共通化するため、記録媒体にカラーインクの下地として白色インクを印字してカラーの発色を向上させている。
前記白色インク用の顔料としては、隠蔽力、着色力等に優れた白色顔料である二酸化チタンが広く用いられている。前記二酸化チタンを用いて高い隠蔽力を得るには可視光を散乱させるために、粒径が200nmから400nmの範囲に分散させる必要がある。しかし、前記二酸化チタンは、比重がインク媒体と比較して大きいために沈降しやすく、更に、水性インクやソルベントインクなどの低粘度インク中では沈降速度が速くなる。また、前記二酸化チタンが沈降すると最密充填構造を形成するために再度分散させることは困難である。
このような課題に対して、中空粒子を用いたインクが報告されている。前記中空粒子はインク中では空孔部にインク媒体が存在することになるため、見かけの比重が小さくなり、沈降しにくくなる。また、前記中空粒子の隠蔽性は、塗膜乾燥後の中空シェルとインク媒体の抜けた空孔部の屈折率差を利用して得られる。
例えば、中空構造を有する有機粒子と、中空構造を有する無機粒子とを含有するインクが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
一方で、食品、飲料、日用品などの包装材料の用途においては、プラスチックフィルムなどの非浸透性基材が使用されており、前記非浸透性基材に用いられるインクが開発されてきている。このような包装材料には、プラスチックフィルムの裏面に印刷した後、印刷層の上に接着剤を塗布し、ヒートシールできるフィルムを貼り合わせてラミネート加工した、いわゆる裏刷り印刷が用いられている。
また、ラミネート強度を得るために、インクを付与する前に、非浸透性基材等の被印刷物に表面処理用液体組成物を付与することが行われている。例えば、ノニオン性樹脂粒子と、多価金属塩とを含む被印刷物の表面処理用液体組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
本発明は、ラミネート処理を行っても白色隠蔽性が低下しない、さらに塗膜ムラのない印刷物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の印刷物は、非浸透性基材、インク層、樹脂層、及びラミネート層からなる印刷物であって、前記インク層が無機中空粒子、及び樹脂を含有し、前記無機中空粒子が球状である。
本発明によると、ラミネート処理を行っても白色隠蔽性が低下しない、さらに塗膜ムラのない印刷物を提供することができる。
本発明のインクを用いる印刷装置の一例を示す図である。 本発明のインクを収容するメインタンクの斜視図である。 製造例3で得られた無機中空粒子のTEM像である。 製造例5で得られた無機中空粒子のTEM像である。 製造例12で得られた無機中空粒子のTEM像である。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
(1)非浸透性基材、インク層、樹脂層、及びラミネート層からなる印刷物であって、前記インク層が無機中空粒子、及び樹脂を含有し、前記無機中空粒子が球状である印刷物。
(2)前記無機中空粒子の外殻の厚さが15nm以上50nm以下である(1)に記載の印刷物。
(3)前記インク層の厚みが0.5μm以上20μm以下である(1)または(2)に記載の印刷物。
(4)前記樹脂層がポリウレタン系接着剤またはイソシアネート系接着剤を含有する(1)〜(3)のいずれかに記載の印刷物。
(5)前記ラミネート層が、ポリエチレンテレフタレート、二軸延伸ポリプロピレン、二軸延伸ナイロンのいずれかである(1)〜(4)のいずれかに記載の印刷物。
(6)非浸透性基材に、インクを付与してインク層を形成する工程と、樹脂を付与して樹脂層を形成する工程と、ラミネートフィルムを付与してラミネート層を形成するラミネート処理工程と、を有する印刷方法であって、前記インクを付与する工程により形成されたインク層は、球状の無機中空粒子、及び樹脂を含有する印刷方法。
(7)前記インクが、個数平均一次粒子径が200nm以上550nm以下の球状の無機中空粒子を含有する(6)に記載の印刷方法。
(8)顔料、及び樹脂粒子を含有し、前記顔料が球状の無機中空粒子であり、(1)から(5)のいずれかに記載の印刷物を製造するために用いられる印刷物製造用のインク。
(9)前記球状の無機中空粒子が、個数平均一次粒子径が200nm以上550nm以下の無機中空粒子である(8)に記載の印刷物製造用のインク。
(印刷物)
本発明の印刷物は、非浸透性基材、インク層、樹脂層、及びラミネート層からなる印刷物であって、前記インク層が無機中空粒子、及び樹脂を含有し、前記無機中空粒子が球状であることを特徴とする。インク層が球状の無機中空粒子を含有していることにより、ラミネート処理に用いる溶剤や加熱乾燥に耐用でき、ラミネート処理を行っても白色隠蔽性が低下しない、さらに球状の無機中空粒子であるため、粒子の流動性が良く、インク吐出性が良好で、塗膜ムラのない印刷物を得ることができる。
<<非浸透性基材>>
前記非浸透性基材とは、水透過性、吸収性が低い表面を有する基材であり、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれ、より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2以下である基材をいう。
前記非浸透性基材としては、例えば、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルムを、好適に使用することができる。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムであれば、厚さ100μmの全光線透過率が80%以上のものが挙げられる。
<<インク層>>
前記インク層は無機中空粒子、樹脂を含有し、前記無機中空粒子が球状である必要がある。顔料として無機中空粒子を用いるが、無機中空粒子であることにより後述する樹脂層の形成時に白色隠蔽性の低下が起きない。樹脂層は酢酸エチルなどの有機溶剤を用いて形成するが、無機中空粒子は耐熱性および耐溶剤性が高いため、樹脂層形成において中空粒子がつぶれることがないためである。
インク層の厚みが0.5μm以上20μm以下であることが好ましく、インク層の厚みがこの範囲であれば十分な白色隠蔽性を得ることができる。
<無機中空粒子>
顔料としては、球状の無機中空粒子が用いられる。
前記無機中空粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、チタン、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、ストロンチウム等の酸化物、窒化物、酸化窒化物などが挙げられる。これらの中でも、隠蔽性の点から、酸化チタンが好ましい。
なお、前記無機中空粒子としては、粒子表面の散乱以外に中空粒子の外殻に相当するシェルと内部の空孔との散乱も得られるため、酸化ケイ素を利用することもできる。また、インク中での沈降性の点から、無機中空粒子としては比重の小さい酸化ケイ素を利用することが好ましい。
前記無機中空粒子において、インク中で粒子の流動性を確保するためには無機中空粒子の粒子形状が球状であることが必要であり、本発明において、無機中空粒子の粒子形状が球状であるとは、平均円形度が0.93以上であることをいう。インク吐出性向上の点から、平均円形度が0.95以上の球状無機中空粒子を用いることが好ましい。前記無機中空粒子の粒子形状を球状とすることにより、インク中の粒子流動性が向上してインク吐出性が向上する。その結果として、塗膜ムラのない良好な印刷物が得られる。
ここで、無機中空粒子は次のように観察を行い、粒子形状と平均円形度を求めた。
インクにおいては、透過型電子顕微鏡を(日本電子株式会社製、「JEM−2100F」)を用いて、任意の測定倍率を選択して無機中空粒子の撮影を行った。撮影されたTEM像を画像解析ソフトによって処理し、無機中空粒子(粒子の外径)の「円相当径」と「周囲長」を算出した。算出された円相当径及び周囲長に基づき、下記式に従って、無機中空粒子200個各々の円形度を求めた。
円形度=(円相当径から求めた円周長)/(周囲長)
ここで、(円相当径から求めた円周長)=(円相当径)×πである。
200個の無機中空粒子の円形度のうち、上位5%及び下位5%の数値を除去し、残り90%の平均値を求め、その値を無機中空粒子の平均円形度とした。
印刷物においては、ウルトラミクロトームやイオンクロスポリッシャー等を用いて印刷物の断面を作製し、透過型電子顕微鏡を用いて、任意の測定倍率を選択して印刷物の撮影を行った。撮影されたTEM像を画像解析ソフトによって処理し、無機中空粒子(粒子の外径)の「円相当径」と「周囲長」を算出した。算出された円相当径及び周囲長に基づき、下記式に従って、無機中空粒子200個各々の円形度を求めた。
円形度=(円相当径から求めた円周長)/(周囲長)
ここで、(円相当径から求めた円周長)=(円相当径)×πである。
200個の無機中空粒子の円形度のうち、上位5%及び下位5%の数値を除去し、残り90%の平均値を求め、その値を無機中空粒子の平均円形度とした。
無機中空粒子の外殻の厚さにおいても、同様の方法で外殻部を計測することで、印刷物から測定することができる。
尚、インクに含有される無機中空粒子の形状と、インク層における無機中空粒子の形状は同じとなる。ラミネート処理を行っても、無機中空粒子はつぶれることがなく、平均円形度は変わらない。
前記無機中空粒子の粒子形状を球に制御する方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
前記無機中空粒子が酸化ケイ素からなる場合(以下、「中空シリカ粒子」と称することもある)、その製造方法については、特に制限はなく、公知の製造方法であることができ、例えば、特開2016−150880号公報に記載されているように、アニオン性基を有する有機化合物をコア材料として用い、カチオン性基を有するシリカ源とカチオン性基を有さないシリカ源を併用してコア材料表面にアルコキシシランを形成させてシリカを得る。その後、溶剤を用いてコア材料を溶解する方法で中空シリカ粒子を得ることができる。
なお、前記中空シリカ粒子を使用する場合、粉末乾燥された中空シリカ粒子よりも、中空シリカ粒子の製造過程で生じる中空シリカ粒子の分散液を使用することが好ましい。中空シリカ粒子の分散液を使用することにより、乾燥時の強固な粒子間凝集を防止することができる。乾燥時の粒子間凝集を抑制することで分散性が良好となり、分散時に過度なエネルギーを与える必要がなくなる。そのため、粒子損傷を抑制することが可能であり、隠蔽性低下や破片粒子による吐出性悪化が発生しにくくなる。
前記無機中空粒子が二酸化チタンからなる場合(以下、「中空チタン粒子」と称することもある)、その製造方法については、特に制限はなく、公知の製造方法を用いることができ、例えば、特開2014−051401号公報に記載されている方法などを用いることができる。
前記無機中空粒子の個数平均一次粒子径としては、200nm以上550nm以下が好ましく、300nm以上520nm以下がより好ましい。前記個数平均一次粒子径が、200nm以上であると、優れた隠蔽性を得ることができる。
無機中空粒子の一次粒子径が大きくなると、白色隠蔽性が増加するが、沈降速度も増加する傾向がある。白色隠蔽性を高めることと、沈降速度の増加を抑制する面から無機中空粒子の一次粒子径を調整する。前記個数平均一次粒子径が、550nm以下であると、インク中での沈降速度を抑制することができ、沈降しにくく高い分散安定性を得ることができる。
前記無機中空粒子の外殻の厚さ(以下シェル厚とも称す)としては、15nm以上50nm以下であることが好ましい。前記シェル厚が、15nm以上であることにより、分散工程に負荷されたエネルギーによる中空構造の崩壊が防止され、高い隠蔽性が得られ、またインク中での沈降も防止される。また、前記シェル厚が50nm以下であることにより、無機中空粒子としての比重を小さく維持でき、インク中での沈降が防止される。
前記無機中空粒子の個数平均一次粒子径及びシェル厚としては、例えば、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、装置名:JEM−2100F)を用いて、3万倍視野での200個以上500個以下の一次粒子を挟む一定方向の2本の平行線の間隔にある一定方向径を測定して、その累積分布の平均値から求めることができる。
前記無機中空粒子の含有量は、インク全量に対して、3質量%以上10質量%以下が好ましく、5質量%以上9質量%以下がより好ましい。前記含有量が、3質量%以上であると、十分な隠蔽性が得られ、10質量%以下とすることにより、十分な塗膜濃度が得られ、良好な吐出安定性を得ることができる。
また、インク層における無機中空粒子の含有量は、25質量%以上85質量%以下が好ましい。
インク中での無機中空粒子の分散安定性を高めるために分散剤を添加してもよい。分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、分散剤ポリマーが好適である。前記分散剤ポリマーとしては、例えば、α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル共重合体、アクリルブロック共重合体、水溶性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<樹脂>
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、スチレン樹脂、ブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリルスチレン樹脂、アクリルシリコーン樹脂などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、優れた耐擦過性を得る観点から、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂であることが好ましい。
前記樹脂は、水性エマルジョンの形態で水に分散し得る樹脂粒子であることが好ましく、前記樹脂粒子が分散された樹脂エマルジョンの形態としてインク中に添加されることがより好ましい。
ここで、前記「水性エマルジョンの形態で水に分散し得る樹脂粒子」とは、実質的に水不溶性の樹脂を水中で粒子状に分散してなる形態を言い、本発明における樹脂エマルジョンとは、一般に、エマルション、ディスパージョン、ラテックス、又はサスペンションと呼ばれるものを含む。
前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記樹脂粒子を用いることにより、前記無機中空粒子表面の散乱、前記無機中空粒子の外郭に相当するシェルと内部の空孔との散乱に加えて、更に樹脂粒子と前記無機中空粒子の内部の空孔との散乱が得られることから、隠蔽性が向上する。
前記樹脂粒子の累積50%体積粒径(D50)は、インク化した際の保存安定性及び吐出安定性の観点から、10nm以上350nm以下が好ましい。
前記樹脂粒子の含有量は、インク全量に対して、2.0質量%以上7.5質量%以下が好ましく、3.0質量%以上7.0質量%以下がより好ましい。前記含有量が、2.0質量%以上であると、前述のように隠蔽性が向上する。また、前記含有量が、7.5質量%以下であると、インク中で樹脂粒子が安定に維持できる。
インク層における樹脂の含有量は、15質量%以上75質量%以下が好ましい。
<揮発性溶剤>
インク層を形成するインクは、揮発性溶剤を含有することができる。
揮発性溶剤は、重合性官能基を有していない非重合性溶剤であることが好ましく、乾燥時に無機中空粒子内に残存しないものがより好ましい。
前記揮発性溶剤が、水、又は水と水溶性有機溶剤である場合は、水性インクとして使用することができ、前記揮発性溶剤が有機溶剤である場合は、ソルベントインクとして使用することができる。
近年では、VOC(揮発性有機化合物)問題も多く取り上げられ、VOC発生量の低減可能な水性インクが広く望まれる背景にある。VOCは常温常圧で大気中に容易に揮発する有機化合物の総称であるが、本発明において、前記揮発性溶剤とは、非浸透性基材(以下記録媒体とも称す)上で加温された際に揮発することが求められ、沸点が300℃以下のものを意味する。
本発明のインクは、前述したように粒子表面の散乱以外に無機中空粒子のシェルと内部の空孔との散乱を利用して隠蔽性が得られる。そのため、塗膜乾燥後にインク媒体が無機中空粒子内に残存すると塗膜の隠蔽性が低下してしまう。上記の点から、前記揮発性溶剤は、沸点が260℃以下であることが好ましい。
塗膜の隠蔽性が保持されれば、インク媒体が無機中空粒子内に含まれるインクとしても良い。
−水性インクの揮発性溶剤−
前記水性インクに用いられる水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、超純水などが挙げられる。
前記水性インクに用いられる水溶性有機溶剤としては、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類等のエーテル類;含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類などが挙げられる。
前記水溶性有機溶剤の水溶性とは、前記有機溶剤が水に対して30質量%以上溶解可能であることを意味する。
前記水溶性有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物;プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、N,N−ジメチル−β−ブトキシプロピオンアミド(出光興産株式会社製、エクアミドB100)、N,N−ジメチル−β−メトキシプロピオンアミド(出光興産株式会社製、エクアミドM100)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が260℃以下の水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
これらの中でも、炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物が好適に使用される。
前記炭素数8以上のポリオール化合物としては、例えば、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。
前記グリコールエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水溶性有機溶剤の水性インク中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
水性インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
−ソルベントインクの揮発性溶剤−
前記ソルベントインクに用いられる有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノブチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテルブチレート、エチレングリコールモノエチルエーテルブチレート、エチレングリコールモノブチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルブチレート、プロピレングリコールモノメチルエーテルブチレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルブチレート等のグリコールモノアセテート類;エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールアセテートプロピオネート、エチレングリコールアセテートブチレート、エチレングリコールプロピオネートブチレート、エチレングリコールジプロピオネート、エチレングリコールアセテートジブチレート、ジエチレングリコールアセテートプロピオネート、ジエチレングリコールアセテートブチレート、ジエチレングリコールプロピオネートブチレート、ジエチレングリコールジプロピオネート、ジエチレングリコールアセテートジブチレート、プロピレングリコールアセテートプロピオネート、プロピレングリコールアセテートブチレート、プロピレングリコールプロピオネートブチレート、プロピレングリコールジプロピオネート、プロピレングリコールアセテートジブチレート、ジプロピレングリコールアセテートプロピオネート、ジプロピレングリコールアセテートブチレート、ジプロピレングリコールプロピオネートブチレート、ジプロピレングリコールジプロピオネート、ジプロピレングリコールアセテートジブチレート等のグリコールジアセテート類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類;エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル等の乳酸エステル類、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
水性インクに用いる水溶性有機溶剤を用いてソルベントインクとしても良い。
前記ソルベントインクに含まれる前記有機溶剤の含有量は、インク全量に対して、30質量%以上95質量%以下が好ましく、30質量%以上90質量%以下がより好ましく、39質量%以上82質量%以下が更に好ましい。
前記ソルベントインクは、水を含まないことが好ましい。水を含まないことにより、顔料の分散の安定性を向上させたり、溶剤の加水分解を抑制したり、ヘッドの腐食を抑制したりすることができる。したがって、前記ソルベントインクにおいて、水の含有量は、通常の吸湿量である0.5質量%以下であることがより好ましい。
<添加剤>
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。
中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S−1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
(但し、一般式(S−1)式中、m、n、a、及びbは、それぞれ独立に、整数を表わし、Rは、アルキレン基を表し、R’は、アルキル基を表す。)
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(信越化学工業株式会社)、EMALEX−SS−5602、SS−1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ−2105、FZ−2118、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK−33、BYK−387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2〜16の化合物が好ましく、フッ素置換した炭素数が4〜16である化合物がより好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。
これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F−1)及び一般式(F−2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
上記一般式(F−1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0〜10の整数が好ましく、nは0〜40の整数が好ましい。
[一般式(F−2)]
n2n+1−CH2CH(OH)CH2−O−(CH2CH2O)a−Y
上記一般式(F−2)で表される化合物において、YはH、又はCm2m+1でmは1〜6の整数、又はCH2CH(OH)CH2−Cm2m+1でmは4〜6の整数、又はCp2p+1でpは1〜19の整数である。nは1〜6の整数である。aは4〜14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。
この市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR、キャプストーンFS−30、FS−31、FS−3100、FS−34、FS−35(いずれも、Chemours社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF−136A,PF−156A、PF−151N、PF−154、PF−159(オムノバ社製)、ユニダインDSN−403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Chemours社製のFS−3100、FS−34、FS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF−151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN−403Nが特に好ましい。
インク中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
<消泡剤>
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
<防錆剤>
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
インクは、例えば、揮発性溶剤、無機中空粒子、及び樹脂粒子、更に必要に応じてその他の成分を、各種分散装置を用いて混合することにより、製造することができる。
前記分散装置としては、例えば、ボールミル、サンドミルやビーズミル等のメディアを用いた分散装置、メディアレス分散装置を用いてもよいが、分散時に無機中空粒子の中空構造を維持するためにはメディアレス分散装置を用いることが好ましい。
前記メディアレス分散装置は、粒子へのメディア衝突を避けることにより中空構造を維持したまま無機中空粒子を分散することが可能である。また、メディア由来のコンタミが発生しないことから、系内に微粉、粗粉の発生を抑制できる。更に、粒度分布の均一性を向上できることから、良好なインク吐出性が得られる。
前記メディアレス分散装置としては、例えば、衝突分散型、超音波分散型などによる高速せん断力を利用する分散装置、高速撹拌を利用する分散装置又は超音波分散装置などが挙げられる。これらの中でも、高速せん断力を利用する分散装置、超音波分散装置が好ましい。
前記高速せん断力を利用する分散装置としては、例えば、装置名:ナノヴェイタシリーズラボ機C−ES008(吉田機械興業株式会社製)などが挙げられる。
前記超音波分散装置としては、例えば、装置名:超音波ホモジナイザーUS−150E(株式会社日本精機製作所製)などが挙げられる。
分散時における分散液の温度としては、5℃以上60℃以下が好ましく、5℃以上50℃以下がより好ましい。
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
インクを記録媒体に付着させることで、白色隠蔽性を得られる。無機中空粒子(顔料)の付着量を増加させることで、白色隠蔽性を高めることができる。
顔料の付着量を同一にして比較した場合、中空シリカなどの無機中空粒子は、酸化チタンと比較して白色隠蔽性が高い。
無機中空粒子を有するインクを用いて得たインク層の膜は、酸化チタンを有するインクを用いて得たインク層の膜と比較して、顔料付着量が低いにも関わらず、膜厚は厚くなる。その結果、顔料の付着量を同一にして比較した場合、無機中空粒子は、酸化チタンと比較して白色隠蔽性が高くなることが推測される。
インクジェット記録方法によるインク付着量は、1.5g/m2〜25g/m2が好ましい。前記インク付着量が、1.5g/m2以上であると、十分な画像濃度を得ることができ、25g/m2以下であると、十分な定着性が得られる。
<印刷装置、印刷方法>
本発明のインク層は、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などにを用いて、インクを付与することにより好適に形成することができる。
本発明の印刷方法は、非浸透性基材に、インクを付与する工程と、樹脂層を付与する工程と、ラミネート処理工程を有する印刷方法であって、前記インクを付与する工程により形成されたインク層は球状の無機中空粒子、及び樹脂を含有することを特徴とする。
本発明において、印刷装置、印刷方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて印刷を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。この印刷装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
印刷装置、印刷方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有しても良い。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
加熱温度としては、50℃以上150℃以下が好ましく、70℃以上150℃以下がより好ましい。ただし、加熱温度は各メディアの収縮などの影響がない範囲である。
本発明のインク層は、前述のように粒子表面の散乱以外に無機中空粒子のシェルと内部の空孔との散乱を利用して隠蔽性が得られる。そのため、塗膜乾燥後に水溶性有機溶剤等の成分が無機中空粒子内に残存すると塗膜の隠蔽性が低下してしまうが、本発明のインク層は、中空粒子が無機材料で形成されるために樹脂中空粒子と比較して高温乾燥時においても高い耐溶剤性を有するので、高温環境下で高速に乾燥させることも可能である。
また、印刷装置、印刷方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
また、印刷装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この印刷装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の印刷装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
印刷装置の一例について図1乃至図2を参照して説明する。以下は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のカラーインクを用いた場合について説明するが、本発明のインク層は、白色インク層であり、前記ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のカラーインクより前に、白色インクを用いて前記カラーインクと同様に印字してインク層を形成する。そして、白色インクを用いて印字した後に、もしくはカラーインクを用いて印字した後に、樹脂層を形成する。
図1は同装置の斜視説明図である。図2はメインタンクの斜視説明図である。印刷装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
この印刷装置には、インクを吐出する部分だけでなく、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
前処理装置、後処理装置の一態様として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などのインクの場合と同様に、前処理液や、後処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドを追加し、前処理液や、後処理液をインクジェット記録方式で吐出する態様がある。
前処理装置、後処理装置の他の態様として、インクジェット記録方式以外の、例えば、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法による前処理装置、後処理装置を設ける態様がある。
なお、インクの使用方法としては、インクジェット記録方法に制限されず、広く使用することが可能である。インクジェット記録方法以外にも、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などが挙げられる。
本発明のインクの用途は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、印刷物、塗料、コーティング材、下地用などに応用することが可能である。さらに、インクとして用いて2次元の文字や画像を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。
立体造形物を造形するための立体造形装置は、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、インクの収容手段、供給手段、吐出手段や乾燥手段等を備えるものを使用することができる。立体造形物には、インクを重ね塗りするなどして得られる立体造形物が含まれる。また、記録媒体等の基材上にインクを付与した構造体を加工してなる成形加工品も含まれる。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された記録物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形する用途に好適に使用される。
<<樹脂層>>
本発明の樹脂層は、接着剤を用いて形成されることが好ましく、樹脂層の形成に用いる接着剤としては、例えばポリウレタン系接着剤、イソシアネート系接着剤などを用いることができ、特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。
ポリウレタン系接着剤は、分子内に少なくとも2個以上の水酸基を有する少なくとも1種以上のポリオール成分と分子内に少なくとも2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種以上のポリイソシアネート成分及び/又はジイソシアネートから構成される接着剤であることが好ましい。ポリオール成分は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオールなどから適宜選択することができ、ポリエステルポリオールがインク層との接着性の経時低下を抑制機能が高いため特に好ましい。ジイソシアネートとしては、4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジイソシアネートジフェニルメタン、1,5−ジイソシアネートナフタリン、4,4’−ジイソシアネートジシクロヘキシルメタン、1,4−ジイソシアネートベンゼン、及び/又は2,4−もしくは2,6−ジイソシアネートトルエンなどの芳香族ジイソシアネート、1,6−ジイソシアネートヘキサン、1,10−ジイソシアネートデカン、1,3−ジイソシアネートシクロペンタン、1,4−ジイソシアネートシクロヘキサン、1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−3もしくは−5−イソシアネートメタンシクロヘキサンなどの脂肪族及び脂環式ジイソシアネートを例示することができる。ポリイソシアネート成分は、これらのジイソシアネート単量体から製造することができる。
ポリウレタン系接着剤として、大日精化工業(株)製、商品名セイカボンドE−263、セイカボンドC−26、三井化学ポリウレタン(株)製、商品名タケラックA3210、タケネートA3072等、イソシアネート系接着剤として、日本ポリウレタン工業(株)製、コロネートL等の市販品を用いることができる。
これらのポリウレタン系接着剤又はイソシアネート系接着剤には、接着性やポットライフに悪影響を与えない範囲で反応触媒やその他の添加剤を配合することができる。
イソシアネート系接着剤としては、上記ポリイソシアネート及び/又はジイソシアネートを主成分とし、アミン化合物などを硬化剤として用いるものを例示することができる。
これらの接着剤の厚みは、特に限定されるものではないが、0.01〜10μmであると接着剤の硬化速度向上効果が高いため好ましく、更に好ましくは0.1〜6μmである。
接着剤は、公知の押出ラミネーター、溶剤型ドライラミネーター、又は無溶剤型ドライラミネーターに付帯されているコーターにて基材及び/又はポリオレフィンフィルムに塗布される。
接着剤の希釈に用いられる溶剤については、特に限定されるものではないが、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチレンクロリド、エチレンクロリド等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホアミド、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、水等を例示することができる。
<<ラミネート層>>
前記ラミネート層は、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸ナイロン(ONY)であることが好ましい。二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、二軸延伸ナイロン(ONY)フィルムを用いて形成することができる。
前記OPPフィルムとしては、例えば、商品名:P−2002、商品名:P−2161、商品名:P−4166(以上、東洋紡株式会社製)、商品名:PA−20、商品名:PA−30、商品名:PA−20W(以上、サン・トックス株式会社製)、商品名:FOA、商品名:FOS、商品名:FOR(以上、フタムラ化学株式会社製)などが挙げられる。
前記PETフィルムとしては、商品名:E−5100、商品名:E−5102(以上、東洋紡株式会社製)、商品名:P60、商品名:P375(以上、東レ株式会社製)、商品名:G2、商品名:G2P2、商品名:K、商品名:SL(以上、帝人デュポンフィルム株式会社製)などが挙げられる。
前記ナイロン(ONY)フィルムとしては、商品名:ハーデンフィルムN−1100、商品名:ハーデンフィルムN−1102、商品名:ハーデンフィルムN−1200(以上、東洋紡株式会社製)、商品名:ON、商品名:NX、商品名:MS、商品名:NK(以上、ユニチカ株式会社製)などが挙げられる。
ラミネート層の形成方法としては、ドライラミネート等公知の方法を用いることが可能である。
ドライラミネートは、具体的には、インク層に前記接着剤を塗工後、もう一方の基材フィルムを重ねてドライラミネート(乾式積層法)により貼り合わせることによりラミネート層を形成することができる。
(表面処理用液体組成物)
非浸透性基材の表面を処理するために表面処理用液体組成物を用いても良い。表面処理用液体組成物は、多価金属塩を含み、ノニオン性樹脂粒子と多価金属塩とを含むことが好ましい。なお、色材は実質的に含まない。実質的に色材を含まないとは、表面処理用液体組成物(以下では単に「液体組成物」ということがある。)の成分として積極的に色材を添加することはしないということを意味する。
多価金属塩との共存下における樹脂粒子の長期的な保存安定のためには一般的に用いられている電荷反発型エマルションではなく、立体障害で分散したノニオン性樹脂粒子を用いることが好ましい。
電荷反発型の中でもアニオン型樹脂粒子の場合、多価金属塩と混合すると凝集することが分かり、特に多価金属塩の中でも電離すると3価の陽イオンを生じる多価金属塩は瞬時に凝集することが分かった。価数が大きい陽イオンほど早く多量に凝集を促し、分散物を塩析させる効果が高い。
カチオン型樹脂粒子では常温放置程度では充分に安定であるが、長期安定性を見越した加速試験として加温下で静置すると、やはり増粘が見られる。
前記ノニオン性樹脂粒子が、ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、スチレンブタジエン樹脂およびこれらの樹脂の共重合体から選ばれる少なくとも1つであるとき、強い基材密着性により特に優れたラミネート適性が得られるため好適である。
前記多価金属塩が、カルシウム塩、マグネシウム塩、ニッケル塩、およびアルミニウム塩から選ばれる少なくとも1つであるとき、特に優れたインク滴凝集効果により隠蔽性向上を期待でき、さらに優れた貯蔵安定性の観点からも好適である。
前記多価金属塩が、アルミニウム塩であるとき、特に優れたインク滴凝集効果により隠蔽性向上を期待できる。加えてアルミニウムイオンはイオンとして安定で、鉄(III)イオンのように酸化により価数が変化しない。
<ノニオン性樹脂粒子>
ノニオン性樹脂粒子とは、電荷を利用せずとも分散可能な樹脂粒子である。
ノニオン性樹脂粒子は、表面処理用液体組成物から遠心分離により固形分を単離後、熱分解GC−MS(例えば、島津製作所製GC−17Aなど)により、カルボキシル基、スルホ基などの酸性官能基、あるいはアミノ基などの塩基性官能基を含有するモノマーが検出されない樹脂微粒子を指す。
樹脂粒子の化学構造に特に限定はなく、ノニオン分散可能な樹脂粒子であればどのようなものでも使用することが出来るが、ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、スチレンブタジエン樹脂およびこれらの樹脂の共重合体から選ばれる少なくとも1つであるとき、様々な基材に対する強固な密着性が得られるため好ましく、さらにエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合樹脂、オレフィン変性ウレタン樹脂であることがさらに好ましい。
ノニオン性樹脂粒子のガラス転移温度Tgは−30〜30℃であることが好ましく、また、−25〜25℃であることがより好ましい。Tgが−30℃以上であれば樹脂皮膜が十分強靭なものとなり、先塗り層がより堅牢なものとなり、30℃以下であれば樹脂の成膜性が向上し、充分な柔軟性も担保されるため基材密着性が強固なものとなり好ましい。
添加量は表面処理用液体組成物総量に対して固形分として0.5質量%以上20質量%以下となるように添加することが好ましい。
0.5質量%以上で樹脂が充分に基材を被覆することが出来るため密着性が向上し、20質量%以下であれば膜厚が厚くなりすぎないため密着性の低下の恐れが無い。
<多価金属塩>
多価金属塩はインク中の色材を着滴後に速やかに凝集させるとともに、発色性を向上させる。
多価金属塩としては、以下に限定されないが、例えば、チタン、クロム、銅、コバルト、ストロンチウム、バリウム、鉄、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム及びニッケルの塩(多価金属塩)が挙げられる。
これら多価金属塩の中でも、顔料を効果的に凝集させることができるため、カルシウム塩、マグネシウム塩、ニッケル塩、アルミニウム塩からなる群より選択される一種以上が好ましく、2価の陽イオンを電離により生じるカルシウムやマグネシウム等のアルカリ土類金属塩がより好ましい。
また、3価の陽イオンを電離により生じるアルミニウムや鉄等の金属塩が好ましく、アルミニウム塩がより好ましい。
特に、上記多価金属塩がカルシウム塩、アルミニウム塩である場合、反応液の安定性がより良好となる。
上記の多価金属塩の具体例としては、炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ニッケル、硫酸バリウム、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸鉄(III)、硫酸カリウムアルミニウム、カリウム鉄ミョウバン、アンモニウム鉄ミョウバンなどが挙げられる。これらの中でも、潮解性による先塗り層の強度低下を防ぐ目的で酢酸カルシウム、硫酸アルミニウムが好ましい。
表面処理用液体組成物の媒体は、水性媒体であるが、必要に応じて水以外のものを添加しても良く、そのようなものとして例えば水溶性有機溶剤、界面活性剤、その他微量添加剤などが挙げられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
<無機中空粒子の平均円形度>
透過型電子顕微鏡を(日本電子株式会社製、「JEM−2100F」)を用いて、無機中空粒子の大きさや形状に応じて任意の測定倍率を選択し、撮影を行った。撮影されたTEM像を、画像解析ソフトによって処理し、無機中空粒子(粒子の外径)の「円相当径」と「周囲長」を算出した。算出された円相当径及び周囲長に基づき、下記式に従って、無機中空粒子200個各々の円形度を求めた。
円形度=(円相当径から求めた円周長)/(周囲長)
ここで、(円相当径から求めた円周長)=(円相当径)×πである。
200個の無機中空粒子の円形度のうち、上位5%及び下位5%の数値を除去し、残り90%の平均値を求め、その値を無機中空粒子の平均円形度とした。
<無機中空粒子の個数平均一次粒子径及びシェル厚>
透過型電子顕微鏡を(日本電子株式会社製、「JEM−2100F」)を用いて、3万倍視野での無機中空粒子200個以上500個以下の一次粒子を挟む一定方向の2本の平行線の間隔にある一定方向径を測定して、無機中空粒子200個各々の個数平均一次粒子径及びシェル厚を求めた。200個の無機中空粒子の個数平均一次粒子径及びシェル厚のうち、上位5%及び下位5%の数値を除去し、残り90%の平均値を求め、その値を無機中空粒子の個数平均一次粒子径及びシェル厚とした。
(無機中空粒子の製造例1)
−無機中空粒子1の作製−
−シリカコート粒子の調製−
非架橋アクリル樹脂粒子MP1451(綜研化学社製)2.0質量部と水98.0質量部中を超音波ホモジナイザー(日本精機社製、US−300T、チップ直径7mm、100μA、10分間)を用いて十分に分散を行った。その後、ポリ容器に移して撹拌しながら、1N水酸化ナトリウム水溶液(和光純薬工業社製)を数滴滴下してpHを10.5に調整した。その後、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS,東京化成工業株式会社製)1.0質量部、テトラメトキシシラン(TMOS,東京化成工業株式会社製)1.0質量部の順にゆっくりと滴下し、25℃にて10時間反応させ、樹脂粒子表面にゾル−ゲル反応を利用してシリカ殻を形成させ、シリカコート粒子を得た。
−無機中空粒子1の18質量%水相の調製−
次に、得られたシリカコート粒子の水洗浄を行い、遠心分離を行うことでシリカコート粒子のウェットケーキを得た。さらに、コア材料の樹脂粒子を溶解させるためにテトラヒドロフロンを添加して1時間撹拌後、水洗浄を行い、再度水に分散させた後に濃縮させることにより、[無機中空粒子1の18質量%水相]を得た。
なお、いずれの洗浄工程においても、シリカコート粒子、又は無機中空粒子を乾燥させると凝集する恐れがあるため、液−液置換で行った。
(無機中空粒子の製造例3)
−シリカコート粒子の調製−
スチレン樹脂粒子XX−3560Z(積水化学工業社製)2.0質量部と水98.0質量部を超音波ホモジナイザー(日本精機社製、US−300T、チップ直径7mm、100μA、10分間)を用いて十分に分散を行った。その後、ポリ容器に移して撹拌しながら、1N水酸化ナトリウム水溶液(和光純薬工業社製)を数滴滴下してpHを10.5に調整した。その後、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES,東京化成工業株式会社製)1.0質量部、テトラエトキシシラン(TEOS,東京化成工業株式会社製)1.2質量部の順にゆっくりと滴下し、25℃にて10時間反応させ、樹脂粒子表面にゾル−ゲル反応を利用してシリカ殻を形成させ、シリカコート粒子を得た。
−無機中空粒子3の18質量%水相の調製−
次に、得られたシリカコート粒子の水洗浄を行い、遠心分離を行うことでシリカコート粒子の沈降物を得た。その後、1℃/分の速度で600℃まで昇温したのち、2時間600℃で焼成し、スチレン樹脂粒子を除去して、無機中空粒子の粉体を得た。得られた粉体をスパチュラで細かくほぐし、水と分散剤Disperbyk−190(ビックケミージャパン社製)を対粒子30質量%加え充分撹拌させた後、超音波ホモジナイザー(日本精機社製、US−300T、チップ直径7mm、60μA、60分間)を用いて十分に分散を行った。遠心分離(4000rpm、1分間)を用いて粗大粒子を除き、[無機中空粒子3の15質量%水相]を得た。
(無機中空粒子の製造例2、4〜8)
無機中空粒子の製造例1において、表1に示す組成及び反応条件に変更した以外は、無機中空粒子の製造例1と同様にして、[無機中空粒子2の18質量%水相]、[無機中空粒子5の18質量%水相]〜[無機中空粒子8の18質量%水相]を得た。
無機中空粒子の製造例3において、表1に示す組成及び反応条件に変更した以外は、無機中空粒子の製造例3と同様にして、[無機中空粒子4の18質量%水相]を得た。
(無機中空粒子の製造例9)
−チタンコート粒子の調製−
非架橋アクリル樹脂粒子FS201E(日本ペイント社製、固形分27質量%)7.4質量部と水92.6質量部を超音波ホモジナイザー(日本精機社製、US−300T、チップ直径7mm、100μA、10分間)を用いて十分に分散を行った。その後、ポリ容器に移して撹拌しながら、1N水酸化ナトリウム水溶液(和光純薬工業社製)を数滴滴下してpHを10.5に調整した。その後、チタンアミノエチルアミノエタノレート(オルガチックスTC−510、マツモトファインケミカル社製)1.0質量部、テトライソプロポキシチタン(TPT,日本曹達社製)1.2質量部の順にゆっくりと滴下し、25℃にて20時間反応させ、樹脂粒子表面にゾル−ゲル反応を利用してチタン殻を形成させ、チタンコート粒子を得た。
−無機中空粒子9(中空チタン粒子)の18質量%水相の調製−
次に、得られたチタンコート粒子の水洗浄を行い、遠心分離を行うことでチタンコート粒子のウェットケーキを得た。さらに、コア材料の樹脂粒子を溶解させるためにテトラヒドロフロンを添加して1時間撹拌後、水洗浄を行い、再度水に分散させた後に濃縮させることにより、[無機中空粒子9(中空チタン粒子)の18質量%水相]を得た。
なお、いずれの洗浄工程においても、チタンコート粒子、又は無機中空粒子9(中空チタン粒子)を乾燥させると凝集する恐れがあるため、液−液置換で行った。
(無機中空粒子10)
無機中空粒子10として市販品「シリナックス」(日鉄鉱業株式会社製、外径90nm、内径80nm、水分散タイプ)を用いた。
(無機中空粒子の製造例11)
−シリカコート粒子の作製−
ビーカー中で炭酸カルシウム(白石工業株式会社製、製品名「Homocal−DM」、粒子形状:立方、表面処理剤:ロジン処理、個数平均一次粒子径:80nm)12.50質量部をジグリム(ジメチレングリコールジメチルエーテル、キシダ化学株式会社製)157.65質量部中にホモジナイザー(日立工機株式会社製、HG30、C20カッター、8,000rpm、30分間)を用いて十分に分散させた。その後、炭酸カルシウムの分散状態を保つように十分に撹拌させながら、テトラエトキシシラン(TEOS、東京化成工業株式会社製)7.50質量部、28質量%アンモニア水(NH4OH、和光純薬工業株式会社製)3.52質量部、及び水43.03質量部を混合して、25℃にて2時間反応させ、炭酸カルシウム表面にゾル−ゲル反応を利用してシリカ殻を形成させ、シリカコート粒子を得た。
−無機中空粒子11の18質量%水相の調製−
次に、得られたシリカコート粒子の洗浄を行い、水に分散させた。更に、コア粒子の炭酸カルシウムを溶解させるために10倍に希釈した酢酸を添加した。酢酸添加後のpHは5.0であった。その後、脱塩のために水洗浄を行い、濃縮させることにより、[無機中空粒子11の18質量%水相]を得た。
なお、いずれの洗浄工程においても、シリカコート粒子、又は無機中空粒子を乾燥させると凝集する恐れがあるため、液−液置換で行った。
(無機中空粒子の製造例12)
無機中空粒子の製造例11において、表3に示す組成及び反応条件に変更した以外は、無機中空粒子の製造例11と同様にして、[無機中空粒子12の18質量%水相]を得た。
製造例3、5及び12で得られた無機中空粒子3、無機中空粒子5及び無機中空粒子12のTEM像を図3、4及び5に示す。
表1、2及び表3中の材料の詳細については、以下の通りである。
−コア材料(樹脂粒子)−
・MP1451:(非架橋アクリル樹脂粒子、負帯電、綜研化学社製)
・MP2800:(非架橋アクリル樹脂粒子、負帯電、綜研化学社製)
・XX−3560Z:(スチレン樹脂粒子、積水化成品工業社製)
・FS201E:(非架橋スチレンアクリル樹脂粒子水分散体、固形分27質量%、
負帯電、日本ペイント社製)
・FS301E:(非架橋スチレンアクリル樹脂粒子水分散体、固形分27質量%、
負帯電、日本ペイント社製)
−コア材料(炭酸カルシウム)−
・Homocal−DM:(白石工業株式会社製、粒子形状:立方、表面処理剤:
ロジン酸、個数平均一次粒子径:80nm)
・Brilliant1500:(白石工業株式会社製、粒子形状:立方、表面処理剤
:なし、個数平均一次粒子径:150nm)
−溶媒−
・メタノール:(東京化成工業株式会社製)
・ジグリム:(ジメチレングリコールジメチルエーテル、キシダ化学株式会社製)
−シリコンアルコキシド−
・3−アミノプロピルメトキシシラン:(APTMS,東京化成工業株式会社製)
・3−アミノプロピルエトキシシラン:(APTES,東京化成工業株式会社製)
・テトラメトキシシラン:(TMOS,東京化成工業株式会社製)
・テトラエトキシシラン:(TEOS,東京化成工業株式会社製)
−チタンアルコキシド−
・テトライソプロポキシチタン:(TPT,日本曹達株式会社製)
・チタンアミノエチルアミノエタノレート:
(TC−510,マツモトファインケミカル株式会社製)
(調製例1)
−無機中空粒子分散液1の調製−
前記[無機中空粒子1の18質量%水層]100質量部に、アミノ基含有共重合体(分散剤、ビックケミージャパン社製、製品名「Disperbyk−190」(有効成分100質量%)6質量部、及び水12質量部を加え十分撹拌した後、超音波ホモジナイザー(株式会社日本精機製作所製、US−300T、チップ直径7mm、100μA、30分間)にて分散を行った。得られた分散液の粗大粒子を遠心分離(4000rpm、1分間)を用いて除き、さらに平均孔径5μmのメンブランフィルター(セルロースアセテート膜)にてろ過を行って、[無機中空粒子分散液1](無機中空粒子濃度:15質量%)を作製した。
(調製例2〜8、11、12)
−無機中空粒子分散液2〜8、11、12の調製−
無機中空粒子分散液の調製例1において、[無機中空粒子1の18質量%水相]を[無機中空粒子2の18質量%水相]〜[無機中空粒子8の18質量%水相]、[無機中空粒子11の18質量%水相]、[無機中空粒子12の18質量%水相]に変更した以外は、無機中空粒子分散液の調製例1と同様にして、[無機中空粒子分散液2]〜[無機中空粒子分散液8]、[無機中空粒子分散液11]、[無機中空粒子分散液12]を作製した。
(調製例9)
−無機中空粒子分散液9(中空チタン粒子分散液)の調製−
無機中空粒子分散液の調製例1において、[無機中空粒子1の18質量%水相]を[無機中空粒子9(中空チタン粒子)の18質量%水相]に変更した以外は、無機中空粒子分散液の調製例1と同様にして、[無機中空粒子9(中空チタン分散液)]を作製した。
(調製例10)
−無機中空粒子分散液10の調製−
無機中空粒子として市販品「シリナックス」(日鉄鉱業株式会社製、外径90nm、内径80nm、水分散タイプ)を固形分濃度15質量%に調製して[無機中空粒子分散液10]を得た。
(調製例13)
<樹脂中空粒子分散液の作製>
重合性単量体としてエチレングリコールジメタクリレート(日油株式会社製、「ブレンマーPDE−50R」、ポリオキシエチレンユニット数=1)25質量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート(サートマー社製、「SR351S」)50質量部、アクリロニトリル25質量部、非重合性化合物としてトルエン95質量部、ヘキサデカン5質量部、及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1質量部とを混合し、撹拌した混合溶液の全量を、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2質量%、及び分散助剤としてセチルアルコール1質量%を含有するイオン交換水1,600質量部に添加し、超音波ホモジナイザーにて60分間強制乳化して、重合性液滴が分散した分散液を作製した。
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却機、及び温度計を備えた20L容の重合器を用い、重合器内を減圧し、重合器内の脱酸素を行った後、窒素ガスにより圧力を大気圧まで戻し、重合器内部を窒素雰囲気とした。この重合器内に、得られた分散液の全量を一括して投入し、重合器を60℃まで昇温して重合を開始した。4時間重合した後、重合器を室温(25℃)まで冷却して、非重合性化合物内包マイクロカプセルスラリーを得た。得られたスラリーを、噴霧乾燥機を用いて乾燥し、中空粒子を作製した。
得られた中空粒子を透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、「JEM−1200EXII」)を用いて観察したところ、形状はほぼ真球状であり、平均粒子径は0.35μmであった。また、得られた中空粒子は内部に単一空孔を有する構造を有していた。
次に、70mLのマヨネーズ瓶(商品名:UMサンプル瓶、アズワン株式会社製)を用いて、アミノ基含有アクリルブロック共重合体(分散剤、ビックケミージャパン社製、製品名「BYKJET−9151」、アミン価:18mgKOH/g、有効成分100質量%)5質量部を水80質量部に溶解させ、前記中空粒子15質量部を添加して十分に撹拌し、直径2mmのジルコニアボール80質量部を加え、下記条件のボールミルにて2日間分散を行った。得られた分散液を平均孔径5μmのメンブランフィルター(PTFE膜)にて、ろ過を行って[樹脂中空粒子分散液](濃度:15質量%)を作製した。
−ボールミルの条件−
ミル:MIX−ROTAR VMR−5(アズワン株式会社製)
回転数:マヨネーズ瓶の回転数75rpm
(調製例14)
<酸化チタン分散液の作製>
ビーカー中でアクリル共重合体(分散剤、ビックケミージャパン社製、製品名:「DISPERBYK−2008」、有効成分100質量%、アミン価:66mgKOH/g)18.0質量部を純水67.0質量部に溶解させ、二酸化チタン(テイカ社製、製品名「JR−600A」、個数一次平均粒子径250nm、表面処理:Al)15.0質量部を添加し、水冷しながらホモジナイザー(日立工機株式会社製、HG30、C20カッター、8,000rpm、60分間)を用いて分散を行った。得られた二酸化チタン顔料分散液を、平均孔径5μmのメンブランフィルター(セルロースアセテート膜)にて濾過を行って、[酸化チタン分散液](二酸化チタン粒子濃度:15質量%)を得た。
(インク1〜14)
−インクの作製−
下記表4に示す組成のインクを常法により調製し、平均孔径5μmのメンブランフィルター(セルロースアセテート膜)にて濾過を行い、インク1〜14を作製した。
表4のインクにおいて、用いた材料の詳細については、下記の通りである。
・1,2−プロパンジオール(沸点188℃)
・1,2−ブタンジオール(沸点195℃)
・1,5−ペンタンジオール(沸点242℃)
・1,6−ヘキサンジオール(沸点223℃)
・3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(沸点174℃)
・3−メチル−1,3−ブタンジオール(沸点204℃)
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点194℃)
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点230℃)
・アミド化合物:下記構造式で表されるアミド化合物
(出光興産株式会社製、エクアミドM100、沸点216℃)
ただし、R=CH3である。
・樹脂粒子A:アクリル樹脂(DIC社製、ボンコートCF−6140)
・樹脂粒子B:スチレンアクリル樹脂(日信化学社製、ビニブラン2685)
・樹脂粒子C:ポリエステル樹脂(ユニチカ社製、エリーテルKA−5034)
・樹脂粒子D:ポリウレタン樹脂(三井武田ケミカル株式会社製、W−5661)
・樹脂粒子E:塩化ビニル樹脂(日信化学社製、ビニブラン735)
・界面活性剤A:フッ素系界面活性剤
(Chemours社製、Capstone FS−34)
・界面活性剤B:フッ素系界面活性剤
(Chemours社製、Capstone FS−3100)
・界面活性剤C:フッ素系界面活性剤
(Chemours社製、Capstone FS−30)
・消泡剤:エンバイロジェムAD01(エアープロダクツ社製)
・防腐防黴剤:プロキセルLV(アビシア社製)
・pH調整剤:1N−NaOH
得られたインクの物性を以下の表5に示す。
(樹脂層)
(ポリウレタン系接着剤1の配合)
タケラックA3210(三井化学ポリウレタン社製) 15質量部
タケネートA3072(三井化学ポリウレタン社製) 5質量部
酢酸エチル 140質量部
上記接着剤は、乾燥後の樹脂層が厚み:0.2μmとなるよう塗布した。
(ポリウレタン系接着剤2の配合)
セイカボンドE−263(大日精化社製) 25質量部
セイカボンドC−26(大日精化社製) 5質量部
酢酸エチル 150質量部
上記接着剤は、乾燥後の樹脂層が厚み:1.5μmとなるよう塗布した。
(イソシアネート系接着剤の配合)
ディックドライ LX−401(DICグラフィックス社製) 10質量部
SP−60(DICグラフィックス社製) 10質量部
酢酸エチル 28質量部
上記接着剤は、乾燥後の樹脂層が厚み:0.8μmとなるように塗布した。
(ラミネートフィルム)
ラミネートフィルムには以下のものを用いた。
ナイロン:ハーデンフィルムN−1100(東洋紡社製)
OPP:P−4166(東洋紡社製)
PET:E−5100(東洋紡社製)
(実施例1〜9、比較例1〜5)
インクと樹脂層、ラミネートフィルムを組み合わせて、ラミネート体を作製した。
その組み合わせを以下の表6に示す。
<インクの沈降性評価>
実施例1〜9及び比較例1〜5で用いた各インクの粒子の沈降性は、タービスキャンMA2000(英弘精機株式会社製)を用いて評価した。
方法としては、評価インクを水冷しながら超音波分散処理(100W、20分間)を行い、均一分散させてからピペットを用いて専用のガラスセルに評価インクを5.0mL入れた。セル内の評価インクの液面が安定した30分間後に測定を行い、この時間を沈降性評価開始とした。その後、23℃で静置し、100時間後まで測定を行い、沈降性評価開始を基準とした偏差表示にて、沈降性を評価した。沈降性の評価は、上澄みの生成による後方散乱光の変化を、ピークの積算(相対値モード)で行い、以下の基準でランク評価した。
[評価基準]
A:評価開始100時間後の相対変化が5.0%未満
B:評価開始100時間後の相対変化が5.0%以上10.0%未満
C:評価開始100時間後の相対変化が10.0%以上15.0%未満
D:評価開始100時間後の相対変化が15.0%以上
<記録条件>
インクジェットプリンター(株式会社リコー製、IPSiO GXe5500)の外装を外し、背面マルチ手差しフィーダーを取り付け、記録ヘッドを含めたインク供給経路に純水を通液することで洗浄し、洗浄液が着色しなくなるまで十分に通液して洗浄液を装置から抜ききって評価用印刷装置とした。
また、調製したインクを5Pa〜10Paの減圧条件で30分間攪拌することで評価インク中の気体を脱気し、インクカートリッジに充填し評価用インクカートリッジとした。充填動作を行わせ、全ノズルに評価インクが充填され異常画像が出ないことを確認し、プリンタ添付のドライバで光沢紙きれいモードを選択後、ユーザー設定でカラーマッチングoffを印刷モードとした。この印刷モードでベタ画像の記録媒体上へのインク付着量が15g/m2となるようにヘッドの駆動電圧を変更することで吐出量を調整した。
<吐出安定性>
実施例1〜9及び比較例1〜5で用いた各インクを、覆蓋手段を有するインクジェットプリンター(株式会社リコー製、IPSiO GXe5500)に充填し、ヘッドを覆蓋した状態で温度10℃、湿度15%RHで1週間放置した後、ノズルチェックパターンを印刷し、不吐出、及び噴射乱れの有無を目視観察し、以下の基準で評価した。
[評価基準]
A:不吐出、噴射乱れが全く存在しない
B:若干の噴射乱れが認められる
C:複数のノズルにおいて不吐出が認められる
<隠蔽性評価>
−インク膜の明度評価−
実施例1〜9及び比較例1〜5で用いた各インクを前記インクジェットプリンター(株式会社リコー製、IPSiO GXe5500)に充填し、マイペーパー(株式会社リコー製、PPC普通紙)上に両面テープで固定した透明PETフィルム(東洋紡株式会社製、エステルフィルムE5100)に対して、Microsoft Word2003(Microsoft社製)にて作成した50cm×50cmのベタ画像を印刷した後、50℃の恒温槽で60分間乾燥させた。
この印刷したPETフィルムの下に市販の黒紙を敷いた状態で、印刷した部分を、分光測色濃度計(X−Rite939、X−Rite社製)を用いて、明度(L*a)を測定し、以下の基準で評価した。
なお、実施例2及び実施例5については、さらにインク付着量20g/m2(実施例2−2、実施例5−2)及び25g/m2(実施例2−3、実施例5−3)となるようにヘッドの駆動電圧を変更することで吐出量を調整し、同様の評価を実施した。
[評価基準]
A:L*a値が、70以上
B:L*a値が、60以上70未満
C:L*a値が、60未満
参考として、黒紙の上に未印字のPETフィルムを敷いた状態で測定したL*A値は、23であった。
(ラミネート体の形成)
上記で得られたべた画像に表6の樹脂層の欄に記載の接着剤を、0.15mmバーコーターで塗工し70℃で2分間乾燥させ、ラミネートフィルムを貼りあわせた後、40℃で48時間エージングした。
−ラミネート体の明度評価−
このラミネート体のPETフィルムの下に市販の黒紙を敷いた状態で、印刷した部分を、分光測色濃度計(X−Rite939、X−Rite社製)を用いて、明度(L*b)を測定し、以下の基準で評価した。
[評価基準]
A:L*b値が、70以上
B:L*b値が、60以上70未満
C:L*b値が、60未満
−明度変化の評価−
インク膜の明度とラミネート体の明度差の絶対値|ΔL*|=|(L*a)−(L*b)|を算出し、以下の基準で評価した。
[評価基準]
A:|ΔL*|値が、5未満
B:|ΔL*|値が、5以上10未満
C:|ΔL*|値が、10以上
<塗膜ムラ評価>
上記で得られたラミネート体の塗膜のムラを目視で評価した。評価基準は以下のとおりである。
[評価基準]
A:問題なし(塗膜ムラを視認できない)
B:わずかにあるが問題なし(即座に塗膜ムラを視認できない)
C:問題あり(即座に塗膜ムラを視認できる)
<インク膜厚評価>
インク塗膜断面出しを行い、走査型顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ株式会社製、「S−4200」)を用いて任意の測定倍率を選択して撮影を行った。1サンプルにつき10か所の撮影を行い、各撮影で得られたインク膜厚の平均値を算出し、インク膜厚とした。
上記の結果から、非浸透性基材、インク層、樹脂層、ラミネート層からなる印刷物であって、前記インク層が無機中空粒子、樹脂を含有し、前記無機中空粒子が球状であることにより、実施例1〜9で得られる印刷物は比較例1〜5と比較して、塗膜ムラが少なく、ラミネート処理後においても白色隠蔽性が低下しない。
比較例1〜3のように非球形の無機中空粒子を用いた場合、吐出安定性が大きく劣り、得られる印刷物は塗膜ムラの問題が見られた。比較例5は、酸化チタンであるが、同様の結果が得られた上にインク中でも顔料が沈降しやすい結果であった。比較例4のように樹脂中空粒子を用いた場合、ラミネート処理時の樹脂層形成時に白色隠蔽性の低下が確認され、印刷物はインク膜と比較して大幅に白色隠蔽性が低下した。樹脂層形成時に溶剤存在下で加熱することにより樹脂が軟化し、中空がつぶれたためと推測される。
400 画像形成装置
401 画像形成装置の外装
401c 装置本体のカバー
404 カートリッジホルダ
410 メインタンク
410k、410c、410m、410y ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ
(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク
411 インク収容部
413 インク排出口
414 収容容器ケース
420 機構部
434 吐出ヘッド
436 供給チューブ
特開2012−7089号公報 特開2018−94902号公報

Claims (9)

  1. 非浸透性基材、インク層、樹脂層、及びラミネート層からなる印刷物であって、前記インク層が無機中空粒子、及び樹脂を含有し、前記無機中空粒子が球状である印刷物。
  2. 前記無機中空粒子の外殻の厚さが15nm以上50nm以下である請求項1に記載の印刷物。
  3. 前記インク層の厚みが0.5μm以上20μm以下である請求項1または2に記載の印刷物。
  4. 前記樹脂層がポリウレタン系接着剤またはイソシアネート系接着剤を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の印刷物。
  5. 前記ラミネート層が、ポリエチレンテレフタレート、二軸延伸ポリプロピレン、二軸延伸ナイロンのいずれかである請求項1〜4のいずれかに記載の印刷物。
  6. 非浸透性基材に、インクを付与してインク層を形成する工程と、樹脂を付与して樹脂層を形成する工程と、ラミネートフィルムを付与してラミネート層を形成するラミネート処理工程と、を有する印刷方法であって、前記インクを付与する工程により形成されたインク層は、球状の無機中空粒子、及び樹脂を含有する印刷方法。
  7. 前記インクが、個数平均一次粒子径が200nm以上550nm以下の球状の無機中空粒子を含有する請求項6に記載の印刷方法。
  8. 顔料、及び樹脂粒子を含有し、前記顔料が球状の無機中空粒子であり、請求項1〜5のいずれかに記載の印刷物を製造するために用いられる印刷物製造用のインク。
  9. 前記球状の無機中空粒子が、個数平均一次粒子径が200nm以上550nm以下の無機中空粒子である請求項8に記載の印刷物製造用のインク。
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JP2020146912A (ja) * 2019-03-13 2020-09-17 東洋インキScホールディングス株式会社 積層体及びその製造方法
WO2024004866A1 (ja) * 2022-06-30 2024-01-04 株式会社レゾナック 粒子分散液

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