JP2020120584A - イモ類を用いた包装惣菜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
レトルト調理方法は、食材と調味液をレトルトパウチに入れ真空包装した後に加熱調理することで、加熱調理中の煮崩れを防ぐだけでなく、真空調理法と同様の原理により、食材に味をよく浸透させることができるのと同時に、素材の風味や旨味、栄養素などを逃さずに調理することができる。
さらに、調味液がαアミラーゼ及び、糖類及び/または還元水あめに加えて、カルシウム塩、及び/またはデキストリンを含有することにより、加熱調理後の包装惣菜においてイモ類の結着及び煮崩れがさらに抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
[1]イモ類と調味液を計量する計量工程と、真空密封する包装工程と、加熱工程を順に含み、かつ、前記調味液が、αアミラーゼ及び、糖類及び/または還元水あめを含むこと、を特徴とする、イモ類を主原料とする包装惣菜の製造方法に関する。
[2]前記調味液が、Bx50以上であること、を特徴とする、[1]記載の製造方法に関する。
[3]前記調味液が、Bx40以上であり、かつ、カルシウム塩を含むこと、を特徴とする、[1]記載の製造方法に関する。
[4]前記調味液が、デキストリンを含むことを特徴とする、[1]〜[3]記載の製造方法に関する。
包装惣菜は、主原料となるイモ類と、副原料及び調味液からなり、副原料はイモ類以外の野菜類、畜肉類など通常惣菜に用いられる食材であり、調味液はイモ類を含む食材の調味、味付けに用いられる。
また、必須ではないが後述の包装工程の前に、イモ類を加熱処理してイモ類のでん粉をα化することが好ましい。後述の調味液に用いるαアミラーゼは、その由来によっては生でん粉には作用しないものがあるため、包装工程の前にイモ類を加熱処理してでん粉をα化することで、如何なるαアミラーゼでも使用することができるようになる。
また、本発明の方法においては、副原料を用いることは必須でなく、包装惣菜のメニューに応じて使用することができる。
調味液は、αアミラーゼ及び、糖類及び/または還元水あめを必須として含み、必須ではないがカルシウム塩、デキストリンを含むことができる。
本発明の方法においては、調味液がαアミラーゼ及び、糖類及び/または還元水あめを含み、調味液がBx50以上であること、または、調味液がαアミラーゼ及び、糖類及び/または還元水あめを含み、調味液がBx40以上、かつ、カルシウム塩を含むことにより、加熱調理後のイモ類同士の結着を抑制することができる。また、調味液がデキストリンを含むことにより、イモ類同士の結着をより効果的に抑制することができる。
調味液は、包装惣菜を調味(味付け)するとともに、Bx40以上にすることで加熱調理後のイモ類同士の結着を抑制することができる。
調味液がαアミラーゼ及び、糖類及び/または還元水あめを必須として含み、Bx40以上からBx50未満である場合は、調味液がカルシウム塩を含むことにより、加熱調理後のイモ類同士の結着を効果的に抑制することができる。
また、必須ではないが調味液がデキストリンを含む場合には、加熱調理後のイモ類同士の結着をより効果的に抑制することができる。
調味液がαアミラーゼ及び、糖類及び/または還元水あめを必須として含み、Bx50以上である場合には、加熱調理後のイモ類同士の結着を抑制することができる。
また、必須ではないが調味液がカルシウム塩、及び/またはデキストリンを含む場合には、加熱調理後のイモ類同士の結着をより効果的に抑制することができる。
αアミラーゼは、後述の加熱工程でイモ類から溶出するでん粉を液化してその粘性及び付着性を低下させることを目的に用いられ、これにより加熱調理後のイモ類同士の結着を抑制することができる。
なお、商品名としてこれらの一例をあげれば、「ユニアーゼBX−8」(ヤクルト薬品工業製)、「アミラーゼAH」(天野エンザイム製)、「アミラーゼAD」(天野エンザイム製)等があり、その他、通常市販されている多くのαアミラーゼの使用が可能である。
なお、調味液に対してαアミラーゼが10unit/gより少ない場合には、いも類から溶出したでん粉の液化が不十分になり、イモ類同士の結着が多くなる。一方、調味液に対してαアミラーゼが1,500unit/gより多い場合には、イモ類全体がαアミラーゼにより軟化され煮崩れが生じるため好ましくない。
なお、後述の加熱工程前においては、αアミラーゼが活性化しない低温度条件下で包装後の製品を保管することが好ましい。
また、本発明の方法においては、αアミラーゼを単体で使用してもよく、必要に応じて他にβアミラーゼ、グルコアミラーゼを混合して併用することもできる。
糖類、及び還元水あめは、包装惣菜を調味(甘味付け)し、好ましい食感を付与するとともに、調味液のBxを高めるために使用され、調味液のBxを高めることで加熱調理後のイモ類同士の結着を抑制し、併せてイモ類の煮崩れを抑制することができる。
本発明の方法においては、糖類であればいずれの糖類でも用いることができ、特に制限されない。
還元水あめは、原料となる水あめの糖化度により分類され、糖化度の高い水あめを原料としたものを高糖化還元水あめ、糖化度の低い水あめを原料としたものを低糖化還元水あめ、中間のものは中糖化還元水あめがあり、本発明においては、いずれの還元水あめでも用いることができ、特に制限されない。
カルシウム塩は、後述の加熱工程におけるイモ類の煮崩れを抑制するとともに、イモ類からのでん粉の溶出を抑制するために使用され、調味液へのでん粉の溶出を抑制することにより加熱調理後のイモ類同士の結着を抑制することができる。
特に、前述した調味液がBx40以上からBx50未満の場合には、調味液がカルシウム塩を含むことにより、加熱調理後のイモ類同士の結着を効果的に抑制することができる。
なお、調味液に対してカルシウム塩が0.1重量%(W/W)未満で少ない場合には、加熱調理後のイモ類同士の結着抑制に効果を奏せず、一方、調味液に対してカルシウム塩を2.0重量%(W/W)より多く添加しても、イモ類同士の結着抑制の効果はこれ以上亢進しない。
デキストリンは、包装惣菜の味質を改善するとともに、加熱調理後のイモ類同士の結着を抑制するために使用される。本発明の方法においては、調味液に用いる糖類及び還元水あめの一部をデキストリンに置き換えすることで、デキストリンを含まないものと比べて明らかに加熱調理後のイモ類同士の結着を抑制することができる。
また、本発明においては、デキストリンにはオリゴ糖が含まれ、オリゴ糖の種類は特に限定されず、いずれのオリゴ糖でも用いることができる。
本発明の方法においては、イモ類と調味液を計量する計量工程と、真空密封する包装工程と、加熱工程を、順に行う。
計量工程は、イモ類と調味液の合計が100重量部であり、イモ類と調味液の比率が65重量部:35重量部〜90重量部:10重量部となる範囲でイモ類と調味液を計量する。上記条件でレトルトパウチにイモ類と調味液を入れ、後工程の包装工程で真空密封して包装した場合には、イモ類が調味液中で浮遊しない状態となり煮崩れを防止することができ、かつ、イモ類を均一に調味することができる。
なお、調味液が10重量部未満で少ない場合には、調味液がイモ類同士との間に十分に浸透しないため、調味液に含まれる有効成分を作用させることができず、イモ類同士の結着が多くなる。一方、調味液が35重量部より多い場合には、イモ類同士の結着は発生せず、またイモ類が調味液中で浮遊する状態であるため後工程の加熱工程においてイモ類の煮崩れが生じる。
また、本発明の方法においては、主原料のイモ類の一部を副原料に置き換えることができる。
包装工程は、前工程で計量されたイモ類と調味液を、レトルトパウチに入れて真空密封して包装する。当該包装工程でイモ類と調味液を真空密封して包装することにより、調味液に含まれる有効成分を均一に作用させることができ、後工程の加熱工程においてイモ類の結着及び煮崩れを抑制することができる。
加熱工程は、前工程で真空密封して包装されたイモ類と調味液を加熱処理する。
当該加熱工程においては、まず加熱昇温中においてイモ類からでん粉が溶出し、同時に、調味液に含まれるαアミラーゼが作用してでん粉が液化され、その粘性及び付着性が低下するため、イモ類同士の結着が抑えられる。続いて、加熱昇温中及び加熱殺菌中においてαアミラーゼが失活し、同時にイモ類が調理、殺菌されることにより、包装惣菜として好ましい風味と食感及び保存性が付与され、本発明のイモ類同士の結着と煮崩れが抑制された包装惣菜が完成する。
当該加熱工程の加熱条件は、イモ類が調理、殺菌され、かつαアミラーゼを失活させることができればよく、加熱温度及び時間は特に限定されない。例えば、耐熱性αアミラーゼを用いる場合には100℃以上の温度条件下で加熱処理を行う。
また、当該加熱処理の方法は、熱水中でのボイル加熱処理、蒸煮釜によるスチーム加熱処理、レトルト殺菌機による加圧加熱処理などを行うことができる。
本発明の実施例及び比較例は、特記しないかぎり、下記の材料及び条件を用いて行った。
イモ類は、生のサツマイモを10mm角にカットし、100℃10分間蒸煮した後、−30℃で急速凍結したものを使用した。
調味液は、グラニュー糖、食塩、還元水あめ「エスイー600」(物産フードサイエンス株式会社製)を必須として含み、これに加えて耐熱性αアミラーゼ「ユニアーゼBM-8」(ヤクルト薬品工業株式会社製:64,000unit/g)、乳酸カルシウム(株式会社武蔵野化学研究所製)、デキストリン「パインデックス100」(松谷化学工業株式会社製)を適宜使用した。
イモ類と、表1、表3、表5乃至表8のいずれかに示される調味液をレトルトパウチに充填し真空密封包装した後、レトルト殺菌機で105℃45分加熱処理を行い、さつまいもの甘煮を作成した。
上記方法で得られた本発明の実施例及び比較例において、次の方法により評価した。
〔サツマイモの結着防止評価〕
さつまいもの甘煮を開封して、イモ同士の結着が3個以下のものと、4個以上のものとに分け、さつまいも全量に対して4個以上結着しているものの割合を計測し、この値を結着率(%)とし、結着率(%)が少ないものほど結着改善に効果がある評価した。
〔官能評価〕
開封したさつまいもの甘煮について、食感について評価した。但し、食感の良し悪しは健常食と介護食では異なり一律に評価できないため、本明細書中においては健常食を目的とした場合における食感の評価を目安として記した。
イモ類108gと、表1または表3に示される調味液48gをレトルトパウチに充填し真空密封包装した後、加熱処理を行った。翌日、得られたさつまいもの甘煮について、結着防止評価を行った。結果を表2、表4に示す。
イモ類108gと、実施例4における調味液に含まれるαアミラーゼの添加量(0.2%=128unit/g)を、1/100倍、1/10倍、10倍に変更した調味液48gを、レトルトパウチに充填し真空密封包装した後、加熱処理を行った。翌日、得られたさつまいもの甘煮について、結着防止評価を行った。その結果を表5に示す。
実施例4における調味液(αアミラーゼ0.2重量%含む)を使用し、イモ類と調味液の総量を同じにしてイモ類と調味液の混合比率を変更したものを、レトルトパウチに充填し真空密封包装した後、加熱処理を行った。翌日、得られたさつまいもの甘煮について、結着防止評価を行った。その結果を表6に示す
実施例4における調味液に含まれるαアミラーゼの添加量を10倍量(αアミラーゼ2.0重量%含む)にした調味液を使用し、イモ類と調味液の総量を同じにしてイモ類と調味液の混合比率を変更したものを、レトルトパウチに充填し真空密封包装した後、加熱処理を行った。翌日、得られたさつまいもの甘煮について、結着防止評価を行った。その結果を表7に示す。
比較例1における調味液(αアミラーゼ、カルシウム塩、デキストリンを含まない)を使用し、イモ類と調味液の総量を同じにしてイモ類と調味液の混合比率を変更したものを、レトルトパウチに充填し真空密封包装した後、加熱処理を行った。翌日、得られたさつまいもの甘煮について、結着防止評価を行った。その結果を表8に示す。
Claims (4)
- イモ類と調味液を計量する計量工程と、真空密封する包装工程と、加熱工程を順に含み、かつ、前記調味液が、αアミラーゼ及び、糖類及び/または還元水あめを含むこと、を特徴とする、イモ類を主原料とする包装惣菜の製造方法。
- 前記調味液が、Bx50以上であること、を特徴とする、請求項1記載の製造方法。
- 前記調味液が、Bx40以上であり、かつ、カルシウム塩を含むこと、を特徴とする、請求項1記載の製造方法。
- 前記調味液が、デキストリンを含むことを特徴とする、請求項1〜3記載の製造方法。
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