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JP2020119856A - シート状導電部材の製造方法、及びシート状導電部材 - Google Patents

シート状導電部材の製造方法、及びシート状導電部材 Download PDF

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JP2020119856A
JP2020119856A JP2019012273A JP2019012273A JP2020119856A JP 2020119856 A JP2020119856 A JP 2020119856A JP 2019012273 A JP2019012273 A JP 2019012273A JP 2019012273 A JP2019012273 A JP 2019012273A JP 2020119856 A JP2020119856 A JP 2020119856A
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孝至 森岡
Takashi Morioka
孝至 森岡
伊藤 雅春
Masaharu Ito
雅春 伊藤
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Abstract

【課題】厚さが十分に薄くかつ自立性を有するシート状導電部材を効率よく作製できるシート状導電部材の製造方法を提供すること。【解決手段】工程フィルム12及び第1樹脂層11を備える第1フィルム1に、複数の導電性線状体21が間隔をもって配列された疑似シート構造体2を設ける工程と、第2樹脂層31を備える第2フィルム3を、第1フィルム1に、第2樹脂層31と疑似シート構造体21とが接するようにして、貼り付ける工程と、第1樹脂層11及び第2樹脂層31の少なくとも一方を、乾燥又は硬化させる工程を、を備える、シート状導電部材100の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、シート状導電部材の製造方法、及びシート状導電部材に関する。
複数の導電性線状体が間隔をもって配列された疑似シート構造体を有するシート状導電部材(以下、「導電性シート」とも称する)は、発熱装置の発熱体、発熱するテキスタイルの材料、ディスプレイ用保護フィルム(粉砕防止フィルム)等、種々の物品の部材に利用できる可能性がある。
例えば、特許文献1には、一方向に延びた複数の線状体が間隔をもって配列された疑似シート構造体を有する導電性シートが記載されている。
国際公開第2017/086395号
この導電性シートは、用途によっては、厚さが薄いことが求められる。一方で、特許文献1に記載の導電性シートは、基材上に疑似シート構造体を形成する。そして、導電性シートの作製工程において、ある程度は基材に厚さが必要となるので、厚さを薄くするのには限界があった。
本発明の目的は、厚さが十分に薄くかつ自立性を有するシート状導電部材を効率よく作製できるシート状導電部材の製造方法、及びシート状導電部材を提供することである。
本発明の一態様に係るシート状導電部材の製造方法は、工程フィルム及び第1樹脂層を備える第1フィルムに、複数の導電性線状体が間隔をもって配列された疑似シート構造体を設ける工程と、第2樹脂層を備える第2フィルムを、前記第1フィルムに、前記第2樹脂層と前記疑似シート構造体とが接するようにして、貼り付ける工程と、前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層の少なくとも一方を、乾燥又は硬化させる工程を、を備えることを特徴とする。
本発明の一態様に係るシート状導電部材の製造方法においては、前記疑似シート構造体に、電極を取り付ける工程、を更に備えることが好ましい。
本発明の一態様に係るシート状導電部材の製造方法においては、前記第2フィルムは、工程フィルムを更に備えることが好ましい。
本発明の一態様に係るシート状導電部材の製造方法においては、乾燥又は硬化させた後の前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層の少なくとも一方から、工程フィルムを剥離する工程、を更に備えることが好ましい。
本発明の一態様に係るシート状導電部材の製造方法においては、工程フィルムの剥離力が、5mN/100mm以上2000mN/100mm以下であることが好ましい。
本発明の一態様に係るシート状導電部材の製造方法においては、前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層の少なくとも一方は、エネルギー線硬化性であることが好ましい。
本発明の一態様に係るシート状導電部材の製造方法においては、前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層の両方は、エネルギー線硬化性であることが好ましい。
本発明の一態様に係るシート状導電部材の製造方法においては、前記第1樹脂層の厚さと、前記第2樹脂層の厚さとの合計の厚さが、7μm以上500μm以下であることが好ましい。
本発明の一態様に係るシート状導電部材は、第1樹脂層と、第2樹脂層と、前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層の間に設けられ、複数の導電性線状体が間隔をもって配列された疑似シート構造体と、を備えるシート状導電部材であって、前記シート状導電部材の厚さが、7μm以上200μm以下であり、前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層の少なくとも一方の温度25℃における貯蔵弾性率が、5.0×10Pa以上5.0×1010Pa以下であることを特徴とする。
本発明によれば、厚さが十分に薄くかつ自立性を有するシート状導電部材を効率よく作製できるシート状導電部材の製造方法、及びシート状導電部材を提供することができる。
本発明の第一実施形態に係るシート状導電部材の製造方法を説明するための説明図である。 図1のII−II断面を示す断面図である。 本発明の第二実施形態に係るシート状導電部材の製造方法を説明するための説明図である。 本発明の第三実施形態に係るシート状導電部材の製造方法を説明するための説明図である。
[第一実施形態]
以下、本発明について実施形態を例に挙げて、図面に基づいて説明する。本発明は実施形態の内容に限定されない。なお、図面においては、説明を容易にするために拡大又は縮小をして図示した部分がある。
本実施形態に係るシート状導電部材100の製造方法は、図1(A)に示す、工程フィルム12及び第1樹脂層11を備える第1フィルム1に、図1(B)に示すような複数の導電性線状体21が間隔をもって配列された疑似シート構造体2を設ける工程(以下、「疑似シート構造体形成工程」とも称する)と、図1(C)に示すように、疑似シート構造体2に、電極4を取り付ける工程(以下、「電極取付工程」とも称する)と、図1(D)に示すように、工程フィルム32及び第2樹脂層31を備える第2フィルム3を、第1フィルム1に、第2樹脂層31と疑似シート構造体2とが接するようにして、貼り付ける工程(以下、「第2樹脂層貼付工程」とも称する)と、第1樹脂層11及び第2樹脂層31の少なくとも一方を、硬化させる工程(以下、「硬化工程」とも称する)と、図1(E)に示すように、硬化させた後の第1樹脂層11及び第2樹脂層31の少なくとも一方から、工程フィルム12,32の少なくとも一方を剥離する工程(以下、「工程フィルム剥離工程」とも称する)を、を備える方法である。
まず、本実施形態に係るシート状導電部材100の製造方法に用いる第1樹脂層11及び第2樹脂層31、疑似シート構造体2、工程フィルム12,32、並びに、電極4について説明する。
(第1樹脂層及び第2樹脂層)
第1樹脂層11及び第2樹脂層31は、樹脂を含む層である。また、第1樹脂層11は、接着剤を含む層であることが好ましい。第1フィルム1に疑似シート構造体2を形成する際に、接着剤により、導電性線状体21の第1樹脂層11への貼り付けが容易となる。
第1樹脂層11及び第2樹脂層31の少なくとも一方は、乾燥又は硬化可能な樹脂からなる。樹脂層を硬化又は乾燥することにより、シート状導電部材100に自立性を付与できる。また、疑似シート構造体2を保護するのに十分な硬度が第1樹脂層11及び第2樹脂層31に付与され、第1樹脂層11及び第2樹脂層31は保護膜としても機能する。また、硬化又は乾燥後の第1樹脂層11及び第2樹脂層31は、耐衝撃性を有し、衝撃による第1樹脂層11及び第2樹脂層31の変形も抑制できる。
第1樹脂層11及び第2樹脂層31の少なくとも一方は、短時間で簡便に硬化することができる点で、紫外線、可視エネルギー線、赤外線、電子線等のエネルギー線硬化性であることが好ましい。なお、「エネルギー線硬化」には、エネルギー線を用いた加熱による熱硬化も含まれる。また、第1樹脂層11及び第2樹脂層31の両方が、エネルギー線硬化性であることがより好ましい。
第1樹脂層11及び第2樹脂層31の接着剤は、熱により硬化する熱硬化性のもの、熱により接着するいわゆるヒートシールタイプのもの、湿潤させて貼付性を発現させる接着剤等も挙げられる。ただし、適用の簡便さからは、第1樹脂層11及び第2樹脂層31が、エネルギー線硬化性であることが好ましい。エネルギー線硬化性樹脂としては、例えば、分子内に少なくとも1個の重合性二重結合を有する化合物が挙げられ、(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート系化合物が好ましい。
前記アクリレート系化合物としては、例えば、鎖状脂肪族骨格含有(メタ)アクリレート(ジシクロペンタジエンジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及び1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等)、環状脂肪族骨格含有(メタ)アクリレート(ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート等)、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等)、オリゴエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ変性(メタ)アクリレート、前記ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート以外のポリエーテル(メタ)アクリレート、及びイタコン酸オリゴマー等が挙げられる。
エネルギー線硬化性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、100〜30000であることが好ましく、300〜10000であることがより好ましい。
接着剤組成物が含有するエネルギー線硬化性樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。さらに、後述する熱可塑性樹脂と組み合わせてもよく、組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1樹脂層11及び第2樹脂層31は、粘着剤(感圧性接着剤)から形成される粘着剤層であってもよい。粘着剤層の粘着剤は、特に限定されない。例えば、粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、及びポリビニルエーテル系粘着剤等が挙げられる。これらの中でも、粘着剤は、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、及びゴム系粘着剤からなる群から選択される少なくともいずれかであることが好ましく、アクリル系粘着剤であることがより好ましい。
アクリル系粘着剤としては、例えば、直鎖のアルキル基又は分岐鎖のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体(つまり、アルキル(メタ)アクリレートを少なくとも重合した重合体)、環状構造を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含むアクリル系重合体(つまり、環状構造を有する(メタ)アクリレートを少なくとも重合した重合体)等が挙げられる。ここで「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の双方を示す語として用いており、他の類似用語についても同様である。
アクリル系重合体が共重合体である場合、共重合の形態としては、特に限定されない。アクリル系共重合体としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、又はグラフト共重合体のいずれであってもよい。
これらの中でも、アクリル系粘着剤としては、炭素数1〜20の鎖状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a1’)(以下、「単量体成分(a1’)」ともいう)に由来する構成単位(a1)、及び官能基含有モノマー(a2’)(以下、「単量体成分(a2’)」ともいう)に由来する構成単位(a2)を含むアクリル系共重合体が好ましい。
なお、当該アクリル系共重合体は、単量体成分(a1’)及び単量体成分(a2’)以外のその他の単量体成分(a3’)に由来する構成単位(a3)をさらに含んでいてもよい。
単量体成分(a1’)が有する鎖状アルキル基の炭素数としては、粘着特性の向上の観点から、1以上12以下であることが好ましく、4以上8以下であることがより好ましく、4以上6以下であることがさらに好ましい。単量体成分(a1’)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、及びステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単量体成分(a1’)の中でも、ブチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく、ブチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
構成単位(a1)の含有量は、上記アクリル系共重合体の全構成単位(100質量%)に対して、50質量%以上99.5質量%以下であることが好ましく、55質量%以上99質量%以下であることがより好ましく、60質量%以上97質量%以下であることがさらに好ましく、65質量%以上95質量%以下であることが特に好ましい。
単量体成分(a2’)としては、例えば、ヒドロキシ基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、ケト基含有モノマー、及びアルコキシシリル基含有モノマー等が挙げられる。これらの単量体成分(a2’)の中でも、ヒドロキシ基含有モノマーとカルボキシ基含有モノマーが好ましい。
ヒドロキシ基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられ、(メタ)アクリル酸が好ましい。
エポキシ基含有モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アミノ基含有モノマーとしては、例えばジアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
シアノ基含有モノマーとしては、例えばアクリロニトリル等が挙げられる。
構成単位(a2)の含有量は、上記アクリル系共重合体の全構成単位(100質量%)に対して、0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上40質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以上30質量%以下であることがさらに好ましく、1.5質量%以上20質量%以下であることが特に好ましい。
単量体成分(a3’)としては、例えば、環状構造を有する(メタ)アクリレート(例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート、及びアクリロイルモルフォリン等)、酢酸ビニル、及びスチレン等が挙げられる。
構成単位(a3)の含有量は、上記アクリル系共重合体の全構成単位(100質量%)に対して、0質量%以上40質量%以下であることが好ましく、0質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、0質量%以上25質量%以下であることがさらに好ましく、0質量%以上20質量%以下であることが特に好ましい。
なお、上述の単量体成分(a1’)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、上述の単量体成分(a2’)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、上述の単量体成分(a3’)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル系共重合体は架橋剤により架橋されていてもよい。架橋剤としては、例えば、
公知のエポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。アクリル系共重合体を架橋する場合には、単量体成分(a2’)に由来する官能基を、架橋剤と反応する架橋点として利用することができる。
第1樹脂層11及び第2樹脂層31は、上記粘着剤の他に、さらにエネルギー線硬化性の成分を含有していてもよい。
エネルギー線硬化性の成分としては、例えばエネルギー線が紫外線である場合には、多官能(メタ)アクリレート化合物等の、一分子中に紫外線重合性の官能基を2つ以上有する化合物等が挙げられる。
また、粘着剤としてアクリル系粘着剤を適用する場合、エネルギー線硬化性の成分として、アクリル系共重合体における単量体成分(a2’)に由来する官能基に反応する官能基と、エネルギー線重合性の官能基とを一分子中に有する化合物を用いてもよい。当該化合物の官能基と、アクリル系共重合体における単量体成分(a2’)に由来する官能基との反応により、アクリル系共重合体の側鎖がエネルギー線照射により重合可能となる。粘着剤がアクリル系粘着剤以外でも、粘着剤となる共重合体以外の共重合体成分として、同様に側鎖がエネルギー線重合性である成分を用いてもよい。
第1樹脂層11及び第2樹脂層31の少なくとも一方が、エネルギー線硬化性である場合には、粘着剤層は光重合開始剤を含有することがよい。光重合開始剤により、粘着剤層がエネルギー線照射により硬化する速度を高めることができる。
第1樹脂層11及び第2樹脂層31に用いられる熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、具体的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、フェノキシ樹脂、アミン系化合物、酸無水物系化合物などが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、イミダゾール系硬化触媒を使用した硬化に適すという観点から、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アミン系化合物及び酸無水物系化合物を使用することが好ましく、特に、優れた硬化性を示すという観点から、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、それらの混合物、又はエポキシ樹脂と、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アミン系化合物及び酸無水物系化合物からなる群から選択される少なくとも1種との混合物を使用することが好ましい。
第1樹脂層11及び第2樹脂層31に用いられる湿気硬化性樹脂としては、特に限定されず、湿気でイソシアネート基が生成してくる樹脂であるウレタン樹脂、変性シリコーン樹脂等が挙げられる。
エネルギー線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を用いる場合、光重合開始剤や熱重合開始剤等を用いることが好ましい。光重合開始剤や熱重合開始剤等を用いることで、架橋構造が形成され、疑似シート構造体2を、より強固に保護することが可能になる。
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、2−クロールアンスラキノン、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド、及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル−ホスフィンオキサイド等が挙げられる。
熱重合開始剤としては、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸塩(ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、及びペルオキソ二硫酸カリウム等)、アゾ系化合物(2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、及び2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等)、及び有機過酸化物(過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、過コハク酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、及びクメンヒドロパーオキサイド等)等が挙げられる。
これらの重合開始剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの重合開始剤を用いて架橋構造を形成する場合、その使用量は、エネルギー線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上100質量部以下であることが好ましく、1質量部以上100質量部以下であることがより好ましく、1質量部以上10質量部以下であることが特に好ましい。
第1樹脂層11及び第2樹脂層31は、無機充填材を含有していてもよい。無機充填材を含有することで、硬化後の第1樹脂層11及び第2樹脂層31の硬度をより向上させることができる。また、第1樹脂層11及び第2樹脂層31の熱伝導性が向上する。
無機充填材としては、例えば、無機粉末(例えば、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化珪素、及び窒化ホウ素等の粉末)、無機粉末を球形化したビーズ、単結晶繊維、及びガラス繊維等が挙げられる。これらの中でも、無機充填材としては、シリカフィラー及びアルミナフィラーが好ましい。無機充填材は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第1樹脂層11及び第2樹脂層31には、その他の成分が含まれていてもよい。その他の成分としては、例えば、有機溶媒、難燃剤、粘着付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、可塑剤、消泡剤、及び濡れ性調整剤等の周知の添加剤が挙げられる。
第1樹脂層11及び第2樹脂層31の厚さは、シート状導電部材100の用途に応じて適宜決定される。シート状導電部材100がより薄くかつ自立性を有するという観点から、第1樹脂層11の厚さと、第2樹脂層31の厚さとの合計の厚さは、7μm以上500μm以下であることが好ましく、10μm以上200μm以下であることがより好ましく、10μm以上100μm以下であることがさらに好ましく、10μm以上50μm以下であることが特に好ましい。
(疑似シート構造体)
疑似シート構造体2は、一方向に延びた複数の導電性線状体21が、互いに間隔をもって配列された構造としている。導電性線状体21は、シート状導電部材100の平面視において、直線状や波形状である。波形状として具体的には、導電性線状体21は、例えば、正弦波、矩形波、三角波、のこぎり波等の波形状であってもよい。つまり、疑似シート構造体2は、導電性線状体21が、導電性線状体21の軸方向と直交する方向に、等間隔で複数配列された構造としている。
疑似シート構造体2が、上記のような構造であれば、導電性線状体21の軸方向に、シート状導電部材100を伸張した際に、導電性線状体21の切断を抑制できる。なお、シート状導電部材100は、導電性線状体21の軸方向と直交する方向に、伸張しても、導電性線状体21が切断されることがない。そのため、シート状導電部材100は、十分な伸縮性を有する。
導電性線状体21の体積抵抗率Rは、1.0×10−9Ω・m以上1.0×10−3Ω・m以下であることが好ましく、1.0×10−8Ω・m以上1.0×10−4Ω・m以下であることがより好ましい。導電性線状体21の体積抵抗率Rを上記範囲にすると、疑似シート構造体2の面抵抗が低下しやすくなる。
導電性線状体21の体積抵抗率Rの測定は、次の通りである。導電性線状体21の両端に銀ペーストを塗布し、端部からの長さ40mmの部分の抵抗を測定し、導電性線状体21の抵抗値を求める。そして、導電性線状体21の断面積(単位:m)を上記の抵抗値に乗じ、得られた値を上記の測定した長さ(0.04m)で除して、導電性線状体21の体積抵抗率Rを算出する。
導電性線状体21の断面の形状は、特に限定されず、多角形、扁平形状、楕円形状、円形状等を取り得るが、第1樹脂層11との馴染み等の観点から、楕円形状、円形状であることが好ましい。
導電性線状体21の断面が円形状である場合には、導電性線状体21の直径D(図2参照)は、5μm以上75μm以下であることが好ましい。シート抵抗の上昇抑制と、シート状導電部材100を発熱体として用いた場合の発熱効率及び耐絶縁破壊特性の向上との観点から、導電性線状体21の直径Dは、8μm以上60μm以下であることがより好ましく、12μm以上40μm以下であることがさらに好ましい。
導電性線状体21の断面が楕円形状である場合には、長径が上記の直径Dと同様の範囲にあることが好ましい。
導電性線状体21の直径Dは、デジタル顕微鏡を用いて、疑似シート構造体2の導電性線状体21を観察し、無作為に選んだ5箇所で、導電性線状体21の直径を測定し、その平均値とする。
導電性線状体21の間隔L(図2参照)は、0.3mm以上12.0mm以下であることが好ましく、0.5mm以上10.0mm以下であることがより好ましく、0.8mm以上7.0mm以下であることがさらに好ましい。
導電性線状体21同士の間隔が上記範囲であれば、導電性線状体がある程度密集しているため、疑似シート構造体の抵抗を低く維持し、シート状導電部材100を発熱体として用いる場合の温度上昇の分布を均一にする等の、シート状導電部材100の機能の向上を図ることができる。
導電性線状体21の間隔Lは、デジタル顕微鏡を用いて、疑似シート構造体2の導電性線状体21を観察し、隣り合う2つの導電性線状体21の間隔を測定する。
なお、隣り合う2つの導電性線状体21の間隔とは、導電性線状体21を配列させていった方向に沿った長さであって、2つの導電性線状体21の対向する部分間の長さである(図2参照)。間隔Lは、導電性線状体21の配列が不等間隔である場合には、全ての隣り合う導電性線状体21同士の間隔の平均値であるが、間隔Lの値を制御しやすくする観点等から、導電性線状体21は疑似シート構造体2において、略等間隔に配列されていることが好ましく、等間隔に配列されていることがより好ましい。
導電性線状体21は、特に制限はないが、金属ワイヤーを含む線状体(以下「金属ワイヤー線状体」とも称する)であることがよい。金属ワイヤーは高い熱伝導性、高い電気伝導性、高いハンドリング性、汎用性を有するため、導電性線状体21として金属ワイヤー線状体を適用すると、疑似シート構造体2の抵抗値を低減しつつ、光線透過性が向上しやすくなる。また、シート状導電部材100(疑似シート構造体2)を発熱体として適用したとき、速やかな発熱が実現されやすくなる。さらに、上述したように直径が細い線状体を得られやすい。
なお、導電性線状体21としては、金属ワイヤー線状体の他に、カーボンナノチューブを含む線状体、及び、糸に導電性被覆が施された線状体が挙げられる。
カーボンナノチューブ線状体は、例えば、カーボンナノチューブフォレスト(カーボンナノチューブを、基板に対して垂直方向に配向するよう、基板上に複数成長させた成長体のことであり、「アレイ」と称される場合もある)の端部から、カーボンナノチューブをシート状に引き出し、引き出したカーボンナノチューブシートを束ねた後、カーボンナノチューブの束を撚ることにより得られる。このような製造方法において、撚りの際に捻りを加えない場合には、リボン状のカーボンナノチューブ線状体が得られ、捻りを加えた場合には、糸状の線状体が得られる。リボン状のカーボンナノチューブ線状体は、カーボンナノチューブが捻られた構造を有しない線状体である。このほか、カーボンナノチューブの分散液から、紡糸をすること等によっても、カーボンナノチューブ線状体を得ることができる。紡糸によるカーボンナノチューブ線状体の製造は、例えば、米国特許出願公開第2013/0251619号明細書(日本国特開2012−126635号公報)に開示されている方法により行うことができる。カーボンナノチューブ線状体の直径の均一さが得られる観点からは、糸状のカーボンナノチューブ線状体を用いることが望ましく、純度の高いカーボンナノチューブ線状体が得られる観点からは、カーボンナノチューブシートを撚ることによって糸状のカーボンナノチューブ線状体を得ることが好ましい。カーボンナノチューブ線状体は、2本以上のカーボンナノチューブ線状体同士が編まれた線状体であってもよい。また、カーボンナノチューブ線状体は、カーボンナノチューブと他の導電性材料が複合された線状体(以下「複合線状体」とも称する)であってもよい。
複合線状体としては、例えば、(1)カーボンナノチューブフォレストの端部から、カーボンナノチューブをシート状に引き出し、引き出したカーボンナノチューブシートを束ねた後、カーボンナノチューブの束を撚るカーボンナノチューブ線状体を得る過程において、カーボンナノチューブのフォレスト、シート若しくは束、又は撚った線状体の表面に、金属単体又は金属合金を蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング、湿式めっき等により担持させた複合線状体、(2)金属単体の線状体若しくは金属合金の線状体又は複合線状体と共に、カーボンナノチューブの束を撚った複合線状体、(3)金属単体の線状体若しくは金属合金の線状体又は複合線状体と、カーボンナノチューブ線状体又は複合線状体とを編んだ複合線状体等が挙げられる。なお、(2)の複合線状体においては、カーボンナノチューブの束を撚る際に、(1)の複合線状体と同様にカーボンナノチューブに対して金属を担持させてもよい。また、(3)の複合線状体は、2本の線状体を編んだ場合の複合線状体であるが、少なくとも1本の金属単体の線状体若しくは金属合金の線状体又は複合線状体が含まれていれば、カーボンナノチューブ線状体又は金属単体の線状体若しくは金属合金の線状体若しくは複合線状体の3本以上を編み合わせてあってもよい。
複合線状体の金属としては、例えば、金、銀、銅、鉄、アルミニウム、ニッケル、クロム、スズ、亜鉛等の金属単体、及び、これら金属単体の少なくとも一種を含む合金(銅−ニッケル−リン合金、及び、銅−鉄−リン−亜鉛合金等)が挙げられる。
導電性線状体21は、糸に導電性被覆が施された線状体であってもよい。糸としては、ナイロン、ポリエステル等の樹脂から紡糸した糸等が挙げられる。導電性被覆としては、金属、導電性高分子、炭素材料等の被膜等が挙げられる。導電性被覆は、メッキや蒸着法等により形成することができる。糸に導電性被覆が施された線状体は、糸の柔軟性を維持しつつ、線状体の導電性を向上させることができる。つまり、疑似シート構造体2の抵抗を、低下させることが容易となる。
導電性線状体21は、金属ワイヤーを含む線状体であってもよい。金属ワイヤーを含む線状体は、1本の金属ワイヤーからなる線状体であってもよいし、複数本の金属ワイヤーを撚った線状体であってもよい。
金属ワイヤーとしては、銅、アルミニウム、タングステン、鉄、モリブデン、ニッケル、チタン、銀、金等の金属、又は、金属を2種以上含む合金(例えば、ステンレス鋼、炭素鋼等の鋼鉄、真鍮、りん青銅、ジルコニウム銅合金、ベリリウム銅、鉄ニッケル、ニクロム、ニッケルチタン、カンタル、ハステロイ、及びレニウムタングステン等)を含むワイヤーが挙げられる。また、金属ワイヤーは、錫、亜鉛、銀、ニッケル、クロム、ニッケルクロム合金、又は、はんだ等でめっきされたものであってもよく、後述する炭素材料やポリマーにより表面が被覆されたものであってもよい。特に、タングステン及びモリブデン並びにこれらを含む合金から選ばれる一種以上の金属を含むワイヤーが、低い体積抵抗率の導電性線状体21とする観点から好ましい。
金属ワイヤーとしては、炭素材料で被覆された金属ワイヤーも挙げられる。金属ワイヤーは、炭素材料で被覆されていると、金属光沢が低減し、金属ワイヤーの存在を目立たなくすることが容易となる。また、金属ワイヤーは、炭素材料で被覆されていると金属腐食も抑制される。
金属ワイヤーを被覆する炭素材料としては、非晶質炭素(例えば、カーボンブラック、活性炭、ハードカーボン、ソフトカーボン、メソポーラスカーボン、及びカーボンファイバー等)、グラファイト、フラーレン、グラフェン及びカーボンナノチューブ等が挙げられる。
(工程フィルム)
工程フィルム12,32は、シート状導電部材100の製造時には必要となるフィルムであるが、シート状導電部材100の製造後には不要となり、剥離できるフィルムのことである。工程フィルム12,32は、通常、剥離基材と、剥離層とを備える。
剥離基材としては、例えば、紙基材、紙基材等に熱可塑性樹脂(例えば、ポリエチレン等)をラミネートしたラミネート紙、及びプラスチックフィルム等が挙げられる。紙基材としては、グラシン紙、コート紙、及びキャストコート紙等が挙げられる。プラスチックフィルムとしては、ポリエステルフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリエチレンナフタレート等)、及びポリオレフィンフィルム(例えば、ポリプロピレン、及びポリエチレン等)等が挙げられる。剥離剤としては、例えば、オレフィン系樹脂、ゴム系エラストマー(例えば、ブタジエン系樹脂、及びイソプレン系樹脂等)、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂、及びシリコーン系樹脂等が挙げられる。
剥離層としては、特に限定されない。例えば、取り扱い易さの観点から、剥離層は、剥離基材と、剥離基材の上に剥離剤が塗布されて形成された剥離層とを備えることが好ましい。また、剥離層は、剥離基材の片面のみに剥離層を備えていてもよいし、剥離基材の両面に剥離層を備えていてもよい。
剥離基材としてプラスチックフィルムを用いる場合、プラスチックフィルムの厚さは、4μm以上200μm以下であることが好ましく、10μm以上125μm以下であることがより好ましい。
剥離層の厚さは、特に限定されない。剥離剤を含む溶液を塗布して剥離層を形成する場合、剥離層の厚さは、0.01μm以上2.0μm以下であることが好ましく、0.03μm以上1.0μm以下であることがより好ましい。
(電極)
電極4は、導電性線状体21に電流を供給するために用いられる。電極4は、導電性線状体21の両端部に電気的に接続されて配置される。
導電性線状体21の直径が小さい場合であっても、導電性線状体21との良好な接触面積を確保することができることから電極は帯状であることが好ましい。電極としては、導電性の箔又は板を用いることができる。導電性の箔又は板からなる電極には、貫通孔が形成されていることが好ましい。貫通孔が形成されていることにより、第1樹脂層及び前記第2樹脂層との密着性が向上し、導電性線状体21の電極の接続が良好なものとなる。貫通孔は、エキスパンドやパンチング処理により設けることができる。
電極4としては、具体的には、例えば、金、銀、銅、ニッケル、鉄、アルミニウム、タングステン、モリブデン、及びチタン等の金属の箔又は板が適用される。その他、電極は、上記の金属やその他の金属、非金属元素を含むステンレス鋼、炭素鋼、真鍮、りん青銅、ジルコニウム銅合金、ベリリウム銅、鉄ニッケル、ニクロム、ニッケルチタン、カンタル、ハステロイ、及びレニウムタングステン等の合金の箔又は板を適用してもよく、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラフェン等の炭素材料を含む帯状体を用いてもよい。また、プラスチックフィルムと積層された積層体であってもよい。
その他、電極4は、導電性線状体21と電極4との良好な接続状態を確保する観点から、液状の導電材料を固化した電極(つまり、液状の導電材料の固化物からなる電極)であってもよい。液状の導電材料としては、導電性ペーストが代表的に挙げられる。導電性ペーストとしては、例えば、金属粒子又は炭素粒子をバインダー樹脂及び/又は有機溶剤に分散させたペーストが適用できる。金属粒子としては、例えば、金、銀、銅、及びニッケル等の金属の粒子が挙げられる。バインダー樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、及びフェノール樹脂等の周知の樹脂が挙げられる。
なお、液状の導電材料としては、導電性ペースト以外に、例えば、半田、及び導電性インク等を適用してもよい。
電極4は、導電性の箔又は板と液状の導電材料を併用しても良い。疑似シート構造体2に液状の導電材料を塗布したのちに導電性の箔又は板を張り付けても良いし、貫通孔が形成された導電性の箔又は板を取り付けたのちに、液状の導電材料を塗布してもよい。
導電性の箔又は板と液状の導電材料を併用することで、電極の接続がより良好なものとなる。
その他、電極4は、導電性線状体21を密に配列したものを電極として用いてもよい。
電極4と疑似シート構造体2の抵抗値の比は、0.0001以上0.3以下であることが好ましく、0.0005以上0.1以下であることがより好ましい。電極と疑似シート構造体2の抵抗値の比は、「電極4の抵抗値/疑似シート構造体2の抵抗値」により求めることができる。この範囲内にあることで、シート状導電部材100を発熱体として用いた場合、電極部分での異常発熱が抑制される。疑似シート構造体2をフィルムヒータとして用いる場合、疑似シート構造体2のみが発熱し、発熱効率の良好なフィルムヒータを得ることが出来る。
電極4と疑似シート構造体2の抵抗値は、テスターを用いて測定することができる。まず電極4の抵抗値を測定し、電極4を貼付した疑似シート構造体2の抵抗値を測定する。その後、電極を貼付した疑似シート構造体2の抵抗値から電極4の測定値を引くことで、電極4及び疑似シート構造体2それぞれの抵抗値を算出する。
電極4の厚さは、2μm以上200μm以下であることが好ましく、2μm以上120μm以下であることがより好ましく、10μm以上100μm以下であることが特に好ましい。電極の厚さが、上記範囲内であれば、電気伝導率が高く低抵抗となり疑似シート構造体との抵抗値を低く抑えられる。また、電極として十分な強度が得られる。
(疑似シート構造体形成工程)
疑似シート構造体形成工程においては、まず、図1(A)に示す、工程フィルム12及び第1樹脂層11を備える第1フィルム1を準備する。
第1フィルム1は、予め、工程フィルム12及び第1樹脂層11を備えるものを作製しておくことが好ましい。第1フィルム1は、例えば、工程フィルム12上に、第1樹脂層11の原料となる樹脂組成物を塗布することで作製できる。
疑似シート構造体形成工程においては、次に、第1フィルム1に、図1(B)に示すような複数の導電性線状体21が間隔をもって配列された疑似シート構造体2を設ける。
疑似シート構造体2を設ける方法としては、特に限定されず、公知の方法を適宜採用できる。例えば、ドラム部材(図示しない)の外周面に第1フィルム1の第1樹脂層11を配置した状態で、ドラム部材を回転させながら、第1樹脂層11上に導電性線状体21を螺旋状に巻き付ける。その後、螺旋状に巻き付けた導電性線状体21の束をドラム部材の軸方向に沿って切断する。これにより、疑似シート構造体2を形成すると共に、第1フィルム1の第1樹脂層11に配置する。そして、疑似シート構造体2が形成された第1フィルム1をドラム部材から取り出す。この方法によれば、例えば、ドラム部材を回転させながら、導電性線状体21の繰り出し部をドラム部材の軸と平行な方向に沿って移動させることで、疑似シート構造体2における隣り合う導電性線状体21の間隔Lを調整することが容易である。
(電極取付工程)
電極取付工程においては、図1(C)に示すように、疑似シート構造体2に、電極4を取り付ける。
電極4を取り付ける方法としては、特に限定されず、公知の方法を適宜採用できる。例えば、第1フィルム1の第1樹脂層11上に、導電性線状体21と電極4とが接するように、電極4を配置する。その後、電極4を第1フィルム1に対して熱圧着させることで、疑似シート構造体2に、電極4を取り付けることができる。
なお、熱圧着の条件は、特に限定されず、第1樹脂層11の種類に応じて適宜設定できる。
(第2樹脂層貼付工程)
第2樹脂層貼付工程においては、まず、図1(D)に示す、工程フィルム32及び第2樹脂層31を備える第2フィルム3を準備する。
第2フィルム3は、予め、工程フィルム32及び第2樹脂層31を備えるものを作製しておくことが好ましい。第2フィルム3は、第1フィルム1と同様の方法で作製できる。
第2樹脂層貼付工程においては、次に、図1(D)に示すように、第2フィルム3を、第1フィルム1に、第2樹脂層31と疑似シート構造体2とが接するようにして、貼り付ける。
このときに、第1樹脂層11及び第2樹脂層31の少なくとも一方が接着剤を含む層であれば、第2フィルム3を第1フィルム1に容易に貼り付けることができる。
(硬化工程)
硬化工程においては、第1樹脂層11及び第2樹脂層31の少なくとも一方を、硬化させる。
硬化の条件については、特に限定されず、樹脂組成物の種類に応じて適宜選択できる。例えば、第1樹脂層11及び第2樹脂層31の少なくとも一方が、エネルギー線硬化性である場合を例に挙げて説明すると、次の通りである。エネルギー線による硬化の条件は、用いるエネルギー線によって異なるが、例えば、紫外線照射により硬化させる場合、紫外線の照射量は、10mJ/cm以上3,000mJ/cm以下であることが好ましく、照射時間は、1秒間以上180秒間以下であることが好ましい。
(工程フィルム剥離工程)
工程フィルム剥離工程においては、図1(E)に示すように、硬化させた後の第1樹脂層11及び第2樹脂層31の少なくとも一方から、工程フィルム12,32の少なくとも一方を剥離する。このようにして、図2に示す、第1樹脂層11と、第2樹脂層31と、第1樹脂層11及び第2樹脂層31の間に設けられた疑似シート構造体2と、を備えるシート状導電部材100を製造できる。
工程フィルム12,32を剥離する方法としては、特に限定されず、公知の方法を適宜採用できる。
このとき、工程フィルム12,32とこれに接する樹脂層との剥離力は、5mN/100mm以上2000mN/100mm以下であることが好ましく、20mN/100mm以上1250mN/100mm以下であることがより好ましい。
工程フィルム12,32の剥離力は、例えば、工程フィルム12,32及び第1樹脂層11又は第2樹脂層31を含む、試料(幅:100mm、長さ:100mm)を固定し、引っ張り試験機を用いて、工程フィルム12,32を、300mm/分の速度で180°方向に引っ張ることにより、工程フィルム12,32と第1樹脂層11又は第2樹脂層31との界面の剥離力を測定できる(単位:mN/100mm)。
工程フィルム12と第1樹脂層11間の剥離力と、工程フィルム32と第2樹脂層31間の剥離力には、差を設ける方が好ましい。差を設けることで一方の工程フィルムのみを容易に剥離することができる。剥離力の差としては、20mN/25mm以上であり、より好ましくは40mN/25mm以上であり、更に好ましくは80mN/25mm以上である。
(シート状導電部材)
本実施形態に係るシート状導電部材100は、図2に示すように、第1樹脂層11と、第2樹脂層31と、第1樹脂層11及び第2樹脂層31の間に設けられ、複数の導電性線状体21が間隔をもって配列された疑似シート構造体2と、を備えるシート状導電部材100であって、シート状導電部材100の厚さが、7μm以上200μm以下であり、シート状導電部材100の温度25℃における貯蔵弾性率が、5.0×10Pa以上5.0×1010Pa以下であることを特徴とする。
シート状導電部材100は、前記本実施形態に係るシート状導電部材の製造方法により、製造できる。
前記本実施形態に係るシート状導電部材の製造方法によれば、厚さが十分に薄くかつ自立性を有するシート状導電部材100を効率よく作製できる。すなわち、前記本実施形態に係るシート状導電部材の製造方法によれば、シート状導電部材100の厚さが、7μm以上200μm以下(より好ましくは、10μm以上100μm以下、特に好ましくは、10μm以上50μm以下)で、かつ、第1樹脂層11及び第2樹脂層31の少なくとも一方の温度25℃における貯蔵弾性率が、5.0×10Pa以上5.0×1010Pa以下(より好ましくは1.0×10Pa以上1.0×1010Pa以下)であるシート状導電部材100を効率よく作製できる。乾燥又は硬化させた後のシート状導電部材100の貯蔵弾性率は、引張モードにより測定される。
また、貯蔵弾性率が前記範囲内であれば、シート状導電部材における電極との密着性(抵抗安定性)、耐熱性及び耐衝撃性を高めることができる。
第1樹脂層11及び第2樹脂層31の少なくとも一方の、乾燥又は硬化させる前の温度25℃における貯蔵弾性率は、1.0×10Pa以上2.5×10Pa以下であることが好ましい。乾燥又は硬化させる前の貯蔵弾性率は、ねじりせん断法によって測定される。
25℃における貯蔵弾性率の測定方法の詳細は、実施例の項に記載する。
(第一実施形態の作用効果)
本実施形態によれば、次のような作用効果を奏することができる。
(1)本実施形態においては、厚さが、7μm以上200μm以下であり、温度25℃における貯蔵弾性率が、5.0×10Pa以上5.0×1010Pa以下であるシート状導電部材100が得られる。
(2)本実施形態においては、電極4を、第1樹脂層11及び第2樹脂層31の間に挟み込むように設ける。そのため、シート状導電部材100において、導電性線状体21と電極4との密着性を高めることができる。
(3)第1樹脂層11及び第2樹脂層31の厚さを調整することで、シート状導電部材100における疑似シート構造体2の位置を調整できる。例えば、第1樹脂層11及び第2樹脂層31の厚さを同じにすれば、疑似シート構造体2の位置を真ん中に調整できる。
(4)疑似シート構造体2が、第1樹脂層11及び第2樹脂層31に覆われているため、漏電を防止できる。
(5)第1樹脂層11及び第2樹脂層31の少なくとも一方を硬化させることで、導電性線状体21を保護できる。また、第1樹脂層11及び第2樹脂層31のいずれか一方を硬化させる場合、他方を粘着層として、被着体に貼着できる。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態では、第1樹脂層11及び第2樹脂層31が、硬化性でない層であり、硬化工程に代えて乾燥工程を行う以外は第一実施形態と同様の構成であるので、第1樹脂層11及び第2樹脂層31、並びに、乾燥工程について説明し、それ以外の前の説明と共通する箇所は省略する。
図3(A)〜図3(E)は、本実施形態に係るシート状導電部材の製造方法を説明するための図である。
本実施形態で用いる第1樹脂層11及び第2樹脂層31は、硬化性でなく、例えば、熱可塑性樹脂組成物からなる層であってもよい。そして、熱可塑性樹脂組成物中に溶剤を含有させることで、熱可塑性樹脂層を軟化させることができる。これにより、第1フィルム1に疑似シート構造体2を形成する際に、導電性線状体21の第1樹脂層11への貼り付けが容易となる。一方で、熱可塑性樹脂組成物中の溶剤を揮発させることで、熱可塑性樹脂層を乾燥させ、固化させることができる。これにより、シート状導電部材100に自立性を付与できる。
なお、第1樹脂層11及び第2樹脂層31のいずれか一方は、第一実施形態で用いる第1樹脂層11及び第2樹脂層31と同様であってもよい。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエーテルサルホン、ポリイミド及びアクリル樹脂等が挙げられる。
溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、炭化水素系溶剤、ハロゲン化アルキル系溶媒及び水等が挙げられる。
また、本実施形態で用いる第1樹脂層11及び第2樹脂層31は、第一実施形態で用いる第1樹脂層11及び第2樹脂層31と同様に、無機充填剤等の他の成分を含有してもよい。
本実施形態では、図3(A)及び図3(B)に示すように、疑似シート構造体形成工程を行う。この疑似シート構造体形成工程は、第1樹脂層11として、上記の硬化性でない層を用いること以外は、第一実施形態の疑似シート構造体形成工程と同様である。
本実施形態では、次に、図3(C)に示すように、電極取付工程を行う。この電極取付工程は、第一実施形態の電極取付工程と同様である。
本実施形態では、次に、図3(D)に示すように、第2樹脂層貼付工程を行う。この第2樹脂層貼付工程は、第2樹脂層31からなる第2フィルム3を貼り付けること以外は、第一実施形態の第2樹脂層貼付工程と同様である。
本実施形態では、第2樹脂層貼付工程の後に、乾燥工程を行う。この乾燥工程は、第一実施形態の硬化工程の代わりに行う工程である。この乾燥工程においては、第1樹脂層11及び第2樹脂層31の少なくとも一方を、乾燥させる。なお、本実施形態では、第2樹脂層31上を覆うフィルムなどは存在しないために、この乾燥工程により、第1樹脂層11及び第2樹脂層31の少なくとも一方を乾燥できる。
乾燥の条件については、特に限定されず、樹脂組成物及び溶剤の種類に応じて適宜選択できる。
本実施形態では、次に、図3(E)に示すように、乾燥させた後の第1樹脂層11から、工程フィルム12を剥離する。なお、工程フィルム12を剥離する方法は、第一実施形態の工程フィルム剥離工程と同様である。
このようにして、シート状導電部材100Aを製造できる。
(第二実施形態の作用効果)
本実施形態によれば、前記第一実施形態における作用効果(1)〜(4)と同様の作用効果、並びに、下記作用効果(5’)を奏することができる。
(5’)第1樹脂層11及び第2樹脂層31の少なくとも一方を乾燥させることで、導電性線状体21を保護できる。また、第1樹脂層11及び第2樹脂層31のいずれか一方を乾燥させる場合、他方を粘着層として、被着体に貼着できる。
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態では、第2樹脂層貼付工程より後の工程として、電極取付工程を行う以外は第一実施形態と同様の構成であるので、第2樹脂層貼付工程及び電極取付工程について説明し、それ以外の前の説明と共通する箇所は省略する。
図4(A)〜図4(E)は、本実施形態に係るシート状導電部材の製造方法を説明するための図である。
本実施形態では、図4(A)及び図4(B)に示すように、疑似シート構造体形成工程を行う。この疑似シート構造体形成工程は、第一実施形態の疑似シート構造体形成工程と同様である。
本実施形態では、次に、図4(C)に示すように、第2樹脂層貼付工程を行う。この第2樹脂層貼付工程は、図4(C)に示すように、導電性線状体21の軸方向における両端部が覆われないように、第2フィルム3を第1フィルム1に貼り付ける。そのため、第1フィルム1の一部1Aは、第2フィルム3に覆われていない。
本実施形態では、第2樹脂層貼付工程の後に、硬化工程を行う。この硬化工程は、第一実施形態の硬化工程と同様である。
本実施形態では、次に、図4(D)に示すように、電極取付工程を行う。この電極取付工程は、第2フィルム3に覆われていない第1フィルム1の一部1Aに、電極4を取り付ける。なお、電極4を取り付ける方法としては、第一実施形態の電極取付工程と同様である。
本実施形態では、次に、図4(E)に示すように、工程フィルム剥離工程を行う。この工程フィルム剥離工程は、第一実施形態の工程フィルム剥離工程と同様である。
このようにして、シート状導電部材100Bを製造できる。
(第三実施形態の作用効果)
本実施形態によれば、前記第一実施形態における作用効果(1)及び(3)〜(5)と同様の作用効果、並びに、下記作用効果(6)を奏することができる。
(6)電極4を、第1樹脂層11と第2樹脂層31との貼着後に設けることができる。そのため、シート状導電部材100Bの作製時には、電極4を設けるタイミングが限定されず、設計の自由度を高めることができる。
[実施形態の変形]
本発明は前述の実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれる。
例えば、前述の実施形態では、第1フィルム1に電極4を取り付けているが、これに限定されない。例えば、シート状導電部材100は、電極4を備えていなくてもよい。電極4を予めシート状導電部材を装着する物品に設けておき、この電極4に疑似シート構造体2が接するように、シート状導電部材100を貼り付けてもよい。
前述の実施形態では、シート状導電部材100の製造方法において、工程フィルム剥離工程を行っていたが、これに限定されない。例えば、工程フィルム剥離工程は、シート状導電部材100を使用する者が、使用の際に行ってもよい。
(シート状導電部材の用途)
シート状導電部材100を発熱体(フィルムヒータ)として用いる場合、発熱体の用途としては、例えば、例えば、デフォッガー(defogger)、及びデアイサー(deicer)等も挙げられる。この場合、被着体としては、例えば、浴室等の鏡、輸送用装置(乗用車、鉄道、船舶、及び航空機等)の窓、建物の窓・壁紙、アイウェア、信号機の点灯面、及び標識等が挙げられる。近年では、電気自動車のバッテリーの温度コントロールにヒータが使われており、薄いヒータはラミネート型セルの個別の温度コントロールに好適である。また、電気信号の配線のためのフラットケーブルとしても利用することができる。
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。なお、実施例等において使用した硬化性単量体及び重合開始剤等は、全て固形分基準で記載している。
[実施例1]
重合体成分として、ポリイミド樹脂(PI)のペレット(河村産業社製、商品名「KPI−MX300F」、Tg=354℃)100質量部を、溶媒(メチルエチルケトン:MEKとトルエンとの重量比1:1の混合溶媒)に溶解して、PIの15質量%溶液を調製した。次いで、この溶液に、硬化性単量体として、ジシクロペンタジエンジアクリレート(新中村化学工業社製、商品名「A−DCP」)220質量部、重合開始剤として、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル−ホスフィンオキサイド(BASF社製、商品名「Irgacure819」)4.4質量部を添加、混合して、硬化性樹脂組成物を調製した。
次に、工程フィルム(リンテック社製、商品名「SP−PET382150」)に硬化性樹脂組成物を塗布し、得られた塗膜を90℃で3分間加熱することで塗膜を乾燥させて、第1樹脂層を形成した。形成された樹脂層側に剥離フィルム(リンテック社製、商品名「SP−PET381130」)を貼付し、樹脂層の厚さ10μmの第1フィルムとした。第1フィルムと同様に、第2樹脂層を形成して、第2フィルムを作製した。
導電性線状体として、タングステンワイヤー(直径14μm、メーカー名:株式会社トクサイ製、製品名:TGW−CS、以下、「ワイヤー」と称する。)を準備した。
次に、外周面がゴム製のドラム部材に第1フィルムを、剥離フィルムを外側として、しわのないように巻きつけた後、円周方向における第1フィルムの両端部を両面テープで固定した。その後、剥離フィルムを剥がして第1樹脂層をむき出しにし、ボビンに巻き付けたワイヤーを、ドラム部材の端部付近に位置する第1樹脂層の表面に付着させた上で、ワイヤーを繰り出しながらドラム部材で巻き取り、少しずつドラム部材をドラム軸と平行な方向に移動させていき、ワイヤーが等間隔でらせんを描きながらドラム部材に巻きつくようにした。
このようにして、第1樹脂層の表面上に、隣り合うワイヤーの距離を一定に保ちつつ、ワイヤーを複数設けて、ワイヤー付き第1フィルムを形成した。ワイヤーは等間隔に設けられ、間隔は2.5mmであった。ドラム軸と平行に、ワイヤー付き第1フィルムを切断し、疑似シート構造体付き第1フィルムを作製した。次に、電極として、銅箔(厚み10μm、幅10mm)を、ワイヤーの延びる方向と直交する方向でワイヤーの両端部に乗せ、電極を取り付けて、電極付き第1フィルムを得た。その後、電極付き第1フィルムのワイヤーを配置した表面に、剥離フィルムを剥がした第2フィルムを貼り合わせた。
さらに、ベルトコンベア式紫外線照射装置(アイグラフィクス社製、製品名:ECS−401GX)を使用し、高圧水銀ランプ(アイグラフィクス社製、製品名:H04−L41)にて、紫外線ランプ高さ100mm、紫外線ランプ出力3kw、光線波長365nmの照度が400mW/cm、光量が800mJ/cm(オーク製作所社製、紫外線光量計UV−351にて測定)となる条件で硬化反応を行い、その後、工程フィルムを剥離して、シート状導電部材を作製した。なお、このときの工程フィルムの剥離力は、50mN/100mmであった。また、得られたシート状導電部材の厚さは、22μmである。
[抵抗値]
シート状導電部材の電極部分にテスターを当てて、抵抗値を測定した。作製直後(熱硬化後)に10Vの電圧をかけて1時間通電した後の抵抗値を測定し、以下の式に基づき、抵抗値の変化率(%)を求めた。
抵抗値の変化率(%)={(通電後の試験片の抵抗値)−(作製直後の試験片の抵抗値)}/(作製直後の試験片の抵抗値)×100
そして、以下の判定基準に従って、抵抗値を評価した。得られた結果を表1に示す。なお、抵抗値の変化率が小さいほど、シート状導電部材が硬く、自立性が高いため、導電性線状体と電極が電気的に良好に接続されていることを示す。
−判定基準−
A:抵抗値の変化率が10%未満
B:抵抗値の変化率が10%以上
[乾燥又は硬化させる前の25℃における貯蔵弾性率]
測定対象となる層を形成する組成物と同一の組成物を、実施例等と同一の条件で塗布等して形成した直径8mm×厚み1mmの試験片Aを作製した。以下に示す測定条件で、ねじりせん断法によって試験片Aのせん断貯蔵弾性率G’を測定し、得られた値を25℃における貯蔵弾性率(単位:MPa)とした。得られた結果を表1に示す。
−測定条件−
・測定装置:粘弾性測定装置(Anton Paar社製、装置名「MCR300」)
・試験開始温度:−20℃
・試験終了温度:150℃
・昇温速度:3℃/分
・周波数:1Hz・測定温度 :25℃
[乾燥又は硬化させた後の25℃における貯蔵弾性率]
測定対象となる層を形成する組成物と同一の組成物を、実施例等と同一の条件で硬化等して形成した幅5mm×長さ10mm×厚み0.1mmの試験片Bを作製した。以下に示す測定条件で、引張モードによる測定によって試験片Bのせん断貯蔵弾性率G’を測定し、得られた値を25℃における貯蔵弾性率(単位:MPa)とした。得られた結果を表1に示す。
−測定条件−
・測定装置:ティー・エイ・インスツルメント社製、動的弾性率測定装置「DMA Q800」
・試験開始温度:0℃
・試験終了温度:150℃
・昇温速度:3℃/分
・周波数:1Hz
・振幅:5μm
・測定温度:25℃
[破断応力]
シート状導電部材を幅15mm×長さ150mm(長手方向はワイヤーと平行な方向)の試験片に裁断し、引張試験機(島津製作所社製,オートグラフ)にて、チャック間距離100mmに設定した後、200mm/minの速度で引張試験を行い、破断応力[N]を測定した。
得られた結果を表1に示す。
Figure 2020119856
表1に示す結果のように、実施例1で得られたフィルムヒータは、厚さ22μmと薄いにも拘わらず、抵抗値の変化率が少なく、自立性を有することが確認された。また、実施例1のように、樹脂層の貯蔵弾性率が高い場合には、破断応力も高いことが確認された。
1…第1フィルム、11…第1樹脂層、12…工程フィルム、2…疑似シート構造体、21…導電性線状体、3…第2フィルム、31…第2樹脂層、32…工程フィルム、4…電極、100,100A,100B…シート状導電部材。

Claims (9)

  1. 工程フィルム及び第1樹脂層を備える第1フィルムに、複数の導電性線状体が間隔をもって配列された疑似シート構造体を設ける工程と、
    第2樹脂層を備える第2フィルムを、前記第1フィルムに、前記第2樹脂層と前記疑似シート構造体とが接するようにして、貼り付ける工程と、
    前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層の少なくとも一方を、乾燥又は硬化させる工程を、を備える、
    シート状導電部材の製造方法。
  2. 請求項1に記載のシート状導電部材の製造方法において、
    前記疑似シート構造体に、電極を取り付ける工程、を更に備える、
    シート状導電部材の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のシート状導電部材の製造方法において、
    前記第2フィルムは、工程フィルムを更に備える、
    シート状導電部材の製造方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシート状導電部材の製造方法において、
    乾燥又は硬化させた後の前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層の少なくとも一方から、工程フィルムを剥離する工程、を更に備える、
    シート状導電部材の製造方法。
  5. 請求項4に記載のシート状導電部材の製造方法において、
    工程フィルムの剥離力が、5mN/100mm以上2000mN/100mm以下である、
    シート状導電部材の製造方法。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のシート状導電部材の製造方法において、
    前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層の少なくとも一方は、エネルギー線硬化性である、
    シート状導電部材の製造方法。
  7. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のシート状導電部材の製造方法において、
    前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層の両方は、エネルギー線硬化性である、
    シート状導電部材の製造方法。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のシート状導電部材の製造方法において、
    前記第1樹脂層の厚さと、前記第2樹脂層の厚さとの合計の厚さが、7μm以上500μm以下である、
    シート状導電部材の製造方法。
  9. 第1樹脂層と、第2樹脂層と、前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層の間に設けられ、複数の導電性線状体が間隔をもって配列された疑似シート構造体と、を備えるシート状導電部材であって、
    前記シート状導電部材の厚さが、7μm以上200μm以下であり、
    前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層の少なくとも一方の温度25℃における貯蔵弾性率が、5×10Pa以上5.0×1010Pa以下である、
    シート状導電部材。
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