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JP2020117570A - アルカリ可溶性樹脂、感光性樹脂組成物、硬化物、及び画像表示装置 - Google Patents

アルカリ可溶性樹脂、感光性樹脂組成物、硬化物、及び画像表示装置 Download PDF

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JP2020117570A JP2019007553A JP2019007553A JP2020117570A JP 2020117570 A JP2020117570 A JP 2020117570A JP 2019007553 A JP2019007553 A JP 2019007553A JP 2019007553 A JP2019007553 A JP 2019007553A JP 2020117570 A JP2020117570 A JP 2020117570A
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Abstract

【課題】 直線性が良好で、加熱硬化時の線幅変化の抑制が可能なアルカリ可溶性樹脂を提供すること。【解決手段】 以下の(I)及び(II)を満足するアルカリ可溶性樹脂。(I)軟化点が100℃以下(II)動的粘弾性測定にて得られる貯蔵弾性率G’の最小値が2×103Pa以上【選択図】なし

Description

本発明は、アルカリ可溶性樹脂、感光性樹脂組成物、硬化物、及び画像表示装置に関する。特に、直線性が良好で、加熱硬化時の線幅変化の抑制が可能な、高精細パターンの形成に適したアルカリ可溶性樹脂、感光性樹脂組成物、それを硬化させた硬化物、該硬化物を有する画像表示装置に関する。本発明の感光性樹脂組成物は、特に、高精細な細線を形成できるブラックマトリックス(Black Matrix。以下「BM」と略称することがある。)形成用の感光性樹脂組成物に適している。
カラーフィルターは、通常、ガラス、プラスチック等の透明基板の表面に、黒色のブラックマトリックスを形成し、続いて、赤、緑、青等の3種以上の異なる色の画素を順次、格子状、ストライプ状又はモザイク状等のパターンで形成したものである。パターンサイズはカラーフィルターの用途並びにそれぞれの色により異なるが通常5〜700μm程度である。
カラーフィルターの代表的な製造方法として、現在、顔料分散法が知られている。顔料分散法によりカラーフィルターを製造する場合、まずカーボンブラック等の黒色顔料を含有する感光性樹脂組成物を透明基板上に塗布した後に乾燥させ、さらに画像露光、現像した後、200℃以上の高温処理により加熱硬化(キュアベーク)させることでBMを形成する。これを赤、緑、青等の色ごとに繰り返すことで画素を形成し、BM及び画素を有するカラーフィルターを形成する。
BMは、赤、緑、青等の画素の間に格子状、ストライプ状又はモザイク状に配置されることが一般的であり、各画素間の混色抑制によるコントラスト向上あるいは光漏れを防止する役目がある。このため、BMには高い遮光性が要求される。
近年、省エネルギー化やモバイルバッテリーの長寿命化のため、バックライトの出力は低くなる方向にあり、そのような条件下にあっても高輝度で画像表示できるよう、遮光部であるBMの細線化が進められている。更に、液晶ディスプレイの市場において、タブレットなどのような小型化が主流となり、大型のテレビにおいては高解像度の要求が高くなってきている。これらの理由からも、BMの高精細化の要望が高くなってきており、BM細線の線幅は従来の10μm前後から、現在では6μm前後が求められるようになってきている。
一方で、所望の線幅のBMを形成するためには、露光及び現像後に行われる加熱硬化工程時における線幅変化が少ないことが必要である。例えば特許文献1には、軟化点が130℃以上の耐熱性樹脂をアルカリ可溶性樹脂と共に用いることで、加熱による形状変化を起こしにくいBMを形成できることが記載されている。
特開2017−198918号公報
前述したように近年はBMの細線化が強く求められているが、細線化を実現するためには、単純に露光マスクパターンを狭めるだけでは達成できない課題がある。
BMの線幅管理では、設計線幅を基準(100%)として上下限(例えば、95%〜105%)に収まるように管理する事が多いが、細線化で設計線幅が細くなることで実質的な管理幅は狭くなる。このため製造歩留りの観点から、直線性の悪化は避けなければならない。
さらに、細線パターンは高温処理により加熱硬化(キュアベーク)させて用いるが、樹脂成分は熱架橋反応が始まる前にいったん軟化して流動し線幅が増加する現象が起こる。この場合、設計線幅の細線を得るためには、設計線幅よりも線幅増加分だけ細めの細線パターンを現像時に形成する必要がある。よって、流動による線幅増加が大きいほど細線形成の難易度は高くなり、製造歩留り低下に繋がる。
このため、細線の直線性を悪化させることなく、加熱硬化(キュアベーク)時の線幅変化の抑制が可能な感光性樹脂組成物が求められている。
本発明者らが、特許文献1に記載の感光性樹脂組成物について検討したところ、加熱硬化時の流動による線幅増加は抑制されるものの、細線パターンは直線性の悪化を伴っており良好な細線パターンの形成が困難となることが見出された。
そこで本発明は、直線性が良好で、加熱硬化(キュアベーク)時の線幅変化の抑制が可能なアルカリ可溶性樹脂を提供することを目的とする。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、アルカリ可溶性樹脂の軟化点と、動的粘弾性測定にて得られる貯蔵弾性率G’を特定範囲とすることにより、前記課題を解決できることを見出した。即ち本発明の要旨は以下に存する。
[1] 以下の(I)及び(II)を満足するアルカリ可溶性樹脂。
(I)軟化点が100℃以下
(II)動的粘弾性測定にて得られる貯蔵弾性率G’の最小値が2×103Pa以上
[2]
下記一般式(1)で表される部分構造を有する、[1]に記載のアルカリ可溶性樹脂。
Figure 2020117570
(式(1)中、*は結合手を表す。式(1)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。)
[3] 下記一般式(3)で表される部分構造を有する、[1]又は[2]に記載のアルカリ可溶性樹脂。
Figure 2020117570
(式(3)中、R1は水素原子又はメチル基を表す。*は結合手を表す。)
[4] (a)アルカリ可溶性樹脂、(b)光重合性モノマー、及び(c)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物であって、
前記(a)アルカリ可溶性樹脂が、[1]〜[3]のいずれかに記載のアルカリ可溶性樹脂を含む感光性樹脂組成物。
[5] さらに(d)色材を含む、[4]に記載の感光性樹脂組成物。
[6] 前記(d)色材が黒色顔料を含む、[5]に記載の感光性樹脂組成物。
[7] [4]〜[6]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を硬化させた硬化物。
[8] [7]に記載の硬化物を有する画像表示装置。
本発明によれば、直線性が良好で、加熱硬化時の線幅変化の抑制が可能なアルカリ可溶性樹脂を提供することができる。
図1は、本発明のカラーフィルターを備えた有機EL(Electro Luminescence)素子の一例を示す断面概略図である。 図2は、アルカリ可溶性樹脂(1)の動的粘弾性測定のグラフ(縦軸:貯蔵弾性率G’、横軸:温度)である。
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル及び/又はメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイル」についても同様である。
本発明において「全固形分」とは、感光性樹脂組成物中又は後述するインク中に含まれる、溶剤以外の全成分を意味するものとする。
本発明において、重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を指す。
また、本発明において、「アミン価」とは、特に断りのない限り、有効固形分換算のアミン価を表し、分散剤の固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの質量で表される値である。なお、測定方法については後述する。
また、本発明において、「カルボン酸残基」とは、カルボン酸化合物から全てのカルボキシル基を除いた後に残る基を意味する。例えば、A−COOHで表されるカルボン酸化合物におけるカルボン酸残基は、Aで表される1価の基を意味する。同様に、「多価アルコール残基」とは、多価アルコール化合物から全ての水酸基を除いた後に残る基を意味する。また、「多価メチロール残基」とは、多価メチロール化合物から全てのメチロール基(−CH2−OH基)を除いた後に残る基を意味する。
また、本明細書において、結合手を「*」を用いて表す場合がある。また、数値範囲を「〜」を用いて表す場合があるが、上限値及び下限値を含む数値範囲を意味する。
<アルカリ可溶性樹脂(A)>
本発明のアルカリ可溶性樹脂(以下、「アルカリ可溶性樹脂(A)」と称する場合がある。)は、以下の(I)及び(II)を満足する。
(I)軟化点が100℃以下
(II)動的粘弾性測定にて得られる貯蔵弾性率G’の最小値が、2×103Pa以上
アルカリ可溶性樹脂(A)は、前記(I)を満足することによって、光架橋した被膜が適度な柔軟性を有するものとなり、現像後のパターンの直線性が良好になると考えられる。また、アルカリ可溶性樹脂(A)の主鎖の運動が大きく、露光時にアルカリ可溶性樹脂同士の光架橋が進み、現像密着性が良好になると考えられる。
また、アルカリ可溶性樹脂(A)は、前記(II)を満足することによって、樹脂の軟化開始と共にアルカリ可溶性樹脂(A)同士の熱架橋によるゲル化が優位に進み始めて、流動が抑制され、加熱硬化時の線幅変化の抑制が可能となると考えられる。
アルカリ可溶性樹脂の中でも、主鎖同士が多点で相互作用可能であり、そして重合性基同士が近接して架橋が進行しやすい構造のものが、前記(I)及び(II)を満足する傾向がある。例えば、フルオレン環のようにπ−π相互作用が可能な環同士が近距離に配置された骨格を有し、前記骨格の両側に重合性基が配置されたのものが、前記(I)及び(II)の両者を満足する傾向がある。
アルカリ可溶性樹脂(A)の軟化点は100℃以下であれば特に限定されないが、98℃以下であることが好ましく、96℃以下であることがより好ましく、95℃以下であることがさらに好ましく、また、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、70℃以上であることがさらに好ましく、80℃以上であることがよりさらに好ましく、90℃以上であることが特に好ましい。前記上限値以下とすることで直線性が良好となる傾向があり、また、前記下限値以上とすることで塗膜の粘着性が低下し取扱い性が良好となる傾向がある。
この軟化点の測定方法は特に限定されないが、動的粘弾性測定にて測定することが好ましい。例えば、レオメーターを用い、70〜230℃の温度範囲で5℃/minで昇温しながら貯蔵弾性率G’を測定し、得られた貯蔵弾性率G’の温度変化のグラフから、70℃から昇温していって下に凸へと変わる最初の変曲点を軟化点として得ることができる。具体的には、実施例に記載の方法及び条件を採用することができる。
一方で、アルカリ可溶性樹脂(A)の、動的粘弾性測定にて得られる貯蔵弾性率G’の最小値は2×103Pa以上であれば特に限定されないが、2.3×103Pa以上が好ましく、2.6×103Pa以上がより好ましく、2.8×103Pa以上がさらに好ましく、また、1×105Pa以下が好ましく、5×104Pa以下がより好ましく、1×104Pa以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることでキュアベーク中の変形が抑制できる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像後のパターンの直線性が良好になる傾向がある。
この貯蔵弾性率G’の最小値の測定方法は特に限定されないが、動的粘弾性測定にて測定することが好ましい。例えば、レオメーターを用い、70〜230℃の温度範囲で5℃/minで昇温しながら貯蔵弾性率G’を測定し、得られた貯蔵弾性率G’の温度変化のグラフからその最小値を読み取ることで得ることができる。具体的には、実施例に記載の方法及び条件を採用することができる。
また、アルカリ可溶性樹脂(A)は、220℃における貯蔵弾性率G’が、1×104Pa以上が好ましく、1×105Pa以上がより好ましい、1×106Pa以上がさらに好ましく、また、1×107Pa以下が好ましく、5×106Pa以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで熱硬化した膜の強度が高くなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで熱硬化した膜が硬くなりすぎて脆くなってパターンがかけることが抑制できる傾向がある。
アルカリ可溶性樹脂(A)の重量平均分子量は特に限定されないが、1000以上が好ましく、2000以上がより好ましく、3000以上がさらに好ましく、4000以上が特に好ましく、また、20000以下が好ましく、15000以下がより好ましく、10000以下がさらに好ましく、8000以下がよりさらに好ましく、6000以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像後のパターンの差し込みを抑制できる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで再溶解性の悪化が抑制される傾向がある。
アルカリ可溶性樹脂(A)の酸価は特に限定されないが、20mgKOH/g以上が好ましく、50mgKOH/g以上がより好ましく、80mgKOH/g以上がさらに好ましく、また、200mgKOH/g以下が好ましく、150mgKOH/g以下がより好ましく、120mgKOH/g以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像時の溶解性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで保存安定性が良好となる傾向がある。
アルカリ可溶性樹脂(A)の二重結合当量(g/mol)は特に限定されないが、1000以下が好ましく、900以下がより好ましく、800以下がさらに好ましく、また、120以上が好ましく、300以上がより好ましく、400以上がさらに好ましい。前記上限値以下とすることで感度が良好となる傾向があり、また、前記下限値以上とすることで硬化収縮が抑制される傾向がある。
なお、樹脂の二重結合当量は下記式(x)から算出することができる。
(樹脂の二重結合当量) =
(樹脂の分子量)/(樹脂1分子あたりのエチレン性不飽和二重結合の数)・・・(x)
アルカリ可溶性樹脂(A)の化学構造は、アルカリ可溶性樹脂(A)を含む感光性樹脂組成物を塗布、乾燥して得られる塗膜を露光後、露光部と非露光部のアルカリ現像に対する溶解性が変化するようなものであり、かつ、前記(I)及び(II)を満足するものであれば特に限定されないが、カルボキシル基を有するものであることが好ましい。また光架橋の観点から、エチレン性不飽和基を有するものであることが好ましい。
特に、前記(I)及び(II)の両方を満足するとの観点から、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂であることが好ましい。カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、主鎖同士が多点で相互作用することで(メタ)アクリレート基同士も近接して架橋反応が進みやすくなることから、前記(I)及び(II)を満足するものとしやすい傾向がある。
カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、エポキシ樹脂とα,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとの反応物の、反応で生成した水酸基にさらに多塩基酸、及び/又はその無水物を反応させて得られる樹脂である。また、多塩基酸、及び/又はその無水物を水酸基と反応させる前に、該水酸基と反応し得る置換基を2個以上有する化合物を反応させた後、多塩基酸、及び/又はその無水物を反応させて得られる樹脂も、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂に含まれる。さらに上記反応で得られた樹脂のカルボキシル基に、さらに反応し得る官能基を有する化合物を反応させて得られる樹脂も、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂に含まれる。
このように、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は化学構造上、実質的にエポキシ基を有さず、かつ「(メタ)アクリレート」に限定されるものではないが、エポキシ樹脂が原料であり、かつ、「(メタ)アクリレート」が代表例であるので慣用に従いこのように命名されている。
カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、以下のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A−1)及び/又はエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A−2)が挙げられる。
<エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A−1)>
エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多塩基酸及び/又はその無水物を反応させることによって得られたアルカリ可溶性樹脂。
<エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A−2)>
エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多価アルコール、並びに多塩基酸及び/又はその無水物と反応させることによって得られたアルカリ可溶性樹脂。
原料となるエポキシ樹脂としては、例えば、分子内にフルオレン環を有するエポキシ樹脂が挙げられる。分子内にフルオレン環を有することで露光時の内部硬化性が高くなる傾向がある。特に、分子内に、炭素数6以下の炭化水素基で連結したフルオレン環を有することが好ましく、炭素数4以下の炭化水素基で連結したフルオレン環を有することがより好ましく、炭素数2以下の炭化水素基で連結したフルオレン環を有することがさらに好ましい。このように、短鎖の炭化水素基で連結したフルオレン環を有することにより、加熱硬化時に主鎖間の架橋反応が促進される傾向がある。具体的には、下記式(1)で表される部分構造を有するものが好ましい。
Figure 2020117570
(式(1)中、nは1〜6の整数を表す。*は結合手を表す。式(1)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。)
式(1)中のnは1〜6の整数であれば特に限定されないが、π−π相互作用を多点化する観点から、4以下が好ましく、2以下がより好ましい。
式(1)中のベンゼン環が有していてもよい任意の置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基等が挙げられ、π−π相互作用を強める観点から、無置換であることが好ましい。
また一方で、フルオレン環によるπ−π相互作用を増強するという観点から、下記式(2)で表される部分構造を有するものでもよい。
Figure 2020117570
(式(2)中、l及びmは各々独立に1〜6の整数を表す。*は結合手を表す。式(2)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。)
式(2)中のl及びmは各々独立に1〜6の整数であれば特に限定されないが、π−π相互作用を多点化する観点から、4以下が好ましく、2以下がより好ましい。
式(2)中のベンゼン環が有していてもよい任意の置換基としては、例えば、メチル基等、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基が挙げられ、π−π相互作用を強める観点から、無置換であることが好ましい。
エポキシ樹脂の具体例としては、以下の化学構造のものが挙げられる。
Figure 2020117570
α,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体などのモノカルボン酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルテトラヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルマレイン酸、(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸にε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類を付加させ末端に1個の水酸基を有する単量体や、或いはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのような末端に1個の水酸基を有する単量体や、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのような末端に1個の水酸基を有する化合物に、(無水)コハク酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸などの酸(無水物)を付加させ、1個以上のエチレン不飽和基と末端に1個のカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。また、(メタ)アクリル酸ダイマーなども挙げられる。
これらの内、感度の点から、特に好ましいものは(メタ)アクリル酸である。
エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させる方法としては、公知の手法を用いることができる。例えば、エステル化触媒の存在下、50〜150℃の温度で、α,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとエポキシ樹脂とを反応させることができる。ここで用いるエステル化触媒としては、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ベンジルジメチルアミン、ベンジルジエチルアミン等の3級アミン、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩等を用いることができる。
なお、エポキシ樹脂、α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステル、及びエステル化触媒は、いずれも1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルの使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対し0.5〜1.2当量の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.7〜1.1当量の範囲である。
α,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルの使用量を前記下限値以上とすることで不飽和基の導入量が十分となり、引き続く多塩基酸及び/又はその無水物との反応も十分となり、また、多量のエポキシ基の残存を抑制できる傾向がある。一方で、前記使用量を前記上限値以下とすることでα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルが未反応物として残存するのを抑制できる傾向がある。
多塩基酸及び/又はその無水物としては、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸、及びこれらの無水物等から選ばれた、1種又は2種以上が挙げられる。
好ましくは、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、又はこれらの無水物である。特に好ましくは、テトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸、無水テトラヒドロフタル酸、又はビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。
多塩基酸及び/又はその無水物の付加反応に関しても公知の手法を用いることができ、エポキシ樹脂へのα,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルの付加反応と同様な条件下で、継続反応させて目的物を得ることができる。多塩基酸及び/又はその無水物成分の付加量は、生成するカルボキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の酸価が10〜150mgKOH/gの範囲となるような程度であることが好ましく、さらに20〜140mgKOH/gの範囲となるような程度であることが好ましい。前記下限値以上とすることでアルカリ現像性が良好となる傾向があり、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
<エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A−2)>
上記(A−1)樹脂の多塩基酸及び/又はその無水物の付加反応時に、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの多価アルコールを添加し、多分岐構造を導入したものとしてもよく、そうすることによりエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A−2)が得られる。
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A−2)は、通常、エポキシ樹脂とα,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとの反応物に、多塩基酸及び/又はその無水物を混合した後、若しくは、エポキシ樹脂とα,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとの反応物に、多塩基酸及び/又はその無水物並びに多価アルコールを混合した後に、加温することにより得られる。この場合、多塩基酸及び/又はその無水物と多価アルコールの混合順序に、特に制限はない。加温により、エポキシ樹脂とα,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとの反応物と多価アルコールとの混合物中に存在するいずれかの水酸基に対して多塩基酸及び/又はその無水物が付加反応する。
カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、1種を単独で用いても、2種以上の樹脂を混合して用いてもよい。
多価アルコールの使用量は、増粘やゲル化を抑制しつつ効果を発現するとの観点から、エポキシ樹脂とα,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとの反応物に対して、通常0.01〜0.5質量倍程度、好ましくは0.02〜0.2質量倍程度である。
アルカリ可溶性樹脂(A)の化学構造は特に限定されないが、露光時の内部硬化性を高くする観点から分子内にフルオレン環を有することが好ましい。フルオレン環によるπ−π相互作用を多点化して強くする観点から、前記式(1)で表される部分構造を有することがより好ましい。更に、π−π相互作用を増強する観点から、前記式(2)で表される部分構造を有するものでもよい。
アルカリ可溶性樹脂(A)が、前記式(1)で表される部分構造を有する場合、その含有割合は特に限定されないが、アルカリ可溶性樹脂(A)中に20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましく、また、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで露光時の内部硬化性が高くなり細線パターンを形成しやすくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで感度が高くなる傾向がある。
アルカリ可溶性樹脂(A)が、前記式(1)で表される部分構造及び/又は前記式(2)で表される部分構造を有する場合、光架橋性の観点から、さらに下記式(3)で表される部分構造を有することが好ましい。
Figure 2020117570
(式(3)中、R1は水素原子又はメチル基を表す。*は結合手を表す。)
アルカリ可溶性樹脂(A)が前記式(3)で表される部分構造を有する場合、その含有割合は特に限定されないが、アルカリ可溶性樹脂(A)中に10質量%以上が好ましく、12質量%以上がより好ましく、14質量%以上がさらに好ましく、また、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで熱硬化時の線幅変化が抑制される傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化収縮が小さくなる傾向がある。
また、アルカリ可溶性樹脂(A)が、前記式(1)で表される部分構造及び前記式(3)で表される部分構造を有する場合、前記式(1)で表される部分構造100質量部に対する前記式(3)で表される部分構造の含有割合が、20質量部以上が好ましく、25質量部以上がより好ましく、30質量部以上がさらに好ましく、また、60質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、40質量部以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで熱硬化時の線幅変化が抑制される傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化収縮が小さくなる傾向がある。
アルカリ可溶性樹脂(A)は、主鎖間の架橋反応を促進させる観点から、前記式(1)で表される部分構造及び前記式(3)で表される部分構造として、下記式(4)で表される部分構造を含むことが好ましい。
Figure 2020117570
(式(4)中、nは前記式(1)と同義である。R1は前記式(3)と同義である。*は結合手を表す。式(4)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。)
式(4)中のベンゼン環が有していてもよい任意の置換基としては、前記式(1)において挙げたものと同じものが挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂(A)が前記式(4)で表される部分構造を有する場合、その含有割合は特に限定されないが、アルカリ可溶性樹脂(A)中に40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましく、また、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで熱硬化時の線幅変化が抑制される傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化収縮が小さくなる傾向がある。
またアルカリ可溶性樹脂(A)は、アルカリ現像時のパターニング性の観点から、さらに下記式(5)で表される部分構造及び/又は下記式(6)で表される部分構造を含むことが好ましい。
Figure 2020117570
(式(5)中、Xは2価のカルボン酸残基である。また、式(6)中、Zは4価のカルボン酸残基である。*は結合手を表す。)
2価のカルボン酸残基としては例えば、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が挙げられる。炭化水素基は、脂肪族又は芳香族の炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素とを連結させたものでもよい。また、直鎖又は分岐鎖の鎖状の炭化水素基でもよく、環状の炭化水素基でもよい。炭化水素基の炭素数は特に限定されないが、現像時の溶解性の観点から、通常1以上であり、好ましくは2以上であり、また、通常20以下であり、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは8以下である。置換基としては、ハロゲン原子、水酸基などが挙げられるが、無置換であることが好ましい。
具体的には、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等の2価のカルボン酸残基が好ましく、テトラヒドロ無水フタル酸、又は無水コハク酸の2価のカルボン酸残基がさらに好ましい。これらの2塩基酸無水物の2価のカルボン酸残基は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記式(5)で表される部分構造の具体例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2020117570
一方で、アルカリ可溶性樹脂(A)が前記式(6)で表される部分構造を含有する、つまり、アルカリ可溶性樹脂(A)が少なくとも2つのカルボキシル基を有することにより、未露光部分の現像液に対する溶解性が良好となる傾向がある。また、アルカリ可溶性樹脂(A)を感光性樹脂組成物中のアルカリ可溶性樹脂として用いた場合には、直線性が良好で、加熱硬化時の線幅変化が小さくなる傾向がある。
また、前記式(6)で表される部分構造は結合手を2個有しているため、エチレン性不飽和基を有する前記式(4)で表される部分構造を2個以上含有する場合には、分子量を増大でき、また、それとともにエチレン性不飽和基の含有割合を増大でき、硬化する際には架橋反応も増加でき、感度が良好となる傾向がある。
4価のカルボン酸残基としては例えば、置換基を有していてもよい4価の炭化水素基が挙げられる。該炭化水素基は、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有していてもよい。
また、炭化水素基としては、脂肪族又は芳香族の炭化水素が挙げられる。脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素とを連結させたものでもよい。また、直鎖又は分岐鎖の鎖状の炭化水素基でもよく、環状の炭化水素基でもよい。炭化水素基の炭素数は特に限定されないが、現像時の溶解性の観点から、通常1以上であり、好ましくは5以上であり、また、通常20以下であり、好ましくは15以下である。置換基としては、ハロゲン原子、水酸基などが挙げられるが、無置換であることが好ましい。
具体的には、例えば、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物等の4価のカルボン酸残基が好ましく、ビフェニルテトラカルボン酸無水物の4価のカルボン酸残基がさらに好ましい。これらの4塩基酸無水物の4価のカルボン酸残基は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記式(6)で表される部分構造の具体例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2020117570
アルカリ可溶性樹脂(A)が前記式(5)で表される部分構造を有する場合、その含有割合は特に限定されないが、アルカリ可溶性樹脂(A)中に1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましく、また、6質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、4質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像後のパターンの裾引きが抑制される傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像後のパターンの差し込みが抑制される傾向がある。
アルカリ可溶性樹脂(A)が前記式(6)で表される部分構造を有する場合、その含有割合は特に限定されないが、アルカリ可溶性樹脂(A)中に6質量%以上が好ましく、8質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、また、20質量%以下が好ましく、18質量%以下がより好ましく、16質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像後のパターンの差し込みが抑制される傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像後のパターンの裾引きが抑制される傾向がある。
[感光性樹脂組成物]
アルカリ可溶性樹脂(A)は、カラーフィルター、ブラックマトリックス、カラムスペーサ、着色スペーサ、隔壁などの、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの画像表示装置用の部材を形成するために好ましく用いられる。特に、直線性が良好で、加熱硬化時の線幅変化の抑制が可能なことから、ブラックマトリックス用アルカリ可溶性樹脂として好ましく用いることができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、(a)アルカリ可溶性樹脂、(b)光重合性モノマー、及び(c)光重合開始剤を含有し、前記(a)アルカリ可溶性樹脂が、アルカリ可溶性樹脂(A)を含む。さらに(d)色材、(e)分散剤を含有することがより好ましい。必要に応じてさらに、チオール類、密着向上剤、塗布性向上剤、顔料誘導体等、その他の配合成分を含んでいてもよい。通常、各配合成分が、溶剤に溶解又は分散した状態で使用される。
<(a)アルカリ可溶性樹脂>
本発明の感光性樹脂組成物における(a)アルカリ可溶性樹脂は、アルカリ可溶性樹脂(A)を含むが、さらにその他のアルカリ可溶性樹脂を含んでいてもよい。
その他のアルカリ可溶性樹脂の軟化点は特に限定されないが、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、70℃以上であることがさらに好ましく、また、150℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましく、100℃以下であることがさらに好ましい。前記下限値以上とすることで塗膜の粘着性が低下し取扱い性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで直線性が良好となる傾向がある。その他のアルカリ可溶性樹脂の軟化点は、アルカリ可溶性樹脂(A)と同様の測定方法で測定することができる。
その他のアルカリ可溶性樹脂の動的粘弾性測定にて得られる貯蔵弾性率G’の最小値は特に限定されないが、1×101Pa以上であることが好ましく、1×102Pa以上であることがより好ましく、1×103Pa以上であることがさらに好ましく、また1×105Pa以下であることが好ましく、5×104Pa以下であることがより好ましく、1×104Pa以下であることがさらに好ましい。前記下限値以上とすることでキュアベーク中の変形が抑制できる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像後のパターンの直線性が良好になる傾向がある。その他のアルカリ可溶性樹脂の動的粘弾性測定にて得られる貯蔵弾性率G’の最小値は、アルカリ可溶性樹脂(A)と同様の測定方法で測定することができる。
また、その他のアルカリ可溶性樹脂の220℃における貯蔵弾性率G’が、1×103Pa以上が好ましく、1×104Pa以上がより好ましく、1×105Pa以上がさらに好ましく、また、1×107Pa以下が好ましく、5×106Pa以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで熱硬化した膜の強度が高くなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで熱硬化した膜が硬くなりすぎて脆くなりパターンがかけることが抑制される傾向がある。
その他のアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は特に限定されないが、1000以上が好ましく、3000以上がより好ましく、また、30000以下が好ましく、10000以下がより好ましく、6000以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像後のパターンの差し込みを抑制できる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで再溶解性が良好となる傾向がある。
その他のアルカリ可溶性樹脂の酸価は特に限定されないが、20mgKOH/g以上が好ましく、50mgKOH/g以上がより好ましく、80mgKOH/g以上がさらに好ましく、また、200mgKOH/g以下が好ましく、150mgKOH/g以下がより好ましく、120mgKOH/g以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像時の溶解性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで保存時の安定性が良好となる傾向がある。
その他のアルカリ可溶性樹脂の二重結合当量(g/mol)は特に限定されないが、1000以下が好ましく、900以下がより好ましく、800以下がさらに好ましく、また、120以上が好ましく、300以上がより好ましく、400以上がさらに好ましい。前記上限値以下とすることで感度が良好となる傾向があり、また、前記下限値以上とすることで硬化収縮が抑制される傾向がある。
その他のアルカリ可溶性樹脂は、その他のアルカリ可溶性樹脂を含む感光性樹脂組成物を塗布、乾燥して得られる塗膜を露光後、露光部と非露光部のアルカリ現像に対する溶解性が変化するようなものであれば特に限定されないが、カルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂であるのが好ましい。また、エチレン性不飽和基を有するものが好ましく、エチレン性不飽和基とカルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂が、さらに好ましい。具体的には、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂やアクリル共重合樹脂が挙げられ、好ましいものとしてより具体的には、後述の(A1−1)、(A1−2)、(A2−1)、(A2−2)、(A2−3)及び(A2−4)として記載のものが挙げられ、これらは1種を用いても2種以上を用いてもよい。上記の中でも、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂が好ましく、(A1−1)、(A1−2)が特に好ましい。
カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、エポキシ樹脂とα,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとの反応物の、反応で生成した水酸基にさらに多塩基酸、及び/又はその無水物を反応させて得られる樹脂である。また、多塩基酸、及び/又はその無水物を水酸基と反応させる前に、該水酸基と反応し得る置換基を2個以上有する化合物を反応させた後、多塩基酸、及び/又はその無水物を反応させて得られる樹脂も、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂に含まれる。さらに上記反応で得られた樹脂のカルボキシル基に、さらに反応し得る官能基を有する化合物を反応させて得られる樹脂も、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂に含まれる。
このように、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は化学構造上、実質的にエポキシ基を有さず、かつ「(メタ)アクリレート」に限定されるものではないが、エポキシ樹脂が原料であり、かつ、「(メタ)アクリレート」が代表例であるので慣用に従いこのように命名されている。
カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、以下のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−1)及び/又はエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−2)が挙げられる。
<エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−1)>
エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多塩基酸及び/又はその無水物を反応させることによって得られたアルカリ可溶性樹脂。
<エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−2)>
エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多価アルコール、並びに多塩基酸及び/又はその無水物と反応させることによって得られたアルカリ可溶性樹脂。
<エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−1)>
原料となるエポキシ樹脂として、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(例えば、三菱ケミカル社製の「jER(登録商標。以下同じ。)828」、「jER1001」、「jER1002」、「jER1004」、日本化薬社製の「NER−1302」(エポキシ当量323,軟化点76℃)等)、ビスフェノールF型樹脂(例えば、三菱ケミカル社製の「jER807」、「jER4004P」、「jER4005P」、「jER4007P」、日本化薬社製の「NER−7406」(エポキシ当量350,軟化点66℃)等)、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニルグリシジルエーテル(例えば、三菱ケミカル社製の「jERYX−4000」)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「EPPN(登録商標。以下同じ。)−201」、三菱ケミカル社製の「jER−152」、「jER−154」、ダウケミカル社製の「DEN−438」)、(o,m,p−)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「EOCN(登録商標。以下同じ。)−102S」、「EOCN−1020」、「EOCN−104S」)、トリグリシジルイソシアヌレート(例えば、日産化学社製の「TEPIC(登録商標)」)、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「EPPN−501」、「EPPN−502」、「EPPN−503」)、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル社製の「セロキサイド(登録商標。以下同じ。)2021P」、「セロキサイドEHPE」)、ジシクロペンタジエンとフェノールの反応によるフェノール樹脂をグリシジル化したエポキシ樹脂(例えば、DIC社製の「EXA−7200」、日本化薬社製の「NC−7300」)、下記一般式(a1)〜(a5)で表されるエポキシ樹脂、等を好適に用いることができる。具体的には、下記一般式(a1)で表されるエポキシ樹脂として日本化薬社製の「XD−1000」、下記一般式(a2)で表されるエポキシ樹脂として日本化薬社製の「NC−3000」、下記一般式(a4)で表されるエポキシ樹脂として新日鉄住金化学社製の「ESF−300」等が挙げられる。
Figure 2020117570
上記一般式(a1)において、b11は平均値であり、0〜10の数を表す。R11は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、又はビフェニル基を表す。なお、1分子中に存在する複数のR11は互いに同一であっても異なっていてもよい。
Figure 2020117570
上記一般式(a2)において、b12は平均値であり、0〜10の数を表す。R21は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、又はビフェニル基を表す。なお、1分子中に存在する複数のR21は互いに同一であっても異なっていてもよい。
Figure 2020117570
上記一般式(a3)において、Xは下記一般式(a3−1)又は(a3−2)で表される連結基を表す。但し、分子構造中に1つ以上のアダマンタン構造を含む。b13は2又は3の整数を表す。
Figure 2020117570
上記一般式(a3−1)及び(a3−2)において、R31〜R34及びR35〜R37は、各々独立に、置換基を有していてもよいアダマンチル基、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を表す。また、式中の*は前記一般式(a3)中の結合部位を表す。
Figure 2020117570
上記一般式(a4)において、p及びqは各々独立に0〜4の整数を表す。R41及びR42は各々独立に炭素数1〜20のアルキル基又はハロゲン原子を表す。R43及びR44は各々独立に炭素数1〜5のアルキレン基を表す。x及びyはそれぞれ独立して0以上の整数を表す。
Figure 2020117570
上記一般式(a5)において、R51〜R54は各々独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素原子6〜20のアリール基、又は、炭素原子7〜20のアラルキル基を表す。R55は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を表す。R56は各々独立に炭素数1〜5のアルキレン基を表す。kは1〜5の整数を表し、lは0〜13の整数を表し、mは各々独立に0〜5の整数を表す。
これらの中で、一般式(a1)〜(a5)のいずれかで表されるエポキシ樹脂を用いるのが好ましい。
α,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体などのモノカルボン酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルテトラヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルマレイン酸、(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸にε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類を付加させ末端に1個の水酸基を有する単量体や、或いはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのような末端に1個の水酸基を有する単量体や、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのような末端に1個の水酸基を有する化合物に、(無水)コハク酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸などの酸(無水物)を付加させ、1個以上のエチレン不飽和基と末端に1個のカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。また、(メタ)アクリル酸ダイマーなども挙げられる。
これらの内、感度の点から、特に好ましいものは(メタ)アクリル酸である。
エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させる方法としては、公知の手法を用いることができる。例えば、エステル化触媒の存在下、50〜150℃の温度で、α,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとエポキシ樹脂とを反応させることができる。ここで用いるエステル化触媒としては、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ベンジルジメチルアミン、ベンジルジエチルアミン等の3級アミン、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩等を用いることができる。
なお、エポキシ樹脂、α,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステル、並びにエステル化触媒は、いずれも1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
α,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルの使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対し0.5〜1.2当量の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.7〜1.1当量の範囲である。
α,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルの使用量を前記下限値以上とすることで不飽和基の導入量が十分となり、引き続く多塩基酸及び/又はその無水物との反応も十分となり、また、多量のエポキシ基の残存を抑制できる傾向がある。一方で、前記使用量を前記上限値以下とすることでα,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルが未反応物として残存するのを抑制できる傾向がある。
多塩基酸及び/又はその無水物としては、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸、及びこれらの無水物等から選ばれた、1種又は2種以上が挙げられる。
好ましくは、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、又はこれらの無水物である。特に好ましくは、テトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸、無水テトラヒドロフタル酸、又はビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。
多塩基酸及び/又はその無水物の付加反応に関しても公知の手法を用いることができ、エポキシ樹脂へのα,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルの付加反応と同様な条件下で、継続反応させて目的物を得ることができる。多塩基酸及び/又はその無水物成分の付加量は、生成するカルボキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の酸価が10〜150mgKOH/gの範囲となるような程度であることが好ましく、さらに20〜140mgKOH/gの範囲となるような程度であることが好ましい。前記下限値以上とすることでアルカリ現像性が良好となる傾向があり、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
<エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−2)>
上記(A1−1)樹脂の多塩基酸及び/又はその無水物の付加反応時に、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの多価アルコールを添加し、多分岐構造を導入したものとしてもよく、そうすることによりエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−2)が得られる。
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−2)は、通常、エポキシ樹脂とα,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとの反応物に、多塩基酸及び/又はその無水物を混合した後、若しくは、エポキシ樹脂とα,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとの反応物に、多塩基酸及び/又はその無水物並びに多価アルコールを混合した後に、加温することにより得られる。この場合、多塩基酸及び/又はその無水物と多価アルコールの混合順序に、特に制限はない。加温により、エポキシ樹脂とα,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとの反応物と多価アルコールとの混合物中に存在するいずれかの水酸基に対して多塩基酸及び/又はその無水物が付加反応する。
カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、1種を単独で用いても、2種以上の樹脂を混合して用いてもよい。
多価アルコールの使用量は、増粘やゲル化を抑制しつつ効果を発現するとの観点から、エポキシ樹脂とα,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとの反応物に対して、通常0.01〜0.5質量倍程度、好ましくは0.02〜0.2質量倍程度である。
<アクリル共重合樹脂(A2−1)(A2−2)(A2−3)(A2−4)>
アクリル共重合樹脂としては、例えば、特開平7−207211号公報、特開平8−259876号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−140144号公報、特開平11−174224号公報、特開2000−56118号公報、特開2003−233179号公報、特開2007−270147号公報などの各公報等に記載された様々な高分子化合物を使用することができるが、好ましくは、以下の(A2−1)〜(A2−4)の樹脂等が挙げられ、中でも、(A2−1)の樹脂が特に好ましい。
(A2−1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、当該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは当該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂
(A2−2):主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂
(A2−3):前記(A2−2)樹脂のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂
(A2−4):(メタ)アクリル系樹脂
その他のアルカリ可溶性樹脂は、感度の観点から、エチレン性不飽和基を含有するアルカリ可溶性樹脂として(A1−1)、(A1−2)、(A2−1)、(A2−3)の少なくとも何れかを含むことがさらに好ましい。また、表面硬化性の観点から、エチレン性不飽和基を含有するアルカリ可溶性樹脂としてエポキシ(メタ)アクリレート樹脂である(A1−1)、(A1−2)の少なくとも何れかを含むことが特に好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物における(a)アルカリ可溶性樹脂の含有割合は特に限定されないが、全固形分中に10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、25質量%以上が特に好ましく、また、90質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましく、40質量%以下がよりさらに好ましく、30質量%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで未露光部分の現像液に対する溶解性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで露光部への現像液の過剰な浸透を抑制することができ、パターンの解像性や密着性が良好になる傾向がある。
本発明の感光性樹脂組成物におけるアルカリ可溶性樹脂(A)の含有割合は特に限定されないが、全固形分中に0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましく、また、90質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましく、30質量%以下がよりさらに好ましく、20質量%以下が特に好ましく、10質量%以下が最も好ましい。前記下限値以上とすることで線幅変化の抑制効果が得られやすい傾向があり、また、前記上限値以下とすることで露光部への現像液の過剰な浸透を抑制することができ、パターンの解像性や密着性が良好になる傾向がある。
また、(a)アルカリ可溶性樹脂がその他のアルカリ可溶性樹脂を含む場合、(a)アルカリ可溶性樹脂中におけるアルカリ可溶性樹脂(A)の含有割合は特に限定されないが、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、また、100質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましく、30質量%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで線幅変化の抑制効果が得られやすい傾向があり、また、前記上限値以下とすることで熱硬化後のパターン直線性が向上する傾向がある。
また、(a)アルカリ可溶性樹脂中におけるその他のアルカリ可溶性樹脂の含有割合は特に限定されないが、0質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、また、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで熱硬化後のパターン直線性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで線幅変化の抑制効果が得られやすい傾向がある。
<(b)光重合性モノマー>
本発明の感光性樹脂組成物は、感度等の点から(b)光重合性モノマーを含有する。
本発明に用いられる(b)光重合性モノマーとしては、分子内にエチレン性不飽和基を少なくとも1個有する化合物(以下、「エチレン性単量体」と称することがある)を挙げることができる。具体的には、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリル、スチレン、及びエチレン性不飽和結合を1個有するカルボン酸と、多価又は1価アルコールのモノエステル等が挙げられる。
本発明においては、特に、1分子中にエチレン性不飽和基を2個以上有する多官能エチレン性単量体を使用することが望ましい。多官能エチレン性単量体におけるエチレン性不飽和基の数は通常2個以上、好ましくは3個以上、より好ましくは4個以上、さらに好ましくは5個以上、特に好ましくは6個以上、また通常10個以下、好ましくは8個以下である。前記下限値以上とすることで感光性樹脂組成物が高感度となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで重合時の硬化収縮が小さくなる傾向がある。
多官能エチレン性単量体の例としては、例えば脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物と、不飽和カルボン酸及び多塩基性カルボン酸とのエステル化反応により得られるエステルなどが挙げられる。
前記脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールアクリレート等の脂肪族ポリヒドロキシ化合物のアクリル酸エステル、これら例示化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたメタクリル酸エステル、同様にイタコネートに代えたイタコン酸エステル、クロネートに代えたクロトン酸エステル若しくはマレエートに代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、ハイドロキノンジアクリレート、ハイドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレート等の芳香族ポリヒドロキシ化合物のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル等が挙げられる。
多塩基性カルボン酸及び不飽和カルボン酸と、多価ヒドロキシ化合物のエステル化反応により得られるエステルとしては必ずしも単一物ではないが、代表的な具体例を挙げれば、アクリル酸、フタル酸、及びエチレングリコールの縮合物、アクリル酸、マレイン酸、及びジエチレングリコールの縮合物、メタクリル酸、テレフタル酸及びペンタエリスリトールの縮合物、アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
その他、本発明に用いられる多官能エチレン性単量体の例としては、ポリイソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル又はポリイソシアネート化合物とポリオール及び水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルを反応させて得られるようなウレタン(メタ)アクリレート類;多価エポキシ化合物とヒドロキシ(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリル酸との付加反応物のようなエポキシアクリレート類;エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等が有用である。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(b)光重合性モノマーの含有割合は、感光性樹脂組成物の全固形分中に、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上であり、また、通常90質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、よりさらに好ましくは20質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。光重合性モノマーの含有割合を前記下限値以上とすることで、紫外線照射による光硬化を向上させるとともにアルカリ現像性も良好となる傾向がある。前記上限値以下とすることで、露光部への現像液の浸透性が適度となり良好な画像を得ることができる傾向がある。
<(c)光重合開始剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、(c)光重合開始剤を含有する。光重合開始剤は、光を直接吸収し、分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。必要に応じて増感色素等の付加剤を添加して使用してもよい。
光重合開始剤としては、例えば、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号各公報に記載のチタノセン化合物を含むメタロセン化合物;特開2000−56118号公報に記載のヘキサアリールビイミダゾール誘導体類;特開平10−39503号公報記載のハロメチル化オキサジアゾール誘導体類、ハロメチル−s−トリアジン誘導体類、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α−アミノアルキルフェノン誘導体類;特開2000−80068号公報、特開2006−36750号公報等に記載されているオキシムエステル誘導体類等が挙げられる。
具体的には、例えば、メタロセン化合物としては、ジシクロペンタジエニルチタニウムジクロライド、ジシクロペンタジエニルチタニウムビスフェニル、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,4,6−トリフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムジ(2,6−ジフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムジ(2,4−ジフルオロフェニル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,6−ジフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス〔2,6−ジフルオロ−3−(1−ピロリル)フェニル〕等が挙げられる。
また、ビイミダゾール誘導体類としては、2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ビス(3’−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(2’−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(2’−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、(4’−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体等が挙げられる。
また、ハロメチル化オキサジアゾール誘導体類としては、2−トリクロロメチル−5−(2’−ベンゾフリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2’−ベンゾフリル)ビニル〕−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2’−(6’’−ベンゾフリル)ビニル)〕−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−フリル−1,3,4−オキサジアゾール等が挙げられる。
また、ハロメチル−s−トリアジン誘導体類としては、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
また、α−アミノアルキルフェノン誘導体類としては、2−メチル−1〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、4−ジメチルアミノエチルベンゾエ−ト、4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエ−ト、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエート、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等が挙げられる。
光重合開始剤としては、特に、感度の点でオキシム誘導体類(オキシムエステル系化合物及びケトオキシムエステル系化合物)が有効である。オキシム誘導体類の中でも特に、基板との密着性の観点からオキシムエステル系化合物が好ましい。
オキシムエステル系化合物は、その構造の中に紫外線を吸収する構造と光エネルギーを伝達する構造とラジカルを発生する構造を併せ持っているために、少量で感度が高く、かつ熱反応に対しては安定であり、少量で高感度な感光性樹脂組成物の設計が可能である。特に、露光光源のi線(365nm)に対する光吸収性の観点から、置換されていてもよいカルバゾリル基(置換されていてもよいカルバゾール環を有する基)を含有するオキシムエステル系化合物の場合に、この構造特性が良好に発現されより好ましい。現在、市場では、遮光度が高く、薄膜なBMが要求されており、色材の含有割合も、ますます高くなっている。このような状況においては、特に有効である。
オキシムエステル系化合物としては、下記一般式(22)で示される部分構造を含む化合物が挙げられ、好ましくは、下記一般式(23)で示されるオキシムエステル系化合物が挙げられる。
Figure 2020117570
上記式(22)中、R22は、各々置換されていてもよい、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数1〜20のヘテロアリールアルカノイル基、炭素数3〜25のアルケノイル基、炭素数3〜8のシクロアルカノイル基、炭素数3〜20のアルコキシカルボニルアルカノイル基、炭素数8〜20のフェノキシカルボニルアルカノイル基、炭素数3〜20のヘテロアリ−ルオキシカルボニルアルカノイル基、炭素数2〜10のアミノアルキルカルボニル基、炭素数7〜20のアリーロイル基、炭素数1〜20のヘテロアリーロイル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、又は炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基を表す。
Figure 2020117570
式(23)中、R21aは、水素原子、或いは各々置換されていてもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜25のアルケニル基、炭素数1〜20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3〜20のアルコキシカルボニルアルキル基、炭素数8〜20のフェノキシカルボニルアルキル基、炭素数1〜20のヘテロアリールオキシカルボニルアルキル基もしくはヘテロアリールチオアルキル基、炭素数1〜20のアミノアルキル基、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数3〜25のアルケノイル基、炭素数3〜8のシクロアルカノイル基、炭素数7〜20のアリーロイル基、炭素数1〜20のヘテロアリーロイル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、又は炭素数1〜10のシクロアルキルアルキル基を示し、R21bは芳香族環を含む任意の置換基を示し、R22aは、上記式(22)のおけるR22と同様の基を示す。
なお、R21aはR21bと共に環を形成してもよく、その連結基としては、各々置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、ポリエチレン基(−(CH=CH)r−)、ポリエチニレン基(−(C≡C)r−)あるいはこれらを組み合わせてなる基が挙げられる(なお、rは0〜3の整数である。)。
上記一般式(22)におけるR22及び上記一般式(23)におけるR22aとしては、好ましくは、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数1〜20のヘテロアリールアルカノイル基、炭素数3〜8のシクロアルカノイル基が挙げられる。
上記一般式(23)におけるR21aとしては、好ましくは無置換のメチル基、エチル基、プロピル基などの直鎖アルキル基;シクロアルキルアルキル基;N−アセチル−N−アセトキシアミノ基で置換されたプロピル基;が挙げられる。
また、上記一般式(23)におけるR21bとしては、好ましくは置換されていてもよいカルバゾリル基、置換されていてもよいチオキサントニル基、置換されていてもよいフェニルスルフィド基が挙げられる。
オキシムエステル系化合物としては、R21bとして置換されていてもよいカルバゾリル基を含有するものが、前述の理由からより好ましい。さらに、置換されていてもよい炭素数6〜25のアリール基、置換されていてもよい炭素数7〜25のアリールカルボニル基、置換されていてもよい炭素数5〜25のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数6〜25のヘテロアリールカルボニル基、及びニトロ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するカルバゾリル基が好ましい。特に、ベンゾイル基、トルオイル基、ナフトイル基、チエニルカルボニル基、及びニトロ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するカルバゾリル基が好ましい。また、これらの基はカルバゾリル基の3位に結合していることが望ましい。
このようなオキシムエステル系化合物の市販品として、BASF社製のOXE−02、常州強力電子新材料社製のTR−PBG−304やTR−PBG−314などがある。
本発明に好適なオキシムエステル系化合物として具体的には、以下に例示されるような化合物が挙げられるが、何らこれらの化合物に限定されるものではない。
Figure 2020117570
Figure 2020117570
Figure 2020117570
ケトオキシムエステル系化合物としては、下記一般式(24)で示される部分構造を含む化合物が挙げられ、好ましくは、下記一般式(25)で示されるオキシムエステル系化合物が挙げられる。
Figure 2020117570
上記一般式(24)において、R24は、前記一般式(22)におけるR22と同義である。
Figure 2020117570
上記一般式(25)において、R23aは、各々置換されていてもよい、フェニル基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜25のアルケニル基、炭素数1〜20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3〜20のアルコキシカルボニルアルキル基、炭素数8〜20のフェノキシカルボニルアルキル基、炭素数2〜20のアルキルチオアルキル基、炭素数1〜20のヘテロアリールオキシカルボニルアルキル基もしくはヘテロアリールチオアルキル基、炭素数1〜20のアミノアルキル基、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数3〜25のアルケノイル基、炭素数3〜8のシクロアルカノイル基、炭素数7〜20のアリーロイル基、炭素数1〜20のヘテロアリーロイル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、又は炭素数1〜10のシクロアルキルアルキル基を表す。
23bは芳香環を含む任意の置換基を示す。
なお、R23aはR23bと共に環を形成してもよく、その連結基は、各々置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、ポリエチレン基(−(CH=CH)r−)、ポリエチニレン基(−(C≡C)r−)あるいはこれらを組み合わせてなる基が挙げられる(なお、rは0〜3の整数である。)。
24aは、各々置換されていてもよい、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数3〜25のアルケノイル基、炭素数4〜8のシクロアルカノイル基、炭素数7〜20のベンゾイル基、炭素数3〜20のヘテロアリーロイル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜20のヘテロアリール基、又は炭素数2〜20のアルキルアミノカルボニル基を表す。
上記一般式(24)におけるR24及び上記一般式(25)におけるR24aとしては、好ましくは、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数1〜20のヘテロアリールアルカノイル基、炭素数3〜8のシクロアルカノイル基、炭素数7〜20のアリーロイル基が挙げられる。
上記一般式(25)におけるR23aとしては、好ましくは無置換のエチル基、プロピル基、ブチル基;メトキシカルボニル基で置換されたエチル基又はプロピル基;が挙げられる。
また、上記一般式(25)におけるR23bとしては、好ましくは置換されていてもよいカルバゾリル基、置換されていてもよいフェニルスルフィド基が挙げられる。
本発明に好適なケトオキシムエステル系化合物として具体的には、以下に例示されるような化合物が挙げられるが、何らこれらの化合物に限定されるものではない。
Figure 2020117570
Figure 2020117570
Figure 2020117570
このようなケトオキシムエステル系化合物の市販品として、BASF社製のOXE−01、常州強力電子新材料社製のTR−PBG−305などがある。
これらのオキシムエステル系化合物及びケトオキシムエステル系化合物は、それ自体公知の化合物であり、例えば、特開2000−80068号公報や、特開2006−36750号公報に記載されている一連の化合物の一種である。
上記オキシム誘導体類は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤としてはその他に、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン誘導体類;ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体類;2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4’−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体類;チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体類;p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体類;9−フェニルアクリジン、9−(p−メトキシフェニル)アクリジン等のアクリジン誘導体類;9,10−ジメチルベンズフェナジン等のフェナジン誘導体類;ベンズアンスロン等のアンスロン誘導体類等も挙げられる。
これらの光重合開始剤の中では、前述の理由からオキシム誘導体類が特に好ましい。
<増感色素>
光重合開始剤には、必要に応じて、感応感度を高める目的で、画像露光光源の波長に応じた増感色素を併用させることができる。これら増感色素としては、特開平4−221958号公報、特開平4−219756号公報に記載のキサンテン色素、特開平3−239703号公報、特開平5−289335号公報に記載の複素環を有するクマリン色素、特開平3−239703号公報、特開平5−289335号公報に記載の3−ケトクマリン化合物、特開平6−19240号公報に記載のピロメテン色素、その他、特開昭47−2528号公報、特開昭54−155292号公報、特公昭45−37377号公報、特開昭48−84183号公報、特開昭52−112681号公報、特開昭58−15503号公報、特開昭60−88005号公報、特開昭59−56403号公報、特開平2−69号公報、特開昭57−168088号公報、特開平5−107761号公報、特開平5−210240号公報、特開平4−288818号公報に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等を挙げることができる。
これらの増感色素のうち好ましいものは、アミノ基含有増感色素であり、さらに好ましいものは、アミノ基及びフェニル基を分子内に有する化合物である。特に、好ましいのは、例えば、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ[4,5]ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ[6,7]ベンゾオキサゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−チアジアゾール、(p−ジメチルアミノフェニル)ピリジン、(p−ジエチルアミノフェニル)ピリジン、(p−ジメチルアミノフェニル)キノリン、(p−ジエチルアミノフェニル)キノリン、(p−ジメチルアミノフェニル)ピリミジン、(p−ジエチルアミノフェニル)ピリミジン等のp−ジアルキルアミノフェニル基含有化合物等である。
このうち最も好ましいものは、4,4’−ジアルキルアミノベンゾフェノンである。
増感色素は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(c)光重合開始剤の含有割合は特に限定されないが、本発明の感光性樹脂組成物の全固形中に、通常1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量以上、さらに好ましくは4質量%以上であり、通常30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、特に好ましくは8質量%以下である。前記下限値以上とすることで感度低下を抑制することができる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで未露部分の現像液に対する溶解性を良好とすることができる傾向がある。
また、増感色素を用いる場合、増感色素の含有割合は特に限定されないが、感光性樹脂組成物の全固形分中に、通常0〜20質量%、好ましくは0〜15質量%、さらに好ましくは0〜10質量%である。
<(d)色材>
本発明の感光性樹脂組成物は(d)色材を含有することが好ましい。色材は、本発明の感光性樹脂組成物を着色するものである。(d)色材としては、顔料や染料が使用できるが、耐熱性、耐光性等の点から顔料が好ましい。
顔料としては、青色顔料、緑色顔料、赤色顔料、黄色顔料、紫色顔料、オレンジ顔料、ブラウン顔料、黒色顔料等各種の色の顔料を使用することができる。また、その構造としてはアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系等の有機顔料の他に種々の無機顔料等も利用可能である。
以下に、本発明に使用できる顔料の具体例をピグメントナンバーで示す。なお、以下に挙げる「C.I.ピグメントレッド2」等の用語は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、168、177、202、206、207、209、224、242、254、さらに好ましくはC.I.ピグメントレッド177、209、224、254を挙げることができる。
青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、さらに好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6を挙げることができる。
緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、58、59を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントグリーン7、36、58、59を挙げることができる。
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75、81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、150、154、155、180、185、さらに好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、180を挙げることができる。
オレンジ顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79を挙げることができる。この中でも、好ましくは、C.I.ピグメントオレンジ38、71を挙げることができる。
紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、23、さらに好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23を挙げることができる。
また、これらの顔料の他に染料を用いてもよい。染料としては、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料等が挙げられる。
アゾ系染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー11、C.I.アシッドオレンジ7、C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッドレッド180、C.I.アシッドブルー29、C.I.ダイレクトレッド28、C.I.ダイレクトレッド83、C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.ダイレクトグリーン28、C.I.ダイレクトグリーン59、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.リアクティブレッド17、C.I.リアクティブレッド120、C.I.リアクティブブラック5、C.I.ディスパースオレンジ5、C.I.ディスパースレッド58、C.I.ディスパースブルー165、C.I.ベーシックブルー41、C.I.ベーシックレッド18、C.I.モルダントレッド7、C.I.モルダントイエロー5、C.I.モルダントブラック7等が挙げられる。
アントラキノン系染料としては、例えば、C.I.バットブルー4、C.I.アシッドブルー40、C.I.アシッドグリーン25、C.I.リアクティブブルー19、C.I.リアクティブブルー49、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースブルー56、C.I.ディスパースブルー60等が挙げられる。
この他、フタロシアニン系染料として、例えば、C.I.パッドブルー5等が、キノンイミン系染料として、例えば、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー9等が、キノリン系染料として、例えば、C.I.ソルベントイエロー33、C.I.アシッドイエロー3、C.I.ディスパースイエロー64等が、ニトロ系染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー1、C.I.アシッドオレンジ3、C.I.ディスパースイエロー42等が挙げられる。
また、本発明の感光性樹脂組成物を、カラーフィルターの樹脂ブラックマトリックス等の遮光用途に使用する場合には、(e)色材としては、黒色の色材を用いることができる。黒色色材は、黒色色材単独としてもよく、赤、緑、青等の混合としてもよい。また、これら色材は無機又は有機の顔料、染料の中から適宜選択することができる。
黒色色材を調製するために混合使用可能な色材としては、ビクトリアピュアブルー(42595)、オーラミンO(41000)、カチロンブリリアントフラビン(ベーシック13)、ローダミン6GCP(45160)、ローダミンB(45170)、サフラニンOK70:100(50240)、エリオグラウシンX(42080)、No.120/リオノールイエロー(21090)、リオノールイエローGRO(21090)、シムラーファーストイエロー8GF(21105)、ベンジジンイエロー4T−564D(21095)、シムラーファーストレッド4015(12355)、リオノールレッド7B4401(15850)、ファーストゲンブルーTGR−L(74160)、リオノールブルーSM(26150)、リオノールブルーES(ピグメントブルー15:6)、リオノーゲンレッドGD(ピグメントレッド168)、リオノールグリーン2YS(ピグメントグリーン36)等が挙げられる(なお、上記の( )内の数字は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。)。
また、さらに他の混合使用可能な顔料についてC.I.ナンバーにて示すと、例えば、C.I.ピグメントイエロー20、24、86、93、109、110、117、125、137、138、147、148、153、154、166、C.I.ピグメントオレンジ36、43、51、55、59、61、C.I.ピグメントレッド9、97、122、123、149、168、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:4、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブラウン23、25、26等を挙げることができる。
また、単独使用可能な黒色顔料としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラック、シアニンブラック、チタンブラック、ペリレンブラック、ラクタムブラック等が挙げられる。
これらの(d)色材の中で黒色の色材を用いる場合には、遮光率、画像特性の観点からカーボンブラックが好ましい。
また、カーボンブラックを含む場合、塗膜の疎水性が高くなり、基板密着力が悪化する傾向があり、また、紫外〜可視域の光をよく吸収するため、露光後も塗膜内部の光硬化が不十分となって、加熱硬化工程においてメルトによる線幅変化が起こりやすい傾向がある。そのため、アルカリ可溶性樹脂(A)を用いることによって、直線性が良好で、加熱硬化時の線幅変化の抑制がしやすい傾向がある。
カーボンブラックの例としては、以下のようなものが挙げられる。
三菱ケミカル社製:MA7、MA77、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA220、MA230、MA600、#5、#10、#20、#25、#30、#32、#33、#40、#44、#45、#47、#50、#52、#55、#650、#750、#850、#950、#960、#970、#980、#990、#1000、#2200、#2300、#2350、#2400、#2600、#3050、#3150、#3250、#3600、#3750、#3950、#4000、#4010、OIL7B、OIL9B、OIL11B、OIL30B、OIL31B
デグサ社製:Printex(登録商標。以下同じ。)3、Printex3OP、Printex30、Printex30OP、Printex40、Printex45、Printex55、Printex60、Printex75、Printex80、Printex85、Printex90、Printex A、Printex L、Printex G、Printex P、Printex U、Printex V、PrintexG、SpecialBlack550、SpecialBlack350、SpecialBlack250、SpecialBlack100、SpecialBlack6、SpecialBlack5、SpecialBlack4、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW18、Color Black FW200、Color Black S160、Color Black S170
キャボット社製:Monarch(登録商標。以下同じ。)120、Monarch280、Monarch460、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch1000、Monarch1100、Monarch1300、Monarch1400、Monarch4630、REGAL(登録商標。以下同じ。)99、REGAL99R、REGAL415、REGAL415R、REGAL250、REGAL250R、REGAL330、REGAL400R、REGAL55R0、REGAL660R、BLACK PEARLS480、PEARLS130、VULCAN(登録商標) XC72R、ELFTEX(登録商標)−8
ビルラー社製:RAVEN11、RAVEN14、RAVEN15、RAVEN16、RAVEN22RAVEN30、RAVEN35、RAVEN40、RAVEN410、RAVEN420、RAVEN450、RAVEN500、RAVEN780、RAVEN850、RAVEN890H、RAVEN1000、RAVEN1020、RAVEN1040、RAVEN1060U、RAVEN1080U、RAVEN1170、RAVEN1190U、RAVEN1250、RAVEN1500、RAVEN2000、RAVEN2500U、RAVEN3500、RAVEN5000、RAVEN5250、RAVEN5750、RAVEN7000
カーボンブラックは、樹脂で被覆されたものを使用しても構わない。樹脂で被覆されたカーボンブラックを使用すると、ガラス基板への密着性や体積抵抗値を向上させる効果がある。樹脂で被覆されたカーボンブラックとしては、例えば特開平09−71733号公報に記載されているカーボンブラック等が好適に使用できる。
被覆処理するカーボンブラックとしては、NaとCaの合計含有量が100ppm以下であることが好ましい。カーボンブラックは、通常製造時の原料油や燃焼油(又はガス)、反応停止水や造粒水、さらには反応炉の炉材等から混入したNaや、Ca,K,Mg,Al,Fe等を組成とする灰分がパーセントのオーダーで含有されている。この内、NaやCaは、各々数百ppm以上含有されているのが一般的であるが、これらが多く存在すると、透明電極(ITO)やその他の電極に浸透し、電気的短絡の原因となる場合があるからである。
これらのNaやCaを含む灰分の含有量を低減する方法としては、カーボンブラックを製造する際の原料油や燃料油(又はガス)並びに反応停止水として、これらの含有量が極力少ない物を厳選すること及びストラクチャーを調整するアルカリ物質の添加量を極力少なくすることにより可能である。他の方法としては、炉から製出したカーボンブラックを水や塩酸等で洗いNaやCaを溶解し除去する方法が挙げられる。
(d)色材の含有割合は特に限定されないが、感光性樹脂組成物の全固形分中に1質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましく、45質量%以上がよりさらに好ましく、50質量%以上が特に好ましく、また、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、55質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで着色性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることでパターン形成性や基板密着性が向上する傾向がある。
また、(d)色材がカーボンブラックを含む場合、カーボンブラックの含有割合も特に限定されないが、感光性樹脂組成物中の全固形分中に35質量%以上が好ましく、45質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、また、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、55質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで遮光性が高くなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることでパターン形成性や基板密着性が向上する傾向がある。
なお感光性樹脂組成物において、(d)色材の含有割合は、(a)アルカリ可溶性樹脂100質量部あたり、通常20〜500質量部、好ましくは30〜300質量部、より好ましくは40〜280質量部の範囲である。前記下限値以上とすることで遮光性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで画像形成性が良くなる傾向がある。
<(e)分散剤>
本発明においては、(d)色材を微細に分散させ、且つその分散状態を安定化させることが品質の安定性確保には重要なため、(e)分散剤を含むことが好ましい。
分散剤としては、官能基を有する高分子分散剤が好ましく、さらには、分散安定性の面からカルボキシル基;リン酸基;スルホン酸基;又はこれらの塩基;一級、二級又は三級アミノ基;四級アンモニウム塩基;ピリジン、ピリミジン、ピラジン等の含窒素ヘテロ環由来の基、等の官能基を有する高分子分散剤が好ましい。中でも特に、一級、二級又は三級アミノ基;四級アンモニウム塩基;ピリジン、ピリミジン、ピラジン等の含窒素ヘテロ環由来の基、等の塩基性官能基を有する高分子分散剤が特に好ましい。これら塩基性官能基を有する高分子分散剤を使用することにより、分散性を良好にでき、高い遮光性を達成できる傾向がある。
また高分子分散剤としては、例えばウレタン系分散剤、アクリル系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリアリルアミン系分散剤、アミノ基を持つモノマーとマクロモノマーからなる分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンジエステル系分散剤、ポリエーテルリン酸系分散剤、ポリエステルリン酸系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性ポリエステル系分散剤等を挙げることができる。
このような分散剤の具体例としては、商品名で、EFKA(登録商標。エフカーケミカルズビーブイ(EFKA)社製。)、Disperbyk(登録商標。ビックケミー社製。)、ディスパロン(登録商標。楠本化成社製。)、SOLSPERSE(登録商標。ルーブリゾール社製。)、KP(信越化学工業社製)、ポリフロー又はフローレン(登録商標。共栄社化学社製。)、アジスパー(登録商標。味の素ファインテクノ社製。)等を挙げることができる。
これらの高分子分散剤は1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を併用してもよい。
これらの内、密着性及び直線性の面から、(e)分散剤は塩基性官能基を有するウレタン系高分子分散剤及び/又はアクリル系高分子分散剤を含むことが、特に好ましい。特にはウレタン系高分子分散剤が密着性の面で好ましい。また分散性、保存性の面から、塩基性官能基を有し、ポリエステル結合及び/又はポリエーテル結合を有する高分子分散剤が好ましい。
高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)は通常700以上、好ましくは1000以上であり、また通常100000以下、好ましくは50000以下であり、より好ましくは30000以下である。前記上限値以下とすることで、色材の含有割合が高い時でもアルカリ現像性が良好となる傾向がある。
ウレタン系及びアクリル系高分子分散剤としては、例えばDisperbyk160〜167、182シリーズ(いずれもウレタン系)、Disperbyk2000,2001等(いずれもアクリル系)(以上すべてビックケミー社製)が挙げられる。上記の塩基性官能基を有し、ポリエステル及び/又はポリエーテル結合を有するウレタン系高分子分散剤で重量平均分子量30,000以下の特に好ましいものとしてDisperbyk167、182などが上げられる。
<ウレタン系高分子分散剤>
ウレタン系高分子分散剤として好ましい化学構造を具体的に例示するならば、例えば、ポリイソシアネート化合物と、分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300〜10000の化合物と、分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物とを反応させることによって得られる、重量平均分子量1000〜200000の分散樹脂等が挙げられる。
上記のポリイソシアネート化合物の例としては、パラフェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ω,ω’−ジイソシネートジメチルシクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族環を有する脂肪族ジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニルメタン)、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等のトリイソシアネート、及びこれらの三量体、水付加物、及びこれらのポリオール付加物等が挙げられる。ポリイソシアネートとして好ましいのは有機ジイソシアネートの三量体で、最も好ましいのはトリレンジイソシアネートの三量体とイソホロンジイソシアネートの三量体である。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
イソシアネートの三量体の製造方法としては、前記ポリイソシアネート類を適当な三量化触媒、例えば第3級アミン類、ホスフィン類、アルコキシド類、金属酸化物、カルボン酸塩類等を用いてイソシアネート基の部分的な三量化を行い、触媒毒の添加により三量化を停止させた後、未反応のポリイソシアネートを溶剤抽出、薄膜蒸留により除去して目的のイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを得る方法が挙げられる。
分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300〜10000の化合物としては、ポリエーテルグリコール、ポリエステルグリコール、ポリカーボネートグリコール、ポリオレフィングリコール等、及びこれらの化合物の片末端水酸基が炭素数1〜25のアルキル基でアルコキシ化されたもの及びこれら2種類以上の混合物が挙げられる。
ポリエーテルグリコールとしては、ポリエーテルジオール、ポリエーテルエステルジオール、及びこれら2種類以上の混合物が挙げられる。ポリエーテルジオールとしては、アルキレンオキシドを単独又は共重合させて得られるもの、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−プロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシヘキサメチレングリコール、ポリオキシオクタメチレングリコール及びそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
ポリエーテルエステルジオールとしては、エーテル基含有ジオール若しくは他のグリコールとの混合物をジカルボン酸又はそれらの無水物と反応させるか、又はポリエステルグリコールにアルキレンオキシドを反応させることによって得られるもの、例えばポリ(ポリオキシテトラメチレン)アジペート等が挙げられる。ポリエーテルグリコールとして最も好ましいのはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール又はこれらの化合物の片末端水酸基が炭素数1〜25のアルキル基でアルコキシ化された化合物である。
ポリエステルグリコールとしては、ジカルボン酸(コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸等)又はそれらの無水物とグリコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,8−オクタメチレングリコール、2−メチル−1,8−オクタメチレングリコール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族グリコール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン等の脂環族グリコール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール、N−メチルジエタノールアミン等のN−アルキルジアルカノールアミン等)とを重縮合させて得られたもの、例えばポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリエチレン/プロピレンアジペート等、又は前記ジオール類又は炭素数1〜25の1価アルコールを開始剤として用いて得られるポリラクトンジオール又はポリラクトンモノオール、例えばポリカプロラクトングリコール、ポリメチルバレロラクトン及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。ポリエステルグリコールとして最も好ましいのはポリカプロラクトングリコール又は炭素数1〜25のアルコールを開始剤としたポリカプロラクトンである。
ポリカーボネートグリコールとしては、ポリ(1,6−ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン)カーボネート等、ポリオレフィングリコールとしてはポリブタジエングリコール、水素添加型ポリブタジエングリコール、水素添加型ポリイソプレングリコール等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
分子内に水酸基を1個又は2個有する化合物の数平均分子量は、通常300〜10,000、好ましくは500〜6,000、さらに好ましくは1,000〜4,000である。
本発明に用いられる分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物を説明する。活性水素、即ち、酸素原子、窒素原子又はイオウ原子に直接結合している水素原子としては、水酸基、アミノ基、チオール基等の官能基中の水素原子が挙げられ、中でもアミノ基、特に1級のアミノ基の水素原子が好ましい。
3級アミノ基は、特に限定されないが、例えば炭素数1〜4のアルキル基を有するアミノ基、又はヘテロ環構造、より具体的にはイミダゾール環又はトリアゾール環、などが挙げられる。
このような分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物を例示するならば、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジプロピル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジプロピルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジエチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジプロピル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジブチル−1,4−ブタンジアミン等が挙げられる。
また、3級アミノ基が含窒素ヘテロ環構造である場合の該含窒素ヘテロ環としては、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、インドール環、カルバゾール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチアジアゾール環等のN含有ヘテロ5員環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、アクリジン環、イソキノリン環等の含窒素ヘテロ6員環が挙げられる。これらの含窒素ヘテロ環のうち好ましいものはイミダゾール環又はトリアゾール環である。
これらのイミダゾール環とアミノ基を有する化合物を具体的に例示するならば、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、ヒスチジン、2−アミノイミダゾール、1−(2−アミノエチル)イミダゾール等が挙げられる。また、トリアゾール環とアミノ基を有する化合物を具体的に例示するならば、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、5−(2−アミノ−5−クロロフェニル)−3−フェニル−1H−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−4H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジオール、3−アミノ−5−フェニル−1H−1,3,4−トリアゾール、5−アミノ−1,4−ジフェニル−1,2,3−トリアゾール、3−アミノ−1−ベンジル−1H−2,4−トリアゾール等が挙げられる。中でも、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾールが好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ウレタン系高分子分散剤を製造する際の原料の好ましい配合比率はポリイソシアネート化合物100質量部に対し、分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300〜10000の化合物が10〜200質量部、好ましくは20〜190質量部、さらに好ましくは30〜180質量部、分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物が0.2〜25質量部、好ましくは0.3〜24質量部である。
ウレタン系高分子分散剤の製造はポリウレタン樹脂製造の公知の方法に従って行われる。製造する際の溶媒としては、通常、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素類、ダイアセトンアルコール、イソプロパノール、第二ブタノール、第三ブタノール等一部のアルコール類、塩化メチレン、クロロホルム等の塩化物、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキサイド等の非プロトン性極性溶媒等が用いられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記製造に際して、通常、ウレタン化反応触媒が用いられる。この触媒としては、例えば、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジオクトエート、スタナスオクトエート等の錫系、鉄アセチルアセトナート、塩化第二鉄等の鉄系、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の3級アミン系等の1種又は2種以上が挙げられる。
<アミン価の測定方法>
分散剤のアミン価は、分散剤試料中の溶剤を除いた固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの質量で表し、次の方法により測定することができる。
100mLのビーカーに分散剤試料の0.5〜1.5gを精秤し、50mLの酢酸で溶解する。pH電極を備えた自動滴定装置を使って、この溶液を0.1mol/LのHClO4(過塩素酸)酢酸溶液にて中和滴定する。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点とし次式によりアミン価を求める。
アミン価[mgKOH/g]=(561×V)/(W×S)
〔但し、W:分散剤試料秤取量[g]、V:滴定終点での滴定量[mL]、S:分散剤試料の固形分濃度[質量%]を表す。〕
分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物の導入量は反応後のアミン価で1〜100mgKOH/gの範囲に制御することが好ましい。より好ましくは5〜95mgKOH/gの範囲である。アミン価は、塩基性アミノ基を酸により中和滴定し、酸価に対応させてKOHのmg数で表した値である。アミン価を前記下限値以上とすることで分散性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が良好となる傾向がある。
なお、以上の反応で高分子分散剤にイソシアネート基が残存する場合にはさらに、アルコールやアミノ化合物でイソシアネート基を潰すと生成物の経時安定性が高くなるので好ましい。
ウレタン系高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)は通常1000〜200000、好ましくは2000〜100000、より好ましくは3000〜50000の範囲である。特に30000以下が好ましい。前記下限値以上とすることで分散性及び分散安定性が良好となる傾向があり、前記上限値以下とすることで溶解性が良好となる傾向がある。分子量が30000以下であると、特に色材の含有割合の高い場合でも、アルカリ現像性が良好となる傾向がある。このような特に好ましい市販のウレタン分散剤の例としてDisperbyk167、182(ビックケミー社)などが挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物が(e)分散剤を含む場合、(e)分散剤の含有割合は、感光性樹脂組成物の全固形分中に、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、通常1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは7質量%以上、特に好ましくは10質量%以上である。前記下限値以上とすることで十分な分散性を確保しやすい傾向があり、また、前記上限値以下とすることで他の成分の割合を減らすことなく、色濃度、感度、成膜性などを十分なものとしやすい傾向がある。
また、分散剤の含有割合は、(d)色材100質量部に対して、通常5質量部以上、好ましくは10質量部以上で、より好ましくは15質量部以上であり、通常200質量部以下、好ましくは80質量部以下、より好ましくは50質量部以下である。
前記下限値以上とすることで十分な分散性を確保しやすい傾向があり、また、前記上限値以下とすることで他の成分の割合を減らすことなく、色濃度、感度、成膜性などを十分なものとしやすい傾向がある。
<チオール類>
本発明の感光性樹脂組成物は、高感度化、基板への密着性の向上のため、チオール類を含有することが好ましい。チオール類の種類としては、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、トリスヒドロキシエチルトリスチオプロピオネート、エチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、プロピレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)(略してPGMB)、ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン(商品名:カレンズMT BD1、昭和電工社製)、ブタンジオールトリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(商品名:カレンズMT PE1、昭和電工社製)、ペンタエリスリトールトリス(3− メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)(略してTPMB)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトイソブチレート)(略してTPMIB)、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(商品名:カレンズMT NR1、昭和電工社製)等が挙げられ、これらは種々のものが1種を単独で、或いは2種以上を混合して使用できる。好ましくは上記、PGMB、TPMB、TPMIB、カレンズMT BD1、カレンズMT PE1、カレンズMT NR1などの多官能チオールが好ましく、その中でもカレンズMT BD1、カレンズMT PE1、カレンズMT NR1がさらに好ましく、カレンズMT PE1が特に好ましい。
チオール化合物を用いる場合、チオール化合物の含有割合は、本発明の感光性樹脂組成物の全固形分中に、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下である。前記下限値以上とすることで感度低下を抑制できる傾向があり、前記上限値以下とすることで保存安定性を良好なものとしやすい傾向がある。
<溶剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、通常、(a)アルカリ可溶性樹脂、(b)光重合性モノマー、(c)光重合開始剤及び必要に応じて使用される各種成分が、有機溶剤に溶解又は分散した状態で使用される。
有機溶剤としては、沸点(圧力1013.25[hPa]条件下。以下、沸点に関しては全て同様。)が100〜300℃の範囲のものを選択することが好ましい。より好ましくは120〜280℃の沸点をもつ溶剤である。
このような有機溶剤としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルのようなグリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;
エチレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサノールジアセテートなどのグリコールジアセテート類;
シクロヘキサノールアセテートなどのアルキルアセテート類;
アミルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテルのようなエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メトキシメチルペンタノンのようなケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、メトキシメチルペンタノール、グリセリン、ベンジルアルコールのような1価又は多価アルコール類;
n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類;
アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトンのような鎖状又は環状エステル類;
3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
ブチルクロライド、アミルクロライドのようなハロゲン化炭化水素類;
メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類等:
上記に該当する市販の溶剤としては、ミネラルスピリット、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、アプコシンナー、ソーカルソルベントNo.1及びNo.2、ソルベッソ#150、シェルTS28 ソルベント、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブ(「セロソルブ」は登録商標。以下同じ。)、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ジグライム(いずれも商品名)などが挙げられる。
これらの有機溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
フォトリソグラフィー法にてカラーフィルターの画素又はブラックマトリックスを形成する場合、有機溶剤としては沸点が100〜250℃の範囲のものを選択することが好ましい。より好ましくは120〜230℃の沸点を持つものである。
上記有機溶剤のうち、塗布性、表面張力などのバランスが良く、組成物中の構成成分の溶解度が比較的高い点からは、グリコールアルキルエーテルアセテート類が好ましい。
また、グリコールアルキルエーテルアセテート類は、単独で使用してもよいが、他の有機溶剤を併用してもよい。併用してもよい他の有機溶剤として、特に好ましいのはグリコールモノアルキルエーテル類である。中でも、特に組成物中の構成成分の溶解性からプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。なお、グリコールモノアルキルエーテル類は極性が高く、添加量が多すぎると顔料が凝集しやすく、後に得られる感光性樹脂組成物の粘度が上がっていくなどの保存安定性が低下する傾向があるので、溶剤中のグリコールモノアルキルエーテル類の割合は5質量%〜30質量%が好ましく、5質量%〜20質量%がより好ましい。
また、200℃以上の沸点をもつ有機溶剤(以下「高沸点溶剤」と称す場合がある。)を併用することも好ましい。このような高沸点溶剤を併用することにより、感光性樹脂組成物は乾きにくくなるが、組成物中における顔料の均一な分散状態が、急激な乾燥により破壊されることを防止する効果がある。即ち、例えばスリットノズル先端における、色材などの析出・固化による異物欠陥の発生を防止する効果がある。このような効果が高い点から、上述の各種溶剤の中でも、特にジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、1,4−ブタンジオールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、トリアセチン、1,6−ヘキサンジオールジアセテートが好ましい。
高沸点溶剤を併用する場合、有機溶剤中の高沸点溶剤の含有割合は、0質量%〜50質量%が好ましく、0.5質量%〜40質量%がより好ましく、1質量%〜30質量%が特に好ましい。前記下限値以上とすることで、例えばスリットノズル先端で色材などが析出・固化して異物欠陥を惹き起こすことを抑制できる傾向があり、また前記上限値以下とすることで組成物の乾燥速度が遅くなり過ぎることを抑制でき、カラーフィルター製造工程における、減圧乾燥プロセスのタクト不良や、プリベークのピン跡といった問題の発生を回避しやすい傾向がある。
本発明の感光性樹脂組成物において、有機溶剤の含有割合は特に限定されないが、塗布し易さや粘度安定性の観点から、感光性樹脂組成物中の全固形分量が好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下、特に好ましくは20質量%以下となるように調液される。
<感光性樹脂組成物のその他の配合成分>
本発明の感光性樹脂組成物には、上述の成分の他、密着向上剤、塗布性向上剤、顔料誘導体、現像改良剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を適宜配合することができる。
<密着向上剤>
基板との密着性を改善するため、密着向上剤を含有させてもよく、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられるが、特にシランカップリング剤が好ましい。
このようなシランカップリング剤としては、例えば、KBM−402、KBM−403、KBM−502、KBM−5103、KBE−9007、X−12−1048、X−12−1050(信越シリコーン社製)、Z−6040、Z−6043、Z−6062(東レ・ダウコーニング社製)等が挙げられる。なお、シランカップリング剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
さらに、シランカップリング剤以外の密着向上剤を本発明の感光性樹脂組成物に含有させてもよく、例えば、リン酸系密着向上剤、その他の密着向上剤等が挙げられる。
リン酸系密着向上剤としては、(メタ)アクリロイルオキシ基含有ホスフェート類が好ましく、中でも下記一般式(g1)、(g2)、(g3)で表されるものが好ましい。
Figure 2020117570
上記一般式(g1)、(g2)、(g3)において、R51は各々独立に水素原子又はメチル基を表す。l及びl’は各々独立に1〜10の整数、mは各々独立に1、2又は3を表す。
その他の密着向上剤としては、TEGO(登録商標)Add Bond LTH(Evonik社製)などが上げられる。これらの燐酸基含有化合物やその他の密着剤も1種類を単独で用いても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の感光性樹脂組成物が密着向上剤を含有する場合、密着向上剤の含有割合は特に限定されないが、全固形分中に0.01質量%以上であることが好ましく、0.10質量%以上であることがより好ましく、0.50質量%以上であることがさらに好ましく、また、5.0質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以下であることがより好ましく、2.0質量%以下であることがさらに好ましく、1.5質量%以下であることが特に好ましい。前記下限値以上とすることで密着力が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が良好となる傾向がある。
<塗布性向上剤>
本発明の感光性樹脂組成物には、塗布性向上のため、塗布性向上剤として界面活性剤を含有させてもよい。界面活性剤としては、例えば、アニオン系、カチオン系、非イオン系及び両性界面活性剤等各種のものを用いることができる。中でも、諸特性に悪影響を及ぼす可能性が低い点で、非イオン系界面活性剤を用いるのが好ましく、中でもフッ素系又はシリコーン系の界面活性剤が塗布性の面で効果的である。
このような界面活性剤としては、例えば、TSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、DFX−18(ネオス社製)、BYK−300、BYK−325、BYK−330(ビックケミー社製)、KP340(信越シリコーン社製)、メガファックF−470、F−475、F−478、F−554、F−559(DIC社製)、SH7PA(東レ・ダウコーニング社製)、DS−401(ダイキン社製)、L−77(日本ユニカー社製)及びFC4430(3Mジャパン社製)等が挙げられる。なお、界面活性剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明の感光性樹脂組成物が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有割合は特に限定されないが、感光性樹脂組成物の全固形分中に0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、また、1.0質量%以下であることが好ましく、0.7質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましく、0.3質量%以下であることが特に好ましい。前記下限値以上とすることで塗布均一性がよくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで感度低下を抑制しやすい傾向がある。
<顔料誘導体>
本発明の感光性樹脂組成物には、分散性、保存性向上のため、顔料誘導体を含有させてもよい。顔料誘導体としてはアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、キノフタロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、インダンスレン系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系等の誘導体が挙げられるが、中でもフタロシアニン系、キノフタロン系が好ましい。
顔料誘導体の置換基としてはスルホン酸基、スルホンアミド基及びその4級塩、フタルイミドメチル基、ジアルキルアミノアルキル基、水酸基、カルボキシル基、アミド基等が顔料骨格に直接又はアルキル基、アリール基、複素環基等を介して結合したものが挙げられ、好ましくはスルホン酸基である。またこれら置換基は一つの顔料骨格に複数置換していてもよい。顔料誘導体の具体例としてはフタロシアニンのスルホン酸誘導体、キノフタロンのスルホン酸誘導体、アントラキノンのスルホン酸誘導体、キナクリドンのスルホン酸誘導体、ジケトピロロピロールのスルホン酸誘導体、ジオキサジンのスルホン酸誘導体等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
顔料誘導体は、分散剤と共に用いられることが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物が顔料誘導体を含有する場合、感光性樹脂組成物中の顔料誘導体の含有割合は特に限定されないが、感光性樹脂組成物の全固形分中に0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上がさらに好ましく、また、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで分散安定性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が良好となる傾向がある。
<感光性樹脂組成物の物性>
本発明の感光性樹脂組成物は、ブラックマトリックス形成用に好適に使用することができ、係る観点からは黒色を呈していることが好ましい。また、その硬化膜の膜厚1μm当たりの光学濃度(OD)が1.0以上であることが好ましく、2.0以上であることがより好ましく、2.5以上であることがさらに好ましく、3.0以上であることがよりさらに好ましく、4.0以上であることが特に好ましく、4.5以上であることが最も好ましく、通常6.0以下である。前記下限値以上とすることで十分な遮光性が確保できる傾向がある。
<感光性樹脂組成物の製造方法>
本発明の感光性樹脂組成物は、常法に従って製造される。
(d)色材を含む場合、通常(d)色材は、予めペイントコンディショナー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザー等を用いて分散処理することが好ましい。分散処理により(d)色材が微粒子化されるため、感光性樹脂組成物の塗布特性が向上する傾向がある。また、(d)色材として黒色色材を使用した場合は遮光能力の向上に寄与する。
分散処理は、通常、(d)色材、有機溶剤、及び必要に応じて(e)分散剤、(a)アルカリ可溶性樹脂の一部又は全部を併用した系にて行うことが好ましい(以下、分散処理に供する混合物、及び該処理にて得られた組成物を「インク」又は「顔料分散液」と称することがある。)。特に分散剤として高分子分散剤を用いると、得られたインク及び感光性樹脂組成物の経時の増粘が抑制される(分散安定性に優れる)ので好ましい。
なお、感光性樹脂組成物に配合する全成分を含有する液に対して分散処理を行った場合、分散処理時に生じる発熱のため、高反応性の成分が変性する可能性がある。従って、高分子分散剤を含む系にて分散処理を行うことが好ましい。
サンドグラインダーで(d)色材を分散させる場合には、0.1〜8mm程度の径のガラスビーズ又はジルコニアビーズが好ましく用いられる。分散処理条件は、温度は通常、0℃から100℃であり、好ましくは、室温から80℃の範囲である。分散時間は液の組成及び分散処理装置のサイズ等により適正時間が異なるため適宜調節する。感光性樹脂組成物の20度鏡面光沢度(JIS Z8741)が100〜200の範囲となるように、インクの光沢を制御することが分散の目安である。感光性樹脂組成物の光沢度が低い場合には、分散処理が十分でなく荒い顔料(色材)粒子が残っていることが多く、現像性、密着性、解像性等が不十分となる可能性がある。また、光沢値が上記範囲を超えるまで分散処理を行うと、顔料が破砕して超微粒子が多数生じるため、却って分散安定性が損なわれる傾向がある。
次に、上記分散処理により得られたインクと、感光性樹脂組成物中に含まれる、上記の他の成分を混合し、均一な溶液とする。感光性樹脂組成物の製造工程においては、微細なゴミが液中に混じることが多いため、得られた感光性樹脂組成物はフィルター等により濾過処理することが望ましい。
[硬化物]
本発明の硬化物は、本発明の感光性樹脂組成物を硬化させることで得られる。感光性樹脂組成物を硬化させた硬化物は、画素、ブラックマトリックス、着色スペーサなどのカラーフィルターを構成する部材として好適に用いることができる。
[ブラックマトリックス]
本発明の硬化物からなる本発明のブラックマトリックスや、本発明のブラックマトリックスを含むカラーフィルターについて、その製造方法に従って説明する。
(1) 支持体
ブラックマトリックスを形成するための支持体としては、適度の強度があれば、その材質は特に限定されるものではない。おもに透明基板が使用されるが、材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルフォンなどの熱可塑性樹脂製シート、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂などの熱硬化性樹脂シート、又は各種ガラスなどが挙げられる。この中でも、耐熱性の観点からガラス、耐熱性樹脂が好ましい。また、基板の表面にITO、IZO等の透明電極が成膜されている場合もある。透明基板以外では、TFTアレイ上に形成することも可能である。
支持体には、接着性などの表面物性の改良のため、必要に応じ、コロナ放電処理、オゾン処理、大気圧プラズマ処理、シランカップリング剤や、ウレタン系樹脂などの各種樹脂の薄膜形成処理などを行ってもよい。
透明基板の厚さは、通常0.05〜10mm、好ましくは0.1〜7mmの範囲とされる。また各種樹脂の薄膜形成処理を行う場合、その膜厚は、通常0.01〜10μm、好ましくは0.05〜5μmの範囲である。
(2) ブラックマトリックス
上述の本発明の感光性樹脂組成物により、本発明のブラックマトリックスを形成するには、透明基板上に本発明の感光性樹脂組成物を塗布して乾燥した後、該試料の上にフォトマスクを置き、該フォトマスクを介して画像露光、現像、必要に応じて熱硬化或いは光硬化することによりブラックマトリックスを形成させる。
(3) ブラックマトリックスの形成
(3−1) 感光性樹脂組成物の塗布
ブラックマトリックス用の感光性樹脂組成物の透明基板上への塗布は、スピナー法、ワイヤーバー法、フローコート法、ダイコート法、ロールコート法、又はスプレーコート法などによって行うことができる。中でも、ダイコート法によれば、塗布液使用量が大幅に削減され、かつ、スピンコート法によった際に付着するミストなどの影響が全くなく、異物発生が抑制されるなど、総合的な観点から好ましい。
塗膜の厚さは、乾燥後の膜厚として、通常0.2〜10μmの範囲とすることが好ましく、より好ましいのは0.5〜6μmの範囲、さらに好ましいのは1〜4μmの範囲である。前記上限値以下とすることで、パターン現像が容易となり、液晶セル化工程でのギャップ調整も容易となる傾向がある。前記下限値以上とすることで、所望の色発現が容易となる傾向がある。
(3−2) 塗膜の乾燥
基板に感光性樹脂組成物を塗布した後の塗膜の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、又はコンベクションオーブンを使用した乾燥法によるのが好ましい。乾燥の条件は、前記溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて適宜選択することができる。乾燥時間は、溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて、通常は、40〜200℃の温度で15秒〜5分間の範囲で選ばれ、好ましくは50〜130℃の温度で30秒〜3分間の範囲で選ばれる。
乾燥温度は、高いほど透明基板に対する塗膜の接着性が向上するが、高すぎるとアルカリ可溶性樹脂が分解し、熱重合を誘発して現像不良を生ずる場合がある。なお、この塗膜の乾燥工程は、温度を高めず、減圧チャンバー内で乾燥を行う、減圧乾燥法であってもよい。
(3−3)露光
画像露光は、感光性樹脂組成物の塗膜上に、ネガのマスクパターンを重ね、このマスクパターンを介し、紫外域から可視域に至る波長の光を照射して行う。この際、必要に応じ、酸素による光重合性層の感度の低下を防ぐため、光重合性の塗膜上にポリビニルアルコール層などの酸素遮断層を形成した後に露光を行ってもよい。上記の画像露光に使用される光源は、特に限定されるものではない。光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアークなどのランプ光源などが挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルターを利用することもできる。
(3−4)現像
本発明に係るブラックマトリックスは、感光性樹脂組成物による塗膜を、上記の光源によって画像露光を行った後、有機溶剤、又は、界面活性剤とアルカリ性化合物とを含む水溶液を用いる現像によって、基板上に画像を形成して作製することができる。この水溶液には、さらに有機溶剤、緩衝剤、錯化剤、染料又は顔料を含ませることができる。
アルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、水酸化アンモニウムなどの無機アルカリ性化合物や、モノ−、ジ−又はトリエタノールアミン、モノ−、ジ−又はトリメチルアミン、モノ−、ジ−又はトリエチルアミン、モノ−又はジイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ−、ジ−又はトリイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリンなどの有機アルカリ性化合物が挙げられる。これらのアルカリ性化合物は、2種以上の混合物であってもよい。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類などのノニオン系界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類などのアニオン性界面活性剤、アルキルベタイン類、アミノ酸類などの両性界面活性剤が挙げられる。
有機溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコールなどが挙げられる。有機溶剤は、単独で用いてもよく、また、水溶液と併用してもよい。
現像処理の条件は特に制限はなく、通常、現像温度は10〜50℃の範囲、中でも15〜45℃、特に好ましくは20〜40℃で、現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法などのいずれかの方法によることができる。
(3−5)熱硬化処理
現像の後の基板には、熱硬化処理又は光硬化処理、好ましくは熱硬化処理を施す。この際の熱硬化処理条件は、温度は100〜280℃の範囲、好ましくは150〜250℃の範囲で選ばれ、時間は5〜60分間の範囲で選ばれる。
以上のようにして形成させたブラックマトリックスの高さは通常0.5〜5μm、好ましくは0.8〜4μmである。
さらに、厚さ1μm当たりの光学濃度(OD)が2.0以上、好ましくは2.5以上、より好ましくは3.0以上、特に好ましくは3.2以上である。
ブラックマトリックスを設けた透明基板上に、上記(3−1)〜(3−5)と同じプロセスで赤色、緑色、青色のうち一色の色材を含有する感光性樹脂組成物を塗布し、乾燥した後、塗膜の上にフォトマスクを重ね、このフォトマスクを介して画像露光、現像、必要に応じて熱硬化又は光硬化により画素画像を形成させ、着色層を作成する。この操作を、赤色、緑色、青色の三色の感光性樹脂組成物についてそれぞれ行うことによって、カラーフィルター画像を形成することができる。これらの順番は上記に限定されるものではない。
本発明の感光性樹脂組成物は、ブラックマトリックス以外に着色スペーサ用の感光性樹脂組成物として使用することも可能である。スペーサをTFT型LCDに使用する場合、TFTに入射する光によりスイッチング素子としてTFTが誤作動を起こすことがあり、着色スペーサはこれを防止するために用いられ、例えば、特開平8−234212号公報にスペーサを遮光性とすることが記載されている。着色スペーサは着色スペーサ用のマスクを用いる以外は前述のブラックマトリックスと同様の方法で形成することができる。
(3−6) 透明電極の形成
カラーフィルターは、このままの状態で画像上にITOなどの透明電極を形成して、カラーディスプレー、液晶表示装置などの部品の一部として使用されるが、表面平滑性や耐久性を高めるため、必要に応じ、画像上にポリアミド、ポリイミドなどのトップコート層を設けることもできる。また一部、平面配向型駆動方式(IPSモード)などの用途においては、透明電極を形成しないこともある。
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、本発明の硬化物を有するものであり、例えば、本発明のブラックマトリックスを有するものが挙げられる。画像表示装置としては、画像や映像を表示する装置であれば特に限定は受けないが、後述する液晶表示装置や有機ELディスプレイ等が挙げられる。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、上述の本発明のブラックマトリックスを有するものであり、カラー画素やブラックマトリックスの形成順序や形成位置等特に制限を受けるものではない。
液晶表示装置は、通常、カラーフィルター上に配向膜を形成し、この配向膜上にスペーサを散布した後、対向基板と貼り合わせて液晶セルを形成し、形成した液晶セルに液晶を注入し、対向電極に結線して完成する。配向膜としては、ポリイミド等の樹脂膜が好適である。配向膜の形成には、通常、グラビア印刷法及び/又はフレキソ印刷法が採用され、配向膜の厚さは数10nmとされる。熱焼成によって配向膜の硬化処理を行った後、紫外線の照射やラビング布による処理によって表面処理し、液晶の傾きを調整しうる表面状態に加工される。
スペーサとしては、対向基板とのギャップ(隙間)に応じた大きさのものが用いられ、通常2〜8μmのものが好適である。カラーフィルター基板上に、フォトリソグラフィー法によって透明樹脂膜のフォトスペーサ(PS)を形成し、これをスペーサの代わりに活用することもできる。対向基板としては、通常、アレイ基板が用いられ、特にTFT(薄膜トランジスタ)基板が好適である。
対向基板との貼り合わせのギャップは、液晶表示装置の用途によって異なるが、通常2〜8μmの範囲で選ばれる。対向基板と貼り合わせた後、液晶注入口以外の部分は、エポキシ樹脂等のシール材によって封止する。シール材は、UV照射及び/又は加熱することによって硬化させ、液晶セル周辺がシールされる。
周辺をシールされた液晶セルは、パネル単位に切断した後、真空チャンバー内で減圧とし、上記液晶注入口を液晶に浸漬した後、チャンバー内をリークすることによって、液晶を液晶セル内に注入する。液晶セル内の減圧度は、通常、1×10-2〜1×10-7Paであるが、好ましくは1×10-3〜1×10-6Paである。また、減圧時に液晶セルを加温することが好ましく、加温温度は通常30〜100℃であり、より好ましくは50〜90℃である。減圧時の加温保持は、通常10〜60分間の範囲とされ、その後液晶中に浸漬される。液晶を注入した液晶セルは、液晶注入口をUV硬化樹脂を硬化させて封止することによって、液晶表示装置(パネル)が完成する。
液晶の種類には特に制限がなく、芳香族系、脂肪族系、多環状化合物等、従来から知られている液晶であって、リオトロピック液晶、サーモトロピック液晶等のいずれでもよい。サーモトロピック液晶には、ネマティック液晶、スメスティック液晶及びコレステリック液晶等が知られているが、いずれであってもよい。
[有機ELディスプレイ]
本発明の有機ELディスプレイは、本発明のカラーフィルターを用いて作製されたものである。
本発明のカラーフィルターを用いて有機ELディスプレイを作製する場合、例えば図1に示すように、まず透明支持基板10上に、感光性樹脂組成物により形成されたパターン(即ち、画素20、及び隣接する画素20の間に設けられた樹脂ブラックマトリックス(図示せず))が形成されてなるカラーフィルターを作製し、該カラーフィルター上に有機保護層30及び無機酸化膜40を介して有機発光体500を積層することによって、有機EL素子100を作製することができる。なお、画素20及び樹脂ブラックマトリックスの内、少なくとも一つは本発明の感光性樹脂組成物を用いて作製されたものである。有機発光体500の積層方法としては、カラーフィルター上面へ透明陽極50、正孔注入層51、正孔輸送層52、発光層53、電子注入層54、及び陰極55を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体500を無機酸化膜40上に貼り合わせる方法などが挙げられる。このようにして作製された有機EL素子100を用い、例えば「有機ELディスプレイ」(オーム社,2004年8月20日発光,時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載された方法等にて、有機ELディスプレイを作製することができる。
なお、本発明のカラーフィルターは、パッシブ駆動方式の有機ELディスプレイにもアクティブ駆動方式の有機ELディスプレイにも適用可能である。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は
その要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
<アルカリ可溶性樹脂の合成>
以下の手順に従ってアルカリ可溶性樹脂(1)〜(5)を準備した。
(アルカリ可溶性樹脂(1))
Figure 2020117570
上記化学構造のエポキシ化合物(エポキシ当量228)6g、アクリル酸1.92g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート8.02g、トリフェニルホスフィン0.0995g、及びp−メトキシフェノール0.006gを温度計、攪拌機、冷却管を取り付けたフラスコに入れ、攪拌しながら90℃7時間加熱した後、110℃で液酸価が5mgKOH/g以下になるまで反応させた。反応には12時間を要し、エポキシアクリレート溶液を得た。
得られたエポキシアクリレート溶液13.2g、トリメチロールプロパン(TMP)0.3g、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)1.99g、テトラヒドロフタル酸無水物(THPA)0.51g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)5.49gを温度計、攪拌機、冷却管を取り付けたフラスコに入れ、攪拌しながら105℃までゆっくり昇温して反応させ、固形分酸価102mgKOH/g、重量平均分子量5400のアルカリ可溶性樹脂(1)を得た。
(アルカリ可溶性樹脂(2))
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート210.1質量部とプロピレングリコールモノメチルエーテル52.5質量部との混合液を窒素置換しながら撹拌し、120℃に昇温した。ここにベンジルメタクリレート3.52質量部、メタクリル酸68.8質量部、トリシクロデカン骨格を有するモノメタクリレートFA−513M(日立化成社製)39.7質量部及び2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル3.3質量部の混合液を3時間かけて滴下し、更に90℃で2時間撹拌し続けた。次に反応容器内を空気に置換し、グリシジルメタクリレート38.4質量部、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.8質量部及びハイドロキノン0.1質量部を投入し、100℃で12時間反応を続けた。こうして重量平均分子量19100、固形分酸価198mgKOH/gのアルカリ可溶性樹脂(2)を得た。
(アルカリ可溶性樹脂(3))
Figure 2020117570
上記化学構造のエポキシ化合物(エポキシ当量264)50g、アクリル酸13.65g、メトキシブチルアセテート60.5g、トリフェニルホスフィン0.936g、及びp−メトキシフェノール0.032gを、温度計、攪拌機、冷却管を取り付けたフラスコに入れ、攪拌しながら90℃で液酸価が5mgKOH/g以下になるまで反応させた。反応には12時間を要し、エポキシアクリレート溶液を得た。
上記エポキシアクリレート溶液25g及び、トリメチロールプロパン(TMP)0.74g、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)4.0g、テトラヒドロフタル酸無水物(THPA)2.7gを、温度計、攪拌機、冷却管を取り付けたフラスコに入れ、攪拌しながら105℃までゆっくり昇温し反応させ固形分酸価110mgKOH/g、重量平均分子量4000のアルカリ可溶性樹脂(3)を得た。
(アルカリ可溶性樹脂(4)の合成)
Figure 2020117570
上記化学構造のエポキシ化合物(エポキシ当量246)42g、アクリル酸12.7g、PGMEA47.8g、トリフェニルホスフィン1g、及びp−メトキシフェノール0.025gを温度計、攪拌機、冷却管を取り付けたフラスコに入れ、攪拌しながら90℃で液酸価が5mgKOH/g以下になるまで反応させた。反応には15時間を要し、エポキシアクリレート溶液を得た。
得られたエポキシアクリレート溶液25g、トリメチロールプロパン(TMP)0.76g、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)3.7g、テトラヒドロフタル酸無水物(THPA)3.9gを温度計、攪拌機、冷却管を取り付けたフラスコに入れ、攪拌しながら105℃までゆっくり昇温して反応させ、固形分酸価131mgKOH/g、重量平均分子量3000のアルカリ可溶性樹脂(4)を得た。
(アルカリ可溶性樹脂(5)の合成)
Figure 2020117570
上記化学構造のエポキシ化合物(エポキシ当量240)6g、アクリル酸1.82g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.915g、トリフェニルホスフィン0.094g、及びp−メトキシフェノール0.0056gを温度計、攪拌機、冷却管を取り付けたフラスコに入れ、攪拌しながら100℃で液酸価が5mgKOH/g以下になるまで反応させた。反応には9時間を要し、エポキシアクリレート溶液を得た。
得られたエポキシアクリレート溶液7.28g、トリメチロールプロパン(TMP)0.047g、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)1.57g、テトラヒドロフタル酸無水物(THPA)0.29g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)6.11gを温度計、攪拌機、冷却管を取り付けたフラスコに入れ、攪拌しながら105℃までゆっくり昇温して反応させ、固形分酸価101mgKOH/g、重量平均分子量10200のアルカリ可溶性樹脂(5)を得た。
<動的粘弾性測定>
アルカリ可溶性樹脂(1)〜(5)を85℃で3時間真空乾燥した後、プレス機(ミニテストプレス10(東洋精機製作所社製)、70℃プレス、圧力15MPa、加圧前の予熱時間5分、加圧時間3分)にて厚さ0.3mmのフィルムを作成し、レオメーター(ARES−G2(TAインスツルメント社製))で動的粘弾性測定を行い、軟化点を算出した。測定条件及び軟化点の計算方法は以下のとおりである。結果を表1に示す。また、アルカリ可溶性樹脂(1)の動的粘弾性測定のグラフ(縦軸:貯蔵弾性率G’、横軸:温度)を図2に示す。
周波数:1Hz
歪量:1%
プレート径:25mm
プレートタイプ:Alディスポパラレルプレート
自動テンション調整:Axial Force 200g
測定対象:貯蔵弾性率G’の温度変化
測定温度:70〜230℃(昇温、5℃/min)
軟化点の計算方法:得られたグラフ(縦軸:貯蔵弾性率G’、横軸:温度)の曲線において、70℃から昇温して行き、下に凸へと変わる最初の変曲点の温度を軟化点(℃)とし、更にG’が最小値を示す点を最小点(℃)とした。なお、70℃ですでに下に凸の場合は軟化点を70℃未満とした。また、230℃まで昇温しても下に凸となる変曲点が現れない場合は軟化点を230℃超過とした。
Figure 2020117570
<カーボンブラックインクの調製>
以下の組成及び方法で顔料、分散剤、分散助剤、溶剤を調合し、カーボンブラックインクを調製した。具体的にはまず、顔料、分散剤、分散助剤の固形分と溶剤が以下の質量比となるように調合した。
・顔料:RAVEN1060U(R1060)(ビルラー社製カーボンブラック);100.0質量部
・分散剤:DISPERBYK−167(ビックケミー社製塩基性ウレタン系分散剤);11.63質量部(固形分換算)
・分散助剤(顔料誘導体):Solsperse12000(ルーブリゾール社製、酸性基を有するフタロシアニン系顔料誘導体);1.98質量部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA);215.5質量部
これらを十分に攪拌・混合し、分散液を得た。
次に、この分散液に対して、ペイントシェーカーにより25〜45℃の範囲で6時間分散処理を行った。ビーズとしては、直径0.5mmのジルコニアビーズを用い、分散液60質量部に対しビーズ180質量部の割合で加えた。分散処理終了後、フィルターによりビーズと分散液を分離して、全固形分の含有割合が34.5質量%のカーボンブラックインクを調製した。
<感光性樹脂組成物の調製>
(ブラックレジスト1の調製)
前記<カーボンブラックインクの調製>で調製したカーボンブラックインクを用いて、表2に記載の割合となるように各成分を加え、スターラーにより攪拌、溶解させて、ブラックレジスト1を調製した。ブラックレジスト1中の全固形分の含有割合は15質量%である。
Figure 2020117570
なお、表中の各成分の詳細は以下のとおりである。
光重合性モノマー(1):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA、日本化薬社製)
光重合開始剤(1):TR−PBG−304(常州強力電子新材料社製)
界面活性剤(1):メガファックF−554(DIC社製、フッ素系界面活性剤)
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
MBA:3−メトキシブチルアセテート
(ブラックレジスト2の調製)
ブラックレジスト1においてアルカリ可溶性樹脂(1)をアルカリ可溶性樹脂(2)に変更したこと以外は、ブラックレジスト1と同様にブラックレジスト2を調製した。
(ブラックレジスト3の調製)
ブラックレジスト1においてアルカリ可溶性樹脂(1)をアルカリ可溶性樹脂(3)に変更したこと以外は、ブラックレジスト1と同様にブラックレジスト3を調製した。
(ブラックレジスト4の調製)
ブラックレジスト1においてアルカリ可溶性樹脂(1)をアルカリ可溶性樹脂(4)に変更したこと以外は、ブラックレジスト1と同様にブラックレジスト4を調製した。
(ブラックレジスト5の調製)
ブラックレジスト1においてアルカリ可溶性樹脂(1)をアルカリ可溶性樹脂(5)に変更したこと以外は、ブラックレジスト1と同様にブラックレジスト5を調製した。
(ブラックレジスト6の調製)
ブラックレジスト1においてアルカリ可溶性樹脂(1)を、アルカリ可溶性樹脂(1)とアルカリ可溶性樹脂(3)の混合物(混合比は20:80(質量比))に変更したこと以外は、ブラックレジスト1と同様にブラックレジスト6を調製した。
(ブラックレジスト7の調製)
ブラックレジスト6においてアルカリ可溶性樹脂(1)をアルカリ可溶性樹脂(2)に変更したこと以外は、ブラックレジスト6と同様にブラックレジスト7を調製した。
<ブラックレジストの評価>
(1)ブラックマトリックス(BM)硬化膜の作製
調製したブラックレジストをスピンコーターにてガラス基板に塗布し、減圧乾燥した後、ホットプレートで100℃にて120秒間乾燥した。なお、塗布膜厚がそれぞれ約1.2μmとなるように塗布条件を調整した。
続いて、得られた乾燥塗布膜に対し、露光機(オーク製作所社製EXF−2829−F−00)を用いて、高圧水銀灯(オーク製作所製ADH−3000M−F−N、光学フィルターなし)により40mJ/cm2で、パターン幅1〜20μmの直線状開口部(1〜10μm:1μm刻み、10〜20μm:5μm刻み)を有する露光マスクを通じてパターン露光(プロキシミティギャップ180μm)を行った。その後、超純水で0.04質量%に調整したKOH水溶液をアルカリ現像液として用いて、室温(23℃)下、溶解時間の1.9倍の時間、スプレー現像(スプレー圧力:0.1MPa)し、更に超純水でスプレー洗浄(スプレー圧力:0.1MPa)を行い、BM膜を得た。その後、230℃のオーブンで30分間キュアベークを行って、BM硬化膜を作製した。なお、溶解時間とは、現像処理時に未露光部の感光層が溶解して基板全体が見え始める時間であり、各々のブラックレジストの溶解時間は12〜81秒の間であった。
(2)BMライン線幅および線幅変化量の評価
光学顕微鏡で前記BM膜及び前記BM硬化膜におけるBMラインパターンの線幅を測定し、キュアベーク前後の線幅変化量を測定した。15μm開口部に対応するパターンのBM膜の線幅及び線幅変化量の測定結果を表3に示す。
また1μm〜10μm開口部に対応するBM膜にて、欠けや表面荒れがなくガラス基板上に残ったもののうち最も線幅の細いパターンについて、そのパターンに対応する露光マスクの開口部の幅の値を現像密着として評価した。現像密着の値が小さいほど、基板との密着性がよく、解像力が高いことを意味する。その結果を表3に示す。
(3)直線性
光学顕微鏡(倍率:500倍)にて、15μm開口部に対応するパターンのBM膜を観察し、線の形状を以下の基準で評価した。その結果を表3に示す。
○:ラインにガタツキと欠けが無く、真直ぐである。
△:ラインに欠けが数か所あるが、ほとんど真直ぐである。
×:ラインがガタガタで2μm以上のライン幅バラツキが生じている。または、パターンが剥がれている。
Figure 2020117570
表3に示されるように本発明のアルカリ可溶性樹脂を用いた実施例2及び3の感光性樹脂組成物では、直線性が良好であり、現像密着が7μmと小さく、かつ、硬化による線幅変化が抑えられており、良好な細線を得ることができた。
さらに実施例3と比較例6の結果を比較すると、アルカリ可溶性樹脂に占める本発明のアルカリ可溶性樹脂の含有割合が20質量%程度であっても、線幅変化を抑制する効果が十分であることがわかる。
本発明のアルカリ可溶性樹脂は、軟化点が100℃以下であり、かつ、貯蔵弾性率G’の最小値が2×103Pa以上であるため、主鎖同士が近接しつつ且つ動きやすい状態にあり、アルカリ可溶性樹脂同士の熱架橋反応が効率よく進んだからであると考えられる。
これに対して、比較例5の感光性樹脂組成物は現像によりパターンが剥がれて細線が残らない結果となっている。これは、感光性樹脂組成物に含まれるアルカリ可溶性樹脂(2)が、貯蔵弾性率G’の最小値が2×103Pa以上であるが、軟化点が100℃を超えたものとなっており、アルカリ可溶性樹脂の主鎖の運動が小さく、アルカリ可溶性樹脂同士の光架橋反応が進みにくいからであると考えられる。
比較例6〜8の感光性樹脂組成物は、直線性は良好であるが、キュアベーク後の線幅が大きく増加している。これは、感光性樹脂組成物に含まれるアルカリ可溶性樹脂(3)〜(5)が、軟化点が100℃以下であるものの、貯蔵弾性率G’の最小値が2×103Pa未満のものとなっており、それによってアルカリ可溶性樹脂同士の熱架橋反応よりも流動の方が優位に進行したからであると考えられる。
一方で比較例9は、比較例6のアルカリ可溶性樹脂(3)の20質量%をアルカリ可溶性樹脂(2)に置き換えたものとなっており、それによって線幅増加抑制効果は示されるものの、直線性の悪化が確認され、良好な細線を得ることができなかった。これはアルカリ可溶性樹脂(2)の軟化点が145℃と高いために硬くて脆くなり、スプレー現像及びスプレー水洗時に欠けが生じやすいことによると考えられる。
以上の結果により線幅変化を抑制する機能をアルカリ可溶性樹脂にもたせることで、混合する割合を広い範囲で変更することができ、様々な性能を有する組成を選択することができる。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の作用の詳細は定かではないが、以下のとおりであると考えられる。
一般に樹脂に耐熱性を求める場合はガラス転移点や軟化点が高いものが指向されており、例えば特開2017−198918号公報では抵抗値及び光学密度が高く、加熱による形状変化を起こしにくい組成物を提供するために、軟化点が130℃以上の耐熱性樹脂が用いられている。また、硬化性樹脂組成物では硬化後の耐熱性が高ければ十分とされている。
しかし、軟化点が高いアルカリ可溶性樹脂を用いた場合、キュアベーク時の変形は抑制できるものの、硬くて脆い被膜を形成するため現像後パターンの直線性が低下してしまう(変形しないため、キュアベーク後も直線性の悪さが残る)。また、軟化点の高いアルカリ可溶性樹脂では、主鎖の運動は局所的な振動に制限されるため、露光時にアルカリ可溶性樹脂同士の光架橋が進みにくく現像密着の低下(パターン剥がれ等)に繋がったと思われる。以上のことから、軟化点が高い樹脂は直線性低下や現像密着性など現像性低下の問題を伴うため、細線形成には適していないと考えられる。直線性を維持するためには高い軟化点設定は避けるべきである。
一方で、軟化点が100℃以下、且つ、G’の最小値が2×103Pa未満のアルカリ可溶性樹脂の場合、現像後の直線性は問題ないが、キュアベーク初期に軟化と粘度低下により流動が起こって線幅が増加し、次いで熱架橋によるゲル化(網目構造形成による固化)が進行してくるため、線幅増加は抑制できない。
キュアベークの昇温中は、樹脂の軟化と粘度低下が進行する一方で、(粘度増加に繋がる)熱架橋反応が競争的に起こる。この熱架橋反応は、アルカリ可溶性樹脂同士、アルカリ可溶性樹脂と光重合性モノマー間、光重合性モノマー同士で起こり得るが、粘度低下の抑制にはキュアベーク初期にアルカリ可溶性樹脂同士の熱架橋を効率よく進めることが重要と考えられる。G’の最小値が2×103Pa未満のアルカリ可溶性樹脂の場合、アルカリ可溶性樹脂と光重合性モノマー間や光重合性モノマー同士の熱架橋反応が優位に進み、粘度低下による流動を抑制できていない。
軟化点が100℃以下、且つ、G’の最小値が2×103Pa以上のアルカリ可溶性樹脂の場合、アルカリ可溶性樹脂の主鎖間に相互作用が働いて構造粘性を発現しているものと考えられる。アルカリ可溶性樹脂の主鎖同士が近接することは、アルカリ可溶性樹脂同士の熱架橋反応進行に有利に働く。G’が2×103Pa以上のアルカリ可溶性樹脂では、樹脂の軟化開始と共にアルカリ可溶性樹脂同士の熱架橋によるゲル化が優位に進み始めて、流動が抑制されていると考えられる。また、実施例3のような樹脂混合系であっても、樹脂の主鎖間の相互作用が働くことで流動抑制の効果が保たれると考えられる。
特にアルカリ可溶性樹脂(1)の場合は、フルオレン環2つがメチレン基で結合された骨格を有しており、主鎖同士はフルオレン環を通じて多点のπ−π相互作用で吸着可能である。更に、この骨格の両側には重合性基(アクリロイル基)が配置されており、お互い近距離に存在することから主鎖間の架橋が進みやすい樹脂となっている。
以上述べてきたように、本発明のアルカリ可溶性樹脂を用いることにより、直線性の悪化を回避しながら、加熱硬化時の線幅変化が制御できる、高精細パターンの形成に適した感光性樹脂組成物が提供可能となる。
10 透明支持基板
100 有機EL素子
20 画素
30 有機保護層
40 無機酸化膜
50 透明陽極
500 有機発光体
51 正孔注入層
52 正孔輸送層
53 発光層
54 電子注入層
55 陰極

Claims (8)

  1. 以下の(I)及び(II)を満足するアルカリ可溶性樹脂。
    (I)軟化点が100℃以下
    (II)動的粘弾性測定にて得られる貯蔵弾性率G’の最小値が2×103Pa以上
  2. 下記一般式(1)で表される部分構造を有する、請求項1に記載のアルカリ可溶性樹脂。
    Figure 2020117570
    (式(1)中、*は結合手を表す。式(1)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。)
  3. 下記一般式(3)で表される部分構造を有する、請求項1又は2に記載のアルカリ可溶性樹脂。
    Figure 2020117570
    (式(3)中、R1は水素原子又はメチル基を表す。*は結合手を表す。)
  4. (a)アルカリ可溶性樹脂、(b)光重合性モノマー、及び(c)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物であって、
    前記(a)アルカリ可溶性樹脂が、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルカリ可溶性樹脂を含む感光性樹脂組成物。
  5. さらに(d)色材を含む、請求項4に記載の感光性樹脂組成物。
  6. 前記(d)色材が黒色顔料を含む、請求項5に記載の感光性樹脂組成物。
  7. 請求項4〜6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を硬化させた硬化物。
  8. 請求項7に記載の硬化物を有する画像表示装置。
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