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JP2020175690A - 制御システム及び制御方法 - Google Patents

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JP2020175690A JP2019077211A JP2019077211A JP2020175690A JP 2020175690 A JP2020175690 A JP 2020175690A JP 2019077211 A JP2019077211 A JP 2019077211A JP 2019077211 A JP2019077211 A JP 2019077211A JP 2020175690 A JP2020175690 A JP 2020175690A
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義樹 高橋
勝一郎 金子
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勝一郎 金子
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Abstract

【課題】本発明は、鞍乗り型車両のリアリフトアップを適切に抑制することができる制御システム及び制御方法を得るものである。【解決手段】本発明に係る制御システム及び制御方法では、サスペンションの減衰力及び鞍乗り型車両に生じる制動力が制御される。また、鞍乗り型車両の後輪が浮き上がるリアリフトアップが抑制されるように鞍乗り型車両に生じる制動力を調整する制動力調整制御が実行され、サスペンションの状態が反映された物理量を用いて制動力調整制御の開始時期が制御される。【選択図】図5

Description

この開示は、鞍乗り型車両のリアリフトアップを適切に抑制することができる制御システム及び制御方法に関する。
モータサイクル等の鞍乗り型車両では、他の車両と比較して、車両の姿勢が不安定になりやすい。ゆえに、鞍乗り型車両に過剰な制動力が生じた際に、後輪が浮き上がるリアリフトアップと呼ばれる現象が生じることがある。鞍乗り型車両の走行の安定性を向上させる観点では、リアリフトアップを抑制することが重要である。例えば、リアリフトアップを抑制するための技術として、特許文献1に開示されているように、リアリフトアップが生じているか否かを判定し、リアリフトアップが生じていると判定された場合に、リアリフトアップが抑制されるように鞍乗り型車両に生じる制動力を調整する技術がある。
国際公開第2010/113308号
ところで、特許文献1に開示されている技術等の従来の技術では、リアリフトアップが生じているか否かの判定が車輪速センサの検出結果を用いて行われることが多かった。つまり、リアリフトアップを抑制するための制動力の制御の開始時期が車輪速センサの検出結果を用いて制御されることが多かった。ここで、車輪速センサの検出結果を用いたリアリフトアップの判定は、例えば、前輪の車輪速と後輪の車輪速との差に基づいて行われる。しかしながら、例えば、リアリフトアップが生じていたとしても前輪の車輪速と後輪の車輪速との差が生じない場合があるので、リアリフトアップが生じているか否かを適切に判定することが困難であった。ゆえに、従来の技術では、リアリフトアップを適切に抑制することが困難であった。
本発明は、上述の課題を背景としてなされたものであり、鞍乗り型車両のリアリフトアップを適切に抑制することができる制御システム及び制御方法を得るものである。
本発明に係る制御システムは、サスペンションを備える鞍乗り型車両の挙動を制御する制御システムであって、前記サスペンションの減衰力及び前記鞍乗り型車両に生じる制動力を制御する制御部を含み、前記制御部は、前記鞍乗り型車両の後輪が浮き上がるリアリフトアップが抑制されるように前記鞍乗り型車両に生じる制動力を調整する制動力調整制御を実行し、前記サスペンションの状態が反映された物理量を用いて前記制動力調整制御の開始時期を制御する。
本発明に係る制御方法は、サスペンションを備える鞍乗り型車両の挙動を制御する制御方法であって、前記サスペンションの減衰力及び前記鞍乗り型車両に生じる制動力は、制御システムにより制御され、前記制御方法は、前記鞍乗り型車両の後輪が浮き上がるリアリフトアップが抑制されるように前記鞍乗り型車両に生じる制動力を調整する制動力調整制御を実行する実行ステップと、前記サスペンションの状態が反映された物理量を用いて前記制動力調整制御の開始時期を調整する調整ステップと、を含む。
本発明に係る制御システム及び制御方法では、サスペンションの減衰力及び鞍乗り型車両に生じる制動力が制御される。また、鞍乗り型車両の後輪が浮き上がるリアリフトアップが抑制されるように鞍乗り型車両に生じる制動力を調整する制動力調整制御が実行され、サスペンションの状態が反映された物理量を用いて制動力調整制御の開始時期が制御される。それにより、リアリフトアップを抑制するための制動力の制御である制動力調整制御の開始時期をリアリフトアップの発生状況(例えば、リアリフトアップが生じる可能性又はリアリフトアップが発生しているか否か)に応じて適正化することができる。よって、鞍乗り型車両のリアリフトアップを適切に抑制することができる。
本発明の実施形態に係る制御システムが搭載されるモータサイクルの概略構成を示す模式図である。 本発明の実施形態に係るブレーキシステムの概略構成を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る制御システムの機能構成の一例を示すブロック図である。 サスペンションの減衰特性について説明するための説明図である。 本発明の実施形態に係る制御システムが行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
以下に、本発明に係る制御システムについて、図面を用いて説明する。なお、以下では、二輪のモータサイクルに用いられる制御システムについて説明しているが、本発明に係る制御システムは、二輪のモータサイクル以外の鞍乗り型車両(例えば、三輪のモータサイクル、バギー車、自転車等)に用いられるものであってもよい。なお、鞍乗り型車両は、ライダーが跨って乗車する車両を意味し、スクーター等も含む。
また、以下では、前輪制動機構及び後輪制動機構が、それぞれ1つずつである場合を説明しているが、前輪制動機構及び後輪制動機構の少なくとも一方が複数であってもよく、また、前輪制動機構及び後輪制動機構の一方が設けられていなくてもよい。
また、以下で説明する構成及び動作等は一例であり、本発明に係る制御システム及び制御方法は、そのような構成及び動作等である場合に限定されない。
また、以下では、同一の又は類似する説明を適宜簡略化又は省略している。また、各図において、同一の又は類似する部材又は部分については、符号を付すことを省略しているか、又は同一の符号を付している。また、細かい構造については、適宜図示を簡略化又は省略している。
<モータサイクルの構成>
図1〜図4を参照して、本発明の実施形態に係る制御システム90が搭載されるモータサイクル100の構成について説明する。
図1は、制御システム90が搭載されるモータサイクル100の概略構成を示す模式図である。図2は、モータサイクル100のブレーキシステム10の概略構成を示す模式図である。図3は、制御システム90の機能構成の一例を示すブロック図である。図4は、サスペンションの減衰特性について説明するための説明図である。
モータサイクル100は、図1に示されるように、胴体1と、胴体1に旋回自在に保持されているハンドル2と、胴体1にハンドル2と共に旋回自在に保持されている前輪3と、胴体1に回動自在に保持されている後輪4と、フロントサスペンション5と、リアサスペンション6と、液圧制御ユニット50を含むブレーキシステム10とを備える。さらに、モータサイクル100は、マスタシリンダ圧センサ41(図2を参照)と、ホイールシリンダ圧センサ42(図2を参照)と、前輪車輪速センサ43と、後輪車輪速センサ44と、フロントストロークセンサ45と、リアストロークセンサ46とを備える。また、モータサイクル100は、図3に示されるように、モータサイクル100の挙動を制御する制御システム90を備える。
フロントサスペンション5及びリアサスペンション6は、モータサイクル100のサスペンションの一例に相当し、胴体1と車輪との間に介在する。具体的には、フロントサスペンション5は、ハンドル2と前輪3とを接続するフロントフォーク7に設けられ、当該フロントサスペンション5の軸方向に沿って伸縮可能になっている。また、リアサスペンション6は、胴体1に搖動可能に支持され後輪4を旋回自在に保持するスイングアーム8と胴体1とを接続し、当該リアサスペンション6の軸方向に沿って伸縮可能になっている。
フロントサスペンション5及びリアサスペンション6の各サスペンションは、具体的には、バネ及びダンパを備えている。当該バネ及び当該ダンパがサスペンションの軸方向に沿って伸縮することによって、路面からの振動が吸収され、モータサイクル100の車体に振動が伝達されることが抑制される。例えば、サスペンションのダンパ内に形成されている作動油の流路に、サスペンションの減衰特性(具体的には、各サスペンションのストローク速度に対する減衰力の特性)を制御するための制御弁が設けられており、当該制御弁の動作が制御されることによって、サスペンションの減衰特性が制御され、ひいてはサスペンションの減衰力が制御されるようになっている。
なお、サスペンションの減衰特性は、上記以外の他の方法(例えば、サスペンションのダンパ内の作動油として磁性流体を用い、ダンパ内に生じる磁界を制御する方法)によって制御されてもよい。
フロントストロークセンサ45は、フロントサスペンション5のストローク量を検出し、検出結果を出力する。フロントストロークセンサ45が、フロントサスペンション5のストローク量に実質的に換算可能な他の物理量(例えば、フロントサスペンション5のストローク加速度又はフロントサスペンション5に掛かる力等)を検出するものであってもよい。フロントストロークセンサ45は、例えば、フロントサスペンション5に設けられている。
リアストロークセンサ46は、リアサスペンション6のストローク量を検出し、検出結果を出力する。リアストロークセンサ46が、リアサスペンション6のストローク量に実質的に換算可能な他の物理量(例えば、リアサスペンション6のストローク加速度又はリアサスペンション6に掛かる力等)を検出するものであってもよい。リアストロークセンサ46は、例えば、リアサスペンション6に設けられている。
ブレーキシステム10は、図1及び図2に示されるように、第1ブレーキ操作部11と、少なくとも第1ブレーキ操作部11に連動して前輪3を制動する前輪制動機構12と、第2ブレーキ操作部13と、少なくとも第2ブレーキ操作部13に連動して後輪4を制動する後輪制動機構14とを備える。また、ブレーキシステム10は、液圧制御ユニット50を備え、前輪制動機構12の一部及び後輪制動機構14の一部は、当該液圧制御ユニット50に含まれる。液圧制御ユニット50は、前輪制動機構12によって前輪3に生じる制動力及び後輪制動機構14によって後輪4に生じる制動力を制御する機能を担うユニットである。
第1ブレーキ操作部11は、ハンドル2に設けられており、ライダーの手によって操作される。第1ブレーキ操作部11は、例えば、ブレーキレバーである。第2ブレーキ操作部13は、胴体1の下部に設けられており、ライダーの足によって操作される。第2ブレーキ操作部13は、例えば、ブレーキペダルである。
前輪制動機構12及び後輪制動機構14のそれぞれは、ピストン(図示省略)を内蔵しているマスタシリンダ21と、マスタシリンダ21に付設されているリザーバ22と、胴体1に保持され、ブレーキパッド(図示省略)を有しているブレーキキャリパ23と、ブレーキキャリパ23に設けられているホイールシリンダ24と、マスタシリンダ21のブレーキ液をホイールシリンダ24に流通させる主流路25と、ホイールシリンダ24のブレーキ液を逃がす副流路26とを備える。
主流路25には、込め弁(EV)31が設けられている。副流路26は、主流路25のうちの、込め弁31に対するホイールシリンダ24側とマスタシリンダ21側との間をバイパスする。副流路26には、上流側から順に、弛め弁(AV)32と、アキュムレータ33と、ポンプ34とが設けられている。
込め弁31は、例えば、非通電状態で開き、通電状態で閉じる電磁弁である。弛め弁32は、例えば、非通電状態で閉じ、通電状態で開く電磁弁である。
液圧制御ユニット50は、込め弁31、弛め弁32、アキュムレータ33及びポンプ34を含むブレーキ液圧を制御するためのコンポーネントと、それらのコンポーネントが設けられ、主流路25及び副流路26を構成するための流路が内部に形成されている基体51とを含む。
なお、基体51は、1つの部材によって形成されていてもよく、複数の部材によって形成されていてもよい。また、基体51が複数の部材によって形成されている場合、各コンポーネントは、異なる部材に分かれて設けられていてもよい。
液圧制御ユニット50の上記のコンポーネントの動作は、制御システム90によって制御される。それにより、モータサイクル100に生じる制動力(具体的には、前輪制動機構12によって前輪3に生じる制動力及び後輪制動機構14によって後輪4に生じる制動力)が制御される。
例えば、通常時(つまり、ライダーによるブレーキ操作に応じた制動力をモータサイクル100に生じさせる時)には、制御システム90によって、込め弁31が開放され、弛め弁32が閉鎖される。その状態で、第1ブレーキ操作部11が操作されると、前輪制動機構12において、マスタシリンダ21のピストン(図示省略)が押し込まれてホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧が増加し、ブレーキキャリパ23のブレーキパッド(図示省略)が前輪3のロータ3aに押し付けられて、前輪3に制動力が生じる。また、第2ブレーキ操作部13が操作されると、後輪制動機構14において、マスタシリンダ21のピストン(図示省略)が押し込まれてホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧が増加し、ブレーキキャリパ23のブレーキパッド(図示省略)が後輪4のロータ4aに押し付けられて、後輪4に制動力が生じる。
マスタシリンダ圧センサ41は、マスタシリンダ21のブレーキ液の液圧を検出し、検出結果を出力する。マスタシリンダ圧センサ41が、マスタシリンダ21のブレーキ液の液圧に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。マスタシリンダ圧センサ41は、前輪制動機構12及び後輪制動機構14のそれぞれに設けられている。
ホイールシリンダ圧センサ42は、ホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧を検出し、検出結果を出力する。ホイールシリンダ圧センサ42が、ホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。ホイールシリンダ圧センサ42は、前輪制動機構12及び後輪制動機構14のそれぞれに設けられている。
前輪車輪速センサ43は、前輪3の車輪速(例えば、前輪3の単位時間当たりの回転数[rpm]又は単位時間当たりの移動距離[km/h]等)を検出する車輪速センサであり、検出結果を出力する。前輪車輪速センサ43が、前輪3の車輪速に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。前輪車輪速センサ43は、前輪3に設けられている。
後輪車輪速センサ44は、後輪4の車輪速(例えば、後輪4の単位時間当たりの回転数[rpm]又は単位時間当たりの移動距離[km/h]等)を検出する車輪速センサであり、検出結果を出力する。後輪車輪速センサ44が、後輪4の車輪速に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。後輪車輪速センサ44は、後輪4に設けられている。
制御システム90は、モータサイクル100における各装置の動作を制御することによって、モータサイクル100の挙動を制御する。
制御システム90は、1つの制御装置で構成されていてもよく、複数の制御装置で構成されていてもよい。また、制御システム90を構成する制御装置の一部又は全ては、例えば、マイコン、マイクロプロセッサユニット等で構成されていてもよく、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。
制御システム90は、図3に示されるように、例えば、取得部91と、制御部92とを備える。なお、制御システム90が複数の制御装置で構成される場合、取得部91及び制御部92の各機能部は、1つの制御装置に纏められていてもよく、複数の制御装置に分かれて設けられていてもよい。例えば、後述するサスペンション制御部92aと制動制御部92bとが、別々の制御装置に分かれて設けられていてもよい。
取得部91は、モータサイクル100に搭載されている各装置から出力される情報を取得し、制御部92へ出力する。例えば、取得部91は、マスタシリンダ圧センサ41、ホイールシリンダ圧センサ42、前輪車輪速センサ43、後輪車輪速センサ44、フロントストロークセンサ45及びリアストロークセンサ46から出力される情報を取得する。
制御部92は、モータサイクル100のサスペンションの減衰力及びモータサイクル100に生じる制動力を制御する。制御部92は、例えば、サスペンション制御部92aと、制動制御部92bとを含む。
サスペンション制御部92aは、フロントサスペンション5及びリアサスペンション6の減衰特性を制御することによって、フロントサスペンション5及びリアサスペンション6の減衰力を制御する。
サスペンションの減衰力は、具体的には、ストローク速度の正負(つまり、サスペンションのストロークする方向)に応じた方向に生じる。また、サスペンションの減衰力の大きさ(絶対値)は、一般的に、ストローク速度の大きさ(絶対値)が大きいほど大きくなる。例えば、図4では、サスペンションの減衰特性として、減衰特性C1,C2,C3が例示されている。なお、図4では、横軸をストローク速度Vとし、縦軸を減衰力Fとして、各減衰特性が示されている。
図4に示される例では、同一のストローク速度について生じる減衰力の大きさは、減衰特性C1,C2,C3の順に順次小さくなっている。ゆえに、例えば、サスペンションの減衰特性を減衰特性C2から減衰特性C1に変更することによって、サスペンションの減衰力を強くする(つまり、サスペンションを硬くする)ことができる。一方、サスペンションの減衰特性を減衰特性C2から減衰特性C3に変更することによって、サスペンションの減衰力を弱く(つまり、サスペンションを柔らかくする)することができる。なお、図4では、理解を容易にするために、3つの減衰特性が離散的に示されているが、フロントサスペンション5及びリアサスペンション6の減衰特性は、連続的に変更可能になっていてもよい。
具体的には、サスペンション制御部92aは、モータサイクル100のピッチング(つまり、車両左右方向の軸を中心に回動する方向にモータサイクル100の姿勢が変化すること)が抑制されるようにフロントサスペンション5及びリアサスペンション6の減衰力を制御する。例えば、サスペンション制御部92aは、フロントストロークセンサ45により検出されるフロントサスペンション5のストローク量及びリアストロークセンサ46により検出されるリアサスペンション6のストローク量を用いてフロントサスペンション5及びリアサスペンション6の減衰力を制御することによって、モータサイクル100のピッチングを抑制することができる。詳細には、サスペンション制御部92aは、例えば、モータサイクル100のピッチングが大きいほど、フロントサスペンション5及びリアサスペンション6を硬くすることによって、モータサイクル100のピッチングを抑制することができる。
制動制御部92bは、ブレーキシステム10の液圧制御ユニット50の各コンポーネントの動作を制御することによって、モータサイクル100に生じる制動力を制御する。
通常時には、制動制御部92bは、上述したように、ライダーのブレーキ操作に応じた制動力がモータサイクル100に生じるように、液圧制御ユニット50の各コンポーネントの動作を制御する。一方、制動制御部92bは、特定の状況下において、モータサイクル100に生じる制動力をライダーのブレーキ操作に応じた制動力から調整する制御を行う。
例えば、制動制御部92bは、込め弁31が閉鎖され、弛め弁32が開放された状態にし、その状態で、ポンプ34を駆動することにより、ホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧を減少させて車輪に生じる制動力を減少させることができる。また、例えば、制動制御部92bは、上記の状態から込め弁31及び弛め弁32の双方を閉鎖することにより、ホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧を保持し車輪に生じる制動力を保持することができる。また、例えば、制動制御部92bは、上記の状態から込め弁31を開放し、弛め弁32を閉鎖することにより、ホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧を増大させて車輪に生じる制動力を増大させることができる。
制動制御部92bは、モータサイクル100に生じる制動力をライダーのブレーキ操作に応じた制動力から調整する制御として、例えば、モータサイクル100の制動時の車輪のロックを抑制するアンチロックブレーキ制御を実行する。
例えば、制動制御部92bは、モータサイクル100の制動時に車輪のスリップ率(つまり、車速と車輪速との差を車速で除して得られる値)が基準スリップ率を超えた場合に、アンチロックブレーキ制御を実行する。ここで、基準スリップ率は、車輪にロック又はロックの可能性が生じる程度にスリップ率が大きいか否かを適切に判断し得るように設定される値であり、車両の仕様に応じて適宜設定され得る。なお、制動制御部92bは、例えば、前輪車輪速センサ43及び後輪車輪速センサ44を用いることによって、スリップ率を推定することができる。そして、制動制御部92bは、アンチロックブレーキ制御において、当該制御の対象の車輪に生じる制動力を低下させる。
ここで、制動制御部92bは、モータサイクル100に生じる制動力をライダーのブレーキ操作に応じた制動力から調整する制御として、後輪4が浮き上がるリアリフトアップが抑制されるようにモータサイクル100に生じる制動力を調整する制動力調整制御を実行する。
例えば、制動制御部92bは、制動力調整制御において、モータサイクル100に生じる制動力を制動力調整制御の開始前よりも小さくする。上述したように、リアリフトアップは、モータサイクル100に過剰な制動力が生じた際に生じる。ここで、モータサイクル100に生じる制動力を制動力調整制御の開始前よりも小さくすることによって、モータサイクル100に過剰な制動力が生じることを効果的に抑制することができる。ゆえに、リアリフトアップを効果的に抑制することができる。
また、例えば、制動制御部92bは、制動力調整制御において、モータサイクル100に生じる制動力を基準制動力よりも小さい値に維持する。基準制動力は、具体的には、モータサイクル100に生じる制動力を増大させていく過程においてリアリフトアップが生じる際に想定される制動力に設定される。ここで、モータサイクル100に生じる制動力を基準制動力よりも小さい値に維持することによって、モータサイクル100に過剰な制動力が生じることを抑制しつつ、モータサイクル100に生じる制動力が過度に小さくなることを抑制することができる。ゆえに、リアリフトアップを抑制しつつ、制動距離の増大を抑制することができる。
上記のように、制御システム90では、制御部92は、リアリフトアップが抑制されるようにモータサイクル100に生じる制動力を調整する制動力調整制御を実行する。ここで、制御部92は、モータサイクル100のサスペンションの状態が反映された物理量を用いて制動力調整制御の開始時期を制御する。それにより、モータサイクル100のリアリフトアップを適切に抑制することが実現される。このような制御システム90が行うリアリフトアップを抑制するための制御に関する処理については、後述にて詳細に説明する。
<制御システムの動作>
図5を参照して、本発明の実施形態に係る制御システム90の動作について説明する。
図5は、制御システム90が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。具体的には、図5に示される制御フローは、制御システム90の制御部92により行われるリアリフトアップを抑制するための制御に関する処理の流れに相当し、繰り返し実行される。また、図5におけるステップS510及びステップS590は、図5に示される制御フローの開始及び終了にそれぞれ対応する。
図5に示される制御フローが開始されると、ステップS511において、制御部92は、リアリフトアップが生じる可能性が基準より高いか否かを判定する。リアリフトアップが生じる可能性が基準より高いと判定された場合(ステップS511/YES)、ステップS512に進む。一方、リアリフトアップが生じる可能性が基準以下であると判定された場合(ステップS511/NO)、ステップS511の処理が繰り返される。
具体的には、制御部92は、モータサイクル100のサスペンションの状態が反映された物理量に基づいて、リアリフトアップが生じる可能性を判定する。ここで、リアリフトアップが生じる可能性はモータサイクル100のピッチ方向の姿勢に応じて変動し、モータサイクル100のピッチ方向の姿勢はサスペンションの状態に応じて変動する。ゆえに、サスペンションの状態が反映された物理量に基づいてリアリフトアップが生じる可能性を判定することによって、モータサイクル100のピッチ方向の姿勢に応じてリアリフトアップが生じる可能性を適切に判定することができる。
ここで、リアリフトアップが生じる可能性をより適切に判定する観点では、制御部92は、モータサイクル100のサスペンションの状態としてサスペンションのストローク量が反映されている物理量に基づいて、リアリフトアップが生じる可能性を判定することが好ましい。例えば、制御部92は、このような物理量として、フロントストロークセンサ45により検出されるフロントサスペンション5のストローク量及びリアストロークセンサ46により検出されるリアサスペンション6のストローク量を用いて、リアリフトアップが生じる可能性を判定することができる。
詳細には、制御部92は、例えば、フロントサスペンション5のストローク量が維持されている一方でリアサスペンション6が伸び続けている場合に、リアリフトアップが生じる可能性があると判定し、さらに、リアサスペンション6のストローク速度が速い場合、リアリフトアップが生じる可能性が高いと判定することができる。
また、リアリフトアップが生じる可能性をさらに適切に判定する観点では、制御部92は、モータサイクル100のサスペンションのストローク量が反映されている物理量として、モータサイクル100の重心位置を用いて、リアリフトアップが生じる可能性を判定することがより好ましい。例えば、制御部92は、フロントストロークセンサ45により検出されるフロントサスペンション5のストローク量及びリアストロークセンサ46により検出されるリアサスペンション6のストローク量に基づいてモータサイクル100の重心位置を推定し、推定された重心位置を用いてリアリフトアップが生じる可能性を判定することができる。
詳細には、モータサイクル100の自重により生じる前輪3まわりの力のモーメントは、モータサイクル100の重心位置に応じて変化する。ここで、リアリフトアップが生じる可能性は、モータサイクル100の自重により生じる前輪3まわりの力のモーメントに応じて変動する。ゆえに、モータサイクル100の重心位置を用いてリアリフトアップが生じる可能性を判定することによって、モータサイクル100の自重により生じる前輪3まわりの力のモーメントに応じてリアリフトアップが生じる可能性を適切に判定することができる。
なお、リアリフトアップが生じる可能性が基準より高いか否かの判定における基準は、リアリフトアップが抑制される確実性を向上させる観点とリアリフトアップを抑制するための制御が不要に実行される頻度を低減する観点とのバランスから適宜設定され得る。具体的には、上記判定における基準を低く設定するほど、リアリフトアップが抑制される確実性を向上させる効果が増大する一方で、リアリフトアップを抑制するための制御が不要に実行される頻度も増大する。また、上記判定における基準を高く設定するほど、リアリフトアップが抑制される確実性を向上させる効果が減少する一方で、リアリフトアップを抑制するための制御が不要に実行される頻度も減少する。
ステップS511でYESと判定された場合、ステップS512において、制御部92は、減衰力調整制御を実行する。減衰力調整制御は、リアリフトアップが抑制されるようにサスペンションの減衰力を調整する制御である。
例えば、制御部92は、減衰力調整制御において、リアサスペンション6を柔らかくする。それにより、後輪4を地面に追従させやすくすることができるので、車体安定性に寄与することができる。なお、減衰力調整制御は上記の例に特に限定されず、例えば、状況によってはリアサスペンション6を硬くすることによりリアリフトアップが抑制される場合もあるので、減衰力調整制御において、リアサスペンション6を硬くしてもよい。
次に、ステップS513において、制御部92は、リアリフトアップが生じる可能性が基準より高いか否かを判定する。リアリフトアップが生じる可能性が基準より高いと判定された場合(ステップS513/YES)、ステップS514に進む。一方、リアリフトアップが生じる可能性が基準以下であると判定された場合(ステップS513/NO)、図5に示される制御フローは終了する。
具体的には、制御部92は、ステップS511と同様に、モータサイクル100のサスペンションの状態が反映された物理量に基づいて、リアリフトアップが生じる可能性を判定する。
なお、リアリフトアップが生じる可能性が基準より高いか否かの判定における基準は、リアリフトアップが抑制される確実性を向上させる観点とリアリフトアップを抑制するための制御が不要に実行される頻度を低減する観点とのバランスから適宜設定され得る。ここで、ステップS513の判定における基準は、ステップS511の判定における基準と同程度であってもよく、異なっていても(例えば、ステップS511の判定における基準よりも高くなっていても)よい。
ステップS513でYESと判定された場合、ステップS514において、制御部92は、制動力調整制御を開始する。制動力調整制御は、上述したように、リアリフトアップが抑制されるようにモータサイクル100に生じる制動力を調整する制御である。
このように、制御部92は、モータサイクル100のサスペンションの状態が反映された物理量を用いて制動力調整制御の開始時期を制御する。それにより、前輪車輪速センサ43及び後輪車輪速センサ44等の車輪速センサの検出結果を用いて制動力調整制御の開始時期を制御する場合と比較して、リアリフトアップを抑制するための制動力の制御である制動力調整制御の開始時期をリアリフトアップの発生状況(例えば、図5に示される制御フローでは、リアリフトアップが生じる可能性)に応じて適正化することができる。
例えば、上述したように、図5に示される制御フローでは、制御部92は、モータサイクル100のサスペンションの状態が反映された物理量に基づいてリアリフトアップが生じる可能性を判定し、リアリフトアップが生じる可能性が基準より高いと判定された場合に、制動力調整制御を開始する。それにより、リアリフトアップが生じる可能性が基準より高いことを適切に判定した上で制動力調整制御を開始することができる。
なお、モータサイクル100のサスペンションの状態が反映された物理量を用いて制御される制動力調整制御の開始時期は、上記の例に特に限定されない。例えば、制御部92は、モータサイクル100のサスペンションの状態が反映された物理量に基づいてリアリフトアップが生じているか否かを判定し、リアリフトアップが生じていると判定された場合に、制動力調整制御を開始してもよい。
ここで、リアリフトアップが生じている場合とリアリフトアップが生じていない場合とではモータサイクル100のピッチ方向の姿勢が異なり、モータサイクル100のピッチ方向の姿勢はサスペンションの状態に応じて変動する。ゆえに、サスペンションの状態が反映された物理量に基づいてリアリフトアップが生じるか否か判定することによって、モータサイクル100のピッチ方向の姿勢に応じてリアリフトアップが生じるか否かを適切に判定することができる。よって、モータサイクル100のサスペンションの状態が反映された物理量に基づいてリアリフトアップが生じているか否かを判定し、リアリフトアップが生じていると判定された場合に、制動力調整制御を開始することによって、リアリフトアップが生じていることを適切に判定した上で制動力調整制御を開始することができる。
ここで、制動力調整制御によるリアリフトアップの抑制を適切に実現する観点では、制御部92はモータサイクル100のサスペンションの状態が反映された物理量を用いて制動力調整制御における制動力の変化度合いを制御することが好ましい。例えば、上記物理量に基づいて判定されるリアリフトアップが生じる可能性が高いほど、制動力調整制御における制動力の変化度合い(例えば、制動力の低下量)を大きくすることによって、制動力調整制御によるリアリフトアップの抑制を適切に実現することができる。
次に、ステップS515において、制御部92は、リアリフトアップが生じる可能性が基準より低いか否かを判定する。リアリフトアップが生じる可能性が基準より低いと判定された場合(ステップS515/YES)、ステップS516に進む。一方、リアリフトアップが生じる可能性が基準以上であると判定された場合(ステップS515/NO)、ステップS515の処理が繰り返される。
具体的には、制御部92は、ステップS511と同様に、モータサイクル100のサスペンションの状態が反映された物理量に基づいて、リアリフトアップが生じる可能性を判定する。
なお、リアリフトアップが生じる可能性が基準より低いか否かの判定における基準は、リアリフトアップが抑制される確実性を向上させる観点とリアリフトアップを抑制するための制御が不要に継続されることを抑制する観点とのバランスから適宜設定され得る。具体的には、上記判定における基準を低く設定するほど、リアリフトアップが抑制される確実性を向上させる効果が増大する一方で、リアリフトアップを抑制するための制御が不要に継続されることを抑制する効果は低減する。また、上記判定における基準を高く設定するほど、リアリフトアップが抑制される確実性を向上させる効果が減少する一方で、リアリフトアップを抑制するための制御が不要に継続されることを抑制する効果は増大する。ここで、ステップS515の判定における基準は、ステップS511又はステップS513の判定における基準と同程度であってもよく、異なっていてもよい。
ステップS515でYESと判定された場合、ステップS516において、制御部92は、制動力調整制御を終了する。
このように、制御部92は、モータサイクル100のサスペンションの状態が反映された物理量を用いて制動力調整制御の終了時期を制御することが好ましい。それにより、前輪車輪速センサ43及び後輪車輪速センサ44等の車輪速センサの検出結果を用いて制動力調整制御の終了時期を制御する場合と比較して、リアリフトアップを抑制するための制動力の制御である制動力調整制御の終了時期をリアリフトアップの発生状況(例えば、図5に示される制御フローでは、リアリフトアップが生じる可能性)に応じて適正化することができる。よって、モータサイクル100のリアリフトアップをより適切に抑制することができる。
例えば、上述したように、図5に示される制御フローでは、制御部92は、モータサイクル100のサスペンションの状態が反映された物理量に基づいてリアリフトアップが生じる可能性を判定し、リアリフトアップが生じる可能性が基準より低いと判定された場合に、制動力調整制御を終了する。それにより、リアリフトアップが生じる可能性が基準より低いことを適切に判定した上で制動力調整制御を終了することができる。
なお、モータサイクル100のサスペンションの状態が反映された物理量を用いて制御される制動力調整制御の終了時期は、上記の例に特に限定されない。例えば、制御部92は、モータサイクル100のサスペンションの状態が反映された物理量に基づいてリアリフトアップが生じているか否かを判定し、リアリフトアップが生じていないと判定された場合に、制動力調整制御を終了してもよい。それにより、リアリフトアップが生じていないことを適切に判定した上で制動力調整制御を終了することができる。
次に、図5に示される制御フローは終了する。
上記のように、図5に示される制御フローでは、制御部92は、モータサイクル100のサスペンションの状態が反映された物理量に基づいてリアリフトアップが生じる可能性を判定し、リアリフトアップが生じる可能性が基準より高いと判定された場合、制動力調整制御を開始するよりも前に減衰力調整制御を実行する。それにより、減衰力調整制御によってリアリフトアップを十分に抑制することができる状況下において制動力調整制御が実行されることを回避することができる。ゆえに、制動力調整制御が実行されることによる制動距離の増大を抑制することができる。
<制御システムの効果>
本発明の実施形態に係る制御システム90の効果について説明する。
制御システム90は、モータサイクル100のサスペンションの減衰力及びモータサイクル100に生じる制動力を制御する制御部92を含み、制御部92は、モータサイクル100の後輪4が浮き上がるリアリフトアップが抑制されるようにモータサイクル100に生じる制動力を調整する制動力調整制御を実行する。ここで、制御部92は、モータサイクル100のサスペンションの状態が反映された物理量を用いて制動力調整制御の開始時期を制御する。それにより、前輪車輪速センサ43及び後輪車輪速センサ44等の車輪速センサの検出結果を用いて制動力調整制御の開始時期を制御する場合と比較して、リアリフトアップを抑制するための制動力の制御である制動力調整制御の開始時期をリアリフトアップの発生状況(例えば、リアリフトアップが生じる可能性又はリアリフトアップが発生しているか否か)に応じて適正化することができる。よって、モータサイクル100のリアリフトアップを適切に抑制することができる。
好ましくは、制御システム90では、制御部92は、モータサイクル100のサスペンションの状態が反映された物理量に基づいてリアリフトアップが生じる可能性を判定し、リアリフトアップが生じる可能性が基準より高いと判定された場合に、制動力調整制御を開始する。それにより、リアリフトアップが生じる可能性が基準より高いことを適切に判定した上で制動力調整制御を開始することができるので、モータサイクル100のリアリフトアップを未然に適切に抑制することができる。
好ましくは、制御システム90では、制御部92は、モータサイクル100のサスペンションの状態が反映された物理量に基づいてリアリフトアップが生じているか否かを判定し、リアリフトアップが生じていると判定された場合に、制動力調整制御を開始する。それにより、リアリフトアップが生じていることを適切に判定した上で制動力調整制御を開始することができるので、制動力調整制御が実行されることによる制動距離の増大を抑制しつつ、モータサイクル100のリアリフトアップを適切に抑制することができる。
好ましくは、制御システム90では、制御部92は、モータサイクル100のサスペンションの状態が反映された物理量に基づいてリアリフトアップが生じる可能性を判定し、リアリフトアップが生じる可能性が基準より高いと判定された場合、制動力調整制御を開始するよりも前に、リアリフトアップが抑制されるようにサスペンションの減衰力を調整する減衰力調整制御を実行する。それにより、減衰力調整制御によってリアリフトアップを十分に抑制することができる状況下において制動力調整制御が実行されることを回避することができるので、制動力調整制御が実行されることによる制動距離の増大を抑制することができる。一方、減衰力調整制御によってリアリフトアップを十分に抑制することが困難な状況下においては、制動力調整制御を実行することによってリアリフトアップを適切に抑制することができる。
好ましくは、制御システム90では、制御部92は、モータサイクル100のサスペンションの状態が反映された物理量を用いて制動力調整制御の終了時期を制御する。それにより、前輪車輪速センサ43及び後輪車輪速センサ44等の車輪速センサの検出結果を用いて制動力調整制御の終了時期を制御する場合と比較して、リアリフトアップを抑制するための制動力の制御である制動力調整制御の終了時期をリアリフトアップの発生状況に応じて適正化することができる。よって、モータサイクル100のリアリフトアップをより適切に抑制することができる。
好ましくは、制御システム90では、制御部92は、モータサイクル100のサスペンションの状態が反映された物理量に基づいてリアリフトアップが生じる可能性を判定し、リアリフトアップが生じる可能性が基準より低いと判定された場合に、制動力調整制御を終了する。それにより、リアリフトアップが生じる可能性が基準より低いことを適切に判定した上で制動力調整制御を終了することができるので、モータサイクル100のリアリフトアップをより効果的に抑制することができる。
好ましくは、制御システム90では、制御部92は、モータサイクル100のサスペンションの状態が反映された物理量に基づいてリアリフトアップが生じているか否かを判定し、リアリフトアップが生じていないと判定された場合に、制動力調整制御を終了する。それにより、リアリフトアップが生じていないことを適切に判定した上で制動力調整制御を終了することができるので、制動力調整制御が実行されることによる制動距離の増大を抑制しつつ、モータサイクル100のリアリフトアップを適切に抑制することができる。
好ましくは、制御システム90では、制御部92はモータサイクル100のサスペンションの状態が反映された物理量を用いて制動力調整制御における制動力の変化度合いを制御する。それにより、制動力調整制御における制動力の変化度合いをリアリフトアップの発生状況に応じて適正化することができるので、制動力調整制御によるリアリフトアップの抑制を適切に実現することができる。
好ましくは、制御システム90では、物理量には、モータサイクル100のサスペンションのストローク量が反映されている。それにより、上述したように、リアリフトアップの発生状況(例えば、図5に示される制御フローでは、リアリフトアップが生じる可能性)をより適切に判定することができる。ゆえに、モータサイクル100のサスペンションのストローク量が反映されている物理量を用いて制動力調整制御の開始時期を制御することによって、制動力調整制御の開始時期をリアリフトアップの発生状況に応じて適正化することをより適切に実現することができる。
好ましくは、制御システム90では、物理量は、モータサイクル100の重心位置である。それにより、上述したように、リアリフトアップの発生状況(例えば、図5に示される制御フローでは、リアリフトアップが生じる可能性)をさらに適切に判定することができる。ゆえに、モータサイクル100のサスペンションのストローク量が反映されている物理量として、モータサイクル100の重心位置を用いて、制動力調整制御の開始時期を制御することによって、制動力調整制御の開始時期をリアリフトアップの発生状況に応じて適正化することをさらに適切に実現することができる。
好ましくは、制御システム90では、制御部92は、制動力調整制御において、モータサイクル100に生じる制動力を制動力調整制御の開始前よりも小さくする。それにより、モータサイクル100に過剰な制動力が生じることを効果的に抑制することができる。ゆえに、リアリフトアップを効果的に抑制することができる。
好ましくは、制御システム90では、制御部92は、制動力調整制御において、モータサイクル100に生じる制動力を基準制動力よりも小さい値に維持する。それにより、モータサイクル100に過剰な制動力が生じることを抑制しつつ、モータサイクル100に生じる制動力が過度に小さくなることを抑制することができる。ゆえに、リアリフトアップを抑制しつつ、制動距離の増大を抑制することができる。
本発明は各実施の形態の説明に限定されない。例えば、各実施の形態の全て又は一部が組み合わされてもよく、また、各実施の形態の一部のみが実施されてもよい。
1 胴体、2 ハンドル、3 前輪、3a ロータ、4 後輪、4a ロータ、5 フロントサスペンション、6 リアサスペンション、7 フロントフォーク、8 スイングアーム、10 ブレーキシステム、11 第1ブレーキ操作部、12 前輪制動機構、13 第2ブレーキ操作部、14 後輪制動機構、21 マスタシリンダ、22 リザーバ、23 ブレーキキャリパ、24 ホイールシリンダ、25 主流路、26 副流路、31 込め弁、32 弛め弁、33 アキュムレータ、34 ポンプ、41 マスタシリンダ圧センサ、42 ホイールシリンダ圧センサ、43 前輪車輪速センサ、44 後輪車輪速センサ、45 フロントストロークセンサ、46 リアストロークセンサ、50 液圧制御ユニット、51 基体、90 制御システム、91 取得部、92 制御部、92a サスペンション制御部、92b 制動制御部、100 モータサイクル。

Claims (13)

  1. サスペンション(5,6)を備える鞍乗り型車両(100)の挙動を制御する制御システム(90)であって、
    前記サスペンション(5,6)の減衰力及び前記鞍乗り型車両(100)に生じる制動力を制御する制御部(92)を含み、
    前記制御部(92)は、
    前記鞍乗り型車両(100)の後輪(4)が浮き上がるリアリフトアップが抑制されるように前記鞍乗り型車両(100)に生じる制動力を調整する制動力調整制御を実行し、
    前記サスペンション(5,6)の状態が反映された物理量を用いて前記制動力調整制御の開始時期を制御する、
    制御システム。
  2. 前記制御部(92)は、
    前記物理量に基づいて、前記リアリフトアップが生じる可能性を判定し、
    前記リアリフトアップが生じる可能性が基準より高いと判定された場合に、前記制動力調整制御を開始する、
    請求項1に記載の制御システム。
  3. 前記制御部(92)は、
    前記物理量に基づいて、前記リアリフトアップが生じているか否かを判定し、
    前記リアリフトアップが生じていると判定された場合に、前記制動力調整制御を開始する、
    請求項1に記載の制御システム。
  4. 前記制御部(92)は、
    前記物理量に基づいて、前記リアリフトアップが生じる可能性を判定し、
    前記リアリフトアップが生じる可能性が基準より高いと判定された場合、前記制動力調整制御を開始するよりも前に、前記リアリフトアップが抑制されるように前記サスペンション(5,6)の減衰力を調整する減衰力調整制御を実行する、
    請求項2又は3に記載の制御システム。
  5. 前記制御部(92)は、前記物理量を用いて前記制動力調整制御の終了時期を制御する、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の制御システム。
  6. 前記制御部(92)は、
    前記物理量に基づいて、前記リアリフトアップが生じる可能性を判定し、
    前記リアリフトアップが生じる可能性が基準より低いと判定された場合に、前記制動力調整制御を終了する、
    請求項5に記載の制御システム。
  7. 前記制御部(92)は、
    前記物理量に基づいて、前記リアリフトアップが生じているか否かを判定し、
    前記リアリフトアップが生じていないと判定された場合に、前記制動力調整制御を終了する、
    請求項5に記載の制御システム。
  8. 前記制御部(92)は、前記物理量を用いて前記制動力調整制御における制動力の変化度合いを制御する、
    請求項1〜7のいずれか一項に記載の制御システム。
  9. 前記物理量には、前記サスペンション(5,6)のストローク量が反映されている、
    請求項1〜8のいずれか一項に記載の制御システム。
  10. 前記物理量は、前記鞍乗り型車両(100)の重心位置である、
    請求項9に記載の制御システム。
  11. 前記制御部(92)は、前記制動力調整制御において、前記鞍乗り型車両(100)に生じる制動力を前記制動力調整制御の開始前よりも小さくする、
    請求項1〜10のいずれか一項に記載の制御システム。
  12. 前記制御部(92)は、前記制動力調整制御において、前記鞍乗り型車両(100)に生じる制動力を基準制動力よりも小さい値に維持する、
    請求項1〜10のいずれか一項に記載の制御システム。
  13. サスペンション(5,6)を備える鞍乗り型車両(100)の挙動を制御する制御方法であって、
    前記サスペンション(5,6)の減衰力及び前記鞍乗り型車両(100)に生じる制動力は、制御システム(90)により制御され、
    前記制御方法は、
    前記鞍乗り型車両(100)の後輪(4)が浮き上がるリアリフトアップが抑制されるように前記鞍乗り型車両(100)に生じる制動力を調整する制動力調整制御を実行する実行ステップと(S514)、
    前記サスペンション(5,6)の状態が反映された物理量を用いて前記制動力調整制御の開始時期を調整する調整ステップ(S513)と、
    を含む、
    制御方法。
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