JP2020172425A - リチウム金属複合酸化物粉末、リチウム二次電池用正極活物質、及びリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法 - Google Patents
リチウム金属複合酸化物粉末、リチウム二次電池用正極活物質、及びリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】リチウム金属複合酸化物粉末の提供。【解決手段】層状構造を有し、少なくともLiとNiと元素Xを含むリチウム金属複合酸化物粉末であって、下記に定義するRの累積頻度分布曲線において、全体を100%としたときに、前記Rの小さい側からの累積頻度が90%となる点のRの値R(90)が1.7以上3.7以下であるリチウム金属複合酸化物粉末。Rとは、リチウム金属複合酸化物粉末に含まれるリチウム金属複合酸化物一粒子における、ニッケルと元素Xとの物質量の総和(Ni+X)に対する酸素の物質量(O)の比(O/(Ni+X))である。ニッケル、元素X及び酸素の物質量は、リチウム金属複合酸化物一粒子について、加速電圧を1100Vとしたエネルギー分散型X線(EDX)分光法により求める。【選択図】なし
Description
本発明は、リチウム金属複合酸化物粉末、リチウム二次電池用正極活物質、及びリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法に関する。
リチウム二次電池用正極活物質には、リチウム金属複合酸化物粉末が用いられている。
リチウム二次電池は、既に携帯電話用途やノートパソコン用途などの小型電源だけでなく、自動車用途や電力貯蔵用途などの中型又は大型電源においても、実用化が進んでおり、更なる高容量化や長期耐久性が求められている。
リチウム二次電池は、既に携帯電話用途やノートパソコン用途などの小型電源だけでなく、自動車用途や電力貯蔵用途などの中型又は大型電源においても、実用化が進んでおり、更なる高容量化や長期耐久性が求められている。
リチウム金属複合酸化物粉末については、これまで種々の検討がなされている。例えば特許文献1には、リチウム二次電池の高容量化、長期保存性およびサイクル寿命の改善を目的に、ニッケルの価数が2.0〜2.5価、およびマンガンの価数が3.5〜4.0価であるリチウムイオン含有複合酸化物からなる正極活物質が記載されている。
また特許文献2には、自己放電抑制を目的に、LiNiO2粉末あるいはLiNi1−xMxO2(ただし、0<x≦0.4、M=Co、Mn、B、Al、V、P、Mg、Tiの1種以上)中の硫黄含有量を0.5重量%以下とした正極活物質が記載されている。
また特許文献2には、自己放電抑制を目的に、LiNiO2粉末あるいはLiNi1−xMxO2(ただし、0<x≦0.4、M=Co、Mn、B、Al、V、P、Mg、Tiの1種以上)中の硫黄含有量を0.5重量%以下とした正極活物質が記載されている。
特許文献1又は2に記載の発明では、自己放電抑制の観点からは、さらなる改良の余地があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、自己放電量が少ないリチウム金属複合酸化物粉末、リチウム二次電池用正極活物質、及びリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[27]の発明を包含する。
[1]層状構造を有し、少なくともLiとNiと元素X(元素XはCo、Mn、Fe、Cu、Ti、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Cr、Ga、Ge、Pd、Ag、Cd、In、V、B、Si、S、F及びPからなる群より選択される1種以上の元素)を含むリチウム金属複合酸化物粉末であって、下記に定義するRの累積頻度分布曲線において、全体を100%としたときに、前記Rの小さい側からの累積頻度が90%となる点のRの値R(90)が1.7以上3.7以下であるリチウム金属複合酸化物粉末。Rとは、リチウム金属複合酸化物粉末に含まれるリチウム金属複合酸化物一粒子における、ニッケルと元素Xとの物質量の総和(Ni+X)に対する酸素の物質量(O)の比(O/(Ni+X))である。
ニッケル、元素X及び酸素の物質量は、リチウム金属複合酸化物一粒子について、加速電圧を1100Vとしたエネルギー分散型X線(EDX)分光法により求める。
[2]前記Rの累積頻度分布曲線において、全体を100%としたときに、前記Rの小さい側からの累積頻度が10%となる点のRの値R(10)が1.1以上3.3以下である、[1]に記載のリチウム金属複合酸化物粉末。
[3]前記Rの累積頻度分布曲線において、全体を100%としたときに、前記Rの小さい側からの累積頻度が50%となる点のRの値R(50)が1.5以上2.7以下である、[1]または[2]に記載のリチウム金属複合酸化物粉末。
[4]下記式(I)を満たす[1]〜[3]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物粉末。
Li[Lim(Ni(1−n)Xn)1−m]O2 ・・・(I)
(−0.1≦m≦0.2、0<n≦0.7である。)
[5]前記式(I)のmが0<m≦0.2である、[4]に記載のリチウム金属複合酸化物粉末。
[6]コア粒子と被覆物とを備える、[1]〜[5]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物粉末。
[7]前記被覆物は、Liと元素Mとのリチウム含有複合化合物を含む[6]に記載のリチウム金属複合酸化物粉末。ただし、元素MはAl、B、Si、S、Nb、F及びPから選ばれる1種以上である。
[8]さらに単粒子を含む、[1]〜[7]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物粉末。
[9]粒度分布測定値から求めた10%累積径(D10)、50%累積径(D50)および90%累積径(D90)において、50%累積径(D50)が0.5μm以上10μm以下であり、さらに、下記式(A)の関係を満たす、[1]〜[8]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物粉末。
0.3≦(D90−D10)/D50≦3・・・(A)
[10][1]〜[9]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物粉末を含有するリチウム二次電池用正極活物質。
[11]下記工程(a)〜工程(c)を以下の順で備える、リチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
工程(a)少なくともNiを含有する前駆体と、Liを含有するリチウム化合物を混合して焼成し、原料化合物を得る工程。
工程(b)Al、B、Si、S、Nb、F及びPからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素Mを含む被覆原料と、前記原料化合物を接触させ、原料混合物を得る工程。
工程(c)前記原料混合物を200℃以上から600℃以下の温度で熱処理する工程。
[12]前記工程(b)は、前記元素Mを含む被覆原料溶液1を前記原料化合物に接触させ、原料混合物を得る工程(b1)であって、前記工程(b1)の後、前記工程(c)の前に、前記原料混合物中に含まれる溶媒を除去し、前記原料混合物中の溶媒の含有率を30質量%以下に調整する工程(b1−A)を備える、[11]に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
[13]前記工程(b1)は、前記原料化合物に前記被覆原料溶液1を噴霧して接触させ、原料混合物を得る工程(b1−1)である、[12]に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
[14]前記工程(b1)において、前記原料化合物を−20℃以上300℃以下の温度に調整し、前記被覆原料溶液1と接触させる、[12]または[13]に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
[15]前記工程(b1−1)において、前記被覆原料溶液1の噴霧液滴のザウター平均粒径D32が10μm以上500μm以下である、[13]又は[14]に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
[16]前記工程(b1−1)において、前記原料化合物のメジアン径DP50と、前記被覆原料溶液1を噴霧する際の噴霧液滴のザウター平均粒径D32との比(DP50/D32)が、0.001以上10以下である、[13]〜[15]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
[17]前記工程(b1)において、前記被覆原料溶液1を前記原料化合物と接触させる際の、前記被覆原料溶液1の温度が、−20℃以上300℃以下である、[12]〜[16]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
[18]前記工程(b1)において、前記被覆原料溶液1中の元素Mの濃度が、0.001mol/L以上100mol/L以下である、[12]〜[17]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
[19]前記工程(b1)において、前記原料混合物に含まれるリチウムの物質量に対する、元素Mの物質量の比(M/Li)が、0.1以上50以下である、[12]〜[18]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
ただし、原料混合物に含まれるリチウムの物質量とは、原料混合物に含まれる前記原料化合物の結晶構造中に含まれるリチウムを除いた量とする。
[20]前記工程(b)は、前記原料化合物を、前記元素Mとリチウムとを含む被覆原料溶液2に浸漬させて原料混合物を得る工程(b2)であって、前記工程(b2)の後、前記工程(c)の前に、前記原料混合物中に含まれる溶媒を除去し、前記原料混合物中の溶媒の含有率を30質量%以下に調整する工程(b2−A)を備える、[11]に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
[21]前記工程(b2)において、前記原料化合物に対する前記被覆原料溶液2の量が、重量基準で0.1倍以上10倍以下である、[20]に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
[22]前記被覆原料溶液2の温度が−20℃以上80℃以下である、[20]または[21]に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
[23]前記工程(b2)において、前記被覆原料溶液2に含まれるLiの濃度が、0.01mol/L以上10mol/L以下である、[20]〜[22]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
[24]前記工程(b2)において、前記原料混合物に含まれるリチウムの物質量に対する、元素Mの物質量の比(M/Li)が、0.1以上50以下である、[20]〜[23]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
ただし、原料混合物に含まれるリチウムの物質量とは、原料混合物に含まれる前記原料化合物の結晶構造中に含まれるリチウムを除いた量とする。
[25]前記工程(b)において、前記原料混合物に含まれるリチウムの物質量に対する、元素Mの物質量の比(M/Li)が、0.1以上50以下である、[11]に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
ただし、原料混合物に含まれるリチウムの物質量とは、原料混合物に含まれる前記原料化合物の結晶構造中に含まれるリチウムを除いた量とする。
[26]前記工程(b)において、前記原料化合物に含まれるLiを除く金属元素の総量(Ni+X)に対する、被覆原料に含まれる元素Mの割合(M/(Ni+X))は、モル比で0.0001以上0.05以下である、[11]〜[25]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
[27]前記原料化合物が、下記式(II)を満たす[11]〜[26]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
Li[Lip(Ni(1−q−r)CoqX1r)1−p]O2 ・・(II)
(−0.1≦p≦0.2、0≦q≦0.4、0≦r≦0.4、1−q−r≧0.3、X1はMn、Fe、Cu、Ti、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Cr、Ga、Ge、Pd、Ag、Cd、InおよびVからなる群から選ばれる1種以上の元素である。)
[1]層状構造を有し、少なくともLiとNiと元素X(元素XはCo、Mn、Fe、Cu、Ti、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Cr、Ga、Ge、Pd、Ag、Cd、In、V、B、Si、S、F及びPからなる群より選択される1種以上の元素)を含むリチウム金属複合酸化物粉末であって、下記に定義するRの累積頻度分布曲線において、全体を100%としたときに、前記Rの小さい側からの累積頻度が90%となる点のRの値R(90)が1.7以上3.7以下であるリチウム金属複合酸化物粉末。Rとは、リチウム金属複合酸化物粉末に含まれるリチウム金属複合酸化物一粒子における、ニッケルと元素Xとの物質量の総和(Ni+X)に対する酸素の物質量(O)の比(O/(Ni+X))である。
ニッケル、元素X及び酸素の物質量は、リチウム金属複合酸化物一粒子について、加速電圧を1100Vとしたエネルギー分散型X線(EDX)分光法により求める。
[2]前記Rの累積頻度分布曲線において、全体を100%としたときに、前記Rの小さい側からの累積頻度が10%となる点のRの値R(10)が1.1以上3.3以下である、[1]に記載のリチウム金属複合酸化物粉末。
[3]前記Rの累積頻度分布曲線において、全体を100%としたときに、前記Rの小さい側からの累積頻度が50%となる点のRの値R(50)が1.5以上2.7以下である、[1]または[2]に記載のリチウム金属複合酸化物粉末。
[4]下記式(I)を満たす[1]〜[3]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物粉末。
Li[Lim(Ni(1−n)Xn)1−m]O2 ・・・(I)
(−0.1≦m≦0.2、0<n≦0.7である。)
[5]前記式(I)のmが0<m≦0.2である、[4]に記載のリチウム金属複合酸化物粉末。
[6]コア粒子と被覆物とを備える、[1]〜[5]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物粉末。
[7]前記被覆物は、Liと元素Mとのリチウム含有複合化合物を含む[6]に記載のリチウム金属複合酸化物粉末。ただし、元素MはAl、B、Si、S、Nb、F及びPから選ばれる1種以上である。
[8]さらに単粒子を含む、[1]〜[7]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物粉末。
[9]粒度分布測定値から求めた10%累積径(D10)、50%累積径(D50)および90%累積径(D90)において、50%累積径(D50)が0.5μm以上10μm以下であり、さらに、下記式(A)の関係を満たす、[1]〜[8]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物粉末。
0.3≦(D90−D10)/D50≦3・・・(A)
[10][1]〜[9]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物粉末を含有するリチウム二次電池用正極活物質。
[11]下記工程(a)〜工程(c)を以下の順で備える、リチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
工程(a)少なくともNiを含有する前駆体と、Liを含有するリチウム化合物を混合して焼成し、原料化合物を得る工程。
工程(b)Al、B、Si、S、Nb、F及びPからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素Mを含む被覆原料と、前記原料化合物を接触させ、原料混合物を得る工程。
工程(c)前記原料混合物を200℃以上から600℃以下の温度で熱処理する工程。
[12]前記工程(b)は、前記元素Mを含む被覆原料溶液1を前記原料化合物に接触させ、原料混合物を得る工程(b1)であって、前記工程(b1)の後、前記工程(c)の前に、前記原料混合物中に含まれる溶媒を除去し、前記原料混合物中の溶媒の含有率を30質量%以下に調整する工程(b1−A)を備える、[11]に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
[13]前記工程(b1)は、前記原料化合物に前記被覆原料溶液1を噴霧して接触させ、原料混合物を得る工程(b1−1)である、[12]に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
[14]前記工程(b1)において、前記原料化合物を−20℃以上300℃以下の温度に調整し、前記被覆原料溶液1と接触させる、[12]または[13]に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
[15]前記工程(b1−1)において、前記被覆原料溶液1の噴霧液滴のザウター平均粒径D32が10μm以上500μm以下である、[13]又は[14]に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
[16]前記工程(b1−1)において、前記原料化合物のメジアン径DP50と、前記被覆原料溶液1を噴霧する際の噴霧液滴のザウター平均粒径D32との比(DP50/D32)が、0.001以上10以下である、[13]〜[15]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
[17]前記工程(b1)において、前記被覆原料溶液1を前記原料化合物と接触させる際の、前記被覆原料溶液1の温度が、−20℃以上300℃以下である、[12]〜[16]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
[18]前記工程(b1)において、前記被覆原料溶液1中の元素Mの濃度が、0.001mol/L以上100mol/L以下である、[12]〜[17]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
[19]前記工程(b1)において、前記原料混合物に含まれるリチウムの物質量に対する、元素Mの物質量の比(M/Li)が、0.1以上50以下である、[12]〜[18]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
ただし、原料混合物に含まれるリチウムの物質量とは、原料混合物に含まれる前記原料化合物の結晶構造中に含まれるリチウムを除いた量とする。
[20]前記工程(b)は、前記原料化合物を、前記元素Mとリチウムとを含む被覆原料溶液2に浸漬させて原料混合物を得る工程(b2)であって、前記工程(b2)の後、前記工程(c)の前に、前記原料混合物中に含まれる溶媒を除去し、前記原料混合物中の溶媒の含有率を30質量%以下に調整する工程(b2−A)を備える、[11]に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
[21]前記工程(b2)において、前記原料化合物に対する前記被覆原料溶液2の量が、重量基準で0.1倍以上10倍以下である、[20]に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
[22]前記被覆原料溶液2の温度が−20℃以上80℃以下である、[20]または[21]に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
[23]前記工程(b2)において、前記被覆原料溶液2に含まれるLiの濃度が、0.01mol/L以上10mol/L以下である、[20]〜[22]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
[24]前記工程(b2)において、前記原料混合物に含まれるリチウムの物質量に対する、元素Mの物質量の比(M/Li)が、0.1以上50以下である、[20]〜[23]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
ただし、原料混合物に含まれるリチウムの物質量とは、原料混合物に含まれる前記原料化合物の結晶構造中に含まれるリチウムを除いた量とする。
[25]前記工程(b)において、前記原料混合物に含まれるリチウムの物質量に対する、元素Mの物質量の比(M/Li)が、0.1以上50以下である、[11]に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
ただし、原料混合物に含まれるリチウムの物質量とは、原料混合物に含まれる前記原料化合物の結晶構造中に含まれるリチウムを除いた量とする。
[26]前記工程(b)において、前記原料化合物に含まれるLiを除く金属元素の総量(Ni+X)に対する、被覆原料に含まれる元素Mの割合(M/(Ni+X))は、モル比で0.0001以上0.05以下である、[11]〜[25]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
[27]前記原料化合物が、下記式(II)を満たす[11]〜[26]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
Li[Lip(Ni(1−q−r)CoqX1r)1−p]O2 ・・(II)
(−0.1≦p≦0.2、0≦q≦0.4、0≦r≦0.4、1−q−r≧0.3、X1はMn、Fe、Cu、Ti、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Cr、Ga、Ge、Pd、Ag、Cd、InおよびVからなる群から選ばれる1種以上の元素である。)
さらに、本発明の態様としては以下の態様が挙げられる。
[28][10]に記載のリチウム二次電池用正極活物質を含有するリチウム二次電池用正極。
[29][28]に記載のリチウム二次電池用正極を有するリチウム二次電池。
[28][10]に記載のリチウム二次電池用正極活物質を含有するリチウム二次電池用正極。
[29][28]に記載のリチウム二次電池用正極を有するリチウム二次電池。
本発明によれば、自己放電量が抑制されたリチウム金属複合酸化物粉末、リチウム二次電池用正極活物質、及びリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法を提供することができる。
本明細書において、「自己放電量」とは、充電状態の電池を高温で保管した際に、保管前の放電容量と比べて保管後の放電容量が低下する特性を意味し、高温保管前の放電容量と高温保管後の放電容量の差を意味する。
本明細書において、「一次粒子」とは、外観上に粒界が存在しない粒子であって、二次粒子を構成する粒子を意味する。
本明細書において、「二次粒子」とは、前記一次粒子が凝集することにより形成された粒子であり、球状、略球状の形状を有する粒子を意味する。通常、前記二次粒子は前記一次粒子が10個以上凝集して形成される。二次粒子は一次粒子の凝集体である。
本明細書において、「単粒子」とは、前記二次粒子とは独立して存在し、外観上に粒界が存在しない粒子であって、例えば粒子径が0.5μm以上の粒子を意味する。単粒子は単一の結晶核の成長によって生成した粒子である。
一次粒子は、二次粒子を構成するために凝集するため、粒子径が大きく成長したものではなく、その粒子径は0.1μm以上0.5μm未満程度である。本明細書において、粒子径が0.5μm未満のものを一次粒子とし、0.5μm以上のものを単粒子とする。
本明細書において、「層状構造」とは、リチウム原子、遷移金属原子および酸素原子のそれぞれから形成された層が積層した結晶構造を意味する。
本明細書において、「一次粒子」とは、外観上に粒界が存在しない粒子であって、二次粒子を構成する粒子を意味する。
本明細書において、「二次粒子」とは、前記一次粒子が凝集することにより形成された粒子であり、球状、略球状の形状を有する粒子を意味する。通常、前記二次粒子は前記一次粒子が10個以上凝集して形成される。二次粒子は一次粒子の凝集体である。
本明細書において、「単粒子」とは、前記二次粒子とは独立して存在し、外観上に粒界が存在しない粒子であって、例えば粒子径が0.5μm以上の粒子を意味する。単粒子は単一の結晶核の成長によって生成した粒子である。
一次粒子は、二次粒子を構成するために凝集するため、粒子径が大きく成長したものではなく、その粒子径は0.1μm以上0.5μm未満程度である。本明細書において、粒子径が0.5μm未満のものを一次粒子とし、0.5μm以上のものを単粒子とする。
本明細書において、「層状構造」とは、リチウム原子、遷移金属原子および酸素原子のそれぞれから形成された層が積層した結晶構造を意味する。
リチウム金属複合酸化物粉末の累積体積粒度は、レーザー回折散乱法によって測定される。具体的な測定方法は、まず、リチウム金属複合酸化物粉末0.1gを、0.2質量%ヘキサメタりん酸ナトリウム水溶液50mlに投入し、リチウム金属複合酸化物粉末を分散させた分散液を得る。
次に、得られた分散液についてマイクロトラック・ベル株式会社製マイクロトラックMT3300EXII(レーザー回折散乱粒度分布測定装置)を用いて、粒度分布を測定し、体積基準の累積粒度分布曲線を得る。
そして、得られた累積粒度分布曲線において、全体を100%としたときに、微小粒子側からの累積体積が50%となる点の粒子径の値が50%累積体積粒度(D50(μm))である。また、全体を100%としたときに、微小粒子側からの累積体積が10%となる点の粒子径の値が10%累積体積粒度(D10(μm))である。また、全体を100%としたときに、微小粒子側からの累積体積が90%となる点の粒子径の値が90%累積体積粒度(D90(μm))である。
次に、得られた分散液についてマイクロトラック・ベル株式会社製マイクロトラックMT3300EXII(レーザー回折散乱粒度分布測定装置)を用いて、粒度分布を測定し、体積基準の累積粒度分布曲線を得る。
そして、得られた累積粒度分布曲線において、全体を100%としたときに、微小粒子側からの累積体積が50%となる点の粒子径の値が50%累積体積粒度(D50(μm))である。また、全体を100%としたときに、微小粒子側からの累積体積が10%となる点の粒子径の値が10%累積体積粒度(D10(μm))である。また、全体を100%としたときに、微小粒子側からの累積体積が90%となる点の粒子径の値が90%累積体積粒度(D90(μm))である。
<リチウム金属複合酸化物粉末>
本実施形態のリチウム金属複合酸化物粉末は層状構造を有する。本実施形態のリチウム金属複合酸化物粉末は、少なくともLiとNiと元素Xを含む。
元素XはCo、Mn、Fe、Cu、Ti、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Cr、Ga、Ge、Pd、Ag、Cd、In、V、B、Si、S、F及びPからなる群より選択される1種以上の元素である。
本実施形態のリチウム金属複合酸化物粉末は層状構造を有する。本実施形態のリチウム金属複合酸化物粉末は、少なくともLiとNiと元素Xを含む。
元素XはCo、Mn、Fe、Cu、Ti、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Cr、Ga、Ge、Pd、Ag、Cd、In、V、B、Si、S、F及びPからなる群より選択される1種以上の元素である。
≪R≫
本実施形態のリチウム金属複合酸化物粉末においては、下記のようにRを定義する。
Rとは、リチウム金属複合酸化物粉末に含まれるリチウム金属複合酸化物一粒子における、ニッケルと元素Xとの物質量の総和(Ni+X)に対する酸素の物質量(O)の比(O/(Ni+X))である。
本実施形態のリチウム金属複合酸化物粉末においては、下記のようにRを定義する。
Rとは、リチウム金属複合酸化物粉末に含まれるリチウム金属複合酸化物一粒子における、ニッケルと元素Xとの物質量の総和(Ni+X)に対する酸素の物質量(O)の比(O/(Ni+X))である。
Rは、リチウム金属複合酸化物粒子の表面領域における、ニッケル原子と元素Xの物質量の合計に対する酸素原子の物質量である。ここで、「リチウム金属複合酸化物粒子の表面領域」とは、リチウム金属複合酸化物粒子の最表面から深さ方向に5nmの厚さの領域をいう。
本実施形態において「Rの値が大きい」とは、リチウム金属複合酸化物の粒子の表面に酸素原子が過剰な表面領域が形成されていることを意味する。また、ニッケルや元素Xが欠損した表面領域が形成されていることを意味する。
リチウム金属複合酸化物が、コア粒子と被覆物を備える場合、「Rの値が大きい」とは、コア粒子の露出が少ないことを意味する。
リチウム金属複合酸化物が、コア粒子と被覆物を備える場合、「Rの値が大きい」とは、コア粒子の露出が少ないことを意味する。
本実施形態において「Rの値が小さい」とは、リチウム金属複合酸化物の粒子の表面に酸素原子が過少な表面領域が形成されていることを意味する。また、ニッケルや元素Xが過剰に存在する表面領域が形成されていることを意味する。
リチウム金属複合酸化物が、コア粒子と被覆物を備える場合、「Rの値が小さい」とは、コア粒子の露出が多いことを意味する。
リチウム金属複合酸化物が、コア粒子と被覆物を備える場合、「Rの値が小さい」とは、コア粒子の露出が多いことを意味する。
上記に定義されるRの累積頻度分布曲線において、全体を100%としたときに、Rの小さい側からの累積頻度が90%となる点のRの値をR(90)とする。本実施形態のリチウム金属複合酸化物粉末は、R(90)が1.7以上3.7以下である。
本実施形態におけるRの累積頻度分布曲線の求め方を以下に説明する。
ニッケル、元素X及び酸素の物質量は、リチウム金属複合酸化物一粒子について、加速電圧を1100Vとしたエネルギー分散型X線(EDX)分光法により求める。
日本電子社製の走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線(EDX)分光法(JSM−7900F)を用い、リチウム金属複合酸化物の一次粒子単位でのEDX面分析を50粒子実施する。具体的には、リチウム金属複合酸化物粉末について、5000倍の視野でSEM像を取得する。その視野内に含まれる粒子から、ランダムに10粒子を選択する。この操作を5視野実施し、50粒子の分析を実施する。
上記EDX面分析によれば、リチウム金属複合酸化物粒子の最表面から深さ方向に5nmの厚さの領域のRを測定できる。
リチウム金属複合酸化物が、コア粒子と被覆物を備える場合、EDX面分析によれば、被覆物のRを測定する。
ニッケル、元素X及び酸素の物質量は、リチウム金属複合酸化物一粒子について、加速電圧を1100Vとしたエネルギー分散型X線(EDX)分光法により求める。
日本電子社製の走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線(EDX)分光法(JSM−7900F)を用い、リチウム金属複合酸化物の一次粒子単位でのEDX面分析を50粒子実施する。具体的には、リチウム金属複合酸化物粉末について、5000倍の視野でSEM像を取得する。その視野内に含まれる粒子から、ランダムに10粒子を選択する。この操作を5視野実施し、50粒子の分析を実施する。
上記EDX面分析によれば、リチウム金属複合酸化物粒子の最表面から深さ方向に5nmの厚さの領域のRを測定できる。
リチウム金属複合酸化物が、コア粒子と被覆物を備える場合、EDX面分析によれば、被覆物のRを測定する。
得られたEDXスペクトルから各粒子表面におけるNiと元素Xの物質量の総和(Ni+X)に対する物質量のモル量(O)の比(O/(Ni+X))を算出する。
この際の加速電圧は1100Vとする。
この際の加速電圧は1100Vとする。
さらに、算出した50粒子のRにより累積頻度分布曲線を作成する。Rの小さい側からの累積頻度が90%となる点のRの値をR(90)、10%となる点のRの値をR(10)、50%となる点のRの値をR(50)とする。
リチウム金属複合酸化物粉末をリチウム二次電池用正極活物質として用いたとき、リチウム金属複合酸化物粉末の粒子の表面は電解液と接する。充電時、特に高温環境下においては、電解液と接触した際にリチウム金属複合酸化物粉末の粒子の表面から酸素が脱離する。脱離した酸素は、リチウム金属複合酸化物粉末の粒子表面で電解液を酸化分解する。
その際、酸素脱離に伴うリチウム金属複合酸化物粉末内での金属価数バランスの調整のため、充電状態のリチウム金属複合酸化物粉末に含まれるNi等の金属価数の低減に伴う自己放電が進行してしまう。
このような作用が生じるため、リチウム金属複合酸化物粉末の粒子の表面に存在する酸素原子数が過剰な場合、酸素原子の脱離、これによる電解液の酸化分解、さらにNi等の金属の価数低減が促進され自己放電が進行する。
このような作用が生じるため、リチウム金属複合酸化物粉末の粒子の表面に存在する酸素原子数が過剰な場合、酸素原子の脱離、これによる電解液の酸化分解、さらにNi等の金属の価数低減が促進され自己放電が進行する。
一方、リチウム金属複合酸化物粉末の粒子の表面に存在する酸素原子数が過少な場合、リチウム金属複合酸化物粉末の層状構造の形成が不十分となる。
層状構造の形成が不十分であると、充電時にリチウム金属複合酸化物粉末の粒子の表面の結晶構造に乱れが生じやすくなる。この場合、乱れた結晶はリチウムの脱離と挿入を阻害し、リチウム元素が有効に活用されず、電池容量が低くなる場合がある。また、結晶構造が乱れていると、リチウム金属複合酸化物の表面において、構成元素の欠損が生じやすく、自己放電が進行してしまう。
層状構造の形成が不十分であると、充電時にリチウム金属複合酸化物粉末の粒子の表面の結晶構造に乱れが生じやすくなる。この場合、乱れた結晶はリチウムの脱離と挿入を阻害し、リチウム元素が有効に活用されず、電池容量が低くなる場合がある。また、結晶構造が乱れていると、リチウム金属複合酸化物の表面において、構成元素の欠損が生じやすく、自己放電が進行してしまう。
本実施形態は、R(90)を特定の範囲とし、リチウム金属複合酸化物粉末の粒子の表面に存在する酸素原子量を制御している。
本実施形態において、R(90)は、1.9以上が好ましく、2.0以上がより好ましく、2.1以上がさらに好ましい。また3.5以下が好ましく、3.2以下がより好ましく、3.0以下がさらに好ましい。
上記上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。本実施形態においては、1.9以上3.5以下が好ましく、2.0以上3.2以下がより好ましく、2.1以上3.0以下がさらに好ましい。
本実施形態において、R(90)は、1.9以上が好ましく、2.0以上がより好ましく、2.1以上がさらに好ましい。また3.5以下が好ましく、3.2以下がより好ましく、3.0以下がさらに好ましい。
上記上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。本実施形態においては、1.9以上3.5以下が好ましく、2.0以上3.2以下がより好ましく、2.1以上3.0以下がさらに好ましい。
R(90)が上記上限値以下であると、リチウム金属複合酸化物粒子の表面に存在する酸素原子の割合が過剰なリチウム金属複合酸化物粒子が少ないことを意味する。この場合、充電時にリチウム金属複合酸化物粒子の表面から脱離する酸素が少なく、電解液の酸化分解に伴う自己放電が進行しにくくなる。
R(90)が上記下限値以上であると、リチウム金属複合酸化物粒子の表面に規則的な層状構造が形成されていることを意味する。このため、構成元素の欠損やリチウムのトラップが生じにくくなり、自己放電が進行しにくくなる。
R(90)が上記下限値以上であると、リチウム金属複合酸化物粒子の表面に規則的な層状構造が形成されていることを意味する。このため、構成元素の欠損やリチウムのトラップが生じにくくなり、自己放電が進行しにくくなる。
本実施形態のリチウム金属複合酸化物粉末は、R(10)が1.1以上3.3以下であることが好ましい。前記R(10)は1.3以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、1.7以上がさらに好ましい。また3.0以下が好ましく、2.7以下がより好ましく、2.4以下がさらに好ましい。
上記上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。本実施形態においては、1.3以上3.0以下が好ましく、1.5以上2.7以下がより好ましく、1.7以上2.4以下がさらに好ましい。
上記上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。本実施形態においては、1.3以上3.0以下が好ましく、1.5以上2.7以下がより好ましく、1.7以上2.4以下がさらに好ましい。
R(10)が上記範囲であると、酸素原子数が過少であるために、結晶構造に乱れが生じているリチウム金属複合酸化物粉末の存在量が少ないことを意味する。このような場合には、リチウム金属複合酸化物粒子の表面に規則的な層状構造が形成されていることを意味する。このため、構成元素の欠損が生じにくくなり、自己放電が進行しにくくなる。
本実施形態のリチウム金属複合酸化物粉末は、R(50)が1.5以上2.7以下であることが好ましい。R(50)は1.7以上が好ましく、1.9以上がより好ましく、2.0以上がさらに好ましい。また2.6以下が好ましく、2.5以下がより好ましく、1.4以下がさらに好ましい。
上記上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。本実施形態においては、1.7以上2.6以下が好ましく、1.9以上2.5以下がより好ましく、2.0以上2.4以下がさらに好ましい。
上記上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。本実施形態においては、1.7以上2.6以下が好ましく、1.9以上2.5以下がより好ましく、2.0以上2.4以下がさらに好ましい。
R(50)が上記範囲であると、リチウム金属複合酸化物粉末の粒子の表面の酸素原子の存在量が適正に制御され、充電と放電に寄与しない不純物の形成量が少ないことを意味する。この不純物としては、例えばリチウムを含まない酸化物が挙げられる。不純物が少ないため、充電と放電時の抵抗を小さくできる。
(層状構造)
本実施形態において、リチウム金属複合酸化物粉末の結晶構造は、層状構造であり、六方晶型の結晶構造又は単斜晶型の結晶構造であることがより好ましい。
本実施形態において、リチウム金属複合酸化物粉末の結晶構造は、層状構造であり、六方晶型の結晶構造又は単斜晶型の結晶構造であることがより好ましい。
六方晶型の結晶構造は、P3、P31、P32、R3、P−3、R−3、P312、P321、P3112、P3121、P3212、P3221、R32、P3m1、P31m、P3c1、P31c、R3m、R3c、P−31m、P−31c、P−3m1、P−3c1、R−3m、R−3c、P6、P61、P65、P62、P64、P63、P−6、P6/m、P63/m、P622、P6122、P6522、P6222、P6422、P6322、P6mm、P6cc、P63cm、P63mc、P−6m2、P−6c2、P−62m、P−62c、P6/mmm、P6/mcc、P63/mcm、P63/mmcからなる群から選ばれるいずれか一つの空間群に帰属される。
また、単斜晶型の結晶構造は、P2、P21、C2、Pm、Pc、Cm、Cc、P2/m、P21/m、C2/m、P2/c、P21/c、C2/cからなる群から選ばれるいずれか一つの空間群に帰属される。
これらのうち、放電容量が高いリチウム二次電池を得るため、結晶構造は、空間群R−3mに帰属される六方晶型の結晶構造、又はC2/mに帰属される単斜晶型の結晶構造であることがさらに好ましく、空間群R−3mに帰属される六方晶型の結晶構造であることが特に好ましい。
≪組成式(I)≫
本実施形態のリチウム金属複合酸化物粉末は、下記組成式(I)で表されることが好ましい。
Li[Lim(Ni(1−n)Xn)1−m]O2 ・・・(I)
(−0.1≦m≦0.2、0<n≦0.7である。)
本実施形態のリチウム金属複合酸化物粉末は、下記組成式(I)で表されることが好ましい。
Li[Lim(Ni(1−n)Xn)1−m]O2 ・・・(I)
(−0.1≦m≦0.2、0<n≦0.7である。)
サイクル特性がよいリチウム二次電池を得る観点から、前記組成式(I)におけるmは0を超えることが好ましく、0.01以上であることがより好ましく、0.02以上であることがさらに好ましい。また、初回クーロン効率がより高いリチウム二次電池を得る観点から、前記組成式(I)におけるmは0.1以下であることが好ましく、0.08以下であることがより好ましく、0.06以下であることがさらに好ましい。
mの上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
本実施形態においては、0<m≦0.2であることが好ましく、0<m≦0.1であることがより好ましい。
mの上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
本実施形態においては、0<m≦0.2であることが好ましく、0<m≦0.1であることがより好ましい。
放電容量が高いリチウム二次電池を得る観点から、前記組成式(I)において、nの上限は、0.7以下であることが好ましく、0.5以下であることがより好ましく、0.45以下であることがさらに好ましく、0.2以下が特に好ましい。またnの下限は、0以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましく、0.10以上であることがさらに好ましく、0.12以上が特に好ましい。
y1の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
y1の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
≪組成式(I)−1≫
本願の効果を高める観点から、本実施形態のリチウム金属複合酸化物粉末は、下記組成式(I)−1で表されることがさらに好ましい。
Li[Lim1(Ni(1−n12−n13−n14)Con12X1n13M1n14)1−m1]O2 ・・・(I)−1
(−0.1≦m1≦0.2、0≦n12≦0.4、0≦n13≦0.4、0≦n14≦0.05、0<n12+n13+n14≦0.7、X1はMn、Fe、Cu、Ti、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Cr、Ga、Ge、Pd、Ag、Cd、InおよびVからなる群から選ばれる1種以上であり、M1はB、Si、S、F及びPからなる群から選ばれる1種以上である。)
本願の効果を高める観点から、本実施形態のリチウム金属複合酸化物粉末は、下記組成式(I)−1で表されることがさらに好ましい。
Li[Lim1(Ni(1−n12−n13−n14)Con12X1n13M1n14)1−m1]O2 ・・・(I)−1
(−0.1≦m1≦0.2、0≦n12≦0.4、0≦n13≦0.4、0≦n14≦0.05、0<n12+n13+n14≦0.7、X1はMn、Fe、Cu、Ti、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Cr、Ga、Ge、Pd、Ag、Cd、InおよびVからなる群から選ばれる1種以上であり、M1はB、Si、S、F及びPからなる群から選ばれる1種以上である。)
サイクル特性がよいリチウム二次電池を得る観点から、前記組成式(I)−1におけるm1は0を超えることが好ましく、0.01以上であることがより好ましく、0.02以上であることがさらに好ましい。また、初回クーロン効率がより高いリチウム二次電池を得る観点から、前記組成式(I)−1におけるm1は0.1以下であることが好ましく、0.08以下であることがより好ましく、0.06以下であることがさらに好ましい。
m1の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
本実施形態においては、0<m1≦0.2であることが好ましく、0<m1≦0.1であることがより好ましい。
m1の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
本実施形態においては、0<m1≦0.2であることが好ましく、0<m1≦0.1であることがより好ましい。
放電容量が高いリチウム二次電池を得る観点から、前記組成式(I)−1において、n12+n13+n14の上限は、0.7以下であることが好ましく、0.5以下であることがより好ましく、0.45以下であることがさらに好ましく、0.2以下が特に好ましい。またn12+n13+n14の下限は、0以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましく、0.10以上であることがさらに好ましく、0.12以上が特に好ましい。
n12+n13+n14の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
n12+n13+n14の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
また、電池の内部抵抗が低いリチウム二次電池を得る観点から、前記組成式(I)−1におけるn12は0.005以上であることが好ましく、0.01以上であることがより好ましく、0.05以上であることがさらに好ましい。また、熱的安定性が高いリチウム二次電池を得る観点から、前記組成式(I)−1におけるn12は0.35以下であることがより好ましく、0.33以下であることがさらに好ましい。
n12の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
本実施形態においては、0<n12≦0.4であることが好ましい。
n12の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
本実施形態においては、0<n12≦0.4であることが好ましい。
また、サイクル特性が高いリチウム二次電池を得る観点から、前記組成式(I)−1におけるn13は0.01以上であることが好ましく、0.02以上であることがより好ましく、0.04以上であることがさらに好ましい。また、高温(例えば60℃環境下)での保存性が高いリチウム二次電池を得る観点から、前記組成式(I)−1におけるn13は0.30以下であることが好ましく、0.25以下であることがより好ましく、0.20以下であることがさらに好ましい。
n13の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
n13の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
また、電池の内部抵抗が低いリチウム二次電池を得る観点から、前記組成式(I)−1におけるn14は0を超えることが好ましく、0.0005以上であることがより好ましく、0.001以上であることがさらに好ましい。また、高い電流レートにおいて放電容量が多いリチウム二次電池を得る観点から、前記組成式(I)−1におけるn14は0.04以下であることが好ましく、0.03以下であることがより好ましく、0.02以下であることがさらに好ましい。
n14の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
n14の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
前記組成式(I)−1におけるX1はMn、Fe、Cu、Ti、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Cr、Ga、Ge、Pd、Ag、Cd、InおよびVからなる群より選択される1種以上の金属を表す。
また、サイクル特性が高いリチウム二次電池を得る観点から、組成式(I)−1におけるX1は、Mn、Ti、Mg、Al、W、Nb、Zrからなる群より選択される1種以上の金属であることが好ましく、熱的安定性が高いリチウム二次電池を得る観点から、Al、W、Nb、Zrからなる群より選択される1種以上の金属であることが好ましい。
前記組成式(I)−1におけるM1はB、Si、S、F及びPからなる群より選択される1種以上の元素を表す。
また、電池の内部抵抗が低いリチウム二次電池を得る観点から、組成式(I)−1におけるM2は、B、Nb、Pからなる群より選択される1種以上の元素であることが好ましく、BおよびPからなる群より選択される1種以上の元素であることが好ましい。
≪被覆物≫
本実施形態のリチウム金属複合酸化物粉末は、コア粒子とコア粒子を被覆する被覆物とを備えることが好ましい。被覆物は、被覆層又は被覆粒子であることが好ましい。被覆物は、Liと元素Mとのリチウム含有複合化合物を含むことが好ましい。元素MはAl、Zr、組成式(I)−1におけるM1から選ばれる1種以上であることが好ましく、Al、Zr、B、Nb及びPから選ばれる1種以上がより好ましく、B、Nb及びPから選ばれる1種以上がさらに好ましく、B及びPから選ばれる1種以上が特に好ましい。
本実施形態のリチウム金属複合酸化物粉末は、コア粒子とコア粒子を被覆する被覆物とを備えることが好ましい。被覆物は、被覆層又は被覆粒子であることが好ましい。被覆物は、Liと元素Mとのリチウム含有複合化合物を含むことが好ましい。元素MはAl、Zr、組成式(I)−1におけるM1から選ばれる1種以上であることが好ましく、Al、Zr、B、Nb及びPから選ばれる1種以上がより好ましく、B、Nb及びPから選ばれる1種以上がさらに好ましく、B及びPから選ばれる1種以上が特に好ましい。
被覆物は、リチウム含有複合化合物を含むことが好ましい。電池の抵抗低減の観点から、前記リチウム含有複合化合物はリチウム含有複合酸化物であることがより好ましい。リチウム含有複合酸化物の例としては、リチウム−ホウ素−酸素化合物、リチウム−ニオブ−酸素化合物、リチウム−リン−酸素化合物が挙げられる。
前記リチウム含有複合化合物は、結晶質または非晶質であり、非晶質であることが好ましい。非晶質のリチウム含有複合化合物でコア粒子を被覆することで、コア粒子と被覆物が良好に接合され、充放電反応に伴うコア粒子の膨張収縮に伴う被覆物の脱落が抑制され、充放電サイクル特性に優れる。
本発明の効果を高める観点から、前記リチウム金属複合酸化物粉末中の、組成式(I)におけるNiと元素Xの物質量の和(Ni+X)に対する、前記被覆物における元素Mの物質量の割合(M/(Ni+X))が、0.05モル%以上5モル%以下が好ましい。(M/(Ni+X))は、4モル%以下であることがより好ましく、3モル%以下であることがさらに好ましく、2モル%以下であることが特に好ましい。(M/(Ni+X))は、0.1モル%以上であることがより好ましく、0.2モル%以上がさらに好ましく、0.3モル%以上であることが特に好ましい。上記上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
組み合わせの例としては、0.1モル%以上4モル%以下、0.2モル%以上3モル%以下、0.3モル%以上モル%以下が挙げられる。
組み合わせの例としては、0.1モル%以上4モル%以下、0.2モル%以上3モル%以下、0.3モル%以上モル%以下が挙げられる。
本実施形態において、被覆物の組成の確認は、二次粒子断面のSTEM-EDX元素ライン分析、誘導結合プラズマ発光分析、電子線マイクロアナライザ分析などを用いることで行うことができる。被覆層又は被覆粒子の結晶構造の確認は、粉末X線回折や、電子線回折を用いて行うことができる。
本実施形態において、リチウム金属複合酸化物粉末は単粒子を含むことが好ましい。
一次粒子は、二次粒子を構成するために凝集するため、粒子が大きく成長したものではなく、その粒子径は0.1μm以上0.5μm未満程度である。本明細書において、平均粒径が0.5μm未満のものを一次粒子とし、0.5μm以上のものを単粒子とする。
一次粒子は、二次粒子を構成するために凝集するため、粒子が大きく成長したものではなく、その粒子径は0.1μm以上0.5μm未満程度である。本明細書において、平均粒径が0.5μm未満のものを一次粒子とし、0.5μm以上のものを単粒子とする。
また単粒子は微小な一次粒子や一次粒子が凝集して形成される二次粒子と比べて表面エネルギーが小さく、安定性に優れる。よって、単粒子表面では電解液の分解等の不可逆な反応が抑制され、自己放電が起こり難いリチウム金属複合酸化物粉末となると推察される。
自己放電抑制の観点から、リチウム金属複合酸化物粉末に含まれる単粒子数と二次粒子数の総和に対する単粒子数の割合は、20%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、50%以上が特に好ましい。上限は特に限定されないが、100%以下であり、90%以下が好ましい。
本実施形態リチウム金属複合酸化物粉末は、粒度分布測定値から求めた10%累積径(D10)、50%累積径(D50)および90%累積径(D90)において、50%累積径(D50)が0.5μm以上10μm以下であり、さらに、下記式(A)の関係を満たすことが好ましい。
0.3≦(D90−D10)/D50≦3・・・(A)
0.3≦(D90−D10)/D50≦3・・・(A)
前記50%累積径(D50)の下限値は、1.0μm以上が好ましく、1.5μm以上がより好ましく、2.0μm以上がさらに好ましい。前記50%累積径(D50)の上限値は、8.0μm以下が好ましく、6.0μm以下がより好ましく、5.0μm以下がさらに好ましい。50%累積径(D50)の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。本実施形態においては、1.0μm以上8.0μm以下が好ましく、1.5μm以上6.0μm以下がより好ましく、2.0μm以上5.0μm以下がさらに好ましい。
式(A)で表される関係の下限値は、0.4以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.6以上が特に好ましい。式(A)で表される関係の上限値は、2.5以下が好ましく、2.0以下がより好ましく、1.5以下が特に好ましい。式(A)で表される関係の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。本実施形態においては、0.4以上2.5以下が好ましく、0.5以上2.0以下がより好ましく、0.6以上1.5以下が特に好ましい。
<リチウム二次電池用正極活物質>
本実施形態は、前記本発明のリチウム金属複合酸化物粉末を含有するリチウム二次電池用正極活物質である。
本実施形態は、前記本発明のリチウム金属複合酸化物粉末を含有するリチウム二次電池用正極活物質である。
<リチウム金属複合酸化物粉末の製造方法>
本実施形態のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法は、下記工程(a)〜工程(c)を以下の順で備える。
工程(a)少なくともNiを含有する前駆体と、リチウム化合物を混合して焼成し、原料化合物を得る工程。
工程(b)Al、B、Si、S、Nb、F及びPからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素Mを含む被覆原料と、前記原料化合物を接触させ、原料混合物を得る工程。
工程(c)前記原料混合物を200℃以上から600℃以下の温度で加熱する工程。
本実施形態のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法は、下記工程(a)〜工程(c)を以下の順で備える。
工程(a)少なくともNiを含有する前駆体と、リチウム化合物を混合して焼成し、原料化合物を得る工程。
工程(b)Al、B、Si、S、Nb、F及びPからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素Mを含む被覆原料と、前記原料化合物を接触させ、原料混合物を得る工程。
工程(c)前記原料混合物を200℃以上から600℃以下の温度で加熱する工程。
[工程(a)]
工程(a)は、少なくともNiを含有する前駆体と、リチウム化合物を混合して焼成し、原料化合物を得る工程である。原料化合物は、前駆体とリチウム化合物との焼成物を意味する。
工程(a)は、少なくともNiを含有する前駆体と、リチウム化合物を混合して焼成し、原料化合物を得る工程である。原料化合物は、前駆体とリチウム化合物との焼成物を意味する。
・前駆体
リチウム金属複合酸化物粉末を製造するにあたり、まず、少なくともNiを含有する前駆体を製造する。以下において、少なくともNiを含有する前駆体を「前駆体」又は「複合金属化合物」と記載する場合がある。
前駆体はCoおよび元素X1(Mn、Fe、Cu、Ti、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Cr、Ga、Ge、Pd、Ag、Cd、InおよびVからなる群から選ばれる1種以上の元素)を含む複合金属化合物とすることが好ましい。複合金属化合物としては、複合金属水酸化物又は複合金属酸化物が好ましい。
リチウム金属複合酸化物粉末を製造するにあたり、まず、少なくともNiを含有する前駆体を製造する。以下において、少なくともNiを含有する前駆体を「前駆体」又は「複合金属化合物」と記載する場合がある。
前駆体はCoおよび元素X1(Mn、Fe、Cu、Ti、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Cr、Ga、Ge、Pd、Ag、Cd、InおよびVからなる群から選ばれる1種以上の元素)を含む複合金属化合物とすることが好ましい。複合金属化合物としては、複合金属水酸化物又は複合金属酸化物が好ましい。
(複合金属化合物の製造工程)
複合金属化合物は、通常公知のバッチ共沈殿法又は連続共沈殿法により製造することが可能である。以下、金属として、ニッケル、コバルト及びマンガンを含む複合金属水酸化物を例に、その製造方法を詳述する。
複合金属化合物は、通常公知のバッチ共沈殿法又は連続共沈殿法により製造することが可能である。以下、金属として、ニッケル、コバルト及びマンガンを含む複合金属水酸化物を例に、その製造方法を詳述する。
まず共沈殿法、特に特開2002−201028号公報に記載された連続法により、ニッケル塩溶液、コバルト塩溶液、マンガン塩溶液、及び錯化剤を反応させ、ニッケルコバルトマンガン複合金属水酸化物を製造する。
上記ニッケル塩溶液の溶質であるニッケル塩としては、特に限定されないが、例えば硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル及び酢酸ニッケルのうちの何れかを使用することができる。上記コバルト塩溶液の溶質であるコバルト塩としては、例えば硫酸コバルト、硝酸コバルト、及び塩化コバルトのうちの何れかを使用することができる。上記マンガン塩溶液の溶質であるマンガン塩としては、例えば硫酸マンガン、硝酸マンガン、及び塩化マンガンのうちの何れかを使用することができる。
以上の金属塩は、前記組成式の組成比に対応する割合で用いられる。つまり、ニッケル塩:コバルト塩:マンガン塩=(1−y1−z1):y1:z1となる割合で用いられる。
また、前記式(II)の組成比に対応する割合で用いる場会には、例えばニッケル塩:コバルト塩:マンガン塩=(1−q−r):q:rとなる割合で用いてもよい。また、ニッケル塩溶液、コバルト塩溶液、マンガン塩溶液、ジルコニウム塩溶液の溶媒としては、水が使用される。
また、前記式(II)の組成比に対応する割合で用いる場会には、例えばニッケル塩:コバルト塩:マンガン塩=(1−q−r):q:rとなる割合で用いてもよい。また、ニッケル塩溶液、コバルト塩溶液、マンガン塩溶液、ジルコニウム塩溶液の溶媒としては、水が使用される。
錯化剤としては、水溶液中で、ニッケル、コバルト、及びマンガンのイオンと錯体を形成可能なものである。例えばアンモニウムイオン供給体(硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、弗化アンモニウム等)、ヒドラジン、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ウラシル二酢酸、及びグリシンが挙げられる。錯化剤は含まれていなくてもよく、含まれていてもよい。錯化剤が含まれる場合、元素Xの金属塩溶液及び錯化剤を含む混合液に含まれる錯化剤の量は、例えば元素Xの金属塩のモル数の合計に対するモル比が0より大きく2.0以下である。
バッチ共沈殿法又は連続共沈殿法に際しては、水溶液のpH値を調整するため、必要ならばアルカリ金属水酸化物(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)を添加する。
反応に際しては、反応槽の温度が例えば20℃以上80℃以下、好ましくは30℃以上70℃以下の範囲内で制御する。
反応に際しては、反応槽の温度が例えば20℃以上80℃以下、好ましくは30℃以上70℃以下の範囲内で制御する。
反応槽内のpH値は例えば水溶液の温度が40℃の時にpH9以上pH13以下、好ましくはpH11以上pH13以下の範囲内で制御される。
反応槽内の物質は適宜撹拌される。上記反応槽の温度を40℃以上に保持し、かつ前記アルカリ金属水酸化物の質量に対する前記ニッケル、コバルト、及びマンガンの金属としての質量の比が0.9以上となる条件下で各溶液を混合し、撹拌することによって、二次粒子の球形度を本発明の所望の範囲に制御することができる。反応槽は、形成された反応沈殿物を分離するためオーバーフローさせるタイプのものを用いることができる。
また反応槽内は、不活性雰囲気を保ちつつも、適度な酸素含有雰囲気または酸化剤存在下とするとよい。反応槽内を酸素含有雰囲気とするには、反応槽内に酸素含有ガスを導入すればよい。
酸素含有ガスとしては、酸素ガス、空気、又はこれらと窒素ガスなどの酸素非含有ガスとの混合ガスが挙げられる。酸素含有ガス中の酸素濃度を調整しやすい観点から、上記の中でも混合ガスであることが好ましい。
酸素含有ガスとしては、酸素ガス、空気、又はこれらと窒素ガスなどの酸素非含有ガスとの混合ガスが挙げられる。酸素含有ガス中の酸素濃度を調整しやすい観点から、上記の中でも混合ガスであることが好ましい。
反応槽に供給する金属塩の濃度、攪拌速度、反応温度、反応pH、及び後述する焼成条件等を適宜制御することにより、最終的に得られるリチウム二次電池用正極活物質を所望の物性に制御することができる。
以上の反応後、得られた反応沈殿物を水で洗浄した後、乾燥し、ニッケルコバルトマンガン複合化合物としてのニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を単離する。また、必要に応じて弱酸水や水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを含むアルカリ溶液で洗浄してもよい。なお、上記の例では、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を製造しているが、ニッケルコバルトマンガン複合酸化物を調製してもよい。
ニッケルと元素Xの複合水酸化物から、ニッケルと元素Xの複合酸化物を調整する際は、300℃以上800℃以下の温度で1時間以上10時間以下の範囲で焼成し、酸化物化する酸化物化工程を実施してもよい。
例えば、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を焼成することによりニッケルコバルトマンガン複合酸化物を調製することができる。焼成時間は、昇温開始から達温して温度保持が終了するまでの合計時間を1時間以上30時間以下とすることが好ましい。最高保持温度に達する加熱工程の昇温速度は180℃/時間以上が好ましく、200℃/時間以上がより好ましく、250℃/時間以上が特に好ましい。
例えば、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を焼成することによりニッケルコバルトマンガン複合酸化物を調製することができる。焼成時間は、昇温開始から達温して温度保持が終了するまでの合計時間を1時間以上30時間以下とすることが好ましい。最高保持温度に達する加熱工程の昇温速度は180℃/時間以上が好ましく、200℃/時間以上がより好ましく、250℃/時間以上が特に好ましい。
・リチウム化合物
本発明に用いるリチウム化合物は、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム、水酸化リチウム、酸化リチウム、塩化リチウム、フッ化リチウムのうち何れか1種、又は、2種以上を混合して使用することができる。これらの中では、水酸化リチウム及び炭酸リチウムのいずれか一方又は両方が好ましい。
また、水酸化リチウムが不純物として炭酸リチウムを含む場合には、水酸化リチウム中の炭酸リチウムの含有量は5質量%以下であることが好ましい。
本発明に用いるリチウム化合物は、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム、水酸化リチウム、酸化リチウム、塩化リチウム、フッ化リチウムのうち何れか1種、又は、2種以上を混合して使用することができる。これらの中では、水酸化リチウム及び炭酸リチウムのいずれか一方又は両方が好ましい。
また、水酸化リチウムが不純物として炭酸リチウムを含む場合には、水酸化リチウム中の炭酸リチウムの含有量は5質量%以下であることが好ましい。
前駆体と、リチウム化合物との混合方法について説明する。
前駆体を乾燥させた後、リチウム化合物と混合する。乾燥条件は、特に制限されないが、例えば、下記の乾燥条件1)〜3)のいずれかが挙げられる。
1)前駆体が酸化・還元されない条件。具体的には、酸化物が酸化物のまま維持される条件、又は水酸化物が水酸化物のまま維持される条件で乾燥する乾燥条件である。
2)前駆体が酸化される条件。具体的には、水酸化物から酸化物へ酸化する乾燥条件である。
3)前駆体が還元される条件。具体的には、酸化物から水酸化物へ還元する乾燥条件である。
前駆体を乾燥させた後、リチウム化合物と混合する。乾燥条件は、特に制限されないが、例えば、下記の乾燥条件1)〜3)のいずれかが挙げられる。
1)前駆体が酸化・還元されない条件。具体的には、酸化物が酸化物のまま維持される条件、又は水酸化物が水酸化物のまま維持される条件で乾燥する乾燥条件である。
2)前駆体が酸化される条件。具体的には、水酸化物から酸化物へ酸化する乾燥条件である。
3)前駆体が還元される条件。具体的には、酸化物から水酸化物へ還元する乾燥条件である。
酸化・還元がされない条件のためには、窒素、ヘリウム及びアルゴン等の不活性ガスを使用すればよい。水酸化物が酸化される条件では、酸素又は空気を使用すればよい。
また、前駆体が還元される条件では、不活性ガス雰囲気下、ヒドラジン、亜硫酸ナトリウム等の還元剤を使用すればよい。
また、前駆体が還元される条件では、不活性ガス雰囲気下、ヒドラジン、亜硫酸ナトリウム等の還元剤を使用すればよい。
前駆体の乾燥後に、適宜分級を行ってもよい。
以上のリチウム化合物と前駆体とを、最終目的物の組成比を勘案して混合する。たとえば、前駆体に含まれる金属原子の数に対するリチウム原子の数の比が1.0より大きくなるようにリチウム化合物と混合する。つまり、得られるリチウム金属複合酸化物において、リチウムと、リチウムを除く金属元素の合計(元素Xの合計)とのモル比が1を超える比率となるようにリチウム化合物とニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を混合する。
金属原子の数に対するリチウム原子の数の比は、1.05以上が好ましく、1.10以上がより好ましい。ニッケル含有複合金属水酸化物及びリチウム化合物の混合物を後の焼成工程において焼成することによって、リチウム−ニッケル含有複合金属酸化物が得られる。
金属原子の数に対するリチウム原子の数の比は、1.05以上が好ましく、1.10以上がより好ましい。ニッケル含有複合金属水酸化物及びリチウム化合物の混合物を後の焼成工程において焼成することによって、リチウム−ニッケル含有複合金属酸化物が得られる。
前駆体と、Liを含有するリチウム化合物を混合して焼成し、焼成物を得る。
焼成には、所望の組成に応じて乾燥空気、酸素雰囲気、不活性雰囲気等が用いられる。
必要に応じて、複数回焼成してもよい。
焼成には、所望の組成に応じて乾燥空気、酸素雰囲気、不活性雰囲気等が用いられる。
必要に応じて、複数回焼成してもよい。
上記前駆体と、上述のリチウム化合物との焼成温度としては、特に制限はないが、例えば600℃以上1100℃以下であることが好ましく、650℃以上1050℃以下であることがより好ましい。
焼成温度が上記下限値以上であると、強固な結晶構造を有するリチウム二次電池用正極活物質を得ることができる。また、焼成温度が上記上限値以下であると、リチウム金属複合酸化物表面のリチウムの揮発を低減できる。
本明細書における焼成温度とは、焼成炉内雰囲気の温度を意味し、かつ本焼成工程での保持温度の最高温度(以下、最高保持温度と呼ぶことがある)であり、複数の加熱工程を有する本焼成工程の場合、各加熱工程のうち、最高保持温度で加熱した際の温度を意味する。
焼成温度が上記下限値以上であると、強固な結晶構造を有するリチウム二次電池用正極活物質を得ることができる。また、焼成温度が上記上限値以下であると、リチウム金属複合酸化物表面のリチウムの揮発を低減できる。
本明細書における焼成温度とは、焼成炉内雰囲気の温度を意味し、かつ本焼成工程での保持温度の最高温度(以下、最高保持温度と呼ぶことがある)であり、複数の加熱工程を有する本焼成工程の場合、各加熱工程のうち、最高保持温度で加熱した際の温度を意味する。
焼成時間は、3時間以上50時間以下が好ましい。焼成時間が50時間を超えると、リチウムの揮発によって実質的に電池性能に劣る傾向となる。焼成時間が3時間より少ないと、結晶の発達が悪く、電池性能が悪くなる傾向となる。なお、上記の焼成の前に、仮焼成を行うことも有効である。仮焼成の温度は、300℃以上850℃以下の範囲で、1〜10時間行うことが好ましい。ただし、仮焼成の温度は、本焼成よりも低い温度で実施する。
本実施形態において、最高保持温度に達する加熱工程の昇温速度は180℃/時間以上が好ましく、200℃/時間以上がより好ましく、250℃/時間以上が特に好ましい。
最高保持温度に達する加熱工程の昇温速度は、焼成装置において、昇温を開始した時間から後述の保持温度に到達するまでの時間から算出される。
本実施形態において、最高保持温度に達する加熱工程の昇温速度は180℃/時間以上が好ましく、200℃/時間以上がより好ましく、250℃/時間以上が特に好ましい。
最高保持温度に達する加熱工程の昇温速度は、焼成装置において、昇温を開始した時間から後述の保持温度に到達するまでの時間から算出される。
焼成工程は、焼成温度が異なる複数の焼成段階を有することが好ましい。例えば、第1の焼成段階と、第1の焼成段階よりも高温で焼成する第2の焼成段階を有することが好ましい。さらに焼成温度及び焼成時間が異なる焼成段階を有していてもよい。
本実施形態においては、不活性溶融剤の存在下で混合物の焼成を行うことで、混合物の反応を促進させ、得られるリチウム金属複合酸化物粉末の粒子表面の酸素量を好ましい範囲に制御できる。また不活性溶融剤は、焼成後のリチウム金属複合酸化物粉末に残留していてもよいし、焼成後に洗浄液で洗浄すること等により除去されていてもよい。本実施形態においては、焼成後のリチウム金属複合酸化物粉末は純水やアルカリ性洗浄液などを用いて洗浄することが好ましい。
不活性溶融剤の存在下で混合物の焼成を行う場合、焼成における保持温度を調整することにより、得られるリチウム金属複合酸化物のR(90)を本実施形態の好ましい範囲に制御できる。不活性溶融剤の存在下での焼成における保持温度を調整することで、焼成工程でのリチウム化合物と前駆体との反応が促進され、酸素過剰型酸化物等の不純物相の生成が抑制され、粒子表面の酸素量が適量に制御されたリチウム金属複合酸化物粉末が得られる。
焼成における保持温度は、用いる遷移金属元素の種類、沈殿剤、不活性溶融剤の種類、量に応じて適宜調整すればよい。
本実施形態においては、保持温度の設定は、後述する不活性溶融剤の融点を考慮すればよく、不活性溶融剤の融点マイナス100℃以上不活性溶融剤の融点プラス100℃以下の範囲で行うことが好ましい。
保持温度として、具体的には、200℃以上1150℃以下の範囲を挙げることができ、300℃以上1050℃以下が好ましく、500℃以上1000℃以下がより好ましい。
本実施形態においては、保持温度の設定は、後述する不活性溶融剤の融点を考慮すればよく、不活性溶融剤の融点マイナス100℃以上不活性溶融剤の融点プラス100℃以下の範囲で行うことが好ましい。
保持温度として、具体的には、200℃以上1150℃以下の範囲を挙げることができ、300℃以上1050℃以下が好ましく、500℃以上1000℃以下がより好ましい。
また、前記保持温度で保持する時間は、0.1時間以上20時間以下が挙げられ、0.5時間以上10時間以下が好ましい。前記保持温度までの昇温速度は、通常50℃/時間以上400℃/時間以下であり、前記保持温度から室温までの降温速度は、通常10℃/時間以上400℃/時間以下である。また、焼成の雰囲気としては、大気、酸素、窒素、アルゴンまたはこれらの混合ガスを用いることができる。
本実施形態に使用することができる不活性溶融剤は、焼成の際に混合物と反応し難いものであれば特に限定されない。本実施形態においては、Na、K、Rb、Cs、Ca、Mg、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上の元素(以下、「A」と称する。)のフッ化物、Aの塩化物、Aの炭酸塩、Aの硫酸塩、Aの硝酸塩、Aのリン酸塩、Aの水酸化物、Aのモリブデン酸塩およびAのタングステン酸塩からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
Aのフッ化物としては、NaF(融点:993℃)、KF(融点:858℃)、RbF(融点:795℃)、CsF(融点:682℃)、CaF2(融点:1402℃)、MgF2(融点:1263℃)、SrF2(融点:1473℃)およびBaF2(融点:1355℃)を挙げることができる。
Aの塩化物としては、NaCl(融点:801℃)、KCl(融点:770℃)、RbCl(融点:718℃)、CsCl(融点:645℃)、CaCl2(融点:782℃)、MgCl2(融点:714℃)、SrCl2(融点:857℃)およびBaCl2(融点:963℃)を挙げることができる。
Aの炭酸塩としては、Na2CO3(融点:854℃)、K2CO3(融点:899℃)、Rb2CO3(融点:837℃)、Cs2CO3(融点:793℃)、CaCO3(融点:825℃)、MgCO3(融点:990℃)、SrCO3(融点:1497℃)およびBaCO3(融点:1380℃)を挙げることができる。
Aの硫酸塩としては、Na2SO4(融点:884℃)、K2SO4(融点:1069℃)、Rb2SO4(融点:1066℃)、Cs2SO4(融点:1005℃)、CaSO4(融点:1460℃)、MgSO4(融点:1137℃)、SrSO4(融点:1605℃)およびBaSO4(融点:1580℃)を挙げることができる。
Aの硝酸塩としては、NaNO3(融点:310℃)、KNO3(融点:337℃)、RbNO3(融点:316℃)、CsNO3(融点:417℃)、Ca(NO3)2(融点:561℃)、Mg(NO3)2、Sr(NO3)2(融点:645℃)およびBa(NO3)2(融点:596℃)を挙げることができる。
Aのリン酸塩としては、Na3PO4、K3PO4(融点:1340℃)、Rb3PO4、Cs3PO4、Ca3(PO4)2、Mg3(PO4)2(融点:1184℃)、Sr3(PO4)2(融点:1727℃)およびBa3(PO4)2(融点:1767℃)を挙げることができる。
Aの水酸化物としては、NaOH(融点:318℃)、KOH(融点:360℃)、RbOH(融点:301℃)、CsOH(融点:272℃)、Ca(OH)2(融点:408℃)、Mg(OH)2(融点:350℃)、Sr(OH)2(融点:375℃)およびBa(OH)2(融点:853℃)を挙げることができる。
Aのモリブデン酸塩としては、Na2MoO4(融点:698℃)、K2MoO4(融点:919℃)、Rb2MoO4(融点:958℃)、Cs2MoO4(融点:956℃)、CaMoO4(融点:1520℃)、MgMoO4(融点:1060℃)、SrMoO4(融点:1040℃)およびBaMoO4(融点:1460℃)を挙げることができる。
Aのタングステン酸塩としては、Na2WO4(融点:687℃)、K2WO4、Rb2WO4、Cs2WO4、CaWO4、MgWO4、SrWO4およびBaWO4を挙げることができる。
本実施形態においては、これらの不活性溶融剤を2種以上用いることもできる。2種以上用いる場合は、融点が下がることもある。また、これらの不活性溶融剤の中でも、より結晶性が高いリチウム金属複合酸化物粉末を得るための不活性溶融剤としては、Aの水酸化物、Aの炭酸塩および硫酸塩、Aの塩化物のいずれか又はその組み合わせであることが好ましい。また、Aとしては、ナトリウム(Na)およびカリウム(K)のいずれか一方又は両方であることが好ましい。すなわち、上記の中で、とりわけ好ましい不活性溶融剤は、NaOH、KOH、NaCl、KCl、Na2CO3、K2CO3、Na2SO4、およびK2SO4からなる群より選ばれる1種以上である。
本実施形態において、不活性溶融剤として、硫酸カリウム、硫酸ナトリウムおよび炭酸カリウムからなる群から選ばれる1種以上を用いた場合には、得られるリチウム金属複合酸化物粉末のR(10)を本実施形態の好ましい範囲に制御できる。前記不活性溶融剤の存在下での焼成することで、焼成時にリチウム化合物と前駆体の混合物に必要な酸素が、不活性溶融剤を通して十分に供給されるため、粒子表面の酸素欠損が少ないリチウム金属複合酸化物粉末が得られる。
本実施形態において、焼成時の不活性溶融剤の存在量は適宜選択すればよい。得られるリチウム金属複合酸化物のR(90)を本実施形態の範囲とするためには、焼成時の不活性溶融剤の存在量はリチウム化合物100質量部に対して0.1質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましい。また、必要に応じて、上記に挙げた不活性溶融剤以外の不活性溶融剤を併せて用いてもよい。溶融剤としては、NH4Cl、NH4Fなどのアンモニウム塩等を挙げることができる。
焼成により、原料化合物が得られる。
焼成後の原料化合物に残留する不活性溶融剤の洗浄には、純水やアルカリ性洗浄液を用いることができる。
アルカリ性洗浄液としては、例えば、LiOH(水酸化リチウム)、NaOH(水酸化ナトリウム)、KOH(水酸化カリウム)、Li2CO3(炭酸リチウム)、Na2CO3(炭酸ナトリウム)、K2CO3(炭酸カリウム)および(NH4)2CO3(炭酸アンモニウム)からなる群より選ばれる1種以上の無水物並びにその水和物の水溶液を挙げることができる。また、アルカリとして、アンモニアを使用することもできる。
焼成後の原料化合物に残留する不活性溶融剤の洗浄には、純水やアルカリ性洗浄液を用いることができる。
アルカリ性洗浄液としては、例えば、LiOH(水酸化リチウム)、NaOH(水酸化ナトリウム)、KOH(水酸化カリウム)、Li2CO3(炭酸リチウム)、Na2CO3(炭酸ナトリウム)、K2CO3(炭酸カリウム)および(NH4)2CO3(炭酸アンモニウム)からなる群より選ばれる1種以上の無水物並びにその水和物の水溶液を挙げることができる。また、アルカリとして、アンモニアを使用することもできる。
洗浄に用いる洗浄液の温度は、15℃以下が好ましく、10℃以下がより好ましく、8℃以下がさらに好ましい。洗浄液の温度を凍結しない範囲で上記範囲に制御することで、洗浄時に原料化合物の結晶構造中から洗浄液中へのリチウムイオンの過度な溶出が抑制できる。
洗浄工程において、洗浄液と原料化合物とを接触させる方法としては、各洗浄液の水溶液中に、原料化合物を投入して撹拌する方法や、各洗浄液の水溶液をシャワー水として、原料化合物にかける方法や、洗浄液の水溶液中に、原料化合物を投入して撹拌した後、各洗浄液の水溶液から原料化合物を分離し、次いで、各洗浄液の水溶液をシャワー水として、分離後の原料化合物にかける方法が挙げられる。
洗浄後は、ろ過等により洗浄液から原料化合物を分離し、乾燥する工程を実施してもよい。
前記原料化合物は、下記式(II)を満たすことが好ましい。
Li(Lip(Ni(1−q−r)CoqX1r)1−p)O2 ・・(II)
(−0.1≦p≦0.2、0≦q≦0.4、0≦r≦0.4、1−q−r≧0.3、X1はMn、Fe、Cu、Ti、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Cr、Ga、Ge、Pd、Ag、Cd、InおよびVからなる群から選ばれる1種以上の元素である。)
Li(Lip(Ni(1−q−r)CoqX1r)1−p)O2 ・・(II)
(−0.1≦p≦0.2、0≦q≦0.4、0≦r≦0.4、1−q−r≧0.3、X1はMn、Fe、Cu、Ti、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Cr、Ga、Ge、Pd、Ag、Cd、InおよびVからなる群から選ばれる1種以上の元素である。)
原料化合物は、中和滴定の結果から換算値として求められる余剰リチウム量が、1質量%以下であることが好ましい。余剰リチウム量とは、原料化合物の中和滴定の結果から換算値として求められる残存アルカリに含まれる炭酸リチウム量と水酸化リチウム量の合計量から算出したLi元素の含有量をいう。余剰リチウム量は、原料化合物の結晶構造中に含まれないリチウム量である。
原料化合物中の余剰リチウム量を上記の範囲に調整することにより、後述の被覆原料と余剰リチウムが反応し、コア粒子の均質に被覆した被覆層が形成され、R(90)を本実施形態の範囲内に制御しやすくなる。
原料化合物中の余剰リチウム量を上記の範囲に調整することにより、後述の被覆原料と余剰リチウムが反応し、コア粒子の均質に被覆した被覆層が形成され、R(90)を本実施形態の範囲内に制御しやすくなる。
[工程(b)]
工程(b)は、元素Mを含む被覆原料と、前記原料化合物を接触させ、原料混合物を得る工程である。
元素Mは、Al、B、Si、S、Nb、F及びPからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。
工程(b)は、元素Mを含む被覆原料と、前記原料化合物を接触させ、原料混合物を得る工程である。
元素Mは、Al、B、Si、S、Nb、F及びPからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。
工程(b)は、元素Mを含む被覆原料溶液1を原料化合物に接触させ、原料混合物を得る工程(b1)であってもよい。
工程(b1)は、前記原料化合物に前記被覆原料溶液1を噴霧して接触させ、原料混合物を得る工程(b1−1)であってもよい。
工程(b)は、前記原料化合物を、前記元素Mとリチウムとを含む被覆原料溶液2に浸漬させて原料混合物を得る工程(b2)であってもよい。
工程(b)は、元素Mを含む粉末状の被覆原料を粉末状の原料化合物に接触させ、原料混合物を得る工程(b3)であってもよい。
工程(b1)は、前記原料化合物に前記被覆原料溶液1を噴霧して接触させ、原料混合物を得る工程(b1−1)であってもよい。
工程(b)は、前記原料化合物を、前記元素Mとリチウムとを含む被覆原料溶液2に浸漬させて原料混合物を得る工程(b2)であってもよい。
工程(b)は、元素Mを含む粉末状の被覆原料を粉末状の原料化合物に接触させ、原料混合物を得る工程(b3)であってもよい。
・被覆原料
被覆原料はAl、B、Si、S、Nb、F及びPからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む被覆化合物を含有することが好ましい。被覆化合物は、例えば、Al2O3、H3BO3、HBO2、H2B4O7、HB5O8、B2O3、H4SiO4、H2SiO3、H2Si2O5、SiO2、H2SO4、H2SO3、H2S2O3、H2SO6、H2SO8、Nb2O5、LiF、H3PO4、H4P2O7、H3PO3、H3PO2、Li3PO4のうち何れか一つ、又は、二つ以上を混合して使用することができる。これらの中では、H3BO3、B2O3、Nb2O5、Li3PO4が好ましい。
被覆原料はAl、B、Si、S、Nb、F及びPからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む被覆化合物を含有することが好ましい。被覆化合物は、例えば、Al2O3、H3BO3、HBO2、H2B4O7、HB5O8、B2O3、H4SiO4、H2SiO3、H2Si2O5、SiO2、H2SO4、H2SO3、H2S2O3、H2SO6、H2SO8、Nb2O5、LiF、H3PO4、H4P2O7、H3PO3、H3PO2、Li3PO4のうち何れか一つ、又は、二つ以上を混合して使用することができる。これらの中では、H3BO3、B2O3、Nb2O5、Li3PO4が好ましい。
・工程(b1)
工程(b)が、元素Mを含む被覆原料溶液1を原料化合物に接触させ、原料混合物を得る工程(b1)である場合について説明する。
工程(b1)は、前記被覆化合物を溶媒に分散、溶解させた溶液状態(被覆原料溶液1)で用いてもよい。被覆原料溶液の溶媒は、水または有機溶媒を用いることができ、水が好ましい。
工程(b)が、元素Mを含む被覆原料溶液1を原料化合物に接触させ、原料混合物を得る工程(b1)である場合について説明する。
工程(b1)は、前記被覆化合物を溶媒に分散、溶解させた溶液状態(被覆原料溶液1)で用いてもよい。被覆原料溶液の溶媒は、水または有機溶媒を用いることができ、水が好ましい。
被覆原料として被覆原料溶液1を用いる場合、被覆原料溶液1と原料化合物とを接触させる方法としては、下記の方法が挙げられる。
・・被覆原料溶液1中に、原料化合物を浸漬する方法。ここで、「浸漬する」とは原料化合物を被覆原料溶液1中に投入すること、または、投入後攪拌することを含む。
・・被覆原料溶液1をシャワー液として、原料化合物にかける方法。
・・被覆原料溶液1を噴霧液として、原料化合物に噴霧する方法。
・・被覆原料溶液1に、原料化合物を浸漬した後、被覆原料溶液1から原料化合物を分離する。次いで、被覆原料溶液1をシャワー液として、分離後の原料化合物にかけて接触させ、原料混合物を得る方法。
・・被覆原料溶液1中に、原料化合物を浸漬する方法。ここで、「浸漬する」とは原料化合物を被覆原料溶液1中に投入すること、または、投入後攪拌することを含む。
・・被覆原料溶液1をシャワー液として、原料化合物にかける方法。
・・被覆原料溶液1を噴霧液として、原料化合物に噴霧する方法。
・・被覆原料溶液1に、原料化合物を浸漬した後、被覆原料溶液1から原料化合物を分離する。次いで、被覆原料溶液1をシャワー液として、分離後の原料化合物にかけて接触させ、原料混合物を得る方法。
被覆原料として被覆原料溶液1を用いる場合、工程(b1)の後、後述する工程(c)の前に、前記原料混合物中に含まれる溶媒を除去し、原料混合物中の溶媒の含有率を30質量%以下に調整する工程(b1−A)を備えることが好ましい。
原料混合物に含まれる溶媒の含有率は25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が特に好ましい。
この場合には、工程(a)、工程(b1)、工程(b1−A)及び工程(c)をこの順で備える。
原料混合物に含まれる溶媒の含有率は25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が特に好ましい。
この場合には、工程(a)、工程(b1)、工程(b1−A)及び工程(c)をこの順で備える。
被覆原料として被覆原料溶液1を用いる場合、「被覆原料溶液1中に原料化合物を浸漬し、接触させる方法」、「被覆原料溶液1を噴霧液として、原料化合物に噴霧し、接触させる方法」、あるいは「被覆原料溶液1をシャワー液として、原料化合物にかける方法」が好ましい。溶液中に浸漬すること、噴霧液を接触させること、あるいは、シャワー液をかけて接触させることで、原料化合物の粒子表面に均一に被覆原料を被着させることができる。
・・工程(b1−1)
工程(b1)が、原料化合物に被覆原料溶液1を噴霧して接触させ、原料混合物を得る工程(b1−1)である場合について説明する。
被覆原料溶液1を噴霧液として原料化合物に噴霧し接触させる場合、原料化合物を−20℃以上300℃以下の温度に調整し、被覆原料溶液1を噴霧し、接触させることが好ましい。原料化合物と熱水の反応により、原料化合物からLiが過度に引き抜かれるのを抑制するため、原料化合物の温度の上限値は、270℃が好ましく、240℃がより好ましく、210℃がさらに好ましく、180℃が特に好ましい。また、原料化合物の温度の下限値は、被覆原料溶液1の凍結を防止するため、0℃が好ましく、30℃がより好ましく、原料化合物と接触後の溶液により原料化合物からLiが引き抜かれるのを抑制すべく原料化合物と接触後の溶液を直ちに蒸発させるため、70℃がさらに好ましく、100℃が特に好ましい。
原料化合物の温度の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
工程(b1)が、原料化合物に被覆原料溶液1を噴霧して接触させ、原料混合物を得る工程(b1−1)である場合について説明する。
被覆原料溶液1を噴霧液として原料化合物に噴霧し接触させる場合、原料化合物を−20℃以上300℃以下の温度に調整し、被覆原料溶液1を噴霧し、接触させることが好ましい。原料化合物と熱水の反応により、原料化合物からLiが過度に引き抜かれるのを抑制するため、原料化合物の温度の上限値は、270℃が好ましく、240℃がより好ましく、210℃がさらに好ましく、180℃が特に好ましい。また、原料化合物の温度の下限値は、被覆原料溶液1の凍結を防止するため、0℃が好ましく、30℃がより好ましく、原料化合物と接触後の溶液により原料化合物からLiが引き抜かれるのを抑制すべく原料化合物と接触後の溶液を直ちに蒸発させるため、70℃がさらに好ましく、100℃が特に好ましい。
原料化合物の温度の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
被覆原料溶液1を噴霧液として原料化合物に噴霧し接触させる場合、噴霧液滴のザウター平均粒径D32が10μm以上500μm以下であることが好ましい。被覆元素Mの分散ムラが生じることを抑制するため、噴霧液滴のザウター平均粒径D32の上限値は、400μmが好ましく、300μmがより好ましく、250μmがさらに好ましく、200μmが特に好ましい。また、生産性を過度に低下させることを防止するため、噴霧液滴のザウター平均粒径D32の下限値は、15μmが好ましく、20μmがより好ましく、25μmがさらに好ましく、30μmが特に好ましい。
噴霧液滴のザウター平均粒径D32の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
噴霧液滴のザウター平均粒径D32の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
被覆原料溶液1を噴霧液として原料化合物に噴霧し接触させる場合、原料化合物のメジアン径DP50と、被覆原料溶液を噴霧する際の噴霧液滴のザウター平均粒径D32との比、DP50/D32が、0.001以上10以下であることが好ましい。生産性を過度に低下させることを防止するため、DP50/D32の上限値は、5が好ましく、1がより好ましく、0.7がさらに好ましく、0.5が特に好ましい。また、被覆元素Mの分散ムラが生じることを抑制するため、DP50/D32の下限値は、0.003が好ましく、0.005がより好ましく、0.007がさらに好ましく、0.01が特に好ましい。
DP50/D32の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
DP50/D32の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
被覆原料溶液1を噴霧液として原料化合物に噴霧し接触させる場合、被覆原料溶液1を原料化合物と接触させる際の被覆原料溶液1の溶液温度が、−20℃以上300℃以下であることが好ましい。原料化合物と熱水の反応により、原料化合物からLiが過度に引き抜かれるのを抑制するため、溶液温度の上限値は、270℃が好ましく、240℃がより好ましく、210℃がさらに好ましく、180℃が特に好ましい。また、溶液温度の下限値は、被覆原料溶液1の凍結を防止するため、0℃が好ましく、30℃がより好ましく、原料化合物と接触後の溶液により原料化合物からLiが引き抜かれるのを抑制すべく原料化合物と接触後の溶液を直ちに蒸発させるため、70℃がさらに好ましく、100℃が特に好ましい。
溶液温度の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
溶液温度の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
被覆原料溶液1を噴霧液として原料化合物に噴霧し接触させる場合、被覆原料溶液1中の元素Mの濃度が、0.001mol/L以上100mol/L以下であることが好ましい。被覆元素Mの分散ムラが生じることを抑制するため、被覆原料溶液1中の元素Mの濃度の上限値は、80mol/Lが好ましく、70mol/Lがより好ましく、60mol/Lがさらに好ましく、50mol/Lが特に好ましい。また、生産性を過度に低下させることを防止するため、被覆原料溶液1中の元素Mの濃度の下限値は、0.003mol/Lが好ましく、0.005mol/Lがより好ましく、0.007mol/Lがさらに好ましく、0.01mol/Lが特に好ましい。
被覆原料溶液1中の元素Mの濃度の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
被覆原料溶液1中の元素Mの濃度の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
被覆原料溶液1を噴霧液として原料化合物に噴霧し接触させる場合、原料混合物に含まれるリチウムの物質量に対する、元素Mの物質量の比(M/Li)が、が、0.1以上50以下であることが好ましい。ここで原料混合物に含まれるリチウムの物質量とは、原料混合物に含まれる前記原料化合物の結晶構造中に含まれるリチウムを除いた量である。元素MがLiとの化合物を生成せずに抵抗層となることを抑制するため、M/Liの上限値は、30が好ましく、20がより好ましく、10がさらに好ましく、5が特に好ましい。
また、被覆元素Mによる抵抗低減効果が薄れることを防止するため、M/Liの下限値は、0.2が好ましく、0.5がより好ましく、1.0がさらに好ましく、1.5が特に好ましい。
M/Liの上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
また、被覆元素Mによる抵抗低減効果が薄れることを防止するため、M/Liの下限値は、0.2が好ましく、0.5がより好ましく、1.0がさらに好ましく、1.5が特に好ましい。
M/Liの上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
・工程(b2)
工程(b)が、原料化合物を、元素Mとリチウムとを含む被覆原料溶液2に浸漬させて原料混合物を得る工程(b2)である場合について説明する。
被覆原料溶液2に含まれるリチウムは、原料化合物に含まれる未反応の残留リチウムが溶液中に溶出したものであってもよく、被覆原料溶液中に別途リチウム化合物を添加したものであってもよい。
工程(b)が、原料化合物を、元素Mとリチウムとを含む被覆原料溶液2に浸漬させて原料混合物を得る工程(b2)である場合について説明する。
被覆原料溶液2に含まれるリチウムは、原料化合物に含まれる未反応の残留リチウムが溶液中に溶出したものであってもよく、被覆原料溶液中に別途リチウム化合物を添加したものであってもよい。
被覆原料溶液2中に、原料化合物を浸漬する場合、原料化合物に対する被覆原料溶液2の量が、重量基準で0.1倍以上10倍以下であることが好ましい。原料化合物からLiが過度に引き抜かれるのを抑制するため、原料化合物に対する被覆原料溶液2の量の上限値は、8が好ましく、7がより好ましく、6がさらに好ましく、5が特に好ましい。また、スラリーの流動性を維持するため、原料化合物に対する被覆原料溶液2の量の下限値は、0.3が好ましく、0.5がより好ましく、0.7がさらに好ましく、1が特に好ましい。
原料化合物に対する被覆原料溶液2の量の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
原料化合物に対する被覆原料溶液2の量の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
被覆原料溶液2中に、原料化合物を浸漬する場合、被覆原料溶液2の温度は、−20℃以上80℃以下に調整することが好ましい。原料化合物の結晶構造中から被覆原料溶液中に、リチウムイオンが過度に溶出されることを抑制するため、被覆原料溶液2の温度の上限値は、60℃が好ましく、50℃がより好ましく、40℃がさらに好ましく、30℃が特に好ましい。被覆原料溶液2の凍結を防止するため、被覆原料溶液2の温度の下限値は−15℃が好ましく、−10℃がより好ましく、−5℃がさらに好ましく、0℃が特に好ましい。
被覆原料溶液2の温度の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
被覆原料溶液2の温度の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
被覆原料溶液2中に、原料化合物を浸漬する場合、被覆原料溶液2に含まれるLiの濃度が、0.01mol/L以上10mol/L以下であることが好ましい。原料混合物中に過剰な不純物Liが残留することを防止するため、被覆原料溶液2に含まれるLiの濃度の上限値は、5mol/Lが好ましく、2mol/Lがより好ましく、1mol/Lがさらに好ましく、0.5mol/Lが特に好ましい。
また、元素MがLiとの化合物を生成せずに抵抗層となることを抑制するため、被覆原料溶液2に含まれるLiの濃度の下限値は、0.015mol/Lが好ましく、0.018mol/Lがより好ましく、0.020mol/Lがさらに好ましく、0.22mol/Lが特に好ましい。
被覆原料溶液2に含まれるLiの濃度の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
また、元素MがLiとの化合物を生成せずに抵抗層となることを抑制するため、被覆原料溶液2に含まれるLiの濃度の下限値は、0.015mol/Lが好ましく、0.018mol/Lがより好ましく、0.020mol/Lがさらに好ましく、0.22mol/Lが特に好ましい。
被覆原料溶液2に含まれるLiの濃度の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
被覆原料溶液2中に、原料化合物を浸漬する場合、原料混合物に含まれるリチウムの物質量に対する、元素Mの物質量の比(M/Li)が、0.1以上50以下であることが好ましい。ここで原料混合物に含まれるリチウムの物質量とは、原料混合物に含まれる前記原料化合物の結晶構造中に含まれるリチウムを除いた量である。元素MがLiとの化合物を生成せずに抵抗層となることを抑制するため、M/Liの上限値は、30が好ましく、20がより好ましく、10がさらに好ましく、5が特に好ましい。また、被覆元素Mによる抵抗低減効果が薄れることを防止するため、M/Liの下限値は、0.2が好ましく、0.5がより好ましく、1.0がさらに好ましく、1.5が特に好ましい。
M/Liの上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
M/Liの上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
・工程(b3)
工程(b)が、元素Mを含む粉末状の被覆原料を粉末状の原料化合物に接触させ、原料混合物を得る工程(b3)である場合について説明する。
被覆原料と、原料化合物を接触させるとき、被覆原料として粉末状態の被覆化合物を用いる場合、被覆原料と原料化合物を粉末の状態で混合して接触させ、原料混合物を得る。
工程(b)が、元素Mを含む粉末状の被覆原料を粉末状の原料化合物に接触させ、原料混合物を得る工程(b3)である場合について説明する。
被覆原料と、原料化合物を接触させるとき、被覆原料として粉末状態の被覆化合物を用いる場合、被覆原料と原料化合物を粉末の状態で混合して接触させ、原料混合物を得る。
原料混合物に含まれるリチウムの物質量に対する、元素Mの物質量の比(M/Li)が、0.1以上50以下であることが好ましい。ここで原料混合物に含まれるリチウムの物質量とは、原料混合物に含まれる前記原料化合物の結晶構造中に含まれるリチウムを除いた量である。元素MがLiとの化合物を生成せずに抵抗層となることを抑制するため、M/Liの上限値は、30が好ましく、20がより好ましく、10がさらに好ましく、5が特に好ましい。また、被覆元素Mによる抵抗低減効果が薄れることを防止するため、M/Liの下限値は、0.2が好ましく、0.5がより好ましく、1.0がさらに好ましく、1.5が特に好ましい。
M/Liの上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
M/Liの上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
工程(b)において原料化合物に含まれるLiを除く金属元素の総量(Ni+X)に対する、被覆原料に含まれる元素Mの割合(M/(Ni+X))は、モル比で0.001以上0.05以下であることが好ましい。過剰な被覆層により、充放電反応を行うリチウム金属複合酸化物のコア粒子部分の重量比率が過度に低下することを防止するため、M/(Ni+X)の上限値は、0.04が好ましく、0.03がより好ましく、0.025がさらに好ましく、0.02が特に好ましい。また、被覆元素Mによる抵抗低減効果が薄れることを防止するため、M/(Ni+X)の下限値は、0.002が好ましく、0.003がより好ましく、0.0035がさらに好ましく、0.004が特に好ましい。
M/(Ni+X)の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
被覆原料中の元素Mの割合を上記範囲内とすることにより、R(90)を本実施形態の範囲内に制御しやすくなる。
M/(Ni+X)の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
被覆原料中の元素Mの割合を上記範囲内とすることにより、R(90)を本実施形態の範囲内に制御しやすくなる。
[工程(c)]
工程(c)は、前記工程(b)で得られた原料混合物を、200℃以上から600℃以下の温度で熱処理する工程である。
工程(c)は、前記工程(b)で得られた原料混合物を、200℃以上から600℃以下の温度で熱処理する工程である。
・熱処理工程
リチウム金属複合酸化物粉末の粒子の表面に被覆物を均一に分散させる観点から、熱処理工程の加熱温度は250℃以上がより好ましく、300℃以上が特に好ましい。
また被覆物の熱分解や、被覆原料が、原料化合物に固溶することを抑制する観点から、熱処理工程の加熱温度は550℃以下がより好ましく、500℃以下が特に好ましい。
上記の温度範囲で加熱することにより、R(90)を本実施形態の範囲内に制御しやすくなる。
加熱後、本実施形態のリチウム金属複合酸化物粉末が得られる。
リチウム金属複合酸化物粉末の粒子の表面に被覆物を均一に分散させる観点から、熱処理工程の加熱温度は250℃以上がより好ましく、300℃以上が特に好ましい。
また被覆物の熱分解や、被覆原料が、原料化合物に固溶することを抑制する観点から、熱処理工程の加熱温度は550℃以下がより好ましく、500℃以下が特に好ましい。
上記の温度範囲で加熱することにより、R(90)を本実施形態の範囲内に制御しやすくなる。
加熱後、本実施形態のリチウム金属複合酸化物粉末が得られる。
[任意工程]
本実施形態においては、加熱工程後のリチウム金属複合酸化物粉末は純水やアルカリ性洗浄液などを洗浄液として用いて洗浄することが好ましい。
アルカリ性洗浄液としては、例えば、LiOH(水酸化リチウム)、NaOH(水酸化ナトリウム)、KOH(水酸化カリウム)、Li2CO3(炭酸リチウム)、Na2CO3(炭酸ナトリウム)、K2CO3(炭酸カリウム)および(NH4)2CO3(炭酸アンモニウム)からなる群より選ばれる1種以上の無水物の水溶液並びに前記無水物の水和物の水溶液を挙げることができる。また、アルカリとして、アンモニアを使用することもできる。
本実施形態においては、加熱工程後のリチウム金属複合酸化物粉末は純水やアルカリ性洗浄液などを洗浄液として用いて洗浄することが好ましい。
アルカリ性洗浄液としては、例えば、LiOH(水酸化リチウム)、NaOH(水酸化ナトリウム)、KOH(水酸化カリウム)、Li2CO3(炭酸リチウム)、Na2CO3(炭酸ナトリウム)、K2CO3(炭酸カリウム)および(NH4)2CO3(炭酸アンモニウム)からなる群より選ばれる1種以上の無水物の水溶液並びに前記無水物の水和物の水溶液を挙げることができる。また、アルカリとして、アンモニアを使用することもできる。
洗浄工程において、洗浄液とリチウム金属複合酸化物粉末とを接触させる方法としては、各洗浄液中に、リチウム金属複合酸化物粉末を投入して撹拌する方法や、各洗浄液をシャワー水として、リチウム金属複合酸化物粉末にかける方法や、該洗浄液中に、リチウム金属複合酸化物粉末を投入して撹拌した後、各洗浄液からリチウム金属複合酸化物粉末を分離し、次いで、各洗浄液をシャワー水として、分離後のリチウム金属複合酸化物粉末にかける方法が挙げられる。
洗浄に用いる洗浄液の温度は、15℃以下が好ましく、10℃以下がより好ましく、8℃以下がさらに好ましい。洗浄液の温度を上記範囲で洗浄液が凍結しない温度に制御することで、洗浄時にリチウム金属複合酸化物粉末の結晶構造中から洗浄液中へのリチウムイオンの過度な溶出が抑制できる。
焼成によって得たリチウム金属複合酸化物粉末は、任意の洗浄工程を経た後に粉砕し、適宜分級され、リチウム二次電池に適用可能なリチウム二次電池用正極活物質とされる。
本実施形態のリチウム二次電池用正極活物質は、前記本実施形態のリチウム金属複合酸化物粉末とは異なるリチウム金属複合酸化物粉末を含有していてもよい。
本実施形態のリチウム二次電池用正極活物質は、前記本実施形態のリチウム金属複合酸化物粉末とは異なるリチウム金属複合酸化物粉末を含有していてもよい。
<リチウム二次電池>
次いで、本実施形態の正極活物質の用途として好適なリチウム二次電池の構成を説明する。
さらに、本実施形態の正極活物質粉末を含有するリチウム二次電池用正極活物質の用途として好適な正極について説明する。
さらに、正極の用途として好適なリチウム二次電池について説明する。
次いで、本実施形態の正極活物質の用途として好適なリチウム二次電池の構成を説明する。
さらに、本実施形態の正極活物質粉末を含有するリチウム二次電池用正極活物質の用途として好適な正極について説明する。
さらに、正極の用途として好適なリチウム二次電池について説明する。
本実施形態の正極活物質の用途として好適なリチウム二次電池の一例は、正極および負極、正極と負極との間に挟持されるセパレータ、正極と負極との間に配置される電解液を有する。
図1A及び図1Bは、リチウム二次電池の一例を示す模式図である。円筒型のリチウム二次電池10は、次のようにして製造する。
まず、図1Aに示すように、帯状を呈する一対のセパレータ1、一端に正極リード21を有する帯状の正極2、および一端に負極リード31を有する帯状の負極3を、セパレータ1、正極2、セパレータ1、負極3の順に積層し、巻回することにより電極群4とする。
次いで、図1Bに示すように、電池缶5に電極群4および不図示のインシュレーターを収容した後、缶底を封止し、電極群4に電解液6を含浸させ、正極2と負極3との間に電解質を配置する。さらに、電池缶5の上部をトップインシュレーター7および封口体8で封止することで、リチウム二次電池10を製造することができる。
電極群4の形状としては、例えば、電極群4を巻回の軸に対して垂直方向に切断したときの断面形状が、円、楕円、長方形、角を丸めた長方形となるような柱状の形状を挙げることができる。
また、このような電極群4を有するリチウム二次電池の形状としては、国際電気標準会議(IEC)が定めた電池に対する規格であるIEC60086、又はJIS C 8500で定められる形状を採用することができる。例えば、円筒型、角型などの形状を挙げることができる。
さらに、リチウム二次電池は、上記巻回型の構成に限らず、正極、セパレータ、負極、セパレータの積層構造を繰り返し重ねた積層型の構成であってもよい。積層型のリチウム二次電池としては、いわゆるコイン型電池、ボタン型電池、ペーパー型(又はシート型)電池を例示することができる。
以下、各構成について順に説明する。
(正極)
正極は、まず正極活物質、導電材およびバインダーを含む正極合剤を調整し、正極合剤を正極集電体に担持させることで製造することができる。
(正極)
正極は、まず正極活物質、導電材およびバインダーを含む正極合剤を調整し、正極合剤を正極集電体に担持させることで製造することができる。
(導電材)
正極が有する導電材としては、炭素材料を用いることができる。炭素材料として黒鉛粉末、カーボンブラック(例えばアセチレンブラック)、繊維状炭素材料などを挙げることができる。カーボンブラックは、微粒で表面積が大きいため、少量を正極合剤中に添加することにより正極内部の導電性を高め、充放電効率および出力特性を向上させることができるが、多く入れすぎるとバインダーによる正極合剤と正極集電体との結着力、および正極合剤内部の結着力がいずれも低下し、かえって内部抵抗を増加させる原因となる。
正極が有する導電材としては、炭素材料を用いることができる。炭素材料として黒鉛粉末、カーボンブラック(例えばアセチレンブラック)、繊維状炭素材料などを挙げることができる。カーボンブラックは、微粒で表面積が大きいため、少量を正極合剤中に添加することにより正極内部の導電性を高め、充放電効率および出力特性を向上させることができるが、多く入れすぎるとバインダーによる正極合剤と正極集電体との結着力、および正極合剤内部の結着力がいずれも低下し、かえって内部抵抗を増加させる原因となる。
正極合剤中の導電材の割合は、正極活物質100質量部に対して5質量部以上20質量部以下であると好ましい。導電材として黒鉛化炭素繊維、カーボンナノチューブなどの繊維状炭素材料を用いる場合には、この割合を下げることも可能である。
(バインダー)
正極が有するバインダーとしては、熱可塑性樹脂を用いることができる。この熱可塑性樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVdFということがある。)、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEということがある。)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体などのフッ素樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂;を挙げることができる。
正極が有するバインダーとしては、熱可塑性樹脂を用いることができる。この熱可塑性樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVdFということがある。)、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEということがある。)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体などのフッ素樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂;を挙げることができる。
これらの熱可塑性樹脂は、2種以上を混合して用いてもよい。バインダーとしてフッ素樹脂およびポリオレフィン樹脂を用い、正極合剤全体に対するフッ素樹脂の割合を1質量%以上10質量%以下、ポリオレフィン樹脂の割合を0.1質量%以上2質量%以下とすることによって、正極集電体との密着力および正極合剤内部の結合力がいずれも高い正極合剤を得ることができる。
(正極集電体)
正極が有する正極集電体としては、Al、Ni、ステンレスなどの金属材料を形成材料とする帯状の部材を用いることができる。なかでも、加工しやすく、安価であるという点でAlを形成材料とし、薄膜状に加工したものが好ましい。
正極が有する正極集電体としては、Al、Ni、ステンレスなどの金属材料を形成材料とする帯状の部材を用いることができる。なかでも、加工しやすく、安価であるという点でAlを形成材料とし、薄膜状に加工したものが好ましい。
正極集電体に正極合剤を担持させる方法としては、正極合剤を正極集電体上で加圧成型する方法が挙げられる。また、有機溶媒を用いて正極合剤をペースト化し、得られる正極合剤のペーストを正極集電体の少なくとも一面側に塗布して乾燥させ、プレスし固着することで、正極集電体に正極合剤を担持させてもよい。
正極合剤をペースト化する場合、用いることができる有機溶媒としては、N,N―ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミンなどのアミン系溶媒;テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒;酢酸メチルなどのエステル系溶媒;ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPということがある。)などのアミド系溶媒;が挙げられる。
正極合剤のペーストを正極集電体へ塗布する方法としては、例えば、スリットダイ塗工法、スクリーン塗工法、カーテン塗工法、ナイフ塗工法、グラビア塗工法および静電スプレー法が挙げられる。
以上に挙げられた方法により、正極を製造することができる。
(負極)
リチウム二次電池が有する負極は、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープかつ脱ドープが可能であればよく、負極活物質を含む負極合剤が負極集電体に担持されてなる電極、および負極活物質単独からなる電極を挙げることができる。
(負極)
リチウム二次電池が有する負極は、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープかつ脱ドープが可能であればよく、負極活物質を含む負極合剤が負極集電体に担持されてなる電極、および負極活物質単独からなる電極を挙げることができる。
(負極活物質)
負極が有する負極活物質としては、炭素材料、カルコゲン化合物(酸化物、硫化物など)、窒化物、金属又は合金で、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープかつ脱ドープが可能な材料が挙げられる。
負極が有する負極活物質としては、炭素材料、カルコゲン化合物(酸化物、硫化物など)、窒化物、金属又は合金で、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープかつ脱ドープが可能な材料が挙げられる。
負極活物質として使用可能な炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛、コークス類、カーボンブラック、熱分解炭素類、炭素繊維および有機高分子化合物焼成体を挙げることができる。
負極活物質として使用可能な酸化物としては、SiO2、SiOなど式SiOx(ここで、xは正の実数)で表されるケイ素の酸化物;TiO2、TiOなど式TiOx(ここで、xは正の実数)で表されるチタンの酸化物;V2O5、VO2など式VOx(ここで、xは正の実数)で表されるバナジウムの酸化物;Fe3O4、Fe2O3、FeOなど式FeOx(ここで、xは正の実数)で表される鉄の酸化物;SnO2、SnOなど式SnOx(ここで、xは正の実数)で表されるスズの酸化物;WO3、WO2など一般式WOx(ここで、xは正の実数)で表されるタングステンの酸化物;Li4Ti5O12、LiVO2などのリチウムとチタン又はバナジウムとを含有する複合金属酸化物;を挙げることができる。
負極活物質として使用可能な硫化物としては、Ti2S3、TiS2、TiSなど式TiSx(ここで、xは正の実数)で表されるチタンの硫化物;V3S4、VS2、VSなど式VSx(ここで、xは正の実数)で表されるバナジウムの硫化物;Fe3S4、FeS2、FeSなど式FeSx(ここで、xは正の実数)で表される鉄の硫化物;Mo2S3、MoS2など式MoSx(ここで、xは正の実数)で表されるモリブデンの硫化物;SnS2、SnSなど式SnSx(ここで、xは正の実数)で表されるスズの硫化物;WS2など式WSx(ここで、xは正の実数)で表されるタングステンの硫化物;Sb2S3など式SbSx(ここで、xは正の実数)で表されるアンチモンの硫化物;Se5S3、SeS2、SeSなど式SeSx(ここで、xは正の実数)で表されるセレンの硫化物;を挙げることができる。
負極活物質として使用可能な窒化物としては、Li3N、Li3−xAxN(ここで、AはNiおよびCoのいずれか一方又は両方であり、0<x<3である。)などのリチウム含有窒化物を挙げることができる。
これらの炭素材料、酸化物、硫化物、窒化物は、1種のみ用いてもよく2種以上を併用して用いてもよい。また、これらの炭素材料、酸化物、硫化物、窒化物は、結晶質又は非晶質のいずれでもよい。
また、負極活物質として使用可能な金属としては、リチウム金属、シリコン金属およびスズ金属などを挙げることができる。
負極活物質として使用可能な合金としては、Li−Al、Li−Ni、Li−Si、Li−Sn、Li−Sn−Niなどのリチウム合金;Si−Znなどのシリコン合金;Sn−Mn、Sn−Co、Sn−Ni、Sn−Cu、Sn−Laなどのスズ合金;Cu2Sb、La3Ni2Sn7などの合金;を挙げることもできる。
これらの金属や合金は、例えば箔状に加工された後、主に単独で電極として用いられる。
上記負極活物質の中では、充電時に未充電状態から満充電状態にかけて負極の電位がほとんど変化しない(電位平坦性がよい)、平均放電電位が低い、繰り返し充放電させたときの容量維持率が高い(サイクル特性がよい)などの理由から、天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛を主成分とする炭素材料が好ましく用いられる。炭素材料の形状としては、例えば天然黒鉛のような薄片状、メソカーボンマイクロビーズのような球状、黒鉛化炭素繊維のような繊維状、又は微粉末の凝集体などのいずれでもよい。
前記の負極合剤は、必要に応じて、バインダーを含有してもよい。バインダーとしては、熱可塑性樹脂を挙げることができ、具体的には、PVdF、熱可塑性ポリイミド、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンおよびポリプロピレンを挙げることができる。
(負極集電体)
負極が有する負極集電体としては、Cu、Ni、ステンレスなどの金属材料を形成材料とする帯状の部材を挙げることができる。なかでも、リチウムと合金を作り難く、加工しやすいという点で、Cuを形成材料とし、薄膜状に加工したものが好ましい。
負極が有する負極集電体としては、Cu、Ni、ステンレスなどの金属材料を形成材料とする帯状の部材を挙げることができる。なかでも、リチウムと合金を作り難く、加工しやすいという点で、Cuを形成材料とし、薄膜状に加工したものが好ましい。
このような負極集電体に負極合剤を担持させる方法としては、正極の場合と同様に、加圧成型による方法、溶媒などを用いてペースト化し負極集電体上に塗布、乾燥後プレスし圧着する方法が挙げられる。
(セパレータ)
リチウム二次電池が有するセパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、含窒素芳香族重合体などの材質からなる、多孔質膜、不織布、織布などの形態を有する材料を用いることができる。また、これらの材質を2種以上用いてセパレータを形成してもよいし、これらの材料を積層してセパレータを形成してもよい。
リチウム二次電池が有するセパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、含窒素芳香族重合体などの材質からなる、多孔質膜、不織布、織布などの形態を有する材料を用いることができる。また、これらの材質を2種以上用いてセパレータを形成してもよいし、これらの材料を積層してセパレータを形成してもよい。
本実施形態において、セパレータは、電池使用時(充放電時)に電解質を良好に透過させるため、JIS P 8117で定められるガーレー法による透気抵抗度が、50秒/100cc以上、300秒/100cc以下であることが好ましく、50秒/100cc以上、200秒/100cc以下であることがより好ましい。
また、セパレータの空孔率は、好ましくは30体積%以上80体積%以下、より好ましくは40体積%以上70体積%以下である。セパレータは空孔率の異なるセパレータを積層したものであってもよい。
(電解液)
リチウム二次電池が有する電解液は、電解質および有機溶媒を含有する。
リチウム二次電池が有する電解液は、電解質および有機溶媒を含有する。
電解液に含まれる電解質としては、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiN(SO2CF3)(COCF3)、Li(C4F9SO3)、LiC(SO2CF3)3、Li2B10Cl10、LiBOB(ここで、BOBは、bis(oxalato)borateのことである。)、LiFSI(ここで、FSIはbis(fluorosulfonyl)imideのことである)、低級脂肪族カルボン酸リチウム塩、LiAlCl4などのリチウム塩が挙げられ、これらの2種以上の混合物を使用してもよい。なかでも電解質としては、フッ素を含むLiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(SO2CF3)2およびLiC(SO2CF3)3からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものを用いることが好ましい。
また前記電解液に含まれる有機溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,2−ジ(メトキシカルボニルオキシ)エタンなどのカーボネート類;1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類;アセトニトリル、ブチロニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;3−メチル−2−オキサゾリドンなどのカーバメート類;スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−プロパンサルトンなどの含硫黄化合物、又はこれらの有機溶媒にさらにフルオロ基を導入したもの(有機溶媒が有する水素原子のうち1以上をフッ素原子で置換したもの)を用いることができる。
有機溶媒としては、これらのうちの2種以上を混合して用いることが好ましい。中でもカーボネート類を含む混合溶媒が好ましく、環状カーボネートと非環状カーボネートとの混合溶媒および環状カーボネートとエーテル類との混合溶媒がさらに好ましい。環状カーボネートと非環状カーボネートとの混合溶媒としては、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネートを含む混合溶媒が好ましい。このような混合溶媒を用いた電解液は、動作温度範囲が広く、高い電流レートにおける充放電を行っても劣化し難く、長時間使用しても劣化し難く、かつ負極の活物質として天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛材料を用いた場合でも難分解性であるという多くの特長を有する。
また、電解液としては、得られるリチウム二次電池の安全性が高まるため、LiPF6などのフッ素を含むリチウム塩およびフッ素置換基を有する有機溶媒を含む電解液を用いることが好ましい。ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテルなどのフッ素置換基を有するエーテル類とジメチルカーボネートとを含む混合溶媒は、高い電流レートにおける充放電を行っても容量維持率が高いため、さらに好ましい。
上記の電解液の代わりに固体電解質を用いてもよい。固体電解質としては、例えばポリエチレンオキサイド系の高分子化合物、ポリオルガノシロキサン鎖又はポリオキシアルキレン鎖の少なくとも一種以上を含む高分子化合物などの有機系高分子電解質を用いることができる。また、高分子化合物に非水電解液を保持させた、いわゆるゲルタイプのものを用いることもできる。またLi2S−SiS2、Li2S−GeS2、Li2S−P2S5、Li2S−B2S3、Li2S−SiS2−Li3PO4、Li2S−SiS2−Li2SO4、Li2S−GeS2−P2S5などの硫化物を含む無機系固体電解質が挙げられ、これらの2種以上の混合物を用いてもよい。これら固体電解質を用いることで、リチウム二次電池の安全性をより高めることができることがある。
また、リチウム二次電池において、固体電解質を用いる場合には、固体電解質がセパレータの役割を果たす場合もあり、その場合には、セパレータを必要としないこともある。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
<走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線(EDX)分光測定>
日本電子社製の走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線(EDX)分光法(JSM−7900F)を用い、リチウム金属複合酸化物粉末の表面におけるRの累積頻度分布曲線を求めた。
ここで、RはNiと元素Xの物質量の総和(Ni+X)に対する酸素の物質量(O)の比(O/(Ni+X))である。
日本電子社製の走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線(EDX)分光法(JSM−7900F)を用い、リチウム金属複合酸化物粉末の表面におけるRの累積頻度分布曲線を求めた。
ここで、RはNiと元素Xの物質量の総和(Ni+X)に対する酸素の物質量(O)の比(O/(Ni+X))である。
≪Rの累積頻度分布曲線の求め方≫
リチウム金属複合酸化物の一次粒子単位でのEDX面分析を50粒子実施し、得られたEDXスペクトルから各粒子表面におけるRを算出した。尚、この際の加速電圧は1100Vとした。さらに、算出した50粒子の比Rにより累積頻度分布曲線を作成し、Rの小さい側からの累積頻度が90%となる点のRの値をR(90)、10%となる点のRの値をR(10)、50%となる点のRの値をR(50)とした。
具体的には、リチウム金属複合酸化物粉末について、5000倍の視野でSEM像を取得した。その視野内に含まれる粒子から、ランダムに10粒子を選択した。この操作を5視野実施し、50粒子の分析を実施した。
リチウム金属複合酸化物の一次粒子単位でのEDX面分析を50粒子実施し、得られたEDXスペクトルから各粒子表面におけるRを算出した。尚、この際の加速電圧は1100Vとした。さらに、算出した50粒子の比Rにより累積頻度分布曲線を作成し、Rの小さい側からの累積頻度が90%となる点のRの値をR(90)、10%となる点のRの値をR(10)、50%となる点のRの値をR(50)とした。
具体的には、リチウム金属複合酸化物粉末について、5000倍の視野でSEM像を取得した。その視野内に含まれる粒子から、ランダムに10粒子を選択した。この操作を5視野実施し、50粒子の分析を実施した。
<粉末X線回折測定>
粉末X線回折測定は、X線回折装置(株式会社リガク製UltimaIV)を用いて行った。リチウム金属複合化合物粉末を専用の基板に充填し、Cu−Kα線源を用いて、回折角2θ=10°〜90°、サンプリング幅0.02°、スキャンスピード4°/minの条件にて測定を行うことで、粉末X線回折図形を得た。
粉末X線回折測定は、X線回折装置(株式会社リガク製UltimaIV)を用いて行った。リチウム金属複合化合物粉末を専用の基板に充填し、Cu−Kα線源を用いて、回折角2θ=10°〜90°、サンプリング幅0.02°、スキャンスピード4°/minの条件にて測定を行うことで、粉末X線回折図形を得た。
<累積粒度の測定>
リチウム金属複合酸化物粉末0.1gを、0.2質量%ヘキサメタりん酸ナトリウム水溶液50mlに投入し、リチウム金属複合酸化物粉末を分散させた分散液を得た。次に、得られた分散液についてマイクロトラック・ベル株式会社製マイクロトラックMT3300EXII(レーザー回折散乱粒度分布測定装置)を用いて、粒度分布を測定し、体積基準の累積粒度分布曲線を得た。そして、得られた累積粒度分布曲線において、全体を100%としたときに、微小粒子側からの累積体積が90%となる点の粒子径の値を90%累積体積粒度(D90)(μm)、累積体積が50%となる点の粒子径の値を50%累積体積粒度(D50)(μm)、累積体積が10%となる点の粒子径の値を10%累積体積粒度(D10)(μm)として求めた。
リチウム金属複合酸化物粉末0.1gを、0.2質量%ヘキサメタりん酸ナトリウム水溶液50mlに投入し、リチウム金属複合酸化物粉末を分散させた分散液を得た。次に、得られた分散液についてマイクロトラック・ベル株式会社製マイクロトラックMT3300EXII(レーザー回折散乱粒度分布測定装置)を用いて、粒度分布を測定し、体積基準の累積粒度分布曲線を得た。そして、得られた累積粒度分布曲線において、全体を100%としたときに、微小粒子側からの累積体積が90%となる点の粒子径の値を90%累積体積粒度(D90)(μm)、累積体積が50%となる点の粒子径の値を50%累積体積粒度(D50)(μm)、累積体積が10%となる点の粒子径の値を10%累積体積粒度(D10)(μm)として求めた。
<組成分析>
後述の方法で製造されるリチウム金属複合酸化物粉末の組成分析は、得られたリチウム金属複合酸化物粉末を塩酸に溶解させた後、誘導結合プラズマ発光分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、SPS3000)を用いて行った。
後述の方法で製造されるリチウム金属複合酸化物粉末の組成分析は、得られたリチウム金属複合酸化物粉末を塩酸に溶解させた後、誘導結合プラズマ発光分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、SPS3000)を用いて行った。
<リチウム金属複合酸化物粉末に含まれる余剰リチウム量の測定>
リチウム金属複合酸化物粉末20gと純水100gを100mlビーカーに入れ、5分間撹拌した。撹拌後、リチウム金属複合酸化物粉末を濾過し、残った濾液の60gに0.1mol/L塩酸を滴下し、pHメーターにて濾液のpHを測定した。pH=8.3±0.1時の塩酸の滴定量をAml、pH=4.5±0.1時の塩酸の滴定量をBmlとして、下記の計算式より、リチウム金属複合酸化物粉末中に残存する炭酸リチウム及び水酸化リチウム濃度を算出した。下記の式中、炭酸リチウム及び水酸化リチウムの分子量は、各原子量を、H;1.000、Li;6.941、C;12、O;16、として算出した。
炭酸リチウム及び水酸化リチウム量から、余剰リチウム量を求めた。
炭酸リチウム濃度(質量%)={0.1×(B−A)/1000}×{73.882/(20×60/100)}×100
水酸化リチウム濃度(質量%)={0.1×(2A−B)/1000}×{23.941/(20×60/100)}×100
リチウム金属複合酸化物粉末20gと純水100gを100mlビーカーに入れ、5分間撹拌した。撹拌後、リチウム金属複合酸化物粉末を濾過し、残った濾液の60gに0.1mol/L塩酸を滴下し、pHメーターにて濾液のpHを測定した。pH=8.3±0.1時の塩酸の滴定量をAml、pH=4.5±0.1時の塩酸の滴定量をBmlとして、下記の計算式より、リチウム金属複合酸化物粉末中に残存する炭酸リチウム及び水酸化リチウム濃度を算出した。下記の式中、炭酸リチウム及び水酸化リチウムの分子量は、各原子量を、H;1.000、Li;6.941、C;12、O;16、として算出した。
炭酸リチウム及び水酸化リチウム量から、余剰リチウム量を求めた。
炭酸リチウム濃度(質量%)={0.1×(B−A)/1000}×{73.882/(20×60/100)}×100
水酸化リチウム濃度(質量%)={0.1×(2A−B)/1000}×{23.941/(20×60/100)}×100
<単粒子の観察>
リチウム金属複合酸化物粉末の走査型電子顕微鏡観察を行い、一次粒子又は二次粒子とは独立した単粒子の存在を確認した。
リチウム金属複合酸化物粉末の走査型電子顕微鏡観察を行い、一次粒子又は二次粒子とは独立した単粒子の存在を確認した。
≪自己放電率の測定≫
自己放電率は、以下の方法により測定した。
後述の方法により得られたリチウム金属複合酸化物粉末を正極活物質として用いてリチウム二次電池(コイン型セル)を作製した。後述の方法により得られたリチウム金属複合酸化物粉末と導電材(アセチレンブラック)とバインダー(PVdF)とを、92:5:3(質量比)の組成となるように加えて混練することにより、ペースト状の正極合剤を調製した。正極合材の調整時には、N−メチル−2−ピロリドンを有機溶媒として用いた。
自己放電率は、以下の方法により測定した。
後述の方法により得られたリチウム金属複合酸化物粉末を正極活物質として用いてリチウム二次電池(コイン型セル)を作製した。後述の方法により得られたリチウム金属複合酸化物粉末と導電材(アセチレンブラック)とバインダー(PVdF)とを、92:5:3(質量比)の組成となるように加えて混練することにより、ペースト状の正極合剤を調製した。正極合材の調整時には、N−メチル−2−ピロリドンを有機溶媒として用いた。
得られた正極合剤を、集電体となる厚さ40μmのAl箔に塗布して150℃で8時間真空乾燥を行い、リチウム二次電池用正極を得た。このリチウム二次電池用正極の電極面積は1.65cm2とした。
得られたリチウム二次電池用正極を用いてリチウム二次電池(コイン型電池R2032。以下、「コイン型電池」と称することがある。)を作製した。コイン型電池R2032用のコインセル(宝泉株式会社製)の下蓋にアルミ箔面を下に向けて置き、その上に積層フィルムセパレータ(ポリプロピレン製多孔質フィルムの上に、耐熱多孔層を積層(厚み25μm))を置く。ここに電解液を300μL注入する。用いる電解液は、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとの30:35:35(体積比)混合液に、LiPF6を1.0mol/Lとなるように溶解して調製した。
次に、負極として金属リチウムを用いて、前記負極を積層フィルムセパレータの上側に置き、ガスケットを介して上蓋をし、かしめ機でかしめてリチウム二次電池を作製した。
次に、負極として金属リチウムを用いて、前記負極を積層フィルムセパレータの上側に置き、ガスケットを介して上蓋をし、かしめ機でかしめてリチウム二次電池を作製した。
さらに、得られたコイン型電池を用いて次のように試験を行った。
試験温度25℃で、充電最大電圧4.4V、充電電流0.5CA、定電流定電圧モードで電流値が0.05CAになるまで充電した。その後、2.5Vまで放電電流値0.5CAで定電流放電を行い、保存前放電容量を測定した。
次いで、試験温度25℃で、充電最大電圧4.4V、充電電流0.5CA、定電流定電圧モードで電流値が0.05CAになるまで充電後、充電状態のコイン型電池を試験温度60℃で7日保存した。保存後、25℃で2.5Vまで放電電流値0.5CAで定電流放電を行い、保存容量を測定した。自己放電率は以下の式から算出した。
自己放電率(%)=(保存容量/保存前放電容量)×100
試験温度25℃で、充電最大電圧4.4V、充電電流0.5CA、定電流定電圧モードで電流値が0.05CAになるまで充電した。その後、2.5Vまで放電電流値0.5CAで定電流放電を行い、保存前放電容量を測定した。
次いで、試験温度25℃で、充電最大電圧4.4V、充電電流0.5CA、定電流定電圧モードで電流値が0.05CAになるまで充電後、充電状態のコイン型電池を試験温度60℃で7日保存した。保存後、25℃で2.5Vまで放電電流値0.5CAで定電流放電を行い、保存容量を測定した。自己放電率は以下の式から算出した。
自己放電率(%)=(保存容量/保存前放電容量)×100
≪実施例1≫
1.リチウム金属複合酸化物粉末A1の製造
攪拌器およびオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加した。反応槽内の液温は、60℃に保持した。
1.リチウム金属複合酸化物粉末A1の製造
攪拌器およびオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加した。反応槽内の液温は、60℃に保持した。
硫酸ニッケル水溶液と硫酸コバルト水溶液と硫酸マンガン水溶液と、硫酸ジルコニウム水溶液とを、モル比としてNi:Co:Mn=0.60:0.20:0.20、Zr/(Ni+Co+Mn)=0.005となるように混合し、混合原料液1を調製した。
次に、反応槽内に、攪拌下、この混合原料溶液1と硫酸アンモニウム水溶液を錯化剤として連続的に添加した。反応槽内の溶液のpHが11.9になるよう水酸化ナトリウム水溶液を適時滴下した。ニッケル含有遷移金属複合水酸化物を得て、洗浄した後、遠心分離機で脱水し、洗浄、脱水、単離して105℃で乾燥することにより、前駆体であるニッケル含有遷移金属複合水酸化物A1を得た。
前記ニッケル含有遷移金属複合水酸化物A1と水酸化リチウム一水和物を、モル比としてLi/(Ni+Co+Mn)=1.05となるように秤量して混合した後、酸素雰囲気下650℃で5時間焼成した後、さらに酸素雰囲気下970℃で5時間焼成することで原料化合物A1を得た。
前記原料化合物A1の組成分析の結果、組成式(II)においてp=0.023、q=0.198、r=0.199であった。
前記原料化合物A1とホウ酸粉末とを、モル比としてB/(Ni+X)=0.02となるように混合し、原料混合物A1を得た。前記原料混合物A1に含まれる前記原料化合物A1の結晶構造中に含まれるLiを除くLiの物質量に対する、Bの物質量の比(B/Li)は1.9であった。
前記原料混合物A1を、500℃で5時間熱処理することで、リチウム金属複合酸化物粉末A1を得た。
リチウム金属複合酸化物粉末A1の組成分析の結果、組成式(I)においてm=0.015、n=0.406であり、組成式(I)−1においてm1=0.015、n12=0.195、n13=0.196、n14=0.015であった。得られたリチウム金属複合酸化物粉末A1を正極活物質A1として、上述のコイン型電池を用いた評価を行った。
≪実施例2≫
1.リチウム金属複合酸化物粉末A2の製造
攪拌器およびオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加した。反応槽内の液温は、60℃に保持した。
1.リチウム金属複合酸化物粉末A2の製造
攪拌器およびオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加した。反応槽内の液温は、60℃に保持した。
硫酸ニッケル水溶液と硫酸コバルト水溶液と硫酸マンガン水溶液とを、モル比としてNi:Co:Mn=0.60:0.20:0.20となるように混合し、混合原料液2を調製した。
次に、反応槽内に、攪拌下、この混合原料溶液2と硫酸アンモニウム水溶液を錯化剤として連続的に添加した。反応槽内の溶液のpHが11.7になるよう水酸化ナトリウム水溶液を適時滴下した。ニッケル含有遷移金属複合水酸化物を得て、洗浄した後、遠心分離機で脱水し、洗浄、脱水、単離して105℃で乾燥することにより、前駆体であるニッケル含有遷移金属複合水酸化物A2を得た。
前記ニッケル含有遷移金属複合水酸化物A2と水酸化リチウム一水和物とを、モル比としてLi/(Ni+Co+Mn)=1.05となるように秤量して混合した後、酸素雰囲気下650℃で5時間焼成した後、さらに酸素雰囲気下955℃で5時間焼成することで原料化合物A2を得た。
前記原料化合物A2の組成分析の結果、組成式(II)においてp=0.020、q=0.200、r=0.198であった。
レーディゲミキサーに前記原料化合物A2を投入し、前記原料化合物A2を113℃とした、ホウ酸を純水に溶解させたBを含む被覆原料溶液1−A2を20℃に調整し、B/(Ni+X)=0.02となるように、前記原料化合物A2を攪拌しながら前記被覆原料溶液1−A2を噴霧して接触させた。さらに溶媒の含有率を2.7質量%に調整し、原料混合物A2を得た。ここで、前記被覆原料溶液1−A2中のBの濃度は0.40mol/Lであり、前記原料混合物A2中の、結晶構造中に含まれるLiを除くLiの物質量に対する、Bの物質量の比(B/Li)は7.8とした。また、前記被覆原料溶液1−A2の噴霧液滴のザウター平均粒径D32は45μmであり、前記原料化合物A2のメジアン径DP50との比(DP50/D32)は0.14であった。
前記原料混合物A2を、250℃で5時間熱処理することで、リチウム金属複合酸化物粉末A2を得た。
リチウム金属複合酸化物粉末A2の組成分析の結果、組成式(I)においてm=0.010、n=0.409であり、組成式(I)−1においてm1=0.010、n12=0.196、n13=0.194、n14=0.019であった。得られたリチウム金属複合酸化物粉末A2を正極活物質A2として、上述のコイン型電池を用いた評価を行った。
≪実施例3≫
1.リチウム金属複合酸化物粉末A3の製造
実施例2で得られた原料化合物A2を、500℃で5時間熱処理することで、リチウム金属複合酸化物粉末A3を得た。
1.リチウム金属複合酸化物粉末A3の製造
実施例2で得られた原料化合物A2を、500℃で5時間熱処理することで、リチウム金属複合酸化物粉末A3を得た。
リチウム金属複合酸化物粉末A3の組成分析の結果、組成式(I)においてm=0.010、n=0.409であり、組成式(I)−1においてm1=0.010、n12=0.196、n13=0.194、n14=0.019であった。得られたリチウム金属複合酸化物粉末A4を正極活物質A4として、上述のコイン型電池を用いた評価を行った。
≪実施例4≫
1.リチウム金属複合酸化物粉末A4の製造
25℃に調整した純水にホウ酸を溶解し、さらに実施例2で得られた原料化合物A2を加え、原料化合物A2に残留するリチウム化合物を溶解させることで、ホウ素とリチウムを含む被覆原料溶液2−A4に原料化合物A2を浸漬した。その後、ろ過により溶媒の含液率を15質量%に調整し、原料混合物A4を得た。この時、純水に溶解したホウ酸の量は、B/(Ni+X)は0.01となるように調整した。ここで、前記原料化合物A4に対する前記被覆原料溶液2−A4の量は重量基準で1.0倍、前記被覆原料溶液2―A4に含まれるLiの濃度は0.026mol/L、前記原料混合物A4に含まれる前記原料化合物A2の結晶構造中に含まれるLiを除くLiの物質量に対する、Bの物質量の比(B/Li)は26であった。
1.リチウム金属複合酸化物粉末A4の製造
25℃に調整した純水にホウ酸を溶解し、さらに実施例2で得られた原料化合物A2を加え、原料化合物A2に残留するリチウム化合物を溶解させることで、ホウ素とリチウムを含む被覆原料溶液2−A4に原料化合物A2を浸漬した。その後、ろ過により溶媒の含液率を15質量%に調整し、原料混合物A4を得た。この時、純水に溶解したホウ酸の量は、B/(Ni+X)は0.01となるように調整した。ここで、前記原料化合物A4に対する前記被覆原料溶液2−A4の量は重量基準で1.0倍、前記被覆原料溶液2―A4に含まれるLiの濃度は0.026mol/L、前記原料混合物A4に含まれる前記原料化合物A2の結晶構造中に含まれるLiを除くLiの物質量に対する、Bの物質量の比(B/Li)は26であった。
前記原料混合物A4を、300℃で5時間熱処理することで、リチウム金属複合酸化物粉末A4を得た。
リチウム金属複合酸化物粉末A4の組成分析の結果、組成式(I)においてm=0.017、n=0.402であり、組成式(I)−1においてm1=0.017、n12=0.198、n13=0.196、n14=0.008であった。得られたリチウム金属複合酸化物粉末A4を正極活物質A4として、上述のコイン型電池を用いた評価を行った。
≪実施例5≫
1.リチウム金属複合酸化物粉末A5の製造
25℃に調整した純水にホウ酸を溶解し、さらに実施例2で得られた原料化合物A2を加え、原料化合物A2に残留するリチウム化合物を溶解させることで、ホウ素とリチウムを含む被覆原料溶液2−A5に原料化合物A2を浸漬した。その後、ろ過により溶媒の含液率を15質量%に調整し、原料混合物A5を得た。この時、純水に溶解したホウ酸の量は、B/(Ni+X)は0.001となるように調整した。ここで、前記原料化合物A5に対する前記被覆原料溶液2−A5の量は重量基準で1.0倍、前記被覆原料溶液2−A5に含まれるLiの濃度は0.026mol/L、前記原料混合物A5に含まれる前記原料化合物A2の結晶構造中に含まれるLiを除くLiの物質量に対する、Bの物質量の比(B/Li)は)は2.6であった。
1.リチウム金属複合酸化物粉末A5の製造
25℃に調整した純水にホウ酸を溶解し、さらに実施例2で得られた原料化合物A2を加え、原料化合物A2に残留するリチウム化合物を溶解させることで、ホウ素とリチウムを含む被覆原料溶液2−A5に原料化合物A2を浸漬した。その後、ろ過により溶媒の含液率を15質量%に調整し、原料混合物A5を得た。この時、純水に溶解したホウ酸の量は、B/(Ni+X)は0.001となるように調整した。ここで、前記原料化合物A5に対する前記被覆原料溶液2−A5の量は重量基準で1.0倍、前記被覆原料溶液2−A5に含まれるLiの濃度は0.026mol/L、前記原料混合物A5に含まれる前記原料化合物A2の結晶構造中に含まれるLiを除くLiの物質量に対する、Bの物質量の比(B/Li)は)は2.6であった。
前記原料混合物A5を、300℃で5時間熱処理することで、リチウム金属複合酸化物粉末A5を得た。
リチウム金属複合酸化物粉末A5の組成分析の結果、組成式(I)においてm=0.021、n=0.398であり、組成式(I)−1においてm1=0.021、n12=0.200、n13=0.197、n14=0.001であった。得られたリチウム金属複合酸化物粉末A5を正極活物質A5として、上述のコイン型電池を用いた評価を行った。
≪実施例6≫
1.リチウム金属複合酸化物粉末A6の製造
25℃に調整した純水にホウ酸を溶解し、さらに実施例2で得られた原料化合物A2を加え、原料化合物A2に残留するリチウム化合物を溶解させることで、ホウ素とリチウムを含む被覆原料溶液2−A6に原料化合物A2を浸漬した。その後、ろ過により溶媒の含液率を14質量%に調整し、原料混合物A6を得た。この時、純水に溶解したホウ酸の量は、B/(Ni+X)は0.0001となるように調整した。ここで、前記原料化合物A2に対する前記被覆原料溶液2−A6の量は重量基準で1.0倍、前記被覆原料溶液2−A6に含まれるLiの濃度は0.026mol/L、前記原料混合物A6に含まれる前記原料化合物A2の結晶構造中に含まれるLiを除くLiの物質量に対する、Bの物質量の比(B/Li)は0.26であった。
1.リチウム金属複合酸化物粉末A6の製造
25℃に調整した純水にホウ酸を溶解し、さらに実施例2で得られた原料化合物A2を加え、原料化合物A2に残留するリチウム化合物を溶解させることで、ホウ素とリチウムを含む被覆原料溶液2−A6に原料化合物A2を浸漬した。その後、ろ過により溶媒の含液率を14質量%に調整し、原料混合物A6を得た。この時、純水に溶解したホウ酸の量は、B/(Ni+X)は0.0001となるように調整した。ここで、前記原料化合物A2に対する前記被覆原料溶液2−A6の量は重量基準で1.0倍、前記被覆原料溶液2−A6に含まれるLiの濃度は0.026mol/L、前記原料混合物A6に含まれる前記原料化合物A2の結晶構造中に含まれるLiを除くLiの物質量に対する、Bの物質量の比(B/Li)は0.26であった。
前記原料混合物A6を、300℃で5時間熱処理することで、リチウム金属複合酸化物粉末A6を得た。
リチウム金属複合酸化物粉末A6の組成分析の結果、組成式(I)においてm=0.022、n=0.398であり、組成式(I)−1においてm1=0.022、n12=0.199、n13=0.198、n14=0.001であった。得られたリチウム金属複合酸化物粉末A6を正極活物質A6として、上述のコイン型電池を用いた評価を行った。
≪実施例7≫
1.リチウム金属複合酸化物粉末A7の製造
25℃に調整した純水にリン酸リチウムを溶解し、さらに実施例1で得られた原料化合物A1を加え、原料化合物A1に残留するリチウム化合物とリン酸リチウムを溶解させることで、リンとリチウムを含む被覆原料溶液2−A7に原料化合物A1を浸漬した。その後、ろ過により溶媒の含液率を15質量%に調整し、原料混合物A7を得た。この時、純水に溶解したリン酸リチウムの量は、P/(Ni+X)は0.01となるように調整した。ここで、前記原料化合物A7に対する前記被覆原料溶液2−7の量は重量基準で1.0倍、前記被覆原料溶液2−A7に含まれるLiの濃度は0.47mol/L、前記原料混合物A7に含まれる前記原料化合物A1の結晶構造中に含まれるLiを除くLiの物質量に対する、Pの物質量の比(P/Li)は1.5であった。
1.リチウム金属複合酸化物粉末A7の製造
25℃に調整した純水にリン酸リチウムを溶解し、さらに実施例1で得られた原料化合物A1を加え、原料化合物A1に残留するリチウム化合物とリン酸リチウムを溶解させることで、リンとリチウムを含む被覆原料溶液2−A7に原料化合物A1を浸漬した。その後、ろ過により溶媒の含液率を15質量%に調整し、原料混合物A7を得た。この時、純水に溶解したリン酸リチウムの量は、P/(Ni+X)は0.01となるように調整した。ここで、前記原料化合物A7に対する前記被覆原料溶液2−7の量は重量基準で1.0倍、前記被覆原料溶液2−A7に含まれるLiの濃度は0.47mol/L、前記原料混合物A7に含まれる前記原料化合物A1の結晶構造中に含まれるLiを除くLiの物質量に対する、Pの物質量の比(P/Li)は1.5であった。
前記原料混合物A7を、500℃で5時間熱処理することで、リチウム金属複合酸化物粉末A7を得た。
リチウム金属複合酸化物粉末A7の組成分析の結果、組成式(I)においてm=0.014、n=0.404であり、組成式(I)−1においてm1=0.014、n12=0.196、n13=0.198、n14=0.010であった。得られたリチウム金属複合酸化物粉末A7を正極活物質A7として、上述のコイン型電池を用いた評価を行った。
≪実施例8≫
1.リチウム金属複合酸化物粉末A8の製造
25℃に調整した純水に五酸化ニオブを分散させ、さらに実施例1で得られた原料化合物A1を加え、原料化合物A1に残留するリチウム化合物を溶解させることで、ニオブとリチウムを含む被覆原料溶液2−A8に原料化合物A1を浸漬した。その後、ろ過により溶媒の含液率を15質量%に調整し、原料混合物A8を得た。この時、純水に溶解したリン酸リチウムの量は、Nb/(Ni+X)は0.01となるように調整した。ここで、前記原料化合物A8に対する前記被覆原料溶液2−A8の量は重量基準で1.0倍、前記被覆原料溶液2−A8に含まれるLiの濃度は0.16
mol/L、前記原料混合物A8に含まれる前記原料化合物A1の結晶構造中に含まれるLiを除くLiの物質量に対する、Nbの物質量の比(Nb/Li)は4.2であった。
1.リチウム金属複合酸化物粉末A8の製造
25℃に調整した純水に五酸化ニオブを分散させ、さらに実施例1で得られた原料化合物A1を加え、原料化合物A1に残留するリチウム化合物を溶解させることで、ニオブとリチウムを含む被覆原料溶液2−A8に原料化合物A1を浸漬した。その後、ろ過により溶媒の含液率を15質量%に調整し、原料混合物A8を得た。この時、純水に溶解したリン酸リチウムの量は、Nb/(Ni+X)は0.01となるように調整した。ここで、前記原料化合物A8に対する前記被覆原料溶液2−A8の量は重量基準で1.0倍、前記被覆原料溶液2−A8に含まれるLiの濃度は0.16
mol/L、前記原料混合物A8に含まれる前記原料化合物A1の結晶構造中に含まれるLiを除くLiの物質量に対する、Nbの物質量の比(Nb/Li)は4.2であった。
前記原料混合物A8を、500℃で5時間熱処理することで、リチウム金属複合酸化物粉末A8を得た。
リチウム金属複合酸化物粉末A8の組成分析の結果、組成式(I)においてm=0.015、n=0.404であり、組成式(I)−1においてm1=0.015、n12=0.196、n13=0.207、n14=0.000であった。得られたリチウム金属複合酸化物粉末A8を正極活物質A8として、上述のコイン型電池を用いた評価を行った。
≪実施例9≫
1.リチウム金属複合酸化物粉末A9の製造
攪拌器およびオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加した。反応槽内の液温は、60℃に保持した。
1.リチウム金属複合酸化物粉末A9の製造
攪拌器およびオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加した。反応槽内の液温は、60℃に保持した。
硫酸ニッケル水溶液と硫酸コバルト水溶液と硫酸マンガン水溶液とを、モル比としてNi:Co:Mn=0.91:0.07:0.02となるように混合し、混合原料液9を調製した。
次に、反応槽内に、攪拌下、この混合原料溶液9と硫酸アンモニウム水溶液を錯化剤として連続的に添加した。反応槽内の溶液のpHが11.6になるよう水酸化ナトリウム水溶液を適時滴下した。ニッケル含有遷移金属複合水酸化物を得て、洗浄した後、遠心分離機で脱水し、洗浄、脱水、単離して105℃で乾燥することにより、前駆体であるニッケル含有遷移金属複合水酸化物A9を得た。
前記ニッケル含有遷移金属複合水酸化物A9と水酸化リチウム一水和物と硫酸カリウム粉末を、モル比としてLi/(Ni+Co+Mn)=1.26、K2SO4/(LiOH+K2SO4)=0.1(mol/mol)となるように秤量して混合した後、酸素雰囲気下790℃で10時間焼成することで原料化合物A9を得た。
前記原料化合物A9の組成分析の結果、組成式(II)においてp=0.015、q=0.068、r=0.020であった。
前記原料化合物A9を、25℃に調整した純水にホウ酸を溶解し、さらに前記原料化合物A9を加え、原料化合物A9に残留するリチウム化合物を溶解させることで、ホウ素とリチウムを含む被覆原料溶液2−A9に原料化合物A9を浸漬した。その後、ろ過により溶媒の含液率を17質量%に調整し、原料混合物A9を得た。この時、純水に溶解したホウ酸の量は、B/(Ni+X)は0.01となるように調整した。ここで、前記原料化合物A4に対する前記被覆原料溶液2−A9の量は重量基準で1.0倍、前記被覆原料溶液2−9に含まれるLiの濃度は0.62mol/L、前記原料混合物A9に含まれる前記原料化合物A9の結晶構造中に含まれるLiを除くLiの物質量に対する、Bの物質量の比(B/Li)は1.1であった。
前記原料混合物A9を、250℃で5時間熱処理することで、リチウム金属複合酸化物粉末A9を得た。
リチウム金属複合酸化物粉末A9の組成分析の結果、組成式(I)においてm=0.010、n=0.097であり、組成式(I)−1においてm1=0.010、n12=0.067、n13=0.020、n14=0.010であった。得られたリチウム金属複合酸化物粉末A9を正極活物質A9として、上述のコイン型電池を用いた評価を行った。
≪比較例1≫
1.リチウム金属複合酸化物粉末C1の製造
実施例1で得られたニッケル含有遷移金属複合水酸化物A1と水酸化リチウム一水和物を、モル比としてLi/(Ni+Co+Mn)=1.07となるように秤量して混合した後、酸素雰囲気下650℃で5時間焼成した後、さらに酸素雰囲気下970℃で5時間焼成することで、リチウム金属複合酸化物粉末C1を得た。
1.リチウム金属複合酸化物粉末C1の製造
実施例1で得られたニッケル含有遷移金属複合水酸化物A1と水酸化リチウム一水和物を、モル比としてLi/(Ni+Co+Mn)=1.07となるように秤量して混合した後、酸素雰囲気下650℃で5時間焼成した後、さらに酸素雰囲気下970℃で5時間焼成することで、リチウム金属複合酸化物粉末C1を得た。
リチウム金属複合酸化物粉末C1の組成分析の結果、組成式(I)においてm=0.016、n=0.397であり、組成式(I)−1においてm1=0.016、n12=0.198、n13=0.199、n14=0.000であった。得られたリチウム金属複合酸化物粉末C1を正極活物質C1として、上述のコイン型電池を用いた評価を行った。
≪比較例2≫
1.リチウム金属複合酸化物粉末C2の製造
実施例1で得られたニッケル含有遷移金属複合水酸化物A1と水酸化リチウム一水和物とを、モル比としてLi/(Ni+Co+Mn)=1.05となるように秤量して混合した後、酸素雰囲気下650℃で5時間焼成した後、さらに酸素雰囲気下1015℃で5時間焼成することで原料化合物C2を得た。
1.リチウム金属複合酸化物粉末C2の製造
実施例1で得られたニッケル含有遷移金属複合水酸化物A1と水酸化リチウム一水和物とを、モル比としてLi/(Ni+Co+Mn)=1.05となるように秤量して混合した後、酸素雰囲気下650℃で5時間焼成した後、さらに酸素雰囲気下1015℃で5時間焼成することで原料化合物C2を得た。
前記原料化合物C2の組成分析の結果、組成式(II)においてp=0.004、q=0.199、r=0.252であった。
前記原料化合物C2とホウ酸粉末とを、モル比としてB/(Ni+X)=0.02となるように混合し、原料混合物C2を得た。前記原料混合物C2に含まれる前記原料化合物C2の結晶構造中に含まれるLiを除くLiの物質量に対する、Bの物質量の比(B/Li)は2.9であった。
前記原料混合物C2を、400℃で5時間熱処理することで、リチウム金属複合酸化物粉末C2を得た。
リチウム金属複合酸化物粉末C2の組成分析の結果、組成式(I)においてm=−0.004、n=0.460であり、組成式(I)−1においてm1=−0.004、n12=0.196、n13=0.248、n14=0.016であった。得られたリチウム金属複合酸化物粉末C2を正極活物質C2として、上述のコイン型電池を用いた評価を行った。
≪比較例3≫
1.リチウム金属複合酸化物粉末C3の製造
実施例9で得られたニッケル含有遷移金属複合水酸化物A9と水酸化リチウム一水和物と硫酸カリウム粉末を、モル比としてLi/(Ni+Co+Mn)=1.10、K2SO4/(LiOH+K2SO4)=0.1(mol/mol)となるように秤量して混合した後、酸素雰囲気下775℃で10時間焼成することで焼成物C3を得た。前記焼成物C3を、5℃に調整した純水に添加、攪拌、脱水し、さらに焼成物C3の2倍重量の5℃に調整した純水でリンス後、単離し、150℃で乾燥することで原料化合物C3を得た。
1.リチウム金属複合酸化物粉末C3の製造
実施例9で得られたニッケル含有遷移金属複合水酸化物A9と水酸化リチウム一水和物と硫酸カリウム粉末を、モル比としてLi/(Ni+Co+Mn)=1.10、K2SO4/(LiOH+K2SO4)=0.1(mol/mol)となるように秤量して混合した後、酸素雰囲気下775℃で10時間焼成することで焼成物C3を得た。前記焼成物C3を、5℃に調整した純水に添加、攪拌、脱水し、さらに焼成物C3の2倍重量の5℃に調整した純水でリンス後、単離し、150℃で乾燥することで原料化合物C3を得た。
前記原料化合物C3の組成分析の結果、組成式(II)においてp=0.015、q=0.068、r=0.020であった。
前記原料化合物C3とホウ酸粉末とを、モル比としてB/(Ni+X)=0.01となるように混合し、原料混合物C3を得た。前記原料混合物A4に含まれる前記原料化合物A2の結晶構造中に含まれるLiを除くLiの物質量に対する、Bの物質量の比(B/Li)は0.70であった。
前記原料混合物C3を、300℃で5時間熱処理することで、リチウム金属複合酸化物粉末C3を得た。
リチウム金属複合酸化物粉末C3の組成分析の結果、組成式(I)においてm=0.010、n=0.097であり、組成式(I)−1においてm1=0.010、n12=0.067、n13=0.020、n14=0.010であった。得られたリチウム金属複合酸化物粉末C3を正極活物質C3として、上述のコイン型電池を用いた評価を行った。
≪比較例4≫
1.リチウム金属複合酸化物粉末C4の製造
純水にホウ酸を溶解し、ホウ素を含む被覆原料溶液1−C4を調整した。実施例2で得られた原料化合物A2を20℃に、被覆原料溶液1―C4を20℃にそれぞれ調整し、B/(Ni+X)=0.02となるように、前記被覆原料溶液1―C4に前記原料化合物A2が噴霧状態とならないように流水で滴下、その後静置状態で、加熱乾燥することで溶媒の含液率を6.9質量%に調整し、原料混合物C4を得た。ここで、前記被覆原料溶液1―C4中のBの濃度は0.40mol/Lであり、前記原料混合物C4に含まれる前記原料化合物A2の結晶構造中に含まれるLiを除くLiの物質量に対する、Bの物質量の比(B/Li)は7.8であった。
1.リチウム金属複合酸化物粉末C4の製造
純水にホウ酸を溶解し、ホウ素を含む被覆原料溶液1−C4を調整した。実施例2で得られた原料化合物A2を20℃に、被覆原料溶液1―C4を20℃にそれぞれ調整し、B/(Ni+X)=0.02となるように、前記被覆原料溶液1―C4に前記原料化合物A2が噴霧状態とならないように流水で滴下、その後静置状態で、加熱乾燥することで溶媒の含液率を6.9質量%に調整し、原料混合物C4を得た。ここで、前記被覆原料溶液1―C4中のBの濃度は0.40mol/Lであり、前記原料混合物C4に含まれる前記原料化合物A2の結晶構造中に含まれるLiを除くLiの物質量に対する、Bの物質量の比(B/Li)は7.8であった。
前記原料混合物C4を、180℃で5時間熱処理することで、リチウム金属複合酸化物粉末C4を得た。
リチウム金属複合酸化物粉末C4の組成分析の結果、組成式(I)においてm=0.010、n=0.409であり、組成式(I)−1においてm1=0.010、n12=0.196、n13=0.194、n14=0.019であった。得られたリチウム金属複合酸化物粉末C4を正極活物質C4として、上述のコイン型電池を用いた評価を行った。
≪比較例5≫
1.リチウム金属複合酸化物粉末C5の製造
比較例4の原料混合物C4を、250℃で5時間熱処理することで、リチウム金属複合酸化物粉末C5を得た。
1.リチウム金属複合酸化物粉末C5の製造
比較例4の原料混合物C4を、250℃で5時間熱処理することで、リチウム金属複合酸化物粉末C5を得た。
リチウム金属複合酸化物粉末C5の組成分析の結果、組成式(I)においてm=0.010、n=0.409であり、組成式(I)−1においてm1=0.010、n12=0.196、n13=0.194、n14=0.019であった。得られたリチウム金属複合酸化物粉末C5を正極活物質C5として、上述のコイン型電池を用いた評価を行った。
上記結果に示した通り、本発明を適用した実施例1〜9の正極活物質は、比較例1〜5と比べて自己放電率が小さいことが確認できた。
また実施例1のリチウム金属複合酸化物粉末の透過型電子顕微鏡観察を行ったところ、被覆物は非晶質であることが確認された。
1…セパレータ、2…正極、3…負極、4…電極群、5…電池缶、6…電解液、7…トップインシュレーター、8…封口体、10…リチウム二次電池、21…正極リード、31…負極リード
Claims (27)
- 層状構造を有し、少なくともLiとNiと元素X(元素XはCo、Mn、Fe、Cu、Ti、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Cr、Ga、Ge、Pd、Ag、Cd、In、V、B、Si、S、F及びPからなる群より選択される1種以上の元素)を含むリチウム金属複合酸化物粉末であって、
下記に定義するRの累積頻度分布曲線において、全体を100%としたときに、前記Rの小さい側からの累積頻度が90%となる点のRの値R(90)が1.7以上3.7以下であるリチウム金属複合酸化物粉末。
Rとは、リチウム金属複合酸化物粉末に含まれるリチウム金属複合酸化物一粒子における、ニッケルと元素Xとの物質量の総和(Ni+X)に対する酸素の物質量(O)の比(O/(Ni+X))である。
ニッケル、元素X及び酸素の物質量は、リチウム金属複合酸化物一粒子について、加速電圧を1100Vとしたエネルギー分散型X線(EDX)分光法により求める。 - 前記Rの累積頻度分布曲線において、全体を100%としたときに、前記Rの小さい側からの累積頻度が10%となる点のRの値R(10)が1.1以上3.3以下である、請求項1に記載のリチウム金属複合酸化物粉末。
- 前記Rの累積頻度分布曲線において、全体を100%としたときに、前記Rの小さい側からの累積頻度が50%となる点のRの値R(50)が1.5以上2.7以下である、請求項1または2に記載のリチウム金属複合酸化物粉末。
- 下記式(I)を満たす請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウム金属複合酸化物粉末。
Li[Lim(Ni(1−n)Xn)1−m]O2 ・・・(I)
(−0.1≦m≦0.2、0<n≦0.7である。) - 前記式(I)のmが0<m≦0.2である、請求項4に記載のリチウム金属複合酸化物粉末。
- コア粒子と被覆物とを備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウム金属複合酸化物粉末。
- 前記被覆物は、Liと元素Mとのリチウム含有複合化合物を含む請求項6に記載のリチウム金属複合酸化物粉末。ただし、元素MはAl、Zr、B、Si、S、Nb、F及びPから選ばれる1種以上である。
- さらに単粒子を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のリチウム金属複合酸化物粉末。
- 粒度分布測定値から求めた10%累積径(D10)、50%累積径(D50)および90%累積径(D90)において、50%累積径(D50)が0.5μm以上10μm以下であり、さらに、下記式(A)の関係を満たす、請求項1〜8のいずれか1項に記載のリチウム金属複合酸化物粉末。
0.3≦(D90−D10)/D50≦3・・・(A) - 請求項1〜9のいずれか1項に記載のリチウム金属複合酸化物粉末を含有するリチウム二次電池用正極活物質。
- 下記工程(a)〜工程(c)を以下の順で備える、リチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
工程(a)少なくともNiを含有する前駆体と、Liを含有するリチウム化合物を混合して焼成し、原料化合物を得る工程。
工程(b)Al、B、Si、S、Nb、F及びPからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素Mを含む被覆原料と、前記原料化合物を接触させ、原料混合物を得る工程。
工程(c)前記原料混合物を200℃以上から600℃以下の温度で熱処理する工程。 - 前記工程(b)は、前記元素Mを含む被覆原料溶液1を前記原料化合物に接触させ、原料混合物を得る工程(b1)であって、
前記工程(b1)の後、前記工程(c)の前に、前記原料混合物中に含まれる溶媒を除去し、前記原料混合物中の溶媒の含有率を30質量%以下に調整する工程(b1−A)を備える、請求項11に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。 - 前記工程(b1)は、前記原料化合物に前記被覆原料溶液1を噴霧して接触させ、原料混合物を得る工程(b1−1)である、請求項12に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
- 前記工程(b1)において、前記原料化合物を−20℃以上300℃以下の温度に調整し、前記被覆原料溶液1と接触させる、請求項12または13に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
- 前記工程(b1−1)において、前記被覆原料溶液1の噴霧液滴のザウター平均粒径D32が10μm以上500μm以下である、請求項13又は14に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
- 前記工程(b1−1)において、前記原料化合物のメジアン径DP50と、前記被覆原料溶液1を噴霧する際の噴霧液滴のザウター平均粒径D32との比(DP50/D32)が、0.001以上10以下である、請求項13〜15のいずれか1項に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
- 前記工程(b1)において、前記被覆原料溶液1を前記原料化合物と接触させる際の、前記被覆原料溶液1の温度が、−20℃以上300℃以下である、請求項12〜16のいずれか1項に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
- 前記工程(b1)において、前記被覆原料溶液1中の元素Mの濃度が、0.001mol/L以上100mol/L以下である、請求項12〜17のいずれか1項に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
- 前記工程(b1)において、前記原料混合物に含まれるリチウムの物質量に対する、元素Mの物質量の比(M/Li)が、0.1以上50以下である、請求項12〜18のいずれか1項に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
ただし、原料混合物に含まれるリチウムの物質量とは、原料混合物に含まれる前記原料化合物の結晶構造中に含まれるリチウムを除いた量とする。 - 前記工程(b)は、前記原料化合物を、前記元素Mとリチウムとを含む被覆原料溶液2に浸漬させて原料混合物を得る工程(b2)であって、
前記工程(b2)の後、前記工程(c)の前に、前記原料混合物中に含まれる溶媒を除去し、前記原料混合物中の溶媒の含有率を30質量%以下に調整する工程(b2−A)を備える、請求項11に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。 - 前記工程(b2)において、前記原料化合物に対する前記被覆原料溶液2の量が、重量基準で0.1倍以上10倍以下である、請求項20に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
- 前記被覆原料溶液2の温度が−20℃以上80℃以下である、請求項20または21に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
- 前記工程(b2)において、前記被覆原料溶液2に含まれるLiの濃度が、0.01mol/L以上10mol/L以下である、請求項20〜22のいずれか1項に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
- 前記工程(b2)において、前記原料混合物に含まれるリチウムの物質量に対する、元素Mの物質量の比(M/Li)が、0.1以上50以下である、請求項20〜23のいずれか1項に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
ただし、原料混合物に含まれるリチウムの物質量とは、原料混合物に含まれる前記原料化合物の結晶構造中に含まれるリチウムを除いた量とする。 - 前記工程(b)において、前記原料混合物に含まれるリチウムを含む化合物は、結晶構造中に含まれるLiを除くLiの物質量に対する、元素Mの物質量の比(M/Li)が、0.1以上50以下である、請求項11に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
ただし、原料混合物に含まれるリチウムの物質量とは、原料混合物に含まれる前記原料化合物の結晶構造中に含まれるリチウムを除いた量とする。 - 前記工程(b)において、前記原料化合物に含まれるLiを除く金属元素の総量(Ni+X)に対する、被覆原料に含まれる元素Mの割合(M/(Ni+X))は、モル比で0.0001以上0.05以下である、請求項11〜25のいずれか1項に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
- 前記原料化合物が、下記式(II)を満たす請求項11〜26のいずれか1項に記載のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
Li(Lip(Ni(1−q−r)CoqX1r)1−p)O2 ・・(II)
(−0.1≦p≦0.2、0≦q≦0.4、0≦r≦0.4、1−q−r≧0.3、X1はMn、Fe、Cu、Ti、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Cr、Ga、Ge、Pd、Ag、Cd、InおよびVからなる群から選ばれる1種以上の元素である。)
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