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JP2020168058A - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】長期保存後においても親水性の低下を可及的に抑制できる積層体に関する。【解決手段】本発明に係る積層体は、合成繊維を含む不織布と、前記不織布に隣接するパルプ含有層とを備え、前記不織布は、前記合成繊維を親水化する親水化剤と、前記合成繊維より表面張力が大きい固体状の移行阻害剤とを有する。【選択図】図2

Description

本発明は、積層体及びそれを備えた吸収性物品に関する。
使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品は、着用者から排泄された体液を吸収体で吸収して保持する機能を有している。このような吸収性物品において、吸収された体液が着用者の身体側に逆戻りすることは、極力防止する必要がある。吸収体で体液を保持し逆戻りを極力防止する方法として、例えば吸収体の肌対向面側に位置する表面材不織布に親水化剤によって親水性を付与し、繰り返し体液が通過しても液の透過性の制御を維持することが行われている(例えば、特許文献1)。
特開2017−42607号公報
一般的に吸収体の肌対向面側に位置する不織布は、ポリプロピレンなどの疎水性の合成樹脂の繊維から構成されているため、親水化剤等の繊維処理剤が付与されている。親水化剤は体液に作用することから、低融点の成分や繊維表面において流動性が比較的高い成分が用いられる。そのため、体液に触れる前の未使用の状態においても、隣接する部材に不織布から親水化剤が移行し易いという課題が、本発明者により見出された。
不織布を構成するポリプロピレン等の合成繊維は、パルプよりも表面張力が小さいため、パルプを含む吸収体が隣接する場合、そのパルプ繊維への親水化剤の移行が顕著である。このため、吸収性物品を使用前に長期間保存すると、不織布内の親水化剤が吸収体に移行して不織布の親水性が低下する。不織布が撥水化した吸収性物品が使用に供されると、体液の一部は吸収体まで到達せずに不織布を含んだ肌対抗面側で拡がり保持され、容易に肌へ逆戻りすることがある。
本発明は、長期保存後においても親水性の低下を抑制できる積層体に関する。
本発明は、合成繊維を含む不織布と、前記不織布に隣接するパルプ含有層とを備え、前記不織布は、前記合成繊維を親水化する親水化剤と、前記合成繊維より表面張力が大きい固体状の移行阻害剤とを有する積層体を提供する。
本発明に係る積層体は、長期保存後においても親水性の低下を抑制することができる。
吸収性物品の一例の断面構成を示す模式図である。 図1中の領域L1を拡大した概念図である。 吸収性物品の他の例の断面構成を示す模式図である。
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態に係る積層体を詳細に説明する。本実施形態に係る積層体を含む吸収性物品10は、図1に示すように、パルプ含有層からなる吸収性コア12と、吸収性コア12を包囲するコアラップ不織布14と、コアラップ不織布14の表面に配置された表面材不織布16とを備える。
吸収性コア12とコアラップ不織布14は、図2に示すように、隣接して積層体20を構成している。積層体20における吸収性コア12は、パルプ22と高吸水性高分子(Super Absorbent Polymer;SAP)24とを含んでいる。コアラップ不織布14は、典型的には、合成繊維32を含むスパンボンド不織布、メルトブロー不織布、またはSMS不織布などを基材不織布とする。
基材不織布としては、公知の各種製法による不織布を用いることができる。例えば、カード法又はエアレイド法により形成した短繊維ウエブを、熱風で処理して不織布化したエアスルー不織布が挙げられる。また、カード法又はエアレイド法により形成した繊維ウエブを水流交絡により不織布化したスパンレース不織布、スパンメルト不織布、ニードルパンチ不織布、カード法又はエアレイド法により形成した繊維ウエブをヒートロールによる部分的な熱処理により不織布化したヒートロール不織布等の長繊維を主体とする不織布を用いてもよい。これらの中でも、薄くて柔らかく適度な通液性が得られることから、長繊維を主体とする不織布が好ましい。長繊維を主体とする不織布は、吸収性がよく、安価に製造できる。
スパンメルト不織布としては、例えば、スパンボンド不織布、スパンボンド−スパンボンド不織布(SS不織布)、スパンボンド−スパンボンド−スパンボンド不織布(SSS不織布)、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布(SMS不織布)、スパンボンド−メルトブローン−メルトブローン−スパンボンド不織布(SMMS不織布)等が挙げられる。
コアラップ不織布14に含まれる合成繊維32としては、熱可塑性樹脂を用いることが好ましく、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド等が挙げられる。これらの樹脂は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて用いる態様としては、例えば複数の樹脂のブレンドが挙げられる。また、芯鞘型やサイド・バイ・サイド型などの複合繊維として用いることもできる。芯鞘型の複合繊維は、鞘部の樹脂の融点が芯部の樹脂の融点よりも低いことが好ましい。
合成繊維32の繊維長は、30mm以上であることが好ましく、50mm以上であることがより好ましく、連続した長繊維であることが最も好ましい。繊維長が長いほど、高強度で薄く柔らかい不織布が得られる。
合成繊維32の繊維径は、1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることが最も好ましい。この下限以上とすることで、液の透過性に必要な繊維間距離を担保することができる。繊維径は、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、25μm以下であることが最も好ましい。この上限以下とすることで、風合いの良好な不織布となる。
コアラップ不織布14は、おむつ加工や使用者の着用に耐える強度を考慮すると、坪量が5g/m2以上であることが好ましく、8g/m2以上であることがより好ましい。また、液の透過性や風合いを十分に確保するために、コアラップ不織布14の坪量は、20g/m2以下であることが好ましく、15g/m2以下であることがより好ましい。
本実施形態に係る積層体において、コアラップ不織布14には、コアラップ不織布を親水化させるために、親水化剤が含まれている。親水化剤は、基本的には合成繊維32の表面に付着している。親水化剤としては、通常、吸収性物品の不織布に用いられている繊維処理剤のうち、親水性を付与するための液状の一般的な化合物を用いることができる。
ここで「液状」とは、融点が45℃以下であるもの、及び、融点が45℃以下でなくても流動性を有するものをいう。本明細書において流動性を有するとは、親水化剤のサンプルを傾けた際に、流動、変形することをいう。具体的には、水平に置いたガラス板の表面に60℃の親水化剤0.5gを滴下して静置し、30秒経過後にガラス板を水平から45°傾けて液滴を観察する。傾けてから1分後に液滴の外周位置が、ガラス板の斜面下方に静置後から3mm以上移動した場合と定める。なお、液滴の形成及びそれ以降の操作は、23℃、相対湿度50%、無風の環境下で行う。
使用し得る親水化剤としては、例えばポリオキシアルキレン変性シリコーン、アルキルリン酸エステルのアルカリ金属塩、POE多価アルコール脂肪酸エステル、アルキルベタイン、アルキルスルホン酸、アルキル硫酸、ジアルキルスルホン酸、POEアルキルアミド、イミダゾリウム型のカチオン界面活性剤、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、POE(付加モル数3)ラウリルフフォスフェートカリウム塩、及びPOE(付加モル数1)ステアリルアミドなどが挙げられる。
親水化剤は、不織布を体液が通過する際に溶解・拡散して、不織布内での体液の透過性や拡散性を向上させる。一方、親水化剤は、液状であるため、体液が不織布を通過する前の状態でも不織布に隣接する他の材料へ移行することが可能であり、特に隣接する材料がパルプ等のセルロース素材であると不織布から移行し易いことが分かった。本発明の発明者は、鋭意検討を行ったところ、このような親水化剤の移行が、親水化剤に接触する材料の表面張力の差に起因することを見出した。パルプは、合成繊維より表面張力が大きいため、親水化剤を合成繊維の表面から引き離して保持する。その結果、パルプ含有層と接している不織布表層の親水化剤が減少して不織布が撥水化し、体液の透過性が低下することになる。
本実施形態に係る積層体において、コアラップ不織布14には、親水化剤の他に移行阻害剤36が含まれている。移行阻害剤36は、合成繊維32より大きな表面張力を有する固体であり、その少なくとも一部は親水化剤とともに合成繊維32の表面に付着している。移行阻害剤36がコアラップ不織布14中に含有されているので、コアラップ不織布14内に親水化剤を留めて、吸収性コア12への親水化剤の移行を阻害する。移行阻害剤36が細孔を有する場合、すなわち所定のBET比表面積を有する場合には、細孔に親水化剤を担持して保持できるので、親水化剤の移行は効果的に抑制される。
親水剤の移行が抑制された程度は、後述する[親水化剤の残存率の測定]により測定した親水化剤の残存率によって評価することができる。親水化剤の残存率は、20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましく、100%であることが最も好ましい。また、保存後の液滴吸収率は30%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましく、100%であることが最も好ましい。
上述のとおり、吸収性コア12中のパルプ22はセルロース素材であるので、コアラップ不織布14中の合成繊維32より表面張力が大きい。移行阻害剤36が存在しない場合、親水化剤は、パルプ22と合成繊維32の表面張力の違いに起因して吸収性コア12に移行し、コアラップ不織布14の親水性が低下する。本発明によれば、親水化剤をコアラップ不織布14内に留めることで吸収性コア12への移行が阻止されるので、コアラップ不織布14の親水性の低下を抑制することが可能となった。
合成繊維32より表面張力の大きな移行阻害剤36としては、例えば、無機粉が挙げられる。無機粉としては、具体的には、シリカ、炭酸カルシウム、及び酸化チタン等が挙げられ、特にシリカが好ましい。無機粉の粒子径は、合成繊維32の繊維径より小さいことが望まれるが、コアラップ不織布14の厚さを超えなければ、繊維径より大きな粒子径の無機粉を用いることもでき、凝集体であってもよい。因みに、シリカの表面張力は260mN/m程度であり、コアラップ不織布14に用いられている合成繊維32の表面張力は、20〜40mN/m程度である。
また、移行阻害剤36として、セルロースナノファイバーを用いることもできる。セルロースナノファイバーの繊維径は、1μm以下であることが好ましい。セルロースナノファイバーはセルロース組成物のため、その表面張力はパルプと同等の46mN/m程度である。
親水化剤を吸着・担持することを考慮すると、移行阻害剤36のBET比表面積は20m2/g以上であることが好ましく、50m2/g以上であることがより好ましく、100m2/g以上であることが最も好ましい。移行阻害剤36は、BET比表面積が大きいほど、より多量の親水化剤を移行阻害剤の粒子表面や細孔に吸着・担持でき、吸収性コア12への親水化剤の移行を阻害する効果が向上する。一方で、体液への親水化剤の溶解・拡散等の作用を促し、十分な親水性を得るため、1800m2/g程度を上限とすることが好ましい。
移行阻害剤36として、シリカ・アルミナ・酸化亜鉛複合体のような複合材料を用いることもできる。こうした複合材料からなる移行阻害剤の場合には、主成分(最も比率の大きい素材)の表面張力が、合成繊維32の表面張力より大きければ良い。
移行阻害剤36は、バインダーを介して合成繊維32表面に付着していることが好ましい。バインダーとしては、例えば、ポリアクリルアミド樹脂、スチレン-アクリル酸共重合樹脂、ポリエステルやポリオレフィン、酢酸ビニル、ポリウレタン、ラテックスのエマルジョン系樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、澱粉等が挙げられる。移行阻害剤36は、合成繊維32の表面に付着せずにバインダーを介して合成繊維32の表面に付着した状態で、コアラップ不織布14中に存在していてもよい。
一般に、表面材には肌触り等の触感が求められることから、エアスルー不織布等の厚手の不織布が用いられている。これに対し、コアラップ不織布14に用いられている長繊維不織布は、体液を吸収体へ通すための高い透過性が求められる。こうした長繊維不織布は、坪量が20g/m2以下と小さく、厚さが250μm以下と薄い。このため、隣接するパルプ含有層と接する不織布表層からの親水化剤の移行の影響は、厚手の不織布に比べると大きい。このような長繊維不織布においては、所定の移行阻害剤36を配合して親水化剤の移行を阻害するという機能を、より顕著に発揮させることができる。特に、坪量が15g/m2以下のスパンメルト不織布の場合、親水化剤の移行を阻害する機能をより顕著に発揮させることができる。
ここで、親水化剤とともに移行阻害剤36を含むコアラップ不織布14の製造方法について説明する。移行阻害剤36は、親水化剤とともに基材不織布に含浸させて、基材不織布内の合成繊維32の表面に付着させることができる。具体的には、親水化剤0.2質量%、移行阻害剤0.2質量%を含有する塗布液を調製し、その中に基材不織布を浸漬する。なお、移行阻害剤36は、水に分散させて2質量%程度の分散液とし、所定のバインダーを加えておくことが好ましい。
塗布液に浸漬後の基材不織布を、所定の圧力で加圧された2本のゴムロール間を通して脱水し、さらに60〜120℃で1〜10分間乾燥することで、親水化剤とともに移行阻害剤36を含むコアラップ不織布14が得られる。コアラップ不織布14においては、移行阻害剤36の質量(mi)と親水化剤の質量(mh)との比(mi/mh)が0.1以上であることが好ましい。比(mi/mh)は、0.3以上であることがより好ましく、0.5以上であることが最も好ましい。塗布液中の各成分の濃度を調節することで、所望の比を達成することができる。
基材不織布に対する親水化剤の不揮発分の割合(OPU)は、0.05〜2質量%であることが好ましい。
吸収性物品によっては、吸収性コア以外にもパルプ含有層が含まれる場合がある。例えば、図4に示す吸収性物品10Aにおいては、吸収性コア12を包囲するコアラップ台紙18がパルプ含有層である。吸収性物品10Aの吸収性コア12には、SAP24が含まれている。吸収性物品10Aの場合には、表面材不織布16とコアラップ台紙18とが隣接した積層体が、領域L2に存在する。表面材不織布16は、上述したコアラップ不織布と同様に親水化剤により親水化されている。
表面材不織布16は、一般的には短繊維を含むエアスルー不織布や、スパンメルト不織布であり、コアラップ不織布より坪量が大きく厚い。こうした積層体においても、長期間保存すると、表面材不織布16からコアラップ台紙18への親水化剤の移行が生じるおそれがある。親水化剤が移行して表面材不織布16が撥水化すると、吸収体への体液の透過吸収が妨げられ表面材上で液が広く拡散して、肌へ体液が長時間付着するなど吸収性物品10Aの性能が低下する。上述のような移行阻害剤を表面材不織布16内に含有させることにより、親水化剤の移行を阻害して表面材不織布の撥水化を抑制することができる。
次に、本発明の実施例について説明するが、これにより本発明が限定されるものではない。
基材不織布として、PP繊維を含む坪量11g/m2のSMS不織布(12cm×35cm)を用意した。親水化剤は、下記の処方で、東邦化学工業株式会社製「フォスファノールML−200」の水酸化カリウム中和物(POE(付加モル数3)ラウリルフォスフェートカリウム塩)、信越化学工業株式会社製「X−22−4515」(POE,POP変性シリコーン)、川研ファインケミカル株式会社製「アミゾールSDE」(POE(付加モル数1)ステアリルアミド)、花王株式会社製「アンヒトール86B」(ステアリルベタイン)、及び花王株式会社製「ペレックスOT−P」(ジオクチルスルホコハク酸)を配合して調製した。
下記表には、ここで用いる移行阻害剤をまとめる。
移行阻害剤は、それぞれ水に分散させて2質量%の分散液とした後、親水化剤と混合して複数の塗布液を調製した。塗布液中における親水化剤及び移行阻害剤の濃度は、いずれも0.2質量%とした。基材不織布に対する親水化剤の不揮発分の割合は、0.8%であった。
基材不織布は、それぞれ塗布液に浸漬した後、所定の圧力で加圧された2本のゴムロール間を通して脱水を行った。その後、80℃で5分間乾燥させることで、実施例1〜8の試料を作製した。さらに、親水化剤のみを用いて比較例1の試料を作製し、移行阻害剤のみを用いて比較例2の試料を作製した。
下記表には、実施例及び比較例の試料における親水化剤及び移行阻害剤の濃度をまとめる。なお、表中の数値は、基材不織布の質量に対する親水化剤の不揮発分の割合(OPU:質量%)である。
次に、本発明に係る積層体の長期保存後の親水性の低下抑制の効果を、親水化剤の残存率と液滴吸収率によって評価した。親水化剤の残存率及び液滴吸収率は、次の方法で測定した。すなわち、実施例及び比較例の試料を、吸収性物品の保存状態を模した条件で保存し、保存後の試料における親水化剤の残存率及び液滴吸収率を求めた。具体的には、各試料を吸収性物品のパルプ含有層を模したパルプシート(200g/m)で挟んで積層体とし、表面にアクリル板(20cm×35cm)を載置して、1kPaの荷重を印加した。これは吸収性物品が商品として複数枚パッケージで封入されたときの不織布に掛かる内圧を模したものである。この状態で、40℃、相対湿度80%の環境で30日間保存した。
[親水化剤の残存率の測定]
親水化剤の残存率は、固体NMR法により求めた。具体的には、OPU測定装置MQC(Oxford Instrument製)を用い、既知の親水化剤に対し検量線を作成した。上述の条件で保存した後のOPU値をOPU(1)とし、保存前のOPU値をOPU(0)として、下記数式(1)により残存率を求めた。保存前のOPU値は0.8質量%であった。
なお、親水化剤の残存率は、固体NMR法の他、重量法により求めても良い。重量法とは、洗浄前後の不織布の質量差を基材不織布の質量で除した割合から、親水化剤のOPU値を求める方法である。親水化剤の洗浄に用いる溶剤としては、水やメタノール、エタノール、メチルエチルケトン等が挙げられる。具体的には、例えば不織布を60℃の温水で10分間浸漬し遠心脱水してこれを3回繰り返して乾燥し、洗浄前後の質量差から同様にOPU値を求める。水で脱落し難い親水化剤を含む場合は、水洗浄の後、さらにエタノールで10分間浸漬し遠心脱水することを複数回繰り返してもよい。
[液滴吸収率の測定]
液滴吸収率は、評価液として生理食塩水(5μL)を用いて液滴を形成し、以下の方法により求めた。まず、ガラス板の上に試料が平坦になるように均して置き、端をテープでガラス台に固定した。試料の上には、マイクロシリンジにより20点の液滴を1cm以上の間隔で形成した。この際、マイクロシリンジの針先に形成した液滴を静かに近づけて不織布表面に載せた。60秒経過後、試料に完全に吸収された液滴の数を目視で確認した。なお、液滴の形成及びそれ以降の操作は、室温23℃、相対湿度50%、無風の環境下で行った。
60秒以内に試料に完全に吸収された液滴の数(N)を用いて、下記数式(2)により液滴吸収率を算出した。
得られた結果を、保存前の液滴吸収率とともに下記表にまとめる。
移行阻害剤を含有しない場合(比較例1)と異なり、実施例では、長期保存によって不織布から親水化剤の移行が抑制され、親水性が保たれていた。移行阻害剤としてシリカを用いた場合(実施例1〜3)には、保存後の残存率が32%以上であり、保存後の液滴吸収率も66%以上と高い効果が得られている。実施例4及び実施例5は、移行阻害剤としていずれも炭酸カルシウムを用いたものである。BET比表面積が20m2/g以上の炭酸カルシウムを用いることによって残存率及び保存後の液滴吸収率が高められることが、これらの比較からわかる。
移行阻害剤のBET比表面積が大きいほど、残存率及び保存後の液滴吸収率がより大きくなる傾向にあることも示されている。
10,10A…吸収性物品 12…吸収性コア 14…コアラップ不織布
16…表面材不織布 18…コアラップ台紙 20…積層体 22…パルプ
24…SAP 32…合成繊維 36…移行阻害剤

Claims (9)

  1. 合成繊維を含む不織布と、前記不織布に隣接するパルプ含有層とを備え、前記不織布は、前記合成繊維を親水化する親水化剤と、前記合成繊維より表面張力が大きい固体状の移行阻害剤とを有する積層体。
  2. 前記移行阻害剤は、BET比表面積が20m2/g以上である請求項1記載の積層体。
  3. 前記移行阻害剤は、BET比表面積が100m2/g以上である請求項1又は2記載の積層体。
  4. 前記移行阻害剤は、無機粉である請求項1乃至3いずれか記載の積層体。
  5. 前記移行阻害剤がシリカである請求項1乃至4いずれか記載の積層体。
  6. 前記不織布は、前記合成繊維として長繊維を含有し、坪量が5g/m2以上20g/m2以下である請求項1乃至5いずれか記載の積層体。
  7. 40℃、相対湿度80%の試験環境下で30日間保存した後の親水化剤の残存率が20%以上である請求項1乃至6いずれか記載の積層体。
  8. 前記移行阻害剤の質量(mi)と前記親水化剤の質量(mh)との比(mi/mh)が0.5以上である請求項1乃至7いずれか記載の積層体。
  9. 請求項1乃至8いずれか記載の積層体を含む吸収性物品。
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