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JP7298064B2 - 吸収性物品用シート - Google Patents

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JP7298064B2 JP2016194308A JP2016194308A JP7298064B2 JP 7298064 B2 JP7298064 B2 JP 7298064B2 JP 2016194308 A JP2016194308 A JP 2016194308A JP 2016194308 A JP2016194308 A JP 2016194308A JP 7298064 B2 JP7298064 B2 JP 7298064B2
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Description

本発明は、吸収性物品用シートに関する。
使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド及びパンティライナー等の吸収性物品のトップシートとして、二層構造を有する不織布が提案されている。例えば、特許文献1は、使用者の肌側に配される上層と吸収体側に配される下層とを有する積層不織布からなり、液透過前においては、前記上層よりも前記下層の親水度が高いかほぼ等しく、液透過後においては、前記下層よりも前記上層の親水度が高い、吸収性物品の表面シートを提案する。
特許文献1は、吸収性物品の表面シートがこのような特徴を有するので、液の透過性が吸収性物品の使用中安定に維持され、液の表面流れやウェットバックを、使用中、長時間防止することができると述べる。
特開2005-324010号公報
特許文献1では、二層構造を形成する上層と下層の各々の接触角、液通過時間、繰り返し接触角、クレム吸水度は測定されているが、二層構造の不織布シートの液通過時間及びウェットバック量は確認されていない。更に、その二層構造の不織布シートは吸収性物品に組み込まれて検討されていない。従って、特許文献1の二層構造を有する不織布シートの実際の吸収性物品での使用は、必ずしも明らかではない。
ところで、一回当たり及び全体の吸液量が多い吸収性物品では、吸収性物品にかかる荷重が大きい場合であると、ウェットバックが起こりやすいこと等の問題が生じる。そのため、従来の吸収性物品用のシートでは吸液性能が十分ではない場合があった。
本発明者は、鋭意検討した結果、驚くべきことに、第1繊維層と第2繊維層の少なくとも二層構造を有する不織布であって、第1繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の親水性及び耐水性と、第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の親水性及び耐水性との間に特定の関係がある場合、その二層構造を有する不織布を、第1繊維層から第2繊維層に水が通るように吸収性物品に配置すると、吸液時間をあまり増加させること無く、ウェットバック量を低減することができる、特に吸液量が大きな吸収性物品のために有用なシートを得られることを見いだして、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は一の要旨において、
第1繊維層とその第1繊維層に隣接する第2繊維層を有する不織布を含む吸収性物品用シートであって、
第1繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の親水性は、第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の親水性より高い又は同等であり、
第1繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性は、第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性より高く、
第1繊維層が肌側に配置され、第2繊維層が吸収体側に配置される、
吸収性物品用シートを提供する。
本願発明は、上述のような特徴を有するので、吸液時間をあまり増加させること無く、ウェットバック量を低減することができる、吸収性物品のために有用なシートを提供することができる。更に、そのシートは、吸液量が大きな吸収性物品のために好ましく使用することができる。
本発明は、吸収性物品用シートを提供する。
吸収性物品は、一般に液保持性の吸収体、液不透過性のバックシート、及び液透過性のトップシートを含み、吸収体とトップシートの間にバックシートが配置される。本発明の形態に係る吸収性物品用シートは、装着者の肌に当接するトップシートとして配置されることや、トップシートと吸収体との間に位置する中間シートとして配置されることが好ましく、特にトップシートとして配置されることが好ましい。バックシート及び吸収体として、吸収性物品に通常用いられているものを用いることができる。
例えばバックシートとして、透湿性を有する又は有さない熱可塑性樹脂のフィルムを用いることができる。例えば吸収体として、パルプ繊維、高吸収性ポリマーの粒子又はそれらの混合物をティッシュペーパー等の紙等で包んだ又は挟んだ吸収体を用いることができる。
本発明の形態の吸収性物品用シートは、
第1繊維層とその第1繊維層に隣接する第2繊維層を有する不織布を含む吸収性物品用シートであり、
第1繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の親水性は、第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の親水性より高い又は同等であり、
第1繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性は、第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性より高く、
第1繊維層が肌側に配置され、第2繊維層が吸収体側に配置される。
第1繊維層が人の肌に対向するように、即ち、吸収性物品の外側を向くように、不織布は配置される。
更に、第2繊維層を形成する繊維の繊度は、第1繊維層を形成する繊維の繊度より、大きいことが好ましい。
本発明においては、人の肌に対向する第1繊維層に、より繊度の小さい繊維を使用し、吸収体に対向する第2繊維層に、第1繊維層より、繊度の大きい繊維を使用することが好ましい。
人の肌に対向する第1繊維層の繊維の繊度が、第2繊維層の繊維の繊度より、より小さい場合、不織布の風合いを良好にしつつ、吸液時間を短くすることができるため好ましい。特に本発明は、第1繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性が、第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性より高いため、第1繊維層と第2繊維層において、このような繊度の差を設けることが、ウェットバック量が低くすることができ、また、繰り返しの吸液時間を短くすることができ好ましい。
第1繊維層を形成する繊維の繊度は、1.0~3.0dtexであることが好ましく、1.5~2.8dtexであることがより好ましく、1.6~2.6dtexであることが特に好ましい。
第2繊維層を形成する繊維の繊度は、1.7~5.6dtexであることが好ましく、2.0~5.0dtexであることがより好ましく、2.6~4.0dtexであることが特に好ましい。
なお、第1繊維層及び第2繊維層は、それらを形成する繊維のすべてが前記範囲の繊度を有することが好ましいが、本発明の所望の効果を損なわない範囲において、前記範囲外の繊維が含まれていてもよい。
第1繊維層を形成する繊維の繊維径は、10~20μmが好ましく、12~19μmがより好ましく、14~18μmがさらに好ましい。
第2繊維層を形成する繊維の繊維径は、13~28μmが好ましく、15~26μmがより好ましく、17~24μmがさらに好ましく、17~21μmがさらにより好ましい。
第1繊維層の繊維(原料又は材質)は、本発明が目的とする不織布を得られる限り特に制限されることはない。
第1繊維層の繊維は、例えば、下記の繊維を含むことができる:コットン、シルクおよびウールなどの天然繊維;ビスコースレーヨン、キュプラ、および溶剤紡糸セルロース繊維(例えば、レンチングリヨセル(登録商標)およびテンセル(登録商標))等の再生繊維;ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アクリルニトリルからなる(ポリ)アクリル系繊維、ポリカーボネート系繊維、ポリアセタール系繊維、ポリスチレン系繊維、および環状ポリオレフィン系繊維などの合成繊維。
第1繊維層の繊維は、単一種類の樹脂でできている繊維のみならず、二種以上の樹脂でできている複合繊維(例えば、同心または偏心の芯鞘型複合繊維、海島型複合繊維、サイドバイサイド型複合繊維)を用いることもできる。
なお、天然繊維を含む場合、その繊度または繊維径については、JIS L 1019 7.4.1 マイクロネヤによる方法に準じ、算出できる。
第1繊維層の繊維として、合成繊維が好ましく、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維及びその組み合わせがより好ましい。第1繊維層の繊維は、本発明が目的とする不織布を得られる限り、合成繊維に、再生繊維及び/又は天然繊維を含むことができる。
第1繊維層の繊維は、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維;及び、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン-1-プロピレン三元共重合体等のポリオレフィン系繊維;及びそれらを組み合わせた繊維を含むことができる。
ポリエチレンは高密度ポリエチレンであることが、捲縮を容易に付与できるので更に好ましい。本願発明では、後述するように繊維に親水性を施すために繊維処理剤が、使用され得る。繊維に捲縮を容易に付与できる場合、繊維処理剤は、例えば、撥水性を施すための追加の成分を含有する必要性が低下し得、吸液特性への不要な影響を抑制し得る。
これらの繊維は、単独で、又は組み合わせて用いることができる。
2種類の繊維を組み合わせる場合、各々の繊維を単純に混合した繊維、同心又は偏心芯鞘型の複合繊維等、組み合わせの形態は、目的とする不織布を得ることができる限り特に制限されることはない。
同心又は偏心芯鞘型の複合繊維が好ましく、同心芯鞘型複合繊維が第1繊維層の厚さを薄くできるためより好ましい。
不織布の厚さは薄い方が、吸収体までの距離が短くなるため液の移動性が良く、吸液時間やウェットバック量がより向上し得るので、第1繊維層も厚さは、薄い方が好ましい。
ポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂から構成される同心又は偏心芯鞘型の複合繊維が更により好ましい。特に芯成分がポリエステル系樹脂であり、鞘成分がポリオレフィン系樹脂である芯鞘型の複合繊維が好ましい。
第1繊維層の繊維は、同心芯鞘型複合繊維を50質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むことがより好ましく、第1繊維層を形成するすべての繊維が同心芯鞘型複合繊維であることが特に好ましい。第1繊維層の繊維は、同心芯鞘型複合繊維を50質量%以上含む場合、不織布の厚さの増加をより抑制し得る。
第1繊維層の繊維は、風合いや触感を向上させるために、繊維中に酸化チタン等の添加剤を含むことができる。このような添加剤は、添加剤等も含む繊維全体を100質量%として、0.1~10質量%含まれることが好ましく、1~5質量%含まれることがより好ましい。また、第1繊維層の繊維が芯鞘型複合繊維である場合、添加剤は芯成分により多く含まれていることが好ましく、芯成分のみに含まれていることが好ましい。添加剤が鞘成分に含まれている場合、不織布等の製造装置が傷つけられることがある。
芯鞘型複合繊維の場合、芯成分と鞘成分との複合比が質量比で80:20~20:80であることが好ましく、70:30~30:70であることがより好ましく、60:40~40:60であることがさらに好ましい。
第2繊維層の繊維(原料又は材質)は、本発明が目的とする不織布を得られる限り特に制限されることはない。
第2繊維層の繊維は、例えば、下記の繊維を含むことができる:コットン、シルクおよびウールなどの天然繊維;ビスコースレーヨン、キュプラ、および溶剤紡糸セルロース繊維(例えば、レンチングリヨセル(登録商標)およびテンセル(登録商標))等の再生繊維;ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アクリルニトリルからなる(ポリ)アクリル系繊維、ポリカーボネート系繊維、ポリアセタール系繊維、ポリスチレン系繊維、および環状ポリオレフィン系繊維などの合成繊維。
第2繊維層の繊維は、単一種類の樹脂でできている繊維のみならず、二種以上の樹脂でできている複合繊維(例えば、同心または偏心の芯鞘型複合繊維、海島型複合繊維、サイドバイサイド型複合繊維)を用いることもできる。
なお、天然繊維を含む場合、その繊度または繊維径については、JIS L 1019 7.4.1 マイクロネヤによる方法に準じ、算出できる。
第2繊維層の繊維として、合成繊維が好ましく、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維及びその組み合わせがより好ましい。第2繊維層の繊維は、本発明が目的とする不織布を得られる限り、合成繊維に、再生繊維及び/又は天然繊維を含むことができる。
第2繊維層の繊維は、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維;及び、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン-1-プロピレン三元共重合体等のポリオレフィン系繊維;及びそれらを組み合わせた繊維を含むことができる。
ポリエチレンは高密度ポリエチレンであることが、捲縮を容易に付与できるので更に好ましい。本願発明では、後述するように繊維に親水性を施すために繊維処理剤が、使用され得る。繊維に捲縮を容易に付与できる場合、繊維処理剤は、例えば、撥水性を施すための追加の成分を含有する必要性が低下し得、吸液特性への不要な影響を抑制し得る。
これらの繊維は、単独で、又は組み合わせて用いることができる。
2種類の繊維を組み合わせる場合、各々の繊維を単純に混合した繊維、同心又は偏心芯鞘型の複合繊維等、組み合わせの形態は、目的とする不織布を得ることができる限り特に制限されることはない。
同心又は偏心芯鞘型の複合繊維が好ましく、同心芯鞘型複合繊維が第2繊維層の厚さを薄くできるためより好ましい。
不織布の厚さは薄い方が、吸収体までの距離が短くなるため液の移動性が良く、吸液時間やウェットバック量がより向上し得るので、第2繊維層も厚さは、薄い方が好ましい。
ポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂から構成される同心又は偏心芯鞘型の複合繊維が更により好ましい。特に芯成分がポリエステル系樹脂であり、鞘成分がポリオレフィン系樹脂である芯鞘型の複合繊維が好ましい。
第2繊維層の繊維は、同心芯鞘型複合繊維を50質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むことがより好ましく、第2繊維層を形成するすべての繊維が同心芯鞘型複合繊維であることが特に好ましい。第2繊維層の繊維は、同心芯鞘型複合繊維を50質量%以上含む場合、不織布の厚さの増加をより抑制し得る。第2繊維層の繊維は、風合いや触感を向上させるために、繊維中に酸化チタン等の添加剤を含むことができる。このような添加剤は、第2繊維層の添加剤等を含む繊維全体を100質量%として、0.1~10質量%含まれることが好ましく、1~5質量%含まれることがより好ましい。また、第2繊維層の繊維が芯鞘型複合繊維である場合、添加剤は芯成分により多く含まれていることが好ましく、芯成分のみに含まれていることが好ましい。添加剤が鞘成分に含まれている場合、不織布等の製造装置が傷つけられることがある。
芯鞘型複合繊維の場合、芯成分と鞘成分との複合比が質量比で80:20~20:80であることが好ましく、70:30~30:70であることがより好ましく、60:40~40:60であることがさらに好ましい。
また不織布の厚さは、0.3~3.0mmであることが好ましく、より好ましくは0.4~2.5mmであり、さらに好ましくは0.5~2.0mmである。不織布の厚さは使い捨ておむつの場合、なるべく低いことがコストの面でよく、その場合の厚さは0.3~3.0mmであることが好ましく、0.4~2.5mmであることがより好ましい。
第1繊維層の目付は3~30g/mであることが好ましく、5~15g/mであることがより好ましく、6~13g/mであることがさらに好ましく、7~11g/mであることが特に好ましい。
第2繊維層の目付は3~30g/mであることが好ましく、5~15g/mであることがより好ましく、6~13g/mであることがさらに好ましく、7~11g/mであることが特に好ましい。
第2繊維層の目付と第1繊維層の目付との比(第2繊維層の目付/第1繊維層の目付)は0.8~3.0であることが好ましく、1.0~2.5であることがより好ましく、1.3~2.0であることがさらに好ましい。特に繊維径のより小さい第1繊維層の目付が第2繊維層の目付よりも小さい場合、即ち、第2繊維層の目付と第1繊維層の目付との比(第2繊維層の目付/第1繊維層の目付)が、1より大きい場合、風合いや触感を有しつつ、より良好な吸液特性が得られるため、より好ましい。
更に、不織布全体の目付は6~60g/mであることが好ましく、より好ましくは12~50g/mであり、さらに好ましくは15~40g/mであり、特に好ましくは15~20g/mである。
不織布全体の目付は使い捨ておむつの場合、なるべく低いことがコストの面でよく、その場合の目付は10~50g/mであることが好ましく、15~40g/mであることがより好ましい。
第1繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の親水性は、第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の親水性より高い又は同等であり、
第1繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性は、第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性より高い。
「第1繊維層を形成する繊維に付された(施された)繊維処理剤の親水性は、第2繊維層を形成する繊維に付された(施された)繊維処理剤の親水性より高い又は同等」であるとは、水と初めて接触した時の第1繊維層を形成する繊維に付される繊維処理剤の親水性の高さの程度(親水化度)が、水と初めて接触した時の第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の親水性の高さの程度より高い又は同等であることを意味する。
水と初めて接触した時の第1繊維層又は第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の親水性の高さの程度(親水化度)は、下記のランオフの測定により得られる、1回目の数値によって、評価することができる。ランオフの1回目の数値(初期親水化度)が小さい値であるほど、親水化度は、高いと考えられる。なお、繊維処理剤の親水性の高さは、ランオフの値が0.2cm以内の差であれば、親水性の高さは同等であるとみなす。
第1繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の親水化度は、初期親水化度が、5.0cm以下であることが好ましく、4.0cm以下であることがより好ましく、2.5cm以下であることが特に好ましい。第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の親水化度は、初期親水化度が、5.0cm以下であることが好ましく、4.0cm以下であることがより好ましく、2.5cm以下であることが特に好ましい。
第1繊維層を形成する繊維に付された(施された)繊維処理剤の親水化度は、初期親水化度が、5.0cm以下であり、第2繊維層を形成する繊維に付された(施された)繊維処理剤の親水化度は、初期親水化度が、5.0cm以下である場合、吸液時間を短くすることができ、より好ましい。
繊維処理剤の親水性の高さの程度は、下記のようにランオフを測定して評価した。
[ランオフ]
ポリエチレンテレフタレートが芯であり、高密度ポリエチレンが鞘であり、複合比(芯/鞘、質量比)が50/50である、同心芯鞘型複合繊維(繊度:2.2dtex、繊維長:38mm)(例えば、ダイワボウポリテック社製NBF(SH)(商品名))に、繊維処理剤を0.40質量%付与し、パラレルカード法およびエアスルー法(加熱温度:140℃、処理時間:10秒、風速:1.0m/s)を用いて、不織布サンプル(目付:18.0g/m、寸法:タテ18.0cm×ヨコ7.0cm、厚さ:1.40mm)を製造して用意した。
略直角二等辺三角形の底面を有する三角柱を、横倒しして、斜面が水平面と45度の角度を有する支持台を準備した。その斜面上に、ろ紙(MEZGER inc.製の商品名Lister Paper(Grade989、27.5cm×14cm))を2枚重ねて敷き、その上に不織布サンプルを載せて固定した。
不織布の上端から1cm下方の位置に、0.90%生理食塩水(青色染料で着色)を、マイクロチューブポンプまたはビュレットから、1.0g/30secの速度で、合計1.0gを30sec間かけて、滴下した。全ての生理食塩水が不織布に吸収され、生理食塩水の水滴が不織布表面から消えたときの生理食塩水の先端の位置を測定した。当該位置と生理食塩水を不織布表面に滴下した位置との間の距離、即ち生理食塩水の水滴が不織布表面を流れた最長の距離を求めた。
2回目のランオフは、1回目のランオフに使用した不織布サンプルを使い、1回目のランオフの測定終了から30秒後に、1回目に生理食塩水を滴下した位置と同じ位置に、1回目と同様にして生理食塩水を滴下して、生理食塩水が不織布表面を流れた距離を求めた。3回目以降のランオフは、その前回の不織布サンプルを使用して、同様に繰り返し測定した。
「第1繊維層を形成する繊維に付された(施された)繊維処理剤の耐水性は、第2繊維層を形成する繊維に付された(施された)繊維処理剤の耐水性より高い」とは、水と接触した時の第1繊維層を形成する繊維に付される繊維処理剤の親水性の高さの程度(親水化度)が減少する程度が、水と接触した時の第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の親水性の高さの程度が減少する程度より、小さいことを意味する。
第1繊維層に付される繊維処理剤は耐水性を有することが好ましい。また第2繊維層に付される繊維処理剤も耐水性を有することが好ましい。耐水性を有するとは、たとえ水と接することがあっても、1回で繊維処理剤の全てが失われることはないことを意味する。即ち、1回水と接したとしても、第1繊維層または第2繊維層を形成する繊維は、まだ、繊維処理剤によって与えられた親水性を有することを意味する。第1繊維層と第2繊維層に付される繊維処理剤が共に耐水性を有する場合、繰り返し吸液させても吸液時間を短くすることができ、より好ましい。
水と接触した時の第1繊維層又は第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の親水性の耐水性は、上記のランオフの測定により得られる、ランオフの5回目の数値(cm)から1回目の数値(cm)を引いた値(差)によって、評価することができる。この方法により得られた繊維処理剤の親水性の耐水性(耐水性指標)の数値が小さい値であるほど、耐水性は、高いと考えられる。
第1繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性は、耐水性指標が、5.0cm以下であることが好ましく、4.0cm以下であることがより好ましく、3.0cm以下であることがさらに好ましく、1.5cm以下であることが特に好ましい。第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性は、耐水性指標が、5.0cm以下であることが好ましく、4.0cm以下であることがより好ましく、3.0cm以下であることが特に好ましい。また、第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性は、耐水性指標が、0.5cm以上であることが好ましく、0.9cm以上であることがより好ましく、1.2cm以上であることが特に好ましい。
第1繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性は、耐水性指標が、5.0cm以下であり、第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性は、耐水性指標が、5.0cm以下である場合、繰り返し吸液させても親水性を高く維持でき、吸液時間を短くすることができるので、より好ましい。
第1繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性指標(耐水性指標A)と、第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性指標(耐水性指標B)との差(耐水性指標B-耐水性指標A)が0.1cm以上5.0cm以下であることが好ましく、0.3cm以上3.0cm以下であることがより好ましく、0.5cm以上2.0cm以下であることが特に好ましい。耐水性指標の差がこの範囲であることにより、吸液時間をあまり増加させること無く、ウェットバック量を低減することができるため好ましい。
また、上記のランオフの測定により得られる、ランオフの3回目の数値(cm)から1回目の数値(cm)を引いた値(差)が5.0cm以下であると、繊維処理剤は耐水性を有するとみなすことができる。
第1繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の親水性は、第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の親水性より高い又は同等なので、吸液時間を短くすることができ得る。
第1繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性は、第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性より高いので、吸液時間をあまり増加させること無く、ウェットバック量を低減することができ得る。
第1繊維層または第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤として、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤を適宜使用することができる。また繊維処理剤の親水性の耐水性を有させるための成分として、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエーテル-ポリエステルブロック共重合体、ポリエーテル変性シリコーン、エチレンオキサイド付加多価アルコールの脂肪酸エステル等を例示することができる。
そのような繊維処理剤を、例えば、繊維の表面に塗布する等の方法を用いて、第1繊維層又は第2繊維層に、各々の親水性を付与することができ、更に、各々の親水化度の耐水性を付与することができる。
繊維処理剤を用いる繊維の処理は、繊維が繊維層を形成する前又は後のどちらでも良い。
第1繊維層の繊維及び第2繊維層の繊維には、上述した繊維処理剤が、繊維処理剤等を含む繊維全体を100質量%として、0.1~1.5質量%付着していることが好ましく、0.2~1.0質量%付着していることがより好ましく、0.25~0.8質量%付着していることがさらに好ましい。繊維処理剤が所定量繊維に付着していることにより、所望の吸液特性、特にウェットバック特性がより良好になるためより好ましい。
本発明で使用する第1繊維層及び第2繊維層は、種々の繊維ウェブの製造方法を用いて製造することができる。本発明が目的とする吸収性物品用シートを得ることができる限り、その製造方法は特に制限されることはない。そのような製造方法として、例えば、パラレルウェブ、クロスウェブ、クリスクロスウェブ、セミランダムウェブおよびランダムウェブ等のカード法、エアレイ法等を例示することができる。
本発明の形態の吸収性物品用シートは、第1繊維ウェブと第2繊維ウェブを重ね合わせて、一体化することで製造することができる。本発明が目的とする吸収性物品用シートを得ることができる限り、その製造方法は特に制限されることはない。そのような製造方法として、例えば、エアスルー法(熱風貫通式熱処理法)、熱風吹付け式熱処理法、ヒートロール法、赤外線式熱処理法、ニードルパンチ法等を例示することができる。
一体化されたシートの第1繊維層の繊維と第2繊維層の繊維は、接着されていてよい。
本発明の形態の吸収性物品用シートは、必要に応じて、更に、シートが通常有する追加の層を有することができる。
本発明の形態の吸収性物品用シートは、必要に応じて、エンボス加工等の追加の加工が施されてよく、そのような追加の形態及び形状等を有してよい。
本発明の形態の吸収性物品用シートは、例えば使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド及びパンティライナー等の種々の吸収性物品に使用することができる。
更に、本発明は、そのような吸収性物品用シートを含む、種々の吸収性物品を提供することができる。
本発明の形態の吸収性物品用シートは、吸液量が大きな吸収性物品のために好ましく使用することができる。「吸液量が大きな吸収性物品」とは、吸液量が、1回当たり100~200mlであり、2~6回繰り返し吸液されるものが挙げられる。
「吸液量が大きな吸収性物品」として、例えば、成人用オムツ、パッド、および介護シートや、動物用オムツおよび動物用シート等を例示することができる。
以下に本発明を実施例及び比較例を用いて説明するが、これらの例は本発明を説明するためのものであり、本発明を何ら限定するものではない。
実施例及び比較例の不織布を含むシートを製造するために使用した[繊維]を以下に示す。
繊維1:ポリエチレンテレフタレートが芯であり、高密度ポリエチレンが鞘であり、複合比(芯/鞘、質量比)が50/50である、繊度2.2dtex(繊維径16μm)、繊維長38mmの同心芯鞘型複合繊維(ダイワボウポリテック(株)製の商品名NBF(SH))
繊維2:ポリエチレンテレフタレートが芯であり、高密度ポリエチレンが鞘であり、複合比(芯/鞘、質量比)が50/50である、繊度3.3dtex(繊維径19μm)、繊維長51mmの同心芯鞘型複合繊維(ダイワボウポリテック(株)製の商品名NBF(SH))
繊維3:ポリエチレンテレフタレートが芯であり、高密度ポリエチレンが鞘であり、複合比(芯/鞘、質量比)が50/50である、繊度2.0dtex(繊維径15μm)、繊維長45mmの同心芯鞘型複合繊維(ダイワボウポリテック(株)製の商品名NBF(SH))
繊維4:ポリエチレンテレフタレートが芯であり、高密度ポリエチレンが鞘であり、複合比(芯/鞘、質量比)が60/40である、繊度3.3dtex(繊維径19μm)、繊維長51mm、偏心率25%の偏心芯鞘型複合繊維(ダイワボウポリテック(株)製の商品名NBF(SH)V)
実施例及び比較例の不織布を含むシートを製造するために使用した[繊維処理剤(親水化剤)]を以下に示す。繊維処理剤の親水性と耐久性を、下記のように評価した。なお繊維処理剤は、繊維処理剤等を含む繊維全体を質量100%として、約0.40質量%付与されている。
繊維処理剤A:C12アルキルリン酸エステルカリウム塩を含み、耐水性を有する、耐水親水性繊維処理剤
繊維処理剤B:C12アルキルリン酸エステルカリウム塩を含み、耐水性を有し、繊維処理剤Aより低い耐水性(耐水性指標)を有する、耐水親水性繊維処理剤
繊維処理剤C:C12アルキルリン酸エステルカリウム塩を含み、耐水性を有し、繊維処理剤Aと同等の耐水性(耐水性指標)を有する、耐水親水性繊維処理剤
[水と初めて接触した時の繊維処理剤の親水性の高さの程度(初期親水化度)、及び繊維処理剤の親水性の耐水性(耐水性指標)]
繊維処理剤A~Cの初期親水化度は、下記のようにして行ったランオフ(run-off)の1回目の数値で規定し、数値が小さいほど、親水性が高い。なお、繊維処理剤の親水性の高さは、ランオフの値が0.2cm以内の差であれば、親水性の高さは同等であるとみなす。
また、繊維処理剤A~Cの親水性の耐水性(耐水性指標)は、ランオフの5回目の数値から1回目の数値を引いた値(差)で規定し、数値が小さいほど、耐水性が高い。
[ランオフ]
ポリエチレンテレフタレートが芯であり、高密度ポリエチレンが鞘であり、複合比(芯/鞘、質量比)が50/50である、同心芯鞘型複合繊維(繊度:2.2dtex、繊維長:38mm)(ダイワボウポリテック社製NBF(SH)(商品名)に、繊維処理剤を0.40質量%付与し、パラレルカード法およびエアスルー法(加熱温度:140℃、処理時間:10秒、風速:1.0m/s)を用いて、不織布サンプル(目付:18.0g/m、寸法:タテ18.0cm×ヨコ7.0cm、厚さ:1.40mm)を製造して用意した。
略直角二等辺三角形の底面を有する三角柱を、横倒しして、斜面が水平面と45度の角度を有する支持台を準備した。その斜面上に、ろ紙(MEZGER inc.製の商品名Lister Paper(Grade989、27.5cm×14cm))を2枚重ねて敷き、その上に不織布サンプルを載せて固定した。
不織布の上端から1cm下方の位置に、0.90%生理食塩水(青色染料で着色)を、マイクロチューブポンプまたはビュレットから、1.0g/30secの速度で、合計1.0gを30sec間かけて、滴下した。全ての生理食塩水が不織布に吸収され、生理食塩水の水滴が不織布表面から消えたときの生理食塩水の先端の位置を測定した。当該位置と生理食塩水を不織布表面に滴下した位置との間の距離、即ち生理食塩水の水滴が不織布表面を流れた最長の距離を求めた。
2回目のランオフは、1回目のランオフに使用した不織布サンプルを使い、1回目のランオフの測定終了から30秒後に、1回目に生理食塩水を滴下した位置と同じ位置に、1回目と同様にして生理食塩水を滴下して、生理食塩水が不織布表面を流れた距離を求めた。3回目以降のランオフは、その前回の不織布サンプルを使用して、同様に繰り返し測定した。
結果を表1に示す。
水と初めて接触した時の親水性の高さ(初期親水化度)は繊維処理剤Cが最も高く、繊維処理剤AとBは同等であった。また、親水性の耐水性(耐水性指標)は、繊維処理剤AとCが繊維処理剤Bよりも高かった。
Figure 0007298064000001
[不織布の厚さ]
不織布の厚さは、厚み測定機((株)大栄科学精器製作所製の商品名 THICKNESS GAUGE モデル CR-60A)を用い、不織布に300Paの荷重を加えた状態で測定した。
[実施例1]
0.40質量%の繊維処理剤Aが付与されている繊維1を用い、パラレルカード機を使用して、第1繊維層となる第1繊維ウェブを製造した。第1繊維ウェブの目付は、約9g/mであった。
0.4質量%の繊維処理剤Bが付与されている繊維2を用い、パラレルカード機を使用して、第2繊維層となる第2繊維ウェブを製造した。第2繊維ウェブの目付は、約9g/mであった。
この第1繊維ウェブと第2繊維ウェブとを重ね合わせて、熱風貫通式熱処理機を用いて135℃で熱処理し、一体化して、実施例1の不織布を得た。実施例1の不織布の目付は、18.5g/mであり、厚さは、0.45mmであった。
[実施例2~参考例3]及び[比較例2]
実施例2~参考例3及び比較例2について、表2に記載した繊維及び繊維処理剤を使用して、上述の実施例1の製造方法と同様の方法を用いて、実施例2~参考例3及び比較例2の不織布を得た。
[比較例1]
比較例1について、表2に記載した繊維及び繊維処理剤を使用して、第2繊維ウェブを製造して積層しなかったことを除いて、上述の実施例1の製造方法と同様の方法を用いて、比較例1の不織布を得た。
このようにして得られた実施例及び比較例の不織布(吸収性物品用シート)を用いて、評価用吸収性物品を製造して、その吸収性を評価した。
[評価用吸収性物品の製造]
市販のおむつ(花王株式会社製の商品名リリーフモレ安心パッド)から、トップシート/吸収体の二層構造の吸収性物品を取り出した。その吸収性物品からトップシートを剥がして除去し、そのトップシートの代わりに、上述の実施例及び比較例の不織布を積層して、評価用吸収性物品を得た。尚、積層の際、第1繊維層が、外側に向くように配置した。この評価用吸収性物品を用いて、実施例及び比較例の不織布の吸液性(ウェットバック及び吸液時間)を評価した。
[ウェットバック量]
実施例及び比較例の不織布のウェットバック量は、次の方法により評価した。
(1)ウェットバック量を測定するために、下記の物品を用意した。
上述の実施例及び比較例の評価用吸収性物品
注入円筒付きアクリル製プレート(アクリル製プレートの寸法は長さ200mm×幅100mm×厚み8mm、アクリル製プレート上面からの円筒の高さは50mm、円筒の内径は円筒の上端から40mmまでの大径部は22mm、大径部から下方に5mmまでの範囲においては内径が漸減し、更にその下方の円筒下端までの小径部(高さ5mm)は10mmであった。上記アクリル製プレートにも内径10mmの同軸の孔が設けられていた。大径部と小径部との間における円筒内面は、円筒軸を含む平面による断面形状が円筒軸の左右両側それぞれにおいて直線状であった。)
0.90%生理食塩水(青色染料で着色)
ろ紙(東洋濾紙(株)製ADVANTEC(登録商標)No.2)10cm×10cm
重り(5kg)10cm×10cm
(2)方法
ウェットバック量を下記の手順に従って測定した。
(i)評価用吸収性物品を、不織布(タテ42cm×ヨコ21cm)が上を向くように配置して、その上に注入筒付きプレートを乗せた。そして、アクリル製プレート上に重りを置き、評価用吸収性物品に10g/cm2の荷重が加わるようにした。
(ii)約37℃に温めた生理食塩水150mlを円筒から注入した。生理食塩水が不織布表面から見えなくなる(液体として生理食塩水が確認されなくなる)まで放置した。
(iii)注入円筒付きアクリル製プレートを外し、10分間静置した。
(iv)予め質量を測定したろ紙(30枚)を不織布の上に載せ、その上に5kgの重りを20秒間載せた。その後、ろ紙の質量を測定した。不織布の上に載せる前のろ紙の質量と、不織布の上に載せ、更におもりを載せた後のろ紙の質量との差が、ウェットバック量に相当する。
(vi)上記(i)に戻り、(i)~(iv)を繰り返して2回測定を行った。合計3回、ウェットバック量を評価した。
一つの試料(不織布)について、3つのサンプルを用意した。3つのサンプル各々について測定したウェットバック量の平均値を、その試料のウェットバック量とした。
結果を表2に示した。不織布からしみ出す水分の量がより少ない方が、人の肌がよりむれないことから、ウェットバック量の値は、小さい方が好ましい。
[吸液時間]
(1)吸液時間を測定するために、下記の物品を用意した。
上述の実施例及び比較例の評価用吸収性物品
注入筒付きプレート(筒下部の内径2.5cm)
0.90%生理食塩水(青色染料で着色)
(2)方法
吸液時間を下記の手順に従って測定した。
(i)評価用吸収性物品を、不織布(タテ42cm×ヨコ21cm)が上を向くように配置して、その上に注入筒付きプレートを乗せた。
(ii)約37℃に温めた生理食塩水150mlを筒から注入した。生理食塩水の注入から、生理食塩水が不織布表面から見えなくなる(液体として生理食塩水が確認されなくなる)時間を計測し、吸液時間とした。
(iii)上記(i)に戻り、(i)~(ii)を繰り返して2回測定を行った。合計3回、吸液時間を評価した。

結果を表2に示した。より短時間で吸収する方が、人の肌がよりむれないので、吸液時間(秒)は、その値が小さい方が好ましい。
Figure 0007298064000002
実施例1~参考例3は、積層されている不織布が使用されており、第1繊維層に繊維処理剤Aが使用されており、第2繊維層に繊維処理剤Bが使用されている。繊維処理剤Aは、高い親水性及び高い耐水性を有する。繊維処理剤Bは、高い親水性及び弱い耐水性を有する。
比較例1は、単層であり、実施例1の第1繊維層と同じ繊維処理剤Aが使用されている。
比較例2は、積層されている不織布が使用されており、第1繊維層に実施例1の第1繊維層と同じ繊維処理剤が使用されているが、第2繊維層に高い親水性及び高い耐水性を有する別の繊維処理剤Cが使用されている。
実施例1を比較例1と比べると、単層を積層にすると、2回目及び3回目のウェットバック量、即ち、ウェットバック量に関する繰り返し耐久性が改良されることがわかる。実施例1では積層された第2繊維層の繊維処理剤の親水性が低下するので、比較例1と比べて吸液時間が長くなることが予想されるが、ウェットバック量の低下と比べると、吸液時間の増加は小さかった。
実施例1を比較例2と比べると、たとえ積層されていたとしても、第2繊維層の繊維が、弱耐久性の繊維処理剤で処理されている方が、2回目及び3回目のウェットバック量、即ち、ウェットバック量に関する繰り返し耐久性が改良されることがわかる。
実施例1と2を比べると、目付が増加すると、ウェットバック量が改善される傾向にあることがわかる。逆に、低い目付の場合、ウェットバック量の改善が容易ではなく、本発明の構成がより重要であると推察される。
実施例1と参考例3を比べると、第1繊維層を形成する繊維の繊度が第2繊維層を形成する繊維の繊度より小さい方が、ウェットバック量が改良される傾向にあることが判る。
上述の結果から、第1繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の親水性は、第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の親水性より高い又は同等であり、第1繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性は、第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性より高い場合、積層不織布シートを、第1繊維層から第2繊維層に水(液)が通るように配置すると、吸液時間をあまり増加させること無く、ウェットバック量を低減することができる、吸液量が大きな吸収性物品のために有用な吸収性物品用シートを得られることがわかった。
本発明は、吸収性物品用シートを提供する。それらは、吸液時間及びその繰り返し耐久性をあまり増加させることなく、ウェットバック量及びその繰り返し耐久性が好ましく改良され、コスト、シートの加工性及び生産性などから選択される少なくとも一種が改良され得、吸液量が大きな吸収性物品のために有用な吸収性物品用シートとして好適に使用することができる。

Claims (4)

  1. 第1繊維層とその第1繊維層に隣接する第2繊維層を有する不織布を含む吸収性物品用シートであって、
    第1繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の親水性は、第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の親水性より高い又は同等であり、
    第1繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性は、第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性より高く、
    第1繊維層が肌側に配置され、第2繊維層が吸収体側に配置され、
    第1繊維層を形成する繊維の繊維径は、10~20μmであり、第2繊維層を形成する繊維の繊維径は、17~28μmであり、
    第1繊維層の目付は、5~15g/mであり、第2繊維層の目付は、7~30g/mであり、
    第2繊維層の目付と第1繊維層の目付との比(第2繊維層の目付/第1繊維層の目付)は1.0~3.0であり、
    第1繊維層の繊維及び第2繊維層の繊維には、繊維処理剤が、繊維処理剤を含む繊維全体を100質量%として、0.2~1.0質量%付着しており、
    第1繊維層の繊維は、同心芯鞘型複合繊維を70質量%以上含む、
    吸収性物品用シート。
  2. 第1繊維層に付される繊維処理剤が耐水性を有し、第2繊維層に付される繊維処理剤も耐水性を有する、請求項1に記載のシート。
  3. 第2繊維層を形成する繊維の繊度は、第1繊維層を形成する繊維の繊度より大きい、請求項1又は2に記載のシート。
  4. 第1繊維層を形成する繊維の繊度は、1.0~2.6dtexであり、第2繊維層を形成する繊維の繊度は、2.6~5.6dtexである、請求項1~3のいずれかに記載のシート。
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