JP7298064B2 - 吸収性物品用シート - Google Patents
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特許文献1は、吸収性物品の表面シートがこのような特徴を有するので、液の透過性が吸収性物品の使用中安定に維持され、液の表面流れやウェットバックを、使用中、長時間防止することができると述べる。
第1繊維層とその第1繊維層に隣接する第2繊維層を有する不織布を含む吸収性物品用シートであって、
第1繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の親水性は、第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の親水性より高い又は同等であり、
第1繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性は、第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性より高く、
第1繊維層が肌側に配置され、第2繊維層が吸収体側に配置される、
吸収性物品用シートを提供する。
吸収性物品は、一般に液保持性の吸収体、液不透過性のバックシート、及び液透過性のトップシートを含み、吸収体とトップシートの間にバックシートが配置される。本発明の形態に係る吸収性物品用シートは、装着者の肌に当接するトップシートとして配置されることや、トップシートと吸収体との間に位置する中間シートとして配置されることが好ましく、特にトップシートとして配置されることが好ましい。バックシート及び吸収体として、吸収性物品に通常用いられているものを用いることができる。
例えばバックシートとして、透湿性を有する又は有さない熱可塑性樹脂のフィルムを用いることができる。例えば吸収体として、パルプ繊維、高吸収性ポリマーの粒子又はそれらの混合物をティッシュペーパー等の紙等で包んだ又は挟んだ吸収体を用いることができる。
第1繊維層とその第1繊維層に隣接する第2繊維層を有する不織布を含む吸収性物品用シートであり、
第1繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の親水性は、第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の親水性より高い又は同等であり、
第1繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性は、第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性より高く、
第1繊維層が肌側に配置され、第2繊維層が吸収体側に配置される。
第1繊維層が人の肌に対向するように、即ち、吸収性物品の外側を向くように、不織布は配置される。
本発明においては、人の肌に対向する第1繊維層に、より繊度の小さい繊維を使用し、吸収体に対向する第2繊維層に、第1繊維層より、繊度の大きい繊維を使用することが好ましい。
人の肌に対向する第1繊維層の繊維の繊度が、第2繊維層の繊維の繊度より、より小さい場合、不織布の風合いを良好にしつつ、吸液時間を短くすることができるため好ましい。特に本発明は、第1繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性が、第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性より高いため、第1繊維層と第2繊維層において、このような繊度の差を設けることが、ウェットバック量が低くすることができ、また、繰り返しの吸液時間を短くすることができ好ましい。
第2繊維層を形成する繊維の繊度は、1.7~5.6dtexであることが好ましく、2.0~5.0dtexであることがより好ましく、2.6~4.0dtexであることが特に好ましい。
第2繊維層を形成する繊維の繊維径は、13~28μmが好ましく、15~26μmがより好ましく、17~24μmがさらに好ましく、17~21μmがさらにより好ましい。
第1繊維層の繊維は、例えば、下記の繊維を含むことができる:コットン、シルクおよびウールなどの天然繊維;ビスコースレーヨン、キュプラ、および溶剤紡糸セルロース繊維(例えば、レンチングリヨセル(登録商標)およびテンセル(登録商標))等の再生繊維;ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アクリルニトリルからなる(ポリ)アクリル系繊維、ポリカーボネート系繊維、ポリアセタール系繊維、ポリスチレン系繊維、および環状ポリオレフィン系繊維などの合成繊維。
第1繊維層の繊維は、単一種類の樹脂でできている繊維のみならず、二種以上の樹脂でできている複合繊維(例えば、同心または偏心の芯鞘型複合繊維、海島型複合繊維、サイドバイサイド型複合繊維)を用いることもできる。
なお、天然繊維を含む場合、その繊度または繊維径については、JIS L 1019 7.4.1 マイクロネヤによる方法に準じ、算出できる。
第1繊維層の繊維は、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維;及び、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン-1-プロピレン三元共重合体等のポリオレフィン系繊維;及びそれらを組み合わせた繊維を含むことができる。
これらの繊維は、単独で、又は組み合わせて用いることができる。
同心又は偏心芯鞘型の複合繊維が好ましく、同心芯鞘型複合繊維が第1繊維層の厚さを薄くできるためより好ましい。
不織布の厚さは薄い方が、吸収体までの距離が短くなるため液の移動性が良く、吸液時間やウェットバック量がより向上し得るので、第1繊維層も厚さは、薄い方が好ましい。
ポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂から構成される同心又は偏心芯鞘型の複合繊維が更により好ましい。特に芯成分がポリエステル系樹脂であり、鞘成分がポリオレフィン系樹脂である芯鞘型の複合繊維が好ましい。
第1繊維層の繊維は、風合いや触感を向上させるために、繊維中に酸化チタン等の添加剤を含むことができる。このような添加剤は、添加剤等も含む繊維全体を100質量%として、0.1~10質量%含まれることが好ましく、1~5質量%含まれることがより好ましい。また、第1繊維層の繊維が芯鞘型複合繊維である場合、添加剤は芯成分により多く含まれていることが好ましく、芯成分のみに含まれていることが好ましい。添加剤が鞘成分に含まれている場合、不織布等の製造装置が傷つけられることがある。
第2繊維層の繊維は、例えば、下記の繊維を含むことができる:コットン、シルクおよびウールなどの天然繊維;ビスコースレーヨン、キュプラ、および溶剤紡糸セルロース繊維(例えば、レンチングリヨセル(登録商標)およびテンセル(登録商標))等の再生繊維;ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アクリルニトリルからなる(ポリ)アクリル系繊維、ポリカーボネート系繊維、ポリアセタール系繊維、ポリスチレン系繊維、および環状ポリオレフィン系繊維などの合成繊維。
第2繊維層の繊維は、単一種類の樹脂でできている繊維のみならず、二種以上の樹脂でできている複合繊維(例えば、同心または偏心の芯鞘型複合繊維、海島型複合繊維、サイドバイサイド型複合繊維)を用いることもできる。
なお、天然繊維を含む場合、その繊度または繊維径については、JIS L 1019 7.4.1 マイクロネヤによる方法に準じ、算出できる。
第2繊維層の繊維は、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維;及び、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン-1-プロピレン三元共重合体等のポリオレフィン系繊維;及びそれらを組み合わせた繊維を含むことができる。
これらの繊維は、単独で、又は組み合わせて用いることができる。
同心又は偏心芯鞘型の複合繊維が好ましく、同心芯鞘型複合繊維が第2繊維層の厚さを薄くできるためより好ましい。
不織布の厚さは薄い方が、吸収体までの距離が短くなるため液の移動性が良く、吸液時間やウェットバック量がより向上し得るので、第2繊維層も厚さは、薄い方が好ましい。
ポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂から構成される同心又は偏心芯鞘型の複合繊維が更により好ましい。特に芯成分がポリエステル系樹脂であり、鞘成分がポリオレフィン系樹脂である芯鞘型の複合繊維が好ましい。
第2繊維層の目付は3~30g/m2であることが好ましく、5~15g/m2であることがより好ましく、6~13g/m2であることがさらに好ましく、7~11g/m2であることが特に好ましい。
不織布全体の目付は使い捨ておむつの場合、なるべく低いことがコストの面でよく、その場合の目付は10~50g/m2であることが好ましく、15~40g/m2であることがより好ましい。
第1繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性は、第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性より高い。
第1繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の親水化度は、初期親水化度が、5.0cm以下であることが好ましく、4.0cm以下であることがより好ましく、2.5cm以下であることが特に好ましい。第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の親水化度は、初期親水化度が、5.0cm以下であることが好ましく、4.0cm以下であることがより好ましく、2.5cm以下であることが特に好ましい。
ポリエチレンテレフタレートが芯であり、高密度ポリエチレンが鞘であり、複合比(芯/鞘、質量比)が50/50である、同心芯鞘型複合繊維(繊度:2.2dtex、繊維長:38mm)(例えば、ダイワボウポリテック社製NBF(SH)(商品名))に、繊維処理剤を0.40質量%付与し、パラレルカード法およびエアスルー法(加熱温度:140℃、処理時間:10秒、風速:1.0m/s)を用いて、不織布サンプル(目付:18.0g/m2、寸法:タテ18.0cm×ヨコ7.0cm、厚さ:1.40mm)を製造して用意した。
第1繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性は、耐水性指標が、5.0cm以下であることが好ましく、4.0cm以下であることがより好ましく、3.0cm以下であることがさらに好ましく、1.5cm以下であることが特に好ましい。第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性は、耐水性指標が、5.0cm以下であることが好ましく、4.0cm以下であることがより好ましく、3.0cm以下であることが特に好ましい。また、第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性は、耐水性指標が、0.5cm以上であることが好ましく、0.9cm以上であることがより好ましく、1.2cm以上であることが特に好ましい。
第1繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性は、第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性より高いので、吸液時間をあまり増加させること無く、ウェットバック量を低減することができ得る。
そのような繊維処理剤を、例えば、繊維の表面に塗布する等の方法を用いて、第1繊維層又は第2繊維層に、各々の親水性を付与することができ、更に、各々の親水化度の耐水性を付与することができる。
繊維処理剤を用いる繊維の処理は、繊維が繊維層を形成する前又は後のどちらでも良い。
一体化されたシートの第1繊維層の繊維と第2繊維層の繊維は、接着されていてよい。
本発明の形態の吸収性物品用シートは、必要に応じて、更に、シートが通常有する追加の層を有することができる。
更に、本発明は、そのような吸収性物品用シートを含む、種々の吸収性物品を提供することができる。
「吸液量が大きな吸収性物品」として、例えば、成人用オムツ、パッド、および介護シートや、動物用オムツおよび動物用シート等を例示することができる。
繊維1:ポリエチレンテレフタレートが芯であり、高密度ポリエチレンが鞘であり、複合比(芯/鞘、質量比)が50/50である、繊度2.2dtex(繊維径16μm)、繊維長38mmの同心芯鞘型複合繊維(ダイワボウポリテック(株)製の商品名NBF(SH))
繊維2:ポリエチレンテレフタレートが芯であり、高密度ポリエチレンが鞘であり、複合比(芯/鞘、質量比)が50/50である、繊度3.3dtex(繊維径19μm)、繊維長51mmの同心芯鞘型複合繊維(ダイワボウポリテック(株)製の商品名NBF(SH))
繊維3:ポリエチレンテレフタレートが芯であり、高密度ポリエチレンが鞘であり、複合比(芯/鞘、質量比)が50/50である、繊度2.0dtex(繊維径15μm)、繊維長45mmの同心芯鞘型複合繊維(ダイワボウポリテック(株)製の商品名NBF(SH))
繊維4:ポリエチレンテレフタレートが芯であり、高密度ポリエチレンが鞘であり、複合比(芯/鞘、質量比)が60/40である、繊度3.3dtex(繊維径19μm)、繊維長51mm、偏心率25%の偏心芯鞘型複合繊維(ダイワボウポリテック(株)製の商品名NBF(SH)V)
繊維処理剤A:C12アルキルリン酸エステルカリウム塩を含み、耐水性を有する、耐水親水性繊維処理剤
繊維処理剤B:C12アルキルリン酸エステルカリウム塩を含み、耐水性を有し、繊維処理剤Aより低い耐水性(耐水性指標)を有する、耐水親水性繊維処理剤
繊維処理剤C:C12アルキルリン酸エステルカリウム塩を含み、耐水性を有し、繊維処理剤Aと同等の耐水性(耐水性指標)を有する、耐水親水性繊維処理剤
繊維処理剤A~Cの初期親水化度は、下記のようにして行ったランオフ(run-off)の1回目の数値で規定し、数値が小さいほど、親水性が高い。なお、繊維処理剤の親水性の高さは、ランオフの値が0.2cm以内の差であれば、親水性の高さは同等であるとみなす。
ポリエチレンテレフタレートが芯であり、高密度ポリエチレンが鞘であり、複合比(芯/鞘、質量比)が50/50である、同心芯鞘型複合繊維(繊度:2.2dtex、繊維長:38mm)(ダイワボウポリテック社製NBF(SH)(商品名)に、繊維処理剤を0.40質量%付与し、パラレルカード法およびエアスルー法(加熱温度:140℃、処理時間:10秒、風速:1.0m/s)を用いて、不織布サンプル(目付:18.0g/m2、寸法:タテ18.0cm×ヨコ7.0cm、厚さ:1.40mm)を製造して用意した。
結果を表1に示す。
水と初めて接触した時の親水性の高さ(初期親水化度)は繊維処理剤Cが最も高く、繊維処理剤AとBは同等であった。また、親水性の耐水性(耐水性指標)は、繊維処理剤AとCが繊維処理剤Bよりも高かった。
不織布の厚さは、厚み測定機((株)大栄科学精器製作所製の商品名 THICKNESS GAUGE モデル CR-60A)を用い、不織布に300Paの荷重を加えた状態で測定した。
0.40質量%の繊維処理剤Aが付与されている繊維1を用い、パラレルカード機を使用して、第1繊維層となる第1繊維ウェブを製造した。第1繊維ウェブの目付は、約9g/m2であった。
0.4質量%の繊維処理剤Bが付与されている繊維2を用い、パラレルカード機を使用して、第2繊維層となる第2繊維ウェブを製造した。第2繊維ウェブの目付は、約9g/m2であった。
この第1繊維ウェブと第2繊維ウェブとを重ね合わせて、熱風貫通式熱処理機を用いて135℃で熱処理し、一体化して、実施例1の不織布を得た。実施例1の不織布の目付は、18.5g/m2であり、厚さは、0.45mmであった。
実施例2~参考例3及び比較例2について、表2に記載した繊維及び繊維処理剤を使用して、上述の実施例1の製造方法と同様の方法を用いて、実施例2~参考例3及び比較例2の不織布を得た。
比較例1について、表2に記載した繊維及び繊維処理剤を使用して、第2繊維ウェブを製造して積層しなかったことを除いて、上述の実施例1の製造方法と同様の方法を用いて、比較例1の不織布を得た。
[評価用吸収性物品の製造]
市販のおむつ(花王株式会社製の商品名リリーフモレ安心パッド)から、トップシート/吸収体の二層構造の吸収性物品を取り出した。その吸収性物品からトップシートを剥がして除去し、そのトップシートの代わりに、上述の実施例及び比較例の不織布を積層して、評価用吸収性物品を得た。尚、積層の際、第1繊維層が、外側に向くように配置した。この評価用吸収性物品を用いて、実施例及び比較例の不織布の吸液性(ウェットバック及び吸液時間)を評価した。
実施例及び比較例の不織布のウェットバック量は、次の方法により評価した。
(1)ウェットバック量を測定するために、下記の物品を用意した。
上述の実施例及び比較例の評価用吸収性物品
注入円筒付きアクリル製プレート(アクリル製プレートの寸法は長さ200mm×幅100mm×厚み8mm、アクリル製プレート上面からの円筒の高さは50mm、円筒の内径は円筒の上端から40mmまでの大径部は22mm、大径部から下方に5mmまでの範囲においては内径が漸減し、更にその下方の円筒下端までの小径部(高さ5mm)は10mmであった。上記アクリル製プレートにも内径10mmの同軸の孔が設けられていた。大径部と小径部との間における円筒内面は、円筒軸を含む平面による断面形状が円筒軸の左右両側それぞれにおいて直線状であった。)
0.90%生理食塩水(青色染料で着色)
ろ紙(東洋濾紙(株)製ADVANTEC(登録商標)No.2)10cm×10cm
重り(5kg)10cm×10cm
ウェットバック量を下記の手順に従って測定した。
(i)評価用吸収性物品を、不織布(タテ42cm×ヨコ21cm)が上を向くように配置して、その上に注入筒付きプレートを乗せた。そして、アクリル製プレート上に重りを置き、評価用吸収性物品に10g/cm2の荷重が加わるようにした。
(ii)約37℃に温めた生理食塩水150mlを円筒から注入した。生理食塩水が不織布表面から見えなくなる(液体として生理食塩水が確認されなくなる)まで放置した。
(iii)注入円筒付きアクリル製プレートを外し、10分間静置した。
(iv)予め質量を測定したろ紙(30枚)を不織布の上に載せ、その上に5kgの重りを20秒間載せた。その後、ろ紙の質量を測定した。不織布の上に載せる前のろ紙の質量と、不織布の上に載せ、更におもりを載せた後のろ紙の質量との差が、ウェットバック量に相当する。
(vi)上記(i)に戻り、(i)~(iv)を繰り返して2回測定を行った。合計3回、ウェットバック量を評価した。
結果を表2に示した。不織布からしみ出す水分の量がより少ない方が、人の肌がよりむれないことから、ウェットバック量の値は、小さい方が好ましい。
(1)吸液時間を測定するために、下記の物品を用意した。
上述の実施例及び比較例の評価用吸収性物品
注入筒付きプレート(筒下部の内径2.5cm)
0.90%生理食塩水(青色染料で着色)
(2)方法
吸液時間を下記の手順に従って測定した。
(i)評価用吸収性物品を、不織布(タテ42cm×ヨコ21cm)が上を向くように配置して、その上に注入筒付きプレートを乗せた。
(ii)約37℃に温めた生理食塩水150mlを筒から注入した。生理食塩水の注入から、生理食塩水が不織布表面から見えなくなる(液体として生理食塩水が確認されなくなる)時間を計測し、吸液時間とした。
(iii)上記(i)に戻り、(i)~(ii)を繰り返して2回測定を行った。合計3回、吸液時間を評価した。
結果を表2に示した。より短時間で吸収する方が、人の肌がよりむれないので、吸液時間(秒)は、その値が小さい方が好ましい。
比較例1は、単層であり、実施例1の第1繊維層と同じ繊維処理剤Aが使用されている。
比較例2は、積層されている不織布が使用されており、第1繊維層に実施例1の第1繊維層と同じ繊維処理剤が使用されているが、第2繊維層に高い親水性及び高い耐水性を有する別の繊維処理剤Cが使用されている。
実施例1を比較例2と比べると、たとえ積層されていたとしても、第2繊維層の繊維が、弱耐久性の繊維処理剤で処理されている方が、2回目及び3回目のウェットバック量、即ち、ウェットバック量に関する繰り返し耐久性が改良されることがわかる。
実施例1と2を比べると、目付が増加すると、ウェットバック量が改善される傾向にあることがわかる。逆に、低い目付の場合、ウェットバック量の改善が容易ではなく、本発明の構成がより重要であると推察される。
実施例1と参考例3を比べると、第1繊維層を形成する繊維の繊度が第2繊維層を形成する繊維の繊度より小さい方が、ウェットバック量が改良される傾向にあることが判る。
Claims (4)
- 第1繊維層とその第1繊維層に隣接する第2繊維層を有する不織布を含む吸収性物品用シートであって、
第1繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の親水性は、第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の親水性より高い又は同等であり、
第1繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性は、第2繊維層を形成する繊維に付された繊維処理剤の耐水性より高く、
第1繊維層が肌側に配置され、第2繊維層が吸収体側に配置され、
第1繊維層を形成する繊維の繊維径は、10~20μmであり、第2繊維層を形成する繊維の繊維径は、17~28μmであり、
第1繊維層の目付は、5~15g/m2であり、第2繊維層の目付は、7~30g/m2であり、
第2繊維層の目付と第1繊維層の目付との比(第2繊維層の目付/第1繊維層の目付)は1.0~3.0であり、
第1繊維層の繊維及び第2繊維層の繊維には、繊維処理剤が、繊維処理剤を含む繊維全体を100質量%として、0.2~1.0質量%付着しており、
第1繊維層の繊維は、同心芯鞘型複合繊維を70質量%以上含む、
吸収性物品用シート。 - 第1繊維層に付される繊維処理剤が耐水性を有し、第2繊維層に付される繊維処理剤も耐水性を有する、請求項1に記載のシート。
- 第2繊維層を形成する繊維の繊度は、第1繊維層を形成する繊維の繊度より大きい、請求項1又は2に記載のシート。
- 第1繊維層を形成する繊維の繊度は、1.0~2.6dtexであり、第2繊維層を形成する繊維の繊度は、2.6~5.6dtexである、請求項1~3のいずれかに記載のシート。
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