図面を参照しながら、開示のための複数の実施形態を説明する。なお、説明の便宜上、複数の実施形態の間において、それまでの説明に用いた図に示した部分と同一の機能を有する部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。同一の符号を付した部分については、他の実施形態における説明を参照することができる。
(実施形態1)
<ETC車載器1の概略構成>
以下、本実施形態について図面を用いて説明する。図1に示すETC車載器1は、車両で用いられるものであって、ICカード2から料金決済に必要な情報を読み取る。そして、読み取った情報も含め、料金収受に必要な情報を、料金の自動収受に関する路側機(以下、課金用路側機)との間で送受信し、料金の自動収受に関する課金処理を行う。
料金の自動収受のサービスの一例としては、高速道路といった有料道路の通行料金の自動収受,駐車場の駐車料金の自動収受等がある。料金の自動収受のサービスは、課金用路側機が設けられたゲート等の通過時に、車両を停車させずに受けることができる。本実施形態では、ETC車載器1が、高速道路といった有料道路の料金所に設けられる課金用路側機との間で料金収受に必要な情報を送受信し、課金処理を行う場合を例に挙げて説明を行う。
ICカード2は、内蔵しているICに、料金決済に必要な情報(以下、決済用情報)を記録している。決済用情報の一部は、ICカード2の正当性と有効性とを認証する認証処理に利用される。以下では、この認証処理に利用される情報を認証情報と呼ぶ。また、ICカード2は、決済用情報の一部として、個々のICカード2を識別するための識別情報を含む。識別情報は、例えばカード番号等であって、認証情報の一部であってもよい。ICカード2としては、いわゆるETCカード,EMV規格(Europay, MasterCard, VISAの仕様規格)に準じたクレジット機能対応のICカードであるEMVカード等がある。
また、ICカード2には、外部と電気的に接続して情報の授受を行うための接点部を有する。ICカード2は、ETC車載器1に挿入され、この接点部を介してETC車載器1と電気的に接続される場合に、ETC車載器1の後述する車載器コントローラ10からの要求に応じて、記録している決済情報を出力する。車載器コントローラ10からの要求は、コマンドの送信によって行われるものとする。
図1に示すように、ETC車載器1は、車載器コントローラ10、スロット部11、通信部14、通知部15、操作部16、及び電源回路17を備える。
スロット部11は、ICカード2の装着部であって、ICカード2が挿入される。カードスロット部11には、カードコンタクト12及びカード検出スイッチ(以下、カード検出SW)13が設けられる。
カードコンタクト12は、スロット部11に挿入されるICカード2の接点部と物理的に接触して電気的に接続され、ICカード2との間で情報の授受を行う。カードコンタクト12は、例えばICカード2から情報を読み取ったり、書き込む情報をICカード2に送ったりする。このカードコンタクト12が読取接点部に相当する。
カード検出SW13は、スロット部11にICカード2が挿入されているか否かに応じた信号を出力する。例えば、スロット部11にICカード2が挿入されている場合にオンとなり、スロット部11にICカード2が挿入されている場合にオフとなるものとすればよい。カード検出SW13は、スロット部11にICカード2が挿入されてオンとなる場合に、オンとなったことを示す信号を車載器コントローラ10に出力すればよい。
通信部14は、無線通信用のアンテナを有しており、通信範囲内の課金用路側機といった路側機と無線通信を行う。一例として、通信部14は、ARIB STD−T75に準拠した狭域無線通信によって、カードコンタクト12から読み出した決済用情報を、課金用路側機に送信したり、課金用路側機から送信される情報を受信したりする。なお、通信部14は、通信方式が共通であれば、課金用路側機以外の例えばITSスポットのDSRC路側機との間でも無線通信を行うことが可能なものとする。
通知部15は、車載器コントローラ10の指示に従って通知を行う。一例として、通知部15は、種々の音声メッセージを出力するスピーカとすればよい。音声メッセージの一例としては、ICカード2の抜き忘れを示す音声メッセージ(以下、抜き忘れメッセージ),カードコンタクト12のクリーニングが必要な旨を示す音声メッセージ(以下、クリーニングメッセージ),ICカード2の利用履歴情報を読み上げる音声メッセージ等がある。
カードコンタクト12のクリーニングとは、カードコンタクト12の汚れを除去するクリーニングであって、不織布等を用いたクリーニングカードをICカード2の代わりにスロット部11に抜き差しすることで行うものである。なお、スピーカは、音声メッセージ以外の音によって、ICカード2の抜き忘れであったり、カードコンタクト12のクリーニングが必要な旨であったりを通知する構成としてもよい。
また、通知部15は、表示装置であってもよい。一例としては、一つ又は数個程度のLEDを備える構成であって、ICカード2の抜き忘れであったり、カードコンタクト12のクリーニングが必要な旨であったりといった、ETC車載器1の状態を、LEDの点灯,消灯,点滅によって通知する構成としてもよい。なお、本実施形態では、通知部15は、音声メッセージによって、ICカード2の抜き忘れであったり、カードコンタクト12のクリーニングが必要な旨であったりを通知する場合を例に挙げて説明を行う。
操作部16は、ETC車載器1の装置本体に設けられる、例えばメカニカルなスイッチ(以下、SW)であり、スイッチ操作により車載器コントローラ10へ各種機能の操作指示を行うためのものである。具体的には、通知部15のスピーカの音量を調節するための音量SW,スロット部11に挿入されるICカード2を排出するためのカードイジェクトSW,ICカード2の利用履歴情報を通知部15のスピーカから出力させるための履歴確認SW等がある。利用履歴情報の一例としては、課金処理が行われた料金の履歴等が挙げられる。
電源回路17は、車載バッテリに接続されており、所定の直流電源を生成して車載器コントローラ10に供給する。また、電源回路17は、車載器コントローラ10の制御によって、車載器コントローラ10への電力供給源をバックアップ用電源に切り替え可能となっている。
車載器コントローラ10は、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、I/O、これらを接続するバスを備える例えばマイクロコンピュータであって、不揮発性メモリに記憶された制御プログラムを実行することで各種処理を行う。この車載器コントローラ10が車両用認証機器に相当する。プロセッサがこの制御プログラムを実行することは、制御プログラムに対応する方法が実行されることに相当する。ここで言うところのメモリは、コンピュータによって読み取り可能なプログラム及びデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)である。また、非遷移的実体的記憶媒体は、半導体メモリ又は磁気ディスクなどによって実現される。なお、車載器コントローラ10は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等を含んで構成されるASIC(application specific integrated circuit)であってもよい。
車載器コントローラ10で実行する処理としては、例えば、前述した認証処理,課金処理の他に、カードコンタクト12のクリーニングが必要な時期であることを予測する予測処理,種々の通知を通知部15に行わせる通知処理,ICカード2の挿抜状態を判定する挿抜判定処理が挙げられる。
また、車載器コントローラ10は、自車のアクセサリ(以下、ACC)電源のオンを示すACC信号が入力されると起動状態となる一方、自車のACC電源のオフを示すACC信号が入力されると、電力供給源をバックアップ用電源に切り替える。ACC電源のオン時には、車載器コントローラ10は車載バッテリに接続されて電力供給を受けることになる。車載器コントローラ10は、ACC電源のオフ時には、挿抜判定処理を行い、ICカード2の挿入状態(つまり、抜き忘れ)を判定した場合に、ICカード2の抜き忘れを通知部15から通知させる。ACC電源のオフ時のバックアップ用電源への切り替えは一時的なものであって、挿抜判定処理及び通知等の所定の処理を行った後に、給電を停止する。
<車載器コントローラ10の概略構成>
続いて、図2を用いて、車載器コントローラ10の概略構成についての説明を行う。車載器コントローラ10は、図3に示すように、挿抜判定部101、認証部102、課金処理部103、予測部104、通知処理部105、及びタイミング判断部106を機能ブロックとして備える。なお、車載器コントローラ10が実行する機能の一部又は全部を、一つ或いは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。また、車載器コントローラ10が備える機能ブロックの一部又は全部は、プロセッサによるソフトウェアの実行とハードウェア部材の組み合わせによって実現されてもよい。
挿抜判定部101は、カード検出SW13の信号をもとに、スロット部11にICカード2が挿入されているか抜き取られているかの挿抜状態を判定する。挿抜判定部101は、カード検出SW13がオンとなる場合に、ICカード2が挿入されたと判定する一方、カード検出SW13がオフとなる場合に、ICカード2が抜き取られたと判定すればよい。また、カード検出SW13がオンとなってからカード検出SW13がオフとなるまでは、ICカード2が挿入されていると判定すればよい。
認証部102は、挿抜判定部101でICカード2が挿入されたと判定する場合に、一連の認証処理を行って、スロット部11に挿入されているICカード2の正当性と有効性とを認証する。一例とし、認証処理では、挿抜判定部101でICカード2が挿入されたと判定する場合に、カードコンタクト12を介してクロックを供給することでICカード2のICを起動させ、ICカード2を活性化させる。続いて、ICカード2からの認証情報の読み出しといった一連のコマンドの送信が行われ、このコマンドに応答してICカード2から認証情報が出力される。そして、この認証情報からICカード2の正当性と有効性とが肯定される場合に認証が成功し、ICカード2の正当性若しくは有効性が否定される場合に認証の失敗が確定する。
また、認証部102は、認証処理において、クロックを供給したにもかかわらずICカード2が活性化されない場合,コマンドの送信に対するレスポンスのない場合といったように認証が進まない場合に、ETC車載器1の電源を一旦オフしてコールドスタートを行うことで認証処理を再度開始する認証リトライを実行する。なお、認証部102は、コマンドの送信に対するレスポンスのない場合に直ちに認証リトライを実行するのではなく、コマンドレベルの再送回数が一定数に達する場合であって、認証リトライの連続回数が規定数未満といった認証リトライ条件を満たす場合に認証リトライを実行する構成とすればよい。
課金処理部103は、認証部102で認証が成功しているとともに、挿抜判定部101でICカード2が挿入されていると判定しており、且つ、課金用路側機と通信部14で無線通信を行う場合に、料金の自動収受に関する課金処理を行う。課金処理部103は、課金処理において、ICカード2から決済用情報を読み取り、この決済用情報を通知部15から課金用路側機に送信する。課金用路側機は、料金の口座引き落としを行う管理センタにこの決済用情報を送り、料金の口座引き落としを行わせる。
予測部104は、認証部102で認証を開始してから認証が成功するまでの処理履歴の情報(以下、処理履歴情報)をもとに、カードコンタクト12のクリーニングが必要な時期(以下、クリーニング時期)であることを予測する。本実施形態では、予測部104は、処理履歴情報のうちの、認証が認証リトライを経て成功した認証リトライ成功の回数(以下、認証リトライ成功回数)を用いて、クリーニング時期であることを予測するものとする。
予測部104は、認証部102で認証リトライを経て認証が成功するごとに、認証リトライ成功回数をカウントする。認証リトライ成功回数は、認証部102での認証が一時的な失敗を経て成功することを1回とする。また、予測部104は、後述の通知処理部105でクリーニングメッセージを通知させる場合に、認証リトライ成功回数のカウントをクリアする。つまり、予測部104は、通知処理部105でクリーニングメッセージを前回通知させてからの認証リトライ成功回数を、クリーニング時期であることの予測に用いる。一例として、予測部104は、カウントする認証リトライ成功回数が閾値以上となることをもとに、クリーニング時期であることを予測する。ここで言うところの閾値とは、カードコンタクト12のクリーニングの必要があると推測される認証リトライ回数を区分するための値であって、任意に設定可能である。
通知処理部105は、通知部15から通知を行わせる。通知処理部105は、自車のACC電源のオフを示すACC信号が入力される場合(つまり、ACC電源のオフ時)であって、挿抜判定部101でICカード2が挿入されていると判定している場合に、抜き忘れメッセージを通知させる。また、通知処理部105は、予測部104でクリーニング時期であることを予測する場合に、タイミング判断部106で判断する後述の課金通信外タイミングにおいて、クリーニングメッセージを通知させる。
通信部14と課金用路側機との課金処理のための通信中にクリーニングメッセージを通知すると、課金用路側機が設けられている料金所ゲートをそのままでは通過できないとユーザが勘違いして混乱し、急な停車をしたり急な進路変更をしたりしてしまうおそれがある。よって、タイミング判断部106で、課金用路側機と無線通信を行っていないタイミング(以下、課金通信外タイミング)を判断し、この課金通信外タイミングにおいて通知処理部105がクリーニングメッセージを通知させる。このクリーニングメッセージがクリーニング通知に相当する。
本実施形態では、タイミング判断部106は、ACC電源のオフ時を課金通信外タイミングと判断し、ACC電源のオフ時に、通知処理部105がクリーニングメッセージを通知させるものとする。これは、ACC電源のオフ時は走行中でないため、課金用路側機との通信中でないためである。また、ACC電源のオフ時は走行中でないため、クリーニングメッセージの通知を受けた場合でも、ユーザが落ち着いて通知に対応することが可能なためである。
本実施形態のように、ACC電源のオフ時にクリーニングメッセージを通知させるものとすると、ACC電源のオフ時のタイミングにおいて、クリーニングメッセージと抜き忘れメッセージとの通知が重なる場合がある。よって、通知処理部105は、通知の種類別に予め設定されている優先順位をもとに、通知のタイミングが重なる音声メッセージを調停して通知させる。例えば、クリーニングメッセージは、抜き忘れメッセージよりも優先順位が高く設定されている構成とすればよい。また、クリーニングメッセージよりも優先順位が高く設定されている音声メッセージが存在するものとする。
通知処理部105は、複数の種類の通知のタイミングが重なる場合に、設定されている優先順位の高い種類の通知から優先して通知部15から通知させる調停を行う。一例としては、優先順の最も高い種類の通知を行う一方、通知のタイミングが重なる他の種類の通知については通知を行わせない構成とすればよい。
通知処理部105は、タイミング判断部106で課金通信外タイミングと判断する場合であっても、クリーニングメッセージ以外にクリーニングメッセージよりも優先順位の高い種類の音声メッセージの通知を行う必要がある場合には、クリーニングメッセージよりも優先順位の高い種類の音声メッセージの通知を行わせる一方、クリーニングメッセージの通知を保留する。ここで言うところの保留とは、クリーニングメッセージの通知を一時的に行わせず、車載器コントローラ10の不揮発性メモリに、クリーニングメッセージの通知が必要な状態を記憶しておくことを示す。そして、通知処理部105は、次回以降において、タイミング判断部106で課金通信外タイミングと判断する場合であって、且つ、クリーニングメッセージよりも優先順位の高い種類の音声メッセージの通知を行う必要がない場合に、クリーニングメッセージの通知を行わせる。クリーニングメッセージの通知を行わせた場合には、クリーニングメッセージの通知が必要な状態の記憶は消去する。
前述した予測部104での認証リトライ成功回数のカウントのクリアは、クリーニングメッセージの通知を保留した場合には行わず、クリーニングメッセージの通知を行わせた場合に行うものとする。
なお、ここでは、通知処理部105が、複数の種類の通知のタイミングが重なる場合に、設定されている優先順位の最も高い種類の通知のみを通知させる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、ACCオフ時の給電停止までといった規定時間内に通知できる分だけ音声メッセージを優先順位に従って順に通知させる構成としてもよい。規定時間内に通知できる分の音声メッセージは、2つといったように数が固定となっている構成であってもよいし、音声メッセージの種類の組み合わせによって数が異なる構成であってもよい。
言い換えると、通知処理部105は、タイミング判断部106で課金通信外タイミングと判断する場合であっても、クリーニングメッセージ以外にクリーニングメッセージよりも優先順位の高い種類の通知を行わせる必要があることでクリーニングメッセージの通知を行わせる余裕のない場合には、クリーニングメッセージよりも優先順位の高い種類の通知を行わせる一方、クリーニングメッセージを保留すればよい。そして、タイミング判断部106で課金通信外タイミングと判断する場合であって、且つ、クリーニングメッセージの通知を行わせる余裕のある場合に、クリーニングメッセージの通知を行わせればよい。
<認証カウント関連処理>
続いて、図3のフローチャートを用いて、車載器コントローラ10でのICカード2の認証及び認証リトライ成功回数のカウントに関連する処理(以下、認証カウント関連処理)の流れの一例について説明を行う。図3のフローチャートは、挿抜判定部101でICカード2が挿入されたと判定する場合に開始する構成とすればよい。
まず、ステップS1では、認証部102が認証処理を行う。ステップS2では、認証部102での認証処理が完了できた場合(S2でYES)には、ステップS6に移る。一方、認証部102での認証処理が完了できない場合(S2でNO)には、ステップS3に移る。例えば、認証部102での認証処理が完了できない場合とは、クロックを供給したにもかかわらずICカード2が活性化されない場合であったり、コマンドレベルの再送回数が一定数に達した場合であったりが挙げられる。
ステップS3では、認証リトライ条件が成立する場合(S3でYES)には、ステップS4に移る。一方、認証リトライ条件が成立しない場合(S3でNO)には、ステップS5に移る。認証リトライ条件は、例えば認証リトライの連続回数が規定数未満とすればよい。ステップS4では、認証部102が認証リトライを実行して、車載器コントローラ10の例えば揮発性メモリに、認証リトライ中であることを記憶し、S1に戻って処理を繰り返す。一方、ステップS5では、認証部102が認証の失敗を確定させ、認証カウント関連処理を終了する。認証の失敗が確定した場合には、通知処理部105が、認証エラーを示す通知を通知部15から行わせる構成とすればよい。
S2で認証処理が完了できた場合に行われる処理であるステップS6では、認証部102でICカード2の正当性と有効性とが肯定される場合(S6でYES)には、ステップS7に移る。一方、ICカード2の正当性若しくは有効性が否定される場合(S6でNO)には、S5に移る。
ステップS7では、S4で認証リトライを実行した場合(S8でYES)には、ステップS8に移る。S4で認証リトライを実行したか否かは、認証リトライ中であることの有無をもとに例えば予測部104が判断すればよい。一方、認証リトライを実行していない場合(S8でNO)には、ステップS9に移る。
ステップS8では、予測部104が認証リトライ成功回数をカウントして、認証リトライ成功回数を1回加算する。ステップS9では、認証部102が認証の成功とし、認証カウント関連処理を終了する。
<予測通知関連処理>
続いて、図4のフローチャートを用いて、車載器コントローラ10でのクリーニング時期の予測及びクリーニングメッセージの通知に関連する処理(以下、走行データ送信関連処理)の流れの一例について説明を行う。図4のフローチャートは、タイミング判断部106で課金通信外タイミングと判断する場合に開始する構成とすればよい。本実施形態では、ACC電源のオフ時に開始することになる。
まず、ステップS21では、予測部104が、カウントしている認証リトライ成功回数が2回以上である場合(S21でYES)に、クリーニング時期と予測し、ステップS22に移る。一方、認証リトライ成功回数が2回未満の場合(S21でNO)には、クリーニング時期と予測せず、ステップS28に移る。
ステップS22では、通知すべき音声メッセージとして、クリーニングメッセージを含む複数種類の音声メッセージがある場合(S22でYES)には、ステップS23に移る。通知すべき音声メッセージとして、クリーニングメッセージを含む複数種類の音声メッセージがある場合とは、クリーニングメッセージの他に抜き忘れメッセージ等がある場合が挙げられる。一方、通知すべき音声メッセージとしてクリーニングメッセージ以外の音声メッセージがない場合(S22でNO)には、ステップS25に移る。
ステップS23では、通知処理部105が、設定されている優先順位の高い種類の通知から優先して通知部15から通知させる調停を行う。ステップS24では、S23の調停によってクリーニングメッセージの通知が可能となる場合(S24YES)には、ステップS25に移る。一方、S23の調停によってクリーニングメッセージの通知が可能とならない場合(S24NO)には、ステップS27に移る。
ステップS25では、通知処理部105が通知部15からクリーニングメッセージを通知させる。そして、ステップS26では、予測部104が認証リトライ成功回数のカウントをクリアして0回とし、予測通知関連処理を終了する。一方、ステップS27では、通知処理部105がクリーニングメッセージの通知を保留し、車載器コントローラ10の不揮発性メモリに、クリーニングメッセージの通知が必要な状態を記憶しておく。そして、ステップS28では、予測部104が認証リトライ成功回数のカウントをクリアせずに、予測通知関連処理を終了する。
なお、図4のフローチャートでは、予測部104が、課金通信外タイミングと判断する場合に、クリーニング時期であることの予測を行う構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、課金通信外タイミングと判断する前に、予測部104がクリーニング時期であることを予測済みである構成であってもよい。
<実施形態1のまとめ>
認証部102での認証が一時的な失敗を経て成功することを1回とする認証リトライ成功回数は、カードコンタクト12の汚れによってICカード2との間での情報の授受を行いにくくなるほど増加する傾向があると考えられる。従って、実施形態1の構成のように認証リトライ成功回数を用いてクリーニング時期であることを予測することで、ICカード2が読み込まれなくなる前に、クリーニング時期であることをより精度良く予測することが可能になる。その結果、ICカード2のカードコンタクト12のクリーニングが必要なクリーニング時期をより精度良く予測して、カードコンタクト12のクリーニングが必要な旨を通知させることが可能になる。
また、実施形態1の構成によれば、タイミング判断部106が、ACC電源のオフ時を課金通信外タイミングと判断し、ACC電源のオフ時に、通知処理部105がクリーニングメッセージを通知させる。これによれば、ACC電源のオフ時は走行中でないため、課金用路側機との通信中に、クリーニングが必要な旨を通知させずに済む。その結果、ICカード2のカードコンタクト12のクリーニングが必要なクリーニング時期であることを予測して、カードコンタクト12のクリーニングが必要な旨を通知させる際に、料金の自動収受に関する路側機との間での課金処理のための通信中に通知させないようにすることが可能になる。また、ACC電源のオフ時は走行中でないため、クリーニングが必要な旨の通知を受けた場合でも、ユーザが落ち着いて通知に対応することが可能となる。
(実施形態2)
実施形態1では、通知部15から通知を行わせる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、ナビゲーション装置といった自車で用いられる他機器と連携して、この他機器から通知を行わせる構成(以下、実施形態2)としてもよい。以下では、図を用いて実施形態2の一例についての説明を行う。
図5に示すように、ETC車載器1aは、車載器コントローラ10a、スロット部11、通信部14、通知部15、操作部16、電源回路17、及び外部I/F部18を備える。ETC車載器1aは、車載器コントローラ10の代わりに車載器コントローラ10aを備える点と、外部I/F部18を備える点とを除けば、実施形態1のETC車載器1と同様である。
外部I/F部18は、自車で用いられるナビゲーション装置等の他機器と接続され、車載器コントローラ10aと他機器との情報の授受を仲介する。外部I/F部18は、Bluetooth(登録商標)といった近距離無線通信規格に沿って通信を行う通信機能を有する通信モジュールを介して、自車の乗員が携帯するスマートフォンといった多機能携帯電話機と接続されて、車載器コントローラ10aと多機能携帯電話機との情報の授受を仲介する構成としてもよい。
図6に示すように、車載器コントローラ10aは、挿抜判定部101、認証部102、課金処理部103、予測部104、通知処理部105a、及びタイミング判断部106を機能ブロックとして備える。車載器コントローラ10aは、通知処理部105の代わりに通知処理部105aを備える点を除けば、実施形態1の車載器コントローラ10と同様である。
通知処理部105aは、外部I/F部18を介して他機器から通知を行わせることが可能な点を除けば、実施形態1の通知処理部105と同様である。一例として、通知処理部105aは、クリーニングメッセージといった音声メッセージを、外部I/F部18を介して接続されるナビゲーション装置,多機能携帯電話機の音声出力装置から出力させる構成とすればよい。他にも、通知処理部105aは、カードコンタクト12のクリーニングが必要な旨のテキストであったりアイコンであったりを、外部I/F部18を介して接続されるナビゲーション装置,多機能携帯電話機の表示装置に表示させる構成としてもよい。
なお、実施形態2では、ETC車載器1aが通知部15を備えずに、外部I/F部18を介して接続される他機器からのみ通知を行わせる構成としてもよい。これによれば、ETC車載器1aに通知部15を備えなくても通知を行わせることが可能になる。
(実施形態3)
実施形態1では、予測部104が、通知処理部105でカードコンタクト12のクリーニングが必要な旨を前回通知してからの認証リトライ成功の回数を用いて、クリーニング時期であることを予測する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、認証リトライ成功の連続回数を用いて、クリーニング時期であることを予測する構成(以下、実施形態3)としてもよい。実施形態3のETC車載器1は、予測部104での処理が一部異なる点を除けば、実施形態1のETC車載器1と同様である。
実施形態3の予測部104は、通知処理部105でカードコンタクト12のクリーニングが必要な旨を前回通知してからの認証リトライ成功の回数を用いる代わりに、認証リトライ成功の連続回数を用いてクリーニング時期であることを予測する点を除けば、実施形態1の予測部104と同様である。認証リトライ成功の連続回数とは、認証部102での認証がリトライなしで成功する回を挟まずに認証リトライ成功が連続する回数を示している。
実施形態3の予測部104は、認証部102での認証が一時的な失敗を経て成功する認証リトライ成功の回数をカウントする一方、認証部102での認証がリトライなしで成功する場合にカウントをクリアする。これにより、予測部104は、認証リトライ成功の連続回数をカウントする。そして、実施形態3の予測部104は、認証リトライ成功の連続回数が閾値以上となる場合に、クリーニング時期であることを予測する。
カードコンタクト12の汚れによってICカード2との間での情報の授受を行いにくくなるほど、認証部102での認証がリトライなしで成功しにくくなると考えられる。よって、カードコンタクト12の汚れが増すと、認証リトライ成功の連続回数が増加する傾向があると考えられる。従って、実施形態3の構成のように、認証リトライ成功の連続回数を用いてクリーニング時期であることを予測することで、ICカード2が読み込まれなくなる前に、クリーニング時期であることをより精度良く予測することが可能になる。
(実施形態4)
実施形態1では、処理履歴情報のうちの認証リトライ成功回数を用いてクリーニング時期であることを予測する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、処理履歴情報のうちの、認証を開始してから認証が成功するまでの認証時間を用いてクリーニング時期であることを予測する構成(以下、実施形態4)としてもよい。実施形態4のETC車載器1は、車載器コントローラ10の代わりに車載器コントローラ10cを備える点と、位置検出器19とを備える点とを除けば、実施形態1のETC車載器1と同様である。
図7に示すように、車載器コントローラ10bは、挿抜判定部101、認証部102、課金処理部103、予測部104b、通知処理部105、タイミング判断部106、及び設定部107を機能ブロックとして備える。車載器コントローラ10bは、予測部104の代わりに予測部104bを備える点と、設定部107を備える点とを除けば、実施形態1の車載器コントローラ10と同様である。
予測部104bは、認証リトライ成功の回数を用いる代わりに、認証部102での認証が開始してから認証が成功するまでの認証時間を用いてクリーニング時期であることを予測する点を除けば、実施形態1の予測部104と同様である。
予測部104bは、認証時間を計測する。予測部104bは、タイマ回路によって、認証部102での認証を開始してから認証が成功するまでの時間を認証時間として計測すればよい。そして、予測部104bは、計測する認証時間が、設定部107で設定する基準時間以上となる場合に、クリーニング時期であることを予測する。ここで言うところの基準時間とは、カードコンタクト12のクリーニングの必要がある場合の認証時間とカードコンタクト12のクリーニングの必要のない場合の認証時間とを区分するための基準となる時間である。
認証を開始してから認証が成功するまでの認証時間は、認証が一時的な失敗を経て成功する場合には、認証が一時的な失敗を経ずに成功する場合よりも長くなる。また、認証が一時的な失敗を経ずに成功する場合であっても、カードコンタクト12の汚れによってICカード2との間での情報の授受を行いにくくなるほど、認証のためのコマンドレベルの再送回数が増加する等として認証に時間がかかるため、認証時間は長くなる。よって、カードコンタクト12の汚れが増すと、認証時間が増加する傾向があると考えられる。従って、実施形態4の構成のように、認証時間を用いてクリーニング時期であることを予測することで、ICカード2が読み込まれなくなる前に、クリーニング時期であることをより精度良く予測することが可能になる。
設定部107は、ICカード2のカード番号といった識別情報ごとに基準時間を設定する。例えば、カードコンタクト12で読み取るカード番号をもとに、カード番号ごとに基準時間を予め対応付けた対応関係を参照し、基準時間を設定する構成とすればよい。
一例として、カード番号に、BINコード(Bank Identification Number:銀行識別番号)のようなカード番号の発行者識別番号が含まれる場合は、この発行者識別番号単位で基準時間を予め対応付けておく構成とすればよい。一例として、ICカード2を発行している会社別に、ICカード2の認証が一時的な失敗を経ずに成功する際の認証時間を実験等で求め、この認証時間若しくはこの認証時間に一定時間加算した時間を基準時間とし、発行者識別番号単位で基準時間を予め対応付けておく構成とすればよい。これによれば、ICカード2を発行している会社ごとの基準時間を設定部107で設定することが可能になる。ここで言うところの一定時間とは、クリーニングが必要と推測される認証時間の遅れよりも短い時間であって、任意に設定可能な時間である。
ICカード2は、内蔵しているIC及びICに格納されているソフトウェアの違いによって、カードコンタクト12の汚れに差がない場合であっても認証時間に差が生じる。ICカード2を発行している会社が異なれば、ICカード2に内蔵しているIC及びICに格納されているソフトウェアも異なる可能性が高いため、ICカード2を発行している会社ごとに適正な基準時間が異なる可能性が高い。これに対して、発行者識別番号単位で基準時間を対応付けることで、ICカード2を発行している会社ごとに適正な基準時間を設定部107で設定することが可能となり、予測部104bでの予測精度を向上させることが可能になる。
また、設定部107は、学習によってカード番号ごとに基準時間を対応付ける構成としてもよい。この場合、設定部107は、カードコンタクト12で読み取るカード番号ごとに、認証部102での認証が一時的な失敗を経ずに成功する際の認証時間若しくはこの認証時間に前述の一定時間加算した時間を基準時間として対応付け、車載器コントローラ10bの不揮発性メモリに格納しておく。そして、カードコンタクト12で読み取るカード番号をもとに、この対応関係を参照し、基準時間を設定する構成とすればよい。これによれば、ICカード2ごとに適正な基準時間を実験等で予め求める手間を省きつつ、ICカード2ごとに適正な基準時間を設定し、予測部104bでの予測精度を向上させることが可能になる。
なお、ここでは、車載器コントローラ10bが設定部107を備え、設定部107がICカード2のカード番号といった識別情報ごとに基準時間を設定する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。簡略化のために、ICカード2のカード番号といった識別情報にかかわらず、予測部104bが一律の基準時間を用いて、予測部104bで計測する認証時間がクリーニング時期であることを予測する構成としてもよい。
(実施形態5)
前述の実施形態1、3、及び4の一部若しくは全部を組み合わせることで、予測部104,104bが複数の条件を総合してクリーニング時期であることを予測する構成としてもよい。例えば、認証リトライ成功回数が閾値以上となる条件と、認証時間が基準時間以上となる条件といった複数の条件を満たさない場合には、クリーニング時期であると予測しない一方、この複数の条件を満たす場合に、クリーニング時期であると予測する構成とすればよい。これによれば、複数の条件を総合するので、クリーニング時期であることの予測精度をさらに向上させることが可能になる。
(実施形態6)
実施形態1では、ACC電源のオフ時を課金通信外タイミングと判断する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、自車の停車を判定している場合を課金通信外タイミングと判断する構成(以下、実施形態6)としてもよい。実施形態6のETC車載器1bは、車載器コントローラ10の代わりに車載器コントローラ10cを備える点と、位置検出器19とを備える点とを除けば、実施形態1のETC車載器1と同様である。
図8に示すように、ETC車載器1cは、車載器コントローラ10c、スロット部11、通信部14、通知部15、操作部16、電源回路17、及び位置検出器19を備える。ETC車載器1cは、車載器コントローラ10の代わりに車載器コントローラ10cを備える点と、位置検出器19を備える点とを除けば、実施形態1のETC車載器1と同様である。
位置検出器19は、複数の測位衛星からの測位信号を受信するGNSS(Global Navigation Satellite System)受信機を備えており、GNSS受信機で受信する測位信号から自車の車両位置を逐次検出する。つまり、図8の例で示すETC車載器1cは、いわゆる衛星測位機能付きである。
図9に示すように、車載器コントローラ10cは、挿抜判定部101、認証部102、課金処理部103、予測部104、通知処理部105、タイミング判断部106c、停車情報取得部108、及び停車判定部109を機能ブロックとして備える。車載器コントローラ10cは、タイミング判断部106の代わりにタイミング判断部106cを備える点と、停車情報取得部108及び停車判定部109を備える点とを除けば、実施形態1の車載器コントローラ10と同様である。
停車情報取得部108は、自車の停車を判定可能な情報として、位置検出器19で逐次検出される車両位置を取得する。停車判定部109は、停車情報取得部108で逐次取得する自車の車両位置をもとに、自車の停車を判定する。一例としては、停車情報取得部108で逐次取得する自車の車両位置の変化がない場合に、自車の停車を判定すればよい。ここで言うところの車両位置の変化がない場合とは、車両位置の変化が位置検出器19の測位誤差範囲内におさまっている場合も含む構成とすればよい。
タイミング判断部106cは、停車判定部109で自車の停車を判定している場合に、課金通信外タイミングとして判断する。これにより、通知処理部105は、自車の停車時に、クリーニングメッセージを通知させることになる。
なお、ETC車載器1bが実施形態2で示したのと同様の外部I/F部18を備える場合には、停車情報取得部108は、この外部I/F部18を介して、自車で用いられるナビゲーション装置,多機能携帯電話機といった機器から、これらの機器の衛星測位機能によって検出される自車の車両位置を取得してもよい。また、停車情報取得部108は、外部I/F部18を介して、ナビゲーション装置から自車の車速を、自車の停車を判定可能な情報として取得してもよい。この場合、停車判定部109は、停車情報取得部108で取得する自車の車速から自車の停車を判定すればよい。
課金用路側機との通信中は走行中であって、自車の停車時は課金用路側機との通信中でない。よって、実施形態6の構成によれば、クリーニング時期を予測して、カードコンタクト12のクリーニングが必要な旨を通知させる際に、課金用路側機との間での課金処理のための通信中に通知させないようにすることが可能になる。
(実施形態7)
実施形態1では、ACC電源のオフ時を課金通信外タイミングと判断する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、自車の走行中の道路の道路種別が高速道路以外の場合を課金通信外タイミングと判断する構成(以下、実施形態7)としてもよい。実施形態7のETC車載器1は、車載器コントローラ10の代わりに車載器コントローラ10dを備える点を除けば、実施形態1のETC車載器1と同様である。
実施形態7では、課金用路側機は、高速道路の料金所に設けられる路側機であるものとする。また、実施形態7のETC車載器1では、通信部14は、課金用路側機との間で無線通信を行う以外に、道路に設けられてその道路の道路種別を送信するITSスポットのDSRC路側機との間でも無線通信を行うものとする。
図10に示すように、車載器コントローラ10dは、挿抜判定部101、認証部102、課金処理部103、予測部104、通知処理部105、タイミング判断部106d、及び道路種別取得部110を機能ブロックとして備える。車載器コントローラ10dは、タイミング判断部106の代わりにタイミング判断部106dを備える点と、道路種別取得部110を備える点とを除けば、実施形態1の車載器コントローラ10と同様である。
道路種別取得部110は、ITSスポットのDSRC路側機から通信部14で受信する道路種別を、自車の走行中の道路の道路種別として通信部14から取得する。タイミング判断部106dは、道路種別取得部110で取得する道路種別が高速道路の場合には、課金通信外タイミングとして判断しない一方、道路種別取得部110で取得する道路種別が高速道路以外の場合には、課金通信外タイミングとして判断する。
高速道路以外を走行中の場合には、高速道路の料金所に設けられる路側機である課金用路側機との通信中でない。よって、以上の構成によれば、クリーニング時期を予測して、カードコンタクト12のクリーニングが必要な旨を通知させる際に、課金用路側機との間での課金処理のための通信中に通知させないようにすることが可能になる。また、以上の構成によれば、ナビゲーション装置,多機能携帯電話機といった機器から自車の走行中の道路の道路種別を取得できない場合であっても、ITSスポットのDSRC路側機から送信される道路種別を用いて、課金通信外タイミングを判断することが可能になる。
なお、実施形態7のETC車載器1が実施形態2で示したのと同様の外部I/F部18を備える場合には、道路種別取得部110は、この外部I/F部18を介して、自車で用いられるナビゲーション装置,多機能携帯電話機といった機器から、自車の走行中の道路の道路種別を取得してもよい。
(実施形態8)
実施形態1では、ACC電源のオフ時を課金通信外タイミングと判断する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、課金用路側機以外の路側機との通信中を課金通信外タイミングと判断する構成(以下、実施形態8)としてもよい。実施形態8のETC車載器1は、車載器コントローラ10の代わりに車載器コントローラ10dを備える点を除けば、実施形態1のETC車載器1と同様である。
図11に示すように、車載器コントローラ10eは、挿抜判定部101、認証部102、課金処理部103、予測部104、通知処理部105、及びタイミング判断部106eを機能ブロックとして備える。車載器コントローラ10eは、タイミング判断部106の代わりにタイミング判断部106eを備える点を除けば、実施形態1の車載器コントローラ10と同様である。
タイミング判断部106eは、通信部14の状態をモニタし、通信部14が課金用路側機以外の路側機と通信している場合には、課金通信外タイミングとして判断する。課金用路側機以外の路側機としては、前述したITSスポットのDSRC路側機,有料道路の料金所手前に設けられるETCカード未挿入お知らせアンテナ等が挙げられる。
課金用路側機以外の路側機と通信中の場合には、課金用路側機との通信中でない。よって、実施形態8の構成によれば、クリーニング時期を予測して、カードコンタクト12のクリーニングが必要な旨を通知させる際に、課金用路側機との間での課金処理のための通信中に通知させないようにすることが可能になる。
(実施形態9)
実施形態1では、ACC電源のオフ時を課金通信外タイミングと判断する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、自車の走行予定の案内経路として、有料道路を含む案内経路が設定された場合を課金通信外タイミングと判断する構成(以下、実施形態9)としてもよい。実施形態9のETC車載器1aは、車載器コントローラ10aの代わりに車載器コントローラ10fを備える点を除けば、実施形態2のETC車載器1aと同様である。実施形態9のETC車載器1aは、外部I/F部18を備え、ナビゲーション装置といった自車で用いられる他機器と連携する。実施形態9では、課金用路側機は、高速道路といった有料道路の料金所に設けられる路側機であるものとする。
図12に示すように、車載器コントローラ10fは、挿抜判定部101、認証部102、課金処理部103、予測部104、通知処理部105a、タイミング判断部106f、及びナビ情報取得部111を機能ブロックとして備える。車載器コントローラ10fは、タイミング判断部106の代わりにタイミング判断部106fを備える点と、ナビ情報取得部111を備える点とを除けば、実施形態2の車載器コントローラ10aと同様である。
ナビ情報取得部111は、自車で用いられるナビゲーション装置の情報を取得する。タイミング判断部106fは、ナビ情報取得部111で有料道路を含む案内経路が設定されたことを示す情報を取得する場合に、課金通信外タイミングとして判断する。有料道路を含む案内経路が設定されたことを示す情報の一例としては、有料道路を含む案内経路を設定したことを示す情報,有料道路を含む案内経路の案内を開始したことを示す情報等が挙げられる。
有料道路を含む案内経路が設定されたことを示す情報をナビゲーション装置から取得するタイミングは、その有料道路に進入する前であるので、有料道路の料金所に設けられる路側機である課金用路側機との通信中でない。よって、実施形態9の構成によれば、クリーニング時期を予測して、カードコンタクト12のクリーニングが必要な旨を通知させる際に、課金用路側機との間での課金処理のための通信中に通知させないようにすることが可能になる。なお、外部I/F部18を介して実施形態9のETC車載器1aに接続可能な多機能携帯電話機がナビゲーション機能を有する場合には、この多機能携帯電話機もナビゲーション装置に該当する。
(実施形態10)
実施形態1では、ACC電源のオフ時を課金通信外タイミングと判断する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、操作部16で操作を受け付けている場合を課金通信外タイミングと判断する構成(以下、実施形態10)としてもよい。実施形態10のETC車載器1は、車載器コントローラ10の代わりに車載器コントローラ10gを備える点を除けば、実施形態1のETC車載器1と同様である。
図13に示すように、車載器コントローラ10gは、挿抜判定部101、認証部102、課金処理部103、予測部104、通知処理部105、及びタイミング判断部106gを機能ブロックとして備える。車載器コントローラ10gは、タイミング判断部106の代わりにタイミング判断部106gを備える点を除けば、実施形態1の車載器コントローラ10と同様である。
タイミング判断部106gは、操作部16の状態をモニタし、操作部16が操作中の場合には、課金通信外タイミングとして判断する。操作部16が操作中か否かは、音量SW,カードイジェクトSW,履歴確認SW等の信号からタイミング判断部106gが判別すればよい。
音量SW,カードイジェクトSW,履歴確認SWといった操作部16のスイッチは、操作による指示が必要なETC車載器1の機能についての操作を受け付けるスイッチである。よって、ユーザによる操作が不要な、料金の自動収受において、操作部16が操作されることはないと考えられる。よって、操作部16が操作中の場合には、課金用路側機との通信中でないと言える。従って、実施形態10の構成によれば、クリーニング時期を予測して、カードコンタクト12のクリーニングが必要な旨を通知させる際に、課金用路側機との間での課金処理のための通信中に通知させないようにすることが可能になる。なお、操作部16は、操作による指示が必要なETC車載器1の機能についての操作を受け付けるものであれば、音量SW,カードイジェクトSW,履歴確認SW以外であってもよい。
(実施形態11)
前述の実施形態では、予測部104,104bが処理履歴情報をもとにクリーニング時期であることを予測する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、予測部104,104bが処理履歴情報以外をもとにクリーニング時期であることを予測する構成としてもよい。
一例としては、スロット部11へのICカード2の挿入回数,ACC電源がオンになった回数,ACC電源がオンになっている積算時間等をもとにクリーニング時期であることを予測すればよい。より詳しくは、これらの値が閾値以上となることをもとにクリーニング時期であることを予測すればよい。なお、スロット部11へのICカード2の挿入回数,ACC電源がオンになった回数,ACC電源がオンになっている積算時間は、通知処理部105がクリーニングメッセージといった、カードコンタクト12のクリーニングが必要な旨の通知を行わせた場合にクリアする構成とすればよい。
スロット部11へのICカード2の挿入回数については、カード検出SW13がオンとなる回数をモニタすることでカウントする構成とすればよい。ACC電源がオンになった回数,ACC電源がオンになっている積算時間については、ACC信号をモニタすることでカウントする構成とすればよい。
なお、本開示は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。