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JP2020024024A - 締結機構、締結物品および産業機械 - Google Patents

締結機構、締結物品および産業機械 Download PDF

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JP2020024024A JP2018149774A JP2018149774A JP2020024024A JP 2020024024 A JP2020024024 A JP 2020024024A JP 2018149774 A JP2018149774 A JP 2018149774A JP 2018149774 A JP2018149774 A JP 2018149774A JP 2020024024 A JP2020024024 A JP 2020024024A
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Abstract

【課題】締結状態を安定して維持することを可能にする。【解決手段】締結物品FSは、ボルトと、ボルトと噛み合う螺子穴を有した被締結部材M1と、被締結部材上に設けられボルトが貫通する穴を有した摩擦板70と、摩擦板の被締結部材とは逆側に設けられボルトが貫通する貫通孔を有した第2被締結部材M2と、を有している。【選択図】図4

Description

本発明は、締結機構、締結物品および産業機械に関する。
ボルトを用いた締結が、広く種々の分野で実施されている。一例として、偏心揺動型等の減速機(特許文献1)は、当該減速機から回転を出力される部材と、ボルトを用いて締結される。減速機の出力は、高速駆動の要求から増大を続け、これにともなって、締結に用いられるボルトの数量も増加してきた。
特開2017−65301号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているように減速機には小型化の要望もあり、設置可能なボルト数量には限界がある。その一方で、各ボルトの締め付け力を増大させると、減速機が変形する。このような変形は、締結物品に緩みや遊びを生じさせ、最終的に締結物品の破損に至ることもある。
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、締結状態を安定して維持することを可能にする締結機構、締結物品および産業機械の提供を目的とする。
本発明による締結機構は、
ボルトが固定される被締結部材と、
前記ボルトが貫通する孔を有し前記被締結部材に設けられた摩擦板と、を備える。
本発明による締結機構において、
前記摩擦板のビッカース硬度は、前記被締結部材のビッカース硬度の50%以上であり、
前記摩擦板の静摩擦係数は0.2以上であるようにしてもよい。
本発明による締結機構において、前記摩擦板の厚みは15mm以下であるようにしてもよい。
本発明による締結物品は、
ボルトと、
前記ボルトと噛み合う螺子穴を有した被締結部材と、
前記ボルトが貫通する貫通孔を有した第2被締結部材と、
前記被締結部材と前記第2被締結部材との間に配置され前記ボルトが貫通する孔を有した摩擦板と、を備える。
本発明による締結物品において、前記被締結部材及び前記第2被締結部材の一方が、減速機であってもよい。
本発明による締結物品において、
前記被締結部材は、減速機のキャリアの第1部分であり、
前記第2被締結部材は、減速機のキャリアの第2部分であってもよい。
本発明による産業機械は、上述した本発明による締結物品のいずれかを備える。
本発明によれば、締結状態を安定して維持することができる。
図1は、一実施の形態を説明するための図であって、締結物品の適用対象例としての減速機を示す縦断面図である。 図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。 図3は、締結物品を含む産業機械を示す斜視図である。 図4は、締結物品を示す断面図である。 図5は、図4の締結物品に含まれる減速機を示す平面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の一実施の形態について説明する。図1〜図5は、締結物品(締結構造)の一実施の形態を説明するための図である。以下においては、本実施の形態に係る締結物品を、一例として、減速機、とりわけ偏心揺動型の減速機に適用した例について説明する。ただし、以下に説明する例に限られず、本実施の形態に係る締結物品を、ボルトを用いて締結された種々の締結製品に適用することが可能である。
まず、図1及び図2を参照して、偏心揺動型減速機10の全体的な構成について説明する。減速機10は、ケース20とキャリア30とクランクシャフト40と二個の外歯歯車50a,50bとを有している。ケース20は、内歯25を有している。クランクシャフト40は、キャリア30に支持されて、二個の外歯歯車50a,50bを駆動する。この減速機10では、外歯歯車50a,50bの外歯55が内歯25と噛み合うことにより、キャリア30は、回転軸線RAを中心としてケース20に対して相対回転する。以下において、回転軸線RAと平行な方向を軸方向DAとし、回転軸線RAと直交する方向を径方向DRとする。軸方向DA及び径方向DRは、回転軸線RAを中心とする円周方向DCと直交している。
ケース20は、略円筒状のケース本体21と、ケース本体21の内面に保持された内歯ピン24と、を有している。ケース本体21には、円周方向DCに沿って配列されたピン溝が形成されている、ピン溝は、軸方向DAに延び、円柱状の内歯ピン24を収容保持している。内歯ピン24は、軸方向DAに延び、内歯25を形成している。
キャリア30は、一対の軸受12を介して回転軸線RAを中心として回転可能となるようケース20によって保持されている。キャリア30は、ボルト(第2ボルト)B2によって互いに固定されたキャリアベース部(「第1部分」とも呼ぶ)31及びプレート部(「第2部分」とも呼ぶ)32を有している。ボルトB2の中心軸線は、軸方向DAと平行となっている。キャリアベース部31は、円板上のベースプレート部31aと、ベースプレート部31aから突出した複数の柱部31bと、を有している。図示された例において、ベースプレート部31a及び複数の柱部31bは、一体的に形成されている。図2に示すように、複数の柱部31bは、回転軸線RAを中心とした円周方向DCに等間隔を開けて設けられている。図示された例において、三つの柱部31bが設けられている。柱部31bの先端面には、ボルトB2と噛み合う螺子穴(第2螺子穴)SH2が形成されている。また、プレート部32には、ボルトB2が噛み合うことなく貫通した貫通孔(第2貫通孔)TH2が形成されている。ボルトB2と貫通孔TH2との間には隙間があいている。
キャリア30のキャリアベース部31及びプレート部32には、それぞれ、回転軸線RA上に位置する中央孔34が形成されている。また、キャリア30には、キャリアベース部31及びプレート部32を貫通する貫通孔35が形成されている。複数の貫通孔35が、回転軸線RAを中心とした円周方向DCに等間隔をあけて、キャリアベース部31及びプレート部32にそれぞれ設けられている。図示された例において、キャリアベース部31及びプレート部32に三つの貫通孔35が設けられている。
キャリアベース部31及びプレート部32に形成された貫通孔35内に、軸受13a,13bが設けられている。軸方向に設けられた一対の軸受13a,13bによって、クランクシャフト40がキャリア30に対して回転可能に保持されている。なお、クランクシャフト40の回転軸線RACは、軸方向DAと平行になっている。クランクシャフト40は、軸方向DAに配列された二個の偏心体41a,41bと、入力歯車42と、を有している。各偏心体41a,41bは、円板状または円柱状の外形状を有している。二個の偏心体41a,41bの中心軸線CAa,CAbは、クランクシャフト40の回転軸線RACを中心として対称的に偏心されている。
二個の外歯歯車50a,50bは、キャリア30のキャリアベース部31のベースプレート部31aとプレート部32との間に形成されたスペース内に配置されている。二個の外歯歯車50a,50bは、軸方向DAに配列されている。図2に示すように、各外歯歯車50a,50bには、中央に位置する中央孔51が形成されている。外歯歯車50a,50bは、中央孔51を中心とした外周縁に沿って配列された外歯55を有している。外歯55の歯数は、ケース20の内歯25の歯数よりも少ない(一例として、一つだけ少ない)。また、外歯歯車50a,50bの外径は、ケース20の内径よりも若干小さくなっている。
また、各外歯歯車50a,50bには、中央孔51を中心とした円周方向にそって等間隔あけて設けられた偏心体挿通孔52a,52bが形成されている。偏心体挿通孔52a,52bには、軸受13c,13dがそれぞれ配置されている。この軸受13c,13dによって、クランクシャフト40の偏心体41a,41bが保持されている。
さらに、各外歯歯車50a,50bには、中央孔51を中心とした円周方向DCに沿って等間隔あけて設けられた柱部挿通孔53a,53bが形成されている。各外歯歯車50a,50bにおいて、柱部挿通孔53a,53b及び偏心体挿通孔52a,52bは、中央孔51を中心とした円周方向に沿って交互に配置されている。キャリアベース部31の各柱部31bが、外歯歯車50a,50bの対応する柱部挿通孔53a,53bを貫通している。
以上の構成を有した減速機10では、モータ等の駆動装置60からのトルクが入力歯車42に伝達される。図示された例において、駆動装置60の入力軸61がキャリア30の中央孔34及び外歯歯車50a,50bの中央孔51に挿入され、入力歯車42に噛み合っている。入力軸61は、回転軸線RAを中心として回転する。駆動装置60から入力歯車42に回転が伝達されると、クランクシャフト40が、回転軸線RACを中心として回転する。このとき第1及び第2偏心体41a,41bは、偏心回転する。また、各外歯歯車50a,50bは、第1及び第2偏心体41a,41bの偏心回転にともなって揺動する。より厳密には、各外歯歯車50a,50bは、キャリア30に対して、回転軸線RAを中心とした円周経路を並進動作する。さらに、外歯歯車50a,50bの揺動時、外歯歯車50a,50bの外歯55がケース20の内歯25と噛み合う。そして、外歯55の歯数が内歯25の歯数よりも少ないので、外歯歯車50a,50bは、ケース20に対して揺動回転する。つまり、外歯歯車50a,50bは、回転軸線RAを中心として公転しながら、さらに自身の中心軸線を中心として自転する。この結果、クランクシャフト40を介して外歯歯車50a,50bを支持するキャリア30も、その中心軸線を回転軸線RAとして、ケース20に対して回転する。このようにして、駆動装置60の入力軸61から入力された回転が、減速されて、20とキャリア30との相対回転として出力される。
以上に説明した減速機10は、例えば産業機械IMに組み込まれて使用される。より具体的には、ロボットの旋回胴や腕関節等の旋回部、各種工作機械の旋回部等に、駆動装置とともに減速機10が使用され得る。図3に示された具体例として、ロボット6のベース6Xにケース20を固定し、ロボット6の旋回胴6Yにキャリア30を接続することにより、ベース6Xに対して旋回胴6Yを高トルクで回転させ且つ当該旋回胴6Yの回転を高精度に制御することができる。
ここで、図4は、図3に示された産業機械IMにおける減速機10のベース6X及び旋回胴6Yへの接続部を示している。なお、図4は、減速機10のベース6X及び旋回胴6Yへの接続部を構成する部分のみを示しており、例えば外歯歯車50a,50bやクランクシャフト40等の図示を省略している。図5は、回転軸線RAに沿った方向から図4の減速機10を示す平面図である。図5に示す例では、キャリア30のキャリアベース部31の側から減速機10を示している。なお、図示や理解等の便宜から、図4及び図5に示された減速機10のケース20及びキャリア30は、減速機10の全体構成および動作を説明することを目的として参照した図1及び図2に示された例と、部分的に異なる形状及び寸法を有しているが、同様の動作および機能を有している。
まず、減速機10とベース6Xとの接続部について説明する。図4に示すように、ケース20のケース本体21は、径方向DRにおいて回転軸線RAから離間する側となる外側に突出したフランジ部22を有している。図5に示すように、フランジ部22は、環状に形成されている。フランジ部22には、複数の貫通孔(第1貫通孔)TH1が形成されている。複数の貫通孔TH1は、周方向DCに沿って等間隔に配置されている。一方、ロボット6のベース6Xには、図4に示すように、各貫通孔TH1に対面する位置に、螺子穴(第1螺子穴)SH1が形成されている。そして、ボルト(第1ボルト)B1が、減速機10の対応する貫通孔TH1と噛み合うことなく通過して、ベース6Xの対応する螺子穴SH1に噛み合っている。このように、複数のボルトB1を用いて、減速機10とベース6Xが結合されている。なお、ボルトB1の中心軸線は、軸方向DAと平行になっている。また、ボルトB1と貫通孔TH1との間には隙間があいている。
次に、キャリア30と旋回胴6Yとの接続部について説明する。図5に示すように、キャリア30の旋回胴6Yを向く面には、複数の螺子穴(第3螺子穴)SH3が形成されている。図5に示された例において、周方向DCに隣り合う二つのクランクシャフト40の間となる三つの領域のそれぞれに、六つの螺子穴SH3が形成されている。一方、ロボット6の旋回胴6Yには、図4に示すように、各螺子穴SH1に対面する位置に、貫通孔(第3貫通孔)TH3が形成されている。そして、ボルト(第3ボルト)B3が、旋回胴6Yの対応する貫通孔TH3を噛み合うことなく通過して、減速機10の対応する螺子穴SH3に噛み合っている。このように、複数のボルトB3を用いて、減速機10と旋回胴6Yが結合されている。なお、ボルトB3の中心軸線は、軸方向DAと平行になっている。また、ボルトB3と貫通孔TH3との間には隙間があいている。
ところで、従来技術の欄でも言及したように、例えば高速駆動の要求から、減速機10の高出力化が進んでいる。減速機10からの出力が大きい場合、減速機10と旋回胴6Yとの結合および減速機10と旋回胴6Yとの結合をより堅固とする必要がある。その一方で、減速機10には小型化の要望もあり、図4や図5に示すように、配置スペースの観点からボルト数量を増加させることが難しいこともある。また、各ボルトによる締め付け力を増した場合には、ボルトの座面が陥没等の変形を来してしまう。陥没等の変形が生じると、ボルトの締め付け力は簡単に緩んでしまう。
一方、本実施の形態では、ボルトを用いた締結物品(締結構造)FSの締結状態を安定して維持するための工夫がなされている。具体的な構成として、ボルトと噛み合う螺子穴を有した第1被締結部材(被締結部材)M1と、ボルトが貫通する貫通孔を有した第2被締結部材M2と、の間に摩擦板70を配置している。すなわち、締結物品(締結構造)FSは、ボルトと、ボルトと噛み合う螺子穴を有した第1被締結部材M1と、第1被締結部材M1上に設けられボルトが貫通する穴を有した摩擦板70と、摩擦板70の第1被締結部材M1とは逆側に設けられボルトが貫通する貫通孔を有した第2被締結部材M2と、を有するようにしている。言い換えると、ボルトと噛み合う螺子穴を有した被締結部材M1と、被締結部材M1上に設けられボルトが貫通する貫通孔を有した摩擦板70との組み合わせを、ボルトを介して第2被締結部材M2と結合されるべき締結機構(被締結部品)FPとしている。摩擦板70は、摩擦によって第1被締結部材M1及び第2被締結部材M2の相対移動を規制しようとするものであって、第1被締結部材M1及び第2被締結部材M2よりも高い静摩擦係数を有している。
図4及び図5に示された例において、第1の締結物品(締結構造)FSが、ロボット6のベース6Xを第1被締結部材M1とし、減速機10、とりわけケース20を第2被締結部材M2として、構成されている。第1の締結機構(被締結部品)FPは、ロボット6のベース6Xと摩擦板70とによって構成される。第1被締結部材M1をなすベース6Xには、ボルトB1が噛み合う螺子穴SH1が形成されている。第2被締結部材M2をなすケース20のフランジ部22には、ボルトB1が貫通する貫通孔TH1が形成されている。そして、摩擦板70が、ケース20のフランジ部22とベース6Xとの間に設けられている。摩擦板70には、貫通孔TH1及び螺子穴SH1と軸方向DAに対面する位置に、ボルトB1が貫通する孔H1が形成されている。
なお、第1の締結物品FSにおいて、摩擦板70は、各ボルトB1に対応して別個に設けられていてもよい。或いは、複数の摩擦板70が、二以上のボルトB1にそれぞれ対応して設けられていてもよい。或いは、全てのボルトB1に対応した単一の摩擦板70が設けられるようにしてもよい。最後の例において摩擦板70は、フランジ部22に沿って環状の形状を有するようにしてもよい。この例によれば、ケース20によって摩擦板70を安定して支持することができる。
また、図4及び図5に示された例において、第2の締結物品(締結構造)FSが、キャリア30のキャリアベース部(第1部分)31、とりわけキャリアベース部31の柱部31bを第1被締結部材M1とし、キャリア30のプレート部(第2部分)32を第2被締結部材M2として、構成されている。第2の締結機構(被締結部品)FPは、キャリア30のキャリアベース部(第1部分)31、とりわけキャリアベース部31の柱部31bと、摩擦板70と、によって構成される。第1被締結部材M1をなすキャリア30の柱部31bには、ボルトB2が噛み合う螺子穴SH2が形成されている。第2被締結部材M2をなすキャリア30のプレート部32には、ボルトB1が貫通する貫通孔TH2が形成されている。そして、摩擦板70が、キャリア30の柱部31bとプレート部32との間に設けられている。摩擦板70には、貫通孔TH2及び螺子穴SH2と軸方向DAに対面する位置に、ボルトB2が貫通する孔H2が形成されている。第2の締結物品FSにおいて、摩擦板70は、キャリア30の柱部31bの先端面上に設けられ、当該先端面と同一の形状を有するようにしてもよい。
さらに、図4及び図5に示された例において、第3の締結物品(締結構造)FSが、減速機10、とりわけ減速機10のキャリア30(より詳しくは、キャリアベース部31のベースプレート部31a)を第1被締結部材M1とし、ロボット6の旋回胴6Yを第2被締結部材M2として、構成されている。第3の締結機構(被締結部品)FPは、減速機10、とりわけ減速機10のキャリア30(より詳しくは、キャリアベース部31のベースプレート部31a)と、摩擦板70と、によって構成される。第1被締結部材M1をなすキャリア30のベースプレート部31aには、ボルトB3が噛み合う螺子穴SH3が形成されている。第2被締結部材M2をなすロボット6の旋回胴6Yには、ボルトB3が貫通する貫通孔TH3が形成されている。そして、摩擦板70が、キャリア30のプレート部32と旋回胴6Yとの間に設けられている。摩擦板70には、貫通孔TH3及び螺子穴SH3と軸方向DAに対面する位置に、ボルトB3が貫通する孔H3が形成されている。
なお、第3の締結物品FSにおいて、摩擦板70は、各ボルトB3に対応して別個に設けられていてもよい。或いは、複数の摩擦板70が、二以上のボルトB3にそれぞれ対応して設けられていてもよい。例えば、周方向DCに隣り合う二つの貫通孔35の間となる三つの領域のそれぞれに、別個の摩擦板70が設けられるようにしてもよい。この例において、各摩擦板70は、六つの螺子穴SH3に対応し六つの孔H3を有するようにしてもよい。或いは、全てのボルトB3に対応した単一の摩擦板70が設けられるようにしてもよい。この例において、摩擦板70は、キャリア30のベースプレート部31aに対応した円板状に形成することができる。
第1被締結部材M1と第2被締結部材M2の間に摩擦板70を設けることで、摩擦板70と第1被締結部材M1との相対移動が抑制され、摩擦板70と第2被締結部材M2との相対移動が抑制規制される。結果として、第1被締結部材M1と第2被締結部材M2との相対移動が効果的に規制される。これにより、ボルトの緩みを効果的に防止して、ボルトによって第1被締結部材M1と第2被締結部材M2とを安定して締結した状態に維持することが可能となる。このような摩擦板70の材料として、例えば、鋼材や合金鋼等の金属材料やカーボン繊維等を用いることができる。
摩擦板70の表面でのビッカース硬度は、第1被締結部材M1のビッカース硬度の50%以上であることが好ましく、第1被締結部材M1のビッカース硬度の60%以上であることがより好ましく、第1被締結部材M1のビッカース硬度の75%以上であることが更に好ましい。摩擦板70の表面でのビッカース硬度は、第1被締結部材M1のビッカース硬度の100%以下とすることができる。また、摩擦板70の静摩擦係数が0.2以上となっていることが好ましい。摩擦板70の静摩擦係数は、0.5以下とすることができる。
摩擦板70が第1被締結部材M1の50%以上となるビッカース硬度を有することで、ボルトB1,B2,B3の締め付け力に起因した摩擦板70の変形、とりわけ陥没を効果的に防止することができる。また、0.2以上の静摩擦係数を有する摩擦板70によれば、第1被締結部材M1と第2被締結部材M2との相対移動を効果的に防止することができる。したがって、摩擦板70が第1被締結部材M1の50%以上となるビッカース硬度を有し且つ摩擦板70が0.2以上の静摩擦係数を有することで、ボルトB1,B2,B3の緩みを効果的に防止して、ボルトB1,B2,B3によって第1被締結部材M1と第2被締結部材M2とを安定して締結した状態に維持することができる。
同様に、摩擦板70の表面でのビッカース硬度は、第2被締結部材M2のビッカース硬度の50%以上であることが好ましく、第2被締結部材M2のビッカース硬度の60%以上であることがより好ましく、第2被締結部材M2のビッカース硬度の75%以上であることが更に好ましい。摩擦板70の表面でのビッカース硬度は、第2被締結部材M2のビッカース硬度の100%以下とすることができる。摩擦板70が第2被締結部材M2の50%以上となるビッカース硬度を有することで、ボルトB1,B2,B3の締め付け力に起因した摩擦板70の変形、とりわけ陥没を効果的に防止することができる。
なお、ビッカース硬度は、JIS Z 2244に準拠して測定される値であり、Mitutoyo製の硬度試験機810−352を用いて測定される。また、静摩擦係数は、JIS K 7125に準拠して測定される値である。
さらに、摩擦板70の厚みは、15mm以下であることが好ましく、10mm以下であることがより好ましく、8mm以下であることが更に好ましく、1mm以下であることが特に好ましい。摩擦板70の厚みが厚すぎると、摩擦板70の圧縮等の変形により、第1被締結部材M1と第2被締結部材M2との相対位置が変化してしまう可能がある。締結物品FSの減速機10への適用においては、摩擦板70の厚みを15mm以下とすることで、第1被締結部材M1と第2被締結部材M2の間での傾きを、効果的に抑制して許容範囲とすることができる。その一方で、摩擦板70の厚みが薄過ぎると、摩擦板70の破断等の損傷が生じ得る。このような観点から摩擦板70の厚みは0.2mm以上であることが好ましい。
以上に説明してきたように、本実施の形態において、締結物品(締結構造)FSは、ボルトB1,B2,B3と、ボルトB1,B2,B3と噛み合う螺子穴SH1,SH2,SH3を有した第1被締結部材(被締結部材)M1,6X,31a,10,30と、第1被締結部材M1上に設けられボルトB1,B2,B3が貫通する孔H1,H2,H3を有した摩擦板70と、摩擦板70の第1被締結部材M1とは逆側に設けられボルトB1,B2,B3が貫通する貫通孔TH1,TH2,TH3を有した第2被締結部材M2,10,20,32,6Yと、を有している。このような締結物品FSでは、第1被締結部材M1と第2被締結部材M2との間に、摩擦板70が設けられている。摩擦板70を設けることで、摩擦板70と第1被締結部材M1との相対移動が抑制され、摩擦板70と第2被締結部材M2との相対移動が抑制規制される。結果として、第1被締結部材M1と第2被締結部材M2との相対移動が効果的に規制される。これにより、ボルトB1,B2,B3の緩みを効果的に防止して、ボルトB1,B2,B3によって第1被締結部材M1と第2被締結部材M2とを安定して締結した状態に維持することができる。
上述した一実施の形態の具体例において、第1被締結部材M1及び第2被締結部材M2の一方を、減速機10、とりわけ減速機10のケース20又はキャリア30としている。したがって、ボルトB1,B2,B3を用いて減速機10と第1被締結部材M1又は第2被締結部材M2とを安定して締結した状態に維持することができる。これにより、減速機10の出力を上昇させて、高トルクを第1被締結部材M1又は第2被締結部材M2に出力することが可能となる。
上述した一実施の形態の具体例において、第1被締結部材M1及び第2被締結部材M2の一方を減速機10のキャリア30の第1部分(キャリアベース部)31とし、第1被締結部材M1及び第2被締結部材M2の他方を減速機10のキャリア30の第2部分(プレート部)32としている。したがって、ボルトB1,B2,B3を用いてキャリア30の第1部分31と第2部分32とを安定して締結した状態に維持することができる。これにより、小型の減速機10の出力を上昇させて、高トルクを出力することが可能となる。
具体例を参酌して一実施の形態を説明してきたが、具体例が一実施の形態を限定することを意図していない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施されることが可能であり、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加を行うことができる。
例えば上述した具体例において、螺子穴を有した第1被締結部材M1が、減速機10またはロボット6の構成要素である例を示したが、この例に限られず、第1被締結部材M1をナットとしてもよい。また、ボルトが噛み合う螺子穴は、図示された例のように有底穴であってもよいし、貫通孔であってもよい。
また、締結物品(締結構造)FSの適用対象が偏心揺動型の減速機である例を示したが、これに限られない。締結物品FSの適用対象が、サイクロン型減速機であってもよいし、遊星歯車型減速機であってもよい。さらに、締結物品FSの適用対象は、減速機に限られず、種々の歯車伝動装置等にも適用することができる。
10 減速機
20 ケース
30 キャリア
40 クランクシャフト
50a,50b 外歯歯車
IM 産業機械
FS 締結物品
FP 締結機構
M1 第1被締結部材
M2 第2被締結部材
TH1,TH2,TH3 貫通孔
SH1,SH2,SH3 螺子穴
SS1,SS2,SS3 座面
B1,B2,B3 ボルト

Claims (7)

  1. ボルトを固定する被締結部材と、
    前記ボルトが貫通する孔を有し前記被締結部材に設けられた摩擦板と、を備える、締結機構。
  2. 前記摩擦板のビッカース硬度は、前記被締結部材のビッカース硬度の50%以上であり、
    前記摩擦板の静摩擦係数は0.2以上である、請求項1に記載の締結機構。
  3. 前記摩擦板の厚みは15mm以下である、請求項1又は2に記載の締結機構。
  4. ボルトと、
    前記ボルトと噛み合う螺子穴を有した被締結部材と、
    前記ボルトが貫通する貫通孔を有した第2被締結部材と、
    前記被締結部材と前記第2被締結部材との間に配置され前記ボルトが貫通する孔を有した摩擦板と、を備える、締結物品。
  5. 前記被締結部材及び前記第2被締結部材の一方が、減速機である、請求項4に記載の締結物品。
  6. 前記被締結部材は、減速機のキャリアの第1部分であり、
    前記第2被締結部材は、減速機のキャリアの第2部分である、請求項4に記載の締結物品。
  7. 請求項4〜6のいずれか一項に記載の締結物品を備える、産業機械。
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