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JP2020091056A - 熱交換器 - Google Patents

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JP2020091056A JP2018227834A JP2018227834A JP2020091056A JP 2020091056 A JP2020091056 A JP 2020091056A JP 2018227834 A JP2018227834 A JP 2018227834A JP 2018227834 A JP2018227834 A JP 2018227834A JP 2020091056 A JP2020091056 A JP 2020091056A
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Abstract

【課題】それぞれのチューブに流入する熱媒体の流量のばらつきを抑制することのできる熱交換器、を提供する。【解決手段】熱交換器10は、熱媒体の通る流路が形成された管状の部材であって、積層方向に沿って並ぶように配置された複数のチューブ300と、それぞれのチューブ300に熱媒体を供給する入口側タンク100と、それぞれのチューブ300を通った熱媒体を受け入れる出口側タンク200と、を備える。入口側タンク100及び出口側タンク200のうち少なくとも一方には、チューブ300を通る熱媒体の流れを抑制する抑制板500が配置されている。抑制板500には、熱媒体を通過させるための貫通穴510が形成されている。【選択図】図4

Description

本開示は、空気と熱媒体との間で熱交換を行う熱交換器に関する。
空気と熱媒体との間で熱交換を行う熱交換器としては、例えば、車両に設けられるラジエータや、空調装置に設けられるヒータコア等が挙げられる。このような熱交換器は、入口側タンクと出口側タンクとの間が、複数のチューブによって接続された構成となっている。それぞれのチューブでは、内側の流路を通る熱媒体と、外側の空間を通る空気との間で熱交換が行われる。
このような構成の熱交換器においては、全体で均等に熱交換が行われるように、入口側タンクから、それぞれのチューブに対して均等に熱媒体を流入させることが好ましい。しかしながら、入口側タンクのうち、外部からの熱媒体の入口である流入口の近傍に配置されたチューブには、流入口から遠い位置に配置されたチューブに比べて、より多くの熱媒体が流入する傾向がある。
そこで、下記特許文献1に記載されている熱交換器では、それぞれのチューブの端部を板状部材によって一部塞ぐことにより、各チューブに流入する熱媒体の流量のばらつきを抑制している。
特許第4830918号公報
上記特許文献に記載されている熱交換器では、チューブに形成された流路の入口の一部が、板状部材によって塞がれている。ただし、上記流路の入口のうち、板状部材に塞がれていない部分の面積、すなわち開口面積は、それぞれのチューブにおいて概ね同一となっている。このような構成では、入口側タンクのうち、外部からの熱媒体を受け入れる流入口の近傍に配置されたチューブに、より多くの熱媒体が流入するという傾向は変わらない。このため、上記構成の熱交換器でも、各チューブに流入する熱媒体の流量のばらつきを十分に抑制することは難しいと考えられる。
本開示は、それぞれのチューブに流入する熱媒体の流量のばらつきを抑制することのできる熱交換器、を提供することを目的とする。
本開示に係る熱交換器は、空気と熱媒体との間で熱交換を行う熱交換器(10)であって、熱媒体の通る流路が形成された管状の部材であって、積層方向に沿って並ぶように配置された複数のチューブ(300)と、それぞれのチューブに熱媒体を供給する入口側タンク(100)と、それぞれのチューブを通った熱媒体を受け入れる出口側タンク(200)と、を備える。入口側タンクのうち、積層方向に沿った一方側の端部には、入口側タンクへの熱媒体の入口である流入口(130)が設けられている。出口側タンクのうち、積層方向に沿った一方側の端部であって、流入口と同じ側の端部には、出口側タンクからの熱媒体の出口である流出口(230)が設けられている。入口側タンク及び出口側タンクのうち少なくとも一方には、チューブを通る熱媒体の流れを抑制する抑制板(500)が配置されている。抑制板には、熱媒体を通過させるための貫通穴(510)が形成されている。
このような構成の熱交換器では、それぞれのチューブに流入する熱媒体の流量を、抑制板に形成された貫通穴の形状や配置によって調整することが可能となる。当該調整により、それぞれのチューブに流入する熱媒体の流量のばらつきを十分に抑制することができる。
本開示によれば、それぞれのチューブに流入する熱媒体の流量のばらつきを抑制することのできる熱交換器、が提供される。
図1は、第1実施形態に係る熱交換器の全体構成を示す図である。 図2は、図1の熱交換器が備えるチューブの構成を示す図である。 図3は、図1の熱交換器のうち、入口タンクの内側の構成を示す図である。 図4は、図1の熱交換器のうち、入口タンクの内側の構成を示す図である。 図5は、図1の熱交換器が備える抑制板の形状を示す図である。 図6は、図1の熱交換器において、抑制板が配置されている範囲を示す図である。 図7は、図1の熱交換器において、各チューブを流れる熱媒体の流量の分布を示す図である。 図8は、変形例に係る熱交換器において、抑制板が配置されている範囲を示す図である。 図9は、他の変形例に係る熱交換器において、抑制板が配置されている範囲を示す図である。 図10は、他の変形例に係る熱交換器において、抑制板が配置されている範囲を示す図である。 図11は、他の変形例に係る熱交換器において、抑制板が配置されている範囲を示す図である。 図12は、他の変形例に係る熱交換器において、抑制板が配置されている範囲を示す図である。 図13は、第2実施形態に係る熱交換器が備える抑制板の形状を示す図である。 図14は、第3実施形態に係る熱交換器が備える抑制板の形状を示す図である。 図15は、第4実施形態に係る熱交換器が備える抑制板の形状を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
第1実施形態について説明する。本実施形態に係る熱交換器10は、空気と熱媒体との間で熱交換を行うための熱交換器であって、車両用空調装置に設けられる所謂「ヒータコア」として構成されている。熱交換器10では、外部から供給される高温の冷却水が熱媒体として用いられ、当該熱媒体との熱交換によって空気の加熱が行われる。図1に示されるように、熱交換器10は、入口側タンク100と、出口側タンク200と、チューブ300と、フィン400と、を備えている。
入口側タンク100は、外部から供給される熱媒体を受け入れて、これをそれぞれのチューブ300に分配し供給するための容器である。入口側タンク100は、略円柱形状の細長い容器として形成されており、その長手方向を水平方向に沿わせた状態で配置されている。入口側タンク100は、ヘッダプレート110と、タンクプレート120と、流入口130と、を有している。
ヘッダプレート110は、概ね平坦な板状の部材である。ヘッダプレート110は金属によって形成されている。図3に示されるように、ヘッダプレート110には複数の貫通穴が形成されており、それぞれの貫通穴に、それぞれのチューブ300の下端部が上方側から挿通されている。ヘッダプレート110のうち上記貫通穴の縁の部分と、チューブ300の外周面との間は、全周に亘って水密にろう接されている。
タンクプレート120は、熱媒体を貯える空間を区画するための部材である。タンクプレート120は、ヘッダプレート110を下方側から、すなわちチューブ300とは反対側から覆うように配置されている。タンクプレート120は樹脂によって形成されている。タンクプレート120は、ヘッダプレート110の一部を加締めることにより、ヘッダプレート110に対して固定されている。ヘッダプレート110とタンクプレート120との間には、不図示のシール部材が挟み込まれている。これにより、両者の間から熱媒体が外部に漏出することが防止されている。
流入口130は、外部から供給される熱媒体を受け入れて、これを入口側タンク100の内側の空間へと導くものである。つまり、流入口130は、入口側タンク100への熱媒体の入口として設けられた部分である。流入口130には、熱交換器10に熱媒体を供給するための不図示の配管が接続される。流入口130は、入口側タンク100のうち、その長手方向に沿った端部となる位置に設けられている。流入口130に供給された熱媒体は、入口側タンク100の内側を上記長手方向に沿って流れながら、それぞれのチューブ300へと分配されていく。
出口側タンク200は、それぞれのチューブ300を通った熱媒体を受け入れて、これを外部へと排出するための容器である。出口側タンク200は、入口側タンク100の鉛直上方となる位置に配置されている。出口側タンク200は、ヘッダプレート210と、タンクプレート220と、流出口230と、を有している。
ヘッダプレート210は、概ね平坦な板状の部材である。ヘッダプレート210は金属によって形成されている。ヘッダプレート210の形状は、図3に示されるヘッダプレート110の形状と概ね同一である。ヘッダプレート210には複数の貫通穴が形成されており、それぞれの貫通穴に、それぞれのチューブ300の上端部が下方側から挿通されている。ヘッダプレート210のうち上記貫通穴の縁の部分と、チューブ300の外周面との間は、全周に亘って水密にろう接されている。
タンクプレート220は、熱媒体を貯える空間を区画するための部材である。タンクプレート220は、ヘッダプレート210を上方側から、すなわちチューブ300とは反対側から覆うように配置されている。タンクプレート220は樹脂によって形成されている。タンクプレート220は、ヘッダプレート210の一部を加締めることにより、ヘッダプレート210に対して固定されている。ヘッダプレート210とタンクプレート220との間には、不図示のシール部材が挟み込まれている。これにより、両者の間から熱媒体が外部に漏出することが防止されている。
流出口230は、出口側タンク200の内部に貯えられた熱媒体を、外部へと排出するための部分である。つまり、流出口230は、出口側タンク200からの熱媒体の出口として設けられた部分である。流出口230には、熱交換器10から熱媒体を排出するための不図示の配管が接続される。流出口230は、出口側タンク200のうち、その長手方向に沿った端部となる位置に設けられている。それぞれのチューブ300を通って出口側タンク200の内部へと供給された熱媒体は、出口側タンク200の内側を上記長手方向に沿って流れた後、流出口230から外部へと排出される。
チューブ300は、熱媒体の通る流路が形成された管状の部材である。チューブ300は、熱交換器10において複数備えられている。それぞれのチューブ300は、その長手方向を上下方向に沿わせた状態で、入口側タンク100と出口側タンク200との間となる位置に配置されている。それぞれのチューブ300は、後述のフィン400と共に積層されており、入口側タンク100や出口側タンク200の長手方向に沿って並ぶように配置されている。このため、積層された複数のチューブ300が並んでいる方向のことを、以下では「積層方向」とも称する。
本実施形態における流入口130は、入口側タンク100のうち積層方向に沿った一方側の端部に設けられている。ここでいう「積層方向に沿った一方側の端部」とは、流入口130から供給された熱媒体が各チューブ300へと向かって流れる際において、その流れ方向が全てのチューブ300について同一の方向となるような、流入口130の位置のことである。例えば、流入口130から流入した熱媒体のうち、一部の熱媒体は右側のチューブ300に向かって流れる一方、残部の熱媒体は左側のチューブ300に向かって流れるような場合は、その流入口130の位置は「積層方向に沿った一方側の端部」には該当しない。換言すれば、流入口130から供給された熱媒体が各チューブ300へと向かう方向が、全てのチューブ300について同一の方向となるのであれば、流入口130の位置が、入口側タンク100の端面から僅かにずれた位置となっていても、当該位置は「積層方向に沿った一方側の端部」に該当する。
本実施形態における流出口230は、出口側タンク200のうち積層方向に沿った一方側の端部に設けられている。ここでいう「積層方向に沿った一方側の端部」とは、各チューブ300から出口側タンク200に流入した熱媒体が、流出口230へと向かって流れる際において、その流れ方向が全てのチューブ300について同一の方向となるような、流出口230の位置のことである。例えば、一部のチューブ300から出口側タンク200に流入した冷媒は左側へと向かって流れて流出口230に到達する一方、他の一部のチューブ300から出口側タンク200に流入した冷媒は右側へと向かって流れて流出口230に到達するような場合は、その流出口230の位置は「積層方向に沿った一方側の端部」には該当しない。換言すれば、チューブ300から出口側タンク200に流入した熱媒体が流出口230へと向かう方向が、全てのチューブ300について同一の方向となるのであれば、流出口230の位置が、出口側タンク200の端面から僅かにずれた位置となっていても、当該位置は「積層方向に沿った一方側の端部」に該当する。
既に述べたように、チューブ300の下端は入口側タンク100のヘッダプレート110に接続されており、チューブ300の上端は出口側タンク200のヘッダプレート210に接続されている。入口側タンク100の内部空間と、出口側タンク200の内部空間とは、チューブ300に形成された流路によって連通されている。チューブ300の具体的な構成については後に説明する。
フィン400は、金属板を波状に折り曲げることによって形成されたコルゲートフィンである。フィン400は、熱交換器10において複数備えられおり、それぞれのチューブ300の間に配置されている。フィン400は、その左右両側に配置された一対のチューブ300のそれぞれに対して当接しており、且つろう接されている。
熱交換器10のうち、上記のようにチューブ300とフィン400とが交互に積層されている部分は、チューブ300の内部を通る熱媒体と、チューブ300の外部を通る空気との間で熱交換が行われる部分であって、所謂「熱交換コア部」と称される部分である。熱交換コア部のうち左右両側の端部となる部分には、サイドプレート11、12が配置されている。
サイドプレート11、12は、金属板を曲げ加工することによって形成された板状部材であって、チューブ300の長手方向と同じ方向に沿って伸びるように配置されている。サイドプレート11は、熱交換コア部のうち、積層方向に沿って最も流入口130側の端部となる位置に配置されている。サイドプレート12は、熱交換コア部のうち、積層方向に沿って最も流入口130とは反対側の端部となる位置に配置されている。サイドプレート11、12は、熱交換コア部を積層方向に沿った両側から挟み込んでいる。これにより、熱交換コア部の剛性が高められている。
熱交換器10による熱交換が行われる際には、不図示の内燃機関を通り高温となった熱媒体が、流入口130から入口側タンク100の内部へと供給される。当該熱媒体は、入口側タンク100の内部を上記積層方向に沿って流れながら、それぞれのチューブ300へと供給される。熱媒体は、それぞれのチューブ300の内部を上方側に向かって流れて、出口側タンク200の内部へと供給される。その後、熱媒体は流出口230から外部へと排出される。
熱交換器10の近傍には、熱交換コア部を通過するように空気を送り出す不図示のファンが設けられている。ファンによって空気が送り出される方向は、図1において紙面手前側から奥側へと向かう方向である。
熱媒体は、チューブ300に形成された流路を上記のように流れる際において、空気によって冷却される。当該空気、すなわちファンによって送り出された空気は、チューブ300の周囲を通過する際において熱媒体によって加熱され、その温度を上昇させる。当該空気は、例えば暖房用の空調風として車室内に向けて吹き出される。
図1においては、水平方向であり且つ紙面手前側から奥側に向かう方向をx方向としており、同方向に沿ってx軸を設定している。x方向は、上記のように熱交換器10を空気が通過する方向となっている。
また、図1においては、水平方向であり且つ流入口130から入口側タンク100の内側へと向かう方向をy方向としており、同方向に沿ってy軸を設定している。上記の積層方向は、このy軸に沿った方向となっている。
更に、図1においては、上記のx方向及びz方向のいずれに対しても垂直な方向であって、入口側タンク100から出口側タンク200へと向かう方向をz方向としており、同方向に沿ってz軸を設定している。
以降においては、以上のように定義されたx方向、y方向、z方向、x軸、y軸、及びz軸を用いながら、熱交換器10の構成を説明する。
先に述べた流入口130は、入口側タンク100のうち、積層方向に沿った一方側の端部、具体的には−y方向側の端部となる位置に設けられている。このため、入口側タンク100の内部では、熱媒体はy方向側に向かって流れる。また、先に述べた流出口230は、出口側タンク200のうち、積層方向に沿った一方側の端部、具体的には−y方向側の端部となる位置に設けられている。つまり、流出口230は、流入口130と同じ側の端部に設けられている。このため、出口側タンク200の内部では、熱媒体は−y方向側に向かって流れる。
チューブ300の具体的な構成について、図2を参照しながら説明する。図2には、チューブ300のうち−z方向側の端部近傍の部分が斜視図によって示されている。同図に示されるように、チューブ300の内側には、熱媒体の流れる流路として、第1流路FP1及び第2流路FP2からなる2つの流路が形成されている。これらは、いずれもz方向に沿って直線状に伸びるように形成されている。
本実施形態におけるチューブ300は、一枚の金属板を折り曲げることによって形成されている。チューブ300は、その長手方向に対し垂直な断面の形状が扁平形状となっている。第1流路FP1は、チューブ300のうち−x方向側の部分に形成されている。第2流路FP2は、チューブ300のうちx方向側の部分に形成されている。両者の間は、上記金属板を折り曲げることによって形成された仕切りにより分けられている。当該仕切りと、金属板の端部とが重ねられている部分は水密にろう接されている。
尚、このような第1流路FP1と第2流路FP2とを有するチューブ300の態様は、上記とは異なる態様であってもよい。例えば、金属の押し出し成型によってチューブ300が形成されてもよい。また、互いに独立の管状部材をx方向に沿って2つ並べることにより、第1流路FP1と第2流路FP2とを有するチューブ300が構成されていてもよい。この場合、2つ並んだ管状部材の全体が1つの「チューブ300」に該当することになる。更に、第1流路FP1及び第2流路FP2とは更に別の流路が、チューブ300に形成されているような態様であってもよい。
また、それぞれのチューブ300に複数の流路が形成されているのではなく、単一の流路のみが形成されているような態様であってもよい。
図3、4には、流入口130の近傍における入口側タンク100の内部構成が示されている。尚、入口側タンク100の内側には、図4に示されるように抑制板500が配置されているのであるが、図3においてはその図示が省略されている。
図3に示されるように、入口側タンク100の内側においては、ヘッダプレート110からチューブ300の先端部分が−z方向側に突出している。その突出量は全てのチューブ300について互いに等しい。このため、それぞれのチューブ300の先端面は同一の平面上に配置されている。尚、当該配置はあくまで設計上のものである。実際には、部品の寸法ばらつき等に伴って、一部又は全部の先端面が上記平面上から僅かにずれていてもよい。
図4に示されるように、入口側タンク100の内側には抑制板500が配置されている。抑制板500は平坦な板状の部材であって、z軸に沿って見た場合の形状が矩形の部材である。抑制板500は、その長辺をy方向に沿わせた状態で配置されている。つまり、抑制板500は積層方向に沿って伸びるように配置されている。
抑制板500は、その主面を全てのチューブ300の先端面に対して当接させた状態で固定されている。チューブ300の先端面には、第1流路FP1や第2流路FP2の端部である開口が形成されているのであるが、抑制板500によって覆われている部分においては、各流路に対する熱媒体の流入が抑制される。抑制板500は、それぞれのチューブ300を通る熱媒体の流れを、x方向に沿った一定範囲において抑制するものとして設けられている。
本実施形態では、抑制板500は、入口側タンク100の内部空間において、x軸に沿った中央となる位置に配置されている。抑制板500は、第1流路FP1の入口の約半分と、第2流路FP2の入口の約半分と、をそれぞれ覆っている。これにより、第1流路FP1及び第2流路FP2のそれぞれの入口の開口面積が、抑制板500によって絞られた状態となっている。
抑制板500の表面の撓み等に起因して、抑制板500とチューブ300の端部との間に僅かな隙間が形成されていたり、当該隙間から少量の熱媒体が第1流路FP1等に流入したりしていてもよい。ただし、抑制板500によって熱媒体の流れを抑制し、後述のように各チューブ300に流入する熱媒体の流量のばらつきを抑制するという効果を十分に奏するためには、隙間の大きさは最大でも1mm以内とすることが好ましい。
尚、抑制板500をチューブ300の先端面に対して当接させるための具体的な構成については、例えば特許第4830918号公報に記載されているものと同様の構成を採用することができる。つまり、樹脂製の抑制板500の一部に、タンクプレート120に向かって突出する脚部を形成しておき、当該脚部で生じる弾性力によって抑制板500をチューブ300の先端面に対して押し付ける構成とすることができる。このような態様に替えて、金属製の抑制板500を、チューブ300の先端面に対しろう接して固定する構成としてもよい。
図4及び図5に示されるように、抑制板500には複数の貫通穴510が形成されている。貫通穴510は、抑制板500の長手方向、すなわちy方向に沿って並ぶように形成されている。本実施形態においては、それぞれの貫通穴510は楕円形の穴として形成されている。
抑制板500は、上記のように、チューブ300を通る熱媒体の流れを抑制するためのものである。ただし、貫通穴510が形成された部分においては、熱媒体は貫通穴510を通ってチューブ300の内部へと流入する。このように、貫通穴510は熱媒体を通過させるための穴として形成されている。
抑制板500に形成されたそれぞれの貫通穴510の形状は互いに異なっている。図5に示されるように、抑制板500の−y方向側に行くほど、形成された貫通穴510の開口面積は大きくなっている。換言すれば、積層方向に沿って流入口130から遠い位置になるほど、貫通穴510の開口面積が大きくなっている。このため、積層方向に沿って流入口130から遠い位置になるほど、熱媒体は、抑制板500を通過しチューブ300に流入しやすくなっている。
図6には、入口側タンク100の内部において抑制板500が配置されている範囲が、符号500の付された太線によって示されている。同図に示されるように、本実施形態では、抑制板500は、最も−y方向側に配置されたチューブの位置から、最もy方向側に配置されたチューブ300の位置にまで伸びている。換言すれば、チューブ300の長手方向に沿って見た場合において、抑制板500は、積層方向に沿って全てのチューブ300と重なるような範囲に配置されている。尚、上記における「全てのチューブ300と重なるような範囲」とは、熱交換器10が備える複数のチューブ300のそれぞれが、その少なくとも一部分において抑制板500と重なるような範囲、という意味である。
このような構成においては、いずれのチューブ300においても、流入する熱媒体の流量が抑制板500によって影響を受けることとなる。本実施形態では上記のように、積層方向に沿って流入口130から遠い位置になるほど、抑制板500を熱媒体が通過しやすくなるように複数の貫通穴510が形成されている。
このような抑制板500が配置されていることの効果について、図7を参照しながら説明する。図7(A)の左側に示される線L1は、抑制板500が設けられていない場合の第1比較例における、各チューブ300に流入する熱媒体の流量の分布を示すグラフである。同図の横軸は各チューブ300のy座標を示しており、同図の縦軸はチューブ300に流入する熱媒体の流量を示している。線L1に示されるように、抑制板500が設けられていない場合には、流入口130に近い−y方向側のチューブ300においては流量が大きくなっており、流入口130から遠いy方向側のチューブ300においては流量が小さくなっている。
その理由は以下の通りである。入口側タンク100の内側においては、流入口130に近い−y方向側の部分と、流入口130から遠いy方向側の部分との間で、熱媒体の圧力に差が生じる傾向がある。具体的には、流入口130から遠ざかるほど、熱媒体の圧力は低くなる傾向がある。このため、熱媒体の圧力の高い部分、すなわち、流入口130に近い位置に配置されたチューブ300においては熱媒体の流量が大きくなり、流入口130から遠い位置に配置されたチューブ300においては熱媒体の流量が小さくなるのである。
また、出口側タンク200の内側においても、流出口230に近い−y方向側の部分と、流出口230から遠いy方向側の部分との間で、熱媒体の圧力に差が生じる傾向がある。具体的には、流出口230に近づくほど、熱媒体の圧力は低くなる傾向がある。このため、熱媒体の圧力の低い部分、すなわち、流出口230に近い位置に配置されたチューブ300においては、熱媒体の流量が更に大きくなる傾向がある。
それぞれのチューブ300に流入する熱媒体の流量が、このようにばらつくと、熱交換コア部の各部における熱交換が均等には行われなくなってしまう。これにより、車室内に噴出される空調風の温度ムラや、熱交換器10における熱交換性能の低下等の問題が生じる可能性がある。
流量のばらつきを抑制するための対策としては、例えば特許第4830918号公報に記載されているように、入口側タンク100の内側に板状部材を配置することが考えられる。当該板状部材は、本実施形態における抑制板500に、貫通穴510が形成されていないものに等しい。図7(B)の右側には、このような板状部材500Aを、本実施形態の抑制板500に換えて配置した場合の例が示されている。
図7(B)の左側に示される線L2は、上記のように板状部材500Aが配置された第2比較例における、各チューブ300に流入する熱媒体の流量の分布を示すグラフである。図7(B)の左側には、比較のために、図7(A)と同じ線L1が示されている。
第2比較例のように、貫通穴510が形成されていない板状部材500Aが設けられている場合には、線L1で示される第1比較例に比べると、各チューブ300に流入する熱媒体の流量のばらつきは小さくなっている。しかしながら、依然として、流入口130に近い−y方向側のチューブ300においては流量が大きくなっており、流入口130から遠いy方向側のチューブ300においては流量が小さくなっている。このため、流量のばらつきを抑制するという観点からは更なる改良の余地がある。
図7(C)の左側に示される線L3は、本実施形態における、各チューブ300に流入する熱媒体の流量の分布を示すグラフである。図7(C)の左側には、比較のために、図7(B)と同じ線L2が示されている。
本実施形態では、抑制板500のうち、流入口130に近い位置、すなわち、入口側タンク100の内側における熱媒体の圧力が高い位置においては、形成された貫通穴510の開口面積が小さくなっている。また、流入口130から遠い位置、すなわち、入口側タンク100の内側における熱媒体の圧力が低い位置においては、形成された貫通穴510の開口面積が大きくなっている。つまり、熱媒体の圧力の高い位置においては貫通穴510を熱媒体が通過しにくくなっており、熱媒体の圧力の低い位置においては貫通穴510を熱媒体が通過しやすくなっている。
その結果、本実施形態では線L3に示されるように、各チューブ300に流入する熱媒体の流量のばらつきが、線L2に比べて更に抑制され小さくなっている。
抑制板500における各貫通穴510の形状や配置は、図5に示されるようなものに限らず、種々の態様を採用することができる。いずれの場合であっても、それぞれの貫通穴510は、それぞれのチューブ300に流入する熱媒体の流量が可能な限り均等となるように、その形状及び配置が決定されることが好ましい。
図4に示されるように、本実施形態では、チューブの300長手方向に沿って見た場合において、抑制板500のうち、積層方向に沿って流入口130に最も近い位置に配置されたチューブ300と重なる位置には、貫通穴510が形成されていない。
積層方向に沿って流入口130に最も近い位置に配置されたチューブ300は、他のチューブ300に比べて、熱媒体の流量が著しく大きくなりやすい。このため、当該チューブ300と重なる部分には貫通穴510を形成しないこととすることで、当該チューブ300における熱媒体の流量を小さくし、他のチューブ300における熱媒体の流量に近づけることができる。
本実施形態では、抑制板500のx方向に沿った寸法が、チューブ300の同方向に沿った寸法よりも小さくなっている。このため、チューブ300の端部に形成された開口には、抑制板500によって塞がれていない部分が存在している。
このような態様に換えて、抑制板500のx方向に沿った寸法が、チューブ300の同方向に沿った寸法と同一かこれよりも大きくなっている態様であってもよい。このような態様においては、概ね全ての熱媒体が、いずれかの貫通穴510を通った後にチューブ300の内部へと流入することとなる。この場合、形成された貫通穴510の個数を本実施形態よりも多くすることで、各チューブ300の内部に熱媒体を均等に流入させることとすればよい。
上記のほか、本実施形態の変形例について説明する。図8に示される変形例では、抑制板500が、入口側タンク100のうち、y方向に沿った略中央となる位置までしか伸びていない。中央よりも更にy方向側部分における熱媒体の流れを抑制する必要性が小さい場合には、このような態様としてもよい。
図9に示される変形例では、抑制板500が、入口側タンク100の内部ではなく、出口側タンク200の内部に配置されている。このように、チューブ300よりも下流側となる位置において熱媒体の流れを抑制する態様であっても、第1実施形態で説明したものと同様の効果を奏する。
図10に示される変形例では、図9の変形例と同様に、抑制板500が出口側タンク200の内部に配置されている。また、図8の変形例と同様に、抑制板500は、出口側タンク200のうち、y方向に沿った略中央となる位置までしか伸びていない。中央よりも更にy方向側部分における熱媒体の流れを抑制する必要性が小さい場合には、このような態様としてもよい。
図11に示される変形例では、入口側タンク100の内部と、出口側タンク200の内部と、のそれぞれに抑制板500が配置されている。このように、チューブ300よりも上流側となる位置、及び下流側となる位置のそれぞれにおいて熱媒体の流れを抑制する態様であっても、第1実施形態で説明したものと同様の効果を奏する。
図12に示される変形例では、図11の変形例と同様に、入口側タンク100の内部と、出口側タンク200の内部と、のそれぞれに抑制板500が配置されている。また、図8等の変形例と同様に、抑制板500は、出口側タンク200のうち、y方向に沿った略中央となる位置までしか伸びていない。中央よりも更にy方向側部分における熱媒体の流れを抑制する必要性が小さい場合には、このような態様としてもよい。
第2実施形態について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
本実施形態では、抑制板500に形成された貫通穴510の態様においてのみ第1実施形態と異なっている。以下に説明する貫通穴510の態様は、図8乃至図12を参照しながら説明した各変形例についても適用することができる。
図13に示されるように、本実施形態に係る抑制板500では、それぞれの貫通穴510が第1実施形態のような楕円形ではなく、長方形の穴として形成されている。本実施形態でも、積層方向に沿って流入口130から遠い位置、すなわちy方向側の位置になるほど、貫通穴510の開口面積が大きくなっており、これにより、抑制板500を熱媒体が通過しやすくなっている。このような態様であっても、第1実施形態で説明したものと同様の効果を奏する。
第3実施形態について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
本実施形態でも、抑制板500に形成された貫通穴510の態様においてのみ第1実施形態と異なっている。以下に説明する貫通穴510の態様は、図8乃至図12を参照しながら説明した各変形例についても適用することができる。
図14に示されるように、本実施形態に係る抑制板500では、全ての貫通穴510が概ね正方形の穴として形成されている。また、それぞれの貫通穴510の形状は互いに等しい。更に、本実施形態では、単一又は複数の貫通穴510からなるグループが複数形成されており、それぞれのグループが、y方向に沿って概ね等間隔で並んでいる。図14においては、上記の各グループに対し、−y方向側から順に「G1」から「G7」までの符号が付してある。
最も−y方向側のグループG1には、単一の貫通穴510のみが属している。また、グループG1のy方向側にあるグループG2には、2つの貫通穴510が属している。以下、y方向側のグループに行くほど、当該グループに属する貫通穴510の個数は多くなっている。最もy方向側のグループG7には、7つの貫通穴510が属している。
抑制板500のうち、グループG1が形成されている領域においては、単一の貫通穴510のみが形成されているので、貫通穴510の密度、すなわち単位面積あたりに形成された貫通穴510の個数は小さくなっている。これに対し、グループG7が形成されている領域においては、7つの貫通穴510が形成されているので、貫通穴510の密度は大きくなっている。本実施形態では、積層方向に沿って流入口130から遠い位置になるほど、貫通穴510の密度が大きくなっており、これにより各チューブ300に熱媒体が流入しやすくなっている。このような態様であっても、第1実施形態において説明したものと同様の効果を奏する。
尚、本実施形態では、互いに隣り合うグループ同士の間、例えばグループG1とグループG2との間において、貫通穴510が形成されていない領域が存在する。つまり、互いに隣り合うグループ同士の間には、貫通穴510の密度が0となっている領域が存在する。このような態様に換えて、y方向側に行くに従って、貫通穴510の密度が連続的に小さくなっていくように、複数の貫通穴510が形成されているような態様であってもよい。
第4実施形態について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
本実施形態でも、抑制板500に形成された貫通穴510の態様においてのみ第1実施形態と異なっている。以下に説明する貫通穴510の態様は、図8乃至図12を参照しながら説明した各変形例についても適用することができる。
図15に示されるように、本実施形態に係る抑制板500では、全ての貫通穴510の形状が楕円形となっている。また、それぞれの貫通穴510の形状は互いに等しい。ただし、本実施形態では、積層方向に沿って流入口から遠い位置、すなわちy方向側の位置になるほど、同方向に沿った貫通穴510の配置ピッチが小さくなっている。ここでいう「配置ピッチ」とは、互いに隣り合う一対の貫通穴510において、一方の貫通穴510の中心と、他方の貫通穴510の中心との距離のことである。本実施形態では、y方向側に行くほど上記の配置ピッチが小さくなっており、これにより各チューブ300に熱媒体が流入しやすくなっている。このような態様であっても、第1実施形態において説明したものと同様の効果を奏する。
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
10:熱交換器
100:入口側タンク
130:流入口
200:出口側タンク
230:流出口
300:チューブ
500:抑制板
510:貫通穴

Claims (7)

  1. 空気と熱媒体との間で熱交換を行う熱交換器(10)であって、
    熱媒体の通る流路が形成された管状の部材であって、積層方向に沿って並ぶように配置された複数のチューブ(300)と、
    それぞれの前記チューブに熱媒体を供給する入口側タンク(100)と、
    それぞれの前記チューブを通った熱媒体を受け入れる出口側タンク(200)と、を備え、
    前記入口側タンクのうち、前記積層方向に沿った一方側の端部には、前記入口側タンクへの熱媒体の入口である流入口(130)が設けられており、
    前記出口側タンクのうち、前記積層方向に沿った一方側の端部であって、前記流入口と同じ側の端部には、前記出口側タンクからの熱媒体の出口である流出口(230)が設けられており、
    前記入口側タンク及び前記出口側タンクのうち少なくとも一方には、前記チューブを通る熱媒体の流れを抑制する抑制板(500)が配置されており、
    前記抑制板には、熱媒体を通過させるための貫通穴(510)が形成されている熱交換器。
  2. 前記チューブの長手方向に沿って見た場合において、
    前記抑制板は、前記積層方向に沿って全ての前記チューブと重なるような範囲に配置されている、請求項1に記載の熱交換器。
  3. 前記積層方向に沿って前記流入口から遠い位置になるほど、前記抑制板を熱媒体が通過しやすくなるように複数の前記貫通穴が形成されている、請求項1又は2に記載の熱交換器。
  4. 前記積層方向に沿って前記流入口から遠い位置になるほど、前記貫通穴の開口面積が大きくなっている、請求項3に記載の熱交換器。
  5. 前記積層方向に沿って前記流入口から遠い位置になるほど、前記貫通穴の密度が大きくなっている、請求項3に記載の熱交換器。
  6. 前記積層方向に沿って前記流入口から遠い位置になるほど、同方向に沿った前記貫通穴の配置ピッチが小さくなっている、請求項3に記載の熱交換器。
  7. 前記チューブの長手方向に沿って見た場合において、
    前記抑制板のうち、前記積層方向に沿って前記流入口に最も近い位置に配置された前記チューブと重なる位置には、前記貫通穴が形成されていない、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の熱交換器。
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