JP2020041174A - 熱間プレス用鋼板 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱間プレス成形時の摺動性を向上し、耐カジリ特性に優れた熱間プレス用鋼板を提供することを目的とする。【解決手段】鋼板表面に、片面当たりのめっき付着量が120g/m2以下のZn合金めっき層を有し、さらに前記Zn合金めっき層の表面に、融点が900℃超えの金属からなる金属層を有することを特徴とする熱間プレス用鋼板。【選択図】なし
Description
本発明は、主に自動車用鋼板に使用される熱間プレス用鋼板に関するものである。
近年、自動車の分野では素材鋼板の高性能化と共に軽量化が促進されており、防錆性を有する高強度溶融亜鉛めっき鋼板または電気亜鉛めっき鋼板の使用が増加している。しかし、多くの場合、鋼板の高強度化に伴ってそのプレス成形性が低下するため、複雑な部品形状を得ることは困難になる。例えば自動車用途で、防錆性が必要であり、かつ難成形部品としてはシャシーなどの足回り部材やBピラーなどの骨格用構造部材が挙げられる。
このような背景から、近年では冷間プレスに比べてプレス成形性と高強度化の両立が容易である熱間プレスによる自動車用部品の製造が急速に増加しており、熱間プレス技術の諸課題を解決する様々な技術が開示されている。
例えば、特許文献1では、鋼板表層のめっき層融点を800℃以上とすることで、液体金属脆化割れの無い熱間プレス部材を得る製造方法が開示されている。
また、特許文献2では、めっき層表層にZnOを主体とする酸化皮膜を備えることで、熱間プレス加熱時の亜鉛蒸発を防止する熱間プレス用鋼板が開示されている。
また、特許文献3では、熱間プレス前に空気ジェットなどを用いて鋼板を450〜700℃に急速中間冷却した後、プレスによる金型冷却を実施することによってマイクロクラックの無い熱間プレス部材を製造する方法が開示されている。
上述した様に、熱間プレス技術の諸課題に対して、鋼板、めっきおよび工法などの観点から様々な解決策が提案され、熱間プレス技術の進歩・発展を支えてきた。
しかしながら、熱間プレス部品の生産量増加や新規部品への技術適用に伴って、従来に無かった新たな課題が顕在化するようになってきた。
例えば、金型と鋼板のクリアランス調整などが不十分な場合では、熱間プレス成形時に硬質なプレス金型と軟質なめっき層が摺動し、硬質なプレス金型によって軟質なめっき層が傷つけられる現象、いわゆるカジリが熱間プレス成形時にも生じることがある。カジリ部ではめっきが剥離するため、Znめっきの耐食性向上効果を十分に享受できないという問題がある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、熱間プレス成形時の摺動性を向上し、耐カジリ特性に優れた熱間プレス用鋼板を提供することを目的とする。
本発明者らは、Zn合金めっき層の表面に、湿式プロセスまたは乾式プロセスによって種々の金属層を成膜し、得られた熱間プレス部材について、耐カジリ特性を調査した。その結果、一般的な熱間プレスの加熱温度である900℃よりも融点が高い金属層をZn合金めっき層表面に付与することで、めっき層表面の硬度を確保でき、その結果、熱間プレス成形時の摺動性が向上し、耐カジリ特性が改善されることを見出した。
本発明は上記知見に基づくものであり、その特徴は以下の通りである。
[1]鋼板表面に、片面当たりのめっき付着量が120g/m2以下のZn合金めっき層を有し、さらに前記Zn合金めっき層の表面に、融点が900℃超えの金属からなる金属層を有することを特徴とする熱間プレス用鋼板。
[2]前記金属層は、Fe、Co、Ni、Cu、Moのうちの1種または2種以上から選択される金属または合金であることを特徴とする[1]に記載の熱間プレス用鋼板。
[3]前記Zn合金めっき層は、Zn−Al合金めっき層、Zn−Al−Mg合金めっき層、Zn−Al−Mg−Si合金めっき層、Zn−Fe合金めっき層、Zn−Ni合金めっき層のうちのいずれか1種であることを特徴とする[1]または[2]に記載の熱間プレス用鋼板。
[4]前記Zn−Ni合金めっき層は、10〜25質量%のNiを含み、残部はZnおよび不可避的不純物からなることを特徴とする[3]に記載の熱間プレス用鋼板。
[1]鋼板表面に、片面当たりのめっき付着量が120g/m2以下のZn合金めっき層を有し、さらに前記Zn合金めっき層の表面に、融点が900℃超えの金属からなる金属層を有することを特徴とする熱間プレス用鋼板。
[2]前記金属層は、Fe、Co、Ni、Cu、Moのうちの1種または2種以上から選択される金属または合金であることを特徴とする[1]に記載の熱間プレス用鋼板。
[3]前記Zn合金めっき層は、Zn−Al合金めっき層、Zn−Al−Mg合金めっき層、Zn−Al−Mg−Si合金めっき層、Zn−Fe合金めっき層、Zn−Ni合金めっき層のうちのいずれか1種であることを特徴とする[1]または[2]に記載の熱間プレス用鋼板。
[4]前記Zn−Ni合金めっき層は、10〜25質量%のNiを含み、残部はZnおよび不可避的不純物からなることを特徴とする[3]に記載の熱間プレス用鋼板。
本発明によれば、熱間プレス成形時の摺動性を向上し、耐カジリ特性に優れた熱間プレス用鋼板が得られる。
以下、本発明について具体的に説明する。なお、以下の説明において、鋼成分組成の各元素の含有量、めっき層成分組成の各元素の含有量の単位はいずれも「質量%」であり、以下、特に断らない限り単に「%」で示す。
まず、熱間プレス用鋼板のZn合金めっき層の限定理由について述べる。
片面当たりのめっき付着量が120g/m2以下のZn合金めっき層
一般的なめっき製造ラインで120g/m2超えの厚めっきを形成させるためには、ラインスピードを大幅に抑制する必要があり、コストアップを招く。したがって、片面当たりのめっき付着量は120g/m2以下とする。なお、好ましくは、90g/m2以下である。また、10g/m2未満では熱間プレス加熱時のFeスケール生成抑制効果が不十分になるため、10g/m2以上であることが好ましい。また、自動車用熱間プレス部材は主に足回りや骨格部材など耐食性を必要とする部位に適用される。そのため、めっき層としては犠牲防食作用を有するZn合金めっき層であることが必要である。
一般的なめっき製造ラインで120g/m2超えの厚めっきを形成させるためには、ラインスピードを大幅に抑制する必要があり、コストアップを招く。したがって、片面当たりのめっき付着量は120g/m2以下とする。なお、好ましくは、90g/m2以下である。また、10g/m2未満では熱間プレス加熱時のFeスケール生成抑制効果が不十分になるため、10g/m2以上であることが好ましい。また、自動車用熱間プレス部材は主に足回りや骨格部材など耐食性を必要とする部位に適用される。そのため、めっき層としては犠牲防食作用を有するZn合金めっき層であることが必要である。
防錆性の観点から、めっき層の主成分がZnであれば組成に関しては特に限定されないが、Zn合金めっき層としては、Zn−Al合金めっき層、Zn−Al−Mg合金めっき層、Zn−Al−Mg−Si合金めっき層、Zn−Fe合金めっき層、Zn−Ni合金めっき層のうちのいずれか1種が好ましい。
また、本発明では、Zn合金めっき層は、10〜25質量%のNiを含み、残部はZnおよび不可避的不純物からなるZn−Ni合金めっき層であることが好ましい。Zn合金めっき層中のNi量を10〜25質量%に制御することで、融点の高いNi2Zn11、NiZn3、Ni5Zn21のいずれかの結晶構造を有するγ相が形成されるため、他のZn合金めっき層に比べて耐液体金属脆化の観点で有利である。
次に、Zn合金めっき層の表面に形成される金属層について説明する。
融点が900℃超えの金属からなる金属層
本発明では、Zn合金めっき層の表面に、融点が900℃超えの金属からなる金属層を有する。一般的な熱間プレス成形時の到達温度である900℃において、めっき層表面を高硬度、すなわち固体を保つことができる表層とすることにより、熱間プレス成型時の表層硬度を高く保つことができる。本発明では、Zn合金めっき層の表面に、融点が900℃超えの金属からなる金属層を設けることで、硬質なプレス金型によって軟質なめっき層が傷つけられるといったカジリを抑制することができる。その結果、摺動性が向上し耐カジリ特性を改善することができる。
本発明では、Zn合金めっき層の表面に、融点が900℃超えの金属からなる金属層を有する。一般的な熱間プレス成形時の到達温度である900℃において、めっき層表面を高硬度、すなわち固体を保つことができる表層とすることにより、熱間プレス成型時の表層硬度を高く保つことができる。本発明では、Zn合金めっき層の表面に、融点が900℃超えの金属からなる金属層を設けることで、硬質なプレス金型によって軟質なめっき層が傷つけられるといったカジリを抑制することができる。その結果、摺動性が向上し耐カジリ特性を改善することができる。
金属層は、Fe、Co、Ni、Cu、Moのうちの1種または2種以上から選択される金属または合金であることが好ましい。ここに挙げた金属はいずれも融点が900℃超えである。金属層の付着量の下限について、微量でも金属層が無い場合に比べて耐カジリ特性効果が認められるが、本発明においては、0.1g/m2以上が好ましい。また、上限も特に規定しないが過剰な厚さの金属層はコスト増加を招くため、30g/m2以下であることが好ましい。より好ましくは10g/m2以下、さらに好ましくは5g/m2以下である。
金属層の形成方法については、特に制限されず、例えば、PVD(Physical Vapor Deposition)、CVD(Chemical Vapor Deposition)、コールドスプレーといった乾式プロセスや、電気めっき、無電解めっき、溶融めっきといった湿式プロセスを用いて形成することができる。
本発明において、1470MPa級を超えるような熱間プレス部材を得るためには、めっき層の下地鋼板としては、例えば、質量%で、C:0.20〜0.35%、Si:0.1〜0.5%、Mn:1.0〜3.0%、P:0.02%以下、S:0.01%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する冷延鋼板または熱延鋼板を用いることができる。以下に各成分の限定理由を記載する。
C:0.20〜0.35%
Cは、鋼組織としてマルテンサイトなどを形成させることで強度を向上させる。1470MPa級を超えるような強度を得るためには0.20%以上必要である。一方、0.35%を超えるとスポット溶接部の靱性が劣化する。したがって、C量は0.20〜0.35%とすることが好ましい。
Cは、鋼組織としてマルテンサイトなどを形成させることで強度を向上させる。1470MPa級を超えるような強度を得るためには0.20%以上必要である。一方、0.35%を超えるとスポット溶接部の靱性が劣化する。したがって、C量は0.20〜0.35%とすることが好ましい。
Si:0.1〜0.5%
Siは鋼を強化して良好な材質を得るのに有効な元素である。そのためには0.1%以上必要である。一方、0.5%を超えるとフェライトが安定化されるため、焼き入れ性が低下する。したがって、Si量は0.1〜0.5%とすることが好ましい。
Siは鋼を強化して良好な材質を得るのに有効な元素である。そのためには0.1%以上必要である。一方、0.5%を超えるとフェライトが安定化されるため、焼き入れ性が低下する。したがって、Si量は0.1〜0.5%とすることが好ましい。
Mn:1.0〜3.0%
Mnは鋼の高強度化に有効な元素である。機械特性や強度を確保するためは1.0%以上含有させることが必要である。一方、3.0%を超えると焼鈍時の表面濃化が増加し、めっき密着性の確保が困難になる。したがって、Mn量は1.0〜3.0%とすることが好ましい。
Mnは鋼の高強度化に有効な元素である。機械特性や強度を確保するためは1.0%以上含有させることが必要である。一方、3.0%を超えると焼鈍時の表面濃化が増加し、めっき密着性の確保が困難になる。したがって、Mn量は1.0〜3.0%とすることが好ましい。
P:0.02%以下
P量が0.02%を超えると鋳造時のオーステナイト粒界へのP偏析に伴う粒界脆化により、局部延性の劣化を通じて強度と延性のバランスが低下する。したがって、P量は0.02%以下とすることが好ましい。
P量が0.02%を超えると鋳造時のオーステナイト粒界へのP偏析に伴う粒界脆化により、局部延性の劣化を通じて強度と延性のバランスが低下する。したがって、P量は0.02%以下とすることが好ましい。
S:0.01%以下
SはMnSなどの介在物となって、耐衝撃性の劣化や溶接部のメタルフローに沿った割れの原因となる。したがって、極力低減することが望ましく0.01%以下とすることが好ましい。また、良好な伸びフランジ性を確保するため、より好ましくは0.005%以下とする。
SはMnSなどの介在物となって、耐衝撃性の劣化や溶接部のメタルフローに沿った割れの原因となる。したがって、極力低減することが望ましく0.01%以下とすることが好ましい。また、良好な伸びフランジ性を確保するため、より好ましくは0.005%以下とする。
また、本発明では上記した基本成分のほかに鋼板の特性の更なる改善を意図して、Nb:0.05%以下、Ti:0.05%以下、B:0.0002〜0.0050%、Cr:0.1〜0.3%、Sb:0.003〜0.030%のうちから選ばれた少なくとも1種を必要に応じて適宜含有させることが可能である。
Nb:0.05%以下
Nbは鋼の強化に有効な成分であるが、過剰に含まれると形状凍結性が低下する。したがって、Nbを含有させる場合は0.05%以下とする。
Nbは鋼の強化に有効な成分であるが、過剰に含まれると形状凍結性が低下する。したがって、Nbを含有させる場合は0.05%以下とする。
Ti:0.05%以下
TiもNbと同様に鋼の強化には有効であるが、過剰に含まれると形状凍結性が低下するという課題がある。したがって、Tiを含有させる場合は0.05%以下とする。
TiもNbと同様に鋼の強化には有効であるが、過剰に含まれると形状凍結性が低下するという課題がある。したがって、Tiを含有させる場合は0.05%以下とする。
B:0.0002〜0.0050%
Bはオーステナイト粒界からのフェライト生成および成長を抑制する作用を有するため、0.0002%以上の添加が好ましい。一方、過剰なBの添加は成形性を大きく損なう。したがって、Bを含有させる場合は0.0002〜0.0050%とする。
Bはオーステナイト粒界からのフェライト生成および成長を抑制する作用を有するため、0.0002%以上の添加が好ましい。一方、過剰なBの添加は成形性を大きく損なう。したがって、Bを含有させる場合は0.0002〜0.0050%とする。
Cr:0.1〜0.3%
Crは鋼の強化および焼き入れ性を向上させるために有用である。このような効果を発現するためには0.1%以上の添加が好ましい。一方、合金コストが高いため0.3%超えの添加では大幅なコストアップを招く。したがって、Crを含有させる場合は0.1〜0.3%とする。
Crは鋼の強化および焼き入れ性を向上させるために有用である。このような効果を発現するためには0.1%以上の添加が好ましい。一方、合金コストが高いため0.3%超えの添加では大幅なコストアップを招く。したがって、Crを含有させる場合は0.1〜0.3%とする。
Sb:0.003〜0.030%
Sbも熱間プレスのプロセス中に鋼板表層の脱炭を抑止する効果がある。このような効果を発現するためには0.003%以上の添加が必要である。一方、Sb量が0.030%を超えると圧延荷重の増加を招くため生産性を低下させる。したがって、Sbを含有させる場合は0.003〜0.030%とする。
Sbも熱間プレスのプロセス中に鋼板表層の脱炭を抑止する効果がある。このような効果を発現するためには0.003%以上の添加が必要である。一方、Sb量が0.030%を超えると圧延荷重の増加を招くため生産性を低下させる。したがって、Sbを含有させる場合は0.003〜0.030%とする。
上記以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。
本発明の熱間プレス用鋼板を用いて熱間プレス部材を製造するための熱間プレス工程は何ら限定されるものではなく、公知の熱間プレス工程が適用可能である。例えば、本発明の熱間プレス用鋼板に対して、Ac3変態点〜950℃の温度範囲に加熱し、次いで、熱間プレス加工を行い、引き続き金型や水などの冷媒を用いて冷却を行うことにより熱間プレス部材が製造される。なお、上記加熱温度とは鋼板の最高到達温度のことをいう。また、上記加熱を行う方法としては、電気炉やガス炉などによる加熱、火炎加熱、通電加熱、高周波加熱、誘導加熱などを例示できる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。下記の実施例は本発明を限定するものではなく、要旨構成の範囲内で適宜変更することは、本発明の範囲に含まれるものとする。
下地鋼板として、質量%で、C:0.30%、Si:0.25%、Mn:1.2%、P:0.005%、S:0.005%、Nb:0.005%、Ti:0.02%、B:0.0020%、Cr:0.2%、Sb:0.008%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する、板厚1.4mmの冷延鋼板を用いた。この冷延鋼板の表面に、表1に示すめっき方法で、種々のZn合金めっき層を形成した。次いで、Zn合金めっき層の表面に、表1に示す成膜法で種々の金属層を被覆し、熱間プレス用鋼板を得た。なお、めっき層について、溶融めっき処理の条件は、所望の組成が得られるよう溶融めっき浴組成を調整し、浴温度を各組成の融点+20℃とした。また、ワイピング圧力を調整することで付着量を制御した。電気めっき処理の条件は、所望の組成が得られるように浴中の金属塩比および電流値を調整し、ライン速度を変えることで付着量を制御した。また、金属層のPVDの成膜条件は、所望の金属ターゲットを使用し、電圧および処理時間を制御することで所望の付着量を制御した。金属層の電気めっき処理の条件は、所望の組成が得られるように浴中の金属塩比および電流値を調整し、ライン速度を変えることで付着量を制御した。
得られた熱間プレス用鋼板から150mmC×300mmLの試験片を採取し、電気炉によって900℃まで4分間で加熱し、900℃で1分間保持した後、電気炉から試験片を取り出しハット型金型によって700℃で熱間プレスを実施した。成形後の部品形状は上面の平坦部長さ100mm、側面の平坦部長さ50mm、下面の平坦部長さ50mmである。また、金型の曲げRは上面の両肩、下面の両肩いずれも7Rである。
以上より得られたハット成形部品の竪壁部において、プレス成形時のカジリによってZn合金めっきが剥離した面積を測定し、耐カジリ特性を以下の基準で評価した。
○:剥離面積が、金属層無しの場合と比較して20%以上減少
△:剥離面積が、金属層無しの場合と比較して0%以上20%未満減少
×:剥離面積が、金属層無しの場合と比較して増大
評価が○であれば、耐カジリ特性に優れた熱間プレス用鋼板であると判断した。
○:剥離面積が、金属層無しの場合と比較して20%以上減少
△:剥離面積が、金属層無しの場合と比較して0%以上20%未満減少
×:剥離面積が、金属層無しの場合と比較して増大
評価が○であれば、耐カジリ特性に優れた熱間プレス用鋼板であると判断した。
表1に評価結果を示す。
表1によれば、本発明の熱間プレス用鋼板は優れた耐カジリ特性を有する。
実施例1において評価した、10〜25質量%のNiを含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるZn−Ni合金めっき層を有する熱間プレス用鋼板について、耐LME特性(LME:Liquid Metal Embrittlement、液体金属脆化)を評価した。具体的には、実施例1で得られたハット成形部品の上面肩R部から断面SEM観察用サンプルを採取し、観察により肩R外側で断面長さ5mmの視野における母材に浸入しているクラック深さを250μmピッチで合計20か所測定し、以下の基準で耐LME特性を評価した。
○:クラック発生無しまたはクラック深さの平均値が10μm未満
△:クラック深さの平均値が10μm以上200μm未満
×:クラック深さの平均値が200μm以上
評価が○であれば、耐LME特性に優れるとした。
○:クラック発生無しまたはクラック深さの平均値が10μm未満
△:クラック深さの平均値が10μm以上200μm未満
×:クラック深さの平均値が200μm以上
評価が○であれば、耐LME特性に優れるとした。
表2に耐LME特性の評価結果を示す。
表2の結果から、本発明の熱間用プレス鋼板において、Zn−Ni合金めっき層が10〜25質量%のNiを含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるZn−Ni合金めっき層であれば、耐カジリ特性に加えて優れた耐LME特性も兼ね備えることが分かる。
Claims (4)
- 鋼板表面に、片面当たりのめっき付着量が120g/m2以下のZn合金めっき層を有し、
さらに前記Zn合金めっき層の表面に、融点が900℃超えの金属からなる金属層を有することを特徴とする熱間プレス用鋼板。 - 前記金属層は、Fe、Co、Ni、Cu、Moのうちの1種または2種以上から選択される金属または合金であることを特徴とする請求項1に記載の熱間プレス用鋼板。
- 前記Zn合金めっき層は、Zn−Al合金めっき層、Zn−Al−Mg合金めっき層、Zn−Al−Mg−Si合金めっき層、Zn−Fe合金めっき層、Zn−Ni合金めっき層のうちのいずれか1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱間プレス用鋼板。
- 前記Zn−Ni合金めっき層は、10〜25質量%のNiを含み、残部はZnおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項3に記載の熱間プレス用鋼板。
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- 2018-09-07 JP JP2018167591A patent/JP2020041174A/ja active Pending
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CN115298344A (zh) * | 2020-03-27 | 2022-11-04 | 日本制铁株式会社 | 热压成型体 |
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