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JP2019531320A - Ssao/vap−1阻害剤とsglt2阻害剤とを含む組合せ、その使用 - Google Patents

Ssao/vap−1阻害剤とsglt2阻害剤とを含む組合せ、その使用 Download PDF

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JP2019531320A JP2019520691A JP2019520691A JP2019531320A JP 2019531320 A JP2019531320 A JP 2019531320A JP 2019520691 A JP2019520691 A JP 2019520691A JP 2019520691 A JP2019520691 A JP 2019520691A JP 2019531320 A JP2019531320 A JP 2019531320A
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Abstract

本発明は、式(I)(式中、R1〜R6およびXは、本明細書に定義されている通りである)に従うSSAO/VAP-1阻害剤とSGLT2阻害剤とを含む本発明に従う医薬の組合せに関する。さらに、本発明は、それを必要とする患者における線維性疾患、代謝性疾患、炎症性疾患、眼疾患、神経炎症性疾患または癌を予防し、進行を減速させ、遅延させまたは治療するための方法であって、本発明に従う上記医薬の組合せが上記患者に投与されることを特徴とする前記方法に関する。

Description

発明の技術分野
本発明は、下記に定義されている通りの式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤とSGLT2阻害剤とを含む医薬の組合せおよび医薬組成物に関する。さらに、本発明は、それを必要とする患者における線維性疾患、代謝性疾患、炎症性疾患、眼疾患、神経炎症性疾患または癌を治療または予防するための方法であって、上記医薬の組合せまたは医薬組成物を上記患者に投与することを特徴とする、前記方法に関する。さらに、本発明は、上記または下記に記載されるような疾患を治療または予防するための方法における上記医薬の組合せまたは医薬組成物の使用に関する。
さらに、本発明は、上記および下記に記載されているような方法で使用するための医薬の製造のための、上記または下記に定義されている通りの式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤の使用に関する。
さらに、本発明は、上記および下記に記載されているような方法で使用するための医薬の製造のためのSGLT2阻害剤の使用に関する。
本発明は、また、上記および下記に記載されているような方法で使用するための医薬の製造のための本発明に従う医薬の組合せまたは医薬組成物の使用に関する。
発明の背景
第一級アミンオキシダーゼ、血漿アミンオキシダーゼおよびベンジルアミンオキシダーゼとしても知られるセミカルバジド感受性アミンオキシダーゼ(SSAO)は、血管接着タンパク質-1(VAP-1)と構造が同一である。SSAO/VAP-1阻害剤は、炎症性疾患および線維性疾患が含まれる様々な適応症における治療または改善のために開発されている新しいクラスの薬剤を表す。例えば、SSAOA/AP-1阻害剤およびそれらの使用は、WO 2009/066152号またはWO 2013/163675号に開示されている。
SGLT2阻害剤は、糖尿病の治療、特に2型真性糖尿病患者における血糖コントロールの改善のためのクラスの薬剤を表す。例えば、SGLT2阻害剤およびそれらの使用は、WO 2001/27128号およびWO 2005/092877号に開示されている。
発明の目的
本発明の1つの目的は、線維性疾患の予防、進行の減速、遅延、または治療のための医薬の組合せまたは医薬組成物および方法を提供することである。
本発明の別の目的は、代謝性疾患の予防、進行の減速、遅延または治療のための医薬の組合せまたは医薬組成物および方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、炎症性疾患の予防、進行の減速、遅延または治療のための医薬の組合せまたは医薬組成物および方法を提供することである。
本発明の別の目的は、眼疾患の予防、進行の減速、遅延、または治療のための医薬の組合せまたは医薬組成物および方法を提供することである。
本発明の別の目的は、神経炎症性疾患の予防、進行の減速、遅延、または治療のための医薬の組合せまたは医薬組成物および方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、癌の予防、進行の減速、遅延または治療のための医薬の組合せまたは医薬組成物および方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、上記および下記の説明ならびに実施例によって当業者には明らかになるであろう。
発明の概要
1つの実施態様において、本発明は、1種以上の線維性疾患の予防、進行の減速、遅延または治療のための、下記に定義されている通りの式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤と下記に定義されている通りのSGLT2阻害剤とを含む医薬の組合せまたは医薬組成物に関する。
別の実施態様において、本発明は、代謝性疾患の予防、進行の減速、遅延または治療のための、下記に定義されている通りの式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤と下記に定義されている通りのSGLT2阻害剤とを含む医薬の組合せまたは医薬組成物に関する。
さらに、本発明の別の実施態様は、炎症性疾患の予防、進行の減速、遅延または治療のための、下記に定義されている通りの式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤と下記に定義されている通りのSGLT2阻害剤とを含む医薬の組合せまたは医薬組成物に関する。
さらに、本発明の別の実施態様は、眼疾患の予防、進行の減速、遅延または治療のための、下記に定義されている通りの式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤と下記に定義されている通りのSGLT2阻害剤とを含む医薬の組合せまたは医薬組成物に関する。
さらに、本発明の別の実施態様は、神経炎症性疾患の予防、進行の減速、遅延または治療のための、下記に定義されている通りの式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤と下記に定義されている通りのSGLT2阻害剤とを含む医薬の組合せまたは医薬組成物に関する。
さらに、本発明の別の実施態様は、癌の予防、進行の減速、遅延または治療のための、下記に定義されている通りの式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤と下記に定義されている通りのSGLT2阻害剤とを含む医薬の組合せまたは医薬組成物に関する。
したがって、第1の態様において、本発明は、下記の医薬を含む医薬の組合せまたは医薬組成物を提供する
(a)式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤またはその医薬的に許容しうる塩:
Figure 2019531320
(式中:
R1およびR4は、独立して、水素または置換されていてもよいC1-6-アルキルであり;
R2およびR3は、独立して、水素、塩素およびフッ素からなる群から選択されるが;R2とR3は、同時に水素ではなく;
R5は、置換されていてもよいアリーレン基であり;
R6は、下記基から選択され
Figure 2019531320
R7およびR8は、独立して、水素、置換されていてもよいC1-6-アルキルおよび置換されていてもよいC3-7-シクロアルキルからなる群から選択され;
Xは、CH2、酸素、硫黄またはSO2である);および
(b)SGLT2阻害剤。
本発明の別の態様によれば、SSAO/VAP-タンパク質に関連するまたはそれによって調節される疾患を治療する方法であって、上記および下記に定義されている通りの式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤およびSGLT2阻害剤が、例えば組合せてまたは交互に、その患者に投与されることを特徴とする、前記方法が提供される。
本発明の別の態様によれば、それを必要とする患者における1種以上の線維性疾患、代謝性疾患、炎症性疾患、眼疾患、神経炎症性疾患または癌の予防、進行の減速、遅延または治療のための方法において使用するための医薬の組合せまたは医薬組成物が提供される。
本発明の別の態様によれば、それを必要とする患者における1種以上の線維性疾患、代謝性疾患、炎症性疾患、眼疾患、神経炎症性疾患または癌の予防、進行の減速、遅延または治療のための医薬の製造のための上記および下記で定義されている通りの式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤の使用であって、上記および下記に定義されている通り式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤をSGLT2阻害剤と、例えば組合せてまたは交互に、上記患者に投与することを特徴とする、前記使用が提供される。
本発明の別の態様によれば、それを必要とする患者における1種以上の線維性疾患、代謝性疾患、炎症性疾患、眼疾患、神経炎症性疾患または癌の予防、進行の減速、遅延または治療のための医薬の製造のためのSGLT2阻害剤の使用であって、上記SGLT2阻害剤を上記および下記に定義されている通りの式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤と、例えば組合せてまたは交互に、上記患者に投与することを特徴とする前記使用が提供される。
本発明の別の態様によれば、1種以上の線維性疾患、代謝性疾患、炎症性疾患、眼疾患、神経炎症性疾患または癌の予防、進行の遅延、遅延または治療のための医薬の製造のための本発明に従う医薬の組合せまたは医薬組成物の使用が提供される。
定義
下記の定義は、本発明の説明を理解するのに役立ち得る。これらは一般的な定義として意図されており、決して本発明の範囲をそれらの用語のみに限定するものではなく、下記の説明をより良く理解するために提示されている。
文脈上別段の要求がない限りあるいはそうでないことが特に指定されていない限り、単数形の整数、工程または要素として本明細書に列挙された本発明の整数、工程、または要素は、列挙された整数、工程または要素の単数形と複数形の両方を明確に包含する。
本明細書を通して、文脈上別段の要求がない限り、「含む」という言葉、または「含む」または「含んでいること」のような変形は、記載された工程もしくは要素もしくは整数またはステップもしくは要素もしくは整数の群の包含を意味するが、他のステップもしくは要素もしくは整数または要素もしくは整数の群の除外を意味すると理解される。 したがって、本明細書の文脈において、「含んでいること」という用語は、「主として含むが必ずしもそれだけではない」ことを意味する。
当業者は、本明細書に記載された発明が具体的に記載されたもの以外の変形および修正を受けやすいことを認識するであろう。本発明は全てのそのような変形および修正を含むことを理解すべきである。本発明には、また、本明細書中で個々にまたは集合的に言及または示されるすべての工程、特徴、組成物および化合物、ならびにこれらの工程または特徴のいずれかおよびすべての組合せまたはいずれか2つ以上も含まれる。
本明細書に使用される「アルキル」という用語には、その意味の中に、1〜6個の炭素原子、例えば1、2、3、4、5または6個の炭素原子(特に定義しない限り)を有する、一価(「アルキル」)および二価(「アルキレン」)の直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素基が含まれる。安定な化合物を製造するために利用可能な任意の点で直鎖または分枝鎖アルキル基が結合される。多くの実施態様において、低級アルキルは、1〜6個、1〜4個、または1〜3個の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖アルキル基である。例えば、アルキルという用語としては、メチル、エチル、1-プロピル、イソプロピル、1-ブチル、2-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、アミル、1,2-ジメチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、4-メチルペンチル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、1,2,2-トリメチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に使用される「アルコキシ」という用語は、直鎖または分枝鎖のアルキルオキシ(すなわち、O-アルキル)基を指し、アルキルは上記で定義された通りである。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、およびイソプロポキシが挙げられる。
本明細書に使用される「シクロアルキル」という用語には、その意味の中に、一価(「シクロアルキル」)および二価(「シクロアルキレン」)の飽和の、単環式、二環式、多環式または縮合類似体が含まれる。本開示の文脈において、シクロアルキル基は、3〜10個または3〜7個の炭素原子を有していてもよい。シクロアルキルの縮合類似体は、結合点が非芳香族部分にあるアリール基またはヘテロアリール基に縮合した単環式環を意味する。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルが挙げられる。
本明細書に使用される「アリール」という用語または「アリーレン」のような変形は、6〜10個の炭素原子を有する芳香族炭化水素の一価(「アリール」)および二価(「アリーレン」)の単核、多核、共役および縮合類似体を指す。アリールの縮合類似体は、結合点が芳香族部分にある単環式シクロアルキル基または単環式ヘテロシクリル基に縮合したアリール基を意味する。アリールおよびその縮合類似体の例としては、フェニル、ナフチル、インダニル、インデニル、テトラヒドロナフチル、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾピラニル、1,4-ベンゾジオキサニルなどが挙げられる。アリーレンの例としては、フェニレンおよびナフチレンが挙げられる。「置換アリール」は、任意の利用可能な原子に結合して安定な化合物を生成する、1個以上、好ましくは1、2または3個の置換基で独立して置換されているアリールである。「置換アリーレン」は、任意の利用可能な原子に結合して安定な化合物を生成する、1個以上、好ましくは1、2または3個の置換基で独立して置換されているアリーレンである。
本明細書に使用される「アルキルアリール」という用語には、その意味の中に、二価の飽和の直鎖または分枝鎖アルキレン基に結合した一価(「アリール」)および二価(「アリーレン」)の単核、多核、共役および縮合芳香族炭化水素基が含まれる。アルキルアリール基の例としては、ベンジルが挙げられるが、これに限定されない。
「ヘテロアリール」という用語は、5個または6個の環原子を含有する単環式芳香環構造を指し、ヘテロアリールは、独立して、O、S、およびNからなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を含有している。ヘテロアリールは、スルフィニル、スルホニルおよび三級環窒素のN-オキシドのような酸化したSまたはNが含まれることも意味する。安定な化合物が生成されるように、炭素原子または窒素原子がヘテロアリール環構造の結合点である。ヘテロアリール基の例としては、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル、キナオキサリル、インドリジニル、ベンゾ[b]チエニル、キナゾリニル、プリニル、インドリル、キノリニル、ピリミジニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、チエニル、イソキサゾリル、オキサチアジアゾリル、イソチアゾリル、テトラゾリル、イミダゾリル、トリアジニル、フラニル、ベンゾフリル、およびインドリルが挙げられるが、これらに限定されない。「窒素含有ヘテロアリール」は、任意のヘテロ原子がNであるヘテロアリールを指す。「置換ヘテロアリール」は、任意の利用可能な原子に結合して安定な化合物を生成する、1個以上の、好ましくは1、2または3個の置換基で独立して置換されているヘテロアリールである。
「ヘテロアリーレン」は、5個または6個の環原子を含有する二価の単環式芳香環構造を指し、ヘテロアリーレンは、O、S、およびNからなる群から独立して選択される1個以上のヘテロ原子を含有する。ヘテロアリーレンは、スルフィニル、スルホニルおよび第三級環窒素のN-オキシドのような酸化したSまたはNが含まれることも意味する。ヘテロアリーレン環構造の置換基への結合点が炭素原子または窒素原子であるので、安定な化合物が生成される。ヘテロアリール基の例としては、ピリジニレン、ピリダジニレン、ピラジニレン、キナオキサリレン、インドリジニレン、ベンゾ[b]チエニレン、キナゾリニレン、プリニレン、インドリレン、キノリニレン、ピリミジニレン、ピロリレン、オキサゾリレン、チアゾリレン、チエニレン、イソキサゾリレン、オキサチアジアゾリレン、イソチアゾリレン、テトラゾリレン、イミダゾリレン、トリアジニレン、フラニレン、ベンゾフリレン、およびインドリレンが挙げられる。「窒素含有ヘテロアリーレン」は、任意のヘテロ原子がNであるヘテロアリーレンを指す。「置換ヘテロアリーレン」は、任意の利用可能な原子に結合して安定な化合物を生成した1個以上の、好ましくは1、2または3個の置換基で独立して置換されているヘテロアリーレンである。
本明細書に使用される「ヘテロシクリル」という用語および「ヘテロシクロアルキル」のような変形には、その意味の中に、3〜10個の環原子を有する一価(「ヘテロシクリル」)および二価(「ヘテロシクリレン」)の、飽和の、単環式、二環式、多環式または縮合炭化水素基が含まれ、ここで、1〜5個、または1〜3個の環原子は、O、N、NH、またはSから独立して選択されるヘテロ原子であり、結合点は炭素または窒素であり得る。ヘテロシクリルの縮合類似体は、結合点が非芳香族部分にある、アリール基またはヘテロアリール基に縮合した単環式複素環を意味する。ヘテロシクリル基は、C3-8ヘテロシクリルであり得る。ヘテロシクロアルキル基は、C3-6ヘテロシクリルであり得る。ヘテロシクリル基は、C3-5ヘテロシクリルであり得る。ヘテロシクリル基およびその縮合類似体の例としては、アジリジニル、ピロリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、2,3-ジヒドロフロ(2,3-b)ピリジル、ベンゾキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ジヒドロインドリル、キヌクリジニル、アゼチジニル、モルホリニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニルなどが挙げられる。この用語には、芳香族ではない部分不飽和単環式環、例えば窒素を介して結合している2-ピリドンもしくは4-ピリドンまたはN-置換ウラシルも含まれる。
本明細書に使用される「ハロゲン」または「ハロゲン化物」もしくは「ハロ」のような変形は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素、好ましくはフッ素、塩素および臭素を指す。
本明細書に使用される「ヘテロ原子」という用語または「ヘテロ-」もしくは「ヘテロ基」のような変形は、O、N、NHおよびSを指す。
一般に、「置換された」とは、その中に含まれる水素原子への1個以上の結合が非水素原子または非炭素原子への結合で置き換えられている、本明細書で定義されている通りの有機基(例えばアルキル基)を指す。置換基には、炭素原子または水素原子への1つ以上の結合が、ヘテロ原子への二重結合または三重結合を含める1つ以上の結合で置き換えられている基も含まれる。したがって、置換基は、他に特定されない限り、1個以上の置換基で置換されるであろう。いくつかの実施態様において、置換基は、1、2、3、4、5、または6個の置換基で置換されている。
本明細書に使用される「置換されていてもよい」という用語は、この用語が指す基が置換されていないか、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルキニル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、チオアルコキシ、アルケニルオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、NO2、NH(アルキル)、N(アルキル)2、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、ニトロアルキニル、ニトロヘテロシクリル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニルアミン、アルキニルアミノ、アシル、アルケノイル、アルキノイル、アシルアミノ、ジアシルアミノ、アシルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、ヘテロシクロオキシ、ヘテロシクロアミノ、ハロヘテロシクロアルキル、アルキルスルフェニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルチオ、アシルチオ、ホスホノおよびホスフィニルのようなリン含有基、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アラルキル、アルキルヘテロアリール、シアノ、シアネート、イソシアネート、CO2H、CO2アルキル、C(O)NH2、-C(O)NH(アルキル)、および-C(O)N(アルキル)2から独立して選択される1個以上の基で置換されていてもよい。好ましい置換基には、ハロゲン、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6アルコキシ、ヒドロキシ(C1-6)アルキル、C3-C6シクロアルキル、C(O)H、C(O)OH、NHC(O)H、NHC(O)C1-C4アルキル、C(O)C1-C4アルキル、NH2、NHC1-C4アルキル、N(C1-C4アルキル)2、NO2、OHおよびCNが含まれる。特に好ましい置換基には、C1-3アルキル、C1-3アルコキシ、ハロゲン、OH、ヒドロキシ(C1-3)アルキル(例えば、CH2OH)、C(O)C1-C4アルキル(例えばC(O)CH3)、およびC1-3ハロアルキル(例えば、CF3、CH2CF3)が含まれる。
本発明は、その範囲内に、すべてのジアステレオマー異性体、ラセミ体、エナンチオマーおよびそれらの混合物を含める、本明細書に開示される化合物のすべての立体異性体および異性体が含まれる。本発明の化合物は不斉中心を有していてもよく、特に明記しない限り、立体異性体の混合物として、または個々のジアステレオマー、またはエナンチオマーとして存在してもよく、すべての異性体が本発明に含まれる。式Iによって記載される化合物は、シス異性体およびトランス異性体としても知られるE異性体およびZ異性体として存在し得ることもまた理解される。したがって、本開示は、それぞれの場合に応じて、例えば、E、Z、シス、トランス、(R)、(S)、(L)、(D)、(+)、および/または(-)体の化合物を含むと理解されるべきである。構造に示された特定の立体異性がない場合、ありとあらゆる可能な異性体が包含されることを理解すべきである。本発明の化合物は全ての立体配座異性体を包含する。本発明の化合物は、また、単一互変異性体および互変異性体の混合物の両方を含める、1つ以上の互変異性体で存在してもよい。本明細書に開示されている化合物の全ての多形および結晶形もまた本発明の範囲に含まれる。
本発明は、その範囲内に、異なる原子の同位体が含まれる。特定の同位体として具体的に指定されていない原子は、その原子の安定同位体を表すことを意味する。したがって、本開示は水素の重水素同位体およびトリチウム同位体が含まれると理解されるべきである。
本出願において引用された全ての参考文献は、その全体が相互参照によって具体的に援用されている。そのような文書への言及は、その文書が一般常識の一部を形成すること、または先行技術であることの承認として解釈されるべきではない。
本明細書の文脈において、「投与すること」という用語ならびに「投与する」および「投与」を含めたその用語の変形には、本発明の化合物または組成物を任意の適切な手段で生物または表面に接触、適用、送達または供給することが含まれる。 本明細書の文脈において、「治療」という用語は、病状または症状を改善する、疾患の確立を妨げる、またはそうでなければ疾患または他の望ましくない症状の進行をどのようにしても妨げる、妨害する、遅延させる、もしくは逆転させるありとあらゆる使用を指す。
本明細書の文脈において、「有効量」という用語には、その意味の中に、所望の効果をもたらすのに充分であるが非毒性の量の本発明の化合物または組成物が含まれる。したがって、「治療的に有効な量」という用語には、その意味の中に、所望の治療効果をもたらすのに充分であるが非毒性の量の本発明の化合物または組成物が含まれる。必要とされる正確な量は、治療される種、対象の性別、年齢および全身状態、治療される状態の重篤度、投与される特定の薬剤、投与方法などの要因に応じて対象ごとに異なる。したがって、正確な「有効量」を特定することは不可能である。しかしながら、任意の所定の場合について、適切な「有効量」は当業者によって決定され得る。
本発明に従う医薬組成物の「活性成分」という用語は、本発明に従うSSAO/VAP-1阻害剤および/またはSGLT2阻害剤を意味する。
本発明の範囲における「SSAO/VAP-1」という用語は、構造が血管接着タンパク質-1(VAP-1)と同一である、第一級アミンオキシダーゼ、血漿アミンオキシダーゼおよびベンジルアミンオキシダーゼとしても知られる、セミカルバジド感受性アミンオキシダーゼ(SSAO)酵素に関係する。本発明の範囲において、SSAO/VAP-1はセミカルバジド感受性アミンオキシダーゼ(SSAO)酵素を記載するために使用される。
本発明の範囲における「SSAO/VAP-1阻害剤」という用語は、セミカルバジド感受性アミンオキシダーゼ(SSAO)、特にヒトSSAOに対して阻害効果を示す化合物、特に2-置換3-ハロアリルアミン-誘導体、すなわち、2-置換3-フルオロアリルアミン-部分を有する化合物に関係する。IC50として測定されるhSSAOに対する阻害効果は、好ましくは1000nMよりも低く、さらにより好ましくは100nMよりも低く、最も好ましくは50nMよりも低い。SSAO/VAP-1阻害剤のIC50値は、通常0.01nMよりも高く、さらには0.1nM以上である。hSSAOに対する阻害効果は、特に出願WO 2013/163675号(65/69ページ)に記載されているように、文献に公知の方法によって決定することができ、その出願はその全体が参照により本明細書に援用されている。「SSAO/VAP-1阻害剤」という用語は、また、その任意の医薬的に許容される塩、そのプロドラッグ、その水和物および溶媒和物も含み、それぞれの結晶形または多形も含まれる。
本発明の範囲における「SGLT2阻害剤」という用語は、ナトリウム-グルコーストランスポーター2(SGLT2)、特にヒトSGLT2に対して阻害効果を示す化合物に関係する。IC50として測定されるhSGLT2に対する阻害効果は、好ましくは1000nMよりも低く、さらにより好ましくは100nMよりも低く、最も好ましくは50nMよりも低い。SGLT2阻害剤のIC50値は、通常、0.01nMよりも高く、さらには0.1nM以上である。hSGLT2に対する阻害効果は、特に出願WO 2005/092877号またはWO 2007/093610号(23/24ページ)記載されているように文献に公知の方法によって決定することができ、これらの出願はその全体が参照により本明細書に援用されている。「SGLT2阻害剤」という用語は、また、その任意の医薬的に許容される塩、その水和物および溶媒和物も含み、それぞれの結晶形も含まれる。
「治療」および「治療すること」という用語は、前記症状を既に発症している患者の、特に明白な形での治療的治療を含む。治療的治療は、特定の徴候の症状を軽減するための対症療法または徴候の状態を逆転させるもしくは部分的に逆転させるため、または疾患の進行を停止または減速させるための因果的治療であり得る。したがって、本発明の組成物および方法は、例えば、長期間にわたる治療的治療として、ならびに慢性治療のために使用され得る。
「予防的に治療すること」、「予防治療すること」および「予防すること」という用語は互換的に使用され、前述の状態を発症する危険性のある患者の治療を含み、従って前記危険性を減少させる。
ヒト患者の「ボディマス指数」または「BMI」という用語は、キログラム単位の体重をメートル単位の身長の二乗で割ったものとして定義され、BMIはkg/m2の単位を有する。
「過体重」という用語は、個体が25kg/m2以上で30kg/m2未満のBMIを有する状態として定義される。「過体重」および「前肥満」という用語は互換的に使用される。
「肥満」または「肥満であること」などという用語は、個体が30kg/m2以上のBMIを有する状態として定義される。WHOの定義によれば、肥満という用語は下記のように分類することができる:「クラスI肥満」という用語は、上記BMIが30kg/m2以上で、35kg/m2よりも低い状態である;「クラスII肥満」という用語は、上記BMIが35kg/m2以上で、40kg/m2よりも低い状態である;「クラスIII肥満」という用語は、上記BMIが40kg/m2以上である状態である。
適応症肥満には、特に外因性肥満、高インスリン血症性肥満、過血漿性肥満、下垂体性肥満、減血漿性肥満、甲状腺機能低下性肥満、視床下部肥満、症候性肥満、乳児肥満、上半身肥満、食事性肥満、性機能低下性肥満、中心性肥満、内臓型肥満、腹部肥満が含まれる。
「内臓型肥満」という用語は、男性で1.0以上、女性で0.8以上のウエスト対ヒップ比が測定される状態として定義される。それはインスリン抵抗性と糖尿病前症の発症のリスクを定義するものである。
「腹部肥満」という用語は、通常、胴囲が男性で>40インチまたは>102cmであり、女性で>35インチまたは>94cmである状態として定義される。日本人の民族性または日本人の患者に関しては、腹部肥満は、男性では胴囲≧85cm、女性では≧90cmと定義されている(例えば日本におけるメタボリックシンドロームの診断のための調査委員会を参照されたい)。
「正常血糖」という用語は、対象が正常範囲内の空腹時血糖濃度を有する、70mg/dL(3.89mmol/L)よりも高く、100mg/dL(5.6mmoI/L)よりも低い状態として定義される。「空腹時」という言葉は、医学用語としての通常の意味を有する。
「高血糖症」という用語は、対象が正常範囲を超える空腹時血糖濃度を有する、100mg/dL(5.6mmol/L)よりも高い状態として定義される。「空腹時」という言葉は、医学用語としての通常の意味を有する。
「低血糖症」という用語は、対象が正常範囲よりも低い血糖濃度、特に70mg/dL(3.89mmol/L)よりも低い状態として定義される。
「食後高血糖」は、対象が200mg/dL(11.11mmol/L)を超える食後2時間の血糖または血清グルコース濃度を有する状態として定義される。
「空腹時血糖障害」または「IFG」という用語は、対象が100〜125mg/dl(すなわち5.6〜6.9mmol/l)の範囲の空腹時血糖濃度または空腹時血清グルコース濃度を有し、特に110mg/dLを超えかつ126mg/dl(7.00mmol/L)未満の状態として定義される。「正常空腹時血糖」を有する対象は、100mg/dlよりも低い、すなわち5.6mmol/lよりも低い空腹時血糖濃度を有する。
「耐糖能異常」または「IGT」という用語は、対象が140mg/dl(7.78mmol/L)を超えかつ200mg/dL(11.11mmol/L)未満の食後2時間の血糖または血清グルコース濃度を有する状態と定義される。異常な耐糖能、すなわち食後2時間の血糖または血清グルコース濃度は、絶食後に75gのグルコースを摂取した2時間後の血漿1dL当たりのグルコースのmgでの血糖値として測定することができる。「正常な耐糖能」を有する対象は、食後2時間の血糖または血清グルコース濃度が140mg/dl(7.78mmol/L)よりも低い。
「高インスリン血症」という用語は、インスリン抵抗性を有する対象が、ウエスト対ヒップ比が<1.0(男性では)または<0.8(女性では)である、インスリン抵抗性を有しない正常な痩身個体よりも高い空腹時または食後血清または血漿インスリン濃度を有する状態として定義される。
「インスリン感受性」、「インスリン抵抗性改善」または「インスリン抵抗性低下」という用語は同義語であり、互換的に使用される。
「インスリン抵抗性」という用語は、血糖負荷に対する正常応答を超える循環インスリンレベルが正常血糖状態を維持するのに必要とされる状態として定義される(Ford ES, et al. JAMA.(2002) 287:356-9)。インスリン抵抗性を決定する方法は、正常血糖高インスリン血症クランプ試験である。グルコースに対するインスリンの比率は、インスリン-グルコース併用注入技術の範囲内で決定される。グルコース吸収が調査したバックグラウンドの母集団の25パーセンタイルより低い場合(WHOの定義)、インスリン抵抗性があることがわかる。クランプ試験よりもむしろ面倒ではなく、静脈内耐糖能試験の間に、血中のインスリン濃度とグルコース濃度が一定の時間間隔で測定され、これらからインスリン抵抗性が計算されるいわゆる最小モデルである。この方法では、肝と末梢のインスリン抵抗性を区別することは不可能である。
さらに、インスリン抵抗性、治療に対するインスリン抵抗性を有する患者の応答、インスリン感受性および高インスリン血症は、インスリン抵抗性の信頼できる指標である「インスリン抵抗性に対する恒常性モデル評価(HOMA-IR)」スコアを評価することによって定量することができる(Katsuki A, et al.Diabetes Care 2001; 24: 362-5)。無傷のプロインスリン対インスリンの比率(Forst et al., Diabetes 2003, 52(Suppl.1): A459)のインスリン感受性についてのHOMA指数を決定するための方法(Matthews et al., Diabetologia 1985, 28: 412-19)および正常血糖クランプ試験がさらに参照される。さらに、血漿アディポネクチンレベルは、インスリン感受性の潜在的な代用物としてモニターすることができる。恒常性評価モデル(HOMA)-IRスコアによるインスリン抵抗性の推定値は、式で計算される(Galvin P,et al.Diabet Med 1992;9:921-8):
HOMA-IR=[空腹時血清インスリン(μU/mL)]×[空腹時血漿グルコース(mmol/L)/22.5]
インスリン抵抗性は、これらの個体において、HOMA-IRスコアを計算することによって確認することができる。本発明の目的のために、インスリン抵抗性は、個体がグルコースアッセイとインスリンアッセイを実施する検査室に関して定義されるように、>4.0のHOMA-IRスコアまたは正常の上限を超えるHOMA-IRスコアを有する臨床状態として定義される。
通例、インスリン抵抗性を評価するために他のパラメータが日常の臨床診療で使用されている。例えば、増加したトリグリセリドレベルはインスリン抵抗性の存在と有意に相関するので、好ましくは、患者のトリグリセリド濃度が使用される。
インスリン抵抗性を有する可能性が高い個体は、下記の属性のうちの2つ以上を有するものである:1)過体重または肥満、2)高血圧、3)高脂血症、4)IGTもしくはIFGまたは2型糖尿病の診断をもった1人以上の第一度近親者。
IGTもしくはIFGまたは2型糖尿病の発症の素因を有する患者は、高インスリン血症を伴う正常血糖を有する患者であり、定義により、インスリン抵抗性である。インスリン抵抗性を有する典型的な患者は通常、過体重または肥満である。インスリン抵抗性が検出され得る場合、これは糖尿病前症の存在の特に強い徴候である。したがって、グルコースの恒常性を維持するためには、健康な人の2〜3倍のインスリンを必要とするが、これによって臨床症状が生じることはない。
「糖尿病前症」は、正常な耐糖能(NGT)と明白な2型真性糖尿病(T2DM)との間の中間段階を指す一般用語であり、中間高血糖症とも称される。したがって、本発明の1つの態様において、HbA1cが5.7%以上で6.5%未満である場合の個体において、「糖尿病前症」が診断される。本発明の別の態様によれば、「糖尿病前症」は、耐糖能障害(IGT)単独を有するもの、空腹時高血糖異常(IFG)単独を有するもの、またはIGTとIFGの両方を有するものの3群の個体を表す。IGTとIFGは通常は異なる病態生理学的病因を持っているが、両方の特徴を持つ混合状態も患者に存在する可能性がある。したがって、本発明の別の態様において、「糖尿病前症」を有すると診断されている患者は、IGTまたはIFGと診断された、またはIGTとIFGの両方と診断された個体である。米国糖尿病学会(ADA)による定義に従っておよび本発明の態様の文脈においては、「糖尿病前症」を有すると診断されている患者は、下記を有する個体である:
a)75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)によって測定された、空腹時血漿グルコース(FPG)濃度が<100mg/dL[1mg/dL=0.05555mmol/L]および2時間血漿グルコース(PG)濃度が≧140mg/dLと<200mg/dLの間の範囲(すなわち、IGT);または
b)75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)によって測定された、空腹時血漿グルコース(FPG)濃度が≧100mg/dLと<126mg/dLの間、および2時間血漿グルコース(PG)濃度が<140mg/dL(すなわち、IFG);または
c)75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)によって測定された、空腹時血漿グルコース(FPG)濃度が≧100mg/dLと<126mg/dLの間、および2時間血漿グルコース(PG)濃度が≧140mg/dLと<200mg/dLの間の範囲(すなわち、IGTとIFGの両方)。
「糖尿病前症」を有する患者は、2型糖尿病の発症にかかりやすい個体である。糖尿病前症は、≧100mg/dLの高い正常範囲内の空腹時血糖値を有する個体を含むようにIGTの定義を拡張する(J.B.Meigs, et al.Diabetes 2003; 52:1475-1484)。糖尿病前症を深刻な健康上の脅威として特定するための科学的および医学的根拠は、米国糖尿病学会および国立糖尿病消化器腎疾病研究所によって共同で発行された「2型糖尿病の予防または遅延」と題された意見書に記載されている(Diabetes Care 2002; 25:742-749)。
膵臓ベータ細胞の機能を調査する方法は、インスリン感受性、高インスリン血症またはインスリン抵抗性に関して上記の方法と類似している:ベータ細胞機能の改善は、例えば、ベータ細胞機能、HOMA-BについてのHOMA指数(恒常性モデル評価)(Matthews et al., Diabetologia 1985, 28: 412-19)、無傷プロインスリン対インスリンの比(Forst et al., Diabetes 2003, 52(Suppl.1): A459)、経口グルコース負荷試験または食事負荷試験後の第1および第2相インスリン分泌(Stumvoll et al., Diabetes care 2000, 23: 295-301)、経口グルコース負荷試験後のインスリン/C-ペプチド分泌を決定することによって、あるいは頻繁にサンプリングされる静脈内耐糖能試験の後に高血糖クランプ試験および/または最小モデリング(Stumvoll et al., Eur J Clin Invest 2001, 31: 380-81)を採用することによって測定することができる。
「1型糖尿病」という用語は、膵臓ベータ細胞またはインスリンに対する自己免疫の存在下で、125mg/dL(6.94mmol/L)を超える空腹時血糖または血清グルコース濃度を対象が有する状態として定義される。耐糖能試験を実施する場合、糖尿病患者の血糖値は、膵臓ベータ細胞またはインスリンに対する自己免疫の存在下、75gのブドウ糖を空腹で摂取した2時間後に、血漿1dL当たり200mg(11.1mmol/l)を超えるグルコースとなる。耐糖能試験では、10〜12時間の絶食後に75gのグルコースを試験中の患者に経口投与し、グルコースを摂取する直前および摂取1時間および2時間後に血糖値を記録する。膵臓ベータ細胞に対する自己免疫の存在は、循環膵島細胞自己抗体[「1A型真性糖尿病」]、すなわち、GAD65[グルタミン酸デカルボキシラーゼ-65]、ICA[膵島細胞質]、IA-2[チロシンホスファターゼ様タンパク質IA-2の細胞質内領域]、ZnT8[亜鉛輸送体-8]または抗インスリン;または典型的な循環自己抗体の存在を伴わない自己免疫の他の徴候[1B型糖尿病]、すなわち膵臓生検または画像化を通して検出されるもの)のうちの少なくとも1つの検出によって観察され得る。典型的には遺伝的素因が存在する(例えばHLA、INS VNTRおよびPTPN22)が、これは必ずしもそうとは限らない。
「2型真性糖尿病」または「T2DM」という用語は、対象が125mg/dL(6.94mmol/L)を超える空腹時血糖または血清グルコース濃度を有する状態として定義される。血糖値の測定は、日常的な医学的分析における標準的な手順である。耐糖能試験を実施する場合、糖尿病患者の血糖値は、75gのブドウ糖を空腹で摂取した2時間後に、血漿1dL当たり200mg(11.1mmol/l)を超えるグルコースとなる。耐糖能試験では、10〜12時間の絶食後に75gのグルコースを試験中の患者に経口投与し、グルコースを摂取する直前および摂取1時間および2時間後に血糖値を記録する。健康な対象では、グルコースを摂取する前の血糖値は、血漿1dL当たり60mgと110mgの間、グルコース摂取1時間後に1dL当たり200mg未満、および2時間後に1dL当たり140mg未満であろう。2時間後にその値が140mgと200mgの間にある場合、これは異常な耐糖能と見なされる。
「後期2型真性糖尿病」という用語には、二次性薬剤障害、インスリン療法の適応と細小血管および大血管合併症、例えば糖尿病性腎症、または冠状動脈性心疾患(CHD)に進行した患者が含まれる。
「HbA1c」という用語は、ヘモグロビンB鎖の非酵素的グリケーションの産物を指す。その決定は当業者に周知である。真性糖尿病の治療のモニタリングにおいて、HbA1c値は非常に重要である。その生産は本質的に血糖値と赤血球の寿命に依存しているので、「血糖記憶」という意味でのHbA1cは前の4〜6週間の平均血糖値を反映している。HbA1c値が集中的な糖尿病治療によって一貫してうまく調整されている(すなわち、試料中の総ヘモグロビンが<6.5%)糖尿病患者は、糖尿病性細小血管症に対して有意により良く保護されている。例えば、メトホルミンは単独で糖尿病患者のHbA1c値の平均改善を1.0〜1.5%のオーダーで達成する。HbA1C値のこの減少は、<7%または<6.5%、好ましくは<6% HbA1cの所望の目標範囲を達成するのにすべての糖尿病患者において充分ではない。
本発明の範囲における「不充分な血糖コントロール」または「不適切な血糖コントロール」という用語は、患者が6.5%よりも高く、特に7.0%よりも高く、さらにより好ましくは7.5%よりも高く、特に8%よりも高いHbA1c値を示す状態を意味する。
「シンドロームX」(代謝異常に関連して使用される場合)とも呼ばれ、「代謝異常症候群」とも呼ばれる「メタボリックシンドローム」は、基本的特徴がインスリン抵抗性である複雑な症候群である(Laaksonen DE, et al.Am J Epidemiol 2002;156:1070-7)。ATP III/NCEPガイドライン(成人における高血中コレステロールの検出、評価、および治療に関する全国コレステロール教育プログラム(NCEP)専門家委員会の第3報のエグゼクティブサマリー(成人治療パネルIII)JAMA: Journal of the American Medical Association(2001)285:2486-2497)によれば、メタボリックシンドロームの診断は、下記の3つ以上の危険因子が存在するときに行われる。
1.腹部肥満、男性では胴囲が>40インチまたは>102cm、女性では>35インチまたは>94cmと定義される;または日本人の民族集団もしくは日本人患者に関して、男性では胴囲が≧85cm、女性では≧90cmと定義される;
2.トリグリセリド:≧150mg/dL
3.HDL-コレステロール<40mg/dL、男性
4.血圧≧130/85mmHg(SBP≧130またはDBP≧85)
5.空腹時血糖≧100mg/dL
NCEPの定義は確認されている(Laaksonen DE, et al.Am J Epidemiol.(2002) 156:1070-7)。血中のトリグリセリドおよびHDLコレステロールもまた医学分析における標準的方法により決定することができ、例えばThomas L (Editor):「Labor und Diagnose」,TH-Books Verlagsgesellschaft mbH, Frankfurt/Main,2000に記載されている。
詳細な説明
本発明に従う態様、特に医薬組成物、組合せ、方法および使用は、上記および下記に定義されている通りの式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤またはその医薬的に許容される塩を指す。
上記SSAO/VAP-1阻害剤は、好ましくは、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩からなる群G1から選択される。
Figure 2019531320
(式中、
R1およびR4は、独立して、水素または置換されていてもよいC1-6-アルキルであり;
R2およびR3は、独立して、水素、塩素およびフッ素からなる群から選択されるが;R2とR3は同時に水素ではなく;
R5は、置換されていてもよいアリーレン基であり;
R6は、下記基から選択され
Figure 2019531320
R7およびR8は、独立して、水素、置換されていてもよいC1-6-アルキルおよび置換されていてもよいC3-7-シクロアルキルからなる群から選択され;
Xは、CH2、酸素、硫黄またはSO2である)。
式(I)の化合物およびその合成方法は、WO 2013/163675号に記載されている。
下記に、式(I)に従う化合物の実施態様を記載する:
一実施態様によれば、R1は水素である。
一実施態様によれば、R4は水素である。
一実施態様によれば、R2は水素であり、R3はフッ素および塩素から選択される。
別の実施態様によれば、R2はフッ素および塩素から選択され、R3は水素である。
一実施態様によれば、R5は、置換されていないフェニレン基、またはアルキル、ハロ、アルコキシおよびハロアルキルから独立して選択される1個以上の基、より好ましくはメチル、フッ素、塩素、臭素、OCH3およびCF3から独立して選択される1個以上の基で置換されたフェニレン基である;
一実態様によれば、Xは酸素である。
1つの実施態様によれば、R6は下記基である
Figure 2019531320
別の実施態様によれば、R6は下記基である
Figure 2019531320
一実施態様によれば、R7、R8は、独立して、水素およびC1-6-アルキルから選択される。
一実施態様によれば、上記SSAO/VAP-1阻害剤は、式(II)の化合物またはその医薬的に許容される塩からなる群G1.1から選択される
Figure 2019531320
(式中、
R5は、置換されていてもよいアリーレン基であり;
R6は、下記基から選択され
Figure 2019531320

R7およびR8は、独立して、水素、置換されていてもよいC1-6-アルキルおよび置換されていてもよいC3-7-シクロアルキルからなる群から選択され;
Xは、酸素である)。
この実施態様の好ましい変形によれば、上記SSAO/VAP-1阻害剤は式(II)の化合物からなる群G1.1から選択され、式中、
R5は、置換されていないフェニレン基、またはアルキル、ハロ、アルコキシおよびハロアルキルから独立して選択され、好ましくはメチル、フッ素、塩素、臭素、OCH3およびCF3から独立して選択される1個以上の基で置換されたフェニレン基であり;
R6は、下記基から選択され
Figure 2019531320

R7およびR8は、独立して、水素、置換されていてもよいC1-6-アルキルおよび置換されていてもよいC3-7-シクロアルキルからなる群から選択され;
Xは、酸素である。
この実施形態の別の好ましい変形によれば、上記SSAO/VAP-1阻害剤は式(II)の化合物からなる群G1.1から選択され、式中、
R5は、置換されていないフェニレン基、またはアルキル、ハロ、アルコキシおよびハロアルキルから独立して選択される1個以上の基、好ましくはメチル、フッ素、塩素、臭素、OCH3およびCF3から独立して選択される1個以上の基で置換されたフェニレン基であり;
R6は、下記基から選択され
Figure 2019531320
;
R7およびR8は、独立して、水素およびC1-6アルキルからなる群から選択され;
Xは、酸素である。
式(I)の好ましいSSAO/VAP-1阻害剤化合物は、表1に記載の化合物(1)〜(39)またはそれらの医薬的に許容される塩からなる群G1.2から選択される。
表1

Figure 2019531320

Figure 2019531320

Figure 2019531320

Figure 2019531320

Figure 2019531320

Figure 2019531320
本発明に従うSSAO/VAP-1阻害剤は、ヒトSSAO/VAP-1酵素の強力な阻害剤であり、非常に有利な薬理学的特性と安全性を有する。これらの化合物は、モノアミンオキシダーゼA、モノアミンオキシダーゼB、ジアミンオキシダーゼ、リシルオキシダーゼ、およびリシル様アミンオキシダーゼLOX1-4のような他のファミリーメンバーの非常に弱い阻害剤である。好ましいSSAO/VAP-1阻害剤、特に式(II)のもの、例えば化合物(23)は、ヒトSSAO/VAP-1に対する高い阻害効力およびヒトジアミンオキシダーゼに対する低い阻害活性を有する。
式(II)のSSAO/VAP-1阻害化合物は、好ましくは、表1の化合物(3)、(11)、(13)、(14)、(17)、(19)、(21)、(23)、(24)、(25)、(28)、(30)、(32)および(39)、またはそれらの医薬的に許容される塩からなる群G1.3から選択される。
式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤化合物は、例えば、表1の化合物(23)、(E)-4-(2-(アミノメチル)-3-フルオロアリルオキシ)-N-tert-ブチルベンズアミドまたはその医薬的に許容される塩である。
本発明によれば、式(I)の上記に列挙されたSSAO/VAP-1阻害剤の定義は、それらの医薬的に許容される塩、それらの溶媒和物および多形形態、ならびにそれらのプロドラッグも含むことを理解されたい。
一実施態様によれば、医薬的に許容される塩は酸付加塩である。上記酸付加塩は、例えば、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩および酒石酸塩からなる群から選択される。上記酸付加塩は、さらにより好ましくは塩酸塩である。式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤の医薬的に許容される塩の例は、(E)-4-(2-(アミノメチル)-3-フルオロアリルオキシ)-N-tert-ブチルベンズアミド塩酸塩、すなわち表1の化合物(23)の塩酸塩である。
本発明に従う態様、特に医薬組成物、方法および使用は、SGLT2阻害剤に言及している。下記に、本発明に従う好ましいSGLT2阻害剤を記載する。
上記SGLT2阻害剤は、好ましくは、エンパグリフロジン、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、イプラグリフロジン、トホグリフロジン、ルセオグリフロジン、アチグリフロジン、レモグリフロジン、セルグリフロジン、エルツグリフロジンおよびソタグリフロジンである。
上記SGLT2阻害剤は、より好ましくは、エンパグリフロジン、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、イプラグリフロジン、トホグリフロジン、ルセオグリフロジンからなる群G2.1から選択される。
好ましいSGLT2阻害剤は、SGLT1に対してSGLT2に高い選択性を有し(Grempler et al., Diabetes, Obesity and Metabolism, 2012, 14, 83-90)、心血管イベントの危険性が高い2型真性糖尿病を有する患者において一次複合心血管転帰およびあらゆる原因による死亡率が有意に低い(Zinman,et al,N.Engl.J.Med.2015,373,2117-2128)。
本明細書に用いられる「エンパグリフロジン」という用語は、エンパグリフロジンを指し、その水和物および溶媒和物、ならびにその結晶形が含まれる。この化合物およびその合成方法は、例えば、WO 2005/092877号、WO 2006/120208号、WO 2011/039108号に記載されている。結晶形は、例えば特許出願WO 2006/117359号、WO 2011/039107号に記載されている。
本明細書に用いられる「ダパグリフロジン」という用語は、ダパグリフロジンを指し、その水和物および溶媒和物、ならびにその結晶形が含まれる。この化合物およびその合成方法は、例えばWO 03/099836号に記載されている。好ましい水和物、溶媒和物および結晶形は、例えば特許出願WO 2008/1 16179号およびWO 2008/002824号に記載されている。
本明細書に用いられる「カナグリフロジン」という用語は、カナグリフロジンを指し、その水和物および溶媒和物、ならびにその結晶形が含まれる。この化合物およびその合成方法は、例えばWO 2005/012326号およびWO 2009/035969号に記載されている。好ましい水和物、溶媒和物および結晶形は、例えば特許出願WO 2008/069327号に記載されている。
本明細書に用いられる「イプラグリフロジン」という用語は、イプラグリフロジンを指し、その水和物および溶媒和物、ならびにその結晶形が含まれる。この化合物およびその合成方法は、例えばWO 2004/080990号に記載されている。
本明細書に用いられる「トホグリフロジン」という用語は、トホグリフロジンを指し、その水和物および溶媒和物、ならびにその結晶形が含まれる。この化合物およびその合成方法は、例えばWO 2006/080421号、WO 2007/140191号、WO 2009/154276号に記載されている。
本明細書に用いられる「ルセオグリフロジン」という用語は、ルセオグリフロジンを指し、その水和物および溶媒和物、ならびにその結晶形が含まれる。この化合物およびその合成方法は、例えばWO 2006/073197号、WO 2010/119990号に記載されている。
本明細書で用いられる「アチグリフロジン」という用語は、アチグリフロジンを指し、その水和物および溶媒和物、ならびにその結晶形が含まれる。この化合物およびその合成方法は、例えばWO 2004/007517号に記載されている。
本明細書に用いられる「レモグリフロジン」という用語は、レモグリフロジンおよびレモフロジンのプロドラッグ、特にセルグリフロジンエタボネートを指し、その水和物および溶媒和物、ならびにその結晶形が含まれる。その合成方法は、例えば特許出願EP 1213296号およびEP 1354888号に記載されている。
本明細書に用いられる「セルグリフロジン」という用語は、セルグリフロジンおよびセルグリフロジンのプロドラッグ、特にセルグリフロジンエタボネートを指し、その水和物および溶媒和物、ならびにその結晶形が含まれる。その製造方法は、例えば特許出願EP 1344780号およびEP 1489089号に記載されている。
本明細書に用いられる「エルツグリフロジン」という用語は、エルツグリフロジンを指し、その水和物および溶媒和物、ならびにその結晶形が含まれる。その製造方法は、例えば特許出願WO 2010/023594に記載されている。
本明細書で用いられる「ソタグリフロジン」という用語は、ソタグリフロジンを指し、その水和物および溶媒和物、ならびにその結晶形が含まれる。その製造方法は、例えば特許出願WO 2008/109591号、WO 2008/042688号、WO 2009/014970号、WO 2010/009197号に記載されている。
疑いを避けるために、特定のSGLT2阻害剤に関連して上記に引用した前述の各文献の開示は、その全体が参照により本明細書に具体的に援用されている。
第1の実施態様E1において、本発明に従う医薬の組合せ又は医薬組成物、方法および使用は、好ましくは、下記化合物またはその医薬的に許容される塩からなる群G1から選択される式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤に関する。
Figure 2019531320
(式中、R1〜R6およびXは上で定義した通りである)。
一実施態様によれば、上記SSAO/VAP-1阻害剤は、上記で定義された通りの式(II)の化合物またはその医薬的に許容される塩からなる群G1.1から選択される。より好ましくは、式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤は、上記に定義されている通りの化合物(1)〜(39)またはその医薬的に許容される塩からなる群G1.2から選択される。さらにより好ましくは、式(II)のSSAO/VAP-1阻害剤は、上記に定義されている通りの化合物(3)、(11)、(13)、(14)、(17)、(19)、(21)、(23)、(24)、(25)、(28)、(30)、(32)および(39)またはそれらの医薬的に許容される塩からなる群G1.3から選択される。例えば、上記SSAO/VAP-1阻害剤は、上記で定義された通りの化合物(23)(E)-4-(2-(アミノメチル)-3-フルオロアリルオキシ)-N-tert-ブチルベンズアミドまたはその医薬的に許容される塩である。化合物(23)の医薬的に許容される塩の例は、(E)-4-(2-(アミノメチル)-3-フルオロアリルオキシ)-N-tert-ブチルベンズアミド塩酸塩である。
第1の実施態様E1において、本発明に従う医薬の組合せまたは医薬組成物、方法および使用は、好ましくは、上記に定義されている通りのエンパグリフロジン、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、イプラグリフロジン、トホグリフロジン、ルセオグリフロジン、アチグリフロジン、レモグリフロジン、セルグリフロジン、エルツグリフロジンおよびソタグリフロジンからなる群G2から選択されるSGLT2阻害剤に関する。上記SGLT2阻害剤は、好ましくは、エンパグリフロジン、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、イプラグリフロジン、トホグリフロジン、ルセオグリフロジンからなる群G2.1から選択される。例えば、上記SGLT2阻害剤はエンパグリフロジンである。
第1の実施態様E1によれば、上記SGLT2阻害剤は、好ましくは、表2の記載に従って選択される。
表2

Figure 2019531320
表2に列挙された本発明に従う組合せの中で、式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤が群G1、G1.1、G1.2またはG1.3の化合物、またはその立体異性体、医薬的に許容される塩、溶媒和物および多形形態またはそれらのプロドラッグであり、上記SGLT2阻害剤がエンパグリフロジンまたはその医薬的に許容される塩である場合、組合せ番号E1.9、E1.10、E1.11およびE1.12が好ましい。特に、式(II)のSSAO/VAP-1阻害剤が表1の化合物(23)、(E)-4-(2-(アミノメチル)-3-フルオロアリルオキシ)-N-tert-ブチルベンズアミドまたはその医薬的に許容される塩であり、上記SGLT2阻害剤がエンパグリフロジンであるE1.15が好ましい。
一態様によれば、本発明は、それを必要とする患者における1種以上の線維性疾患、代謝性疾患、炎症性疾患、眼疾患、神経炎症性疾患または癌を予防し、進行を減速させ、遅延させまたは治療するための方法であって、上記および下記に定義されている通りの式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤と上記および下記に定義されている通りのSGLT2阻害剤とを、例えば組合せてまたは交互に、上記患者に投与することを特徴とする、前記方法に関する。
この態様の一実施態様によれば、本発明は、それを必要とする患者における嚢胞性線維症、間質性肺疾患(特発性肺線維症を含める)、肝線維症(非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコール性脂肪肝、アルコール性肝線維症、毒物性脂肪肝および肝硬変を含める)、腎線維症、強皮症、放射線線維症ならびに過度の繊維形成が病因に関与する他の疾患からなる群から選択される線維性疾患を予防し、進行を減速させ、遅延させまたは治療するための方法であって、上記および下記に定義されている通りの式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤と上記および下記に定義されている通りのSGLT2阻害剤とを、例えば組合せてまたは交互に、上記患者に投与することを特徴とする、前記方法に関する。
この態様の実施態様によれば、本発明は、それを必要とする患者における真性糖尿病前症、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病、真性糖尿病に関連する合併症、過体重、肥満、耐糖能異常(IGT)、空腹時血糖障害(IFG)、高血糖、食後高血糖、インスリン抵抗性、脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、過体重、肥満、メタボリックシンドロームを含める)からなる群から選択される代謝性疾患を予防し、進行を減速させ、遅延させまたは治療するのための方法であって、上記および下記に定義されている通りの式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤と上記および下記に定義されている通りのSGLT2阻害剤とを、例えば組合せてまたは交互に、上記患者に投与することを特徴とする、前記方法に関する。
真性糖尿病に関連する合併症には、白内障ならびに糖尿病性腎症、糸球体硬化症、糖尿病性網膜症、脈絡膜血管新生、非アルコール性脂肪肝(NAFL)疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、糖尿病性神経障害、糖尿病性疼痛、組織虚血、糖尿病足、糖尿病性潰瘍、動脈硬化症、心筋梗塞、急性冠症候群、不安定狭心症、安定狭心症、脳卒中、末梢動脈閉塞疾患、心筋症、心不全、心血管死、心臓リズム障害および血管再狭窄のような微小血管症および大血管症が含まれる。
代謝性疾患の治療に関係する別の実施態様によれば、本発明は、それを必要とする患者における血糖コントロールを改善するため、および/または空腹時血漿グルコース、食後血漿グルコースおよび/またはグリコシル化ヘモグロビンHbA1cを低減させるための方法であって、上記および下記に定義されている通りの式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤と上記および下記に定義されている通りのSGLT2阻害剤とを、例えば組合せてまたは交互に、上記患者に投与することを特徴とする、前記方法を提供する。
本発明に従う医薬の組合せまたは医薬組成物の投与により、異所性脂肪、特に肝臓の異常な蓄積を減少または抑制することができる。したがって、本発明の別の実施態様によれば、それを必要とする患者における異所性脂肪、特に肝臓の異常な蓄積に起因する疾患または状態からなる群から選択される代謝性疾患を予防し、減速させ、遅延させまたは治療するための方法であって、上記および下記に定義されている通りの式(I)のヒトSSAO/VAP-1酵素と上記および下記に定義されている通りのSGLT2阻害剤とを上記患者に投与することを特徴とする、前記方法が提供される。肝臓脂肪の異常な蓄積に起因する疾患または状態は、特に、一般的な脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFL)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、過栄養誘発性脂肪肝、糖尿病性脂肪肝、アルコール性脂肪肝および中毒性脂肪肝からなる群から選択される。
この態様の別の実施態様によれば、本発明は、それを必要とする患者における関節炎(若年性関節リウマチを含める)、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患(例えば、過敏性腸疾患)、乾癬、喘息(例えば、好酸球性喘息、重症喘息、ウイルス性喘息増悪)、肺炎症、慢性肺閉塞性疾患(COPD)、気管支拡張症、皮膚炎、眼疾患、接触性皮膚炎、肝炎、肝自己免疫疾患、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、自己免疫性胆管炎、アルコール性肝疾患、アテローム性動脈硬化症、慢性心不全、鬱血性心不全、虚血性疾患、脳卒中およびその合併症、心筋梗塞およびその合併症、脳卒中後の炎症性細胞破壊、滑膜炎、全身性炎症の敗血症、糖尿病による炎症、嚢胞性線維症に関連する肺炎症、敗血症のような他の細菌性肺疾患、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、急性肺損傷(ALI)、輸血誘発性肺損傷(TRALI)からなる群から選択される炎症性疾患を予防し、進行を減速させ、遅延させまたは治療するための方法であって、上記および下記に定義されている通りの式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤と上記および下記に定義されている通りのSGLT2阻害剤とを、例えば組合せてまたは交互に、上記患者に投与することを特徴とする、前記方法に関する。
この態様の別の実施態様によれば、本発明は、それを必要とする患者における糖尿病性黄斑浮腫を含める黄斑変性症、ブドウ膜炎および糖尿病性網膜症を含める網膜症が含まれる眼疾患を予防し、進行を減速させ、遅延させまたは治療するための方法であって、上記および下記に定義されている通りの式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤と上記および下記に定義されている通りのSGLT2阻害剤を、例えば組合せてまたは交互に、上記患者に投与することを特徴とする、前記方法に関する。
この態様の別の実施態様によれば、本発明は、それを必要とする患者における脳卒中、パーキンソン病、アルツハイマー病、血管性痴呆、多発性硬化症、慢性多発性疾患からなる群から選択される神経炎症性障害を予防し、進行を減速させ、遅延させまたは治療するための方法であって、上記および下記に定義されている通りの式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤と上記および下記に定義されている通りのSGLT2阻害剤を、例えば組合せてまたは交互に、上記患者に投与する、前記方法に関する。
この態様の別の実施態様によれば、本発明は、それを必要とする患者における肺癌、乳癌、結腸直腸癌、肛門癌、膵臓癌、前立腺癌、卵巣癌、肝臓癌、胆管癌、食道癌、非ホジキンリンパ腫、膀胱癌、子宮癌、神経膠腫、神経膠芽腫、髄芽腫、および他の脳の腫瘍、腎臓癌、頭頸部癌、胃癌、多発性骨髄腫、精巣癌、胚細胞腫瘍、神経内分泌腫瘍、子宮頸癌、消化管、乳房および他の臓器のカルチノイド;印環細胞癌、肉腫を含める間葉腫、線維肉腫、血管腫、血管腫症、血管周囲細胞腫、偽性血管腫間質増殖症、筋線維芽細胞腫、線維腫症、炎症性筋線維芽細胞腫、脂肪腫、血管脂肪腫、顆粒状細胞腫、神経膠腫、シュワン細胞腫、血管肉腫、脂肪肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、平滑筋腫または平滑筋肉腫からなる群から選択される癌を予防し、進行を減速させ、遅延させまたは治療するための方法であって、上記および下記に定義されている通りの式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤と上記および下記に定義されている通りのSGLT2阻害剤とを、例えば組合せてまたは交互に、上記患者に投与することを特徴とする、前記方法に関する。
本発明に従う上記および下記に定義されている通りの式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤とSGLT2阻害剤との組合せは、上記および下記に言及される疾患、特に糖尿病および糖尿病関連合併症の種々の態様を著しく改善する。1つの態様によれば、本発明に従う組合せによる患者の治療は、微小血管性および大血管性の合併症、脂質異常症ならびにベータ細胞不全の主な要因である高血糖症を正常化するであろう。別の態様によれば、本発明に従う組合せによる患者の治療は、組織の炎症および白血球の動員を減少させ、メタボリックシンドロームおよび糖尿病合併症に関連した炎症誘発性状態を減少させるであろう。本発明に従う組合せを用いる治療は、糖尿病の根本的原因ならびに糖尿病に関連する症状および合併症の炎症誘発性の推進力を減少させるであろう。さらに、この組合せは、疾患の消散の促進、または単一の作用機序では達成されない症状および合併症の改善につながる可能性がある。これには、インスリン感受性のようなメタボリックシンドロームのパラメータに対する影響、体重減少に対する影響、脂質異常症、肝疾患のパラメータ、糖尿病性網膜症および心血管系の影響が含まれ得るがこれらに限定されない。さらに、特に糖尿病の状況では、疼痛の改善、創傷治癒および末梢神経過敏性の改善がもたらされる可能性がある。
本発明が治療または予防を必要とする患者に言及するとき、それは主にヒトにおける治療および予防に関するが、上記医薬組成物はそれに応じて哺乳動物の動物薬においても使用され得る。本発明の範囲において、成人患者は、好ましくは18歳以上の年齢のヒトである。また本発明の範囲において、患者は青年期のヒト、すなわち10〜17歳、好ましくは13〜17歳のヒトである。
本発明に従う医薬の組合せまたは医薬組成物、方法および使用は、下記の症状のうちの1つ、2つまたはそれ以上を示す患者に有利に適用可能である:
(a)糖尿病前症
(b)高インスリン血症
(c)2型真性糖尿病
(d)1型真性糖尿病
(d)過体重
(e)肥満。
上記患者に投与され、本発明に従う治療または予防での使用に必要とされる本発明に従う医薬組成物の量は、投与経路、治療または予防が必要とされる状態の種類と重症度、患者の年齢、体重および状態、併用薬によって変動し、最終的には主治医の裁量に委ねられることが理解されよう。
下記には、本発明に従う医薬の組合せまたは医薬組成物ならびに方法および使用に用いられる上記および下記に定義されている通りの式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤と上記および下記に定義されている通りのSGLT2阻害剤の量の好ましい範囲が記載される。これらの範囲は、成人患者、特に人間に対して、例えば体重約70kgに対して1日当たり投与される量を意味し、それに応じて1日2、3、4またはそれ以上の投与回数に関しておよび他の投与経路に関しておよび患者の年齢に関して適合させることができる。投与量と量の範囲は、個々の活性部分について計算される。
本発明の範囲内で、上記医薬組成物は、好ましくは経口投与される。他の投与形態も可能であり、下記に記載する。好ましくは、上記SSAO/VAP-1阻害剤と上記SGLT2阻害剤とを含む1つ以上の剤形は経口投与用の固形医薬剤形である。
1つの実施態様において、治療的に有効な投与量は、約0.1ng/mLから約50〜100μg/mLまでの上記SSAO/VAP-1阻害剤の血清濃度を生じるべきである。別の実施態様において、医薬の組合せまたは医薬組成物は、1日当たり体重1キログラム当たり約0.001mg〜約100mgの上記SSAO/VAP-1阻害剤の投与量を与えるべきである。医薬剤形は、医薬剤形当たり約0.1mg〜約500mgまたは約10mg〜約500mgの上記SSAO/VAP-1阻害剤を与えるように調製される。
前記量の投与は、好ましくは、1日1回、2回または3回である。上記および下記に定義されている通りの式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤に適切な製剤は、出願WO 2013/163675号に開示されている製剤であり得、この開示内容はその全体が本明細書に援用されている。
一般に、本発明に従う医薬組成物および方法におけるSGLT2阻害剤の量は、好ましくは、上記SGLT2阻害剤を使用する単独療法に通常推奨される量である。
上記SGLT2阻害剤の好ましい投与量範囲は、1日当たり0.5mg〜200mg、さらにより好ましくは1mg〜100mg、最も好ましくは1〜50mgの範囲である。経口投与が好ましい。したがって、医薬組成物は、前述の量、特に1〜50mgまたは1〜25mgを含み得る。特定の有効性成分含量(例えば錠剤またはカプセル当たり)は、例えば1、2.5、5、7.5、10、12.5、15、20、25または50mgの、特にエンパグリフロジン、またはダパグリフロジンである。エンパグリフロジンの1日当たりの量または有効性成分含量の例は、本発明に従う組合せ、組成物、方法または使用において、1mg、2.5mg、5mg、10mgおよび25mgである。活性成分の適用は、1日に1回または2回行われ得る。エンパグリフロジンの適切な製剤は、出願WO 2010/092126号に開示されている製剤であり得、その開示内容はその全体が本明細書に援用されている。
本発明に従う医薬の組合せまたは医薬組成物ならびに方法および使用における式(I)に従うSSAO/VAP-1阻害剤およびSGLT2阻害剤の量は、前述のそれぞれの投与量範囲に対応する。例えば、本発明に従う医薬組成物ならびに方法および使用における好ましい投与量範囲は、式(I)に従うSSAO/VAP-1阻害剤、特にエンパグリフロジンの約0.1mg〜約500mgまたは約10mg〜約500mgの量、および式(I)に従うSGLT2阻害剤、特にエンパグリフロジンの1〜50mg (特に1〜25mg)、例えば10mgまたは25mgの量である。1日1回または2回の経口投与が好ましく、最も好ましくは1日1回である。
本発明に従う方法および使用において、式(I)に従うSSAO/VAP-1阻害剤およびSGLT2阻害剤は組合せてまたは交互に投与される。「組合せて投与」という用語は、活性成分が同じ時間に、すなわち同時に、または本質的に同じ時間に投与されることを意味する。「交互に投与」という用語は、最初に一方の活性成分が投与され、ある時間後にもう一方の活性成分が投与されることを意味する。その時間は、30分から12時間までの範囲であり得る。組合せてまたは交互に行われる投与は、1日1回、2回、3回または4回、好ましくは1日1または2回、最も好ましくは1日1回であり得る。
式(I)に従うSSAO/VAP-1阻害剤およびSGLT2阻害剤の投与に関して、この2つの活性成分は1つの単一剤形、例えば1つの錠剤またはカプセル中に存在してもよく、あるいはこれらの活性成分は別々の剤形で、例えば2つの異なる剤形または同一の剤形で存在してもよい。
それらの交互に投与に関しては、これらの活性成分は別々の剤形、例えば2つの異なる剤形または同一の剤形で存在する。
したがって、本発明に従う医薬組成物は、式(I)に従う上記SSAO/VAP-1阻害剤および上記SGLT2阻害剤を含む単一剤形として存在してもよい。あるいは、本発明に従う医薬組成物は、一方の剤形が式(I)に従う上記SSAO/VAP-1阻害剤を含み、もう一方の剤形が上記SGLT2阻害剤を含む2つの別々の剤形として存在してもよい。
一方の活性成分が、例えば1日1回の投与を必要とするもう一方の活性成分よりも頻繁に、例えば1日2回投与されなければならない場合が起こり得る。したがって、「組合せてまたは交互に投与」という用語は、最初にすべての活性成分を組合せてまたは交互に投与し、ある時間後に一方の活性成分のみを再度投与するかあるいは逆もまた同様に投与される。
したがって、本発明は、一方の剤形が式(I)に従う上記SSAO/VAP-1阻害剤と上記SGLT2阻害剤とを含み、もう一方の剤形が式(I)に従う上記SSAO/VAP-1阻害剤のみを含む、別々の剤形で存在する医薬組成物も含める。
別々のまたは複数の剤形として、好ましくは部品のキットとして存在する医薬組成物は、患者の個々の治療必要性に柔軟に適合するための併用治療において有効である。
第1の実施態様によれば、好ましい部品キットは下記を含む
(a)式(I)に従う上記SSAO/VAP-1阻害剤および少なくとも1種の医薬的に許容される担体を含む剤形を含有する第1の容器、および
(b)上記SGLT2阻害剤および少なくとも1種の医薬的に許容される担体を含む剤形を含有するさらなる容器。
本発明のさらなる態様は、本発明に従う別々の剤形として存在する医薬組成物と、別々の剤形を組み合わせてまたは交互に投与するという説明書を含むラベルまたは添付文書とを含む製品である。
第1の実施態様によれば、製品は、(a)本発明に従う式(I)に従うSSAO/VAP-1阻害剤を含む医薬組成物、および(b)その医薬が、本発明に従うSGLT2阻害剤を含む医薬と、例えば組合せてまたは交互に、投与されてもよく、あるいは投与すべきであるという説明書を含むラベルまたは添付文書を含む。
第2の実施態様によれば、製品は、(a)本発明に従うSGLT2阻害剤を含む医薬組成物、および(b)その医薬が、本発明に従う式(I)の本発明に従うSSAO/VAP-1阻害剤を含む医薬と、例えば組合せてまたは交互に、投与されてもよく、あるいは投与すべきであるという説明書を含むラベルまたは添付文書を含む。
本発明に従う医薬組成物の所望の投与量は、1日1回または適当な間隔で投与される分割投与量として、例えば1日当たり2回、3回またはそれ以上の投与量として都合よく存在してもよい。
上記医薬組成物は、経口、直腸、経鼻、局所(口腔内および舌下を含める)、経皮、膣内または非経口(筋肉内、皮下および静脈内を含める)投与用に液体または固体形態または吸入または吹送投与による投与に適した形態で処方され得る。経口投与が好ましい。製剤は、適切な場合には、別々の投与単位で都合よく存在してもよく、薬学の分野で周知の方法のいずれによって調製されてもよい。全ての方法には、上記活性成分を、液体担体もしくは微粉固体担体またはその両方のような1種以上の医薬的に許容される担体と混合する工程、次いで必要ならば生成物を所望の製剤に成形する工程が含まれる。
上記医薬組成物は、錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤、カプレット剤、ソフトカプセル剤、丸剤、経口液剤、シロップ剤、ドライシロップ剤、チュアブル錠、トローチ剤、発泡錠、滴剤、懸濁液、即溶タブレット錠、口腔内速分散錠などの形で製剤化され得る。
上記医薬組成物および上記剤形は、好ましくは、1種以上の医薬的に許容できる担体を含んでいる。好ましい担体は、製剤の他の成分と相溶性があり、そのレシピエントに有害ではないという意味で「許容される」ものでなければならない。医薬的に許容される担体の例は当業者に知られている。
経口投与に適した医薬組成物は、それぞれが所定量の上記活性成分を含有する軟ゼラチンカプセル剤を含めるカプセル剤、カシェ剤または錠剤;散剤または顆粒剤;溶液、懸濁液またはエマルジョン、例えばシロップ剤、エリキシル剤または自己乳化送達システム(SEDDS)のような個別の単位として都合よく存在し得る。上記活性成分は、また、ボーラス、舐剤またはペーストとして存在してもよい。経口投与用の錠剤およびカプセル剤は、結合剤、増量剤、滑沢剤、崩壊剤、または湿潤剤のような従来の賦形剤を含有してもよい。錠剤は当該技術において周知の方法に従ってコーティングされてもよい。経口液体製剤は、水性または油性懸濁液剤、液剤、シロップ剤またはエリキシル剤の形であってもよく、あるいは使用前に水または他の適切なビヒクルで構成するための乾燥製品として存在してもよい。そのような液体調製物は、懸濁剤、乳化剤、非水性ビヒクル(食用油を含めてもよい)、または保存剤のような従来の添加剤を含有してもよい。
本発明に従う医薬組成物は、また、非経口投与(例えば注射、例えばボーラス注射または連続注入による)のために製剤化されてもよく、保存剤を添加したアンプル、プレフィルドシリンジ、小容量注入容器または多回投与容器での単位用量形態で存在してもよい。上記組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液剤、液剤または乳剤のような形態をとってもよく、懸濁剤、安定剤および/または分散剤のような処方剤を含有してもよい。あるいは、上記活性成分は、使用前に適切なビヒクル、例えば無菌の発熱物質を含まない水で構成するために、無菌の固体を無菌的に単離することによって、または溶液から凍結乾燥することによって得られる粉末形態であってもよい。
担体が固体である直腸投与に適した医薬組成物は、最も好ましくは単位用量坐剤として存在する。適切な担体としては、カカオバターおよび当該技術において一般に使用される他の材料が挙げられ、坐剤は、活性化合物と軟化担体または融解担体とを混合し、続いて金型中で冷却および成形することによって都合よく形成されてもよい。
式(I)に従うSSAO/VAP-1阻害剤の合成方法は、WO2013/163675号に記載されており、その開示内容は本明細書に援用されている。
SGLT2阻害剤の合成方法は、科学文献および/または公開された特許文書、特に上記で引用したものに記載されている。
エンパグリフロジンに関して、合成方法は当業者に知られている。有利には、本発明に従う化合物は、文献に記載されているような、特にWO 2005/092877号、WO 2006/120208号およびWO 2011/039108号に記載されているような合成方法を使用して調製することができ、これらの開示内容は本明細書に援用されている。有利な結晶形は、国際特許出願WO 2006/117359号およびWO 2011/039107号に記載されており、これらはその全体が本明細書に援用されている。
本発明の範囲内の上記の組合せおよび方法のいずれも、当該技術において公知の動物モデルによって試験することができる。下記に、本発明に従う医薬組成物および方法の薬理学的に関連する特性を評価するのに適したインビボ実験、糖尿病、糖尿病由来の合併症、眼疾患、組織線維症、炎症または癌の分析を可能にする適切な種における動物実験を記載する。
モデルには、原則として、遺伝的素因および特定の食事療法、外科手術、もしくは毒性物質またはそれらの組合せのような治療法が含まれ得る。糖尿病のモデルには、db/dbマウス、KKAyマウスおよび他のマウス系統、ZDFラットおよび他のラット系統のような遺伝的に誘発された糖尿病、ラットまたはマウスにおける食事誘発糖尿病、年齢誘発糖尿病、またはストレプトゾトシンのような毒性物質誘発糖尿病およびこれらの組合せが含まれ得るが、これらに限定されない。眼疾患のモデルには、マウスにおける酸素誘発性網膜症モデルのモデル、糖尿病誘発性網膜症、およびレーザー誘発性脈絡膜血管新生または網膜静脈閉塞モデルのような損傷誘発性眼疾患のモデルのような血管構造透過性および血管形成の研究が含まれ得るが、これらに限定されない。慢性腎臓病のモデルには、高脂肪食のような特定の食事で治療されたZSFラットが含まれ得る。アテローム性動脈硬化症のモデルには、ApoEマウスなどが含まれ、動脈硬化促進性の食事療法も含まれ得る。炎症のモデルには、LPSやたばこの煙、ウイルスや細菌の標品、サイトカインなどのような有毒物質の点滴や吸入によって引き起こされる肺の炎症が含まれ得る。組織の炎症には、上記の試薬の注射または局所投与が含まれ得る。神経炎症のモデルには、上記の治療法ならびにAベータおよび/またはタウタンパク質の突然変異について陽性のトランスジェニック動物が含まれ得る。線維症のモデルには、高脂肪食、メチオニン-コリン欠乏食、コリン欠乏アミノ酸確定食およびコレステロールを多く含む食餌のような食餌プロトコールによって誘導される肝線維症のモデルが含まれ得るが、これらに限定されない。さらなる処置には、テトラクロロカーボン、チオアセトアミド、リポ多糖、デキストラン硫酸のような肝臓毒性物質、およびそれらの組合せが含まれる。上記のプロトコールでの処置にはMdr2ノックアウトマウスのような自然発生的な肝線維症を発症する遺伝子株、またはNrf2ノックアウトマウスのような肝線維症に感受性を与える系統。最後のモデルには、肝線維症の発生のための胆管結紮のような手術プロトコール手術が含まれる。他の組織線維症モデルには、ブレオマイシンのような毒性物質によって誘発される肺線維症、または片側性尿管閉塞(UUO)手術を含める腎臓線維症が含まれ得る。
薬理学的実施例
下記の実施例は、本発明に従う組合せおよび医薬組成物の血糖コントロール、体重、体組成ならびに抗炎症効果および抗線維化効果に対する有益な効果を示す。
実施例1:動物のインビボ実験
動物の治療
C57BL/6マウスを、温度(23±2℃)、湿度(45±10%)、照明(12時間の人工明暗周期)および空気交換の制御条件下に維持する。糖尿病依存性NASH表現型の誘導(Teruo Jojima et al., Diabetol Metab Syndr (2016) 8:45)は、生後2日のストレプトゾトシン(200μg、Sigma-Aldrich、米国)溶液の単回皮下注射ならびに高脂肪食(HFD、57kcal%脂肪、カタログ番号:HFD32、CLEA Japan、日本)による給餌および4週齢後の飲料水の自由摂取によって達成される。このマウスモデルは8週齢までにNAFLDからNASHに進行する。
ビヒクル、化合物(23)(塩酸塩の形態)およびエンパグリフロジンを、7週目から10週目までの明周期の終わりに10mL/kg体重の量でマウスに経口投与する。投与群には10匹の雄動物が含まれる。例えば、化合物(23)(HCl塩として)の投薬は、1日1回、2mg/kgおよびエンパグリフロジンについては10mg/kgである。この組合せには、化合物(23)(HCl塩として)(2mg/kg)およびエンパグリフロジン(10mg/kg)が含まれる。
体重と食物摂取量
体重ならびに食物および水の摂取量データを記録する。体重分析の場合、1日目の体重(すなわち、最初の薬剤治療の直前の体重)が共変量である。食物と水の摂取量分析の場合、共変量は研究のベースライン段階中の1日の平均摂取量である。
血漿生化学の測定
血漿生化学のためには、抗凝固剤(Novo-Heparin;Mochida Pharmaceutical、日本)をコーティングしたシリンジを用いて心臓穿刺により血液を集める。4℃で15分間、1,000×gで遠心分離することによって血漿を生成させる。血漿試料を直ちに凍結し、分析の直前に解凍する。アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、トリグリセリド(TG)、遊離脂肪酸(FFA)、および糖化アルブミン(GA)の血中濃度を自動分析装置(JEOL Ltd.、東京、日本)により測定する。さらなる血漿パラメータは市販のキット、例えばグルコース(Thermo Electron Corp.、ペンシルバニア州、米国)およびインスリン(Mercodia、ウプサラ、スウェーデン)によって分析する。血液(EDTAチューブに集められ、直ちに凍結される)は直接酵素アッセイ(Diazyme、カリフォルニア州、米国)によりHbA1cについて分析する。
肝臓TGの測定
肝臓の総脂質抽出物は、Folchの方法(Folch J.et al, J Biol Chem 1957;226:497)によって得られる。肝臓試料をクロロホルム-メタノール(2:1、v/v)中でホモジナイズし、室温で12時間インキュベートする。クロロホルム-メタノール-水(8:4:3、v/v/v)で洗浄した後、試料を蒸発乾固させ、その後イソプロパノールに溶解させる。総TG含有量は、トリグリセリドEテスト(和光純薬工業)によって測定される。
組織病理学的分析および免疫組織化学的分析
組織切片を、ブアン液に前固定した肝臓試料のパラフィンブロックから切り出し、リリーメイヤーのヘマトキシリン(Muto Pure Chemicals、日本)およびエオシン液SR_MNP036-1208-6 8/15(和光純薬工業)で染色する。NAFLD活性スコア(NAS)は、クライナー基準に従って計算される(Kleiner DE et al. Hepatology 2005;41:1313)。コラーゲン沈着は、ブーイン固定肝切片をピクロ-シリウスレッド溶液(Waldeck GmbH&Co.、ドイツ)で染色することによって可視化する。
遺伝子発現解析
動物実験からの肝臓試料は、RNAlaterTM(Qiagen #R0901)中に4℃で一晩保存され、その後-20℃で凍結される。RNA調製のために、試料(100mg)を解凍し、700μLのRLTplus緩衝液(Qiagen #1053393)中で均質化するために抽出管溶解マトリックスD1、4mmセラミック球(Fa.Mpbio #6913-500)に移す。溶解物をフェノール-クロロホルム抽出し、1/3をRNeasy(登録商標)96 Kit(Qiagen#74181)プロトコールに従ってRNA単離に供する。RNA収量を定量し、一定量のRNAをHigh Capacity cDNA RTキット(Applied Biosystems、カタログ番号4368813)を使用してcDNAに転写する。遺伝子発現レベルは、Quanti Fast Probe PCR Master Mix(Qiagen、カタログ番号204256)およびそれぞれのTaqman Gene Expression Primer/Probes Assay on Demand(Applied Biosystems)を使用して決定される。マーカーは、Col1a1(Mm00801666_g1)、Ctgf(Mm01192932_g1)、Fap(Mm01329177_m1)、Timp-1(Mm00441818_m1)、Itgam(Mm00434455_m1)、Emr1(Mm00802529_m1)、Serpine1(Mm00435860_m1)、Saa1(Mm00656927_g1)である。単一試料のマーカーct値を、それぞれの実験から作成したRNA混合物の標準曲線と比較し、得られたRNA量を18S値(18Sハウスキーピング遺伝子、Applied Biosystems#4333760-1109036)に正規化する。得られた正規化発現レベルを対照群の平均で割って、対照に対する倍率変化として表す。
統計テスト
統計解析は、一方向ANOVAを使用してプリズム4ソフトウェア(グラフパッドソフトウェア、米国)を使用して実行される。P値<0.05は統計的に有意であると見なされる。

Claims (8)

  1. 下記の医薬を含む医薬の組合せ
    (a)式(I)のSSAO/VAP-1阻害剤またはその医薬的に許容される塩:
    Figure 2019531320
    (式中、
    R1およびR4は、独立して、水素または置換されていてもよいC1-6-アルキルであり;
    R2およびR3は、独立して、水素、塩素およびフッ素からなる群から選択されるが;R2とR3は同時に水素ではなく;
    R5は、置換されていてもよいアリーレン基であり;
    R6は、下記基から選択され
    Figure 2019531320

    R7およびR8は、独立して、水素、置換されていてもよいC1-6-アルキルおよび置換されていてもよいC3-7-シクロアルキルからなる群から選択され;
    Xは、CH2、酸素、硫黄またはSO2である);および
    (b)SGLT2阻害剤。
  2. 前記SSAO/VAP-1阻害剤が、式(II)を有する化合物またはその医薬的に許容される塩である、請求項1記載の医薬の組合せ:
    Figure 2019531320
    (式中、
    R5は、置換されていないフェニレン基、又はアルキル、ハロ、アルコキシ及びハロアルキルから独立して選択される1個以上の基で置換されたフェニレン基であり;
    R6は、下記の基から選択され
    Figure 2019531320
    ;
    R7およびR8は、独立して、水素、置換されていてもよいC1-6アルキルおよび置換されていてもよいC3-7シクロアルキルからなる群から選択され;
    Xは、酸素である)。
  3. 前記SSAO/VAP-1阻害剤が、下記の化合物からなる群から選択される、請求項1または2記載の医薬の組合せ
    (E)-4-(2-(アミノメチル)-3-フルオロアリルオキシ)ベンズアミド;
    (E)-4-(2-(アミノメチル)-3-フルオロアリルオキシ)ベンゼンスルホンアミド;
    (E)-4-(2-(アミノメチル)-3-フルオロアリルオキシ)-N,N-ジメチルベンズアミド;
    (E)-4-(2-(アミノメチル)-3-フルオロアリルオキシ)-N,N-ジメチルベンゼンスルホンアミド;
    (E)-4-(2-(アミノメチル)-3-フルオロアリルオキシ)-N-tert-ブチルベンゼンスルホンアミド;
    (E)-4-(2-(アミノメチル)-3-フルオロアリルオキシ)-N-tert-ブチル-3-フルオロベンズアミド;
    (E)-4-(2-(アミノメチル)-3-フルオロアリルオキシ)-N-tert-ブチル-2-(トリフルオロメチル)ベンズアミド;
    (E)-4-(2-(アミノメチル)-3-フルオロアリルオキシ)-N-tert-ブチルベンズアミド;
    (E)-4-(2-(アミノメチル)-3-フルオロアリルオキシ)-N,N-ジエチルベンズアミド;
    (E)-4-(2-(アミノメチル)-3-フルオロアリルオキシ)-N-メチルベンズアミド;
    (E)-4-(2-(アミノメチル)-3-フルオロアリルオキシ)-N-メチルベンゼンスルホンアミド;
    (E)-4-(2-(アミノメチル)-3-フルオロアリルオキシ)-N-エチルベンゼンスルホンアミド;
    (E)-4-(2-(アミノメチル)-3-フルオロアリルオキシ)-N-イソプロピルベンゼンスルホンアミドおよび
    (E)-4-(2-(アミノメチル)-3-フルオロアリルオキシ)-N-イソプロピルベンズアミド。
  4. 前記SGLT2阻害剤が、エンパグリフロジン、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、イプラグリフロジン、トホグリフロジン、ルセオグリフロジン、アチグリフロジン、レモグリフロジン、セルグリフロジン、エルツグリフロジンおよびソタグリフロジンの群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項記載の医薬の組合せ。
  5. それを必要とする患者における線維性疾患、代謝性疾患、炎症性疾患、眼疾患、神経炎症性疾患または癌を予防し、進行を減速させ、遅延させまたは治療するための方法であって、請求項1〜4のいずれか1項記載の医薬の組合せが前記患者に投与されることを特徴とする、前記方法。
  6. 前記線維性疾患が、嚢胞性線維症、間質性肺疾患(特発性肺線維症を含める)、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコール性脂肪肝、アルコール性肝線維症、毒物性脂肪肝および肝硬変、腎線維症、強皮症、放射線線維症ならびに過度の繊維形成が病因に関与する他の疾患からなる群から選択される、請求項5記載の方法。
  7. 前記代謝性疾患が、真性糖尿病前症、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病、真性糖尿病に関連する合併症、過体重、肥満、耐糖能異常(IGT)、空腹時血糖障害(IFG)、高血糖、食後高血糖、インスリン抵抗性、脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、過体重、肥満およびメタボリックシンドロームを含める)からなる群から選択される、請求項5記載の方法。
  8. 前記代謝性疾患が、白内障ならびに糖尿病性腎症、糸球体硬化症、糖尿病性網膜症、脈絡膜血管新生、非アルコール性脂肪肝(NAFL)疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、糖尿病性神経障害、糖尿病性疼痛、組織虚血、糖尿病足、糖尿病性潰瘍、動脈硬化症、心筋梗塞、急性冠症候群、不安定狭心症、安定狭心症、脳卒中、末梢動脈閉塞疾患、心筋症、心不全、心血管死、心臓リズム障害および血管再狭窄のような微小血管症および大血管症からなる群から選択される真性糖尿病に関連する合併症である、請求項7記載の方法。
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