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JP2019531381A - ポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルム - Google Patents

ポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルム Download PDF

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Abstract

本発明は、ポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルムに関し、ポリアルキレンカーボネート樹脂とポリケトン樹脂とを特定の含有量でブレンディングした樹脂を含むことによって、ポリアルキレンカーボネート樹脂が有する優れた伸び率特性の低下なく優れた引張強度と引裂強度をすべて確保できるポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルムに関する。

Description

[関連出願との相互参照]
本出願は、2016年12月27日付の韓国特許出願第10−2016−0180486号および2017年12月26日付の韓国特許出願第10−2017−0180266号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
本発明は、ポリアルキレンカーボネート樹脂の物性が補完されたポリアルキレンカーボネート系樹脂を含むポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルムに関する。
プラスチックは、製造の容易性と使用の便宜性によって各種物品の素材として使用されており、使い捨て品、例えば、包装フィルム、使い捨てカップおよび使い捨て皿のような使い捨て容器はもちろん、建築材料および自動車内装材などの多様な分野で使用されている。
特に、ポリアルキレンカーボネート(polyalkylene carbonate)樹脂は、高い酸素遮断性および高い伸び率特性で食品包装用途および産業用保護フィルムとして多様に適用可能であるという利点がある。
しかし、ポリアルキレンカーボネート(polyalkylene carbonate)樹脂は、高い伸び率特性に比べて引張強度が相対的に低い問題があり、引張強度改善のために引張強度に優れた樹脂(例えば、polylatic acid)を混合したブレンディング樹脂が使用されている。
このようなブレンディング樹脂の場合、追加の樹脂によって引張強度は改善できるが、その分ポリアルキレンカーボネートの伸び率特性が低下し、引裂強度(引き裂き強度)も併せて低下する問題点があった。特に、産業用保護フィルムの場合、包装時に破れると作業性が顕著に低下し、包装後に破れると、運送中に製品にスクラッチが発生することから、高い引張強度と伸び率を有しながらも、引裂強度にも優れたフィルムが要求される。
一方、2種類の高分子を混合して使用する場合、2つの高分子間の相溶性が良くてこそ互いの物性を補完することができる。相溶性(compatibility)は、2つの高分子を混合した時、2つの高分子が均一に混合または分散することを意味するが、相溶性が低下すると、高分子それぞれの物性がそのまま発現して互いの物性を補完することができない。したがって、前述した物性を示しかつ、ポリアルキレンカーボネートとの相溶性に優れた樹脂に対する研究が多様に進められている。
韓国公開特許番号第10−2014−0070706号には、ポリアルキレンカーボネートの物性を補完すべく、ポリエーテルポリオール繰り返し単位のソフトセグメントの両末端に、ポリラクチド繰り返し単位のハードセグメントが結合したブロック共重合繰り返し単位を2以上含み、前記ブロック共重合繰り返し単位は、多価イソシアネート化合物から誘導されたウレタン連結基を媒介として互いに連結されているラクチド共重合体を使用することを開示している。しかし、前記の方法は、新規な構造の共重合体を製造しなければならないもので、ポリ乳酸を使用することに比べて費用が増加する可能性がある。
韓国公開特許第10−2014−0070706号
本発明は、機械的物性が向上したポリアルキレンカーボネート樹脂を含むポリアルキレンカーボネートフィルムに関する。
上記の課題を解決するために、本発明の一側面によれば、
ポリアルキレンカーボネート樹脂75〜99重量%およびポリケトン樹脂1〜25重量%で混合されたブレンディング樹脂を含み、ASTM D638によって測定した引張強度(Tensile strength)が200kgf/cm2〜300kgf/cm2である、ポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルムを提供する。
本発明において、前記ブレンディング樹脂は、ポリアルキレンカーボネート樹脂80〜90重量%およびポリケトン樹脂10〜20重量%で混合される。
また、前記ポリアルキレンカーボネート樹脂は、下記化学式1で表される繰り返し単位を含むことができる。
前記化学式1において、R1〜R4は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜20の線状または分枝状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜20のアルケニル基、あるいは炭素数3〜20のシクロアルキル基であり、R1〜R4のうちの少なくともいずれか2つは、互いに連結されて炭素数3〜10のシクロアルキル基を形成してもよく、mは、10〜1,000の整数である。
具体的には、前記ポリアルキレンカーボネート樹脂は、ポリエチレンカーボネート樹脂、ポリプロピレンカーボネート樹脂、ポリペンテンカーボネート樹脂、ポリヘキセンカーボネート樹脂、ポリオクテンカーボネート樹脂、ポリシクロヘキセンカーボネート樹脂、およびこれらの共重合樹脂からなる群より選択された1種以上であってもよい。
また、前記ポリアルキレンカーボネート樹脂の重量平均分子量は、50,000g/mol〜500,000g/molであってもよい。
さらに、前記ポリケトン樹脂は、下記化学式2で表される繰り返し単位を含むことができる:
前記化学式2において、
Rは、炭素数1〜10の線状または分枝状アルキレン;炭素数6〜30のアリーレン;炭素数1〜10のアルキルエーテル;炭素数6〜30のアリールエーテル;炭素数1〜10のアルキルエステル;あるいは炭素数6〜30のアリールエステルであり、
nは、10〜1000の整数である。
具体的には、前記ポリケトン樹脂は、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、またはブチレン単位を含む脂肪族ポリケトン樹脂であってもよい。
また、前記ポリケトン樹脂は、2員共重合体または3員共重合体であってもよい。
前記ポリケトン樹脂は、重量平均分子量が10,000〜1,000,000g/molであってもよい。
前記ポリケトン樹脂は、溶融指数(MI)が3〜8であってもよい。
本発明の一例によれば、前記ポリアルキレンカーボネート系フィルムのASTM D1004−03による引裂強度(Internal tearing strength)が50kg/cm〜80kg/cmであってもよい。
本発明の他の一例によれば、前記ポリアルキレンカーボネート系フィルムのASTM D638による伸び率(Elongation)が300%〜500%であってもよい。
本発明のポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルムによれば、ポリアルキレンカーボネート樹脂とポリケトン樹脂を特定の含有量でブレンディングした樹脂を含むことによって、ポリアルキレンカーボネート樹脂が有する優れた伸び率特性を低下させず、同時に機械的物性を向上させることができる。
また、本発明のポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルムは、別途の相溶化剤なくてもポリアルキレンカーボネート樹脂とポリケトン樹脂との相溶性に優れている。
実施例1によるフィルム試験片のSEM写真を示すものである。 比較例2によるフィルム試験片のSEM写真を示すものである。
以下、発明の具体的な実施形態によるポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルムに関してより詳細に説明する。
<ポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルム>
従来のポリアルキレンカーボネート樹脂は、優れた物性にもかかわらず、ガラス転移温度(Tg)が約20℃と低くて、Tg以下では割れやすく、Tg以上では軟質の粘着性によってフィルムとしての製造に困難があった。本発明者は、特定の含有量でポリアルキレンカーボネート樹脂とポリケトン樹脂とを混合したブレンド樹脂を含むことによって、ポリアルキレンカーボネートが有する固有の優れた物性を維持しながらも、機械的物性を顕著に向上させることができる点を見出して、本発明を完成した。
また、前述した特定の含有量比でポリアルキレンカーボネート樹脂とポリケトン樹脂とを組み合わせ使用し、これらの引張強度が特定の範囲を満足することによって、従来ブレンディング樹脂に用いられていた相溶化剤なくても相溶性に優れ、これにより、相溶化剤によるフィルムの物性低下の問題が発生しない。
本発明の一実施形態によるポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルムは、ポリアルキレンカーボネート樹脂75〜99重量%およびポリケトン樹脂1〜25重量%で混合されたブレンディング樹脂を含み、各樹脂が前記含有量範囲に含まれることによって、伸び率特性、機械的物性をすべて優れた水準に実現することができる。また、前記含有量比の範囲を満足することによって、ポリアルキレンカーボネート樹脂とポリケトン樹脂との相溶性が非常に優れている。
好ましくは、前記ブレンディング樹脂は、ポリアルキレンカーボネート樹脂80〜90重量%およびポリケトン樹脂10〜20重量%含まれる。前記含有量範囲で前述した効果がさらに向上できる。
一方、前記ポリアルキレンカーボネート樹脂がブレンディング樹脂の総重量に対して75〜99重量%の含有量範囲から外れて、少量で混合される場合、伸び率特性が低下する問題が発生しうる。また、ポリケトン樹脂がブレンディング樹脂の総重量に対して1〜25重量%から外れて、過剰に含まれる場合、引裂強度がやや低下する問題が発生しうる。
本発明の一実施形態によるポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルムは、ASTM D638によって測定した引張強度(Tensile strength)が200kgf/cm2〜300kgf/cm2であり、好ましくは、230kgf/cm2〜290kgf/cm2であってもよい。前記範囲を満足することによって、フィルムの加工性に優れ、製品への適用後にもスクラッチおよび外部衝撃に強いという利点がある。したがって、前記引張強度範囲内で産業用包装フィルムに適用されて優れた物性を示す。
前記引張強度の範囲が200kgf/cm2未満の場合、フィルムの加工工程で破断やクラックが発生するなどハンドリングが難しく、300kgf/cm2を超える場合、フィルムが多様な製品に適用されることがやや難しい問題点がある。
本発明の一実施形態によるポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルムは、ASTM D1004−03による引裂強度(Internal tearing strength)が50kg/cm〜80kg/cmであってもよいし、好ましくは60kg/cm〜70kg/cmであってもよい。前記範囲を満足する場合、フィルムの加工工程およびフィルム完成後の製品への適用時にも容易に破れず、好ましい。
本発明の一実施形態によるポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルムは、ASTM D638によって測定した伸び率(Elongatino)は、300%〜500%であってもよいし、好ましくは350%〜450%であってもよい。前記範囲を満足する場合、フィルムの加工工程性に優れ、多様な製品に適用可能である。
<ブレンディング樹脂>
本発明の一実施形態によるポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルムは、ポリアルキレンカーボネート樹脂およびポリケトン樹脂が混合されたブレンディング樹脂を含む。
[ポリアルキレンカーボネート樹脂]
前記ポリアルキレンカーボネート樹脂は、非結晶性の高分子であって、類似系の合成樹脂である芳香族ポリカーボネート樹脂とは異なり、生分解が可能であり、低い温度で熱分解が可能なだけでなく、二酸化炭素と水で完全に分解されて炭素残留物がない。また、優れた伸び率特性を示して、産業包装材への適用が容易であるという利点がある。
前記ポリアルキレンカーボネート樹脂は、下記[化学式1]の繰り返し単位を含むものであってもよい。
前記化学式1において、
R1〜R4は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜20の線状または分枝状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜20のアルケニル基、あるいは炭素数3〜20のシクロアルキル基であり;R1〜R4のうちの少なくともいずれか2つは、互いに連結されて炭素数3〜10のシクロアルキル基を形成してもよく;
mは、10〜1,000の整数である。
前記ポリアルキレンカーボネート樹脂において、前記化学式1で表される繰り返し単位の重合度mは、約10〜約1,000、好ましくは約50〜約500になってもよい。そして、前記繰り返し単位を含むポリアルキレンカーボネートの重量平均分子量は、50,000〜500,000であってもよいし、好ましくは10,000〜100,000であってもよい。前記範囲を満足する場合、ポリケトン樹脂と混合されて優れた相溶性を示すことができて、好ましい。
前記ポリアルキレンカーボネート樹脂は、前記化学式1で表される繰り返し単位を含む単一重合体であってもよいし;または前記化学式1の範疇に属する2種以上の繰り返し単位を含む共重合体であるか、前記化学式1で表される繰り返し単位と共にアルキレンオキシド系繰り返し単位などを含む共重合体であってもよい。
ただし、前記化学式1で表される繰り返し単位による特有の物性(例えば、生分解性、伸び率、柔軟性または低いガラス転移温度など)が維持できるように、前記ポリアルキレンカーボネート樹脂は、前記化学式1で表される繰り返し単位の1種以上を約40重量%以上、好ましくは約60重量%以上、より好ましくは約80重量%以上で含む共重合体になってもよい。
前記ポリアルキレンカーボネートの製造方法は特に限定されないが、例えば、エポキシド系化合物と二酸化炭素とを共重合して得られる。あるいは、環状カーボネートの開環重合によっても得られる。前記アルキレンオキシドと二酸化炭素との共重合は、亜鉛、アルミニウム、コバルトなどの金属錯化合物の存在下で行うことができる。
有機金属触媒の存在下、エポキシド系化合物と二酸化炭素を用いて共重合によりポリアルキレンカーボネートを製造する場合、前記エポキシド系化合物は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ペンテンオキシド、2−ペンテンオキシド、1−ヘキセンオキシド、1−オクテンオキシド、シクロペンテンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、またはブタジエンモノオキシドなどや、これらの中から選択された2種以上の多様なエポキシド系化合物であってもよいが、これに限定されるものではない。
前記ポリアルキレンカーボネート樹脂は、例えば、ポリエチレンカーボネート樹脂、ポリプロピレンカーボネート樹脂、ポリペンテンカーボネート樹脂、ポリヘキセンカーボネート樹脂、ポリオクテンカーボネート樹脂、ポリシクロヘキセンカーボネート樹脂、またはこれらの共重合樹脂であってもよいが、これに限定されるものではない。
[ポリケトン樹脂]
前記ポリケトン樹脂は、機械的物性に優れ、水分吸収度が低くて水分吸湿による寸法変化および物性変化が少ない樹脂であり、前述したポリアルキレンカーボネート樹脂と特定の含有量範囲で混合されて優れた伸び率特性、引裂強度特性を実現することができる。
前記ポリケトン樹脂は、下記[化学式2]の繰り返し単位を含むものであってもよい。
前記化学式2において、
Rは、炭素数1〜10の線状または分枝状アルキレン;炭素数6〜30のアリーレン;炭素数1〜10のアルキルエーテル;炭素数6〜30のアリールエーテル;炭素数1〜10のアルキルエステル;あるいは炭素数1〜10のアリールエステルであり、
nは、10〜1000の整数である。
前記ポリケトン樹脂の製造方法は特に限定されないが、例えば、一酸化炭素および不飽和二重結合を含む化合物の反応によって製造され、最近は、一酸化炭素および少なくとも1種以上のエチレン性不飽和炭化水素から構成される繰り返し単位が交互につながる交互共重合体などの形態に製造される。
前記ポリケトン樹脂の溶融指数(MI)は、3〜8であり、好ましくは5〜7であってもよい。前記範囲を満足する場合、ポリアルキレンカーボネートとの相溶性に優れて好ましく、フィルムの加工工程性を向上させることができる。
前記ポリケトン樹脂は、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、またはブチレン単位を含む脂肪族ポリケトンであることが好ましく、このような繰り返し単位を1つ以上含む2員共重合体、あるいは3員共重合体の形態を使用することがさらに好ましい。
また、前記ポリケトン樹脂は、重量平均分子量が約10,000〜約1,000,000g/molであってもよいし、好ましくは約50,000〜約500,000g/molであってもよい。前記の重量平均分子量を満足する場合、フィルムとしての製造時の加工性およびフィルムの機械的物性の向上などの側面から好ましい。また、前記範囲を満足する場合、ポリアルキレンカーボネート樹脂と混合されて優れた相溶性を示すことができて、好ましい。
そして、本発明の他の一例によれば、ポリアルキレンカーボネート樹脂フィルムは、前記ポリアルキレンカーボネート樹脂100重量部に対して、ポリラクチド樹脂を約1〜約30重量部さらに含んでもよい。ポリラクチド樹脂を混合使用する場合、ポリアルキレンカーボネート樹脂の熱安定性を向上させることができ、これによって、ポリケトン樹脂との混練をより安定的に行うことができる。ポリラクチド樹脂が前記範囲より過度に少なく含まれる場合、高温でポリケトンとポリアルキレンカーボネートとの混練時、ポリアルキレンカーボネートの分解が起こることがあり、ポリラクチドが前記範囲より過度に多く含まれる場合、ポリアルキレンカーボネート固有の物性を失う問題点が発生しうる。
本発明のポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルムは、ポリアルキレンカーボネート樹脂、ポリケトン樹脂、およびポリラクチド樹脂を特定の比率で含むことで、優れた機械的物性を有していながらも、加工過程でブロッキング現象が少なく、熱的安定性にも優れ、これによって、シート、食品包装フィルム、床材、電子製品パッケージングあるいは自動車内装材などの半永久的用途に好ましく使用できる。
通常、ラクチドは、L−乳酸からなるL−ラクチド、D−乳酸からなるD−ラクチド、L−形態とD−形態がそれぞれ1つずつからなるmeso−ラクチドに区分される。また、L−ラクチドとD−ラクチドとが50:50で混合されているものをD,L−ラクチドあるいはrac−ラクチドという。これらラクチドのうち、光学的純度が高いL−ラクチドあるいはD−ラクチドだけを用いて重合を進行させると、立体規則性が非常に高いL−あるいはD−ポリラクチド(PLLAあるいはPDLA)が得られることが知られており、このようなポリラクチドは、光学的純度が低いポリラクチドに比べて結晶化速度が速く結晶化度も高いことが知られている。ただし、本明細書において、「ラクチドモノマー」とは、各形態によるラクチドの特性の差およびこれから形成されたポリラクチドの特性の差に関係なくあらゆる形態のラクチドを含むものとして定義される。
ポリラクチドの分子構造としては、L−乳酸、D−乳酸、またはL,D−乳酸から重合されるものであってもよい。ポリラクチドは、ラクチドモノマーの開環重合によって下記の繰り返し単位を形成する段階を含んで製造され、このような開環重合および繰り返し単位の形成工程が完了した後のポリマーを前記ポリラクチドと称することができる。この時、ラクチドモノマーの範疇には、上述のようなあらゆる形態のラクチドが含まれる。
本発明の一実施形態によれば、前記ポリラクチドは、重合度が好ましくは約50〜500になってもよく、約100,000〜約1,000,000の重量平均分子量を有することができる。前記ポリラクチドが前記重合度および重量平均分子量を有することによって、これからポリアルキレンカーボネート樹脂組成物がポリアルキレンカーボネート固有の物性を維持することができ、高温での加工時にも非常に優れた熱安定性効果を得ることができる。
前記「ポリラクチド」と称されるポリマーの範疇には、前記開環重合および繰り返し単位の形成工程が完了した後のすべての状態のポリマー、例えば、前記開環重合が完了した後の未精製または精製された状態のポリマー、製品成形前の液状または固状の樹脂組成物に含まれているポリマー、または製品の成形が完了したプラスチックまたは織物などに含まれているポリマーなどがすべて含まれる。
ポリラクチドの製造方法としては、乳酸を直接縮重合するか、前記ラクチドモノマーを有機金属触媒下で開環重合(ring opening polymerization)する方法が知られている。ラクチドモノマーの開環重合方法は、乳酸からラクチドモノマーを先に製造しなければならないので、縮重合に比べて製造工程が複雑で高い単価が費やされるが、有機金属触媒を用いたラクチド開環重合により相対的に大きい分子量の樹脂を比較的容易に得ることができ、重合速度の調節が有利で商業的に適用されている。
本発明によるポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルムは、前述した組成を有するブレンディング樹脂を含み、前記ブレンディング樹脂の混合方法は、当分野で通常用いられる方法が特別な制限なく使用できる。具体的には、ヘンシェルミキサー、リボン混合機(ribbon blender)、混合機(blender)などによって混合することによって均一な混合物を得ることができ、また、溶融混練方法としては、バンバリーミキサー(VAN Antonie Louis Barye mixer)、一軸または二軸圧縮機などを用いることができる。
本発明によるポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルムの製造方法は、当分野で通常用いられる方法が特別な制限なく使用可能である。具体的には、前記ブレンディング樹脂を射出成形法、圧縮成形法、射出圧縮成形法、ガス注入射出成形法、発泡射出成形法、インフレーション法(inflation)、Tダイ法(Tdie)、カレンダー法(Calendar)、ブロー成形法(blow)、真空成形、圧空成形などによりフィルムの形状に製造することができ、好ましくは、Tダイ法(Tdie)によってフィルムに製造することができる。
本発明によるポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルムの厚さは特に限定されるものではなく、要求される分野で前述した伸び率特性および機械的物性を維持するための範囲で適切に選択可能である。好ましくは0.1μm〜1,000μmの厚さ、または1μm〜100μmの厚さ、さらに好ましくは5μm〜50μmの厚さを有することができる。
本発明によるポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルムは、前述した成分のブレンディング樹脂を含み、特定の物性値を有することによって、伸び率特性の低下なく優れた機械的特性を実現することができ、これにより、フィルムとしての製造工程性に優れ、および製品の適用後にスクラッチ、破断、クラックが発生せず、産業用包装材に有用に適用可能である。
以下、発明の具体的な実施例を通じて発明の作用、効果をより具体的に説明する。ただし、これは発明の例として提示されたものであり、これによって発明の権利範囲がいかなる意味でも限定されるものではない。
(製造例1:ポリアルキレンカーボネート樹脂(A1、PEC)の製造)
ジエチル−亜鉛触媒を用いてエチレンオキシドと二酸化炭素とを共重合して、ポリエチレンカーボネート樹脂を次の方法で製造した(Journal of Polymer Science B1969,7,287;Journal of Controlled release1997,49,263)。
撹拌機付きオートクレーブ反応器に、乾燥したジエチル−亜鉛触媒(1g)とジオキサン溶媒10mLを入れてゆっくり撹拌しながら、5mLのジオキサン溶媒で希釈させた精製水0.1gを入れた。二酸化炭素を10気圧程度充填した後、120℃で1時間撹拌した。この後、精製されたエチレンオキシド(10g)を入れて、二酸化炭素を再び50気圧程度充填した後、温度を60℃に調節して48時間程度反応させた。反応後、未反応エチレンオキシドを低圧下で除去し、ジクロロメタン溶媒に溶かした。塩酸水溶液(0.1M)で洗浄し、メタノール溶媒に沈殿させて、ポリエチレンカーボネート樹脂を得た。回収した樹脂は15g程度であり、その生成を核磁気共鳴スペクトルで確認し、GPCにより分析した重量平均分子量は160,000g/molであることを確認した。
前記製造されたポリエチレンカーボネートに、ポリラクチド(NatureWorks PLA 3001D)を混合して、ポリラクチドの含有量が5wt%となるようにペレットを製造した。
(製造例2:ポリケトン樹脂(B1、PK)の製造)
ポリケトン(暁星、M620A)ペレットを用い、ケトン樹脂のMIは6であった。
(実施例1)
前記製造されたポリエチレンカーボネート樹脂80%(NatureWorks PLA 3001D5wt%含有)に、ポリケトン樹脂の暁星M620A20%を均一に混合して、40℃の真空オーブンで12時間乾燥し、二軸押出機にT−dieフィルム製造装置を付着させて、約165〜185℃で押出して、20mmのT−dieフィルムに製造した。
(実施例2、比較例1〜3)
下記表1に記載の成分および含有量を用いたことを除けば、実施例1と同様の方法でT−dieフィルムを製造した。比較例2に使用されたC1は、PLA樹脂としてNatureworks社の4032Dを使用した。
実験方法
(実験例1)
実施例および比較例により製造されたフィルムに対して、UTM(Universal Testing Machine、Instron社)を用いて、下記の方法で引裂強度、引張強度および伸び率を測定し、その結果を表2に記載した。
1)引裂強度(internal tearing strength、kg/cm)は、ASTM D1004−03によって測定し、計5回の試験の平均値を結果値として測定した。
2)引張強度(tensile strength、TS max、kgf/cm2)は、ASTM D638によってダンベル形態の試験片5種を作製した後、50mm/minの速度で引張強度を測定し、計5回の試験の平均値を結果値として測定した。
3)伸び率(elongation、%)は、前記引張強度の測定と同様の条件下、試験片が切断されるまでの伸び率を測定して、計5回の試験の平均値を結果値として測定した。
(実験例2)
実施例1および比較例2の製造工程中、二軸押出機にdieを用いてstrandを製造し、製造されたstrandに対してSEMイメージを撮影してブレンディング樹脂のDomain形状を確認し、これを図1および図2に示した。
前記表2を参照すれば、本発明の含有量範囲でPECとPKとを混合して使用した実施例1の場合、比較例に比べて顕著に優れた機械的特性(引張強度と引裂強度)を実現することを確認できた。特に、産業用包装フィルムに要求される適正な伸び率範囲である300%〜500%の範囲内で優れた引張強度および引裂強度を実現することを確認できた。
PECだけを単独で使用した比較例1の場合、伸び率特性は806%と非常に優れていたが、引張強度および引裂強度が実施例に比べて顕著に低下し、PECとPLA樹脂を混合使用した比較例2の場合、伸び率特性が顕著に低下して、比較例1および2とも産業用包装材に適合しないことを確認できた。
比較例2の場合、PECの物性補完のためにPLAが組み合わされた従来の技術であって、図2のイメージを参照すれば、相溶性が低下して明確な界面が存在することを確認できた。相溶性が低下する場合、製品への適用時、ブレンディング樹脂においてそれぞれの物性がそのまま発現して互いの物性を十分に補完できない問題がある。
しかし、図1のSEMイメージを参照すれば、実施例1の場合、PECとPKとの相溶性に優れて界面が不明確であることを確認できた。これにより、2つの樹脂間の物性の補完効果が優れていることを確認できた。
比較例3の場合、PKの含有量が増加するにつれ、PKの高いTmによって(Tm=200℃)、PECフィルム製造のための押出機の温度領域(約165〜185℃)でPK Pelletが溶けず、正常なフィルムの製造が不可であった。また、PKを溶かすために押出機の温度を高める場合、PEC樹脂が熱分解されてフィルム自体を製造できない現象が発生した。

Claims (12)

  1. ポリアルキレンカーボネート樹脂75〜99重量%およびポリケトン樹脂1〜25重量%で混合されたブレンディング樹脂を含み、
    ASTM D638による引張強度(Tensile strength)が200kgf/cm2〜300kgf/cm2である、ポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルム。
  2. 前記ブレンディング樹脂は、ポリアルキレンカーボネート樹脂80〜90重量%およびポリケトン樹脂10〜20重量%で混合される、請求項1に記載のポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルム。
  3. 前記ポリアルキレンカーボネート樹脂は、下記化学式1で表される繰り返し単位を含むものである、請求項1に記載のポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルム:
    前記化学式1において、R1〜R4は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜20の線状または分枝状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜20のアルケニル基、あるいは炭素数3〜20のシクロアルキル基であり、R1〜R4のうちの少なくともいずれか2つは、互いに連結されて炭素数3〜10のシクロアルキル基を形成してもよく、mは、10〜1,000の整数である。
  4. 前記ポリアルキレンカーボネート樹脂は、ポリエチレンカーボネート樹脂、ポリプロピレンカーボネート樹脂、ポリペンテンカーボネート樹脂、ポリヘキセンカーボネート樹脂、ポリオクテンカーボネート樹脂、ポリシクロヘキセンカーボネート樹脂、およびこれらの共重合樹脂からなる群より選択された1種以上である、請求項1に記載のポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルム。
  5. 前記ポリアルキレンカーボネート樹脂の重量平均分子量は、50,000g/mol〜500,000g/molである、請求項1に記載のポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルム。
  6. 前記ポリケトン樹脂は、下記化学式2で表される繰り返し単位を含む、請求項1に記載のポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルム。
    前記化学式2において、
    Rは、炭素数1〜10の線状または分枝状アルキレン;炭素数6〜30のアリーレン;炭素数1〜10のアルキルエーテル;炭素数6〜30のアリールエーテル;炭素数1〜10のアルキルエステル;あるいは炭素数6〜30のアリールエステルであり、
    nは、10〜1000の整数である。
  7. 前記ポリケトン樹脂は、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、またはブチレン単位を含む脂肪族ポリケトン樹脂である、請求項1に記載のポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルム。
  8. 前記ポリケトン樹脂は、2員共重合体または3員共重合体である、請求項1に記載のポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルム。
  9. 前記ポリケトン樹脂は、重量平均分子量が10,000〜1,000,000g/molである、請求項1に記載のポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルム。
  10. 前記ポリケトン樹脂は、溶融指数(MI)が3〜8である、請求項1に記載のポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルム。
  11. 前記ポリアルキレンカーボネート系フィルムのASTM D1004−03による引裂強度(Internal tearing strength)が50kg/cm〜80kg/cmである、請求項1に記載のポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルム。
  12. 前記ポリアルキレンカーボネート系フィルムのASTM D638による伸び率(Elongation)が300%〜500%である、請求項1に記載のポリアルキレンカーボネート系樹脂フィルム。
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