ところで、バックパネル(車両のボディ)にヘッドレストとシートバックを固定する場合、従来技術を採用すると、ヘッドレストとシートバックを別々に取り付ける必要があり、シートのボディへの取付工数が増大して取付作業が複雑になる可能性がある。一方で、シートバックとヘッドレストの両方をボディにしっかりと固定できることが望まれる。
そこで、本発明は、シートのボディへの取付作業を簡単にすることができるとともに、シートバックとヘッドレストの両方をボディにしっかりと固定することができる乗物用シートを提供することを目的とする。
また、ヘッドレストの取付剛性を向上させることを目的とする。
また、シートフレームの設計の自由度を向上させることを目的とする。
また、シートを軽量化することを目的とする。
また、シートフレームをボディに安定した状態で固定することを目的とする。
また、シートフレームの部品点数を削減したり、シートの組立作業を簡単にしたりすることを目的とする。
また、パッドやボディの形状を簡単な構成とすることを目的とする。
前記した目的を達成するため、本発明の乗物用シートは、ヘッドレストがシートバックに一体的に構成された乗物用シートであって、前記シートバックおよび前記ヘッドレストの内部フレームを構成するシートフレームと、前記シートフレームの前記シートバックに対応する部分を乗物のボディに固定するための第1固定部と、前記シートフレームの前記ヘッドレストに対応する部分を前記ボディに固定するための第2固定部と、を備えたことを特徴とする。
このような構成によれば、第1固定部と第2固定部をボディに固定することで、シートバックとヘッドレストの両方をボディに取り付けることができ、シートのボディへの取付作業を簡単にすることができる。また、第1固定部をボディに固定することでシートフレームのシートバックに対応する部分がボディに固定され、第2固定部をボディに固定することでシートフレームのヘッドレストに対応する部分がボディに固定されるので、シートバックとヘッドレストのそれぞれをボディに固定することができ、シートバックとヘッドレストの両方をボディにしっかりと固定することができる。
前記した乗物用シートにおいて、前記シートフレームは、前記シートバックの少なくとも一部および前記ヘッドレストの内部フレームを構成する第1フレームを含み、前記第1固定部と前記第2固定部は、いずれも前記第1フレームに設けられた構成とすることができる。
これによれば、第1固定部と第2固定部により第1フレームをボディにしっかりと固定することができるので、第1フレームにより内部フレームが構成されるヘッドレストの取付剛性を向上させることができる。
前記した乗物用シートにおいて、前記シートフレームは、前記第1フレームとともに前記シートバックの内部フレームを構成する第2フレームを有し、前記第2フレームは、前記第1フレームに固定された構成とすることができる。
これによれば、第1フレームと第2フレームのそれぞれについて、素材や形状、材質などを自由に選択することができるので、シートフレームの設計の自由度を向上させることができる。
前記した乗物用シートにおいて、前記第1フレームおよび前記第2フレームは、線状の部材からなり、前記第2フレームは、前記第1フレームよりも径が小さい構成とすることができる。
これによれば、第2フレームを細くして軽量化できるので、シートフレームを軽量化することができ、当該シートフレームを備えるシートを軽量化することができる。
前記した乗物用シートにおいて、前記第1固定部の前記ボディに固定される部分は、前側から見て、前記シートバックの輪郭よりも外側まで延びて露出している構成とすることができる。
これによれば、シート(シートバック)のボディへの取付作業をより簡単にすることができる。
前記した乗物用シートにおいて、前記第2固定部の前記ボディに固定される部分は、前側から見て、前記ヘッドレストの輪郭よりも外側まで延びて露出している構成とすることができる。
これによれば、シート(ヘッドレスト)のボディへの取付作業をより簡単にすることができる。
前記した乗物用シートは、前記シートフレームの前記シートバックに対応する部分の下端部を前記ボディに固定するための第3固定部を備え、前記第2固定部と前記第3固定部は、前記シートフレームの左右方向中央に配置された構成とすることができる。
これによれば、第2固定部と第3固定部によりシートフレームの左右方向中央の上下をボディに固定することができるので、シートバックとヘッドレストの両方をボディによりしっかりと固定することができる。
前記した乗物用シートにおいて、前記第3固定部は、前記ボディに設けられた係合部に上から下に向けて係合可能であり、少なくとも下端部の左右方向の幅が下に向かうにつれて小さくなっている構成とすることができる。
これによれば、第3固定部をボディの係合部に係合させやすくなるので、シートのボディへの取付作業をより簡単にすることができる。
前記した乗物用シートにおいて、前記第1固定部は、左右に離間して2つ設けられ、それぞれが上下方向において前記第2固定部と前記第3固定部の間に配置され、前記第2固定部および前記第3固定部は、それぞれが左右方向において2つの前記第1固定部の間に配置された構成とすることができる。
これによれば、シートフレームをボディに安定した状態で固定することができる。
前記した乗物用シートにおいて、前記シートフレームは、前記シートバックの上部および前記ヘッドレストの内部フレームを構成する第1フレームと、前記第1フレームとともに前記シートバックの内部フレームを構成する第2フレームとを有し、前記第2フレームは、左右方向中央で上下に延びる第3フレームを含み、前記第3固定部は、前記第3フレームに一体に形成された構成とすることができる。
これによれば、シートフレームの部品点数を削減したり、シートの組立作業を簡単にしたりすることができる。
前記した乗物用シートにおいて、前記第3固定部は、前記シートバックの背面から後方に突出し、屈曲して下方に向けて延びている構成とすることができる。
これによれば、シートフレームを覆うパッドの形状や、ボディの第3固定部が取り付けられる部分の形状を簡単な構成とすることができる。
前記した乗物用シートにおいて、前記第1固定部および前記第2固定部は、前記シートフレームに固定されたブラケットであり、前記第1固定部は、左右に離間して2つ設けられ、前記ヘッドレストの前記シートバックとの境界部は、前側から見て、その全体が、前記シートフレームと2つの前記第1固定部の2箇所の固定部分と、前記シートフレームと前記第2固定部の固定部分とを結んだ三角形の内側に位置する構成とすることができる。
これによれば、第1固定部と第2固定部をヘッドレストの周りに配置できるので、第1固定部と第2固定部をボディに固定したときにヘッドレストの取付剛性を向上させることができる。
本発明によれば、シートのボディへの取付作業を簡単にすることができるとともに、シートバックとヘッドレストの両方をボディにしっかりと固定することができる。
また、第1固定部と第2固定部をいずれもシートフレームを構成する第1フレームに設けることで、ヘッドレストの取付剛性を向上させることができる。
また、シートフレームが第1フレームと、第1フレームに固定された第2フレームとを有することで、シートフレームの設計の自由度を向上させることができる。
また、第2フレームの径を第1フレームよりも小さくすることで、シートを軽量化することができる。
また、第1固定部のボディに固定される部分を露出させることで、シート(シートバック)のボディへの取付作業をより簡単にすることができる。
また、第2固定部のボディに固定される部分を露出させることで、シート(ヘッドレスト)のボディへの取付作業をより簡単にすることができる。
また、第2固定部と第3固定部をシートフレームの左右方向中央に配置することで、シートバックとヘッドレストの両方をボディによりしっかりと固定することができる。
また、ボディの係合部に係合可能な第3固定部の、少なくとも下端部の左右方向の幅を下に向かうにつれて小さくすることで、シートのボディへの取付作業をより簡単にすることができる。
また、2つの第1固定部を上下方向において第2固定部と第3固定部の間に配置し、第2固定部および第3固定部を左右方向において2つの第1固定部の間に配置することで、シートフレームをボディに安定した状態で固定することができる。
また、第3固定部を第3フレームに一体に形成することで、シートフレームの部品点数を削減したり、シートの組立作業を簡単にしたりすることができる。
また、第3固定部を、シートバックの背面から後方に突出し、屈曲して下方に向けて延びる構成とすることで、パッドやボディの形状を簡単な構成とすることができる。
また、ヘッドレストのシートバックとの境界部の全体を第1固定部の2箇所の固定部分と、第2固定部の固定部分とを結んだ三角形の内側に位置する構成とすることで、ヘッドレストの取付剛性を向上させることができる。
以下、添付の図面を参照しながら発明の一実施形態について説明する。なお、本明細書において、前後、左右、上下は、シートに座った者(着座者)を基準とする。
図1に示すように、本実施形態の乗物用シートは、乗物の一例としての自動車、具体的には、軽トラックの運転席や助手席として使用される車両用シートSとして構成されている。車両用シートSは、シートクッションS1と、シートバックS2と、ヘッドレストS3とを備え、ヘッドレストS3がシートバックS2に一体的に構成されている。詳しくは、シートバックS2およびヘッドレストS3は、その内部フレームを構成する図2に示すようなシートフレームFを備え、シートフレームFを、ウレタンフォームなどからなるパッド60と、布地や皮革などからなる表皮材70で覆うことで構成されている。車両用シートSの後ろには、軽トラックのボディの後側の壁を構成するバックパネル80が配置されており、車両用シートSは、シートフレームFをバックパネル80に固定するための左右の第1固定部30と、第2固定部40と、第3固定部50とを備えている。
図2に示すように、シートフレームFは、第1フレームとしてのパイプフレーム10と、第2フレームとしてのワイヤフレーム20とを有して構成されている。
パイプフレーム10は、線状の部材、具体的には、金属製のパイプからなるフレームである。パイプフレーム10は、ヘッドアッパフレーム11と、左右のヘッドサイドフレーム12、接続フレーム13および肩部フレーム14とを有している。ヘッドアッパフレーム11は、左右に延び、ヘッドサイドフレーム12は、ヘッドアッパフレーム11の左右の端から略下方に向けて長く延びている。また、接続フレーム13は、ヘッドサイドフレーム12の下端から左右方向外側の斜め下方に向けて延び、肩部フレーム14は、接続フレーム13の左右方向外側の端から下方に向けて延びている。
図3に示すように、本実施形態において、シートフレームFは、パイプフレーム10の主にヘッドアッパフレーム11と左右のヘッドサイドフレーム12がシートフレームFのヘッドレストS3に対応する部分であるヘッドレストフレームF3を構成している。また、シートフレームFは、パイプフレーム10の接続フレーム13と肩部フレーム14、および、ワイヤフレーム20がシートフレームFのシートバックS2に対応する部分であるシートバックフレームF2を構成している。言い換えると、パイプフレーム10は、シートバックS2の上部およびヘッドレストS3の内部フレームを構成しており、ワイヤフレーム20は、パイプフレーム10とともにシートバックS2の内部フレームを構成している。
ワイヤフレーム20は、線状の部材、具体的には、金属製のワイヤからなるフレームである。ワイヤフレーム20を構成するワイヤは、パイプフレーム10を構成するパイプよりも径が小さくなっている。すなわち、ワイヤフレーム20は、パイプフレーム10よりも細い線状の部材から形成されている。ワイヤフレーム20は、第1ワイヤフレーム21と、第2ワイヤフレーム22と、第3ワイヤフレーム23と、第3フレームとしての第4ワイヤフレーム24とを含む。
第1ワイヤフレーム21は、第1バックアッパフレーム211と、左右のバックサイドフレーム212、第1バックロアフレーム213および折り返しフレーム214とを有している。第1バックアッパフレーム211は、左右に長く延び、バックサイドフレーム212は、第1バックアッパフレーム211の左右の端から略下方に向けて延びている。また、第1バックロアフレーム213は、バックサイドフレーム212の下端から左右方向内側に向けて延び、折り返しフレーム214は、第1バックロアフレーム213の左右方向内側の端から上方に向けて延びている。バックサイドフレーム212は、アウタ部212Aと、接続部212Bと、インナ部212Cとを有している。アウタ部212Aは、第1バックアッパフレーム211の左右の端から略下方に向けて延びている。また、接続部212Bは、アウタ部212Aの下端から左右方向内側に向けて延びている。また、インナ部212Cは、接続部212Bの左右方向内側の端から下方に向けて長く延びている。このような構成により、第1ワイヤフレーム21は、左右のアウタ部212Aの間隔が左右のインナ部212Cの間隔よりも大きくなっており、着座者の肩の略後ろに配置される上端部の左右方向の幅が当該上端部よりも下側の部分よりも大きくなっている。
第2ワイヤフレーム22は、シートバックフレームF2の上部に配置された略U字形状のフレームである。第2ワイヤフレーム22は、左右に長く延びる第2バックアッパフレーム221と、第2バックアッパフレーム221の左右の端から下方に向けて延びる左右の第1端部222とを有している。第2ワイヤフレーム22は、第1ワイヤフレーム21に固定されている。詳しくは、左右の第1端部222の下端部が、バックサイドフレーム212の接続部212Bの前面に溶接により固定されている。第2バックアッパフレーム221と第1バックアッパフレーム211は、第2バックアッパフレーム221が第1バックアッパフレーム211よりも下に位置するように上下に離間して配置されている。
第3ワイヤフレーム23は、シートバックフレームF2の下部に配置された略U字形状のフレームである。第3ワイヤフレーム23は、左右に長く延びる第2バックロアフレーム231と、第2バックロアフレーム231の左右の端から下方に向けて延びる左右の第2端部232とを有している。第3ワイヤフレーム23は、第1ワイヤフレーム21に固定されている。詳しくは、第2バックロアフレーム231が、バックサイドフレーム212(インナ部212C)の下端部および折り返しフレーム214の上端部の前面に溶接により固定されている。第2バックロアフレーム231と左右の第1バックロアフレーム213は、第2バックロアフレーム231が第1バックロアフレーム213よりも上に位置するように上下に離間して配置されている。
第4ワイヤフレーム24は、シートバックフレームF2の左右方向中央で上下に延びるように設けられたフレームである。第4ワイヤフレーム24は、左右方向において左右のバックサイドフレーム212の間に配置されている。第4ワイヤフレーム24は、前側から見て略U字形状をなす第3固定部50と、第3固定部50の左右の端から上方に向けて長く延びる左右のセンタフレーム241とを有している。第4ワイヤフレーム24は、第2ワイヤフレーム22および第3ワイヤフレーム23に固定されている。詳しくは、左右のセンタフレーム241の上端部が第2バックアッパフレーム221の前面に溶接により固定され、左右のセンタフレーム241の下端部が第2バックロアフレーム231の前面に溶接により固定されている。
第3固定部50は、シートバックフレームF2の下端部をバックパネル80に固定するための部分であり、第4ワイヤフレーム24の一部として第4ワイヤフレーム24に一体に形成されている。図4(a),(b)に示すように、第3固定部50は、センタフレーム241の下端から後方に向けて延びる左右の第1延在部51と、第1延在部51の後端から略下方に向けて延びる左右の第2延在部52と、左右の第2延在部52の下端同士を連結する第3延在部53とを有している。左右の第2延在部52は、下端部52Aがそれぞれ下に向かうにつれて左右方向内側に位置するように斜め下方に向けて延びている。これにより、第3固定部50は、その下端部52Aの左右方向の幅が下に向かうにつれて徐々に小さくなっている。図4(b)に示すように、第3固定部50は、第1延在部51がシートバックS2の背面S21からシートバックS2の後方に突出し、第2延在部52が下に屈曲して略下方に向けて延びている。そのため、第3固定部50は、第1延在部51の後端部、第2延在部52、および、第2延在部52の下端同士をつなぐ第3延在部53がシートバックS2の後側で外側に飛び出した状態で配置されている。バックパネル80には、上下に開口した係合部81が設けられており、第3固定部50は、係合部81に上から下に向けて係合可能に構成されている。
図2に示すように、第1固定部30は、シートバックフレームF2をバックパネル80(図1参照)に固定するための部分であり、左右に離間して2つ設けられている。第1固定部30は、シートフレームFに固定されたブラケットであり、上下に長い金属板からなる。図5に示すように、第1固定部30は、第1ボディ固定部31と、第1フレーム固定部32と、第1接続部33とを有している。第1ボディ固定部31は、バックパネル80に固定される部分であり、前後に貫通した第1貫通孔31Aを有している。また、第1フレーム固定部32は、シートバックフレームF2に固定される部分であり、第1ボディ固定部31よりも下方に配置されている。第1ボディ固定部31と第1フレーム固定部32は、第1ボディ固定部31が後側、第1フレーム固定部32が前側となるように、前後方向において異なる位置に配置されている。第1接続部33は、第1ボディ固定部31と第1フレーム固定部32をつなぐ部分であり、第1ボディ固定部31の下端から下斜め前方に向けて延びて、その下端が第1フレーム固定部32の上端につながっている。
第1固定部30は、第1フレーム固定部32がシートバックフレームF2を構成するパイプフレーム10の肩部フレーム14の後面に溶接により固定されている(第1溶接部W1参照)。また、第1固定部30の後面には、ワイヤフレーム20を構成する第1ワイヤフレーム21の第1バックアッパフレーム211および第2ワイヤフレーム22の第2バックアッパフレーム221の左右の端部がそれぞれ溶接により固定されている。これにより、ワイヤフレーム20は、第1固定部30を介してパイプフレーム10に固定されている。言い換えると、第1固定部30は、パイプフレーム10の肩部フレーム14と、ワイヤフレーム20の第1バックアッパフレーム211および第2バックアッパフレーム221とに挟まれた状態で配置されている。さらに言えば、図3に示すように、第1固定部30は、前側から見て、パイプフレーム10とワイヤフレーム20が重なる部分に配置されている。また、第1バックアッパフレーム211と第2バックアッパフレーム221が上下に離間して配置されていることで、第1固定部30は、第1ワイヤフレーム21と第2ワイヤフレーム22に架け渡された状態で配置されている。
第1固定部30の第1ボディ固定部31は、前側から見て、シートバックS2の輪郭(二点鎖線参照)よりも外側まで延びている。詳しくは、第1ボディ固定部31は、シートバックS2の肩部の上縁を超えて上側まで延びている。これにより、第1ボディ固定部31は、前側から見て、シートバックS2の肩部の上方で露出している。
図6に示すように、第2固定部40は、ヘッドレストフレームF3をバックパネル80(図1参照)に固定するための部分である。第2固定部40は、第1固定部30と同様に、シートフレームFに固定されたブラケットであり、上下に長い金属板からなる。第2固定部40は、第2ボディ固定部41と、第2フレーム固定部42と、第2接続部43とを有している。第2ボディ固定部41は、バックパネル80に固定される部分であり、前後に貫通した第2貫通孔41Aを有している。また、第2フレーム固定部42は、ヘッドレストフレームF3に固定される部分であり、第2ボディ固定部41よりも下方に配置されている。第2ボディ固定部41と第2フレーム固定部42は、第2ボディ固定部41が後側、第2フレーム固定部42が前側となるように、前後方向において異なる位置に配置されている。第2接続部43は、第2ボディ固定部41と第2フレーム固定部42をつなぐ部分であり、第2ボディ固定部41の下端から下斜め前方に向けて延びて、その下端が第2フレーム固定部42の上端につながっている。
第2固定部40は、第2フレーム固定部42がヘッドレストフレームF3を構成するパイプフレーム10のヘッドアッパフレーム11の後面に溶接により固定されている(第2溶接部W2参照)。図3に示すように、本実施形態では、第2固定部40の第2フレーム固定部42がパイプフレーム10のヘッドアッパフレーム11に固定され、第1固定部30の第1フレーム固定部32がパイプフレーム10の肩部フレーム14に固定されていることで、第1固定部30と第2固定部40は、いずれもパイプフレーム10に設けられている。
第2固定部40の第2ボディ固定部41は、前側から見て、ヘッドレストS3の輪郭(二点鎖線参照)よりも外側まで延びている。詳しくは、第2ボディ固定部41は、ヘッドレストS3の上縁を超えて上側まで延びている。これにより、第2ボディ固定部41は、前側から見て、ヘッドレストS3の上方で露出している。
左右2つの第1固定部30は、シートフレームFの上下方向略中央において左右に離間して配置されている。具体的には、第1固定部30は、シートバックS2の左右の肩部に配置されている。一方、第2固定部40と第3固定部50は、シートフレームFの左右方向中央において上下に離間して配置されている。具体的には、第2固定部40は、ヘッドレストフレームF3の上端部の左右方向中央に配置され、第3固定部50は、シートバックフレームF2の下端部の左右方向中央に配置されている。これにより、左右2つの第1固定部30は、それぞれが上下方向において第2固定部40と第3固定部50の間に配置されている。また、第2固定部40および第3固定部50は、それぞれが左右方向において左右2つの第1固定部30の間に配置されている。
また、ヘッドレストS3のシートバックS2との境界部S31は、前側から見て、その全体が、左右の2箇所の第1溶接部W1と、その上方であって左右中央の第2溶接部W2とを結んだ一点鎖線で示す三角形の内側に位置している。すなわち、2箇所の第1溶接部W1および第2溶接部W2、さらに言えば、2つ第1固定部30および第2固定部40は、境界部S31の周りに配置されている。第1溶接部W1は、シートフレームFのシートバックフレームF2と2つの第1固定部30の各固定部分であり、第2溶接部W2は、シートフレームFのヘッドレストフレームF3と第2固定部40の固定部分である。
シートフレームFを覆うパッド60は、シートバックフレームF2を覆うシートバックパッド62と、ヘッドレストフレームF3を覆うヘッドレストパッド63とを一体に有している。また、図7に示すように、シートバックパッド62は、その背面に、複数の凹部64と、第1凸部65と、第2凸部66とを有している。
凹部64は、前側に向けて凹む凹部であり、略四角形状を有している。凹部64は、第1凹部64Aと、第2凹部64Bと、第3凹部64Cとを含む。第1凹部64Aは、シートバックパッド62の背面の上端部で左右方向に並んで複数、具体的には、3つ設けられている。また、第3凹部64Cは、シートバックパッド62の背面の下端部で左右方向に並んで複数、具体的には、2つ設けられている。さらに言えば、図3に示すように、第3凹部64Cは、第4ワイヤフレーム24、詳しくは、第3固定部50の左右両側に1つずつ設けられている。また、第2凹部64Bは、シートバックパッド62の背面の左右の端部で上下方向に並んで複数、具体的には、3つ設けられている。第2凹部64Bは、上下方向において第1凹部64Aと第3凹部64Cの間に配置され、第1凹部64Aおよび第3凹部64Cは、左右方向において左右の第2凹部64Bの間に配置されている。
パッド60は、インサート成形によりシートフレームFを覆った状態でシートフレームFと一体に成形されている。図示は省略するが、成形型には、型内の所定の位置にシートフレームFを保持するために凸状のフレーム保持部が複数設けられており、凹部64は、このフレーム保持部に対応して形成された凹部である。ワイヤフレーム20は、フレーム保持部に保持されていた面が凹部64A〜64Cの底面で部分的に露出している。具体的には、ワイヤフレーム20は、第1バックアッパフレーム211の後面の一部が第1凹部64Aの底面で露出し、バックサイドフレーム212のインナ部212Cの後面の一部が第2凹部64Bの底面で露出し、第1バックロアフレーム213の後面の一部が第3凹部64Cの底面で露出している。言い換えると、前後方向から見て、第1凹部64Aは、第1バックアッパフレーム211と重なって配置され、第2凹部64Bは、インナ部212Cと重なって配置され、第3凹部64Cは、第1バックロアフレーム213と重なって配置されている。
図7に戻り、第1凸部65および第2凸部66は、後側に向けて突出する凸部である。第1凸部65は、シートバックパッド62の背面の上部に配置され、略矩形状に形成されている。詳しくは、第1凸部65は、上下方向において、第1凹部64Aと上下方向の真ん中に配置された第2凹部64Bとの略間に配置されている。また、第1凸部65は、最も上側の左右2つの第2凹部64Bに跨がるように設けられている。同様に、第1凸部65は、上下方向の真ん中に配置された左右2つの第2凹部64Bに跨がるように設けられている。第2凸部66は、第1凸部65から下方に離間して配置され、左右に長い略矩形状に形成されている。詳しくは、第2凸部66は、最も下側に配置された左右2つの第2凹部64Bの略間に配置されている。また、第2凸部66は、最も下側に配置された左右2つの第2凹部64Bに跨がるように設けられている。
以上のように構成された車両用シートSのシートバックS2およびヘッドレストS3をバックパネル80に取り付ける場合には、図8に示すように、まず、第3固定部50をバックパネル80に設けられた係合部81に上から差し込んで係合する。これにより、シートフレームFがバックパネル80に掛止されるので、シートフレームFをバックパネル80に仮固定することができる。次に、ネジ92を、第1固定部30の第1ボディ固定部31に設けられた第1貫通孔31A(図5参照)を通して、バックパネル80に締結することで、第1固定部30がバックパネル80に固定される。これにより、シートバックフレームF2(シートバックS2)をバックパネル80に固定することができる。また、ネジ93を、第2固定部40の第2ボディ固定部41に設けられた第2貫通孔41A(図6参照)を通して、バックパネル80に締結することで、第2固定部40がバックパネル80に固定される。これにより、ヘッドレストフレームF3(ヘッドレストS3)をバックパネル80に固定することができる。シートバックS2およびヘッドレストS3がバックパネル80に固定されると、シートバックパッド62の背面に設けられた第1凸部65および第2凸部66がバックパネル80に当接してシートバックS2を支持する。なお、2つの第1固定部30と第2固定部40をバックパネル80に固定する順番は任意である。
以上説明した本実施形態によれば、第1固定部30と第2固定部40をバックパネル80に固定することで、シートバックS2とヘッドレストS3の両方をバックパネル80に取り付けることができる。これにより、別々に設けられたシートバックとヘッドレストをそれぞれバックパネルに取り付ける場合と比較して、車両用シートSのバックパネル80への取付作業を簡単にすることができる。また、第1固定部30をバックパネル80に固定することでシートバックフレームF2がバックパネル80に固定され、第2固定部40をバックパネル80に固定することでヘッドレストフレームF3がバックパネル80に固定されるので、シートバックS2とヘッドレストS3のそれぞれをバックパネル80に固定することができる。これにより、例えば、シートバックとヘッドレストが一体の構成において、シートバックだけをバックパネルに固定する場合と比較して、シートバックS2とヘッドレストS3の両方をバックパネル80にしっかりと固定することができる。
また、第1固定部30と第2固定部40がいずれも、ワイヤフレーム20よりも太くて剛性が高いパイプフレーム10に設けられているので、第1固定部30と第2固定部40によりパイプフレーム10をバックパネル80にしっかりと固定することができる。これにより、特にパイプフレーム10により内部フレームの全体が構成されるヘッドレストS3の取付剛性を向上させることができる。
また、シートフレームFがパイプフレーム10と、パイプフレーム10に固定されたワイヤフレーム20とを有して構成されているので、パイプフレーム10とワイヤフレーム20のそれぞれについて、素材や形状、材質などを自由に選択することができる。これにより、シートフレームFの設計の自由度を向上させることができる。
また、ワイヤフレーム20の径がパイプフレーム10の径よりも小さいので、例えば、同径の部材から形成する場合と比較して、ワイヤフレーム20を細くして軽量化することができる。これにより、シートフレームFを軽量化することができるので、シートフレームFを備える車両用シートSを軽量化することができる。また、本実施形態では、シートバックパッド62の背面に設けられた第1凸部65および第2凸部66がバックパネル80に当接しており、シートバックS2に前側から入力された荷重を、ワイヤフレーム20だけでなく、バックパネル80でも受けることができるので、ワイヤフレーム20がパイプフレーム10よりも細くても、荷重をしっかりと支えることができる。
また、第1固定部30の第1ボディ固定部31が前側から見て露出しているので、ネジ92を、前側から第1貫通孔31Aを通してバックパネル80に簡単に締結することができ、車両用シートS(シートバックS2)のバックパネル80への取付作業をより簡単にすることができる。
また、第2固定部40の第2ボディ固定部41が前側から見て露出しているので、ネジ93を、前側から第2貫通孔41Aを通してバックパネル80に簡単に締結することができ、車両用シートS(ヘッドレストS3)のバックパネル80への取付作業をより簡単にすることができる。
また、シートフレームFの上端部に設けられた第2固定部40とシートフレームFの下端部に設けられた第3固定部50がシートフレームFの左右方向中央に配置されているので、第2固定部40と第3固定部50によりシートフレームFの左右方向中央の上下をバックパネル80に固定することができる。これにより、シートバックS2とヘッドレストS3の両方をバックパネル80によりしっかりと固定することができる。
また、第3固定部50の下端部52Aの左右方向の幅が下に向かうにつれて小さくなっているので、第3固定部50をバックパネル80の係合部81に係合させやすい。これにより、車両用シートSのバックパネル80への取付作業をより簡単にすることができる。
また、2つの第1固定部30のそれぞれが上下方向において第2固定部40と第3固定部50の間に配置され、第2固定部40および第3固定部50のそれぞれが左右方向において2つの第1固定部30の間に配置されているので、シートフレームFをバックパネル80に安定した状態で固定することができる。
また、第3固定部50が第4ワイヤフレーム24に一体に形成されているので、第3固定部と第4ワイヤフレーム(ワイヤフレーム)を別に設ける場合と比較して、シートフレームFの部品点数を削減することができる。また、第3固定部をシートフレームFに取り付ける作業が不要となるので、車両用シートSの組立作業を簡単にすることができる。
また、第3固定部50がシートバックS2の背面S21から後方に突出し、屈曲して下方に向けて延びているので、第3固定部がシートバックの背面から突出していない場合と比較して、例えば、パッドに第3固定部を露出させるための凹部などを設ける必要がないため、シートフレームFを覆うパッド60の形状を簡単な構成とすることができる。また、第3固定部がパッドの背面に設けられた凹部内に配置される場合と比較して、バックパネル80の係合部81(第3固定部50が取り付けられる部分)の形状を簡単な構成とすることができる。
また、境界部S31の全体が前側から見て2箇所の第1溶接部W1と第2溶接部W2とを結んだ三角形の内側に位置することで、第1固定部30と第2固定部40をヘッドレストS3の周りに配置することができるので、第1固定部30と第2固定部40をバックパネル80に固定したときにヘッドレストS3の取付剛性を向上させることができる。
以上に発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、下記のように発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態で説明した第1固定部30、第2固定部40および第3固定部50の配置や数などは、一例であり、前記実施形態の構成に限定されない。例えば、第2固定部や第3固定部を複数設けてもよい。また、例えば、第2固定部を左右に離間して2つ設けた場合、第2固定部はシートフレームの左右方向中央に配置されていなくてもよい。第3固定部も同様である。また、第1固定部は、シートバックの左右の縁を超えて左右方向外側まで延びる構成であってもよい。第2固定部も同様である。
また、前記実施形態では、第3固定部50は、下端部52Aの左右方向の幅が下に向かうにつれて小さくなっていたが、これに限定されず、例えば、第3固定部は、その上端部を含む全体の左右方向の幅が下に向かうにつれて小さくなっていてもよい。また、前記実施形態では、第3固定部50がシートバックS2の背面S21から後方に突出して設けられていたが、これに限定されず、第3固定部は、シートバックの背面から後方に突出せず、例えば、左右方向から見て、シートバックの輪郭の内側に設けられていてもよい。また、前記実施形態では、第3固定部50がシートフレームF(ワイヤフレーム20)に一体に形成されていたが、これに限定されず、例えば、第3固定部は、前記実施形態の第1固定部30などと同様に、シートフレームに固定されたブラケットであってもよい。
また、前記実施形態では、第1フレームとしてのパイプフレーム10がパイプからなるフレームであり、第2フレームとしてのワイヤフレーム20がワイヤからなるフレームであったが、これに限定されない。例えば、第1フレームは、金属板からなるフレームであってもよい。また、第2フレームは、例えば、パイプからなるフレームや、金属板からなるフレームなどであってもよい。また、第1フレームや第2フレームは、異なる部材からなるフレームを連結したフレームであってもよい。例えば、パイプからなるフレームと金属板からなるフレームとを連結したフレームや、パイプからなるフレームとワイヤからなるフレームとを連結したフレームなどであってもよい。なお、第1フレームと第2フレームの両方をパイプからなるフレームとする場合、パイプの径は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
また、前記実施形態では、第1固定部30および第2固定部40が第1フレームとしてのパイプフレーム10に溶接により固定されていたが、これに限定されず、例えば、第1固定部や第2固定部は、第1フレームにボルトやかしめなどにより固定されていてもよい。また、前記実施形態では、第1固定部30と第2固定部40は、いずれもパイプフレーム10、すなわち、同じフレームに設けられていたが、これに限定されず、第1固定部と第2固定部は、異なるフレームに設けられていてもよい。
また、前記実施形態では、第1フレームとしてのパイプフレーム10がシートバックS2の上部(一部)およびヘッドレストS3全体の内部フレームを構成していたが、これに限定されない。例えば、第1フレームは、シートバック全体およびヘッドレスト全体の内部フレームを構成するフレームであってもよい。この場合、シートフレームは、第2フレームを備えない構成であってもよい。
また、前記実施形態では、第1固定部30および第2固定部40がシートフレームFに固定されたブラケットであったが、これに限定されず、例えば、第1固定部および第2固定部の少なくとも一方は、前記実施形態の第3固定部50と同様に、シートフレームの一部としてシートフレームに一体に形成されていてもよい。また、前記実施形態では、第1固定部30の第1ボディ固定部31が前側から見てシートバックS2の輪郭よりも外側まで延びていたが、これに限定されず、例えば、バックパネルの後側からネジなどを通して第1固定部に締結できるような構成であれば、第1固定部は、前側から見て、シートバックの輪郭の内側に設けられていてもよい。第2固定部も同様である。
また、前記実施形態では、乗物用シートとして軽トラックに搭載される車両用シートSを例示したが、これに限定されず、乗物用シートは、軽トラック以外の自動車に搭載されるシートであってもよい。また、乗物用シートは、自動車以外の乗物、例えば、鉄道車両や船舶、航空機などに搭載されるシートであってもよい。
また、前記した実施形態および変形例で説明した各要素は、適宜組み合わせて実施することが可能である。