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JP2019127506A - 官能化環状ポリシロキサンの製造方法。 - Google Patents

官能化環状ポリシロキサンの製造方法。 Download PDF

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JP2019127506A JP2018008343A JP2018008343A JP2019127506A JP 2019127506 A JP2019127506 A JP 2019127506A JP 2018008343 A JP2018008343 A JP 2018008343A JP 2018008343 A JP2018008343 A JP 2018008343A JP 2019127506 A JP2019127506 A JP 2019127506A
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Abstract

【課題】入手性の容易な原料を用いて、当該原料単独では得ることができない構造の環状ポリシロキサンを、簡便、高収率、かつ任意の官能化度にて得ることができる官能化環状ポリシロキサンの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】下記工程1)、工程2)の工程を順次行うことを特徴とする官能化環状ポリシロキサンの製造方法により上記目的を達成することができる。
工程1)(a)オルガノハイドロジェンシロキサン、(b)繰り返し単位中にハイドロジェン基を有さないシロキサン、(c)酸触媒を混合して、(a)と(b)のシロキサン間での交換反応を起こす工程、
工程2)前記工程1)で得られた混合物を、加熱、減圧蒸留(分解蒸留)し、官能化環状ポリシロキサンを得る工程。
【選択図】 なし

Description

本発明は、官能基の導入された環状ポリシロキサン(官能化環状ポリシロキサン)の製造方法に関する。
SiH基を有する環状ポリシロキサンは、シリコーン工業においてシーラントや封止剤等に用いられる架橋型シリコーンゴムの製造原料として使用される。室温架橋型シリコーンゴムはSiH基を含有する環状ポリシロキサンとビニル基を含有するポリシロキサンとを白金触媒の存在下で反応させ架橋させることにより得られる。また、SiH基を含有する環状ポリシロキサンは接着性促進剤等として用いられる有機官能基結合ポリシロキサンの製造原料としても使用される。有機官能基結合ポリシロキサンはSiH基を含有する環状ポリシロキサンとビニル基を含有する有機基を白金触媒の存在下で反応させることにより得られる。
このように多くの用途で用いられるSiH基を有する環状ポリシロキサンの製造法は種々知られており、特許文献1では、鎖状あるいは環状のポリシロキサンを不活性雰囲気かつ加圧下において、加熱した固定触媒床に接触させて反応させる方法が示されているが、不活性雰囲気、250℃以上の高温、加圧プロセスが必要であり、簡便な方法であるとは言えない。
特許文献2においては、1種の鎖状ポリシロキサンを金属アルコキシドの存在下に加熱することで環状ポリシロキサンを得る方法が示されている。しかしこの方法では、任意の官能化度の環状ポリシロキサンを得るためには、原料としてそれぞれに適した官能化度合いである鎖状ポリシロキサンを都度準備する必要性が生じる。この様な任意の官能化度の鎖状ポリシロキサンは原料の入手性が問題となり、工業的な汎用性に欠ける点で、任意の官能化度の環状ポリシロキサンを得る方法としては適していない。また、特許文献2においては、2種以上の鎖状あるいは環状のポリシロキサンを金属アルコキシドの存在下に加熱することで環状ポリシロキサンを得る方法が示されている。しかし、当該特許文献の方法では、単独のポリシロキサンからでは得ることができない構造の環状ポリシロキサンの収率は十分ではない。更には、当該特許文献中にて、反応の安定性が確保できないために酸触媒の使用は適さないと記述されている。
特開平8−291220 特開平11−100389
SiH基を有する環状ポリシロキサンの中でよく用いられるのは環状4量体シロキサンの1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン(以下、D4H4と称する。)である。1分子中に4個のSiH基を有するD4H4は、ヒドロシリル化反応や縮合反応による架橋剤あるいは架橋剤の原料として用いた場合、架橋密度が高くなりすぎて硬化物が脆くなるなど課題がある。D4H4よりもSiH基含量が低減された、つまりSiH基が別の官能基に置換された環状4量体シロキサンが架橋剤あるいは架橋剤の原料として好ましい。また、得られる環状4量体シロキサンの官能化度は、使用する用途によって異なるため、官能化度の調整が容易に可能であることが好ましい。これらの官能化された環状4量体シロキサンの合成方法は、複数報告されているものの、原料の入手性や反応の収率と言った点で十分であるとは言えなかった。そこで本特許においては、入手性の容易な原料を用いて、当該原料単独では得ることができない構造の環状ポリシロキサンを、簡便、高収率、かつ任意の官能化度にて得ることができる官能化環状ポリシロキサンの製造方法を提供する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、工程1)(a)オルガノハイドロジェンシロキサン、(b)繰り返し単位中にハイドロジェン基を有さないシロキサン、(c)酸触媒を混合して、(a)と(b)のシロキサン間での交換反応を起こす工程と、
工程2)前記工程1)で得られた混合物を、加熱、減圧蒸留(分解蒸留)し、官能化環状ポリシロキサンを得る工程の2つの工程を有する、官能化環状ポリシロキサンの製造方法により、上記課題が解決できることを見出した。即ち、本発明は以下の構成をなす。
〔1〕.下記工程1)、工程2)の工程を順次行うことを特徴とする官能化環状ポリシロキサンの製造方法。
工程1)(a)オルガノハイドロジェンシロキサン、(b)繰り返し単位中にハイドロジェン基を有さないシロキサン、(c)酸触媒を混合して、(a)と(b)のシロキサン間での交換反応を起こす工程、
工程2)前記工程1)で得られた混合物を、加熱、減圧蒸留(分解蒸留)し、官能化環状ポリシロキサンを得る工程。
〔2〕.前記(c)酸触媒が、固体無機酸であることを特徴とする〔1〕記載の官能化環状ポリシロキサンの製造方法。
〔3〕.前記工程2)で、工程1)で用いた(c)酸触媒に加えて、(d)別の触媒をさらに添加することを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の官能化環状ポリシロキサンの製造方法。
〔4〕.前記(d)別の触媒として、金属アルコキシドを添加することを特徴とする、〔3〕に記載の官能化環状ポリシロキサンの製造方法。
〔5〕.前記工程1)の後で、(c)酸触媒を除去し、その後(d)別の触媒を添加後、前記工程2)を行うことを特徴とする、〔1〕または〔2〕に記載の官能化環状ポリシロキサンの製造方法。
〔6〕.前記(d)別の触媒として、金属アルコキシドを添加することを特徴とする、〔5〕に記載の官能化環状ポリシロキサンの製造方法。
〔7〕.前記工程1)を、大気下で行うことを特徴とする、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の官能化環状ポリシロキサンの製造方法。
本発明によれば、簡便、高収率、かつ任意の官能化度合いにて官能化環状ポリシロキサンを製造する方法を提供することができる。
以下に本発明を実施するに当たって好ましい形態について説明する。
((a)オルガノハイドロジェンシロキサン)
本発明で用いられるオルガノハイドロジェンシロキサンは下記一般式(I)
(式中、R1〜R7はそれぞれ独立して一価の置換または非置換の炭化水素基を表し、nは1〜500の数である)である。
1〜R7の一価の置換または非置換の炭化水素基としては、ハロゲン化アルキル基、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、グリシジル基、アリール基等が挙げられる。これらの内、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、グリシドキシプロピル基、フェニル基が挙げられ、さらに好ましくはメチル基、フェニル基が挙げられる。最も好ましいものはメチル基である。
nは1〜500、好ましくは10〜300、更に好ましくは30〜100の数である。nが小さすぎる場合には、末端の比率が高くなるために最終的な環状ポリシロキサンの収率が低下するため好ましくない。nが大きすぎる場合には、副反応によるゲル化等を引き起こしやすくなるため好ましくない。
前記一般式(I)で表される鎖状ポリシロキサンの具体例としては、下記式(II)が挙げられる。
((b)繰り返し単位中にハイドロジェン基を有さないシロキサン)
本発明で用いられる繰り返し単位中にハイドロジェン基を有さないシロキサンとしては、下記一般式(III)
(式中、R8〜R9はそれぞれ独立して一価の置換または非置換の炭化水素基を、R11〜R16はそれぞれ独立して水素原子、一価の置換または非置換の炭化水素基を表し、mは1〜500の数である)である。本発明で用いられる繰り返し単位中にハイドロジェン基を有さないシロキサンは、末端にハイドロジェン基を有していてもよい。
8〜R16の一価の置換または非置換の炭化水素基としては、ハロゲン化アルキル基、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、グリシジル基、アリール基等が挙げられる。これらの内、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、グリシドキシプロピル基、フェニル基が挙げられ、さらに好ましくはメチル基、フェニル基が挙げられる。最も好ましいものはメチル基である。
mは1〜500、好ましくは10〜300、更に好ましくは30〜100の数である。mが小さすぎる場合には、末端の比率が高くなるために最終的な環状ポリシロキサンの収率が低下するため好ましくない。mが大きすぎる場合には、副反応によるゲル化等を引き起こしやすくなるため好ましくない。
前記一般式(III)で表される鎖状ポリシロキサンの具体例としては、下記式(IV)が挙げられる。
オルガノハイドロジェンシロキサンと繰り返し単位中にハイドロジェン基を有さないシロキサンの混合比率は、目的とする官能化環状ポリシロキサンの構造に応じ、任意に選択することができる。一般に、オルガノハイドロジェンシロキサンと繰り返し単位中にハイドロジェン基を有さないシロキサンの混合比率は、好ましくは1:100〜100:1の範囲、更に好ましくは1:10〜10:1の範囲である。
((c)酸触媒)
本発明で用いられる、工程1)で添加される酸触媒としては、ルイス酸性を示す触媒であれば適用可能であるが、例えば、無機系液状酸触媒、無機系固体酸触媒、有機系液状酸触媒、有機系固体酸触媒、が挙げられる。
無機系液状触媒としては例えば、塩酸、塩化水素酸、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、四フッ化ホウ素酸、過塩素酸、六フッ化リン酸、六フッ化アンチモン酸、六フッ化ヒソ酸、等が挙げられる。無機系固体酸触媒としては例えば、ヘテロポリ酸、シリカ系固体酸触媒、ゼオライト、メソポーラス材料、カーボン系固体酸触媒等が挙げられる。ヘテロポリ酸としては例えば、タングステン、モリブテン、バナジウム等の金属からなるイソポリ酸骨格に、ケイ素、リン、ヒ素などのPブロック元素が含まれる物であり、具体的には、ケイタングステン酸、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンモリブデン酸ナトリウム、リンタングストモリブデン酸、リンバナドモリブデン酸、等が挙げられる。シリカ系固体酸触媒としては例えば、シリカゲルにスルホン酸基を修飾した触媒、シリカゲルにカルボン酸を修飾した触媒、シリカゲルにリン酸を修飾した触媒、等が挙げられる。有機系液状酸触媒としては例えば、メチルスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、等が挙げられる。有機系固体酸触媒としては例えば、シグマアルドリッチ社が販売する、ポリスチレンスルホン酸イッテルビウム、ビス(トリフルオロメタンスルホン酸)スカンジウム、ダウケミカル社が販売するアンバーリストシリーズ等の高分子担持触媒が挙げられる。
分解蒸留工程で最終生成物に混合しないことや、シロキサン結合の組み換え反応後に除去する可能性を考慮すると、固体系の触媒を用いることが望ましい。適度な反応速度と副反応の少なさという点で最も好ましいものは、ケイタングステン酸である。これらの触媒は単独で用いても良いし、任意の割合で組み合わせて用いても良い。
本発明における酸触媒の使用量は反応速度に応じ種々選択できるが、一般には原料ポリシロキサンを基準に0.01〜100重量部、好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは1〜5重量部を使用することができる。酸触媒は、一度に添加しても良いし、反応進行と共に添加量を増やしても良い。また、工程2)にて工程1)で用いた酸触媒を、更に追加添加しても良い。
((d)別の触媒)
本発明で用いられる、工程2)で追加することが可能である(d)別の触媒とは、前述の(c)酸触媒と異なる触媒であることを意味し、(d)別の触媒としては例えば、前記酸触媒の内、工程1)で用いなかった酸触媒や、金属―酸素結合を有する化合物が挙げられる。
金属−酸素結合を有する化合物とは、SiO結合の再配列と環状オリゴシロキサンを生成させる機能がある化合物であり、このようなものとしては金属とアルコールの反応物(金属アルコキシド)、金属とシラノール化合物との反応物、金属とカルボン酸の反応物が挙げられる。この中でも、副反応の少なさと分解蒸留速度とのバランスの点で、金属アルコキシドが好ましい。
金属アルコキシドはアルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、スズアルコキシド、亜鉛アルコキシド等が挙げられる。アルミニウムアルコキシドが最も好ましい。
金属アルコキシドを具体的に例示すると、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリブトキシド、アルミニウムトリ第2ブトキシド、アルミニウムジイソプロポキシ第2ブトキシド、アルミニウムジイソプロポキシアセチルアセトナート、アルミニウムジ第2ブトキシアセチルアセトナート、アルミニウムジイソプロポキシエチルアセトアセタート、アルミニウムジ第2ブトキシエチルアセトアセタート、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセタート、アルミニウムアセチルアセトナートビスエチルアセトアセタート、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンジイソプロポキシビスアセチルアセトナート、チタンジイソプロポキシビスエチルアセトアセタート、チタンテトラ2−エチルヘキシルオキシド、チタンジイソプロポキシビス(2−エチル−1、3−ヘキサンジオラート)、チタンジブトキシビス(トリエタノールアミナート)、ジルコニウムテトラブトキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムトリブトキシドモノアセチルアセトナート、ジルコニウムジブトキシドビスアセチルアセトナート、ジルコニウムブトキシドトリスアセチルアセトナート、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムトリブトキシドモノエチルアセトアセタート、ジルコニウムジブトキシドビスエチルアセトアセタート、ジルコニウムブトキシドトリスエチルアセトアセタート、ジルコニウムテトラエチルアセトアセタート、である。その他、環状の1、3、5−トリイソプロポキシシクロトリアルミノキサン等も使用することもできる。これらのうち好ましくはアルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリ第2ブトキシド、アルミニウムジイソプロポキシエチルアセトアセタート、アルミニウムジ第2ブトキシエチルアセトアセタート、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、ジルコニウムテトラブトキシドが用いられる。最も好ましいものはアルミニウムトリイソプロポキシドである。
これらの触媒は単独で用いても良いし、任意の割合で組み合わせて用いても良い。本発明における工程1)とは異なる触媒の使用量は、反応速度に応じ種々選択できるが、一般には原料ポリシロキサンを基準に0.01〜100重量部、好ましくは0.05〜50重量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部を使用することができる。
(官能化環状ポリシロキサン)
本発明では下記一般式(V)
(式中、pは1〜3、qは0〜4、p+qは3〜5の数を表す。)で表される成分を官能化環状ポリシロキサンとして分解蒸留により取得する(式中、R17〜R19はそれぞれ独立して一価の置換または非置換の炭化水素基を表し、mは1〜500の数である)。
17〜R19の一価の置換または非置換の炭化水素基としては、ハロゲン化アルキル基、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、グリシジル基、アリール基等が挙げられる。これらの内、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、グリシドキシプロピル基、フェニル基が挙げられ、さらに好ましくはメチル基、フェニル基が挙げられる。最も好ましいものはメチル基である。
(工程1)について)
工程1)は、(a)オルガノハイドロジェンシロキサン、(b)繰り返し単位中にハイドロジェン基を有さないシロキサン、(c)酸触媒を混合して、(a)と(b)のシロキサン間での交換反応を起こす工程である。
工程1)における反応温度は、シロキサン結合の組み換え反応が進行する温度であればよく、40〜300℃の温度範囲が適用可能であるが、実用的に好ましい反応速度の維持と副反応による反応系のゲル化を防ぐためには、60〜250℃の温度が好ましく、80〜200℃の温度がより好ましい。
工程1)の反応における反応器内の圧力は、特に制限はないが、減圧下で実施する場合には、揮発物を除去すること無く還流させるために、冷却器や冷却塔を使用することが望ましい。揮発物を反応系内から除去してしまった場合には、所望の比率の官能化環状ポリシロキサンの収率が低下してしまう。工業的な実用性を考慮すると、大気下で実施することが好ましい。
工程1)で添加する(c)酸触媒は、一度に添加しても良いし、反応進行と共に徐々に添加していっても良い。
工程1)の反応には必要に応じ適切な溶媒を使用することができる。溶媒としては触媒と化学的な反応性を有さない溶媒であればどのようなものでも使用可能である。溶媒の具体例としては、アルコール系、エーテル系、二トリル系、ケトン系、アミド系、カーボネート系、エステル系、ラクトン系、硫黄含有溶剤、ハロゲン化炭化水素及び炭化水素系溶媒が挙げられ、これらの溶媒を二種以上用いてもよい。使用量も任意の量を使用できる。
(工程2)について)
工程2)は、前記工程1)で得られた混合物を、加熱、減圧蒸留(分解蒸留)し、官能化環状ポリシロキサンを得る工程である。
工程2)における反応温度は、反応が進行する温度であればよく、40〜300℃の温度範囲が適用可能であるが、実用的に好ましい反応速度の維持と副反応による反応系のゲル化を防ぐためには、60〜250℃の温度が好ましい。工程2)においては揮発による潜熱のため、ジャケット温と比較して液温は低くなる傾向があるが、前述の温度は液温で管理することが好ましい。
工程2)においては、工程1)で用いた酸触媒をそのまま用いても良いし、工程1)で用いた(c)酸触媒と同じ酸触媒を更に追加添加しても良いし、(d)別の触媒をさらに添加しても良いし、工程1)で用いた(c)酸触媒を一旦除去した後に、(d)別の触媒を添加しても良い。工程1)で用いた(c)酸触媒を工程2)の前に除去する場合、中和反応、蒸留、ろ過、抽出、吸着等の操作により、(c)酸触媒を除去することが可能である。固体酸触媒を用いた場合には、ろ過により除去する方法が、工業的に優れている。
工程2)の分解蒸留反応を収率良く進行させるためには、(d)別の触媒をさらに添加する事が好ましい。このような触媒としては、前述の通り様々な触媒が使用可能であるが、分解蒸留に適した触媒を加えることで、工程2)の分解蒸留反応を収率良く進行させる事が可能となる。このような触媒としては、金属アルコキシド触媒が好ましい。
工程2)の分解蒸留反応を収率良く進行させるためには、工程1)で用いた酸触媒を一旦除去した後に、(d)別の触媒を添加する事が更に好ましい。工程1)で用いた酸触媒を除去する事で、工程1)で用いた酸触媒による副反応等を防ぐ事が可能となる。
更に、工程2)で新たに追加する触媒としては、前述の通り様々な触媒が使用可能であるが、分解蒸留に適した触媒を添加することで、工程2)の分解蒸留反応を収率良く進行させる事が可能となる。この様な触媒としては、金属アルコキシド触媒が好ましい。
工程2)における反応容器内の圧力には特に制限はないが、生成物を逐次留去して比較的低温で蒸留を効率よく進めるために、減圧下に行うことが好ましい。この場合例えば0.001〜700mmHgの減圧下に反応を実施でき、0.01〜500mmHgが好ましく、0.1〜300mmHgがより好ましい。
工程2)の反応には必要に応じ適切な溶媒を使用することができる。溶媒としては触媒と化学的な反応性を有さない溶媒であればどのようなものでも使用可能である。溶媒の具体例としては、アルコール系、エーテル系、二トリル系、ケトン系、アミド系、カーボネート系、エステル系、ラクトン系、硫黄含有溶剤、ハロゲン化炭化水素及び炭化水素系溶媒が挙げられ、これらの溶媒を二種以上用いてもよい。使用量も任意の量を使用できる。
本発明の工程1)及び工程2)は、原料ポリシロキサンと触媒を混合加熱しシロキサン結合の交換反応(工程1))を完結させた後、分解蒸留により生成物を得る(工程2))こともできるし、工程1の反応を途中まで進行させた後に工程2)に移行して、生成物を逐次留去しながら分解蒸留を行うこともできる。工程1)の反応を完結させた後に工程2)に移行することで、シロキサン結合組み換え後の鎖状ポリシロキサンからのみ得られる構造の環状ポリシロキサンの収率を向上させることができるため、工程1)の反応を50%以上進行させた状態で工程2)に移行することが望ましく、70%以上進行させた状態で工程2)に移行することが好ましく、90%以上進行させた状態であれば更に好ましい。ここで、工程1)の反応が100%完結した状態とは、温度や触媒量等の条件を変えずに反応を継続させた時に、継続する1hの間で見かけ上のシロキサン結合の組み換え反応が進行せずに平衡状態に達した状態を指す。 この様な平衡状態への到達度は、NMR測定やガスクロマトグラフィー測定やゲル浸透クロマトグラフィー等の手法により追跡することが可能である。 生成物を留去する場合には必要に応じ各種充填塔などの精留塔を使用することができる。精留塔を用いた場合には製品の純度を高くすることができる。更に、工程2)で得られた生成物の純度を挙げるために、工程2)終了後に更に精留を実施することも可能である。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。ただし、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(分析方法)
官能化環状ポリシロキサンは、ガスクロマトグラフィーに質量分析装置を接続した装置(GC−MS)にて、構造の同定を行った。また、蒸留により得られた各成分の含有量は、ガスクロマトグラフィー(GC)で分析した。各成分定量は、標品として入手可能な1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン(p,q)=(0,4)、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルシクロテトラシロキサン(p,q)=(4,0)、については事前に測定した検出感度を元に定量、(p,q)=(1,3)、(2,2)、(3,1)については(0,4)および(4,0)の検出感度を比例配分して定量した。
(実施例1)
温度計、磁気攪拌子、精留塔(Vigreaux型、20cm)つきの留出管、および留出物の捕集器を備えた500mLの四首丸底フラスコを、トラップを通じて減圧ポンプに接続した。フラスコ中に分子量2100〜2400の(CH3)3SiO−((CH3)HSiO)n−Si(CH3)3 (Gelest社製HMS−993)100g、(CH3)3SiO−((CH3)2SiO)m−Si(CH3)3 (Gelest社製DMS−T15)100g、およびケイタングステン酸1.00gを入れ、常圧にて100℃の油浴中で加熱撹拌した。加熱中10分毎に1HNMR測定を実施し、SiH成分に由来するピーク形状が継続する1hの間で変化しなくなった事を確認した(工程1))。次に、油浴温度100〜200℃、減圧度は700〜1mmHgにて、蒸留を実施した(工程2))。得られた留分の総量は60g(収率30%)であった。留分はガスクロマトグラフィーで分析した。総量中に占める各成分の生成量を表1に示した。
(実施例2〜6)
各種添加量を表1の通りに変化させる以外、実施例1と同様の方法で実施した。
(実施例7)
実施例1と同様に工程1を完了した後に、アルミニウムトリイソプロポキシドを0.50g添加し、油浴温度100〜200℃、減圧度は700〜1mmHgにて、蒸留を実施した(工程2))。得られた留分の総量は90g(収率45%)であった。留分はガスクロマトグラフィーで分析した。総量中に占める各成分の生成量を表1に示した。
(実施例8)
実施例1と同様に工程1を完了した後に、反応溶液を濾過し、酸触媒を除去した。ろ過後の溶液にアルミニウムイソプロポキシド0.50gを添加し、油浴温度100〜200℃、減圧度は700〜1mmHgにて、蒸留を実施した(工程2))。得られた留分の総量は154g(収率77%)であった。留分はガスクロマトグラフィーで分析した。総量中に占める各成分の生成量を表1に示した。
(実施例9〜11)
各種添加量を表1の通りに変化させる以外、実施例8と同様の方法で実施した。
(比較例1)
ケイタングステン酸をアルミニウムトリイソプロポキシド0.50gに変える事以外、実施例1と同様の方法で実施した。
(比較例2)
各種添加量を表1の通りに変化させる以外、比較例1と同様の方法で実施した。
表1の結果より、比較例の手法と比較して、実施例の手法では、高い収率で官能化環状ポリシロキサン(表1中、トリハイドロジェンペンタメチルシクロテトラシロキサン、ジハイドロジェンヘキサメチルシクロテトラシロキサン、モノハイドロジェンヘプタメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンを指す)が得られた。また、仕込みシロキサンのうちオルガノハイドロジェンシロキサンの比率を増やすことで、留分中における官能化度の低い環状ポリシロキサンの比率が向上し、一方でオルガノハイドロジェンシロキサンの比率を減らすことで、留分中における官能化度の高い環状ポリシロキサンの比率が向上したことから、原料の仕込み比率を調整することで、官能化環状ポリシロキサンを所望の比率で含む生成物が得られた。

Claims (7)

  1. 下記工程1)、工程2)の工程を順次行うことを特徴とする官能化環状ポリシロキサンの製造方法。
    工程1)(a)オルガノハイドロジェンシロキサン、(b)繰り返し単位中にハイドロジェン基を有さないシロキサン、(c)酸触媒を混合して、(a)と(b)のシロキサン間での交換反応を起こす工程、
    工程2)前記工程1)で得られた混合物を、加熱、減圧蒸留(分解蒸留)し、官能化環状ポリシロキサンを得る工程。
  2. 前記(c)酸触媒が、固体無機酸であることを特徴とする請求項1記載の官能化環状ポリシロキサンの製造方法。
  3. 前記工程2)で、工程1)で用いた(c)酸触媒に加えて、(d)別の触媒をさらに添加することを特徴とする請求項1または2に記載の官能化環状ポリシロキサンの製造方法。
  4. 前記(d)別の触媒として、金属アルコキシドを添加することを特徴とする、請求項3に記載の官能化環状ポリシロキサンの製造方法。
  5. 前記工程1)の後で、(c)酸触媒を除去し、その後(d)別の触媒を添加後、前記工程2)を行うことを特徴とする、請求項1または2に記載の官能化環状ポリシロキサンの製造方法。
  6. 前記(d)別の触媒として、金属アルコキシドを添加することを特徴とする、請求項5に記載の官能化環状ポリシロキサンの製造方法。
  7. 前記工程1)を、大気下で行うことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の官能化環状ポリシロキサンの製造方法。
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