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JP2019125651A - 積鉄心および電気機器 - Google Patents

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JP2019125651A
JP2019125651A JP2018004344A JP2018004344A JP2019125651A JP 2019125651 A JP2019125651 A JP 2019125651A JP 2018004344 A JP2018004344 A JP 2018004344A JP 2018004344 A JP2018004344 A JP 2018004344A JP 2019125651 A JP2019125651 A JP 2019125651A
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政男 籔本
Masao Yabumoto
政男 籔本
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Abstract

【課題】 三相交流電力が印加される電気機器に用いられる積鉄心の損失および騒音を低減する。【解決手段】 積鉄心200は、積鉄心200の高さ方向から積鉄心200を見た場合に、中空の略正六角形の形状を有する継鉄部221、222であって、積鉄心200の高さ方向において間隔をあけて相互に対向するように配置された継鉄部221、222と、積鉄心200の高さ方向に延設される脚部211、212、213であって、継鉄部221、222と接合される脚部211、212、213とを有する。【選択図】 図2

Description

本発明は、積鉄心および電気機器に関し、特に、三相交流電力が印加される電気機器に用いて好適なものである。
三相交流電力が印加される電気機器の一例として三相変圧器がある。三相変圧器には鉄心が用いられる。三相変圧器の鉄心には大きく分けて積鉄心と巻鉄心がある。何れの鉄心も、例えば、複数の脚部と、当該脚部を磁気的に結合され、当該脚部と共に閉磁路を構成する複数の継鉄部とを有する。特許文献1には、三相変圧器用の積鉄心が開示されており、特許文献2には、三相変圧器用の巻鉄心が開示されている。何れの鉄心も、一方向(直線上)に間隔を有して配置される3つの脚部と、当該脚部の上端部・下端部の領域において当該脚部と接合される2つの継鉄部と、を有する。
特開2000−200722号公報 特開2009−252795号公報
しかしながら、特許文献1に記載の積鉄心を三相変圧器に用いると、継鉄部と中央の脚部との境界の領域付近等で回転磁界が発生しやすい。回転磁界とは、磁界の向きが一定の周期で楕円状または円状に変化する磁界をいう。特許文献1に記載のような積鉄心では、このような回転磁界が発生し易いこと等の理由で、ビルディングファクタ(電気機器の鉄損÷鉄心を構成する材料の鉄損)が大きくなる虞がある。
一方、特許文献2に記載のような巻鉄心を三相変圧器に用いると、磁束は圧延方向に沿うため、回転磁界は発生しづらい。しかしながら、巻鉄心を製造する場合には、鉄心としての形状とした後に、歪取り焼鈍が行われる。軟磁性体板を巻き回して鉄心の形状とする際に軟磁性体板に歪みが導入されるからである。歪取り焼鈍が行われると、磁区細分化により軟磁性体板により導入された歪が低減・消失する虞がある。磁区細分化とは、軟磁性体板の表面に局部的な歪を導入し、磁区を細分化する手法である。例えば、軟磁性体板に対するレーザービームの照射を行うことにより、磁区細分化を実現することができる。磁区細分化は、軟磁性体板の鉄損の低減に大きく寄与するが、以上のように巻鉄心に対して磁区細分化の技術を適用することが容易ではない。
更に、特許文献1、2に記載の技術のように、脚部が一方向に並ぶ構成とすると、中央の脚部に対して巻き回されたコイルに励磁電流を流すことにより発生する磁路と、当該中央の脚部の隣にある脚部に対して巻き回されたコイルに励磁電流を流すことにより発生する磁路とが異なる。このため、三相の磁気回路が均等にならない。従って、鉄損を増加や、鉄心の振動による騒音をさせる要因となる高調波の磁束が鉄心内に発生する虞がある。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、三相交流電力が印加される電気機器に用いられる積鉄心の損失および騒音を低減することを目的とする。
本発明の積鉄心は、積層された複数の軟磁性体板を有し、略同じ構成を有する3つの脚部と、積層された複数の軟磁性体板を有し、略同じ構成を有する2つの継鉄部とを有し、当該3つの脚部と当該2つの継鉄部とが磁気的に結合された状態の積鉄心であって、前記3つの脚部は、それぞれ、前記積鉄心の高さ方向に延設され、前記3つの脚部の横断面において、当該3つの脚部の軸の位置は、前記積鉄心の軸の位置を重心の位置とする三角形の頂点の位置と略同じ位置にあり、前記3つの脚部を構成する前記軟磁性体板の板面が、前記三角形の重心と、当該脚部が位置する前記三角形の頂点とを相互に結ぶ仮想線が延びる方向に対して略垂直な方向を向くように、前記3つの脚部を構成する前記軟磁性体板は積層された状態であり、前記継鉄部を構成する軟磁性体板は、少なくとも1箇所において折り曲げられた状態であり、前記2つの継鉄部のうち、一方の前記継鉄部は、前記3つの脚部の長手方向の一方の端部の領域と接合された状態であり、他方の前記継鉄部は、前記3つの脚部の長手方向の他方の端部の領域と接合された状態であり、前記継鉄部および前記脚部の接合される領域において、前記継鉄部および前記脚部を構成する軟磁性体板の積層方向は、略同じ方向であることを特徴とする。
本発明の電気機器は、三相交流電力が印加される電気機器であって、前記積鉄心と、前記脚部に巻き回されたコイルと、を有することを特徴とする。
本発明によれば、三相交流電力が印加される電気機器に用いられる積鉄心の損失および騒音を低減することができる。
三相変圧器の構成の第1の例を示す正面図である。 三相変圧器の構成の第1の例を示す上面図、横断面図、および底面図である。 第1の例の積鉄心を展開した様子の第1の例を示す図である。 第1の例の積鉄心を展開した様子の第2の例を示す図である。 三相変圧器の第1の例の変形例の構成を示す上面図、横断面、および底面図である。 三相変圧器の構成の第2の例を示す正面図である。 三相変圧器の構成の第2の例を示す上面図および底面図である。 第2の例の積鉄心を展開した様子の第1の例を示す図である。 第2の例の積鉄心を展開した様子の第2の例を示す図である。
単相の交流電力が印加される電気機器で用いられる積鉄心として、一方向(直線上)に間隔を有して配置される2つの脚部と、当該2つの脚部の上端部の領域・下端部の領域にそれぞれ接合される2つの継鉄部とを有する積鉄心(正面から見た形状が略口の字状の積鉄心)がある。本発明者らは、このような積鉄心では、ビルディングファクタが1に近いことに着目した。以下の説明では、このような積鉄心を必要に応じて2脚鉄心と称する。
2脚鉄心において、継鉄部を曲げた状態にしても磁路が大きく変わるわけではないので、鉄損が多少劣化する継鉄部の曲げ部分の体積が継鉄部全体の体積に比べ十分小さくすれば、ビルディングファクタは、継鉄部を曲げない場合と大きく変わることはない。そこで、本発明者らは、継鉄部を曲げた3つの2脚鉄心を、積鉄心の周方向(積鉄心の軸回り)において組み合わせて鉄心を構成すれば、ビルディングファクタを低減することなく、三相の磁気回路を均等に近づけて高調波の磁束の発生を抑制できることを着想した。以下に説明する各実施形態は、このような着想に基づいてなされたものである。
また、本発明者らは、B8(800A/mの磁界強度における磁束密度)が大きい方向性電磁鋼板は方位集積度も大きいのにも関わらず、B8が大きい方向性電磁鋼板を三相変圧器の鉄心として用いると、鉄心の鉄損の改善率が、方向性電磁鋼板自体の鉄損の改善率に基づく期待値よりも小さくなるという知見を得た。これは、方向性電磁鋼板のB8を大きくすると、方向性電磁鋼板における磁気異方性が向上するため、方向性電磁鋼板の圧延方向への磁束の直進性が増すためであると考えられる。尚、B8は、方向性電磁鋼板の方位集積度を反映し、B8が大きいほど、方向性電磁鋼板の方位集積度は大きくなる。方位集積度とは、ミラー指数のゴス方位への配向の度合いを示すものであり、方位集積度が大きいほど、ミラー指数がゴス方位に配向している結晶粒が多いことを示す。
以下の各実施形態で説明する積鉄心を構成する軟磁性体板は、方向性電磁鋼板に限らず、例えば、無方向性電磁鋼板や電磁鋼板以外の軟磁性体板であってもよいが、以上の知見から、以下の各実施形態では、積鉄心を構成する軟磁性体板が方向性電磁鋼板である場合を例に挙げて説明する。
また、以下の各実施形態では、三相交流電力が印加される電気機器として三相変圧器を例に挙げて説明する。ただし、三相交流電力が印加される電気機器は、三相変圧器に限定されず、例えば、三相リアクトルであってもよい。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。各図において、X、Y、Z座標は、各図における向きの関係を示し、○の中に×を付しているものは、紙面の手前側から奥側に向かう方向を示し、○の中に●を付しているものは、紙面の奥側から手前側に向かう方向を示す。また、以下の各図では、表記および説明の都合上、説明に必要なもののみを必要に応じて簡略化して示す。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態を説明する。
図1は、三相変圧器の構成の一例を示す図であり、三相変圧器をその正面から見た図である。図2は、三相変圧器の構成の一例を示す図であり、三相変圧器をその上方(Z軸方向)から見た上面図(図2(a))と、三相変圧器のZ軸方向の中央における横断面を示す横断面図(図1のI−I断面図、図2(b))と、三相変圧器をその下方(Z軸方向)から見た底面図(図2(c))である。
三相変圧器は、積鉄心200と、3つのコイル群310、320、330とを有する。
積鉄心200は、3つの脚部211、212、213と、2つの継鉄部221、222とを有する。
3つの脚部211、212、213は、略同じもの(形状および大きさが略同じ)である。3つの脚部211、212、213は、積層された(積み重ねられた)複数の方向性電磁鋼板を有する。3つの脚部211、212、213は、その長手方向が、積鉄心200の高さ方向(Z軸方向)に沿うように配置される。図2(b)に示すように、脚部211、212、213の横断面(積鉄心200の高さ方向(Z軸方向)に垂直な方向に切った断面)の形状は四角形である。
また、3つの脚部211、212、213の横断面において、3つの脚部211、212、213を構成する方向性電磁鋼板の板面方向の長さ(幅)は、略同じである。また、3つの脚部211、212、213の横断面において、3つの脚部211、212、213の重心(軸)211a、212a、213aは、積鉄心200の軸200a(積鉄心200の重心の位置を通り高さ方向(Z軸方向)に延びる軸)を重心の位置とする略正三角形の頂点と略同じ位置に位置する。3つの脚部211、212、213は、積鉄心200の軸200aを軸として略3回対称となるように配置される。
また、3つの脚部211、212、213の横断面において、3つの脚部211、212、213を構成する方向性電磁鋼板の板面が、それぞれ、積鉄心200の軸200aと、当該脚部211、212、213の重心(軸)211a、212a、213aとを相互に結ぶ仮想線が延びる方向に対して略垂直な方向を向くように、3つの脚部211、212、213を構成する方向性電磁鋼板は積層される。
2つの継鉄部221、222は、略同じもの(形状および大きさが略同じ)である。図2(a)および図2(c)に示すように2つの継鉄部221、222は、積鉄心200の軸200aの回りを周回する形状を有する。具体的に2つの継鉄部221、222の形状は、積鉄心200の軸200aと略同軸の、中空のn角柱である。ここで、nは、3以上の3の倍数の整数であり、6以上が好ましい。また、n角柱の上面および下面(底面)の外縁の形状は略正3角形であるのが好ましい。即ち、n角柱は、正3角柱の各角部をn/3個の折り曲げ部とすることが好ましい。このように2つの継鉄部221、222は、3個以上の折り曲げ部を有する(図2(a)に示す例では、6個の折り曲げ部を有する(2つの継鉄部221、222の形状は、積鉄心200の軸200aと略同軸の、中空の6角柱であるので、正3角柱の各角部を2(=6/3)個の折り曲げ部としている))。尚、中空の領域は、積鉄心200の軸200aの方向において貫通する領域である。図2では、2つの継鉄部221、222の形状が、中空の正六角柱である場合を例に挙げて説明する。
2つの継鉄部221、222は、それぞれ、3つの脚部211、212、213の上端部の領域、下端部の領域と接合された状態で配置される。これにより、継鉄部221、222および脚部211、212、213は磁気的に結合される。この際、継鉄部221、222と脚部211、212、213とは、それらを構成する方向性電磁鋼板の板面の一部の領域が相互に重なるようにするのが好ましい。尚、接合とは、板厚部分同士を突き合わせることをいい、物理的に取り外し不能にされることを意味するものではない(このことは、以降の記載でも同じである)。
継鉄部221は、積層された(積み重ねられた)複数の方向性電磁鋼板の組として同じ構成の組221a〜221cを3つ有する。以下の説明では、この組を、必要に応じて継鉄構成部分221a〜221cと称する。各継鉄構成部分221a〜221cを構成する複数の方向性電磁鋼板は、長手方向の長さおよび折り曲げ位置が異なる。各継鉄構成部分221a〜221cを構成する複数の方向性電磁鋼板は、その長手方向の2箇所の位置で、略同じ折り曲げ角度で折り曲げられた形状(折り曲げ部)を有する。図2(a)に示す例では、当該折り曲げ角度は、略60°である。ここで、折り曲げ角度とは、継鉄構成部分221a〜221cを構成する方向性電磁鋼板の、平面の状態からの折り曲げ角度である。従って、継鉄構成部分221a〜221cの2つの角部の角度(のうち小さい方の角度)は、それぞれ略120°である。
図2(a)に示すように、各継鉄構成部分221a〜221cは、それらを構成する複数の方向性電磁鋼板の折り曲げ部の凹面が、積鉄心200の軸200a側を向き、且つ、当該複数の方向性電磁鋼板の板面が、積鉄心200の軸200aに垂直な仮想平面に対して略垂直な方向を向き、且つ、各継鉄構成部分221a〜221cと積鉄心200の軸200aとの距離が略等距離になるように配置される。従って、各継鉄構成部分221a〜221cの長手方向の端部同士が接合される。
本実施形態では、積鉄心200をその上方および下方から見た場合(高さ方向(Z軸方向)から見た場合)に、相互に隣接する位置に配置される2つの継鉄構成部分221a・221b、221b・221c、221c・221aの接合部231a、231b、231cの領域が、それぞれ、脚部211、212、213の領域に含まれるようにする。即ち、相互に隣接する位置に配置される2つの継鉄構成部分221a・221b、221a・221c、221b・221cの接合部231a、231b、231cの、積鉄心200の軸200aに垂直な仮想平面(X−Y平面)上の座標は、それぞれ、脚部211、212、213の、積鉄心200の軸200aに垂直な仮想平面(X−Y平面)上の座標に含まれる。
以上のようにして各継鉄構成部分221a〜221cを構成および配置することで、各継鉄構成部分221a〜221cにおいて、当該継鉄構成部分221a〜221cを構成する複数の方向性電磁鋼板の折り曲げられた2箇所の位置の間の領域が、継鉄部221の平面形状である中空の略正六角形の一辺を構成する。また、当該継鉄構成部分221a〜221cを構成する複数の方向性電磁鋼板のその他の領域(折り曲げられた2箇所の位置の間の領域以外の領域)と、当該継鉄構成部分221a〜221cと接合される継鉄構成部分221a〜221cの当該その他の領域(折り曲げられた2箇所の位置の間の領域以外の領域)とで、継鉄部221の平面形状である中空の略六角形の一辺を構成する。従って、継鉄部221の折り曲げられる箇所は合計6箇所になる。尚、各継鉄構成部分を構成する複数の方向性電磁鋼板の箇所の数は、継鉄部の平面形状に応じて定められる。例えば、継鉄部の平面形状が中空の三角形である場合、尚、各継鉄構成部分を構成する複数の方向性電磁鋼板の折り曲げられる箇所の数は、1つでよい(1つの継鉄部の折り曲げられる箇所は合計3箇所になる)。
図2(a)〜図2(c)に示すように、継鉄部221を構成する複数の方向性電磁鋼板のうち、脚部211、212、213と接合される領域に配置される複数の方向性電磁鋼板の積層方向は、当該脚部211、212、213を構成する複数の方向性電磁鋼板の積層方向と略同じになる。継鉄部221(継鉄構成部分221a〜221c)を構成する複数の方向性電磁鋼板の積層方向は、前述した折り曲げ位置において異なる方向に変更される。継鉄部221(継鉄構成部分221a〜221c)を構成する複数の方向性電磁鋼板の積層方向であって、相互に異なる積層方向のなす角度は略60°である。
ここで、方向性電磁鋼板の折り曲げは、例えば、ユニコア加工機等、公知の技術を用いて行うことができる。
また、少なくとも方向性電磁鋼板の折り曲げ部に熱処理を施すことにより折り曲げ加工により導入された塑性歪を軽減し、その結果、方向性電磁鋼板の折り曲げ部における鉄損値(塑性歪に伴い増加する)の、方向性電磁鋼板のその他の領域における鉄損値に対する比が、1.5以下となっていることが好ましい。折り曲げ加工によるビルディングファクタの劣化を抑制することができるからである。
前述したように継鉄部222は、継鉄部221と略同じものであり、継鉄部222の説明は、以上の継鉄部221の説明において、符号221を222に、符号231を232に置き換えたものになる。従って、継鉄部222の詳細な説明を省略する。
また、脚部211、212、213および継鉄部221、222を構成する方向性電磁鋼板に対して磁区細分化を行うのが好ましい。例えば、方向性電磁鋼板の表面に対して、ボールペンによる罫書き、レーザービームの照射、電子ビームの照射、またはプラズマの照射を行うことにより、磁区細分化を実現することができる。これらの手法により、例えば、方向性電磁鋼板の圧延方向に対して略直交するように線状に歪を導入することができる。折り曲げ部に前述した熱処理を行う場合には、方向性電磁鋼板のその他の領域に熱処理の影響を及ぼさないことが好ましい。
コイル群310、320、330は、それぞれ、積鉄心200の脚部211、212、213に対して巻き回されるコイルを有する。本実施形態では、三相変圧器を例に挙げて説明するので、コイル群310、320、330は、例えば、それぞれ、U相、V相、W相に対応し、それぞれが、一次コイル(励磁コイル)と二次コイル(二次電圧を出力するコイル)とを有する。コイル群310、320、330は、三相変圧器に適用される公知のコイルにより実現することができる。従って、コイル群310、320、330の詳細な説明を省略する。
前述したように、3つの継鉄構成部分221a〜221c、222a〜222cを接合することにより(1つの)継鉄部221、222が構成される。また、脚部211〜213と継鉄部221、222とを接合することにより、積鉄心200が構成される。以下に、これらの接合方法の一例を説明する。
図3は、積鉄心200を展開した様子の第1の例を示す図である。図3(a)は、積鉄心200の内周面の領域を展開して示す図である。図3(b)は、積鉄心200の上面の領域(Z軸の正の方向から負の方向に向けて見た場合の積鉄心200の領域)を展開して示す図である。図3(c)は、積鉄心200の下面の領域(Z軸の負の方向から正の方向に向けて見た場合の積鉄心200の領域)を展開して示す図である。尚、図3では、表記の都合上、方向性電磁鋼板の積層枚数を、図2と異ならせている。また、図3(a)において、破線は、最表面の方向性電磁鋼板の裏側(Y軸の正の方向側)にある方向性電磁鋼板の輪郭を示す。
図3(a)〜図3(c)に示すように、継鉄部221、222の継鉄構成部分221a〜221c、222a〜222cは、五角形の複数の方向性電磁鋼板を、当該五角形の最も長い辺に沿う方向(長手方向)の端部の位置が階段状に繰り返しずれるように積層することにより構成される。ここで、当該方向性電磁鋼板の圧延方向は、当該五角形の最も長い辺(長手方向)に沿う方向(継鉄部221、222の長手方向)と略平行である(図3の継鉄構成部分221a〜221c、222a〜222cの中に示す両矢印線を参照)。
図3(a)ではこのようにして積層された複数の方向性電磁鋼板を、それぞれ方向性電磁鋼板群301〜306として示す。継鉄構成部分221a〜221c、222a〜222cを構成する複数の方向性電磁鋼板は、継鉄構成部分221a〜221c、222a〜222cの折り曲げ位置と合う位置で、折り曲げ角度が略60°になるように折り曲げられる。図2(a)、図2(c)に示す、継鉄構成部分221a〜221c、222a〜222cを構成する複数の方向性電磁鋼板の長手方向の長さは、積鉄心200の内周側よりも外周側(図3(a)の紙面の手前側よりも奥側)の方が長い。折り曲げ位置が相互に合うように方向性電磁鋼板を積層した際に、積層された方向性電磁鋼板の長手方向の端の位置が揃うように、継鉄構成部分221a〜221c、222a〜222cを構成する複数の方向性電磁鋼板の長手方向の長さおよび折り曲げ位置が定められる。
図3(a)に示すように、脚部211〜213は、六角形の複数の方向性電磁鋼板を、当該六角形の最も長い辺に沿う方向(脚部211〜213の長手方向)の位置が階段状に繰り返しずれるように積層することにより構成される。ここで、当該方向性電磁鋼板の圧延方向は、当該六角形の最も長い辺に沿う方向(脚部211〜213の長手方向)と略平行である(図3(a)の脚部211〜213の中に示す両矢印線を参照)。
図3(a)ではこのようにして積層された複数の方向性電磁鋼板を、それぞれ方向性電磁鋼板群307〜309として示す。脚部211〜213を構成する六角形の複数の方向性電磁鋼板の長手方向の長さは同じであり、且つ、折り曲げられていない。
このようにして構成した方向性電磁鋼板群301〜309を接合することにより積鉄心200が構成される。図3に示す例では、方向性電磁鋼板群301〜309の接合(突き合わせ)の方式をステップラップ接合とする場合を示す。ステップラップ接合は、板の長手方向における板厚部分を見た場合に、板の長手方向の端部の位置が、周期的に階段状にずれるように板を積層することにより実現される。
図3に示す例では、継鉄構成部分221aを構成する方向性電磁鋼板群301の長手方向の一端と、継鉄構成部分221bを構成する方向性電磁鋼板群302の長手方向の一端と、脚部211を構成する方向性電磁鋼板群307の長手方向の一端とがステップラップ接合される。また、継鉄構成部分221bを構成する方向性電磁鋼板群302の長手方向の他端と、継鉄構成部分221cを構成する方向性電磁鋼板群303の長手方向の一端と、脚部213を構成する方向性電磁鋼板群308の長手方向の一端とがステップラップ接合される。また、継鉄構成部分221cを構成する方向性電磁鋼板群303の長手方向の他端と、継鉄構成部分221aを構成する方向性電磁鋼板群302の長手方向の他端と、脚部212を構成する方向性電磁鋼板群309の長手方向の一端とがステップラップ接合される。継鉄構成部分222a〜222cについても継鉄構成部分221a〜221cと同様に、脚部211〜213、および、当該継鉄構成部分に隣接して配置される2つの継鉄構成部分とステップラップ接合される。
図3に示す例では、方向性電磁鋼板の長手方向(図3(b)ではX軸方向、図3(c)ではY軸方向)における方向性電磁鋼板の板厚部分を見た場合に、方向性電磁鋼板の板厚方向で隣接する6つの方向性電磁鋼板毎に、方向性電磁鋼板の長手方向の端部のそれぞれの位置が、周期的に階段状にずれるようにする場合を示す。
尚、図3に示す例では、方向性電磁鋼板の長手方向の端部の位置を、1つの方向性電磁鋼板毎にずらす場合を示すが、方向性電磁鋼板の長手方向の端部の位置を、複数の方向性電磁鋼板毎にずらすようにしてもよい。
以上のようなステップラップ接合を採用することによって、方向性電磁鋼板の長手方向における板厚部分を見た場合に、当該方向性電磁鋼板の長手方向の端部の位置が、徐々に変化するため、当該方向性電磁鋼板の長手方向の端部の板厚方向の各位置における磁束の集中(即ち、当該方向性電磁鋼板の長手方向の端部の板厚方向において磁束が不均一になること)を抑制することができる。
図4は、積鉄心200を展開した様子の第2の例を示す図である。図4(a)は、積鉄心200の内周面の領域を展開して示す図である。図4(b)は、積鉄心200の上面の領域(Z軸の正の方向から負の方向に向けて見た場合の積鉄心200の領域)を展開して示す図である。図4(c)は、積鉄心200の下面の領域(Z軸の負の方向から正の方向に向けて見た場合の積鉄心200の領域)を展開して示す図である。尚、図4でも、図3と同様に、表記の都合上、方向性電磁鋼板の積層枚数を、図2と異ならせている。また、図4(a)において、破線は、最表面の方向性電磁鋼板の裏側(Y軸の正の方向側)にある方向性電磁鋼板の輪郭を示す。
図4(a)〜図4(c)に示すように、継鉄部221、222の継鉄構成部分221a〜221c、222a〜222cは、五角形の複数の方向性電磁鋼板を、その長手方向の端部が第1の位置および第2の位置の2つの位置に交互に配置されるように積層することにより構成される。ここで、当該方向性電磁鋼板の圧延方向は、当該五角形の最も長い辺(長手方向)に沿う方向(継鉄部221、222の長手方向)と略平行である(図4の継鉄構成部分221a〜221c、222a〜222cの中に示す両矢印線を参照)。
図4(a)ではこのようにして積層された複数の方向性電磁鋼板を、それぞれ方向性電磁鋼板群401〜406として示す。継鉄構成部分221a〜221c、222a〜222cを構成する複数の方向性電磁鋼板は、継鉄構成部分221a〜221c、222a〜222cの折り曲げ位置と合う位置で、折り曲げ角度が略60°になるように折り曲げられる。図2(a)、図2(c)に示すように、継鉄構成部分221a〜221c、222a〜222cを構成する複数の方向性電磁鋼板の長手方向の長さは、積鉄心200の内周側よりも外周側(図4(a)の紙面の手前側よりも奥側)の方が長い。折り曲げ位置が相互に合うように方向性電磁鋼板を積層した際に、積層された方向性電磁鋼板の長手方向の端の位置が揃うように、継鉄構成部分221a〜221c、222a〜222cを構成する複数の方向性電磁鋼板の長手方向の長さおよび折り曲げ位置が定められる。
図4(a)に示すように、脚部211〜213は、六角形の複数の方向性電磁鋼板を、その長手方向の端部が第1の位置および第2の位置の2つの位置に交互に配置されるように積層することにより構成される。ここで、当該方向性電磁鋼板の圧延方向は、当該六角形の最も長い辺(長手方向)に沿う方向(脚部211〜213の長手方向)と略平行である(図4(a)の脚部211〜213の中に示す両矢印線を参照)。
図4(a)ではこのようにして積層された複数の方向性電磁鋼板を、それぞれ方向性電磁鋼板群407〜409として示す。脚部211〜213を構成する六角形の複数の方向性電磁鋼板の長手方向の長さは同じであり、且つ、折り曲げられていない。
このようにして構成した方向性電磁鋼板群401〜409を接合することにより積鉄心200が構成される。図4に示す例では、方向性電磁鋼板群301〜309の接合(突き合わせ)の方式を交互ラップ接合とする場合を示す。交互ラップ接合は、板の長手方向における板厚部分を見た場合に、板の長手方向の端部の位置が、第1の位置および第2の位置の2つの位置に交互に配置されるように板を積層することにより実現される。方向性電磁鋼板群401〜409を接合する方法は、前述した方向性電磁鋼板群301〜309を接合する方法の説明において、符号301〜309を401〜409に、ステップラップ接合を交互ラップ接合に置き換えたものになる。従って、方向性電磁鋼板群401〜409を接合する方法の詳細な説明を省略する。
交互ラップ接合としても、ステップラップ接合と同様に、方向性電磁鋼板の長手方向の端部の板厚方向の各位置における磁束の集中(即ち、当該方向性電磁鋼板の長手方向の端部の板厚方向において磁束が不均一になること)を抑制することができる。交互ラップ接合よりもステップラップ接合の方が、当該磁束の集中を抑制する効果は大きいが、交互ラップ接合の方がステップラップ接合よりも積層が容易になる。
尚、ステップラップ接合および交互ラップ接合自体は、公知の技術で実現することができ、ステップラップ接合および交互ラップ接合の方法として、図3および図4に示す以外にも種々の方法を採用することができる。
方向性電磁鋼板群301〜309、401〜409の固定は、例えば、方向性電磁鋼板に穴をあけて、当該穴に、当該方向性電磁鋼板と電気的に絶縁された状態でボルトを通し、当該ボルトを、当該方向性電磁鋼板と電気的に絶縁された状態でナットを用いて締めたり、ケースを用いたり、溶接を行ったりすることにより実現される。
以上のようにして積鉄心200が構成される。
以上のように本実施形態では、積鉄心200は、積鉄心200の高さ方向から積鉄心200を見た場合に、中空の略正六角形の形状を有する継鉄部221、222であって、積鉄心200の高さ方向において間隔をあけて相互に対向するように配置された継鉄部221、222と、積鉄心200の高さ方向に延設される脚部211、212、213であって、継鉄部221、222と接合される脚部211、212、213とを有する。また、相互に隣接する位置に配置される2つの継鉄構成部分(例えば、継鉄構成部分221a・221b)の接合部(例えば、231a)の領域のX−Y平面上の座標が、脚部(例えば、脚部211)の領域のX−Y平面上の座標に含まれるようにする。従って、積鉄心200を構成する方向性電磁鋼板の板面の方向に沿って流れる磁束が、特許文献1、2に記載の技術よりも、三相交流の各相において均等に近づき、各相の磁気回路を均等に近づけることができるため、回転磁界の発生を抑制することができる。よって、例えば、B8が大きい方向性電磁鋼板を用いても、ビルディングファクタが低下することを抑制することができると共に、高調波の磁束が積鉄心200内に発生することを抑制することができる。よって、積鉄心200の損失および騒音を低減することができる。
本実施形態では、脚部211、212、213の横断面が四角形である場合を例に挙げて説明した。しかしながら、脚部211、212、213の横断面の形状は四角形に限定されない。図5は、三相変圧器の変形例の構成を示す図であり、三相変圧器をその上方から見た上面図(図5(a))と、三相変圧器の高さ方向の中央における横断面を示す横断面図(図5(b))と、三相変圧器をその下方から見た底面図(図5(c))である。
図5において、三相変圧器は、積鉄心500と、3つのコイル群510、520、530とを有する。
積鉄心500は、3つの脚部511、512、513と、2つの継鉄部621、622とを有する。
図2(b)に示す例では、脚部211、212、213の横断面は、四角形である。これに対し、図5(b)に示す例では、脚部511、512、513の横断面において、方向性電磁鋼板の板面方向の長さ(幅)が、方向性電磁鋼板の積層方向の中央から端に向けて段階的に小さくなるようにする。具体的に図5(b)に示す例では、脚部511、512、513の横断面において、方向性電磁鋼板の積層方向の中央に位置する方向性電磁鋼板の板面方向の長さが最も長く、方向性電磁鋼板の積層方向の端に位置する方向性電磁鋼板の板面方向の長さが最も短くなるように、方向性電磁鋼板の積層方向の中央から端に向けて複数枚の方向性電磁鋼板毎に多段階で、方向性電磁鋼板の板面方向の長さが短くなるようにする。
このような脚部511、512、513の形状に合わせて、継鉄部521、522を構成する方向性電磁鋼板の長さや積層枚数を定める。
以上のようにすることにより、脚部511、512、513の横断面の形状を円に近づけることができ、コイル群510、520、530を構成するコイルを円状に近い形状で巻き回すことができる。
尚、図5のように積鉄心500を構成する場合も、図2に示す積鉄心200と同様に、3つの脚部511、512、513の横断面において、3つの脚部511、512、513を構成する方向性電磁鋼板の板面は、それぞれ、積鉄心500の軸500aと、当該脚部511、512、513の重心(軸)511a、512a、513aとを相互に結ぶ仮想線が延びる方向に対して略垂直な方向を向くように、3つの脚部511、512、513を構成する方向性電磁鋼板は積層される。
また、継鉄部521、522を構成する複数の方向性電磁鋼板のうち、脚部511、512、513と接合される領域に配置される複数の方向性電磁鋼板の積層方向は、当該脚部511、512、513を構成する複数の方向性電磁鋼板の積層方向と略同じになる。
また、本実施形態のように、3つの脚部211、212、213の横断面において、3つの脚部211、212、213の重心(軸)211a、212a、213aが、積鉄心200の軸200aを重心の位置とする略正三角形の頂点と略同じ位置に位置するようにすれば、3相の磁気回路をより均等に近づけることができるので好ましいが、3つの脚部の横断面において、3つの脚部の重心が、積鉄心の軸を重心の位置とする三角形の頂点と略同じ位置に位置するようにしていれば、当該三角形は必ずしも略正三角形でなくてもよい。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を説明する。第1の実施形態では、相互に隣接する位置に配置される2つの継鉄構成部分(例えば、継鉄構成部分221a・221b)の接合部(例えば、接合部231a)の領域のX−Y平面上の座標が、脚部(例えば、脚部211)の領域のX−Y平面上の座標に含まれる場合を例に挙げて説明した。これに対し、本実施形態では、このようにせずに、2つの継鉄構成部分の接合部が、脚部211、212、213と継鉄部221との2つの接合部の間の領域にある場合について説明する。このように本実施形態と第1の実施形態とは、継鉄部の構成の一部が主として異なる。従って、本実施形態の説明において、第1の実施形態と同一の部分については、図1〜図5に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
図6は、三相変圧器の構成の一例を示す図であり、三相変圧器をその正面から見た正面図である。図7は、三相変圧器の構成の一例を示す図であり、三相変圧器をその上方(高さ方向)から見た上面図(図7(a))と、三相変圧器をその下方(高さ方向)から見た底面図(図7(b))である。尚、三相変圧器の高さ方向の中央における横断面を示す図(図6のI−I断面図)は、図2(b)と同じである(ただし、符号200aは符号600aに置き換えられる)。
三相変圧器は、積鉄心600と、3つのコイル群310、320、330とを有する。
積鉄心600は、3つの脚部211、212、213と、2つの継鉄部621、622とを有する。
3つのコイル群310、320、330および3つの脚部211、212、213は、第1の実施形態で説明したものと同じもので実現することができる。
2つの継鉄部621、622は、略同じもの(形状および大きさが略同じ)である。図7(a)および図7(b)に示すように2つの継鉄部621、622は、積鉄心600の軸600aの回りを周回する形状を有する。具体的に本実施形態でも、第1の実施形態の継鉄部221、222と同様に、2つの継鉄部621、622の形状が、中空の正六角柱である場合を例に挙げて説明する。
2つの継鉄部621、622は、それぞれ、3つの脚部211、212、213の上端部の領域、下端部の領域と接合された状態で配置される。これにより、継鉄部621、622および脚部211、212、213は磁気的に結合される。この際、継鉄部621、622と脚部211、212、213とは、それらを構成する方向性電磁鋼板の板面の一部の領域が相互に重なるようにするのが好ましい。
継鉄部621は、積層された(積み重ねられた)複数の方向性電磁鋼板の組として同じ構成の組621a〜621cを3つ有する。以下の説明では、この組を、必要に応じて継鉄構成部分621a〜621cと称する。各継鉄構成部分621a〜621cを構成する複数の方向性電磁鋼板は、長手方向の長さおよび折り曲げ位置が異なる。各継鉄構成部分を構成する複数の方向性電磁鋼板は、その長手方向の2箇所の位置で、略同じ折り曲げ角度で折り曲げられた形状(折曲部)を有する。図7(a)および図7(b)に示す例では、当該折り曲げ角度は、略60°である。前述したように、折り曲げ角度とは、継鉄構成部分621a〜621cを構成する方向性電磁鋼板の、平面の状態からの折り曲げ角度である。従って、継鉄構成部分621a〜621cの2つの角部の角度(のうち小さい方の角度)は、それぞれ略120°である。
図7(a)および図7(b)に示すように、各継鉄構成部分621a〜621cは、それらを構成する複数の方向性電磁鋼板の折り曲げ部の凹面が、積鉄心600の軸600a側を向き、且つ、当該複数の方向性電磁鋼板の板面が、積鉄心600の軸600aに垂直な仮想平面に対して略垂直な方向を向き、且つ、各継鉄構成部分621a〜621cと積鉄心600の軸600aとの距離が略等距離になるように配置される。従って、各継鉄構成部分621a〜621cの長手方向の端部同士が接合される。
本実施形態では、相互に隣接する位置に配置される2つの継鉄構成部分621a・621b、621b・621c、621c・621aの接合部631a、631b、631cの、積鉄心600の軸600aに垂直な仮想平面(X−Y平面)上の座標は、脚部211、212、213の、積鉄心600の軸600aに垂直な仮想平面(X−Y平面)上の座標に含まれない。具体的に本実施形態では、相互に隣接する位置に配置される2つの継鉄構成部分621a・621b、621b・621c、621c・621aの接合部631a、631b、631cが、それぞれ、積鉄心600の周方向(軸600a回りの方向)において相互に隣接する2つの脚部(3つの脚部211〜213の重心(軸)を頂点とする略正三角形の各辺の両端に位置する2つの脚部)211・213、211・212、212・213と、継鉄部621との接合部の中間の位置になるようにする。
以上のようにして各継鉄構成部分621a〜621cを構成および配置することで、各継鉄構成部分621a〜621cにおいて、当該継鉄構成部分621a〜621cを構成する複数の方向性電磁鋼板の折り曲げられた2箇所の位置の間の領域が、継鉄部621の平面形状である中空の略正六角形の一辺を構成する。また、当該継鉄構成部分621a〜621cを構成する複数の方向性電磁鋼板のその他の領域(折り曲げられた2箇所の位置の間の領域以外の領域)と、当該継鉄構成部分621a〜621cと接合される継鉄構成部分621a〜621cの当該その他の領域(折り曲げられた2箇所の位置の間の領域以外の領域)とで、継鉄部621の平面形状である中空の略正六角形の一辺を構成する。
図2(b)、図6(a)、図6(b)に示すように、継鉄部621を構成する複数の方向性電磁鋼板のうち、脚部211、212、213と接合される領域に配置される複数の方向性電磁鋼板の積層方向は、当該脚部211、212、213を構成する複数の方向性電磁鋼板の積層方向と略同じになる。継鉄部621(継鉄構成部分621a〜621c)を構成する複数の方向性電磁鋼板の積層方向は、前述した折り曲げ位置において異なる方向に変更される。継鉄部621(継鉄構成部分621a〜621c)を構成する複数の方向性電磁鋼板の積層方向であって、相互に異なる積層方向のなす角度は略60°である。
ここで、方向性電磁鋼板の折り曲げは、例えば、ユニコア加工機等、公知の技術を用いて行うことができる。
前述したように継鉄部622は、継鉄部621と略同じものであり、継鉄部622の説明は、以上の継鉄部621の説明において、符号621を622に、符号631を632に置き換えたものになる。従って、継鉄部622の詳細な説明を省略する。
また、方向性電磁鋼板の折り曲げられている部分に、熱処理を施すことや、方向性電磁鋼板に磁区細分化を行うことが可能であることは第1の実施形態で説明した通りである。
前述したように、3つの継鉄構成部分621a〜621c、622a〜622cを接合することにより(1つの)継鉄部621、622が構成される。また、脚部211〜213と継鉄部621、622とを接合することにより、積鉄心600が構成される。これらの接合方法は、例えば、第1の実施形態と同様に、ステップラップ接合または交互ラップ接合により実現することができる。以下に、これらの接合方法の一例を説明する。
図8は、積鉄心600を展開した様子の第1の例を示す図である。図8(a)は、積鉄心600の内周面の領域を展開して示す図である。図8(b)は、積鉄心600の上面の領域(Z軸の正の方向から負の方向に向けて見た場合の積鉄心600の領域)を展開して示す図である。図8(c)は、積鉄心600の下面の領域(Z軸の負の方向から正の方向に向けて見た場合の積鉄心600の領域)を展開して示す図である。尚、図8では、表記の都合上、方向性電磁鋼板の積層枚数を、図7と異ならせている。また、図8(a)において、破線は、最表面の方向性電磁鋼板の裏側(Y軸の正の方向側)にある方向性電磁鋼板の輪郭を示す。
図8(a)〜図8(c)に示すように、継鉄部621、622の継鉄構成部分621a〜621c、622a〜622cは、長方形に対し、脚部211〜213の長手方向の端の形状に合わせて三角形状に凹んだ形状の複数の方向性電磁鋼板を、当該長方形の長辺(長手方向)に沿う方向(継鉄部621、622の長手方向)の端部の位置が階段状に繰り返しずれるように積層することにより構成される。ここで、当該方向性電磁鋼板の圧延方向は、当該長方形の長辺(長手方向)に沿う方向(継鉄部621、622の長手方向)と略平行である(図8の継鉄構成部分621a〜621c、622a〜622cの中に示す両矢印線を参照)。
図8(a)ではこのようにして積層された複数の方向性電磁鋼板を、それぞれ方向性電磁鋼板群801〜806として示す。継鉄構成部分621a〜621c、622a〜622cを構成する複数の方向性電磁鋼板は、継鉄構成部分621a〜621c、622a〜622cの折り曲げ位置と合う位置で、折り曲げ角度が略60°になるように折り曲げられる。図7(a)、図7(b)に示すように、継鉄構成部分621a〜621c、622a〜622cを構成する複数の方向性電磁鋼板の長手方向の長さは、積鉄心600の内周側よりも外周側(図8(a)の紙面の手前側よりも奥側)の方が長い。折り曲げ位置が相互に合うように方向性電磁鋼板を積層した際に、積層された方向性電磁鋼板の長手方向の端の位置が揃うように、継鉄構成部分621a〜621c、622a〜622cを構成する複数の方向性電磁鋼板の長手方向の長さ、折り曲げ位置、および三角形状の凹んだ部分の位置が定められる。
図8(a)に示すように、脚部211〜213は、六角形の複数の方向性電磁鋼板を、当該六角形の最も長い辺に沿う方向(脚部211〜213の長手方向)の位置が階段状に繰り返しずれるように積層することにより構成される。ここで、当該方向性電磁鋼板の圧延方向は、当該六角形の最も長い辺(長手方向)に沿う方向(脚部211〜213の長手方向)と略平行である(図8(a)の脚部211〜213の中に示す両矢印線を参照)。
図8(a)ではこのようにして積層された複数の方向性電磁鋼板を、それぞれ方向性電磁鋼板群807〜809として示す。脚部211〜213を構成する六角形の複数の方向性電磁鋼板の長手方向の長さは同じであり、且つ、折り曲げられていない。
このようにして構成した方向性電磁鋼板群801〜809をステップラップ接合することにより積鉄心600が構成される。
図8に示す例では、継鉄構成部分621aを構成する方向性電磁鋼板群801の長手方向の一端と、継鉄構成部分621bを構成する方向性電磁鋼板群802の長手方向の一端とがステップラップ接合される。また、継鉄構成部分621bを構成する方向性電磁鋼板群802の長手方向の他端と、継鉄構成部分621cを構成する方向性電磁鋼板群803の長手方向の一端とがステップラップ接合される。また、継鉄構成部分621cを構成する方向性電磁鋼板群803の長手方向の他端と、継鉄構成部分621aを構成する方向性電磁鋼板群801の長手方向の他端とがステップラップ接合される。また、脚部211を構成する方向性電磁鋼板群807の長手方向の一端と、継鉄構成部分621aを構成する方向性電磁鋼板群801の長手方向の中央の下端において凹んでいる部分とがステップラップ接合される。また、脚部213を構成する方向性電磁鋼板群808の長手方向の一端と、継鉄構成部分621bを構成する方向性電磁鋼板群802の長手方向の中央の下端において凹んでいる部分とがステップラップ接合される。また、脚部212を構成する方向性電磁鋼板群809の長手方向の一端と、継鉄構成部分621cを構成する方向性電磁鋼板群803の長手方向の中央の下端において凹んでいる部分とがステップラップ接合される。継鉄構成部分222a〜222cについても継鉄構成部分221a〜221cと同様に、脚部211〜213、および、当該継鉄構成部分に隣接して配置される2つの継鉄構成部分とステップラップ接合される。
図9は、積鉄心600を展開した様子の第2の例を示す図である。図9(a)は、積鉄心600の内周面の領域を展開して示す図である。図9(b)は、積鉄心600の上面の領域(Z軸の正の方向から負の方向に向けて見た場合の積鉄心600の領域)を展開して示す図である。図9(c)は、積鉄心600の下面の領域(Z軸の負の方向から正の方向に向けて見た場合の積鉄心600の領域)を展開して示す図である。尚、図9でも、図8と同様に、表記の都合上、方向性電磁鋼板の積層枚数を、図2と異ならせている。また、図9(a)において、破線は、最表面の方向性電磁鋼板の裏側(Y軸の正の方向側)にある方向性電磁鋼板の輪郭を示す。
図9(a)〜図9(c)に示すように、継鉄部621、622の継鉄構成部分621a〜621c、622a〜622cは、長方形に対し、脚部211〜213の長手方向の端の形状に合わせて三角形状に凹んだ形状の複数の方向性電磁鋼板を、当該長方形の長辺(長手方向)に沿う方向(継鉄部621、622の長手方向)の端部が第1の位置および第2の位置の2つの位置に交互に配置されるように積層することにより構成される。ここで、当該方向性電磁鋼板の圧延方向は、当該長方形の最も長辺(長手方向)に沿う方向(継鉄部621、622の長手方向)と略平行である(図9の継鉄構成部分621a〜621c、622a〜622cの中に示す両矢印線を参照)。
図9(a)ではこのようにして積層された複数の方向性電磁鋼板を、それぞれ方向性電磁鋼板群901〜906として示す。継鉄構成部分621a〜621c、622a〜622cを構成する複数の方向性電磁鋼板は、継鉄構成部分621a〜621c、622a〜622cの折り曲げ位置と合う位置で、折り曲げ角度が略60°になるように折り曲げられる。図7(a)、図7(b)に示すように、継鉄構成部分621a〜621c、622a〜622cを構成する複数の方向性電磁鋼板の長手方向の長さは、積鉄心600の内周側よりも外周側(図9(a)の紙面の手前側よりも奥側)の方が長い。折り曲げ位置が相互に合うように方向性電磁鋼板を積層した際に、積層された方向性電磁鋼板の長手方向の端の位置が揃うように、継鉄構成部分621a〜621c、622a〜622cを構成する複数の方向性電磁鋼板の長手方向の長さが定められる。
図9(a)に示すように、脚部211〜213は、六角形の複数の方向性電磁鋼板を、当該六角形の最も長い辺(長手方向)に沿う方向(脚部211〜213の長手方向)の端部が第1の位置および第2の位置の2つの位置に交互に配置されるように積層することにより構成される。ここで、当該方向性電磁鋼板の圧延方向は、当該六角形の最も長い辺(長手方向)に沿う方向(脚部211〜213の長手方向)と略平行である(図9(a)の脚部211〜213の中に示す両矢印線を参照)。
図9(a)ではこのようにして積層された複数の方向性電磁鋼板を、それぞれ方向性電磁鋼板群907〜909として示す。脚部211〜213を構成する六角形の複数の方向性電磁鋼板の長手方向の長さは同じであり、且つ、折り曲げられていない。
このようにして構成した方向性電磁鋼板群901〜909を交互ラップ接合することにより積鉄心600が構成される。
図9に示す例では、方向性電磁鋼板群901〜909を接合する方法は、前述した方向性電磁鋼板群801〜809を接合する方法の説明において、符号801〜809を901〜909に、ステップラップ接合を交互ラップ接合に置き換えたものになる。従って、方向性電磁鋼板群901〜909を接合する方法の詳細な説明を省略する。
尚、第1の実施形態で説明したように、ステップラップ接合および交互ラップ接合自体は、公知の技術で実現することができ、ステップラップ接合および交互ラップ接合の方法として、図8および図9に示す以外にも種々の方法を採用することができる。
方向性電磁鋼板群401〜409の固定の方法は、例えば、第1の実施形態で説明したのと同じようにして実現される。
以上のようにして積鉄心600が構成される。
以上のように、相互に隣接する位置に配置される2つの継鉄構成部分(例えば、継鉄構成部分621a・621b)が、積鉄心600の周方向において相互に隣接する2つの脚部(例えば、脚部211・213)と、継鉄部(例えば、継鉄部621)との接合部の中間の位置になるようにしても、第1の実施形態で説明したのと同様の効果を奏する。
本実施形態においても、第1の実施形態で説明したように、脚部の横断面の形状は四角形に限定されない。例えば、脚部の横断面において、方向性電磁鋼板の板面方向の長さ(幅)が、方向性電磁鋼板の積層方向の中央から端に向けて段階的に小さくなるようにしてもよい。また、3つの脚部の横断面において、3つの脚部の重心が、積鉄心の軸を重心の位置とする三角形の頂点と略同じ位置に位置するようにしていれば、当該三角形は必ずしも略正三角形でなくてもよい。
尚、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
200,600,600:積鉄心、211〜213,511〜513:脚部、221〜222,621〜622:継鉄部、221a〜221c,222a〜222c,621a〜621c,622a〜622c:継鉄構成部分、231a〜231c,232a〜232c,631a〜631c,632a〜632c:接合部、310,320,330,510,520,530:コイル群、301〜309,301〜409,801〜809、901〜909:方向性電磁鋼板群

Claims (15)

  1. 積層された複数の軟磁性体板を有し、略同じ構成を有する3つの脚部と、積層された複数の軟磁性体板を有し、略同じ構成を有する2つの継鉄部とを有し、当該3つの脚部と当該2つの継鉄部とが磁気的に結合された状態の積鉄心であって、
    前記3つの脚部は、それぞれ、前記積鉄心の高さ方向に延設され、
    前記3つの脚部の横断面において、当該3つの脚部の軸の位置は、前記積鉄心の軸の位置を重心の位置とする三角形の頂点の位置と略同じ位置にあり、
    前記3つの脚部を構成する前記軟磁性体板の板面が、前記三角形の重心と、当該脚部が位置する前記三角形の頂点とを相互に結ぶ仮想線が延びる方向に対して略垂直な方向を向くように、前記3つの脚部を構成する前記軟磁性体板は積層された状態であり、
    前記継鉄部を構成する軟磁性体板は、少なくとも1箇所において折り曲げられた状態であり、
    前記2つの継鉄部のうち、一方の前記継鉄部は、前記3つの脚部の長手方向の一方の端部の領域と接合された状態であり、他方の前記継鉄部は、前記3つの脚部の長手方向の他方の端部の領域と接合された状態であり、
    前記継鉄部および前記脚部の接合される領域において、前記継鉄部および前記脚部を構成する軟磁性体板の積層方向は、略同じ方向であることを特徴とする積鉄心。
  2. 前記継鉄部は、前記積鉄心の軸の周りを周回する形状を有し、
    前記継鉄部の形状は、中空の3角柱であることを特徴とする請求項1に記載の積鉄心。
  3. 前記継鉄部の形状は、nを6以上の3の倍数の整数とする中空のn角柱であることを特徴とする請求項1に記載の積鉄心。
  4. 前記n角柱は、略正n角柱であることを特徴とする請求項3に記載の積鉄心。
  5. 前記継鉄部は、略同じ構成の3つの継鉄構成部分を有し、
    前記継鉄構成部分は、積層された複数の軟磁性体板を有し、
    前記継鉄構成部分は、前記積鉄心の軸の周りを周回する方向において、他の前記継鉄構成部分と相互に接合された状態であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の積鉄心。
  6. 相互に隣接する位置に配置される2つの前記継鉄構成部分の接合部の、前記積鉄心の軸に垂直な仮想平面上の座標は、前記脚部の、前記積鉄心の軸に垂直な仮想平面上の座標に含まれる状態であることを特徴とする請求項5に記載の積鉄心。
  7. 相互に隣接する位置に配置される2つの前記継鉄構成部分の接合部の、前記積鉄心の軸に垂直な仮想平面上の座標は、前記脚部の、前記積鉄心の軸に垂直な仮想平面上の座標に含まれておらず、2つの前記脚部と前記継鉄部との接合部の間の領域にあることを特徴とする請求項5に記載の積鉄心。
  8. 前記継鉄構成部分を構成する軟磁性体板と、前記積鉄心の軸の周りを周回する方向において、当該継鉄構成部分と隣り合う他の前記継鉄構成部分を構成する軟磁性体板とは、ステップラップ接合または交互ラップ接合により接合された状態であることを特徴とする請求項5〜7の何れか1項に記載の積鉄心。
  9. 前記3つの脚部の横断面において、当該3つの脚部の軸の位置は、前記積鉄心の軸の位置を重心の位置とする略正三角形の頂点の位置と略同じ位置にあることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の積鉄心。
  10. 前記脚部を構成する軟磁性体板と、前記継鉄部を構成する軟磁性体板とは、ステップラップ接合または交互ラップ接合により接合された状態であることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の積鉄心。
  11. 前記脚部の横断面において、前記脚部を構成する軟磁性体板の板面方向の長さは、略同じであることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の積鉄心。
  12. 前記脚部の横断面において、前記脚部を構成する軟磁性体板の積層方向に垂直な方向における当該軟磁性体板の板面方向の長さは、前記脚部を構成する軟磁性体板の積層方向の中央から端に向けて段階的に小さくなることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の積鉄心。
  13. 前記軟磁性体板の前記折り曲げられている領域における鉄損値の、当該軟磁性体板のその他の領域における鉄損値に対する比が1.5以下であることを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の積鉄心。
  14. 前記軟磁性体板は、電磁鋼板であることを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の積鉄心。
  15. 三相交流電力が印加される電気機器であって、
    請求項1〜14の何れか1項に記載の積鉄心と、
    前記脚部に巻き回されたコイルと、を有することを特徴とする電気機器。
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