JP2019119963A - 不織布ワイパーおよびその製造方法、製造装置 - Google Patents
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Abstract
Description
吸水性を有する天然系繊維に異形断面繊維を均一に分散させて配合する混合工程と、合成繊維ウエブ上に、前記混合工程で得た異形断面繊維配合天然系繊維ウエブを積層した状態で、高圧の水流により繊維を交絡させて一体化する水流交絡処理工程とを含む、ことを特徴とする不織布ワイパーの製造方法によっても達成される。
ここで、前記混合工程は、前記天然系繊維と前記異形断面繊維とをエアレイドホッパ内で混合処理するようにしてもよい。
吸水性を有する天然系繊維に異形断面繊維を均一に分散させて配合する混合装置と、合成繊維ウエブ上に、前記混合装置で得た異形断面繊維配合天然系繊維ウエブを積層した状態で、高圧の水流により繊維を交絡させて一体化する水流交絡処理装置とを、少なくとも含む、ことを特徴とする不織布ワイパーの製造装置によっても達成される。
ここで、前記混合装置は、前記天然系繊維と前記異形断面繊維とを混合するエアレイドホッパとすることができる。
図1は不織布ワイパーWPの一部を拡大して、断面構成を模式的に示している図である。図1で、下側に位置しているのが合成繊維ウエブSWであり、その上に配置されるのが天然系繊維ウエブNWである。この天然系繊維ウエブNWには、異形断面繊維MCFが配合されている。
上記の水流交絡処理の際、天然系繊維ウエブNWの繊維の一部は合成繊維ウエブSWを突き抜けて、反対側(裏面側、図1においては下側)の表面にも突出した状態(すなわち、顔を出した状態)となる。よって、裏側となる合成繊維ウエブSW側であっても、汚れを拭取る機能を備えるので、拭取り面となり得る。
図1では、この様子も図示しており、突出した繊維の一部分(天然系繊維と異形断面繊維とが混在している繊維部分)を符号(NW+MCF)で示している。
上記パルプ系繊維としては、ラジアータパイン、スラッシュパイン、サザンパイン、ロッジポールパイン、スプルースおよびダグラスファーから選択された針葉樹晒クラフトパルプなどを好適に採用するこができる。また、再生セルロース繊維としては、レーヨン、キュプラ、リヨセルおよびポリノジックから選択するのが好ましい。
上記パルプ系繊維および再生セルロース繊維から1つまたは複数を選択して、上記天然系繊維ウエブNWを形成することができる。
なお、上述した天然系繊維の繊維径は20〜80μm、繊維長は5〜30mm程度である。
更に、天然系繊維ウエブNW80〜40重量%に対して、異形断面繊維MCFが20〜60重量%で配合されているのが好ましい。
従来において一般的な合成樹脂繊維は、断面円形の紡糸口金(ノズル)を介して樹脂の溶融液等を射出して紡糸されたものであるので、その断面は円形となっている。これに対して、異形断面繊維は上記紡糸口金の形状が、例えばY形、平形、三角形、長楕円形などとして形成されており、紡糸された繊維の横断面形状は従来の円形とは異なる形状となっている。
不織布ワイパーWPに用いる異形断面繊維MCFは、拭取り面に付着している強固な汚れや微微細な汚れを削り取るのに適した形状であることが望ましい。このような観点からすると、異形断面繊維MCFは繊維の長手方向に沿ってエッジが立っている外形を有していること、すなわち繊維の横断面が突出したエッジを備えた形状に形成されているものが好ましい。例えば平形(板状或いは長四角形)三角形、Y形、星形等の横断面形状の異形断面繊維を好適に採用することができる。
上記このような異形断面繊維は繊維会社から入手可能であり、適宜に選択して天然系繊維ウエブに配合することができる。
外形においてエッジが立っている異形断面繊維MCFを混合することで、天然系繊維では削り取ることが困難であった、従来の強固な汚れを削り取ることが可能となる。また、従来、捕捉が困難であった微細な汚れ(極細かな塵など)についても、異形断面繊維MCFですくい取ることができる。天然系繊維ウエブNWは吸水性に優れるので、不織布ワイパーWPは拭取り面の汚れを水分とともに確実に除去できることになる。
更には、天然系繊維だけで製造されているウエブと比較して、異形断面繊維MCFを含む場合にはセルロース繊維間の水素結合を抑制することができるので、シートの剛性を低下させて、風合いの良い不織布ワイパーとすることができる。
搬送方向TDで、これらの装置2、3、4より下流には、上流側から順に、水流交絡処理を行うための水流噴射(ウオータジェット)装置5、乾燥装置6が配置されている。上記乾燥装置6の下流には連続して製造される不織布ワイパーWPを巻き取るための巻取装置7が更に設けてある。
ダクト22の途中には、解繊されたパルプ繊維PFの流れに合流させるように、解繊状態にある異形断面繊維MCFを投入するための投入ダクト25が、付加配備されている。
なお、ここでは図示しないセンサや計測器等により、上記パルプ繊維PFおよび異形断面繊維MCFの配合割合(重量%)を、任意に調整できるようになっている。
上記積層位置24の下側にはサクション装置4が対向配備してある。より詳細には、サクション装置4は装置本体41の上面にサクション部42を有しており、サクション部42が上記異形断面繊維配合ウエブMWに吸引力(負圧)を作用させるべく積層位置24に対して設定してある。
搬送ワイヤ43はサクション部42の吸引力が、反対側(上側)に及ぶような目開き形態(メッシュ)で形成されている。
そこで、本製造装置1では、予備的積層体PWebを上下から挟んでスパンボンドウエブSW上での異形断面繊維配合ウエブMWの載置状態を安定化させる為の挟持ローラ28、そして水流噴射装置5の上流側に繊維飛散防止用に水分を付与するプレウエット装置30が配備してある。プレウエット装置30は、好適には、予備的積層体PWebの上方からウオータミストを吹き付ける噴霧ノズル31と予備的積層体PWebの下側(すなわち、スパンボンドウエブSWの下面)から吸引力を印加するサクション装置32とを含んで構成されている。
図2で例示的に示している水流噴射装置5は、搬送方向TDに沿って多段(図2では例示しているのは4段)に水流噴射ノズル51が配置されている。第1段目の水流噴射ノズルを低圧で吹き付ける事により、上述したプレウエット装置30の代用としてもよい。
図2では、搬送方向TDに対して直角な方向(装置1の幅方向)におけるノズルの様子は図示していないが、幅方向においても複数の水流噴射ノズルが配置してある。
よって、搬送ワイヤ55上を搬送される予備的積層体PWebは、搬送方向TDで下流に向かう程に、より多くの水流交絡処理を受けることになり、水流噴射装置5を出るときには上側の異形断面繊維配合ウエブMW層と下側のスパンボンドウエブSW層との十分な交絡処理が実現される。
水流噴射装置5を出た直後にあっては、ウエブはウエット状態であり、乾燥前にあってはパルプ繊維同士などの結合は十分に確立されてはいない。
図2で、エアスルードライヤの回転可能なドライヤ本体61は筒状体であり、その周表面には多数の貫通孔が設けてあり、図示しない熱源で加熱された熱風がドライヤ本体の外周から中心部側に向かって吸い込む構成とするのがよい。
なお、上記のように不織布ワイパーのウエブが加熱されると、異形断面繊維を構成している樹脂が熱融着するように作用するので、不織布ワイパーの強度向上に寄与することになる。
このように連続的に製造される複合型の不織布ワイパーWPは巻取装置7のローラ71に巻取られて一連の工程が完了する。
図3の上段側は水流交絡処理前の予備的積層体PWeb(図1、参照)を示している。左側がエアレイド式で作製された予備的積層体PWeb−1、右側がカード機を用いた場合に作製される予備的積層体PWeb−2である。この予備的積層体PWeb−2の場合は、天然系繊維ウエブNW上に天然系繊維ウエブNWが載置された状態となる。
ただし、カード機を用いる場合、そのカード機を新たに購入して設置し、このカード機で作製したシート状の異形断面繊維MCFを天然系繊維ウエブNW上に載置する搬送装置等が必要となる。一方、エアレイド式の場合は、前述したように従来設備に簡単な変更を加えるだけでよいので、設備コストを抑制することができる。
2 エアレイド装置
3 スパンボンドウエブ供給装置
4 サクション装置
5 水流噴射装置
6 乾燥装置
7 巻取装置
21 解繊機
22 ダクト
23 エアレイドホッパ
24 積層位置
28 挟持ローラ
30 プレウエット装置
31 噴霧ノズル
32 サクション装置
41 サクション装置本体
42 サクション部
43 搬送ワイヤ
51 水流噴射ノズル
52 サクション装置
55 搬送ワイヤ
SW 合成繊維ウエブ
NW 天然系繊維ウエブ
MCF 異形断面繊維
PF パルプ繊維(天然系繊維)
MW 異形断面繊維配合ウエブ
PWeb 予備的積層体
WP 不織布ワイパー
Claims (8)
- 合成繊維ウエブの上に、吸水性を有する天然系繊維ウエブを積層した状態で、水流交絡処理することによって一体形成されているスパンレース型の不織布ワイパーであって、
上記天然系繊維ウエブには異形断面繊維が配合されている、ことを特徴とする不織布ワイパー。 - 前記天然系繊維ウエブ80〜40重量%に対して、前記異形断面繊維が20〜60重量%で配合されている、ことを特徴とする請求項1に記載の不織布ワイパー。
- 前記異形断面繊維はポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、アクリル、アセテート、ポリエステルから成る群から少なくとも1つ選択された繊維によって形成されており、繊維径は5〜100μm、繊維長は5〜30mmである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の不織布ワイパー。
- 前記異形断面繊維はエッジが立っている外形を有している。ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の不織布ワイパー。
- 合成繊維ウエブの上に、吸水性を有する天然系繊維ウエブを積層した状態で、水流交絡処理することによって一体形成されているスパンレース型の不織布ワイパーの製造方法であって、
吸水性を有する天然系繊維に異形断面繊維を均一に分散させて配合する混合工程と、
合成繊維ウエブ上に、前記混合工程で得た異形断面繊維配合天然系繊維ウエブを積層した状態で、高圧の水流により繊維を交絡させて一体化する水流交絡処理工程とを含む、ことを特徴とする不織布ワイパーの製造方法。 - 前記混合工程では、前記天然系繊維と前記異形断面繊維とをエアレイドホッパ内で混合処理する、ことを特徴とする請求項5に記載の不織布ワイパーの製造方法。
- 合成繊維ウエブの上に、吸水性を有する天然系繊維ウエブを積層した状態で、水流交絡処理することによって一体形成されているスパンレース型の不織布ワイパーを製造する製造装置あって、
吸水性を有する天然系繊維に異形断面繊維を均一に分散させて配合する混合装置と、
合成繊維ウエブ上に、前記混合装置で得た異形断面繊維配合天然系繊維ウエブを積層した状態で、高圧の水流により繊維を交絡させて一体化する水流交絡処理装置とを、少なくとも含む、ことを特徴とする不織布ワイパーの製造装置。 - 前記混合装置は、前記天然系繊維と前記異形断面繊維とを混合するエアレイドホッパである、ことを特徴とする請求項7に記載の不織布ワイパーの製造装置。
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