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JP2019175790A - 端子付き電線およびその製造方法 - Google Patents

端子付き電線およびその製造方法 Download PDF

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Hirotetsu Nakayama
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Abstract

【課題】 止水性のばらつきを抑制するとともに、防食層の硬化に要する時間を短縮し製造性に優れた端子付き電線を提供する。【解決手段】 被覆導線11の先端は、被覆部15が剥離され、内部の導線13が露出する。被覆導線11の被覆部15は、端子1の被覆圧着部9によって圧着される。また、被覆部15が剥離されて露出する導線13は、導線圧着部7により圧着される。導線圧着部7において、導線13と端子1とが電気的に接続される。被覆部15から露出する導線13が、防食層17で覆われる。防食層17は、第1樹脂被覆層17aと、第2樹脂被覆層17bからなる。第1樹脂被覆層17aは、湿気硬化性樹脂からなり、例えば、シアノアクリレート系樹脂であることが望ましい。また、第2樹脂被覆層17bは、紫外線硬化樹脂からなり、例えば、ウレタンアクリレートなどが適用可能である。【選択図】図2

Description

本発明は例えば自動車等に用いられる端子付き電線およびその製造方法に関するものである。
従来、自動車、OA機器、家電製品等の分野では、電力線や信号線として、電気導電性に優れた銅系材料からなる電線が使用されている。特に、自動車分野においては、車両の高性能化、高機能化が急速に進められており、車載される各種電気機器や制御機器が増加している。したがって、これに伴い、使用される端子付き電線も増加する傾向にある。
一方、環境問題が注目される中、自動車の軽量化が要求されている。したがって、ワイヤハーネスの使用量増加に伴う重量増加が問題となる。このため、従来使用されている銅線に代えて、軽量なアルミニウム電線が注目されている。
ここで、このような電線同士を接続する際や機器類等の接続部においては、接続用端子が用いられる。しかし、アルミニウム電線を用いた端子付き電線であっても、接続部の信頼性等のため、端子部には、電気特性に優れる銅が使用される場合がある。このような場合には、アルミニウム電線と銅製の端子とが接合されて使用される。
しかし、異種金属を接触させると、標準電極電位の違いから、いわゆる電食が発生する恐れがある。特に、アルミニウムと銅との標準電極電位差は大きいため、接触部への水の飛散や結露等の影響により、電気的に卑であるアルミニウム側の腐食が進行する。このため、接続部における電線と端子との接続状態が不安定となり、接触抵抗の増加や線径の減少による電気抵抗の増大、更には断線が生じて電装部品の誤動作、機能停止に至る恐れがある。
このため、電線と端子との接続部を防食材で被覆する方法が提案されている。この際、防食層の第1層を低粘度の樹脂で構成し、第2層を高粘度の樹脂で構成する端子付き電線が提案されている(例えば特許文献1)。
特開2014−120283号公報
特許文献1によれば、低粘度の樹脂によって導線の隙間や裏側にも樹脂を浸透させて、高粘度の樹脂によって、防食層の厚みを確保することができる。このため、止水性のばらつきを抑制することができる。しかし、2層の樹脂を形成するため、それぞれの樹脂を硬化する時間が必要となり、製造工程においてタクトタイムが増大する。また、導線の隙間などに未硬化の樹脂が残ると、所望の止水性を得ることが困難となる。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、止水性のばらつきを抑制するとともに、防食層の硬化に要する時間を短縮し製造性に優れた端子付き電線等を提供することを目的とする。
前述した目的を達するために第1の発明は、被覆導線と端子とが接続される端子付き電線であって、前記被覆導線は、被覆部と、前記被覆部の先端から露出する導線とを具備し、前記端子は、端子本体と圧着部とを有し、前記圧着部は、前記導線が圧着される導線圧着部と、前記被覆部が圧着される被覆圧着部と、前記導線圧着部と前記被覆圧着部との間のバレル間部と、を具備し、少なくとも、前記バレル間部から前記導線圧着部までの前記導線が露出する部位が防食層で覆われており、前記防食層は、湿気硬化性樹脂からなる第1樹脂被覆層と、前記第1樹脂被覆層を覆うように配置され、紫外線硬化樹脂からなる第2樹脂被覆層とを有し、前記導線が露出する部位における第1樹脂被覆層の膜厚が前記第2樹脂被覆層の膜厚より薄いことを特徴とする端子付き電線である。
前記第1樹脂被覆層は、シアノアクリレート系樹脂であることが望ましい。
前記第1樹脂被覆層は、粘度が100mPa・s以下であることが望ましい。
前記第2樹脂被覆層の吸水率が1%以上であることが望ましい。
第1の発明によれば、防食層が2層で構成され、第1樹脂被覆層が湿気硬化性樹脂からなるため、気中の水分で即座に硬化させることができ、紫外線照射等の硬化工程が不要である。また、導線の裏側などの紫外線の照射しにくい部位も確実に硬化させることができる。また、第2樹脂被覆層が紫外線硬化樹脂であるため、外周側の第2樹脂被覆層の厚みを確保することができ、止水性のばらつきを抑制することができる。また、第1樹脂被覆層の膜厚が第2樹脂被覆層の膜厚より薄いため、第1樹脂被覆層は湿気硬化が早く進行し、厚膜の第2樹脂被覆層を紫外線で迅速に硬化できるため、防食層のトータルの硬化時間を短くすることができる。
特に、第1樹脂被覆層がシアノアクリレート系樹脂であれば短時間で第1樹脂被覆層を硬化させることができる。
また、第1樹脂被覆層の粘度が100mPa・s以下であれば、効率良く第1樹脂被覆層を導線の隙間等に浸透させることができる。
また、第2樹脂被覆層の吸水率が1%以上であれば、第1樹脂被覆層にわずかに未硬化残りが生じた場合であっても、第2樹脂被覆層の塗布後に、第1樹脂被覆層の湿気硬化を進行させることができるため、品質の安定性が優れる。
第2の発明は、被覆導線と端子とが接続される端子付き電線の製造方法であって、前記被覆導線は、被覆部と、前記被覆部の先端から露出する導線とを具備し、前記端子は、端子本体と圧着部とを有し、前記圧着部は、前記導線が圧着される導線圧着部と、前記被覆部が圧着される被覆圧着部と、前記導線圧着部と前記被覆圧着部との間のバレル間部と、を具備し、少なくとも、前記バレル間部から前記導線圧着部までの前記導線が露出する部位に湿気硬化性樹脂からなる第1樹脂被覆層を塗布し、前記第1樹脂被覆層を覆うように紫外線硬化樹脂からなる第2樹脂被覆層を塗布して紫外線を照射することを特徴とする端子付き電線の製造方法である。
第2の発明においても、前記第1樹脂被覆層は、シアノアクリレート系樹脂であることが望ましい。また、前記第1樹脂被覆層は、粘度が100mPa・s以下であることが望ましい。また、前記第2樹脂被覆層の吸水率が1%以上であることが望ましい。
第2の発明によれば、止水性のばらつきを抑制した端子付き電線を容易に製造することができる。
本発明によれば、止水性のばらつきを抑制するとともに、防食層の硬化に要する時間を短縮し製造性に優れた端子付き電線を提供することができる。
端子付き電線10を示す斜視図。 端子付き電線10を示す断面図。 (a)は第1樹脂被覆層17aを塗布した状態を示す図、(b)は、第2樹脂被覆層17bを塗布して硬化させる状態を示す図。 端子付き電線10の試験方法を示す図。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、端子付き電線10を示す斜視図であり、図2は断面図である。なお、図1は、防食層17を透視した図である。端子付き電線10は、端子1と被覆導線11が接続されて構成される。
被覆導線11は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である導線13と、導線13を被覆する被覆部15からなる。すなわち、被覆導線11は、被覆部15と、その先端から露出する導線13とを具備する。導線13は、例えば、複数の素線が撚り合わせられた撚り線である。
端子1は、オープンバレル型であり、銅または銅合金製である。端子1には被覆導線11が接続される。端子1は、端子本体3と圧着部5とがトランジション部4を介して連結されて構成される。圧着部5と端子本体3の間に位置するトランジション部4は、上方が開口する。
端子本体3は、所定の形状の板状素材を、断面が矩形の筒体に形成したものである。端子本体3は、内部に、板状素材を矩形の筒体内に折り込んで形成される弾性接触片を有する。端子本体3は、前端部から雄型端子などが挿入されて接続される。なお、以下の説明では、端子本体3が、雄型端子等の挿入タブ(図示省略)の挿入を許容する雌型端子である例を示すが、本発明において、この端子本体3の細部の形状は特に限定されない。例えば、雌型の端子本体3に代えて例えば雄型端子の挿入タブを設けてもよい。
圧着部5は、被覆導線11と圧着される部位であり、圧着前においては、端子1の長手方向に垂直な断面形状が略U字状のバレル形状を有する。端子1の圧着部5は、被覆導線11の先端側に被覆部15から露出する導線13を圧着する導線圧着部7と、被覆導線11の被覆部15を圧着する被覆圧着部9と、導線圧着部7と被覆圧着部9の間のバレル間部8からなる。
導線圧着部7の内面の一部には、幅方向(長手方向に垂直な方向)に、図示を省略したセレーションが設けられる。このようにセレーションを形成することで、導線13を圧着した際に、導線13の表面の酸化膜を破壊しやすく、また、導線13との接触面積を増加させることができる。
被覆導線11の先端は、被覆部15が剥離され、内部の導線13が露出する。被覆導線11の被覆部15は、端子1の被覆圧着部9によって圧着される。また、被覆部15が剥離されて露出する導線13は、導線圧着部7により圧着される。導線圧着部7において、導線13と端子1とが電気的に接続される。なお、被覆部15の端面は、被覆圧着部9と導線圧着部7の間のバレル間部8に位置する。
本発明では、少なくとも、被覆部15から露出する導線13が、防食層17で覆われる。すなわち、少なくとも、バレル間部8から導線圧着部7までの導線13が露出する部位が防食層17で覆われており、導線13は、防食層17によって外部に露出しない。
図2に示すように、防食層17は、第1樹脂被覆層17aと、第2樹脂被覆層17bからなる。第1樹脂被覆層17aは、湿気硬化性樹脂からなり、例えば、シアノアクリレート系樹脂であることが望ましい。また、第2樹脂被覆層17bは、紫外線硬化樹脂からなり、例えば、ウレタンアクリレートなどが適用可能である。
次に、端子付き電線10の製造方法について説明する。まず、被覆導線11と端子1とを圧着により接続する。次に、図3(a)に示すように、少なくとも、バレル間部8から導線圧着部7までの導線13が露出する部位に第1樹脂被覆層17aを構成する湿気硬化性樹脂を塗布し、第1樹脂被覆層17aを硬化させる。なお、第1樹脂被覆層17aの塗布は、短時間に塗布を行うため、ジェットディスペンサ等が用いられる。
ここで、第1樹脂被覆層17aを構成する樹脂は、粘度が100mPa・s以下であることが望ましい。粘度が100mPa・s以下であれば、導線13の隙間や裏側へも容易に樹脂が回り込み、隙間なく樹脂で被覆することができる。なお、樹脂が必要以上に流れ出すことを抑制するため、粘度は1mPa・s以上とする。
このようにして得られる第1樹脂被覆層17aを構成する樹脂は、粘度が低いため、膜厚は薄くなる。例えば、第1樹脂被覆層17aは、数十μm程度である。また、第1樹脂被覆層17aは、湿気硬化性の樹脂で構成される。したがって、塗布した樹脂は、大気中や端子等に付着しているわずかな水分によって迅速に硬化する。特に、膜厚が薄いため、短時間で内部まで硬化を進行させることができる。このように、湿気硬化性の樹脂を用いるため、別途紫外線を照射する工程などが不要である。また、第1樹脂被覆層17aを構成する樹脂を隙間に行きわたらせるために、別途端子を加熱する必要もない。
次に、図3(b)に示すように、第1樹脂被覆層17aを覆うように、第2樹脂被覆層17bを構成する紫外線硬化樹脂を塗布し、紫外線(図中A)を照射して、第2樹脂被覆層17bを硬化させる。以上により、端子付き電線10を製造することができる。
ここで、第2樹脂被覆層17bを構成する樹脂は、粘度が200mPa・s以上(例えば300〜500mPa・s程度)であることが望ましい。粘度が低すぎると、所定以上の厚みの第2樹脂被覆層17bを形成することが困難となる。例えば、第2樹脂被覆層17bは、数百μm程度である。なお、第2樹脂被覆層17bの塗布も、短時間に塗布を行うため、ジェットディスペンサ等が用いられる。また、粘度が高すぎると塗布に時間を要するため、第2樹脂被覆層17bは、例えば3000mPa・s以下が望ましい。
第2樹脂被覆層17bは、第1樹脂被覆層17aと比較して膜厚が厚いが、紫外線を照射することによって容易に内部まで硬化させることができる。また、導線13の内部など、紫外線の影になる部位には、先に第1樹脂被覆層17aが充填されているため、第2樹脂被覆層17bは、主に圧着部5の外周面に形成される。このため、第2樹脂被覆層17bの全体に紫外線を照射することができ、第2樹脂被覆層17bの未硬化なども生じにくい。
このように、端子付き電線10に二層構造の防食層17を設け、第1樹脂被覆層17aに湿気硬化性樹脂を適用し、第2樹脂被覆層17bに紫外線硬化樹脂を適用することで、生産工程での樹脂の塗布と硬化工程タクトを最小にすることができる。
ここで、発明者らは、第2樹脂被覆層17bの吸水率が所定以上であれば、第2樹脂被覆層17bで被覆される第1樹脂被覆層17aの硬化をより確実に進行させることができることを見出した。前述したように、第1樹脂被覆層17aは湿気硬化性樹脂からなるため、大気中等の水分によって瞬時に硬化する。このため、塗布後、紫外線の照射や加熱の必要がない。このため、生産工程での樹脂の塗布タクトの短縮化のため、第1樹脂被覆層17aの塗布後、すぐに第2樹脂被覆層17bが塗布される。
前述したように、第1樹脂被覆層17aは、粘度が低く膜厚も薄いため、大気中等の水分によって瞬時に硬化するが、わずかに未硬化残りが生じるおそれがある。したがって、第2樹脂被覆層17bで被覆された後には、未硬化の第1樹脂被覆層17aが残る恐れがある。しかし、第1樹脂被覆層17aが完全に硬化するまで硬化時間を取ると、生産工程での樹脂の塗布工程が長くなる。
そこで、本発明では、第2樹脂被覆層17bの吸水率を1%以上とすることが望ましい。このようにすることで、第1樹脂被覆層17aにわずかに未硬化残りが存在しても、第2樹脂被覆層17b塗布後(硬化後)においても第2樹脂被覆層17b中の水分によって、第1樹脂被覆層17aを確実に硬化させることができる。なお、樹脂の吸水率は、JISで定められた手法で測定可能である。
なお、吸水率が高すぎると、防水性の効果が小さくなるため、吸水率は5%未満であることが望ましい。なお、例えば、第2樹脂被覆層17bがウレタンアクリレートの場合には、第2樹脂被覆層17bの吸水率は、分子量当たりのウレタン結合量を変えることで制御することができる。ウレタンアクリレートを構成するウレタン結合は水を吸収しやすく、光硬化性のアクリレート結合は水を吸収しにくい。このため、配合等の条件によってウレタン結合を多くすることで、吸水量を大きくすることができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、第1樹脂被覆層17aを構成する樹脂が低粘度の湿気硬化性樹脂であるため、端子裏や端子素線間など端子の微小な隙間に浸透し、大気中の水分や、端子または電線に付着したわずかな水分で迅速に硬化することができる。特に、第1樹脂被覆層17aを構成する樹脂がシアノアクリレート樹脂であれば、大気中の水分と瞬時に反応して硬化させることができる。このため、紫外線が届かなかった端子内部の樹脂硬化を確実に行うことができ、端子横や裏からの水分の浸入を確実に防ぐことができる。
また、第2樹脂被覆層17bに高粘度の紫外線硬化樹脂を用いることで、樹脂膜厚を確保しながらも紫外線光で確実樹脂を硬化せしめることができ、端子表面からの水分の浸入を確実に防ぐことができる。この際、端子裏や端子素線間など端子の微小な隙間には、第1樹脂被覆層17aが浸透しているため、第2樹脂被覆層17bは、圧着部5の外表面に配置され、確実に紫外線を照射することができる。
さらに、第2樹脂被覆層17bの吸水率を1%以上とすることで、第2樹脂被覆層17bで覆われる第1樹脂被覆層17aを確実に硬化させることができる。
なお、第1樹脂被覆層17aは、湿気硬化性樹脂であるが、合わせて、紫外線硬化性を有していてもよく、同様に、第2樹脂被覆層17bは、紫外線硬化樹脂であるが、合わせて、湿気硬化性を有していてもよい。
次に、本発明に従う端子付き電線及び比較としての端子付き電線を試作し、各試料ついて試験を行ったので以下に説明する。
前述したように、端子1に導線を圧着し、圧着部に樹脂を塗布して硬化させ防食層17とした。この際、塗布する樹脂を変えて、種々の端子付き電線を得た。なお、第2樹脂被覆層の樹脂の粘度は、全て300〜500mPa・sの範囲で調整した。得られた端子付き電線について、まず、正圧でのシール性(初期とサーマルショック試験後)および塗布タクト時間を評価した。なお、それぞれの試験において、各条件n=3で評価した。結果を表1に示す。
Figure 2019175790
正圧でのシール性は、端子付き電線の被覆導線から端子に向かって空気を送り、後端部から空気が漏れるか否かについて評価した。図4には、実験方法の概要を示す。実験は、水を入れた水槽21中に端子付き電線の一端(端子1)を入れ、被覆導線11の端部から端子1に向かってレギュレータ22によって加圧空気を送った。なお、エア圧は30kPaとした。
サーマルショック試験は、それぞれの端子付き電線に対し、120℃×30分〜−40℃×30分を500サイクルとした。サーマルショック試験後の端子付き電線についても正圧でのシール性を評価した。
なお、表1においては、正圧試験において、全くエアリークの見られなかったものを〇とし、1つのみにエアリークが見られたが、他の2つが合格となったものを△、2つ以上でエアリークが見られたものを×とした。
塗布タクトは、樹脂の塗布〜硬化時間を含むものであり、10秒以下であったものを○、10〜30秒であったものを△、30秒を超えたものを×とした。
表1に示すように、実施例1〜実施例5は、第1樹脂被覆層が湿気硬化性樹脂であるシアノアクリレートで構成され、第2樹脂被覆層が紫外線硬化樹脂であるウレタンアクリレートで構成される。導線が露出する部位における第1樹脂被覆層の膜厚が第2樹脂被覆層の膜厚より薄いため、第1樹脂被覆層は湿気硬化が早く進行し、厚膜の第2樹脂被覆層を紫外線で迅速に硬化できるためトータルの硬化時間が短く、塗布タクトは全て△以上であった。また、第1樹脂被覆層は、導線の裏側など、紫外線の影となる部位においても硬化させることができるため、正圧試験において全て△以上であった。特に、第1樹脂被覆層を構成する樹脂の粘度が100mPa・s以下である実施例1、2、4は、第1樹脂被覆層の膜厚がより薄くなるため、湿気硬化が一層早く進行し塗布タクトが全て○となった。また、端子の微小な隙間に浸透し硬化するため、サーマルショック後の正圧試験でも全て○となった。
一方、比較例1は、第1樹脂被覆層が紫外線硬化樹脂であるウレタンアクリレートからなるため、粘度が低く端子の微小な隙間にも浸透するものの、導線の影など紫外線が照射されない部位において、硬化することができず、正圧試験で不合格となった。
また、比較例2は、第1樹脂被覆層の粘度が800mPa・sと高いため、厚膜となるため湿気による硬化に時間を要し、さらに、第2樹脂被覆層も湿気硬化性樹脂であったため、膜厚の厚い第2樹脂被覆層の硬化に時間を要し、塗布タクトが×となった。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1………端子
3………端子本体
4………トランジション部
5………圧着部
7………導線圧着部
8………バレル間部
9………被覆圧着部
10………端子付き電線
11………被覆導線
13………導線
15………被覆部
17………防食層
17a………第1樹脂被覆層
17b………第2樹脂被覆層
21………水槽
22………レギュレータ

Claims (8)

  1. 被覆導線と端子とが接続される端子付き電線であって、
    前記被覆導線は、被覆部と、前記被覆部の先端から露出する導線とを具備し、
    前記端子は、端子本体と圧着部とを有し、
    前記圧着部は、前記導線が圧着される導線圧着部と、前記被覆部が圧着される被覆圧着部と、前記導線圧着部と前記被覆圧着部との間のバレル間部と、を具備し、
    少なくとも、前記バレル間部から前記導線圧着部までの前記導線が露出する部位が防食層で覆われており、
    前記防食層は、湿気硬化性樹脂からなる第1樹脂被覆層と、前記第1樹脂被覆層を覆うように配置され、紫外線硬化樹脂からなる第2樹脂被覆層とを有し、
    前記導線が露出する部位における前記第1樹脂被覆層の膜厚が前記第2樹脂被覆層の膜厚より薄いことを特徴とする端子付き電線。
  2. 前記第1樹脂被覆層は、シアノアクリレート系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の端子付き電線。
  3. 前記第1樹脂被覆層は、粘度が100mPa・s以下であることを特徴とする請求項2に記載の端子付き電線。
  4. 前記第2樹脂被覆層の吸水率が1%以上であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の端子付き電線。
  5. 被覆導線と端子とが接続される端子付き電線の製造方法であって、
    前記被覆導線は、被覆部と、前記被覆部の先端から露出する導線とを具備し、
    前記端子は、端子本体と圧着部とを有し、
    前記圧着部は、前記導線が圧着される導線圧着部と、前記被覆部が圧着される被覆圧着部と、前記導線圧着部と前記被覆圧着部との間のバレル間部と、を具備し、
    少なくとも、前記バレル間部から前記導線圧着部までの前記導線が露出する部位に湿気硬化性樹脂からなる第1樹脂被覆層を塗布し、前記第1樹脂被覆層を覆うように紫外線硬化樹脂からなる第2樹脂被覆層を塗布して紫外線を照射することを特徴とする端子付き電線の製造方法。
  6. 前記第1樹脂被覆層は、シアノアクリレート系樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の端子付き電線の製造方法。
  7. 前記第1樹脂被覆層は、粘度が100mPa・s以下であることを特徴とする請求項6に記載の端子付き電線の製造方法。
  8. 前記第2樹脂被覆層の吸水率が1%以上であることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれかに記載の端子付き電線の製造方法。
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