JP2019172927A - カチオン重合性組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】カチオン重合性組成物を提供すること。【解決手段】下記化合物等含有カチオン重合性組成物。(オキシラン環の酸素原子は硫黄原子でもよく、下二つのベンゼン環の水素原子及びグリシジルエーテル基は、ハロゲン原子、二トロ基、水酸基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、炭複素環含有基等で置換されてよい)【選択図】なし
Description
本発明は、特定の構造を有する多官能エポキシ化合物を必須成分とするカチオン重合性組成物、及び該カチオン重合性組成物の硬化物に関する。
カチオン重合性組成物は、活性エネルギー線、特に紫外線の照射によって硬化する組成物で、その特性としては、貯蔵安定性に優れる、熱硬化型に比べて硬化が速い、ラジカル硬化型に比べて酸素による硬化阻害が起こらない、硬化の制御が容易で遅延硬化用途に適する、その硬化物の物性及び接着強度が高い、薄膜の加工性に優れる、などが挙げられる。このためカチオン重合性組成物は、その特性を活かして、インキ、塗料、各種コーティング剤、接着剤、光学部材等の分野において用いられている。
特許文献1〜3には、特定の構造を有するエポキシ化合物を含有するカチオン重合性組成物が開示されている。
本発明の課題は、得られる硬化物が耐熱性、耐黄変性、及びガスバリア性に優れたものとなる硬化性組成物を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有するエポキシ化合物を必須成分とするカチオン重合性組成物が、その硬化物の耐熱性及びガスバリア性が高いことを知見し、本発明に到達した。
本発明は、下記一般式(I)で表される化合物を含有するカチオン重合性組成物を提供するものである。
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、二トロ基、水酸基、シアノ基、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、炭素原子数2〜20の複素環含有基、又は下記一般式(II)で表される置換基を表し、
X1及びX2は、それぞれ独立に、酸素原子又は硫黄原子を表し、
R1、R2、R3及びR4の少なくとも1つは下記一般式(II)で表される置換基であり、
R1とR2、R2とR3、R3とR4、R5とR6、R6とR7、R7とR8及びR8とR9は、互いに結合して環を形成する場合があり、前記環が形成される場合、形成された環における水素原子の少なくとも1つが下記一般式(II)で表される置換基で置換されている場合がある。)
X1及びX2は、それぞれ独立に、酸素原子又は硫黄原子を表し、
R1、R2、R3及びR4の少なくとも1つは下記一般式(II)で表される置換基であり、
R1とR2、R2とR3、R3とR4、R5とR6、R6とR7、R7とR8及びR8とR9は、互いに結合して環を形成する場合があり、前記環が形成される場合、形成された環における水素原子の少なくとも1つが下記一般式(II)で表される置換基で置換されている場合がある。)
本発明のカチオン重合性組成物は、耐熱性及びガスバリア性が高い硬化物が得られるものである。また、本発明のカチオン重合性組成物の硬化物は、光学素子、(透明)絶縁膜、光学素子用接着剤或いは光学素子用封止剤として好適なものである。
以下、本発明のカチオン重合性組成物について、好ましい実施形態に基づき説明する。
本発明のカチオン重合性組成物は、上記一般式(I)で表される化合物を必須成分とする。
上記一般式(I)中、R1〜R9で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
上記一般式(I)中、R1〜R9で表される炭素原子数1〜10のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、iso−ブチル、アミル、iso−アミル、tert−アミル、ヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、t−ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、モノフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、テトラフルオロエチル、トリフルオロエチル、ジフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ヘキサフルオロプロピル、ペンタフルオロプロピル、テトラフルオロプロピル、トリフルオロプロピル、パーフルオロブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル及びシクロデシル等が挙げられる。
上記一般式(I)中、R1〜R9で表される炭素原子数1〜10のアルコキシ基としては、メチルオキシ、エチルオキシ、iso−プロピルオキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、ペンチルオキシ、iso−ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ及び2−エチルヘキシルオキシ等が挙げられる。
上記一般式(I)中、R1〜R9で表される炭素原子数6〜20のアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントラセン−1−イル、フェナントレン−1−イル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、4−ビニルフェニル、3−イソプロピルフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−ブチルフェニル、4−イソブチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−ヘキシルフェニル、4−シクロヘキシルフェニル、4−オクチルフェニル、4−(2−エチルヘキシル)フェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル、2,5−ジ−t−ブチルフェニル、2,6−ジ−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−ペンチルフェニル、2,5−ジ−t−アミルフェニル、シクロヘキシルフェニル、ビフェニル、2,4,5−トリメチルフェニル、4−クロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、4−トリクロロフェニル、4−トリフルオロフェニル及びパーフルオロフェニル等が挙げられる。
上記一般式(I)中、R1〜R9で表される炭素原子数6〜20のアリールオキシ基としては、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、4−ビニルフェニルオキシ、3−イソプロピルフェニルオキシ、4−イソプロピルフェニルオキシ、4−ブチルフェニルオキシ、4−イソブチルフェニルオキシ、4−t−ブチルフェニルオキシ、4−ヘキシルフェニルオキシ、4−シクロヘキシルフェニルオキシ、4−オクチルフェニルオキシ、4−(2−エチルヘキシル)フェニルオキシ、2,3−ジメチルフェニルオキシ、2,4−ジメチルフェニルオキシ、2,5−ジメチルフェニルオキシ、2,6−ジメチルフェニルオキシ、3,4−ジメチルフェニルオキシ、3,5−ジメチルフェニルオキシ、2,4−ジ−t−ブチルフェニルオキシ、2,5−ジ−t−ブチルフェニルオキシ、2,6−ジ−t−ブチルフェニルオキシ、2,4−ジ−t−ペンチルフェニルオキシ、2,5−ジ−t−アミルフェニルオキシ、シクロヘキシルフェニルオキシ、2,4,5−トリメチルフェニルオキシ、4−クロロフェニルオキシ、3,4−ジクロロフェニルオキシ、4−トリクロロフェニルオキシ、4−トリフルオロフェニルオキシ及びパーフルオロフェニルオキシ等が挙げられる。
上記一般式(I)中、R1〜R9で表される炭素原子数7〜20のアリールアルキル基としては、ベンジル、フェネチル、2−フェニルプロピル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル及び4−クロロフェニルメチル等が挙げられる。
上記一般式(I)中、R1〜R9で表される炭素原子数2〜20の複素環含有基としては、ピロリル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピペラジル、ピペリジル、ピラニル、ピラゾリル、トリアジル、ピロリジル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、トリアゾリル、フリル、フラニル、ベンゾフラニル、チエニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、チアジアゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、ユロリジル、モルフォリニル、チオモルフォリニル、2−ピロリジノン−1−イル、2−ピペリドン−1−イル、2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル及び2,4−ジオキシオキサゾリジン−3−イル等が挙げられる。
R1とR2、R2とR3、R3とR4、R5とR6、R6とR7、R7とR8及びR8とR9とが互いに結合して形成する場合がある環としては、例えば、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、ラクタム環、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、イミダゾール環、オキサゾール環、イミダゾリジン環及びピラゾリジン環等の複素環;シクロペンタン環及びシクロヘキサン環等の環状アルカン;並びに、ベンゼン環、ナフタレン環及びフェナントレン環等の芳香環等が挙げられる。これらの環は他の環と縮合している場合があり、該環の水素原子が置換されている場合がある。
本発明においては、上記一般式(I)で表される化合物中のR1とR2、R2とR3及び/又はR3とR4とが互いに結合して形成されており、且つ形成された環の水素原子が上記一般式(II)で表される置換基で置換されている場合、「R1〜R4での少なくとも一つが一般式(II)で表される置換基である」という態様に含まれるものとする。
上記一般式(I)で表される化合物としては、上記一般式中、R1、R2、R3及びR4の少なくとも1つが上記一般式(II)で表される置換基であるか、又はR5、R6、R7、R8及びR9の少なくとも1つが上記一般式(II)で表される置換基であるものを用いることが好ましい。
上記一般式(I)で表される化合物は、例えば下記のスキームにより製造することができる。
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、一般式(I)で表される化合物中の基と同一である。
工程(1)
工程(1)について説明する。工程(1)は、水酸基の誘導体化である。工程(1)は、一般式(III−A)で表される化合物を、塩基の存在下又は非存在下で、誘導体化剤(例えば、スルホニル化剤、アルキル化剤又はアシル化剤)と反応させて、水酸基の誘導体化された一般式(III−B)で表される化合物を製造する工程である。
工程(1)で使用される塩基、並びにスルホニル化剤、アルキル化剤及びアシル化剤等の誘導体化剤としては、公知のものを特に制限なく使用することができる。誘導体化剤及び塩基の使用量は、反応が進行する限りは、特に制限されない。工程(1)の反応温度及び反応時間等の反応条件は、特に制限なく、公知の条件を採用することができる。
工程(1)について説明する。工程(1)は、水酸基の誘導体化である。工程(1)は、一般式(III−A)で表される化合物を、塩基の存在下又は非存在下で、誘導体化剤(例えば、スルホニル化剤、アルキル化剤又はアシル化剤)と反応させて、水酸基の誘導体化された一般式(III−B)で表される化合物を製造する工程である。
工程(1)で使用される塩基、並びにスルホニル化剤、アルキル化剤及びアシル化剤等の誘導体化剤としては、公知のものを特に制限なく使用することができる。誘導体化剤及び塩基の使用量は、反応が進行する限りは、特に制限されない。工程(1)の反応温度及び反応時間等の反応条件は、特に制限なく、公知の条件を採用することができる。
工程(2)
工程(2)について説明する。工程(2)は、フェノールとの反応によるビスフェノール部分の合成である。工程(2)は、一般式(III−B)で表される化合物を、酸性触媒の存在下で、フェノールと反応させて、一般式(II−B)の化合物を製造する工程である。
工程(2)で使用される酸性触媒としては、公知のものを特に制限なく使用することができる。フェノール及び酸性触媒の使用量は、反応が進行する限りは、特に制限されない。工程(1)の反応温度及び反応時間等の反応条件は、特に制限なく、公知の条件を採用することができる。
工程(2)について説明する。工程(2)は、フェノールとの反応によるビスフェノール部分の合成である。工程(2)は、一般式(III−B)で表される化合物を、酸性触媒の存在下で、フェノールと反応させて、一般式(II−B)の化合物を製造する工程である。
工程(2)で使用される酸性触媒としては、公知のものを特に制限なく使用することができる。フェノール及び酸性触媒の使用量は、反応が進行する限りは、特に制限されない。工程(1)の反応温度及び反応時間等の反応条件は、特に制限なく、公知の条件を採用することができる。
工程(3)
工程(3)について説明する。工程(3)では、誘導化されている水酸基を遊離の水酸基に変換する。工程(3)は、塩基又は酸の存在下で、一般式(II−B)の化合物を反応させて、水酸基が遊離の水酸基に変換された一般式(II−A)の化合物を製造する工程である。工程(3)の反応では、その目的が達せられる限りは、塩基及び酸のどちらを用いても構わない。
工程(3)で使用される塩基及び酸としては、公知のものを特に制限なく使用することができる。塩基及び酸の使用量は、反応が進行する限りは、特に制限されない。工程(1)の反応温度及び反応時間等の反応条件は、特に制限なく、公知の条件を採用することができる。
工程(3)について説明する。工程(3)では、誘導化されている水酸基を遊離の水酸基に変換する。工程(3)は、塩基又は酸の存在下で、一般式(II−B)の化合物を反応させて、水酸基が遊離の水酸基に変換された一般式(II−A)の化合物を製造する工程である。工程(3)の反応では、その目的が達せられる限りは、塩基及び酸のどちらを用いても構わない。
工程(3)で使用される塩基及び酸としては、公知のものを特に制限なく使用することができる。塩基及び酸の使用量は、反応が進行する限りは、特に制限されない。工程(1)の反応温度及び反応時間等の反応条件は、特に制限なく、公知の条件を採用することができる。
工程(4)
工程(4)について説明する。工程(4)は、エピクロロヒドリンとの反応によるエポキシ基の導入である。工程(4)は、エポキシ基を導入した後に、硫化剤との反応によるエピスルフィド化を含む場合がある。工程(4)は、一般式(II−A)で表される化合物を、エピクロロヒドリンと反応させて、場合により続いて硫化剤と反応させて、一般式(I)の化合物を製造する工程である。
エピクロロヒドリンとの反応は、公知の方法を用いることができる。工程(4)におけるエピクロロヒドリンの使用量は、反応が進行する限りは、特に制限されない。反応温度及び反応時間等の、エピクロロヒドリンとの反応条件は特に制限はなく、公知の条件を採用することができる。
場合により、エピクロロヒドリンとの反応に続いて、エポキシ基を硫化剤と反応させることにより、1以上のエポキシ基をエピスルフィド基に変換してもよい。エピスルフィド化は、公知の方法を用いることができる。エピスルフィド化における条件は、目的と状況に応じて、適宜選択及び調整することができる。硫化剤の例は、チオ尿素及びチオシアン酸(例えば、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸アンモニウム等)等、好ましくはチオ尿素を含む。
工程(4)について説明する。工程(4)は、エピクロロヒドリンとの反応によるエポキシ基の導入である。工程(4)は、エポキシ基を導入した後に、硫化剤との反応によるエピスルフィド化を含む場合がある。工程(4)は、一般式(II−A)で表される化合物を、エピクロロヒドリンと反応させて、場合により続いて硫化剤と反応させて、一般式(I)の化合物を製造する工程である。
エピクロロヒドリンとの反応は、公知の方法を用いることができる。工程(4)におけるエピクロロヒドリンの使用量は、反応が進行する限りは、特に制限されない。反応温度及び反応時間等の、エピクロロヒドリンとの反応条件は特に制限はなく、公知の条件を採用することができる。
場合により、エピクロロヒドリンとの反応に続いて、エポキシ基を硫化剤と反応させることにより、1以上のエポキシ基をエピスルフィド基に変換してもよい。エピスルフィド化は、公知の方法を用いることができる。エピスルフィド化における条件は、目的と状況に応じて、適宜選択及び調整することができる。硫化剤の例は、チオ尿素及びチオシアン酸(例えば、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸アンモニウム等)等、好ましくはチオ尿素を含む。
本発明のカチオン重合性組成物は、上記一般式(I)で表される化合物に加え、上記一般式(I)で表される化合物以外の他のカチオン重合性有機物質を含有する場合がある。上記他のカチオン重合性有機物質としては、光照射又は加熱により高分子化又は、架橋反応を起こす化合物であれば特に制限なく用いることができる。他のカチオン重合性有機物質の具体例は以下の通りである。
他のカチオン重合性有機物質としては、例えば、上記一般式(I)で表される化合物以外のエポキシ化合物、オキセタン化合物、環状ラクトン化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルトエステル化合物、ビニル化合物などが挙げられ、これらの化合物の1種又は2種以上を使用することができる。これらの化合物の中でも、入手が容易であり、且つ取り扱いに便利なことから、上記一般式(I)で表される化合物以外のエポキシ化合物を用いることが好ましい。該エポキシ化合物としては、上記一般式(I)で表される化合物以外の芳香族エポキシ化合物、脂環族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物などが好ましい。
他のカチオン重合性有機物質としては、例えば、上記一般式(I)で表される化合物以外のエポキシ化合物、オキセタン化合物、環状ラクトン化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルトエステル化合物、ビニル化合物などが挙げられ、これらの化合物の1種又は2種以上を使用することができる。これらの化合物の中でも、入手が容易であり、且つ取り扱いに便利なことから、上記一般式(I)で表される化合物以外のエポキシ化合物を用いることが好ましい。該エポキシ化合物としては、上記一般式(I)で表される化合物以外の芳香族エポキシ化合物、脂環族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物などが好ましい。
前記上記一般式(I)で表される化合物以外の芳香族エポキシ樹脂の具体例としては、少なくとも1個の芳香族環を有する多価フェノール又は、そのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、又はこれらに更にアルキレンオキサイドを付加した化合物のグリシジルエーテルやエポキシノボラック樹脂などが挙げられる。
前記上記一般式(I)で表される化合物以外の芳香族エポキシ樹脂として好適に使用できる市販品としては、エピコート801、エピコート828、エピコートYX−4000、YDE−305、871、872(ジャパンエポキシレジン社製)、KRM−2720、EP−4100、EP−4000、EP−4080、EP−4088、EP−4900(ADEKA社製)、エポライト3002(共栄社化学社製)、サントートST0000、YD−716、YH−300、PG−202、PG−207、YD−172、YDPN638(新日鐵化学社製)、EPPN−201、EOCN−1020、EPPN−501H(日本化薬社製)などを挙げることができる。
前記脂環族エポキシ樹脂の具体例としては、少なくとも1個の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル又はシクロヘキセンやシクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキセンオキサイドやシクロペンテンオキサイド含有化合物が挙げられる。例えば、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシ−2−2エポキシエチルシクロヘキサン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、等が挙げられる。
前記脂環族エポキシ樹脂として好適に使用できる市販品としてはUVR−6100、UVR−6105、UVR−6110、UVR−6128、UVR−6200(以上、ユニオンカーバイド社製)、セロキサイド2021、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2083、セロキサイド2085、セロキサイド2000、セロキサイド3000、サイクロマーA200、サイクロマーM100、サイクロマーM101、エポリードGT−301、エポリードGT−302、エポリード401、エポリード403、ETHB、エポリードHD300(以上、ダイセル(株)製)、KRM−2110、KRM−2199(以上、ADEKA(株)製)などを挙げることができる。
前記脂環族エポキシ樹脂の中でも、シクロヘキセンオキシド構造を有するエポキシ樹脂は硬化性(硬化速度)の点で好ましい。
前記脂環族エポキシ樹脂の中でも、シクロヘキセンオキシド構造を有するエポキシ樹脂は硬化性(硬化速度)の点で好ましい。
前記脂肪族エポキシ樹脂の具体例としては、脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートのビニル重合により合成したホモポリマー、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートとその他のビニルモノマーとのビニル重合により合成したコポリマー等が挙げられる。代表的な化合物として、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテルなどの多価アルコールのグリシジルエーテル、またプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステルが挙げられる。更に、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテルやフェノール、クレゾール、ブチルフェノール、また、これらにアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシ化大豆油、エポキシ化ポリブタジエン等が挙げられる。
前記脂肪族エポキシ樹脂として好適に使用できる市販品としてはED−505、ED−506(ADEKA社製)、エポライトM−1230、エポライトEHDG−L、エポライト40E、エポライト100E、エポライト200E、エポライト400E、エポライト70P、エポライト200P、エポライト400P、エポライト1500NP、エポライト1600、エポライト80MF、エポライト100MF、エポライト4000、エポライトFR−1500(共栄社化学社製)、サントートST0000、YD−716、YH−300、PG−202、PG−207、YD−172、YDPN638(新日鐵化学社製)デナコールEX321、デナコールEX313、デナコール314、デナコールEX−411、EM−150(ナガセケムテックス社製)、EPPN−201、EOCN−1020、EPPN−501H(日本化薬社製)、EHPE−3150、EHPE−3150CE(ダイセル社製)などを挙げることができる。
前記オキセタン化合物の具体例としては、例えば以下の化合物を挙げることができる。3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−(メタ)アリルオキシメチル−3−エチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、4−フルオロ−[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、4−メトキシ−[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル]フェニルエーテル、イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−トリブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、3,3’−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス−(3−エチルオキセタン)、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリシクロデカンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルなどを例示することがでる。
前記オキセタン化合物として好適に使用できる市販品としては具体的な製品名としては、アロンオキセタンOXT−101,OXT−121,OXT−221,OXT−212,OXT−211(以上、東亞合成(株)製)、エタナコールEHO,OXBP,OXTP,OXMA(以上、宇部興産(株)製)などが挙げられる。これらは1種単独或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これら、オキセタン化合物は特に可撓性を必要とする場合に使用すると効果的であり好ましい。
前記オキセタン化合物として好適に使用できる市販品としては具体的な製品名としては、アロンオキセタンOXT−101,OXT−121,OXT−221,OXT−212,OXT−211(以上、東亞合成(株)製)、エタナコールEHO,OXBP,OXTP,OXMA(以上、宇部興産(株)製)などが挙げられる。これらは1種単独或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これら、オキセタン化合物は特に可撓性を必要とする場合に使用すると効果的であり好ましい。
その他の上記一般式(I)で表される化合物以外のカチオン重合性有機物質としては、テトラヒドロフラン、2,3−ジメチルテトラヒドロフランなどのオキソラン化合物、トリオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,6−トリオキサンシクロオクタンなどの環状アセタール化合物、β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトンなどの環状ラクトン化合物、エチレンスルフィド、チオエピクロルヒドリンなどのチイラン化合物、1,3−プロピンスルフィド、3,3−ジメチルチエタンなどのチエタン化合物、テトラヒドロチオフェン誘導体などの環状チオエーテル化合物、エチレングリコールジビニルエーテル、アルキルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、プロピレングリコールのプロペニルエーテルなどのビニルエーテル化合物、エポキシ化合物とラクトンの反応によって得られるスピロオルトエステル化合物、スチレン、ビニルシクロヘキセン、イソブチレン、ポリブタジエンなどのエチレン性不飽和化合物及び上記誘導体などが挙げられる。
本発明においては、カチオン重合性有機物質として、上記一般式(I)で表される化合物の他、上述したカチオン重合性有機物質のうち1種又は2種以上を配合して使用することができる。
カチオン重合性有機物質において、上記一般式(I)で表される化合物の割合は、カチオン重合性有機物質100質量部中の5〜90質量部とすることで、得られる硬化物の耐熱性、耐黄変性及びガスバリア性が高まることから好ましく、更に好ましくは、10〜60質量部であるが、この範囲に限定されるものではない。
カチオン重合性有機物質がカチオン重合性組成物に占める割合は、80〜99質量%であるのが、硬化性が高いので好ましい。
カチオン重合性有機物質において、上記一般式(I)で表される化合物の割合は、カチオン重合性有機物質100質量部中の5〜90質量部とすることで、得られる硬化物の耐熱性、耐黄変性及びガスバリア性が高まることから好ましく、更に好ましくは、10〜60質量部であるが、この範囲に限定されるものではない。
カチオン重合性有機物質がカチオン重合性組成物に占める割合は、80〜99質量%であるのが、硬化性が高いので好ましい。
本発明のカチオン重合性組成物は、カチオン重合開始剤を用いることができる。カチオン重合開始剤とは、光照射又は加熱により活性化することが可能な化合物であればどのようなものでも差し支えないが、好ましくは、紫外線の照射によってルイス酸を放出するオニウム塩である複塩、又はその誘導体である。かかる化合物の代表的なものとしては、下記一般式、[A]m+[B]m-で表される陽イオンと陰イオンの塩を挙げることができる。
ここで陽イオン[A]m+はオニウムであることが好ましく、その構造は、例えば、下記一般式、[(R20)aQ]m+で表すことができる。
更にここで、R20は炭素原子数が1〜60であり、炭素原子以外の原子をいくつ含んでいてもよい有機の基である。aは1〜5なる整数である。a個のR20は各々独立で、同一でも異なっていてもよい。また、少なくとも1つは、芳香環を有する上記の如き有機の基であることが好ましい。QはS,N,Se,Te,P,As,Sb,Bi,O,I,Br,Cl,F,N=Nからなる群から選ばれる原子或いは原子団である。また、陽イオン[A]m+中のQの原子価をqとしたとき、m=a−qなる関係が成り立つことが必要である(但し、N=Nは原子価0として扱う)。
また、陰イオン[B]m-は、ハロゲン化物錯体であることが好ましく、その構造は、例えば、下記一般式、[LXb]m-で表すことができる。
更にここで、Lはハロゲン化物錯体の中心原子である金属又は半金属(Metalloid)であり、B,P,As,Sb,Fe,Sn,Bi,Al,Ca,In,Ti,Zn,Sc,V,Cr,Mn,Co等である。Xはハロゲン原子である。bは3〜7なる整数である。また、陰イオン[B]m-中のLの原子価をpとしたとき、m=b−pなる関係が成り立つことが必要である。
上記一般式の陰イオン[LXb]m-の具体例としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(BF4)-、テトラフルオロボレート(BF4)-、ヘキサフルオロフォスフェート(PF6)-、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6)-、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6)-、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6)-等を挙げることができる。
また、陰イオン[B]m-は、下記一般式、[LXb-1(OH)]m-で表される構造のものも好ましく用いることができる。L,X,bは上記と同様である。また、その他用いることのできる陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO4)-、テトラフルオロほう酸イオン(BF4)-、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF6)-等の無機イオン;フルオロスルホン酸イオン(FSO3)-、トルエンスルホン酸陰イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸イオン、カンファースルホン酸イオン、ノナフルオロブタンスルホン酸イオン、ヘキサデカフロロオクタンスルホン酸イオン等のスルホン酸イオン;テトラアリールほう酸イオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸イオン等のほう酸イオン;メタンカルボン酸イオン、エタンカルボン酸イオン、プロパンカルボン酸イオン、ブタンカルボン酸イオン、オクタンカルボン酸イオン、トリフルオロメタンカルボン酸イオン、ベンゼンカルボン酸イオン、p−トルエンカルボン酸イオン等のカルボン酸イオン;トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CF3SO3)-、メチル硫酸イオン(CH3OSO3)-、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオン等を挙げることができる。
本発明では、このようなオニウム塩の中でも、下記の(イ)〜(ハ)の芳香族オニウム塩を使用することが特に有効である。これらの中から、その1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
(イ)フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メトキシフェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート等のアリールジアゾニウム塩
(ロ)ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のジアリールヨードニウム塩
(ハ)下記群I又は群IIで表されるスルホニウムカチオンとヘキサフルオロアンチモンイオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン等のスルホニウム塩
また、その他好ましいカチオン重合開始剤としては、(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)〔(1,2,3,4,5,6−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン〕−アイアン−ヘキサフルオロホスフェート等の鉄−アレーン錯体や、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(エチルアセトナトアセタト)アルミニウム、トリス(サリチルアルデヒダト)アルミニウム等のアルミニウム錯体とトリフェニルシラノール等のシラノール類との混合物等も挙げることができる。
これらのカチオン重合開始剤中でも、実用面と光感度の観点から、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、鉄−アレーン錯体を用いることが好ましく、下記一般式(V)で表される芳香族スルホニウム塩が、感度の点から更に好ましい。
(式中、R101、R102、R103、R104、R105、R106、R107、R108、R109及びR110は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基又は炭素原子数2〜10のエステル基を表し、R111、R112、R113及びR114は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、R115は、下記(α)〜(γ)より選択されるいずれかの置換基を表し、Anq-はq価の陰イオンを表し、pは電荷を中性にする係数を表す。)
(式中、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R45、R46、R47、R48及びR49は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基又は炭素原子数2〜10のエステル基を表し、R31、R32、R33、R34、R36、R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43及びR44は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。)
上記一般式(V)で表される化合物において、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39、R40、R41、R42及びR43で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
上記一般式(V)で表される化合物において、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39、R40、R41、R42及びR43で表される炭素原子数1〜10のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、エチルオクチル、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、2−ブトキシエチル、メトキシエトキシエチル、メトキシエトキシエトキシエチル、3−メトキシブチル、2−メチルチオエチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロモメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、ジフルオロエチル、トリクロロエチル、ジクロロジフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、デカフルオロペンチル、トリデカフルオロヘキシル、ペンタデカフルオロヘプチル、ヘプタデカフルオロオクチル、メトキシメチル、1,2−エポキシエチル、メトキシエチル、メトキシエトキシメチル、メチルチオメチル、エトキシエチル、ブトキシメチル、t−ブチルチオメチル、4−ペンテニルオキシメチル、トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、メトキシシクロヘキシル、1−(2−クロロエトキシ)エチル、1−メチル−1−メトキシエチル、エチルジチオエチル、トリメチルシリルエチル、t−ブチルジメチルシリルオキシメチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、t−ブトキシカルボニルメチル、エチルオキシカルボニルメチル、エチルカルボニルメチル、t−ブトキシカルボニルメチル、アクリロイルオキシエチル、メタクリロイルオキシエチル、2−メチル−2−アダマンチルオキシカルボニルメチル、アセチルエチル、2−メトキシ−1−プロペニル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、1,2−ジヒドロキシエチル等が挙げられる。
上記一般式(V)で表される化合物において、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39、R40、R41、R42及びR43で表される炭素原子数1〜10のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、s−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、ペンチルオキシ、イソアミルオキシ、t−アミルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘキシルメチルオキシ、テトラヒドロフラニルオキシ、テトラヒドロピラニルオキシ、2−メトキシエチルオキシ、3−メトキシプロピルオキシ、4−メトキシブチルオキシ、2−ブトキシエチルオキシ、メトキシエトキシエチルオキシ、メトキシエトキシエトキシエチルオキシ、3−メトキシブチルオキシ、2−メチルチオエチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ等が挙げられる。
上記一般式(V)で表される化合物において、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39、R40、R41、R42及びR43で表される炭素原子数2〜10のエステル基としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、フェノキシカルボニル、アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、クロロアセチルオキシ、ジクロロアセチルオキシ、トリクロロアセチルオキシ、トリフルオロアセチルオキシ、t−ブチルカルボニルオキシ、メトキシアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等が挙げられる。
上記カチオン重合開始剤としては市販品を用いることもでき、例えば、サイラキュアUVI−6970、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアUVI−6976、サイラキュアUVI−6990、サイラキュアUVI−6992、サイラキュアUVI−950(米国ユニオンカーバイド社製)、イルガキュア250、イルガキュア261、イルガキュア270、イルガキュアPAG103、イルガキュアPAG121、イルガキュアPAG203、イルガキュアPAG290、イルガキュアCGI725、イルガキュアCGI1380、イルガキュアCGI1907及びイルガキュアGSID26−1(BASF社製)、SP−150、SP−151、SP−170、SP−171、SP−172(ADEKA社製)、DAICATII(ダイセル社製) 、UVAC1591( ダイセル・オルネクス社製)、CI−2481、CI−2734、CI−2823、CI−2758(日本曹達社製)、FFC509(3M社)、サンエイドSI−45L、サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80L、サンエイドSI−100L、サンエイドSI−110L、サンエイドSI−150L及びサンエイドSI−180L(三新化学社製)、BBI−102、BBI−103、BBI−105、BBI−106、BBI−109、BBI−110、BBI−201、BBI、301、BI−105、DPI−105、DPI−106、DPI−109、DPI−201、DTS−102、DTS−103、DTS−105、NDS−103、NDS−105、NDS−155、NDS−159、NDS−165、TPS−102、TPS−103、TPS−105、TPS−106、TPS−109、TPS−1000、MDS−103、MDS−105、MDS−109、MDS−205、MPI−103、MPI−105、MPI−106、MPI−109、DS−100、DS−101、MBZ−101、MBZ−201、MBZ−301、NAI−100、NAI−101、NAI−105、NAI−106、NAI−109、NAI−1002、NAI−1003、NAI−1004、NB−101、NB−201、NDI−101、NDI−105、NDI−106、NDI−109、PAI01、PAI−101、PAI−106、PAI−1001、PI−105、PI−106、PI−109、PYR−100、SI−101 、SI−105、SI−106及びSI−109(みどり化学社製)、カヤキュアーPCI−204、カヤキュアーPCI−205、カヤキュアーPCI−615、カヤキュアーPCI−625、Kayarad 220及びKayarad 620、PCI−061T、PCI−062T、PCI−020T、PCI−022T(日本化薬社製)等が挙げられる。
上記カチオン重合性有機物質に対するカチオン重合開始剤の使用割合は特に限定されず、本発明の目的を阻害しない範囲内で概ね通常の使用割合で使用すればよいが、例えば、カチオン重合性有機物質100質量部に対して、カチオン重合開始剤0.05〜20質量部、好ましくは0.1〜15質量部とすることができる。カチオン重合開始剤の含有量を上述の範囲とすることで、十分に硬化され、且つ強度が良好な硬化物を得ることができる。
本発明のカチオン重合性組成物には、通常、必要に応じて前記各成分を溶解又は分散しえる溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、クロロホルム、塩化メチレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロパノールを加えることができる。
また、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等の酸化防止剤;ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾエート系の紫外線吸収剤;カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等からなる帯電防止剤;ハロゲン系化合物、リン酸エステル系化合物、リン酸アミド系化合物、メラミン系化合物、フッ素樹脂又は金属酸化物、(ポリ)リン酸メラミン、(ポリ)リン酸ピペラジン等の難燃剤;炭化水素系、脂肪酸系、脂肪族アルコール系、脂肪族エステル系、脂肪族アマイド系又は金属石けん系の滑剤;顔料、カーボンブラック等の着色剤;フュームドシリカ、微粒子シリカ、けい石、珪藻土類、クレー、カオリン、珪藻土、シリカゲル、珪酸カルシウム、セリサイト、カオリナイト、フリント、長石粉、蛭石、アタパルジャイト、タルク、マイカ、ミネソタイト、パイロフィライト、シリカ等の珪酸系無機添加剤;ガラス繊維、炭酸カルシウム等の充填剤;キシレン樹脂や石油樹脂等の粘着性の樹脂類;コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、造核剤、結晶促進剤等の結晶化剤、可撓性ポリマー等のゴム弾性付与剤、増感剤、他のモノマー、消泡剤、増粘剤、レべリング剤、可塑剤、防錆剤、重合禁止剤、静電防止剤、流動調整剤、カップリング剤、接着促進剤等の各種添加剤を添加することができる。これらの各種添加剤の使用量は、本発明の熱硬化性組成物中、合計で、50質量%以下とする。
本発明のカチオン重合性組成物は、例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダー、3本ロール等の混合機を用いて上記各成分を混合することによって製造することができる。混合条件等の製造条件に特に制限はなく、公知の条件を採用することができる。
本発明の熱硬化性組成物は、ロールコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の手段で、支持基体上に適用される。また、一旦フィルム等の支持基体上に施した後、他の支持基体上に転写することもでき、その適用方法に制限はない。
本発明の熱硬化性組成物は、ロールコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の手段で、支持基体上に適用される。また、一旦フィルム等の支持基体上に施した後、他の支持基体上に転写することもでき、その適用方法に制限はない。
上記支持基体の材料としては、特に制限されず通常用いられるものを使用することができ、例えば、ガラス等の無機材料;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル;ポリアミド;ポリイミド;ポリウレタン;エポキシ樹脂;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等のビニル化合物;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸エステル等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン、ノルボルネン樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)等の高分子材料が挙げられる。
尚、上記支持基体に、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を行ってもよい。
尚、上記支持基体に、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を行ってもよい。
本発明のカチオン重合性組成物は、紫外線等のエネルギー線を照射することにより通常は0.1秒〜数分後に指触乾燥状態或いは溶媒不溶性の状態に硬化することができる。適当なエネルギー線としては、光酸発生剤の分解を誘発する限りいかなるものでもよいが、好ましくは、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光灯、タングステンランプ、エキシマーランプ、殺菌灯、エキシマーレーザー、窒素レーザー、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、ヘリウムネオンレーザー、クリプトンイオンレーザー、各種半導体レーザー、YAGレーザー、発光ダイオード、CRT光源等から得られる2000オングストロームから7000オングストロームの波長を有する電磁波エネルギーや電子線、X線、放射線等の高エネルギー線を利用する。
エネルギー線への暴露時間は、エネルギー線の強度、塗膜厚やカチオン重合性有機化合物によるが、通常は0.1秒〜10秒程度で十分である。しかし、比較的厚い塗装物についてはそれ以上の照射時間をかけたほうが好ましい。エネルギー線照射後0.1秒〜数分後には、ほとんどの組成物はカチオン重合により指触乾燥するが、カチオン重合を促進するため加熱やサーマルヘッド等による熱エネルギーを併用することも場合によっては好ましい。
本発明のカチオン重合性組成物を光照射と加熱により硬化させる場合の加熱条件は、70〜250℃で1〜100分である。プレベイク(PAB;Pre applied bake)した後、加圧して、ポストベイク(PEB;Post exposure bake)してもよいし、異なる数段階の温度でベイクしてもよい。
加熱条件は各成分の種類及び配合割合によって異なるが、例えば、70〜180℃で、オーブンなら5〜15分間、ホットプレートなら1〜5分間である。その後、塗膜を硬化させるために180〜250℃ 、好ましくは200〜250℃ で、オーブンなら30〜90分間、ホットプレートなら5〜30分間加熱処理することによって硬化膜を得ることができる。
加熱条件は各成分の種類及び配合割合によって異なるが、例えば、70〜180℃で、オーブンなら5〜15分間、ホットプレートなら1〜5分間である。その後、塗膜を硬化させるために180〜250℃ 、好ましくは200〜250℃ で、オーブンなら30〜90分間、ホットプレートなら5〜30分間加熱処理することによって硬化膜を得ることができる。
本発明のカチオン重合性組成物の具体的な用途としては、光学フィルタ、塗料、コーティング剤、ライニング剤、接着剤、粘着剤、各種ラベル、印刷版、絶縁ワニス、絶縁シート、加工紙、積層板、プリント基盤、半導体装置用・LEDパッケージ用・液晶注入口用・有機EL用・光学素子用・電気絶縁用・電子部品用・分離膜用等の封止剤、成形材料、パテ、ガラス繊維含浸剤、繊維処理剤、セメント混和材、目止め剤、半導体用・太陽電池用等のパッシベーション膜、層間絶縁膜、保護膜、プリント基板、或いはカラーテレビ、PCモニタ、携帯情報端末、CCDイメージセンサのカラーフィルタ、プラズマ表示パネル用の電極材料、印刷インク、歯科用組成物、光造形用樹脂、液状及び乾燥膜の双方、微小機械部品、ガラス繊維ケーブルコーティング、ホログラフィ記録用材料の各種の用途に使用することができ、その用途に特に制限はない。
以下、実施例等を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
[実施例1〜10及び比較例1〜3]組成物No.1〜No.10及び比較組成物No.1〜No.3の調製
[表1]に示す配合で各成分を混合し、不溶物が無くなるまで撹拌し、組成物No.1〜No.10及び比較組成物No.1〜No.3を得た。尚、表中の配合割合は質量部で示す。また、[表1]及び[表2]の符号は下記の化合物を示す。
A−1:下記の化合物5(一般式(I)で表される化合物)
A−2:EP−4080E(ADEKA社製)
A−3:セロキサイド2021P(ダイセル社製)
A−4;EHPE−3150(ダイセル社製)
A−5:ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル
A−6:アロンオキセタンOXT−221(東亞合成社製)
A−7:EP−4088S
A−8:EX−216L(ナガセケムテックス)
B−1:SP−170
B−2:下記の〔化9〕に記載のカチオン重合開始剤
B−3:SI−100(三新化学)
B−4:SI−B3(三新化学)
C−1:AO−50(ADEKA社製フェノール系酸化防止剤)
C−2:AO−60(ADEKA社製フェノール系酸化防止剤)
[表1]に示す配合で各成分を混合し、不溶物が無くなるまで撹拌し、組成物No.1〜No.10及び比較組成物No.1〜No.3を得た。尚、表中の配合割合は質量部で示す。また、[表1]及び[表2]の符号は下記の化合物を示す。
A−1:下記の化合物5(一般式(I)で表される化合物)
A−2:EP−4080E(ADEKA社製)
A−3:セロキサイド2021P(ダイセル社製)
A−4;EHPE−3150(ダイセル社製)
A−5:ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル
A−6:アロンオキセタンOXT−221(東亞合成社製)
A−7:EP−4088S
A−8:EX−216L(ナガセケムテックス)
B−1:SP−170
B−2:下記の〔化9〕に記載のカチオン重合開始剤
B−3:SI−100(三新化学)
B−4:SI−B3(三新化学)
C−1:AO−50(ADEKA社製フェノール系酸化防止剤)
C−2:AO−60(ADEKA社製フェノール系酸化防止剤)
[評価例1〜10及び比較評価例1〜3]
実施例1〜10で得られた組成物No.1〜No.10及び比較例1〜3で得られた比較組成物No.1〜No.3をそれぞれ、離型処理済みのガラス板に厚さ500μmで塗布し、塗膜を形成した。形成した塗膜に高圧Hgランプで5000mJ/cm2のエネルギーを照射し、150℃で1時間加熱して単膜を得た。また実施例10に関しては、光照射せず150℃で1時間加熱して単膜を得た。
得られた単膜の水蒸気透過率を測定し、硬化物のガスバリア性を評価した。水蒸気透過率の測定には7002(イリノイ社製)を用いた。測定開始から4時間後の水蒸気透過率を単膜の水蒸気透過率とした。測定結果を表2に示す。
実施例1〜10で得られた組成物No.1〜No.10及び比較例1〜3で得られた比較組成物No.1〜No.3をそれぞれ、離型処理済みのガラス板に厚さ500μmで塗布し、塗膜を形成した。形成した塗膜に高圧Hgランプで5000mJ/cm2のエネルギーを照射し、150℃で1時間加熱して単膜を得た。また実施例10に関しては、光照射せず150℃で1時間加熱して単膜を得た。
得られた単膜の水蒸気透過率を測定し、硬化物のガスバリア性を評価した。水蒸気透過率の測定には7002(イリノイ社製)を用いた。測定開始から4時間後の水蒸気透過率を単膜の水蒸気透過率とした。測定結果を表2に示す。
[評価例1〜10及び比較評価例1〜3]
実施例1〜10で得られた組成物No.1〜No.10及び比較例1〜3で得られた比較組成物No.1〜No.3をそれぞれ、ガラス板に厚さ50μmで塗布し、もう一枚のガラスを貼り合わせて高圧Hgランプで1000mJ/cm2のエネルギーを照射し、150℃で1時間加熱して試験片を得た。実施例10に関しては、光照射せず150℃で1時間加熱して試験片を得た。得られた試験片のb*を紫外可視近赤外分光光度計V−670(日本分光社製)を用いて測定した。その後、得られた試験片を200℃、85℃×85%RHの環境に500時間入れた後にb*の測定を行った。結果を表3に示す。
実施例1〜10で得られた組成物No.1〜No.10及び比較例1〜3で得られた比較組成物No.1〜No.3をそれぞれ、ガラス板に厚さ50μmで塗布し、もう一枚のガラスを貼り合わせて高圧Hgランプで1000mJ/cm2のエネルギーを照射し、150℃で1時間加熱して試験片を得た。実施例10に関しては、光照射せず150℃で1時間加熱して試験片を得た。得られた試験片のb*を紫外可視近赤外分光光度計V−670(日本分光社製)を用いて測定した。その後、得られた試験片を200℃、85℃×85%RHの環境に500時間入れた後にb*の測定を行った。結果を表3に示す。
以上の結果より、本発明のカチオン重合性組成物の硬化物は、ガスバリア性及び耐熱性が高いことが明らかである。よって、本発明のカチオン重合性組成物は封止剤に有用である。
Claims (4)
- 下記一般式(I)で表される化合物を含有するカチオン重合性組成物。
X1及びX2は、それぞれ独立に、酸素原子又は硫黄原子を表し、
R1、R2、R3及びR4の少なくとも1つは下記一般式(II)で表される置換基であり、
R1とR2、R2とR3、R3とR4、R5とR6、R6とR7、R7とR8及びR8とR9は、互いに結合して環を形成する場合があり、前記環が形成される場合、形成された環における水素原子の少なくとも1つが下記一般式(II)で表される置換基で置換されている場合がある。)
- 更に、カチオン重合開始剤を含有する、請求項1に記載のカチオン重合性組成物。
- 請求項1又は2に記載のカチオン重合性組成物の硬化物。
- 請求項1又は2に記載のカチオン重合性組成物を硬化させる方法。
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JP2018065931A JP2019172927A (ja) | 2018-03-29 | 2018-03-29 | カチオン重合性組成物 |
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JP2019172643A (ja) * | 2018-03-29 | 2019-10-10 | クミアイ化学工業株式会社 | 新規化合物及び該化合物の製造方法 |
-
2018
- 2018-03-29 JP JP2018065931A patent/JP2019172927A/ja active Pending
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