JP2019172941A - 脂肪族系及び/又は脂環族系ポリウレタンウレア樹脂及びその製造法 - Google Patents
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Abstract
Description
当該特許の比較例でイミダゾールブロックドイソシアネート化合物の代わりにイソホロンジイソシアネートを使用すると良好な性能を示すが、常温での貯蔵安定性が悪くなることが示されている。イソホロンジイソシアネートのイミダゾールブロックドイソシアネート化合物は高分子量ポリウレタン樹脂の末端アミンとは常温で反応せず、1液化できるとしている。
本発明は第1に脂肪族系及び/又は脂環族系ポリイソシアネートのブロックドイソシアネート化合物(A成分)と脂肪族及び/又は脂環族系1級ポリアミン(B成分)とからなり、反応が常温から適度に高められた温度で定量的に進行し、優れた物理特性、耐光性、透明性、耐熱性等を持つポリウレタンウレア樹脂を生成することを特徴とする2液硬化型ポリウレタンポリウレア樹脂である。
反応射出成形装置による成形等ではA成分及びB成分を予め減圧下で吸引や遠心分離により溶存空気を脱気することにより、硬化物の泡をより低減することができる。
HDI:1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、M.W.168.2[東ソー(株)製のHDI]
IPDI:3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、M.W.222.3[エボニックジャパン製のVESTANAT IPDI]
H12−MDI:4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、M.W.262.4[住化コベストロウレタン(株)製のDesmodur W]
C−HX:HDIのイソシアヌレート変成体[東ソー(株)製のコロネートHX]
C−2770:HDIのアロファネート変成体[東ソー(株)製のコロネート2770]
P−1010:ポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオール)アジペートジオール、数平均分子量1,000[(株)クラレ製のクラレポリオールP−1010]
P−2010:ポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオール)アジペートジオール、数平均分子量2,000[(株)クラレ製のクラレポリオールP−2010:]
P−3010:ポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオール)アジペートジオール、数平均分子量3,000[(株)クラレ製のクラレポリオールP−2010]
F−2010:ポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオール)アジペートトリオール、数平均分子量2,000[(株)クラレ製のクラレポリオールF−2010]
C−1090:ポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=90/10)共重合カーボネートジオール、数平均分子量1,000[(株)クラレ製のクラレポリオールC−1090]
C−2090:ポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=90/10)共重合カーボネートジオール、数平均分子量2,000[(株)クラレ製のクラレポリオールC−2090]
C−2050:ポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=50/50)共重合カーボネートジオール、数平均分子量2,000[(株)クラレ製のクラレポリオールC−2050]
PTG−L1000:テトラヒドロフラン/3−メチルテトラヒドロフランからなる共重合ポリエーテルジオール、数平均分子量が1,000[保土谷化学工業(株)製のPTG−L1000]
PTG−L2000:テトラヒドロフラン/3−メチルテトラヒドロフランからなる共重合ポリエーテルジオール、数平均分子量が2,000[保土谷化学工業(株)製のPTG−L2000]
D−2000:ポリオキシプロピレングリコール、数平均分子量が2,000[三井化学(株)製のアクトコールD−2000]
T−3000:ポリオキシプロピレントリオール、数平均分子量が3,000[三井化学(株)製のアクトコールT−3000]
TMP:トリメチロールプロパン、M.W.134.2[東京化成工業(株)製]
1,4−BD:1,4−ブタンジオール、M.W.90.1[東京化成工業(株)製]
イミダゾール:M.W.68.1[東京化成工業(株)製]
4−メチルイミダゾール:M.W.82.1[東京化成工業(株)製]
1,2,4−トリアゾール:M.W.69.1[東京化成工業(株)製]
3,5−ジメチルピラゾール:M.W.96.1[東京化成工業(株)製]
マロン酸ジエチル:M.W.160.2[東京化成工業(株)製]
メチルエチルケトキシム:M.W.87.1[東京化成工業(株)製]
ε−カプロラクタム:M.W.113.2[東京化成工業(株)製]
H12−MDA:4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、M.W.210.4[エアープロダクツジャパン(株)製のAmicure PACM]
4,4‘−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン):M.W.238.4[東京化成工業(株)製]
IPDA:1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジアミン)、M.W.170.3[エボニック ジャパン製のVestanat IPD]
1,3−BAC:1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのシス,トランス混合物、M.W.142.2[東京化成工業(株)製]
ジエチレントリアミン:M.W.103.2[東京化成工業(株)製]
2−メチル−1,5−ジアミノペンタン:2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、M.W.116.2[東京化成工業(株)製]
NMP:N−メチル−2−ピロリドン[東京化成工業(株)製]
ジグライム:ジエチレングリコールジメチルエーテル[東京化成工業(株)製]
DPDM:ジプロピレングリコールジメチルエーテルの異性体混合物[東京化成工業(株)製]
プレポリマーA:
撹拌器、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管を取り付けた4ツ口フラスコの内部を窒素雰囲気にし、室温でクラレポリオールP−2010を346.9g、TMPを4.0g、イソホロンジイソシアネートを99.1g、ジグライムを50g仕込み徐々に昇温し、90℃で5時間反応した。NCO分析により理論イソシアネート含有率に到達しており、反応を終了した。得られたプレポリマーAの樹脂濃度は90%、NCO含量は3.62%、粘度は9,800mPa・s/25℃であった。
プレポリマーAと同様にしてポリオールの種類及び平均分子量、イソシアネートモノマーの種類を変えた18種類のプレポリマーを合成した。仕込み組成及び得られたプレポリマーのNCO含有率、粘度、他をプレポリマーAと纏めて表1に示す。
プレポリマー合成時のイソシアネート含有率の測定はJISK7301のジノルマルブチルアミンの塩酸逆滴定法に準じて行った。
ポリイソシアネート化合物とブロック剤の反応終点は日本分光(株)製のフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)(商品名:FT/IR−300)により、2270cm−1付近のNCO吸収が消失した点とした。
芝浦システム株式会社製のビスメトロン粘度計(型式VDA2型)を用いて25℃で測定した。
調製したA成分とB成分を、所定の混合比でPP製100mlのディスポ容器に秤量し、株式会社シンキー製の自転/公転ミキサー「あわとり練太郎AR−100」(装置仕様:自転800rpm、公転2000rpm)を用いて、25℃で攪拌モード30秒、脱泡モード30秒で混合した。
25℃のA成分とB成分を前記混合条件で混合し、PP板上にアプリケーター方式で約400ミクロン厚に流延し、25℃で硬化しフィルムを作製した。フィルムは25℃で1日後にPP板から剥離し、25℃で10日後に引張試験に供した。なお、80℃硬化の場合は実施例毎に条件を記載する。
25℃のA成分とB成分を所定の混合比で15gとなるようPP製100mlのディスポ容器に秤量し、前記「あわとり練太郎AR−100」の混合条件で混合した。混合開始からディスポ容器を逆さにし、液の壁面の流動距離が10cm/10秒以下になる迄の25℃での時間(分)を25℃流動時間とした。
25℃での流動時間が5分以上の場合:○、5分以下の場合:×とした。25℃で硬化しない場合も○とした。
前記条件で作製したフィルムの25℃、1日後の状態(表面タックや脱型できるかどうか)で硬化性を判定した。フィルムがタックなく脱型できた場合:◎、ややタックはあるが脱型できた場合:○、硬化が不十分で脱型できない場合:×とした。
80℃に加温したA成分とB成分を前記混合条件で混合し、85℃に加温したPP板上にアプリケーター方式で約400ミクロン厚に流延し、80℃で1時間加熱キュアーした。フィルムが脱型できた場合:○、脱型できない場合:×とした。なお、25℃硬化性が良好な場合、80℃硬化性試験は実施しなかった。
JIS K−7312(熱硬化性ポリウレタンエラストマー成形物の物理試験方法)に準じて引張試験を行った。前記方法で作製し25℃で10日間養生したフィルムからJIS−3号ダンベルを打ち抜き、引張試験機(株式会社東洋精機製作所のストログラフVE10D型)を用い、標線間20mm、引張速度500mm/分の条件で測定した。
撹拌器、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管を取り付けた4ツ口フラスコの内部を窒素雰囲気にし、プレポリマーB(P−2010/IPDIプレポリマー)を71.87g、粉末状のイミダゾールを3.71g(イソシアネート基に対し1.05倍当量)仕込み、徐々に昇温し、80℃で1時間反応した。IRスペクトルより2270cm−1のイソシアネート基の吸収は消滅していた。次いで50℃に冷却後、ジグライムを24.42g(B成分と反応時に樹脂分が70%になる量)仕込み30分間攪拌し、A成分とした。A成分のブロックされたイソシアネート基はイソシアネート換算で2.18%、粘度は1,750mPa・s/25℃であった。
PP製100mlのディスポ容器に25℃のA成分を28.48g、B成分のH12−MDAを1.52g(NH2/ブロックされたイソシアネート=0.98当量比)を秤量し、「あわとり練太郎AR−100」による前記混合条件で攪拌・脱泡し、前記方法で25℃成形性(流動性)試験、フィルム作製、25℃硬化性試験及び25℃/10日後の引張試験を行った。25℃成形性(流動時間65分)及び25℃/1日後の硬化性、25℃/10日後のフィルムの透明性及び引張物性は良好であった。破断時の伸び率:550%、100%モジュラス:4.1N/mm2、300%モジュラス:6.7N/mm2引張強度:58.0N/mm2であった。なお、A成分とB成分の反応時におけるブロックされたイソシアネート基濃度はブロックドイソシアネート化合物とポリアミン化合物の合計重量に対し68ミリグラム当量/100gである。処方及び試験結果を表2に示す。
実施例1のブロックされたイソシアネート当量に対するH12−MDAのアミン当量比は0.98であるが、実施例1のA成分を用い、ブロックされたソアネート当量に対するH12−MDAのアミン当量比を0.90〜1.05の範囲で変化させた実施例2〜5の結果を表2に示す。
実施例6〜14にプレポリマーのポリオール成分としてポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオール)アジペートジオールを用い、ジイソシアネートモノマー、ブロック剤、脂肪族系及び脂環族系ジアミンを変えた処方に付き実施例1と同様な操作により検討した。イソシアネート末端プレポリマーとブロック剤との反応はイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾールの場合は80℃で、1,2,4−トリアゾールの場合は90℃で行い、IRスペクトルで2270cm−1付近のイソシアネート基の吸収がほぼ消滅するまで行った。処方及び前記方法で行った25℃成形性(流動性)試験、25℃硬化性試験及び25℃/10日後の引張試験の結果を表2に示す。
実施例18〜23にプレポリマーのポリオール成分としてポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール)共重合カーボネートジオールを用い、ブロック剤、ジイソシアネートモノマー、脂環族系ジアミンを変えた処方に付き実施例1と同様な操作により検討した。処方及び前記方法で行った25℃成形性(流動性)試験、25℃硬化性試験及び25℃/10日後の引張試験の結果を表3に示す。
実施例24〜29にプレポリマーのポリオール成分としてポリオキシアルキレンポリオールを用い、ブロック剤、イソシアネートモノマー、脂肪族系及び脂環族系ジアミンを変えた処方に付き実施例1と同様な操作により検討した。処方及び前記方法で行った25℃成形性(流動性)試験、25℃硬化性試験及び25℃/10日後の引張試験の結果を表3に示す。
本発明の基本となるポリイソシアネート、ブロック剤及びポリアミン成分の25℃の硬化性及び硬化物の引張物性に及ぼす影響については以下のような傾向が認められた。
〈硬化性〉
イソシアネートモノマー:硬化性の差は小さいがH12−MDI>IPDI>HDIの 順に低下する傾向
ブロック剤 :イミダゾール系化合物が最も硬化性に優れ、次いでトリアゾ ール系化合物。ピラゾール系化合物は25℃/1日では硬化 せず、80℃で硬化
ポリアミン :脂肪族系1級ポリアミン及び脂環族系1級ポリアミンの硬化 性はほぼ同等
〈引張物性〉
ポリイソシアネート :H12−MDIとIPDIは略同等、HDIは低強度
ブロック剤 :25℃硬化ではイミダゾール系化合物が最も良く、次いでト リアゾール系化合物
ポリアミン :脂環族系ジアミンが脂肪族系ジアミンに比べて良好
ポリオール :ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、( THF/3−MeTHF)共重合ジオールが良好で、ポリオ キシプロピレンポリオールは低強度
実施例1と同じ装置を用い、C−HX(NCO当量:199)を13.98g、C−2770(NCO当量:218)を32.61g及びDPDMを37.70g仕込み混合した。次いで発熱に注意しながら粉末状のイミダゾール15.71g(イソシアネート基に対し1.05倍当量)を徐々に添加し80℃で1時間反応し、A成分とした。A成分のブロックされたイソシアネート基はイソシアネート換算で9.23%、粘度は2,900mPa・s/25℃であった。
PP製100mlのディスポ容器に25℃のA成分23.87g及びB成分の4,4‘−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)を6.13g(NH2/ブロックされたイソシアネート=0.98当量比)を秤量し、「あわとり練太郎AR−100」による前記混合条件で攪拌・脱泡し、前記方法で25℃成形性(流動性)試験、25℃硬化性試験及び25℃/10日後の引張試験を行った。成形性(流動時間:100分)及び25℃/1日後の硬化性は良好で、25℃/10日後の引張物性は破断時の伸び率:130%、100%モジュラス:8.5N/mm2、引張強度:15.2N/mm2であった。なお、A成分とB成分の反応時におけるブロックされたイソシアネート基濃度はブロックドイソシアネート化合物とポリアミン化合物の合計重量に対し250ミリグラム当量/100gである。
実施例1と同じ装置を用い、プレポリマーEを85.86g、1,2,4−トリアゾールの60%NMP溶液を14.14g(イソシアネート基に対し1.05倍当量)仕込み、80℃で1時間反応し、A成分とした。A成分のブロックされたイソシアネート基はイソシアネート換算で4.91%である。
PP製100mlのディスポ容器に80℃に加温したA成分26.39g及びB成分の4,4‘−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)を3.61g(NH2/ブロックされたイソシアネート=0.98当量比)を秤量し、「あわとり練太郎AR−100」による前記混合条件で攪拌・脱泡し、400ミクロン厚に80℃に加温したPP板上に流延し、80℃で30分間硬化させた。フィルムを脱型し、25℃で7日養生後に引張試験を行った。その結果、伸び率:360%、100%モジュラス:12.3N/mm2、300%モジュラス:33.4N/mm2、引張強度:43.8N/mm2であった。なお、A成分とB成分の反応時におけるブロックされたイソシアネート基濃度はブロックドイソシアネート化合物とポリアミン化合物の合計重量に対し108ミリグラム当量/100gである。
実施例1と同じ装置を用い、プレポリマーRを94.77g、粉末状のイミダゾールを5.23g(イソシアネート基に対し1.05倍当量)仕込み、80℃で1時間反応し、A成分とした。A成分のブロックされたイソシアネート基はイソシアネート換算で3.07%である。
PP製100mlのディスポ容器に80℃に加温したA成分27.64g及びB成分の4,4‘−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)を2.36g(NH2/ブロックされたイソシアネート=0.98当量比)を秤量し、「あわとり練太郎AR−100」による前記混合条件で攪拌・脱泡し、400ミクロン厚に80℃に加温したPP板上に流延し、80℃で30分間硬化させた。フィルムを脱型し、25℃で7日養生後に引張試験を行った。その結果、伸び率:660%、100%モジュラス:1.9N/mm2、300%モジュラス:4.3N/mm2、引張強度:20.2N/mm2であった。なお、A成分とB成分の反応時におけるブロックされたイソシアネート基濃度はブロックドイソシアネート化合物とポリアミン化合物の合計重量に対し67ミリグラム当量/100gである。
実施例1と同じ装置を用いプレポリマーAを92.00g、粉末状の3,5−ジメチルピラゾールを8.00g(イソシアネート基に対し1.05倍当量)を仕込み、徐々に昇温し、90℃で1時間反応しA成分とした。IRスペクトルより2270cm−1のイソシアネート基の吸収はほぼ消滅していた。A成分のブロックされたイソシアネート基はイソシアネート換算で3.33%であった。
PP製100mlのディスポ容器に80℃に加温したA成分を27.73g、B成分のH12−MDAを2.27g(NH2/ブロックされたイソシアネート=0.98当量比)を秤量し、「あわとり練太郎AR−100」による前記混合条件で攪拌・脱泡し、400ミクロン厚に80℃に加温したPP板上に流延し、80℃で1時間硬化させた。80℃での硬化性は良好でフィルムを脱型し、25℃で7日養生後に引張試験を行った。その結果、伸び率:570%、100%モジュラス:4.6N/mm2、300%モジュラス:6.9N/mm2、引張強度:21.0N/mm2であった。なお、該反応時の溶剤含有率は8.5%であったが、溶剤含有率を25%にし、25℃での硬化性を検討したところ、25℃では10日後も未硬化であり、イミダゾールや1,2,4−トリアゾールに比べて25℃での硬化性は劣っていた。なお、A成分とB成分の反応時におけるブロックされたイソシアネート基濃度はブロックドイソシアネート化合物とポリアミン化合物の合計重量に対し80ミリグラム当量/100gである。
実施例1と同様の操作により、プレポリマーAを332.8g、粉末状のイミダゾールを20.5g(イソシアネート基に対し1.05倍当量)仕込み、徐々に昇温し、80℃で1時間反応した。IRスペクトルより2270cm−1のイソシアネート基の吸収は消滅していた。次いで50℃に冷却後、DPDMを46.7g(A成分中の溶剤分が20%になる量)仕込み30分間攪拌し、A成分とした。A成分のブロックされたイソシアネート基はイソシアネート換算で3.01%、粘度は11,500mPa・s/25℃であった。
円筒形開放容器(SUS製)に室温で120gのDINPを仕込み、プライムミクス(株)製のホモディスパー2.5型で撹拌下、33.5g4,4‘−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、2.4gの添加剤(湿潤剤及び沈降防止剤)、244.1gの炭酸カルシウムを順次仕込んだ。仕込み終了後2,000rpmで30分間撹拌し、B成分とした。
PP(ポリプロピレン樹脂)製100mlのディスポ容器にA成分を40.0g、B成分を40.0g(NH2/ブロックされたイソシアネート=0.98当量比)を秤量し、「あわとり練太郎AR−100」による前記混合条件で攪拌・脱泡し、PP板上に流延し約2mm厚のシートを作製した。成形性及び25℃、1日後の硬化性は良好で、25℃/10日養生時の物理特性は、硬さ(硬度A):75、破断時の伸び率:630%、100%モジュラス:3.5N/mm2、引張強度:11.1N/mm2、引裂強度:39.4N/mmであった。なお、A成分とB成分の反応時におけるブロックされたイソシアネート基濃度はブロックドイソシアネート化合物とポリアミン化合物の合計重量に対し81ミリグラム当量/100gである。
撹拌器、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管を取り付けた4ツ口フラスコの内部を窒素雰囲気にし、プレポリマーCを59.21g、ジグライムを40.79g(B成分と反応時に溶剤分が50%になる量)仕込み、50℃に加温し、30分間攪拌し、A成分とした。イソシアネート含有率は1.85%、粘度は320mPa・s/25℃であった。
PP製100mlのディスポ容器にA成分を28.53g、B成分の4,4‘−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)を1.47g(NH2/ブロックされたイソシアネート=0.98当量比)を秤量し、「あわとり練太郎AR−100」による前記混合条件で攪拌・脱泡した。その結果、溶剤分を実施例(65%〜100%)に比べて50%に増大したにも係わらず、IPDI系イソシアネート末端プレポリマーと4,4‘−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)は数秒でゲル化し、不均一な塊状物となった。結果を表5に示す。成形性は×、硬化性は○、引張試験はフィルムが作製できず測定できなかった。
比較例1と同じ装置を用い、プレポリマーCを69.07g、ジエチルマロネートを8.66g(イソシアネート基に対し1.05倍当量)及び触媒としてソジウムメトキサイド0.07gを仕込み、徐々に昇温し、80℃で4.5時間反応した。IRスペクトルより2270cm−1のイソシアネート基の吸収はほぼ消滅していた。次いで50℃に冷却後、ジグライムを22.20g(B成分と反応時に溶剤分が34%になる量)仕込み30分間攪拌し、A成分とした。A成分のブロックされたイソシアネート基はイソシアネート換算で2.16%、粘度は2,200mPa・s/25℃であった。
PP製100mlのディスポ容器にA成分を28.30g、B成分の4,4‘−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)を1.70g(NH2/ブロックされたイソシアネート=0.98当量比)を秤量し、「あわとり練太郎AR−100」による前記混合条件で攪拌・脱泡し、前記方法で25℃成形性(流動性)試験、フィルム作製、25℃硬化性試験を行った。結果を表5に示す。硬化性は25℃/10日、80℃/1時間共に未硬化であり×、成形性は○、引張試験はフィルムが作製できず測定できなかった。
比較例1と同じ装置を用い、プレポリマーCを73.51g、メチルエチルケトキシムを5.01g(イソシアネート基に対し1.05倍当量)仕込み、徐々に昇温し、80℃で5.0時間反応した。IRスペクトルより2270cm−1のイソシアネート基の吸収はほぼ消滅していた。次いで50℃に冷却後、ジグライムを21.48g(B成分と反応時に溶剤分が34%になる量)仕込み30分間攪拌し、A成分とした。A成分のブロックされたイソシアネート基はイソシアネート換算で2.30%、粘度は1,600mPa・s/25℃であった。
PP製100mlのディスポ容器にA成分を28.20g、B成分の4,4‘−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)を1.80g(NH2/ブロックされたイソシアネート=0.98当量比)を秤量し、「あわとり練太郎AR−100」による前記混合条件で攪拌・脱泡し、前記方法で25℃成形性(流動性)試験、フィルム作製、25℃硬化性試験を行った。結果を表5に示す。硬化性は25℃/10日、80℃/1時間共に未硬化であり×、成形性は○、引張試験はフィルムが作製できず測定できなかった。
A成分として実施例9のプレポリマーGのイミダゾールブロックドイソシアネート化合物を用い、B成分としてH12−MDAの替わりに1,4−ブタンジオールを用いた。
PP製100mlのディスポ容器に実施例9のA成分を29.23g、B成分の1,4−ブタンジオールを0.77g(OH/ブロックされたイソシアネート=0.98当量比)を秤量し、「あわとり練太郎AR−100」による前記混合条件で攪拌・脱泡し、前記方法で25℃成形性(流動性)試験、フィルム作製、25℃硬化性試験を行った。結果を表5に示す。硬化性は25℃/10日、80℃/1時間共に未硬化であり×、成形性は○、引張試験はフィルムが作製できず測定できなかった。
[1]脂肪族系及び/又は脂環族系ポリイソシアネートをジアゾール系化合物及び/又はトリアゾール系化合物(アゾール系化合物)でブロックしたブロックドイソシアネート化合物(A成分)と脂肪族系及び/又は脂環族系1級ポリアミン化合物(B成分)からなり、常温から90℃で反応可能であることを特徴とする2液硬化型ポリウレタンウレア樹脂前駆体組成物。
[3][1]又は[2]に記載のブロックドイソシアネート化合物(A成分)が脂肪族系及び/又は脂環族系ポリイソシアネートモノマーとポリオールから成るポリイソシアネート末端プレポリマーをイミダゾール系化合物及び/又はトリアゾール系化合物でブロックしたものが好適である2液硬化型ポリウレタンウレア樹脂前駆体組成物。
本発明は第1に脂肪族系及び/又は脂環族系ポリイソシアネートのブロックドイソシアネート化合物(A成分)と脂肪族及び/又は脂環族系1級ポリアミン(B成分)とからなり、反応が常温から適度に高められた温度で定量的に進行し、優れた物理特性、耐光性、透明性、耐熱性等を持つポリウレタンウレア樹脂を生成することを特徴とする2液硬化型ポリウレタンポリウレア樹脂前駆体組成物及び該前駆体組成物を硬化反応させたポリウレタンウレア樹脂及びその製造法である。
P−1010:ポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオール)アジペートジオール、数平均分子量1,000[(株)クラレ製のクラレポリオールP−1010]
P−2010:ポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオール)アジペートジオール、数平均分子量2,000[(株)クラレ製のクラレポリオールP−2010:]
P−3010:ポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオール)アジペートジオール、数平均分子量3,000[(株)クラレ製のクラレポリオールP−3010]
F−2010:ポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオール)アジペートトリオール、数平均分子量2,000[(株)クラレ製のクラレポリオールF−2010]
C−1090:ポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=90/10)共重合カーボネートジオール、数平均分子量1,000[(株)クラレ製のクラレポリオールC−1090]
C−2090:ポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=90/10)共重合カーボネートジオール、数平均分子量2,000[(株)クラレ製のクラレポリオールC−2090]
C−2050:ポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=50/50)共重合カーボネートジオール、数平均分子量2,000[(株)クラレ製のクラレポリオールC−2050]
PTG−L1000:テトラヒドロフラン/3−メチルテトラヒドロフランからなる共重合ポリエーテルジオール、数平均分子量が1,000[保土谷化学工業(株)製のPTG−L1000]
PTG−L2000:テトラヒドロフラン/3−メチルテトラヒドロフランからなる共重合ポリエーテルジオール、数平均分子量が2,000[保土谷化学工業(株)製のPTG−L2000]
D−2000:ポリオキシプロピレングリコール、数平均分子量が2,000[三井化学(株)製のアクトコールD−2000]
T−3000:ポリオキシプロピレントリオール、数平均分子量が3,000[三井化学(株)製のアクトコールT−3000]
TMP:トリメチロールプロパン、M.W.134.2[東京化成工業(株)製]
1,4−BD:1,4−ブタンジオール、M.W.90.1[東京化成工業(株)製]
Claims (3)
- 脂肪族系及び/又は脂環族系ポリイソシアネートをジアゾール系化合物及び/又はトリアゾール系化合物(アゾール系化合物)でブロックしたブロックドイソシアネート化合物(A成分)と脂肪族系及び/又は脂環族系1級のポリアミン化合物(B成分)からなり、常温から90℃で反応可能であることを特徴とする2液硬化型ポリウレタンウレア樹脂及びその製造法。
- 前記のA成分とB成分の反応において、ブロックされたイソシアネート基に対するアミノ基の当量が0.85〜1.15であり、かつブロックドイソシアネート化合物とポリアミン化合物の合計重量に対するブロックされたイソシアネート基濃度が30〜280ミリグラム当量/100gである特許請求の範囲第1項記載の2液硬化型ポリウレタンウレア樹脂及びその製造法。
- 前記ブロックドイソシアネート化合物(A成分)が脂肪族系及び/又は脂環族系イソシアネートモノマーとポリオールからなるイソシアネート末端プレポリマーをイミダゾール系化合物及び/又はトリアゾール系化合物でブロックしたものである特許請求の範囲第1項及び第2項記載の2液硬化型ポリウレタンウレア樹脂及びその製造法。
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