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JP2019157233A - 高圧蒸気の供給遮断システム及びこれを備えた高圧酸浸出設備 - Google Patents

高圧蒸気の供給遮断システム及びこれを備えた高圧酸浸出設備 Download PDF

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JP2019157233A JP2018047698A JP2018047698A JP2019157233A JP 2019157233 A JP2019157233 A JP 2019157233A JP 2018047698 A JP2018047698 A JP 2018047698A JP 2018047698 A JP2018047698 A JP 2018047698A JP 2019157233 A JP2019157233 A JP 2019157233A
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Abstract

【課題】 複数の蒸気配管からの蒸気の供給を緊急時に確実に遮断することができる技術を提供する。【解決手段】 ニッケル酸化鉱石スラリー及び硫酸を一端部から受け入れて下流側に向けて順次移送させながら高圧酸浸出処理を行うように複数の貯留部2A〜2Gが形成されたオートクレーブAC01を有する高圧酸浸出設備であって、複数の貯留部2A〜2Gのうちの少なくとも2つには各々高圧蒸気供給用の蒸気配管3A〜3Cが接続されており、これら少なくとも2つの蒸気配管3A〜3Cは逆流防止容器VE02及びその上流側の主遮断弁V01を備えた主蒸気配管4から分岐しており且つ各々流量調節弁V11〜V13及び副遮断弁V21〜V23を備えており、主遮断弁V01及び副遮断弁V21〜V23がボール弁である。【選択図】 図2

Description

本発明は、高圧蒸気の供給遮断システム及びこれを備えた高圧酸浸出設備に関する。
ニッケル製錬においては、硫酸を用いて高温加圧下でニッケル酸化鉱石を浸出処理する高圧酸浸出(High Pressure Acid Leach)法が近年注目されている。この高圧酸浸出法による湿式製錬法は、従来の一般的なニッケル酸化鉱石の製錬方法である還元工程等を含んだ乾式製錬法とは異なり、一貫した湿式工程によって有価金属を抽出するため、乾式製錬法に比べてエネルギー消費量が少なくコストを抑えることが可能になる。また、高圧酸浸出法は、ニッケル品位50質量%程度の高品位のニッケル硫化物が得られるという利点も有している。
例えば特許文献1には、ラテライト鉱などのニッケル酸化鉱石を高圧酸浸出してニッケル硫化物を生成する技術が開示されている。この技術は、先ず高圧容器であるオートクレーブ内においてニッケル酸化鉱石を含んだスラリーに硫酸を添加して220〜280℃程度の高温で高圧酸浸出処理を行った後、該高圧酸浸出処理後のスラリーを固液分離して得た浸出液を中和処理することで鉄イオンを除去し、得られた母液に対して硫化水素ガスを吹き込んで硫化反応を生じさせることでニッケル硫化物を沈殿生成するものである。
特開2014−141749号公報
上述したように高圧浸出処理では220〜280℃程度の高温で処理が行われるため、ボイラーで発生させた高圧蒸気をオートクレーブの供給口から供給することが行われている。そのため、何らかの事由により、緊急に該オートクレーブへの高圧蒸気供給を停止する必要が生じた時、当該供給口に接続している蒸気配管に設けた遮断弁を確実に閉止することが必要になる。
しかしながら、オートクレーブではより効率よく高圧浸出処理を行うため内部に堰を設けて区分し、それらに複数の蒸気配管からそれぞれ蒸気を吹き込んで温度制御することが行われている。そのため、これら複数の蒸気配管からの蒸気の供給を緊急時に確実に停止するのは容易ではなかった。本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、高圧浸出処理を行うオートクレーブに接続される複数の蒸気配管からの蒸気の供給を緊急時に確実に停止することが可能な技術を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明に係る高圧酸浸出設備は、ニッケル酸化鉱石スラリー及び硫酸を一端部から受け入れて下流側に向けて順次移送させながら高圧酸浸出処理を行うように複数の貯留部が形成されたオートクレーブを有する高圧酸浸出設備であって、前記複数の貯留部のうちの少なくとも2つには各々高圧蒸気供給用の蒸気配管が接続されており、これら少なくとも2つの蒸気配管は逆流防止容器及びその上流側の主遮断弁を備えた主蒸気配管から分岐しており且つ各々流量調節弁及び副遮断弁を備えており、前記副遮断弁及び前記主遮断弁がボール弁であることを特徴としている。
また、本発明に係る高圧蒸気の遮断システムは、ニッケル酸化鉱石スラリー及び硫酸を高圧蒸気と共に受け入れて高圧酸浸出を行うオートクレーブの該高圧蒸気の遮断システムであって、該高圧蒸気の供給配管系には圧力計とレベルスイッチとを備えた逆流防止容器が設けられており、前記レベルスイッチによってオートクレーブからの逆流が検知されるか、又は前記圧力計によって単位時間当たり所定の値以上の圧力降下が検知された時に該供給配管系の下流側の複数の分岐配管に各々設けた副遮断弁と前記逆流防止容器の上流側に設けた主遮断弁とを閉止することを特徴としている。
本発明によれば、高圧浸出設処理に用いるオートクレーブに接続されている複数の蒸気配管からの蒸気供給を緊急時に確実に遮断することができる。
本発明の実施形態に係る高圧酸浸出設備が好適に適用されるニッケル酸化鉱石の湿式製錬法の工程図である。 本発明の実施形態に係る高圧酸浸出設備及びその高圧蒸気供給系の緊急遮断システムを示す構成図である。 図2の緊急遮断システムのアルゴリズムの一具体例のフローチャートである。 油圧式アクチュエータ及び空気式アクチュエータを遮断弁にそれぞれ適用した様子を示した構成図である。
先ず、本発明の実施形態に係る高圧酸浸出設備が好適に適用されるニッケル酸化鉱石の湿式製錬法について説明する。図1に示すように、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬法は、原料としてのニッケル酸化鉱石に硫酸を添加してニッケル等を浸出する浸出工程S1と、該浸出工程S1で得た浸出スラリーを浸出液と浸出残渣とに固液分離する固液分離工程S2と、該浸出液を中和してニッケル回収用の母液と中和澱物スラリーとに分離する中和工程S3と、該母液としての硫酸水溶液に硫化水素ガスを吹き込んで硫化反応させることにより、ニッケル硫化物と貧液とを得る硫化工程S4とを有している。以下、これらの工程の各々について詳細に説明する。
(浸出工程S1)
浸出工程S1では、後述する高温加圧容器であるオートクレーブに原料のニッケル酸化鉱石のスラリーと硫酸とを受け入れ、更に高圧蒸気を導入して220〜280℃程度の高温高圧条件の下でこれらを攪拌混合することにより、高圧酸浸出処理を行う。上記のニッケル酸化鉱石には、主としてリモナイト鉱やサプロライト鉱等のラテライト鉱が用いられる。ラテライト鉱は通常はニッケル含有量が0.8〜2.5質量%であり、水酸化物又はケイ苦土(ケイ酸マグネシウム)鉱物として含まれている。また、ラテライト鉱は鉄の含有量が10〜50質量%であり、主として3価の水酸化物(ゲーサイト)の形態で含まれているが、一部2価の鉄がケイ苦土鉱物に含まれている。この鉱石原料に対して粉砕や篩別を行うことにより好適には1〜2mm以下程度の大きさにした後、水を加えてスラリーとし、好ましくはプレヒータで所定の温度と圧力まで昇温昇圧してからオートクレーブに供給される。
上記の高圧酸浸出処理では下記式1〜3の浸出反応と下記式4〜5の高温熱加水分解反応とが生じる。これらの反応により、ニッケル、コバルト等の酸化物が硫酸塩として浸出すると共に、浸出により生成した硫酸鉄がヘマタイトとして固定化される。但し、鉄イオンの固定化は完全には進行しないため、浸出工程S1で得られる浸出スラリーの液相部分には、通常はニッケル、コバルト等の他に2価と3価の鉄イオンが含まれている。
「浸出反応」
[式1]
MO+HSO→MSO+H
(式中Mは、Ni、Co、Fe、Zn、Cu、Mg、Cr、Mn等を表す)
[式2]
2Fe(OH)+3HSO→Fe(SO)+6H
[式3]
FeO+HSO→FeSO+H
「高温熱加水分解反応」
[式4]
2FeSO+HSO+1/2O→Fe(SO)+H
[式5]
Fe(SO+3HO→Fe+3HSO
浸出工程S1におけるスラリー濃度は特に限定はないが、上記浸出スラリーのスラリー濃度が15〜45質量%になるように調製することが好ましい。また、浸出工程S1における硫酸の添加量も特に限定はないが、原料の鉱石中の鉄が十分に浸出されるように過剰に添加するのが好ましい。具体的には、鉱石1トン当り硫酸を300〜400kg添加するのが好ましい。この硫酸の添加量が鉱石1トン当り400kgを超えても鉄分の浸出量はあまり増大することはなく、かえって硫酸コストが大きくなりすぎるので好ましくない。
(固液分離工程S2)
上記浸出工程S1で生成された浸出スラリーは、次の固液分離工程S2において洗浄されると共に固液分離されてニッケル及びコバルトを含む浸出液と固形分の浸出残渣とが得られる。この浸出スラリーの洗浄には、浸出スラリーに対してニッケルを含まない洗浄液を向流に流して互いに接触させながら固形分に付着する付着水を洗い流す方式の連続向流洗浄法(CCD法:Counter Current Decantation)を用いることが好ましい。これにより、洗浄液の消費量を削減することができるうえ、ニッケル及びコバルトの回収率を95%以上にすることができる。
(中和工程S3)
上記の固液分離工程S2で浸出残渣から分離された浸出液は、次の中和工程S3において酸化を抑制しながら該浸出液のpHが好適には4以下、より好適には3.2〜3.8の範囲内となるように炭酸カルシウムが添加される。これにより、3価の鉄を含む中和澱物スラリーが生成される。このように浸出液を中和処理することにより、上記浸出工程S1において過剰に添加された硫酸を中和すると共に、溶液中に残留する3価の鉄イオンやアルミニウムイオン等をニッケル回収用の母液から除去することができる。なお、浸出液のpHが4を超えると、ニッケルの水酸化物の発生が多くなる。
この中和工程S3における3価の鉄イオンの除去の際、浸出液中に存在する2価の鉄イオンは酸化させないことが好ましい。そのため、例えば空気の吹き込み等による溶液の酸化は極力防止することが好ましい。これにより、2価の鉄の除去に伴う炭酸カルシウム消費量の増加と中和澱物スラリーの生成量の増加を抑制することができるので、中和澱物スラリー量の増加による澱物へのニッケル回収ロスを抑えることができる。
上記の中和工程S3で生成した中和澱物スラリーは、必要に応じて前段の固液分離工程S2に戻してもよい。これにより、該中和澱物スラリーに含まれるニッケルを効果的に回収することができる。すなわち、固液分離工程S2は中和工程S3より低いpH条件で操業されるため、中和工程S3で生成した中和澱物スラリーを固液分離工程S2に戻すことにより、浸出残渣の洗浄を行うと共に中和澱物表面での中和澱物の付着水による局所反応により生成した水酸化ニッケルの溶解を促進させることができ、回収ロスとなるニッケル分を低減することができる。なお、ニッケルと同時に鉄の水酸化物も一部再溶解され、浸出した3価の鉄イオンの固定に再度中和剤が必要となる場合があるので、この点からも2価の鉄イオンを酸化させないで中和澱物量の削減を図ることが望ましい。
この中和工程S3における反応温度は、50〜80℃程度が好ましい。反応温度が50℃未満では、形成される3価の鉄イオンを含む中和澱物がより微細になるので、上記したように中和澱物を固液分離工程S2に戻したときに固液分離処理に悪影響を及ぼすおそれがある。一方、反応温度が80℃を超えると、装置材料の耐食性の低下や加熱のためのエネルギーコストの増大を招くことになる。
(硫化工程S4)
上記の中和工程S3において生成した中和澱物スラリーを除去することで得た硫酸水溶液からなるニッケル回収用母液は、次に硫化工程S4において好ましくは反応温度70〜95℃程度で硫化水素ガスが吹き込まれる。これにより硫化反応が生じ、ニッケル硫化物と貧液とが生成される。この硫化工程S4においては、図1の点線で示すように、ニッケル硫化物を一部抜き出して種晶として母液に戻すのが好ましい。これにより、上記硫化反応によって生成するニッケル硫化物粒子の粒径を大きくすることができ、ニッケル回収率を高めることができる。
上記浸出工程S1から硫化工程S4までの一連の工程からなるニッケル酸化鉱石の湿式製錬法のうち、浸出工程S1では前述したように高温高圧条件下で処理を行うのでオートクレーブと称する圧力容器が用いられる。図2に示すように、このオートクレーブAC01は、胴長略円筒形の圧力容器を横向きにした形状を有しており、その内部には一端部から受け入れたスラリーをオートクレーブAC01の長手方向に沿って他端部まで順次オーバーフローにより移送できるように、複数の堰1が互いに平行に設けられている。これにより、オートクレーブAC01の内部にはその長手方向に連続的に並ぶ複数の貯留部が形成されている。
これら複数の貯留部のうち(図2では7つの貯留部2A〜2Gが例示されている)、紙面左端の貯留部2AにスラリーポンプP1及び硫酸ポンプP2によってそれぞれニッケル酸化鉱石スラリー及び硫酸が供給されるようになっている。この左端の貯留部2Aには、更に図示しないボイラーで生成された高圧蒸気が第1蒸気配管3Aを介して吹き込まれるようになっている。なお、この貯留部2Aへの高圧蒸気の供給量は、該貯留部2Aに設けられた第1温度計TT1の測定値に基づいて第1蒸気配管3A上の第1流量調節弁V11の開度を調節することで制御されるようになっている。
左端の貯留部2Aで酸浸出処理が行われたスラリーは、堰1をオーバーフローして隣接する貯留部2Bに移送され、続けて酸浸出処理が行われる。以降、同様にして紙面右端の貯留部2Gに至るまで順次オーバーフローにより移送が繰り返されて各貯留部で酸浸出反応が行われる。なお、左端の貯留部2Aのほか、左から2つめと5つめの貯留部2B、2Eにもそれぞれ第2蒸気配管3B及び第3蒸気配管3Cを介して高圧蒸気が吹き込まれるようになっている。これら貯留部2B、2Eへの高圧蒸気の供給量も、上記した貯留部2Aと同様に、それぞれ第2及び第3温度計TT2、TT3の測定値に基づいて第2及び第3流量調節弁V12、V13の開度を調節することで制御されるようになっている。また、各貯留部には図示しない撹拌機によりスラリーが十分に混合されるようになっている。
このようにして左端の貯留部2Aから右端の貯留部2Gまで移動しながら高温高圧条件下で酸浸出処理が行われたスラリーは、該右端の貯留部2Gの上方から垂下するスラリー抜出配管5によって抜き出され、減圧弁V00で好適には常圧まで減圧された後、フラッシュベッセルVE01に送られる。フラッシュベッセルVE01内では、浸出スラリーは上記減圧により一部が蒸発し、その潜熱により温度が低下する。このようにして例えば100℃程度まで温度が下げられた浸出スラリーは、次工程の固液分離工程S2に送られて固液分離される。なお、図2にはフラッシュベッセルVE01が1基のみ示されているが、これに限定されるものではなく、複数基のフラッシュベッセルを用いて例えば高圧、中圧、及び低圧の3段階に分けて減圧してもよい。
上記のように、オートクレーブAC01ではニッケル酸化鉱石スラリーと硫酸とが定量供給されると共に、貯留部内のスラリー温度に基づいて流量制御されながら高圧蒸気が供給されることで220〜280℃の反応温度で安定的に高圧酸浸出処理が行われる。しかしながら、外乱等の影響によりオートクレーブAC01内の運転条件が定常状態から大きく逸脱したり、高圧蒸気が蒸気供給系の系外に噴出する等のトラブルにより高圧蒸気の消費量が急激に上昇して蒸気供給源のボイラーの運転異常を引き起こしたりすることが考えられるため、上記のようなオートクレーブAC01を有する高圧酸浸出設備では、運転を緊急停止する必要が生ずる場合がある。
この場合、オートクレーブAC01への高圧蒸気の供給を停止すれば、通常は上記の問題が悪化するのを抑えることができ、前述したようにオートクレーブAC01の蒸気供給配管には温度制御系が備わっているので、オートクレーブAC01内のスラリー温度が上昇すれば前述したように第1〜第3温度計TT1〜TT3の測定値が上昇するので第1〜第3流量調節弁V11〜V13の開度が閉じる方向に作動するため、高圧蒸気の供給は自動的に停止する。
しかしながら、該流量調節弁の摩耗やかみ込みなどの機械的トラブルや蒸気配管系のリークなどの問題により、高圧蒸気が過大に供給されるなどの異常事態が発生した場合には、上記の流量調節弁では高圧蒸気の供給を停止できないうえ流量調節弁の動作は一般に緩慢である。そこで、別途専用の遮断弁を設けて確実且つ迅速に高圧蒸気の供給を遮断することが行われている。但し、オートクレーブAC01における異常事態を適確に検知すると共にその異常時に流れる流体の圧力よりも十分に高い遮断力で遮断弁を作動させることができなければ遮断弁を設けても効果的ではない。
例えば、オートクレーブAC01への蒸気供給配管からのリークなどで大量の高圧蒸気が漏れるトラブルが発生した場合、オートクレーブAC01内の圧力を検知して遮断弁を作動させるようなシステムでは遮断弁は作動せず、ボイラー側で異常が検知されるか又はオペレーターが操作しない限り通常はボイラーの運転が継続し、その間は高圧蒸気が系外に排出され続けることになる。特に、高圧蒸気がオートクレーブ以外にも多く供給されている場合は、オートクレーブAC01で生じた高圧蒸気系のトラブルをボイラー側で検知するのは難しい。
そこで、本発明の実施形態の高圧酸浸出設備は、オートクレーブAC01における運転異常を即座に検知して確実に高圧蒸気の供給を停止すべく、図2に示すように逆流防止容器VE02及びその上流側のボール弁からなる主遮断弁V01を備えた主蒸気配管4から上記の第1〜第3蒸気配管3A〜3Cを分岐させており、且つこれら第1〜第3蒸気配管3A〜3Cに上記流量調節弁V11〜V13に加えて副遮断弁V21〜V23をそれぞれ設け、これら副遮断弁V21〜V23のタイプをボール弁にしている。かかる構成により、緊急時に効果的に高圧蒸気の供給を遮断することができる。
上記したように本発明の実施形態の高圧酸浸出設備においては、オートクレーブAC01においてその長手方向の異なる位置に接続されている3本の蒸気配管3A〜4Cにそれぞれ設けられている3つの遮断弁V21、V22及びV23に主遮断弁V01と同様に各種バルブの中で最も遮断性が高いボール弁を採用している。これにより、運転異常時におけるオートクレーブAC01への高圧蒸気の供給をより確実に遮断することができる。ここで、蒸気配管系の最下流に位置する副遮断弁V21〜V23にボール弁を用いる理由は、これら副遮断弁V21〜V23はオートクレーブAC01の腐食性雰囲気に常時晒されているため蒸気の遮断時のシール性が問題になりやすく、この部分にボールとシートのシール性に優れているボール弁を用いることで該シール性の問題が生じにくくなるからである。
ボール弁は、流路用の貫通部を有するボール状の弁体と、その外周面に該貫通部を囲むように設けられた1対の円環状のシート弁座とがケーシング内で回動するように構成されており、これら弁体及びシート弁座の材質はチタン材又は二相ステンレス材であることが好ましい。本発明の実施形態の高圧酸浸出設備においては、主遮断弁V01のアクチュエータが油圧式であり、副遮断弁V21、V22、及びV23のアクチュエータが空気式であることが好ましい。油圧式アクチュエータは、より強いトルクで弁を開閉(回転)動作させることができるため、高い密閉性を有するボール弁からなる主遮断弁V01のアクチュエータに油圧式を用いることでオートクレーブAC01への高圧蒸気の供給をより確実に停止することができるからである。
また、油圧式アクチュエータは開閉速度を自在に変更することができ、急激にバルブを閉めた場合に配管系にハンマリングが生じる場合は閉止速度を調整することでハンマリングによる配管破損を防止することができる。更に閉止速度を調整することで上流側のボイラー蒸気の圧力変動を抑えることも可能になるので、例えばボイラーの高圧蒸気を発電用のスチームタービンにも供給している場合は、蒸気圧の急変動を抑制することで安定操業を確保することができる。一方、空気式アクチュエータは比較的安価であり且つより迅速に作動させることができるので、主蒸気配管4から分岐した複数の蒸気配管にそれぞれ設けられている副遮断弁V21〜V23のアクチュエータに適している。
上記の主遮断弁V01、及び副遮断弁V21、V22、V23は、オートクレーブAC01が通常運転されている時は開放状態に保持されているが、運転異常を検知した時又はオペレーターの緊急停止の操作により閉止状態になり、オートクレーブAC01への高圧蒸気の供給が完全に停止する。本発明の実施形態の高圧酸浸出設備は、この運転異常の検知は、逆流防止容器VE02に設けた液位(レベル)スイッチLSと圧力計PTによって行われる。すなわち、図2に示すように、好ましくは放射線による透過式の液位スイッチLSによりオートクレーブAC01から蒸気配管系へのスラリーの逆流が検知され、圧力計PTにより蒸気配管系の圧力が計測される。
上記の液位スイッチLSからの出力値及び圧力計PTからの出力値はCPUなどの制御部C01の入力端子部に入力される。制御部C01では所定のアルゴリズムによりこれら出力値の各々に対して必要に応じて演算等の処理を行い、異常と判断されると制御部C01の出力端子側部から出力した信号により主遮断弁V01、及び副遮断弁V21〜V23を閉止する。
図3に上記した制御部C01のアルゴリズムの一具体例のフローチャートが示されている。すなわち通常運転時に開状態にある上記主遮断弁V01並びに副遮断弁V21〜V23に対して、条件1又は2が満たされた時に閉止信号が出力される。条件1は液位スイッチLSにより液位を検知する事象であり、これは逆流防止容器VE02において気体の蒸気ではなく液体のスラリーがオートクレーブAC01から逆流している事態が生じていることを示しており、主遮断弁V01及び副遮断弁V21〜V23を同時に閉止することで逆流したスラリーが逆流防止容器VE02の上流側に流れ込むのを防ぐことができる。
条件2は、逆流防止容器VE02の圧力計PTで測定した圧力の一定時間ΔTにおける圧力降下ΔPが所定の閾値以上となる事象であり、これは典型的には逆流防止容器VE02以降の蒸気配管又はオートクレーブAC01において蒸気漏れが発生する場合であり、主遮断弁V01及び副遮断弁V21〜V23を同時に閉止することでかかる蒸気漏れが継続するのを防ぐことができる。上記時間ΔTや閾値は可変であるのが好ましい。
このように、条件2では典型的にはボイラーから供給される高圧蒸気がそのまま大気に放出される状態であるため、蒸気配管系において最も上流側に位置するため最も高い圧力がかかる主遮断弁V01ではこの放出時の圧力に打ち勝つ遮断力が必要であり、よって該主遮断弁V01のアクチュエータには前述したように油圧式を採用し且つその駆動時のトルクに耐えうるチタン製シャフトを採用するのが好ましい。
ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プラントのオートクレーブの高圧蒸気供給系に、図2に示すような緊急遮断システムを設けた。すなわち、逆流防止容器VE02に設けた液位スイッチLS及び圧力計PTから出力された信号をCPUからなる制御部C01に入力し、該制御部C01において図3のアルゴリズムに示すように条件1又は条件2が満たされた時に遮断信号を出力して高圧蒸気配管系に設けた主遮断弁V01及び副遮断弁V21〜V23が閉止されるようにした。
上記液位スイッチLSには放射線式レベルスイッチを使用し、圧力計PTにはリモートシール式圧力伝送器を使用した。主遮断弁V01及び副遮断弁V21〜V23には全てボール弁を使用し、主遮断弁V01のアクチュエータには油圧式を採用し、開閉の両方向に油圧で駆動できるようにした。一方、副遮断弁V21〜V23のアクチュエータには空気式を採用した。そして、オートクレーブAC01における高圧蒸気配管の接続部のフランジをゆるめて高圧蒸気を故意に大気放出したところ、これら4つの遮断弁V01、V21〜V23を確実に遮断することができた。
なお上記の主遮断弁のアクチュエータを油圧式に代えて空気式にして上記と同様の条件で高圧蒸気を大気放出させたところ、副遮断弁V21〜V23は特に問題なく遮断することができたが、主遮断弁V01は閉止できなかった。その理由は、この空気式アクチュエータは、シリンダ内で閉止方向に付勢するスプリングに打ち勝つエアー圧にてボール弁を開状態に維持し、遮断時にシリンダからエアーを放出することで該スプリングでボール弁を閉止するものであるため、高圧蒸気の大気放出時に最も高い圧力がかかる主遮断弁V01ではこのスプリングの付勢力ではボール弁回転のためのトルクが不足し、図4(b)に示すようにボール弁を閉止できなかった。この対策としては、図4(a)に示すように油圧式アクチュエータに戻すか、より大きなトルクを発生できる空気式アクチュエータを選定すればよいが、空気式アクチュエータの場合は設置に必要な専有面積が大きくなりすぎるため採用できなかった。
PT 圧力計
LS レベルスイッチ
C01 制御部
TT1 第1温度計
TT2 第2温度計
TT3 第3温度計
V01 主遮断弁
V00 減圧弁
V11 第1流量調節弁
V12 第2流量調節弁
V13 第3流量調節弁
V21 第1副遮断弁
V22 第2副遮断弁
V23 第3副遮断弁
VE01 フラッシュベッセル
VE02 逆流防止容器
AC01 オートクレーブ
P1 スラリーポンプ
P2 硫酸ポンプ
1 堰
2A〜2G 貯留部
3A 第1蒸気配管
3B 第2蒸気配管
3C 第3蒸気配管
4 主蒸気配管
5 スラリー抜出配管

Claims (4)

  1. ニッケル酸化鉱石スラリー及び硫酸を一端部から受け入れて下流側に向けて順次移送させながら高圧酸浸出処理を行うように複数の貯留部が形成されたオートクレーブを有する高圧酸浸出設備であって、
    前記複数の貯留部のうちの少なくとも2つには各々高圧蒸気供給用の蒸気配管が接続されており、これら少なくとも2つの蒸気配管は逆流防止容器及びその上流側の主遮断弁を備えた主蒸気配管から分岐しており且つ各々流量調節弁及び副遮断弁を備えており、前記副遮断弁及び前記主遮断弁がボール弁であることを特徴とする高圧酸浸出設備。
  2. 前記主遮断弁を駆動するアクチュエータが油圧式であり、前記副遮断弁を駆動するアクチュエータが空気式であることを特徴とする、請求項1に記載の高圧酸浸出設備。
  3. 前記ボール弁を構成するボール状の弁体及び円環状のシート弁座の材料が二相ステンレス材又はチタン材であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の高圧酸浸出設備。
  4. ニッケル酸化鉱石スラリー及び硫酸を高圧蒸気と共に受け入れて高圧酸浸出を行うオートクレーブの該高圧蒸気の遮断システムであって、該高圧蒸気の供給配管系には圧力計とレベルスイッチとを備えた逆流防止容器が設けられており、前記レベルスイッチによってオートクレーブからの逆流が検知されるか、又は前記圧力計によって単位時間当たり所定の値以上の圧力降下が検知された時に該供給配管系の下流側の複数の分岐配管に各々設けた副遮断弁と前記逆流防止容器の上流側に設けた主遮断弁とを閉止することを特徴とする高圧蒸気の遮断システム。
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