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JP2019155806A - 繊維強化樹脂複合木材および木材の反りを抑制する方法 - Google Patents

繊維強化樹脂複合木材および木材の反りを抑制する方法 Download PDF

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JP2019155806A
JP2019155806A JP2018048004A JP2018048004A JP2019155806A JP 2019155806 A JP2019155806 A JP 2019155806A JP 2018048004 A JP2018048004 A JP 2018048004A JP 2018048004 A JP2018048004 A JP 2018048004A JP 2019155806 A JP2019155806 A JP 2019155806A
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悠生 水田
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悠生 水田
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Abstract

【課題】小口面が芯部分を含まない木材製材を用いながらも乾燥時の反りが抑制された複合木材を提供する。【解決手段】含水率が20%以上の木材と繊維強化樹脂複合材とを接着剤を介して一体化された繊維強化木材。【選択図】図1

Description

本発明は、反りの抑制された繊維強化複合木材および木材の反りを抑制する方法に関する。特に、未乾燥の木材を用いながら、乾燥時に発生する反りが抑制された繊維強化複合木材および木材の反りを抑制する方法に関する。
木材は、軽量で加工性がよいという材料的な特徴と、癒し効果やリラックス効果といった意匠的な特徴を合わせ持ち、従来から住宅用の建築物に多く使用されてきた。
しかし、国産木材は製材コストが外国産木材より高いため利用が十分に進んでいない。国産木材の製材コストが高い要因として、製材時の原木断面での製材のとりかたの制約がある。一般に、原木の直径と製材に適した太さとに差異があるため、1本の原木から1本の製材を採取すると廃棄部分が多くなり、製材時の歩留まりが悪くなる。この対策として原木を極力太くし、1本の原木から複数本の製材を採取する方法がとられる。この方法では、製材の採取効率を上げ、製材コストを抑えることができるものの、得られる製材には小口面に芯部分を含まないものが多く生じる。この小口面に芯部分を含まない製材は、乾燥時に反りが発生しやすく、そのままでは建築物の材料に適さない。
反りへの対策として切削加工ラインで適用する反りの修正方法が提案されている(特許文献1)。しかし、この方法は木材の反りの発生そのものを抑止するものではなく、発生した反りを修正するものであり、反りの程度や方向によっては対応できないことがある。木材の反りの発生そのものを抑制する方法として、木材の導管を穿孔し部分的に切断する方法が提案されている(特許文献2)。しかし、穿孔し切断する位置は対象の木材によって変わるため、工業的に適用することは困難である。
このような背景から、対象の木材の個性に左右されることのない、工業的に画一的に適用できる、木材の反りを抑制する方法が求められ、反りの抑制された木材が求められていた。
特許第3724681号公報 特開2003−276007号公報
本発明の課題は、小口面が芯部分を含まない木材製材を用いながらも乾燥時の反りが抑制された複合木材を提供することにある。本発明の課題はまた、乾燥時における、小口面が芯部分を含まない木材製材の反りを抑制する方法を提供することにある。
本発明は、含水率が20%以上の木材と繊維強化樹脂複合材とを接着剤を介して一体化された繊維強化樹脂複合木材である。
本発明はまた、小口面に芯部分を含まない四角断面の単一木材である含水率20%以上の木材の長手方向の一つの面と、その面と対向する他の面に、繊維強化樹脂複合材を接着剤を介して一体化することを特徴とする、木材製材の反りを抑制する方法である。
本発明によれば、小口面が芯部分を含まない木材製材を用いながらも乾燥時の反りが抑制された複合木材を提供することができる。また、本発明によれば、乾燥時における、小口面が芯部分を含まない木材製材の反りを抑制する方法を提供することができる。
本発明の繊維強化樹脂複合木材を、その小口面と側面について説明する図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
[繊維強化樹脂複合木材]
本発明の繊維強化樹脂複合木材は、四角断面の未乾燥の木材と繊維強化樹脂複合材とを、接着剤を介して一体化したものから構成される。
木材の乾燥時の反り抑制を効果的に発現させるためには、繊維強化樹脂複合材を未乾燥の木材の側面の向かい合う二面に配置して接着させることが好ましい。すなわち、本発明においては、小口面に芯部分を含まない四角断面の単一木材である含水率20%以上の木材の長手方向の一つの面と、その面と対向する他の面に、繊維強化樹脂複合材を接着剤を介して一体化することが好ましい。向かい合う二面の他の面、すなわちこれらの面と直交する面にも繊維強化樹脂複合材を接着してもよいが、この場合もそれらを向かい合う二面に配置して接着することが好ましく、この場合、木材の側面の四面に繊維強化樹脂複合材を配置して接着する態様になる。
[木材]
木材としては、従来から木材製材として使用されている木材を用いることができ、例えば、ヒノキ、スギ、カラマツ、ベイマツ、トウヒ、ツガ、スギラミナ、ナラ、キリ、ケヤキ、カエデ、トチ、ホオ、サクラ、チーク、ラワン、スピナールを用いることができる。木材の形状は、通常、木材の繊維方向と木材の長辺が一致するように切削加工した形状であり、例えば、ひき板や小角材等の形状で用いることができる。
木材と繊維強化樹脂複合材とを強固に接着させるためには、木材の表面に、シボ加工を施すことが好ましい。シボ部分が木材にめり込むアンカー効果により接着性能が向上する。このシボは、木材の表面の深さ10〜1000μmの凹凸加工であることが好ましい。
[繊維強化樹脂複合材]
繊維強化樹脂複合材は補強繊維とマトリクス樹脂からなる。これは、引抜成形法により成形されたものが好ましい。引抜成形法は補強繊維を連続的に引き出しマトリックス樹脂に含浸させて所望の断面形状、例えば四角形状、をした金型内を通過させ賦形する成形法である。この方法によると、均一断面の長尺成形品を連続的に製造することができる。
[補強繊維]
繊維強化樹脂複合材に使用する補強繊維としては、例えば炭素繊維、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサザール繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリイミド繊維、四フッ化エチレン繊維、ガラス繊維を例示することができる。これらのなかでも、無機繊維または融点もしくはガラス転移温度が200℃以上である有機繊維を用いることが好ましい。このような繊維として、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維を例示することができる。なかでも炭素繊維が好ましく、ポリアクリロニトリル繊維から得られる炭素繊維が特に好ましい。補強繊維としては長繊維を用いることが好ましいが、短繊維を長繊維とともに用いていもよい。
補強繊維の使用量は、繊維強化樹脂複合材の全体体積に対して、好ましくは40〜70体積%である。40体積%未満であると補強繊維による樹脂補強効果が小さくなり好ましくない。また、70体積%を超えると、樹脂により繊維を均一含浸することが困難となり、弱部となる樹脂未含浸部分への応力集中により複合材としての物性が低下するため好ましくない。
補強繊維の形態として、一方向に繊維を引き揃えたUD材やその2方向以上の組合せ、織物(例えば、平織、綾織、ハイブリッドクロス)、不織布など様々な形態を採用することができ、必要とする強度に応じて設計することができる。補強性能とコストとのバランスをから、一方向に引き揃えたUD材を用いることが特に好ましい。
補強繊維として炭素繊維を用いる場合、単糸の繊維直径5〜9μm、構成本数1000〜300000本からなる繊維束(ストランド)を用いることが好ましい。これらの繊維束は所望分を集束し、またはシート状に拡幅して使用することができる。
[マトリクス樹脂]
繊維強化樹脂複合材に用いられるマトリックス樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹のいずれも用いることができ、好ましくは熱硬化性樹脂を用いる。例示すれば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン樹脂、レゾルシン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂を挙げることができる。
本発明では、繊維強化樹脂複合材を木材に接着させるが、その方法としては、木材の繊維方向と同一方向に補強繊維の補強方向を合わせるように配置して接着させるのが通常であるが、必要に応じて補強方向が交差するようにシート状の繊維強化樹脂複合材を積層したものを使用してもよい。
乾燥時の反りの発生を防ぐためには、木材と繊維強化樹脂複合材とが強固に接着していることが望ましい。
[接着]
接着は、木材と繊維強化樹脂複合材とを公知の方法で接着剤を介して積層したのち、例えば面圧5×10〜15×10Paの圧力下、20〜40℃で5〜24時間圧締め処理することで行うことができる。
接着剤として例えば、レゾルシノール樹脂接着剤、レゾルシノール・フェノール樹脂接着剤、水性高分子−イソシアネート系接着剤、ユリア樹脂接着剤、メラミン・ユリア樹脂接着剤、フェノール樹脂接着剤、カゼイン木材接着剤、水性高分子−イソシアネート系接着剤、α−オレフイン無水マレイン酸樹脂接着剤、酢酸ビニル樹脂接着剤、ホットメルト接着剤を用いることができる。特に良好な接着強度を得る観点から、レゾルシノール樹脂接着剤または水溶性高分子‐イソシアネート系接着剤が好ましい。
木材と繊維強化樹脂複合材との接着に用いる接着剤の量は、例えば100〜400g/m、好ましくは200〜250g/mである。
本発明を実施例を例示してさらに詳しく説明する。
(1)反り
試料を庫内温度65〜85℃の乾燥炉の中に投入して延べ125時間乾燥した。試料の反りの計測は、平滑な平面である床面上に試料を置き、長さ方向の一方の辺と床面とを合わせ、対向する他方の辺が床面から浮いた高さをスケールで計測して行った。また、幅方向の一方の辺と床面とを合せ、対向する他方の辺が床面から浮いた高さを計測することでも行った。
(2)含水率
高周波式含水率計((株)佐藤商事製LG6NG)を用いて、木材表面にスプリング式センサーを接触させて測定した。
(3)接着強度
接着強度はブロックせん断接着試験によって評価した。試料のせん断試験時の破断箇所が木部であれば「良」、接着剤層またはその界面であれば「不良」とした。そして、乾燥後の接着面剥離が目視で確認できなければ「良」とし、目視で確認できれば「不良」とした。
(4)繊維直径
測定対象を走査型電子顕微鏡JSM6330F(JEOL社製)にて観察・写真撮影し、繊維100本を任意に選出して測長し、それらの平均繊維径を算出した。なお、観察・写真撮影は1000倍で行った。
[実施例1]
未乾燥木材として、厚み30mm×幅150mm×長さ1000mmで、小口面(30mm×150mmの面)に芯部分を含まない未乾燥のスギラミナ材(含水率40%)を用い、繊維強化樹脂複合材として、炭素繊維連続繊維を含有する熱硬化性樹脂の硬化物からなり引抜成形で成形した繊維強化樹脂複合材を用いた。この繊維強化樹脂複合材は、60体積%の炭素繊維と40体積%のビニルエステル樹脂からなり、ビニルエステル樹脂の硬化物中に炭素繊維が一方向に引き揃えられている。
炭素繊維として、単糸の繊維直径7μm、構成本数24000本からなる一方向に配向した繊維束をシート状に拡幅して使用した。
厚み0.9mm×幅50mm×長さ1000mmの上述の繊維強化樹脂複合材を幅方向に3枚並べて厚み0.9mm×幅150mm×長さ1000mmの平面板状の繊維強化樹脂複合材とし、上述の未乾燥のスギラミナ材の上面と下面にそれぞれを接着した。接着剤には、水性高分子―イソシアネート系接着剤(光洋産業(株)製 水性高分子−イソシアネート系接着剤 主剤:KR134L 硬化剤:AX200)を200g/mの量で使用し、面圧7.5×10〜10.0×10Paで1時間常温圧締め処理することで、平面板状の繊維強化樹脂複合材と木材を接着して、繊維強化樹脂複合木材を得た。反りと接着強度を評価した。
[比較例1]
試料として、厚み30mm×幅150mm×長さ1000mmで、小口面(30mm×150mmの面)に芯部分を含まない未乾燥のスギラミナ材(含水率40%)をそのまま用い、反りを評価した。なお、この比較例では繊維強化樹脂複合材を用いなかった。
Figure 2019155806
本発明により製材計画で反りを考慮する必要が無くなり、より効率的な木材の利用ができる。さらに、木材の乾燥後には繊維強化樹脂複合材が力学的な補強層として機能するため、力学物性が向上した繊維強化樹脂複合木材を得ることができる。通常の木材よりも撓みが少なため、断面を縮小し、長スパン化させることができる。
1 繊維強化樹脂複合材
2 接着剤層
3 未乾燥木材

Claims (5)

  1. 含水率が20%以上の木材と繊維強化樹脂複合材とを接着剤を介して一体化された繊維強化樹脂複合木材。
  2. 木材が小口面に芯部分を含まない四角断面の単一木材である、請求項1記載の繊維強化樹脂複合木材。
  3. 繊維強化樹脂複合材が、無機繊維または融点もしくはガラス転移温度が200℃以上である有機繊維を含有する熱硬化性樹脂の硬化物である、請求項1記載の繊維強化樹脂複合木材。
  4. 小口面に芯部分を含まない四角断面の単一木材である含水率20%以上の木材の長手方向の一つの面と、その面と対向する他の面に、繊維強化樹脂複合材を接着剤を介して一体化することを特徴とする、木材の反りを抑制する方法。
  5. 繊維強化樹脂複合材が、無機繊維または融点もしくはガラス転移温度が200℃以上である有機繊維を含有する熱硬化性樹脂の硬化物である、請求項4記載の木材の反りを抑制する方法。
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