JP2019026196A - 車両のサスペンション装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤの縦ばね定数あるいは横剛性に合わせて、優れた操安性を得ることができる、車両のサスペンション装置を提供する。
【解決手段】サスペンション装置(1)は、上下方向に揺動可能に車体(B)に連結されたアッパアーム(2)及びロワアーム(4)と、アッパアーム及びロワアームに連結され車輪(6)を回転可能に支持するホイールサポート(8)と、上端が車体に取り付けられると共に下端がホイールサポートに取り付けられた緩衝装置(12)とを備え、車輪に発生する横力に関連するサスペンションの各特性に基づき算出された、横力の時間遅れに関連する時定数と、車輪の横剛性に基づき算出された横力の時間遅れに対応する時定数との和が、予め定められた目標値以下となるように、アッパアーム及びロワアームが配置されており、横力に関連するサスペンションの特性には、車輪のストロークに伴うスカッフ変化量が含まれる。
【選択図】図4
【解決手段】サスペンション装置(1)は、上下方向に揺動可能に車体(B)に連結されたアッパアーム(2)及びロワアーム(4)と、アッパアーム及びロワアームに連結され車輪(6)を回転可能に支持するホイールサポート(8)と、上端が車体に取り付けられると共に下端がホイールサポートに取り付けられた緩衝装置(12)とを備え、車輪に発生する横力に関連するサスペンションの各特性に基づき算出された、横力の時間遅れに関連する時定数と、車輪の横剛性に基づき算出された横力の時間遅れに対応する時定数との和が、予め定められた目標値以下となるように、アッパアーム及びロワアームが配置されており、横力に関連するサスペンションの特性には、車輪のストロークに伴うスカッフ変化量が含まれる。
【選択図】図4
Description
本発明は、車両のサスペンション装置に係わり、特に、ストロークによりスカッフ変化を生じさせる車両のサスペンション装置に関する。
従来、優れた操安性と良好な乗り心地を得るために、様々なサスペンション装置が検討されている。例えば、特許文献1に記載のサスペンション装置では、一端を車体に連結したダンパーの他端をサスペンションアームに揺動可能に連結したロッカーリンクに連結し、そのロッカーリンクをキャンバーコントロールアームを介してナックルに連結するとともにロッカーアームを介して車体に連結することにより、ホイールストロークに対するダンパーストロークの関係を非線形としている。これにより、ホイールストロークが小さい領域では乗り心地を高め、ホイールストロークが大きい領域では、旋回時における車体のロールを抑制して操縦安定性を高めている。
ところで、タイヤの転がり抵抗低減による燃費性能の向上と、制駆動時や旋回時におけるタイヤの摩擦力増大による制駆動・旋回性能の向上とを両立させるためには、トレッド部の円環の変形を抑制しつつ、垂直荷重の増大に応じたタイヤの接地幅の拡大による接地面積の増加を促進するのが望ましい。
具体的には、トレッド部の円環剛性の向上やサイド構造剛性の低減により、惰行時におけるトレッド部の円環の変形を抑制して転がり抵抗を低減することができるが、それだけでは制駆動時や旋回時の垂直荷重増大に応じたタイヤの接地面積の増加が抑制されるので、制駆動・旋回性能が低下してしまう。そこで、トレッド部の面外曲げ剛性を低減し、制駆動時や旋回時の垂直荷重増大に応じてタイヤの接地幅が増大し易くすることにより、トレッド部の円環剛性を向上させたタイヤにおいても垂直荷重の増大に対して接地面積をリニアに増加させることができる。即ち、トレッド部の円環剛性を向上させると共に、タイヤの上下方向のばね定数(縦ばね定数)を低減することにより、タイヤの転がり抵抗低減による燃費性能の向上と、制駆動時や旋回時におけるタイヤの摩擦力増大による制駆動・旋回性能の向上とを両立することが可能になる。
具体的には、トレッド部の円環剛性の向上やサイド構造剛性の低減により、惰行時におけるトレッド部の円環の変形を抑制して転がり抵抗を低減することができるが、それだけでは制駆動時や旋回時の垂直荷重増大に応じたタイヤの接地面積の増加が抑制されるので、制駆動・旋回性能が低下してしまう。そこで、トレッド部の面外曲げ剛性を低減し、制駆動時や旋回時の垂直荷重増大に応じてタイヤの接地幅が増大し易くすることにより、トレッド部の円環剛性を向上させたタイヤにおいても垂直荷重の増大に対して接地面積をリニアに増加させることができる。即ち、トレッド部の円環剛性を向上させると共に、タイヤの上下方向のばね定数(縦ばね定数)を低減することにより、タイヤの転がり抵抗低減による燃費性能の向上と、制駆動時や旋回時におけるタイヤの摩擦力増大による制駆動・旋回性能の向上とを両立することが可能になる。
一方で、タイヤの縦ばね定数を低減した場合、タイヤの幅方向の剛性(横剛性)も低下するので、操舵時にタイヤが幅方向に変形することにより、舵角に応じた横力の発生に遅れが生じる。即ち、操舵時の初期応答性が低下する。
しかしながら、上述したような従来技術では、車体やサスペンション装置の特性に適合するタイヤが選択され、あるいは車体やサスペンション装置の特性に合わせてタイヤの特性が決定されることを前提としている。したがって、縦ばね定数の低減と共に横剛性が低下した結果、車体及びサスペンション装置の特性に適合しないものとなったタイヤを使用した場合、タイヤの横剛性の低下に対応できず、従来技術において期待されている乗り心地や操安性の向上等の効果を十分に得ることができない。
つまり、燃費性能と制駆動・旋回性能との大幅向上を両立させるにはタイヤの上下方向のばね定数を大きく低減することが望ましいが、操安性能・乗心地性能の悪化が大きく従来の車体構造やサスペンション装置では採用することができなかった。
しかしながら、上述したような従来技術では、車体やサスペンション装置の特性に適合するタイヤが選択され、あるいは車体やサスペンション装置の特性に合わせてタイヤの特性が決定されることを前提としている。したがって、縦ばね定数の低減と共に横剛性が低下した結果、車体及びサスペンション装置の特性に適合しないものとなったタイヤを使用した場合、タイヤの横剛性の低下に対応できず、従来技術において期待されている乗り心地や操安性の向上等の効果を十分に得ることができない。
つまり、燃費性能と制駆動・旋回性能との大幅向上を両立させるにはタイヤの上下方向のばね定数を大きく低減することが望ましいが、操安性能・乗心地性能の悪化が大きく従来の車体構造やサスペンション装置では採用することができなかった。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、タイヤの縦ばね定数あるいは横剛性に合わせて、優れた操安性を得ることができる、車両のサスペンション装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の車両のサスペンション装置は、ストロークによりスカッフ変化を生じさせる車両のサスペンション装置であって、上下方向に揺動可能に車体に連結された複数の連結部材と、複数の連結部材に連結され車輪を回転可能に支持する車輪支持部材と、車体上下方向に延び上端が車体に取り付けられると共に下端が連結部材又は車輪支持部材に取り付けられた緩衝装置と、を備え、車輪に発生する横力に関連するサスペンションの各特性に基づき算出された、横力の時間遅れに関連する時定数と、車輪の横剛性に基づき算出された横力の時間遅れに対応する時定数との和が、予め定められた目標値以下となるように、複数の連結部材が配置されており、横力に関連するサスペンションの特性には、車輪のストロークに伴うスカッフ変化量が含まれる。
このように構成された本発明においては、車輪に発生する横力に関連するサスペンションの各特性に基づき算出された、横力の時間遅れに関連する時定数と、車輪の横剛性に基づき算出された横力の時間遅れに対応する時定数との和が、予め定められた目標値以下となるように、複数の連結部材が配置されており、横力に関連するサスペンションの特性には、車輪のストロークに伴うスカッフ変化量が含まれるので、タイヤの縦ばね定数低減に伴いタイヤの横剛性に対応する時定数が増加した場合でも、車輪のストロークに伴うスカッフ変化量に対応する時定数が減少する方向に連結部材の配置を調整することにより、車輪トータルの時定数増加を抑制して目標値以下とすることができる。これにより、タイヤの縦ばね定数あるいは横剛性に合わせて、優れた操安性を得ることができる。
このように構成された本発明においては、車輪に発生する横力に関連するサスペンションの各特性に基づき算出された、横力の時間遅れに関連する時定数と、車輪の横剛性に基づき算出された横力の時間遅れに対応する時定数との和が、予め定められた目標値以下となるように、複数の連結部材が配置されており、横力に関連するサスペンションの特性には、車輪のストロークに伴うスカッフ変化量が含まれるので、タイヤの縦ばね定数低減に伴いタイヤの横剛性に対応する時定数が増加した場合でも、車輪のストロークに伴うスカッフ変化量に対応する時定数が減少する方向に連結部材の配置を調整することにより、車輪トータルの時定数増加を抑制して目標値以下とすることができる。これにより、タイヤの縦ばね定数あるいは横剛性に合わせて、優れた操安性を得ることができる。
また、本発明において、好ましくは、車輪のストロークに伴うスカッフ変化量に基づき算出される時定数Tkscfは、各車輪荷重の合計をW、ロールセンター高さをhR、ロールアーム長をh、車輪のコーナリングコンプライアンスをDt、ロール剛性をKΦ、車速をVとした場合、以下の式で表される。
このように構成された本発明においては、ロールセンター高さやロールアーム長等に基づき、車輪のストロークに伴うスカッフ変化量に対応する時定数を算出することができる。したがって、車輪のストロークに伴うスカッフ変化量に対応する時定数を減少させて車輪トータルの時定数を目標値以下とする際に、必要な時定数の減少量に相当する連結部材の配置の調整値を、定量的に把握することができる。これにより、タイヤの縦ばね定数あるいは横剛性に合わせて、優れた操安性を確実に得ることができる。
このように構成された本発明においては、ロールセンター高さやロールアーム長等に基づき、車輪のストロークに伴うスカッフ変化量に対応する時定数を算出することができる。したがって、車輪のストロークに伴うスカッフ変化量に対応する時定数を減少させて車輪トータルの時定数を目標値以下とする際に、必要な時定数の減少量に相当する連結部材の配置の調整値を、定量的に把握することができる。これにより、タイヤの縦ばね定数あるいは横剛性に合わせて、優れた操安性を確実に得ることができる。
本発明による車両のサスペンション装置によれば、タイヤの縦ばね定数あるいは横剛性に合わせて、優れた操安性を得ることができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による車両のサスペンション装置を説明する。
まず、図1により、本発明の実施形態による車両のサスペンション装置の全体構成を説明する。図1は、本発明の実施形態による車両のサスペンション装置の概略正面図である。
図1において、符号1は、本実施形態による車両のサスペンション装置(以下、単にサスペンションという)を示す。この実施形態のサスペンションは、アッパアーム2及びロワアーム4によって車輪6のホイールサポート8(車輪支持部材)を車体Bに対して上下にストローク可能に連結したダブルウィッシュボーン式のサスペンションである。アッパアーム2及びロワアーム4がそれぞれ車体B側の端部を中心に上下に揺動することによって、ホイールサポート8及び車輪6が所定の軌跡に沿って上下にストロークするようになっている。
また、そのような車輪6のストロークを許容しながら、同時に適度の付勢力及び減衰力を付与するように、コイルばね10及び図示しないダンパを備えた緩衝装置12が配設されている。この緩衝装置12は、コイルばね10とダンパとが略同軸に配置されて大略、上下方向に長い円筒状をなし、その上端部が車体Bに取り付けられる一方、緩衝装置12の下端部がロアアーム又はホイールサポート8(図1ではロワアーム4)に枢着されている。
図1に示したサスペンションにおいては、アッパアーム2及びロワアーム4のホイールサポート8側の節点と車体B側の節点とを結んだ直線が交差する点が、車体Bに対する車輪6及びホイールサポート8の瞬間的な回転中心(瞬間回転中心Oi)となる。そして、左右のサスペンションの瞬間回転中心Oiと車輪6の接地点とを結ぶ直線が交差する点が、車体Bの瞬間的なロールセンターOになる。
次に、図2及び図3により、本発明の実施形態によるサスペンション装置を適用した車両の運動モデルを説明する。図2は本発明の実施形態による車両の2輪モデルを示す平面図であり、図3は本発明の実施形態による車両のロール運動のモデルを示す正面図である。
本実施形態では、2輪モデルにより車両の等価コーナリングパワー(CP)を規定する。等価CPとは、車輪6のタイヤが発生させる横力に対するタイヤ及びサスペンション1の各特性の影響を、等価的にコーナリングパワーに置き換えたものであり、本実施形態では、時定数を含む一次遅れ系等価CPを用いる。この一次遅れ系等価CPは以下の式(1)により表すことができる。
Ki*(s)=Ki*/(1+Tis) (1)
ここで、添字i:f=フロント,r=リア、Ki*:等価CP、Ti:時定数、s:ラプラス演算子である。
Ki*(s)=Ki*/(1+Tis) (1)
ここで、添字i:f=フロント,r=リア、Ki*:等価CP、Ti:時定数、s:ラプラス演算子である。
ここで、等価CPに対応するスリップ角を、見かけのスリップ角(αi*)と定義する。この見かけのスリップ角は、実際のタイヤスリップ角(αi)に、各特性の影響によるスリップ角ξi(ξ1i+ξ2i+…)を加えたものといえる(αi*=αi+ξ1i+ξ2i+…)。添字1,2,…は特性毎に割り当てられた番号であり、以下これをkとする。
2輪モデルは、ヨー/横運動の2輪モデル(一般的な2自由度線形車両モデル)に、ロールの釣り合いを加えた運動方程式であり、等価CPの概念を反映したモデルとしている(図2、3参照)。以下に、運動方程式のラプラス変換した形を示す。
mV(β(s)s+r(s))=Ff(s)+Fr(s) (2)
Ir(s)s=LfFf(s)−LrFr(s) (3)
(Iφs2+Cφs+Kφ)φ(s)=mVh(β(s)s+r(s)) (4)
αf *(s)=δ(s)−βf(s)=δ(s)−β(s)−Lfr(s)/V (5)
αr *(s)=−βr(s)=−β(s)+Lrr(s)/V (6)
αi *(s)=αi(s)+ξi(s) (7)
ξi(s)=Σξki(s)=ξ1i(s)+ξ2i(s)+… (8)
Fi(s)=2Ki(s)αi(s) (9)
=2Ki *(s)αi *(s) (10)
mV(β(s)s+r(s))=Ff(s)+Fr(s) (2)
Ir(s)s=LfFf(s)−LrFr(s) (3)
(Iφs2+Cφs+Kφ)φ(s)=mVh(β(s)s+r(s)) (4)
αf *(s)=δ(s)−βf(s)=δ(s)−β(s)−Lfr(s)/V (5)
αr *(s)=−βr(s)=−β(s)+Lrr(s)/V (6)
αi *(s)=αi(s)+ξi(s) (7)
ξi(s)=Σξki(s)=ξ1i(s)+ξ2i(s)+… (8)
Fi(s)=2Ki(s)αi(s) (9)
=2Ki *(s)αi *(s) (10)
ここで、I:ヨー慣性モーメント、m:車両質量、W:車両重量、Wi:軸重、Li:前後車軸重心点間距離、L:ホイールベース、t:トレッド、hR:重心点でのロールセンター高さ、Iφ:ロール慣性モーメント、Kφ:ロール剛性、Cφ:ロールダンパ係数、κ:ステアリングギヤレシオ、Ki:タイヤCP、β:重心点のスリップ角、βi:車体スリップ角、V:車速、r:ヨーレート、Fi:コーナリングフォース、θH:ハンドル舵角、δ=θH/κ:車輪舵角、φ:ロール角、yφi:ロール時の重心横移動である。
次に、タイヤ及びサスペンションの各特性の複素コーナリングコンプライアンス(複素CC)について説明する。
複素CCとは、タイヤに発生する横力に関連するタイヤ及びサスペンションの特性を、所定横力(本実施形態では1G)を発生させるスリップ角とその発生タイミングとで表したものである。つまり、サスペンションのシステム要素のタイヤ横力と発生タイミングへの影響を「単位横力当たりのスリップ角と時定数」として複素形式に変換したコーナリングコンプライアンスであり、単純加算することで前後輪のスリップ角と時定数を得ることができ、時間を考慮した等価コーナリングパワーを把握することができる。この複素CCにより、サスペンションの各システム要素が前後輪の横力発生タイミングへ与える影響を定量的に把握することができる。例えば、従来のタイヤと比較して縦ばね定数を大幅に低減したタイヤを装着することによりタイヤの横剛性も大幅に低下した場合、サスペンションの何れのシステム要素の特性値をどの程度変更すればタイヤの横剛性低下に相当する時定数の増加を相殺できるのかを、各システム要素の複素CCに含まれる時定数から予測することが可能となる。
複素CCとは、タイヤに発生する横力に関連するタイヤ及びサスペンションの特性を、所定横力(本実施形態では1G)を発生させるスリップ角とその発生タイミングとで表したものである。つまり、サスペンションのシステム要素のタイヤ横力と発生タイミングへの影響を「単位横力当たりのスリップ角と時定数」として複素形式に変換したコーナリングコンプライアンスであり、単純加算することで前後輪のスリップ角と時定数を得ることができ、時間を考慮した等価コーナリングパワーを把握することができる。この複素CCにより、サスペンションの各システム要素が前後輪の横力発生タイミングへ与える影響を定量的に把握することができる。例えば、従来のタイヤと比較して縦ばね定数を大幅に低減したタイヤを装着することによりタイヤの横剛性も大幅に低下した場合、サスペンションの何れのシステム要素の特性値をどの程度変更すればタイヤの横剛性低下に相当する時定数の増加を相殺できるのかを、各システム要素の複素CCに含まれる時定数から予測することが可能となる。
タイヤに発生する横力に関連するタイヤの特性には、タイヤ横剛性及びタイヤコーナリングパワー、キャンバースラスト係数が含まれる。また、タイヤに発生する横力に関連するサスペンションの特性には、サスペンション横剛性、横力コンプライアンスステア、アライニングトルクステア、横力キャンバ剛性、ロールセンター高さ、ロール剛性、上下力ステア、ロールステア、ロールキャンバ、イニシャルトー、イニシャルキャンバ、ステアリング剛性、スカッフ変化が含まれる。
複素CCは、具体的には以下のように表される。
Di(s)=Di(1+Tis)=Di+Eis (11)
=Wiαi *(s)/Fi(s) (12)
ここで、Di:実部、Ti:時定数、Ei:虚部であり、Ei=DiTiである。
Di(s)=Di(1+Tis)=Di+Eis (11)
=Wiαi *(s)/Fi(s) (12)
ここで、Di:実部、Ti:時定数、Ei:虚部であり、Ei=DiTiである。
上記式(12)に式(10)を代入すると、以下の式が導かれる。
Di(s)=Wi/(2Ki *(s)) (13)
つまり、複素CCは、一次遅れ系等価CPを軸重で割り逆数をとったものである。
Di(s)=Wi/(2Ki *(s)) (13)
つまり、複素CCは、一次遅れ系等価CPを軸重で割り逆数をとったものである。
タイヤの複素CCは、以下で表される。
Dti(s)=Wiαi(s)/Fi(s)=Dti+Etis (14)
Dti(s)=Wiαi(s)/Fi(s)=Dti+Etis (14)
タイヤ以外の各特性の複素CCは以下で表される。
Dki(s)=Wiξki(s)/Fi(s)=Dki+Ekis (15)
Dki(s)=Wiξki(s)/Fi(s)=Dki+Ekis (15)
式(12)の見かけのスリップ角αi *に式(7)を代入し、実際のスリップ角αi及び各特性の影響によるスリップ角ξkiに置き換えると、以下の式が得られる。
Di(s)=Wiαi *(s)/Fi(s)
=Wi(αi(s)+Σξki(s))/F(s)
=Dti(s)+ΣDki(s)
=Dti(s)+Etis+Σ(Dki+Ekis) (16)
Di(s)=Wiαi *(s)/Fi(s)
=Wi(αi(s)+Σξki(s))/F(s)
=Dti(s)+ΣDki(s)
=Dti(s)+Etis+Σ(Dki+Ekis) (16)
すなわち、タイヤの特性及びそれ以外の特性のそれぞれの複素CCを単純加算することにより、フロント及びリヤの車輪トータルの複素CCを得ることができる。
各システム要素と、車輪トータルの時定数は、式(11)及び式(15)から以下のように求まる。
車輪トータルの時定数は、
Ti=(Eti+ΣEki)/Di=Tti+ΣTki (17)
タイヤの時定数は、
Tti=Eti/Di (18)
各特性の時定数は、
Tki=Eki/Di (19)
車輪トータルの時定数は、
Ti=(Eti+ΣEki)/Di=Tti+ΣTki (17)
タイヤの時定数は、
Tti=Eti/Di (18)
各特性の時定数は、
Tki=Eki/Di (19)
以上の各式に基づき、タイヤ及びサスペンションの各特性の複素CCを求めることができる。本実施形態では、以下を前提条件としている。
・sの次数が2次以上の項を持つ要素もあるが、sの1次までの項で近似する。こうすることで、各システム要素のモデルを単純化することができる。
・要素の等価スリップ角ξiの符号は、旋回外輪イン(−)アウト(+)とする。
・車両状態量(ξi,y,φ,ΔWki,ΔKki)は、横加速度1G当たりを示している。
この前提条件の下で求めた複素CCの一例を以下の表に示す。
・sの次数が2次以上の項を持つ要素もあるが、sの1次までの項で近似する。こうすることで、各システム要素のモデルを単純化することができる。
・要素の等価スリップ角ξiの符号は、旋回外輪イン(−)アウト(+)とする。
・車両状態量(ξi,y,φ,ΔWki,ΔKki)は、横加速度1G当たりを示している。
この前提条件の下で求めた複素CCの一例を以下の表に示す。
次に、図4及び図5により、タイヤ及びサスペンションの各特性について求めた複素CCの時定数について説明する。図4は前輪及びフロントサスペンションの各特性について複素CCの時定数を示した棒グラフであり、図5は後輪及びリアサスペンションの各特性について複素CCの時定数を示した棒グラフである。
図4及び図5は、車重、サスペンションジオメトリ、タイヤの縦ばね定数等が異なる3種類の車両の各特性について算出した時定数を示している。具体的には、無地のバーで示した車両のタイヤの縦ばね定数は230N/mm、横ばね定数は142N/mmである。また、ドットのバーで示した車両のタイヤの縦ばね定数は245N/mm、横ばね定数は130N/mmである。これらに対し、斜線のバーで示した車両のタイヤの縦ばね定数は213N/mm、横ばね定数は89N/mmと大幅に低くなっている。したがって、前輪及び後輪共に、タイヤ横剛性における時定数が他の2車種と比較して大きくなっており、その増加分がそのままトータルの時定数に反映されてしまっている。
タイヤの縦ばね定数を低減したことに伴うタイヤ横剛性における時定数増加を許容しつつ、車輪トータルの時定数増加を抑制して所定の目標値以下とするためには、サスペンションの特性のうち、時定数を減少させる働きをするものを選択し、その特性値を調整して時定数を減少させればよい。
具体的には、ロールセンター高さhRを高くすることにより、ロールアーム長hが短くなり、ロールによる重心とタイヤとの間の相対変位が減少するので、ロールによる重心横移動量が小さくなる。即ち、図4、図5に点線及び矢印で示すようにロールによる重心横移動における正の時定数が減少する。
また、ロールセンター高さhRを高くすることにより、ロールに伴いサスペンションがストロークしたときのタイヤの横方向変位(スカッフ変化量)が大きくなり、疑似的なスリップ角が増大する。この疑似的なスリップ角により、実際のタイヤのスリップ角による横力が増大するよりも早く横力が発生する。即ち、図4、図5に点線及び矢印で示すようにロールによるスカッフ変化における負の時定数が増大する。
このように、ロールセンター高さhRが高くなるようにサスペンション1のアッパアーム2やロワアーム4を配置することにより、ロールによる重心横移動及びスカッフ変化の2つの特性が時定数の合計値を減少させる方向に働き、図4、図5に点線及び矢印で示すように、タイヤの縦ばね定数低減による車輪トータルの時定数増加を相殺し、所定の目標値以下とすることができる。
次に、本発明の実施形態のさらなる変形例を説明する。
まず、上述した実施形態においては、ダブルウィッシュボーン式のサスペンションを例として説明したが、ストロークに応じてスカッフ変化する他の形式(例えばマルチリンク式、セミトレーリングアーム式、ストラット式等)のサスペンションにも本発明を適用することができる。
まず、上述した実施形態においては、ダブルウィッシュボーン式のサスペンションを例として説明したが、ストロークに応じてスカッフ変化する他の形式(例えばマルチリンク式、セミトレーリングアーム式、ストラット式等)のサスペンションにも本発明を適用することができる。
次に、上述した本発明の実施形態及び本発明の実施形態の変形例による車両のサスペンション装置1の効果を説明する。
まず、車輪6に発生する横力に関連するサスペンション1の各特性に基づき算出された、横力の時間遅れに関連する時定数と、車輪6のタイヤの横剛性に基づき算出された横力の時間遅れに対応する時定数との和が、予め定められた目標値以下となるように、アッパアーム2やロワアーム4が配置されており、横力に関連するサスペンション1の特性には、車輪6のストロークに伴うスカッフ変化量が含まれるので、タイヤの縦ばね定数低減に伴いタイヤの横剛性に対応する時定数が増加した場合でも、車輪6のストロークに伴うスカッフ変化量に対応する時定数が減少する方向にアッパアーム2やロワアーム4の配置を調整することにより、車輪トータルの時定数増加を抑制して目標値以下とすることができる。これにより、タイヤの縦ばね定数あるいは横剛性に合わせて、優れた操安性を得ることができる。
また、ロールセンター高さhRやロールアーム長h等に基づき、車輪6のストロークに伴うスカッフ変化量に対応する時定数を算出することができる。したがって、車輪6のストロークに伴うスカッフ変化量に対応する時定数を減少させて車輪トータルの時定数を目標値以下とする際に、必要な時定数の減少量に相当するアッパアーム2やロワアーム4の配置の調整値を、定量的に把握することができる。これにより、タイヤの縦ばね定数あるいは横剛性に合わせて、優れた操安性を確実に得ることができる。
1 サスペンション装置
2 アッパアーム
4 ロワアーム
6 車輪
8 ホイールサポート
10 コイルばね
12 緩衝装置
B 車体
Oi 瞬間回転中心
O ロールセンター
2 アッパアーム
4 ロワアーム
6 車輪
8 ホイールサポート
10 コイルばね
12 緩衝装置
B 車体
Oi 瞬間回転中心
O ロールセンター
Claims (2)
- ストロークによりスカッフ変化を生じさせる車両のサスペンション装置であって、
上下方向に揺動可能に車体に連結された複数の連結部材と、
前記複数の連結部材に連結され車輪を回転可能に支持する車輪支持部材と、
車体上下方向に延び上端が車体に取り付けられると共に下端が前記連結部材又は前記車輪支持部材に取り付けられた緩衝装置と、を備え、
前記車輪に発生する横力に関連する前記サスペンションの各特性に基づき算出された、前記横力の時間遅れに関連する時定数と、前記車輪の横剛性に基づき算出された前記横力の時間遅れに対応する時定数との和が、予め定められた目標値以下となるように、前記複数の連結部材が配置されており、
前記横力に関連する前記サスペンションの特性には、前記車輪のストロークに伴うスカッフ変化量が含まれる、
車両のサスペンション装置。
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