JP2019004306A - ホーンスピーカー、スピーカーユニット、メガホン、ホーン、アダプター、及び放送システム - Google Patents
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Abstract
Description
ホーンスピーカーは、ドライバユニットと、ホーンとを備える。ホーンは、前方に音を伝播させるように形成されている。
そこで、後方の回り込む音を低減できるホーンスピーカー、スピーカーユニット、メガホン、ホーン、アダプター、及び放送システムを提供する。
図1〜図7を参照して、第1実施形態に係るホーンスピーカーについて説明する。
図1及び図2に示されるように、ホーンスピーカー1は、音を形成するドライバユニット2と、ドライバユニット2に取り付けられるホーン3と、位相調整板6とを備える。ドライバユニット2は、コイルを有する振動板、磁石、ヨーク、及びプレートにより構成される。コイルに信号が入力されると、電磁作用により、振動板が振動し、音が形成される。ホーン3は折り畳み構造をとる。例えば、ホーン3は、筒状の第1リフレクタ3aと、第1リフレクタ3aが挿通される第2リフレクタ3bと、第2リフレクタ3bが挿通される第3リフレクタ3cとを備える。音が通過する音道は、第1リフレクタ3a、第2リフレクタ3b、第3リフレクタ3cをこの順に音が通る通路として構成される。音道の断面積(伝播方向に垂直な面の面積)は、ホーン3の開口端4に向かって徐々に拡大する。ホーン3の開口端4の外形は、例えば、円形、楕円形、長円または矩形に構成される。
後述するように、音の半波長が位相調整板6の幅長LAと一致すると、ホーンスピーカー1の後方において、その波長に対応する周波数の音の音圧が低減する。この効果に基づけば、位相調整板6の幅長LAを調整することにより、後方において所望の周波数の音の音圧を低減させることができる。具体的には、位相調整板6の幅長LAを長くするほど、低周波数の音の音圧を低減できる。
ホーンスピーカー1のドライバユニット2から出る音波は、ホーン3によって前方に伝播する。一方、ホイヘンスの原理によれば、隙間S付近の点を波源とする2次波(以下、「2次音波」という。)は隙間S付近の点を中心に広がる。
トンネル9には、防災用の放送システム10が設置されている。
本実施形態の放送システム10は、複数のホーンスピーカー1を備える。トンネル9内において、ホーンスピーカー1は、所定間隔で、同じ方向に向くように配列される。放送システム10が音声を発生すると、音声(音)がトンネル9内で同じ方向に向かって伝播する。ホーンスピーカー1の音の大部分は、前方に伝播するが、一部の音は、後方にも回り込む。このため、2つのホーンスピーカー1の間にいる人には、前後にある2つのホーンスピーカー1から音声(音)が伝わる。人が2つのホーンスピーカー1から等距離の位置に立っていることは殆どないため、人には、2つの同じ内容の音声(音)が時間的にずれて伝えられる。2つの音声が時間的にずれて重なるため、音声(音)が不明瞭になり、放送内容が聴き取り難くなる。
図5及び図6の周波数特性グラフは、次のようにして得られる。無響室にて、ホーンスピーカー1の開口端4から正面側に(または裏面側に)4m離れたところにマイクを設置し、ホーンスピーカー1に1Wの試験信号を入力し、各周波数についてマイクの出力を検出する。なお、他の実施形態に示す周波数特性グラフも同様の方法(ただし、測定条件は異なる場合もある。各図参照。)にて得られたグラフである。
第1実施形態に係るホーンスピーカー1の周波数特性は、実線で示される。従来構造のホーンスピーカーの周波数特性は、破線で示される。なお、実線と破線の意味は、他の実施形態で示される周波数特性グラフにおいても同じである。
また、第1実施形態に係るホーンスピーカー1の指向特性は、実線で示される。従来構造のホーンスピーカーの指向特性は、破線で示される。なお、実線と破線の意味は、他の実施形態で示される極座標グラフにおいても同じである。
図6に示されるように、背面において、第1実施形態に係るホーンスピーカー1は、従来構造のホーンスピーカーに比べて、1kHz以上3kHzの周波数で音圧が低い。
図7に示されるように、2kHzの音において、第1実施形態に係るホーンスピーカー1は、従来構造のホーンスピーカーに比べて、165度以上195度の範囲で、音圧が低く、特に、180度において10dB低い。
このように、本実施形態のホーンスピーカー1は、正面の周波数特性を変化させず、後方において、2kHz前後の音の音圧を低減できる。
(1)ホーンスピーカー1は、ホーン3の開口端4の外周に配置される位相調整板6を備える。位相調整板6は、ホーン3の開口端4と位相調整板6との間に音が通過する隙間Sが形成されるようにホーン3に取り付けられる。
この構成によれば、位相調整板6は、ホーン3の開口端4で回折して後方に回り込む音の進行を遮る。さらに、位相調整板6の端で回折して後方に回り込む音と、ホーン3の開口端4と位相調整板6との間の隙間Sを通って後方に回り込む音とを干渉させて減衰させる。このようにして、後方に回り込む音を低減できる。
各ホーンスピーカー1の後方に回り込む音の音圧は、従来構造のホーンスピーカーに比べ、小さい。ホーンスピーカー1から直接音が伝わり、かつ他のホーンスピーカー1から後方に回り込んだ音が伝わるところでは、これらの音が重なり、音声が不明瞭になる。この点、ホーンスピーカー1の後方に回り込む音の音圧は、従来構造のホーンスピーカーに比べて小さく、音の重なりにおける後方に回り込む音の影響が小さいため、音の不明瞭性が低減する。このようにして、放送システム10によれば、音声の明瞭性を向上できる。
図8〜図10を参照して、第2実施形態に係るホーンスピーカー11について説明する。
本実施形態のホーンスピーカー11は、音を形成するドライバユニット12と、ドライバユニット12に取り付けられるホーン13とを備える。第1実施形態のホーン3と同様に複数のリフレクタにより構成される。
音孔15の個数は、1つまたは複数である。音孔15は、ホーン13の開口端14からドライバユニット12までの半分の位置よりも開口端14側に設けられる。例えば、複数の音孔15は、ホーン13の中心軸C(ホーンスピーカー11の中心軸Cと同じ。)を中心とする円に沿うように設けられる。好ましくは、複数の音孔15の幅長LS2(ホーン13の中心軸Cを含む断面において、ホーン13の外形に沿う長さ)は等しい。音孔15の幅長LS2は、1mm以上10mm以下とされる。この点は、第1実施形態に係るホーンスピーカー1の隙間Sの幅長LS1と同じである。
ホーンスピーカー11の音孔15は、第1実施形態に係るホーンスピーカー1の隙間Sと同様の作用を有する。
具体的には、音孔15付近の点を波源とする2次音波の一部(直接2次音波)は、音孔15を通って後方に伝播する。また、音孔15付近の点を波源とする2次音波の他の一部(迂回2次音波)は、ホーン13の開口端14を回って後方に伝播する。迂回2次音波は、直接2次音波よりも遅れて後方に伝播する。直接2次音波と迂回2次音波とが干渉し合う地点における両者の位相差が、半波長相当であると、2つの2次音波は干渉しあって打ち消し合う。このようにして、ホーンスピーカー11の後方に伝播する音の音圧が低減する。具体的には、設定長LBが、21mm以上85mm未満であるとき(すなわち、設定長LBが、2kHzの半波長である85mmの1/4倍以上1.0倍未満のとき)、2kHzの音がホーン13の後方で有効に低減する。
この形態では、音孔15xは、ホーンスピーカー11の中心軸Cに沿う方向(音の伝播方向)に長い長孔として構成され得る。複数の音孔15xの間隔は等しい。
この形態では、ホーン13yは、複数の列に配列される音孔15yを有する。例えば、音孔15yは、2列16,17に配置される。2つの列16,17は、ホーンスピーカー11の中心軸Cに沿う方向において前後に配置される。各列の音孔15yは、複数の音孔15yにより構成される。各列の音孔15yは、所定間隔を隔てて、ホーン13の中心軸C(ホーンスピーカー11の中心軸Cと同じ。)を中心とする円に沿うように設けられる。また、各列の音孔15yは、ホーン13の開口端14からドライバユニット12までの半分の位置よりも開口端14側に設けられる。
(1)ホーンスピーカー11は、ホーン13を備える。ホーン13は音を通過させる音孔15を有する。音孔15は、ホーン13の開口端14からドライバユニット12までの半分の位置よりも開口端14側に設けられる。
図11〜図14を参照して、第3実施形態に係るスピーカーユニットについて説明する。スピーカーユニット20は、所謂、「ホーンアレイスピーカー」、「ラインアレイスピーカー」などと呼ばれるものである。
図12及び図13の周波数特性グラフは、図5及び図6の周波数特性グラフと同様の測定方法で得られたものである。図14の極座標グラフは、図7の極座標グラフと同様の測定方法で得られたものである。
図13に示されるように、背面において、本実施形態のスピーカーユニット20は、従来構造のスピーカーユニットに比べて、1kHz以上3kHzの周波数で音圧が低い。
図14に示されるように、2kHzの音において、本実施形態のスピーカーユニット20は、従来構造のスピーカーユニットに比べて、120度以上240度の範囲で、音圧が低く、特に、180度では、8dB程度低い。
このように、本実施形態のスピーカーユニット20は、正面の周波数特性を変化させず、後方において、2kHz前後の音の音圧を低減できる。
スピーカーユニット20は、所定のパターンで配列された複数のホーンスピーカー21と、一対の位相調整板24とを備える。一対の位相調整板24は、複数のホーンスピーカー21により構成されるユニットの両側に設けられる。一対の位相調整板24は、ユニットに取り付けられる。ユニットの正面の側端と位相調整板24との間に音が通過する隙間Sが形成される。
図15〜図17を参照して、第4実施形態に係るメガホンについて説明する。
図15に示されるように、メガホン31は、音を形成するドライバユニット32と、ドライバユニット32に取り付けられるホーン33と、ホーン33の後方に取り付けられるマイク36とを備える。マイク36は、ホーン33に一体に、または、ホーン33から離間可能に、取り付けられる。ドライバユニット32は、コイルを有する振動板、磁石、ヨーク、及びプレートにより構成される。ホーン33は折り畳み構造をとる。ホーン33は、第1実施形態のホーン3と同様に複数のリフレクタにより構成される。
ホーン33は、音を通過させる音孔35を有する。複数のリフレクタのうち最も外側のリフレクタに、音が通過する音孔35が設けられている。音孔35の構成は、第2実施形態に示した音孔35の構成に準ずる。また、ホーン33の開口端34から音孔35までの長さ(以下、「設定長LD」)についても第2実施形態の例に準ずる。
メガホン31の音孔35は、第2実施形態のホーンスピーカー11の音孔15と同様の作用を有する。
具体的には、音孔35付近の点を波源とする2次音波の一部(直接2次音波)は、音孔35を通って後方に伝播する。また、音孔35付近の点を波源とする2次音波の他の一部(迂回2次音波)は、ホーン33の開口端34を回って後方に伝播する。迂回2次音波は、直接2次音波よりも遅れて後方に伝播する。そして、直接2次音波と迂回2次音波とが干渉しあって打ち消し合う。このようにして、メガホン31の後方に伝播する音の音圧が低減する。
図16及び図17の周波数特性グラフは、図5及び図6の周波数特性グラフと同様の測定方法(ただし、背面での測定距離が異なる。)で得られたものである。図17に示されるように、メガホン31の背面の周波数特性を測定するときの測定距離は34cmである。
図17に示されるように、背面において、本実施形態のメガホン31は、従来構造のメガホンに比べて、1kHz以上3kHzの周波数で音圧が低い。
このように、本実施形態のメガホン31は、正面の周波数特性を変化させず、後方において、2kHz前後の音の音圧を低減できる。
メガホン31は、音を形成するドライバユニット32と、ドライバユニット32に取り付けられるホーン33と、ホーン33の後方に取り付けられるマイク36とを備える。ホーン33は、音を通過させる音孔35を有する。音孔35は、ホーン33の開口端34からドライバユニット32までの半分の位置よりも開口端34側に設けられる。
図18を参照して、第5実施形態に係るアダプターについて説明する。
第5実施形態に係るアダプター41は、第1実施形態に係るホーンスピーカー1の位相調整板6に相当するものである。アダプター41は、ホーン49に取り付け可能である。例えば、アダプター41は、従来構造のホーンスピーカーのホーン、または、従来構造のメガホンのホーンに取り付け可能である。好ましくは、アダプター41は、ホーン49に着脱可能に構成される。
アダプター41は、ホーン49の開口端が入る開口部42を有する。アダプター41をホーン49の開口端の外周に取り付けると、ホーン49の開口端とアダプター41の開口部42との間に音が通過する隙間Sが形成される。アダプター41をホーン49に取り付けることにより隙間Sが形成されるようにするため、アダプター41には、ホーン49の開口端に係合する係合突起43が設けられる。係合突起43は、アダプター41の開口部42とホーン49の開口端との間に隙間Sを形成するようにして、ホーン49の開口端に係合する。隙間Sの幅長は、第1実施形態における隙間Sと同様に設定される。
アダプター41は、ホーン49に取り付け可能である。アダプター41は、ホーン49の開口端が入る開口部42を有する。ホーン49の開口端とアダプター41との間に音が通過する隙間Sが形成されるように、ホーン49の開口端の外周に取り付け可能である。
ホーン49に装着されたアダプター41は、ホーン49の開口端で回折して後方に回り込む音の進行を遮る。さらに、アダプター41は、アダプター41の外端で回折して後方に回り込む音と、ホーン49の開口端とアダプター41との間の隙間Sを通って後方に回り込む音とを干渉させて減衰させる。このようにして、後方に回り込む音を低減できる。
図19を参照して、第6実施形態に係るアダプターについて説明する。
第6実施形態に係るアダプター51は、第1実施形態に係るホーンスピーカー1の位相調整板6の変形例である。アダプター51は、ホーン59に取り付け可能である。例えば、アダプター51は、従来構造のホーンスピーカーのホーン、または、従来構造のメガホンのホーンに取り付け可能に構成される。
アダプター51をホーン59の開口端の外周に取り付けると、ホーン59の開口端とアダプター51の開口部52とは密着する。
アダプター51は、ホーン59の開口端が入る開口部52及び音が通過する音孔53を有する。また、アダプター51は、ホーン59の開口端の外周に取り付け可能である。
ホーン59に装着されたアダプター51は、ホーン59の開口端で回折して後方に回り込む音の進行を遮る。さらに、アダプター51は、アダプター51の外端で回折して後方に回り込む音と、アダプター51の音孔53を通って後方に回り込む音とを干渉させて減衰させる。このようにして、後方に回り込む音を低減できる。
各実施形態は、上記の構成に限定されない。以下、各実施形態の変更例を説明する。
・第1実施形態において、位相調整板6は、折り畳み可能であってもよい。例えば、位相調整板6は、円周方向に複数個の分割体に分割され、各分割体は、ヒンジを介してホーンに取り付けられる。各分割体は、ホーン3の後ろ側に折り畳まれる。各分割体が拡げられて、円周方向に係合すると、位相調整板6が形成される。このような折り畳み可能な位相調整板6によれば、ホーンスピーカー1の収容スペースの増大がなく、収容性の低下(位相調整板6を設けたことに起因する収容性の低下)を低減できる。
・第2実施形態に示された音孔15x,15yの変形例(図9及ぶ図10)は、メガホンにも適応できる。
Claims (8)
- 音を形成するドライバユニットと、前記ドライバユニットに取り付けられるホーンと、前記ホーンの開口端の外周に配置される位相調整板とを備え、
前記位相調整板は、前記ホーンの開口端と前記位相調整板との間に音が通過する隙間が形成されるように前記ホーンに取り付けられる
ホーンスピーカー。 - 音を形成するドライバユニットと、前記ドライバユニットに取り付けられるホーンとを備え、
前記ホーンは音を通過させる音孔を有し、前記音孔は、前記ホーンの開口端から前記ドライバユニットまでの半分の位置よりも前記開口端側に設けられる
ホーンスピーカー。 - 所定のパターンで配列された複数のホーンスピーカーと、複数の前記ホーンスピーカーにより構成されるユニットの両側に設けられる一対の位相調整板とを備え、
一対の前記位相調整板は、前記ユニットの正面の側端と前記位相調整板との間に音が通過する隙間が形成されるように前記ユニットに取り付けられる
スピーカーユニット。 - 音を形成するドライバユニットと、前記ドライバユニットに取り付けられるホーンと、前記ホーンの後方に取り付けられるマイクとを備え、
前記ホーンは、音を通過させる音孔を有し、前記音孔は、前記ホーンの開口端から前記ドライバユニットまでの半分の位置よりも前記開口端側に設けられる
メガホン。 - ホーンに取り付け可能なアダプターであって、
前記アダプターは、前記ホーンの開口端が入る開口部を有し、前記ホーンの開口端と前記アダプターとの間に音が通過する隙間が形成されるように、前記ホーンの開口端の外周に取り付け可能である
アダプター。 - ホーンに取り付け可能なアダプターであって、
前記アダプターは、前記ホーンの開口端が入る開口部及び音が通過する音孔を有し、前記ホーンの開口端の外周に取り付け可能である
アダプター。 - 音を形成するドライバユニットと、前記ドライバユニットに取り付けられるホーンとを備えたホーンスピーカーのホーンにおいて、
前記ホーンは音を通過させる音孔を有し、前記音孔は、前記ホーンの開口端から前記ドライバユニットまでの半分の位置よりも前記開口端側に設けられる
ホーン。 - 請求項1または請求項2に記載のホーンスピーカーを備える放送システム。
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