以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図1及び図2に示されるベルト駆動装置1は、駆動ローラ2、張架ローラ3及び無端ベルト4を備える。駆動ローラ2及び張架ローラ3は、X方向(第1方向)に延在し、X方向に交差するY方向(第2方向)に対向して配置されている。なお、X方向及びY方向に交差する方向をZ方向とする。駆動ローラ2は、図示しない電動モーターから動力が伝達されて、X方向に延在する軸線L2周りに回転する。無端ベルト4は、駆動ローラ2及び張架ローラ3に架け渡されて、駆動ローラ2の回転に伴って周回軌道に沿って移動する。張架ローラ3は、無端ベルト4の移動に伴って軸線L3周りに回転する。駆動ローラ2を支持する軸受(不図示)は、X方向の両側で、Y方向に延在するフレーム10に支持されている。同様に、張架ローラ3を支持する軸受(不図示)は、X方向の両側で、Y方向に延在するフレーム10に支持されている。また、無端ベルト4の内周側には、無端ベルト4の幅方向への移動を拘束するための凸部であるリブは形成されていない。
ベルト駆動装置1は、例えば、プリンタ等の画像形成装置において、現像ユニットにより現像されたトナー像を用紙に二次転写する転写ユニットとして使用される。無端ベルト4は、転写ユニットにおける中間転写ベルトとして機能する。また、ベルト駆動装置1は、用紙を搬送する用紙搬送ユニットとして使用することができる。無端ベルト4は、用紙搬送ユニットにおける用紙搬送ベルトとして機能する。
ベルト駆動装置1は、無端ベルト4の幅方向(X方向)への移動を補正するベルト位置補正ユニット5を備えている。ベルト位置補正ユニット5は、ステアリングローラ6と、プーリー7と、リンク機構8と、を備える。
ステアリングローラ6は、Y方向において駆動ローラ2と張架ローラ3との間に配置されている。ステアリングローラ6は、無端ベルト4の周回移動方向A1において、駆動ローラ2の上流側で、且つ、張架ローラ3の下流側に配置されている。無端ベルト4の周回軌道において上側で、張架ローラ3から駆動ローラ2に向かって移動する無端ベルト4の内周面4a(図3参照)に当接するように、ステアリングローラ6が配置されている。ステアリングローラ6は、Y方向において、駆動ローラ2と張架ローラ3との中間点よりも、駆動ローラ2側に配置され、張架ローラ3よりも駆動ローラ2に近い方に配置されている。
図3及び図4に示されるように、ステアリングローラ6の外周面6aは、無端ベルト4の内周面4aに当接している。ステアリングローラ6は、無端ベルト4の周回移動に伴って、軸線L6回りに従動回転する。ステアリングローラ6の両端部(第1端部6b及び第2端部6c、図1参照)は、軸受(軸受部材)9によって回転可能に支持されている。軸受9は、無端ベルト4の幅方向の両側に配置されたフレーム10に支持されている。ステアリングローラ6の第1端部6bは、Z方向(第3方向)に変位可能となっている。ステアリングローラ6は、第1端部6bが押圧されて、第2端部6cを支点として、傾斜可能となっている。ベルト位置補正ユニット5では、ステアリングローラ6の第1端部6b側のみに、プーリー7及びリンク機構8が設けられている。
プーリー7は、ステアリングローラ6の第1端部6bに挿通されている。プーリー7は、円筒部11及びフランジ部12を有する。プーリー7は、ステアリングローラ6が延在する方向にスライド可能である。ステアリングローラ6の第1端部6bの外径は、ステアリングローラ6の本体部6dの外径よりも小さい。ステアリングローラ6の本体部6dのX方向の長さは、無端ベルト4の幅(X方向の長さ)より、少し短い。円筒部11の外径は、ステアリングローラ6の本体部6dの外径と略等しい。円筒部11の外周面11aと、ステアリングローラ6の本体部6dの外周面6aとは、ステアリングローラ6の径方向において、軸線L6から略同じ位置に配置されている。円筒部11の外周面11aは、無端ベルト4の内周面4aと当接可能となっている。
フランジ部12は、円盤状を成し、径方向において、円筒部11の外周面11aよりも外方に張り出している。フランジ部12は、径方向において、無端ベルト4の外周面4bよりも外側まで張り出している。フランジ部12の内面12aは、無端ベルト4の端面4cと、X方向において対向し、当接可能となっている。フランジ部12の内面12aは、ステアリングローラ6の軸線L6が延在する方向において、内側を向く面であり、無端ベルト4側の面である。フランジ部12の外面12bは、軸線L6が延在する方向において、外側を向く面であり、軸受9側の面である。
リンク機構8は、Y方向に延在する軸線L14回りに揺動可能な揺動部材13を備える。揺動部材13は、支点部14、連続部15、押圧部16及び湾曲部17を有する。支点部(ピボット部)14は、円柱状を成し、フレーム10に固定された連結具(基部)18に回転可能に支持されている。支点部14は、連結具18に設けられた受容部18aに嵌まっており、軸線L14回りに回転可能となっている。支点部14は、Z方向において、無端ベルト4の内側に配置され、ステアリングローラ6よりも下方に配置されている。また、支点部14は、X方向において、ステアリングローラ6の第1端部6bに対応する位置に配置されている。
連続部15は、支点部14に連結され、ステアリングローラ6側に延びている。連続部15は、ステアリングローラ6を迂回して、Z方向においてステアリングローラ6より内側から外側まで連続している。連続部15は、Y方向から見て、ステアリングローラ6に対して交差するように配置されている。
押圧部16は、連続部15に対して支点部14とは反対側に連結されている。押圧部16は、例えば円柱状を成し、Y方向に延びている。押圧部16は、Z方向においてステアリングローラ6の上方に配置されている。また、押圧部16は、X方向において、プーリー7の外側に配置されている。押圧部16の外周面16aは、ステアリングローラ6の第1端部6bの外周面6eに当接している。具体的には、押圧部16の外周面16aの下側の部分と、第1端部6bの外周面6eの上側の部分とが当接している。
湾曲部17は、連続部15の上部側の部分から、X方向において内側(プーリー7側)に張り出している。湾曲部17は、Z方向において、ステアリングローラ6に重なる位置に設けられている。湾曲部17は、プーリー7側に張り出す湾曲面17aを有する。湾曲面17aは、Y方向から見て半円形を成すように湾曲している。湾曲面17aは、X方向において、プーリー7のフランジ部12の外面12bと当接している。
軸受9を収容する軸受収容部20は、フレーム10に対してバネ部材21によって支持されている。バネ部材21は、例えば圧縮コイルばねであり、Z方向に延在し、軸受収容部20を下方から支持している。バネ部材21の下端部は、フレーム10からX方向の内側に向かって張り出す張出部22に対して固定されている。バネ部材21の上端部は、軸受収容部20に連結されている。バネ部材21は、X方向に伸縮し、軸受収容部20を上方に付勢している。
フレーム10には、連結具18が固定され、X方向の内側に張り出すように配置されている。連結具18は、張出部22に連結されている。連結具18には、上述した支点部14が嵌まる受容部18aが形成されている。受容部18aは、支点部14に当接する湾曲面(摺動面)を含む。
また、ベルト駆動装置1は、図1及び図5に示されるように、無端ベルト4の周回移動方向A1において、ステアリングローラ6の上流側及び下流側に配置されたラップ量調整ローラ(ラップ量調整機構)31,32を備える。ラップ量とは、例えばステアリングローラ6の周方向において、ステアリングローラ6の外周面6aと、無端ベルト4の内周面4aとの接触長さである。ラップ量調整ローラ31は、ステアリングローラ6よりも上流側に配置され、ラップ量調整ローラ32は、ステアリングローラ6よりも下流側に配置されている。ラップ量調整ローラ31,32の外周面31a,32aのうちの最下点31b,32bは、ステアリングローラ6の外周面6aのうちの最上点6fよりも下方に配置されている。
ラップ量調整ローラ31,32は、ステアリングローラ6の第1端部6b側のフレーム10に支持されている。ラップ量調整ローラ31,32は、X方向に延在する軸線L31,L32回りに回転可能である。ラップ量調整ローラ31,32は、無端ベルト4の外周面4bに当接し、無端ベルト4の周回移動に伴って従動回転する。ラップ量調整ローラ31,32は、図1に示されるように、X方向において、ステアリングローラ6の第1端部6bの近傍の部分のみに設けられている。ラップ量調整ローラ31,32によって、無端ベルト4を下方に押しつけることで、ステアリングローラ6と無端ベルト4との接触領域を増加させる。
ステアリングローラ6の周方向において、ステアリングローラ6の外周面6aと、無端ベルト4の内周面4aとの接触長さは、ステアリングローラ6の円周の1/4以上となっている。換言すると、ステアリングローラ6の回転角θにおいて90度以上、ステアリングローラ6の外周面6aは、無端ベルト4に接触している。ステアリングローラ6の周方向において、ステアリングローラ6の外周面6aと、無端ベルト4の内周面4aとの接触長さは、ステアリングローラ6の円周の1/3以上であることが好ましい。換言すると、ステアリングローラ6の回転角θにおいて120度以上、ステアリングローラ6の外周面6aは、無端ベルト4に接触している。これにより、ラップ量を増加させて、無端ベルト4とステアリングローラ6との間の摩擦力を増加させることができる。
次に、ベルト駆動装置1の動作について説明する。駆動ローラ2によって無端ベルト4に動力が伝達されて、無端ベルト4は周回移動する。張架ローラ3は無端ベルト4の移動に伴って回転する。また、ステアリングローラ6は無端ベルト4の移動に伴って回転する。
ここで、無端ベルト4が幅方向の外側に、第1端部6b側に位置がずれると、無端ベルト4の端面4cがプーリー7のフランジ部12の内面12aと接触する。無端ベルト4の幅方向における移動量が増加すると、無端ベルト4がプーリー7を押圧する。図4(b)及び図4(c)に示されるように、プーリー7が外側に移動すると、揺動部材13の湾曲部17がプーリー7によって押される。これにより、揺動部材13は、支点部14を支点として、揺動し、押圧部16がY方向の外側に移動すると共に下方に移動する。そのため、ステアリングローラ6の第1端部6bが、押し下げられ、ステアリングローラ6が傾斜する。第1端部6bとは反対側の第2端部6cを支点として、ステアリングローラ6が揺動して傾斜する。
ステアリングローラ6が傾斜すると、第1端部6b側において、第2端部6c側と比較して、無端ベルト4のテンションが弱くなる。その結果、無端ベルト4はその幅方向において、テンションが強い方に、第2端部6c側へ移動して、無端ベルト4の位置ずれが補正される。そして、無端ベルト4が第2端部6c側へ移動すると、無端ベルト4がプーリー7をX方向の外側へ押し出す力が弱くなる。これに伴い、バネ部材21が軸受収容部20を付勢して押し上げるので、軸受9及び第1端部6bが上方に移動し、揺動部材13が上方に移動すると共に、X方向の内側に移動する。揺動部材13及びプーリー7は、図4(a)に示されるように、元の位置に復帰する。
このように、ベルト駆動装置1では、リブが設けられていない無端ベルト4を備える構成において、無端ベルト4の端面4cとプーリー7とを接触させて、揺動部材13を駆動して、ステアリングローラ6を傾斜させることができる。その結果、無端ベルト4の幅方向の移動を補正することができる。
ベルト駆動装置1によれば、無端ベルト4の幅方向の位置ずれが補正されるので、無端ベルト4の蛇行の発生を抑制することができる。また、ベルト駆動装置1では、無端ベルト4の張架力のばらつきによる無端ベルト4の変形(波うち)の発生を抑制することができる。ベルト駆動装置1を備える中間転写ユニットにおいて、無端ベルト4上に転写される画像の均一性を確保することができる。
このベルト駆動装置1では、無端ベルト4にリブが設けられていない。リブが設けられた無端ベルトでは、リブの形状によりベルトの走行性が影響を受けるおそれがある。リブの形状を設計通りにするために、精度良く可能するには、特殊な工具が必要となり、製造コストの上昇を招くことになる。また、無端ベルト4の歪みが片側に集中した場合には、リブや、リブに接触する部材等が摩耗しやすくなり、経時的にベルトの走行性が不安定となるおそれがある。また、無端ベルト4をクリーニングするクリーニング部材に対応するローラに歪みが集中すると、クリーニング部材のブレードが偏摩耗するおそれがある。これにより、クリーニング不良が生じるおそれがある。
ベルト駆動装置1では、無端ベルト4にリブが設けられていないので、ベルト走行性を安定させることができる。ベルト駆動装置1では、無端ベルト4にリブが設けられていないので、無端ベルト4の長寿命化を図ることができる。ベルト駆動装置1では、無端ベルト4にリブが設けられていないので、製造コストの上昇を抑制することができる。ベルト駆動装置1では、無端ベルト4にリブが設けられていないので、クリーニング不良を防止することができる。
次に、図6を参照して、ステアリングローラ6が配置される位置と、無端ベルト4の幅方向における移動速度との関係について説明する。図6では、横軸に時間[ms]を示し、縦軸に無端ベルト4の端面4cの位置を示している。端面4cの位置とは、無端ベルト4の幅方向における位置であり、軸線L6が延在する方向における位置である。なお、このとき、ステアリングローラ6の傾斜角は、同一である。
図7に示すように、ステアリングローラ6の配置P1〜P6を代えて、無端ベルト4の幅方向における位置の変化について測定した。P1〜P3は、駆動ローラ2の上流側であり、且つ、張架ローラ3の下流側の位置である。P1〜P3において、無端ベルト4は、周回移動方向A1に沿って、張架ローラ3側から駆動ローラ2側に向かって移動する(張り側)。P4〜P6は、駆動ローラ2の下流側であり、且つ、張架ローラ3の上流側の位置である。P4〜P6において、無端ベルト4は、周回移動方向A2に沿って、駆動ローラ2側から張架ローラ3側に向かって移動する(緩み側)。また、P1,P4は、駆動ローラ2の近傍の位置であり、P3,P6は、張架ローラ3の近傍の位置である。P2,P5は、Y方向において、駆動ローラ2と張架ローラ3との中間位置である。
図6に示されるように、グラフの直線の傾きが大きい程、無端ベルト4の幅方向の移動量が大きく、補正感度(応答性能)が高い。すなわち、グラフの直線の傾きが大きい程、無端ベルト4の幅方向の位置ズレ補正において、効率良く補正することができ、効果的である。ステアリングローラ6は、駆動ローラ2に近いほど、グラフ(P1,P4)の直線の傾きが大きく、無端ベルト4の幅方向の位置ずれを効率良く補正することができる。
次に、第2実施形態に係るベルト駆動装置1について説明する。ここでは、第2実施形態のベルト駆動装置1が、第1実施形態のベルト駆動装置1と異なる点について説明する。第2実施形態のベルト駆動装置1が、第1実施形態のベルト駆動装置1と異なる点は、ステアリングローラ6の第1端部6bが、初期状態において、ベルト駆動装置1が設置された条件におけるベルト駆動装置1の最大ひずみ量以上のひずみを無端ベルト4に対して付与している点である。なお、初期状態とは、図3に示されるように、プーリー7が無端ベルト4の端面4cによって押圧されていない状態であり、無端ベルト4の幅方向における位置ずれが生じていない状態である。
ベルト駆動装置1では、初期状態において、図5に示されるように、ステアリングローラ6と無端ベルト4との接触位置L6fは、Z方向において、ステアリングローラ6が存在しない場合における無端ベルト4の位置L23から、ベルト駆動装置1の最大ひずみ量以上、外側にずれている。ステアリングローラ6と無端ベルト4との接触位置L6fとは、ステアリングローラ6と無端ベルト4とが接触している領域のうち、最も高い位置であり、例えば、ステアリングローラ6の外周面6aのうちの最上点6fである。また、ステアリングローラ6が存在しない場合における無端ベルト4の位置L23とは、例えば、駆動ローラ2の外周面の上側の部分と、張架ローラ3の外周面の上側の部分とに接する接線の位置である。また、ベルト駆動装置1の最大ひずみ量以上とは、例えば、ベルト駆動装置1を使用環境に設置した場合における最大ひずみ量以上であり、駆動ローラ2の両端部の高低差以上とすることができる。例えば、ステアリングローラ6の第1端部6bは、初期状態において、第2端部6cと比較して若干高い位置に配置されている。また、ステアリングローラ6の端部のZ方向の最大移動量は、ベルト駆動装置1の最大ひずみ量以上となっていることが好ましい。
このような第2実施形態のベルト駆動装置1では、初期状態において、ステアリングローラ6の第1端部6b側が、無端ベルト4に対して、第2端部6c側と比較して、テンションが高いので、無端ベルト4は、第2端部6c側よりも第1端部6b側に位置ずれし易く、第2端部6c側に位置ずれしにくい。そのため、第1端部6b側に無端ベルト4が移動した場合には、揺動部材13を揺動させて、第1端部6bを押し下げて、ステアリングローラ6の傾斜の程度を変更し、無端ベルト4を第2端部6c側へ戻すことができる。これにより、無端ベルト4の幅方向の位置ずれを補正することができる。
第3実施形態に係るベルト駆動装置1としては、ステアリングローラ6の両端部に、プーリー7及びリンク機構8が設けられている構成でもよい。ステアリングローラ6の第2端部6c側には、第1端部6b側と同様に、プーリー7、リンク機構8、連結具18、バネ部材21及びラップ量調整ローラ31が設けられている。
このような第3実施形態に係るベルト駆動装置1では、無端ベルト4が何れの方向に位置ずれしても、両側に配置されたプーリー7と接触して、リンク機構8によって動力を伝達して、ステアリングローラ6の第1端部6bまたは第2端部6cを押し下げて、ステアリングローラ6を傾斜させることができる。これにより、無端ベルト4を反対側に戻して、位置ずれを補正することができる。
次に第4実施形態として、中間転写ユニットを備えたカラー画像形成装置について説明する。図8に示されるように、カラー画像形成装置61は、中間転写ユニット62として、ベルト駆動装置1を備えている。中間転写ユニット62は、駆動ローラ2と、張架ローラ3と、無端ベルト4である中間転写ベルト63と、二次転写ローラ64と、を有する。二次転写ローラ64は、記録媒体である用紙を駆動ローラ2に沿って移動する中間転写ベルト63に押し当てるように配置されている。カラー画像形成装置61は、感光体65、その他、画像形成装置として必要な様々な周知の構成を備えている。感光体65は、中間転写ベルト63の移動方向に沿って複数配置されている。
感光体65上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト63に一次転写される。一次転写されたトナー像は、二次転写ローラ64によって押し当てられた用紙に二次転写される。用紙に二次転写されたトナー像は、図示しない定着装置によって定着される。 また、中間転写ユニット62には、中間転写ベルト63に付着し、残存するトナーを除去するためのクリーニングブレード(不図示)を備えている。クリーニングブレードは、中間転写ベルト63に押し当てられて、残存するトナーを除去する。
このようなカラー画像形成装置61においても、ベルト駆動装置を備えているので、中間転写ベルト63の幅方向の位置ズレを防止することができる。中間転写ユニット62では、中間転写ベルト63の波打ちなどの変形の発生が防止される。そのため、クリーニングブレードと中間転写ベルト63との密着性の低下を防止することができ、残存トナーを好適に除去することができ、画質の向上を図ることができる。
次に第5実施形態に係る中間転写ユニットについて説明する。図9に示される中間転写ユニット62の無端ベルト4について説明する。無端ベルト4は、トナー像が転写される中間転写ベルトである。無端ベルト4は、樹脂又は弾性体によって形成されている。無端ベルト4に適用可能な樹脂としては、例えばポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、PVDF(PolyVinylidene DiFluoride、ポリフッ化ビニリデン)等が挙げられる。また、これらの樹脂の表面に例えばアクリル又はポリウレタン等をコーティングしてもよい。また、無端ベルト4に適用可能な弾性体としては、例えばCR(クロロプレンゴム)又はNBR(ニトリルゴム)等のゴム系の材料が挙げられる。
また、無端ベルト4の幅方向の端部4dは、X方向において、画像形成領域4eの外側に配置されている。画像形成領域4eとは、トナー像が転写される領域である。無端ベルト4の端部4dに対応する部分は、画像形成領域4eより厚肉化されている。無端ベルト4の端部4dに補強材66が設けられ、これより、無端ベルト4の端部4dに対応する部分は、画像形成領域4eに対応する部分よりも厚肉化されている。補強材66は、例えば無端ベルト4に接着されている。補強材66は、無端ベルト4と同じ材質でもよく、異なる材質でもよい。補強材66としては、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、金属テープ等を用いることができる。
補強材66は、無端ベルトの外周面4b(表面)のみに配置されていてもよく、内周面4a(裏面)に配置されていてもよく、端面4cを覆うように配置されていてもよい。補強材66を設けることなく、端部4dを厚肉化してもよい。また、プーリー7の外周面は、無端ベルト4がステアリングローラ6に巻き掛けられている状態において、補強材66の表面よりも、径方向の外側に配置されている。プーリー7は、無端ベルト4の端面4c及び補強材66の端面に当接可能である。
このような無端ベルト4を備えた中間転写ユニットでは、無端ベルト4の端部4dの強度が増強されているので、端面4cを保護することができる。プーリー7との接触による端面4cの損傷を抑制することができる。これにより、無端ベルト4の寿命を延ばすことができ、中間転写ユニット62の信頼性の向上を図ることができる。
また、無端ベルト4の幅方向の端部4dは、画像形成領域4eよりも高硬度化されていてもよい。高硬度化処理としては、例えばUV(紫外線)硬化処理、熱硬化処理を行うことができる。端部4dに紫外線を照射して樹脂を硬化させることで、端部4dを硬化させることができる。また、樹脂を加熱して、端部4dを硬化させることができる。また、高硬度化処理として、高硬度コーティング処理を行ってもよい。高硬度コーティング処理として、例えばシリコーン樹脂、ガラス等を無端ベルト4の表面に施工してもよい。
本発明は、前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で下記のような種々の変形が可能である。
上記の実施形態では、ステアリングローラ6は、Y方向において、駆動ローラ2と張架ローラ3との中間点より、駆動ローラ2側に配置されているが、ステアリングローラ6は、中間点に配置されていてもよく、張架ローラ3に近い方に配置されていてもよい。また、上記の実施形態では、無端ベルト4の周回軌道において上側に配置されて下方から無端ベルト4に当接するステアリングローラ6について説明しているが、無端ベルト4の周回軌道において下側に配置されて上方から無端ベルト4に当接するステアリングローラ6を備える構成でもよい。