図1に示すように、本実施形態の電動アクチュエータ10は、ケース11と、モータ20と、減速機構30と、出力部40と、回転検出部75と、回転検出装置60と、第1ベアリング(ベアリング)51と、第2ベアリング52と、第3ベアリング53と、第4ベアリング54と、を備える。モータ20は、ロータ22と、ステータ23と、制御基板70と、バスバー80と、を有する。ロータ22は、第1中心軸(中心軸)J1に沿って延びるモータシャフト21を有する。減速機構30は、モータシャフト21に連結される。出力部40は、減速機構30を介してモータシャフト21の回転が伝達される出力シャフト部41を有する。出力シャフト部41は、第1中心軸J1の軸方向に延びる。出力シャフト部41は、モータシャフト21が配置される軸方向の位置とは異なる軸方向の位置に配置される。本実施形態の例では、第1中心軸J1の軸方向が、上下方向である。
本実施形態では、第1中心軸J1に平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。軸方向のうち、モータシャフト21から出力シャフト部41へ向かう方向を軸方向一方側と呼び、出力シャフト部41からモータシャフト21へ向かう方向を軸方向他方側と呼ぶ。軸方向一方側は、第1中心軸J1に沿ってモータ20から減速機構30および出力部40へ向かう方向である。軸方向他方側は、第1中心軸J1に沿って出力部40および減速機構30からモータ20へ向かう方向である。本実施形態では、軸方向一方側は下側であり、図1の下側である。軸方向他方側は上側であり、図1の上側である。なお、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
第1中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼ぶ。径方向のうち、第1中心軸J1に接近する方向を径方向内側と呼び、第1中心軸J1から離れる方向を径方向外側と呼ぶ。第1中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
ケース11は、モータ20および減速機構30を収容する。ケース11は、ロータ22、ステータ23、制御基板70、回転検出部75および回転検出装置60を収容する。ケース11は、モータ20を収容するモータケース12と、減速機構30を収容する減速機構ケース13と、を有する。モータケース12は、周壁部12aと、蓋体12gと、ケースフランジ部12bと、仕切り壁部12dと、ベアリング保持部12eと、コネクタ部12cと、を有する。
周壁部12aは、第1中心軸J1を中心として軸方向に延びる筒状である。周壁部12aは、円筒状である。周壁部12aは、軸方向一方側の端部が開口する。周壁部12aは、軸方向他方側の端部が開口する。周壁部12aは、第1中心軸J1に沿って第1中心軸J1の周囲を覆う。周壁部12aの軸方向一方面および軸方向他方面は、それぞれ開口する。周壁部12aは、軸方向一方側および軸方向他方側にそれぞれ開口部を有する。
周壁部12aには、モータ20が収容される。周壁部12aには、ロータ22、ステータ23および制御基板70が収容される。周壁部12aは、ステータ23の径方向外側を囲む。周壁部12aの内部は、仕切り壁部12dにより軸方向一方側の部分と軸方向他方側の部分とに仕切られる。周壁部12aの内部のうち、仕切り壁部12dよりも軸方向一方側の部分は、ステータ収容部である。周壁部12aの内部のうち、仕切り壁部12dよりも軸方向他方側の部分は、制御基板収容部12fである。本実施形態の例では、制御基板収容部12fの内径が、ステータ収容部の内径よりも大きい。
蓋体12gは、板状である。蓋体12gは、周壁部12aにおいて軸方向他方側に開口する開口部を塞ぐ。蓋体12gは、制御基板収容部12fの軸方向他方側の開口を塞ぐ。周壁部12aに対して蓋体12gは、ネジ等(図示省略)を用いて取り外し可能に装着される。
ケースフランジ部12bは、周壁部12aの軸方向一方側の端部から径方向外側に広がる円環板状である。仕切り壁部12dは、周壁部12aの内周面から径方向内側に広がる円環板状である。仕切り壁部12dは、ステータ23を軸方向他方側から覆う。仕切り壁部12dは、ロータ22およびステータ23と、制御基板70と、の間に位置する。仕切り壁部12dは、軸方向に沿うロータ22およびステータ23と、制御基板70と、の間に配置される。仕切り壁部12dは、仕切り壁部12dを軸方向に貫通する孔部12hを有する。仕切り壁部12dにおいて孔部12hは、周方向に互いに等間隔をあけて複数設けられる。孔部12hは、例えば、周方向に互いに120度間隔をあけて3つ設けられる。
ベアリング保持部12eは、仕切り壁部12dの軸方向一方側を向く面から軸方向一方側に突出する筒状である。ベアリング保持部12eは、円筒状である。ベアリング保持部12eは、第1中心軸J1を中心として軸方向に延び、軸方向一方側に開口する。ベアリング保持部12eの内周面には、第1ベアリング51が固定される。ベアリング保持部12eは、第1ベアリング51を保持する。つまり第1ベアリング51は、ケース11に設けられる。
コネクタ部12cは、周壁部12aの軸方向他方側の端部における外周面から径方向外側に延びる。コネクタ部12cのうち径方向外側の端部は、径方向に延びる筒状である。コネクタ部12cには、外部電源(図示省略)が接続される。
減速機構ケース13は、底壁部13aと、カバー筒部13bと、突出筒部13cと、を有する。底壁部13aは、第1中心軸J1を中心とする円環板状である。底壁部13aの径方向外端は、周壁部12aよりも径方向外側に位置する。底壁部13aは、減速機構30を軸方向一方側から覆う。底壁部13aの軸方向他方側を向く面は、減速機構30と軸方向に対向する。底壁部13aの軸方向他方側を向く面は、ケース11の内面のうち、減速機構30の軸方向一方側に位置する部分である。底壁部13aは、底壁部13aの軸方向他方側を向く面から軸方向一方側に窪む凹部13dを有する。凹部13dは、周方向に延びる環状である。
カバー筒部13bは、底壁部13aの径方向外縁部から軸方向他方側に突出する筒状である。カバー筒部13bの軸方向他方側の端部は、ケースフランジ部12bの軸方向一方側を向く面の径方向外縁部に接触する。カバー筒部13bは、ケースフランジ部12bにネジ等(図示省略)を用いて固定される。突出筒部13cは、底壁部13aの径方向内縁部から軸方向一方側に突出する筒状である。突出筒部13cは、軸方向一方側および軸方向他方側にそれぞれ開口する。
突出筒部13cの内面は、第1大径部13eと、小径部13fと、段差面13kと、第2大径部13gと、を有する。第1大径部13eは、突出筒部13cの内面のうち軸方向他方側の端部に位置する。第1大径部13eは、突出筒部13cの軸方向他方側に開口する部分に配置される。第1大径部13e内は、カバー筒部13b内に通じる。小径部13fは、第1大径部13eの軸方向一方側に位置する。小径部13fの内径は、第1大径部13eの内径よりも小さい。段差面13kは、第1大径部13eと小径部13fとの間に位置して軸方向他方側を向く。段差面13kは、軸方向に垂直な平面状である。段差面13kは、周方向に延びる環状である。
第2大径部13gは、小径部13fの軸方向一方側に位置する。第2大径部13gは、突出筒部13cの内面のうち軸方向一方側の端部に位置する。第2大径部13gは、突出筒部13cの軸方向一方側に開口する部分に配置される。第2大径部13g内は、ケース11の外部に通じる。第2大径部13gの内径は、小径部13fの内径よりも大きい。図示の例では、第2大径部13gの内径と、第1大径部13eの内径とが、互いに同じである。
突出筒部13c内には、第4ベアリング54が配置される。第4ベアリング54は、例えば、滑り軸受である。第4ベアリング54は、軸方向に延びる筒状である。第4ベアリング54は、小径部13fに嵌め合わされて、突出筒部13c内に固定される。第4ベアリング54の軸方向一方端は、小径部13fの軸方向一方端よりも軸方向他方側に位置する。第4ベアリング54は、第4ベアリング54の軸方向他方側の端部から径方向外側に広がるフランジ部を有する。第4ベアリング54のフランジ部は、段差面13kに対して軸方向他方側から接触する。これにより、第4ベアリング54が突出筒部13c内から軸方向一方側に抜け出ることが抑えられる。
モータシャフト21は、第1ベアリング51および第3ベアリング53によって、第1中心軸J1回りに回転可能に支持される。モータシャフト21と減速機構30とは、第2ベアリング52を介して、第2中心軸J2回りに相互に回転可能に連結される。第1ベアリング51、第2ベアリング52および第3ベアリング53は、例えば、ボール軸受である。モータシャフト21は、第1軸部21aと、第2軸部21bと、第3軸部21cと、を有する。
第1軸部21aは、第1中心軸J1を中心として軸方向に延びる。第1軸部21aは、ロータ固定軸部21dと、支持軸部21eと、中継軸部21fと、を有する。ロータ固定軸部21dの外周面には、ロータ22が固定される。支持軸部21eは、ロータ固定軸部21dの軸方向他方側に位置する。支持軸部21eは、第1軸部21aの軸方向他方側の端部に位置する。支持軸部21eは、モータシャフト21の軸方向他方側の端部に配置される。支持軸部21eの外径は、ロータ固定軸部21dの外径よりも小さい。支持軸部21eは、第1ベアリング51内に嵌め合わされる。支持軸部21eは、第1ベアリング51に支持される。つまり第1ベアリング51は、モータシャフト21の軸方向他方側の部分を回転可能に支持する。
中継軸部21fは、ロータ固定軸部21dの軸方向一方側に位置する。中継軸部21fは、第1軸部21aの軸方向一方側の端部に位置する。図示の例では、中継軸部21fの外径が、ロータ固定軸部21dの外径よりも小さく、支持軸部21eの外径よりも大きい。中継軸部21fの外径は、第2ベアリング52の内輪の内径よりも大きい。中継軸部21fは、第2ベアリング52の内輪の軸方向他方側に配置され、第2ベアリング52の内輪と軸方向に対向する。
第2軸部21bは、第1軸部21aの軸方向一方側に位置する。第2軸部21bは、第1中心軸J1に対して偏心した第2中心軸J2を中心として延びる。第2中心軸J2は、第1中心軸J1と平行である。よって第2軸部21bは、軸方向に延びる。第2軸部21bは、第1軸部21aに接続する。第2軸部21bは、中継軸部21fに接続する。第2軸部21bの外径は、中継軸部21fの外径よりも小さい。第2軸部21bは、第2ベアリング52内に嵌め合わされる。
第3軸部21cは、第1中心軸J1を中心として軸方向に延びる。第3軸部21cは、第2軸部21bの軸方向一方側に位置する。第3軸部21cは、第2軸部21bに接続する。第3軸部21cの外径は、第2軸部21bの外径よりも小さい。第3軸部21cは、モータシャフト21の軸方向一方側の端部に配置される。第3軸部21cは、第3ベアリング53に支持される。
ロータ22は、モータシャフト21と、ロータ固定軸部21dの外周面に固定される筒状のロータコアと、ロータコアの外周面に固定されるロータマグネットと、を有する。ステータ23は、ロータ22と径方向に隙間をあけて対向する。ステータ23は、ロータ22の径方向外側を囲む環状のステータコアと、ステータコアに装着される複数のコイルと、を有する。ステータ23は、周壁部12aの内周面に固定される。
制御基板70は、板状である。制御基板70の板面は軸方向を向き、軸方向に垂直に広がる。制御基板70は、制御基板収容部12f内に収容される。制御基板70は、仕切り壁部12dの軸方向他方側に配置される。制御基板70は、仕切り壁部12dの軸方向他方側を向く面に固定される。制御基板70は、ステータ23と電気的に接続される。制御基板70には、ステータ23のコイルのコイル線が接続される。コイル線は、仕切り壁部12dの連通孔(図示省略)内を通る。連通孔は、仕切り壁部12dを軸方向に貫通する。
バスバー80は、コネクタ部12cに支持される。バスバー80は、コネクタ部12cに埋め込まれる。バスバー80の両端部のうち、第1端部は、制御基板70の軸方向他方側を向く面に固定される。バスバー80の両端部のうち、第2端部は、コネクタ部12cの径方向外側の端部に設けられた凹部からケース11の外部に露出する。バスバー80は、コネクタ部12cに接続される外部電源と電気的に接続される。バスバー80および制御基板70を通して、外部電源からステータ23のコイルに電源が供給される。
減速機構30は、モータシャフト21の軸方向一方側の部分に連結される。減速機構30は、モータシャフト21の軸方向一方側の部分の径方向外側に配置される。減速機構30は、第2軸部21bおよび第3軸部21cの径方向外側に配置される。減速機構30は、減速機構ケース13内に収容される。減速機構30は、軸方向に沿う底壁部13aとケースフランジ部12bとの間に配置される。減速機構30は、外歯ギア31と、内歯ギア33と、接続部34と、を有する。
外歯ギア31は、第2中心軸J2を中心とする略円環板状である。外歯ギア31の板面は軸方向を向き、軸方向に垂直に広がる。図2に示すように、外歯ギア31の外周面には、歯車部が設けられる。図1および図2に示すように、外歯ギア31は、第2軸部21bに第2ベアリング52を介して接続する。つまり減速機構30は、第2ベアリング52を介してモータシャフト21に連結される。第2ベアリング52は、外歯ギア31内に嵌め合わされる。第2ベアリング52は、モータシャフト21と外歯ギア31とを、第2中心軸J2回りに相互に回転可能に連結する。なお、図2においては、後述する円筒部34bの図示を省略している。
外歯ギア31は、複数のピン32を有する。図1に示すように、ピン32は、外歯ギア31の軸方向一方側を向く面から軸方向一方側に突出する円柱状である。図2に示すように、複数のピン32は、第2中心軸J2を中心とする周方向に沿って等間隔に配置される。図2に示す例では、ピン32が8つ設けられる。
内歯ギア33は、外歯ギア31の径方向外側を囲んで減速機構ケース13に固定される。内歯ギア33は、第1中心軸J1を中心とする円環状である。図1に示すように、内歯ギア33は、カバー筒部13bの内周面の凹部内に配置されて、カバー筒部13bに固定される。図1および図2に示すように、内歯ギア33は、外歯ギア31と噛み合う。内歯ギア33の内周面には、歯車部が設けられる。内歯ギア33の歯車部は、外歯ギア31の歯車部と噛み合う。内歯ギア33の歯車部は、周方向の一部(図2では左側部分)において外歯ギア31の歯車部と噛み合う。内歯ギア33の歯車部の歯数と、外歯ギア31の歯車部の歯数とは、互いに異なる。本実施形態では、内歯ギア33の歯車部の歯数が、外歯ギア31の歯車部の歯数よりも多い。
図1に示すように、接続部34は、外歯ギア31の軸方向一方側に配置される。接続部34は、円環板部34aと、円筒部34bと、を有する。円環板部34aは、第1中心軸J1を中心とする円環板状である。円環板部34aの板面は軸方向を向き、軸方向に垂直に広がる。円環板部34aは、円環板部34aを軸方向に貫通する複数の孔34cを有する。
図2に示すように、複数の孔34cは、周方向に沿って等間隔に配置される。図2に示す例では、孔34cが8つ設けられる。孔34cの数は、ピン32の数と同じである。軸方向から見て、孔34cは円形状である。つまり孔34cは、円孔状である。孔34cの内径は、ピン32の外径よりも大きい。図1および図2に示すように、複数の孔34cには、外歯ギア31に設けられた複数のピン32がそれぞれ挿入される。ピン32の外周面は、孔34cの内周面と内接する。つまりピン32の外周面と、孔34cの内周面とは、各周面の一部において接触する。孔34cの内周面は、ピン32を介して、外歯ギア31を第1中心軸J1回りに揺動可能に支持する。
図1に示すように、円筒部34bは、円環板部34aの径方向内縁部から軸方向一方側に延びる円筒状である。円筒部34bは、軸方向に延びる円筒状の円筒部本体34dと、円筒部本体34dの軸方向一方側の端部から径方向内側に広がる円環板状の円環底板部34eと、を有する。円筒部本体34dの内周面における軸方向他方側の端部には、第3ベアリング53が固定される。円筒部本体34dの軸方向一方側の端部および円環底板部34eは、第1大径部13e内に挿入される。円環底板部34eの軸方向一方側を向く面は、第4ベアリング54のフランジ部の軸方向他方側を向く面に接触する。接続部34は、単一の部材である。
出力部40は、電動アクチュエータ10の駆動力を出力する部分である。出力部40は、上述した減速機構30の接続部34と、出力シャフト部41と、を有する。上述したように、接続部34の円筒部本体34dの内周面における軸方向他方側の端部には、第3ベアリング53が固定される。これにより第3ベアリング53は、モータシャフト21と出力部40とを、第1中心軸J1回りに相互に回転可能に連結する。
出力シャフト部41は、軸方向に延び、モータシャフト21の軸方向一方側に配置される。出力シャフト部41は、第1中心軸J1を中心とする略円柱状である。本実施形態の例では、出力シャフト部41が、軸方向一方側へ向かうにしたがい段階的に外径が小さくなる多段円柱状である。出力シャフト部41は、被支持部41aと、フランジ部41bと、被取付部41cと、を有する。
被支持部41aは、第4ベアリング54内に嵌め合わされる。被支持部41aは、第4ベアリング54に第1中心軸J1回りに回転可能に支持される。被支持部41aの軸方向一方端は、第2大径部13g内に位置する。フランジ部41bは、被支持部41aの軸方向他方側の端部から径方向外側に広がるフランジ状である。フランジ部41bは、円筒部本体34dの径方向内側に位置する。フランジ部41bの軸方向一方側を向く面は、円環底板部34eの軸方向他方側を向く面に接触する。被取付部41cは、被支持部41aの軸方向一方側に位置する。被取付部41cは、突出筒部13cよりも軸方向一方側に突出する。被取付部41cには、電動アクチュエータ10の駆動力が出力される他の部材が取り付けられる。
出力シャフト部41は、接続部34に固定される。出力シャフト部41は、例えば、被支持部41aまたはフランジ部41bが円環底板部34eと溶接されることで、接続部34に固定される。これにより、出力シャフト部41は、円筒部34bの軸方向一方側の端部に接続される。出力シャフト部41の軸方向他方側の端面と、モータシャフト21の軸方向一方側の端面との間には、隙間DPが設けられる。
モータシャフト21が第1中心軸J1回りに回転させられると、第2軸部21b(第2中心軸J2)は、第1中心軸J1を中心として周方向に公転する。第2軸部21bの公転は、第2ベアリング52を介して外歯ギア31に伝達され、外歯ギア31は、内歯ギア33内で第1中心軸J1回りに公転する。外歯ギア31は、孔34cの内周面とピン32の外周面との内接する位置が変化しつつ、揺動する。このとき、外歯ギア31の歯車部と内歯ギア33の歯車部とが噛み合う位置が、周方向に変化する。外歯ギア31の歯数と内歯ギア33の歯数とは互いに異なっており、かつ、内歯ギア33は、減速機構ケース13に固定されており回転しない。このため、外歯ギア31が、内歯ギア33に対して第2中心軸J2回りに自転する。
外歯ギア31が自転する向きは、モータシャフト21が回転する向きと反対方向となる。外歯ギア31の第2中心軸J2回りの回転(自転)は、孔34cとピン32とを介して、接続部34に伝達される。これにより、接続部34が第1中心軸J1回りに回転し、出力部40が第1中心軸J1回りに回転する。このように、モータシャフト21の回転が、減速機構30を介して出力シャフト部41に伝達される。
出力部40の回転は、減速機構30によって、モータシャフト21の回転に対して減速される。具体的に、本実施形態の減速機構30では、モータシャフト21の回転に対する出力部40の回転の減速比Rが、R=−(N2−N1)/N2で表される。減速比Rを表す式の右辺の先頭の負符号は、モータシャフト21の回転方向に対して、減速される出力部40の回転方向が逆向きになることを示している。N1は、外歯ギア31の歯数であり、N2は、内歯ギア33の歯数である。一例として、外歯ギア31の歯数N1が59で、内歯ギア33の歯数N2が60の場合、減速比Rは、−1/60となる。このように、本実施形態の減速機構30は、モータシャフト21の回転に対する出力部40の回転の減速比Rを大きくできる。これにより、出力部40の回転トルクを大きくできる。
回転検出部75は、ロータ22の回転を検出する。図1および図3に示すように、回転検出部75は、第1取付部材(取付部材)73と、第1マグネット(マグネット)74と、第1回転センサ(回転センサ)71と、を有する。
第1取付部材73は、例えば、非磁性体製である。なお第1取付部材73は、磁性体製であってもよい。第1取付部材73は、第1中心軸J1を中心とする円環状である。第1取付部材73は、モータシャフト21に固定される。第1取付部材73は、モータシャフト21における第1ベアリング51の軸方向一方側に位置する部分に固定される。この構成により、例えば、第1取付部材73がモータシャフト21における第1ベアリング51の軸方向他方側に位置する部分に固定される構成に比べて、構造の複雑化を抑えることができる。
第1取付部材73の径方向内縁部は、ロータ固定軸部21dの外周面におけるロータ22のロータコアよりも軸方向他方側に位置する部分に固定される。つまり、第1取付部材73は、モータシャフト21における軸方向に沿う第1ベアリング51とロータコアとの間に位置する部分に固定される。第1取付部材73の径方向外縁部は、第1ベアリング51およびベアリング保持部12eの径方向外側を囲む。
図3に示すように、第1取付部材73は、固定板部73aと、筒部73bと、取付け板部73cと、を有する。第1取付部材73は、単一の部材である。固定板部73aは、モータシャフト21に固定されて径方向に広がるフランジ状である。固定板部73aは、周方向に延びる円環板状である。固定板部73aの板面は軸方向を向き、軸方向に垂直に広がる。固定板部73aの径方向外縁部は、第1ベアリング51およびベアリング保持部12eよりも径方向外側に位置する。固定板部73aは、第1取付部材73において軸方向一方側の端部に配置される。固定板部73aは、第1取付部材73において径方向内側の端部に配置される。図示の例では、固定板部73aの軸方向一方側を向く面と、ロータ22のロータコアの軸方向他方側を向く面とが、互いに接触する。固定板部73aの軸方向他方側を向く面と、第1ベアリング51およびベアリング保持部12eとは、軸方向に隙間をあけて対向する。
筒部73bは、固定板部73aの外周縁から軸方向他方側へ向けて延びる筒状である。本実施形態では、筒部73bが、第1中心軸J1を中心とし、固定板部73aの径方向外縁部から軸方向他方側へ突出する円筒状である。なお、筒部73bは、固定板部73aの外周縁から軸方向他方側へ向かうにしたがい拡径するテーパ筒状であってもよい。また筒部73bは、固定板部73aの外周縁から軸方向他方側へ向かうにしたがい縮径するテーパ筒状であってもよい。筒部73bは、ベアリング保持部12eよりも径方向外側に配置される。筒部73bの内周面と、ベアリング保持部12eの外周面との間には、隙間が設けられる。筒部73bの軸方向他方端は、仕切り壁部12dの軸方向一方側を向く面から軸方向一方側に離れて配置される。
取付け板部73cは、筒部73bの軸方向他方側の端部から径方向外側に広がるフランジ状である。取付け板部73cは、周方向に延びる円環板状である。取付け板部73cの板面は軸方向を向き、軸方向に垂直に広がる。取付け板部73cは、第1取付部材73において軸方向他方側の端部に配置される。取付け板部73cは、第1取付部材73において径方向外側の端部に配置される。取付け板部73cは、ベアリング保持部12eの径方向外側に対向する位置に配置される。
第1マグネット74は、周方向に延びる環状である。第1マグネット74は、第1中心軸J1を中心とする円環板状である。第1マグネット74の板面は軸方向を向き、軸方向に垂直に広がる。第1マグネット74は、周方向に沿って交互に配置されるN極とS極とを有する。第1マグネット74は、第1取付部材73に取り付けられる。第1マグネット74は、例えば接着剤等により、第1取付部材73に固定される。第1取付部材73および第1マグネット74は、モータシャフト21とともに第1中心軸J1回りに回転する。
本実施形態では、第1マグネット74が、取付け板部73cに取り付けられる。第1マグネット74は、取付け板部73cの軸方向他方側を向く面に固定される。第1マグネット74、取付け板部73cおよび後述する第1回転センサ71は、軸方向から見て互いに重なる位置に配置される。第1マグネット74が取付け板部73cに取り付けられることで、第1マグネット74と、第1回転センサ71との軸方向の距離を、第1マグネット74の周方向全域で均等化しやすい。よって第1回転センサ71による回転の検出が安定する。
第1マグネット74は、径方向から見て、第1ベアリング51と重なる位置に配置される。第1マグネット74は、ベアリング保持部12eの径方向外側に対向する位置に配置される。第1マグネット74は、第1ベアリング51およびベアリング保持部12eの径方向外側を囲む。第1マグネット74は、第1ベアリング51およびベアリング保持部12eの径方向外側のスペースに配置される。第1マグネット74は、ロータ22のロータコアと仕切り壁部12dとの間のスペースに配置される。第1マグネット74と第1ベアリング51とは、軸方向に隣り合わず、径方向に隣り合って配置される。本実施形態によれば、モータシャフト21と制御基板70とを、軸方向に互いに距離を近づけて配置できるので、電動アクチュエータ10の軸方向の外形を小さく抑えることができる。また、電動アクチュエータ10の製造時において、ロータ22のロータマグネットと、回転検出部75の第1マグネット74とを、モータシャフト21に組み付けた状態で着磁でき、着磁相の誤差を抑えることができる。これにより、モータ20の性能のばらつきを抑制できる。
第1回転センサ71は、第1マグネット74に隙間をあけて対向する。第1回転センサ71は、第1マグネット74と軸方向に対向する。第1回転センサ71は、第1マグネット74の軸方向他方側に位置する。第1回転センサ71は、第1マグネット74によって生じる磁界を検出する。第1回転センサ71は、例えばホール素子である。第1回転センサ71は、周方向に互いに等間隔をあけて複数設けられる。第1回転センサ71は、例えば、周方向に互いに120度間隔をあけて3つ設けられる。第1マグネット74によって生じる磁界は、第1マグネット74がモータシャフト21とともに回転することにより変化する。この磁界の変化を第1回転センサ71が検出することにより、モータシャフト21の回転を検出できる。第1回転センサ71は、例えば、ケース11に対するモータシャフト21の周方向の回転角度位置を検出する。第1回転センサ(回転センサ)71は、例えば、回転角度位置検出センサまたは回転角センサ等と言い換えてもよい。
第1回転センサ71は、制御基板70の軸方向一方側を向く板面に実装される。第1回転センサ71は、仕切り壁部12dの孔部12h内に配置される。図示の例では、第1回転センサ71が、仕切り壁部12dの軸方向一方側を向く面から軸方向一方側に突出することなく、孔部12h内に収容される。本実施形態によれば、第1回転センサ71の軸方向の厚さが、仕切り壁部12dの軸方向の厚さ内に含まれる。したがって、電動アクチュエータ10の軸方向の外形をより小さくできる。
図4に示す本実施形態の変形例では、第1マグネット74が、筒部73bに取り付けられる。第1マグネット74は、筒部73bの外周面に固定される。図示を省略するが、第1マグネット74は、筒部73bの内周面に固定されて、第1回転センサ71と軸方向に対向してもよい。また第1マグネット74は、筒部73bの軸方向他方側を向く端面に固定されて、第1回転センサ71と軸方向に対向してもよい。本実施形態の変形例によれば、第1取付部材73の取付け板部73cを削除できる。つまり、第1取付部材73の筒部73bに第1マグネット74を取り付けることで、第1ベアリング51の径方向外側のスペースに第1マグネット74を配置しつつ、構造を簡素化できる。
回転検出装置60は、出力部40の回転を検出する。図1に示すように、回転検出装置60は、回路基板61と、第2取付部材64と、第2マグネット63と、第2回転センサ62と、を有する。
回路基板61は、板状である。回路基板61の板面は軸方向を向き、軸方向に垂直に広がる。本実施形態の例では、回路基板61が、円筒部本体34dの径方向外側を囲む円環板状である。回路基板61は、底壁部13aの凹部13d内に配置される。回路基板61は、凹部13dにおいて軸方向他方側を向く底面に固定される。回路基板61は、配線(図示省略)により、制御基板70と電気的に接続される。これにより、コネクタ部12cに接続される外部電源から、制御基板70を通して回転検出装置60に電源が供給される。
第2取付部材64は、例えば、非磁性体製である。なお第2取付部材64は、磁性体製であってもよい。第2取付部材64は、第1中心軸J1を中心とする円環状である。第2取付部材64は、出力部40に固定される。第2取付部材64は、接続部34に固定される。第2取付部材64は、円筒部本体34dの外側に嵌め合わされる。第2取付部材64の径方向内縁部は、円筒部本体34dの外周面における軸方向他方側の端部に固定される。第2取付部材64の軸方向他方側を向く面は、円環板部34aの軸方向一方側を向く面に接触する。
第2取付部材64の径方向内縁部は、円環板部34aの軸方向一方側を向く面に対して、軸方向一方側から接触する。第2取付部材64の径方向外縁部は、第2取付部材64の径方向外縁部以外の部位よりも軸方向一方側に位置する。第2取付部材64の径方向外縁部は、円環板部34aの軸方向一方側を向く面に対して、軸方向一方側に離れて配置される。第2取付部材64の径方向外縁部は、第3ベアリング53の径方向外側を囲む。第2取付部材64の径方向外縁部は、径方向から見て第3ベアリング53と重なる位置に配置される。本実施形態の例では、第2取付部材64の全体が、径方向から見て第3ベアリング53と重なる位置に配置される。第2取付部材64は、第3ベアリング53に対して、軸方向一方側および軸方向他方側に突出しない。
第2取付部材64の径方向外縁部は、周方向に延びる円環板状である。第2取付部材64の径方向外縁部の板面は軸方向を向き、軸方向に垂直に広がる。第2取付部材64の径方向外縁部は、ピン32から径方向内側に離れて配置される。第2取付部材64の径方向外縁部において軸方向他方側を向く面は、ピン32の軸方向一方側を向く端面よりも軸方向一方側に配置される。このため、例えばピン32が、図1に示す位置よりも径方向内側の位置に配置された場合でも、ピン32と第2取付部材64とが互いに接触することは抑えられる。
第2マグネット63は、周方向に延びる環状である。第2マグネット63は、第1中心軸J1を中心とする円環板状である。第2マグネット63の板面は軸方向を向き、軸方向に垂直に広がる。第2マグネット63は、周方向に沿って交互に配置されるN極とS極とを有する。第2マグネット63は、第2取付部材64に取り付けられる。第2マグネット63は、例えば接着剤等により、第2取付部材64に固定される。第2取付部材64および第2マグネット63は、接続部34とともに第1中心軸J1回りに回転する。
第2マグネット63は、第2取付部材64の径方向外縁部に取り付けられる。第2マグネット63は、第2取付部材64の径方向外縁部において軸方向一方側を向く面に固定される。第2取付部材64の径方向外縁部、第2マグネット63および後述する第2回転センサ62は、軸方向から見て互いに重なる位置に配置される。第2マグネット63が第2取付部材64の径方向外縁部に取り付けられることで、第2マグネット63と、第2回転センサ62との軸方向の距離を、第2マグネット63の周方向全域で均等化しやすい。よって第2回転センサ62による回転の検出が安定する。
第2マグネット63は、径方向から見て、第3ベアリング53と重なる位置に配置される。第2マグネット63は、円筒部本体34dの径方向外側に対向する位置に配置される。第2マグネット63は、第3ベアリング53の径方向外側を囲む。第2マグネット63は、第3ベアリング53の径方向外側のスペースに配置される。第2マグネット63は、円環板部34aと底壁部13aとの間のスペースに配置される。これにより、電動アクチュエータ10の軸方向の外形をより小さく抑えることができる。
第2回転センサ62は、第2マグネット63に隙間をあけて対向する。第2回転センサ62は、第2マグネット63と軸方向に対向する。第2回転センサ62は、第2マグネット63の軸方向一方側に位置する。第2回転センサ62は、第2マグネット63によって生じる磁界を検出する。第2回転センサ62は、例えばホール素子である。第2回転センサ62は、周方向に互いに等間隔をあけて複数設けられる。第2回転センサ62は、例えば、周方向に互いに120度間隔をあけて3つ設けられる。第2マグネット63によって生じる磁界は、第2マグネット63が出力部40とともに回転することにより変化する。この磁界の変化を第2回転センサ62が検出することにより、出力部40の回転を検出できる。第2回転センサ62は、例えば、ケース11に対する出力部40の周方向の回転角度位置を検出する。第2回転センサ62は、例えば、回転角度位置検出センサまたは回転角センサ等と言い換えてもよい。
第2回転センサ62は、回路基板61の軸方向他方側を向く板面に実装される。第2回転センサ62は、底壁部13aの凹部13d内に配置される。図示の例では、第2回転センサ62が、底壁部13aの軸方向他方端から軸方向他方側に突出することなく、凹部13d内に収容される。つまり、第2回転センサ62および回路基板61の軸方向の厚さが、底壁部13aの軸方向の厚さ内に含まれる。第2回転センサ62および回路基板61は、隙間DPと径方向に重なる位置に配置される。本実施形態によれば、電動アクチュエータ10の軸方向の外形をより小さくできる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。
前述の実施形態では、第1取付部材73が、固定板部73aと、筒部73bと、取付け板部73cと、を有する例を挙げた。本発明は、第1取付部材73に取り付けられる第1マグネット74が、径方向から見て第1ベアリング51と重なる位置に配置されればよい。このため、第1取付部材73の構成は前述の実施形態に限定されない。例えば、第1取付部材73の筒部73bが設けられずに、固定板部73aと取付け板部73cとが直接接続されてもよい。ただし、筒部73bが設けられることによって、第1ベアリング51と径方向に重なる位置に第1マグネット74を配置しやすいことから、より好ましい。
前述の実施形態では、第1回転センサ71が、制御基板70の軸方向一方側を向く板面に実装されるとしたが、これに限定されない。第1回転センサ71は、例えば仕切り壁部12dに取り付けられてもよい。第1回転センサ71は、モータシャフト21の回転を検出できればよく、例えば磁気抵抗素子であってもよい。また、第2回転センサ62が、回路基板61の軸方向他方側を向く板面に実装されるとしたが、これに限定されない。第2回転センサ62は、例えば底壁部13aに取り付けられてもよい。第2回転センサ62は、出力部40の回転を検出できればよく、例えば磁気抵抗素子であってもよい。また、回転検出装置60に、回路基板61が設けられなくてもよい。
前述の実施形態では、接続部34と出力シャフト部41とが、溶接により固定されるとしたが、これに限定されない。接続部34と出力シャフト部41とは、相互に回転しなければよい。例えば固定ピン等を用いて、接続部34と出力シャフト部41との相対的な回転を抑制してもよい。また、接続部34の内周面の一部に平面部(Dカット部)を設けて、出力シャフト部41が、接続部34の内周面に回転不能に嵌合してもよい。また、出力部40を単一の部材とし、接続部34と出力シャフト部41とを、それぞれ出力部40の部分としてもよい。
また、減速機構30は、モータシャフト21の回転を減速させて出力部40に伝達することで、トルクを増大させる機能を有すればよく、前述の実施形態で説明した構成に限定されない。
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例およびなお書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。