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JP2019060661A - 時計用ムーブメントおよび時計 - Google Patents

時計用ムーブメントおよび時計 Download PDF

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JP2019060661A
JP2019060661A JP2017184152A JP2017184152A JP2019060661A JP 2019060661 A JP2019060661 A JP 2019060661A JP 2017184152 A JP2017184152 A JP 2017184152A JP 2017184152 A JP2017184152 A JP 2017184152A JP 2019060661 A JP2019060661 A JP 2019060661A
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小島 博之
Hiroyuki Kojima
博之 小島
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Abstract

【課題】容易に時ジャンパーのばね力を大きくできる時計用ムーブメントおよび時計を提供する。【解決手段】時計用ムーブメントは、筒車70と、日の裏車と、巻真と、巻真に連動して回転する時差修正輪列と、を備え、筒車70は、日の裏車に連動して回転する筒歯車71と、筒歯車71の軸方向において積層された複数の時ジャンパー体で構成された時ジャンパー72と、複数の時ジャンパー体と係合する時ジャンパーカナ73と、時針が取り付けられ、時ジャンパー72および時ジャンパーカナ73を介して、筒歯車71に連動して回転し、かつ、時差修正輪列に連動して回転する筒車体と、を備える。【選択図】図5

Description

本発明は、時計用ムーブメントおよび時計に関する。
従来、例えば、地域間の移動に伴い時差を修正する際に、時針が指示する「時」を修正できる時差修正機構を備えた時計がある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の時計では、筒車は、日の裏車に連動して回転する筒歯車(第1歯車部)と、筒歯車と一体で回転する時ジャンパーカナ(星車)と、時ジャンパーカナと係合する時ジャンパーと、時針が取り付けられ、時ジャンパーと一体で回転する筒車体(筒体)とを備えている。この構成により、筒車体は、筒歯車に連動して回転する。また、筒車体は、さらに、巻真に連動して回転する時差修正輪列に連動して回転する。
この時計では、巻真を操作して時差修正輪列を回転させ、筒車体を回転させる場合、日の裏車によって筒歯車の回転が規制されるため、時ジャンパーが撓んで時ジャンパーカナおよび時ジャンパーの係合が解除される。このため、筒歯車が停止した状態で筒車体が回転し、時針が指示する「時」を修正できる。
特開2016−57269号公報
ところで、日車を備える時計では、例えば、日車を瞬時に送る瞬間日送り機構を備え、当該瞬間日送り機構を、筒車体によって駆動させる場合がある。このような場合、筒車体の駆動に要するトルクが大きくなる。このため、筒歯車に連動させて筒車体を回転させる場合に、時ジャンパーカナおよび時ジャンパーの係合が解除されないよう、時ジャンパーのばね力をより大きくする必要がある。
本発明の目的は、容易に時ジャンパーのばね力を大きくできる時計用ムーブメントおよび時計を提供することにある。
本発明の時計用ムーブメントは、筒車と、日の裏車と、巻真と、前記巻真に連動して回転する時差修正輪列と、を備え、前記筒車は、前記日の裏車に連動して回転する筒歯車と、前記筒歯車の軸方向において積層された複数の時ジャンパー体で構成された時ジャンパーと、前記複数の時ジャンパー体と係合する時ジャンパーカナと、時針が取り付けられ、前記時ジャンパーおよび前記時ジャンパーカナを介して、前記筒歯車に連動して回転し、かつ、前記時差修正輪列に連動して回転する筒車体と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、時ジャンパーが、積層された複数の時ジャンパー体で構成されているため、時ジャンパーが1つの時ジャンパー体で構成されている場合と比べて、時ジャンパーのばね力を大きくできる。
ここで、例えば、時ジャンパーが1つの時ジャンパー体で構成されていても、当該1つの時ジャンパー体における筒歯車の軸方向に沿った厚み寸法を大きくすることで前記ばね力を大きくすることもできる。しかしながら、時ジャンパー体の躍制部分の幅寸法に対する厚み寸法の割合が大きくなると、プレス加工にて時ジャンパー体を形成することが困難となり、時ジャンパー体を容易に製造できない場合がある。これに対して、本発明によれば、個々の時ジャンパー体の厚み寸法は大きくする必要がないため、プレス加工を用いて各時ジャンパー体を形成することができ、時ジャンパーを容易に製造できる。
また、例えば、前記1つの時ジャンパー体における筒歯車の軸方向から見た形状を変更することで、前記ばね力を大きくすることもできるが、この場合は、時ジャンパーカナに対して単位面積当たりにかかる力が大きくなり耐摩耗性が低下し、また、時ジャンパー体を設計し直す必要がある。これに対して、本発明によれば、時ジャンパーカナに対して単位面積当たりにかかる力は変わらないため耐摩耗性を維持でき、また、各時ジャンパー体の形状を変更する必要がないため、時ジャンパーの設計に要する時間を短縮できる。
本発明の時計用ムーブメントにおいて、前記複数の時ジャンパー体は、前記軸方向から見て、互いに同じ形状およびサイズを有し、かつ、前記軸方向に沿った厚み寸法が互いに同じであることが好ましい。
本発明によれば、複数の種類の時ジャンパー体を製造する必要がないため、製造工程や部品の管理を簡略化できる。また、時ジャンパー体の数を増やす毎に、前記ばね力を、時ジャンパー体が1つの場合のばね力の2倍、3倍、4倍…と増やすことができるため、当該ばね力を調整し易い。
本発明の時計用ムーブメントにおいて、前記複数の時ジャンパー体は、前記軸方向から見た形状、サイズ、および、前記軸方向に沿った厚み寸法の少なくともいずれかが互いに異なっていることが好ましい。
本発明によれば、例えば、時ジャンパー体毎にばね力を変えることができるため、複数の時ジャンパー体の前記形状、前記サイズおよび前記厚み寸法が互いに同じである場合と比べて、時ジャンパーのばね力を細かく調整できる。また、例えば、時ジャンパー体毎に取り付け構造を変えることもできる。
本発明の時計用ムーブメントにおいて、前記複数の時ジャンパー体は、前記筒歯車に固定され、前記筒歯車と一体で回転し、前記時ジャンパーカナは、前記筒車体に固定され、前記筒車体と一体で回転することが好ましい。
時差修正時における筒車体の停止位置は、時ジャンパーカナに設けられた歯で決められる。このため、時ジャンパーカナが筒車体に固定され、筒車体が時ジャンパーカナと一体で回転することで、例えば、筒車体に時ジャンパーが固定され、筒歯車に時ジャンパーカナが固定されている場合と比べて、筒車体の停止位置がずれることを抑制できる。これにより、時差修正時における時針の指示位置のずれを低減できる。
本発明の時計用ムーブメントにおいて、前記筒歯車は、前記時ジャンパーカナの外周を囲む円環形状を有し、内周縁から前記軸方向に突出し、前記軸方向から見て円弧形状を有する円弧部を備え、前記複数の時ジャンパー体は、それぞれ、前記円弧部によって案内される時ジャンパー体本体部と、前記時ジャンパー体本体部から延出し、前記時ジャンパーカナに係合する躍制爪部を有する躍制部と、を備えていることが好ましい。
本発明によれば、円弧部によって各時ジャンパー体を確実に位置合わせできるため、時ジャンパー体の位置がずれて、前記ばね力が変動することを抑制できる。
本発明の時計用ムーブメントにおいて、24時針が取り付けられ、前記筒歯車と連動して回転する24時針車を備えることが好ましい。
本発明によれば、巻真を操作して時差修正輪列を回転させた場合、時ジャンパーおよび時ジャンパーカナの係合が解除され、筒歯車が停止した状態で筒車体が回転する。このため、筒歯車に連動する24時針車に取り付けられた24時針が指示する「時」を変更せずに、時針が指示する「時」を修正できる。
本発明の時計は、上記時計用ムーブメントと、前記時針と、を備えることを特徴とする。
上記時計用ムーブメントによれば、容易に前記ばね力を大きくできるため、筒車体によって駆動される機構の種類を増やすことができる。このため、当該時計用ムーブメントを備える時計によれば、種類の異なる時計を容易に製造できる。
本発明の実施形態における時計の平面図。 実施形態のムーブメントの断面図。 実施形態のムーブメントの断面図。 図3の部分拡大図。 実施形態の筒車(筒車体除く)の斜視図。 実施形態のムーブメントの平面図。 実施形態のムーブメント(日車等除く)の平面図。 実施形態の日送り部を表面側から見た斜視図。 実施形態の日送り部を裏面側から見た斜視図。 実施形態の日送り動作を説明する図。 実施形態の日送り動作を説明する図。 実施形態の筒車体の負荷トルクを示すグラフ。 本発明の変形例1の日送り動作を説明する図。 本発明の変形例1の日送り動作を説明する図。
以下、本発明に係る実施形態について、図面に基づいて説明する。
[時計の構成]
図1は、電子時計である時計1を示す平面図である。
時計1は、円筒状の外装ケース11を備え、外装ケース11の内周側に、円盤状の文字板12が配置されている。外装ケース11の二つの開口のうち、時計表面側(以下、単に表面側と称する)の開口は、円環状に形成されたベゼル13を介してカバーガラス14で塞がれており、時計裏面側(以下、単に裏面側と称する)の開口は図示しない裏蓋で塞がれている。ここで、外装ケース11および裏蓋は、ケースを構成する。
時計1は、ケース内に収容されたムーブメント2(図2、図3参照)、秒針21、分針22、時針23、24時針24、カレンダー車としての日車25を備えている。
各指針21〜24は、文字板12の表面側に配置され、ムーブメント2は、文字板12の裏面側に配置されている。各指針21〜24は、ムーブメント2が備える、同軸上に設けられた車軸411,421,741,451(図4参照)に取り付けられ、ムーブメント2により駆動される。
時計1では、24時針24が、ベゼル13に設けられた24時間目盛を指示することで、時針23が表示する時刻とは時差の異なる時刻の時を表示することができる。例えば、外国にいる場合に、時針23によって現地時刻の時を表示し、24時針24によって日本時刻の時を表示できる。
また、文字板12には、カレンダー小窓12Aが設けられており、カレンダー小窓12Aから、日車25の数字が視認可能となっている。日車25の数字は、年月日の「日」を表す。
また、外装ケース11の側面には、ムーブメント2が備える巻真39(図6参照)に取り付けられ、時刻や日を修正する際に操作されるリューズ15が設けられている。
[ムーブメントの構成]
図2、図3は、ムーブメント2の断面図であり、図4は、図2の部分拡大図である。
図2、図3に示すように、時計用ムーブメントとしてのムーブメント2は、文字板12から裏蓋側に向かって、カレンダー地板31、地板32、二番受33(分針車受)、輪列受34を備えている。
また、ムーブメント2には、リューズ15が取り付けられる巻真39が組み込まれている。巻真39は、軸方向において、押し込まれた位置から、2段引くことが可能に構成されている。
さらに、ムーブメント2は、時分秒表示を行う輪列機構40、日表示を行う日送り機構50、時針23の時差修正を行う時差修正機構60を備えている。
[輪列機構の構成]
輪列機構40は、モーター(図示略)が備えるローターに連動して回転する五番車(図示略)、四番車41、三番車(図示略)、二番車42、日の裏車43、筒車70、24時中間車44、24時筒車45を備えている。
[四番車の構成]
図4に示すように、四番車41(秒針車)は、秒針21が取り付けられる車軸411(秒針軸)と、車軸411に設けられた四番歯車412および四番カナ413とを備えている。四番歯車412は、五番車と噛み合い、四番カナ413は、三番車と噛み合う。
車軸411の裏蓋側の端部は、輪列受34に設けられた穴石341で案内されている。
車軸411のカバーガラス側の端部は、文字板12よりもカバーガラス側に位置している。また、車軸411には、文字板12よりもカバーガラス側に、外側に突出した突出部411Aが設けられている。
ここで、二番受33には、二番車軸331(第1案内部)が設けられている。二番車軸331は、円筒状に形成され、車軸411の軸線O1と同軸上に設けられている。二番車軸331のカバーガラス側の端部は、文字板12よりもカバーガラス側に位置し、内側および外側に突出した案内部分331Aを構成している。また、二番車軸331には、地板32の表面よりも裏蓋側に、外側に突出した案内部分331Bが設けられている。
車軸411は、二番車軸331内に挿通され、車軸411の突出部411Aが二番車軸331の案内部分331Aによって案内される。このようにして、車軸411は二番車軸331によって案内(軸支)されている。
四番歯車412および四番カナ413は、輪列受34および二番受33の間に設けられている。
[二番車の構成]
二番車42(分針車)は、分針22が取り付けられる車軸421(分針軸)と、車軸421に設けられた二番歯車422および二番カナ423とを備えている。二番歯車422は、三番車と噛み合い、二番カナ423は、日の裏車43と噛み合う。
車軸421は、車軸411よりも径寸法が大きい円筒状に形成され、軸線O1と同軸上に設けられている。車軸421の裏蓋側の端部は、軸方向において二番受33と地板32との間に位置し、カバーガラス側の端部は、文字板12よりもカバーガラス側に位置している。
車軸421内には、車軸411および二番車軸331が挿通され、車軸421の内周面を、二番車軸331の案内部分331A,331Bが案内する。このようにして、車軸421は二番車軸331によって案内されている。
二番歯車422および二番カナ423は、二番受33および地板32の間に設けられている。
[筒車の構成]
図5は、筒車70(時針車)の斜視図である。なお、図5では、筒車体74の図示は省略している。
図4、図5に示すように、筒車70は、地板32の表面側に設けられた、筒歯車71、時ジャンパー72、時ジャンパーカナ73、筒車体74(第1日回し中間車)を備えている。
図4に示すように、筒車体74は、車軸421よりも径寸法が大きい円筒状に形成され、軸線O1と同軸上に設けられた車軸741と、車軸741に一体形成された筒車体歯車742とを備えている。
図4、図5に示すように、時ジャンパーカナ73は、二番車42の車軸421よりも径寸法が大きい円筒状に形成され、軸線O1と同軸上に設けられている。時ジャンパーカナ73は、筒車体74に対して裏面側で嵌合し、筒車体74と一体で回転する。すなわち、車軸741および時ジャンパーカナ73は、筒車70の指針軸(時針軸)を構成している。さらに、時ジャンパーカナ73の外周面には、外周に沿って12個の歯731が設けられている。なお、時ジャンパーカナ73は、星車と称される場合もある。
筒歯車71は、時ジャンパーカナ73の外周を囲む円環形状を有し、外周面には、日の裏車43および24時中間車44(図3参照)に噛み合う歯711が設けられている。また、筒歯車71には、内周縁から表面側に突出し、表面側から見て円弧形状を有する円弧部712が設けられている。円弧部712は、時ジャンパーカナ73の外周を半周以上囲んでいる。
時ジャンパー72は、筒歯車71の表面側に設けられている。本実施形態では、詳しくは後述するが、時ジャンパー72のトルクを大きくするため、時ジャンパー72は、軸方向に積層された2つの時ジャンパー体721,722を備えている。時ジャンパー体721,722は、プレス加工によって形成されている。
時ジャンパー体721は、表面側から見て軸線O1を中心とする円弧状に形成され、時ジャンパーカナ73の円弧部712によって案内される時ジャンパー体本体部721Aと、時ジャンパー体本体部721Aの周方向の端部から延出した弾性を有する躍制部721Bとを備えている。躍制部721Bは、先端に、時ジャンパーカナ73の歯731と係合する躍制爪部721Cを備えており、時ジャンパーカナ73から遠ざかる方向に撓むことができる。
時ジャンパー体722は、時ジャンパー体721と同じ平面形状、サイズおよび厚み寸法を有し、時ジャンパー体721と同様に、円弧部712によって案内される時ジャンパー体本体部722Aと、時ジャンパーカナ73の歯731と係合する躍制爪部722Cを備えた躍制部722Bを備えている。そして、表面側から見て、時ジャンパー体721と同じ回転位置で固定され、時ジャンパー体721と完全に重なっている。
時ジャンパー体本体部721A,722Aは、2つの固定ピン723によって筒歯車71に固定され、時ジャンパー72は、筒歯車71と一体で回転する。なお、固定ピン723は、筒歯車71に一体形成されていてもよい。
ここで、図4に示すように、地板32には、中心パイプ321(第2案内部)が設けられている。中心パイプ321は、円筒状に形成され、軸線O1と同軸上に設けられている。中心パイプ321内には、四番車41の車軸411、二番車軸331、二番車42の車軸421が挿通されている。中心パイプ321のカバーガラス側の端部は、後述する日車押さえ35の裏面よりもカバーガラス側に位置している。また、中心パイプ321のカバーガラス側の端部は、外側に突出した案内部分321Aを構成している。また、中心パイプ321には、案内部分321Aよりも裏蓋側に、外側に突出した案内部分321Bが設けられている。
筒車体74の車軸741および時ジャンパーカナ73内には、車軸411、二番車軸331、車軸421、中心パイプ321が挿通され、車軸741の内周面を、中心パイプ321の案内部分321Aが案内し、時ジャンパーカナ73の内周面を、中心パイプ321の案内部分321Bが案内する。このようにして、筒車70は中心パイプ321によって案内されている。
このような構成の筒車70では、ローターの回転に連動して日の裏車43が回転すると、日の裏車43に連動して筒歯車71および時ジャンパー72が一体で回転する。このとき、躍制爪部721C,722Cは、時ジャンパーカナ73を押圧しているため、時ジャンパーカナ73の歯731と係合し、時ジャンパーカナ73が時ジャンパー72に連動して回転する。そして、筒車体74は、時ジャンパーカナ73と一体で回転する。
一方、後述する時差修正機構60によって、筒車体74を回転させると、筒車体74と一体で時ジャンパーカナ73が回転する。このとき、時ジャンパー72の回転は、筒歯車71と噛み合う日の裏車43によって規制されているため、躍制部721B,722Bが時ジャンパーカナ73の歯731に押されて撓み、躍制爪部721C,722Cと歯731との係合が解除される。これにより、時ジャンパー72を停止させた状態で、筒車体74を回転させることができる。
ここで、ムーブメント2は、図6に示すように、日車25の軸方向の移動を規制する日車押さえ35を備えている。図6は、ムーブメント2を表面側から見た平面図である。
図4に示すように、日車押さえ35は、筒車体歯車742よりも表面側に設けられている。そして、日車押さえ35は、軸線O1を中心とした円形の開口部351と、当該開口部351の外周から表面側に突出した筒状部352(第3案内部)とを備えている。筒状部352は、軸線O1と同軸上に設けられている。筒状部352内には、車軸411、二番車軸331、車軸421、車軸741が挿通されている。筒状部352の先端部は、文字板12の裏面よりもカバーガラス側に位置している。
そして、筒車体歯車742と日車押さえ35との間には、円環状に形成された針座36(時針座)が設けられている。当該針座36により、筒車70は、地板32に付勢されている。
また、本実施形態では、中心パイプ321における筒車体74を案内する案内部分321Aの一部と、筒車体歯車742および針座36の接触部とは、軸方向と直交する同一平面上に位置している。これにより、筒車70の傾きを抑制しつつ、針座36によって筒車70を付勢できる。
[24時筒車の構成]
24時筒車45(24時針車)は、図4に示すように、円筒状に形成され、軸線O1と同軸上に設けられた車軸451(24時針軸)と、車軸451と一体で形成された24時筒歯車452とを備えている。24時筒歯車452は、24時中間車44(図3参照)と噛み合い、筒車70に連動して回転する。24時筒歯車452は、筒車70が1回転する毎に1/2回転する。
車軸451は、第1径寸法で形成された第1筒状部451Aと、第1筒状部451Aのカバーガラス側に設けられ、第1径寸法よりも小さい第2径寸法で形成された第2筒状部451Bとを備えている。
第1筒状部451A内には、四番車41の車軸411、二番車軸331、二番車42の車軸421、筒車体74の車軸741、日車押さえ35の筒状部352が挿通され、第1筒状部451Aの内周面を、筒状部352の一部(案内部分)が案内する。このようにして、車軸451は筒状部352によって案内されている。また、第2筒状部451B内には、車軸411、二番車軸331、車軸421、車軸741が挿通されている。
24時筒歯車452は、日車押さえ35と文字板12との間に設けられている。
そして、24時筒歯車452と文字板12との間には、円環状に形成された針座37(24時針座)が設けられている。当該針座37により、24時筒車45は日車押さえ35に付勢されている。
また、本実施形態では、日車押さえ35の筒状部352における24時筒車45を案内する案内部分の一部と、24時筒歯車452および針座37の接触部とは、軸方向と直交する同一平面上に位置している。これにより、24時筒車45の傾きを抑制しつつ、針座37によって24時筒車45を付勢できる。
[日送り機構50の構成]
図7は、日車押さえ35、日車案内板、日車25、24時筒車45を外したムーブメント2を表面側から見た平面図である。
図7に示すように、日送り機構50(カレンダー送り機構)は、カレンダー地板31(図2参照)の表面側に設けられた、修正車51、第2日回し中間車52、日送り部80を備えている。
修正車51は、筒車体74の筒車体歯車742と噛み合い、筒車体74と連動して回転する。第2日回し中間車52は、修正車51と噛み合い、修正車51と連動して回転する。修正車51および第2日回し中間車52は、中間輪列を構成する。
[日送り部の構成]
図8は、日送り部80を表面側から見た斜視図である。図9は、日送り部80を裏面側から見た斜視図である。
図2、図8、図9に示すように、日送り部80は、カレンダー地板31に設けられた支持部85と、支持部85で支持された車軸86と、車軸86に対して回転可能に取り付けられた日回し歯車81と、車軸86に軸支され一体で回転する日送り爪82、日送りカム83と、日送りカム83に係合する日送りレバー84とを備えている。日送りレバー84は、地板32に設けられたピン322(図7参照)に軸支され、カレンダー地板31によって厚み方向における位置決めがされている。
カレンダー回し歯車としての日回し歯車81は、第2日回し中間車52と噛み合い、第2日回し中間車52に連動して回転する。日回し歯車81には、車軸86を中心とする円弧状の開口部811(図10参照)が設けられている。
なお、本実施形態では、修正車51、第2日回し中間車52、日回し歯車81は、正転方向に駆動するときは、噛み合いが離れる方向に力が働き、逆転方向に駆動するときは、噛み合う方向に力が働くように配置されている。
カレンダー送り爪としての日送り爪82は、日回し歯車81の表面側に設けられ、略円盤状に形成されている。日送り爪82には、外周面から突出する爪部821と、係合孔822とが設けられている。
ここで、図6に示すように、日車25には、内周側に31個の歯251が形成されており、日送り爪82は、1回転する毎に、爪部821によって歯251を1つ送る。これにより、日車25が1日分回動し、カレンダー小窓12Aから視認される日車25の数字が1つ進められる。
カレンダー送りカムとしての日送りカム83は、日回し歯車81の裏面側に設けられ、車軸86を中心とする略扇状に形成されている。日送りカム83は、表面側に突起部831を備え、当該突起部831は、日回し歯車81の開口部811に挿通され、日送り爪82の係合孔822と係合している。
カレンダー送りレバーとしての日送りレバー84は、弾性を有し、地板32に設けられたピン322(図7参照)を回転軸とし、日送りレバー84の先端部841(図9参照)は、側面で日送りカム83に当接し、当該側面には、2つの突出部842,843が設けられている。
[日送り動作]
図10、図11は、日送り動作を説明する遷移図である。なお、図10は、日送り爪82を除いた図である。
日が送られる前は、図10、図11の状態1に示すように、日送りカム83の外周面の円弧部分832に、日送りレバー84の突出部842が当接している。このとき、日送り爪82の爪部821は、日車25の歯251に当接していない。
この状態で、日回し歯車81が、第2日回し中間車52に連動して反時計回りに回動すると、日回し歯車81の開口部811の内側面に日送りカム83の突起部831が押されて、日送りカム83が回動する。これにより、日送りカム83の円弧部分832が日送りレバー84の突出部842を押すことで、日送りレバー84が徐々に撓む。また、日送り爪82も日送りカム83と一体で反時計回りに回動する。日回し歯車81は、ほぼ1周をかけて日送りレバー84を撓ませる。
さらに日送りカム83が回動すると、図10、図11の状態2に示すように、日送りカム83の円弧部分832が日送りレバー84の突出部842と当接しなくなり、今度は、日送りレバー84のばね力により、日送りレバー84の突出部842が日送りカム83の外周面の半径部分833を押し、日送りカム83が反時計回りに勢いよく回動する。すなわち、日送りカム83が日回し歯車81よりも速い速度で回動する。このとき、日送りカム83の突起部831は、日回し歯車81の開口部811内を移動するため、日送りカム83の回転は、日回し歯車81によって規制されない。また、日送り爪82も日送りカム83と一体で反時計回りに勢いよく回動する。
そして、日送りカム83が所定角度回転すると、図10、図11の状態3に示すように、爪部821が日車25の歯251に当たり、日車25が爪部821に押されて反時計回りに1歯分回動し、文字板12のカレンダー小窓12Aから視認される日が1つ送られる。
さらに、日送りカム83が回動すると、図10、図11の状態4に示すように、日送りカム83の突起部831が日回し歯車81の開口部811の反対側の内側面に当たり、日送りカム83の回動が止められる。このとき、日送りカム83が日送りレバー84の突出部843に当たるため、日送りレバー84によっても日送りカム83の回動が止められる。
また、日車25は、日送り爪82で送られることで、日送り爪82の爪部821と当接しなくなった後も、反時計回りに慣性で回動しようとするが、日車25における日送り爪82の爪部821で送られた歯251の時計回り方向に隣接する歯251が、当該爪部821に当たることで、日車25が1日分より多く回動することを規制できる。
このように、日送り部80によれば、図10、図11の状態2から状態4に示すように、日送りレバー84の復元力により日送りカム83を回動させることで、日車25を1日分瞬時に回動させることができる。すなわち、カレンダー小窓12Aから視認される日車25の数字が瞬間的に変更される。このため、日送り機構50を瞬間日送り機構と称する場合もある。これにより、ユーザーは、日付が変わる夜の12時前後でも、カレンダー小窓12Aから日車25の数字を確実に視認できる。
[時差修正機構の構成]
図3、図7に示すように、時差修正機構60は、巻真39に設けられたつづみ車62(図3参照)、巻真39が1段引かれた状態の場合に、つづみ車62に連動して回転する第1修正中間車63(図3参照)、第1修正中間車63に連動して回転する第2修正中間車64、第2修正中間車64に連動して回転する上記修正車51を備えている。修正車51は、日送り機構50の一部、および、時差修正機構60の一部を構成している。すなわち、つづみ車62、第1修正中間車63、第2修正中間車64、修正車51は、巻真39に連動して回転する時差修正輪列を構成している。
巻真39を1段引いた状態で軸回りに回転させると、つづみ車62に連動して、第1修正中間車63、第2修正中間車64、修正車51が連動して回転する。これにより、筒車体74が回転し、時針23が表示する時が修正される。
このとき、筒車体74と一体で時ジャンパーカナ73が回転するが、上述の通り、時ジャンパー72の回転は、筒歯車71と噛み合う日の裏車43によって規制されているため、躍制部721B,722Bが撓み、時ジャンパーカナ73の歯731と、躍制爪部721C,722Cとの係合が解除される。これにより、時ジャンパー72および筒歯車71が停止した状態で、筒車体74が回転する。このため、秒針21、分針22、時針23、24時針24が表示する時刻のうち、時針23が表示する時のみを修正できる。なお、時ジャンパーカナ73に歯731は12個等間隔で設けられているため、巻真39を回転させて歯731と躍制爪部721C,722Cとの係合を解除させる毎に、筒車体74を1時間分回転させることができる。すなわち、時針23が表示する時刻を1時間ずつ修正できる。
[時ジャンパーのトルク]
本実施形態では、筒車体74の回転により、日送り機構50の日送りレバー84を撓ませる必要があるため、日送りレバー84を備えていない一般的な日送り機構を備える場合と比べて、筒車体74を回転させるために必要なトルクが大きくなる。
図12は、筒車体74を回転させるために必要なトルク(負荷トルク)を表示時刻に応じて示したグラフである。二点鎖線P1は、日送り機構50による負荷トルク(正転)の最大値を示し、実線P2は、日送り機構50による負荷トルク(正転)の平均値を示している。一点鎖線P3は、日送り機構50による負荷トルク(逆転)の最大値を示し、実線P4は、日送り機構50による負荷トルク(逆転)の平均値を示している。点線P5は、日ジャンパー87(図6、図7参照)による負荷トルク(正転)の最大値を示し、実線P6は、日ジャンパー87による負荷トルク(正転)の平均値を示している。実線P7は、日ジャンパー87による負荷トルク(逆転)の最大値を示し、点線P8は、日ジャンパー87による負荷トルク(逆転)の平均値を示している。一点鎖線P9は、負荷トルクの合計値を示している。なお、図12は、時ジャンパー72が1つの時ジャンパー体で構成されている場合のグラフを示している。時ジャンパー72が2つの時ジャンパー体で構成されている場合は、トルクが倍となる。
図12から明らかなように、本実施形態では、逆転よりも正転の方が必要なトルクが小さくなるように、日送り機構50が構成されている。
さらに、図12の点線P10は、時ジャンパー72のトルクの最小値を示し、一点鎖線P11は、時ジャンパー72のトルクの平均値を示している。時ジャンパー72のトルクは、筒車体74を回転させるために、筒車体74の負荷トルクよりも大きくする必要がある。すなわち、時ジャンパー72のばね力を、筒車体74の負荷トルクよりも大きくする必要がある。このため、本実施形態では、上述したように、時ジャンパー72を、2枚の時ジャンパー体721,722で構成してトルクを大きく、点線P10に示すように、時ジャンパー72のトルクの最小値が、各線P1〜P9で示される筒車体74の負荷トルクよりも大きくなるようにしている。なお、本実施形態では、時ジャンパー72の厚み寸法(各指針軸に沿った方向の寸法)を、四番歯車412、二番歯車422、筒歯車71、筒車体歯車742、日回し歯車81の厚み寸法の1.5倍(または2倍)以上に設定している。
[本実施形態の作用効果]
時計1では、二番車軸331が四番車41の車軸411と二番車42の車軸421との間に設けられているため、車軸411と車軸421とが接触することを抑制でき、車軸411の回転に伴い車軸421が回動することを抑制できる。また、車軸411の回転に伴い車軸間に注入される油を介して車軸421が回動することも抑制できる。
また、時計1では、中心パイプ321が車軸421と筒車体74の車軸741および時ジャンパーカナ73との間に設けられているため、車軸421と車軸741および時ジャンパーカナ73とが接触することを抑制でき、車軸421の回転に伴い車軸741および時ジャンパーカナ73が回動することを抑制できる。また、車軸421の回転に伴い車軸間に注入される油を介して車軸741および時ジャンパーカナ73が回動することも抑制できる。また、時差修正の際に、筒車体74の車軸741の回転に伴い、二番車42の車軸421および24時筒車45の車軸451が回動することも抑制できる。
また、時計1では、日車押さえ35の筒状部352が車軸741と24時筒車45の車軸451との間に設けられているため、車軸741と車軸451とが接触することを抑制でき、車軸741の回転に伴い車軸451が回動することを抑制できる。また、車軸741の回転に伴い車軸間に注入される油を介して車軸451が回動することも抑制できる。
このように、時計1によれば、各指針軸が、他の指針軸の回転に伴い回動することを抑制できる。
時計1では、筒車体74の車軸741と24時筒車45の車軸451との間に設けられる案内部が、日車押さえ35の一部である筒状部352によって構成されているため、当該案内部を構成する部品を別途設ける必要がなく、部品点数を削減できる。
また、当該案内部を、日車押さえ35の一部によって構成しているため、筒車体74に近い位置に日車押さえ35を配置させることができ、針座36を筒車体74と日車押さえ35との間に設けることができる。この構成により、針座36によって筒車70の軸方向における移動を規制できる。
また、中心パイプ321における筒車体74を案内する案内部分321Aの一部と、筒車体歯車742および針座36の接触部とは、軸方向と直交する同一平面上に位置しているため、筒車70が傾くことを抑制しつつ、針座36によって筒車70の軸方向における移動を規制できる。
時計1では、二番車軸331は、二番受33に設けられているため、二番車軸331を固定する部材を別途設ける必要がない。また、中心パイプ321は、地板32に設けられているため、中心パイプ321を固定する部材を別途設ける必要がない。これらにより、部品点数を削減できる。
時計1では、四番車41の車軸411は、輪列受34と、二番受33に設けられた二番車軸331とで案内されているため、四番車41が傾くことなく、車軸411を案内できる。
時計1では、24時筒歯車452と文字板12との間に針座37が設けられているため、針座37によって24時筒車45の軸方向における移動を規制できる。また、日車押さえ35の筒状部352における24時筒車45を案内する案内部分の一部と、24時筒歯車452および針座37の接触部とは、軸方向と直交する同一平面上に位置しているため、24時筒車45が傾くことを抑制しつつ、針座37によって24時筒車45の軸方向における移動を規制できる。
時計1では、時ジャンパー72が、複数の時ジャンパー体721,722で構成されているため、時ジャンパー72が1つの時ジャンパー体で構成されている場合と比べて、時ジャンパー72のトルク、すなわち、ばね力を大きくできる。
ここで、例えば、時ジャンパー72が1つの時ジャンパー体で構成されていても、当該1つの時ジャンパー体における厚み寸法を大きくすることで前記ばね力を大きくすることもできる。しかしながら、時ジャンパー体の躍制部の幅寸法に対する厚み寸法の割合が大きくなると、プレス加工にて時ジャンパー体を形成することが困難となり、時ジャンパー体を容易に製造できない場合がある。これに対して、時計1によれば、個々の時ジャンパー体721,722の厚み寸法は大きくする必要がないため、プレス加工を用いて各時ジャンパー体721,722を形成することができ、時ジャンパー72を容易に製造できる。
また、例えば、前記1つの時ジャンパー体における平面形状を変更することで、前記ばね力を大きくすることもできるが、この場合は、時ジャンパーカナ73に対して単位面積当たりにかかる力が大きくなり耐摩耗性が低下し、また、時ジャンパー体を設計し直す必要がある。これに対して、時計1によれば、時ジャンパーカナ73に対して単位面積当たりにかかる力は変わらないため耐摩耗性を維持でき、また、各時ジャンパー体721,722の形状を変更する必要がないため、時ジャンパー72の設計に要する時間を短縮できる。
このように、時計1によれば、容易に時ジャンパー72のトルクを大きくできるため、筒車体74によって駆動される機構の種類を増やすことができ、種類の異なる時計を容易に製造できる。
時計1では、時ジャンパー体721,722は、互いに平面形状、サイズ、厚み寸法が同じである。このため、複数の種類の時ジャンパー体を製造する必要がなく、製造工程や部品の管理を簡略化できる。
時差修正時における筒車体74の停止位置は、時ジャンパーカナ73に設けられた歯731で決められる。このため、時ジャンパーカナ73が筒車体74に固定され、筒車体74が時ジャンパーカナ73と一体で回転することで、例えば、筒車体74に時ジャンパー72が固定され、筒歯車71に時ジャンパーカナ73が固定されている場合と比べて、筒車体74の停止位置がずれることを抑制できる。これにより、時差修正時における時針23の指示位置のずれを低減できる。
時計1では、時ジャンパー体721,722の時ジャンパー体本体部721A,722Aは、それぞれ、筒歯車71に設けられた円弧部712によって案内されているため、円弧部712によって各時ジャンパー体721,722を確実に位置合わせでき、時ジャンパー体721,722の位置がずれて、時ジャンパー72のトルクが変動することを抑制できる。
時計1によれば、巻真39を操作して時差修正輪列を回転させた場合、時ジャンパー72および時ジャンパーカナ73の係合が解除され、筒歯車71が停止した状態で筒車体74が回転する。このため、筒歯車71に連動する24時筒車45に取り付けられた24時針24が指示する「時」を変更せずに、時針23が指示する「時」を修正できる。
時計1によれば、筒車体74に連動して日回し歯車81が回動し、日回し歯車81に連動して日送りカム83が回動し、日送りレバー84が徐々に撓む。そして、日送りカム83が所定の位置まで回動すると、撓んだ日送りレバー84のばね力により、日送りカム83が勢いよく回動し、日送りカム83と一体で回動する日送り爪82が日車25を送る。これにより、時差修正機能を備えた時計1において、日を瞬間的に送ることができる。
また、時計1によれば、筒車体74に連動して日回し歯車81が回転するため、巻真39を操作して時差修正輪列を回転させ、筒車体74を回転させることで、時針23が指示する「時」だけではなく日も同時に修正でき、「時」の修正および日の修正を別々に行う場合と比べて、利便性を向上できる。
時計1では、時ジャンパー72の厚み寸法は、例えば筒歯車71の厚み寸法よりも大きい(本実施形態では、1.5倍〜2倍)。この構成によれば、例えば時ジャンパー72の厚み寸法が筒歯車71の厚み寸法と同じ場合と比べて、時ジャンパー72が撓み方向と直交する方向(筒車70の回転軸に沿う方向)に撓むことを抑制できる。すなわち、時ジャンパー72がねじれることを抑制できる。これにより、時ジャンパー72の撓み方向におけるばね力を安定させることができ、時ジャンパー72のトルクの安定化を図れる。
また、時ジャンパー72の厚み寸法を、筒歯車71の厚み寸法よりも大きくすることで、時ジャンパー72と時ジャンパーカナ73とが係合する部分の寸法(時ジャンパーカナ73の軸方向に沿った寸法)を、筒歯車71および時ジャンパー72を合わせた厚み寸法の半分より大きくすることができる。これにより、時ジャンパー72および筒歯車71の厚み寸法が同じ場合と比べて、時差修正時等において時ジャンパー72および筒歯車71が傾くことを抑制できる。
時計1では、日回し歯車81は、中間輪列(修正車51および第2日回し中間車52)を介して、筒車体74に連動して回転する。この構成によれば、筒車体74と日回し歯車81とが直接噛み合っている場合と比べて、歯車の噛み合い箇所が多いため、ムーブメント2に衝撃による力が加わった際、当該力を逃がし易くできる。これにより、当該力により筒車体74や日回し歯車81の位置がずれたりすることを抑制できる。また、筒車体74の回転方向に対する日回し歯車81の回転方向や、筒車体74に対する日回し歯車81の位置を調整できる。
時計1では、修正車51が、時差修正輪列に用いられ、かつ、日送り機構50の中間輪列にも用いられている。すなわち、時差修正輪列の1つの歯車と、中間輪列の1つの歯車とは、共通の歯車である。これによれば、中間輪列の歯車と時差修正輪列の歯車とをすべて別々に設ける場合と比べて、歯車の数を低減でき、部品点数を削減できる。なお、共通にする歯車の数は、2つ以上であってもよい。
時計1では、筒車70は、地板32の表面側に設けられ、修正車51、第2日回し中間車52、日送り部80は、カレンダー地板31の表面側に設けられている。すなわち、筒車70の軸方向の位置は地板32で決められ、修正車51、第2日回し中間車52、日送り部80の軸方向の位置はカレンダー地板31で決められている。
この構成によれば、修正車51、第2日回し中間車52、日送り部80も、筒車70と同様に地板32の表面側に設ける場合と比べて、修正車51、第2日回し中間車52、日送り部80の軸方向における位置合わせが容易となり、軸方向における位置のばらつきを抑制できる。
また、修正車51と、第2日回し中間車52と、日回し歯車81とを、ほぼ同一平面上に位置させることができるため、時差修正時に各車に力がかかっても、各車が傾くことを抑制できる。このため、時ジャンパー72のトルクを大きくすることで、時差修正時に筒車体74を回転させるのに必要な力が大きくなり、各車にかかる力が大きくなっても、時差修正を適切に行うことができる。
[他の実施形態]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
[変形例1]
前記実施形態では、日送り機構50は、日車25を回転させているが、これに限定されない。例えば、時計1が曜車を備える場合は、日送り機構によって、曜車も回転させてよい。図13、図14は、この場合の日送り動作を説明する遷移図である。なお、図14は、日送り爪82を除いた図である。
図14の状態1に示すように、この変形例の日送り機構50Aでは、日送り爪82Aは、爪部821に加えて、曜車に設けられた曜歯車26の歯261を送る2つの爪部823,824を備えている。曜歯車26には、歯261が14個設けられている。つまり、曜歯車26が2歯分送られると、曜日が1日分送られる。
曜日が送られる直前は、実施形態と同様に、日回し歯車81と連動して日送りカム83が反時計回りに回動し、日送りカム83の円弧部分832が日送りレバー84の突出部842を押すことで、日送りレバー84が徐々に撓む。
さらに、日送りカム83が回動すると、図13、図14の状態1に示すように、日送りカム83の円弧部分832が日送りレバー84の突出部842と当接しなくなり、今度は、日送りレバー84の復元力により、日送りレバー84の突出部842が日送りカム83の外周面の半径部分833を押し、日送りカム83が反時計回りに勢いよく回動する。このとき、日送りカム83の突起部831は、日回し歯車81の開口部811内を移動するため、日送りカム83の回転は、日回し歯車81によって規制されない。また、日送り爪82も日送りカム83と一体で反時計回りに勢いよく回動する。
そして、日送りカム83が所定角度回動すると、図13、図14の状態2に示すように、爪部823が、曜歯車26の歯261に当たり、曜歯車26が爪部823に押されて時計回りに1歯分回動する。
さらに、日送り爪82Aが回動すると、図13、図14の状態3に示すように、爪部821が日車25の歯251に当たり、日車25が爪部821に押されて反時計回りに1歯分(1日分)回動する。
さらに、日送り爪82Aが回動すると、図13、図14の状態4に示すように、爪部824が、曜歯車26の歯261に当たり、曜歯車26が爪部824に押されて時計回りにさらに1歯分回動する。これにより、曜車が1日分送られる。
さらに、日送り爪82Aが回動すると、図13、図14の状態5に示すように、日送りカム83の突起部831が日回し歯車81の開口部811の反対側の内側面に当たり、日送りカム83の回動が止められる。このとき、日送りカム83が日送りレバー84の突出部843に当たるため、日送りレバー84によっても日送りカム83の回動が止められる。
このように、日送り機構50Aによれば、図13、図14の状態2から状態4に示すように、日送りレバー84のばね力により日送りカム83を回動させることで、日車25および曜車を1日分瞬時に回動させることができる。
なお、変形例1では、日送り機構が、日車25および曜車を回転させる例であるが、日送り機構が曜車のみを回転させる構成としてもよい。
[変形例2]
前記実施形態では、筒車体74の車軸741と24時筒車45の車軸451との間に設けられる案内部が、日車押さえ35の一部である筒状部352によって構成されているが、これに限定されない。
例えば、日車25を案内する日車案内板の一部で構成してもよい。または、中心パイプ等、別途設けられた部品によって構成してもよい。
[変形例3]
前記実施形態では、二番車軸331は二番受33に設けられ、中心パイプ321は地板32に設けられているが、これに限定されない。
すなわち、二番車軸331および中心パイプ321は、ムーブメント2が備える支持板に設けられていればよい。
[変形例4]
前記実施形態では、時ジャンパー72は、2つの時ジャンパー体721,722によって構成されているが、これに限定されない。
すなわち、筒車体74を回転させるために必要なトルクに応じて、3つ以上の時ジャンパー体によって構成してもよい。ここで、時ジャンパー72を構成する各時ジャンパー体の平面形状、サイズ、厚み寸法を同じにすることで、時ジャンパー体の数を増やす毎に、時ジャンパー72のトルクを、時ジャンパー体が1つの場合のトルクの2倍、3倍、4倍…と増やすことができ、時ジャンパー72のトルクを調整し易くできる。
また、時ジャンパー72を、厚み寸法を大きくした1つの時ジャンパー体で構成してもよい。時ジャンパー体の躍制部の厚み寸法に対する幅寸法の割合が0.2〜0.5の範囲であれば、レーザーやワイヤーカットなどの加工により、当該時ジャンパー体を製造できる。
また、時ジャンパー72を構成する複数の時ジャンパー体は、平面形状、サイズ、厚み寸法のいずれかが互いに異なっていてもよい。
例えば、時ジャンパー体毎に、躍制部の平面形状、サイズ、厚み寸法の少なくともいずれかを変えることで、時ジャンパー体毎にトルクを変えることができる。このため、躍制部の平面形状、サイズおよび厚み寸法が互いに同じである場合と比べて、時ジャンパー72のトルクを細かく調整できる。
また、例えば、時ジャンパー体毎に、時ジャンパー体本体部の平面形状、サイズ、厚み寸法の少なくともいずれかを変えることで、筒歯車71に対する取り付け構造(固定構造)を、時ジャンパー体毎に設定できる。
[変形例5]
前記実施形態では、時ジャンパー72を構成する時ジャンパー体721,722は、表面側から見て、同じ回転位置で固定されているが、これに限定されない。
すなわち、時ジャンパー体721,722は、互いに異なる回転位置で固定されていてもよい。つまり、躍制爪部721C,722Cが、時ジャンパーカナ73における互いに異なる歯731と係合してもよい。例えば、時ジャンパー体721,722を、180度ずれた回転位置で固定してもよい。この場合、時ジャンパー72の重心を、筒歯車71の回転中心と重ねることができ、筒歯車71が傾くことを抑制できる。また、時ジャンパーカナ73において、躍制爪部721C,722Cによって押される部分を、周方向において分散できる。また、躍制爪部721Cのばね力と、躍制爪部722Cのばね力とがお互いを打ち消す方向に働くため、筒歯車71の傾きを抑制できる。
[変形例6]
前記実施形態では、筒車体74と時ジャンパーカナ73とが固定され、筒歯車71と時ジャンパー72とが固定されているが、これに限定されない。
例えば、筒車体74と時ジャンパー72とが固定され、筒歯車71と時ジャンパーカナ73とが固定される構成としてもよい。
ただし、この場合は、筒車体74のサイズを時ジャンパー72のサイズに合わせる必要があるため、筒車体74のサイズが大きくなってしまう。この場合は、筒車体74に対して減速比が1/2と決まっている日回し歯車81のサイズも大きくする必要があり、ムーブメント2のサイズが大きくなってしまう。
また、筒車体74は、時針23を取り付ける関係上、非金属で形成することが好ましい。このため、筒車体74と時ジャンパー72とを固定する場合、溶接を用いることができない。
また、筒車体74と、時差修正時における筒車体74の停止位置を決める時ジャンパーカナ73とが固定されないため、時差修正時における筒車体74の停止位置がずれる可能性がある。
以上の理由等から、実施形態のように、筒車体74と時ジャンパーカナ73とが固定され、筒歯車71と時ジャンパー72とが固定されている構成の方が好ましい。
[変形例7]
前記実施形態では、第2日回し中間車52は、時差修正輪列の一部である修正車51を介して、筒車体74の筒車体歯車742に連動して回転するが、これに限定されない。例えば、別途設けられた歯車を介して、筒車体歯車742に連動して回転する構成でもよい。
[変形例8]
前記実施形態では、日回し歯車81は、中間輪列(修正車51および第2日回し中間車52)を介して、筒車体歯車742に連動して回転するが、これに限定されない。例えば、日回し歯車81が筒車体歯車742に直接噛み合う構成としてもよい。この構成の場合、日回し歯車81の回転に必要なトルクを低減できる。
[変形例9]
前記実施形態は、本発明を電子時計に適用した例であるが、本発明は機械式時計にも適用できる。
1…時計、2…ムーブメント(時計用ムーブメント)、12…文字板、21…秒針、22…分針、23…時針、24…24時針、25…日車、26…曜歯車、31…カレンダー地板、32…地板、33…二番受(分針車受)、34…輪列受、35…日車押さえ、36…針座(時針座)、37…針座(24時針座)、39…巻真、40…輪列機構、41…四番車(秒針車)、42…二番車(分針車)、43…日の裏車、44…24時中間車、45…24時筒車、50,50A…日送り機構(カレンダー送り機構)、51…修正車、52…第2日回し中間車、60…時差修正機構、62…つづみ車、63…第1修正中間車、64…第2修正中間車、70…筒車(時針車)、71…筒歯車、72…時ジャンパー、73…時ジャンパーカナ、74…筒車体、80…日送り部、81…日回し歯車(カレンダー回し歯車)、82,82A…日送り爪(カレンダー送り爪)、83…日送りカム(カレンダー送りカム)、84…日送りレバー(カレンダー送りレバー)、85…支持部、86…車軸、87…日ジャンパー、251…歯、261…歯、321…中心パイプ(第2案内部)、321A,321B,331A,331B…案内部分、322…ピン、331…二番車軸(第1案内部)、341…穴石、351…開口部、352…筒状部(第3案内部)、411…車軸(秒針軸)、411A…突出部、412…四番歯車、413…四番カナ、421…車軸(分針軸)、422…二番歯車、423…二番カナ、451…車軸(24時針軸)、451A…第1筒状部、451B…第2筒状部、452…24時筒歯車、711…歯、712…嵌合部、721,722…時ジャンパー体、721A,722A…時ジャンパー体本体部、721B,722B…躍制部、721C,722C…躍制爪部、723…固定ピン、731…歯、741…車軸(時針軸の一部)、742…筒車体歯車、811…開口部、821,823,824…爪部、822…係合孔、831…突起部、832…円弧部分、833…半径部分、841…先端部、842…突出部、843…突出部、O1…軸線。

Claims (7)

  1. 筒車と、
    日の裏車と、
    巻真と、
    前記巻真に連動して回転する時差修正輪列と、を備え、
    前記筒車は、
    前記日の裏車に連動して回転する筒歯車と、
    前記筒歯車の軸方向において積層された複数の時ジャンパー体で構成された時ジャンパーと、
    前記複数の時ジャンパー体と係合する時ジャンパーカナと、
    時針が取り付けられ、前記時ジャンパーおよび前記時ジャンパーカナを介して、前記筒歯車に連動して回転し、かつ、前記時差修正輪列に連動して回転する筒車体と、を備える
    ことを特徴とする時計用ムーブメント。
  2. 請求項1に記載の時計用ムーブメントにおいて、
    前記複数の時ジャンパー体は、前記軸方向から見て、互いに同じ形状およびサイズを有し、かつ、前記軸方向に沿った厚み寸法が互いに同じである
    ことを特徴とする時計用ムーブメント。
  3. 請求項1に記載の時計用ムーブメントにおいて、
    前記複数の時ジャンパー体は、前記軸方向から見た形状、サイズ、および、前記軸方向に沿った厚み寸法の少なくともいずれかが互いに異なっている
    ことを特徴とする時計用ムーブメント。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の時計用ムーブメントにおいて、
    前記複数の時ジャンパー体は、前記筒歯車に固定され、前記筒歯車と一体で回転し、
    前記時ジャンパーカナは、前記筒車体に固定され、前記筒車体と一体で回転する
    ことを特徴とする時計用ムーブメント。
  5. 請求項4に記載の時計用ムーブメントにおいて、
    前記筒歯車は、
    前記時ジャンパーカナの外周を囲む円環形状を有し、
    内周縁から前記軸方向に突出し、前記軸方向から見て円弧形状を有する円弧部を備え、
    前記複数の時ジャンパー体は、それぞれ、
    前記円弧部によって案内される時ジャンパー体本体部と、
    前記時ジャンパー体本体部から延出し、前記時ジャンパーカナに係合する躍制爪部を有する躍制部と、を備えている
    ことを特徴とする時計用ムーブメント。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の時計用ムーブメントにおいて、
    24時針が取り付けられ、前記筒歯車と連動して回転する24時針車を備える
    ことを特徴とする時計用ムーブメント。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載された時計用ムーブメントと、
    前記時針と、を備える
    ことを特徴とする時計。
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